以下、本発明の一実施形態を図1〜図12に基づいて説明する。図1には、本発明の一実施形態に係る画像形成装置としてのレーザプリンタ1000の概略構成が示されている。
このレーザプリンタ1000は、光走査装置1010、感光体ドラム1030、帯電チャージャ1031、現像ローラ1032、転写チャージャ1033、除電ユニット1034、クリーニングユニット1035、トナーカートリッジ1036、給紙コロ1037、給紙トレイ1038、レジストローラ対1039、定着ローラ1041、排紙ローラ1042、排紙トレイ1043、通信制御装置1050、及び上記各部を統括的に制御するプリンタ制御装置1060などを備えている。なお、これらは、プリンタ筐体1044の中の所定位置に収容されている。
通信制御装置1050は、ネットワークなどを介した上位機器(例えば、パソコン)との双方向の通信を制御する。
感光体ドラム1030は、円柱状の部材であり、その表面には感光層が形成されている。すなわち、感光体ドラム1030の表面が被走査面である。そして、感光体ドラム1030は、図1における矢印方向に回転するようになっている。
帯電チャージャ1031、現像ローラ1032、転写チャージャ1033、除電ユニット1034及びクリーニングユニット1035は、それぞれ感光体ドラム1030の表面近傍に配置されている。そして、感光体ドラム1030の回転方向に沿って、帯電チャージャ1031→現像ローラ1032→転写チャージャ1033→除電ユニット1034→クリーニングユニット1035の順に配置されている。
帯電チャージャ1031は、感光体ドラム1030の表面を均一に帯電させる。
光走査装置1010は、帯電チャージャ1031で帯電された感光体ドラム1030の表面に、上位装置からの画像情報に基づいて変調された光束を照射する。これにより、感光体ドラム1030の表面では、画像情報に対応した潜像が感光体ドラム1030の表面に形成される。ここで形成された潜像は、感光体ドラム1030の回転に伴って現像ローラ1032の方向に移動する。なお、この光走査装置1010の構成については後述する。
トナーカートリッジ1036にはトナーが格納されており、該トナーは現像ローラ1032に供給される。
現像ローラ1032は、感光体ドラム1030の表面に形成された潜像にトナーカートリッジ1036から供給されたトナーを付着させて画像情報を顕像化させる。ここでトナーが付着した潜像(以下では、便宜上「トナー像」ともいう)は、感光体ドラム1030の回転に伴って転写チャージャ1033の方向に移動する。
給紙トレイ1038には記録紙1040が格納されている。この給紙トレイ1038の近傍には給紙コロ1037が配置されており、該給紙コロ1037は、記録紙1040を給紙トレイ1038から1枚づつ取り出し、レジストローラ対1039に搬送する。該レジストローラ対1039は、給紙コロ1037によって取り出された記録紙1040を一旦保持するとともに、該記録紙1040を感光体ドラム1030の回転に合わせて感光体ドラム1030と転写チャージャ1033との間隙に向けて送り出す。
転写チャージャ1033には、感光体ドラム1030の表面上のトナーを電気的に記録紙1040に引きつけるために、トナーとは逆極性の電圧が印加されている。この電圧により、感光体ドラム1030の表面のトナー像が記録紙1040に転写される。ここで転写された記録紙1040は、定着ローラ1041に送られる。
この定着ローラ1041では、熱と圧力とが記録紙1040に加えられ、これによってトナーが記録紙1040上に定着される。ここで定着された記録紙1040は、排紙ローラ1042を介して排紙トレイ1043に送られ、排紙トレイ1043上に順次スタックされる。
除電ユニット1034は、感光体ドラム1030の表面を除電する。
クリーニングユニット1035は、感光体ドラム1030の表面に残ったトナー(残留トナー)を除去する。残留トナーが除去された感光体ドラム1030の表面は、再度帯電チャージャ1031に対向する位置に戻る。
次に、前記光走査装置1010の構成について説明する。
この光走査装置1010は、一例として図2に示されるように、偏向器側走査レンズ11a、像面側走査レンズ11b、ポリゴンミラー13、光源14、カップリングレンズ15、液晶偏向素子16、シリンドリカルレンズ17、反射ミラー12、前方同期検知センサ18F、APC受光器20、ビーム検知センサ21、走査制御装置22(図2では図示省略、図11参照)、開口板23、結像レンズ24、及びフォトダイオード25などを備えている。なお、本明細書では、XYZ3次元直交座標系において、感光体ドラム1030の長手方向に沿った方向をY軸方向、各走査レンズ(11a、11b)の光軸に沿った方向をX軸方向として説明する。
ところで、感光体ドラム1030の表面において、光走査装置1010によってY軸方向に光走査される領域は、走査領域と呼ばれている(図3参照)。そして、走査領域内であって、画像情報が書き込まれる領域は、画像領域と呼ばれている(図3参照)。なお、本実施形態では、走査領域内であって、画像領域よりも先に走査される領域を、便宜上「前走査領域」といい、走査領域内であって、画像領域よりも後に走査される領域を、便宜上「後走査領域」という。
ここでは、前方同期検知センサ18F及びAPC受光器20は、上記「前走査領域」に配置され、ビーム検知センサ21は、上記「後走査領域」に配置されている。
また、APC受光器20は、前方同期検知センサ18Fよりも画像領域に近い位置に配置されている。
光源14は、一例として図4に示されるように、40個の発光部が2次元的に配列されて1つの基板上に形成された2次元アレイ100を有している。図4におけるM方向は主走査方向に対応する方向(ここでは、Y軸方向と同じ)であり、S方向は副走査方向に対応する方向(ここでは、Z軸方向と同じ)である。また、T方向はM方向からS方向に向かって傾斜角α(0°<α<90°)をなす方向である。
この2次元アレイ100は、T方向に沿って10個の発光部が等間隔に配置された発光部列を4列有している。そして、これら4列の発光部列は、すべての発光部をS方向に伸びる仮想線上に正射影したときに等間隔となるように、S方向に等間隔に配置されている。
また、各発光部は、780nm帯の垂直共振器型の面発光レーザ(Vertical Cavity Surface Emitting Laser:VCSEL)である。すなわち、2次元アレイ100は、40個の発光部を有する面発光レーザアレイである。
図2に戻り、カップリングレンズ15は、光源14から射出された光束を略平行光とする。
開口板23は、一例として図5(A)に示されるように、開口部を有し、カップリングレンズ15を介した光束のビーム径を規定する。この開口板23は、光束の最も光強度の大きい部分が開口部のほぼ中央を通るように配置されている。また、開口板23の開口部の周囲は、反射部材でできている。
そして、開口板23は、一例として図5(B)に示されるように、開口部の周囲の反射部材で反射された光束をモニタ用光束として利用するため、カップリングレンズ15を介した光束の進行方向に垂直な仮想面に対して傾斜して配置されている。すなわち、開口板23は、光源14から射出された光束のうち、光強度の大きい中央部分(図6ではFs)を通過させ、光強度の小さい外周部分(図6ではFm)をモニタ用光束として反射(分離)する。なお、以下では、便宜上、開口板23で反射されたモニタ用光束の進行方向を「Q方向」とする。
ここでは、開口板23の開口部は、図5(A)及び図5(B)に示されるように、副走査方向に対応する方向(ここでは、Z軸方向)に関する長さD2は1.28mmであり、主走査方向に対応する方向(ここでは、Y軸方向)に関する長さD1は5.8mmである。なお、図5(B)は、開口部の中心を通るXY断面図である。
図2に戻り、液晶偏向素子16は、開口板23の開口部を通過した光束の光路上に配置され、印加電圧に応じて、入射光を副走査方向に対応する方向(ここでは、Z軸方向)に関して偏向することができる。
シリンドリカルレンズ17は、液晶偏向素子16を介した光束を、反射ミラー12を介してポリゴンミラー13の偏向反射面近傍に副走査方向に対応する方向(ここでは、Z軸方向)に関して結像する。
光源14とポリゴンミラー13との間の光路上に配置される光学系は、偏向器前光学系とも呼ばれている。本実施形態では、偏向器前光学系は、カップリングレンズ15と開口板23と液晶偏向素子16とシリンドリカルレンズ17と反射ミラー12とから構成されている。
ポリゴンミラー13は、一例として内接円の半径が7mmの4面鏡を有し、各鏡がそれぞれ偏向反射面となる。このポリゴンミラー13は、副走査方向に対応する方向(ここでは、Z軸方向)に平行な軸の周りを等速回転しながら、反射ミラー12からの光束を偏向する。
偏向器側走査レンズ11aは、ポリゴンミラー13で偏向された光束の光路上に配置されている。
像面側走査レンズ11bは、偏向器側走査レンズ11aを介した光束の光路上に配置されている。そして、この像面側走査レンズ11bを介した光束が、感光体ドラム1030の表面に照射され、光スポットが形成される。この光スポットは、ポリゴンミラー13の回転に伴って感光体ドラム1030の長手方向に移動する。すなわち、感光体ドラム1030上を走査する。このときの光スポットの移動方向が「主走査方向」である。
ポリゴンミラー13と感光体ドラム1030との間の光路上に配置される光学系は、走査光学系とも呼ばれている。本実施形態では、走査光学系は、偏向器側走査レンズ11aと像面側走査レンズ11bから構成されている。
開口板23で反射された光束は、結像レンズ24を介してフォトダイオード25で受光される。フォトダイオード25は、受光量に応じた信号(光電変換信号)を出力する。フォトダイオード25の出力信号は、APC制御に用いられる信号であり、以下では、便宜上、「光量モニタ信号」ともいう。
また、ポリゴンミラー13で偏向され、走査光学系を介した光束のうち、前記「前走査領域」に向かう光束の一部は、前方同期検知センサ18F及びAPC受光器20に入射する。
ここでは、前方同期検知センサ18F及びAPC受光器20は、一例として図7に示されるように、同一パッケージPk内に収容されている。また、このパッケージPk内には、比較器(cmp)18c、比較器(cmp)20c、遅延回路20d、サンプルホールド回路(S/H)20e、及びアンプ(amp)20fも収容されている。
前方同期検知センサ18Fは、部分受光素子18aと部分受光素子18bとからなる2分割受光素子を有している。部分受光素子18aの出力信号と部分受光素子18bの出力信号は、比較器18cで比較され、その結果が、同期検知用信号としてパッケージPkの端子c1から出力される。
APC受光器20は、部分受光素子20aと部分受光素子20bとからなる2分割受光素子を有している。部分受光素子20aの出力信号と部分受光素子20bの出力信号は、比較器20cで比較され、その結果が遅延回路20dに入力される。また、部分受光素子20bの出力信号は、サンプルホールド回路20eに入力され、遅延回路20dの出力信号をサンプリング信号としてサンプルホールドされる。サンプルホールド回路20eの出力信号は、アンプ20fで増幅された後、モニタ補正用信号としてパッケージPkの端子c2から出力される。
図8には、APC受光器20の各部分受光素子(20a、20b)の出力信号、比較器20cの出力信号、遅延回路20dの出力信号、及びサンプルホールド回路20eの出力信号のタイミングチャートが例示されている。
また、ポリゴンミラー13で偏向され、走査光学系を介した光束のうち、前記「後走査領域」に向かう光束の一部は、ビーム検知センサ21に入射する。
ビーム検知センサ21は、一例として図9に示されるように、2つの受光部(第1受光部211、第2受光部212)を有する受光素子、該受光素子からの受光量に応じた信号(光電変換信号)を増幅するアンプ(AMP)213、該アンプ213の出力信号レベルと予め設定されている基準レベルVsとを比較し、その比較結果を出力する比較器(CMP)214を有している。この比較器214の出力信号は走査制御装置22に供給される。
各受光部(211、212)は、副走査方向の位置によって主走査方向の互いの間隔が異なっている。
第1受光部211は、一例として長方形状の受光部であり、長手方向が副走査方向と一致するように配置されている。すなわち、光束が通過する2辺が主走査方向に対して直交している。
第2受光部212は、一例として平行四辺形状の受光部であり、第1受光部211の+Y側に配置されている。そして、第2受光部212の長手方向は、受光面内において第1受光部211の長手方向に対して角度θ(0<θ<90°)だけ傾斜している。すなわち、光束が通過する2辺が主走査方向及び副走査方向に対して傾斜している。
アンプ213では、入力信号の増幅及び反転が行われる。従って、各受光部(211、212)の受光量が多いほど、アンプ213の出力信号レベルは低くなる。
前記基準レベルVsは、光束が各受光部(211、212)で受光されたときのアンプ213の出力信号レベル(最低値)よりも若干高いレベルに設定されている。そこで、各受光部(211、212)のいずれかが光束を受光したときに、比較器214での判断結果が変化し、それに応じて比較器214の出力信号が変化する。
ビーム検知センサ21は、感光体ドラム1030の表面における光束の入射位置が、設計上の位置のときに、光束が、各受光部(211、212)のほぼ中央を通過するように調整されている(図10(A)参照)。そして、このときに、光束が第1受光部211で検知されてから第2受光部212で検知されるまでの時間は、基準時間Tsとして予め得られている(図10(B)参照)。なお、便宜上、このときのビーム検知センサ21における光束の入射位置の移動経路、すなわち設計上の移動経路を「経路A」とする。
ところで、環境温度の変化等により、感光体ドラム1030に向かう光束の光路が設計上の光路に対して副走査方向に対応する方向(ここでは、Z軸方向)にずれることがある。この場合には、一例として図10(C)に示されるように、ビーム検知センサ21における光束の入射位置の移動経路も、経路Aに対して副走査方向にずれる。なお、便宜上、このときの移動経路を経路Bとする。
そして、このときの移動経路のずれ量Δh(図10(C)参照)は、次の(1)式から求めることができる。ここで、ΔTは、比較器214の出力信号における立下りから次の立下りまでの時間Tと前記基準時間Tsとの差であり(図10(D)参照)、Vは光束の移動速度(走査速度)である。このずれ量Δhは、感光体ドラム1030に向かう光束の光路の設計上の光路に対する副走査方向のずれ量と相関関係がある。
Δh=(V/tanθ)×ΔT ……(1)
また、第1受光部211が光束を受光したときの、比較器214の出力信号における立下りタイミングは、副走査方向における光束の入射位置の影響を受けない(図10(B)及び図10(D)参照)。そこで、第1受光部211が光束を受光したときの、比較器214の出力信号における立下りから走査終了のタイミングを求めることができる。
走査制御装置22は、一例として図11に示されるように、CPU210、フラッシュメモリ211、RAM212、液晶素子駆動回路213、IF(インターフェース)214、画素クロック生成回路215、画像処理回路216、フレームメモリ217、ラインバッファ2181〜21840、書込制御回路219、及び光源駆動回路221などを有している。なお、図11における矢印は、代表的な信号や情報の流れを示すものであり、各ブロックの接続関係の全てを表すものではない。
IF(インターフェース)214は、プリンタ制御装置1060との双方向の通信を制御する通信インターフェースである。上位装置からの画像データは、このIF(インターフェース)214を介して供給される。
画素クロック生成回路215は、画素クロック信号を生成する。
フレームメモリ217には、CPU210によってラスター展開された画像データ(以下、便宜上「ラスターデータ」と略述する)が一時的に格納される。
画像処理回路216は、フレームメモリ217に格納されているラスターデータを読み出し、所定の中間調処理などを行った後、発光部毎のドットデータを作成し、発光部それぞれに対応したラインバッファ2181〜21840へ出力する。
書込制御回路219は、前記同期検知用信号に基づいて走査開始のタイミングを求める。そして、走査開始のタイミングに合わせて、ラインバッファ2181〜21840から各発光部のドットデータを読み出し、画素クロック生成回路215からの画素クロック信号に重畳させるとともに、発光部毎にそれぞれ独立した変調データを生成する。
光源駆動回路221は、書込制御回路219からの変調データに応じて2次元アレイ100の各発光部を駆動する。
ここでは、光源駆動回路221は、一例として図12に示されるように、駆動信号を補正する駆動信号補正回路221Aを備えている。この駆動信号補正回路221Aは、調整回路221a、オペアンプ221b、V−I変換回路221c、ゲイン設定回路221d、及びI−V変換回路221eを有している。
I−V変換回路221eは、フォトダイオード25からの電流信号を電圧信号に変換する。
ゲイン設定回路221dは、CPU210からの指示に応じてゲインを設定する。
調整回路221aは、ゲイン設定回路221dで設定されたゲインで駆動信号を調整する。
オペアンプ221bは、I−V変換回路221eの出力信号と調整回路221aの出力信号との差が0となるような信号を出力する。
V−I変換回路221cは、オペアンプ221bの電圧信号を電流信号に変換する。このV−I変換回路221cの出力信号が発光部に出力される。
フラッシュメモリ211には、CPU210にて解読可能なコードで記述された各種プログラム及び各種データが格納されている。
RAM212は、作業用のメモリである。
CPU210は、フラッシュメモリ211に格納されているプログラムに従って動作し、光走査装置1010の全体を制御する。
例えば、CPU210は、走査毎にモニタ補正用信号を積算し、所定の走査回数N(例えば、10回)になると、モニタ補正用信号の積算値を平均化し、該平均値に基づいて、ゲイン設定回路221dにおいてゲインを設定するための信号を生成する。ここで生成された信号はゲイン設定回路221dに出力される。すなわち、N回の走査毎に、調整回路221aでのゲインが設定される。なお、ゲインは、発光部毎に設定される。
従って、駆動信号は、フォトダイオード25の出力信号とAPC受光器20の出力信号とに基づいて制御されることとなる。
また、CPU210は、所定のタイミング毎に、ビーム検知センサ21の出力信号に基づいて、前記ずれ量Δhを求め、感光体ドラム1030の表面での光束の副走査方向に関する位置ずれ量(以下、便宜上「副走査ずれ量」と略述する)がほぼ0となるように、液晶偏向素子16の印加電圧を決定する。なお、副走査ずれ量と印加電圧との関係は予め求められ、フラッシュメモリ211に格納されている。
液晶素子駆動回路213は、CPU210で決定された印加電圧を液晶偏向素子16に印加する。
また、CPU210は、ビーム検知センサ21の出力信号に基づいて走査終了のタイミングを求め、該走査終了のタイミングと同期検知用信号とに基づいて、走査長を補正しても良い。
以上のように、本実施形態に係る光走査装置1010は、光源14と、光源14から射出された光束の最も光強度の大きい部分がそのほぼ中央を通る開口部を有し、該開口部の周囲に入射した光束を反射する開口板16と、該開口板16で反射された光束を受光するフォトダイオード25と、開口板16の開口部を通過した光束を偏向するポリゴンミラー13と、該ポリゴンミラー13で偏向された光束を感光体ドラム1030の表面上に集光する走査光学系と、ポリゴンミラー13で偏向され、「前走査領域」に向かう光束の一部を受光するAPC受光器20と、フォトダイオード25の出力信号とAPC受光器20の出力信号とに基づいて光源14の駆動信号を制御する走査制御装置22とを備えている。
なお、CPU210によるプログラムに従う処理の少なくとも一部をハードウェアによって構成することとしても良いし、あるいは全てをハードウェアによって構成することとしても良い。
以上説明したように、本実施形態に係る光走査装置1010によると、走査制御装置22は、フォトダイオード25の出力信号とAPC受光器20の出力信号とに基づいて光源14の駆動信号を制御している。これにより、光源14から射出される光束の発散角が変化しても、精度良く光源14の駆動信号を制御することができる。従って、従来よりも高精度のAPC制御を行うことが可能となる。そして、その結果、感光体ドラム1030の表面を安定して光走査することが可能となる。
また、本実施形態によると、APC受光器20は、「前走査領域」に配置されているため、「画像領域」に画像情報を書き込むときに近い状態で光量を検出することができる。これにより、APC制御の精度をさらに向上させることができる。
また、本実施形態によると、APC受光器20は、前方同期検知センサ18Fよりも画像領域に近い位置に配置されている。これにより、画素クロックに同期した発光パターンの生成が容易となる。
また、本実施形態によると、ビーム検知センサ21の出力信号に基づいて、感光体ドラム1030の表面での光束の副走査ずれがほぼ0となるように、液晶偏向素子16の印加電圧が制御されている。これにより、APC受光器20及び前方同期検知センサ18Fでの受光位置は、常に同じ位置となり、安定したモニタ補正用信号及び同期検知用信号を得ることができる。
また、本実施形態によると、前方同期検知センサ18Fが「前走査領域」に配置され、ビーム検知センサ21が「後走査領域」に配置されているため、走査長を精度良く制御することが可能となる。すなわち、画素位置の精度を向上させることができる。
また、本実施形態によると、前方同期検知センサ18Fでの受光量が常にほぼ一定であるため、安定した同期検知用信号を得ることができる。
また、本実施形態によると、APC受光器20及び前方同期検知センサ18Fは、いずれも2分割受光素子を有しているため、小型でありながら高精度を実現することができる。
また、本実施形態によると、APC受光器20及び前方同期検知センサ18Fは、パッケージPk内に収容されているため、省スペース及び精度向上をさらに図ることができる。
また、本実施形態によると、光源14が面発光レーザアレイを有しているため、同時に複数の光束で走査することができる。
また、本実施形態に係るレーザプリンタ1000によると、感光体ドラム1030の表面を安定して光走査することができる光走査装置1010を備えているため、結果として、高品質の画像を形成することが可能となる。
また、本実施形態によると、光源14が面発光レーザアレイを有しているため、画像形成の高速化及び書込密度の高密度化が可能となる。
なお、上記実施形態では、2次元アレイ100が40個の発光部を有する場合について説明したが、これに限定されるものではない。
また、上記実施形態において、前記前方同期検知センサ18Fの2分割受光素子及び前記APC受光器20の2分割受光素子をそれぞれ単体の受光素子としても良い(図13及び図14参照)。
この場合には、比較器18cでは、前方同期検知センサ18Fの出力信号とAPC受光器20の出力信号とが比較され、その結果が、同期検知用信号としてパッケージPkの端子c1から出力される。また、比較器20cでは、前方同期検知センサ18Fの出力信号とAPC受光器20の出力信号とが比較され、その結果が遅延回路20dに入力される。そして、サンプルホールド回路20eでは、APC受光器20の出力信号が遅延回路20dの出力信号をサンプリング信号としてサンプルホールドされる。このサンプルホールド回路20eの出力信号は、アンプ20fで増幅された後、モニタ補正用信号としてパッケージPkの端子c2から出力される。
この場合であっても、上記実施形態と同様な同期検知用信号及びモニタ補正用信号を得ることができる。これにより、低コスト化及び小型化を図ることができる。
この場合において、一例として図15に示されるように、前方同期検知センサ18Fの出力信号を、同期検知用信号としてパッケージPkの端子c1から出力しても良い。同様に、APC受光器20の出力信号をモニタ補正用信号としてパッケージPkの端子c2から出力しても良い。
また、一例として図16及び図17に示されるように、前方同期検知センサ18Fの受光素子とAPC受光器20の受光素子を、共通の受光素子27としても良い。
ここでは、受光素子27の出力信号が、同期検知用信号としてパッケージPkの端子c1から出力される。また、比較器20cでは、受光素子27の出力信号とグランドレベルとが比較され、その結果が遅延回路20dに入力される。そして、サンプルホールド回路20eでは、受光素子27の出力信号が遅延回路20dの出力信号をサンプリング信号としてサンプルホールドされる。このサンプルホールド回路20eの出力信号は、アンプ20fで増幅された後、モニタ補正用信号としてパッケージPkの端子c2から出力される。これにより、小型化をさらに図ることができる。
この場合に、一例として図18に示されるように、受光素子27の出力信号をアンプ20fで増幅し、モニタ補正用信号としてパッケージPkの端子c2から出力しても良い。
また、この場合に、一例として図19に示されるように、受光素子27の出力信号をモニタ補正用信号としてパッケージPkの端子c2から出力しても良い。
また、上記実施形態において、一例として図20及び図21に示されるように、ビーム検知センサ21を「前走査領域」に配置しても良い。このとき、後方同期検知センサ18E及びAPC受光器20を「後走査領域」に配置しても良い。
また、上記実施形態において、一例として図22及び図23に示されるように、ビーム検知センサ21の前記各受光部(第1受光部211、第2受光部212)を、それぞれ2分割受光子としても良い。これにより、さらに小型で高精度を実現することができる。
また、上記実施形態において、一例として図24〜図27に示されるように、ビーム検知センサ21の前記第1受光部211及び前記第2受光部212が長方形及び平行四辺形以外の形状であっても良い。
また、上記実施形態において、副走査ずれを検出する手段が別に設けられている場合には、一例として図28〜図30に示されるように、前記ビーム検知センサ21がなくても良い。
図28には、前方同期検知センサ18FとAPC受光器20が「前走査領域」に配置される場合が図示されている。図29には、さらに後方同期検知センサ18Eが「後走査領域」に配置される場合が図示されている。また、図30には、前方同期検知センサ18Fが「前走査領域」に配置され、後方同期検知センサ18EとAPC受光器20が「後走査領域」に配置される場合が図示されている。
また、上記実施形態では、N回の走査毎にゲインが設定される場合について説明したが、これに限らず、走査毎に、直前のN回分のモニタ補正用信号の積算値を平均化し、該平均値に基づいて、ゲイン設定回路221dにおいてゲインを設定するための信号を生成しても良い。
また、上記実施形態では、画像形成装置としてレーザプリンタ1000の場合について説明したが、これに限定されるものではない。要するに、光走査装置1010を備えた画像形成装置であれば、高品質の画像を形成することができる。
例えば、レーザ光によって発色する媒体(例えば、用紙)に直接、レーザ光を照射する画像形成装置であっても良い。
また、像担持体として銀塩フィルムを用いた画像形成装置であっても良い。この場合には、光走査により銀塩フィルム上に潜像が形成され、この潜像は通常の銀塩写真プロセスにおける現像処理と同等の処理で可視化することができる。そして、通常の銀塩写真プロセスにおける焼付け処理と同等の処理で印画紙に転写することができる。このような画像形成装置は光製版装置や、CTスキャン画像等を描画する光描画装置として実施できる。
また、一例として図31に示されるように、複数の感光体ドラムを備えるカラープリンタ2000であっても良い。
このカラープリンタ2000は、4色(ブラック、シアン、マゼンタ、イエロー)を重ね合わせてフルカラーの画像を形成するタンデム方式の多色カラープリンタであり、ブラック用の「感光体ドラムK1、帯電装置K2、現像装置K4、クリーニングユニットK5、及び転写装置K6」と、シアン用の「感光体ドラムC1、帯電装置C2、現像装置C4、クリーニングユニットC5、及び転写装置C6」と、マゼンタ用の「感光体ドラムM1、帯電装置M2、現像装置M4、クリーニングユニットM5、及び転写装置M6」と、イエロー用の「感光体ドラムY1、帯電装置Y2、現像装置Y4、クリーニングユニットY5、及び転写装置Y6」と、光走査装置2010と、転写ベルト2080と、定着ユニット2030などを備えている。
各感光体ドラムは、図31中の矢印の方向に回転し、各感光体ドラムの周囲には、回転順に帯電装置、現像装置、転写装置、クリーニングユニットがそれぞれ配置されている。各帯電装置は、対応する感光体ドラムの表面を均一に帯電する。この帯電装置によって帯電された各感光体ドラム表面に光走査装置2010により光が照射され、各感光体ドラムに静電潜像が形成されるようになっている。そして、対応する現像装置により各感光体ドラム表面にトナー像が形成される。さらに、対応する転写装置により、記録紙に各色のトナー像が転写され、最終的に定着ユニット2030により記録紙に画像が定着される。
光走査装置2010は、前記光源14と同様な光源、前記前方同期検知センサ18Fと同様な同期検知センサ、前記APC受光器20と同様なAPC受光器、前記ビーム検知センサ21と同様なビーム検知センサ、前記フォトダイオード25と同様なフォトダイオード、前記偏向器前光学系及び走査光学系と同様な偏向器前光学系及び走査光学系を、それぞれ色毎に有している。そこで、上記光走査装置1010と同様な構成部分については同一の符号を用いて説明する。
ここでは、一例として図32に示されるように、各前方同期検知センサ18F及び各APC受光器20は、対応する感光体ドラムの「前走査領域」に配置され、各ビーム検知センサ21は、対応する感光体ドラムの「後走査領域」に配置されている。
そして、各光源14から射出された光束は、対応する偏向器前光学系を介して共通のポリゴンミラーで偏向され、対応する走査光学系を介して対応する感光体ドラムに照射される。
各偏向器前光学系の開口板23で反射された光束は、対応するフォトダイオード25で受光される。
ポリゴンミラーで偏向され、各走査光学系を介して「前走査領域」に向かう光束の一部は、対応する前方同期検知センサ18F及び対応するAPC受光器20に入射する。
また、ポリゴンミラーで偏向され、各走査光学系を介して「後走査領域」に向かう光束の一部は、対応するビーム検知センサ21に入射する。
光走査装置2010は走査制御装置を備え、該走査制御装置は、色毎に、対応するフォトダイオード25の出力信号とAPC受光器20の出力信号とに基づいて対応する光源14の駆動信号を制御している。すなわち、前記光走査装置1010と同様にして各光源14のAPC制御を行う。従って、従来よりも高精度のAPC制御を行うことができる。その結果、カラープリンタ2000は、高品質のカラー画像を形成することが可能となる。
なお、このカラープリンタ2000において、光走査装置2010に代えて、色毎に前記光走査装置1010を用いても良い。
11a…偏向器側走査レンズ(走査光学系の一部)、11b…像面側走査レンズ(走査光学系の一部)、13…ポリゴンミラー(偏向器)、14…光源、18c…比較器、18E…後方同期検知センサ(第3の受光器、第4の受光器)、18F…前方同期検知センサ(第3の受光器、第4の受光器)、20…APC受光器(第2の受光器)、20c…比較器、20d…遅延回路、20e…サンプルホールド回路、20f…アンプ(増幅器)、21…ビーム検知センサ、211…第1受光部、212…第2受光部、22…走査制御装置(制御装置)、23…開口板(反射光学素子)、25…フォトダイオード(第1の受光器)、27…受光素子(共通の受光素子)、100…2次元アレイ(面発光レーザ)、1000…レーザプリンタ(画像形成装置)、1010…光走査装置、1030…感光体ドラム(像担持体)、2000…カラープリンタ(画像形成装置)、2010…光走査装置、K1,C1,M1,Y1…感光体ドラム(像担持体)、Pk…パッケージ。