JP4041314B2 - 熱転写受像シートおよび染料受容層転写シート - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、熱転写記録材料に関し、特に感度の向上が図られた熱転写受像シートおよび染料受容層転写シートに関する。
【0002】
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】
従来、昇華転写方式による画像形成に用いる熱転写受像シートにおいて受容層の感度を向上させる手段として、受容層を構成するバインダー樹脂に可塑剤を添加する手法が試みられてきた。実際、このような可塑剤の添加により染料の受容感度を一定程度向上させることは可能である。
【0003】
しかしながら、バインダー樹脂に可塑剤を添加した組成物系においては、バインダー中での可塑剤の存在状態の不安定さに起因して、経時的に受容層から可塑剤がブリードするという問題が生じ、さらにこれにより逆に染料の受容感度の低下したり、形成画像の再現性が劣化するといった新たな問題が生じていた。
【0004】
本発明は、上述した従来技術の問題点に鑑みてなされたものであり、従来問題となっていた可塑剤のブリードやこれに起因する感度の劣化の問題が解消された高感度で色再現性にすぐれた画像形成を可能とする熱転写受像シートおよび染料受容層転写シートを提供することを目的とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために、本発明に係る熱転写受像シートは、基材シートと、前記基材シートの少なくとも一方の面に形成された染料受容層とからなる熱転写受像シートにおいて、前記染料受容層が、少なくとも1つ以上のアクリル系モノマーアクリロニトリルモノマー、スチレンモノマーから選ばれるモノマーと可塑性セグメントを含むモノマーとの共重合体からなることを特徴とするものである。
【0006】
さらに本発明に係る染料受容層転写シートは、基材シートと、前記基材シートの少なくとも一方の面の少なくとも一部に剥離可能に形成された転写性染料受容層とを有する染料受容層転写シートであって、前記転写性染料受容層が、少なくとも1つ以上のアクリル系モノマー、アクリロニトリルモノマー、スチレンモノマーから選ばれるモノマーと可塑性セグメントとを含むモノマーとの共重合体からなることを特徴とするものである。
【0007】
さらに、本発明は、これら熱転写受像シートあるいは染料受容層転写シートを用いて作成された印画物(画像形成物品)を含む。
【0008】
このように、本発明においては、受容層が少なくとも1つ以上のアクリル系モノマー、アクリロニトリルモノマー、スチレンモノマーから選ばれるモノマーと可塑性セグメントを含むモノマーとの共重合体からなるので、従来問題となっていた可塑剤成分のブリード等を生じさせることなく染料の受容感度を向上させることが可能となる。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を好ましい具体例に基づいて説明する。
本発明は熱転写受像シートと、受容層転写シートの形態で提供される。熱転写受像シートは基材上の少なくとも一方の面に設けられた受容層上に画像を形成した後、必要に応じて既知の保護層を更に熱転写、ラミネート、コーティング等の既知の手段を用いて積層したり受像シート全体もしくは部分的に切り出して両面ラミネートできる。
【0010】
受容層転写シートは、基材上の少なくとも一方の面に剥離可能に受容層を設けられており、被転写体に、熱又は圧力で転写後画像を形成したり画像形成後に被転写体に熱又は圧力で転写することができる。
【0011】
本発明は既知の各種機能層を合わせて積層しても良い。熱転写受像シートの場合には基材と受容層の間に白色中間層、断熱層等が設けられる。断熱層は、基材の一部としてフィルムを貼合しても良いし、中空粒子をコーティング等既知の手段で設けても良い。
【0012】
受容層転写シートの場合も、白色中間層や断熱層を設けられるが、画像形成が受容層を被転写体に転写する前か後かで、構成が異なり、画像形成が受容層の転写の後の場合には、受容層の上に、前の場合には受容層と基材の間に設ける。
【0013】
受容層と基材の間に、白色中間層を設けて画像形成後に、白色中間層ごと透明被転写体に受容層を転写し、透明被転写体側より画像を見ると透明感のある画像が得られ、又、受容層側からライトをあてると市販されているバックライト用の画像として用いることができる。この様に白色層や断熱層は受容層転写時に一緒に転写しても良いし、受容層のみを転写させても良い。
【0014】
受容層転写シートは更に、基材からはく離し易い様に受容層と基材の間に離型層を設けても良い。受容層のみを転写させたい場合は、受容層の直下に受容層と他の機能層を共に転写させたい場合には転写後の最外層となる層の直下に設ける。
【0015】
その他に、画像形成前に受容層を転写させる場合には被転写体への接着性を向上させるために接着層を設けることができる。画像形成後に受容層を転写させる場合には、受容層と基材の間にセキュリティ層、保護層等の機能層を用い、機能層ごと転写させることができる。又、画像を受容層転写後に形成する受容層転写シートに接着層を設け、且つ画像形後に保護層等のオーバーラミネーションを画像上に形成した場合、受容層は使用前(プリント前)及び使用後(プリント後)の両方で、最外層とならない。本発明のシートが枚様もしくはロール形態で保存された場合他の形態ではブロッキングが懸念される場合でもその様な心配がなく取扱い易い。
【0016】
受容層転写シートの転写手段としては、サーマルヘッド熱または圧着ローラ、熱または圧着プレス等による転写方法があるが、サーマルヘッドを用いる場合にはサーマルヘッドからの熱及びこすれから基材が破断しない様に受容層と反対の面に耐熱滑性層を設けることができる。
【0017】
(基材シート)
本発明の熱転写受像シートで用いる基材シートとしては、従来の熱転写受像シートに使用されているのと同様の基材シートがそのまま用いることが出来ると共に、そのほかのものも使用する事が出来、特に制限されない。好ましい基材シートの具体例として、例えば、合成紙(ポリオレフィン系、ポリスチレン系等)、上質紙、アート紙、コート紙、キャストコート紙、壁紙、裏打ち用紙、合成樹脂又はエマルジョン含浸紙、合成ゴムラテックス含浸紙、合成樹脂内添紙、板紙等のセルロース繊維紙、ポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート、ポリスチレン、ポリメタクリレート、ポリカーボネート等の各種のプラスチックフィルムまたはシート等が使用でき、また、これらの合成樹脂に白色顔料や充填剤を加えて成膜した白色不透明フィルム或いは発泡させた発泡フィルム等も使用でき特に限定されない。また、上記基材シートの任意の組合せによる積層体も使用できる。代表的な積層体の例としては、セルロース繊維紙と合成紙或いはセルロース繊維紙とプラスチックフィルム又はシートとの積層体が挙げられる。これらの基材シートの厚みは任意でよく、例えば、10〜300μm程度の厚みが一般的である。上記の如き基材シートは、その表面に形成する受容層との密着力が乏しい場合には、その表面にプライマー処理やコロナ放電処理を施すのが好ましい。
【0018】
受容層転写シート用の基材シートの具体例としては、例えば、グラシン紙、コンデンサ紙、パラフィン紙等の薄葉紙、ポリエステル、ポリプロピレン、セロハン、ポリカーボネート、酢酸セルロース、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ナイロン、ポリイミド、ポリ塩化ビニリデン、アイオノマー等のプラスチック或いはこれらと前該紙とを複合した基材シート等が挙げられる。基材シートの厚さは、その強度及び耐熱性等が適切になるように、材料に応じて適宜変更することができるが、その厚さは好ましくは2〜100μmである。
【0019】
(受容層)
本発明による受容層は、少なくとも1つ以上のアクリル系モノマー、スチレンモノマーから選ばれるモノマーと可塑性セグメントを含むモノマーとの共重合体からなる。受容層を構成するこの共重合体としては、ランダム共重合体、ブロック共重合体、およびグラフト共重合体を含む。具体的には、共重合体は、特定のモノマー成分と可塑性セグメント成分とからなる。
【0020】
まず、共重合体の基体成分となるモノマー成分の好ましい具体例としては、アクリル系モノマー、アクリロニトリルモノマーまたはスチレンモノマーもしくはこれらのモノマーの混合系などのビニル系モノマー成分が用いられ得る。
【0021】
アクリル系モノマーとしては、ベンジル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、フェノキシ(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、およびメチルメタクリレートからなる群から選択される少なくとも1種が好ましく用いられ得る。
【0022】
可塑性セグメント成分としては、ポリプロキレンオキサイド、エチレンオキサイド、エチレンオキサイドとプロピレンオキサイドの共重合体、カプロラクトンマクロマー(メタ)アクリレートの他に、フタル酸系、二塩基酸系、リン酸系、トリメリット酸系、エポキシ系、ポリエステル系、クエン酸系、マレイン酸・フマル酸系、フタル酸系成分などの可塑性を有する成分、あるいは基体樹脂にグラフト重合その他何らかのかたちで共重合させることによって可塑化効果を発現するような種々の成分が好ましく用いられ得る。
【0023】
本発明における染料受容層を構成する共重合体は、基体となる樹脂に対して上記のような可塑性セグメントを反応固定することによって得られる。たとえば、上述したようなモノマー成分、オリゴマー成分あるは反応性重合体の樹脂成分と上記のような可塑性セグメントとをラジカル重合する方法によって所定の重合体を得ることができる。また、可塑性セグメントが水酸基、アミノ基、カルボシキル基、エポキシ基、イソシアネート基を有するものである場合にあっては、これらの反応性基と反応性の官能基を有する熱可塑性樹脂を使用し、必要に応じて触媒を用い、加熱等によって可塑性セグメントをこの熱可塑性樹脂に反応固定することによって所定の共重合体を得ることもできる。
【0024】
上記のようにして得られた共重合体を構成する基体樹脂成分に対する可塑性セグメントの比率(重量比)は、感度の向上を図るに十分な可塑性を発現させるために、90:10〜50:50の範囲が好ましい。
【0025】
また、共重合体を構成する基体樹脂成分の分子量としては、重量平均分子量として5,000〜100,000の範囲が好ましく、さらに好ましくは10,000〜50,000の範囲である。
【0026】
さらに、上記の共重合体のTgとしては、30〜140℃の範囲が好ましく、さらに好ましくは、40〜130℃の範囲である。
【0027】
本発明においては、このようにして得られた可塑性の付与された共重合体を単独で適用するか、あるいは他の樹脂中に添加して適用することによって、本発明における染料受容層を形成することができる。
【0028】
また、本発明においては、受容層の構成成分として、他の追加成分を添加することもできる。このような追加成分としては、たとえば、エポキシ変性シリコーン、ポリエーテル変性シリコーン、メチルスチレン変性シリコーンなどの離型性成分や蛍光染料、蛍光顔料、蛍光増白剤といった受容層を、着色しセキュリティー機能や外観衣装性を設ける成分や、紫外線吸収剤、酸化防止剤、光安定化剤、クエンチャーといった形成された画像の保存性を向上させる成分などを添加することができる。
【0029】
上記のような共重合体からなる染料受容層においては、可塑性を有する成分が共重合体の構成成分として含まれているので、従来の構成樹脂に可塑剤成分を添加した場合に生じるブリードの問題は解消することができ、さらにこのブリードに起因する感度の劣化を防止して高い染料受容感度を有する高再現性の有する熱転写受像シートを得ることができる。
【0030】
(白色中間層)
本発明においては、基材シートと染料受容層との間に、所望により、形成画像の鮮明性ないしコントラストを向上させるために白色中間層を設けることができる。
【0031】
白色性、隠蔽性を付与する為に酸化チタン、酸化亜鉛、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム等のフィラーを添加することが好ましい。さらに、白色性を高める為にスチルベン系化合物、ベンゾイミダゾール系化合物、ベンゾオキサゾール系化合物等を蛍光増白剤として添加したり、印画物の耐光性を高める為にヒンダードアミン系化合物、ヒンダートフェノール系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、ベンゾフェノン系化合物等を紫外線吸収剤あるいは酸化防止剤として添加したり、あるいは帯電防止性を付与する為にカオチン系アクリル樹脂、ポリアニリン樹脂、各種導電性フィラー等を添加することができる。
【0032】
(耐熱滑性層)
耐熱滑性層を形成する樹脂としては、例えば、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルアセトアセタール樹脂、ポリエステル樹脂、塩化ビニル―酢酸ビニル共重合体樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリブタジエン樹脂、スチレン―ブタジエン共重合体樹脂、アクリルポリオール、ポリウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート、ポリエーテルアクリレート、エポキシアクリレート、ポリエステルアクリレート、ポリエーテルアクリレート、エポキシアクリレート、ウレタン又はエポキシのプレポリマー、ニトロセルロース樹脂、セルロースナイトレート樹脂、セルロースアセトプロピオネート樹脂、セルロースアセテートブチレート樹脂、セルロースアセテートヒドロジエンフタレート樹脂、酢酸セルロース樹脂、芳香族ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、塩素化ポリオレフィン樹脂等が挙げられる。
【0033】
これらの樹脂からなる耐熱滑性層に添加或いは上塗りする滑り性付与剤としては、燐酸エステル、シリコーンオイル、グラファイトパウダー、シリコーン系グラフトポリマー、フッ素系グラフトポリマー、アクリルシリコーングラフトポリマー、アクリルシロキサン、アリールシロキサン等のシリコーン重合が挙げられるが、好ましくは、ポリオール、例えばポリアルコール高分子化合物とポリイソシアネート化合物及び燐酸エステル系化合物からなる層であり、更に充填剤を添加することが望ましい。
【0034】
耐熱滑性層は、上記に記載した樹脂、滑り性付与剤、更に充填剤を適当な溶剤により、溶解又は分解させて、耐熱滑性層形成用インキを調整し、これを、上記の基材シートの裏面に、例えばグラビア印刷法、スクリーン印刷法、グラビア版を用いたリバースコーティング法等の形成手段により塗布し、乾燥して形成することができる。
【0035】
(離型層)
本発明においては、転写の際における基材シートからの染料受容層の剥離を促進するために、所望により、基材シートと転写性染料受容層との間に離型層を設けることができる。離型層は例えば、シリコーンワックス等の各種ワックス類、シリコーン樹脂、フッ素系樹脂、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリビニルポロリドン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルアルコール樹脂等から形成することができる。
【0036】
(接着剤層)
染料受容層の転写を確実にし、被転写材料への染料受容層の接着性を向上させるために、所望により、染料受容層側の最外表面に接着剤層を設けることができる。このような接着剤層としては、、ポリエステル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂、アクリル樹脂、紫外線吸収剤樹脂、シリカ、ブチラール樹脂、およびエポキシ樹脂からなる群から選ばれた少なくとも一つを含有してなるものが好ましく用いられ得る。
【0037】
(その他の転写層)
本発明による受容層転写シートにおいては、上記の転写性染料受容層の他に、基材シート上に、さらに、イエロー、マゼンタおよびシアンの各昇華転写染料層、溶融熱転写方式による熱転写層、転写性保護層の少なくとも一つ以上が面順次に形成されていてもよく、このような態様も本発明の範囲に含まれる。以下、これらの追加的転写層の好ましい態様について説明する。
【0038】
(昇華転写染料層)
本発明の転写シートに用いられる染料層は、昇華性染料、バインダー樹脂およびその他の任意成分、さらに、有機フィラーを加えた塗工液から形成される。
【0039】
昇華性染料としては、従来公知のものを使用することができ、特に限定されない。幾つかの好ましい昇華性染料としては、マゼンタ染料としては、MSRedG、MacrolexRedVioletR、CeresRed7B、SamaronRedHBSL、ResolinRedF3BS等が挙げられ、イエロー染料としては、ホロンブリリアントイエロー6GL、PTY―52、マクロレックスイエロー6G等が挙げられ、シアン染料としては、カヤセットブルー714、ワクソリンブルーAP―FW、ホロンブリリアントブルーS―R、MSブルー100等が挙げられる。
【0040】
上記昇華性染料を担持するためのバインダー樹脂としては、従来公知のものを使用することができ、時に限定されない。好ましいものとしては、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、エチルヒドロキシセルロース、エチルヒドロキシセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、酢酸セルロースもしくは酢酪酸セルロース等のセルロース系樹脂、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルブチラール、ポリビニルアセタール、ポリビニルピロリドンもしくはポリアクリルアミド等のビニル系樹脂またはポリエステル等が挙げられる。
【0041】
また、転写時に、基材フィルムとの離型性を高めるために、アクリル系、ビニル系、ポリエステル系、ポリウレタン系、ポリアミド系またはセルロース系の樹脂の主鎖にグラフト結合したポリシロキサンセグメント、フッ化炭素セグメントおよび長鎖アルキルセグメントから選ばれる少なくとも一種の離型性セグメントを有するグラフトポリマーを、バインダー樹脂として用いてもよい。
【0042】
染料層に含有する有機フィラーとしては、染料層用塗工液と濡れ性のよいものであればよく、次に挙げる高分子材料またはそれらを主体とする組成物のフィラーを用いることができる。例えば、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ユリア樹脂、ジアリルフタレート樹脂、アルキッド樹脂、アセタール樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリエステル樹脂、セルロース系樹脂、デンプンおよびその誘導体、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、塩素化ポリエチレン、フッ素樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリビニルアセタール、ポリアミド、ポリビニルアルコール、ポリカーボネート、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンオキシド、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリアミノビスマレイミド、ポリアリレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートポリイミド、ポリアミドイミド、ポリアクリロニトリル、AS樹脂、ABS樹脂、SBR等が挙げられる。
【0043】
有機フィラーと染料層用塗工液との濡れ性のよい代表的な組み合わせとしては、ポリエチレンフィラーまたはフィシャートロプシュワックス等の有機フィラーと、ポリビニルアセトアセタールをバインダー樹脂とした染料層用塗工液が挙げられる。
【0044】
染料層の塗工厚は、乾燥状態で0.2〜3μmが好ましく、0.3〜2μmがより好ましい。
【0045】
染料層は、上記昇華性染料、バインダー樹脂およびその他の任意成分を、適当な溶剤で溶解または分散させて耐熱層用塗工液を調製し、さらに有機フィラーを加えて分散させた塗工液を、基材フィルム上に、グラビア印刷法、スクリーン印刷法またはグラビア板を用いたりバースコーティング法等の手段により塗布し、乾燥して形成することができる。
【0046】
(熱溶融性インキ層)
熱溶融性インキ層を必要な材料を配合したインキから形成する。この熱溶融性インキ層形成用のインキは、着色剤とビヒクルとからなり、更に必要に応じて種々の添加剤を加えたものでもよい。上記着色剤としては、有機又は無機の顔料若しくは染料のうち、記録材料として良好な特性を有するもの、例えば、十分な着色濃度を有し、光、熱、温度等により変褪色しないものが好ましい。着色剤としては、シアン、マゼンタ、イエロー等も使用出来るが、本発明の目的には高濃度で明瞭な文字や記号を印字出来るブラックの着色剤が好ましい。
【0047】
ビヒクルとしては、ワックスを主成分とし、その他ワックスと乾性油、樹脂、鉱油、セルロース及びゴムの誘導体等との混合物が用いられる。ワックスの代表例としは、マイクロクリスタリンワックス、カルナウバワックス、パラフィンワックス等がある。更に、フィッシャートロプシュワックス、各種低分子量ポリエチレン、水ロウ、ミツロウ、鯨ロウ、一部変性ワックス、脂肪酸エステル、脂肪酸アミド等、種々のワックスが用いられる。
【0048】
しかしながら、染料受容層への接着性、耐スクラッチ性の観点から、以下の樹脂バインダーを使用することがより好ましい。
【0049】
アクリル樹脂
アクリル樹脂+塩化ゴム
アクリル樹脂+塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体樹脂
アクリル樹脂+セルロース系樹脂
塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体樹脂
(転写性保護層)
基材上に積層される熱転写性保護層は、多層構造をとっていてもよいし、単層構造をとっていてもよい。多層構造をとる場合には、画像に各種の耐久性を付与するための主体となる主保護層のほか、熱転写性保護層と印画物の受像面との接着性を高めるために転写性保護層の最表面に配置される接着層や、補助的な保護層や、保護層本体の機能以外の機能を付加するための層などが含まれていてもよい。主保護層とその他の層の順序は任意であるが、通常は、転写後に主保護層が受像面の最表面層となるように、接着層と主保護層との間に他の層を配置する。
【0050】
多層構造の熱転写性保護層の一層をなす主保護層又は単層構造の熱転写性保護層は、従来から保護層形成用樹脂として知られている各種の樹脂で形成することができる。保護層形成用樹脂としては、例えば、ポリエステル樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリルウレタン樹脂、これらの各樹脂をシリコーン変性させた樹脂、これらの各樹脂の混合物、電離放射線硬化性樹脂、紫外線遮断性樹脂等を例示することができる。
【0051】
電離放射線硬化性樹脂を含有する保護層は、耐可塑剤性や耐擦過性が特に優れている。電離放射線硬化性樹脂としては公知のものを使用することができ、例えば、ラジカル重合性のポリマー又はオリゴマーを電離放射線照射により架橋、硬化させ、必要に応じて光重合開始剤を添加し、電子線や紫外線によって重合架橋させたものを使用することができる。
【0052】
紫外線遮断性樹脂を含有する保護層は、印画物に耐光性を付与することを主目的とする。紫外線遮断性樹脂としては、例えば、反応性紫外線吸収剤を熱可塑性樹脂又は上記の電離放射線硬化性樹脂に反応、結合させて得た樹脂を使用することができる。より具体的には、サリシレート系、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、置換アクリロニトリル系、ニッケルキレート系、ヒンダートアミン系のような従来公知の非反応性の有機系紫外線吸収剤に、付加重合性二重結合(例えばビニル基、アクリロイル基、メタアクリロイル基など)、アルコール性水酸基、アミノ基、カルボキシル基、エポキシ基、イソシアネート基のような反応性基を導入したものを例示することができる。
【0053】
上記のごとき単層構造の熱転写性保護層又は多層構造の熱転写性保護層中に設けられた主保護層は、保護層形成用樹脂の種類にもよるが、通常は0.5〜10μm程度の厚さに形成する。
【0054】
熱転写性保護層の最表面には接着層が形成されていてもよい。接着層は、例えば、アクリル樹脂、塩化ビニル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、塩化ビニル/酢酸ビニル共重合樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂のような加熱時接着性の良好な樹脂で形成することができる。接着層の厚さは、通常0.1〜5μmとする。
また、熱転写性保護層と基材との間に離型層を設けてもよい。
【0055】
【実施例】
以下に、本発明の実施例を示すが、本発明は、下記の実施例の態様に限定されるものではない。
【0056】
実施例1
基材シートとして合成紙(ポリエチレンテレフタレートシート、厚さ180μm)を用い、この一方の面に白色中間層/受容層の順にコーティングを行った。それぞれの乾燥時コート量(m2当たり)は白色層0.5〜2.0g、受容層1.0〜4.0gを基準とし、各層110℃,30秒間乾燥した。各層の組成は以下の組成を用いた。
【0057】
(白色中間層用塗工液)
塩素化ポリプロピレン樹脂(B−13:東洋化成工業(株)) 10重量部
蛍光増白剤(Uvitex OB:CIBA−GEIGY CO.) 1重量部
酸化チタン(TCA−888:トーケムプロダクツ(株)) 30重量部
メチルエチルケトン/トルエン=1/1(重量比) 90重量部
(受容層)
アクリル共重合体樹脂A1(下表参照) 5重量部
エポキシ変性シリコーン 0.25重量部
(X−22−3000T、信越化学工業株式会社製)
メチルスチレン変性シリコーン 0.25重量部
(X−24−510、信越化学工業株式会社製)
ポリエーテル変性シリコーン 0.05重量部
(KF−6012、信越化学工業株式会社製)
メチルエチルケトン 10重量部
【0058】
実施例2
実施例1と同様に、白色中間層/受容層の順にコーティングを行った。白色中間層は実施例1と同じ組成を用い、受容層は次の組成を用いた。CT量、乾燥条件は実施例1と同条件で実施した。
【0059】
(受容層)
アクリル共重合体樹脂A2(下表参照) 5重量部
エポキシ変性シリコーン 0.5重量部
(X−22−3000T、信越化学工業株式会社製)
ポリエーテル変性シリコーン 0.05重量部
(KF−6012、信越化学工業株式会社製)
メチルエチルケトン 10重量部
【0060】
実施例3
実施例2と同じ層構成で、アクリル共重合体樹脂を、アクリル共重合体樹脂A3(下表参照)に置き換えて実施した。
【0061】
実施例4
実施例2と同じ層構成で、アクリル共重合体樹脂を、アクリル共重合体樹脂A4(下表参照)に置き換えて実施した。
【0062】
実施例5
実施例2と同じ層構成で、アクリル共重合体樹脂と、アクリル共重合体樹脂A5(下表参照)に置き換えて実施した。
【0063】
実施例6
耐熱滑性背面層をコートしたPETフィルムに、離型層/受容層/接着層の順にコーティングを行い、受容層転写シートを作成した。それぞれの乾燥時コート量(m2当たり)は、離型層0.3〜1.5g、受容層1.0〜5.0g、接着層0.5〜5.0gを基準とし、各層110℃,30秒間乾燥した。離型層・接着層には以下の配合組成を用い、受容層には、実施例1と同じ組成を用いた。
作成した受容層転写シートの背面層側からサーマルヘッドで加熱し、離型層と受容層との間で剥離、接着層を介し染料染着性を有さないカード用シートあるいは、染料バインダーとの離型性を有さないカード用シートを被転写体として転写を行った。受容層を転写体に転写し受像体としたものを評価に用いた。
【0064】
(離型層)
シリコーン変性アクリル系樹脂 16重量部
(セルトップ226、ダイセル化学社製)
アルミ触媒 3重量部
(セルトップCAT−A、ダイセル化学社製)
メチルエチルケトン 8重量部
トルエン 8重量部
(接着層)
ブチルメタアクリレート系樹脂 30重量部
(A−415,大日本インキ化学工業株式会社製)
ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤 4重量部
(TINUVIN900、チバスペシャリティケミカルズ株式会社製)
シリカ(二酸化珪素) 1重量部
(サイリシア310、富士シリシア化学株式会社製、粒径1.4μm)
メチルエチルケトン 10重量部
トルエン 10重量部
【0065】
実施例7
実施例6と同様に、耐熱滑性背面層をコートしたPETフィルムに、離型層/受容層/接着層の順にコーティングを行った。離型層・接着層は実施例6と同じ組成を用い、受容層は実施例2と同じものを用いた。CT量、乾燥条件は実施例6と同条件で実施した。作成した受容層転写シートの背面層側からサーマルヘッドで加熱し、実施例6と同様に転写を行った。受容層を転写体に転写し受像体としたものを評価に用いた。
【0066】
実施例8
実施例7と同じ層構成で、アクリル共重合体樹脂を、アクリル共重合体樹脂A3に置き換えて実施した。
【0067】
実施例9
実施例7と同じ層構成で、アクリル共重合体樹脂を、アクリル共重合体樹脂A4に置き換えて実施した。
【0068】
実施例10
実施例7と同じ層構成で、アクリル共重合体樹脂を、アクリル共重合体樹脂A5に置き換えて実施した。
【0069】
実施例11
実施例7と同じ層構成で、アクリル共重合体樹脂を、アクリル共重合体樹脂A6に置き換えて実施した。
【0070】
実施例12
実施例7と同じ層構成で、アクリル共重合体樹脂を、アクリル共重合体樹脂A7に置き換えて実施した。
【0071】
実施例13
実施例2と同じ層構成で、アクリル共重合体樹脂を、アクリル共重合体樹脂A8に置き換えて実施した。
【0072】
実施例14
実施例7と同じ層構成で、アクリル共重合体樹脂を、アクリル共重合体樹脂A8に置き換えて実施した。
【0073】
比較例1
実施例1と同様に、合成紙の一方の面に白色中間層/受容層の順にコーティングを行った。
ただし、白色中間層は実施例1と同じものを用い、受容層は以下の組成を用いた。
【0074】
(受容層)
アクリル共重合体樹脂B1 5重量部
エポキシ変性シリコーン 0.5重量部
(X−22−3000T、信越化学工業株式会社製)
ポリエーテル変性シリコーン 0.05重量部
(KF−6012、信越化学工業株式会社製)
メチルエチルケトン 10重量部
【0075】
比較例2
実施例6と同様に、耐熱滑性背面層をコートしたPETフィルムに、離型層/受容層/接着層の順にコーティングを行った。離型層・接着層は実施例6と同じものを用い、受容層は比較例1の組成を用いた。
作成した受容層転写シートの背面層側からサーマルヘッドで加熱し、実施例6と同様に転写を行った。受容層を転写体に転写した受像体としたものを評価に用いた。
【0076】
比較例3
実施例6と同様に、耐熱滑性背面層をコートしたPETフィルムに、離型層/受容層/接着層の順にコーティングを行った。離型層・接着層は実施例6と同じ物を用い、受容層は以下の組成を用いた。
作成した受容層転写シートの背面層側からサーマルヘッドで加熱し、実施例6と同様に転写を行った。受容層を転写体に転写し受像体としたものを評価に用いた。
【0077】
(受容層組成)
塩ビ酢ビ共重合体樹脂 50重量部
(1000ALK、電気化学社製)
シリコーン樹脂 2.5重量部
(X−22−3000T、信越化学社製)
シリコーン樹脂 2.5重量部
(X−24−510、信越化学社製)
メチルエチルケトン 25重量部
トルエン 25重量部
【0078】
比較例4
実施例6で用いた耐熱滑性背面層をコートしたPETフィルムに、離型層/接着層の順にコーティングを行った。離型層および接着層は実施例6と同じ物を用いた。
作成した受容層転写シートの背面層側からサーマルヘッドで加熱し、離型層と剥離層との間で剥離、転写を行った。接着層のみを転写体に転写したものを受像体とし、評価に用いた。
【0079】
比較例5
染料染着性を有さないカード用シートを受像体とし、評価に用いた。
【0080】
比較例6
染料バインダー離型性を有さないカード用シートを受像体とし、評価に用いた。
【0081】
比較例7
実施例1と同様に、合成紙の一方の面に白色中間層/受容層の順にコーティングを行った。白色中間層は実施例1と同じものを用い、受容層は以下の組成のものを用いた。
【0082】
(受容層)
アクリロニトリル 3重量部
フタル酸系可塑剤 3重量部
エポキシ変性シリコーン 0.5重量部
(X−22−3000T、信越化学工業株式会社製)
ポリエーテル変性シリコーン 0.05重量部
(KF−6012、信越化学工業株式会社製)
メチルエチルケトン 10重量部
なお、実施例・比較例記載のアクリル共重合体樹脂は以下の比率(重量比)の共重合となる。
【0083】
【表1】
【0084】
[評価方法]
熱転写フィルムとして三菱電機(株)製ビデオプリンターCP−700用転写フィルムPK700Lを、被熱転写シートとして上記の実施例1・実施例2及び比較例1で用意した受容層転写シートを用いて評価を行った。染料層と染料受容層とを対向させて重ね合わせ、Y,M,Cの順番で転写フィルムの裏面から下記条件でサーマルヘッドを用い熱転写記録をおこない、グレーの階調画像を形成した。この昇華画像が形成された受容層上に以下の構成の保護層転写シートを用いて、印画面全面に保護層を熱転写した。
【0085】
保護層転写シートの層構成を離型層/剥離層/接着層とし、離型層・接着層は実施例3と同じ組成・乾燥時コート量・乾燥条件を用い、剥離層は以下の組成を用いた。剥離層の乾燥時コート量(m2当たり)は0.5〜5.0gを基準とし、各層110℃,30秒間乾燥した。
【0086】
(剥離層塗工液)
アクリル系樹脂(ダイヤナール BR−83、三菱レイヨン(株)製)20重量部
メチルエチルケトン 40重量部
トルエン 40重量部
【0087】
また、実施例3、実施例4、比較例2、比較例3、比較例4、比較例5、比較例6記載受像体を用い、ニスカ社製カードプリンタ PR−5200 にて染料層と受像体とを対向させて重ね合わせ、Y,M,Cの順番で転写フィルムの裏面から下記条件でサーマルヘッドを用い熱転写記録をおこない、グレーの階調画像を形成した。
【0088】
[評価結果]
各項目について、下記評価基準において評価を行った。
【0089】
受容層、接着層転写性
転写型フィルムについて、評価を行った。
○:問題なく転写
×:転写不良、或いは受容層/接着層間ではがれが発生し完全な転写が行われない
【0090】
印画性
すべての実施例・比較例について、染料インキ・溶融インキの受像体上への印画性(感度および画像再現性)を目視により確認した。
○:問題なく画像形成が行われ、印画性は良好であった
△:画像形成自体は可能であるが、感度が得られない
×:染料印画時に剥離音が発生、または異常転写が発生
【0091】
転写時樹脂膜箔切れ性
転写型フィルムについて、評価を行った。
○:転写時の樹脂箔切れ良好
×:転写時の樹脂箔切れ不良
【表2】
【0092】
【発明の効果】
上記実施例の結果からも明らかなように、本発明による熱転写受像シートおよび受容層転写シートによれば、従来問題となっていた可塑剤のブリードやこれに起因する感度の劣化の問題を解消して高感度で色再現性にすぐれた画像形成が可能となる。
Claims (5)
- 基材シートと、
前記基材シートの少なくとも一方の面に形成された染料受容層とからなる熱転写受像シートにおいて、
前記染料受容層が、少なくとも一つ以上のアクリル系モノマー、アクリロニトリルモノマー、スチレンモノマーから選ばれるモノマーと可塑性セグメント成分を含むモノマーとの共重合体を含んでなり、
前記アクリル系モノマーが、ベンジル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、およびフェノキシ(メタ)アクリレートからなる群から選択される少なくとも1種であり、
前記可塑性セグメント成分が、ポリプロキレンオキサイドおよび/またはカプロラクトンマクロマー(メタ)アクリレートであることを特徴とする、熱転写受像シート。 - 前記染料受容層に、昇華熱転写方式による情報および/または溶融熱転写方式による情報が記録される、請求項1に記載の熱転写受像シート。
- 前記染料受容層中に、エポキシ変性シリコーン、メチルスチレン変性シリコーン、ポリエーテル変性シリコーンおよびアミノ変性シリコーンからなる群から選ばれた少なくとも1種をさらに含有する、請求項1に記載の熱転写受像シート。
- 前記基材シートと染料受容層との間に白色中間層が設けられてなる、請求項1に記載の熱転写受像シート。
- 請求項1に記載の熱転写受像シートを用いて作成されたことを特徴とする、印画物。
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