JP2011031489A - 感熱転写受像シート - Google Patents

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Abstract

【課題】塗布面状が良好であり、高速印画に適し、高濃度の画像部に剥離線が生じにくい高品位の感熱転写受像シートを提供する。
【解決手段】支持体上に、少なくとも1層の断熱層と少なくとも1層の受容層を順次有する感熱転写受像シート。該受容層がポリマーラテックス及びポリエーテル変性シリコーンを含有し、さらに該受容層が下記一般式(A1)で表されるアニオン性界面活性剤の少なくとも1種を含有する感熱転写受像シート。
Figure 2011031489

【選択図】なし

Description

本発明は、染料拡散転写記録に用いる感熱転写受像シートに関するものである。
染料拡散転写記録方式では、色素(染料とも称す)を含有する感熱転写シート(以下、単にインクシートとも称す)と感熱転写受像シート(以下、単に受像シートとも称す)を重ね合わせ、次いで、電気信号によって発熱が制御されるサーマルヘッドによって感熱転写シートを加熱することで感熱転写シート中の色素を感熱転写受像シートに転写して画像情報の記録を行うものであり、シアン、マゼンタ、イエローの3色あるいはこれにブラックを加えた4色を重ねて記録することで色の濃淡に連続的な変化を有するカラー画像を転写記録することができる。
近年、染料拡散転写記録型システムの普及とプリントスピードの高速化により、遊園地や観光地などの屋外に上記システムが設置され、即時プリント用途として利用されるようになってきている。
特許文献1には、断熱層の上に、塩化ビニル系ラテックスおよびカルナバワックスを含有し、アニオン性のフッ素系化合物を用いた受容層を設けた感熱転写受像シートが開示されている。
特許文献2には、塩化ビニル系ラテックスおよびポリエーテル変性シリコーンを含有し、ノニオン性の界面活性剤を用いた受容層を設けた熱転写受像シートが開示されている。
特開2007−237617号公報 特開2009−83331号公報
しかし、上記のような屋外での即時プリント用途のシステムで感熱転写受像シートを用いて画像出力すると、黒および高濃度の画像部において剥離線が生じるという新たな問題が発生した。
この画像形成時の故障の一つである剥離線(以下、スティッキングともいう)について次に説明する。
染料拡散転写記録型システムでは、感熱転写シートと感熱転写受像シートとを重ね合わせ、画像を形成する。画像は感熱転写受像シート上に形成されるので、不要になった感熱転写シートは感熱受像シート上に、不要物や痕跡を残さずに剥がされる必要がある。
ところが、プリント時間短縮の要求から、記録時に感熱転写シートに印加される温度はより高温に設定される(それに伴い、加熱時間は短縮される)傾向にある。そのため、感熱転写シートと感熱転写受像シートが連続的に剥離せず搬送負荷変動が生じ、剥離に起因する線状の痕跡(剥離線)が残るという画像故障が起こりやすくなる。場合により印画後に感熱転写シートが感熱転写受像シートに一部融着する。
特に梅雨時期、夏場雨天時などの印画環境が高温高湿条件の場合には、剥離線が発生しやすく、これらの故障が出力画像中にあると画像品位を損なうことになる。
これらの問題を克服することが強く求められていた。
本発明の課題は、塗布面状が良好であり、高速印画に適し、高濃度の画像部に剥離線が生じにくい高品位の感熱転写受像シートを提供することである。
本発明者らは鋭意検討を重ねた結果、下記手段で本発明の上記課題が解決できることを見出した。
[1]支持体上に、少なくとも1層の断熱層と少なくとも1層の受容層を順次有する感熱転写受像シートであって、該受容層がポリマーラテックス及び下記一般式(S1)で表されるポリエーテル変性シリコーンを含有し、さらに該受容層が下記一般式(A1)または(A2)で表されるアニオン性界面活性剤の少なくとも1種を含有することを特徴とする感熱転写受像シート。
Figure 2011031489
(一般式(S1)において、Rはアルキル基を表し、Rは−X−(CO)a1−(CO)b1−Rを表し、Rは、水素原子、アシル基、アルキル基、シクロアルキル基またはアリール基を表す。Xはアルキレン基、またはアルキレンオキシ基を表す。m1およびn1は各々独立に正の整数を表す。a1は正の整数を表し、b1は0または正の整数を表す。)
Figure 2011031489
(一般式(A1)において、R4およびR5は各々独立に炭素原子数3〜20のアルキル基を表し、Mは水素原子またはカチオンを表す。)
Figure 2011031489
(一般式(A2)において、Rは炭素原子数6〜20のアルキル基またはアルケニル基を表し、Mは水素原子またはカチオンを表す。mは平均付加モル数を表し、0より大きく10以下である。nは0〜4の整数を表す。aは0または1を表す。)
[2]前記一般式(A1)のR4およびR5が各々独立に炭素原子数4〜10の分岐したアルキル基であることを特徴とする[1]に記載の感熱転写受像シート。
[3]前記一般式(S1)のRにおいて、a1が30以上であることを特徴とする[1]または[2]に記載の感熱転写受像シート。
本発明により、塗布面状が良好であり、高速印画に適し、高濃度の画像部に剥離線が生じにくい高品位の感熱転写受像シートを提供できる。
以下、本発明について詳細に説明する。なお、本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
[感熱転写受像シート]
本発明の感熱転写受像シートについて説明する。
本発明の感熱転写受像シート(以下本発明の受像シートともいう)は、支持体上に少なくとも1層の断熱層および少なくとも1層の受容層を有する感熱転写受像シートである。
また、本発明の感熱転写受像シートは、前記支持体と前記断熱層との間に、例えば白地調整、帯電防止、接着性、クッション性、平滑性などの各種機能を付与するために下塗層を設けることも好ましい態様の一つである。
さらにまた、本発明の感熱転写受像シートは、前記断熱層と前記受容層との間に、例えば白地調整、帯電防止、接着性、クッション性、平滑性などの各種機能を付与するために中間層を設けることも好ましい態様の一つである。
前記支持体の、前記受容層を塗設した面の他方の面にはカール調整層、筆記層、帯電調整層を設けてもよい。
<アニオン性界面活性剤>
本発明において、支持体上の前記受容層に、下記一般式(A1)または(A2)で表されるアニオン性界面活性剤の少なくとも1種を含有する。本発明の効果をより大きく発揮するには、特に下記一般式(A1)で表される化合物がより好ましい。
Figure 2011031489
一般式(A1)において、R4およびR5は各々独立に炭素原子数3〜20のアルキル基を表し、好ましくは炭素原子数4〜10のアルキル基である。また、R4およびR5は各々独立に炭素原子数4〜10の分岐したアルキル基がより好ましく、R4およびR5ともに2−エチルヘキシル基であることが特に好ましい。
Mは水素原子またはカチオンを表す。Mで表されるカチオンとしては、アルカリ金属イオン(リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン等)、アルカリ土類金属イオン(バリウムイオン、カルシウムイオン等)、アンモニウムイオン等が好ましい。これらのうち、より好ましくはリチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオンまたはアンモニウムイオンであり、さらに好ましくはリチウムイオン、ナトリウムイオンまたはカリウムイオンである。
Figure 2011031489
一般式(A2)において、R6は炭素原子数6〜20の、アルキル基またはアルケニル基を表し、より好ましくは10〜20の、アルキル基またはアルケニル基であり、最も好ましくは14〜20の、アルキル基またはアルケニル基である。
また、R6は分岐した、アルキル基またはアルケニル基であってもよい。
Mは水素原子またはカチオンを表す。Mで表されるカチオンとしては、アルカリ金属イオン(リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン等)、アルカリ土類金属イオン(バリウムイオン、カルシウムイオン等)、アンモニウムイオン等が好ましい。これらのうち、より好ましくはリチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオンまたはアンモニウムイオンであり、さらに好ましくはリチウムイオン、ナトリウムイオンまたはカリウムイオンである。
は平均付加モル数を表し、0より大きく10以下であり、1〜6がより好ましく、2〜4が最も好ましい。
また、nは0〜4の整数を表し、2〜4が特に好ましい。
は0または1を表し、0であることが特に好ましい。
次に具体的化合物の例を挙げるが、本発明のアニオン系界面活性剤はこれらに限定されるものではない。
Figure 2011031489
Figure 2011031489
一般式(A1)および(A2)で表されるアニオン性界面活性剤は、塗布液に濡れ性を付与することで面状安定化に寄与するだけでなく、一般式(S1)で表されるポリエーテル変性シリコーンと併用することにより高濃度画像部の剥離線の発生を抑制するが、さらに光沢ムラを防止する効果もある。
反射光沢ムラ(以下、単に光沢ムラともいう)について説明する。
染料拡散転写記録型システムで感熱転写受像シートを画像出力すると、黒および高濃度の画像部において、斑点状又は島状に視認される反射光沢のムラが生じることがある。
光沢ムラとは、メカニズムは明らかではないが、高濃度印画時(200〜450℃)に、感熱転写受像シート表面または膜内に存在する微量の水分が急激に気化することにより、表面に局所的に強い圧力がかかり、その部分が凹むため、受容層表面に微小な凹凸が生じ、引き続いて感熱転写シートから熱転写性保護層が印画部に転写されたとき、熱転写性保護層と印画部表面との界面に僅かな空気が入り込むため、高濃度部の光沢がムラ状に見えるものと推定している。
一般式(A1)および(A2)で表されるアニオン性界面活性剤は受容層以外に、断熱層、中間層などの任意の層に含有させてもよい。
一般式(A1)および(A2)で表されるアニオン性界面活性剤の総塗布量は、5mg/m以上500mg/m以下であることが好ましく、10mg/m以上200mg/m以下であることがより好ましい。
また本発明では、受容層にその他のアニオン系、ノニオン系、カチオン系など種々の界面活性剤を併用しても良い。
一般式(A1)および(A2)で表されるアニオン性界面活性剤と併用することが好ましいその他の界面活性剤としては、下記一般式(H)で表される含フッ素化合物である。
Figure 2011031489
上記一般式(H)中、m3およびn3は、それぞれ独立に2〜8の整数を表し、好ましくは独立に2〜6であり、より好ましくは独立に3〜6である。また、mとnの合計値は、6以上12以下であることが好ましく、6以上10以下であることがより好ましい。mとnは、なかでも、同じであることが好ましく、m3とn3がともに4である場合が最も好ましい。
Mで表されるカチオンとしては、アルカリ金属イオン(リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン等)、アルカリ土類金属イオン(バリウムイオン、カルシウムイオン等)、アンモニウムイオン等が好ましい。これらのうち、より好ましくはリチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオンまたはアンモニウムイオンであり、さらに好ましくはリチウムイオン、ナトリウムイオンまたはカリウムイオンである。
は、単結合のアルキレン基を表す。Lがアルキレン基である場合、炭素数は2以下であるのが好ましく、メチレン基であるのがより好ましい。Lは、単結合であるのが最も好ましい。
上記一般式(H)は、上記のそれぞれの好ましい態様を組み合わせることが、より好ましい。
一般式(H)の具体例を以下に例示するが、本発明で用いることができる一般式(H)は以下の具体例によってなんら制限されるものではない。下記例示化合物の構造表記の中で特に断りのない限りアルキル基、パーフルオロアルキル基は直鎖の構造を有する基を意味する。
Figure 2011031489
一般式(H)で表される含フッ素化合物の塗布量は、該化合物を添加した層中、0.5mg/m以上50mg/m以下であることが好ましく、1mg/m以上20mg/m以下であることがより好ましい。
<受容層>
本発明の受像シートは、少なくともポリマーラテックスとポリエーテル変性シリコーンを含有する少なくとも1層の受容層を有する。受容層は、感熱転写シートから移行してくる染料を染着し、形成された画像を維持する役割を果たす。
(ポリマーラテックス)
本発明の受像シートにおいて、受容層はポリマーラテックスを含有する。
本明細書中、ポリマーラテックスとは、水不溶な疎水性ポリマーが微細な粒子として水溶性の分散媒中に分散したもののことを言う。分散状態としては、球状のポリマー重合粒子や、ポリマーが分散媒中に乳化されているもの、乳化重合されたもの、ミセル分散されたもの、あるいはポリマー分子中に部分的に親水的な構造を持ち分子鎖自身が分子状分散したものなどいずれでもよいが、特に球状のポリマー重合粒子が好ましい。
また、前記受容層は、感熱転写時に感熱転写シートから移行された染料を受容して記録画像を形成する受容ポリマーとしてのポリマーラテックス以外にも、例えば、膜の弾性率を調整するなどの目的で、他の機能を有するポリマーラテックスも併用して用いてもよい。
前記受容層に用いられるポリマーラテックスの分散粒子の平均粒径は1〜1000nmであることが好ましく、5〜500nmの範囲であることが特に好ましい。
本発明の前記受容層に用いられるポリマーラテックスに用いられる熱可塑性樹脂の例としては、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリアクリレート、塩化ビニル系共重合体、ポリウレタン、スチレン-アクリロニトリル共重合体、ポリカプロラクトン等が挙げられ
る。
このうち、ポリエステル、ポリアクリレート、塩化ビニル系共重合体が好ましく、ポリエステル、塩化ビニル系共重合体が特に好ましく、塩化ビニル系共重合体が最も好ましい。
本明細書中、前記塩化ビニル系共重合体とは、重合体を得るためのモノマーとして塩化ビニルを少なくとも使用し、かつ他のモノマーと共重合させたものであり、例えば、塩化ビニルと酢酸ビニル共重合体、塩化ビニルとアクリレートの共重合体、塩化ビニルとメタクリレートの共重合体、塩化ビニルと酢酸ビニルとアクリレートの共重合体、塩化ビニルとアクリレートとエチレンの共重合体等が挙げられる。このように2元共重合体でも3元以上の共重合体でもよく、モノマーが不規則に分布していても、ブロック共重合していてもよい。
これらの共重合体にはビニルアルコール誘導体やマレイン酸誘導体、ビニルエーテル誘導体などの補助的なモノマー成分を添加してもよい。
本発明に用いる塩化ビニル系共重合体において、塩化ビニルを主成分とすることが好ましい。塩化ビニルを主成分とするとは塩化ビニル成分が50モル%以上含有されていることであり、塩化ビニル成分が50モル%以上含有されていることが好ましく、またマレイン酸誘導体、ビニルエーテル誘導体等の補助的なモノマー成分は10モル%以下であることが好ましい。
本発明において、前記受容層に用いられるポリマーラテックスは単独でも混合物として使用してもよい。また前記受容層に用いられるポリマーラテックスは、均一構造であってもコア/シェル型であってもよく、このときコアとシェルをそれぞれ形成する樹脂のガラス転移温度が異なってもよい。
本発明において、前記受容層で使用するポリマーラテックスのガラス転移温度(Tg)は、−30℃〜100℃が好ましく、0℃〜90℃がより好ましく、20℃〜90℃がさらに好ましく、40℃〜90℃が特に好ましい。
なお、このガラス転移温度(Tg)は実測できない場合、下記式で計算することができる。
1/Tg=Σ(Xi/Tgi)
ここでは、ポリマーはi=1からnまでのn個のモノマー成分が共重合しているとする。Xiはi番目のモノマーの質量分率(ΣXi=1)、Tgiはi番目のモノマーの単独重合体のガラス転移温度(絶対温度)である。ただしΣはi=1からnまでの和をとる。尚、各モノマーの単独重合体ガラス転移温度の値(Tgi)は「Polymer Handbook(3rd Edition)」(J.Brandrup,E.H.Immergut著(Wiley−Interscience、1989))の値を採用できる。
また、本発明に好ましく用いられるポリマーラテックスは、ポリマー濃度がラテックス液に対して10〜70質量%であることが好ましく、20〜60質量%であることがより好ましい。受容層中の全ポリマーラテックスの添加量は、ポリマーラテックスの固形分が受容層中の全ポリマーの50〜98質量%であることが好ましく、70〜95質量%であることがより好ましい。
ポリマーラテックスの好ましい態様としては、アクリル系ポリマー、ポリエステル類、ゴム類(例えばSBR樹脂)、ポリウレタン類、塩化ビニル酢酸ビニル共重合体、塩化ビニルアクリル酸エステル共重合体、塩化ビニルメタアクリル酸共重合体等の共重合体を含めたポリ塩化ビニル共重合体、エチレン酢酸ビニル共重合体等の共重合体を含めたポリ酢酸ビニル共重合体、ポリオレフィン等のポリマーラテックスを好ましく用いることができる。これらポリマーラテックスとしては直鎖のポリマーでも枝分かれしたポリマーでもまた架橋されたポリマーでもよいし、単一のモノマーが重合したいわゆるホモポリマーでもよいし、2種類以上のモノマーが重合したコポリマーでもよい。コポリマーの場合はランダムコポリマーでも、ブロックコポリマーでもよい。これらポリマーの分子量は数平均分子量で5000〜1000000が好ましく、より好ましくは10000〜500000である。
ポリマーラテックスとしては、ポリエステルラテックス、塩化ビニル/アクリル化合物共重合体ラテックス、塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体ラテックス、塩化ビニル/酢酸ビニル/アクリル化合物共重合体ラテックス等の塩化ビニル共重合体ラテックスのいずれか1つまたは任意の組み合わせが好ましい。
塩化ビニル系共重合ラテックスとしては、例えば、ビニブラン240、ビニブラン270、ビニブラン276、ビニブラン277、ビニブラン375、ビニブラン380、ビニブラン386、ビニブラン410、ビニブラン430、ビニブラン432、ビニブラン550、ビニブラン601、ビニブラン602、ビニブラン609、ビニブラン619、ビニブラン680、ビニブラン680S、ビニブラン681N、ビニブラン683、ビニブラン685R、ビニブラン690、ビニブラン860、ビニブラン863、ビニブラン685、ビニブラン867、ビニブラン900、ビニブラン938、ビニブラン950(以上いずれも日信化学工業(株)製、商品名)、SE1320、S−830(以上いずれも住友ケムテック(株)製、商品名)が挙げられ、これらは本発明において好ましいポリマーラテックスである。
塩化ビニル系共重合ラテックス以外のポリマーラテックスとしては、ポリエステル系ポリマーラテックスを挙げることができ、例えば、バイロナール MD1200、バイロナール MD1220、バイロナール MD1245、バイロナール MD1250、バイロナール MD1500、バイロナール MD1930、バイロナール MD1985(以上いずれも東洋紡(株)製、商品名)が挙げられる。
これらのなかでも、塩化ビニル/アクリル化合物共重合体ラテックス(特に、塩化ビニル/アクリル酸エステル共重合体ラテックス)、塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体ラテックス、塩化ビニル/酢酸ビニル/アクリル化合物共重合体ラテックス(特に、塩化ビニル/酢酸ビニル/アクリル酸エステル共重合体ラテックス)等の塩化ビニル共重合体ラテックスが特に好ましく、塩化ビニル/アクリル化合物共重合体ラテックスが最も好ましい。また、本発明においては上記ラテックスを2種以上組み合わせて使用することも好ましい。
(水溶性ポリマー)
本発明の受像シートにおいては、受容層に水溶性ポリマーを含有してもよく、ゼラチン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルピロリドン共重合体が好ましく用いられ、なかでも塗布時のセット性が良好であるという理由からゼラチンが好ましく用いられる。これらの水溶性ポリマーは受容層の親疎水性の制御に有効であり、多量に使用し過ぎない場合はインクシートからの染料転写が良好であり、転写濃度も良好となる。
水溶性ポリマーの使用量は、受容層の固形分全体の質量に対して0.1〜10質量%であることが好ましく、0.5〜5質量%であることがさらに好ましい。
(ポリエーテル変性シリコーン)
本発明の受像シートは、受容層に下記一般式(S1)に表されるポリエーテル変性シリコーンを含有する。
Figure 2011031489
一般式(S1)において、Rはアルキル基を表し、Rは−X−(CO)a1−(CO)b1−Rを表し、Rは、水素原子、アシル基、1価のアルキル基、1価のシクロアルキル基または、1価のアリール基を表す。Xはアルキレン基、またはアルキレンオキシ基を表す。m1およびn1は各々独立に正の整数を表す。a1は正の整数を表し、b1は0または正の整数を表す。
前記R1におけるアルキル基は、分岐したアルキル基であってもよい。前記R1のアルキル基の炭素数は1〜20が好ましく、1〜8がより好ましく、1〜4がさらに好ましい。なかでもメチル基、エチル基またはブチル基が好ましく、メチル基が最も好ましい。
前記R3における1個のアシル部を有するアシル基は、1個のアシル部を有するアシル基としては、例えば、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、ベンゾイル基が挙げられる。これらのアシル基としては、炭素数2〜20のアシル基が好ましく、炭素数2〜10のアシル基がより好ましい。
前記R3における1価のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、tert−ブチル基が挙げられる。これらのアルキル基の炭素数は1〜20が好ましく、1〜10がより好ましい。
前記R3における1価のシクロアルキル基としては、例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基が挙げられる。シクロヘキシル基の炭素数は、5〜10が好ましい。
前記R3における1価のアリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基が挙げられる。アリール基のアリール部としてはベンゼン環が好ましい。
前記R3は、1価のアルキル基が好ましい。
前記Xの連結基は、アルキレン基またはアルキレンオキシ基が好ましく、例えば、前記アルキレン基としてはメチレン基、エチレン基およびプロピレン基が挙げられ、前記アルキレンオキシ基としては、−CH2CH2O−、−CH(CH3)CH2O−、−CH2CH(CH3)O−および−(CH23O−が挙げられ、これらが好ましい。Xの炭素数は1〜4が好ましく、2または3がより好ましい。
なお、Xにおいては、アルキレンオキシ基がさらに好ましく、プロピレンオキシ基(−(CH23O−)が特に好ましい。
前記a1は1以上の整数が好ましく、1〜200がより好ましく、1〜100がさらに好ましい。前記b1は0または1以上の整数が好ましく、0〜200がより好ましく、0〜100がさらに好ましい。また、本発明の課題である高濃度画像部の剥離線を防止する作用をより効果的に発揮するには、前記a1、b1の値のうち、a1が30以上であることがより好ましく、a1、b1の両方が30以上であることが特に好ましい。
本発明の課題である高濃度画像部の剥離線を防止する作用をより効果的に発揮するには、前記mは10〜500が好ましく、30〜300がさらに好ましく、50〜200が最も好ましい。
前記nは1〜50が好ましく、1〜20がより好ましい。
前記ポリエーテル変性シリコーンは、平均分子量が55000以下であることが好ましい。より好ましくは40000以下が好ましい。本発明における平均分子量は、質量平均分子量のことを表す。ここで質量平均分子量は、TSKgel GMHxL、TSKgel G4000HxL、TSKgel G2000HxL(何れも東ソー(株)製の商品名)のカラムを使用したGPC分析装置により、溶媒にTHFを用いて、示差屈折計検出によるポリスチレン換算で表した分子量で定義する。
前記ポリエーテル変性シリコーンは、25℃で液体のものが好ましい。
また、前記ポリエーテル変性シリコーンは、粘度が500mPa・s以上10000mPa・s以下であることが好ましく、1000mPa・s以上5000mPa・s以下がより好ましく、2000mPa・s以上5000mPa・s以下がさらに好ましい。粘度の測定方法は、大別して液中の回転体にかかる抵抗力を測定する方法とオリフィスや細管を通過させる時の圧力損失を測定する方法とがある。前者は回転型粘度計でB型粘度計に代表される。後者は毛管粘度計でオストワルド粘度計に代表される。本発明においては、B型粘度計で25℃の温度で測定した値で定義する。
前記一般式(S1)で表されるポリエーテル変性シリコーンのHLB値(Hydrophile−Lipophile Balance)は、4.0〜8.0であることが好ましく、特に4.5〜6.5であることが好ましい。HLB値が低過ぎると面状故障が発生しやすい。HLB値が高すぎると剥離線発生の防止能が弱くなる。
本発明において、HLB値はグリフィン法に基づき、以下の式で定義された計算式で求める(西一郎、今井怡知朗、笠井正威 共編,「界面活性剤便覧」,産業図書株式会社(1960年))。
HLB = 20 × Mw/M
ここで、Mは分子量であり、Mwは親水性部分の式量(分子量)である。ちなみに、M=Mw + Mo であり、ここで、Moは新油性部分の式量(分子量)である。なお、親水性部分とは、エチレンオキシ基である。
本発明で好ましく用いられる前記ポリエーテル変性シリコーンオイルの具体例としては、信越化学株式会社製 KF−351A、KF−352A、KF−353、KF−354L、KF−355A、KF−615A、KF−945、KF−640、KF−642、KF−643、KF−6020、KF−6011、KF−6012、KF−6015、KF−6017、X−22−4515、X−22−6191、東レ・ダウコーニング株式会社製 SH3749、SH3773M、SH8400、SF8427、SF8428、FZ−2101、FZ−2104、FZ−2110、FZ−2118、FZ−2162、FZ−2203、FZ−2207、FZ−2208、FZ−77、L−7001、L−7002(いずれも商品名)等が挙げられる。
また、本発明で好ましく用いられるポリエーテル変性シリコーンオイルは、例えば、特開2002−179797号公報、特開2008−1896号公報、特開2008−1897号公報に記載の方法または、これに準じた方法で、容易に合成できる。
本発明においては、ポリエーテル変性シリコーンオイルは単独でも、2種類以上混合して使用することもできる。また、本発明においては、ポリエーテル変性シリコーンオイルに他の離型剤を併用してもよい。
ポリエーテル変性シリコーンオイルの添加量としては、受容層中の全ポリマーラテックスに対して1質量%〜20質量%が好ましく、1質量%〜10質量%がより好ましい。
本発明における受容層の塗布量は、0.5〜10.0g/mであることが好ましく、0.5〜5.0g/mであることがさらに好ましい。なお、本明細書において「塗布量」とは、特に断らない限り固形分換算の数値である。
<断熱層>
本発明の感熱転写受像シートは少なくとも1層の断熱層を有する。前記断熱層は1層のみでも2層以上あってもよい。前記断熱層は前記受容層と前記支持体の間に設けられる。
(中空ポリマー粒子)
本発明において、前記断熱層は中空ポリマー粒子を含有することが好ましい。
本発明における中空ポリマー粒子(以下、中空粒子ともいう)とは、粒子内部に空隙を有するポリマー粒子のことを言う。前記中空粒子は好ましくは水分散物であり、例えば、1)ポリスチレン、アクリル樹脂、スチレン−アクリル樹脂等により形成された隔壁内部に水などの分散媒が入っており、塗布乾燥後、粒子内の水が粒子外に蒸発して粒子内部が中空となる非発泡型の中空ポリマー粒子、2)ブタン、ペンタンなどの低沸点液体を、ポリ塩化ビニリデン、ポリアクリロニトリル、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸エステルのいずれかまたはそれらの混合物もしくは重合物よりなる樹脂で覆っており、塗工後、加熱により粒子内部の低沸点液体が膨張することにより内部が中空となる発泡型マイクロバルーン、3)上記の2)をあらかじめ加熱発泡させて中空粒子としたマイクロバルーンなどが挙げられる。
これらの中でも、前記中空粒子は上記1)の非発泡型の中空粒子であることがより好ましく、必要に応じて2種以上混合して使用することができる。具体例としてはロームアンドハース社製 ローペイク HP−1055、JSR社製 SX866(B)、日本ゼオン社製 Nipol MH5055(いずれも商品名)などが挙げられる。
前記中空粒子の平均粒子径は、0.5μm〜5.0μmであることが好ましく、0.5μm〜2.0μmであることがより好ましい。前記中空粒子の平均粒子径が小さすぎなければ膜の空隙率を高く設計できるため高い断熱性が得られ、前記中空粒子の平均粒子径が大きすぎなければ製造時の乾燥工程での膜収縮による中空粒子の潰れが発生し難くなる。
本発明に用いられる中空粒子の平均粒子径は、透過型電子顕微鏡を用いて、その外径の円相当換算直径を測定し算出する。平均粒子径は、中空粒子を少なくとも300個透過電子顕微鏡を用いて観察し、その外形の円相当径を算出し、平均して求める。
また、本発明に用いられる中空粒子は、中空率が20〜80%程度のものが好ましく、30〜70%程度のものがより好ましい。中空率が低すぎなければ高い断熱性が得られ、高すぎなければ中空粒子の強度が低下せず、製造時の乾燥工程での膜収縮による中空粒子の潰れが発生し難くなる。
本発明に用いられる中空粒子の中空率は、中空粒子を少なくとも300個透過型電子顕微鏡を用いて観察し、外径の平均円相当径(R1)と内径の平均円相当径(R2)をそれぞれ算出し、粒子体積に対する空隙部分の体積の割合(R2/R1)3×100を計算して求めることができる。
前記中空粒子は、ガラス転移温度(Tg)が70℃〜200℃であることが好ましく、90℃〜180℃であることがさらに好ましい。前記中空粒子としては、中空粒子を水中に分散したポリマーラテックスのような中空ポリマー粒子ラテックスを用いることが特に好ましい。
本発明の受像シートにおいて、断熱層の全体積に占める前記中空粒子の体積総計の割合は30%〜90%であることが好ましく、さらに50%〜80%であることがより好ましい。
また、断熱層の全固形分に占める前記中空粒子の固形分総計の割合は20質量%〜80質量%であることが好ましく、さらに30質量%〜70質量%であることがより好ましい。
本発明においては、断熱層が2層以上ある場合、例えば断熱層が断熱上層と断熱下層の2層に分かれている態様が好ましい。
(ゼラチン)
本発明において前記断熱層にゼラチンを含有することが好ましい。本発明に用いるゼラチンは、その製造過程において、ゼラチン抽出前、アルカリ浴に浸漬されるいわゆるアルカリ処理(石灰処理)ゼラチン、酸浴に浸漬される酸処理ゼラチンおよびその両方に浸漬した二重浸漬ゼラチン、酵素処理ゼラチンのいずれでもよい。本発明に用いるゼラチンは分子量10,000から1,000,000までのものを用いることができる。本発明に用いられるゼラチンはCl-、SO4 2-等の陰イオンを含んでいてもよいし、Fe2+、Ca2+、Mg2+、Sn2+、Zn2+などの陽イオンを含んでいてもよい。ゼラチンは水に溶かして添加することが好ましい。
(ゼラチン以外の水溶性ポリマー)
本発明において前記断熱層にはゼラチン以外の水溶性ポリマーを含有させることができる。本発明に用いることのできるゼラチン以外の水溶性ポリマーとしては、天然高分子(多糖類系、微生物系、動物系)、半合成高分子(セルロース系、デンプン系、アルギン酸系)および合成高分子系(ビニル系、その他)であり、以下に述べるポリビニルアルコールを始めとする合成ポリマーや、植物由来のセルロース等を原料とする天然あるいは半合成ポリマーが本発明で使用できる水溶性ポリマーに該当する。
本発明に併用することのできるゼラチン以外の水溶性ポリマーのうち、天然高分子および半合成高分子について詳しく説明する。植物系多糖類としては、アラビアガム、κ−カラギーナン、ι−カラギーナン、λ−カラギーナン、グアガム(Squalon製Supercolなど)、ローカストビーンガム、ペクチン、トラガント、トウモロコシデンプン(National Starch & Chemical Co.製Purity−21など)、リン酸化デンプン(National Starch & Chemical Co.製National 78−1898など)など、微生物系多糖類としては、キサンタンガム(Kelco製Keltrol Tなど)、デキストリン(National Starch & Chemical Co.製Nadex360など)など、動物系天然高分子としては、カゼイン、コンドロイチン硫酸ナトリウム(Croda製CromoistCSなど)などが挙げられる(いずれも商品名)。セルロース系としては、エチルセルロース(I.C.I.製Cellofas WLDなど)、カルボキシメチルセルロース(ダイセル製CMCなど)、ヒドロキシエチルセルロース(ダイセル製HECなど)、ヒドロキシプロピルセルロース(Aqualon製Klucelなど)、メチルセルロース(Henkel製Viscontranなど)、ニトロセルロース(Hercules製Isopropyl Wetなど)、カチオン化セルロース(Croda製Crodacel QMなど)などが挙げられる(いずれも商品名)。デンプン系としては、リン酸化デンプン(National Starch & Chemical製National 78−1898など)、アルギン酸系としては、アルギン酸ナトリウム(Kelco製Keltoneなど)、アルギン酸プロピレングリコールなど、その他の分類として、カチオン化グアガム(Alcolac製Hi−care1000など)、ヒアルロン酸ナトリウム(Lifecare Biomedial製Hyalureなど)が挙げられる(いずれも商品名)。
本発明に併用することのできるゼラチン以外の水溶性ポリマーのうち、合成高分子について詳しく説明する。アクリル系としてはポリアクリル酸ナトリウム、ポリアクリル酸共重合体、ポリアクリルアミド、ポリアクリルアミド共重合体、ポリジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート四級塩またはその共重合体など、ビニル系としては、ポリビニルピロリドン、ポリビニルピロリドン共重合体、ポリビニルアルコールなど、その他としては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリイソプロピルアクリルアミド、ポリメチルビニルエーテル、ポリエチレンイミン、ポリスチレンスルホン酸またはその共重合体、ナフタレンスルホン酸縮合物塩、ポリビニルスルホン酸またはその共重合体、ポリアクリル酸またはその共重合体、アクリル酸またはその共重合体等、マレイン酸共重合体、マレイン酸モノエステル共重合体、アクリロイルメチルプロパンスルホン酸またはその共重合体、など)、ポリジメチルジアリルアンモニウムクロライドまたはその共重合体、ポリアミジンまたはその共重合体、ポリイミダゾリン、ジシアンシアミド系縮合物、エピクロルヒドリン・ジメチルアミン縮合物、ポリアクリルアミドのホフマン分解物、水溶性ポリエステル(互応化学(株)製プラスコートZ−221、Z−446、Z−561、Z−450、Z−565、Z−850、Z−3308、RZ−105、RZ−570、Z−730、RZ−142(いずれも商品名)などである。このなかでも、ポリビニルアルコールを用いることが好ましい。
本発明に用いられるポリビニルアルコールとしては、PVA−105、PVA−110、PVA−117、PVA−120、PVA−124、PVA−203、PVA−204、PVA−205、PVA−210、PVA−217、PVA−220、PVA−224、PVA−228、PVA−235、PVA−403、PVA−405などである(いずれもクラレ(株)製の商品名)。
上記の好ましい水溶性ポリマーのうち、ポリビニルアルコール、ゼラチンを用いることが好ましい。これらは単独でも混合物でも用いることができ、より好ましくはゼラチンを用いることである。
(スチレン−ブタジエン共重合体を含むラテックス)
本発明において、前記断熱層はスチレン−ブタジエン共重合体を含むラテックスを含有することが好ましく、特にガラス転移温度が30〜85℃であるスチレン−ブタジエン共重合体を含むラテックスを含有することが好ましい。なお、スチレン−ブタジエン共重合体とは、ポリマー分子鎖中にスチレンとブタジエンの繰り返し単位を含むポリマーのことを言う。
また、Tgが30〜85℃であってスチレン−ブタジエン共重合体を含むラテックスは、Tgが30〜85℃であってスチレン−ブタジエン共重合体以外のラテックスと比較して、圧力の影響を受け難い断熱層が形成できる点で優れる。
ガラス転移温度(Tg)は、JIS K7121に規定された方法にしたがって、示差走査熱量計を用いて測定することができる。
前記スチレン−ブタジエン共重合体は、数平均分子量が2,000〜1,000,000であるのが好ましく、5,000〜500,000であるのがより好ましい。
前記スチレン−ブタジエン共重合体は、繰り返し単位を構成するモノマーのモル比で表した場合、スチレン:ブタジエンが99:1〜40:60であることが好ましく、95:5〜50:50であることがさらに好ましい。
前記スチレンーブタジエン共重合体には、カルボキシル基等により変性したものも含まれる。
また、前記スチレンーブタジエン共重合体はスチレンおよびブタジエンの繰り返し単位以外の共重合成分を含んでいてもよく、例えばアクリロニトリル、アクリル酸、メタクリル酸やメチルメタクリレート、エチルアクリレートのようなアルキルアクリレートもしくはアルキルメタクリレート等を共重合してもよい。前記スチレンーブタジエン共重合体がスチレンおよびブタジエン以外の成分を含有する場合は、スチレン成分およびブタジエン成分の合計が50質量%以上であることが好ましい。
前記スチレン−ブタジエン共重合体は、ランダム共重合体であってもブロック共重合体であってもよい。また、前記スチレン−ブタジエン共重合体は、直鎖ポリマーあっても、枝分かれしたものであっても、架橋構造を有するものであってもよい。
前記スチレン−ブタジエン共重合体のラテックスの平均粒子径は50nm〜500nmであることが好ましく、50〜300nmであることがさらに好ましい。
前記スチレンーブタジエン共重合体を含むラテックスとしては、市販品を使用しても良く、例えばNipol LX433C、2507H、LX407BP6、V1004(日本ゼオン(株)製)、ナルスター SR−115、SR−143(日本エイアンドエル(株)製)、PCL0602(JSR(株)製)が挙げられる。
本発明では、前記断熱層中における前記ゼラチンの固形分aと、前記ラテックスの固形分bの質量比(ゼラチン固形分質量/スチレン−ブタジエン共重合体を含むラテックスの固形分質量、すなわち、a/b)は、30/70〜70/30であることが好ましく、40/60〜60/40であることがさらに好ましい。
前記断熱層に含まれるゼラチンとスチレン−ブタジエン共重合体を含むラテックスの固形分質量の和をAとし、中空粒子の固形分質量をBとしたとき、B/Aは、30/70〜70/30であることが好ましく、40/60〜60/40であることがさらに好ましい。ゼラチン以外の水溶性ポリマーを含有する場合は、その固形分質量もAに加える。Aが大きすぎなければ断熱層中の空隙量が十分に維持されるため充分な断熱性を確保することが容易になり、Aが小さすぎなければ膜の脆性も良好となる。
前記断熱層の厚みは5〜40μmであることが好ましく、10〜30μmであることがさらに好ましい。厚みが小さすぎると所望の断熱性を得ることが困難になり、大きすぎると塗布液をゲル化させて乾燥させるための製造負荷が大きくなる。
(中間層)
本発明の感熱転写受像シートは、断熱層と受容層との間に少なくとも1層の中間層を有してもよい。中間層は、その上下層との密着性を付与する目的あるいはクッション性を付与する目的等で適宜設ける層である。
本発明の感熱転写受像シートの中間層にはポリマーラテックスを含有することが特に好ましい。
ポリマーラテックスとして特に限定するものではないが、例として、ポリウレタン、スチレン−ブタジエン共重合体(SBRラテックス)、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体(NBRラテックス)、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体(MBRラテックス)、スチレン−アクリル共重合体、ポリアクリル酸エステル、ポリメタクリル酸エステル、ポリメタクリル酸エステル、ポリ酢酸ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、スチレン−ブタジエン−アクリル系共重合体、ポリ塩化ビニリデン、塩化ビニル−(メタ)アクリル酸エステル共重合体などのポリマーラテックスなどから選択して用いられる。これらの中でも、ポリウレタン、SBR、NBR、MBRおよび塩化ビニル/(メタ)アクリル酸エステルが好ましく、SBR、塩化ビニル−(メタ)アクリル酸エステル共重合体がより好ましく、SBRが最も好ましい。これらのポリマーラテックスは必要に応じて、単独又は2種類以上混合して用いることができる。
ポリウレタン系ラテックスとしては、大日本インキ化学(株)製HYDRAN AP10、AP20、AP30、AP40、APX−101H、1320NS、1610NS、1670NS、1980NS、HW−337、HW−350、HW−920、HW−940、大成ファインケミカル(株)製WEM−202U、WEM−3008、WEM−321U、WEM−031U、WBR−016U、WBR−2018U、WBR−2019、大日精化(株)製D−1000、D−2000、D−4000、D−6000、D−9000、高松油脂(株)製NS−155NX、NS−310A、NS−310X、NS−311X、日本ポリウレタン(株)製WOE−305、第一工業製薬(株)製エラストロンなどが挙げられる(いずれも商品名)。
メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体ラテックスとしては、日本エイアンドエル(株)製MR−170、MR−171、MR−172、MR−173、MR−174、MR−180などが挙げられる(いずれも商品名)。
アクリロニトリル−ブタジエン共重合体ラテックスとしては、日本エイアンドエル(株)製SR−141、SR−142、日本ゼオン(株)製Nipol 1561、1562、1571H、1571C2、1571CL、LX517A、LX517B、1577K、LX511A、LX513、LX531、LX531B、LX550、LX550L、LX551、LX552などが挙げられる(いずれも商品名)。
塩化ビニル−(メタ)アクリル酸エステル共重合体としては、受容層で説明した塩化ビニル、塩化ビニル共重合体ラテックスが挙げられる。
本発明において中間層中には、水溶性ポリマーを含有させることができる。例としては、断熱層の項で記載した水溶性ポリマーが挙げられる。これら水溶性ポリマーのなかで、ポリビニルアルコールが特に好ましい。これらの樹脂は単独又は混合して用いることができる。
本発明において中間層の塗布量は、0.5〜10.0g/m2であることが好ましく、1.0〜5.0g/m2であることがより好ましい。
(下引き層)
また、本発明の感熱転写受像シートは基材と断熱層との間にも下引き層を有してもよい。下引き層は、その上下層との密着性を付与する目的あるいはクッション性を付与する目的等で適宜設ける層である。支持体上の予め塗布される下塗り層とは区別される。下引き層の好ましい態様は、中間層の項で述べられたものと同じであり、下引き層と中間層の構成はそれぞれ同一でも異なっていてもよい。
本発明における下引き層の塗布量は、0.5〜10.0g/mであることが好ましく、1.0〜5.0g/mであることがより好ましい。
上記以外では、例えば白地調整層、帯電調節層、接着層、プライマー層を設けても良い。これらの層については、例えば特許第3585599号公報、特許第2925244号公報などに記載されたものと同様の構成とすることができる。
<支持体>
本発明の感熱転写受像シートは通常の支持体を用いることができる。その中でも耐水性支持体が好ましく用いられる。耐水性支持体を用いることで支持体中に水分が吸収されるのを防止して、受容層の経時による性能変化を防止することができる。耐水性支持体としては例えばコート紙やラミネート紙、合成紙を用いることができる。なかでもラミネート紙が好ましい。支持体上には、下塗り層を予め塗布しておくことが、通例である。
<カール調整層>
本発明の感熱転写受像シートには、必要に応じてカール調整層を形成することが好ましい。カール調整層には、ポリエチレンラミネートやポリプロピレンラミネート等が用いられる。具体的には、例えば特開昭61−110135号公報、特開平6−202295号公報などに記載されたものと同様にして形成することができる。
<筆記層・帯電調整層>
本発明の感熱転写受像シートには、必要に応じて筆記層・帯電調整層を設けることができる。筆記層、帯電調整層には、無機酸化物コロイドやイオン性ポリマー等を用いることができる。帯電防止剤として、例えば第四級アンモニウム塩、ポリアミン誘導体等のカチオン系帯電防止剤、アルキルホスフェート等のアニオン系帯電防止剤、脂肪酸エステル等のノニオン系帯電防止剤など任意のものを用いることができる。具体的には、例えば特許第3585585号公報などに記載されたものと同様にして形成することができる。
<その他の添加剤>
本発明の感熱転写受像シートには、必要に応じて前記受容層以外にも、添加剤を含有させることができる。このような添加剤としては、紫外線吸収剤、防腐剤、造膜助剤、硬膜剤、マット剤(滑剤を含む)、酸化防止剤、その他の添加剤を含有させることができる。
紫外線吸収剤:
本発明の感熱転写受像シートには、紫外線吸収剤を含有させてもよい。その紫外線吸収剤としては、通常の無機系紫外線吸収剤、有機系紫外線吸収剤が使用できる。有機系紫外線吸収剤としては、サリシレート系、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、トリアジン系、置換アクリロニトリル系、ヒンダートアミン系等の非反応性紫外線吸収剤や、これらの非反応性紫外線吸収剤に、例えば、ビニル基やアクリロイル基、メタアクリロイル基等の付加重合性二重結合、あるいは、アルコール性水酸基、アミノ基、カルボキシル基、エポキシ基、イソシアネート基等を導入し、アクリル樹脂等の熱可塑性樹脂に共重合若しくは、グラフトしたものを使用することができる。また、樹脂のモノマーまたはオリゴマーに紫外線吸収剤を溶解させた後、このモノマーまたはオリゴマーを重合させる方法が開示されており(特開2006−21333号公報)、こうして得られた紫外線遮断性樹脂を用いることもできる。この場合には紫外線吸収剤は非反応性のものでよい。
これら紫外線吸収剤に中でも、特にベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、トリアジン系が好ましい。これら紫外線吸収剤は画像形成に使用する染料の特性に応じて、有効な紫外線吸収波長域をカバーするように組み合わせて使用することが好ましく、また、非反応性紫外線吸収剤の場合には紫外線吸収剤が析出しないように構造が異なるものを複数混合して用いることが好ましい。
紫外線吸収剤の市販品としては、チヌビン−P(チバガイギー製)、JF−77(城北化学製)、シーソープ701(白石カルシウム製)、スミソープ200(住友化学製)、バイオソープ520(共同薬品製)、アデカスタブLA−32(旭電化製)(いずれも商品名)等が挙げられる。
防腐剤:
本発明の感熱転写受像シートには、防腐剤を添加してもよい。本発明の感熱転写受像シートに含有される防腐剤としては、特に限定されないが、防腐防黴ハンドブック、技報堂出版(1986)、堀口博著、防菌防黴の化学、三共出版(1986)、防菌防黴剤事典、日本防菌防黴学会発行(1986)等に記載されているものを用いることができる。具体的には、イミダゾール誘導体、デヒドロ酢酸ナトリウム、4−イソチアゾリン−3−オン誘導体、ベンゾイソチアゾリン−3−オン、ベンゾトリアゾール誘導体、アミジングアニジン誘導体、四級アンモニウム塩類、ピロジン,キノリン,グアニジン等の誘導体、ダイアジン、トリアゾール誘導体、オキサゾール、オキサジン誘導体、2−メルカプトピリジン−N−オキサイドまたはその塩等が挙げられる。これらの中でも、4−イソチアゾリン−3−オン誘導体、ベンゾイソチアゾリン−3−オンが好ましい。
造膜助剤:
本発明の感熱転写受像シートには、高沸点溶剤を添加することが好ましい。高沸点溶剤は造膜助剤または可塑剤として機能し、ポリマーラテックスの最低造膜温度を低下させる有機化合物(通常有機溶剤)で、例えば室井宗一著,「合成ラテックスの化学」,高分子刊行会発行(1970年)に記載されている。高沸点溶剤(造膜助剤)の例として以下のものが挙げられる。
Z−1:ベンジルアルコール類
Z−2:2,2,4−トリメチルペンタンジオール−1,3−モノイソブチレート類
Z−3:2−ジメチルアミノエタノール類
Z−4:ジエチレングリコール類
これらの高沸点溶剤を添加すると、画像のにじみが見られ、実用上好ましくない場合があるが、塗布膜中の上記溶剤類の含有量が固形分で1%以下であれば、性能上問題がない。
硬膜剤:
本発明の感熱転写受像シートにおいては、硬膜剤を使用してもよい。感熱転写受像シートの塗設層(例えば、受容層、断熱層、下引き層など)中に添加することができる。
本発明で用いることができる硬膜剤としては、特開平1−214845号公報17頁のH−1,4,6,8,14,米国特許第4,618,573号明細書のカラム13〜23の式(VII)〜(XII)で表される化合物(H−1〜54)、特開平2−214852号公報8頁右下の式(6)で表される化合物(H−1〜76),特にH−14、米国特許第3,325,287号明細書のクレーム1に記載の化合物などが好ましく用いられる。硬膜剤の例としては米国特許第4,678,739号明細書の第41欄、同第4,791,042号、特開昭59−116655号、同62−245261号、同61−18942号、特開平4−218044号の公報または明細書等に記載の硬膜剤が挙げられる。より具体的には、アルデヒド系硬膜剤(ホルムアルデヒドなど)、アジリジン系硬膜剤、エポキシ系硬膜剤、ビニルスルホン系硬膜剤(N,N'−エチレン−ビス(ビニルスルホニルアセタミド)エタンなど)、N−メチロール系硬膜剤(ジメチロール尿素など)、ほう酸、メタほう酸あるいは高分子硬膜剤(特開昭62−234157号公報などに記載の化合物)が挙げられる。好ましくはビニルスルホン系硬膜剤やクロロトリアジン類が挙げられる。
マット剤:
本発明の感熱転写受像シートにおいて、ブロッキング防止、離型性付与、滑り性付与のためにマット剤を添加してもよい。マット剤は感熱転写受像シートの受容層が塗布される面、受容層が塗布される他方の面、あるいはその両方の面に添加することができる。
マット剤は、一般に水に不溶の有機化合物の微粒子、無機化合物の微粒子を挙げることができるが、本発明では、分散性の観点から、有機化合物を含有する微粒子が好ましい。有機化合物を含有していれば、有機化合物単独からなる有機化合物微粒子であってもよいし、有機化合物だけでなく無機化合物をも含有した有機/無機複合微粒子であってもよい。マット剤の例としては、例えば米国特許第1,939,213号、同2,701,245号、同2,322,037号、同3,262,782号、同3,539,344号、同3,767,448号等の各明細書に記載の有機マット剤を用いることができる。
[感熱転写受像シートの製造方法]
以下、本発明の感熱転写受像シートの製造方法について説明する。
本発明の感熱転写受像シートは、少なくとも1層の断熱層および少なくとも1層の受容層を有し、適宜、断熱層と受容層の間に中間層を有しても良いが、その製造方法は各層の塗布液を支持体上に同時重層塗布して製造することが好ましい。
このような同時重層塗布は、水系塗布であることが好ましい。ただし、ここで言う「水系」とは塗布液の溶媒(分散媒)の60質量%以上が水であることをいう。塗布液の水以外の成分としてはメチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ジメチルホルムアミド、酢酸エチル、ジアセトンアルコール、フルフリルアルコール、ベンジルアルコール、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、オキシエチルフェニルエーテルなどの水混和性の有機溶媒を用いることができる。
支持体上に複数の機能の異なる複数の層(断熱層、中間層、受容層など)からなる多層構成の受像シートを製造する場合、特開2004−106283号、同2004−181888号、同2004−345267号等の各公報に示されている如く各層を順次塗り重ねていくか、あらかじめ各層を支持体上に塗布したものを張り合わせることにより製造することが知られている。一方、写真業界では例えば複数の層を同時に重層塗布することにより生産性を大幅に向上させることが知られている。例えば特開米国特許第2,761,791号、同第2,681,234号、同第3,508,947号、同第4,457,256号、同第3,993,019号、特開昭63−54975号、特開昭61−278848号、同55−86557号、同52−31727号、同55−142565号、同50−43140号、同63−80872号、同54−54020号、特開平5−104061号、同5−127305号、特公昭49−7050号の公報または明細書やEdgar B. Gutoffら著,「Coating and Drying Defects:Troubleshooting Operating Problems」,John Wiley&Sons社,1995年,101〜103頁などに記載のいわゆるスライド塗布(スライドコーティング法)、カーテン塗布(カーテンコーティング法)といわれる方法が知られている。これらの塗布方法では、複数の塗布液を塗布装置に同時に供給して異なる複数の層を形成する。
本発明の感熱転写受像シートを製造する方法としては、同時重層塗布が可能で高い生産性を実現できることから、スライド塗布あるいはカーテン塗布が好ましい。本発明の感熱転写受像シートは、少なくとも1層の受容層および少なくとも1層の断熱層を水系塗布により、支持体上に塗布して製造されるものであるが、これらが複数の層からなる場合、あるいは、中間層や下引き層を有する場合には、それらを全て含めて支持体上に同時塗布することが好ましい。
同時重層塗布においては、均質な塗膜形成および良好な塗布性の点で、各層を構成する塗布液の粘度および表面張力を調整する必要がある。塗布液の粘度は、通常の増粘剤や減粘剤を他の性能に影響を与えない範囲で使用することにより容易に調整できる。また、塗布液の表面張力は各種の界面活性剤により調整可能である。
これらの各層を塗布するための塗布液の温度は、25℃〜60℃が好ましく、30℃〜50℃であることがさらに好ましい。特に塗布液にゼラチンを使用する場合の塗布液の温度は33℃〜45℃であることが好ましい。
本発明においては多層構成を構成する1層あたりの塗布液の塗布量は1g/m2〜500g/m2の範囲が好ましい。多層構成の層数は2以上で任意に選択できる。受容層は支持体から最も遠く離れた層として設けられることが好ましい。
乾燥ゾーンでは、乾燥速度が一定で、材料温度とほぼ湿球温度が等しい恒率乾燥期間と、乾燥速度が遅くなり、材料温度が上昇する減率乾燥期間を経て乾燥が進む。恒率乾燥期間では、外部から与えられた熱はすべて水分の蒸発に使われる。減率乾燥期間では、材料内部での水分拡散が律速になり、蒸発表面の後退等により乾燥速度が低下し、与えられた熱は材料温度上昇にも使われるようになる。
セットゾーンおよび乾燥ゾーンにおいては、各塗布膜の間および支持体と塗布膜の間で水分移動が起こり、また塗布膜の冷却と水分蒸発による固化が起こる。このため、製品の品質・性能には乾燥途中での膜面温度・乾燥時間等の履歴が大きく影響し、要求品質に応じた条件の設定が必要とされる。
セットゾーンの温度は、15℃以下であり、なおかつその冷却工程時間を5秒以上30秒未満とすることが好ましい。5秒未満では十分な塗布液粘度上昇が得られずその後の乾燥時に面状が悪化してしまう。また30秒以上の冷却工程を経るとその後の乾燥工程においての水分除去に時間がかかり、生産効率が低下する。
15℃以下での冷却工程後、15℃を越える環境下で乾燥を行うが、その際、本発明においては、冷却終了後から30秒以内に、重層塗布された塗布膜における水の蒸発量を、塗布直後に1m2あたりに塗りつけられた膜面に含まれる水分の60%以上とすることが好ましい。塗布直後に1m2あたりに塗りつけられた膜面に含まれる水分とは、塗布前に調液された塗工液中の含水量に等しい。蒸発水分量が少なすぎなければ、塗布面状の水分が多すぎず、面状が良好となる。一方、該蒸発量を60%以上とする際に乾燥温度を50℃より高くしすぎなければ、水分の蒸発が急激とならず、ひび割れなどを起こさず、面状が良好となるため、乾燥温度は50℃以下に抑えることが好ましい。
蒸発量の規定は、塗布後の感熱転写受像シートを110℃1時間の条件(雰囲気)で乾燥させたものの質量を100%蒸発したものと定義して、質量の差分を量ることで行うことができる。
乾燥された塗布済み品は、一定の含水率に調整され巻き取られるが、巻取り、塗布済み品の保存過程での含水率、温度によって硬膜進行が影響されるため、巻取りでの含水率について適切な調湿過程条件の設定が必要となる。
一般に、硬膜反応は高温・多湿条件ほど進行しやすい。しかし、含水率が高すぎると、塗布品同士が接着したり、性能上の問題が生じたりする場合がある。この為、巻取りの含水率(調湿条件)と貯蔵条件は品質に応じた設定が必要とされる。
代表的な乾燥装置としては、エアループ方式、つるまき方式等がある。エアループ方式は、ローラーで支持された塗布済み品に乾燥風噴流を吹き付ける方式であり、ダクトは縦に配置する方式と、横に配置する方式がある。乾燥機能と搬送機能は基本的に分離されていて、風量等の自由度が大きい。しかし、多くのローラーを使うため、寄り・シワ・スリップ等のベースの搬送不良が発生しやすい。つる巻き方式は、円筒状のダクトに塗布済み品をつる巻き状に巻きつけて乾燥風で浮上させて(エアフローティング)搬送・乾燥する方式で、基本的にローラー支持がいらない(特公昭43−20438号公報)。その他、上下互いにダクトを設置して搬送する乾燥方式がある。一般的に乾燥分布はつるまき式に比べ良いが、浮上能力が劣る。
<画像形成方法>
本発明の感熱転写受像シートを用いて画像形成する方法としては、本発明の感熱転写受像シートの受容層と感熱転写シートの染料層(熱転写層)とが接するように重ね合わせて、サーマルヘッドからの画像信号に応じた熱エネルギーを付与することにより画像を形成する。
具体的な画像形成は、例えば特開2005−88545号公報などに記載された方法と同様にして行うことができる。本発明では、消費者にプリント物を提供するまでの時間を短縮するという観点から、プリント時間は15秒未満が好ましく、3〜12秒がより好ましく、さらに好ましくは、3〜7秒である。
上記プリント時間を満たすために、プリント時のライン速度は2.0msec/line以下が好ましく、1.5msec/line以下であることがより好ましく、さらに好ましくは0.73msec/line以下であり、最も好ましくは0.65msec/line以下である。また、高速化条件における転写効率向上の観点から、プリント時のサーマルヘッド最高到達温度は、180℃〜450℃が好ましく、さらに好ましくは200℃〜450℃である。さらには350℃〜450℃が好ましい。
本発明の感熱転写受像シートは、感熱転写記録方式を利用したプリンター、複写機などに利用することができる。熱転写時の熱エネルギーの付与手段は、従来公知の付与手段のいずれも使用することができ、例えば、サーマルプリンター(例えば、日立製作所製、商品名、ビデオプリンターVY−100)等の記録装置によって記録時間をコントロールすることにより、5〜100mJ/mm2程度の熱エネルギーを付与することによって所期
の目的を十分に達成することができる。また、本発明の感熱転写受像シートは、支持体を適宜選択することにより、熱転写記録可能な枚葉またはロール状の感熱転写受像シート、カード類、透過型原稿作成用シート等の各種用途に適用することもできる。
<感熱転写シート>
感熱転写シートとは、ポリエチレンテレフタレート(PET)等の支持体上に、バインダー樹脂にイエロー、マゼンタ、シアン、の3色の色材をそれぞれ分散させた色材層および転写性保護層を面順次に設けたものである。色材層はブラックを加えた4色とした態様でもよい。
(バインダー樹脂)
感熱転写シートに用いられるバインダー樹脂の例としては、ポリアクリロニトリル、ポリアクリル酸エステル、ポリアクリルアミド等のアクリル系樹脂、ポリビニルアセトアセタール、ポリビニルブチラールなどのポリビニルアセタール系樹脂、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、エチルヒドロキシセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、酢酸セルロース、酢酪酸セルロース、酢酸プロピオン酸セルロース、硝酸セルロース等の変性セルロース系樹脂ニトロセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース及びエチルセルロースなどのセルロース系樹脂や、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、フェノキシ樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、各種エストラマー等が挙げられる。これらを単独で用いる他、これらを混合、または共重合して用いることも可能である。
(染料)
染料は、熱により拡散し、感熱転写シートに組み込み可能かつ、加熱により感熱転写シートから感熱転写受像シートに転写するものであれば特に限定されず、熱転写シート用の染料として従来から用いられてきている染料、あるいは公知の染料を用いることができる。
好ましい染料としては、たとえば、ジアリールメタン系、トリアリールメタン系、チアゾール系、メロシアニン等のメチン系、インドアニリン、アセトフェノンアゾメチン、ピラゾロアゾメチン、イミダゾルアゾメチン、イミダゾアゾメチン、ピリドンアゾメチンに代表されるアゾメチン系、キサンテン系、オキサジン系、ジシアノスチレン、トリシアノスチレンに代表されるシアノメチレン系、チアジン系、アジン系、アクリジン系、ベンゼンアゾ系、ピリドンアゾ、チオフェンアゾ、イソチアゾールアゾ、ピロールアゾ、ピラールアゾ、イミダゾールアゾ、チアジアゾールアゾ、トリアゾールアゾ、ジズアゾ等のアゾ系、スピロピラン系、インドリノスピロピラン系、フルオラン系、ローダミンラクタム系、ナフトキノン系、アントラキノン系、キノフタロン系等が挙げられる。
具体例を挙げると、イエロー染料としては、ディスパースイエロー231、ディスパースイエロー201、ソルベントイエロー93等が、マゼンタ染料としては、ディスパースバイオレット26、ディスパースレッド60、ソルベントレッド19等が、さらに、シアン染料としては、ソルベントブルー63、ソルベントブルー36、ディスパースブルー354、ディスパースブルー35等が挙げられるがこれらに限定されない。また、上記の各色相の染料を任意に組み合わせることも可能である。
(熱転写性保護層)
熱転写性保護層(積層体)は、熱転写された画像の上に透明樹脂からなる保護層を熱転写で形成し、画像を覆い保護するためのものであり、耐擦過性、耐光性、耐候性等の耐久性を向上させるために用いられる。感熱転写受像シート上に転写された染料が表面に曝されたままの状態では耐光性、耐擦過性、耐薬品性等の画像耐久性が不十分な場合があり、このような透明保護層を設けることが好ましい。一例としてPET支持体上に、支持体側から離型層、保護層、接着剤層の順に配設されている場合が挙げられる。保護層を複数の層で形成することも可能である。保護層が他の層の機能を兼ね備えている場合には、離型層、接着剤層を省くことも可能である。支持体としては、易接着層の設けられたものを用いることも可能である。
保護層を形成する樹脂としては、耐擦過性、耐薬品性、透明性、硬度に優れた樹脂が好ましく、ポリエステル樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリルウレタン樹脂、これら各樹脂のシリコーン変性樹脂、これら各樹脂の混合物、電離放射線硬化性樹脂、紫外線遮断性樹脂等を例として挙げることができる。この他にも、保護層形成用樹脂として従来から知られている各種の樹脂を用いることができる。また、紫外線吸収性の付与、転写時の膜切れ性、光沢、白色度向上等を目的として、紫外線吸収剤、酸化防止剤、蛍光増白剤、有機フィラー及び/又は無機フィラー等を必要に応じて適宜添加することも好ましい。
また、電離放射線硬化性樹脂を用いることにより、耐可塑剤性や耐擦過性が特に優れた保護層を得ることができる。具体例として、ラジカル重合性のポリマー又はオリゴマーを電離放射線照射により架橋、硬化させるものがある。このさい、0必要に応じて光重合開始剤を添加して電子線や紫外線によって重合架橋させても良い。その他、公知の電離放射線硬化性樹脂を用いることができる。
印画物に耐光性を付与するために、紫外線吸収剤あるいは/及び紫外線遮断性樹脂を含有する保護層も好ましい態様である。
保護層は、保護層形成用樹脂の種類に依存するが、前記熱転写層の形成方法と同様の、方法で形成され、0.5〜10μm程度の厚さが好ましい。
以下、実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り、適宜、変更することができる。従って、本発明の範囲は以下に示す具体例に限定されるものではない。なお、実施例中で、組成について部または%とある場合、特に断りのない限り質量基準である。
[ポリエーテル変性シリコーンの合成例]
本発明に用いられる一般式(S1)で表されるポリエーテル変性シリコーンの合成は、伊藤邦雄著「シリコーンハンドブック」(日刊工業新聞社、1990年、p.163)等に記載されている公知の方法を用いることができる。
具体的には、撹拌装置と温度計付きガラスフラスコ内で、平均構造式(1):
Figure 2011031489
で表されるジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体 20質量部と平均構造式(2):CH=CHCHO(CO)20(CO)20CHで表される片末端アリルエーテル化ポリオキシアルキレン40質量部とを混合し、溶媒としてイソプロピルアルコール20質量部を加えた。更に塩化白金酸を加えて86℃で2時間撹拌した後、赤外吸収スペクトルでSi−Hを示すピークが消失していることを確認し、さらに30分間撹拌した。反応液を減圧濃縮することにより、下記表1に示すポリエーテル変性シリコーンS1−1を得た。
ポリエーテル変性シリコーンS1−1の合成例のうち、片末端アリルエーテル化ポリオキシアルキレンの構造を平均構造式(3):CH=CHCHO(CO)35CHに変更した以外は同様にして下記表1に示すポリエーテル変性シリコーンS1−2を得た。
ポリエーテル変性シリコーンS1−1の合成例のうち、片末端アリルエーテル化ポリオキシアルキレンの構造を平均構造式(4):CH=CHCHO(CO)10CHに変更した以外は同様にして下記表1に示すポリエーテル変性シリコーンS1−3を得た。
ポリエーテル変性シリコーンS1−1の合成例のうち、片末端アリルエーテル化ポリオキシアルキレンの構造を平均構造式(5):CH=CHCHO(CO)50(CO)50CHに変更した以外は同様にして下記表1に示すポリエーテル変性シリコーンS1−4を得た。
ポリエーテル変性シリコーンS1−1の合成例のうち、片末端アリルエーテル化ポリオキシアルキレンの構造を平均構造式(6):CH=CHCHO(CO)40(CO)35CHに変更した以外は同様にして下記表1に示すポリエーテル変性シリコーンS1−5を得た。
Figure 2011031489
(試料101の作製)
ポリエチレンで両面ラミネートした紙支持体表面に、コロナ放電処理を施した後、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムを含むゼラチン下塗層を設けた。この上に、下記組成の下引き層、断熱層、中間層、受容層を支持体側からこの順に積層させた状態で、米国特許第2,761,791号明細書に記載の第9図に例示された方法により、同時重層塗布を行った。固形分が下引き層:3g/m、断熱層:15g/m、中間層:2.5g/m、受容層:2.5g/mとなるように塗布し、試料101を作製した。
この際、連続製造を想定して各層の塗布液を40℃で24時間経時させた後、同時重層塗布を行なった。
受容層塗布液1:
塩化ビニル/アクリル系共重合体ラテックス 20.0質量部
(ビニブラン900、商品名、日信化学工業(株)製、固形分40%、
塩化ビニル/アクリル酸エステル共重合体)
塩化ビニル/アクリル系共重合体ラテックス 20.0質量部
(ビニブラン690、商品名、日信化学工業(株)製、固形分55%、
塩化ビニル/アクリル酸エステル共重合体)
ゼラチン(10%水溶液) 2.0質量部
ポリビニルピロリドン 0.5質量部
(K―90、商品名、ISP(株)製)
両末端をポリエーテル変性したシリコーン離型剤(固形物) 1.5質量部
(KF−6004、信越化学工業(株)製)
水 50.0質量部
中間層塗布液1:
塩化ビニル/アクリル系共重合体ラテックス 50.0質量部
(ビニブラン690、商品名、日信化学工業(株)製、固形分55%)
ゼラチン(10%水溶液) 30.0質量部
水 20.0質量部
断熱層塗布液1:
アクリル系中空粒子 20.0質量部
(ローペイクHP−1055、商品名、平均粒径1.0μm、
固形分26.5%、中空率55%、ロームアンドハース社製)
アクリルスチレン系中空粒子 3.0質量部
(Nipol MH5055、商品名、平均粒径0.5μm、
固形分30%、中空率55%、日本ゼオン(株)製)
ゼラチン(10%水溶液) 25.0質量部
スチレン−ブタジエンラテックス 5.0質量部
(Nipol LX407BP6、商品名、Tg=70℃、
固形分50%、日本ゼオン(株)製)
水 47.0質量部
下引き層塗布液1:
ポリビニルアルコール 2.5質量部
(ポバールPVA235、商品名、(株)クラレ製)
スチレンブタジエンゴムラテックス 30.0質量部
(SN−307、商品名、日本エイアンドエル(株)製、固形分48%)
水 65.0質量部
(試料102の作製)
試料101の受容層塗布液1を、下記の受容層塗布液2に変更した以外は試料101と同様にして、試料102を作製した。
(組成)
受容層塗布液2:
塩化ビニル/アクリル系共重合体ラテックス 20.0質量部
(ビニブラン900、商品名、日信化学工業(株)製、固形分40%)
塩化ビニル/アクリル系共重合体ラテックス 20.0質量部
(ビニブラン690、商品名、日信化学工業(株)製、固形分55%)
ゼラチン(10%水溶液) 2.0質量部
ポリビニルピロリドン 0.5質量部
(K―90、商品名、ISP(株)製)
前記ポリエーテル変性シリコーンS1−4(100%) 1.5質量部
水 50.0質量部
(試料103の作製)
試料101の受容層塗布液1を、下記の受容層塗布液3に変更した以外は試料101と同様にして、試料103を作製した。
(組成)
受容層塗布液3:
塩化ビニル/アクリル系共重合体ラテックス 20.0質量部
(ビニブラン900、商品名、日信化学工業(株)製、固形分40%)
塩化ビニル/アクリル系共重合体ラテックス 20.0質量部
(ビニブラン690、商品名、日信化学工業(株)製、固形分55%)
ゼラチン(10%水溶液) 2.0質量部
ポリビニルピロリドン 0.5質量部
(K―90、商品名、ISP(株)製)
前記ポリエーテル変性シリコーンS1−4(100%) 1.5質量部
ノニオン性界面活性剤 0.5質量部
(サーフィノール440、日信化学工業(株)製)
水 50.0質量部
(試料104の作製)
試料101の受容層塗布液1を、下記の受容層塗布液4に変更した以外は試料101と同様にして、試料104を作製した。
(組成)
受容層塗布液4:
塩化ビニル/アクリル系共重合体ラテックス 20.0質量部
(ビニブラン900、商品名、日信化学工業(株)製、固形分40%)
塩化ビニル/アクリル系共重合体ラテックス 20.0質量部
(ビニブラン690、商品名、日信化学工業(株)製、固形分55%)
ゼラチン(10%水溶液) 2.0質量部
ポリビニルピロリドン 0.5質量部
(K―90、商品名、ISP(株)製)
前記ポリエーテル変性シリコーンS1−4 (100%) 1.5質量部
ドデシルベンセンスルホン酸ナトリウム 0.5質量部
水 50.0質量部
(試料105の作製)
試料104のポリエーテル変性シリコーンを前記ポリエーテル変性シリコーンS1−1(100%)に変更した以外は試料104と同様にして、試料105を作製した。
(試料106の作製)
試料101の受容層塗布液1を、下記の受容層塗布液5に変更した以外は試料101と同様にして、試料106を作製した。
(組成)
受容層塗布液5:
塩化ビニル/アクリル系共重合体ラテックス 20.0質量部
(ビニブラン900、商品名、日信化学工業(株)製、固形分40%)
塩化ビニル/アクリル系共重合体ラテックス 20.0質量部
(ビニブラン690、商品名、日信化学工業(株)製、固形分55%)
ゼラチン(10%水溶液) 2.0質量部
ポリビニルピロリドン 0.5質量部
(K―90、商品名、ISP(株)製)
前記ポリエーテル変性シリコーンS1−1(100%) 1.5質量部
アニオン性界面活性剤A1−1 0.5質量部
水 50.0質量部
(試料107の作製)
試料106のポリエーテル変性シリコーンを前記ポリエーテル変性シリコーンS1−4(100%)に変更した以外は試料106と同様にして、試料107を作製した。
(試料108の作製)
試料107のアニオン性界面活性剤A1−1をアニオン性界面活性剤A1−2に変更した以外は試料107と同様にして、試料108を作製した。
(試料109の作製)
試料107のアニオン性界面活性剤A1−1をアニオン性界面活性剤A2−1に変更した以外は試料107と同様にして、試料109を作製した。
(試料110の作製)
試料106のポリエーテル変性シリコーンを前記ポリエーテル変性シリコーンS1−2(100%)に変更した以外は試料106と同様にして、試料110を作製した。
(試料111の作製)
試料106のポリエーテル変性シリコーンを前記ポリエーテル変性シリコーンS1−5(100%)に変更した以外は試料106と同様にして、試料111を作製した。
(画像形成方法)
画像形成のためのプリンターには 富士フイルム(株)製 フジフイルムサーマルフォトプリンター ASK−2000(商品名)を用いた。プリンター所定の熱転写シートと上記感熱転写受像シートを装填可能なように加工し、画像の出力を行った。
(画像評価)
(離型性1の評価)
画像形成は下記の環境条件においた試料に対し、下記印画環境下で連続50枚出力して、出力画像上の剥離線・融着を以下のランクで評価した。画像としては、人物(屋内)、人物(野外夜景)、黒ベタの3画像について上記出力を行った。
保存/印画環境条件
前記感熱転写シート、前記感熱受像シート、およびプリンターを、温度30℃、湿度70%の環境下で12時間保管し、同条件下で印画を実施。
5: 剥離線は目視で全く確認できない。
4: 剥離線は僅かに確認できる程度であり、画像鑑賞上実害にならない。
3: 部分的に剥離線が見られるが、画像鑑賞上実害にならない。
2: 画像一部に強い剥離線が出ており、画像鑑賞上妨げとなる。
1: 画像全面に強い剥離線が出ており、画像鑑賞上妨げとなる。
または、感熱転写シートと感熱転写受像シートが融着し、出力できない。
(画像欠陥の評価)
上記の画像形成のプリンターを用いて、常温常湿環境条件下で得られた濃度0.4のグレーベタ画像において、100枚出力したときの印画面内に発生する塗布面状故障起因の画像欠陥について評価した。
5:100枚中で画像欠陥が全く認められない。
4:100枚中1〜5枚で画像欠陥が散発しているが、実用上許容の範囲にある。
3:100枚中6〜15枚で画像欠陥が散発しているが、実用上許容の範囲にある。
2:100枚中16〜39枚で画像欠陥が見られており、実用上問題となる品質である。
1:100枚中40枚以上で画像欠陥が見られており、実用上問題となる品質である。
Figure 2011031489
上記表の結果より、本発明の感熱転写受像シート106〜111は比較例の感熱転写受像シート102〜105と比較して、剥離性及び画像品質について顕著な効果を奏することが分かる。
また、感熱転写受像シート106と感熱転写受像シート107、110、111との比較からポリエーテル変性シリコーンの一般式(S1)におけるa1が30以上であるポリエーテル変性シリコーンを用いた場合に、製造時の塗布故障起因の画像欠陥をより効果的に低減しうることが分かった。
[実施例2]
(離型性2の評価)
画像形成は上記離型性1評価の方法の保存/印画環境条件を下記条件に変更した以外は実施例1の試料106の場合と全く同様にして出力・評価を行った。
保存/印画環境条件
前記感熱転写シート、前記感熱受像シート、およびプリンターを、温度35℃、湿度80%の環境下で12時間保管し、同条件下で印画を実施。
(光沢ムラ1の評価)
画像形成は上記離型性1評価の方法の保存/印画環境条件を下記条件に変更し、画像としては、人物(野外夜景)、黒ベタ、黒白パターン画像の3画像について上記出力を行った以外は同様にして出力を行った。
保存/印画環境条件
前記感熱転写シート、前記感熱受像シート、および前記プリンターを、温度30℃、湿度70%の環境下で12時間保管し、同条件下で印画を実施。
5: 光沢ムラは目視で全く確認できない。
4: 光沢ムラは僅かに確認できる程度であり、画像鑑賞上実害にならない。
3: 部分的に光沢ムラが見られるが、画像鑑賞上実害にならない。
2: 画像一部に強い光沢ムラが出ており、画像鑑賞上妨げとなる。
1: 画像全面に強い光沢ムラが出ており、画像鑑賞上妨げとなる。
Figure 2011031489
上記の結果より、本発明の実施例の中でも感熱転写受像シート107は、一般式(A1)で表されるアニオン界面活性剤について、特に分岐したアルキル基を有する界面活性剤を用いたものが優れていることが分かる。
[実施例3]
(試料112の作製)
試料101の受容層塗布液1を、下記の受容層塗布液6に変更した以外は試料101と同様にして、試料112を作製した。
(組成)
受容層塗布液6:
塩化ビニル/アクリル系共重合体ラテックス 20.0質量部
(ビニブラン900、商品名、日信化学工業(株)製、固形分40%)
塩化ビニル/アクリル系共重合体ラテックス 20.0質量部
(ビニブラン690、商品名、日信化学工業(株)製、固形分55%)
ゼラチン(10%水溶液) 2.0質量部
ポリビニルピロリドン 0.5質量部
(K―90、商品名、ISP(株)製)
前記ポリエーテル変性シリコーンS1−4(100%) 1.5質量部
アニオン性界面活性剤A1−1 0.5質量部
界面活性剤 (H)−3 0.2質量部
水 50.0質量部
(光沢ムラ2の評価)
画像形成は上記光沢ムラ1評価の方法の保存/印画環境条件を下記条件に変更した以外は実施例1の試料106の場合と全く同様にして出力を行った。
保存/印画環境条件
前記感熱転写シート、前記感熱受像シート、およびプリンターを、温度35℃、湿度80%の環境下で12時間保管し、同条件下で印画を実施。
Figure 2011031489
上記表の結果より本発明の試料112は、製造時の塗布故障起因の画像欠陥が少なく安定製造可能で、梅雨時期や夏場を想定される高温高湿環境下でも剥離線および光沢ムラを防止できる、離型性に優れた高画質の感熱転写受像シートであることが分かる。

Claims (3)

  1. 支持体上に、少なくとも1層の断熱層と少なくとも1層の受容層を順次有する感熱転写受像シートであって、該受容層がポリマーラテックス及び下記一般式(S1)で表されるポリエーテル変性シリコーンを含有し、さらに該受容層が下記一般式(A1)または(A2)で表されるアニオン性界面活性剤の少なくとも1種を含有することを特徴とする感熱転写受像シート。
    Figure 2011031489
    (一般式(S1)において、Rはアルキル基を表し、Rは−X−(CO)a1−(CO)b1−Rを表し、Rは、水素原子、アシル基、アルキル基、シクロアルキル基またはアリール基を表す。Xはアルキレン基、またはアルキレンオキシ基を表す。m1およびn1は各々独立に正の整数を表す。a1は正の整数を表し、b1は0または正の整数を表す。)
    Figure 2011031489
    (一般式(A1)において、R4およびR5は各々独立に炭素原子数3〜20のアルキル基を表し、Mは水素原子またはカチオンを表す。)
    Figure 2011031489
    (一般式(A2)において、Rは炭素原子数6〜20の、アルキル基またはアルケニル基を表し、Mは水素原子またはカチオンを表す。mは平均付加モル数を表し、0より大きく10以下である。nは0〜4の整数を表す。a2は0または1を表す。)
  2. 前記一般式(A1)のR4およびR5が各々独立に炭素原子数4〜10の分岐したアルキル基であることを特徴とする請求項1に記載の感熱転写受像シート。
  3. 前記一般式(S1)のRにおいて、a1が30以上であることを特徴とする請求項1または2に記載の感熱転写受像シート。
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