JP2010149464A - 感熱転写受像シートおよびその製造方法 - Google Patents

感熱転写受像シートおよびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】転写濃度が高く、高温高湿下での画像保存時に発生するひび割れ耐性が強く、かつプリント搬送時に発生するローラー痕故障の少ない感熱転写受像シートおよび製造方法を提供する。
【解決手段】支持体上に、少なくとも2層の断熱層と少なくとも1層の受容層を順次有する感熱転写受像シートであって、該断熱層が中空粒子および水溶性ポリマーをそれぞれ少なくとも1種含有し、支持体から最も近い断熱層における中空粒子と水溶性ポリマーの質量比が(中空粒子固形分質量/水溶性ポリマー固形分質量)≦3.5の関係を満たし、該受容層が少なくとも1種のポリマーラテックスと少なくとも1種のポリエーテル変性シリコーンを含有する感熱転写受像シート。
【選択図】なし

Description

本発明は、感熱転写受像シートおよびその製造方法に関するものである。特に、転写濃度、高温高湿下での保存性に優れ、画像欠陥の少ない高画質な感熱転写受像シートおよびその製造方法を提供しようとするものである。
従来、種々の熱転写記録方法が知られているが、中でも染料拡散転写記録方式は、銀塩写真の画質に最も近いカラーハードコピーが作製できるプロセスとして注目されている。しかも、銀塩写真に比べて、ドライであること、デジタルデータから直接可視像化できる、複製作りが簡単であるなどの利点を持っている。
この染料拡散転写記録方式では、色素(染料とも称す)を含有する感熱転写シート(以下、単にインクシートとも称す)と感熱転写受像シート(以下、単に受像シートとも称す)を重ね合わせ、次いで、電気信号によって発熱が制御されるサーマルヘッドによって感熱転写シートを加熱することで感熱転写シート中の色素を感熱転写受像シートに転写して画像情報の記録を行うものであり、シアン、マゼンタ、イエローの3色あるいはこれにブラックを加えた4色を重ねて記録することで色の濃淡に連続的な変化を有するカラー画像を転写記録することができる。
近年、コンピューターによるデジタル画像処理技術の発達により、記録画像の画質が向上し、染料拡散転写記録方式はその市場を拡大しており、これに伴い、プリントシステムの高速化、高濃度化への要求が高まってきている。
この方式の感熱転写受像シートは、転写された色素を染着するための受容層が支持体上に形成されている。また、支持体上に中空粒子を含有する断熱層を塗設し、中空粒子が持つ空隙による断熱効果により色素の転写効率を向上させることが知られており(特許文献1参照)、中空粒子を含む断熱層を2層以上持たせることにより、更に転写濃度を高濃度化する方法(特許文献2、3参照)が提案されている。
しかしながら、この方法では転写濃度の高濃度化には有効ではあるが、プリント搬送時に支持体裏面から接触するグリップローラーのスパイク痕起因の凹凸が発生し、印画面内に未印画欠陥として発生するという問題が発生した。
一方、感熱転写受像シートをゴムローラーと金属ローラーとで構成されるグリップローラーに挟んで、その回転により往復運動させるプリンターは、構造が単純なので小型化が可能で装置価格も安価となるため、最も広く用いられている(特許文献4参照)。
このようなプリンターの場合、グリップローラーは、用紙の滑りを防止するゴムローラーと、その表面にエッチングで形成された高さ40〜100μm程度の微細な突起(以下、「スパイク」という)を感熱転写受像シートに食い込ませて精度良く搬送させる金属ローラーとで構成されている。
しかしながら、感熱転写受像シートが強度的に脆い層を含む場合、スパイク痕が大きな問題となり、印画面内に未印画欠陥が発生する問題が生じていた。一方で、バインダー量を制御し、強度の高い層を形成すると、隣接層との収縮率の違いから感熱転写受像シート表面に微小なひび割れが発生し、結果的に、印画後の感熱転写受像シートを高温高湿下で保存すると保護層がひび割れるという問題が新たに分かった。
この高温高湿下での保護層ひび割れは、感熱転写受像シートと保護層の密着性に起因していると推定される。感熱転写受像シート表面に微小なひび割れが形成されている場合、印画時に前記ひび割れ部分と印画された保護層との間で密着不良が発生し、高温高湿下で印画物を保存した場合、密着部と非密着部の収縮差から保護層にひび割れが発生する問題が生じており、高温高湿下での保存性について更なる改良が期待されていた。
特開2008−254386号公報 特開2006−62114号公報 特開2006−264091号公報 特開平11−115328号公報
本発明は、高画質であり、かつ画像保存性に優れ、高品質な感熱転写受像シートおよびその製造方法を提供することを目的とする。具体的には、転写濃度が高く、高温高湿下での画像保存時に発生するひび割れ耐性が強く、かつプリント搬送時に発生するローラー痕故障の少ない感熱転写受像シートおよび製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは鋭意検討を重ねた結果、下記手段で本発明の上記目的が達成できることを見出した。
(1)支持体上に、少なくとも2層の断熱層と少なくとも1層の受容層を順次有する感熱転写受像シートであって、該断熱層が中空粒子および水溶性ポリマーをそれぞれ少なくとも1種含有し、支持体から最も近い断熱層における中空粒子と水溶性ポリマーの質量比が (中空粒子固形分質量/水溶性ポリマー質量)≦3.5の関係を満たし、該受容層が少なくとも1種のポリマーラテックスと少なくとも1種のポリエーテル変性シリコーンを含有することを特徴とする感熱転写受像シート。
(2)前記水溶性ポリマーが、ゼラチンであることを特徴とする(1)に記載の感熱転写受像シート。
(3)前記ポリエーテル変性シリコーンのHLB値が、5〜9であることを特徴とする(1)または(2)に記載の感熱転写受像シート。
(4)前記ポリエーテル変性シリコーンが、側鎖変性構造を持つことを特徴とする(1)〜(3)のいずれか1項に記載の感熱転写受像シート。
(5)前記感熱転写受像シートが同時重層塗布により形成されてなることを特徴とする(1)〜(4)のいずれか1項に記載の感熱転写受像シート。
(6)支持体上に少なくとも2層の断熱層と少なくとも1層の受容層を塗布により形成する感熱転写受像シートの製造方法であって、該断熱層が中空粒子および水溶性ポリマーをそれぞれ少なくとも1種含有し、支持体から最も近い断熱層における中空粒子と水溶性ポリマーの質量比が (中空粒子固形分質量/水溶性ポリマー質量)≦3.5の関係を満たし、該受容層が少なくとも1種のポリマーラテックスと少なくとも1種のポリエーテル変性シリコーンを含有することを特徴とする感熱転写受像シートの製造方法。
(7)前記塗布が同時重層塗布であることを特徴とする請求項6に記載の感熱転写受像シートの製造方法。
本発明により、高画質かつ高品質、具体的には、転写濃度が高く、高温高湿下での画像保存時に発生するひび割れ耐性が強く、かつプリント搬送時に発生するローラー痕故障の少ない感熱転写受像シートおよび製造方法が提供できる。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の感熱転写受像シート(以下本発明の受像シートともいう)は、支持体上に少なくとも1層の受容層(染料受容層)を有し、支持体と受容層との間に少なくとも2層の断熱層(多孔質層)を有する。また、支持体と受容層との間に、例えば白地調整、帯電防止、接着性、レベリングなどの各種機能を付与した中間層が形成されていてもよい。また、転写シートと重ね合わせられる面の最外層には、離型層が形成されてもよい。
本発明においては、受容層、断熱層、および中間層の少なくとも1層は水系塗布で塗設される。各層の塗布は、ロールコート、バーコート、グラビアコート、グラビアリバースコート、ダイコート、スライドコート、カーテンコート等の一般的な方法で行われる。受容層、断熱層、および中間層は、各層それぞれ別々に塗布されてもよく、任意の層を組み合わせて同時重層塗布をしてもよい。本発明においては、少なくとも1層の受容層と少なくとも2層の断熱層とを同時重層塗布することが、本発明の効果を効果的に奏する。
支持体の、受容層を塗設した面の他方の面にはカール調整層、筆記層、帯電調整層を設けてもよい。
<受容層>
本発明において、受容層は、少なくとも1種のポリマーラテックスを含有する。このポリマーラテックスは、熱転写シートから転写される染料(色素)を受容する。
ポリマーラテックスは水不溶な疎水性ポリマーが微細な粒子として水溶性の分散媒中に分散したものである。分散状態としてはポリマーが分散媒中に乳化されているもの、乳化重合されたもの、ミセル分散されたもの、あるいはポリマー分子中に部分的に親水的な構造を持ち分子鎖自身が分子状分散したものなどいずれでもよく、分散粒子の平均粒径は1〜50000nm、より好ましくは5〜1000nmの範囲が好ましい。
本発明のポリマーラテックスに用いられる熱可塑性樹脂の例としては、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリアクリレート、塩化ビニル系共重合体、ポリウレタン、スチレン-アクリロニトリル共重合体、ポリカプロラクトン等が挙げられる。
このうち、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリアクリレート、塩化ビニル系共重合体が好ましく、ポリエステル、塩化ビニル系共重合体が特に好ましく、塩化ビニル系共重合体が最も好ましい。
塩化ビニル系共重合体とは、重合体を得るためのモノマーとして塩化ビニルを少なくとも使用し、かつ他のモノマーと共重合させたものであり、例えば、塩化ビニルと酢酸ビニル共重合体、塩化ビニルとアクリレートの共重合体、塩化ビニルとメタクリレートの共重合体、塩化ビニルと酢酸ビニルとアクリレートの共重合体、塩化ビニルとアクリレートとエチレンの共重合体等が挙げられる。このように2元共重合体でも3元以上の共重合体でもよく、モノマーが不規則に分布していても、ブロック共重合していてもよい。
これらの共重合体にはビニルアルコール誘導体やマレイン酸誘導体、ビニルエーテル誘導体などの補助的なモノマー成分を添加してもよい。
塩化ビニル系共重合体において、塩化ビニル成分は50モル%以上含有されていることが好ましく、またマレイン酸誘導体、ビニルエーテル誘導体等の補助的なモノマー成分は10モル%以下であることが好ましい。
本発明において、ポリマーラテックスは単独でも混合物として使用しても良い。またポリマーラテックスは、均一構造であってもコア/シェル型であってもよく、このときコアとシェルをそれぞれ形成する樹脂のガラス転移温度が異なっても良い。
(ガラス転移温度)
本発明の受容層で使用するポリマーラテックスのガラス転移温度(Tg)は、−30℃〜100℃が好ましく、0℃〜90℃がより好ましく、20℃〜90℃がさらに好ましく、40℃〜90℃が特に好ましい。
なお、このガラス転移温度(Tg)は実測できない場合、下記式で計算することができる。
1/Tg=Σ(Xi/Tgi)
ここでは、ポリマーはi=1からnまでのn個のモノマー成分が共重合しているとする。Xiはi番目のモノマーの質量分率(ΣXi=1)、Tgiはi番目のモノマーの単独重合体のガラス転移温度(絶対温度)である。ただしΣはi=1からnまでの和をとる。尚、各モノマーの単独重合体ガラス転移温度の値(Tgi)は「Polymer Handbook(3rd Edition)」(J.Brandrup,E.H.Immergut著(Wiley−Interscience、1989))の値を採用できる。
また、本発明に用いられるポリマーラテックスは、ポリマー濃度がラテックス液に対して10〜70質量%であることが好ましく、20〜60質量%であることがより好ましい。受容層中の全ポリマーラテックスの添加量は、ポリマーラテックスの固形分が受容層中の全ポリマーの50〜98質量%であることが好ましく、70〜95質量%であることがより好ましい。
ポリマーラテックスの好ましい態様としては、アクリル系ポリマー、ポリエステル類、ゴム類(例えばSBR樹脂)、ポリウレタン類、塩化ビニル酢酸ビニル共重合体、塩化ビニルアクリル酸エステル共重合体、塩化ビニルメタアクリル酸共重合体等の共重合体を含めたポリ塩化ビニル共重合体、エチレン酢酸ビニル共重合体等の共重合体を含めたポリ酢酸ビニル共重合体、ポリオレフィン等のポリマーラテックスを好ましく用いることができる。これらポリマーラテックスとしては直鎖のポリマーでも枝分かれしたポリマーでもまた架橋されたポリマーでもよいし、単一のモノマーが重合したいわゆるホモポリマーでもよいし、2種類以上のモノマーが重合したコポリマーでもよい。コポリマーの場合はランダムコポリマーでも、ブロックコポリマーでもよい。これらポリマーの分子量は数平均分子量で5000〜1000000が好ましく、より好ましくは10000〜500000である。
ポリマーラテックスとしては、ポリエステルラテックス、塩化ビニル/アクリル化合物共重合体ラテックス、塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体ラテックス、塩化ビニル/酢酸ビニル/アクリル化合物共重合体ラテックス等の塩化ビニル共重合体ラテックスのいずれか1つまたは任意の組み合わせが好ましい。
塩化ビニル系共重合ラテックスとしては、例えば、ビニブラン240、ビニブラン270、ビニブラン276、ビニブラン277、ビニブラン375、ビニブラン380、ビニブラン386、ビニブラン410、ビニブラン430、ビニブラン432、ビニブラン550、ビニブラン601、ビニブラン602、ビニブラン609、ビニブラン619、ビニブラン680、ビニブラン680S、ビニブラン681N、ビニブラン683、ビニブラン685R、ビニブラン690、ビニブラン860、ビニブラン863、ビニブラン685、ビニブラン867、ビニブラン900、ビニブラン938、ビニブラン950(以上いずれも日信化学工業(株)製)、SE1320、S−830(以上いずれも住友ケムテック(株)製)が挙げられ、これらは本発明において好ましいポリマーラテックスである。
塩化ビニル系共重合ラテックス以外のポリマーラテックスとしては、ポリエステル系ポリマーラテックスを挙げることができ、例えば、バイロナール MD1200、バイロナール MD1220、バイロナール MD1245、バイロナール MD1250、バイロナール MD1500、バイロナール MD1930、バイロナール MD1985(以上いずれも東洋紡(株)製)が挙げられる。
これらのなかでも、塩化ビニル/アクリル化合物共重合体ラテックス、塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体ラテックス、塩化ビニル/酢酸ビニル/アクリル化合物共重合体ラテックス等の塩化ビニル共重合体ラテックスがもっとも好ましい。
(ポリエーテル変性シリコーンオイル)
本発明の受容層には、前記ポリマーラテックスとともにポリエーテル変性シリコーンオイルを使用する。
本発明で使用するポリエーテル変性シリコーンオイルは、画像印画時の感熱転写シートと感熱転写受像シートとの離型性を確保し、さらに本発明の効果を効果的に奏する。具体的には、受容層中のポリマーラテックス粒子同士の融着を防止し、乾燥時のひび割れを防止することが出来る。
本発明のポリエーテル変性シリコーンオイルは、25℃で液体のものが好ましい。
また、本発明のポリエーテル変性シリコーンオイルは、非反応性のものが好ましく、エポキシ基を含まないものが特に好ましい。
本発明に用いられるポリエーテル変性シリコーンオイルは、下記一般式(1)に示す片末端変性型、下記一般式(2)に示す両末端変性型、下記一般式(3)に示す側鎖変性型、または下記一般式(4)に示す主鎖共重合型が好ましい。
Figure 2010149464
一般式(1)〜(4)において、Rはアルキル基を表し、Rは−Y−(CO)−(CO)−Rを表し、Rは、水素原子、l個のアシル部を有するアシル基、l価のアルキル基、l価のシクロアルキル基または、l価のアリール基を表し、Rは各々独立に、水素原子、アシル基、アルキル基、シクロアルキル基またはアリール基を表す。Yは単結合または2価の連結基を表し、Xは2価の連結基を表す。nは正の数を表し、n’は0または正の整数を表し、mは0または正の数を表し、sは正の数を表す。aおよびbは各々独立に0または正の数を表すが、aとbが同時に0であることはない。また、n’とmが同時に0になることはない。
におけるアルキル基は置換基を有してもよい。Rのアルキル基の炭素数は1〜20が好ましく、1〜8がより好ましく、1〜4がさらに好ましい。また、置換アルキル基よりも無置換アルキル基が好ましい。なかでもメチル基またはエチル基が好ましく、メチル基が最も好ましい。
におけるl個のアシル部を有するアシル基は、1個のアシル部を有するアシル基としては、例えば、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、ベンゾイル基が挙げられ、2個のアシル部を有するアシル基としては、例えば、オキザリル基、マロニル基、スクシノイル基、マレオイル基、テレフタロイル基が挙げられ、3個のアシル部を有するアシル基としては、例えば、1,2,3−プロパントリカルボニル基が挙げられる。これらのアシル期としては、炭素数2〜20のアシル基が好ましく、炭素数2〜10のアシル基がより好ましい。
におけるl価のアルキル基において、1価のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、t−ブチル基が挙げられ、2価のアルキル基としては、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基が挙げられ、3価のアルキル基としては、例えば、1,2,3−プロパントリイル基が挙げられ、4価のアルキル基としては、例えば、1,2,2,3−プロパンテトライル基が挙げられる。これらのアルキル基の炭素数は1〜20が好ましく、1〜10がより好ましい。
におけるl価のシクロアルキル基において、1価のシクロアルキル基としては、例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基が挙げられ、2価のシクロアルキル基としては、2価のシクロヘキシル基としては、例えば、1,3−シクロペンチレン基、1,4−シクロヘキシレン基が挙げられ、3価のシクロアルキル基としては、例えば、1,3,5−シクロヘキサントリイル基が挙げられる。シクロヘキシル基の炭素数は、5〜10が好ましい。
におけるl価のアリール基において、1価のアリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基が挙げられ、2価のアリール基としては、例えば、フェニレン基が挙げられ、3価のアリール基としては、例えば、ベンゼン−1,3,5−トリイル基が挙げられる。アリール基のアリール部としてはベンゼン環が好ましい。
は、l価のアルキル基が好ましい。
におけるアシル基の炭素数は20以下が好ましく、10以下がより好ましく、5以下がさらに好ましく、アセチル基が最も好ましい。
におけるアルキル基は、置換基を有してもよい。Rのアルキル基の炭素数は1〜20が好ましく、1〜8がより好ましく、1〜4がさらに好ましい。また、置換アルキル基よりも無置換アルキル基が好ましい。なかでもメチル基またはエチル基が好ましく、メチル基が最も好ましい。
におけるシクロアルキル基は、置換基を有してもよく、シクロペンチル基、シクロヘキシル基が好ましく、無置換のシクロアルキル基がさらに好ましい。
におけるアリール基は、置換基を有してもよく、フェニル基、ナフチル基が挙げられるが、フェニル基が好ましい。置換基としては、アルキル基、ハロゲン原子が好ましいが、無置換のフェニル基が最も好ましい。
は、水素原子、アシル基、アルキル基またはアリール基が好ましく、水素原子、アシル基またはアルキル基がより好ましく、アルキル基がさらに好ましい。
X、Yにおける2価の連結基は、アルキレン基、アルキレンオキシ基が好ましく、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基が挙げられ、アルキレンオキシ基としては、例えば、−CHCHO−、−CH(CH)CHO−、−CHCH(CH)O−または−(CHO−が挙げられ、これらが好ましい。連結基の炭素数は1〜4が好ましく、2または3がより好ましい。
また、XおよびYは、単結合または上記の好ましい2価の連結基が好ましい。
aおよびbは、0または1以上の整数が好ましく、0以上500以下がより好ましく、0以上200以下がさらに好ましい。
nは1以上1000以下が好ましく、n’およびmは0以上1000以下が好ましい。
sは1〜10が好ましく、1〜6がより好ましく、1〜4がさらに好ましい。
一般式(1)〜(4)で表されるポリエーテル変性シリコーンオイルのなかでも、一般式(2)〜(4)で表されるポリエーテル変性シリコーンオイルが好ましく、一般式(2)または(3)で表されるポリエーテル変性シリコーンオイルがより好ましく、一般式(3)で表されるポリエーテル変性シリコーンオイルが最も好ましい。
本発明のポリエーテル変性シリコーンは、HLB値(Hydrophile−Lipophile Balance)は、5以上9以下であることが好ましい。より好ましくは5以上7以下が好ましい。HLB値が低過ぎると塗工液中で分離・凝集し、面状故障の原因となる。HLB値が高いと離型効果およびラテックス粒子表面への配向効果が小さく十分な効果が発揮されない。
本発明において、HLB値はグリフィン法に基づき、以下の式で定義された計算式で求める(西一郎、今井怡知朗、笠井正威 共編,「界面活性剤便覧」,産業図書株式会社(1960年))。
HLB = 20 × Mw/M
ここで、Mは分子量であり、Mwは親水性部分の式量(分子量)である。ちなみに、M=Mw + Mo であり、ここで、Moは新油性部分の式量(分子量)である。
本発明で用いるポリエーテル変性シリコーンオイルの具体例としては、信越化学株式会社製 KF−351A、KF-352A、KF−353、KF−354L、KF−355A、KF−615A、KF−945、KF−640、KF−642、KF−643、KF−6020、KF−6011、KF−6012、KF-6015、KF-6017、X-22-4515、X−22−6191、東レ・ダウコーニング株式会社製 SH3749、SH3773M、SH8400、SF8427、SF8428、FZ-2101、FZ−2104、FZ−2110、FZ−2118、FZ−2162、FZ−2203、FZ−2207、FZ-2208、FZ−77、L-7001、L-7002(いずれも商品名)等が挙げられる。
また、本発明で用いるポリエーテル変性シリコーンオイルは、例えば、特開2002−179797号公報、特開2008−1896号公報、特開2008−1897号公報に記載の方法または、これに準じた方法で、容易に合成できる。
本発明のポリエーテル変性シリコーンオイルは単独でも、2種類以上混合して使用することもできる。また、本発明のポリエーテル変性シリコーンオイルに他の離型剤を併用してもよい。併用してもよい離型剤としては、例えば、ポリエチレンワックス、パラフィンワックス、脂肪酸エステルワックス、アミドワックス等の固形ワックス類、シリコーンオイル、リン酸エステル系化合物、フッ素系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤およびその他当該技術分野で公知の離型剤を使用することができる。
ポリエーテル変性シリコーンオイルの添加量としては、受容層中の全ポリマーラテックスに対して1質量%〜20質量%が好ましく、1質量%〜10質量%がより好ましい。
(水溶性ポリマー)
本発明の感熱転写受像シートにおいては、受容層や後述する断熱層は水溶性ポリマーを含有することも好ましい態様の一つである。
ここで、水溶性ポリマーとは、20℃における水100gに対し0.05g以上溶解すればよく、より好ましくは0.1g以上、さらに好ましくは0.5g以上、特に好ましくは1g以上である。水溶性ポリマーとしては、天然高分子、半合成高分子および合成高分子のいずれも好ましく用いられる。
本発明の感熱転写受像シートに用いることのできる水溶性ポリマーのうち、天然高分子および半合成高分子について詳しく説明する。植物系多糖類としては、κ−カラギーナン、ι−カラギーナン、λ−カラギーナン、ペクチンなど、微生物系多糖類としては、キサンタンガム、デキストリンなど、動物系天然高分子としては、ゼラチン、カゼインなどが挙げられる。セルロース系としては、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースなどが挙げられる。
本発明に用いることのできる天然高分子、半合成高分子のうちゼラチンが好ましい。本発明に用いるゼラチンは分子量10,000から1,000,000までのものを用いることができる。本発明に用いられるゼラチンはCl-、SO 2-等の陰イオンを含んでいてもよいし、Fe2+、Ca2+、Mg2+、Sn2+、Zn2+などの陽イオンを含んでいても良い。ゼラチンは水に溶かして添加することが好ましい。
本発明の感熱転写受像シートに用いることのできる水溶性ポリマーのうち、合成高分子については、ポリビニルピロリドン、ポリビニルピロリドン共重合体、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、水溶性ポリエステルなどである。
本発明に用いることのできる合成高分子のうちポリビニルアルコール類が好ましい。
ポリビニルアルコールについては、完全けん化物、部分けん化物、変性ポリビニルアルコール等、各種ポリビニルアルコールを用いることができる。これらポリビニルアルコールについては、長野浩一ら共著,「ポバール」(高分子刊行会発行)に記載のものが用いられる。
ポリビニルアルコールは、その水溶液に添加する微量の溶剤あるいは無機塩類によって粘度調整をしたり粘度安定化させたりすることが可能であって、詳しくは上記文献、長野浩一ら共著,「ポバール」,高分子刊行会発行,144〜154頁記載のものを使用することができる。その代表例としてホウ酸を含有させることで塗布面質を向上させることができ、好ましい。ホウ酸の添加量は、ポリビニルアルコールに対し0.01〜40質量%であることが好ましい。
ポリビニルアルコールの具体例としては、完全けん化物としてはPVA−105、PVA−110、PVA−117、PVA−117Hなど、部分けん化物としてはPVA−203、PVA−205、PVA−210、PVA−220など、変性ポリビニルアルコールとしてはC−118、HL−12E、KL−118、MP−203が挙げられる。
本発明において、水溶性ポリマーは、ゼラチン、ポリビニルアルコールが好ましく、ゼラチンがより好ましい。
受容層には、紫外線吸収剤、滑剤、酸化防止剤、防腐剤、界面活性剤、造膜助剤、硬膜剤を含有させてもよい。
受容層の塗布量は、0.5〜10g/m(固形分換算、以下本発明における塗布量は特に断りのない限り、固形分換算の数値である。)が好ましい。受容層の膜厚は1〜20μmであることが好ましい。
(断熱層)
本発明の感熱転写受像シートに塗設される断熱層は少なくとも2層の断熱層を有し、2層以上でも良い。少なくとも2層以上の断熱層は、受容層と支持体の間に設けられる。
本発明において、断熱層は中空ポリマー粒子を含有する。
本発明における中空ポリマー粒子(以下、中空粒子ともいう)とは粒子内部に空隙を有するポリマー粒子であり、好ましくは水分散物であり、例えば、1)ポリスチレン、アクリル樹脂、スチレン−アクリル樹脂等により形成された隔壁内部に水などの分散媒が入っており、塗布乾燥後、粒子内の水が粒子外に蒸発して粒子内部が中空となる非発泡型の中空ポリマー粒子、2)ブタン、ペンタンなどの低沸点液体を、ポリ塩化ビニリデン、ポリアクリロニトリル、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸エステルのいずれか又はそれらの混合物もしくは重合物よりなる樹脂で覆っており、塗工後、加熱により粒子内部の低沸点液体が膨張することにより内部が中空となる発泡型マイクロバルーン、3)上記の2)をあらかじめ加熱発泡させて中空粒子としたマイクロバルーンなどが挙げられる。
これらの中でも、上記1)の非発泡型の中空粒子が好ましく、必要に応じて2種以上混合して使用することができる。具体例としてはロームアンドハース社製 ローペイク HP−1055、JSR社製 SX866(B)、日本ゼオン社製 Nipol MH5055(いずれも商品名)などが挙げられる。
本発明において2層以上有する断熱層のうち支持体から最も遠い側の断熱層における中空粒子の平均粒子径は、0.3μm以上5.0μm以下であることが好ましく、0.8μm以上2.0μm以下であることがより好ましい。また、支持体から最も近い側の断熱層における中空粒子の平均粒子径は、0.1μm以上2.0μm以下であることが好ましく、0.3〜0.8μm以下であることがより好ましい。
また、本発明に用いられる中空粒子は、空隙率が20〜80%程度のものが好ましく、30〜70%程度のものがより好ましい。
本発明に用いられる中空粒子のサイズは、透過型電子顕微鏡を用いて、その外径の円相当換算直径を測定し算出する。平均粒径は、中空粒子を少なくとも300個透過電子顕微鏡を用いて観察し、その外形の円相当径を算出し、平均して求める。
中空粒子の空隙率とは、粒子体積に対する空隙部分の体積の割合から求める。
中空粒子の樹脂特性として、ガラス転移温度(Tg)が70℃以上200℃以下であることが好ましく、90℃以上180℃以下である中空粒子がさらに好ましい。中空粒子としては、中空粒子ラテックスが特に好ましい。
本発明において中空粒子を含む断熱層中には、中空粒子以外にバインダーとして水溶性ポリマーを含有する。例としては、受容層の項で記載した水溶性ポリマーが挙げられる。これら水溶性ポリマーのなかで、ゼラチン、ポリビニルアルコール類が好ましく、特にゼラチンが好ましい。これらの樹脂は単独又は混合して用いることができる。
本発明においては、少なくとも2層の断熱層が中空粒子および水溶性ポリマーをそれぞれ少なくとも1種含有し、支持体から最も近い断熱層における中空粒子と水溶性ポリマーの質量比が、(中空粒子固形分質量/水溶性ポリマー固形分質量)≦3.5の関係を満たすものである。更に好ましくは1.0以上3.2以下であり、1.5以上3.2以下がより好ましい。
支持体から最も近い側の断熱層における水溶性ポリマーの比率が少なすぎると、膜中結合力が不足するため支持体裏面から接触する搬送グリップローラーのスパイク痕起因の凹凸が発生し、印画面内に未印画欠陥が発生する。
ここで、本発明において前記の支持体から最も遠い側の断熱層における、中空粒子固形分質量/水溶性ポリマー固形分質量比は、3.0以上20以下であることが好ましく、3.2以上15以下であることが好ましい。前記の支持体から最も遠い側の断熱層における水溶性ポリマーの比率が多すぎると十分な断熱性を得ることができないことがあり、水溶性ポリマーの比率が少なすぎると膜中の結着力が低下し、処理中に粉落ち、または膜はがれなどの問題を生じることがある。
前記の最も遠い側の断熱層の塗布量は、1.0〜15g/m2であることが好ましく、2.5〜10g/m2であることがより好ましい。また、支持体から最も近い側の断熱層の塗布量は、2.0〜20g/m2であることが好ましく、3.0〜15g/m2であることがより好ましい。
<中間層>
受容層と支持体との間には断熱層以外に中間層が形成されていてもよく、中間層の機能としては白地調整、帯電防止、接着性付与、平滑性付与などが挙げられるが、これらに限定されることなく、従来公知の中間層を付与することができる。
(紫外線吸収剤)
本発明の感熱転写受像シートには、紫外線吸収剤を含有させてもよい。その紫外線吸収剤としては、従来公知の無機系紫外線吸収剤、有機系紫外線吸収剤が使用できる。有機系紫外線吸収剤としては、サリシレート系、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、トリアジン系、置換アクリロニトリル系、ヒンダートアミン系等の非反応性紫外線吸収剤や、これらの非反応性紫外線吸収剤に、例えば、ビニル基やアクリロイル基、メタアクリロイル基等の付加重合性二重結合、あるいは、アルコール性水酸基、アミノ基、カルボキシル基、エポキシ基、イソシアネート基等を導入し、アクリル樹脂等の熱可塑性樹脂に共重合若しくは、グラフトしたものを使用することができる。また、樹脂のモノマーまたはオリゴマーに紫外線吸収剤を溶解させた後、このモノマーまたはオリゴマーを重合させる方法が開示されており(特開2006−21333号公報)、こうして得られた紫外線遮断性樹脂を用いることもできる。この場合には紫外線吸収剤は非反応性のもので良い。
これら紫外線吸収剤に中でも、特にベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、トリアジン系が好ましい。これら紫外線吸収剤は画像形成に使用する染料の特性に応じて、有効な紫外線吸収波長域をカバーするように組み合わせて使用することが好ましく、また、非反応性紫外線吸収剤の場合には紫外線吸収剤が析出しないように構造が異なるものを複数混合して用いることが好ましい。
紫外線吸収剤の市販品としては、チヌビン−P(チバガイギー製)、JF−77(城北化学製)、シーソープ701(白石カルシウム製)、スミソープ200(住友化学製)、バイオソープ520(共同薬品製)、アデカスタブLA−32(旭電化製)等が挙げられる。
(界面活性剤)
また、本発明の感熱転写受像シートは、前記の任意の層に界面活性剤を含有させることが出来る。その中でも、受容層及び中間層中に含有させることが好ましい。
界面活性剤の添加量は、全固形分量に対して0.01〜5質量%であることが好ましく、0.01〜1質量%であることがより好ましく、0.02〜0.2質量%であることが特に好ましい。
界面活性剤としては、アニオン系、ノニオン系、カチオン系など種々の界面活性剤が知られている。本発明で用いることのできる界面活性剤としては、公知のものが使用でき、例えば、「機能性界面活性剤監修/角田光雄、発行/2000年8月、第6章」で紹介されているもの等を用いることができるが、その中でもアニオン系のフッ素含有界面活性剤が好ましい。
(防腐剤)
本発明の感熱転写受像シートには、防腐剤を添加してもよい。本発明の感熱転写受像シートに含有される防腐剤としては、特に限定されないが、防腐防黴ハンドブック、技報堂出版(1986)、堀口博著、防菌防黴の化学、三共出版(1986)、防菌防黴剤事典、日本防菌防黴学会発行(1986)等に記載されているものを用いることができる。具体的には、イミダゾール誘導体、デヒドロ酢酸ナトリウム、4−イソチアゾリン−3−オン誘導体、ベンゾイソチアゾリン−3−オン、ベンゾトリアゾール誘導体、アミジングアニジン誘導体、四級アンモニウム塩類、ピロジン,キノリン,グアニジン等の誘導体、ダイアジン、トリアゾール誘導体、オキサゾール、オキサジン誘導体、2−メルカプトピリジン−N−オキサイドまたはその塩等が挙げられる。これらの中でも、4−イソチアゾリン−3−オン誘導体、ベンゾイソチアゾリン−3−オンが好ましい。
(造膜助剤)
本発明の感熱転写受像シートには、高沸点溶剤を添加することが好ましい。高沸点溶剤は造膜助剤または可塑剤として機能し、ポリマーラテックスの最低造膜温度を低下させる有機化合物(通常有機溶剤)で、例えば室井宗一著,「合成ラテックスの化学」,高分子刊行会発行(1970年)に記載されている。高沸点溶剤(造膜助剤)の例として以下のものが挙げられる。
Z−1:ベンジルアルコール類
Z−2:2,2,4−トリメチルペンタンジオール−1,3−モノイソブチレート類
Z−3:2−ジメチルアミノエタノール類
Z−4:ジエチレングリコール類
これらの高沸点溶剤を添加すると、画像のにじみが見られ、実用上好ましくない場合があるが、塗布膜中の上記溶剤類の含有量が固形分で1%以下であれば、性能上問題がない。
(硬膜剤)
本発明においては、硬膜剤を使用してもよい。感熱転写受像シートの塗設層(例えば、受容層、断熱層、下塗層など)中に添加することができる。
本発明で用いることができる硬膜剤としては、特開平1−214845号公報17頁のH−1,4,6,8,14,米国特許第4,618,573号明細書のカラム13〜23の式(VII)〜(XII)で表される化合物(H−1〜54)、特開平2−214852号公報8頁右下の式(6)で表される化合物(H−1〜76),特にH−14、米国特許第3,325,287号明細書のクレーム1に記載の化合物などが好ましく用いられる。硬膜剤の例としては米国特許第4,678,739号明細書の第41欄、同第4,791,042号、特開昭59−116655号、同62−245261号、同61−18942号、特開平4−218044号の公報または明細書等に記載の硬膜剤が挙げられる。より具体的には、アルデヒド系硬膜剤(ホルムアルデヒドなど)、アジリジン系硬膜剤、エポキシ系硬膜剤、ビニルスルホン系硬膜剤(N,N’−エチレン−ビス(ビニルスルホニルアセタミド)エタンなど)、N−メチロール系硬膜剤(ジメチロール尿素など)、ほう酸、メタほう酸あるいは高分子硬膜剤(特開昭62−234157号公報などに記載の化合物)が挙げられる。
好ましくはビニルスルホン系硬膜剤やクロロトリアジン類が挙げられる。
(マット剤)
本発明の感熱転写受像シートにおいて、ブロッキング防止、離型性付与、滑り性付与のためにマット剤を添加しても良い。マット剤は感熱転写受像シートの受容層が塗布される面、受容層が塗布される他方の面、あるいはその両方の面に添加することができる。
マット剤は、一般に水に不溶の有機化合物の微粒子、無機化合物の微粒子を挙げることができるが、本発明では、分散性の観点から、有機化合物を含有する微粒子が好ましい。有機化合物を含有していれば、有機化合物単独からなる有機化合物微粒子であっても良いし、有機化合物だけでなく無機化合物をも含有した有機/無機複合微粒子であっても良い。マット剤の例としては、例えば米国特許第1,939,213号、同2,701,245号、同2,322,037号、同3,262,782号、同3,539,344号、同3,767,448号等の各明細書に記載の有機マット剤を用いることができる。
<支持体>
本発明の感熱転写受像シートに用いる支持体は、従来公知の支持体を用いることができる。その中でも耐水性支持体が好ましく用いられる。耐水性支持体を用いることで支持体中に水分が吸収されるのを防止して、受容層の経時による性能変化を防止することができる。耐水性支持体としては例えばコート紙やラミネート紙、合成紙を用いることができる。なかでもラミネート紙が好ましい。
<カール調整層>
本発明に用いる感熱転写受像シートには、必要に応じてカール調整層を形成することが好ましい。カール調整層には、ポリエチレンラミネートやポリプロピレンラミネート等が用いられる。具体的には、例えば特開昭61−110135号公報、特開平6−202295号公報などに記載されたものと同様にして形成することができる。
<筆記層・帯電調整層>
本発明に用いる感熱転写受像シートには、必要に応じて筆記層・帯電調整層を設けることができる。筆記層、帯電調整層には、無機酸化物コロイドやイオン性ポリマー等を用いることができる。帯電防止剤として、例えば第四級アンモニウム塩、ポリアミン誘導体等のカチオン系帯電防止剤、アルキルホスフェート等のアニオン系帯電防止剤、脂肪酸エステル等のノニオン系帯電防止剤など任意のものを用いることができる。具体的には、例えば特許第3585585号公報などに記載されたものと同様にして形成することができる。
以下、本発明の感熱転写受像シートの製造方法について説明する。
本発明の感熱転写受像シートでは受容層の少なくとも1層を水系の塗布液で塗布する。複数の受容層を有する場合、これらの全ての受容層を水系の塗布液を塗布後乾燥して調製することが好ましい。ただし、ここで言う「水系」とは塗布液の溶媒(分散媒)の60質量%以上が水であることをいう。塗布液の水以外の成分としてはメチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ジメチルホルムアミド、酢酸エチル、ジアセトンアルコール、フルフリルアルコール、ベンジルアルコール、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、オキシエチルフェニルエーテルなどの水混和性の有機溶媒を用いることができる。
各層の塗布は、ロールコート、バーコート、グラビアコート、グラビアリバースコート、ダイコート、スライドコート、カーテンコート等の一般的な方法で行われる。受容層、中間層は、各層それぞれ別々に塗布されてもよく、任意の層を組み合わせて同時重層塗布をしてもよく、本発明において好ましい。
<画像形成方法>
本発明の画像形成方法では、感熱転写受像シートの受容層と感熱転写シートの染料層(熱転写層)とが接するように重ね合わせて、サーマルヘッドからの画像信号に応じた熱エネルギーを付与することにより画像を形成する。
具体的な画像形成は、例えば特開2005−88545号公報などに記載された方法と同様にして行うことができる。本発明では、消費者にプリント物を提供するまでの時間を短縮するという観点から、プリント時間は15秒未満が好ましく、3〜12秒がより好ましく、さらに好ましくは、3〜7秒である。
上記プリント時間を満たすために、プリント時のライン速度は2.0msec/line以下が好ましく、1.5msec/line以下であることがより好ましく、更に好ましくは0.73msec/line以下であり、最も好ましくは0.65msec/line以下である。また、高速化条件における転写効率向上の観点から、プリント時のサーマルヘッド最高到達温度は、180℃以上450℃以下が好ましく、更に好ましくは200℃以上450℃以下である。更には350℃以上450℃以下が好ましい。
本発明は、感熱転写記録方式を利用したプリンター、複写機などに利用することができる。熱転写時の熱エネルギーの付与手段は、従来公知の付与手段のいずれも使用することができ、例えば、サーマルプリンター(例えば、日立製作所製、商品名、ビデオプリンターVY−100)等の記録装置によって記録時間をコントロールすることにより、5〜100mJ/mm程度の熱エネルギーを付与することによって所期の目的を十分に達成することができる。また、本発明の感熱転写受像シートは、支持体を適宜選択することにより、熱転写記録可能な枚葉またはロール状の感熱転写受像シート、カード類、透過型原稿作成用シート等の各種用途に適用することもできる。
以下、本発明を実施例に基づき更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例中で、部または%とあるのは、特に断りのない限り質量基準である。
(熱転写シートの作製)
支持体として片面に易接着処理がされている厚さ6.0μmのポリエステルフィルム(ダイアホイルK200E−6F、商品名、三菱化学ポリエステルフィルム(株)製)の易接着処理がされていない面に、乾燥後の固形分塗布量が1g/mとなるように背面層塗工液を塗布した。乾燥後、60℃で熱処理を行い硬化させた。
このようにして作製したポリエステルフィルムの易接着層塗布側に前記塗工液により、イエロー、マゼンタ、シアンの各感熱転写層および転写性保護層積層体を面順次となるように塗布した感熱転写シートを作製した。各染料層の固形分塗布量は、0.8g/mとした。
なお、転写性保護層積層体の形成は、離型層用塗工液を塗布し、乾燥した後に、その上に保護層用塗工液を塗布し、乾燥した後に、さらにその上に接着層塗工液を塗布した。
背面層塗工液
アクリル系ポリオール樹脂 26.0質量部
(アクリディックA−801、商品名、大日本インキ化学工業(株)製)
ステアリン酸亜鉛 0.43質量部
(SZ−2000、商品名、堺化学工業(株)製)
リン酸エステル 1.27質量部
(プライサーフA217、商品名、第一工業製薬(株)製)
イソシアネート(50%溶液) 8.0質量部
(バーノックD−800、商品名、大日本インキ化学工業(株)製)
メチルエチルケトン/トルエン(質量比2/1) 64質量部
イエロー染料層塗工液
染料化合物(Y−1) 3.9質量部
染料化合物(Y−2) 3.9質量部
ポリビニルアセタール樹脂 6.1質量部
(エスレックKS−1、商品名、積水化学工業(株)製)
ポリビニルブチラール樹脂 2.1質量部
(デンカブチラール#6000−C、商品名、電気化学工業(株)製)
離型剤 0.05質量部
(X−22−3000T、商品名、信越化学工業(株)製)
離型剤 0.03質量部
(TSF4701、商品名、モメンティブ・パフォーマンス・
マテリアルズ・ジャパン合同会社製)
マット剤 0.15質量部
(フローセンUF、商品名、住友精工(株)製)
メチルエチルケトン/トルエン(質量比2/1) 84質量部
Figure 2010149464
マゼンタ染料層塗工液
染料化合物(M−1) 0.1質量部
染料化合物(M−2) 0.7質量部
染料化合物(M−3) 6.6質量部
ポリビニルアセタール樹脂 8.0質量部
(エスレックKS−1、商品名、積水化学工業(株)製)
ポリビニルブチラール樹脂 0.2質量部
(デンカブチラール#6000−C、商品名、電気化学工業(株)製)
離型剤 0.05質量部
(X−22−3000T、商品名、信越化学工業(株)製)
離型剤 0.03質量部
(TSF4701、商品名、モメンティブ・パフォーマンス・
マテリアルズ・ジャパン合同会社製)
マット剤 0.15質量部
(フローセンUF、商品名、住友精工(株)製)
メチルエチルケトン/トルエン(質量比2/1) 84質量部
Figure 2010149464
シアン染料塗工液
染料化合物(C−1) 1.2質量部
染料化合物(C−2) 6.6質量部
ポリビニルアセタール樹脂 7.4質量部
(エスレックKS−1、商品名、積水化学工業(株)製)
ポリビニルブチラール樹脂 0.8質量部
(デンカブチラール#6000−C、商品名、電気化学工業(株)製)
離型剤 0.05質量部
(X−22−3000T、商品名、信越化学工業(株)製)
離型剤 0.03質量部
(TSF4701、商品名、モメンティブ・パフォーマンス・
マテリアルズ・ジャパン合同会社製)
マット剤 0.15質量部
(フローセンUF、商品名、住友精工(株)製)
メチルエチルケトン/トルエン(質量比2/1) 84質量部
Figure 2010149464
(転写性保護層積層体)
染料層の作製に使用したものと同じポリエステルフィルムに、以下に示す組成の離型層,保護層および接着層用塗工液を塗布し、転写性保護層積層体を形成した。乾膜時の塗布量は離型層0.3g/m、保護層0.5g/m、接着層2.2g/mとした。
離型層塗工液
変性セルロース樹脂 5.0質量部
(L−30、商品名、ダイセル化学)
メチルエチルケトン 95.0質量部
保護層塗工液
アクリル樹脂 30質量部
(ダイアナールBR−100、商品名、三菱レイヨン(株)製)
イソプロパノール 70質量部
接着層塗工液
アクリル樹脂 25質量部
(ダイアナールBR−77、商品名、三菱レイヨン(株)製)
下記紫外線吸収剤UV−1 1質量部
下記紫外線吸収剤UV−2 2質量部
下記紫外線吸収剤UV−3 1質量部
下記紫外線吸収剤UV−4 1質量部
シリコーン樹脂微粒子 0.05質量部
(トパール120、商品名、モメンティブ・パフォーマンス・
マテリアルズ・ジャパン合同会社製)
メチルエチルケトン/トルエン(質量比2/1) 70質量部
Figure 2010149464
(感熱転写受像シート1の作製)
ポリエチレンで両面ラミネートした紙支持体表面に、コロナ放電処理を施した後、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムを含むゼラチン下塗層を設けた。この上に、下記組成の断熱層、受容層を支持体側からこの順に積層させた状態で、米国特許第2,761,791号明細書に記載の第9図に例示された方法により、同時重層塗布を行った。
受容層塗布液1
特開平2008−254386号公報に記載の実施例1の受容層形成用塗工液1を調製して用いた。
エチレン−酢酸ビニル−塩化ビニル共重合体エマルジョン 15.0質量部
(Sumikaflex、商品名、住化ケムテックス社製)
離型成分:ポリエーテル変性シリコーン 1.5質量部
(KF−615A、商品名、信越化学工業社製、側鎖変性型、HLB値=10)
ゼラチン(GBL−200 新田ゼラチン社製) 3質量部
界面活性剤(サーフィノール465、商品名、日信化学工業社製)0.12質量部
断熱層塗布液1
特開平2008−254386号公報に記載の実施例1の多孔質層形成用塗工液1を調製して用いた。
中空粒子 12.83質量部
(HP−91、商品名、ローム・アンド・ハース社製)
ゼラチン(GBL−200 新田ゼラチン社製) 5.5質量部
界面活性剤(サーフィノール465、商品名、日信化学工業社製)0.01質量部
水 81.66質量部
中空粒子固形分質量/水溶性ポリマー固形分質量 = 2.3
それぞれの乾燥後の膜厚は、断熱層:25μm、受容層:4μmとなるように塗布を行った。
(感熱転写受像シート2の作製)
ポリエチレンで両面ラミネートした紙支持体表面に、コロナ放電処理を施した後、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムを含むゼラチン下塗層を設けた。この上に、下記組成の断熱下層、断熱上層、受容層を支持体側からこの順に、グラビアコートで、それぞれ乾燥後の塗布量が、断熱下層:5.0g/m、断熱上層:1.0g/m、及び受容層:4.0g/mとなるように塗布を行った。この場合、支持体から最も近い断熱層は断熱下層であり、支持体から最も遠い断熱層は断熱上層である。
受容層塗布液2
特開平2006−264091号公報に記載の実施例1の受容層用塗工液(I)を調製して用いた。
塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体エマルジョン 100質量部
(ビニブラン601、固形分濃度43%、商品名、日信化学工業社製)
離型剤:ポリエーテル変性シリコーン 2.5質量部
(SH−3771、商品名、東レ・ダウ・コーニング・シリコーン社製、
側鎖変性型、HLB値=13)
硬化剤(スミレーズレジン613、硬化剤、住友化学社製) 0.5質量部
触媒A(スミレーズレジン613用、住友化学社製) 0.1質量部
水 10質量部
断熱上層塗布液1
特開平2006−264091号公報に記載の実施例1の多孔質B用塗工液を調製して用いた。
高架橋スチレン−アクリル系中空粒子 100質量部
(AE−866、商品名、高架橋タイプ、固形分20%、中空率30%、
体積平均粒径0.3μm、JSR社製)
ポリエステル樹脂 11質量部
(AP−40、商品名、固形分20%、大日本インキ化学社製)
水 5質量部
イソプロピルアルコール[IPA] 10質量部
断熱下層塗布液1
特開平2006−264091号公報に記載の実施例1の多孔質A用塗工液を調製して用いた。
アクリル系中空粒子 100質量部
(ローペイクHP−1055、商品名、平均粒径1.0μm、固形分26.5%、
中空率55%、中空粒子径1.0μm、ロームアンドハース社製)
ポリビニルアルコール溶液 29.4質量部
(KM−11、商品名、固形分10%、日本合成化学社製)
水 5質量部
イソプロピルアルコール[IPA] 10質量部
中空粒子固形分質量/水溶性ポリマー固形分質量 = 9.0
(感熱転写受像シート3の作製)
ポリエチレンで両面ラミネートした紙支持体表面に、コロナ放電処理を施した後、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムを含むゼラチン下塗層を設けた。この上に、下記組成の下引き層、断熱下層、断熱上層、受容層を支持体側からこの順に積層させた状態で、米国特許第2,761,791号明細書に記載の第9図に例示された方法により、同時重層塗布を行った。この場合、支持体から最も近い断熱層は断熱下層であり、支持体から最も遠い断熱層は断熱上層である。それぞれの乾燥時の塗布量が下引き層:6.4g/m、断熱下層:25g/m、断熱上層:2.0g/m、受容層:2.5g/mとなるように塗布を行った。
受容層塗布液3
塩化ビニル系ラテックス 20.0質量部
(ビニブラン900、商品名、日信化学工業(株)製、固形分40%)
塩化ビニル系ラテックス 20.0質量部
(ビニブラン690、商品名、日信化学工業(株)製、固形分55%)
ゼラチン(10%水溶液) 7.0質量部
下記エステル系ワックスEW−1 1.0質量部
下記界面活性剤F−1(5%水溶液) 1.5質量部
下記界面活性剤F−2(5%水溶液) 5.0質量部
断熱上層塗布液2
特開平2006−62114号公報の実施例に記載の熱転写受像シート8の断熱層上層塗布液2を調製して用いた。
アクリルスチレン系中空粒子 2質量部
(Nipol MH5055、商品名、平均粒径0.5μm、固形分30%、
日本ゼオン(株)製)
アルカリ処理ゼラチン 4.2質量部
水 104.4質量部
中空粒子固形分質量/水溶性ポリマー固形分質量 = 0.14
断熱下層塗布液2
特開平2006−62114号公報の実施例に記載の熱転写受像シート8の断熱層下層塗布液2を調製して用いた。
アクリルスチレン系中空粒子 100質量部
(Nipol MH5055、商品名、平均粒径0.5μm、固形分30%、
日本ゼオン(株)製)
アルカリ処理ゼラチン 7.5質量部
水 128質量部
中空粒子固形分質量/水溶性ポリマー固形分質量 = 4.0
下引き層塗布液1
ポリビニルアルコール 5.0質量部
(ポバールPVA205、商品名、(株)クラレ製)
スチレンブタジエンゴムラテックス 61.7質量部
(SN−307、商品名、日本エイアンドエル(株)製、固形分48%)
Figure 2010149464
(感熱転写受像シート4の作製)
感熱転写受像シート3の作製において、断熱上層の塗布液として下記の断熱上層塗布液3を用い、断熱下層の塗布液として下記の断熱下層塗布液3を用い、それぞれの乾燥時の塗布量が断熱下層:8.0g/m、断熱上層:6.0g/mとした以外は同様にして感熱転写受像シート4を作成した。
断熱上層塗布液3
アクリルスチレン系中空粒子 54質量部
(Nipol MH5055、商品名、平均粒径0.5μm、固形分30%、
日本ゼオン(株)製)
ゼラチン(10%水溶液) 25質量部
水 10質量部
中空粒子固形分質量/水溶性ポリマー固形分質量 = 6.5
断熱下層塗布液3
アクリルスチレン系中空粒子 33質量部
(Nipol MH5055、商品名、平均粒径0.5μm、固形分30%、
日本ゼオン(株)製)
ゼラチン(10%水溶液) 50質量部
中空粒子固形分質量/水溶性ポリマー固形分質量 = 2.0
(感熱転写受像シート5の作製)
感熱転写受像シート4の作製において、断熱下層の塗布液として下記の断熱下層塗布液4を用い、受容層の塗布液として下記の受容層塗布液4を用いた以外は同様にして感熱転写受像シート5を作成した。
受容層塗布液4
塩化ビニル系ラテックス 20.0質量部
(ビニブラン900、商品名、日信化学工業(株)製、固形分40%)
塩化ビニル系ラテックス 20.0質量部
(ビニブラン690、商品名、日信化学工業(株)製、固形分55%)
ゼラチン(10%水溶液) 7.0質量部
ポリエーテル変性シリコーンオイル 1.0質量部
(KF−352A、商品名、信越化学工業(株)製、側鎖変性型、HLB値=7)
前記界面活性剤F−1(5%水溶液) 1.5質量部
前記界面活性剤F−2(5%水溶液) 5.0質量部
断熱下層塗布液4
アクリルスチレン系中空粒子 40質量部
(日本ゼオン社製Nipol MH5055、平均粒径0.5μm、固形分30%)
ゼラチン(10%水溶液) 30質量部
中空粒子固形分質量/水溶性ポリマー固形分質量 = 4.0
(感熱転写受像シート6の作製)
感熱転写受像シート5の作製において、断熱下層の塗布液として下記の断熱下層塗布液5を用いた以外は同様にして感熱転写受像シート6を作成した。
断熱下層塗布液5
アクリルスチレン系中空粒子 60質量部
(日本ゼオン社製Nipol MH5055、平均粒径0.5μm、固形分30%)
ゼラチン(10%水溶液) 51質量部
中空粒子固形分質量/水溶性ポリマー固形分質量 = 3.5
(感熱転写受像シート7の作製)
感熱転写受像シート5の作製において、断熱下層の塗布液として下記の断熱下層塗布液6を用いた以外は同様にして感熱転写受像シート7を作成した。
断熱下層塗布液6
アクリルスチレン系中空粒子 33質量部
(日本ゼオン社製Nipol MH5055、平均粒径0.5μm、固形分30%)
ゼラチン(10%水溶液) 50質量部
中空粒子固形分質量/水溶性ポリマー固形分質量 = 2.0
(感熱転写受像シート8の作製)
感熱転写受像シート5の作製において、断熱下層の塗布液として下記の断熱下層塗布液7を用いた以外は同様にして感熱転写受像シート8を作成した。
断熱下層塗布液7
アクリルスチレン系中空粒子 20質量部
(日本ゼオン社製Nipol MH5055、平均粒径0.5μm、固形分30%)
ゼラチン(10%水溶液) 40質量部
中空粒子固形分質量/水溶性ポリマー固形分質量 = 1.5
(感熱転写受像シート9の作製)
感熱転写受像シート7の作製において、受容層の塗布液として下記の受容層塗布液5を用いた以外は同様にして感熱転写受像シート9を作成した。
受容層塗布液5
塩化ビニル系ラテックス 20.0質量部
(ビニブラン900、商品名、日信化学工業(株)製、固形分40%)
塩化ビニル系ラテックス 20.0質量部
(ビニブラン690、商品名、日信化学工業(株)製、固形分55%)
ゼラチン(10%水溶液) 7.0質量部
ポリエーテル変性シリコーンオイル 1.0質量部
(L−7001、商品名、東レ・ダウ・コーニング・シリコーン社製、
側鎖変性型、HLB値=5)
前記界面活性剤F−1(5%水溶液) 1.5質量部
前記界面活性剤F−2(5%水溶液) 5.0質量部
(感熱転写受像シート10の作製)
感熱転写受像シート7の作製において、受容層の塗布液として下記の受容層塗布液6を用いた以外は同様にして感熱転写受像シート10を作成した。
受容層塗布液6
塩化ビニル系ラテックス 20.0質量部
(ビニブラン900、商品名、日信化学工業(株)製、固形分40%)
塩化ビニル系ラテックス 20.0質量部
(ビニブラン690、商品名、日信化学工業(株)製、固形分55%)
ゼラチン(10%水溶液) 7.0質量部
ポリエーテル変性シリコーンオイル 1.0質量部
(KF−615A、商品名、信越化学工業(株)製、側鎖変性型、
HLB値=10)
前記界面活性剤F−1(5%水溶液) 1.5質量部
前記界面活性剤F−2(5%水溶液) 5.0質量部
(感熱転写受像シート11の作製)
感熱転写受像シート7の作製において、受容層の塗布液として下記の受容層塗布液7を用いた以外は同様にして感熱転写受像シート11を作成した。
受容層塗布液7
塩化ビニル系ラテックス 20.0質量部
(ビニブラン900、商品名、日信化学工業(株)製、固形分40%)
塩化ビニル系ラテックス 20.0質量部
(ビニブラン690、商品名、日信化学工業(株)製、固形分55%)
ゼラチン(10%水溶液) 7.0質量部
ポリエーテル変性シリコーンオイル 1.0質量部
(KF−640、商品名、信越化学工業(株)製、側鎖変性型、
HLB値=14)
前記界面活性剤F−1(5%水溶液) 1.5質量部
前記界面活性剤F−2(5%水溶液) 5.0質量部
(感熱転写受像シート12の作製)
感熱転写受像シート7の作製において、受容層の塗布液として下記の受容層塗布液8を用いた以外は同様にして感熱転写受像シート12を作成した。
受容層塗布液8
塩化ビニル系ラテックス 20.0質量部
(ビニブラン900、商品名、日信化学工業(株)製、固形分40%)
塩化ビニル系ラテックス 20.0質量部
(ビニブラン690、商品名、日信化学工業(株)製、固形分55%)
ゼラチン(10%水溶液) 7.0質量部
ポリエーテル変性シリコーンオイル 1.0質量部
(FZ−2208、商品名、東レ・ダウ・コーニング・シリコーン社製、
主鎖共重合型、HLB値=7)
前記界面活性剤F−1(5%水溶液) 1.5質量部
前記界面活性剤F−2(5%水溶液) 5.0質量部
(画像形成)
画像形成のためのプリンターには 富士フイルム(株)製 フジフイルムサーマルフォトプリンター ASK−2000L(商品名)を用いた。上記熱転写シートと上記感熱転写受像シートを装填可能なように加工し、最高濃度の黒ベタ画像、および濃度0.4のグレーベタ画像、および白から〜最高濃度の黒ベタまでの階調画像の出力を行った。
(画像評価)
(転写濃度)
上記の画像形成で得られた最高濃度の黒ベタ画像において、V濃度をXrite310(Xrite社製、商品名)で測定した。感熱転写受像シート1のこの濃度値を100として相対値を下記判断で評価した。
5: 110よりも大きい
4: 105よりも大きく、110以下
3: 100よりも大きく、105以下
2: 90よりも大きく、100以下
1: 90以下
(画像欠陥)
上記の画像形成で得られた濃度0.4のグレーベタ画像において、印画面内に発生する搬送ローラーのスパイク痕起因の画像欠陥を評価した。
5: 画像中に、画像欠陥が全く認められない
4: 画像中に、ほぼ画像欠陥が認められない
3: 画像中に、画像欠陥が散発しているが、実用上許容の範囲にある
2: 画像中に、画像欠陥が見られており、実用上問題となる品質である
1: 画像中に、強い画像欠陥が多数見られており、実用上問題となる品質である
(高温高湿下での画像保存性)
上記の画像形成で得られた階調画像サンプルを40℃90%で3日間保管した後、加温前と比較し、画像の保護層のひび割れ度合いを評価した。
5: 加温前と比較して、保護層のひび割れが全く認められない
4: 加温前と比較して、保護層のひび割れがほぼ認められない
3: 加温前と比較して、保護層のひび割れが弱く見られているが実用上許容範囲にある
2: 加温前と比較して、保護層のひび割れが見られており実用上問題となる品質である
1: 加温前と比較して、保護層のひび割れが大きく、実用上問題となる品質である
以上により得られた各結果を下記表1に示す。
Figure 2010149464
上記表1の結果から明らかなように、本発明の感熱転写受像シート6〜12は、転写濃度も高く、高温高湿での画像保存時に保護層のひび割れが少なく、かつプリント搬送時に発生するローラー痕起因の画像欠陥の少ない高品位の画像が得られることが分かった。

Claims (7)

  1. 支持体上に、少なくとも2層の断熱層と少なくとも1層の受容層を順次有する感熱転写受像シートであって、該断熱層が中空粒子および水溶性ポリマーをそれぞれ少なくとも1種含有し、支持体から最も近い断熱層における中空粒子と水溶性ポリマーの質量比が(中空粒子固形分質量/水溶性ポリマー固形分質量)≦3.5の関係を満たし、該受容層が少なくとも1種のポリマーラテックスと少なくとも1種のポリエーテル変性シリコーンを含有することを特徴とする感熱転写受像シート。
  2. 前記水溶性ポリマーが、ゼラチンであることを特徴とする請求項1に記載の感熱転写受像シート。
  3. 前記ポリエーテル変性シリコーンのHLB値が、5〜9であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の感熱転写受像シート。
  4. 前記ポリエーテル変性シリコーンが、側鎖変性構造を持つことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の感熱転写受像シート。
  5. 前記感熱転写受像シートが同時重層塗布により形成されてなることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の感熱転写受像シート。
  6. 支持体上に少なくとも2層の断熱層と少なくとも1層の受容層を塗布により形成する感熱転写受像シートの製造方法であって、該断熱層が中空粒子および水溶性ポリマーをそれぞれ少なくとも1種含有し、支持体から最も近い断熱層における中空粒子と水溶性ポリマーの質量比が(中空粒子固形分質量/水溶性ポリマー質量)≦3.5の関係を満たし、該受容層が少なくとも1種のポリマーラテックスと少なくとも1種のポリエーテル変性シリコーンを含有することを特徴とする感熱転写受像シートの製造方法。
  7. 前記塗布が同時重層塗布であることを特徴とする請求項6に記載の感熱転写受像シートの製造方法。
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