JP2005089400A - 高純度トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−2−カルボン酸エステルの製造方法 - Google Patents

高純度トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−2−カルボン酸エステルの製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2005089400A
JP2005089400A JP2003327579A JP2003327579A JP2005089400A JP 2005089400 A JP2005089400 A JP 2005089400A JP 2003327579 A JP2003327579 A JP 2003327579A JP 2003327579 A JP2003327579 A JP 2003327579A JP 2005089400 A JP2005089400 A JP 2005089400A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
tricyclo
carboxylic acid
decane
reaction
endo
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2003327579A
Other languages
English (en)
Other versions
JP4275498B2 (ja
Inventor
Mitsuharu Kitamura
光晴 北村
Takashi Kojima
孝 小島
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kao Corp
Mitsubishi Gas Chemical Co Inc
Original Assignee
Kao Corp
Mitsubishi Gas Chemical Co Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kao Corp, Mitsubishi Gas Chemical Co Inc filed Critical Kao Corp
Priority to JP2003327579A priority Critical patent/JP4275498B2/ja
Priority to DE602004008002T priority patent/DE602004008002T2/de
Priority to EP04104426A priority patent/EP1522537B1/en
Priority to US10/942,880 priority patent/US7253300B2/en
Publication of JP2005089400A publication Critical patent/JP2005089400A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4275498B2 publication Critical patent/JP4275498B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Organic Low-Molecular-Weight Compounds And Preparation Thereof (AREA)
  • Low-Molecular Organic Synthesis Reactions Using Catalysts (AREA)

Abstract

【課題】 エキソ−トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−エンド−2−カルボン酸エステル/エンド−トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−エキソ−2−カルボン酸エステルの構成比が1.0以上のトリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−2−カルボン酸エステルの製造方法を提供すること。
【解決手段】 (a)HFの存在下、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカ−3−エンと一酸化炭素を反応温度20℃以上40℃未満の条件下で反応させてトリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−2−カルボン酸フロライドを製造する工程、(b)上記(a)工程で得られたトリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−2−カルボン酸フロライドのHF溶液を40〜70℃の条件下で保液することにより異性化反応を行う工程、及び(c)上記(b)工程で得られた異性化後のトリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−2−カルボン酸フロライドとアルコールを反応させてエステルを製造する工程を実施する。
【選択図】 なし

Description

本発明は、エキソ−トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−エンド−2−カルボン酸エステル/エンド−トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−エキソ−2−カルボン酸エステルの構成比が1.0以上であって、香気性に優れ、香料又は香料成分として有用なトリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−2−カルボン酸エステルを効率よく、工業的に有利に製造する方法に関する。
モノオレフィン類よりカルボン酸エステルを製造する方法としては、コッホ反応により強酸中でオレフィン類と一酸化炭素及び水を反応させ、これにより得られるカルボン酸を酸触媒中でエステル化する方法が知られている。
トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−2−カルボン酸のエステル(以下、TCDCEと称すことがある。)を製造する場合には、一般にジシクロペンタジエン(以下、DCPDと称すことがある。)を水素化して得られるトリシクロ[5.2.1.02,6]デカ−3−エン(ジヒドロジシクロペンタジエン、以下、DHDCPDと称すことがある。)を硫酸等の強酸中で一酸化炭素及び水と反応させてトリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−2−カルボン酸(以下、TCDCと称すことがある。)とし、これをエステル化する方法が採られる。
しかしながら、シクロオレフィン類は、カルボニル化反応において重合し易く、TCDCを高い収率で得ることができない。このため、TCDCを高収率で得る方法として、DCPDとギ酸を反応させた後水添して得られるトリシクロ[5.2.1.02,6]デク−8−イルホルメートと無機強酸性触媒を接触させながら反応させる方法が開示されている(例えば、特許文献1参照)。ところがこのカルボン酸合成方法では、硫酸、HF等の強酸を大量に消費するために経済的とは言えない。
次にTCDCを香料として利用するためにはエステル化を行う必要がある。一般に、三級カルボン酸のエステル化は困難であり、特にTCDCの場合には立体障害の影響が大きい。このため、TCDCから酸ハライドを導いた後に、アルコールとエステル化する方法が開示されているが(例えば、特許文献2参照)、この方法は高価なハロゲン化剤を大量に使用するので経済的な方法とは言えない。また、TCDCにエステル化剤として硫酸ジアルキルを作用させてエステル化を行っているが(例えば、特許文献2、特許文献3参照)、これら硫酸ジアルキルは高価である上、反応により生成する水により分解を起こすという問題がある。
これらの問題点を解決する方法として、例えば下記のスキーム1に示したルートにより、HF中でDHDCPDと一酸化炭素及びアルコールを反応させ、カルボニル化反応とエステル化反応を同時に起こすことにより高収率にTCDCEを得る方法が開示されている(例えば、特許文献4参照)。
Figure 2005089400
また、このTCDCEには、下記のスキーム2に示したようにエキソ−トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−エンド−2−カルボン酸エステル/エンド−トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−エキソ−2−カルボン酸エステルの構造異性体が存在し、それぞれ若干異なった香りを有する(以下、エステル基に着目し、エキソ−トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−エンド−2−カルボン酸エステルをEndo体、エンド−トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−エキソ−2−カルボン酸エステルをExo体と称すことがある。)。
Figure 2005089400
前記特許文献2には、TCDCEのEndo体はレモン様の、果実様の、木様の(Citrus−Fruity−Woody)香りを持ち、Exo体は、新鮮な木様の、土様の(Fresh−Wood−Earthy)香りを有すること、ならびにエチルエステル体が最も香りが強く好ましいと記載されている。
TCDCEを香料として用いる場合には、Endo体/Exo体の比が1.0以上であることが特に望まれているが、上記文献中には、この異性体比の制御方法に関しては精密蒸留で分けることができるとされているのみで、反応条件による制御方法に関しては何の知見も開示されていない。精密蒸留でこれらエステルの混合物を分ける方法では、不要留分の有効利用が図られない限り経済的な方法とは言えない。
また、反応条件による制御ではなく、原料のDHDCPDの異性体比をエキソ−DHDCPD/エンド−DHDCPD比として8/92以上とすることにより、エキソ−トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−エンド−2−カルボン酸エステル(Endo体)含有量を高めうることが開示されている(例えば、特許文献5参照)。しかしながら、このようなDHDCPDを得るためには、エキソ体含有量の高いDCPDを入手する必要があるが、一般に入手可能なDCPD中のエキソ体/エンド体比はせいぜい0.5/99.5であり、エキソ体含有量の高いDCPDの入手は困難である。
さらに、前記特許文献4に記載の方法は、カルボン酸を分離することなく、in situにエステルを得ることができ、しかもHF触媒の回収も容易なことから工業的に実施する上で有望な方法であるが、Endo体/Exo体比1.0以上の異性体比を得ようとすると、−10℃以下の低温の反応温度、かつHF/DHDCPDのモル比で15倍以上の条件が必要なことが、本発明者らの研究で分かった。しかし、その条件では反応収率が低く、また触媒のHFを大量に使用するため生産性が著しく低くなり、工業的に実施するのは困難な方法であることが判明した。
特公昭61−40658号公報 特公昭61−1014号公報 特公昭62−53499号公報 特許第2680069号公報 特開平9−194433号公報
本発明は、このような状況下で、Endo体/Exo体比が1.0以上であって、香気性に優れ、香料又は香料成分として有用な高純度トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−2−カルボン酸エステルを効率よく、工業的に有利に製造する方法を提供することを目的とするものである。
本発明者らは、HF触媒を用いてDHDCPDと一酸化炭素及びアルコールからEndo体/Exo体比1.0以上の異性体比を持つTCDCEを製造する方法について、鋭意検討を行った結果、カルボニル化とエステル化の工程を分離し、さらにカルボニル化工程とエステル化工程の間に別途異性化工程を追加することにより、Endo体/Exo体比1.0以上の異性体比を持つTCDCEが効果的に得られることを見出した。本発明は、かかる知見に基づいて完成したものである。
すなわち、本発明は、
(1)HFの存在下、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカ−3−エンを一酸化炭素及びアルコールと反応させて、エキソ−トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−エンド−2−カルボン酸エステル/エンド−トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−エキソ−2−カルボン酸エステルの構成比が1.0以上のトリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−2−カルボン酸エステルを製造するに際し、(a)HFの存在下、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカ−3−エンと一酸化炭素を反応温度20℃以上40℃未満の条件下で反応させてトリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−2−カルボン酸フロライドを製造する工程、(b)上記(a)工程で得られたトリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−2−カルボン酸フロライドのHF溶液を40〜70℃の条件下で保液することにより異性化反応を行う工程、及び(c)上記(b)工程で得られた異性化後のトリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−2−カルボン酸フロライドとアルコールを反応させてエステルを製造する工程を実施することを特徴とする高純度トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−2−カルボン酸エステルの製造方法、
(2)(a)工程を、HF/トリシクロ[5.2.1.02,6]デカ−3−エンモル比4〜12の条件で実施する上記(1)の方法、及び
(3)(b)工程を、1〜3MPaの一酸化炭素加圧下で実施する上記(1)又は(2)の方法、
を提供するものである。
本発明の方法によれば、Endo体/Exo体比が1.0以上であって、香気性に優れ、香料又は香料成分として有用なトリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−2−カルボン酸エステルを高収率で生産性よく、工業的に有利に製造することができる。
本発明の方法において、原料として用いられるトリシクロ[5.2.1.02,6]デカ−3−エン(DHDCPD)は、その由来については特に制限はなく、いかなる方法により得られたものであってもよいが、通常DCPDを常法に従って水素化することにより、調製される。
本発明の方法においては、前記のDHDCPDを原料として用い、(a)カルボニル化工程、(b)異性化工程及び(c)エステル化工程が実施される。
このように、本発明においては、DHDCPDのカルボニル化反応は、エステル化反応とは分離して別個に行われる。カルボニル化反応とエステル化反応を同時に行ってしまうと、カルボニル化反応で生成した酸フロライドがすぐにエステル化されてしまう。そのためEndo体/Exo体比を考慮せずにTCDCEを得る場合には高収率が得られるが、Endo体/Exo体比1.0以上のTCDCEを得るためには、DHDCPDがカルボニル化を受けた直後でEndo体/Exo体比1.0以上のトリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−2−カルボン酸フロライド(以下、TCD−COFと称すことがある。)の生成が必要となる。この場合、−10℃以下の反応温度、かつHF/DHDCPDのモル比で15倍以上の条件が必要となり、反応収率が低く、かつ触媒のHFを大量に使用するため生産性が低下するのを避けられず、効率が悪い。
本発明においては、(a)カルボニル化工程の後に(b)異性化工程を有するため、カルボニル工程で生成するTCD−COFのEndo体/Exo体比に考慮を払う必要がなく、収率及び生産性の面で最適の条件を選択することが可能となる。
(a)工程におけるDHDCPDのカルボニル反応は、HF触媒の存在下で一酸化炭素の加圧下に実施される。この際、一酸化炭素中には窒素やメタン等の不活性ガスが含まれていてもよい。一酸化炭素分圧については特に限定されないが、通常0.5〜5MPa程度である。一酸化炭素分圧が上記範囲にあると、カルボニル化反応が十分に進行し、不均化や重合などの副反応が抑制され、しかもあまり大きな設備費を必要としない。好ましい一酸化炭素分圧は1〜3MPaの範囲である。
この際、HF触媒としては、実質的に無水のものが好ましく用いられる。HFの使用量は、カルボニル化反応が十分に進行し、かつ不均化や重合などの副反応を抑制しうると共に、HFの分離費用や装置容積効率などの点から、原料DHDCPDに対して、通常4〜12倍モル程度、好ましくは6〜10倍モルの範囲で選定される。
反応の形式については特に制限はなく、半連続式及び連続式などのいずれであってもよい。
カルボニル化の反応温度はTCDCEの収率に鋭敏に作用するため特に重要である。先にも述べたように、本発明においてはTCD−COFのEndo体/Exo体比への考慮は不要であるため、収率のみに着目して反応温度との関係について検討を行ったところ、30℃付近に高収率の条件があることが判明した。
したがって、本発明においてカルボニル化反応は20℃以上40℃未満、好ましくは25〜35℃の範囲で実施される。
本発明においては、原料DHDCPDを溶解する能力を有し、かつDHDCPD及びHFに対して不活性な反応溶媒、例えばヘキサン、ヘプタン、デカン等の飽和脂肪族炭化水素類等を使用してもよい。この場合には更に重合反応が抑制され収率が向上するが、大量の溶媒を使用すると容積効率が低下すると同時に、分離に要するエネルギー原単位の悪化を招くので、使用の有無・使用量は適宜選択される。
この(a)工程のカルボニル化反応で生成したTCD−COFは、引続き(b)異性化工程にてEndo体/Exo体比1.0以上に異性化される。この際TCD−COFを一旦分離した後、再度HF触媒の存在下で異性化反応を実施してもよいが、通常は、TCD−COFの分離をせずに、カルボニル化反応で得られた反応液をそのまま異性化反応させる。異性化反応も一酸化炭素加圧下で行う。この際一酸化炭素分圧は、TCD−COFの分解抑制及び装置面などから、通常0.5〜5MPa程度、好ましくは1〜3MPaの範囲で選定される。
異性化工程における反応温度は、反応速度、TCD−COFの分解の抑制及び他の異性体への異性化の抑制などを考慮すると、40〜70℃の範囲、好ましくは40〜65℃の範囲で選定される。
この(b)異性化工程においてEndo体/Exo体比が調整されたTCD−COFは、引き続き(c)エステル化工程にてアルコールと反応させることによりTCDCEとなる。この際、TCD−COFを一旦分離した後、再度HF触媒下でアルコールとエステル化反応させてもよいが、通常は、TCD−COFの分離なしに異性化反応液をそのままアルコールと反応させTCDCEを製造する方法が採られる。この際、異性化反応液に所定量のアルコールを添加していくことが好ましく、アルコール中に異性化反応液を添加していく方法では過剰のアルコール中にHFが共存することとなるので水を生成する危険性が高い。本系内で水が生成すると腐食性が著しく増大しプロセス上の障害を招く。
本発明において使用されるアルコールとしては、炭素数1、2又は3の低級アルコール、すなわちメタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノールが好ましく用いられる。
このエステル化反応は、生成したエステルの分解抑制や、添加したアルコールの脱水反応による水の副生の抑制などの面から、通常20℃以下、好ましくは
−20〜10℃の範囲の温度で実施される。
このようにして得られたエステル化生成物からHFを留去したのち、蒸留などの常法に従い精製することにより、Endo体/Exo体比が1.0以上のTCDCEを得ることができる。
次に、本発明を実施例により、さらに詳細に説明するが、本発明は、これらの例によってなんら限定されるものではない。
調製例1
Cu−Cr水添触媒を用い、市販のDCPDを水素圧2MPa、反応温度90℃で、水素の吸収が認められなくなるまで約5時間反応させた。濾過によりCu−Cr水添触媒を取り除き、次いで蒸留により精製し、原料のDHDCPDを得た。(純度98.5%)
実施例1
ナックドライブ式攪拌機と上部に3個の入口ノズル、底部に1個の抜き出しノズルを備え、ジャケットにより内部温度を抑制できる内容積500mlのステンレス製オートクレープを用いて実験を行った。
まずオートクレープ内部を一酸化炭素で置換した後、フッ化水素128g(6.4モル)を導入し、液温30℃とした後、一酸化炭素にて2MPaまで加圧した。
反応温度を30℃に保持し、かつ反応圧力を2MPaに保ちながら、DHDCPD107.7g(0.80モル)を溶解させたn−ヘプタン溶液207gをオートクレープ上部より供給してカルボニル化反応を行った。DHDCPDの供給終了後、一酸化炭素の吸収が認められなくなるまで約10分間攪拌を継続した。
得られた反応液の一部を冷却したエタノール中にサンプリングし、水を加え、油相と水相とを分離した。油相を中和、水洗した後、得られた油相をガスクロマトグラフィーで分析したところ、Endo体/Exo体比は0.53であった。
引き続き、反応圧力を2MPaに保ちながら反応液温度を45℃に昇温し、3時間この温度を維持し、異性化反応を行った。3時間保持後、反応液温度を−10℃に冷却し、エタノールをオートクレープ上部より36.9g(0.80モル)供給して、攪拌下にて1時間エステル化を行った。
反応液をオートクレープ底部より氷水中に抜き出し、油相と水相を分離した後、油相を2質量%水酸化ナトリウム水溶液100mlで2回、蒸留水100mlで2回洗浄し、無水硫酸ナトリウム10gで脱水した。得られた液を内部標準法によりガスクロマトグラフィーで分析した。その結果、TCDCE収率57.2%(DHDCPD基準)、Endo体/Exo体比=1.29の反応成績が得られた。
比較例1
実施例1と同様の操作で、フッ化水素132.5g(6.6モル)を導入し−15℃に冷却し、一酸化炭素で2MPaまで加圧した。
反応温度を−15℃に保持し、かつ反応圧力を2MPaに保ちながら、DHDCPD/エタノール/n−ヘプタン=59.3g(0.44モル)/14.2g(0.31モル)/40.1g(0.40モル)の組成の原料液をオートクレープ上部より供給し、カルボニル化とエステル化を同時に行った。得られたサンプルを実施例1と同様の処理を行って分析したところ、TCDCE収率36.7%(DHDCPD基準)、Endo体/Exo体比=1.31の反応成績が得られた。
比較例2
カルボニル化の反応温度を10℃とした以外は、実施例1と同様の操作を行った。得られた油相を分析したところ、TCDCE収率49.8%(DHDCPD基準)、Endo体/Exo体比=1.28の反応成績が得られた。
比較例3
カルボニル化の反応温度を50℃とした以外は実施例1と同様の操作でカルボニル化反応を行った。カルボニル化反応終了後、すぐに反応液温度を−10℃に下げ、エタノールをオートクレーブ上部より36.9g(0.80モル)供給して、攪拌下にて1時間エステル化を行った。
エステル化終了後、実施例1と同様の処理を行い分析したところ、TCDCE収率45.2%(DHDCPD基準)、Endo体/Exo体比=1.99の反応成績が得られた。
比較例4
カルボニル化反応後の反応液温度を75℃とし、その温度での保持時間を1時間とした以外は実施例1と同様の操作を行った。得られた油相を分析したところ、TCDCE収率48.0%(DHDCPD基準)、Endo体/Exo体比=2.50の反応成績が得られた。
比較例1〜4の方法でもEndo体/Exo体比が1.0以上のTCDCEを得ることができるが、いずれも実施例1に比べ収率が低い結果となった。
比較例5
カルボニル化反応後の反応液温度を35℃とした以外は実施例1と同様の操作を行った。得られた油相を分析したところ、TCDCE収率57.5%(DHDCPD基準)であったが、Endo体/Exo体比は0.67と低かった。
実施例2
異性化反応を圧力0.3MPaで行った以外は実施例1と同様な操作を行った。得られた油相を分析したところ、TCDCE収率53.0%(DHDCPD基準)、Endo体/Exo体比=1.30の反応成績が得られた。
実施例3
フッ化水素の使用量を96.0g(4.8モル)とした以外は実施例1と同様の操作を行った。得られた油相を分析したところ、TCDCE収率55.7%(DHDCPD基準)、Endo体/Exo体比=1.20の反応成績が得られた。
フッ化水素の使用量を減らしても高収率が得られた。
以上の結果を表1にまとめて示す。
Figure 2005089400
本発明の方法で得られたEndo体/Exo体比が1.0以上のTCDCEは、優れた香気性を有し、香料又は香料成分として好適に用いられる。

Claims (3)

  1. HFの存在下、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカ−3−エンを一酸化炭素及びアルコールと反応させて、エキソ−トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−エンド−2−カルボン酸エステル/エンド−トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−エキソ−2−カルボン酸エステルの構成比が1.0以上のトリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−2−カルボン酸エステルを製造するに際し、(a)HFの存在下、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカ−3−エンと一酸化炭素を反応温度20℃以上40℃未満の条件下で反応させてトリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−2−カルボン酸フロライドを製造する工程、(b)上記(a)工程で得られたトリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−2−カルボン酸フロライドのHF溶液を40〜70℃の条件下で保液することにより異性化反応を行う工程、及び(c)上記(b)工程で得られた異性化後のトリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−2−カルボン酸フロライドとアルコールを反応させてエステルを製造する工程を実施することを特徴とする高純度トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−2−カルボン酸エステルの製造方法。
  2. (a)工程を、HF/トリシクロ[5.2.1.02,6]デカ−3−エンモル比4〜12の条件で実施する請求項1記載の方法。
  3. (b)工程を、1〜3MPaの一酸化炭素加圧下で実施する請求項1又は2記載の方法。

JP2003327579A 2003-09-19 2003-09-19 高純度トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−2−カルボン酸エステルの製造方法 Expired - Lifetime JP4275498B2 (ja)

Priority Applications (4)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003327579A JP4275498B2 (ja) 2003-09-19 2003-09-19 高純度トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−2−カルボン酸エステルの製造方法
DE602004008002T DE602004008002T2 (de) 2003-09-19 2004-09-14 Herstellungsverfahren für hochreines tricyclo-(5.2.1.0 2,6)dekan-2-Carboxylsäureester
EP04104426A EP1522537B1 (en) 2003-09-19 2004-09-14 Production process for high purity tricyclo-¬5. 2.1.0 2,6|decane-2-carboxylic acid ester
US10/942,880 US7253300B2 (en) 2003-09-19 2004-09-17 Production process for high purity tricyclo-[5.2.1.02,6]decane-2-carboxylic acid ester

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003327579A JP4275498B2 (ja) 2003-09-19 2003-09-19 高純度トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−2−カルボン酸エステルの製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2005089400A true JP2005089400A (ja) 2005-04-07
JP4275498B2 JP4275498B2 (ja) 2009-06-10

Family

ID=34457413

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2003327579A Expired - Lifetime JP4275498B2 (ja) 2003-09-19 2003-09-19 高純度トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−2−カルボン酸エステルの製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4275498B2 (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006248957A (ja) * 2005-03-10 2006-09-21 Mitsubishi Gas Chem Co Inc トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−2−カルボン酸エステルの製造法
JP2006248958A (ja) * 2005-03-10 2006-09-21 Mitsubishi Gas Chem Co Inc エキソ−トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−エンド−2−カルボン酸の製造方法
JP2010116343A (ja) * 2008-11-12 2010-05-27 Mitsubishi Gas Chemical Co Inc 新規ナフトール化合物とその製造方法
WO2019159906A1 (ja) * 2018-02-16 2019-08-22 三菱瓦斯化学株式会社 トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン-2-カルボン酸エステルの製造方法

Cited By (11)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006248957A (ja) * 2005-03-10 2006-09-21 Mitsubishi Gas Chem Co Inc トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−2−カルボン酸エステルの製造法
JP2006248958A (ja) * 2005-03-10 2006-09-21 Mitsubishi Gas Chem Co Inc エキソ−トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−エンド−2−カルボン酸の製造方法
JP2010116343A (ja) * 2008-11-12 2010-05-27 Mitsubishi Gas Chemical Co Inc 新規ナフトール化合物とその製造方法
WO2019159906A1 (ja) * 2018-02-16 2019-08-22 三菱瓦斯化学株式会社 トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン-2-カルボン酸エステルの製造方法
CN111655664A (zh) * 2018-02-16 2020-09-11 三菱瓦斯化学株式会社 三环[5.2.1.02,6]癸烷-2-羧酸酯的制造方法
KR20200121807A (ko) * 2018-02-16 2020-10-26 미쯔비시 가스 케미칼 컴파니, 인코포레이티드 트리시클로[5.2.1.02,6]데칸-2-카르본산에스테르의 제조방법
JPWO2019159906A1 (ja) * 2018-02-16 2021-01-28 三菱瓦斯化学株式会社 トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−2−カルボン酸エステルの製造方法
US11225453B2 (en) 2018-02-16 2022-01-18 Mitsubishi Gas Chemical Company, Inc. Method for producing tricyclo[5.2.1.02,6]decane-2-carboxylate
JP7245450B2 (ja) 2018-02-16 2023-03-24 三菱瓦斯化学株式会社 トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン-2-カルボン酸エステルの製造方法
CN111655664B (zh) * 2018-02-16 2023-03-28 三菱瓦斯化学株式会社 三环[5.2.1.02,6]癸烷-2-羧酸酯的制造方法
KR102627716B1 (ko) 2018-02-16 2024-01-23 미쯔비시 가스 케미칼 컴파니, 인코포레이티드 트리시클로[5.2.1.02,6]데칸-2-카르본산에스테르의 제조방법

Also Published As

Publication number Publication date
JP4275498B2 (ja) 2009-06-10

Similar Documents

Publication Publication Date Title
RU2530880C2 (ru) Способ получения алициклического спирта
WO2014061570A1 (ja) 新規脂環式ジオール化合物、及びその製造方法
JP4275498B2 (ja) 高純度トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−2−カルボン酸エステルの製造方法
KR20140023879A (ko) 신규 지환식 알코올
WO2012090976A1 (ja) 新規脂環式アルコール
JP4429673B2 (ja) 高純度トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−2−カルボン酸エステルの製造方法
JP4725136B2 (ja) トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−2−カルボン酸エステルの製造法
JP2005089399A (ja) トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−2−カルボン酸エステルの製造方法
JPH01193246A (ja) 2,3―ジクロロピリジンの製造法
JP2680069B2 (ja) トリシクロデカンカルボン酸エステルの製造法
JP4725137B2 (ja) エキソ−トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−エンド−2−カルボン酸の製造方法
JP7245450B2 (ja) トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン-2-カルボン酸エステルの製造方法
JPS6140658B2 (ja)
JP3238894B2 (ja) メタクリル酸メチルの製造方法
US7253300B2 (en) Production process for high purity tricyclo-[5.2.1.02,6]decane-2-carboxylic acid ester
AU776101B2 (en) Production method of 2-cyclohexyl-2-hydroxy-2-phenylacetic acid intermediate therefor and production method thereof
JP2009184945A (ja) 光学活性1−(2−トリフルオロメチルフェニル)エタノールの精製方法
JPH02131449A (ja) 6―ヒドロキシカプロン酸エステルの製造方法
FR2701945A1 (fr) Procédé de carbonylation des buténols allyliques et de leurs esters.
JP2006062975A (ja) 9,10−ジヒドロフェナンスレンの製造方法
JP2005089401A (ja) 精製トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−2−カルボン酸エチルエステルの製造方法
JP2003246762A (ja) シクロペンテノロン類の精製方法
JP2010116343A (ja) 新規ナフトール化合物とその製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20060627

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20090224

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20090304

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 4275498

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120313

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120313

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130313

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140313

Year of fee payment: 5

EXPY Cancellation because of completion of term