JP4113899B2 - 保護層転写フィルム、及び印画物 - Google Patents
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Description
1)基材フィルム
本発明の保護層転写フィルムに用いられる基材フィルム1としては、従来の熱転写フィルムに使用されているものと同じ基材フィルムを、そのまま用いることができると共に、フィルムの表面に易接着処理のしてあるものやその他のものも使用することができ、特に制限はされない。好ましい基材フィルムの具体例としては、例えば、ポリエチレンテレフタレートを始めとするポリエステル、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリイミド、酢酸セルロース、ポリ塩化ビニリデン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、フッ素樹脂、ポリプロピレン、ポリエチレン、アイオノマー等のプラスチックフィルム、および、グラシン紙、コンデンサー紙、パラフィン紙等の紙類、セロファン等があり、また、これらの2種以上を積層した複合フィルムなども挙げられる。これらの基材フィルム1の厚さは、その強度および耐熱性が適切になるように材料に応じて適宜変更しているが、通常は、3〜100μm程度が好ましい。
通常、基材フィルム1の一方の面に熱転写性樹脂層2を設けて転写フィルムを作成するが、基材フィルム1と熱転写性樹脂層2の材質の組合せによっては熱転写の際の離型性が十分でない場合がある。このような場合、基材フィルム1面に予め離型層3を設けることができる(図4)。離型層3は、ワックス類、シリコーンワックス、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、アクリル樹脂、ポリビニルアルコール、ウレタン樹脂、酢酸セルロース等のセルロース系樹脂等の樹脂から1種乃至、2種以上を選択して用いることができ、2種以上を混合する場合は、適宜水溶性の樹脂を用いてもよい。そして、これらの樹脂を主成分とする塗布液を、従来公知のグラビアコート、グラビアリバースコート等の方法で塗布、乾燥することにより形成でき、塗膜の厚さは0.1〜2μm程度で充分である。尚、離型層に使用する材料を選択する際に、注意しなければならない点としては、熱転写性樹脂層と適切な離型性を有することは勿論のことであるが、更に、熱転写性樹脂層との接着力よりも基材フィルムとの接着力を高くすることが大切であり、もし、基材フィルムとの接着力が十分でない場合には、離型層ごと保護層が転写される等の異常転写の原因となる。また、転写後の印画物において艶消し保護層が望ましい場合には、離型層中に各種の粒子を包含させるか、或いは、離型層側表面をマット処理した基材フィルムを使用することにより、保護層を転写した印画物の表面をマット状にすることもできる。
本発明の保護層転写フィルムにおいて、熱転写性樹脂層2は、熱転写により被転写体の印画面に転写されて保護層を形成するものである。従って、熱転写性樹脂層2が具備すべき機能としては、熱転写の際、基材フィルム1またはその上に設けられた離型層3から確実に、膜切れ性よく剥がれること、被転写体に対する熱接着性が良いこと、印画面の保護層として耐摩擦性、耐スクラッチ性等の各種耐性、特に本発明では優れた耐光性を付与できること、また、透明性が良く転写面の画像の鮮明さを損なわないことなどが挙げられる。この点から、図1に示したように熱転写性樹脂層2を単層で設けることもできるが、図2〜図4のように基材フィルム1側から透明性樹脂層4、熱接着性樹脂層6の順、或いは、透明性樹脂層4、紫外線遮断層5、熱接着性樹脂層6の順のように2層または3層の多層構成で設けることも好ましい。このような場合の各層について以下に説明する。
前記基材フィルム1または離型層3の上に設ける透明性樹脂層4、即ち、熱転写性樹脂層2の基材フィルム側の層は、耐摩擦性、透明性、硬さなどに優れた樹脂、例えば、ポリエステル、ポリスチレン、アクリル樹脂、ポリウレタン、アクリルウレタン樹脂、および、これらの樹脂のシリコーン変性樹脂、そして、これらの樹脂の混合物のほか、前述の如き重合性モノマー、オリゴマー、反応性重合体等の少なくとも一種を電離放射線照射により架橋、硬化した樹脂等を用いることができる。また、前述の硬化性樹脂層には、可撓性および接着性を向上させるために、相溶性のよい熱可塑性樹脂を混合して用いてもよい。尚、電離放射線により架橋、硬化させる場合には、紫外線遮断層との接着性をより向上させるために、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、ポリエステル、ポリスチレン、アクリルウレタン樹脂などからなる中間層(プライマー層)を設けてもよい。これらの樹脂は、透明性に優れているが、比較的強靱な皮膜を形成する傾向があるので、転写時における膜切れが充分ではない。そこで、これらの透明樹脂の膜切れ性や、転写によって被覆される印画面の耐摩擦性、耐スクラッチ性などを向上させるために、シリカ、アルミナ、炭酸カルシウム、プラスチックピグメント等の透明性の高い微粒子やワックス等を樹脂の透明性を損なわない程度に添加することができる。添加量は樹脂固形分100重量部に対して0.5〜20重量部が好ましい。また、耐摩擦性、耐スクラッチ性を更に向上させるために、シリコーン変性樹脂、滑剤等の添加剤を含有させてもよい。
本発明において反応性紫外線吸収剤を反応結合した樹脂は、熱転写性樹脂層2を多層で構成する場合には、透明性樹脂層4及び/又は熱接着性樹脂層6に含有させてもよいが、紫外線遮断層5として別に設けてもよい。この場合、透明性樹脂層4と熱接着性樹脂層6の間に設けるか、基材フィルム1または離型層3と透明性樹脂層4の間に設けるかは限定しないが、通常、透明性樹脂層4と熱接着性樹脂層6の間に設けることが好ましい。紫外線遮断層5の形成方法は、前記透明性樹脂層の形成方法と同じ方法でよく、その厚さは、0.1〜5μm程度で十分である。
次に、以上の各層を接着性よく印画面に転写するために、最上層として熱接着性樹脂層6を設けることができる。この熱接着性樹脂層6には、例えば、アクリル系樹脂、塩化ビニル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂、スチレン−アクリル共重合樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂等のような熱時接着性の良好な樹脂を用いることができる。これらの樹脂の1種または2種以上を溶液、或いはエマルジョンなど塗布可能な形にしたものを、前記透明性樹脂層で挙げた塗布方法の中から適した方法をそれぞれ選択して、塗布、乾燥することにより形成できる。熱接着性樹脂層6の厚さは、0.1〜5μm程度の範囲が好ましい。
また、本発明の保護層転写フィルムにおいて、熱転写性樹脂層2を設けた反対側の面には、必要に応じてプリンターのサーマルヘッドや転写用熱板等との粘着を防止し、且つ、滑り性を良くする目的で背面層7(耐熱性スリップ層)を設けることができる(図4参照)。背面層7の材質は、ブチラール樹脂等をイソシアネート化合物で硬化した樹脂、シリコーン樹脂等従来公知のものがそのまま使用でき、その厚さは0.1〜5μm程度で十分である。また、背面層は必要に応じてプライマー層を介して設けてもよい。
以上、本発明の保護層転写フィルムを構成する各層について説明したが、これらの中、熱転写性樹脂層2の全体の厚さは、0.5〜50μm程度の範囲が好ましい。そして、このような熱転写性樹脂層2は、基材フィルム上に単独で設けて保護層のみの転写フィルムとしてもよいが、例えば、イエロー、マゼンタ、シアンの昇華性染料インキ層やブラックの溶融型転写インキ層(カーボンブラック含有)と面順次に配列して設け、インキ層と保護層とが一体型の転写フィルムとしてもよい。一体型の転写フィルムとする場合、版のパターンは、特に限定されないが、例えば下記のような層パターンを面順次に繰り返し設けた転写フィルムが挙げられる。(以下、色の表示について、イエローはYe、マゼンタはMg、シアンはCy、ブラックはBkと略記する。)
(1)Ye染料層、Mg染料層、Cy染料層、保護層
(2)Ye染料層、Mg染料層、Cy染料層、Bk染料層、保護層
(3)Ye染料層、Mg染料層、Cy染料層、Bk溶融インキ層、保護層
(4)Bk染料層、保護層
(5)Bk溶融インキ層、保護層
これらの版パターンにおいて、Bk染料層、Bk溶融インキ層、保護層の大きさは、他の層に比べて大きく形成されていてもよい。また、各層を検出する検知マークは、各層の何処に設けてもよく、例えば、各層領域の頭、或いは先頭色の頭に設けることができる。また、上記のようなインキ層と保護層とが一体型の転写フィルムにおいては、熱転写性樹脂層などを構成する各層は、透明な樹脂層であり、これらを所定のパターンで位置を合わせて刷り重ねる必要があるため、これらの各層には蛍光増白剤などの添加剤を加えておき、紫外線照射などにより、目視、或いは機械検知による位置合わせを容易にすることができる。また、上記の熱転写インキ層に関して、使用するインキの材質および基材フィルム面に設ける方法などについては、従来公知の熱転写(インキ)フィルムに用いたインキや方法をそのまま使用することができる。以上のような保護層転写フィルムを用いて保護する画像は、通常は、昇華型熱転写方法及び/又は溶融型熱転写方法により形成された画像であるが、これに限定するものではなく広く利用できるものである。特に、昇華型熱転写による画像に適用する場合には、該画像に保護層が形成されると共に、転写時の熱によって画像を形成している染料が再発色処理されるので、画像が一層鮮明になるという効果がある。
(1)基材フィルム上に熱転写性樹脂層を設けてなる保護層転写フィルムにおいて、該熱転写性樹脂層が反応性紫外線吸収剤を反応結合した樹脂を含有することを特徴とする保護層転写フィルム。
(2) 前記熱転写性樹脂層が含有する反応性紫外線吸収剤を反応結合した樹脂が、下記の一般式で表される反応性紫外線吸収剤と、熱可塑性樹脂のモノマー、オリゴマー、反応性重合体の中の少なくとも一種との共重合体であることを特徴とする上記(1)記載の保護層転写フィルム。
(4)前記熱転写性樹脂層が、基材フィルム側から透明性樹脂層、熱接着性樹脂層の順に積層した積層体で構成され、少なくとも一方の層に反応性紫外線吸収剤を反応結合した樹脂を含有することを特徴とする上記(1)乃至(3)に記載の保護層転写フィルム。
(5)前記熱転写性樹脂層が、基材フィルム側から、透明性樹脂層、紫外線遮断層、熱接着性樹脂層の順に積層した積層体で構成され、該紫外線遮断層が前記反応性紫外線吸収剤を反応結合した樹脂を含有することを特徴とする上記(1)乃至(3)に記載の保護層転写フィルム。
(6)少なくとも1色、乃至2色以上の昇華性染料インキ層及び/又は熱溶融性インキ層からなる熱転写インキ層の領域と前記熱転写性樹脂層の領域とを面順次に基材フィルム上に設けたことを特徴とする上記(1)乃至(5)に記載の保護層転写フィルム。
(7)少なくとも染料で着色された画像を有する印画物の印画面の少なくとも一部に、上記(1)乃至(6)に記載の保護層転写フィルムの熱転写性樹脂層が積層されていることを特徴とする印画物。
(昇華型熱転写フィルムの作成)
下記組成の昇華性染料を含む3色のインキを調整した。
(1)イエローインキの組成
下記構造式で表されるキノフタロン系染料 5.5部
ポリビニルブチラール(エスレックBX−1 積水化学工業製) 4.5部
メチルエチルケトン/トルエン(重量比 1:1) 90.0部
イエローインキの組成において、染料の種類のみをマゼンタ染料(C.I.Disperse Red 60)に換え、その他はイエローインキと同様にしてマゼンタインキを調整した。
(3)シアンインキの組成
イエローインキの組成において、染料の種類のみをシアン染料(C.I.Solvent Blue 63)に換え、その他はイエローインキと同様にしてシアンインキを調整した。一方、基材フィルムとして厚さ6μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(以下PETと表示)(商品名ルミラー 東レ製)を用い、その一方の面に背面層としてシリコーン樹脂からなる耐熱性スリップ層をグラビア印刷方式で全面に厚さ1μmで設け、もう一方の面にウレタン系樹脂からなるプライマー層を全面に厚さ0.5μmで設けた。次に、このプライマー層の上に上記のインキ組成物をグラビア印刷方式により、塗布量が略3g/m2 (固形分)になるように、それぞれイエロー、マゼンタ、シアンの順に面順次にPETフィルムの流れ方向に、各色とも長さ15cmで繰り返しベタ印刷して3色の昇華性染料によるインキ層を形成し、昇華型熱転写フィルムを作成した。
厚さ12μmのPETフィルム(商品名ルミラー 東レ製)を基材フィルムとし、その一方の面に背面層としてシリコーン樹脂による耐熱性スリップ層を乾燥時の厚さが1μmになるようにグラビアコート方式で形成し、もう一方の面に下記の組成の透明性樹脂層用塗布液をグラビアコート方式で乾燥時の塗布量が3g/m2となるように塗布、乾燥して透明性樹脂層を形成した。
☆透明性樹脂層用塗布液の組成
アクリル樹脂(ダイヤナールBR−83、三菱レイヨン製) 20部
メチルエチルケトン/トルエン(重量比1:1) 80部
(以下メチルエチルケトンは、MEKと表示する。)次に、上記透明性樹脂層の上に、下記の組成の紫外線遮断層用塗布液をグラビアコート方式で乾燥時の塗布量が1g/m2になるように塗布、乾燥して紫外線遮断層を形成した。
反応性紫外線吸収剤を反応結合した共重合樹脂 (UVA−635L、BASFジャパン製) 20部 酢酸エチル 80部
尚、UVA−635Lは、下記の式で表される共重合樹脂である。
☆熱接着性樹脂層用塗布液の組成
塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体系樹脂 (#1000ALK、電気化学工業製) 20部
MEK/トルエン(重量比1:1) 80部
参考例1(旧実施例1)の構成において、紫外線遮断層用塗布液の組成のみを下記のように変更した以外は、総て参考例1(旧実施例1)と同様に加工して参考例2(旧実施例2)の保護層転写フィルムを作成した。
☆紫外線遮断層用塗布液の組成
反応性紫外線吸収剤を反応結合した共重合樹脂 (UVA−633L、BASFジャパン製) 20部
酢酸エチル 80部
尚、UVA−633Lは、下記の式で表される共重合樹脂である。
参考例1(旧実施例1)の構成において、紫外線遮断層を除き、透明性樹脂層用塗布液の組成を下記の組成の塗布液に変更した以外は、総て参考例1(旧実施例1)と同様に加工して参考例3(旧実施例3)の保護層転写フィルムを作成した。
☆透明性樹脂層用塗布液の組成
反応性紫外線吸収剤を反応結合した共重合樹脂 (UVA−633L、BASFジャパ
ン製) 20部
酢酸エチル 80部
参考例1(旧実施例1)の構成において、紫外線遮断層を除き、熱接着性樹脂層用塗布液を下記の組成の塗布液に換えて塗布した以外は、総て参考例1(旧実施例1)と同様に加工して実施例4の保護層転写フィルムを作成した。
☆熱接着性樹脂層用塗布液の組成
アクリル樹脂(ダイヤナールBR−90、三菱レイヨン製) 10部
反応性紫外線吸収剤を反応結合した共重合樹脂 (UVA−633L、BASFジャパン製) 20部
MEK/トルエン(重量比1:1) 70部
参考例1(旧実施例1)の構成において、透明性樹脂層用塗布液を下記の組成の塗布液(電離放射線硬化型樹脂)に換え、更に、この層とその上に塗布する紫外線遮断層との密着性をよくするため、透明性樹脂層の上に下記組成の中間層用塗布液による中間層を新たに加え、両者を下記の条件で加工した以外は、参考例1(旧実施例1)と同様に加工して参考例4(旧実施例5)の保護層転写フィルムを作成した。
☆透明性樹脂層用塗布液の組成
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート 7.5部
ポリメタクリル酸メチル 15.0部
MEK/トルエン(重量比1:1) 77.5部
☆中間層用塗布液の組成
ポリメタクリル酸メチル 30部
MEK/トルエン(重量比1:1) 70部
上記塗布液の加工条件は、先ず、透明性樹脂層用塗布液をグラビアコート方式で塗布量が3g/m2(固形分)になるように塗布、乾燥し、続いて中間層用塗布液をグラビアコート方式で塗布量が1g/m2(固形分)になるように塗布、乾燥した後、コーティング面側から窒素ガス雰囲気中で175KVに加速された電子線を5Mrads照射して硬化、架橋し、透明被膜を形成した。
参考例1(旧実施例1)の構成において、透明性樹脂層用塗布液の組成のみを下記のように(ワックス成分を追加した組成に)変更した以外は、総て参考例1(旧実施例1)と同様に加工して参考例5(旧実施例6)の保護層転写フィルムを作成した。
☆透明性樹脂層用塗布液の組成
アクリル樹脂(ダイヤナールBR−83、三菱レイヨン製) 20部
ポリエチレンワックス(平均粒径 10μm) 1部
MEK/トルエン(重量比1:1) 80部
参考例4(旧実施例5)の構成において、透明性樹脂層用塗布液の組成のみを下記のように(ワックス成分およびコロイダルシリカを追加した組成に)変更した以外は、総て参考例4(旧実施例5)と同様に加工して参考例6(旧実施例7)の保護層転写フィルムを作成した。
☆透明性樹脂層用塗布液の組成
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート 7.5部
ポリメタクリル酸メチル 15.0部
ポリエチレンワックス(平均粒径 10μm) 1.5部
コロイダルシリカ 1.5部
MEK/トルエン(重量比1:1) 77.5部
参考例7(旧実施例8)の保護層転写フィルムは、保護層単独ではなく熱転写インキ層と保護層とを同一基材フィルム上に面順次に配列し、これを繰り返し設けたインキ層と保護層とが一体型の転写フィルムとし、下記の手順で作成した。基材フィルムとして、厚さ6μmの片面易接着処理PETフィルム(ルミラーF54 東レ製)を用い、その非処理側の面に背面層としてシリコーン樹脂による耐熱性スリップ層を、乾燥時の厚さが1μmとなるように、グラビアコート方式で全面に設けた。そして、易接着処理の施された面には、熱転写インキ層(Ye、Mg、Cy、Bkの4色のインキ層を各15cmの長さで配列)の領域と保護層(15cmの長さ)の領域とを、PETフィルムの流れ方向に面順次に配列したものを1単位とし、これを繰り返し設ける構成で熱転写インキ層と保護層(熱転写性樹脂層)とを設けた。上記において、Ye、Mg、Cyの3色のインキ層については、前記(昇華型熱転写フィルムの作成)の項に示した組成の昇華性染料インキを用いて、PETフィルムの易接着処理面に各々塗布量が3g/m2(固形分)となるようにYe、Mg、Cyの順に配列させて印刷した。この時、Ye、Mg、Cyの3色が1セットとして繰り返し印刷され、それぞれのセット間にはBkのインキ層と保護層用に30cmの間隔が開けられた状態となっている。
ポリウレタン樹脂(ハイドランAP−40 大日本インキ化学工業製)7.5部
ポリビニルアルコール(ゴーセノールC−500 日本合成化学製)15部
蛍光増白剤(Uvitex CF チバガイギー製) 0.1部
水/エチルアルコール(重量比 1:1) 300部
☆剥離保護層用塗布液の組成
アクリル樹脂(BR−83 三菱レイヨン製) 88部
ポリエチレンワックス(平均粒径 10μm) 11.5部
ポリエステル(バイロン200 東洋紡績製) 0.5部
蛍光増白剤(Uvitex OB チバガイギー製) 0.5部
MEK/トルエン(重量比 1:1) 300部
☆Bk着色層用インキの組成
塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体系樹脂 60部
カーボンブラック 40部 MEK/トルエン(重量比 1:1) 200部
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート 10部
ポリメチルメタクリレート 20部
シランカップリング剤処理シリカ 3部
ポリエチレンワックス 1部
蛍光増白剤(Uvitex OB チバガイギー製) 0.15部
MEK/トルエン(重量比 1:1) 70部
☆プライマー層用塗布液の組成
ポリメチルメタクリレート 30部
蛍光増白剤(Uvitex OB チバガイギー製) 0.15部
MEK/トルエン(重量比 1:1) 70部
☆紫外線遮断層用塗布液の組成
反応性紫外線吸収剤を反応結合した共重合樹脂 (UVA−635L BASFジャパン製) 20部
MEK/トルエン(重量比 1:1) 80部
☆熱接着性樹脂層用塗布液の組成
塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体系樹脂 (#1000ALK 電気化学工業製) 30部
蛍光増白剤(Uvitex OB チバガイギー製) 0.15部
MEK/トルエン(重量比 1:1) 70部
参考例8(旧実施例9)の保護層転写フィルムは、前記参考例7(旧実施例8)の熱転写インキ層と保護層との一体型の保護層転写フィルムの構成において、基材フィルム、即ち、厚さ6μmの片面易接着処理PETフィルムに、背面層、および熱転写インキ層(4色)を設けるまでは参考例7(旧実施例8)と同様に加工し、保護層の部分のみを参考例5(旧実施例6)の構成(但し、透明性樹脂層と熱接着性樹脂層には下記のように蛍光増白剤を追加)に換えて作成した。従って、保護層の部分は、先ず、基材フィルム面に参考例7(旧実施例8)と同様の離型層を設け、その上に、
(1)透明性樹脂層としてアクリル樹脂(ダイヤナールBR−83)20部とポリエチレンワックス(平均粒径10μm)1部、蛍光増白剤(Uvitex OB チバガイギー製)0.1部からなる層(塗布量3g/m2)
(2)紫外線遮断層として反応性紫外線吸収剤を反応結合した共重合樹脂(UVA−635L)の層(塗布量1g/m2)
(3)熱接着性樹脂層として塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体系樹脂(#1000ALK)20部と蛍光増白剤(Uvitex OB チバガイギー製)0.1部からなる層(塗布量1g/m2)を順に積層した構成としたものである。また、透明性樹脂層に電離放射線硬化型樹脂を使用していないため、塗布、乾燥後の電子線照射は実施していない。尚、上記参考例5〜8(旧実施例6〜9)の保護層転写フィルムでは、熱転写性樹脂層の中、転写後最外層となる透明性樹脂層に対して、転写時の膜切れ性、および、転写された画像面の耐擦傷性を更に向上させるために、ポリエチレンワックス、コロイダルシリカ、シランカップリング剤処理シリカなどを添加して構成したものである。この点から後記の耐光性、および、高温保存による画像のにじみ等の総合テストとは別に、前記参考例の最初の(昇華型熱転写フィルムの作成)の項で準備した熱転写フィルムで作成した画像面に、サーマルヘッドプリンターで、各参考例の熱転写性樹脂層をベタパターンで転写し、その膜切れ性と被転写物表面の耐擦傷性をテストしたところ、それぞれが対応するワックス成分や各種シリカを透明性樹脂層中に含有しない構成のものと対比して、即ち、参考例5(旧実施例6)および参考例8(旧実施例9)は、参考例1(旧実施例1)のものと対比して、また、参考例6(旧実施例7)および参考例7(旧実施例8)は、参考例4(旧実施例5)のものと対比して、いずれも膜切れ性および被転写物表面の耐擦傷性が向上していることが確認された。
参考例1(旧実施例1)の構成において、紫外線遮断層のみを除いた構成とし、その他は参考例1(旧実施例1)と同様に加工して比較例1の保護層転写フィルムを作成した。
参考例1(旧実施例1)の構成において、紫外線遮断層を除き、熱接着性樹脂層用塗布液を下記の組成の塗布液に換えて塗布した以外は、総て参考例1(旧実施例1)と同様に加工して比較例2の保護層転写フィルムを作成した。
☆熱接着性樹脂層用塗布液の組成
アクリル樹脂(ダイヤナールBR−90、三菱レイヨン製) 20部
ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤 (チヌビン328、チバガイギー製) 1部
MEK/トルエン(重量比1:1) 80部
参考例1(旧実施例1)の構成において、紫外線遮断層を除き、熱接着性樹脂層用塗布液を下記の組成の塗布液に換えて塗布した以外は、総て参考例1(旧実施例1)と同様に加工して比較例3の保護層転写フィルムを作成した。
☆熱接着性樹脂層用塗布液の組成
アクリル樹脂(ダイヤナールBR−90、三菱レイヨン製) 20部
ベンゾフェノン系紫外線吸収剤 (ケミソーブ112、ケミプロ化成製) 1部
MEK/トルエン(重量比1:1) 80部
参考例1(旧実施例1)の構成において、紫外線遮断層を除き、熱接着性樹脂層用塗布液を下記の組成の塗布液に換えて塗布した以外は、総て参考例1(旧実施例1)と同様に加工して比較例4の保護層転写フィルムを作成した。
☆熱接着性樹脂層用塗布液の組成
アクリル樹脂(ダイヤナールBR−90、三菱レイヨン製) 20部
ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤 (チヌビン328、チバガイギー製) 10部
MEK/トルエン(重量比1:1) 70部
比較例5は、本発明において転写フィルム側に用いている紫外線吸収剤と反応結合した樹脂を、転写フィルム側でなく受像シートの受容層に用いてその効果を比較するものである。従って、被転写材である受像シートの基材シートとして合成紙(ユポFRG−150、厚さ150μm、王子油化合成紙製)を用い、その一方の面に下記の組成の染料受容層用塗布液をバーコーターにより、乾燥時塗布量が、4.0g/m2 になるように塗布、乾燥して染料受容層を形成し、熱転写受像シートを作成した。
☆染料受容層用塗布液の組成
反応性紫外線吸収剤を反応結合した共重合樹脂 (UVA−633L、BASFジャパン製) 20部
アミノ変性シリコーン(X−22−343、信越化学工業製) 5部
エポキシ変性シリコーン(KF−393、信越化学工業製) 5部
MEK/トルエン(重量比1:1) 80部
上記で得た熱転写受像シートの染料受容層に後記と同じ方法でカラー画像を転写し、その画像面に比較例1の構成の保護層(紫外線遮断層を除いた保護層)を転写し、後記の耐光性およびにじみの試験を行い評価した。
参考例1〜8(旧実施例1〜3、及び5〜9)、実施例4、および比較例1〜4の保護層転写フィルムに対する被転写材として、下記の材料組成からなるポリ塩化ビニル製のカード基材(比較例5の場合は受像シート)を使用し、その一方の面(受像シートでは受容層面)に、先に作成した昇華型熱転写フィルムの染料塗布面(参考例7、8(旧実施例8、9)においては保護層転写フィルムの熱転写インキ層の面)を重ね、顔写真を色分解して得た電気信号に連結したプリンターのサーマルヘッドを通して熱エネルギーを付与し、フルカラー画像を形成した。
☆カード基材の材料組成
ポリ塩化ビニルコンパウンド(重合度800)(安定剤等の添加剤を約10%含有) 100.0部
白色顔料(酸化チタン) 10.0部
可塑剤(DOP) 0.5部
続いて、前記カード基材(比較例5は受像シート)のカラー画像形成面に、参考例1〜8(旧実施例1〜3、及び5〜9)、実施例4、および比較例1〜4の保護層転写フィルムを用いて、また、比較例5の受像シートの画像形成面に対しては比較例1の保護層転写フィルムを用いて、同じプリンターのサーマルヘッドで、それぞれの熱転写性樹脂層を転写し、保護層付きのカラー画像を形成した。
上記で得られたカラー画像および保護層の転写された各カード基材および受像シートを試料として、画像面の耐光性をキセノンフェードメーター(アトラス社製 Ci−35A)で、200KJ/m2 および300KJ/m2 照射し、照射前後の光学濃度の変化を、光学濃度計(マクベス社製 RD−918)により測定し、下記式により光学濃度の残存率を算出した。
残存率(%)=(照射後の光学濃度/照射前の光学濃度)×100
尚、耐光性試験の結果としては、上記残存率を下記の区分の記号に換えて表1に示した。
◎:残存率が80%以上
○:残存率が70%以上80%未満
△:残存率が60%以上70%未満
×:残存率が60%未満
上記で得られたカラー画像および保護層の転写された各カード基材、受像シートを試料として、画像面のにじみを60℃で100時間保存した後、観察し、下記の基準で判定した結果を記号で表1に示した。
記号の説明
○:ドットのにじみが見られないもの。
×:ドットのにじみが見られるもの。
2 熱転写性樹脂層
3 離型層
4 透明性樹脂層
5 紫外線遮断層
6 熱接着性樹脂層
7 背面層
Claims (4)
- 少なくとも1色、乃至2色以上の昇華性染料インキ層及び/又は熱溶融性インキ層からなる熱転写インキ層の領域と前記熱転写性樹脂層の領域とを面順次に基材フィルム上に設けてなるインキ層と保護層の一体型転写フィルムであって、前記熱転写性樹脂層が基材フィルム側から透明性樹脂層、熱接着性樹脂層の順に積層した積層体で構成され、該熱接着性樹脂層が、下記の一般式で表される反応性紫外線吸収剤と、アクリル系モノマー、オリゴマー、反応性重合体の中の少なくとも一種との共重合体、及び該共重合体とは異なるバインダー樹脂を含有してなる単一の層であり、且つ、該共重合体に含有される反応性紫外線吸収剤の量が30〜70重量%であり、且つ、前記反応性紫外線吸収剤の含有量は熱接着性樹脂層中に20重量%以上であることを特徴とする、インキ層と保護層の一体型転写フィルム。
- 少なくとも染料で着色された画像を有する印画物の印画面の少なくとも一部に、請求項1又は2に記載の保護層転写フィルムの熱転写性樹脂層が積層されていることを特徴とする印画物。
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