JP2009241555A - 保護層転写シート - Google Patents

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英正 開田
Kenichi Hirota
憲一 廣田
Daisuke Fukui
大介 福井
Shinji Yonetani
伸二 米谷
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Abstract

【課題】熱転写画像の耐光性を長期間維持できるという性能に優れた保護層転写シート及びこれを用いて耐光性を高めた印画物を提供する。
【解決手段】基材フィルムと熱転写性樹脂層とを有し、被転写体上に印画された画像上に上記熱転写性樹脂層を熱転写により転写する保護層転写シートであって、上記熱転写性樹脂層は、反応性官能基を有するトリアジン系化合物を反応結合させた共重合体を含有することを特徴とする保護層転写シート。
【選択図】図1

Description

本発明は、画像が形成された印画物に用いる保護層転写シートであって、特に印画物のイエロー、マゼンタ色の耐光性を長期にわたって優れたものとすることができる保護層転写シートに関する。
近年、簡便な印刷方法として熱転写方法が広く使用されるようになってきている。熱転写方法は、基材シートの一方の面に色材層が設けられた熱転写シートと、画像受容層が設けられた熱転写受像シートとを重ね合わせ、サーマルヘッド等の加熱手段により熱転写シートの背面を画像状に加熱して、色材層に含まれる色材を熱転写受像シートへ選択的に移行させて、熱転写受像シート上に画像を形成する方法である。
熱転写方法は、溶融転写方式と昇華転写方式に分けられる。溶融転写方式は、顔料等の色材を熱溶融性のワックスや樹脂等のバインダーに分散させた熱溶融インキ層をPETフィルム等の基材シートに担持させた熱転写シートを用い、サーマルヘッド等の加熱手段に画像情報に応じたエネルギーを印加し、紙やプラスチックシート等の熱転写受像シート上に、色材をバインダーと共に転写する画像形成方法である。溶融転写方式による画像は、高濃度で鮮鋭性に優れ、文字等の2値画像の記録に適している。
一方、昇華転写方式は、主に昇華により熱移行する染料を樹脂バインダー中に溶解或いは分散させた染料層を、PETフィルム等の基材シートに担持させた熱転写シートを用い、サーマルヘッド等の加熱手段に画像情報に応じたエネルギーを印加し、紙やプラスチック等の基材シートに必要に応じて染料受容層を設けてなる熱転写受像シート上に、染料のみを転写移行させる画像形成方法である。昇華転写方式は、印加されるエネルギー量に応じて染料の移行量を制御できるため、サーマルヘッドのドット毎に画像濃度を制御した階調画像の形成を行うことができる。また、使用する色材が染料であるため、形成される画像には透明性があり、異なる色の染料を重ねた場合の中間色の再現性が優れている。したがって、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック等の異なる色の熱転写シートを用い、熱転写受像シート上に各色染料を重ねて転写する際にも、中間色の再現性に優れた高画質な写真調フルカラー画像の形成が可能である。
ところで、近年、熱転写方式に用いられるプリンターは印画速度の高速化が図られている。このような高速化されたプリンターを用いる場合、得られる印画物の色味を合わせるために熱転写シートの色材層に使用する染料を選ぶ必要があった。また、これまで求められた色純度だけではなく、濃度アップを目的として、スペクトル吸光係数が高く、半値幅の広い、耐光性があまりよくない色材(染料等)が使用されるようになってきている。このため、耐光性の劣る染料であっても印画物の色味調整のためには使用せざるを得ない状況にあり、得られる画像の耐光性が劣るといった欠点があった。
このような欠点対して、例えば、特許文献1には印画された画像上に紫外線吸収剤や酸化防止剤等を添加した保護層を形成することが開示されている。ところが、このような保護層を形成することにより、印画した画像の耐光性はある程度は改善されるが、紫外線吸収剤を単に保護層構成樹脂中に添加するという方法では、紫外線吸収剤が熱によって気化・発散、或いは分解してしまい、紫外線吸収剤の効果が経時的に減少するという問題があった。
これに対して、例えば、特許文献2には、熱転写受像シートの染料受容層樹脂中に反応性紫外線吸収剤を反応結合させることが開示されている。
しかしながら、昇華転写方式により熱で移行して画像を形成する染料は、受容層樹脂の比較的表面近傍に存在するため、受容層樹脂全体に紫外線吸収能を付与することは効果的でない。また、紫外線吸収剤の量を増加させると受容層樹脂本来の性能を損ない、画像のにじみ等、他の性能を損なうという問題があった。
特許第2925699号 特開平5−212974号公報
本発明は、上記現状に鑑み、熱転写画像の耐光性を長期間維持できるという性能に優れた保護層転写シート及びこれを用いて耐光性を高めた印画物を提供することを目的とする。
本発明は、基材フィルムと熱転写性樹脂層とを有し、被転写体上に印画された画像上に上記熱転写性樹脂層を熱転写により転写する保護層転写シートであって、上記熱転写性樹脂層は、反応性官能基を有するトリアジン系化合物を反応結合させた共重合体を含有することを特徴とする保護層転写シートである。
上記反応性官能基を有するトリアジン系化合物は、下記一般式(1)で表される構造を有することが好ましい。
Figure 2009241555
一般式(1)中、Rは、炭素数1〜6のアルキレン基を表し、Rは、水素原子又はメチル基を表し、Rは、炭素数1〜6のアルキル基若しくはアルコキシ基又は水素原子を表す。
また、本発明の保護層転写シートは、更に、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及び/若しくはブラック(Bk)の各色の染料層、又は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及び/若しくはブラック(Bk)の各色の熱溶融性インキ層が、上記基材フィルム上に面順次に形成されていることが好ましい。
また、本発明は、少なくとも染料で着色された画像を有する印画面の少なくとも一部に、本発明の保護層転写シートの熱転写性樹脂層が積層されていることを特徴とする印画物である。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明者らは、基材フィルムと熱転写性樹脂層とを有し、被転写体上に印画された画像上に上記熱転写性樹脂層を熱転写により転写する保護層転写シートについて鋭意検討した結果、上記熱転写性樹脂層に、特定の反応性官能基を有するトリアジン系化合物を反応結合させた共重合体を含有するものとすることで、その紫外線吸収効果を長期に継続維持できることを見出し、本発明を完成するに至った。
図1、2、3及び4は、本発明の保護層転写シートの一例を模式的に示す断面図である。
図1に示す本発明の保護層転写シート10は、基材フィルム11の一方の面に、熱転写性樹脂層12を単一層として設けられた構成を有する。
図2に示す本発明の保護層転写シート20は、基材シート21の一方の面に熱転写性樹脂層22が設けられており、この熱転写性樹脂層22は、基材シート21側から順に、透明性樹脂層23、熱接着性樹脂層24の2層に分けて積層された構成を有する。このような構成の本発明の保護層転写シート20において、後述する反応性官能基を有するトリアジン系化合物を反応結合させた共重合体は、透明性樹脂層23及び/又は熱接着性樹脂層24に含有されている。
図3に示す本発明の保護層転写シート30は、基材フィルム31の一方の面に熱転写性樹脂層32が設けられており、この熱転写性樹脂層32は、基材フィルム31側から順に、透明性樹脂層33、紫外線遮断層35、熱接着性樹脂層34の3層に分けて積層された構成を有する。このような構成の本発明の保護層転写シート30において、後述する反応性官能基を有するトリアジン系化合物を反応結合させた共重合体は、通常、紫外線遮断層35に含有されているが、透明性樹脂層33及び/又は熱接着性樹脂層34にも含まれていてもよい。
図4に示す本発明の保護層転写シート40は、基材フィルム41の一方の面に、離型層46を有し、この離型層46の上に熱転写性樹脂層42が設けられており、この熱転写性樹脂層42は、離型層46側から順に、透明性樹脂層43、紫外線遮断層45、熱接着性樹脂層44を積層された構成を有する。更に、基材フィルム41のもう一方の面には耐熱性、スリップ性を付与する背面層47が設けられている。このような構成の本発明の保護層転写シート40において、後述する反応性官能基を有するトリアジン系化合物を反応結合させた共重合体は、通常、紫外線遮断層45に含有されているが、透明性樹脂層43及び/又は熱接着性樹脂層44にも含まれていてもよい。
背面層47は、プリンターのサーマルヘッドで熱転写する際、粘着を防止する作用を有しており、図1〜3の構成の場合、図示はしていないが、必要に応じて設けることができ、また、基材フィルムの耐熱性やスリップ性が良好である場合には不要である。また、離型層46は、基材フィルム41と透明性樹脂層43の間の剥離性が適当でない場合に、透明性樹脂層43と基材フィルム41との接着性を低下させ、透明性樹脂層43の剥離を容易にするために設けるもので、この層も図1〜3の構成の場合、図示していないが、必要に応じて設けることができる。勿論、基材フィルム41と透明性樹脂層43との剥離性が良好な場合には、離型層46は不要である。なお、離型層46を設ける場合は、透明性樹脂層43を含む熱転写性樹脂層42は、転写により離型層46から剥離され、離型層46自体は基材フィルム41側に残るように構成する。
以下に、本発明の保護層転写シート及びこれを転写して得られる印画物の構成材料と製造方法について説明する。
(基材フィルム)
本発明の保護層転写シートは、基材フィルムを有する。
上記基材フィルムとしては特に限定されず、保護層転写シートに使用されている従来公知の基材フィルムと同様のものを用いることができる。
好ましい基材フィルムの具体例としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルケトン若しくはポリエーテルサルホン等の耐熱性の高いポリエステル、ポリプロピレン、ポリカーボネート、酢酸セルロース、ポリエチレン誘導体、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、ポリアミド、ポリイミド、ポリメチルペンテンまたはアイオノマー等のプラスチックの延伸又は未延伸フィルム等が挙げられる。
また、これらの材料を2種以上積層した複合フィルムも使用することができる。
基材フィルムの厚さとしては、その強度及び耐熱性等が適切になるように材料に応じて適宜選択することができるが、通常、3〜100μm程度のものが好ましく用いられる。
また、基材フィルムの熱転写性樹脂層側とは反対の面に、必要に応じて従来の方法で設けられた背面層を有していてもよい。
また、本発明の保護層転写シートは、通常、巻き取られた状態で保管される。すなわち、上記基材フィルムの上記熱転写性樹脂層と反対の面と、熱転写性樹脂層とが接した状態で保管される。従って、本発明の保護層転写シートは、少なくとも保管時において、上記基材フィルムと熱転写性樹脂層とが接着することがないように、上記基材フィルムの上記熱転写性樹脂層と反対の面や、該熱転写性樹脂層の表面に離型処理や離型フィルムの貼着等により離型性が付与されていることが好ましい。
(熱転写性樹脂層)
本発明の保護層転写シートは、熱転写性樹脂層を有する。
上記熱転写性樹脂層は、上記基材フィルム上に形成されており、後述するように熱転写により被転写体上に印画された画像上に転写される層である。
本発明の保護層転写シートにおいて、上記熱転写性樹脂層は、反応性官能基を有するトリアジン系化合物を反応結合させた共重合体を含有する。
上記反応性官能基を有するトリアジン系化合物は、紫外線吸収性能を有するトリアジン化合物に反応性官能基を導入した構造を有し、反応性と紫外線吸収性能とを有する化合物である。
本発明の保護層転写シートは、このような反応性官能基を有するトリアジン系化合物(以下、反応性紫外線吸収剤ともいう)を反応結合させた共重合体を熱転写性樹脂層に含有するため、熱転写画像の耐光性を長期間維持できるという性能に優れるという効果を有する。これは、上記紫外線吸収性能を有するトリアジン化合物が、後述する樹脂成分と反応結合された共重合体として熱転写性樹脂層中に含有されているため、上記反応官能基を有するトリアジン系化合物の熱による気化・発散や分解等が少なく、紫外線吸収効果を長期に渡って維持できるからであると考えられる。特に、昇華転写によるような染料画像を有する印画物の印画面に、本発明の保護層転写シートの熱転写性樹脂層を転写、積層した場合には、耐摩擦性、耐スクラッチ性、耐薬品性、耐保存性等とともに特に耐光性が向上する。
ここで、これまで熱転写受像シートとして、染料受容層中にベンゾフェノンやベンゾトリアゾールを共重合した樹脂を含有させたものが知られている。図7にこのようなベンゾフェノンを共重合した樹脂の吸光度、ベンゾトリアゾールを共重合した樹脂の吸光度、及び、本発明における上記反応性官能基を有するトリアジン系化合物を反応結合させた共重合体の吸光度のグラフを示す。なお、図7中、ベンゾフェノンを共重合した樹脂の吸光度を単に「ベンゾフェノン」と表記し、ベンゾトリアゾールを共重合した樹脂の吸光度を単に「ベンゾトリアゾール」と表記し、上記反応性官能基を有するトリアジン系化合物を反応結合させた共重合体を「トリアジン」と表記した。
図7に示したように、本発明における反応性官能基を有するトリアジン系化合物を反応結合させた共重合体は、従来のベンゾフェノン、ベンゾトリアゾールを共重合した樹脂と比較して吸光度に格段の差があり、このことからも、本発明の保護層転写シートによる耐光性の向上させることが分かる。
上記反応性官能基を有するトリアジン系化合物(反応性紫外線吸収剤)において、反応性官能基としては、例えば、ビニル基、アクリロイル基又はメタクリロイル基等の付加重合性二重結合を有する官能基、或いは、アルコール性水酸基、アミノ基、カルボキシル基、エポキシ基、イソシアネート基等が挙げられる。
このような反応性官能基を有するトリアジン系化合物としては、なかでも、下記一般式(1)で表されるトリアジン系化合物が好適に用いられる。このような反応性官能基を有するトリアジン系化合物を反応結合した共重合体を熱転写性樹脂層中に含有することで、本発明の保護層転写シートは、特にイエローとマゼンタ色の耐光性が長期にわたって優れたものとなる。このため、本発明の保護層転写シートによると、耐光性に劣るイエロー及びマゼンタ染料であっても熱転写シートの色材として選択的に使用することができ、熱転写方式のプリンターの高速化に充分に対応することができるとともに、得られる画像の耐光性に優れたものとなる。
Figure 2009241555
一般式(1)中、Rは、炭素数1〜6のアルキレン基を表し、Rは、水素原子又はメチル基を表し、Rは、炭素数1〜6のアルキル基若しくはアルコキシ基又は水素原子を表す。
上記一般式(1)で表されるトリアジン系化合物としては、具体的には、例えば、2,4−ジフェニル−6−[2−ヒドロキシ−4−(2−アクリロイルオキシエトキシ)]−s−トリアジン、2,4−ビス(2−メチルフェニル)−6−[2−ヒドロキシ−4−(2−アクリロイルオキシエトキシ)]−s−トリアジン、2,4−ビス(2−エチルフェニル)−6−[2−ヒドロキシ−4−(2−アクリロイルオキシエトキシ)]−s−トリアジン、2,4−ビス(2−エトキシフェニル)−6−[2−ヒドロキシ−4−2−アクリロイルオキシエトキシ]−s−トリアジン、2,4−ジフェニル−6−[2−ヒドロキシ−4−(2−メタクリロイルオキシエトキシ)−s−トリアジン、2,4−ビス(2−メチルフェニル)−6−[2−ヒドロキシ−4−(2−メタクリロイルオキシエトキシ)−s−トリアジン、2,4−ビス(2−メトキシフェニル)−6−[2−ヒドロキシ−4−(2−メタクリロイルオキシエトキシ)−s−トリアジン、2,4−ビス(2−エチルフェニル)−6−[2−ヒドロキシ−4−(2−メタクリロイルオキシエトキシ)−s−トリアジン、2,4−ビス(2−エトキシフェニル)−6−[2−ヒドロキシ−4−(2−メタクリロイルオキシエトキシ)−s−トリアジン、2,4−ビス(2,4−ジメトキシフェニル)−6−[2−ヒドロキシ−4−(2−アクリロイルオキシエトキシ)−s−トリアジン、2,4−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−6−[2−ヒドロキシ−4−(2−アクリロイルオキシエトキシ)−s−トリアジン、2,4−ビス(2,4−ジエトキシフェニル)−6−[2−ヒドロキシ−4−(2−アクリロイルオキシエトキシ)−s−トリアジン、2,4−ビス(2,4−ジエチルフェニル)−6−[2−ヒドロキシ−4−(2−アクリロイルオキシエトキシ)−s−トリアジン等が挙げられる。
また、上記反応性紫外線吸収剤を反応結合させた共重合体を得る方法としては、種々の方法が利用可能であり、例えば、従来公知の、モノマー、オリゴマー或いは反応性重合体等の樹脂成分と上記反応性紫外線吸収剤とをラジカル重合する方法が挙げられる。
この場合の反応性紫外線吸収剤としては、上記一般式(1)の如き構造を有する反応性紫外線吸収剤を使用することが好ましい。
また、上記反応性紫外線吸収剤が反応性官能基として、水酸基、アミノ基、カルボキシル基、エポキシ基、イソシアネート基等を有する場合には、上記反応性官能基と反応性のある官能基を有する熱可塑性樹脂を使用し、必要に応じて触媒を用いて、熱等によって反応性紫外線吸収剤を熱可塑性樹脂に反応固定することもできる。
本発明では、上記反応性紫外線吸収剤を、モノマー、オリゴマー、或いは、反応性重合体等の樹脂成分と共重合させて、紫外線吸収性を有する共重合体を得て、これを上記熱転写性樹脂層中に添加、若しくは、層として積層して熱転写性樹脂層を構成するものである。
上記反応性紫外線吸収剤と共重合させるモノマー成分としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、ターシャリーブチル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ラウリルトリデシル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、セリルステアリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、エチルヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ターシャリーブチルアミノエチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリレート;エチレンジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、デカエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタデカエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタコンタヘクタエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブチレンジ(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールペンタ(メタ)アクリレート、ホスファゼンヘキサ(メタ)アクリレート等の二官能以上の(メタ)アクリレート等が挙げられる。なお、本明細書において、(メタ)アクリレートとは、アクリレート又はメタクリレートを意味する。
また、上記反応性紫外線吸収剤を反応結合させる樹脂成分は、上記モノマー成分に限らずオリゴマーとして使用してもよく、更に、上記モノマー成分の重合体(反応性重合体)、又は、その誘導体からなるポリエステル(メタ)アクリレート系、エポキシ(メタ)アクリレート系、ウレタン(メタ)アクリレート系、ポリエーテル(メタ)アクリレート系等の(メタ)アクリル系反応性重合体も使用可能である。これらのモノマー、オリゴマー、(メタ)アクリル系反応性重合体は、単独で使用してもよいし、二種以上を併用してもよい。
上述のモノマー、オリゴマー、或いは、(メタ)アクリル系反応性重合体と反応性紫外線吸収剤とを共重合することで、反応性紫外線吸収剤を反応結合させた共重合体が得られるが、この共重合体に含有される反応性紫外線吸収剤量としては、10〜90質量%の範囲が好ましい。10質量%未満であると、満足できる耐光性が得難く、一方、90質量%を超えると、塗布時のべとつきや染料画像への転写時の画像のにじみ等の問題を生じるため好ましくない。より好ましい下限は30質量%、より好ましい上限は70質量%程度である。
また、上記反応性紫外線吸収剤を反応結合させた共重合体の分子量は、質量平均分子量で5000〜25万程度が好ましい。分子量が5000未満であると、塗膜が弱く、熱転写性樹脂層としての耐久性が充分得られないことがある。一方、25万を超えると、熱転写性樹脂層をサーマルヘッド等で転写した場合に膜切れ等が悪くなり好ましくない。より好ましい下限は9000、より好ましい上限は3万程度である。
なお、上記質量平均分子量は、GPC法によるポリスチレン換算により測定された値である。
また、本発明の保護層転写シートにおいて、上記熱転写性樹脂層が上記反応性紫外線吸収剤を反応結合させた共重合体以外の樹脂成分を含有する場合、上記反応性紫外線吸収剤を反応結合させた共重合体の含有量としては、保護層の固形分100質量部に対して、5質量部以上であることが好ましい。5質量部未満であると、充分な耐光性を有する保護層を印画物の画像上に形成できないことがある。より好ましい下限は10質量部である。
上記熱転写性樹脂層は、更に、他の紫外線吸収剤とも併用が可能である。併用可能な他の紫外線吸収剤は、例えば、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、サリシレート系、ヒンダードアミン系等が挙げられる。また、これらの紫外線吸収剤と上述した樹脂成分とを反応結合した共重合樹脂を用いてもよい。
このような紫外線吸収剤としては特に限定されないが、具体的には、例えば、特開2003−54142号公報に記載された不飽和二重結合を有する紫外線吸収剤等が挙げられる。
また、上記熱転写性樹脂層は、更に耐擦過性、耐薬品性及び耐候性等を向上させるために、有機フィラー、無機フィラー、紫外線吸収剤、酸化防止剤、蛍光増白剤等の各種添加剤を含有していてもよい。更に、上記熱転写性樹脂層は、上述した共重合体の他に、更に従来公知の樹脂成分を含有していてもよい。
上述した反応性紫外線吸収剤を反応結合させた共重合体等を含有する熱転写性樹脂層は、熱転写により被転写体の印画面に転写される。従って、上記熱転写性樹脂層が具備すべき機能としては、熱転写の際、基材フィルム又はその上に設けられた離型層から確実に、膜切れ性よく剥がれること、被転写体に対する熱接着性が良いこと、印画面の保護層として耐摩擦性、耐スクラッチ性等の各種耐性、特に本発明では優れた耐光性を付与できること、また、透明性が良く転写面の画像の鮮明さを損なわないことなどが挙げられる。この点から、図1に示した熱転写性樹脂層12のように熱転写性樹脂層を単層で設けることもできるが、図2〜図4に示した熱転写性樹脂層22、32又は42のように基材フィルム側から透明性樹脂層、熱接着性樹脂層の順、或いは、透明性樹脂層、紫外線遮断層、熱接着性樹脂層の順のように2層又は3層の多層構成で設けることも好ましい。このような場合の各層について以下に説明する。
(透明性樹脂層)
上記基材フィルム又は離型層の上に設ける透明性樹脂層、すなわち、熱転写性樹脂層の基材フィルム側の層は、耐摩擦性、透明性、硬さなどに優れた樹脂を用いることが好ましい。
具体的には、例えば、ポリエステル、ポリスチレン、アクリル樹脂、ポリウレタン、アクリルウレタン樹脂及びこれらの樹脂のシリコーン変性樹脂、そして、これらの樹脂の混合物のほか、前述の如き重合性モノマー、オリゴマー、反応性重合体等の少なくとも一種を電離放射線照射により架橋、硬化した樹脂等を用いることができる。
また、前述の樹脂には、可撓性及び接着性を向上させるために、相溶性のよい熱可塑性樹脂を混合して用いてもよい。
なお、電離放射線により架橋、硬化させる場合には、後述する紫外線遮断層との接着性をより向上させるために、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、ポリエステル、ポリスチレン、アクリルウレタン樹脂等からなる中間層(プライマー層)を設けてもよい。
これらの樹脂は、透明性に優れているが、比較的強靱な皮膜を形成する傾向があるので、転写時における膜切れが充分ではない。そこで、これらの透明樹脂の膜切れ性や、転写によって被覆される印画面の耐摩擦性、耐スクラッチ性などを向上させるために、シリカ、アルミナ、炭酸カルシウム、プラスチックピグメント等の透明性の高い微粒子やワックス等を樹脂の透明性を損なわない程度に添加することができる。添加量は、樹脂固形分100質量部に対して0.5〜20重量部が好ましい。また、耐摩擦性、耐スクラッチ性を更に向上させるために、シリコーン変性樹脂、滑剤等の添加剤を含有させてもよい。
このような透明性樹脂層を形成する方法としては、グラビアコート、グラビアリバースコート、ロールコート、その他多くの手段が利用できる。具体的には、上記樹脂を含む塗布液を塗布、乾燥することによって形成することができる。
上記透明性樹脂層の厚さは、乾燥時の皮膜で0.1〜50μm程度であることが好ましく、より好ましい下限1μm、より好ましい上限は10μm程度である。
(紫外線遮断層)
本発明において反応性紫外線吸収剤を反応結合した樹脂は、上記熱転写性樹脂層を多層で構成する場合には、透明性樹脂層及び/又は熱接着性樹脂層に含有させてもよいが、紫外線遮断層として別に設けてもよい。この場合、透明性樹脂層と熱接着性樹脂層の間に設けるか、基材フィルム又は離型層と透明性樹脂層の間に設けるかは限定しないが、通常、透明性樹脂層と熱接着性樹脂層の間に設けることが好ましい。
上記紫外線遮断層の形成方法は、上記透明性樹脂層の形成方法と同じ方法でよく、その厚さとしては、例えば、0.1〜5μm程度が好ましい。
(熱接着性樹脂層)
上記熱接着性樹脂層は、上記の各層を接着性よく印画面に転写するために、上記熱転写性樹脂層の最上層に設けされる。この熱接着性樹脂層には、例えば、アクリル系樹脂、塩化ビニル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂、スチレン−アクリル共重合樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂等のような熱時接着性の良好な樹脂を用いることができる。
これらの樹脂の1種又は2種以上を溶液、或いはエマルジョン等塗布可能な形にしたものを、上記透明性樹脂層で挙げた塗布方法の中から適した方法をそれぞれ選択して、塗布、乾燥することにより形成できる。
上記熱接着性樹脂層の厚さとしては、例えば、0.1〜5μm程度の範囲が好ましい。
(背面層)
本発明の保護層転写フィルムにおいて、上記基材フィルムの熱転写性樹脂層を設けた反対側の面には、必要に応じてプリンターで熱転写する際、サーマルヘッドや転写用熱板等との粘着を防止し、かつ、滑り性を良くする目的で背面層(耐熱性スリップ層)を設けることができる(図4参照)。上記背面層の材質としては、例えば、ブチラール樹脂等をイソシアネート化合物で硬化した樹脂、シリコーン樹脂等従来公知のものがそのまま使用できる。
上記背面層の厚さとしては、例えば、0.1〜5μm程度が好ましい。
また、上記背面層は、必要に応じてプライマー層を介して設けされていてもよい。
上述した単層又は多層構造の熱転写性樹脂層は、その全体としての厚さとしては、0.5〜50μm程度であることが好ましい。
また、上記熱転写性樹脂層は、基材フィルム上に単独で設けて熱転写性樹脂層のみの転写フィルムとしてもよいが、本発明の保護層転写シートは、更に、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及び/若しくはブラック(Bk)等の各色の染料層、又は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及び/若しくはブラック(Bk)の各色の熱溶融性インキ層が、上記基材フィルム上に面順次に形成された構造であってもよい。
上記染料層は、公知の方法で適当な昇華性染料と適当なバインダー樹脂とから構成され、上記熱溶融性インキ層は、公知の方法で適当な顔料と適当なワックス等の熱溶融性物質とから形成される。
上記熱転写性樹脂層と染料層等とが基材フィルム上に面順次に形成された構造である場合、版のパターンとしては特に限定されないが、例えば、下記のような層パターンを面順次に繰り返し設けた保護層転写シートが挙げられる。なお、以下の説明ではYe、Mg及びCyは染料層であり、Bkは染料層又は熱溶融性インキ層の場合を示す。
(1)Ye染料層、Mg染料層、Cy染料層、熱転写性樹脂層
(2)Ye染料層、Mg染料層、Cy染料層、Bk染料層、熱転写性樹脂層
(3)Ye染料層、Mg染料層、Cy染料層、Bk溶融インキ層、熱転写性樹脂層
(4)Bk染料層、熱転写性樹脂層
(5)Bk溶融インキ層、熱転写性樹脂層
これらの版パターンにおいて、Bk染料層、Bk溶融インキ層、熱転写性樹脂層の大きさは、他の層に比べて大きく形成されていてもよい。また、各層を検出する検知マークは、各層の何処に設けてもよく、例えば、各層領域の頭、或いは先頭色の頭に設けることができる。
また、上記のようなインキ層と熱転写性樹脂層とが基材フィルム上に面順次に形成された構造の保護層転写シートにおいては、熱転写性樹脂層等を構成する各層は、透明な樹脂層であり、これらを所定のパターンで位置を合わせて刷り重ねる必要があるため、これらの各層には蛍光増白剤等の添加剤を加えておき、紫外線照射等により、目視、或いは機械検知による位置合わせを容易にすることができる。
また、上記の熱転写インキ層に関して、使用するインキの材質及び基材フィルム面に設ける方法等については、従来公知の熱転写(インキ)フィルムに用いたインキや方法をそのまま使用することができる。
以上のような保護層転写シートを用いて保護する画像は、通常は、昇華型熱転写方法及び/又は溶融型熱転写方法により形成された画像であるが、これに限定するものではなく広く利用できるものである。特に、昇華型熱転写による画像に適用する場合には、該画像に保護層が形成されると共に、転写時の熱によって画像を形成している染料が再発色処理されるので、画像が一層鮮明になるという効果がある。
このように本発明の保護層転写シートを用いて印画物の印画面に上記熱転写性樹脂層が転写され、形成された印画物もまた、本発明の一つである。
すなわち、本発明の印画物は、少なくとも染料で着色された画像を有する印画面の少なくとも一部に、上述した本発明の保護層転写シートの熱転写性樹脂層が積層されている。
また、昇華型熱転写画像及び/又は溶融型熱転写画像は、ポリエステル樹脂や塩化ビニル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂、ポリカーボネート等のプラスチックシートを基材とする受像シートやカード基材等、どのような被転写材に形成されたものであってもよい。例えば、染料受容性のある樹脂層(受容層)を基材シート上に設けた熱転写受像シートやこれらの樹脂類からなるフィルム、シート、成形物等を用いることができる。
なお、上記カード基材には、予めその面に必要な磁気記録層やエンボス模様、他の印刷模様、光メモリー、ICメモリー、バーコード等を形成しておいてもよいし、また、昇華転写方式等により顔写真等の情報を形成後にこれらの磁気記録層等を設けてもよい。上記カード基材上に設けられる顔写真は、昇華型の熱転写シートを用いて常法に従って形成することができる。また、同時に昇華型の熱転写シートで文字、バーコード等の情報も形成できるが、これらの情報は、高濃度の黒色印字が可能な熱溶融インキ型の熱転写シートを用いて形成することが好ましい。
上記染料受容性のある樹脂としては、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等のハロゲン化樹脂、ポリ酢酸ビニル、各種ポリアクリレート等のビニル系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂、ポリスチレンまたはその共重合体等のポリスチレン系樹脂、ポリアミド系樹脂、エチレンやプロピレン等のオレフィンと他のビニルモノマーとの共重合体系樹脂、そして、アイオノマー、セルロースジアセテート、セルローストリアセテート等のセルロース系樹脂、ポリカーボネート等が挙げられ、これらの樹脂層中に、熱転写シートとの融着を防止するためにシリコーンオイル等の離型剤を添加してもよい。
上記熱転写受像シートに使用するシート状基材としては、(1)合成紙(ポリオレフィン系、ポリスチレン系等)、(2)上質紙、アート紙、コート紙、キャストコート紙、壁紙、裏打ち用紙、合成樹脂溶液若しくはエマルジョン含浸紙、合成ゴムラテックス含浸紙、合成樹脂内添紙、板紙、その他セルロース繊維紙等の天然繊維紙、(3)ポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリカーボネート等の各種のプラスチックのフィルム若しくはシートが使用できる。なかでも、(1)の合成紙は、その表面に熱伝導率の低い(換言すれば断熱性の高い)ミクロボイド層を有するものが好ましい。また、上記(1)〜(3)の任意の組合せによる積層体も使用できる。
代表的な積層体の例として、セルロース繊維紙と合成紙、或いは、セルロース繊維紙とプラスチックフィルム若しくはシートとの積層体が挙げられる。
以上のように、受像シート若しくはカード等にサーマルプリンターによってカラー画像及び/又は文字画像を形成し、その上に本発明の保護層転写シートを用いて、熱転写性樹脂層を転写して、該画像上に保護層を形成するが、転写に際しては、サーマルプリンターは、昇華転写用、溶融転写用、保護層転写用というように別々に転写条件を設定してもよいし、また、共通のプリンターでそれぞれ印字エネルギーを適切に調整して行ってもよい。なお、本発明の保護層転写シートでは、加熱手段としてサーマルプリンターに限定されず、その他熱板、ホットスタンパー、熱ロール、ラインヒーター、アイロン等でも転写できる。また、熱転写性樹脂層は、形成された画像の全面に転写してもよいし、特定の部分のみに転写してもよい。更に、転写フィルムとは言えないが、例えば、レストランメニューやカード類等で使用されるラミネートシートによるパウチ材として応用することもできる。この場合、透明な基材フィルム或いは市販のラミネートシートの一方の面に、本発明における紫外線遮断層と熱接着性樹脂層とを設けてラミネートシートとし、これを昇華型熱転写方法及び/又は溶融型熱転写方法により形成された画像上に熱接着させる使い方も可能である。
本発明の保護層転写シートは、反応性紫外線吸収剤を反応結合した樹脂を熱転写性樹脂層中に使用しているため、従来の紫外線吸収剤を熱転写性樹脂層中に含有させたものと比較して、紫外線吸収剤の熱による気化・発散や分解、或いは、溶剤による溶出等が少なくなる。そのため、本発明の保護層転写シートにより熱転写画像上に熱転写性樹脂層を転写した保護層は、耐摩擦性、耐スクラッチ性、耐医薬品性、耐保存性等の各種の耐性に優れるとともに、特に、耐光性に優れたものとなり、これらの性能を有する印画物を提供できる。
次に、実施例及び比較例を挙げて、本発明を更に詳述する。なお、文中、部又は%とあるのは、特に断りのない限り質量基準である。
(昇華型熱転写フィルム)
イエロー、マゼンタ、シアンの3色の昇華性染料によるインキ層を持つ昇華型熱転写フィルムとして、アルテックADS社製MegaPixel III用の専用熱転写シートを使用した。
(熱転写受像シート)
熱転写受像シートとして、アルテックADS社製MegaPixel III用の専用熱転写受像シートを使用した。
(実施例1)
厚さ5μmのPETフィルム(商品名ルミラー 東レ社製)を基材フィルムとし、その一方の面に背面層としてシリコーン樹脂による耐熱性スリップ層を乾燥時の厚さが1μmになるようにグラビアコート方式で形成し、もう一方の面に下記の組成の透明性樹脂層用塗布液をグラビアコート方式で乾燥時の塗布量が3g/mとなるように塗布、乾燥して透明性樹脂層を形成した。
(透明性樹脂層用塗布液の組成)
アクリル樹脂(ダイヤナールBR−83、三菱レイヨン社製) 20部
メチルエチルケトン/トルエン(重量比1:1) 80部
次に、形成した透明性樹脂層の上に、下記の組成の熱接着性樹脂層用塗布液をグラビアコート方式で乾燥時の塗布量が1g/mになるように塗布、乾燥して熱接着性樹脂層を形成し、透明性樹脂層と熱接着性樹脂層とからなる熱転写性樹脂層を備えた実施例1の保護層転写シートを作製した。
(熱接着性樹脂層用塗布液の組成)
反応性紫外線吸収剤を反応結合した共重合樹脂(2,4−ジフェニル−6−[2−ヒドロキシ−4−(2−アクリロイルオキシエトキシ)]−s−トリアジン30モル%とメチルメタクリレート70モル%の共重合体) 20部
メチルエチルケトン/トルエン(重量比1:1) 80部
(実施例2)
熱接着性樹脂層用塗布液の組成を以下のものに変更した以外は、実施例1と同様にして保護層転写シートを作製した。
(熱接着性樹脂層用塗布液の組成)
ポリエステル樹脂(バイロン700 東洋紡社製) 20部
紫外線吸収剤(チヌビン900 チバ・ジャパン社製) 3部
トリアジン系反応性紫外線吸収剤を反応結合した共重合樹脂(2,4−ジフェニル−6−[2−ヒドロキシ−4−(2−アクリロイルオキシエトキシ)]−s−トリアジン30モル%とメチルメタクリレート70モル%の共重合体) 7部
メチルエチルケトン/トルエン(重量比1:1) 70部
(比較例1)
熱接着性樹脂層用塗布液の組成を以下のものに変更した以外は、実施例1と同様にして保護層転写シートを作製した。
(熱接着性樹脂層用塗布液の組成)
ベンゾトリアゾール系反応性紫外線吸収剤を反応結合した共重合樹脂(PUVA−30M 大塚化学社製) 20部
メチルエチルケトン/トルエン(重量比1:1) 80部
(評価)
実施例及び比較例で作製した保護層転写シートを用いて、以下の評価を行った。
(色相変化)
まず、先に作製した昇華型熱転写フィルムの染料塗布面に、先に作製した熱転写受像シートに重ね、画像を色分解して得られた電気信号をプリンター(アルテックADS社製、MegaPixel III用)のサーマルヘッドを通して熱エネルギーを付与し、階調画像を形成した。
次に、実施例及び比較例で作製した保護層転写シートを用いて、同じプリンターのサーマルヘッドで、それぞれの熱転写性樹脂層を転写し、保護層付きの階調画像を形成した。
上記で得られた階調画像及び保護層の転写された熱転写受像シートを試料として、画像面の耐光性をキセノンウエザオメーター(アトラス社製 Ci4000)で400KJ/m照射し、照射前後の色相の変化を分光光度計(GretagMacbeth社製、Spectrolino)により測定し、下記式により試験前後での色度差Δa(色相変化)を算出した。
色度差Δa
={(照射後のa値−照射前のa値)+(照射後のb値−照射前のb値)1/2
その結果、実施例に係る保護層転写シートを転写した試料は、比較例に係る保護層転写シートを転写試料に比べてイエロー及びマゼンタの色相変化が少なかったことが確認された。なお、図5に実施例1、2及び比較例1のイエローの色相変化を示し、図6に実施例1、2及び比較例1のマゼンタの色相変化を示した。また、表1に、実施例1、2及び比較例1に係る試料の光学濃度1.0付近におけるΔaの値を示した。
Figure 2009241555
本発明の保護層転写シートの一例を模式的に示す断面図である。 本発明の保護層転写シートの別の一例を模式的に示す断面図である。 本発明の保護層転写シートのまた別の一例を模式的に示す断面図である。 本発明の保護層転写シートの更に別の一例を模式的に示す断面図である。 実施例1及び比較例1に係る保護層転写シートを転写した印画物のイエローの色相変化結果を示すグラフである。 実施例1に係る保護層転写シートを転写した印画物のマゼンタの色相変化結果を示すグラフである。 ベンゾフェノン、ベンゾトリアゾール又はトリアジン系化合物を反応結合させた共重合体の吸光度を示すグラフである。
符号の説明
10、20、30、40 保護層転写シート
11、21、31、41 基材フィルム
12、22、32、42 熱転写性樹脂層
23、33、43 透明性樹脂層
24、34、44 熱接着性樹脂層
35、45 紫外線遮断層
46 離型層
47 背面層

Claims (4)

  1. 基材フィルムと熱転写性樹脂層とを有し、被転写体上に印画された画像上に前記熱転写性樹脂層を熱転写により転写する保護層転写シートであって、
    前記熱転写性樹脂層は、反応性官能基を有するトリアジン系化合物を反応結合させた共重合体を含有することを特徴とする保護層転写シート。
  2. 反応性官能基を有するトリアジン系化合物は、下記一般式(1)で表される構造を有する請求項1記載の保護層転写シート。
    Figure 2009241555
    一般式(1)中、Rは、炭素数1〜6のアルキレン基を表し、Rは、水素原子又はメチル基を表し、Rは、炭素数1〜6のアルキル基若しくはアルコキシ基又は水素原子を表す。
  3. 更に、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及び/若しくはブラック(Bk)の各色の染料層、又は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及び/若しくはブラック(Bk)の各色の熱溶融性インキ層が、基材フィルム上に面順次に形成されている請求項1又は2記載の保護層転写シート。
  4. 少なくとも染料で着色された画像を有する印画面の少なくとも一部に、請求項1、2又は3記載の保護層転写シートの熱転写性樹脂層が積層されていることを特徴とする印画物。
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