JP2004307355A - フルオロ−β−ジカルボニル化合物の精製方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】ジフルオロ体などの副生物を含むフルオロ−β−ジカルボニル化合物から、分解による酸性ガス等を発生することなく、高純度の目的物を効率良く得ることが可能な精製方法を提供する。
【解決手段】一般式(1):RCOC RFCOR
(式中、Rは水素原子、置換若しくは未置換のアルキル基、又はアリール基であり、Rは水素原子、ハロゲン原子、置換若しくは未置換のアルキル基、又はアリール基であり、Rは水素原子、置換若しくは未置換のアルキル基、アリール基、アルコキシ基又はアリールオキシ基である。なお、R、 R及びRの少なくとも2つが一体となってヘテロ原子の介在または非介在で環状構造の一部を形成していても良い。)で示されるフルオロ−β−ジカルボニル化合物、及び該フルオロ−β−ジカルボニル化合物の炭素原子に結合した水素原子が更に1個以上フッ素原子で置換されたポリフルオロ化合物を含む混合物を、受酸剤と接触させることを特徴とするフルオロ−β−ジカルボニル化合物の精製方法。
【選択図】なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、モノフルオロ−β−ジカルボニル化合物の精製方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
2−フルオロ−3−オキソカルボン酸エステルは、医薬、農薬等の中間体として有用な化合物であり、その製造法としては、対応するオキソカルボン酸エステル類をフッ素ガスなどのフッ素源を用いてフッ素化する方法が知られている。例えば、下記特許文献1には、対応するオキソカルボン酸エステルをフッ素ガスによりフッ素化して目的とする2−フルオロカルボン酸エステルを製造する方法が記載されている。
【0003】
しかしながら、この方法では、フッ素化剤として用いるフッ素ガスが高い反応性を有するため、目的とする部位の炭素上の水素原子のみを選択性良くフッ素原子で置換することは困難であり、別の部位の炭素上の水素原子が1個以上フッ素化された多フルオロ体が副生することが避けられない。
【0004】
この様にして形成される多フルオロ体の内で、特に2個のフッ素原子で置換されたジフルオロ体の中には、目的物である2−フルオロ−3−オキソカルボン酸エステルと近似した沸点の化合物が存在する。このため、高純度の目的物を得るために減圧下で蒸留により精製する場合には、かなりのロスが発生する。また、ジフルオロ体等の多フルオロ体は、蒸留時に酸性の分解ガスを発生するため、減圧状態を維持することが困難である。更に、発生した酸性ガスによる装置の腐食によって蒸留が困難となる場合もあり、装置の腐食を防ぐためには、高耐食性の高価な材料を使用する必要がある。
【0005】
この様なジフルオロ体を含む混合物中の2−フルオロ−3−オキソカルボン酸エステル類を精製する方法としては、該混合物をハロゲン化溶媒に溶解させ、過剰の水を用いて洗浄してジフルオロ体を水相に抽出して除去する方法が知られている(例えば、下記特許文献2参照)。
【0006】
しかしながら、2−フルオロ−3−オキソカルボン酸エステル類は、水に一部溶解するか、或いは水の存在下で徐々に分解するため、水洗による精製方法では目的とする2−フルオロ−3−オキソカルボン酸エステルの収率が低下する。更に、目的物に対して大過剰量の水を数回に分けて用いるため、有機物やハロゲン化溶媒の溶け込んだ環境負荷の高い廃水を大量に発生し、作業効率も悪いという問題がある。
【0007】
【特許文献1】
国際公開WO94/10120号
【0008】
【特許文献2】
特開2002−193889号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記した従来技術に鑑みてなされたものであり、その主な目的は、2−フルオロ−3−オキソカルボン酸エステル等のモノフルオロ−β−ジカルボニル化合物の精製方法であって、ジフルオロ体などのポリフルオロ体を含むモノフルオロ−β−ジカルボニル化合物から、分解による酸性ガス等を発生することなくポリフルオロ体を分離して、高純度の目的物を効率良く得ることが可能な方法を提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記した目的を達成すべく鋭意研究を重ねてきた。その結果、ジフルオロ体などの副生物を含むモノフルオロ−β−カルボニル化合物を受酸剤と接触させる方法によれば、酸性ガスの発生を抑制しつつ、精留で分離することが困難なジフルオロ体を容易に除去できることを見出し、ここに本発明を完成するに至った。
【0011】
即ち、本発明は、下記のフルオロ−β−ジカルボニル化合物の精製方法を提供するものである。
1. 一般式(1):RCOC RFCOR
(式中、Rは水素原子、置換若しくは未置換のアルキル基、又はアリール基であり、Rは水素原子、ハロゲン原子、置換若しくは未置換のアルキル基、又はアリール基であり、Rは水素原子、置換若しくは未置換のアルキル基、アリール基、アルコキシ基又はアリールオキシ基である。なお、R、 R及びRの少なくとも2つが一体となってヘテロ原子の介在または非介在で環状構造の一部を形成していても良い。)で示されるモノフルオロ−β−ジカルボニル化合物及び該モノフルオロ−β−ジカルボニル化合物の炭素原子に結合した水素原子が更に1個以上フッ素原子で置換されたポリフルオロ化合物を含む混合物を、受酸剤と接触させることを特徴とするモノフルオロ−β−ジカルボニル化合物の精製方法。
2. 一般式(1)で示されるモノフルオロ−β−ジカルボニル化合物及びポリフルオロ化合物を含む混合物が、
一般式:RCOC RHCOR
(式中、Rは水素原子、置換若しくは未置換のアルキル基、又はアリール基であり、Rは水素原子、ハロゲン原子、置換若しくは未置換のアルキル基、又はアリール基であり、Rは水素原子、置換若しくは未置換のアルキル基、アリール基、アルコキシ基又はアリールオキシ基である。なお、R、 R及びRの少なくとも2つが一体となってヘテロ原子の介在または非介在で環状構造の一部を形成していても良い。)で示されるジカルボニル化合物とフッ素とを反応させて得られる、副生物としてポリフルオロ化合物を含むモノフルオロ−β−ジカルボニル化合物である上記項1に記載の方法。
3. 一般式(1)で示されるモノフルオロ−β−ジカルボニル化合物及びポリフルオロ化合物を含む混合物を、受酸剤の存在下に蒸留することを特徴とする上記項1又は2に記載のモノフルオロ−β−ジカルボニル化合物の精製方法。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明の精製方法における処理対象物は、一般式(1):RCOC RFCOR
(式中、Rは水素原子、置換若しくは未置換のアルキル基、又はアリール基であり、Rは水素原子、ハロゲン原子、置換若しくは未置換のアルキル基、又はアリール基であり、Rは水素原子、置換若しくは未置換のアルキル基、アリール基、アルコキシ基又はアリールオキシ基である。なお、R、 R及びRの少なくとも2つが一体となってヘテロ原子の介在または非介在で環状構造の一部を形成していても良い。)で示されるモノフルオロ−β−ジカルボニル化合物と、該モノフルオロジカルボニル化合物の炭素原子に結合した水素原子が更に1個以上フッ素原子で置換されたポリフルオロジカルボニル化合物を含む混合物である。
【0013】
上記一般式(1)において、アルキル基としては炭素数1〜20、好ましくは1〜10の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基を例示できる。アルキル基は、場合によりハロゲン原子、水酸基、シアノ基、アリール基、アシル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシルオキシ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アルカンスルホニル基、アリールスルホニル基、アシルアミノ基などの置換基により置換されていてもよい。
【0014】
アリール基としては、炭素数6〜14、好ましくは炭素数6〜10の芳香族基を例示できる。アリール基もハロゲン原子、水酸基、シアノ基、アリール基、アシル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシルオキシ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アルカンスルホニル基、アリールスルホニル基、アシルアミノ基などの置換基により置換されていてもよい。
【0015】
アルコシキ基としては、炭素数1〜20、好ましくは1〜10の直鎖状又は分岐鎖状のアルコキシ基を例示できる。アルコキシ基も上記したアルキル基と同様の置換基で置換されていても良い。
【0016】
アリールオキシ基としては、炭素数6〜14、好ましくは6〜10のアリールオキシ基を例示できる。アリールオキシ基も上記したアリール基と同様の置換基で置換されていても良い。
【0017】
、R及びRを組み合わせて形成され得る環状構造の例としては、3員数〜20員数からなる単環、双環、またはそれ以上の多環の構造を示すことができる。
【0018】
ハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素などを例示できる。
【0019】
上記したモノフルオロ−β−ジカルボニル化合物とポリフルオロジカルボニル化合物を含む混合物は、例えば、国際公開WO94/10120号に記載された含フッ素ジカルボニル化合物の製造方法において、目的とする含フッ素ジカルボニル化合物を製造する際に、副生物であるポリフルオロジカルボニル化合物を含む生成物として得られる。
【0020】
この製造方法は、一般式:RCOC RHCOR(式中、R1,、R及びRは上記に同じ)で表されるジカルボニル化合物とフッ素(F)とを、炭素数1〜5のハロゲン化炭化水素及びニトリル化合物からなる群から選択される少なくとも一種の溶媒中で反応させるか、或いは、溶媒中、塩又はpKa6以下の酸の存在下に反応させて、一般式(1):RCOC RFCOR(式中、R1,、R及びRは上記に同じ)で示されるポリフルオロジカルボニル化合物を製造する方法である。この方法において、溶媒、塩、酸触媒などの種類、使用量などについては、国際公開WO94/10120号に記載される方法に従えばよい。
【0021】
この方法で使用するフッ素(F)は、通常、その激しい反応を抑制するために、不活性ガスを用いて、不活性ガスの容量が99.9%〜50%の範囲内となるように希釈したフッ素ガスを使用するのが好ましい。希釈に用いる不活性ガスとしては、窒素、ヘリウム、アルゴン、二酸化炭素などを例示できる。
【0022】
フッ素の使用量は、その導入方法、反応温度、反応溶媒の種類、反応装置などに依存して変化するので、一律に規定することはできないが、当業者であれば、出発物質である一般式(I)のジカルボニル化合物が実質的に消失するのに必要な量を目安として、通常簡単な予備実験を行うことにより容易に決定できる。
【0023】
反応温度としては、−120℃〜+80℃程度の範囲内を選択することができるが、反応を収率よく又は効率よく進行させるためには、−100℃〜+50℃程度、特に−80℃〜+30℃程度が好ましい。
【0024】
上記方法では、通常、目的物である一般式(1)のモノフルオロ−β−ジカルボニル化合物の他に、副生物である、ジフルオロジカルボニル化合物などのポリフルオロジカルボニル化合物が1〜20重量%程度含まれた混合物が得られる。尚、ポリフルオロジカルボニル化合物の量は、吹き込んだフッ素ガスの量によってかわり、原料1当量に対して1.5当量程度以上のフッ素ガスを吹き込むと上記した範囲を上回るポリフルオロジカルボニル化合物が含まれることがある。この際、副生するポリフルオロジカルボニル化合物としては、2,2−ジフルオロ化合物、2,4−ジフルオロ化合物、2,5−ジフルオロ化合物などを例示できる。
【0025】
上記した方法で得られる一般式(1)のモノフルオロ−β−ジカルボニル化合物は、反応時に生成する前記ポリフルオロ体の他に、反応中に等モル生成するフッ化水素を含み、更に酸触媒を用いた場合には、酸触媒も含むものとなり、通常、酸性を示す。この混合物は、そのまま後述する精製処理に供しても良いが、溶媒、フッ化水素などを室温付近にて減圧下で留去し、その後アルカリ性水溶液を用いて中和した後、本発明の精製処理に供することが好ましい。中和処理に用いるアルカリ性水溶液としては、例えば、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等を含む水溶液を用いることができる。
【0026】
本発明の精製方法は、上記した一般式(1)のモノフルオロ−β−ジカルボニル化合物及び該モノフルオロジカルボニル化合物の炭素原子に結合した水素原子が更に1個以上フッ素原子で置換されたポリフルオロジカルボニル化合物を含む混合物を、受酸剤に接触させる方法である。この様な方法によれば、ポリフルオロジカルボニル化合物の分解により発生する酸性ガスが受酸剤に吸着され、酸性ガスの発生を抑制しながら、上記混合物に含まれるポリフルオロジカルボニル化合物量を減少させることができる。特に、精留での分離が難しい2,4ジフルオロ体、2,5ジフルオロ体などを低減できるので、高純度の目的物を収率良く得ることが可能となる。
【0027】
受酸剤としては、ポリフルオロジカルボニル化合物の分解によって発生する酸性ガスを吸着できる物質を用いることが必要であり、特に、処理後の受酸剤の除去、回収を容易にするため、βジカルボニル化合物と混和しない無機系受酸剤を用いることが望ましい。
【0028】
この様な無機系受酸剤としては、金属化合物、無機多孔質物質等を例示できる。金属化合物としては、好ましくは、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の酸化物、水酸化物、カルボン酸塩、炭酸塩、炭酸水素塩、珪酸塩、リン酸塩、亜リン酸塩、ホウ酸塩等;周期律表IVa族金属の酸化物、塩基性カルボン酸塩、塩基性炭酸塩、塩基性硫酸塩、三塩基性硫酸塩、塩基性亜リン酸塩等を用いることができる。この様な金属化合物の具体例としては、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化バリウム、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素リチウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸バリウム、珪酸カルシウム、酢酸カリウム、酢酸カルシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、亜リン酸カルシウム、酸化鉄、酸化スズ、鉛丹、鉛白、二塩基性フタル酸鉛、二塩基性炭酸鉛、水酸化アルミニウムなどを例示できる。また、無機多孔質物質としては、例えば、シリカ、天然ゼオライト、合成ゼオライト、アルミナ、モレキュラーシーブ、各種ハイドロタルサイト、市販の各種多孔質受酸剤等を用いることができる。市販の多孔質受酸剤としては、非晶質性シリカ・アルミナゲルよりなる無機多孔質体(商標名:セカード、品川化成(株))、アルミニウム及び鉄を含む水和物多孔質体(商標名:アルフェマイト、水澤化学(株))などを例示できる。
【0029】
これらの受酸剤は単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0030】
本発明では、特に、βジカルボニル化合物の分解を抑制できる点で、アルカリ土類金属の酸化物;アルカリ金属若しくはアルカリ土類金属の炭酸水素塩、リン酸塩、カルボン酸塩等;無機多孔質物質等の求核性が低い受酸剤が好ましく、特に、リン酸三ナトリウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、炭酸水素カリウム、市販の非晶質性シリカ・アルミナゲルからなる受酸剤(商標名:セカード)などが好ましい。
【0031】
本発明精製方法の具体的な処理操作としては、上記混合物に受酸剤を添加して十分に混合すればよい。この場合の処理温度は、通常、室温〜130℃程度、好ましくは室温〜100℃程度とすればよい。また、例えば、受酸剤としてセカードを用いる場合には、40〜100℃程度とすることが好ましい。処理温度が高すぎると、目的物である2−フルオロジカルボニル化合物の分解を引き起こすために好ましくない。処理時間は、通常、3時間〜5時間程度とすればよい。
【0032】
受酸剤の使用量は、処理対象となるフルオロ−β−ジカルボニル化合物の種類、使用する受酸剤の種類、酸の残存量、ポリフルオロ化合物の含有量等の諸条件によって異なるので、一概に規定できないが、通常、フルオロ−β−ジカルボニル化合物とポリフルオロ化合物の合計量100重量部に対して1〜50重量部程度とすることが好ましく、1〜10重量部程度とすることがより好ましい。
【0033】
また、一般式(1)のフルオロ−β−ジカルボニル化合物、及び該フルオロジカルボニル化合物の炭素原子に結合した水素原子が更に1個以上フッ素原子で置換されたポリフルオロジカルボニル化合物を含む混合物に受酸剤を添加し、該受酸剤の存在下に蒸留する方法によれば、酸性ガスの発生を抑制しながら、蒸留により高純度の目的物を分離することができる。この場合にも、一般式(1)のフルオロ−β−ジカルボニル化合物の分解を避けるために、蒸留温度が上記した温度範囲、即ち、室温〜130℃の温度範囲となるように、減圧下に蒸留を行うことが好ましい。
【0034】
この方法によれば、酸性ガスがほとんど発生することが無く、蒸留装置の腐食を生じることがなく、しかも、収率良く高純度の目的物を得ることができる。
【0035】
【発明の効果】
本発明の精製方法によれば、ジフルオロ体などの副生物を含むフルオロ−β−ジカルボニル化合物から、分解による酸性ガスをほとんど生じることなくジフルオロ体などを分離でき、高純度のフルオロ−β−ジカルボニル化合物を効率良く得ることが可能となる。
【0036】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明する。
【0037】
実施例
メチル−3−オキソペンタン酸エステル(以下MOP)400gおよび無水フッ化水素400gをSUS316製オートクレーブに仕込み、−20℃の温度条件下、窒素ガスで10vol%に希釈したフッ素ガスを毎分650mlの速度でバブリングした。38時間バブリングをおこなった後、反応溶液の温度を室温に戻し、減圧下で過剰のフッ化水素を除去した。その後、少量残存するHFを飽和炭酸水素カリウム水溶液1Lで中和除去し、pH6のメチル−2−フルオロ−3−オキソペンタン酸エステル(MFOP)の粗体399gを得た。その粗体のMFOP純度は84.5%であった。また、粗体にはメチル−2,2−ジフルオロ−3−オキソペンタン酸エステル(2,2−MF2OP)が3.0重量%、メチル−2,4−ジフルオロ−3−オキソペンタン酸エステル(2,4−MF2OP)が0.4重量%、メチル−2,5−ジフルオロ−3−オキソペンタン酸エステル(2,5−MF2OP)が0.8重量%含まれていた。
【0038】
上記した方法で得られたMFOPの粗体399gに、受酸剤として、非晶質性シリカ・アルミナゲルよりなる無機多孔質体であるセカードKW(品川化成製)を 39g加え、100℃にて24時間加熱した。
【0039】
室温まで冷却後、ガスクロマトグラフィーで分析したところ、MFOPの純度は86.0%であり、他に2,2−MF2OPが2.7重量%、2,4−MF2OPが0.0重量%及び2,5−MF2OPが0.1重量%含まれており、精留で特に分離の難しい2,4−MF2OPと2,5−MF2OPの低減が確認できた。精製後のMFOPはpH6であり、酸は発生していなかった。
【0040】
実施例
実施例1と同様の方法で得たMFOP粗体に、セカードKWを39g加え、15段のガラス製精留塔を用いて10mmHgの減圧下80℃で精留をおこなった。釜残はセカードをろ別し、さらに減圧下MFOPを単管で抜き出して回収した。その結果、収率61%でMFOPの留分243gを得た。
【0041】
精留および釜残抜き出しで得られたMFOPを分析すると、MFOP純度は97.3%であり、2,2−MF2OPは0.1重量%、2,4−MF2OPは0.0重量%、2,5−MF2OPは0.1重量%であった。また、留分はすべて中性であり精留装置の腐食は認められなかった。
【0042】
実施例
実施例1と同様の方法で得たMFOPの粗体(2,4−MF2OPを7.8重量%含む粗体)に、酢酸カリウムを114g加え、室温にて6時間撹拌し混合した。
【0043】
その後ガスクロマトグラフィーで分析したところ、MFOPの純度は変わらずに2,4−MF2OPが3.4重量%まで減少していた。
【0044】
比較例
実施例1と同様の方法で得たMFOPの粗体を、そのまま15段のガラス製精留塔で減圧下精留した。途中留出する留分はすべて酸性ガスを(pH1〜3)発しており、60時間精留を継続した時点で精留塔の腐食が認められたため、精留を中止せざるを得なくなった。
【0045】
また、留分にはNMR分析によりHFが0.9重量%含まれていることがわかった。精留留分には2,5−MF2OPが0.4〜1.2重量%含まれていた。
【0046】
比較例
実施例1と同様の方法で得たMFOPの粗体を、そのまま100℃にて6時間加熱した。これを室温まで冷却したところ、発生ガスのpHは2でありHFが発生していることが認められた。
【0047】
比較例
実施例1と同様の方法で得たMFOPの粗体399gに320mlのジクロロメタンを加えて溶解させ、この溶液を720gの水で洗浄した。次いで、分液して取り出したジクロロメタン層を同量の水で更に2回洗浄し、分液後、ジクロロメタンを減圧下に留去した。
【0048】
回収率は90%であった。これをさらに精製するために精留をおこなったが、比較例1と同様に酸が発生しガラス製精留塔が腐食したため、精留を中止した。

Claims (3)

  1. 一般式(1):RCOC RFCOR
    (式中、Rは水素原子、置換若しくは未置換のアルキル基、又はアリール基であり、Rは水素原子、ハロゲン原子、置換若しくは未置換のアルキル基、又はアリール基であり、Rは水素原子、置換若しくは未置換のアルキル基、アリール基、アルコキシ基又はアリールオキシ基である。なお、R、 R及びRの少なくとも2つが一体となってヘテロ原子の介在または非介在で環状構造の一部を形成していても良い。)で示されるモノフルオロ−β−ジカルボニル化合物及び該モノフルオロ−β−ジカルボニル化合物の炭素原子に結合した水素原子が更に1個以上フッ素原子で置換されたポリフルオロ化合物を含む混合物を、受酸剤と接触させることを特徴とするモノフルオロ−β−ジカルボニル化合物の精製方法。
  2. 一般式(1)で示されるモノフルオロ−β−ジカルボニル化合物及びポリフルオロ化合物を含む混合物が、
    一般式:RCOC RHCOR
    (式中、Rは水素原子、置換若しくは未置換のアルキル基、又はアリール基であり、Rは水素原子、ハロゲン原子、置換若しくは未置換のアルキル基、又はアリール基であり、Rは水素原子、置換若しくは未置換のアルキル基、アリール基、アルコキシ基又はアリールオキシ基である。なお、R、 R及びRの少なくとも2つが一体となってヘテロ原子の介在または非介在で環状構造の一部を形成していても良い。)で示されるジカルボニル化合物とフッ素とを反応させて得られる、副生物としてポリフルオロ化合物を含むモノフルオロ−β−ジカルボニル化合物である請求項1に記載の方法。
  3. 一般式(1)で示されるモノフルオロ−β−ジカルボニル化合物及びポリフルオロ化合物を含む混合物を、受酸剤の存在下に蒸留することを特徴とする請求項1又は2に記載のモノフルオロ−β−ジカルボニル化合物の精製方法。
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