JP4368322B2 - 熱転写受像シート - Google Patents

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Description

本発明は、熱転写受像シートに関する。
熱転写を利用した画像の形成方法として、記録材としての熱拡散型染料(昇華型染料)をプラスチックフィルム等の基材シート上に担持させた熱転写シートと、紙やプラスチックフィルム等の別の基材シート上に該染料の受容層を設けた熱転写受像シートとを互いに重ね合わせてフルカラー画像を形成する熱拡散型転写方式(昇華型熱転写方式)が知られている。この方法は熱拡散型染料を色材としているためドット単位で濃度、階調を自由に調節でき、原稿通りのフルカラー画像を受像シート上に鮮明に表現することができるので、デジタルカメラ、ビデオ、コンピューター等のカラー画像形成に応用されている。その画像は、銀塩写真に匹敵する高品質なものである。
昇華型熱転写方式のプリンターにおいて画像を高速に形成する際に、カールやしわが発生し、プリンター内で紙詰まり等のトラブルが生じないよう、熱転写受像シートは、断熱性及びクッション性に優れていることが求められている。
クッション性を付与する層として、微細空隙を含有するプラスチックの中心層と、該中心層よりも少ない微細空隙を含有するプラスチックのスキン層とにより構成した基材を用いた熱転写受像シートが提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
しかしながら、上記中心層及びスキン層は、樹脂フィルムを延伸することにより発泡させたものであり、中空粒子を含有することについて全く記載されていない。この2つの層は、実施例においてポリエチレンテレフタレート〔PET〕フィルムの両側に貼り合わせて基材を構成しており、また、コート紙等の支持体を別に設けるので、工程が複雑である問題がある。更に、該PETフィルムは低温での印画時に剛直であるので、サーマルヘッドとの密着性に劣り、濃度ムラ及び白抜けを起す問題がある。
クッション性等を付与するために多孔層を導入した熱転写受像シートとしては、また、多孔層として中空粒子とバインダー樹脂とからなる層を設けたものが知られている(例えば、特許文献2参照。)。しかしながら、この中空粒子については、空隙率50%以上が望ましいとされているが、空隙率が異なる2種の中空粒子を用いることについて全く記載されていない。
また、特許文献1及び特許文献2に記載された熱転写受像シートにおける受容層は、何れも、樹脂を溶剤に溶解した塗工液を用いて形成しており、該受容層と多孔質層との間に溶剤バリア層を設け、多孔質層におけるバインダー樹脂として耐溶剤性樹脂を用いなければならない問題があり、これらの対処をしなければ中空粒子が溶剤浸透により膨潤したり破壊したりする問題を生じ得る。
特開平8−187965号公報(請求項1、〔0012〕、〔0024〕) 特開2002−212890号公報(請求項1、〔0015〕)
本発明の目的は、上記現状に鑑み、感度に優れ、かつ、濃度ムラがなく低温で白抜けのない画像を得ることができる熱転写受像シートを提供することにある。
本発明は、基材シートに、多孔層A、多孔層B及び受容層をこの順に積層してなる熱転写受像シートにおいて、前記受容層は、受容層形成樹脂からなる水性塗工液を用いて形成したものであり、前記多孔層Bにおける中空粒子bの中空率と、前記多孔層Aにおける中空粒子aの中空率とが異なり、前記中空粒子bは、架橋中空粒子であり、前記中空粒子aは、非架橋中空粒子であり、前記多孔層Aは、バインダー樹脂と中空粒子aとを水性媒体に溶解又は分散させてなる多孔層用塗工液を用いて形成したものであり、前記多孔層Bは、バインダー樹脂と中空粒子bとを水性媒体に溶解又は分散させてなる多孔層用塗工液を用いて形成したものであることを特徴とする熱転写受像シートである。
以下に本発明を詳細に説明する。
本発明の熱転写受像シートは、基材シートに、多孔層A、多孔層B及び受容層をこの順に積層してなるものである。
上記基材シートとしては、特に限定されず、紙類;合成樹脂等から形成されたフィルム又はシート;上記紙類、フィルム、シート等を積層して得られる積層体;等を挙げることができる。
上記基材シートは、受容層を保持する役割を有するとともに、熱転写時には熱が加えられるため、加熱された状態でも、取り扱い上、支障がない程度の機械的強度を有することが好ましい。
上記紙類としては、特に限定されず、セルロース繊維紙、上質紙、アート紙、コート紙、キャストコート紙、片艶紙、含浸紙、板紙、合成紙等、公知のものが挙げられる。
上記合成紙としては、例えば、合成樹脂含浸紙、合成ゴムラテックス含浸紙、コンデンサーペーパー、硫酸紙等が挙げられる。
上記紙類には、必要に応じて、サイズ剤、定着剤、紙力増強剤、帯電防止剤、染料、顔料、蛍光増白剤、酸化防止剤、減摩剤等の添加剤が含まれていてもよい。
上記紙類は、例えば、特開平1−263081号公報等に記載されている方法で製造することができる。
上記基材シートを形成するための合成樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂;ポリカーボネート系樹脂;ポリウレタン系樹脂;ポリイミド、ポリエーテルイミド等のイミド系樹脂;セルロース誘導体;ポリエチレン、ポリプロピレン等のオレフィン系樹脂;エチレン−酢酸ビニル共重合体;ポリスチレン等のスチレン系樹脂;ポリアクリル、ポリアクリレート等のアクリル系樹脂;各種ナイロン等のポリアミド系樹脂;ポリ塩化ビニル、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール等のビニル系樹脂;ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン等のケトン系樹脂;ポリスルホン、ポリエーテルスルホン等のスルホン系樹脂;テトラフルオロエチレン−パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)共重合体等のフッ素系樹脂;等が挙げられる。
上記基材シートは、上記合成樹脂を1種若しくは2種以上混合して得られるフィルム又はシートであってもよいし、上記合成樹脂に加え、顔料、充填剤等を加えて成膜したフィルム又はシートであってもよい。
本発明における基材シートとしては、上記紙類、フィルム、シート等を積層して得られる積層体が好ましい。
上記積層体としては、例えば、基紙と樹脂層とを積層した積層体、上記合成樹脂からなる層を1層若しくは2層以上積層してなるフィルム又はシート等が挙げられるが、なかでも、基紙と樹脂層との積層体が好ましい。
上記基紙と樹脂層との積層体における原紙は、必要に応じて、後述するカレンダー処理等の従来公知の処理を施したものであってもよい。
上記原紙としては、例えば、天然パルプ、合成パルプ、それらの混合物から抄紙されるパルプ紙等が挙げられるが、なかでも、木材パルプを主成分とする紙が好ましい。
上記基紙としては、平滑度が高いものが好ましく、ベック平滑度が1000秒以上であるものがより好ましく、ベック平滑度が5000秒以上であるものが更に好ましい。
本明細書において、ベック平滑度は、デジベック平滑度試験機(東洋精機社製)を用い、JIS P8119に準拠して測定した値である。
上記基紙は、公知の方法にて作製することができるが、原紙に対してカレンダー処理したものが好ましい。原紙にカレンダー処理をした基紙を用いると、平滑度を向上することができ、得られる熱転写受像シートの光沢感を高めることができる。
上記カレンダー処理としては、特に限定されず、例えば、マシンカレンダー、スーパーカレンダー、熱カレンダー等を用いることができる。
上記基紙と樹脂層との積層体における樹脂層を構成する樹脂としては、ネックインが小さく、ドローダウン性が良好な樹脂、例えば、ポリオレフィン樹脂、ポリスチレン系樹脂、ビニル系樹脂、ポリエチレンエステル系樹脂、アイオノマー樹脂、ナイロン、ポリウレタン等が挙げられるが、なかでも、ポリオレフィン樹脂が好ましい。
上記ポリオレフィン樹脂としては、例えば、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリペンテン等が挙げられるが、なかでも、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、ポリプロピレンが好ましく、ポリプロピレンがより好ましい。
上記基紙と樹脂層との積層体は、ドライラミネーション、ウェットラミネーション、エクストリュージョン等、公知の積層方法により作製することができる。上記各層は、層間密着力を向上させることを目的として、積層する前に、その表面に適宜プライマー処理やコロナ放電処理を施すことができる。
上記基紙と樹脂層との積層体としては、基紙の両面に樹脂層を積層したもの(本明細書において、「レジンコート紙」ということがある。)が好ましく、木材パルプを主成分とする紙の両面に樹脂層を積層したものがより好ましい。
本発明の熱転写受像シートは、基材シートとしてレジンコート紙からなるものを用いることにより、後述の多孔層用塗工液中の水分が基紙へ浸透するのを防ぐことができるので、従来のように多孔層用塗工液を塗布した直後に該塗工液が基紙に浸透してしまって地合いが悪くなることを防ぎ、濃度ムラが無く、白抜けがない画像を得ることができる。
上記レジンコート紙としては、樹脂層を構成する樹脂として上述の各種ポリオレフィン樹脂を用いたものが好ましく、なかでも、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、ポリプロピレンが好ましく、ポリプロピレンがより好ましい。
本発明の熱転写受像シートにおいて、基材シートの厚みは、全体で、通常10〜1000μm、好ましくは50〜300μmであり、該範囲の中から適宜選択することができる。
上記基材シートがレジンコート紙である場合、上記樹脂層は、厚みが10〜40μmであることが好ましく、20〜30μmであることがより好ましい。上記レジンコート紙において上記樹脂層の厚みが上記範囲内にあれば、得られる熱転写受像シートは、上述の濃度ムラが無く白抜けがない画像を作成することができる。
なお、上記樹脂層の厚みは、樹脂層が2層以上である場合、樹脂層全体の厚みを意味する。
本発明の熱転写受像シートは、上記基材シートに、多孔層A、多孔層B(以下、これらの層を「多孔層」と総称することがある。)及び受容層がこの順に形成されているものであり、上記多孔層は、少なくとも、基材シートの受容層を設けた側と同じ側の面に設けるものである。上記多孔層Aは、通常、上記基材シート上に直接積層することができる。
上記多孔層A及び上記多孔層Bは、通常、それぞれ、中空粒子とバインダー樹脂とからなるものである。
上記多孔層Aと多孔層Bとの相互間において、上記中空粒子及び上記バインダー樹脂は、それぞれ同一の組成であってもよいし、異なる組成であってもよいが、上記多孔層Bにおける中空粒子bの中空率と、上記多孔層Aにおける中空粒子aの中空率とは異なる。
本発明において、上記中空粒子a及び上記中空粒子b(以下、中空粒子a及び中空粒子bを「中空粒子」と総称することがある。)としては、発泡粒子、非発泡粒子の何れでもよい。発泡粒子を使用する場合には、独立発泡粒子、連続発泡粒子の何れであってもよい。
上記中空粒子は、樹脂等から構成される有機系中空粒子であってもよいし、ガラス等から構成される無機中空ガラス体であってもよい。
上記中空粒子を構成する樹脂としては、例えば、架橋スチレン−アクリル樹脂等のスチレン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、フェノール系樹脂、フッ素系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエーテル系樹脂等が挙げられる。
本発明において、上記中空粒子bは、架橋中空粒子であることが好ましい。
上記中空粒子bが架橋中空粒子であると、その多孔層Bは、多孔層Aが印画時のサーマルヘッドの熱により破壊されるのを確実に防ぐことができるので、得られる熱転写受像シートにより、感度をより高くし、濃度ムラをより低減した印画物を作成することができる。
上記中空粒子bは、耐熱温度が200℃以上であることが好ましく、300℃以上であることがより好ましい。
上記耐熱温度は、粒子の構成物質、製造条件等に応じて異なるが、高いほど好ましく、上限は特に限定されない。
本明細書において、耐熱温度とは、粒子が熱により破壊しない最大の温度であり、熱応力歪み測定装置〔TMA〕(使用機器名:SSC−5200、セイコー電子工業社製)により測定したものである。
本発明では、上述したように、上記多孔層Bにおける中空粒子bの中空率と、上記多孔層Aにおける中空粒子aの中空率とが異なっているが、上記中空粒子bの中空率は、上記中空粒子aの中空率よりも小さいことが好ましい。
上記多孔層Bにおける中空粒子bの中空率は、40%未満であるものが好ましく、30%以下であるものがより好ましい。
上記多孔層Aにおける中空粒子aの中空率は、40%以上であるものが好ましく、70%以下であるものが好ましい。
上記各中空粒子の何れかにおいて、中空率が上述の範囲より小さい場合、熱転写受像シートに断熱性及びクッション性を充分付与することができないおそれがあり、中空率が上述の範囲より大きい場合、熱転写受像シートの強度が低下することがある。
上記中空粒子は、平均粒子径が、通常0.1〜15μm、好ましくは0.1〜10μmである。0.1μm未満であると、中空率を上記範囲内にすることができない場合があり、また、コストが高くなってしまう場合がある。15μmを越えると、得られるシートにおいて画像に粒子由来のヌケが生じる場合がある。
なかでも、上記中空粒子bは、平均粒子径が1.0μm以下であることが好ましく、0.5μm以下であることがより好ましい。
上記多孔層は、それぞれ、各中空粒子を通常20〜90質量%、好ましくは40〜60質量%の量で含有する。20質量%未満である場合、各層における空隙が少なく、充分な断熱性及びクッション性が得られないことがあり、90質量%を越える場合、接着力が不足し、基材シートから剥離することがある。
各中空粒子を結着するバインダー樹脂としては、特に限定されないが、水溶性樹脂であってもよい。従来の熱転写受像シートは、受容層用塗工液に有機溶剤を使用していたので、有機溶剤に溶解・膨潤しやすい樹脂を中空粒子として使用すると、受容層の有機溶剤が浸透し、中空粒子が溶解して断熱効果がなくなる問題があったので、使用することができるバインダー樹脂の種類が限定されていた。しかしながら、本発明では、受容層を後述の受容層形成樹脂からなる水性塗工液を用いて形成するので、有機溶剤を用いて受容層を形成していた従来とは異なり、耐溶剤性樹脂に限定される必要はなく、上記バインダー樹脂を幅広く選択することができる。
上記バインダー樹脂としては、例えば、ポリビニルアルコール〔PVA〕、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリブタジエン樹脂、ポリ(メタ)アクリル酸エステル樹脂、エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂、ロジン変性フェノール樹脂、テルペンフェノール樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂、ポリオレフィン系樹脂、セルロース系樹脂等が挙げられるが、なかでも、PVAが好ましい。
本発明において、各多孔層は、それぞれ上記バインダー樹脂を1種のみ含有するものであってもよいし、2種以上含有するものであってもよい。
本発明において、各中空粒子を結着させるバインダー樹脂の固形分含有量は各多孔層の10〜30質量%であることが好ましい。
各中空粒子を結着させるバインダー樹脂が30質量%を越えると、空隙をバインダー樹脂が埋めてしまい、各多孔層の断熱性、クッション性が失われてしまう。逆に上記バインダー樹脂が10%未満であると、各多孔層の強度が弱く、基材シートから多孔層が剥離してしまう。
本発明において、上記多孔層Bの空隙率は、上記多孔層Aの空隙率よりも小さいことが好ましい。
上記多孔層Bの空隙率は、40%以下であるものが好ましく、30%以下であるものがより好ましい。
上記多孔層Aの空隙率は、50%以上であるものが好ましく、60%以上であるものがより好ましい。
上記多孔層Aにおいて、空隙率が上述の範囲より小さい場合、熱転写受像シートに断熱性及びクッション性を充分付与することができないおそれがあり、上記多孔層Bにおいて、空隙率が上述の範囲より大きい場合、熱転写受像シートの強度が低下することがある。
上記多孔層A及び上記多孔層Bの厚みは、それぞれ20〜80μmであることが好ましい。20μm未満であると、断熱性とクッション性が不充分となる傾向にあり、画像形成時に白抜けが生じる場合がある。また、紙の地合いムラによる濃度ムラが発生して高品位な画像が得られないことがある。80μmを超えると、用途により、熱転写受像シート全体として厚くなりすぎる場合がある。
本発明の熱転写受像シートは、上述の多孔層に加え、更に受容層を積層してなるものである。
上記受容層は、上述の多孔層B上に直接形成してなるものであってもよいし、上述の多孔層B上に形成した中間層上に形成してなるものであってもよい。
本発明における受容層は、受容層形成樹脂からなる受容層用水性塗工液を用いて形成したものである。
上記受容層形成樹脂としては、例えば、ポリオレフィン樹脂、ポリビニル系樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリ(メタ)アクリル酸系樹脂、セルロース誘導体系樹脂、ポリエーテル系樹脂等が挙げられ、なかでも、ポリビニル系樹脂が好ましい。
上記ポリビニル系樹脂としては、例えば、塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル/アクリル化合物共重合体、エチレン/塩化ビニル/アクリル酸エステル共重合体、エチレン/酢酸ビニル/塩化ビニル共重合体等が挙げられる。
上記受容層用塗工液は、受容層形成樹脂を1種のみ含有するものであってもよいし、単量体組成、平均分子量等が異なる2種以上の受容層形成樹脂を含有するものであってもよい。
上記塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体は、塩化ビニルと酢酸ビニルとからなる共重合体であれば特に限定されず、塩化ビニル及び酢酸ビニルに加えてこれら必須単量体と共重合可能な単量体をも少量重合したものであってもよいが、塩化ビニル/酢酸ビニル2元共重合体であることが好ましい。
上記塩化ビニル/アクリル化合物共重合体は、塩化ビニルとアクリル化合物とからなる共重合体であれば特に限定されず、塩化ビニル及びアクリル化合物に加えてこれら必須単量体と共重合可能な単量体をも少量共重合したものであってもよいが、塩化ビニル/アクリル化合物2元共重合体であることが好ましい。
本明細書において、「アクリル化合物」とは、(メタ)アクリル酸及び/又はそのアルキルエステルを意味する。
上記アクリル化合物としては、例えば、アクリル酸;アクリル酸カルシウム、アクリル酸亜鉛、アクリル酸マグネシウム、アクリル酸アルミニウム等のアクリル酸塩;メチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、2−エトキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、n−ステアリルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート等のアクリル酸エステル;メタクリル酸;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸トリデシル、メタクリル酸シクロヘキシル、ジメタクリル酸トリエチレングリコール、ジメタクリル酸1,3−ブチレン、トリメタクリル酸トリメチロールプロパン等のメタクリル酸エステル等が挙げられる。
上記エチレン/塩化ビニル/アクリル酸エステル共重合体及びエチレン/酢酸ビニル/塩化ビニル共重合体(以下、各共重合体を総称して、「エチレン/塩化ビニル系共重合体」ともいう。)は、少なくとも、エチレン、塩化ビニル及びアクリル酸エステルの3種、又は、エチレン、酢酸ビニル及び塩化ビニルの3種の単量体を重合して得られる共重合体であれば特に限定されず、これら3種の単量体以外に少量の微量単量体をも共重合したものであってもよいが、エチレン/塩化ビニル/アクリル酸エステル3元共重合体又はエチレン/酢酸ビニル/塩化ビニル3元共重合体であることが好ましい。
上記エチレン/酢酸ビニル/塩化ビニル共重合体は、エチレン/酢酸ビニル共重合体〔EVA〕と塩化ビニルとの共重合体であってよく、該EVA/塩化ビニル共重合体としては、EVAに塩化ビニルをグラフト共重合したものであってもよいし、ポリ塩化ビニルにEVAをグラフト共重合したものであってもよい。EVAは、該共重合体における酢酸ビニル単位の全部又は一部が鹸化されたものをも含む。
本発明において、上記エチレン/塩化ビニル/アクリル酸エステル共重合体を構成する「アクリル酸エステル」は、アクリル酸エステルに加え、メタクリル酸エステルをも含む概念である。上記アクリル酸エステルとしては、例えば、メチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、2−エトキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、n−ステアリルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート等が挙げられ、上記メタクリル酸エステルとしては、例えば、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸トリデシル、メタクリル酸シクロヘキシル、ジメタクリル酸トリエチレングリコール、ジメタクリル酸1,3−ブチレン、トリメタクリル酸トリメチロールプロパン等が挙げられる。
上記受容層形成樹脂は、ガラス転移温度が20℃以上であるものが好ましい。
本発明において、上記範囲内のガラス転移温度を有する受容層形成樹脂を受容層として有する場合、特に離型性に優れた熱転写受像シートを得ることができる。
上記ガラス転移温度は、30℃以上であるものがより好ましく、40℃以上であるものが更に好ましく、また、100℃以下であることが好ましい。
上記受容層用塗工液は、固形分濃度が、通常5質量%以上である。該固形分濃度の上限は、高濃度になりすぎると保存安定性が低下し、粘度が上昇する場合があるため、通常50質量%以下である。
上記受容層用塗工液は、受容層形成樹脂からなる水性塗工液であれば特に限定されず、該水性塗工液は、通常、受容層形成樹脂と水とを含有するものであり、例えば、受容層形成樹脂が水に分散したものであってもよいし、受容層形成樹脂が水に溶解したものであってもよいが、受容層形成樹脂エマルジョンからなるものであることが好ましい。
上記エマルジョンは、例えば、非イオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、アニオン界面活性剤等の乳化剤を含有するものであってよい。
上記エマルジョンは、乳化剤が上記受容層形成樹脂100質量部に対し0.1〜5質量部の量であることが好ましい。
上記エマルジョンは、上述の受容層形成樹脂及び上記乳化剤に加え、保存安定性等を目的として、公知の添加剤を配合してなるものであってもよい。
上記エマルジョンとしては、例えば、塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体エマルジョン、塩化ビニル/アクリル化合物共重合体エマルジョン、エチレン/塩化ビニル/アクリル酸エステル共重合体エマルジョン、又は、エチレン/酢酸ビニル/塩化ビニル共重合体エマルジョン等が挙げられる。
本発明では、上記エマルジョンとして、例えば、ビニブラン601、ビニブラン276(いずれも、日信化学工業社製)、SE1320、S−830(いずれも住化ケムテックス製)等、市販の製品を使用することができる。
本発明において、受容層用塗工液は、画像形成時に熱転写シートとの熱融着を防ぐために離型剤を配合してなるものであってもよい。
上記離型剤としては、シリコーンオイル、リン酸エステル系化合物、フッ素系化合物等、公知のものが挙げられるが、特にシリコーンオイルが好ましい。
上記シリコーンオイルとしては、エポキシ変性シリコーンオイル、アルキル変性シリコーンオイル、アミノ変性シリコーンオイル、フッ素変性シリコーンオイル、フェニル変性シリコーンオイル、エポキシ・ポリエーテル変性シリコーンオイル、ビニル変性シリコーンオイル、ハイドロジェン変性シリコーンオイル等、変性シリコーンオイルが好ましい。
上記離型剤は、上述の各共重合体100質量部に対して約0.5〜30質量部となるよう添加することが好ましい。
上記受容層用塗工液は、また、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、フィラー、顔料、帯電防止剤、可塑剤、熱溶融性物質等、公知の添加剤を適宜配合してなるものであってもよい。
上記酸化防止剤としては、クロマン系化合物、クマロン系化合物、フェノール系化合物、ハイドロキノン誘導体、ヒンダードアミン誘導体、スピロインダン系化合物、硫黄系化合物、リン系化合物等、画像耐久性を改善するものとして公知の化合物を挙げることができる。
上記紫外線吸収剤及び上記光安定剤としては、例えば、特開平1−204788号公報等に記載の公知の化合物が挙げられる。
上記フィラーとしては、無機化合物微粒子、有機化合物樹脂粒子等を挙げることができる。
上記無機化合物微粒子としては、シリカゲル、炭酸カルシウム、酸化チタン、酸性白土、活性白土、アルミナ等を挙げることができ、上記有機化合物樹脂粒子としては、フッ素樹脂粒子、グアナミン樹脂粒子、アクリル樹脂粒子、シリコン樹脂粒子等の樹脂粒子等を挙げることができる。
上記顔料としては、チタンホワイト、炭酸カルシウム、酸化亜鉛、硫酸バリウム、シリカ、タルク、クレー、カオリン、活性白土、酸性白土等、公知の化合物を挙げることができる。
上記帯電防止剤としては、カチオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、非イオン界面活性剤、高分子帯電防止剤、導電性微粒子等、公知の化合物が挙げられる。
上記可塑剤及び上記熱溶融性物質は、通常、得られる熱転写受像シートの転写を促進するために添加するものである。
上記可塑剤としては、例えば、フタル酸系可塑剤、リン酸エステル系可塑剤、ポリエステル系可塑剤等、公知の化合物を挙げることができる。
上記熱溶融性物質としては、例えば、アルコール類、ケトン類、高級脂肪酸エステル等、転写を促進する作用を有する公知の化合物が挙げられる。
本発明の熱転写受像シートは、上述したように、受容層と多孔層とに加え、中間層を積層してなるものであってもよい。
上記中間層は、基材シートと多孔層との間に設けたものであってもよいし、上記受容層と多孔層との間に設けたものであってもよい。
本発明において、「中間層」とは、基材シートと受容層との間にある多孔層以外の全ての層を意味する。
本発明の熱転写受像シートは、上記中間層を設けることにより、例えば、クッション性、バリア性、層間接着性、白色性、隠蔽性、帯電防止性等に優れたものとすることができる場合があるが、ポリエチレンテレフタレート〔PET〕樹脂膜等の樹脂膜を用いなくても強度に優れ、このような樹脂膜を用いる必要がないので特に低温印画時であってもハイライト部の白抜けがなく濃度ムラのない画像を得ることができる。本発明の熱転写受像シートは、また、上記中間層としてプライマーを用いなくても多孔層と受容層との層間接着性等に優れたものとすることができる。
上記中間層を形成する樹脂、その他の高分子としては、多孔層を構成するバインダー樹脂として例示した樹脂に加え、ゼラチン、カゼイン等が挙げられる。
従来の熱転写受像シートは、受容層が有機溶媒に樹脂を溶解させてなるものであったので、中間層を形成する樹脂は、耐溶剤性樹脂に限定されていたが、本発明の熱転写受像シートは、受容層が上述の水性塗工液を用いて形成したものであるので、上記中間層を形成する樹脂を、耐溶剤性樹脂に限定することなく選択することができる。
上記中間層は、例えば、水溶性高分子を添加したものであってもよい。
上記水溶性高分子としては、セルロース系樹脂、デンプン、寒天等の多糖類;カゼイン、ゼラチン等のタンパク質;ポリビニルアルコール、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、酢酸ビニル−(メタ)アクリル共重合体、酢酸ビニル−ベオバ共重合体、(メタ)アクリル樹脂、スチレン−(メタ)アクリル共重合体、スチレン樹脂等のビニル系樹脂;メラミン樹脂、尿素樹脂、ベンゾグアナミン樹脂等のポリアミド系樹脂;ポリエステル;ポリウレタン等が挙げられる。
本発明において、水溶性高分子とは、水性溶媒に完全溶解(粒径0.01μm以下)、コロイダルディスパージョン(粒径0.01〜0.1μm)、エマルジョン(粒径0.1〜1μm)又はスラリー(粒径1μm以上)の状態になる高分子を意味する。
上記中間層に、ウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂等を添加した場合、層間接着性に優れた熱転写受像シートを得ることができる。
また、上記中間層として、活性水素を有する熱可塑性樹脂とイソシアネート化合物等の硬化剤とを併用した場合、更に層間接着性に優れた熱転写受像シートとすることができる。
上記中間層及び多孔層に、例えば、蛍光増白剤を添加した場合、熱転写受像シートに白色を付与することができる。
上記蛍光増白剤としては、特に限定されず、従来公知のものを使用することができ、例えば、スチルベン系蛍光増白剤、ジスチルベン系蛍光増白剤、ベンゾオキサゾール系蛍光増白剤、スチリル−オキサゾール系蛍光増白剤、ピレン−オキサゾール系蛍光増白剤、クマリン系蛍光増白剤、アミノクマリン系蛍光増白剤、イミダゾール系蛍光増白剤、ベンゾイミダゾール系蛍光増白剤、ピラゾリン系蛍光増白剤、ジスチリル−ビフェニル系蛍光増白剤等が挙げられる。
本発明の熱転写受像シートは、上記蛍光増白剤の種類、添加量等を適宜選択することにより、白色度を調整することができる。
上記中間層及び多孔層に、酸化チタンを添加すると、基材シートのギラ付き感やムラを隠蔽した熱転写受像シートを得ることができる。
上記酸化チタンとしては、ルチル型酸化チタン及びアナターゼ型酸化チタンが挙げられるが、白色度の点で、アナターゼ型酸化チタンが好ましい。
上記酸化チタンは、中間層及び多孔層が上述の水溶性樹脂からなる場合、表面に親水性処理を施して添加してもよいし、界面活性剤等の分散剤を適宜添加して分散させてもよい。
上記中間層及び多孔層に、例えば、導電性無機フィラー、有機性導電剤等を添加すると、帯電防止性を有する熱転写受像シートを得ることができる。
本発明の熱転写受像シートは、シートの機械搬送性向上、カール防止、筆記性、帯電防止等を目的として、基材シートの受容層形成側と反対側の面上に、裏面層を有するものであってもよい。
本発明の熱転写受像シートにおいて、上記裏面層は、1層のみから構成されるものであってもよいし、組成等が異なる2層以上の層を積層して構成されるものであってもよい。
上記裏面層は、上記中間層を形成する樹脂、その他の高分子として例示したものと同様の樹脂等から形成することができる。
上記裏面層を形成する際に、例えば、(1)上記例示の樹脂等に加え、有機フィラー又は無機フィラーを適量添加する、又は、(2)ポリオレフィン樹脂、セルロース樹脂等、滑性が高い樹脂を使用すると、搬送性が向上した熱転写受像シートを得ることができる。
上記裏面層を形成する際に、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール等、保水性を有する樹脂等を主成分として用いた場合、得られる熱転写受像シートのカールを防止することができる。
上記裏面層を形成する際に、上述の受容層における添加剤として例示したフィラー、顔料等を配合した場合、得られる熱転写受像シートに筆記性を付与することができる。
上記裏面層は、帯電防止機能を得るために、アクリル樹脂等の導電性樹脂、及び/又は、脂肪酸エステル、硫酸エステル、リン酸エステル、エチレンオキサイド付加物等の各種帯電防止剤を添加したものであってもよい。
上記帯電防止剤の使用量は、該帯電防止剤を添加する層、使用する帯電防止剤等の種類によって異なるが、給紙トラブルを防止する点で、熱転写受像シートの表面電気抵抗値が1013Ω/cm以下となるよう、通常、乾燥後0.01〜3.0g/mの量となるよう使用することが好ましい。
上記裏面層は、全体で乾燥後3g/m以下であれば、通常、目的とする各種効果を奏することができる。
本発明の熱転写受像シートは、例えば、基材シート上に、上記多孔層A、多孔層B及び受容層をこの順に積層することにより作成することができる。
上記各多孔層の積層は、上述のバインダー樹脂と中空粒子とを水性媒体に溶解又は分散させてなる多孔層用塗工液を調製し、該多孔層用塗工液を基材に塗布し、乾燥することにより行うことができる。
上記多孔層用塗工液における水性媒体は、水に加え、エタノール、イソプロパノール等のアルコール類;メチルセロソルブ、エチルセロソルブ等のセロソルブ類;等の溶剤を適宜添加してなるものであってもよい。
上記多孔層用塗工液は、中空粒子固形分量100質量部に対してバインダー樹脂固形分量10〜30質量部であることが好ましい。上記バインダー樹脂固形分量が10質量部以下である場合、多孔層の強度が弱くなり剥離してしまうことがあり、上記バインダー樹脂固形分量が30質量%以上である場合、多孔層における空隙が減少して、多孔層の断熱性、クッション性が低下することがある。
上記多孔層用塗工液の塗布は、ロールコート、バーコート、グラビアコート、グラビアリバースコート、コンマコート、ダイコート、リップコート等の一般的な方法にて行うとこができる。
上記多孔層用塗工液は、多孔層が上記範囲内の厚みとなるよう塗布することが好ましい。
上記乾燥は、使用する塗工液の組成に応じて異なるが、一般に、50〜150℃の温度にて行うことが好ましい。
上記受容層は、例えば、上述の受容層用塗工液を多孔層B上に塗布し、乾燥することにより行うことができる。
上記受容層用塗工液の塗布は、上述の一般的な方法にて行うことができる。
上記受容層用塗工液は、受容層が乾燥後0.5〜10g/mの量となるよう塗布することが好ましい。
上記乾燥は、使用する塗工液の組成に応じて異なるが、一般に、50〜150℃の温度にて行うことが好ましい。
本発明の熱転写受像シートにおける中間層及び裏面層を形成する方法としては特に限定されないが、例えば、上述の構成成分からなる塗工液を調製して、公知の方法にて塗工する方法等が挙げられる。
上述の中間層及び裏面層の塗工において、塗工液を調製するための溶媒としては例えば、上述の多孔層用塗工液に関して例示したものに加え、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ等のセロソルブ類;トルエン、キシレン、クロルベンゼン等の芳香族系溶媒;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶剤;テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類;クロロホルム、トリクロルエチレン等の塩素系溶剤;ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン等の含窒素系溶剤;ジメチルスルホキシド;等が挙げられる。
本発明における各層を形成するための各塗工において、層表面を平滑にするために、塗工後、プライマー処理等、公知の樹脂表面改質を行ってもよい。
本発明の熱転写受像シートにおける受像面に画像形成を行う方法としては、特に限定されず、公知の熱拡散型転写方式(昇華型熱転写方式)にて行うことができる。
上記画像形成の際に使用する熱転写シートとしては、特に限定されず、例えば、基材シート上に、熱拡散型染料(昇華型染料)を含む染料層を設けた従来の熱転写シートを使用することができる。
上記熱転写シートとしては、特に、ポリアセタール系樹脂からなる染料層とポリエステル樹脂からなる基材シートとからなるものが好ましい。
本発明の熱転写受像シートは、該熱転写受像シートの受像面に画像形成後、画像形成面に保護層を転写してなるものであってもよい。上記保護層を転写することにより、得られるシートの耐光性を更に向上させることができ、また耐皮脂性等の耐久性をも向上させることができる。
上記保護層は、熱可塑性樹脂、熱架橋性樹脂、電離放射線架橋樹脂等、公知の保護層形成用樹脂から形成することができる。
上記熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、フェノキシ樹脂、これらの各樹脂をシリコーン変性させた樹脂等が挙げられる。
上記保護層は、熱可塑性樹脂、熱架橋性樹脂及び電離放射線架橋樹脂を1種又は2種以上配合してなるものであってもよい。
上記保護層は、上記樹脂に加え、必要に応じ、紫外線遮断樹脂、紫外線吸収剤、導電性樹脂、フィラー等、上述の受容層に関して説明した添加剤を適宜配合してなるものであってもよい。
上記保護層は、1層のみから構成されるものであってもよいし、組成等が異なる2層以上の層を積層して構成されるものであってもよい。
上記保護層は、熱転写受像シート(印画物)への転写性、接着性等を良好にするために、接着剤層を有するものであってもよい。
上記接着剤層は、従来公知のものから形成することができるが、ガラス転移温度(Tg)が50〜80℃の熱可塑性樹脂から形成することがより好ましい。
上記熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエステル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂、アクリル樹脂、ブチラール樹脂、エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂、塩化ビニル樹脂等から上記範囲内のガラス転移温度を有するものを選択することが好ましい。また、接着性の点で、上記熱可塑性樹脂は、平均分子量の小さい方が好ましい。
上記保護層は、層全体で、通常0.1〜30μm、好ましくは0.5〜5μmの厚みとすることができる。
本発明の熱転写受像シートは、上記構成よりなるので、中間層及び多孔層において耐溶剤性の樹脂に限定されることなく幅広い樹脂の選択が可能であり、感度に優れ、更に、濃度ムラやハイライト部の白抜けを確実に低減した画像を得ることも可能である。
以下に実施例を挙げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
なお、文中、部又は%とあるのは特に断りのない限り、質量基準である。
実施例1
1.基材シートの作成
ホワイト原紙(厚み168g/m、三菱製紙社製)の片面に、ポリプロピレン樹脂(製品名:サンアロマーPHA03A、サンアロマー社製)を押し出しコーターにて、乾燥後厚み30μmとなるよう積層し、他方の面に、高密度ポリエチレン樹脂(製品名:ジェイレックスKH578A、日本ポリオレフィン社製)を押し出しコーターにて、乾燥後厚み30μmとなるよう積層し、基材シートを作成した。
2.多孔層の作成
基材シートの一方の面に、下記組成からなる多孔層A用塗工液、多孔層B用塗工液及び受容層用塗工液を、この順にグラビアコートで、それぞれ乾燥後5.0g/m(乾燥後厚み40μm)、1.0g/m(乾燥後厚み3μm)及び4.0g/mとなるように塗布し、乾燥(110℃、1分)して、熱転写受像シートを作成した。
得られた熱転写受像シートにおける多孔層Aの空隙率は70%であり、多孔層Bの空隙率は30%であった。
なお、空隙率は、乾燥後の塗布量、乾燥後の厚み、中空粒子とバインダーの比率、および中空粒子の中空率より算出した。
(多孔層A用塗工液)
・アクリル系中空粒子(製品名:ローペイクHP−1055、固形分26.50%、中空率55%、中空粒子径1.0μm、ロームアンドハース社製) 100部
・ポリビニルアルコール溶液(製品名:KM−11、固形分10%、日本合成化学社製)
29.4部
・水 5部
・イソプロピルアルコール〔IPA〕 10部
・中空粒子/バインダー樹脂比=9/1
(多孔層B用塗工液)
・高架橋スチレン−アクリル系中空粒子(製品名:AE−866、高架橋タイプ、固形分20%、中空率30%、体積平均粒径0.3μm、JSR社製) 100部
・ポリエステル樹脂(製品名:AP−40、固形分20%、大日本インキ化学社製)
11部
・水 5部
・イソプロピルアルコール 10部
中空粒子/バインダー樹脂比=9/1
(受容層用塗工液組成)
・塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体エマルジョン(ビニブラン601、固形分濃度43%;日信化学工業社製)
100部
・離型剤:ポリエーテル変性シリコーン(製品名;SH−3771、東レ・ダウ・コーニング・シリコーン社製)
2.5部
・硬化剤(スミレーズレジン613、硬化剤、住友化学社製) 0.5部
・触媒A(スミレーズレジン613用、住友化学社製) 0.1部
・水 10部
実施例2
上記受容層用塗工液(I)に代え、上記受容層用塗工液(II)を用いて、実施例1と同様にして、熱転写受像シートを得た。
(受容層用塗工液(II)組成)
・ポリエステル樹脂エマルジョン(MD−1200、固形分濃度43%;東洋紡積社製)
100部
・ポリエーテル変性シリコーン(製品名;SH−3771、東レ・ダウ・コーニング・シリコーン社製)
1.75部
・硬化剤:スミレーズレジン613(住友化学社製) 0.35部
・触媒A(スミレーズレジン613用、住友化学社製) 0.07部
・水 10部
実施例3
多孔層Bを基材シート上に塗工した後に、多孔層Aを多孔層B上に塗工した以外は、実施例1と同様にして、熱転写受像シートを得た。
比較例1
上記多孔層Bに代え多孔層Aを塗工した以外は、実施例1と同様にして、熱転写受像シートを得た。
比較例2
上記多孔層Aに代え多孔層Bを塗工した以外は、実施例1と同様にして、熱転写受像シートを得た。
比較例3
多孔層Aを2層積層した後に、ポリエチレンテレフタレート〔PET〕フィルム(東レ社製、ルミラー厚さ30μm)を、ヒートローラーにより130℃にて圧着してPET層を形成させ、該PET層上に下記組成を有するプライマー用塗工液を乾燥後2.0g/mとなるよう塗布し、乾燥(110℃、1分)してプライマー層を形成させた後、該プライマー層上に受容層を塗工した以外は、実施例1と同様にして、熱転写受像シートを得た。
(プライマー用塗工液)
・WR−905(ポリエステル樹脂、固形分20%、日本合成化学社製): 100部
・IPA: 10部
試験例
下記方法にて、各実施例及び各比較例から得られた熱転写受像シートの評価を行った。
<評価方法>
1.染料染着性(感度)の測定
(1)昇華転写プリンターCP−200(キャノン社製)及び昇華転写プリンターCP−200用熱転写シート(キャノン社製)を用いて、イエロー(Y)、マゼラン(M)、シアン(C)、保護層の順番で、下記条件にてグラデーション画像を形成した。
(プリント印字条件)
・階調プリント:各分割パルスのDuty比を40%固定とし、ライン周期当たりのパルス数を0〜255まで17ずつ増加させることにより、1〜16ステップまでの16階調を制御し、グレーのグラデーションからなる階調パターンを印画した。印画環境は、25℃、湿度40%に設定した。
・保護層の転写:ライン周期当たりのパルス数を210個固定とし、ベタプリントを行い、プリント面全面に保護層を転写した。
(2)各印画物について、色度計(マクベス濃度計RD−918;マクベス社製)を用いて、3BKの最大反射濃度を測定した。
2.濃度ムラ
(1)ライン周期当たりのパルス数を210個固定とし、グレーのベタプリントを印画する以外は、上記1.(1)と同様の条件にて印画物を作成した。
(2)得られた印画物を、下記基準に基づき目視にて評価した。
○・・・目立った濃度ムラは、確認されなかった。
×・・・濃度ムラが、各部位に見受けられた。
3.白抜け
上記1.(1)及び2.(1)から得られた印画物について、白抜けが生じていないか、下記評価基準に基づき、目視にて評価した。更に、印画環境0℃、常圧下にて行う以外は上記1.(1)及び2.(1)と同様にプリントを行い、得られた印画物についても、同様に評価した。
○・・・ベタプリント及び階調プリントともに、白抜けを確認することはできなかった。
×・・・ベタプリント及び階調プリントの何れかに白抜けが確認された。
表1に、結果を示す。
Figure 0004368322
各評価結果より、多孔層におけるバインダー樹脂として、耐有機溶剤性でない樹脂を用いることができ、多孔層と受容層との間に有機溶剤バリアー層を形成しなくても中空粒子の破壊・膨潤は見られないことがわかった。
基材シート側から順に多孔層Aと多孔層Bとを積層した印画物(実施例1及び実施例2の熱転写受像シート)は、特に感度に優れていることが分かった。PETフィルムを設けない実施例1では、更に、低温印画であっても白抜けがない利点も付加されることが分かった。
一方、多孔層Aを2層積層した比較例1の熱転写受像シートは、印画時に濃度ムラが生じること、また、多孔層Bを2層積層した比較例2の熱転写受像シートは、印画時における感度が低いこと、多孔層上にPETフィルムを設けた比較例3の熱転写受像シートは、低温印画で白抜けが生じることが分かった。
本発明の熱転写受像シートは、上記構成よりなるので、中間層及び多孔層において耐溶剤性の樹脂に限定されることなく幅広い樹脂の選択が可能であり、感度に優れ、更に、濃度ムラやハイライト部の白抜けを確実に低減した画像を得ることも可能である。

Claims (4)

  1. 基材シートに多孔層A、多孔層B及び受容層をこの順に積層してなる熱転写受像シートにおいて、
    前記受容層は、受容層形成樹脂からなる水性塗工液を用いて形成したものであり、
    前記多孔層Bにおける中空粒子bの中空率と、前記多孔層Aにおける中空粒子aの中空率とが異なり、
    前記中空粒子bは、架橋中空粒子であり、
    前記中空粒子aは、非架橋中空粒子であり、
    前記多孔層Aは、バインダー樹脂と中空粒子aとを水性媒体に溶解又は分散させてなる多孔層用塗工液を用いて形成したものであり、
    前記多孔層Bは、バインダー樹脂と中空粒子bとを水性媒体に溶解又は分散させてなる多孔層用塗工液を用いて形成したものである
    ことを特徴とする熱転写受像シート。
  2. 前記多孔層Bの空隙率は、前記多孔層Aの空隙率よりも小さい請求項1記載の熱転写受像シート。
  3. 前記中空粒子bは、平均粒子径が1.0μm以下である請求項1又は2記載の熱転写受像シート。
  4. 前記受容層は、塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体エマルジョン、塩化ビニル/アクリル化合物共重合体エマルジョン、エチレン/塩化ビニル/アクリル酸エステル共重合体エマルジョンまたはエチレン/酢酸ビニル/塩化ビニル共重合体エマルジョンを用いて形成したものである請求項1、2又は3記載の熱転写受像シート。
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