JP2009056598A - 感熱転写受像シートおよびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】少なくとも1種のポリマーラテックスを含有する受容層を、支持体上の両面に、それぞれ少なくとも1層有する感熱転写受像シート。
【選択図】なし
Description
しかも、両面の写真画質印画の必要性についてフォトブックを作成する上で要求が増えてきた。
(1)少なくとも1種のポリマーラテックスを含有する受容層を、支持体上の両面に、それぞれ少なくとも1層有することを特徴とする感熱転写受像シート。
(2)前記受容層の少なくとも1層の厚みが、0.1μm以上30μm以下であることを特徴とする(1)に記載の感熱転写受像シート。
(3)少なくとも1層の前記受容層の前記ポリマーラテックスが、塩化ビニル/アクリル化合物共重合体ラテックス、塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体ラテックスおよび塩化ビニル/酢酸ビニル/アクリル化合物共重合体ラテックスから単独もしくは複数選択されることを特徴とする(1)または(2)に記載の感熱転写受像シート。
(4)1回に塗工される前記受容層用塗工液中の固型分が、5質量%以上50質量%以下であることを特徴とする(1)〜(3)のいずれか1項に記載の感熱転写受像シート。
(5)少なくとも1層の前記受容層用塗工液の粘度が、3mPa・s以上300mPa・s以下であることを特徴とする(1)〜(4)のいずれか1項に記載の感熱転写受像シート。
(6)1回に塗工される前記受容層用塗工液の塗工量が3ml/m2以上300ml/m2以下であることを特徴とする(1)〜(5)のいずれか1項に記載の感熱転写受像シート。
(7)前記受容層を塗工直後5秒以内に乾球温度が25℃未満で一定に保たれた状態で3秒以上保持されることを特徴とする(1)〜(6)のいずれか1項に記載の感熱転写受像シート。
(8)前記受容層を塗工直後5秒以降60秒以内に乾球温度が80℃未満で一定に保たれた状態で3秒以上保持されることを特徴とする(1)〜(7)のいずれか1項に記載の感熱転写受像シート。
(9)支持体上の両面に、支持体側から近い順に、中間層、少なくとも1種の中空ポリマーを含有する断熱層、受像層が各々少なくとも1層形成されてなることを特徴とする感熱転写受像シート。
(10)前記受容層の少なくとも1層が、少なくとも1種のポリマーラテックスを含有することを特徴とする(9)に記載の感熱転写受像シート。
(11)前記ポリマーラテックスが、塩化ビニル/アクリル化合物共重合体ラテックス、塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体ラテックスおよび塩化ビニル/酢酸ビニル/アクリル化合物共重合体ラテックスから単独もしくは複数選択されることを特徴とする(10)に記載の感熱転写受像シート。
(12)前記中間層が、ゼラチンを含有しないことを特徴とする(9)〜(11)のいずれか1項に記載の感熱転写受像シート。
(13)少なくとも1種のポリマーラテックスを含有する受容層を、支持体上の両面に、それぞれ少なくとも1層有する感熱転写受像シートの製造方法であって、1回に塗工される該受容層用塗工液中の固型分が、5質量%以上50質量%以下である塗工液を使用することを特徴とする感熱転写受像シートの製造方法。
(14)前記受容層用塗工液の粘度が、3mPa・s以上300mPa・s以下であることを特徴とする(13)に記載の感熱転写受像シートの製造方法。
(15)1回に塗工される前記受容層用塗工液の塗工量が3ml/m2以上300ml/m2以下であることを特徴とする(13)または(14)に記載の感熱転写受像シートの製造方法。
(16)前記受容層を塗工直後5秒以内に乾球温度が25℃未満で一定に保たれた状態で3秒以上保持することを特徴とする(13)〜(15)のいずれか1項に記載の感熱転写受像シートの製造方法。
(17)前記受容層を塗工直後5秒以降60秒以内に乾球温度が80℃未満で一定に保たれた状態で3秒以上保持することを特徴とする(13)〜(16)のいずれか1項に記載の感熱転写受像シートの製造方法。
本発明の感熱転写受像シート(以下本発明の受像シートとも称す)は、支持体の両面に、それぞれ、少なくとも1層の受容層(染料受容層)を有する。
本発明において、第一の態様は、該受容層に少なくとも1種のポリマーラテックスを含有し、第二の態様は、支持体の両面に、それぞれ、支持体と該受容層の間に、支持体に近い順に中間層、少なくとも1種の中空ポリマーを含有する断熱層(多孔質層)を有す。
また、下記に記載する内容は、支持体の両面とも満たすことが好ましい。
これらの各層の少なくとも1層は、水系塗布で塗設されことが好ましい。各層の塗布は、ロールコート、バーコート、グラビアコート、グラビアリバースコート、ダイコート、スライドコート、カーテンコート等の一般的な方法で行われる。受容層、断熱層、および中間層は、各層それぞれ別々に塗布されてもよく、任意の層を組み合わせて同時重層塗布をしてもよいが、互いに隣接する層を同時重層塗布することが、特に好ましい。
以下に、各層を説明する。
本発明の感熱転写受像シートは、少なくとも染料を受容し得る熱可塑性の受容ポリマーを含有する。好ましい受容ポリマーとしては、ポリ酢酸ビニル、エチレン酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル酢酸ビニル共重合体、塩化ビニルアクリル酸エステル共重合体、塩化ビニルメタクリル酸エステル共重合体、ポリアクリルエステル、ポリスチレン、ポリスチレンアクリル等のビニル系樹脂、ポリビニルホルマール、ポリビニルブチラール、ポリビニルアセタール等のアセタール系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリプチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、セルロース系樹脂、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、尿素樹脂・メラミン樹脂・ベンゾグアナミン樹脂等のポリアミド系樹脂等が挙げられる。これらの樹脂は、相溶する範囲内で任意にブレンドして用いることもできる。
上記ポリマー中でもポリカーボネート、ポリエステル、ポリウレタン、ポリ塩化ビニルおよびその共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、ポリカプロラクトンまたはこれらの混合物を含有することが好ましく、ポリエステル、ポリ塩化ビニル共重合体あるいはこれらの混合物がさらに好ましい。
以上に挙げたポリマーは、有機溶剤(メチルエチルケトン、酢酸エチル、ベンゼン、トルエン、キシレンなど)を適宜用いて溶解させることで、支持体上に塗布することができるし、ポリマーラテックスとして水系の塗工液に加えて支持体上に塗布することもできる。
本発明の第一の態様(第二の態様での好ましい態様)では、少なくとも1種が、ポリマーラテックスである。
ポリマーラテックスは水不溶な疎水性ポリマーが微細な粒子として水溶性の分散媒中に分散したものである。分散状態としてはポリマーが分散媒中に乳化されているもの、乳化重合されたもの、ミセル分散されたもの、あるいはポリマー分子中に部分的に親水的な構造を持ち分子鎖自身が分子状分散したものなどいずれでもよく、分散粒子の平均粒径は1〜50000nm、より好ましくは5〜1000nm程度の範囲が好ましい。
本発明に用いるポリマーラテックスのガラス転移温度(Tg)は、−30℃〜100℃が好ましく、0℃〜80℃がより好ましく、10℃〜70℃がさらに好ましく、15℃〜60℃が特に好ましい。
1/Tg=Σ(Xi/Tgi)
ここでは、ポリマーはi=1からnまでのn個のモノマー成分が共重合しているとする。Xiはi番目のモノマーの質量分率(ΣXi=1)、Tgiはi番目のモノマーの単独重合体のガラス転移温度(絶対温度)である。ただしΣはi=1からnまでの和をとる。尚、各モノマーの単独重合体ガラス転移温度の値(Tgi)は「Polymer Handbook(3rd Edition)」(J.Brandrup,E.H.Immergut著(Wiley−Interscience、1989))の値を採用できる。
本発明の感熱転写受像シートにおいては、受容層は水溶性ポリマーを含有することも好ましい態様の一つである。
ここで、水溶性ポリマーとは、20℃における水100gに対し0.05g以上溶解すればよく、より好ましくは0.1g以上、さらに好ましくは0.5g以上、特に好ましくは1g以上である。水溶性ポリマーとしては、天然高分子、半合成高分子および合成高分子のいずれも好ましく用いられる。
植物系多糖類としては、κ−カラギーナン、ι−カラギーナン、λ−カラギーナン、ペクチンなど、微生物系多糖類としては、キサンタンガム、デキストリンなど、動物系天然高分子としては、ゼラチン、カゼインなどが挙げられる。セルロース系としては、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースなどが挙げられる。
本発明に用いることのできる天然高分子、半合成高分子のうちゼラチンが好ましい。
また、本発明に用いるゼラチンは分子量10,000から1,000,000までのものを用いることが好ましい。本発明に用いられるゼラチンはCl−、SO4 2−等の陰イオンを含んでいてもよいし、Fe2+、Ca2+、Mg2+、Sn2+、Zn2+などの陽イオンを含んでいても良い。ゼラチンは水に溶かして添加することが好ましい。
本発明に用いることのできる合成高分子のうちポリビニルアルコール類が好ましい。
これら紫外線吸収剤に中でも、特にベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、トリアジン系が好ましい。これら紫外線吸収剤は画像形成に使用する染料の特性に応じて、有効な紫外線吸収波長域をカバーするように組み合わせて使用することが好ましく、また、非反応性紫外線吸収剤の場合には紫外線吸収剤が析出しないように構造が異なるものを複数混合して用いることが好ましい。
紫外線吸収剤の市販品としては、チヌビン−P(チバガイギー製)、JF−77(城北化学製)、シーソープ701(白石カルシウム製)、スミソープ200(住友化学製)、バイオソープ520(共同薬品製)、アデカスタブLA−32(旭電化製)等が挙げられる。
離型剤としては、例えば、ポリエチレンワックス、パラフィンワックス、脂肪酸エステルワックス、アミドワックス等の固形ワックス類、シリコーンオイル、リン酸エステル系化合物、フッ素系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤およびその他当該技術分野で公知の離型剤を使用することができる。これらの中で、脂肪酸エステルワックス、フッ素系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤、シリコーンオイルおよび/またはその硬化物等のシリコーン系化合物が好ましく用いられる。
界面活性剤の添加量は、全固形分量に対して0.01〜5質量%であることが好ましく、0.01〜1質量%であることがより好ましく、0.02〜0.2質量%であることが特に好ましい。
界面活性剤としては、アニオン系、ノニオン系、カチオン系など種々の界面活性剤が知られている。本発明で用いることのできる界面活性剤としては、公知のものが使用でき、例えば、「機能性界面活性剤監修/角田光雄、発行/2000年8月、第6章」で紹介されているもの等を用いることができるが、その中でもアニオン系のフッ素含有界面活性剤が好ましい。
特に断りのない限り、固形分換算の数値である。)が好ましい。受容層の膜厚は、少なくとも1層が0.1〜30μmであることが好ましく、支持体の両面ともに、少なくとも1層の受容層の厚みが、0.1〜30μmであることが好ましい。より好ましくは、これらの関係において、1〜20μmであることが好ましい。
本発明の感熱転写受像シートは、支持体と受容層の間に断熱層を有することが好ましく、第二の態様では、少なくとも1種の中空ポリマーを含有する断熱層を有するが、第一の態様においても好ましい態様である。断熱層は1層でも2層以上でも良い。
本発明における中空ポリマーとは粒子内部に空隙を有するポリマー粒子であり、好ましくは水分散物であり、例えば、1)ポリスチレン、アクリル樹脂、スチレン−アクリル樹脂等により形成された隔壁内部に水などの分散媒が入っており、塗布乾燥後、粒子内の水が粒子外に蒸発して粒子内部が中空となる非発泡型の中空ポリマー粒子、2)ブタン、ペンタンなどの低沸点液体を、ポリ塩化ビニリデン、ポリアクリロニトリル、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸エステルのいずれか又はそれらの混合物もしくは重合物よりなる樹脂で覆っており、塗工後、加熱により粒子内部の低沸点液体が膨張することにより内部が中空となる発泡型マイクロバルーン、3)上記の2)をあらかじめ加熱発泡させて中空ポリマーとしたマイクロバルーンなどが挙げられる。
これらの中でも、1)の非発泡型の中空ポリマー粒子が好ましく、必要に応じて2種以上混合して使用することができる。
また、中空ポリマーは、空隙率が20〜70%のものが好ましく、20〜50%のものがより好ましい。
中空ポリマーの空隙率とは、粒子体積に対する空隙部分の体積の割合から求める。
中空ポリマーを含む断熱層の厚みは5〜50μmであることが好ましく、5〜40μmであることがより好ましい。
なお、中間層は、水溶性ポリマーもしくはポリマーラテックスを含有するのが好ましいが、ゼラチン以外のものが好ましい。
本発明の感熱転写受像シートの作成は、塗布液の調整、支持体上への塗布液の塗布、乾燥によってなされる。本発明において、少なくとも1層の受容層が塗布される。受容層および断熱層がそれぞれ2層以上もしくは一方が2層以上の場合も好ましい態様であるが、少なくとも断熱層と隣接する受容層側の層が同時重層塗布される。受容層側の層は、受容層であっても他の機能を有する中間層であっても良い。
以下、該工程について詳しく説明する。
(塗布液の調製)
添加物を計量混合し、設計品質に応じた液物性を最終的にもった塗布液を調製するには、公知の方式・装置を用いることができる。計量方法としては、重量計量、容積計量などの方法を用いることができる。混合のための攪拌機としては、プロペラ攪拌機、ジェットアジターなどを用いることができる。
ゼラチンの添加にあたっては、ゼラチンを常温の水に分散・浸漬してゼラチン粉体全体を膨潤させた後、昇温して溶解し添加する方法を採用することもできる。
塗布液の液物性測定には、各種粘度計、表面張力測定装置、比重計、pH計などを用いることができる。塗布液の粘度の測定方法は、大別して液中の回転体にかかる抵抗力を測定する方法とオリフィスや細管を通過させる時の圧力損失を測定する方法とがある。前者は回転型粘度計でB型粘度計に代表される。後者は毛管粘度計でオストワルド粘度計に代表される。本発明は前者の回転型粘度計を用い、40℃で測定したときの測定値を採用したものである。
各層の塗布は、ロールコート、バーコート、グラビアコート、グラビアリバースコート、ダイコート、スライドコート、カーテンコート等の公知な方法のうち、同時重層塗布が可能な方法から適宜選択して行うことができる。これらの中で、カーテン塗布、スライド塗布は、ポンプなどによる送液流量で塗布膜厚が決まる方式であり、同時重層塗布が可能である。
支持体上に複数の機能の異なる複数の層(気泡層、断熱層、中間層、受容層など)からなる多層構成の受像シートを製造する場合、特開2004−106283号、同2004−181888号、同2004−345267号等の各公報に示されている如く各層を順次塗り重ねていくか、あらかじめ各層を支持体上に塗布したものを張り合わせることにより製造することが知られている。一方、写真業界では例えば複数の層を同時に重層塗布することにより生産性を大幅に向上させることが知られている。例えば特開米国特許第2,761,791号、同第2,681,234号、同第3,508,947号、同第4,457,256号、同第3,993,019号、特開昭63−54975号、特開昭61−278848号、同55−86557号、同52−31727号、同55−142565号、同50−43140号、同63−80872号、同54−54020号、特開平5−104061号、同5−127305号、特公昭49−7050号の公報または明細書やEdgar B. Gutoffら著,「Coating and Drying Defects:Troubleshooting Operating Problems」,John Wiley&Sons社,1995年,101〜103頁などに記載のいわゆるスライド塗布(スライドコーティング法)、カーテン塗布(カーテンコーティング法)といわれる方法が知られている。これらの塗布方法では、複数の塗布液を塗布装置に同時に供給して異なる複数の層を形成する。これらの方法は均一な塗布膜厚が得られることと、多層同時塗布が可能であり、本発明で好ましく用いることができる。
スライドビード塗布装置は、主として塗布ヘッドと、連続走行する支持体を巻き掛け支持するバックアップローラとで構成される。塗布ヘッドを形成するブロック内部には、送液ラインから送液された塗布液を支持体の幅方向に拡流する液溜りが形成され、この液溜りに連通して狭隘なスリットがスライド面まで開口して形成される。このスライド面は塗布ヘッド上面に形成され、バックアップローラ側に向かって下方に傾斜している。
それぞれの液溜りに供給された塗布液は、各スリットからスライド面に押し出され、スライド面を流下しながら順次重畳して複層塗布膜を形成し、互いに全体としては大きく混ざり合うことなくスライド面下端の先端部に達する。先端部に達した塗布液は、先端部と、バックアップローラに巻き掛けられて走行する支持体面との隙間に塗布液ビードを形成し、この塗布液ビードを介して支持体面に塗布される。ビードを安定化させるために下部を減圧される。そのため、バックアップローラの下方に減圧室が形成される。この減圧室は、ビードの下側を負圧にしてビードを安定化させると共に、ウエブに塗布されなかった余剰の塗布液を減圧室に流れ落ち易くする働きがある。
本発明においては、受容層の粘度を固形分量や増粘剤などを用いて調整し、40℃での粘度がともに3mPa・s以上300mPa・s以下であることが好ましく、3mPa・s以上100mPa・s以下であることがより好ましく、3mPa・s以上30mPa・s以下であることが最も好ましい。
一定流量で塗布液を連続的に供給するには、各種の方法が可能であるが、精度・信頼性の点から定量ポンプを用いるのが好ましい。例として、プランジャーポンプ,ダイヤフラム型ポンプを挙げることができる。ダイヤフラム型では、プランジャーと送液される液体が2枚のダイヤフラムで隔離されており、駆動オイルおよび2枚のダイヤフラム間の純水を経由してプランジャーの動作が送液される液体に伝えられる。送液ポンプの流量変動は塗布膜厚の変動に結びつくものであり、十分な精度が必要とされる。
ポンプの脈動の影響を低減する必要がある場合には、脈動を吸収するための補助装置が用いられる。いくかの方式が公知であるが、一例としてパイプライン型の脈動吸収装置を挙げることができる(例えば特開平1−255793号公報に記載)。
異物と並んで、気泡も塗布面状故障の原因となる。そのため、塗布液中に混入している気泡および液体表面に浮遊している泡沫を脱法・消泡することが好ましい。そのための手法としては、気泡の液体からの分離、あるいは気泡の液体への溶解がある。分離の方法としては、減圧脱泡、超音波脱泡、遠心脱泡などが公知である。液体への溶解の方法としては、超音波パイプライン脱泡が挙げられる。
塗布液に添加することによって塗布液の経時安定性が悪化するような添加物を用いる場合には、添加してから塗布までの経時時間を短くするために、送液工程内で、塗布部の直前で添加を行う方式が知られている。本発明においてもこのような方式を用いることができる。このための混合器としては、静的混合器、動的混合器がある。
本発明の受容層用塗工液は、1回に塗工される受容層用塗工液において、固型分が5〜50質量%が好ましく、また該塗工液の塗工量は、3ml/m2以上300ml/m2以下が好ましい。
塗布後、支持体上に塗布膜が形成された塗布済み品は、乾燥ゾーンで乾燥され、調湿ゾーンを経て巻取られる。本発明では支持体上に複数の層の積層体を形成した後速やかに固化させることが好ましい。塗布膜の固化が十分に進んでいない段階で強い乾燥風があたると流動が生じ、むらとなる。また、塗布膜最上層に有機溶剤が含まれていると、風によりスライド面上や塗布直後に不均一な溶剤蒸発が起こり、むらが生じる。この観点から、水系塗布が有利である。
また、ゼラチンなど低温でゲル化するバインダーを含む場合には支持体上に複数の層を形成した後すばやく温度を下げ塗膜を冷却固化させ(セット工程)、その後温度を上げて乾燥させることが好ましい。これにより、更なる均一、均質な塗膜が形成される。
ここでセット工程とは、例えば、冷風等を塗膜に当てて温度を下げるなどの手段により、塗膜組成物の粘度を高め、各層間及び各層内の物質流動性を鈍化させるゲル化促進工程のことを意味する。
さらに、塗工直後5秒以降60秒以内に、80℃未満で一定に保たれた状態で、好ましくは3秒以上、より好ましくは3秒以上120秒以下、さらに好ましくは15秒以上100秒以下保持されることが好ましい。
このようにすることによって、本発明の効果が効果的に奏される。
本発明ではラテックスが主たる塗布液を構成するため、急速に乾燥させると乾燥による膜の収縮が不均一に起こり、乾燥後の塗布皮膜にひび割れが生じ安くなるため、ゆっくり乾燥させる方が好ましい。この様な要件を満足させるためにも、乾燥工程は、乾燥温度、乾燥風の風量、乾燥風の露点を調節し、乾燥速度を調節しながら乾燥させる必要がある。
支持体として片面に易接着処理がされている厚さ6.0μmのポリエステルフィルム(ダイアホイルK200E−6F、商品名、三菱化学ポリエステルフィルム(株)製)の易接着処理がされていない面に、乾燥後の固形分塗布量が1g/m2となるように背面層塗工液を塗布した。乾燥後、60℃で熱処理を行い硬化させた。
このようにして作製したポリエステルフィルムの易接着層塗布側に前記塗工液により、イエロー、マゼンタ、シアンの各感熱転写層および転写性保護層積層体を面順次となるように塗布した感熱転写シートを作製した。各染料層の固形分塗布量は、0.8g/m2とした。
なお、転写性保護層積層体の形成は、離型層用塗工液を塗布し、乾燥した後に、その上に保護層用塗工液を塗布し、乾燥した後に、さらにその上に接着層塗工液を塗布した。
アクリル系ポリオール樹脂 18.0質量部
(アクリディックA−801、商品名、大日本インキ化学工業(株)製)
ステアリン酸亜鉛 0.70質量部
(SZ−2000、商品名、堺化学工業(株)製)
リン酸エステル 1.82質量部
(プライサーフA217、商品名、第一工業製薬(株)製)
イソシアネート(50%溶液) 5.6質量部
(バーノックD−800、商品名、大日本インキ化学工業(株)製)
メチルエチルケトン/トルエン(質量比1/1) 75質量部
染料化合物(Y−1) 4.2質量部
染料化合物(Y−2) 3.6質量部
ポリビニルアセタール樹脂 6.1質量部
(エスレックKS−1、商品名、積水化学工業(株)製)
ポリビニルブチラール樹脂 2.1質量部
(デンカブチラール#6000−C、商品名、電気化学工業(株)製)
離型剤 0.05質量部
(X−22−3000T、商品名、信越化学工業(株)製)
離型剤 0.03質量部
(TSF4701、商品名、モメンティブ・パフォーマンス・
マテリアルズ・ジャパン合同会社製)
マット剤 0.15質量部
(フローセンUF、商品名、住友精工(株)製)
メチルエチルケトン/トルエン(質量比2/1) 84質量部
染料化合物(M−1) 1.8質量部
染料化合物(M−2) 7.6質量部
ポリビニルアセタール樹脂 8.0質量部
(エスレックKS−1、商品名、積水化学工業(株)製)
ポリビニルブチラール樹脂 0.2質量部
(デンカブチラール#6000−C、商品名、電気化学工業(株)製)
離型剤 0.05質量部
(X−22−3000T、商品名、信越化学工業(株)製)
離型剤 0.03質量部
(TSF4701、商品名、モメンティブ・パフォーマンス・
マテリアルズ・ジャパン合同会社製)
マット剤 0.15質量部
(フローセンUF、商品名、住友精工(株)製)
メチルエチルケトン/トルエン(質量比2/1) 84質量部
染料化合物(C−1) 2.4質量部
染料化合物(C−2) 5.3質量部
ポリビニルアセタール樹脂 7.4質量部
(エスレックKS−1、商品名、積水化学工業(株)製)
ポリビニルブチラール樹脂 0.8質量部
(デンカブチラール#6000−C、商品名、電気化学工業(株)製)
離型剤 0.05質量部
(X−22−3000T、商品名、信越化学工業(株)製)
離型剤 0.03質量部
(TSF4701、商品名、モメンティブ・パフォーマンス・
マテリアルズ・ジャパン合同会社製)
マット剤 0.15質量部
(フローセンUF、商品名、住友精工(株)製)
メチルエチルケトン/トルエン(質量比2/1) 84質量部
染料層の作製に使用したものと同じポリエステルフィルムに、以下に示す組成の離型層,保護層および接着層用塗工液を塗布し、転写性保護層積層体を形成した。乾膜時の塗布量は離型層0.2g/m2、保護層0.5g/m2、接着層2.0g/m2とした。
変性セルロース樹脂 7.5質量部
(L−30、商品名、ダイセル化学)
メチルエチルケトン 92.5質量部
保護層塗工液
アクリル樹脂溶液(固形分40%) 85質量部
(UNO−1、商品名、岐阜セラミック(有)製)
メタノール/イソプロパノール(質量比1/1) 15質量部
接着層塗工液
アクリル樹脂 25質量部
(ダイアナールBR−77、商品名、三菱レイヨン(株)製)
下記紫外線吸収剤UV−1 1質量部
下記紫外線吸収剤UV−2 2質量部
下記紫外線吸収剤UV−3 1質量部
下記紫外線吸収剤UV−4 2質量部
PMMA微粒子(ポリメチルメタクリレート微粒子) 0.4質量部
メチルエチルケトン/トルエン(質量比2/1) 70質量部
(本発明の感熱転写受像シート101の作製)
支持体として合成紙(ユポFPG200、厚さ200μm、商品名、(株)ユポ・コーポレーション製)を用い、この両面に片面づつ下記組成の受容層塗工液1をバーコーターにより塗布を行った。それぞれの乾燥時の塗布量は受容層5.6g/m2となるように塗布を行った。
塩化ビニル系ラテックス 18.0質量部
(ビニブラン900、Tg70℃、商品名、日信化学工業(株)製)
ポリエステル系ラテックス 10.0質量部
(MD−1200、Tg67℃、商品名、東洋紡(株)製)
ゼラチン(10%水溶液) 3.5質量部
下記エステル系ワックスEW−1 2.5質量部
下記界面活性剤F−1 0.1質量部
ポリエチレンで両面ラミネートした紙支持体両面に、コロナ放電処理を施した後、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムを含むゼラチン下塗層を設けた。この両面上に、片面づつ、下記組成の下引き層、断熱層、受容層を支持体側からこの順に積層させた状態で、米国特許第2,761,791号明細書に記載の第9図に例示された方法により、同時重層塗布を行った。それぞれの乾燥時の塗布量が下引き層:5.6g/m2、断熱層:9.2g/m2、受容層:5.6g/m2となるように塗布を行った。また、下記の組成は、固形分としての質量部を表す。
塩化ビニル系ラテックス 18.0質量部
(ビニブラン900、Tg70℃、商品名、日信化学工業(株)製)
ポリエステル系ラテックス 10.0質量部
(MD−1200、Tg67℃、商品名、東洋紡(株)製)
ゼラチン(10%水溶液) 3.5質量部
下記エステル系ワックスEW−1 2.5質量部
下記界面活性剤F−1 0.1質量部
断熱層塗工液1
中空ポリマー粒子ラテックス 60.0質量部
(MH5055、商品名、日本ゼオン(株)製)
ゼラチン(10%水溶液) 20.0質量部
下引き層塗工液1
ポリビニルアルコール 15.0質量部
(ポバールPVA205、商品名、(株)クラレ製)
スチレンブタジエンゴムラテックス 55.0質量部
(SN−102、商品名、日本エイ アンド エル(株)製)
下記界面活性剤F−1 0.03質量部
支持体として合成紙(ユポFPG200、厚さ200μm、商品名、(株)ユポ・コーポレーション製)を用い、特開平5−229265号公報の実施例に記載の方法により、その両面に下記の組成の中間層用塗工液および受容層用塗工液をバーコーターにより夫々乾燥時1.0g/m2および4.0g/m2 になる割合で塗布し、ドライヤーで仮乾燥後、100℃のオープン中で30分間乾燥して受容層を形成し、続いてエンボス加工、サンド処理またはサンドペーパーにて表面をマット化して比較用の感熱転写受像シートを得た。
中間層用塗工液組成;
ポリウレタン樹脂エマルジョン 100質量部
水 30質量部
受容層用塗工液組成;
塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体 100質量部
(#1000D、電気化学工業製)
アミノ変性シリコーン 3質量部
(X−22−343、信越化学工業製)
エポキシ変性シリコーン 3質量部
(KF−343、信越化学工業製)
メチルエチルケトン/トルエン(質量比(1/1)) 500質量部
上記の感熱転写シートと上記で作製した各感熱転写受像シートを用いて、熱転写型プリンターDBP−6000日本電産コパル(株)製)により、一般風景画像40画像を8インチ×10インチのサイズ内に白フチ2画像はいる様に10枚印画した。出力後、該受像シートは表裏反対に装着し残りの一般風景画像20画像を8インチ×10インチのサイズ内に白フチ2画像はいる様に印画した。ここで本発明の感熱転写受像シート101、102はともに10枚の高画質な両面画像を得ることができた。
感熱転写受像シート101〜103において、表裏が重なるようにして、50℃85%の環境下で7日間保存した。比較用感熱転写受像シート103のものは、表裏が密着し剥がすことが困難であったが、本発明のものは密着せず、その後の加工や、使用にも問題なかった。
感熱転写受像シート101〜103において、表裏が重なるようにして、70℃80%の環境下で3日間保存した。比較用感熱転写受像シート103は、表裏の画像が混じり合い、画質が極度に劣化した。本発明のものは画像が混ざることなく高画質のまま保存され問題なかった。
<実施例2>
(感熱転写受像シート201〜206の作製)
実施例1の感熱転写受像シート102において、色素受容ポリマーラテックス、塗工液条件、塗工後の温度、時間を下記表1に変える以外は実施例1の感熱転写受像シート102と同様の方法で、本発明の感熱転写受像シート201〜206を作製した。
これらの各感熱転写受像シートを実施例1と同様にして、画像形成し、実施例1と同様の評価を行った。
上記の実施例1で作製した感熱転写シートおよび感熱転写受像シート201〜206を用いて、熱転写型プリンターDBP−6000日本電産コパル(株)製)により、一般風景画像40画像を8インチ×10インチのサイズ内に白フチ2画像はいる様に10枚印画した。出力後、該受像シートは表裏反対に装着し残りの一般風景画像20画像を8インチ×10インチのサイズ内に白フチ2画像はいる様に印画し、いずれも10枚の高画質な両面画像を得ることができた。
感熱転写受像シート201〜206において、表裏が重なるようにして、50℃85%の環境下で7日間保存した。本発明の感熱転写受像シート201〜206はいずれも密着せず、その後の加工や、使用にも問題なかった。
感熱転写受像シート201〜206において、表裏が重なるようにして、70℃80%の環境下で3日間保存した。本発明の感熱転写受像シート201〜206はいずれも画像が混ざることなく高画質のまま保存され問題なかった。
なお、下記表1に、これらの結果も記載した。
Claims (17)
- 少なくとも1種のポリマーラテックスを含有する受容層を、支持体上の両面に、それぞれ少なくとも1層有することを特徴とする感熱転写受像シート。
- 前記受容層の少なくとも1層の厚みが、0.1μm以上30μm以下であることを特徴とする請求項1に記載の感熱転写受像シート。
- 少なくとも1層の前記受容層の前記ポリマーラテックスが、塩化ビニル/アクリル化合物共重合体ラテックス、塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体ラテックスおよび塩化ビニル/酢酸ビニル/アクリル化合物共重合体ラテックスから単独もしくは複数選択されることを特徴とする請求項1または2に記載の感熱転写受像シート。
- 1回に塗工される前記受容層用塗工液中の固型分が、5質量%以上50質量%以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の感熱転写受像シート。
- 少なくとも1層の前記受容層用塗工液の粘度が、3mPa・s以上300mPa・s以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の感熱転写受像シート。
- 1回に塗工される前記受容層用塗工液の塗工量が3ml/m2以上300ml/m2以下であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の感熱転写受像シート。
- 前記受容層を塗工直後5秒以内に乾球温度が25℃未満で一定に保たれた状態で3秒以上保持されることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の感熱転写受像シート。
- 前記受容層を塗工直後5秒以降60秒以内に乾球温度が80℃未満で一定に保たれた状態で3秒以上保持されることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の感熱転写受像シート。
- 支持体上の両面に、支持体側から近い順に、中間層、少なくとも1種の中空ポリマーを含有する断熱層、受像層が各々少なくとも1層形成されてなることを特徴とする感熱転写受像シート。
- 前記受容層の少なくとも1層が、少なくとも1種のポリマーラテックスを含有することを特徴とする請求項9に記載の感熱転写受像シート。
- 前記ポリマーラテックスが、塩化ビニル/アクリル化合物共重合体ラテックス、塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体ラテックスおよび塩化ビニル/酢酸ビニル/アクリル化合物共重合体ラテックスから単独もしくは複数選択されることを特徴とする請求項10に記載の感熱転写受像シート。
- 前記中間層が、ゼラチンを含有しないことを特徴とする請求項9〜11のいずれか1項に記載の感熱転写受像シート。
- 少なくとも1種のポリマーラテックスを含有する受容層を、支持体上の両面に、それぞれ少なくとも1層有する感熱転写受像シートの製造方法であって、1回に塗工される該受容層用塗工液中の固型分が、5質量%以上50質量%以下である塗工液を使用することを特徴とする感熱転写受像シートの製造方法。
- 前記受容層用塗工液の粘度が、3mPa・s以上300mPa・s以下であることを特徴とする請求項13に記載の感熱転写受像シートの製造方法。
- 1回に塗工される前記受容層用塗工液の塗工量が3ml/m2以上300ml/m2以下であることを特徴とする請求項13または14に記載の感熱転写受像シートの製造方法。
- 前記受容層を塗工直後5秒以内に乾球温度が25℃未満で一定に保たれた状態で3秒以上保持することを特徴とする請求項13〜15のいずれか1項に記載の感熱転写受像シートの製造方法。
- 前記受容層を塗工直後5秒以降60秒以内に乾球温度が80℃未満で一定に保たれた状態で3秒以上保持することを特徴とする請求項13〜16のいずれか1項に記載の感熱転写受像シートの製造方法。
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