JP2011062961A - 感熱転写受像シート - Google Patents

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Kazuaki Oguma
一彰 小熊
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Abstract

【課題】環境配慮の観点で好ましい水系塗布系で作製でき、感熱転写受像シートと感熱転写シートとの融着、剥離線の問題が改善され、さらに高温高湿条件下に長時間保管しても粒状性の悪化が起こらない感熱転写受像シートを提供する。
【解決手段】支持体上に、少なくとも1層の中空粒子を含有する断熱層と、少なくとも1種のポリマーラテックスと少なくとも1種のシリコーン化合物を含有する少なくとも1層の受容層とを有する感熱転写受像シートであって、支持体上に形成された層の少なくとも一層に以下の4種類の化合物を含有する感熱転写受像シート。(1)ハロゲン化された1,2−チアゾール化合物。(2)スルホンアミド化したアニリン化合物。(3)ヘテロ環が2位に導入されたベンズイミダゾール化合物。(4)アルキルスルフィドが導入されたフタルイミド化合物。
【選択図】なし

Description

本発明は、感熱転写受像シートに関するものである。さらに詳しくは高温高湿条件下に長時間感熱転写受像シートを保存した場合に起こる印画画像の粒状性悪化について改良された感熱転写受像シートに関する。
染料拡散転写記録方式では、色素(染料とも称す)を含有する感熱転写シート(以下、単にインクシートとも称す)と感熱転写受像シート(以下、単に受像シートとも称す)を重ね合わせ、次いで、電気信号によって発熱が制御されるサーマルヘッドによって感熱転写シートを加熱することで感熱転写シート中の色素を感熱転写受像シートに転写して画像情報の記録を行うものであり、シアン、マゼンタ、イエローの3色あるいはこれにブラックを加えた4色を重ねて記録することで色の濃淡に連続的な変化を有するカラー画像を転写記録することができる。
しかしながら、カラープリント材料として長い歴史を持つ銀塩写真に比較すると、染料拡散転写記録方式では、連続処理における画像欠損発生率が高いという問題がある。特に昨今のプリント高速化に伴い、プリント時に高い熱量を必要とすることから、大量連続処理に伴い感熱転写シートと感熱転写受像シートとが融着する、あるいは連続的に剥離せず剥離線が残るという問題を生じ易くなっている。
感熱転写シートと感熱転写受像シートとの融着あるいは接着を防止するために、シリコーン系化合物を感熱転写受像シートに添加する方法が提案されている(特許文献1)。
また、従来、感熱転写受像シートは有機溶剤系塗布により製造されることがよく知られていたが、作業環境の改善、環境配慮設計の立場から水系塗布での製造方法が開発されている。特許文献2には、水系で中空粒子を用いて作製した多孔層に積層して用いる受容層として塩化ビニル成分を含有するポリマーラテックスを水系塗布して作製する方法が開示されている。
特許第2605084号公報 特開2006−264089号公報
昇華型熱転写方式プリンターの普及に伴い、プリンターには設置場所に依存することなく様々な環境条件でも良好な画質のプリントを提供することが求められてきている。すなわち、例えば温度23℃から27℃、相対湿度50%から70%のように空調されたオフィスや店舗内の標準的な環境条件下だけでなく、証明写真用屋外機など、夏季の高温高湿条件下(例えば、温度35〜45℃、相対湿度80〜90%)に長時間保管された場合でも、画質良好で画像欠損のないプリント品質を提供できることがユーザーニーズを満たすために必要である。
作業環境改善、環境配慮の観点から水系塗布系で感熱転写受像紙を作製する場合、断熱層に中空粒子を用い、受容層に塩化ビニル成分を含有するポリマーラテックスと、シリコーン系化合物を用いることにより感熱転写受像シートと感熱転写シートとの融着、剥離線の問題を改善できるが新たな問題も発生した。
受容層に塩化ビニル成分を含有するポリマーラテックスと、シリコーン系化合物を組み合わせて作製した感熱転写受像シートを高温高湿条件下に長時間保管した場合、印画物の一部または全面にブツ状又はかすれ状の画像不均一部分が発生し、印画物の粒状性が悪化することがわかった。
従って、本発明は、環境配慮の観点で好ましい水系塗布系で作製でき、感熱転写受像シートと感熱転写シートとの融着、剥離線の問題が改善され、さらに高温高湿条件下に長時間保管しても粒状性の悪化が起こらない感熱転写受像シートを提供することを目的とする。
本発明者らは鋭意検討を重ねた結果、下記手段で本発明の上記目的が達成できることを見出した。
(1)支持体上に、少なくとも1層の中空粒子を含有する断熱層と、少なくとも1種のポリマーラテックスと少なくとも1種のシリコーン化合物を含有する少なくとも1層の受容層とを有する感熱転写受像シートであって、支持体上に形成された層の少なくとも一層に下記一般式[A]、[B]、[C]または[D]で表される化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物を含有することを特徴とする感熱転写受像シート。
Figure 2011062961
(上記一般式[A]、[B]、[C]および[D]中、Rは水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アリール基、カルバモイル基、チオカルバモイル基、複素環基、アルキルアミノカルボニル基、アリールアミノカルボニル基、アルキルアミノスルホニル基、またはアリールアミノスルホニル基を表す。R2およびR3はそれぞれ独立にハロゲン原子を表す。R4およびR5はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、アリール基または含窒素複素環基を表す。R6は水素原子、アルキル基またはアリール基を表し、R7は水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、ニトロ基、カルボキシル基、スルホ基、スルファモイル基、ヒドロキシル基、アルコキシ基、またはチアゾリル基を表す。Zはチアゾリン環を構成するのに必要な非金属原子群を表す。mは0または1を表す。R8およびR9はそれぞれ独立にアルキル基、アリール基、−CORまたは−SONR’R”(但しR、R’、R”はそれぞれ独立にアルキル基またはアリール基を表す。)を表す。但し、R8およびR9は互いに結合して窒素原子とともに環を形成してもよい。R10、R11、およびR12はそれぞれ独立にハロゲン原子またはアルキル基を表す。上記R〜R12において置換可能な基はさらに置換基を有していてもよい。)
(2)前記シリコーン化合物が、ポリエーテル変性シリコーンであることを特徴とする(1)に記載の感熱転写受像シート。
なお、本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
本発明により、環境配慮の観点で好ましく、感熱転写受像シートと感熱転写シートとの融着、剥離線の問題が改善され、さらに高温高湿条件下に長時間保管しても印画物に粒状性の悪化が起こらない感熱転写受像シートを提供することができる。
[感熱転写受像シート]
本発明の感熱転写受像シート(以下本発明の受像シートともいう)は、支持体上に少なくとも1層の断熱層および少なくとも1層の受容層を有する感熱転写受像シートである。
また、本発明の感熱転写受像シートは、前記支持体と前記断熱層との間に、例えば白地調整、帯電防止、接着性、クッション性、平滑性などの各種機能を付与するために下塗層を設けることも好ましい態様の一つである。
さらにまた、本発明の感熱転写受像シートは、前記断熱層と前記受容層との間に、例えば白地調整、帯電防止、接着性、クッション性、平滑性などの各種機能を付与するために中間層を設けることも好ましい態様の一つである。
前記支持体の、前記受容層を塗設した面の他方の面にはカール調整層、筆記層、帯電調整層を設けてもよい。
本発明の感熱転写受像シートは、上記のような、支持体上の受容層側の面に形成された層の少なくとも一層に一般式[A]、[B]、[C]または[D]で表される化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物を含有する。
Figure 2011062961
一般式[A]中、Rは水素原子、直鎖または分岐鎖の置換または無置換のアルキル基(好ましくは炭素数1〜8、例えば、メチル、エチル、n-プロピル、tert-ブチル、2-エチルヘキシル、n-オクチル、2-ヒドロキシエチル、2-カルボキシエチル、スルホブチル、N,N-ジメチルアミノエチル)、置換または無置換のシクロアルキル基(好ましくは炭素数5〜10、例えば、シクロヘキシル、3-メチルシクロヘキシル、2-オキソシクロペンチル)、置換または無置換のアルケニル基(好ましくは炭素数3〜8、例えば、アリル、メチルアリル)、置換または無置換のアラルキル基(好ましくは炭素数7〜12、例えば、ベンジル、p-メトキシベンジル、o-クロロベンジル、p-イソ-プロピルベンジル)、置換または無置換のアリール基(好ましくは炭素数6〜12、例えば、フェニル、ナフチル、o-メチルフェニル、m-ニトロフェニル、3,4-ジクロロフェニル)、カルバモイル基、チオカルバモイル基、置換または無置換の複素環基(好ましくはヘテロ原子として窒素原子、酸素原子または硫黄原子を含む5〜12員の複素環基、例えば、2-イミダゾリル、2-フリル、2-チアゾリル、2-ピリジル、2-インドリル)、置換または無置換のアルキルアミノカルボニル基(好ましくは炭素数2〜8、例えば、メチルアミノカルボニル、エチルアミノカルボニル)、置換または無置換のアリールアミノカルボニル基(好ましくは炭素数7〜12、例えば、フェニルアミノカルボニル、o-メチルフェニルアミノカルボニル)、置換または無置換のアルキルアミノスルホニル基(好ましくは炭素数1〜8、例えば、メチルアミノスルホニル、エチルアミノスルホニル)、または置換または無置換のアリールアミノスルホニル基(好ましくは炭素数6〜12、例えば、フェニルアミノスルホニル、o-メチルフェニルアミノカルボニル)を表す。
2およびR3はそれぞれ独立にハロゲン原子を表し、塩素原子あるいは臭素原子が好ましく、塩素原子が最も好ましい。
一般式[B]中、R4およびR5はそれぞれ独立に水素原子、置換または無置換のアルキル基(好ましくは炭素数1〜8、例えば、メチル、エチル、n-プロピル、tert-ブチル、2-エチルヘキシル、2-ヒドロキシエチル、2-カルボキシエチル、スルホブチル、スルホキシメチル)、置換または無置換のアリール基(好ましくは炭素数6〜12、例えば、フェニル、ナフチル、o-メチルフェニル、m-ニトロフェニル、3,4-ジクロロフェニル)または置換または無置換の複素環基(好ましくはヘテロ原子として窒素原子または硫黄原子を含む好ましくは5〜12員の複素環基、例えば、3-ピラゾリル、2-ピリジル、2-ピリミジル、4-イソチアゾリル、2-インドリル)を表す。
一般式[C]中、R6は水素原子、置換または無置換のアルキル基(好ましくは炭素数1〜8、例えば、メチル、エチル、n-プロピル、tert-ブチル、2-エチルヘキシルまたは置換または無置換のアリール基(好ましくは炭素数6〜12、例えば、フェニル、ナフチル、o-メチルフェニル、m-ニトロフェニル、3,4-ジクロロフェニル)を表し、水素原子が好ましい。
7は水素原子、ハロゲン原子(好ましくは塩素原子、臭素原子)、置換または無置換のアルキル基(好ましくは炭素数1〜8、例えば、メチル、エチル、n-プロピル、tert-ブチル、2-エチルヘキシル)、置換または無置換のアリール基(好ましくは炭素数6〜12、例えば、フェニル、ナフチル、o-メチルフェニル、m-ニトロフェニル、3,4-ジクロロフェニル)、ニトロ基、カルボキシル基、スルホ基、スルファモイル基、ヒドロキシル基、置換または無置換のアルコキシ基(好ましくは炭素数1〜8、例えば、メトキシ、エトキシ、tert-ブチロキシ、2-エチルヘキシロキシ)、アミノ基、またはチアゾリル基を表し、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アミノ基、ヒドロキシル基が好ましく、水素原子が最も好ましい。
Zはチアゾリン環を構成するのに必要な非金属原子群を表す。mは0または1を表し、0が好ましい。
一般式[D]中、R8およびR9はそれぞれ独立に置換または無置換のアルキル基(好ましくは炭素数1〜8、例えば、メチル、エチル、n-プロピル、tert-ブチル、2-エチルヘキシル)、置換または無置換のアリール基(好ましくは炭素数6〜12、例えば、フェニル、ナフチル、o-メチルフェニル、m-ニトロフェニル、3,4-ジクロロフェニル)、−CORまたは−SONR’R”(但しR、R’、R”はそれぞれ独立に置換または無置換のアルキル基(好ましくは炭素数1〜8、例えば、メチル、エチル、n-プロピル、tert-ブチル、2-エチルヘキシル)または置換または無置換のアリール基(好ましくは炭素数6〜12、例えば、フェニル、ナフチル、o-メチルフェニル、m-ニトロフェニル、3,4-ジクロロフェニル)を表す。)を表す。但し、R8およびR9は互いに結合して窒素原子とともに環を形成してもよい。R10、R11、およびR12はそれぞれ独立にハロゲン原子(好ましくは塩素原子、フッ素原子、臭素原子)またはアルキル基を表し、ハロゲン原子が好ましい。
上記R〜R12において置換可能な基はさらに置換基を有していてもよい。このときの置換基としてはアルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基、アルコキシ基、複素環基、カルボキシル基、ニトロ基、スルホ基、カルバモイル基、スルファモイル基、ヒドロキシル基、アミノ基、ハロゲン原子などがあげられる。
前記のように、受容層に塩化ビニル成分を含有するポリマーラテックスと、シリコーン系化合物を組み合わせて含有させた感熱転写受像シートを高温高湿条件下に長時間保管した場合、通常、印画物の粒状性の悪化が発生する。本発明においては上記一般式[A]、[B]、[C]または[D]で表される化合物を受像シートを構成するいずれかの層に含有させることにより、このような粒状性悪化を抑制できることを見出した。このメカニズムについては不明であるが、ポリマーラテックスとシリコーン化合物の共存時に高温高湿条件下で長期間保管すると膜中成分の凝集、析出、ブリードアウト等の問題が発生し粒状性が悪化するのに対し、一般式[A]、[B]、[C]または[D]で表される化合物がこれらを効果的に抑制するものと推定している。
本発明において一般式[A]、[B]、[C]、[D]で表される化合物を添加する層に特に限定はないが、感熱転写受像シートの受容層または断熱層に添加することが好ましい。
一般式[A]、[B]、[C]、[D]で表される化合物の添加量は塗布液中において0.01〜5質量%が好ましく、0.05〜0.5質量%がさらに好ましい。
また、一般式[A]、[B]、[C]、[D]で表される化合物の塗布量は0.005〜0.5g/mが好ましく、0.01〜0.1g/mがさらに好ましい。
以下に本発明の一般式[A]、[B]、[C]、[D]で表される化合物の代表的具体例を示すが、一般式[A]、[B]、[C]、[D]で表される化合物はこれらに限定されるものではない。
Figure 2011062961
Figure 2011062961
Figure 2011062961
Figure 2011062961
<受容層>
本発明の感熱転写受像シートは、少なくとも1種のポリマーラテックスと、少なくとも1種のシリコーン化合物を含有する少なくとも1層の受容層を有する。受容層は、感熱転写シートから移行してくる染料を染着し、形成された画像を維持する役割を果たす。
(ポリマーラテックス)
本発明の受像シートにおいて、受容層はポリマーラテックスを含有する。
本明細書中、ポリマーラテックスとは、水不溶な疎水性ポリマーが微細な粒子として水溶性の分散媒中に分散したもののことを言う。分散状態としては、球状のポリマー重合粒子や、ポリマーが分散媒中に乳化されているもの、乳化重合されたもの、ミセル分散されたもの、あるいはポリマー分子中に部分的に親水的な構造を持ち分子鎖自身が分子状分散したものなどいずれでもよいが、特に球状のポリマー重合粒子が好ましい。
また、前記受容層は、感熱転写時に感熱転写シートから移行された染料を受容して記録画像を形成する受容ポリマーとしてのポリマーラテックス以外にも、例えば、膜の弾性率を調整するなどの目的で、他の機能を有するポリマーラテックスも併用して用いてもよい。
前記受容層に用いられるポリマーラテックスの分散粒子の平均粒径は1〜1000nmであることが好ましく、5〜500nmの範囲であることが特に好ましい。
本発明において前記受容層に用いられるポリマーラテックスとして用いることのできる熱可塑性樹脂の例としては、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリアクリレート、塩化ビニル系共重合体、ポリウレタン、スチレン/アクリロニトリル共重合体、ポリカプロラクトン等が挙げられる。
このうち、ポリエステル、ポリアクリレート、塩化ビニル系共重合体が好ましく、ポリエステル、塩化ビニル系共重合体が特に好ましく、塩化ビニル系共重合体が最も好ましい。
本明細書中、前記塩化ビニル系共重合体とは、重合体を得るためのモノマーとして塩化ビニルを少なくとも使用し、かつ他のモノマーと共重合させたものであり、例えば、塩化ビニルと酢酸ビニル共重合体、塩化ビニルとアクリレートの共重合体、塩化ビニルとメタクリレートの共重合体、塩化ビニルと酢酸ビニルとアクリレートの共重合体、塩化ビニルとアクリレートとエチレンの共重合体等が挙げられる。このように2元共重合体でも3元以上の共重合体でもよく、モノマーが不規則に分布していても、ブロック共重合体でもよい。
これらの共重合体にはビニルアルコール誘導体やマレイン酸誘導体、ビニルエーテル誘導体などの補助的なモノマー成分を添加してもよい。
本発明に用いる塩化ビニル系共重合体において、塩化ビニルを主成分とすることが好ましい。塩化ビニルを主成分とするとは塩化ビニル成分は50モル%以上含有されていることであり、塩化ビニル成分は50モル%以上含有されていることが好ましく、またマレイン酸誘導体、ビニルエーテル誘導体等の補助的なモノマー成分は10モル%以下であることが好ましい。
本発明において、前記受容層に用いられるポリマーラテックスは単独でも混合物として使用してもよい。また前記受容層に用いられるポリマーラテックスは、均一構造であってもコア/シェル型であってもよく、このときコアとシェルをそれぞれ形成する樹脂のガラス転移温度が異なってもよい。
本発明において、前記受容層で使用するポリマーラテックスのガラス転移温度(Tg)は、−30℃〜100℃が好ましく、0℃〜90℃がより好ましく、20℃〜90℃がさらに好ましく、40℃〜90℃が特に好ましい。
なお、このガラス転移温度(Tg)は実測できない場合、下記式で計算することができる。
1/Tg=Σ(Xi/Tgi)
ここでは、ポリマーはi=1からnまでのn個のモノマー成分が共重合しているとする。Xiはi番目のモノマーの質量分率(ΣXi=1)、Tgiはi番目のモノマーの単独重合体のガラス転移温度(絶対温度)である。ただしΣはi=1からnまでの和をとる。尚、各モノマーの単独重合体ガラス転移温度の値(Tgi)は「Polymer Handbook(3rd Edition)」(J.Brandrup,E.H.Immergut著(Wiley−Interscience、1989))の値を採用できる。
また、本発明に好ましく用いられるポリマーラテックスは、ポリマー濃度がラテックス液に対して10〜70質量%であることが好ましく、20〜60質量%であることがより好ましい。受容層中の全ポリマーラテックスの添加量は、ポリマーラテックスの固形分が受容層中の全ポリマーの50〜98質量%であることが好ましく、70〜95質量%であることがより好ましい。
ポリマーラテックスの好ましい態様としては、アクリル系ポリマー、ポリエステル類、ゴム類(例えばSBR樹脂)、ポリウレタン類、塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル/アクリル酸エステル共重合体、塩化ビニル/メタアクリル酸共重合体等の共重合体を含めたポリ塩化ビニル共重合体、エチレン/酢酸ビニル共重合体等の共重合体を含めたポリ酢酸ビニル共重合体、ポリオレフィン等のポリマーラテックスを好ましく用いることができる。これらポリマーラテックスとしては直鎖のポリマーでも枝分かれしたポリマーでもまた架橋されたポリマーでもよいし、単一のモノマーが重合したいわゆるホモポリマーでもよいし、2種類以上のモノマーが重合したコポリマーでもよい。コポリマーの場合はランダムコポリマーでも、ブロックコポリマーでもよい。これらポリマーの分子量は数平均分子量で5000〜1000000が好ましく、より好ましくは10000〜500000である。
ポリマーラテックスとしては、ポリエステルラテックス、塩化ビニル/アクリル化合物共重合体ラテックス、塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体ラテックス、塩化ビニル/酢酸ビニル/アクリル化合物共重合体ラテックス等の塩化ビニル共重合体ラテックスのいずれか1つまたは任意の組み合わせが好ましい。
塩化ビニル系共重合ラテックスとしては、例えば、ビニブラン240、ビニブラン270、ビニブラン276、ビニブラン277、ビニブラン375、ビニブラン380、ビニブラン386、ビニブラン410、ビニブラン430、ビニブラン432、ビニブラン550、ビニブラン601、ビニブラン602、ビニブラン609、ビニブラン619、ビニブラン680、ビニブラン680S、ビニブラン681N、ビニブラン683、ビニブラン685R、ビニブラン690、ビニブラン860、ビニブラン863、ビニブラン685、ビニブラン867、ビニブラン900、ビニブラン938、ビニブラン950(以上いずれも商品名、日信化学工業(株)製)、SE1320、S−830(以上いずれも商品名、住友ケムテック(株)製)が挙げられ、これらは本発明において好ましいポリマーラテックスである。
塩化ビニル系共重合ラテックス以外のポリマーラテックスとしては、ポリエステル系ポリマーラテックスを挙げることができ、例えば、バイロナール MD1200、バイロナール MD1220、バイロナール MD1245、バイロナール MD1250、バイロナール MD1500、バイロナール MD1930、バイロナール MD1985(以上いずれも商品名、東洋紡(株)製)が挙げられる。
これらのなかでも、塩化ビニル/アクリル化合物共重合体ラテックス(特に、塩化ビニル/アクリル酸エステル共重合体ラテックス)、塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体ラテックス、塩化ビニル/酢酸ビニル/アクリル化合物共重合体ラテックス(特に、塩化ビニル/酢酸ビニル/アクリル酸エステル共重合体ラテックス)等の塩化ビニル共重合体ラテックスが特に好ましく、塩化ビニル/アクリル化合物共重合体ラテックスが最も好ましい。
(水溶性ポリマー)
本発明の受像シートにおいては、受容層に水溶性ポリマーを含有してもよく、ゼラチン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルピロリドン共重合体が好ましく用いられ、なかでも塗布時のセット性が良好であるという理由からゼラチンが好ましく用いられる。これらの水溶性ポリマーは受容層の親疎水性の制御に有効であり、多量に使用し過ぎない場合はインクシートからの染料転写が良好であり、転写濃度も良好となる。
水溶性ポリマーの使用量は、受容層の固形分全体の質量に対して0.1〜10質量%であることが好ましく、0.5〜5質量%であることがさらに好ましい。
(離型剤)
本発明の受像シートは受容層に画像形成時に熱転写シートとの熱融着を防ぐために、少なくとも1種のシリコーン系化合物を含有する。
シリコーン系化合物としては、エポキシ変性、アルキル変性、アミノ変性、カルボキシル変性、アルコール変性、フッ素変性、ポリエーテル変性等のシリコーン系化合物が好ましいが、特にポリエーテル変性シリコーンが好ましい。
前記ポリエーテル変性シリコーンは、25℃で液体のものが好ましい。
また、前記ポリエーテル変性シリコーンは、非反応性のものが好ましく、エポキシ基を含まないものが好ましい。
本発明に好ましく用いられる前記ポリエーテル変性シリコーンは、下記一般式(1)に示す片末端変性型、下記一般式(2)に示す両末端変性型、下記一般式(3)に示す側鎖変性型、または下記一般式(4)に示す主鎖共重合型が好ましい。
Figure 2011062961
一般式(1)〜(4)において、R21はアルキル基を表し、R22は−Y−(C24O)a−(C36O)b−R24を表し、R23は、水素原子、s個のアシル部を有するアシル基、s価のアルキル基、s価のシクロアルキル基または、s価のアリール基を表し、R24は各々独立に、水素原子、アシル基、アルキル基、シクロアルキル基またはアリール基を表す。Yは単結合または2価の連結基を表し、Xは2価の連結基を表す。n、n'、m'、sは正の数を表す。aおよびbは各々独立に0または正の数を表すが、aとbが同時に0であることはない。
前記aおよび前記bは、それぞれ独立に0または1以上の整数が好ましく、0〜500がより好ましく、0〜200がさらに好ましい。
前記nは1〜1000が好ましく、n'およびm'は1〜1000が好ましい。
前記R21におけるアルキル基は置換基を有してもよい。前記R21のアルキル基の炭素数は1〜20が好ましく、1〜8がより好ましく、1〜4がさらに好ましい。また、置換アルキル基よりも無置換アルキル基が好ましい。なかでもメチル基またはエチル基が好ましく、メチル基が最も好ましい。
前記R23におけるs個のアシル部を有するアシル基は、1個のアシル部を有するアシル基としては、例えば、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、ベンゾイル基が挙げられる。2個のアシル部を有するアシル基としては、例えば、オキザリル基、マロニル基、スクシノイル基、マレオイル基、テレフタロイル基が挙げられる。3個のアシル部を有するアシル基としては、例えば、1,2,3−プロパントリカルボニル基が挙げられる。これらのアシル基としては、炭素数2〜20のアシル基が好ましく、炭素数2〜10のアシル基がより好ましい。
前記R23におけるs価のアルキル基において、1価のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、tert−ブチル基が挙げられる。2価のアルキル基としては、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基が挙げられる。3価のアルキル基としては、例えば、1,2,3−プロパントリイル基が挙げられる。4価のアルキル基としては、例えば、1,2,2,3−プロパンテトライル基が挙げられる。これらのアルキル基の炭素数は1〜20が好ましく、1〜10がより好ましい。
前記R23におけるs価のシクロアルキル基において、1価のシクロアルキル基としては、例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基が挙げられる。2価のシクロアルキル基としては、例えば、1,3−シクロペンチレン基、1,4−シクロヘキシレン基が挙げられる。3価のシクロアルキル基としては、例えば、1,3,5−シクロヘキサントリイル基が挙げられる。これらのシクロアルキル基の炭素数は、5〜10が好ましい。
前記R23におけるs価のアリール基において、1価のアリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基が挙げられる。2価のアリール基としては、例えば、フェニレン基が挙げられる。3価のアリール基としては、例えば、ベンゼン−1,3,5−トリイル基が挙げられる。アリール基のアリール部としてはベンゼン環が好ましい。
前記R23は、s価のアルキル基が好ましい。
前記sは1〜10が好ましく、1〜6がより好ましく、1〜4がさらに好ましい。
前記R24におけるアシル基の炭素数は20以下が好ましく、10以下がより好ましく、5以下がさらに好ましく、アセチル基が最も好ましい。
前記R24におけるアルキル基は、置換基を有してもよい。R24のアルキル基の炭素数は1〜20が好ましく、1〜8がより好ましく、1〜4がさらに好ましい。また、置換アルキル基よりも無置換アルキル基が好ましい。なかでもメチル基またはエチル基が好ましく、メチル基が最も好ましい。
前記R24におけるシクロアルキル基は、置換基を有してもよく、シクロペンチル基、シクロヘキシル基が好ましく、無置換のシクロアルキル基がさらに好ましい。
前記R24におけるアリール基は、置換基を有してもよく、フェニル基、ナフチル基が挙げられるが、フェニル基が好ましい。置換基としては、アルキル基、ハロゲン原子が好ましいが、無置換のフェニル基が最も好ましい。
前記R24は、水素原子、アシル基、アルキル基またはアリール基が好ましく、水素原子、アシル基またはアルキル基がより好ましく、アルキル基がさらに好ましい。
前記Xおよび前記Yにおける2価の連結基は、それぞれ独立にアルキレン基またはアルキレンオキシ基が好ましく、例えば、前記アルキレン基としてはメチレン基、エチレン基およびプロピレン基が挙げられ、前記アルキレンオキシ基としては、−CH2CH2O−、−CH(CH3)CH2O−、−CH2CH(CH3)O−および−(CH23O−が挙げられ、これらが好ましい。前記2価の連結基の炭素数は1〜4が好ましく、2または3がより好ましい。
また、XおよびYは、単結合または上記の好ましい2価の連結基が好ましい。
なお、Yにおいては、アルキレンオキシ基がさらに好ましく、プロピレンオキシ基(−(CH23O−)が特に好ましい。
前記一般式(1)〜(4)で表されるポリエーテル変性シリコーンのなかでも、離型作用としては一般式(2)〜(4)で表されるポリエーテル変性シリコーンが好ましく、一般式(2)または(3)で表されるポリエーテル変性シリコーンがより好ましく、一般式(3)で表されるポリエーテル変性シリコーンが最も好ましい。
前記ポリエーテル変性シリコーンは、HLB値(Hydrophile−Lipophile Balance)は、5〜9であることが好ましい。より好ましくは5〜7が好ましい。HLB値が低過ぎると塗工液中で分離・凝集し、面状故障の原因となる。HLB値が高いと離型効果およびラテックス粒子表面への配向効果が小さく十分な効果が発揮されない。
本発明において、HLB値はグリフィン法に基づき、以下の式で定義された計算式で求める(西一郎、今井怡知朗、笠井正威 共編,「界面活性剤便覧」,産業図書株式会社(1960年))。
HLB = 20 × Mw/M
ここで、Mは分子量であり、Mwは親水性部分の式量(分子量)である。ちなみに、M=Mw + Mo であり、ここで、Moは新油性部分の式量(分子量)である。なお、親水性部分とは、エチレンオキシ基である。
本発明で好ましく用いられる前記ポリエーテル変性シリコーンオイルの具体例としては、信越化学株式会社製 KF−351A、KF−352A、KF−353、KF−354L、KF−355A、KF−615A、KF−945、KF−640、KF−642、KF−643、KF−6020、KF−6011、KF−6012、KF−6015、KF−6017、X−22−4515、X−22−6191、東レ・ダウコーニング株式会社製 SH3749、SH3773M、SH8400、SF8427、SF8428、FZ−2101、FZ−2104、FZ−2110、FZ−2118、FZ−2162、FZ−2203、FZ−2207、FZ−2208、FZ−77、L−7001、L−7002(いずれも商品名)等が挙げられる。
また、本発明で好ましく用いられるポリエーテル変性シリコーンオイルは、例えば、特開2002−179797号公報、特開2008−1896号公報、特開2008−1897号公報に記載の方法または、これに準じた方法で、容易に合成できる。
本発明においては、ポリエーテル変性シリコーンオイルは単独でも、2種類以上混合して使用することもできる。また、本発明においては、ポリエーテル変性シリコーンオイルに他の離型剤を併用してもよい。
ポリエーテル変性シリコーンオイルの添加量としては、受容層中の全ポリマーラテックスに対して1質量%〜20質量%が好ましく、1質量%〜10質量%がより好ましい。
なお、受容層にはさらに、リン酸エステル系化合物、フッ素系化合物などのシリコーン系化合物以外の他の離型剤を配合することができる。
<断熱層>
本発明の感熱転写受像シートは少なくとも1層の中空粒子を含有する断熱層を有する。前記断熱層は1層のみでも2層以上あってもよい。前記断熱層は前記受容層と前記支持体の間に設けられる。
(中空粒子)
本発明における中空粒子とは、粒子内部に空隙を有するポリマー粒子のことを言う。前記中空粒子は好ましくは水分散物であり、例えば、
1)ポリスチレン、アクリル樹脂、スチレン−アクリル樹脂等により形成された隔壁内部に水などの分散媒が入っており、塗布乾燥後、粒子内の水が粒子外に蒸発して粒子内部が中空となる非発泡型の中空ポリマー粒子、
2)ブタン、ペンタンなどの低沸点液体を、ポリ塩化ビニリデン、ポリアクリロニトリル、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸エステルのいずれかまたはそれらの混合物もしくは重合物よりなる樹脂で覆っており、塗工後、加熱により粒子内部の低沸点液体が膨張することにより内部が中空となる発泡型マイクロバルーン、
3)上記の2)をあらかじめ加熱発泡させて中空粒子としたマイクロバルーン
などが挙げられる。
これらの中でも、前記中空粒子は上記1)の非発泡型の中空粒子であることがより好ましく、必要に応じて2種以上混合して使用することができる。具体例としてはロームアンドハース社製 ローペイク HP−1055、JSR社製 SX866(B)、日本ゼオン社製 Nipol MH5055(いずれも商品名)などが挙げられる。
前記中空粒子の平均粒子径は、0.5μm〜5.0μmであることが好ましく、0.5μm〜2.0μmであることがより好ましい。前記中空粒子の平均粒子径が小さすぎなければ膜の空隙率を高く設計できるため高い断熱性が得られ、前記中空粒子の平均粒子径が大きすぎなければ製造時の乾燥工程での膜収縮による中空粒子の潰れが発生し難くなる。
本発明に用いられる中空粒子の平均粒子径は、透過型電子顕微鏡を用いて、その外径の円相当換算直径を測定し算出する。平均粒子径は、中空粒子を少なくとも300個透過電子顕微鏡を用いて観察し、その外形の円相当径を算出し、平均して求める。
また、本発明に用いられる中空粒子は、中空率が20〜80%程度のものが好ましく、30〜70%程度のものがより好ましい。中空率が低すぎなければ高い断熱性が得られ、高すぎなければ中空粒子の強度が低下せず、製造時の乾燥工程での膜収縮による中空粒子の潰れが発生し難くなる。
本発明に用いられる中空粒子の中空率は、中空粒子を少なくとも300個透過型電子顕微鏡を用いて観察し、外径の平均円相当径(R1)と内径の平均円相当径(R2)をそれぞれ算出し、粒子体積に対する空隙部分の体積の割合(R2/R1)3×100を計算して求めることができる。
前記中空粒子は、ガラス転移温度(Tg)が70℃〜200℃であることが好ましく、90℃〜180℃であることがさらに好ましい。前記中空粒子としては、中空粒子を水中に分散したポリマーラテックスのような中空ポリマー粒子ラテックスを用いることが特に好ましい。
本発明の感熱転写受像シートにおいて、断熱層の全体積に占める前記中空粒子の体積総計の割合は30%〜90%であることが好ましく、さらに50%〜80%であることがより好ましい。
また、断熱層の全固形分に占める前記中空粒子の固形分総計の割合は20質量%〜80質量%であることが好ましく、さらに30質量%〜70質量%であることがより好ましい。
本発明においては、断熱層が2層以上ある場合、例えば断熱層が断熱上層と断熱下層の2層に分かれている態様が好ましい。
(ゼラチン)
本発明において前記断熱層にゼラチンを含有することが好ましい。本発明に用いるゼラチンは、その製造過程において、ゼラチン抽出前、アルカリ浴に浸漬されるいわゆるアルカリ処理(石灰処理)ゼラチン、酸浴に浸漬される酸処理ゼラチンおよびその両方に浸漬した二重浸漬ゼラチン、酵素処理ゼラチンのいずれでもよい。本発明に用いるゼラチンは分子量10,000から1,000,000までのものを用いることができる。本発明に用いられるゼラチンはCl-、SO4 2-等の陰イオンを含んでいてもよいし、Fe2+、Ca2+、Mg2+、Sn2+、Zn2+などの陽イオンを含んでいてもよい。ゼラチンは水に溶かして添加することが好ましい。
(ゼラチン以外の水溶性ポリマー)
本発明において前記断熱層にはゼラチン以外の水溶性ポリマーを含有させることができる。本発明に用いることのできるゼラチン以外の水溶性ポリマーとしては、天然高分子(多糖類系、微生物系、動物系)、半合成高分子(セルロース系、デンプン系、アルギン酸系)および合成高分子系(ビニル系、その他)であり、以下に述べるポリビニルアルコールを始めとする合成ポリマーや、植物由来のセルロース等を原料とする天然あるいは半合成ポリマーが本発明で使用できる水溶性ポリマーに該当する。
本発明で併用することのできるゼラチン以外の水溶性ポリマーのうち、天然高分子および半合成高分子について詳しく説明する。植物系多糖類としては、アラビアガム、κ−カラギーナン、ι−カラギーナン、λ−カラギーナン、グアガム(Squalon製、Supercolなど)、ローカストビーンガム、ペクチン、トラガント、トウモロコシデンプン(National Starch & Chemical Co.製、Purity−21など)、リン酸化デンプン(National Starch & Chemical Co.製、National 78−1898など)など、微生物系多糖類としては、キサンタンガム(Kelco製、Keltrol Tなど)、デキストリン(National Starch & Chemical Co.製、Nadex360など)など、動物系天然高分子としては、カゼイン、コンドロイチン硫酸ナトリウム(Croda製、CromoistCSなど)などが挙げられる(いずれも商品名)。セルロース系としては、エチルセルロース(I.C.I.製、Cellofas WLDなど)、カルボキシメチルセルロース(ダイセル製、CMCなど)、ヒドロキシエチルセルロース(ダイセル製、HECなど)、ヒドロキシプロピルセルロース(Aqualon製、Klucelなど)、メチルセルロース(Henkel製、Viscontranなど)、ニトロセルロース(Hercules製、Isopropyl Wetなど)、カチオン化セルロース(Croda製、Crodacel QMなど)などが挙げられる(いずれも商品名)。デンプン系としては、リン酸化デンプン(National Starch & Chemical製、National 78−1898など)、アルギン酸系としては、アルギン酸ナトリウム(Kelco製、Keltoneなど)、アルギン酸プロピレングリコールなど、その他の分類として、カチオン化グアガム(Alcolac製、Hi−care1000など)、ヒアルロン酸ナトリウム(Lifecare Biomedial製、Hyalureなど)が挙げられる(いずれも商品名)。
本発明で併用することのできるゼラチン以外の水溶性ポリマーのうち、合成高分子について詳しく説明する。アクリル系としてはポリアクリル酸ナトリウム、ポリアクリル酸共重合体、ポリアクリルアミド、ポリアクリルアミド共重合体、ポリジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート四級塩またはその共重合体など、ビニル系としては、ポリビニルピロリドン、ポリビニルピロリドン共重合体、ポリビニルアルコールなど、その他としては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリイソプロピルアクリルアミド、ポリメチルビニルエーテル、ポリエチレンイミン、ポリスチレンスルホン酸またはその共重合体、ナフタレンスルホン酸縮合物塩、ポリビニルスルホン酸またはその共重合体、ポリアクリル酸またはその共重合体、アクリル酸またはその共重合体等、マレイン酸共重合体、マレイン酸モノエステル共重合体、アクリロイルメチルプロパンスルホン酸またはその共重合体、など)、ポリジメチルジアリルアンモニウムクロライドまたはその共重合体、ポリアミジンまたはその共重合体、ポリイミダゾリン、ジシアンシアミド系縮合物、エピクロルヒドリン・ジメチルアミン縮合物、ポリアクリルアミドのホフマン分解物、水溶性ポリエステル(互応化学(株)製、プラスコートZ−221、Z−446、Z−561、Z−450、Z−565、Z−850、Z−3308、RZ−105、RZ−570、Z−730、RZ−142(いずれも商品名)など)である。このなかでも、ポリビニルアルコールを用いることが好ましい。
本発明に用いられるポリビニルアルコールとしては、PVA−105、PVA−110、PVA−117、PVA−120、PVA−124、PVA−203、PVA−204、PVA−205、PVA−210、PVA−217、PVA−220、PVA−224、PVA−228、PVA−235、PVA−403、PVA−405などである(いずれもクラレ(株)製の商品名)。
上記の好ましい水溶性ポリマーのうち、ポリビニルアルコール、ゼラチンを用いることが好ましい。これらは単独でも混合物でも用いることができ、より好ましくはゼラチンを用いることである。
<中間層>
本発明の感熱転写受像シートは、断熱層と受容層との間に少なくとも1層の中間層を有してもよい。
本発明の感熱転写受像シートの中間層にはポリマーラテックスを含有することが特に好ましい。
ポリマーラテックスとして特に限定するものではないが、例として、ポリウレタン、スチレン−ブタジエン共重合体(SBRラテックス)、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体(NBRラテックス)、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体(MBRラテックス)、スチレン−アクリル共重合体、ポリアクリル酸エステル、ポリメタクリル酸エステル、ポリメタクリル酸エステル、ポリ酢酸ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、スチレン−ブタジエン−アクリル系共重合体、ポリ塩化ビニリデン、塩化ビニル/(メタ)アクリル酸エステル共重合体などのポリマーラテックスなどから選択して用いられる。これらの中でも、ポリウレタン、SBR、NBR、MBRおよび塩化ビニル/(メタ)アクリル酸エステル共重合体が好ましく、SBR、塩化ビニル−(メタ)アクリル酸エステル共重合体がより好ましく、SBRが最も好ましい。これらのポリマーラテックスは必要に応じて、単独又は2種類以上混合して用いることができる。
ポリウレタン系ラテックスとしては、大日本インキ化学(株)製、HYDRAN AP10、AP20、AP30、AP40、APX−101H、1320NS、1610NS、1670NS、1980NS、HW−337、HW−350、HW−920、HW−940、大成ファインケミカル(株)製、WEM−202U、WEM−3008、WEM−321U、WEM−031U、WBR−016U、WBR−2018U、WBR−2019、大日精化(株)製、D−1000、D−2000、D−4000、D−6000、D−9000、高松油脂(株)製、NS−155NX、NS−310A、NS−310X、NS−311X、日本ポリウレタン(株)製、WOE−305、第一工業製薬(株)製、エラストロンなどが挙げられる(いずれも商品名)。
メチルメタクリレート/ブタジエン共重合体ラテックスとしては、日本エイアンドエル(株)製、MR−170、MR−171、MR−172、MR−173、MR−174、MR−180などが挙げられる(いずれも商品名)。
アクリロニトリル/ブタジエン共重合体ラテックスとしては、日本エイアンドエル(株)製、SR−141、SR−142、日本ゼオン(株)製、Nipol 1561、1562、1571H、1571C2、1571CL、LX517A、LX517B、1577K、LX511A、LX513、LX531、LX531B、LX550、LX550L、LX551、LX552などが挙げられる(いずれも商品名)。
塩化ビニル/(メタ)アクリル酸エステル共重合体としては、受容層で説明した塩化ビニル、塩化ビニル共重合体ラテックスが挙げられる。
本発明において、中間層中には、水溶性ポリマーを含有させることができる。例としては、断熱層の項で記載した水溶性ポリマーが挙げられる。これら水溶性ポリマーのなかで、ポリビニルアルコールが特に好ましい。これらの樹脂は単独又は混合して用いることができる。
本発明において中間層の塗布量は、3.0〜30g/m2であることが好ましく、5.0〜20g/m2であることがより好ましい。
<下引き層>
また、本発明の感熱転写受像シートは基材と断熱層との間にも下引き層を有してもよい。下引き層の好ましい態様は、中間層の項で述べられたものと同じであり、下引き層と中間層の構成はそれぞれ同一でも異なっていてもよい。
他に上記以外では、例えば白地調整層、帯電調節層、接着層、プライマー層を設けても良い。これらの層については、例えば特許第3585599号公報、特許第2925244号公報などに記載されたものと同様の構成とすることができる。
<支持体>
本発明の感熱転写受像シートに用いる支持体は、従来公知の支持体を用いることができる。その中でも耐水性支持体が好ましく用いられる。耐水性支持体を用いることで支持体中に水分が吸収されるのを防止して、受容層の経時による性能変化を防止することができる。耐水性支持体としては例えばコート紙やラミネート紙、合成紙を用いることができる。なかでもラミネート紙が好ましい。
<カール調整層>
本発明の感熱転写受像シートには、必要に応じてカール調整層を形成することが好ましい。カール調整層には、ポリエチレンラミネートやポリプロピレンラミネート等が用いられる。具体的には、例えば特開昭61−110135号公報、特開平6−202295号公報などに記載されたものと同様にして形成することができる。
<筆記層、帯電調整層>
本発明の感熱転写受像シートには、必要に応じて筆記層、帯電調整層を設けることができる。筆記層、帯電調整層には、無機酸化物コロイドやイオン性ポリマー等を用いることができる。帯電防止剤として、例えば第四級アンモニウム塩、ポリアミン誘導体等のカチオン系帯電防止剤、アルキルホスフェート等のアニオン系帯電防止剤、脂肪酸エステル等のノニオン系帯電防止剤など任意のものを用いることができる。具体的には、例えば特許第3585585号公報などに記載されたものと同様にして形成することができる。
<その他の添加剤>
本発明の感熱転写受像シートの各層には、必要に応じて前記受容層以外にも、添加剤を含有させることができる。このような添加剤としては、前述した離型剤の他、紫外線吸収剤、界面活性剤、防腐剤、造膜助剤、硬膜剤、マット剤(滑剤を含む)、酸化防止剤、その他の添加剤を含有させることができる。
紫外線吸収剤:
本発明の感熱転写受像シートには、紫外線吸収剤を含有させてもよい。その紫外線吸収剤としては、従来公知の無機系紫外線吸収剤、有機系紫外線吸収剤が使用できる。有機系紫外線吸収剤としては、サリシレート系、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、トリアジン系、置換アクリロニトリル系、ヒンダートアミン系等の非反応性紫外線吸収剤や、これらの非反応性紫外線吸収剤に、例えば、ビニル基やアクリロイル基、メタアクリロイル基等の付加重合性二重結合、あるいは、アルコール性水酸基、アミノ基、カルボキシル基、エポキシ基、イソシアネート基等を導入し、アクリル樹脂等の熱可塑性樹脂に共重合若しくは、グラフトしたものを使用することができる。また、樹脂のモノマーまたはオリゴマーに紫外線吸収剤を溶解させた後、このモノマーまたはオリゴマーを重合させる方法が開示されており(特開2006−21333号公報)、こうして得られた紫外線遮断性樹脂を用いることもできる。この場合には紫外線吸収剤は非反応性のものでよい。
これら紫外線吸収剤に中でも、特にベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、トリアジン系が好ましい。これら紫外線吸収剤は画像形成に使用する染料の特性に応じて、有効な紫外線吸収波長域をカバーするように組み合わせて使用することが好ましく、また、非反応性紫外線吸収剤の場合には紫外線吸収剤が析出しないように構造が異なるものを複数混合して用いることが好ましい。
紫外線吸収剤の市販品としては、チヌビン−P(チバガイギー製)、JF−77(城北化学製)、シーソープ701(白石カルシウム製)、スミソープ200(住友化学製)、バイオソープ520(共同薬品製)、アデカスタブLA−32(旭電化製)(いずれも商品名)等が挙げられる。
界面活性剤:
また、本発明の感熱転写受像シートは、受容層、断熱層、中間層などの任意の層に界面活性剤を含有させることができる。
界面活性剤の添加量は、全固形分量に対して0.01〜5質量%であることが好ましく、0.01〜1質量%であることがより好ましく、0.02〜0.2質量%であることが特に好ましい。
界面活性剤としては、アニオン系、ノニオン系、カチオン系など種々の非フッ素系の界面活性剤が知られている。本発明で用いることのできる界面活性剤としては、公知のものが使用でき、例えば、「機能性界面活性剤監修/角田光雄、発行/2000年8月、第6章」で紹介されているもの等を用いることができる。
造膜助剤:
本発明の感熱転写受像シートには、高沸点溶剤を添加することが好ましい。高沸点溶剤は造膜助剤または可塑剤として機能し、ポリマーラテックスの最低造膜温度を低下させる有機化合物(通常有機溶剤)で、例えば室井宗一著,「合成ラテックスの化学」,高分子刊行会発行(1970年)に記載されている。高沸点溶剤(造膜助剤)の例として以下のものが挙げられる。
Z−1:ベンジルアルコール類
Z−2:2,2,4−トリメチルペンタンジオール−1,3−モノイソブチレート類
Z−3:2−ジメチルアミノエタノール類
Z−4:ジエチレングリコール類
これらの高沸点溶剤を添加すると、画像のにじみが見られ、実用上好ましくない場合があるが、塗布膜中の上記溶剤類の含有量が固形分で1%以下であれば、性能上問題がない。
硬膜剤:
本発明の感熱転写受像シートにおいては、硬膜剤を使用してもよい。感熱転写受像シートの塗設層(例えば、受容層、断熱層、下塗層など)中に添加することができる。
本発明で用いることができる硬膜剤としては、特開平1−214845号公報17頁のH−1,4,6,8,14,米国特許第4,618,573号明細書のカラム13〜23の式(VII)〜(XII)で表される化合物(H−1〜54)、特開平2−214852号公報8頁右下の式(6)で表される化合物(H−1〜76),特にH−14、米国特許第3,325,287号明細書のクレーム1に記載の化合物などが好ましく用いられる。硬膜剤の例としては米国特許第4,678,739号明細書の第41欄、同第4,791,042号、特開昭59−116655号、同62−245261号、同61−18942号、特開平4−218044号の公報または明細書等に記載の硬膜剤が挙げられる。より具体的には、アルデヒド系硬膜剤(ホルムアルデヒドなど)、アジリジン系硬膜剤、エポキシ系硬膜剤、ビニルスルホン系硬膜剤(N,N'−エチレン−ビス(ビニルスルホニルアセタミド)エタンなど)、N−メチロール系硬膜剤(ジメチロール尿素など)、ほう酸、メタほう酸あるいは高分子硬膜剤(特開昭62−234157号公報などに記載の化合物)が挙げられる。好ましくはビニルスルホン系硬膜剤やクロロトリアジン類が挙げられる。
マット剤:
本発明の感熱転写受像シートにおいて、ブロッキング防止、離型性付与、滑り性付与のためにマット剤を添加してもよい。マット剤は感熱転写受像シートの受容層が塗布される面、受容層が塗布される他方の面、あるいはその両方の面に添加することができる。
マット剤は、一般に水に不溶の有機化合物の微粒子、無機化合物の微粒子を挙げることができるが、本発明では、分散性の観点から、有機化合物を含有する微粒子が好ましい。有機化合物を含有していれば、有機化合物単独からなる有機化合物微粒子であってもよいし、有機化合物だけでなく無機化合物をも含有した有機/無機複合微粒子であってもよい。マット剤の例としては、例えば米国特許第1,939,213号、同2,701,245号、同2,322,037号、同3,262,782号、同3,539,344号、同3,767,448号等の各明細書に記載の有機マット剤を用いることができる。
[感熱転写受像シートの製造方法]
以下、本発明の感熱転写受像シートの製造方法について説明する。
本発明の感熱転写受像シートは、少なくとも1層の断熱層および少なくとも1層の受容層を有し、適宜、断熱層と受容層の間に中間層を有しても良いが、その製造方法は各層の塗布液を支持体上に同時重層塗布して製造することが好ましい。
このような同時重層塗布は、水系塗布であることが好ましい。ただし、ここで言う「水系」とは塗布液の溶媒(分散媒)の60質量%以上が水であることをいう。塗布液の水以外の成分としてはメチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ジメチルホルムアミド、酢酸エチル、ジアセトンアルコール、フルフリルアルコール、ベンジルアルコール、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、オキシエチルフェニルエーテルなどの水混和性の有機溶媒を用いることができる。
支持体上に複数の機能の異なる複数の層(断熱層、中間層、受容層など)からなる多層構成の受像シートを製造する場合、特開2004−106283号、同2004−181888号、同2004−345267号等の各公報に示されている如く各層を順次塗り重ねていくか、あらかじめ各層を支持体上に塗布したものを張り合わせることにより製造することが知られている。一方、写真業界では例えば複数の層を同時に重層塗布することにより生産性を大幅に向上させることが知られている。例えば米国特許第2,761,791号、同第2,681,234号、同第3,508,947号、同第4,457,256号、同第3,993,019号、特開昭63−54975号、特開昭61−278848号、同55−86557号、同52−31727号、同55−142565号、同50−43140号、同63−80872号、同54−54020号、特開平5−104061号、同5−127305号、特公昭49−7050号の公報または明細書やEdgar B. Gutoffら著,「Coating and Drying Defects:Troubleshooting Operating Problems」,John Wiley&Sons社,1995年,101〜103頁などに記載のいわゆるスライド塗布(スライドコーティング法)、カーテン塗布(カーテンコーティング法)といわれる方法が知られている。これらの塗布方法では、複数の塗布液を塗布装置に同時に供給して異なる複数の層を形成する。
本発明の感熱転写受像シートを製造する方法としては、同時重層塗布が可能で高い生産性を実現できることから、スライド塗布あるいはカーテン塗布が好ましい。本発明の感熱転写受像シートは、少なくとも1層の受容層および少なくとも1層の断熱層を、好ましくは水系塗布により、支持体上に塗布して製造されるものであるが、これらが複数の層からなる場合、あるいは、中間層や下引き層を有する場合には、それらを全て含めて支持体上に同時塗布することが好ましい。
同時重層塗布においては、均質な塗膜形成および良好な塗布性の点で、各層を構成する塗布液の粘度および表面張力を調整する必要がある。塗布液の粘度は、公知の増粘剤や減粘剤を他の性能に影響を与えない範囲で使用することにより容易に調整できる。また、塗布液の表面張力は各種の界面活性剤により調整可能である。
これらの各層を塗布するための塗布液の温度は、25℃〜60℃が好ましく、30℃〜50℃であることがさらに好ましい。特に塗布液にゼラチンを使用する場合の塗布液の温度は33℃〜45℃であることが好ましい。
本発明においては多層構成を構成する1層あたりの塗布液の塗布量は1g/m2〜500g/m2の範囲が好ましい。多層構成の層数は2以上で任意に選択できる。受容層は支持体から最も遠く離れた層として設けられることが好ましい。
乾燥ゾーンでは、乾燥速度が一定で、材料温度とほぼ湿球温度が等しい恒率乾燥期間と、乾燥速度が遅くなり、材料温度が上昇する減率乾燥期間を経て乾燥が進む。恒率乾燥期間では、外部から与えられた熱はすべて水分の蒸発に使われる。減率乾燥期間では、材料内部での水分拡散が律速になり、蒸発表面の後退等により乾燥速度が低下し、与えられた熱は材料温度上昇にも使われるようになる。
セットゾーンおよび乾燥ゾーンにおいては、各塗布膜の間および支持体と塗布膜の間で水分移動が起こり、また塗布膜の冷却と水分蒸発による固化が起こる。このため、製品の品質・性能には乾燥途中での膜面温度・乾燥時間等の履歴が大きく影響し、要求品質に応じた条件の設定が必要とされる。
セットゾーンの温度は、15℃以下であり、なおかつその冷却工程時間を5秒以上30秒未満とすることが好ましい。5秒未満では十分な塗布液粘度上昇が得られずその後の乾燥時に面状が悪化してしまう。また30秒以上の冷却工程を経るとその後の乾燥工程においての水分除去に時間がかかり、生産効率が低下する。
15℃以下での冷却工程後、15℃を越える環境下で乾燥を行うが、その際、本発明においては、冷却終了後から30秒以内に、重層塗布された塗布膜における水の蒸発量を、塗布直後に1m2あたりに塗りつけられた膜面に含まれる水分の60%以上とすることが好ましい。塗布直後に1m2あたりに塗りつけられた膜面に含まれる水分とは、塗布前に調液された塗工液中の含水量に等しい。蒸発水分量が少なすぎなければ、塗布面状の水分が多すぎず、面状が良好となる。一方、該蒸発量を60%以上とする際に乾燥温度を50℃より高くしすぎなければ、水分の蒸発が急激とならず、ひび割れなどを起こさず、面状が良好となるため、乾燥温度は50℃以下に抑えることが好ましい。
蒸発量の規定は、塗布後の感熱転写受像シートを110℃1時間の条件(雰囲気)で乾燥させたものの質量を100%蒸発したものと定義して、質量の差分を量ることで行うことができる。
乾燥された塗布済み品は、一定の含水率に調整され巻き取られるが、巻取り、塗布済み品の保存過程での含水率、温度によって硬膜進行が影響されるため、巻取りでの含水率について適切な調湿過程条件の設定が必要となる。
一般に、硬膜反応は高温・多湿条件ほど進行しやすい。しかし、含水率が高すぎると、塗布品同士が接着したり、性能上の問題が生じたりする場合がある。この為、巻取りの含水率(調湿条件)と貯蔵条件は品質に応じた設定が必要とされる。
代表的な乾燥装置としては、エアループ方式、つるまき方式等がある。エアループ方式は、ローラーで支持された塗布済み品に乾燥風噴流を吹き付ける方式であり、ダクトは縦に配置する方式と、横に配置する方式がある。乾燥機能と搬送機能は基本的に分離されていて、風量等の自由度が大きい。しかし、多くのローラーを使うため、寄り・シワ・スリップ等のベースの搬送不良が発生しやすい。つる巻き方式は、円筒状のダクトに塗布済み品をつる巻き状に巻きつけて乾燥風で浮上させて(エアフローティング)搬送・乾燥する方式で、基本的にローラー支持がいらない(特公昭43−20438号公報)。その他、上下互いにダクトを設置して搬送する乾燥方式がある。一般的に乾燥分布はつるまき式に比べ良いが、浮上能力が劣る。
[画像形成方法]
本発明の感熱転写受像シートを用いて画像形成する方法としては、本発明の感熱転写受像シートの受容層と感熱転写シートの染料層(熱転写層)とが接するように重ね合わせて、サーマルヘッドからの画像信号に応じた熱エネルギーを付与することにより画像を形成する。
具体的な画像形成は、例えば特開2005−88545号公報などに記載された方法と同様にして行うことができる。本発明では、消費者にプリント物を提供するまでの時間を短縮するという観点から、プリント時間は15秒未満が好ましく、3〜12秒がより好ましく、さらに好ましくは、3〜7秒である。
上記プリント時間を満たすために、プリント時のライン速度は2.0msec/line以下が好ましく、1.5msec/line以下であることがより好ましく、さらに好ましくは0.73msec/line以下であり、最も好ましくは0.65msec/line以下である。また、高速化条件における転写効率向上の観点から、プリント時のサーマルヘッド最高到達温度は、180℃〜450℃が好ましく、さらに好ましくは200℃〜450℃である。さらには350℃〜450℃が好ましい。
本発明の感熱転写受像シートは、感熱転写記録方式を利用したプリンター、複写機などに利用することができる。熱転写時の熱エネルギーの付与手段は、従来公知の付与手段のいずれも使用することができ、例えば、サーマルプリンター(例えば、日立製作所製、商品名、ビデオプリンターVY−100)等の記録装置によって記録時間をコントロールすることにより、5〜100mJ/mm2程度の熱エネルギーを付与することによって所期
の目的を十分に達成することができる。また、本発明の感熱転写受像シートは、支持体を適宜選択することにより、熱転写記録可能な枚葉またはロール状の感熱転写受像シート、カード類、透過型原稿作成用シート等の各種用途に適用することもできる。
[感熱転写シート]
本発明の感熱転写受像シートは以下に説明するような感熱転写シートと組み合わせて使用することが好ましい。
感熱転写シートとは、PET等の支持体上に、バインダー樹脂にイエロー、マゼンタ、シアン、の3色の色材をそれぞれ分散させた色材層および転写性保護層を面順次に設けたものである。色材層はブラックを加えた4色とした態様でもよい。
(バインダー樹脂)
感熱転写シートに用いられるバインダー樹脂の例としては、ポリアクリロニトリル、ポリアクリル酸エステル、ポリアクリルアミド等のアクリル系樹脂、ポリビニルアセトアセタール、ポリビニルブチラールなどのポリビニルアセタール系樹脂、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、エチルヒドロキシセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、酢酸セルロース、酢酪酸セルロース、酢酸プロピオン酸セルロース、硝酸セルロース等の変性セルロース系樹脂ニトロセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース及びエチルセルロースなどのセルロース系樹脂や、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、フェノキシ樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、各種エストラマー等が挙げられる。これらを単独で用いる他、これらを混合、または共重合して用いることも可能である。
(染料)
染料は、熱により拡散し、感熱転写シートに組み込み可能かつ、加熱により感熱転写シートから感熱転写受像シートに転写するものであれば特に限定されず、熱転写シート用の染料として従来から用いられてきている染料、あるいは公知の染料を用いることができる。
好ましい染料としては、たとえば、ジアリールメタン系、トリアリールメタン系、チアゾール系、メロシアニン等のメチン系、インドアニリン、アセトフェノンアゾメチン、ピラゾロアゾメチン、イミダゾルアゾメチン、イミダゾアゾメチン、ピリドンアゾメチンに代表されるアゾメチン系、キサンテン系、オキサジン系、ジシアノスチレン、トリシアノスチレンに代表されるシアノメチレン系、チアジン系、アジン系、アクリジン系、ベンゼンアゾ系、ピリドンアゾ、チオフェンアゾ、イソチアゾールアゾ、ピロールアゾ、ピラールアゾ、イミダゾールアゾ、チアジアゾールアゾ、トリアゾールアゾ、ジズアゾ等のアゾ系、スピロピラン系、インドリノスピロピラン系、フルオラン系、ローダミンラクタム系、ナフトキノン系、アントラキノン系、キノフタロン系等が挙げられる。
具体例を挙げると、イエロー染料としては、ディスパースイエロー231、ディスパースイエロー201、ソルベントイエロー93等が、マゼンタ染料としては、ディスパースバイオレット26、ディスパースレッド60、ソルベントレッド19等が、さらに、シアン染料としては、ソルベントブルー63、ソルベントブルー36、ディスパースブルー354、ディスパースブルー35等が挙げられるがこれらに限定されない。また、上記の各色相の染料を任意に組み合わせることも可能である。
(熱転写性保護層)
熱転写性保護層(積層体)は、熱転写された画像の上に透明樹脂からなる保護層を熱転写で形成し、画像を覆い保護するためのものであり、耐擦過性、耐光性、耐候性等の耐久性を向上させるために用いられる。感熱転写受像シート上に転写された染料が表面に曝されたままの状態では耐光性、耐擦過性、耐薬品性等の画像耐久性が不十分な場合があり、このような透明保護層を設けることが好ましい。一例としてPET支持体上に、支持体側から離型層、保護層、接着剤層の順に配設されている場合が挙げられる。保護層を複数の層で形成することも可能である。保護層が他の層の機能を兼ね備えている場合には、離型層、接着剤層を省くことも可能である。支持体としては、易接着層の設けられたものを用いることも可能である。
保護層を形成する樹脂としては、耐擦過性、耐薬品性、透明性、硬度に優れた樹脂が好ましく、ポリエステル樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリルウレタン樹脂、これら各樹脂のシリコーン変性樹脂、これら各樹脂の混合物、電離放射線硬化性樹脂、紫外線遮断性樹脂等を例として挙げることができる。この他にも、保護層形成用樹脂として従来から知られている各種の樹脂を用いることができる。また、紫外線吸収性の付与、転写時の膜切れ性、光沢、白色度向上等を目的として、紫外線吸収剤、酸化防止剤、蛍光増白剤、有機フィラー及び/又は無機フィラー等を必要に応じて適宜添加することも好ましい。
上記アクリル樹脂としては、アクリレートモノマー、メタクリレートモノマーの中から選ばれた少なくとも1つ以上のモノマーからなる重合体が好ましく、アクリル系モノマー以外にスチレン、アクリロニトリル等を共重合させても良い。好ましいモノマーとしては、メチルメタクリレートで、仕込み質量比で50質量%以上含有していることが好ましい。
上記ポリエステル樹脂としては、飽和ポリエステル樹脂が使用でき、ポリエステル樹脂の酸成分としては、例えば、芳香族としては、テレフタル酸、イソフタル酸、オルソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸テトラハイドロフタル酸、ヘキサハイドロフタル酸、ヘキサハイドロイソフタル酸、ヘキサハイドロテレフタル酸等が挙げられる。脂肪族ジカルボン酸としては、例えば、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジオン酸、ダイマー酸等が挙げられる。脂環族ジカルボン酸としては、例えばシクロヘキサンジカルボン酸、トリシクロデカンジカルボン酸、デカリンジカルボン酸等であり、これらの化合物はメチルエステル化されていても構わないし、それらの酸無水物であってもよい。
更に、p−(ヒドロキシエトキシ)安息香酸、ヒドロキシピバリン酸、γ−ブチリラクトン、ε−カプロラクトン、フマル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、シトラコン酸等を必要に応じて、併用することが出来る。また、必要に応じて、トリメリット酸、ピロメリット酸等のトリ及びテトラカルボン酸等の3官能以上のポリカルボン酸を全カルボン酸成分に対して10モル%以下であれば、使用することが出来る。特に芳香族ジカルボン酸の一部をスルホン酸或いはその塩で置換された酸成分を、1個以上1分子鎖中に含む構成が好ましく、これらのスルホン酸置換(又はその塩の基)量の上限としては、有機溶剤に可溶な範囲内で共重合されているほうが、他の有機溶剤可溶な添加剤や樹脂と混合して使用できるという点で更に好ましい。これらのスルホン酸置換(又はその塩の基)を含有する好ましい芳香族ジカルボン酸としては、スルホテレフタル酸、5−スルホイソフタル酸、4−スルホフタル酸、4−スルホナフタレン−2,7−ジカルボン酸、5(4−スルホフェノキシ)イソフタル酸等、またそれらの、アンモニウム塩、及びそのリチウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、銅、鉄等の金属塩、が挙げられる。特に好ましいものは5−ナトリウムスルホイソフタル酸である。
上記ポリエステルの他の原料であるポリオール成分としては、エチレングルコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,9−ノナンジオール、2−エチル−2−ブチルプロパンジオール、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールエステル、ジメチロールヘプタン、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールが挙げられる。ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、さらに、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ネオペンチルグリコールエチレンオキサイド付加物、ネオペンチルグリコールプロピレンオキサイド付加物も必要により使用しうる。
芳香族含有グリコールとしては、パラキシレングリコール、メタキシレングリコール、オルトキシレングリコール、1,4−フェニレングリコール、1,4−フェニレングリコールのエチレンオキサイド付加物、ビスフェノールA、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物及びプロピレンオキサイド付加物等の、ビスフェノール類の2つのフェノール性水酸基にエチレンオキサイド又はプロピレンオキサイドをそれぞれ1〜数モル付加して得られるグリコール類が例示される。脂環族ジオール成分としては、例えば、トリシクロデカンジオール、トリシクロデカンジメチロール、トリシクロデカンジメタノール(TCD−M)、シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジジメタノール、水素化ビスフェノールA、水素化ビスフェノールAのエチレンオキサイドおよびプロピレンオキサイド付加物等が挙げられる。上記ポリエステル樹脂は、ガラス転移温度は50〜120℃が好ましく、又、分子量は2,000〜40,000の範囲が好ましく、更に4,000〜20,000の範囲が保護層転写時に箔切れ性が良くなり、より好ましい。
また、電離放射線硬化性樹脂を用いることにより、耐可塑剤性や耐擦過性が特に優れた保護層を得ることができる。具体例として、ラジカル重合性のポリマー又はオリゴマーを電離放射線照射により架橋、硬化させるものがある。このさい、必要に応じて光重合開始剤を添加して電子線や紫外線によって重合架橋させても良い。その他、公知の電離放射線硬化性樹脂を用いることができる。
印画物に耐光性を付与するために、紫外線吸収剤あるいは/及び紫外線遮断性樹脂を含有する保護層も好ましい態様である。
紫外線吸収剤としては、従来公知の無機系紫外線吸収剤、有機系紫外線吸収剤が使用できる。有機系紫外線吸収剤としては、サリシレート系、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、トリアジン系、置換アクリロニトリル系、ニッケルキレート系、ヒンダートアミン系等の非反応性紫外線吸収剤や、これらの非反応性紫外線吸収剤に、例えば、ビニル基やアクリロイル基、メタアクリロイル基等の付加重合性二重結合、あるいは、アルコール性水酸基、アミノ基、カルボキシル基、エポキシ基、イソシアネート基等を導入し、アクリル樹脂等の熱可塑性樹脂に共重合若しくは、グラフトしたものを紫外線遮断性樹脂として使用することができる。これら紫外線吸収剤に中でも、特にベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、トリアジン系が好ましい。
この他に、保護層に用いられる樹脂のモノマーまたはオリゴマーに紫外線吸収剤を溶解させた後、このモノマーまたはオリゴマーを重合させて紫外線遮断性樹脂を得る方法も開示されている(特開2006−21333号公報)。この場合には紫外線吸収剤は非反応性のもので良い。
紫外線吸収剤の市販品としては、チヌビン−P(チバガイギー製)、JF−77(城北化学製)、シーソープ701(白石カルシウム製)、スミソープ200(住友化学製)、バイオソープ520(共同薬品製)、アデカスタブLA−32(旭電化製)(いずれも商品名)等が挙げられる。
これら紫外線吸収剤は画像形成に使用する染料の特性に応じて、有効な紫外線吸収波長域をカバーするように、系の異なるものを組み合わせて使用したり、非反応性紫外線吸収剤は紫外線吸収剤が析出しないように構造が異なるものを複数混合して用いることが好ましい。
有機フィラー及び/又は無機フィラーとしては、ポリエチレンワックス、ビスアマイド、ナイロン、アクリル樹脂、架橋ポリスチレン、シリコーン樹脂、シリコーンゴム、タルク、炭酸カルシウム、酸化チタン、アルミナ、マイクロシリカ、コロイダルシリカ等のシリカ微粒子等を例示することができる。本発明の熱転写シートでは、これらに限定されることなく公知のものを好適に使用することができる。
有機フィラー及び/又は無機フィラーは、粒径が10μm以下、好ましくは0.1〜3μmの範囲であって、滑り性が良好であって透明性の高いものが好ましい。フィラーの添加量は、転写した時に透明性が保たれる程度が好ましく、樹脂100質量部に対して、0〜100質量部の範囲が好ましい。
保護層は、保護層形成用樹脂の種類に依存するが、前記熱転写層の形成方法と同様の、方法で形成され、0.5〜10μm程度の厚さが好ましい。
以下、実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り、適宜、変更することができる。従って、本発明の範囲は以下に示す具体例に限定されるものではない。なお、実施例中で、部または%とある場合、特に断りのない限り質量基準である。
[実施例1]
(試料101の作製)
ポリエチレンで両面ラミネートした紙支持体表面に、コロナ放電処理を施した後、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムを含むゼラチン下塗層を設けた。この上に、下記組成の断熱層、受容層を支持体側からこの順に積層させた状態で、スライド塗布方式により、同時重層塗布を行った。固形分が断熱層:18g/m、受容層:5.5g/mとなるように塗布し、試料101を作製した。
(組成)
受容層塗布液1:
塩化ビニル/アクリル系ラテックス(固形分濃度:40質量%) 44質量部
(ビニブラン900、商品名、日信化学工業(株)製;塩化ビニル/アクリル酸エステル共重合体)
ゼラチン(10%水溶液) 2質量部
ポリエーテル変性シリコーン(固形分濃度:100質量%) 1質量部
(側鎖型L−7001、商品名、東レ・ダウ・コーニング・シリコーン社製;
一般式(3)で表され、かつR21がメチル基)
含フッ素化合物 5質量部
(特開2007−237617号公報に記載の、BSF−1で表される化合物)
水 48質量部
Figure 2011062961
(組成)
断熱層塗布液1:
アクリル系中空粒子 28質量部
(ローペイクHP−1055、商品名、ロームアンドハース社製)
ゼラチン(10%水溶液) 42質量部
水 30質量部
(試料102の作製)
試料101の受容層塗布液1を下記の受容層塗布液2に変更した以外は試料101と同様にして、試料102を作製した。
受容層塗布液2:
塩化ビニル/アクリル系ラテックス(固形分濃度:40質量%) 44質量部
(ビニブラン900、商品名、日信化学工業(株)製;塩化ビニル/アクリル酸エステル共重合)
ゼラチン(10%水溶液) 2質量部
ポリエーテル変性シリコーン(固形分濃度:100質量%) 1質量部
(側鎖型L−7001、商品名、東レ・ダウ・コーニング・シリコーン社製;
一般式(3)で表され、かつR21がメチル基)
含フッ素化合物 5質量部
(特開2007−237617号公報に記載の、BSF−1で表される化合物)
化合物 ref−1 0.2質量部
水 48質量部
Figure 2011062961
(試料103〜117の作製)
試料102の化合物ref−1を下記表1に示したように置き換えた以外は試料102と同様にして、試料103〜117を作成した。
(試料118〜119の作製)
試料101の受容層からポリエーテル変性シリコーンを除去した以外は試料101と同様にして試料118を作製した。
試料105の受容層からポリエーテル変性シリコーンを除去した以外は試料105と同様にして試料119を作製した。
(感熱転写シートの作製)
基材フィルムとして片面に易接着層が形成された後に延伸して製造された厚さ4.5μmのポリエステルフィルムの易接着層とは反対面に、乾燥後の固形分塗設量が1.1g/mとなるように後述の耐熱滑性層塗工液Aを塗設した。後述の耐熱滑性層塗工液Aのポリイソシアネートと樹脂との反応性の基の比率(−NCO/OH)は1.1であった。塗布直後に100℃オーブンで1分間乾燥後、引き続き68℃で12時間熱処理を行いイソシアネートとポリオールの架橋反応を行い硬化させた。熱処理後に未反応のイソシアネート基をIR測定により確認し、十分に反応していることを確認した。
このようにして作製した耐熱滑性層形成ポリエステルフィルムの易接着層塗布側に後述の塗工液により、イエロー、マゼンタ、シアンの各染料層(感熱転写層)および転写性保護層積層体(離型層、保護層、および接着層からなる)を面順次となるように塗設した感熱転写シートを作製した。各染料層の固形分塗設量は、1.0g/mとした。これら塗布直後に100℃オーブンで2分間乾燥させた。また、乾燥時の塗布量は離型層0.4g/m、保護層1.1g/m、接着層1.6g/mとした。
耐熱滑性層用分散液A:
ポリビニルアセタール樹脂 12.0質量部
(エスレックBX―1、商品名、積水化学(株)製)
リン酸ジエステル 1.6質量部
(フォスレックスA−18、商品名、堺化学工業(株)製:アルコール部の炭素数18)
ステアリン酸亜鉛 0.3質量部
原料タルク 1.6質量部
(平均球相当径粒子サイズ2.9μm、X線回折のタルク由来の最大ピーク強度(X)に対する不純物由来の最大ピーク強度(Y)の比(Y/X)が0.15、散弾式磨耗度25mg)
メチルエチルケトン/トルエン混合溶媒 84.5質量部
前記耐熱滑性層用分散液Aの樹脂と溶媒をあらかじめ溶解し、溶解液にその他添加剤を添加してプレミキシングを実施後、分散を実施して分散液を調製した。分散はペイントシェーカーを用いて120分間分散した。
耐熱滑性層塗工液:
耐熱滑性層用分散液A 40.0質量部
ポリイソシアネート(75%溶液) 5.0質量部
(バーノックD−750、商品名、大日本インキ化学工業(株)製)
メチルエチルケトン/トルエン混合溶媒 55.0質量部
イエロー染料層塗工液:
染料(Y−1) 0.9質量部
染料(Y−2) 0.8質量部
染料(Y−3) 3.5質量部
染料(Y−4) 1.9質量部
ポリビニルアセタール樹脂 5.6質量部
(デンカブチラール#5000−D、商品名、電気化学工業(株)製)
フッ素系高分子 0.1質量部
(メガファックF−472SF、商品名、大日本インキ化学工業(株)製)
フルオロカルボン酸のリチウム塩(アニオン性、水溶性) 0.01質量部
(Zonyl FSA、商品名、デュポン社製)
マット剤(フローセンUF、商品名、住友精工(株)製) 0.12質量部
メチルエチルケトン/トルエン(質量比2/1) 88質量部
Figure 2011062961
マゼンタ染料層塗工液:
染料(M−1) 4.3質量部
染料(M−2) 3.6質量部
ポリビニルアセタール樹脂 5.6質量部
(デンカブチラール#5000−D、商品名、電気化学工業(株)製)
フッ素系高分子 0.1質量部
(メガファックF−472SF、商品名、大日本インキ化学工業(株)製)
フルオロカルボン酸のリチウム塩(アニオン性、水溶性) 0.01質量部
(Zonyl FSA、商品名、デュポン社製)
マット剤(フローセンUF、商品名、住友精工(株)製) 0.12質量部
メチルエチルケトン/トルエン(質量比2/1) 87質量部
Figure 2011062961
シアン染料層塗工液:
染料(C−1) 0.9質量部
染料(C−2) 5.7質量部
染料(C−3) 1.2質量部
ポリビニルアセタール樹脂 5.6質量部
(デンカブチラール#5000−D、商品名、電気化学工業(株)製)
フッ素系高分子 0.1質量部
(メガファックF−472SF、商品名、大日本インキ化学工業(株)製)
フルオロカルボン酸のリチウム塩(アニオン性、水溶性) 0.01質量部
(Zonyl FSA、商品名、デュポン社製)
マット剤(フローセンUF、商品名、住友精工(株)製) 0.12質量部
メチルエチルケトン/トルエン(質量比2/1) 87質量部
Figure 2011062961
離型層塗工液:
変性セルロース樹脂(L−30、商品名、ダイセル化学(株)製) 8.0質量部
メチルエチルケトン 92.0質量部
保護層塗工液:
アクリル樹脂 37質量部
(ダイアナールBR−100、商品名、三菱レイヨン(株)製)
イソプロパノール 63質量部
接着層塗工液:
アクリル樹脂 28質量部
(ダイアナールBR−77、商品名、三菱レイヨン(株)製)
紫外線吸収剤 UV−1 1.5質量部
紫外線吸収剤 UV−2 1.5質量部
紫外線吸収剤 UV−3 1.4質量部
紫外線吸収剤 UV−4 0.9質量部
シリコーン樹脂微粒子 0.06質量部
(トスパール120、商品名、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製)
メチルエチルケトン/トルエン(質量比2/1) 67質量部
Figure 2011062961
(Meはメチル基、Buはブチル基を表す。)
(画像形成)
画像形成のためのプリンターには 富士フイルム(株)製 フジフイルムサーマルフォトプリンター ASK−2000L(商品名)を用いた。上記感熱転写シートと試料101〜119の感熱転写受像シートを装填可能なように加工し、出力環境30℃相対湿度60%の条件でプリント出力を行った。
(高温高湿保存評価)
試料101〜119を温度45℃、相対湿度90%の高温高湿条件下に7日間保存した後、出力環境30℃相対湿度60%の条件下でプリント出力を行った。
上記のプリント物に関して、粒状性の悪化を下記の判断基準に従って15人の検査者で評価を行い平均値を求めた。
5.粒状性悪化が見られず、良好な画像である。
4.わずかに粒状性悪化が見られるが、実用に全く支障ないレベルである
3.粒状性悪化が見られ、わずかに実用に支障あるレベルである
2.一部に明らかな粒状性悪化が見られ、明らかに実用に支障あるレベルである
1. 全面的に明らかな粒状性悪化が見られ、鑑賞に耐えない。
(剥離跡、融着の評価)
感熱転写シートと試料101〜119の感熱転写受像シートを組み合わせ富士フイルム(株)製 フジフイルムサーマルフォトプリンター ASK−2000L(商品名)を用いて印画した。印画は下記の環境条件においた試料に対し、画像を連続30枚出力して、20枚目〜30枚目の出力画像上の剥離跡・融着を以下のランクで評価した。画像としては、人物(屋内)、人物(野外夜景)、黒ベタの3画像について上記出力を行い、10名の観察者の官能評価により評価ランクの平均値を求めた。
○保存/印画環境条件
感熱受像シート、およびプリンターを、温度35℃、相対湿度90%の環境下で24時間保管し、同条件下で印画を実施。
(剥離跡・融着の評価ランク)
5 剥離跡は目視で全く確認できない。
4 剥離跡は僅かに確認できるが画像を鑑賞する上で障害とない程度である。
3 画像の種類によっては剥離跡が画像を鑑賞する上の障害となる。
2 画像の種類によらず剥離跡が画像を鑑賞する上の障害となる。
1 感熱転写シートと感熱転写受像シートが融着する。
Figure 2011062961
表1より、感熱転写受像シートを高温高湿条件下に保存した後に、比較例である試料101〜104では粒状性が大きく低下しているのに対し、本発明例の試料105〜117は粒状性悪化がほとんど見られず、優れていることがわかる。また、本発明例の感熱転写受像シートである試料105〜117は、上記のとおり、水系塗布で作製できるものであり、かつ、感熱転写シートとの融着、剥離線の問題も生じなかった。

Claims (2)

  1. 支持体上に、少なくとも1層の中空粒子を含有する断熱層と、少なくとも1種のポリマーラテックスと少なくとも1種のシリコーン化合物を含有する少なくとも1層の受容層とを有する感熱転写受像シートであって、支持体上に形成された層の少なくとも一層に下記一般式[A]、[B]、[C]または[D]で表される化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物を含有することを特徴とする感熱転写受像シート。
    Figure 2011062961
    (上記一般式[A]、[B]、[C]および[D]中、Rは水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アリール基、カルバモイル基、チオカルバモイル基、複素環基、アルキルアミノカルボニル基、アリールアミノカルボニル基、アルキルアミノスルホニル基、またはアリールアミノスルホニル基を表す。R2およびR3はそれぞれ独立にハロゲン原子を表す。R4およびR5はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、アリール基または含窒素複素環基を表す。R6は水素原子、アルキル基またはアリール基を表し、R7は水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、ニトロ基、カルボキシル基、スルホ基、スルファモイル基、ヒドロキシル基、アルコキシ基、またはチアゾリル基を表す。Zはチアゾリン環を構成するのに必要な非金属原子群を表す。mは0または1を表す。R8およびR9はそれぞれ独立にアルキル基、アリール基、−CORまたは−SONR’R”(但しR、R’、R”はそれぞれ独立にアルキル基またはアリール基を表す。)を表す。但し、R8およびR9は互いに結合して窒素原子とともに環を形成してもよい。R10、R11、およびR12はそれぞれ独立にハロゲン原子またはアルキル基を表す。上記R〜R12において置換可能な基はさらに置換基を有していてもよい。)
  2. 前記シリコーン化合物が、ポリエーテル変性シリコーンであることを特徴とする請求項1に記載の感熱転写受像シート。
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