JP5358974B2 - フッ素化1,3−ジオキソラン−2−オンの製造方法 - Google Patents

フッ素化1,3−ジオキソラン−2−オンの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、フッ素化1,3−ジオキソラン−2−オンの製造方法に関する。
4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オン(以下、「F−EC」ということもある)に代表されるフッ素化1,3−ジオキソラン−2−オン(以下、「フッ素化EC」ということもある)は、二次電池やキャパシタなどの電気化学デバイスに用いる電解液の溶媒として、充放電サイクル特性や電流効率などに優れる点から注目されている。たとえば、特許文献1には、この化合物を溶媒として用いたリチウムイオン二次電池が、フッ素置換されていない溶媒を用いた二次電池に比較して、充放電の効率が優れ、良好な充放電サイクル特性を示すことが開示されている。
このフッ素化ECの製造法としては、
(1)1,3−ジオキソラン−2−オンを出発物質とし、フッ素ガスで直接フッ素化する方法、
(2)フッ素化剤として、ほぼ等量の金属フッ化物を用いてハロゲン(Cl、BrまたはI)化1,3−ジオキソラン−2−オン(以下、「ハロゲン化EC」ということもあるが、これには目的物である「フッ素化EC」は含まれない。以下同様)のハロゲン原子(Cl、BrまたはI)をフッ素原子で置換する方法
が知られている(特許文献2〜4)。
特許文献2では、4−クロロ−1,3−ジオキソラン−2−オン(以下、「Cl−EC」ということもある)とフッ化カリウムとを混ぜて反応させてF−ECを収率70%で得たと記載されているが、反応溶媒や反応温度、反応時間といった基本的な条件の開示もない。
特許文献3、4では、1.2当量のフッ化カリウムを用いてCl−ECとフッ化カリウムとをアセトニトリル中で80〜85℃にて11時間かけて反応させ、出発物質のCl−ECを含むF−ECの粗生成物を収率87.5%で得ている(再結晶すると、粗生成物の85%でF−ECが採取できる)。
しかしこれらの特許文献2〜4に記載されているフッ素化ECの製造方法では、フッ化カリウムに代表される固形の金属フッ化物をフッ素化剤として用いる固液反応であり、反応速度を上げるためには表面積の大きな金属フッ化物が必要になり、また固形分を除去する工程が必要になる。
特開昭62−290072号公報 国際公開第98/15024号パンフレット 特開2007−8826号公報 特開2007−8825号公報
本発明は、ハロゲン化ECを出発物質とし、これをフッ素化剤でフッ素化する製造方法において、液−液反応で高収率を維持しながら短時間でフッ素化ECを製造できる製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、
有機溶媒中にて、式(1):
Figure 0005358974
(式中、X1、X2、X3およびX4は同じかまたは異なり、いずれもH、CH3、Cl、Br、IまたはCR3(Rの少なくとも1つはCl、BrまたはIであり、残りはHである)である。ただし、X1〜X4の少なくとも1つはCl、Br、IまたはCR3である)
で示される1,3−ジオキソラン−2−オン誘導体にアミンのフッ酸付加塩を反応させるフッ素化工程(A)を含むフッ素化1,3−ジオキソラン−2−オンの製造方法に関する。
アミンのフッ酸付加塩におけるアミンに対するフッ酸のモル比nが1〜10であることが、反応性が高い点から好ましい。
また、前記式(1)の1,3−ジオキソラン−2−オン誘導体におけるCl、Brおよび/またはI原子1モルに対するアミンのフッ酸付加塩のモル比mは、0.5〜4であることが、反応性が高い点から好ましい。
また、アミンのフッ酸付加塩としては、
式(2):
Figure 0005358974
(式中、R1、R2およびR3は同じかまたは異なり、いずれもHまたは炭素数1〜4のアルキル基;nは1〜10)、または
式(3):
Figure 0005358974
(式中、R4は−N=または−NH−を含む炭素数4〜5の含窒素芳香環;nは1〜10)
で示される化合物が、非プロトン性溶媒への溶解性が良好な点から好ましく、特に、置換反応の反応性が良好な点から式(2)および(3)において、nが1〜3、さらには1〜2の範囲の値である化合物が好ましい。
前記有機溶媒は、非プロトン性溶媒であることが、求核性が向上する点から好ましい。
前記有機溶媒は、ニトリル系溶媒、環状エーテル系溶媒、鎖状エーテル系溶媒、エステル系溶媒、鎖状カーボネート系溶媒、ケトン系溶媒またはアミド系溶媒であることが好ましい。
本発明の製造方法では、さらにフッ素化1,3−ジオキソラン−2−オンを精留する精留工程(B)を含むことが、高純度のフッ素化ECを得ることから好ましい。
またさらに、制酸剤で処理する工程(C)を含むことが、塩素根に代表されるハロゲン根を低減化できることから好ましい。
本発明によれば、ハロゲン化ECを出発物質とし、これをフッ素化剤でフッ素化する製造方法において、アミンのフッ酸付加塩をフッ素化剤として用いることにより、液−液反応で高収率を維持しながら短時間でフッ素化ECを製造することができる。
本発明のフッ素化ECの製造方法は、有機溶媒中にて、式(1)で示されるハロゲン化ECをフッ素化する工程(A)でハロゲン化ECをアミンのフッ酸付加塩と反応させる点に特徴がある。
出発物質であるハロゲン化ECは、式(1):
Figure 0005358974
(式中、X1、X2、X3およびX4は同じかまたは異なり、いずれもH、CH3、Cl、Br、IまたはCR3(Rの少なくとも1つはCl、BrまたはIであり、残りはHである)である。ただし、X1〜X4の少なくとも1つはCl、Br、IまたはCR3である)
で示される化合物である。
具体的には、つぎのものが例示できる。式中、Xは同じかまたは異なり、いずれもCl、BrまたはIである。
Figure 0005358974
Figure 0005358974
Xとしては、Clであることが大量に合成する場合Cl2を用いての塩素化ができ、安価に製造できる点から好ましい。
なかでも、つぎのものが化合物の安定性が良好な点から好ましい。
Figure 0005358974
Figure 0005358974
本発明においては、ハロゲン化ECをアミンのフッ酸付加塩でフッ素化する。したがって、固形物を使用しない点で固形物の除去処理などの工程が不要になる。
使用するアミンフッ酸付加塩は有機溶媒に可溶であることが、反応の均一性やスムーズさの点から好ましい。
フッ素化剤としてのアミンフッ酸付加塩としては、つぎの式(2)および(3)で示される化合物が、非プロトン性溶媒への溶解性が良好な点から好ましい。
式(2):
Figure 0005358974
(式中、R1、R2およびR3は同じかまたは異なり、いずれもHまたは炭素数1〜4のアルキル基;nは1〜10、好ましくは1〜5)
このアミンフッ酸付加塩(2)は、安価に製造できる点、nの値を選択して製造できる点から好ましい。
具体例としては、トリメチルアミンnフッ酸付加塩、トリエチルアミンnフッ酸付加塩、トリプロピルアミンnフッ酸付加塩、トリイソプロピルアミンnフッ酸付加塩、トリブチルアミンnフッ酸付加塩、トリイソブチルアミンnフッ酸付加塩、トリt−ブチルアミンnフッ酸付加塩、ジメチルアミンnフッ酸付加塩、ジエチルアミンnフッ酸付加塩、ジプロピルアミンnフッ酸付加塩、ジイソプロピルアミンnフッ酸付加塩、ジブチルアミンnフッ酸付加塩、ジイソブチルアミンnフッ酸付加塩、ジt−ブチルアミンnフッ酸付加塩、メチルアミンnフッ酸付加塩、エチルアミンnフッ酸付加塩、プロピルアミンnフッ酸付加塩、イソプロピルアミンnフッ酸付加塩、ブチルアミンnフッ酸付加塩、イソブチルアミンnフッ酸付加塩、t−ブチルアミンnフッ酸付加塩など(nは1〜10)があげられる。特に、還元反応性に優れる点からこれらの例示化合物でnが1〜3の範囲の化合物が好ましい。
式(3):
Figure 0005358974
(式中、R4は−N=または−NH−を含む炭素数4〜5の含窒素芳香環;nは1〜10、好ましくは1〜5)
このアミンフッ酸付加塩(3)は、式(2)の化合物よりも求核性が高い点から好ましい。
具体例としては、つぎのものがあげられる。
Figure 0005358974
これらのうち、特に好適なものとしては、反応性が高い点からnが1〜3の化合物である。
アミンのフッ酸付加塩におけるアミンに対するフッ酸のモル比nは特に制限されないが、1〜10であることが好ましい。nが1を下回ると目的とするフッ素化ECではなくビニレンカーボネートが生成することがあり、10を超えるとフッ素化の反応性が低下することがある。さらには、フッ素化反応性が高く、ハロゲン原子(Cl、Br、I)のフッ素置換の選択性が高い点から、nは1〜3の範囲、さらには1〜2.5の範囲の値が好ましい。
アミンのフッ酸付加塩におけるアミンに対するフッ酸のモル比n(以下、「フッ酸モル比n」ということもある)は、たとえばつぎの方法で調整することができる。
(i)nの異なる2種以上のアミンのフッ酸付加塩を混合する。
たとえば、n=3のアミンのフッ酸付加塩1モルとn=1のアミンのフッ酸付加塩1モルを混合してn=2[=(3×1+1×1)/2]のアミンのフッ酸付加塩とする。
(ii)アミンのフッ酸付加塩にアミンを加える。
たとえば、n=3のアミンのフッ酸付加塩1モルとアミン1モルを混合してn=1.5[=(3×1)/2]のアミンのフッ酸付加塩とする。
アミンフッ酸付加塩と併用するアミンとしては、アミンフッ酸付加塩を構成するアミンと同じでも異なっていてもよいが、フッ素化の反応性が高い点から同じものの方が好ましい。
併用するアミンの具体例としては、前記のアミンフッ酸付加塩で例示したアミン部分の化合物が同じく例示できる。
また、アミンフッ酸付加塩とアミンとの混合は、アミンフッ酸付加塩とアミンとを予め混合した後に反応系に加えてもよいし、いずれか一方を反応系に加えた後他方を加えてもよい。特に、アミンフッ酸付加塩とアミンを有機溶媒に溶解してからハロゲン化ECを加えて反応を開始するのが、副生成物ができる割合が低くなる点から好ましい。
(iii)アミンにフッ酸を混合する量を調整する。
たとえば有機溶剤にアミン1モルを溶解させた溶液にフッ酸2モルを混合してn=2のアミンのフッ酸付加塩をその場で調製する。
本発明の反応工程におけるハロゲン化ECとアミンフッ酸付加塩との反応は、有機溶媒中で行う。水が存在すると反応性が低下するので、実質的に無水の状態で行うことが望ましい。
出発物質のハロゲン化EC中のハロゲン原子のフッ酸によるアミン共存下でのフッ素化反応は等モル比で進む。ただ、ハロゲン化ECとアミンフッ酸付加塩のアミンとのモル比m(以下、「アミンモル比m」ということもある)も、フッ素化反応に影響を与える。これは、アミンとハロゲン化ECとのモル比がある範囲にあるときに、ハロゲン化ECのハロゲン原子(Cl、Br、I)がフッ酸によるフッ素化反応を受けやすいように活性化されるからである。
アミンモル比mとしては、0.5〜4であることが、ハロゲン化ECの反応活性が良好な点から好ましい。さらには1.0以上、好ましくは1.5以上、より好ましくは2.0以上、さらに好ましくは2.1以上使用する。アミンモル比mの上限はとくに制限はないが、経済的理由から4程度である。
有機溶媒としては、たとえばニトロメタン、ニトロベンゼン、クロロホルム、ジクロロメタン、トルエンなどのほか、任意の有機溶媒が使用できる。なかでも非プロトン性有機溶媒が求核性が向上する点から好ましい。非プロトン性有機溶媒としては、ニトリル系溶媒、環状エーテル系溶媒、鎖状エーテル系溶媒、エステル系溶媒、鎖状カーボネート系溶媒、ケトン系溶媒またはアミド系溶媒があげられる。これらは単独で、または2種以上併用してもよい。
ニトリル系溶媒としては、アセトニトリル、ベンゾニトリル;環状エーテル系用バイトしては、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサンなど;鎖状エーテル系溶媒としては、ジグライム、トリグライムなど;エステル系溶媒としては、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、γ−ブチロラクトンなど;鎖状カーボネート系溶媒としては、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネートなど;ケトン系溶媒としては、メチルエチルケトン、アセトン、メチルイソブチルケトン;アミド系溶媒としては、ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドンなどがあげられる。
特に、反応後、水洗処理を行う場合、非水溶性の溶媒が好ましく、この点から、たとえば酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、メチルエチルケトン、アセトン、メチルイソブチルケトンが好ましい。
有機溶媒中の出発物質のハロゲン化ECの濃度としては、広い範囲が採用できるが、5重量%以上、さらには20重量%以上であることが反応を制御しやすい点から好ましい。上限は60重量%、さらには50重量%が好ましい。
反応温度は、扱いやすさの点から30℃以上、さらには50℃以上が好ましい。また上限は使用する有機溶媒の沸点である。
反応は、従来の製造法における反応より早く進み、同等の収率では、従来の反応時間の1/2以下の時間で反応が完結する。収率も80〜85%と従来と同等かそれ以上である。
反応工程で得られた反応生成混合物は、必要に応じて中間処理工程を施した後、精留工程(B)により精製フッ素化ECが得られる。
ここで、精留工程(B)は、オルダーショー型カラム(多孔板型)、プレート型カラム(泡鐘型)などを用いて、蒸留温度は50〜200℃が好ましい。
中間処理工程としては、本発明の製造方法を通して反応系に存在するハロゲン根を制酸剤と接触させて除去するための制酸剤処理工程(C)、精留工程(B)の前に有機溶媒を留去するための有機溶媒除去工程(D)、制酸剤をろ過して除去するための固形分除去工程(E)、生成フッ素化ECを精留する前に洗浄するための洗浄工程(F)などがあげられる。これらの工程は任意であるが、適宜、フッ素化工程(A)と精留工程(B)の前後または最中に実施することができる。
これらのうち制酸剤処理工程(C)は、制酸剤により反応系に存在するハロゲン根を除去する工程であり、たとえば非水電解液用の溶媒としてフッ素化ECを用いる場合の障害になるハロゲン根を高効率で除去できることから、工程(A)の前、工程(A)中、工程(A)の後、工程(B)の前、工程(B)中および工程(B)の後において、制酸剤で処理する工程(C)を少なくとも1回行うことが好ましい。
制酸剤処理により、ハロゲン根を高効率で除去でき、最終製品(精製F−EC)に残存するハロゲン根を10ppm以下、さらに1ppm以下、特に0.1ppm以下に減ずることができる。
本発明において、「ハロゲン根」とは、フッ素化反応において副生する塩化水素(HCl)や塩素(Cl2)、さらには出発原料のハロゲン化EC中に不純物として存在するハロゲンイオン(Cl-、Br-、I-)など;アミンフッ酸付加塩に由来するフッ素イオン(F-)やフッ素(F2)、フッ化水素(HF)などのフッ素根;フッ素化反応の副生物である不純物由来のフッ素イオン(F-)などをいう。なお、ハロゲン根には未反応のハロゲン化ECおよび目的物であるフッ素化ECは含まれない。
制酸剤としては、ハロゲン根を吸着反応する機能を有する化合物などが有効である。
ハロゲン根を吸着する機能を有する化合物としては、金属化合物、無機多孔質物質などを例示できる。金属化合物としては、好ましくは、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の酸化物、水酸化物、カルボン酸塩、炭酸塩、炭酸水素塩、珪酸塩、リン酸塩、亜リン酸塩、ホウ酸塩等;周期律表IVa族金属の酸化物、塩基性カルボン酸塩、塩基性炭酸塩、塩基性硫酸塩、三塩基性硫酸塩、塩基性亜リン酸塩などを用いることができる。このような金属化合物の具体例としては、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化バリウム、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素リチウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸バリウム、珪酸カルシウム、酢酸カリウム、酢酸カルシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、亜リン酸カルシウム、酸化鉄、酸化スズ、鉛丹、鉛白、二塩基性フタル酸鉛、二塩基性炭酸鉛、水酸化アルミニウムなどが例示できる。また、無機多孔質物質としては、たとえば、シリカ、天然ゼオライト、合成ゼオライト、アルミナ、モレキュラーシーブ(3A、4A、5A、13Xなど)、各種ハイドロタルサイト、市販の各種多孔質制酸剤などを用いることができる。市販の多孔質制酸剤としては、非晶質性シリカ・アルミナゲルよりなる無機多孔質体(品川化成(株)製のセカード。商品名)、アルミニウムおよび鉄を含む水和物多孔質体(水澤化学(株)製のアルフェマイト。商品名)などを例示できる。
これらの制酸剤は単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明においては、特にフッ素化ECの分解を抑制できる点で、アルカリ土類金属の酸化物、アルカリ土類金属の炭酸水素塩、アルカリ土類金属のリン酸塩、アルカリ土類金属のカルボン酸塩、アルカリ金属の炭酸水素塩、アルカリ金属のリン酸塩、アルカリ金属のカルボン酸塩、ケイ素酸化物、アルミニウム酸化物、ケイ素アルミニウム複合酸化物、またはこれらの2種以上などの求核性が低い制酸剤が好ましい。
特に好ましい制酸剤は、リン酸三ナトリウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、炭酸水素カリウムのほか、制酸性の多孔質物質、さらにはケイ素酸化物、アルミニウム酸化物、ケイ素アルミニウム複合酸化物、またはこれらの2種以上の多孔質物質であることが好ましい。
制酸剤処理工程(C)は、つぎの(1)〜(6)の段階、具体的には工程(A)の前、工程(A)中、工程(A)の後、工程(B)の前、工程(B)中および工程(B)の後の少なくとも1つの段階で行う。
(1)フッ素化工程(A)の前:
すなわち出発原料であるハロゲン化ECを制酸剤で処理する。出発原料であるハロゲン化ECには、合成の過程で生ずる塩素根(Cl-、HCl、Cl2など)が存在するので、これらのハロゲン根を除去する。
(2)フッ素化工程(A)中:
フッ素化工程(A)中では、出発原料中の塩素根に加えて、フッ素化剤(フッ素ガス、フッ酸、MFなど)に由来するフッ素(F2)、フッ化水素(HF)、フッ素イオン(F-)などのほか、フッ素化反応の副生物である不純物由来のフッ素イオンなどが存在するので、これらのハロゲン根を除去する。
(3)フッ素化工程(A)の後:
フッ素化工程(A)で得られる反応生成物中には、上記(2)と同様なハロゲン根が存在するので、これらのハロゲン根を除去する。
(4)精留工程(B)の前:
フッ素化工程(A)で得られた反応生成物に対して精留工程(B)の前に、有機溶媒の除去(蒸留)や、既に制酸剤処理が少なくとも1回行われていた場合は制酸剤の除去(ろ過)処理が行われることがある。
精留工程(B)の前では、後述する有機溶媒除去工程(D)や固形分の除去工程(E)を行うか否かによって濃度は若干異なるものの、上記(3)と同様のハロゲン根が存在するので、これらのハロゲン根を除去する。なお、上記のとおり、蒸留(精留)では、塩素根(Cl-、HCl、Cl2など)やフッ素根(F-、HF、F2など)は除去しにくい。
(5)精留工程(B)中:
精留工程(B)中では、不純物が分解して生ずるハロゲン根が存在するので、これらのハロゲン根を除去する。
(6)精留工程(B)の後:
精留工程(B)の後には、精留による加熱や減圧により蒸発または留去されるもの以外のハロゲン根が存在するので、これらのハロゲン根を除去する。
本発明においては、これらの(1)〜(6)の段階の少なくとも1つの段階で、制酸剤処理を施すことを特徴とする。ただ、精留工程(B)の後に制酸剤処理を施すと、不純物が混入する恐れがあるので、できるだけ(1)〜(5)の段階で制酸剤処理することが望ましい。
制酸剤処理は、(I)出発原料、反応生成液、有機溶媒除去後の残渣、精留後の留分に制酸剤を添加して充分に混合する方法;(II)出発原料、反応生成液、有機溶媒除去後の残渣、精留後の留分を制酸剤が充填されたカラムを通す方法;さらには(III)工程(B)の前または精留中に行う場合は、蒸留および/または精留カラムに制酸剤を充填する方法などが例示できる。これらの場合における処理温度は、通常、室温〜130℃程度、好ましくは室温〜100℃程度とすればよい。また、たとえば制酸剤として非晶質性シリカ・アルミナゲルを用いる場合には、40〜100℃程度とすることが好ましい。処理温度が高すぎると、出発物質のハロゲン化ECや目的物であるフッ素化ECの分解を引き起こすことがある。処理時間は、通常、3〜5時間程度とすればよい。特に望ましい方法としては、スケールアップをしやすい点から(III)の方法である。
制酸剤の使用量は、処理対象となるハロゲン化ECまたはフッ素化ECの種類、使用する制酸剤の種類、ハロゲン根の残存量、ポリフルオロ化合物の含有量などの諸条件によって異なるので、一概に規定できないが、通常、ハロゲン化ECまたはフッ素化ECの100質量部に対して1〜50質量部程度とすることが好ましく、1〜10質量部程度とすることが、コスト面で有利な点から、より好ましい。
制酸剤処理工程(C)は、フッ素化工程の際の反応速度を向上させる点で有利なことから、フッ素化工程(A)の前、すなわち出発原料(ハロゲン化EC)を事前に処理することが好ましい。
また、フッ素化工程(A)の後でかつ精留工程(B)の前に制酸剤処理工程(C)を行うことが、ハロゲン根を最少に抑えることができることから好ましい。
またさらに、精留工程(B)中に(すなわち同時に)制酸剤処理工程(C)を行うことが、スケールアップをしやすいことから好ましい。
かくして得られるF−ECは高純度(99%以上、さらには99.5%以上)であり、ハロゲン根などの不純物の含有量は1ppm未満に低減化されている。その結果、経時的な着色も生じず、電解液の溶媒としても阻害要因が除かれたものになっている。
なお、ハロゲン根などの不純物の除去の程度が目標に達していない(着色しているなど)場合、制酸剤処理工程(C)および精留工程(B)を繰り返して施してもよい。
有機溶媒除去工程(D)では、たとえば、ロータリーエバポレーターなどを用いて、70〜90℃でろ液から有機溶媒を留去し、粗F−ECを得る。
本発明においては、固形分除去工程(E)は制酸剤処理工程(C)を行った場合に必要な工程であり、従来のフッ素化剤として金属フッ化物を使用する方法における反応工程で生成する固形物をろ去するろ過工程とは異なる。本発明ではアミンのフッ酸付加塩が有機溶媒に溶解するので、フッ素化反応後のろ過処理は不要である。
また、洗浄工程(F)では、たとえば、純水、超純水などを用いて、0〜50℃で洗浄する。
つぎに実施例をあげて本発明の製造法を説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
以下の実施例で使用した分析方法はつぎのものである。
(1)NMR
装置:BRUKER製のAC−300
測定条件:
19F−NMR:282MHz(トリフルオロメチルベンゼン=−62.3ppm)
(2)ガスクロマトグラフィ(GC)
装置:島津製作所製のGC−17A
カラム:DB624(J&Wサイエンティフィック社製)
測定条件:100℃→5分間保持→10℃/分で昇温→230℃
(3)ガスクロマトグラフィ/質量分析(GC/MS)
装置:PERKIN ELMER社製のClaus500
測定条件:100℃→5分間保持→10℃/分で昇温→230℃
実施例1(式(2)のアミンフッ酸付加塩を用いたフッ素化反応)
リフラックスコンデンサーを備えた30mlの3口フラスコにトリエチルアミン3フッ酸付加塩(3.2g:19.6mmol)、トリエチルアミン(1.3g:12.8mmol)、酢酸エチル(5ml)およびアセトニトリル(1ml)を加えた(フッ酸モル比n=1.8)。これに4−クロロ−1,3−ジオキソラン−2−オン(Cl−EC。2.0g:16.3mmol。アミンモル比m=2)を仕込み、反応温度80℃で1時間かけてフッ素化反応を行なった。
得られた有機層をガスクロマトグラフィ(GC)、ガスクロマトグラフィ/質量分析(GC/MS)および19F−NMRで分析したところ、Cl−ECの転化率は99%であり、4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オン(F-EC)が選択率75%で生成していた。
実施例2〜14
実施例1において、トリエチルアミン3フッ酸付加塩とトリエチルアミンの量、有機溶媒の種類と量、反応温度、反応時間を表1に示すように変更した以外は実施例1と同様にしてF−ECの製造を行い、得られた有機層をガスクロマトグラフィ(GC)、ガスクロマトグラフィ/質量分析(GC/MS)および19F−NMRで分析して、Cl−ECの転化率とF−ECの選択率を調べた。結果を表1に示す。
実施例15
実施例1において、トリエチルアミンを使用しなかったほかは実施例1と同様にしてF−ECの製造を行い、得られた有機層をガスクロマトグラフィ(GC)、ガスクロマトグラフィ/質量分析(GC/MS)および19F−NMRで分析して、Cl−ECの転化率とF−ECの選択率を調べた。結果を表1に示す。
Figure 0005358974
表1から、フッ素化の反応性が特に高い条件は、フッ酸のモル比nが1.0〜2.5、さらには1.0〜2.0であることが分かる。
実施例16〜21
実施例1において、使用する反応物質の量を10倍にスケールアップし、またトリエチルアミン3フッ酸付加塩とトリエチルアミンの量比を表2に示すとおりに変更したほかは実施例1と同様にしてF−ECの製造を行い、得られた有機層をガスクロマトグラフィ(GC)、ガスクロマトグラフィ/質量分析(GC/MS)および19F−NMRで分析して、Cl−ECの転化率とF−ECの選択率を調べた。結果を表2に示す。
Figure 0005358974
表2から、フッ酸モル比nが1.0〜1.5程度が転化率および選択率のいずれにおいても良好であり、また、トリエチルアミン3フッ酸付加塩の使用量を低減できることが分かる。
実施例22
トリエチルアミン3フッ酸付加塩に代えて、イソプロピルアミン1フッ酸付加塩を1.5g(20.1mmol)用い、トリエチルアミンを使用しなかったほかは実施例1と同様にフッ素化反応を実施した(フッ酸モル比n=1.0。アミンモル比m=1.2)。
得られた有機層をガスクロマトグラフィ(GC)、ガスクロマトグラフィ/質量分析(GC/MS)および19F−NMRで分析したところ、Cl−ECの転化率は90%であり、F−ECが選択率80%で生成していた。
実施例23
トリエチルアミン3フッ酸付加塩に代えて、ピリジン1フッ酸付加塩を1.99g(20.1mmol)用い、トリエチルアミンを使用しなかったほかは実施例1と同様にフッ素化反応を実施した(フッ酸モル比n=1.0。アミンモル比m=1.2)。
得られた有機層をガスクロマトグラフィ(GC)、ガスクロマトグラフィ/質量分析(GC/MS)および19F−NMRで分析したところ、Cl−ECの転化率は85%であり、F−ECが選択率80%で生成していた。
実施例24
リフラックスコンデンサーを備えた30mlの3口フラスコにトリエチルアミン3フッ酸付加塩(2.3g:14.3mmol)、酢酸エチル(10ml)、トリエチルアミン(2.51g:24.78mmol)を加えた(フッ酸モル比n=1.1)。これに4,5−ジメチル−4,5−ジクロロ−1,3−ジオキソラン−2−オン(3.00g:16.3mmol。アミンモル比m=2.4)を仕込み、反応温度80℃で1時間かけてフッ素化反応を行なった後、重炭酸水素ナトリウムを用いて中和した。
酢酸エチルにより抽出し、得られた有機層をガスクロマトグラフィ(GC)、ガスクロマトグラフィ/質量分析(GC/MS)および19F−NMRで分析したところ、4,5−ジメチル−4,5−ジクロロ−1,3−ジオキソラン−2−オンの転化率は90%であり、4,5−ジメチル−4,5−ジフルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オンが選択率82%で生成していた。
比較例1(フッ化カリウム使用)
撹拌装置を備えた3Lのガラス製3口フラスコの上部に還流管を取り付け、スプレードライのフッ化カリウム355g(6.12mol)を加え真空下で攪拌しながらフレームドライにより水分を除去した。その後シリンジを用いてアセトニトリル1.3L、制酸剤処理されたCl−EC500g(4.08mol)を加えて攪拌した。反応温度85℃で6時間かけてフッ素化反応を行なった後、重炭酸水素ナトリウムを用いて中和した。
酢酸エチルにより抽出し、得られた有機層をガスクロマトグラフィ(GC)、ガスクロマトグラフィ/質量分析(GC/MS)および19F−NMRで分析したところ、Cl−ECの転化率は80%であり、F−ECが選択率70%で生成していた。
実施例25
実施例20において、使用する反応物質を25倍にスケールアップし、出発原料であるCl−ECについて、つぎの制酸剤処理工程(C)および固形分除去工程(E)を事前に施した。
制酸剤処理工程(C)
出発原料であるCl−ECに非晶質性シリカ・アルミナゲル(品川化成(株)製のセカードKW。中性シリカゲル。商品名)100gを加えて室温下で2時間撹拌した。
固形物除去工程(E)
その後、制酸剤(非晶質性シリカ・アルミナゲル)などをろ過した。
制酸剤処理されたCl−ECを用いたほかは実施例20と同様にしてF−EC含有有機層を得た。
得られた有機層をガスクロマトグラフィ(GC)、ガスクロマトグラフィ/質量分析(GC/MS)および19F−NMRで分析したところ、Cl−ECの転化率は99%であり、F−ECが選択率90%で生成していた。
ついで得られた有機層をつぎの工程に供した。
有機溶媒除去工程(D)
得られたろ液からエバポレーターを用いて有機溶媒(酢酸エチル)を留去した。
精留工程(B)
残留物をリグリュー管を用いて精留に供し、74℃(1mmHg)の留分として無色透明なF−ECを収率65%、GC純度99.8%で得た。
ついで、得られた精製F−ECに関して以下の試験を行った。結果を表3に示す。
(着色の有無)
室温下で一日保管して着色の有無を目視で判定する。
○:着色が認められなかった。
×:着色が認められた。
(陰イオン分析)
装置として、(株)島津製作所製のイオンクロマトグラフィーHIC−20A SUPER(検出限界:1ppm)を用いて陰イオン(Cl-、F-、I-、NO2、NO3、PO4、SO4)の濃度を測定する。
(金属イオン分析)
装置として、セイコーインスツルメント(株)製の発光分光分析装置SPS3000 ICP(検出限界:10ppb)を用いて金属イオン(Al、Fe、Ca、K、Mg、Na、Ni、Zn)の濃度を測定する。
(pH測定)
装置として、リトマス試験紙を用いて精留後のF−ECのpHを調べる。
実施例26
実施例25のフッ素化工程(A)と同様にして得られた有機層をつぎの工程に供した。
制酸剤処理工程(C)
得られた有機層に非晶質性シリカ・アルミナゲル(品川化成(株)製のセカードKW。中性シリカゲル。商品名)100gを加えて室温下で2時間撹拌した。
固形物除去工程(E)
ついで制酸剤(非晶質性シリカ・アルミナゲル)などをろ過した。
有機溶媒除去工程(D)
得られたろ液からエバポレーターを用いて有機溶媒(酢酸エチル)を留去した。
精留工程(B)
残留物をリグリュー管を用いて精留に供し、74℃(1mmHg)の留分として無色透明なF−ECを収率64%、GC純度99.7%で得た。
この精製F−ECについて、実施例23と同様にして、着色の有無、陰イオン分析、金属イオン分析およびpH測定を行った。結果を表3に示す。
実施例27
実施例25のフッ素化工程(A)と同様にして得られた有機層をつぎの工程に供した。
有機溶媒除去工程(D)
得られた反応生成液からエバポレーターを用いて有機溶媒(酢酸エチル)を留去した。
精留工程(B)+制酸剤処理工程(C)
非晶質性シリカ・アルミナゲル(品川化成(株)製のセカードKW。中性シリカゲル。商品名)が充填された蒸留塔を用いて残留物を精留に供し、74℃(1mmHg)の留分として無色透明なF−ECを収率65%、GC純度99.8%で得た。
この精製F−ECについて、実施例23と同様にして、着色の有無、陰イオン分析、金属イオン分析およびpH測定を行った。結果を表3に示す。
実施例28
実施例25のフッ素化工程(A)と同様にして得られた有機層をつぎの工程に供した。
有機溶媒除去工程(D)
得られた反応生成液からエバポレーターを用いて有機溶媒(酢酸エチル)を留去した。
精留工程(B)
残留物をリグリュー管を用いて精留に供し、74℃(1mmHg)の留分として無色透明なF−ECを得た。
制酸剤処理工程(C)
得られたF−EC留分に非晶質性シリカ・アルミナゲル100gを添加し、室温下に2時間攪拌した。
固形物除去工程(E)
得られた制酸剤処理F−ECから、ろ過により非晶質性シリカ・アルミナゲルを除去し、精製F−ECを収率70%、GC純度99.8%で得た。
この精製F−ECについて、実施例23と同様にして、着色の有無、陰イオン分析、金属イオン分析およびpH測定を行った。結果を表3に示す。
参考例1
実施例25で得られた有機層について、制酸剤処理工程および固形分除去工程を実施しなかったほかは実施例28と同様にして有機溶媒除去工程および精留工程を行って精製F−ECを収率50%、GC純度99.5%で得た。
この精製F−ECについて、実施例25と同様にして、着色の有無、陰イオン分析、金属イオン分析およびpH測定を行った。結果を表3に示す。
Figure 0005358974
表3から分かるように、制酸剤処理を行うことにより、着色が生じず、ハロゲン根が低減化され、金属イオンの含有量も少なくなる。

Claims (8)

  1. 有機溶媒中にて、式(1):
    Figure 0005358974
    (式中、X、X、XおよびXは同じかまたは異なり、いずれもH、CH、Cl、Br、IまたはCR(Rの少なくとも1つはCl、BrまたはIであり、残りはHである)である。ただし、X〜Xの少なくとも1つはCl、Br、IまたはCRである)
    で示される1,3−ジオキソラン−2−オン誘導体にアミンのフッ酸付加塩を反応させるフッ素化工程(A)を含み、
    前記アミンのフッ酸付加塩におけるアミンに対するフッ酸のモル比nが1.0〜2.5である
    フッ素化1,3−ジオキソラン−2−オンの製造方法。
  2. 前記式(1)の1,3−ジオキソラン−2−オン誘導体におけるCl、Brおよび/またはI原子1モルに対するアミンのフッ酸付加塩のモル比mが0.5〜4である請求項記載の製造方法。
  3. アミンフッ酸付加塩が、
    式(2):
    Figure 0005358974
    (式中、R、RおよびRは同じかまたは異なり、いずれもHまたは炭素数1〜4のアルキル基;nは1〜10)、または
    式(3):
    Figure 0005358974
    (式中、Rは−N=または−NH−を含む炭素数4〜5の含窒素芳香環;nは1〜10)
    で示される化合物である請求項1又は2記載の製造方法。
  4. 式(2)および(3)において、nが1〜3の範囲の値である請求項記載の製造方法。
  5. 有機溶媒が、非プロトン性溶媒である請求項1〜のいずれかに記載の製造方法。
  6. 有機溶媒が、ニトリル系溶媒、環状エーテル系溶媒、鎖状エーテル系溶媒、エステル系溶媒、鎖状カーボネート系溶媒、ケトン系溶媒またはアミド系溶媒である請求項1〜のいずれかに記載の製造方法。
  7. フッ素化1,3−ジオキソラン−2−オンを精留する精留工程(B)を含む請求項1〜のいずれかに記載の製造方法。
  8. 制酸剤で処理する工程(C)を含むことを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の製造方法。
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