JP4429673B2 - 高純度トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−2−カルボン酸エステルの製造方法 - Google Patents

高純度トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−2−カルボン酸エステルの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、不飽和結合を有した不純物エステルの含有量が少なく、優れた香気を有し、香料又は香料成分として有用な高純度のトリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−2−カルボン酸エステルを効率よく製造する方法に関する。
モノオレフィン類よりカルボン酸エステルを製造する方法としては、コッホ反応により強酸中でオレフィン類の一酸化炭素によるカルボニル化を行い、これにより得られたカルボン酸を酸触媒中でエステル化する方法が知られている。
トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−2−カルボン酸のエステル(以下、TCDCEと称することがある。)を製造する場合には、一般に、ジシクロペンタジエン(以下、DCPDと称することがある。)を水素化して得られるトリシクロ[5.2.1.02,6]デカ−3−エン(ジヒドロジシクロペンタジエン、以下、DHDCPDと称することがある。)を、硫酸等の強酸中で一酸化炭素及び水と反応させてトリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−2−カルボン酸(以下、TCDCと称することがある。)とし、これをエステル化する方法が採られる。
しかしながら、シクロオレフィン類は、カルボニル化反応において重合し易く、TCDCを高い収率で得ることができない。このため、TCDCを高収率で得る方法として、DCPDとギ酸を反応させた後水添して得られるトリシクロ[5.2.1.02,6]デク−8−イルホルメートと無機強酸性触媒を接触させながら反応させる方法が開示されている(例えば、特許文献1参照)。ところがこのカルボン酸合成方法では、硫酸、HF等の強酸を大量に消費するために経済的とは言えない。
次にTCDCを香料として利用するためにはエステル化を行う必要がある。一般に、三級カルボン酸のエステル化は困難であり、特にTCDCの場合には立体障害の影響が大きい。このため、TCDCから酸ハライドを導いた後に、アルコールと反応させてエステル化する方法が開示されているが(例えば、特許文献2参照)、この方法は高価なハロゲン化剤を大量に使用するので経済的な方法とは言えない。またTCDCにエステル化剤として硫酸ジアルキルを作用させてエステル化を行っているが(例えば、特許文献2、特許文献3参照)、これら硫酸ジアルキルは高価である上、反応により生成する水により分解を起こすという問題がある。
これらの問題点を解決する方法として、例えば下記のスキーム1に示したルートにより、HF中でDHDCPDと一酸化炭素及びアルコールを反応させ、カルボニル化反応とエステル化反応を同時に起こすことにより高収率にTCDCEを得る方法が開示されている(例えば、特許文献4参照)。
Figure 0004429673
この方法は、カルボン酸を分離することなく、in situにエステルを得ることができ、しかもHF触媒の回収も容易なことから工業的に実施する上で有望な方法であるが、本発明者らがさらに詳細に検討を行ったところ、この方法で得られるエステル中には少量の不飽和エステルが不純物として混入することが分かった。この不飽和エステルは、常法により水素化すれば製品エステルに変換することが可能なこと、及び分子量が製品エステルより2だけ小さいことから、TCDCEの脂環基中に二重結合を1つ有するものである(以下、不飽和体と称する)。これはTCDCEと沸点が近く、蒸留で分離することが困難であり、また製品の香料としての製品価値も下げてしまうものである。TCDCEを香料として用いるには、該不飽和体を1質量%以下とすることが望まれている。得られた製品を二次的に水素化処理すれば実質的にゼロとすることができるが、この場合には僅かの不純物を除去するために水素化工程を別途必要とするという問題点がある。
また、このTCDCEには下記のスキーム2に示したようにエキソートリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−エンド−2−カルボン酸エステル/エンドートリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−エキソ−2−カルボン酸エステルの構造異性体が存在し、それぞれ若干異なった香りを有する(以下、エステル基に着目し、エキソートリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−エンド−2−カルボン酸エステルをEndo体、エンド−トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−エキソ−2−カルボン酸エステルをExo体と称することがある。)。
Figure 0004429673
前記特許文献2には、TCDCEのEndo体はレモン様の、果実様の、木様の(Citrus−Fruity−Woody)香りを持ち、Exo体は、新鮮な木様の、土様の(Fresh−Wood−Earthy)香りを有すること、ならびにエチルエステル体が最も香りが強く好ましいと記載されている。
TCDCEを香料として用いる場合には、Endo体/Exo体の比が1.0以上であることが特に望まれているが、上記文献中には、この異性体比の制御方法に関しては精密蒸留で分けることができるとされているのみで、反応条件による制御方法に関しては何の知見も開示されていない。精密蒸留でこれらエステル混合物を分ける方法では、不要留分の有効利用が図られない限り経済的な方法とは言えない。
また、反応条件による制御ではなく、原料のDHDCPDの異性体比をエキソ−DHDCPD/エンド−DHDCPD比として8/92以上とすることにより、エキソ−トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−エンド−2−カルボン酸エステル(Endo体)含有量を高められることが開示されている(例えば、特許文献5参照)。しかしながら、このようなDHDCPDを得るためにはエキソ含有量の高いDCPDを入手する必要があるが、一般に入手可能なDCPD中のエキソ体/エンド体比はせいぜい0.5/99.5であり、エキソ体含有量の高いDCPDの入手は困難である。このため、反応条件による構造異性体の有効な制御法が望まれていた。
特公昭61−40658号公報 特公昭61−1014号公報 特公昭62−53499号公報 特許第2680069号公報 特開平9−194433号公報
本発明は、このような状況下で、不飽和結合を有した不純物エステル(不飽和体)の含有量が少なく、優れた香気を有し、香料又は香料成分として有用な高純度のトリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−2−カルボン酸エステルを効率よく製造する方法を提供することを目的とするものである。
本発明者らは、HF触媒を用いてDHDCPDと一酸化炭素及びアルコールからTCDCEを製造する方法において、不飽和結合を有した不純物エステルの生成抑制方法について鋭意検討を行った結果、上記特許文献4記載の方法のようにカルボニル化とエステル化を同時に起こす方法では、反応後半に系内に生成したエステルや未反応アルコールのためにHFの酸強度が低下することにより、カルボニル化反応速度が低下してDHDCPDの不均化反応が併発し、この不均化反応により生成したDCPDがカルボニル化・エステル化されて不飽和結合を有したエステルが生成してしまうことが原因であることを明らかにした。
以上の知見から、カルボニル化とエステル化の工程を分離することにより十分な酸強度を維持し、そのことによりすばやくカルボニル化を進めることができることから、不均化生成物を抑制でき、その結果、不飽和結合を有した不純物エステルの生成量を減らすことができることを見出した。
また製品のEndo/Exo異性体比は、カルボニル化反応時に決定され、この際に反応条件を最適範囲で実施することが、Endo体/Exo体の構成比が1.0以上のTCDCEを高収率に得る上で重要な要件であることを見出した。
本発明は、かかる知見に基づいて完成したものである。
すなわち、本発明は、
(1)HFの存在下、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカ−3−エンを一酸化炭素及びアルコールと反応させてトリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−2−カルボン酸エステルを製造する方法であって、(a)トリシクロ[5.2.1.02,6]デカ−3−エンと一酸化炭素HFの存在下、HF/トリシクロ[5.2.1.0 2,6 ]デカ−3−エンのモル比2.5〜25及び反応温度40〜100℃の条件で反応させてアシルフロライドを製造する工程と、(b)上記工程で得られたアシルフロライドとアルコールHFの存在下で反応させてエステルを製造する工程とを別々に実施することにより、トリシクロ[5.2.1.0 2,6 ]デカン−2−カルボン酸エステルの脂環基中に二重結合を1つ有する不純物エステルの含有量が1質量%以下であり、かつ、エキソ−トリシクロ[5.2.1.0 2,6 ]デカン−エンド−2−カルボン酸エステル/エンド−トリシクロ[5.2.1.0 2,6 ]デカン−エキソ−2−カルボン酸エステルの構成比が1.0以上であるトリシクロ[5.2.1.0 2,6 ]デカン−2−カルボン酸エステルを製造することを特徴とするトリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−2−カルボン酸エステルの製造方
提供するものである。
本発明の方法によりトリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−2−カルボン酸エステルを製造すれば、製品とは分離困難な不飽和結合を有したエステルの副生を抑制しうるので、従来必要であった水素化処理を省略することができる。
また、香料又は香料成分として特に有用なEndo/Exo異性体比が1.0以上の製品をカルボニル化の条件を選択することで高収率に得ることができるので、本発明の方法は工業的に極めて有利である。
本発明の方法において、原料として用いられるトリシクロ[5.2.1.02,6]デカ−3−エン(DHDCPD)は、その由来については特に制限はなく、いかなる方法により得られたものであってもよいが、通常DCPDを常法に従って水素化することにより、調製される。
本発明の方法においては、(a)前記のDHDCPDを原料として用い、カルボニル化反応によりアシルフロライドを製造する工程と、(b)上記(a)工程で得られたアシルフロライドからエステルを製造する工程が、別々に実施される。
前記(a)工程におけるDHDCPDのカルボニル反応は、HF触媒の存在下で一酸化炭素加圧下に実施される。この際、一酸化炭素中には窒素やメタン等の不活性ガスが含まれていてもよい。一酸化炭素分圧については特に限定されないが、通常0.5〜5MPa程度である。一酸化炭素分圧が上記範囲にあると、カルボニル化反応が十分に進行し、不均化や重合などの副反応が抑制されると共に、製品TCDCE中への不飽和体の混入を抑制することができ、また、あまり大きな設備費を必要としない。好ましい一酸化炭素分圧は1〜3MPaの範囲である。
この際、HF触媒としては、実質的に無水のものが好ましく用いられる。HFの使用量は、カルボニル化反応が十分に進行し、かつ不均化や重合などの副反応を抑制し、製品TCDCE中への不飽和体の混入を抑制しうると共に、HFの分離費用や装置容積効率などの点から、原料DHDCPDに対して、通常3〜25倍モル、好ましくは5〜15倍モルの範囲で選定される。
反応の形式については特に制限はなく、半連続式、連続式などのいずれであってもよい。
本発明の方法においては、Endo体/Exo体比が1.0以上のTCDCEを高収率で得るためには、カルボニル化の反応温度は特に重要である。
HF触媒を用いたカルボニル化反応は、通常−30〜20℃付近で実施される場合が多いことから、この範囲で反応温度の異性体構成比に及ぼす影響を詳細に検討した結果、低温ほど高Endo体/Exo体比を与え、Endo体/Exo体比1.0付近の異性体比を得ようとすると−20℃以下の低温条件が必要であることが分かった。しかし、この条件ではカルボニル化の反応収率が著しく低く、高沸点の生成物が多量に副生してしまい工業的に実施するには困難な方法であることが判明した。
そこで更に鋭意検討を行ったところ、40℃以上の高温条件にすると極めて容易にEndo体/Exo体比1.0以上のアシルフロライドが得られ、しかもより高温条件ほど高いEndo体/Exo体比を与えるという予想しなかった結果が得られた。更にこの条件範囲では、前述の低温条件に比べて高収率でアシルフロライドが得られることを見出した。
すなわち、本発明においてカルボニル化反応は、40〜90℃の範囲の温度で実施するのが有利である。この範囲の温度でカルボニル化反応を実施することにより、Endo体/Exo体比1.0以上のアシルフロライドを得ることができると共に、重合などの副反応を抑えることができる。好ましい反応温度は40〜70℃の範囲で選定される。
本発明においては、原料DHDCPDを溶解する能力を有し、かつDHDCPD及びHFに対して不活性な反応溶媒、例えばヘキサン、ヘプタン、デカン等の飽和脂肪族炭化水素類を使用してもよい。この場合には更に重合反応が抑制され収率が向上するが、大量の溶媒を使用すると反応の容積効率の低下、分離に要するエネルギー原単位の悪化を招くので、使用の有無・使用量は適宣選択される。
このようにしてカルボニル化反応で生成したアシルフロライドは、次の(b)工程において、アルコールと反応させて、TCDCEに誘導される。
この際アシルフロライドを一旦分離した後、再度HF触媒下にアルコールとエステル化してもよいが、通常は、HF触媒が入ったままのカルボニル化反応液をそのままアルコールと反応させTCDCEを製造する方法が採られる。この際、カルボニル化反応液に所定量のアルコールを注加することが好ましく、アルコール中にカルボニル化反応液を注加する方法では過剰のアルコール中にHFが共存するので水を生成する危険性が高い。本系内で水が生成すると腐食性が著しく増大しプロセス上の障害を招く。
この(b)工程において使用されるアルコールとしては、炭素数1、2又は3の低級アルコール、すなわちメタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノールが、好ましく用いられる。
このエステル化反応は、生成したエステルの分解抑制や、添加したアルコールの脱水反応による水の副生の抑制などの面から、通常20℃以下、好ましくは−20〜10℃の範囲の温度で実施される。
このようにして得られたエステル化生成物からHFを留去したのち、蒸留などの常法に従い精製することにより、不飽和体の含有量が少ない高純度のTCDCEを得ることができる。また、反応条件を選択することにより、Endo体/Exo体比が1.0以上のTCDCEを得ることができる。
次に、本発明を実施例により、更に詳細に説明するが、本発明は、これらの例によってなんら限定されるものではない。
調製例1
市販の高純度DCPDをCu−Cr水添触媒を用い、水素圧2MPa、反応温度90℃で水素の吸収が認められなくなるまで約5時間反応させた。反応液は濾過によりCu−Cr水添触媒を取り除き、次いで蒸留により精製し、原料であるDHDCPDを得た。(純度98.5%)
参考例1
ナックドライブ式攪拌機と上部に3個の入口ノズル、底部に1個の抜き出しノズルを備え、ジャケットにより内部温度を制御できる内容積500mlのステンレス製オートクレーブを用いて実験を行った。
まずオートクレーブ内部を一酸化炭素で置換した後、フッ化水素150g(7.5モル)を導入し0℃に冷却し、一酸化炭素で2MPaまで加圧した。反応温度を0℃に保持し、かつ反応圧力を2MPaに保ちながら、DHDCPD101g(0.75モル)を溶解させたn−ヘプタン溶液126gをオートクレーブ上部より供給しカルボニル化によりアシルフロライドを合成した。DHDCPD供給終了後、一酸化炭素の吸収が認められなくなるまで約10分間攪拌を継続した。この時の一酸化炭素の吸収量は0.39モルであった。
次に、反応温度を0℃に保ちながら、エタノールをオートクレーブ上部より34.5g(0.75モル)供給して、攪拌下にて1時間エステル化を行った。
反応液をオートクレーブ底部より氷水中に抜き出し油相と水相を分離した後、油相を2質量%水酸化ナトリウム水溶液100mlで2回、蒸留水100mlで2回洗浄し、無水硫酸ナトリウム10gで脱水した。得られた液を内部標準法によりガスクロマトグラフィーで分析した。その結果TCDCE収率51.2%(DHDCPD基準)、Endo体/Exo体比=0.69の反応成績が得られ、不飽和体は0.5質量%含まれていた。
比較例1
DHDCPD/エタノール/n−ヘプタン=1/0.7/0.75(質量比)(モル比:1/2/0.3)の組成の原料液を用いて、反応温度0℃、一酸化炭素圧力2MPaでカルボニル化とエステル化を同時に行った。得られたサンプルを参考例1と同様の前処理を行って分析したところ、TCDCE収率43.5%(DHDCPD基準)、Endo体/Exo体比=0.70の反応成績が得られ、不飽和体は5.80質量%含まれていた。参考例1に比べ、不飽和体の生成が顕著であった。
実施例
参考例1において、カルボニル化の温度を0℃から45℃に変更した以外は、参考例1と同様な操作を行った。
その結果、TCDCE収率51.0%、Endo体/Exo体比=1.56の反応成績が得られ、不飽和体は0.01質量%含まれていた。
比較例2
比較例1において、反応温度を0℃から45℃に変更した以外は、比較例1と同様な操作を行った。
その結果、TCDCE収率50.1%、Endo体/Exo体比=0.59の反応成績が得られ、不飽和体は0.61質量%含まれていた。
この比較例2では、実施例とほぼ同じ収率が得られたが、Endo体/Exo体比が0.59であり、実施例に比べてはるかに低かった。
実施例
参考例1において、カルボニル化の温度を0℃から40℃に変更した以外は、参考例1と同様な操作を行った。
その結果、TCDCE収率54.5%、Endo体/Exo体比=1.22の反応成積が得られ、不飽和体は0.00質量%含まれていた。
参考
参考例1において、カルボニル化の温度を0℃から−25℃に変更した以外は、参考例1と同様な操作を行った。
その結果、TCDCE収率35.0%、Endo体/Exo体比=1.22の反応成積が得られ、不飽和体は2.6質量%含まれていた。
実施例
参考例1において、カルボニル化の温度を0℃から70℃に変更した以外は参考例1と同様な操作を行った。
その結果、TCDCE収率35.0%、Endo体/Exo体比=10.10の反応成積が得られ、不飽和体は0.02質量%含まれていた。
実施例
参考例1において、カルボニル化の温度を0℃から100℃に変更した以外は、参考例1と同様な操作を行った。
その結果、TCDCE収率20.0%、Endo体/Exo体比=24.00、不飽和体は0.02質量%含まれていた。
実施例
参考例1において、カルボニル化におけるHF/DHDCPDモル比を5、一酸化炭素分圧を4MPa、温度を70℃に変更した以外は、参考例1と同様な操作を行った。
その結果、TCDCE収率40.0%、Endo体/Exo体比=1.86の反応成積が得られ、不飽和体は0.02質量%含まれていた。
実施例
カルボニル化におけるHF/DHDCPDモル比を2.5に下げて実施例と同様の操作を行った。
その結果、TCDCE収率30.0%、Endo体/Exo体比=1.85、不飽和体は0.01質量%含まれていた。
本発明の方法によれば、不飽和体の含有量が少なく高純度であって、反応条件を選択することによりEndo体/Exo体比が1.0以上のTCDCEを効率よく得ることができる。このような性状を有するTCDCEは、優れた香気性を有し、香料又は香料成分として極めて有用である。

Claims (1)

  1. HFの存在下、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカ−3−エンを一酸化炭素及びアルコールと反応させてトリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−2−カルボン酸エステルを製造する方法であって、(a)トリシクロ[5.2.1.02,6]デカ−3−エンと一酸化炭素HFの存在下、HF/トリシクロ[5.2.1.0 2,6 ]デカ−3−エンのモル比2.5〜25及び反応温度40〜100℃の条件で反応させてアシルフロライドを製造する工程と、(b)上記工程で得られたアシルフロライドとアルコールHFの存在下で反応させてエステルを製造する工程とを別々に実施することにより、トリシクロ[5.2.1.0 2,6 ]デカン−2−カルボン酸エステルの脂環基中に二重結合を1つ有する不純物エステルの含有量が1質量%以下であり、かつ、エキソ−トリシクロ[5.2.1.0 2,6 ]デカン−エンド−2−カルボン酸エステル/エンド−トリシクロ[5.2.1.0 2,6 ]デカン−エキソ−2−カルボン酸エステルの構成比が1.0以上であるトリシクロ[5.2.1.0 2,6 ]デカン−2−カルボン酸エステルを製造することを特徴とするトリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−2−カルボン酸エステルの製造方法。
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