JPH1067182A - 熱転写シート - Google Patents

熱転写シート

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JPH1067182A
JPH1067182A JP8244036A JP24403696A JPH1067182A JP H1067182 A JPH1067182 A JP H1067182A JP 8244036 A JP8244036 A JP 8244036A JP 24403696 A JP24403696 A JP 24403696A JP H1067182 A JPH1067182 A JP H1067182A
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dye
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dye layer
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JP8244036A
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English (en)
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Hideki Usuki
秀樹 臼杵
Katsuyuki Oshima
克之 大嶋
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Dai Nippon Printing Co Ltd
Original Assignee
Dai Nippon Printing Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 被転写体の基材材質に影響されることなく、
被転写体との剥離性に安定して、優れていて、良好な転
写画像形成が可能である熱転写シートを提供する。 【解決手段】 基材シートの一方の面に、少なくとも1
色以上の染料層を設けた熱転写シートにおいて、該染料
層が少なくとも昇華性染料、バインダー樹脂及びリン酸
エステルを含有していることを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、熱転写シートに関
し、特に基材シート上に染料層を備え、被転写体の基材
材質に影響されることがなく、被転写体との剥離性が安
定して、優れていて、良好な転写画像形成が可能である
熱転写シートに関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、熱転写方法を用いて被転写体
に階調画像や文字、記号等の単調画像を形成することが
行われている。その熱転写方法は、昇華転写方式と熱溶
融転写方式が広く用いられている。このうち、昇華転写
方式は、色材として用いる昇華性染料をバインダー樹脂
に溶解または分散させた染料層を基材シートに担持させ
た熱転写シートを被転写体に重ね、サーマルヘッドやレ
ーザー等の加熱手段により、画像情報に応じたエネルギ
ーを印加することにより熱転写シート上の昇華性染料層
中に含まれる染料を被転写体に移行させて画像を形成す
るものである。この昇華転写方式は、熱転写シートに印
加するエネルギー量によって、ドット単位で染料の移行
量を制御することができるため、階調性のフルカラー画
像の形成ができ、銀塩写真の画像に匹敵する高品質な画
像を得ることができる。したがって、昇華転写方式は注
目され、種々の分野で情報記録手段として利用されてい
る。
【0003】マルチメディアに関連した様々なハード及
びソフトの発達により、この熱転写方法は、コンピュー
ターグラフィックス、衛星通信による静止画像そしてC
D−ROMその他に代表されるデジタル画像及びビデオ
等のアナログ画像のフルカラーハードコピーシステムと
して、その市場を拡大している。この熱転写方法による
被転写体の具体的な用途は、多岐にわたっている。代表
的なものとして、印刷の校正刷り、画像の出力、CAD
/CAMなどの設計及びデザインなどの出力、CTスキ
ャンや内視鏡カメラなどの各種医療用分析機器、測定機
器の出力用途そしてインスタント写真の代替として、ま
た身分証明書やIDカード、クレジットカード、その他
カード類の顔写真等の出力、さらに遊園地、ゲームセン
ター、博物館、水族館等のアミューズメント施設におけ
る合成写真、記念写真としての用途等を挙げることがで
きる。
【0004】このような昇華転写方式の熱転写シートに
要求される重要な特性の一つとして、被転写体との剥離
性が挙げられる。すなわち、上述のように熱転写シート
と被転写体とを重ねて加熱するので、転写後における両
者の剥離性が良好なことが、転写を円滑に行う上で重要
である。さらに、通常、転写前後において熱転写シート
と被転写体とが重ねられた状態で搬送されるため、両者
のブロッキングを防止する上においても、熱転写シート
が被転写体との剥離性を具備することが重要である。こ
のような中で、従来は、シリコーン等の離型剤を染料層
に添加して剥離性をもたせた熱転写シートが使用されて
いる。
【0005】熱転写方法は、モノカラーおよび多色カラ
ー画像の形成が可能であり、多色カラー画像の場合に
は、例えば、イエロー、マゼンタ、シアンさらに必要に
応じてブラックの三色ないし四色の熱転写シートを用意
し、同一の被転写体の表面に各色を熱転写して、カラー
画像を形成するものである。また、各色は昇華転写方式
の染料層や、熱溶融転写方式の熱転写層を任意に選択す
ることができ、熱転写シートにおいて、三色ないし四色
は、同一シート上に面順次で、繰り返して塗り分けられ
ているものが使用されている。また、イエロー、マゼン
タ、シアンないしブラックの染料層ないし溶融熱転写層
だけでなく、保護層を同一シート上に面順次で、塗り分
けて設ける熱転写シートも使用されるようになってき
た。この保護層は、熱転写層が被転写体へ熱転写された
後に、その熱転写された画像上に熱転写して、画像を被
い保護するものである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】シリコーン等の離型剤
を染料層に添加した従来の熱転写シートは、離型剤とバ
インダー樹脂との相溶性が良好ではなく、離型剤成分が
分離して染料層表面に浮き出ることがあり、被転写体と
の安定した剥離性を具備するものではない。この欠点を
解決するため、ポリマーに離型性化合物をグラフト共重
合させた離型性グラフトポリマーをバインダー樹脂とし
て使用した熱転写シートが開発されている。
【0007】しかしながら、昇華転写方式の熱転写シー
トの使用範囲が拡大し、例えば、IDカード等では、住
所、氏名等の文字情報とともに、顔写真の画像を形成す
るような用途では、被転写体の種類が増加し、特に受容
層を備えていない被転写体の基材に直接画像等を形成す
る場合等で、被転写体の基材材質によっては、上記の熱
転写シートを使用しても被転写体の基材との貼り付きの
現象が生じて、円滑な熱転写が行えないという問題があ
った。
【0008】本発明は、このような問題点を解決するた
めになされたものであり、その目的とするところは、被
転写体の基材材質に影響されることなく、被転写体との
剥離性に安定して、優れていて、良好な転写画像形成が
可能である熱転写シートを提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、基材シートの
一方の面に、少なくとも1色以上の染料層を設けた熱転
写シートにおいて、該染料層が少なくとも昇華性染料、
バインダー樹脂及びリン酸エステルを含有していること
を特徴とすることにより、上記の課題を解決することが
できた。さらに、本発明は、前記リン酸エステルの酸価
が40〜700の範囲であることを特徴とする。また、
前記染料層は、前記バインダー樹脂100重量部に対し
て、0.1〜30%の範囲で前記リン酸エステルを含有
していることを特徴とする。また、前記染料層は、前記
バインダー樹脂100重量部に対して、1〜7%の範囲
で有機または無機の微粉末を含有していることを特徴と
する。また、少なくとも1色の前記染料層は複層構造で
あることを特徴とする。さらに、基材シートの一方の面
に、少なくとも1色以上の染料層と、転写性保護層積層
体及び/または熱溶融性インキ層を有することを特徴と
する。
【0010】
【作用】本発明は、基材シートの一方の面に、少なくと
も1色以上の染料層を設けた熱転写シートにおいて、該
染料層が少なくとも昇華性染料、バインダー樹脂及びリ
ン酸エステルを含有しているため、該リン酸エステルが
染料層表面に適度にブリードしてきて、被転写体との剥
離性が良好となる。さらに、該リン酸エステルの酸価
と、該リン酸エステルの染料層中への添加量を規定する
ことにより、リン酸エステルの水酸基の数を染料層中で
適度の範囲に収めることができ、被転写体の基材材質に
影響されることなく、被転写体との剥離性に安定して、
優れたものとすることができる。なぜならば、リン酸エ
ステルの水酸基が、被転写体と剥離する機能を果してい
ると考えられるからである。また、熱転写シートの高温
等の保存条件によっては、熱転写シートの巻取状態で、
染料層中の染料が、染料層と接触する背面側に移行転移
し、熱転写シートを汚染する場合がある。そして、この
背面側に移行転移した染料が、巻き替えられて、染料層
側に再転移し、色相の異なる染料が染料層に転移され
て、画像品質を著しく劣化させることになる。このよう
な染料の移行転移を防止するため、染料層に有機または
無機の微粉末を含有させることが好ましい。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明の熱転写シートの染料層が
設けられている実施形態を図面を参照しながら説明す
る。図1は、本発明の熱転写シートの1つの実施形態で
あり、(a)〜(c)にあるように、染料層を面順次に
塗り分けたものである。すなわち、(a)はイエロー、
マゼンタ及びシアンの各色相の染料層3Y、3M、3C
が面順次に塗り分けられている。また、(b)はイエロ
ー、マゼンタ、シアン及びブラックの各色相の染料層3
Y、3M、3C、3BKが面順次に塗り分けられてい
る。さらに、(c)はイエロー、マゼンタ、シアン及び
ブラックの各色相の染料層3Y、3M、3C、3BKと
転写性保護層積層体4が面順次に塗り分けられている。
但し、(b)と(c)におけるブラック染料層3BK
は、必要に応じて熱溶融性ブラックインキ層とすること
ができる。
【0012】染料層の設け方は、図1のように、同じ基
材シートの中で塗り分けるだけでなく、図2の(d)〜
(g)に示されるように、イエロー、マゼンタ、シアン
及びブラックの各色相の染料層3Y、3M、3C、3B
Kを、別々の基材シートの全面に設けることができる。
このように、熱転写シートが色別に複数ある場合は、そ
の色別の熱転写シート毎に対応させて、印字加熱手段を
複数個もたせて、フルカラーの画像形成を行うことがで
きる。以上のような染料層の設け方に限らず、用途に合
わせて、例えばブラック以外の色相の熱溶融性インキ層
を設けたり、イエロー、マゼンタ、シアン及びブラック
以外の色相の染料層を設けたりすることができる。
【0013】次に、本発明の熱転写シートの構成につい
て説明する。 (基材シート)基材シート2は、従来公知のある程度の
耐熱性と強度を有するものであれば、いずれのものでも
よい。好ましい基材シート2の具体例は、グラシン紙、
コンデンサー紙、パフィン紙等の薄紙、ポリエチレンテ
レフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレ
ンテレフタレート、ポリフェニレンサルファイド、ポリ
エーテルケトン、ポリエーテルサルホン等の耐熱性の高
いポリエステル、ポリプロピレン、ポリカーボネート、
酢酸セルロース、ポリエチレンの誘導体、ポリ塩化ビニ
ル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、ポリアミド、
ポリイミド、ポリメチルペンテン、アイオノマー等のプ
ラスチックの延伸あるいは未延伸フィルムや、これらの
材料を積層したものが挙げられる。この基材シート2の
厚さは、強度及び耐熱性等が適切になるように材料に応
じて適宜選択することができるが、通常は1〜100μ
m程度のものが好ましく用いられる。
【0014】(染料層)本発明の染料層3は、適当な溶
剤中に昇華性染料、バインダー樹脂及びリン酸エステ
ル、その他の任意成分を加えて、各成分を溶解又は分散
させて、グラビア印刷法、スクリーン印刷法、グラビア
版を用いたリバースロールコーティング法等の形成手段
により、前記の基材シート上に塗布し、乾燥して、形成
される。
【0015】使用する昇華性染料は、従来公知の昇華転
写方式の熱転写シートに使用される昇華性染料はいずれ
も本発明に有効に使用可能であり、特に限定されない。
具体的には、例えば、黄色染料としては、ホロンブリリ
アントイエローS−6GL、PTY−52、マクロレッ
クスイエロー6G等が挙げられ、赤色染料として、MS
レッド、マクロレックスレッドバイオレットR、セレス
レッド7B、サマロンレッドHBSL、SKルビンSE
GL等が挙げられ、さらに、青色染料としては、カヤセ
ットブルー714、ワクソリンブルーAP−FW、ホロ
ンブリリアントブルーS−R、MSブルー100、ダイ
トーブルーNo.1等が挙げられる。また、上記の各色
相の昇華性染料を組み合わせることによりブラック等の
任意の色相の染料層を形成することができる。
【0016】上記の如き昇華性染料を担持するためのバ
インダー樹脂としては、従来公知のものがいずれも使用
でき、好ましいものを例示すれば、エチルセルロース、
ヒドロキシエチルセルロース、エチルヒドロキシセルロ
ース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロー
ス、酢酸セルロース、酢酪酸セルロース等のセルロース
系樹脂、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポリ
ビニルブチラール、ポリビニルアセタール、ポリビニル
ピロリドン、ポリアクリルアミド等のビニル系樹脂、ポ
リエステル等が挙げられる。
【0017】また、本発明の熱転写シートは少なくとも
1色以上の染料層を設け、その染料層にリン酸エステル
を含有している。具体的には図1の(a)、(b)、
(c)の各熱転写シートにおいて、少なくとも1色以上
の染料層にリン酸エステルを含有させればよい。図2の
(d)〜(g)では、4種の熱転写シートの少なくとも
1種の熱転写シートの染料層にリン酸エステルを含有さ
せればよい。図1の(a)で示される熱転写シートで
は、一般的にイエロー、マゼンタ、シアンの順に印字さ
れるため、例えば、最終印字部のシアン染料層にのみ、
リン酸エステルを含有させれば、被転写体との剥離性が
良好であり、本発明の目的を果たすには十分である。但
し、1色の染料層だけにリン酸エステルを含有させる場
合、そのリン酸エステルの添加量が多く必要となり、熱
転写シートの巻取状態で、リン酸エステルが裏移りしや
すくなる。したがって、シアン染料層のリン酸エステル
の含有量を減らし、イエローやマゼンタの染料層にもリ
ン酸エステルを添加すればよい。
【0018】また、印字の順序によって、被転写体との
剥離性が変化するため、例えば、イエロー、マゼンタ、
シアンの順に印字する場合、イエロー染料層よりマゼン
タ染料層に多く、リン酸エステルを含有させ、マゼンタ
染料層よりシアン染料層に多くのリン酸エステルを含有
させることが行われる。本発明では、被転写体との剥離
性を良好にし、裏移りを防止できれば、リン酸エステル
の含有される染料層は1色のみや全色などに限定され
ず、自由に設定することができる。リン酸エステルは、
リン酸のエステル化によって得られるが、リン酸(H3
PO4 )は、三塩基酸であるため、対応する3種類のエ
ステルが存在し、本発明にはいずれのエステルでも限定
せず、使用することができる。天然から得られるリン酸
エステルは、モノエステルとジエステルだけであり、ト
リエステルは化学的に合成されるものである。好ましく
使用できるリン酸エステルの構造を下記の構造式(I)
に示す。
【0019】
【化1】 〔式中、Rはアルキル基またはアルキルアリル基であ
り、nはエリレンオキサイド付加モル数を表す。〕
【0020】市販されている上記構造式(I)のリン酸
エステルは、例えば第一工業製薬株式会社製プライサー
フA−208S等が挙げられる。また、リン酸エステル
の構造として、下記の構造式(II)が挙げられる。
【0021】
【化2】 〔式中、Rはアルキル基またはアルキルアリル基、アル
キルフェノール基であり、nはエリレンオキサイド付加
モル数であり、AはOHまたは、RO(C2 4O)n
を表す。〕
【0022】市販されている上記構造式(II)のリン酸
エステルは、例えば第一工業製薬株式会社製プライサー
フA−208Fや、東邦化学工業株式会社製PHOSP
HANOLシリーズ等が挙げられる。
【0023】その他の構造のリン酸エステルは、堺化学
工業株式会社製(大崎工業株式会社製造)Phosle
xAシリーズとして、(Cn 2n+1O)2 P(0)OH
+Cn 2n+1OP(0)(OH)2 、(Cn 2n-1O)
2 P(0)OH+Cn 2n-1OP(0)(OH)2
(C1835O)2 P(0)OH+C1835OP(0)
(OH)2 、(C8 17O)2 P(0)OH等の構造が
挙げられる。その他にも、従来公知のリン酸エステルも
含め、単独種類あるいは混合種類のリン酸エステルを使
用することができる。また、本発明で使用するリン酸エ
ステルは、酸価が40〜700の範囲であることが好ま
しい。さらに、染料層のバインダー樹脂100重量部に
対して、0.1〜30%の範囲でリン酸エステルを添加
することが好ましい。このように、リン酸エステルの酸
価と、リン酸エステルの染料層中への添加量を規定する
ことにより、リン酸エステルの水酸基の数を染料層中で
適度の範囲に収めることができ、被転写体の基材材質に
影響されることなく、被転写体との剥離性に安定して、
優れたものとすることができる。染料層のリン酸エステ
ル水酸基の数が少なすぎると、被転写体との適切な剥離
性が得られず、また、リン酸エステル水酸基の数が多す
ぎると、基材シートと染料層との接着性が落ちてきた
り、巻取状態の熱転写シートで染料の背面側への移行転
移しやすくなる。
【0024】また、染料層3には、上述のような昇華性
染料、バインダー樹脂及びリン酸エステルに加えて、ワ
ックスを含有させることができる。使用するワックスと
しては、例えば、マイクロクリスタリンワックス、カル
ナバワックス、パラフィンワックス、フィッシャートロ
プシュワックス、各種低分子量ポリエチレン、木ロウ、
ミツロウ、鯨ロウ、イボタロウ、羊毛ロウ、セラックワ
ックス、キャンデリラワックス、ペトロラクタム、一部
変性ワックス、脂肪酸エステル、脂肪酸アミド等のワッ
クス類や、シリコーンワックス、シリコーン樹脂、フッ
素樹脂、アクリル樹脂、セルロース樹脂、塩化ビニル−
酢酸ビニル共重合体、硝化綿等を挙げることができる。
このようなワックスは、染料層中に染料層の全固形分に
対し、0.1〜10重量%、好ましくは1〜3重量%の
範囲で含有させることができる。
【0025】さらに、染料層3は、上述の昇華性染料、
バインダー樹脂、リン酸エステル及び必要に応じて添加
するワックスやポリマーの他に、公知の種々の添加剤を
含有することができる。例えば、有機微粉末もしくは無
機微粉末を染料層バインダー樹脂100重量部に対し
て、1〜7%の範囲で、染料層3に含有させることによ
り、染料層を形成する際の塗膜均一性等の塗膜形成適性
を向上させることができる。さらに、この微粉末を含有
させることで、巻取状態の熱転写シートで染料の背面側
への移行転移を防止することができる。このような有機
微粉末としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレ
ン等のポリオレフィン樹脂、フッ素樹脂、ナイロン樹脂
等のポリアミド樹脂、ウレタン樹脂、スチレン・アクリ
ル系架橋樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン
樹脂、ポリイミド樹脂、ベンゾグアナミン樹脂等の微粉
末が好ましく用いられ、特にポリエチレン微粉末が好ま
しい。また、無機微粉末としては、例えば、炭酸カルシ
ウム、シリカ、クレー、タルク、酸化チタン、水酸化マ
グネシウム、酸化亜鉛等の微粉末が好ましく用いられ
る。
【0026】染料層3の形成は、例えば、適当な溶剤中
に上記の昇華性染料、バインダー樹脂、リン酸エステル
及び、その他の添加剤を溶解または分散させて調製した
インキを、例えば、グラビア印刷法、スクリーン印刷
法、グラビア版を用いたリバースコーティング法等の公
知の手段により塗布、乾燥させることにより行うことが
できる。染料層3の厚みは、乾燥状態で0.2〜5μm
程度、好ましくは0.4〜2μm程度とすることがで
き、染料層3中の昇華性染料の含有量は5〜90重量
%、好ましくは10〜70重量%程度とする。
【0027】本発明の染料層3は、図3に示すような構
成をとることができる。イエロー染料層3Y、マゼンタ
染料層3Mが単層構造であり、シアン染料層3Cとブラ
ック染料層3BKが2層構造となっている。本発明の熱
転写シートでは、染料層は単層構造および2層構造ない
し3層以上の複層構造のいずれであってもよく、また、
染料層を構成する各色の染料層の中に単層構造のものと
複層構造のものとが混在していてもよい。染料層を2層
ないし3層以上の複層構造とする場合、染料層を構成す
る各層が少なくとも昇華性染料、バインダー樹脂、リン
酸エステルを含有するようにしてもよく、あるいは、染
料層を構成する層のうち、最表面に位置する層のみが少
なくとも昇華性染料、バインダー樹脂、リン酸エステル
を含有し、他の層は例えば、リン酸エステルを含有しな
いような層とすることもできる。また、染料層が2層の
場合、下層(基材シート側)にのみ、リン酸エステルを
含有させ、最表面層にリン酸エステルを含有させなくて
もよい。それは、下層のリン酸エステルが最表面にブリ
ードしてくるからである。染料層が複層の場合、各層の
リン酸エステルの含有量を変えることができ、被転写体
との剥離性を良好にし、裏移りを防止できれば、積層さ
れる染料層のリン酸エステルの含有量は自由に設定する
ことができる。このような複層構造の染料層全体の厚み
は0.2〜5μm程度、好ましくは0.4〜2μm程度
とすることができ、染料層を構成する1層の厚みは0.
2〜2μmの範囲が好ましい。また、染料層全体に含有
される昇華性染料は5〜90重量%、好ましくは10〜
70重量%程度とする。
【0028】(転写性保護層積層体4)転写性保護層積
層体4は、熱転写された画像の上に、熱転写で形成し、
画像を覆い保護する機能を有している。本発明では、多
用途の被転写体において耐光性、耐候性等の耐久性を向
上させるため、転写性保護層積層体4を用いることがで
きる。熱転写シート1を構成する転写性保護層積層体4
は、基材シート2側から保護層4aと接着層4bがこの
順に積層された2層構造をなしたものが好ましい。保護
層4aは、アクリル樹脂、ワックス、塩化ビニル−酢酸
ビニル共重合体及びポリエステル樹脂との混合物を主成
分とすることができる。
【0029】アクリル樹脂は透明性に優れており、比較
的強靱な被膜を形成することができ、保護層4aに硬度
をもたせ、耐擦過性や耐薬品性等の耐久性を付与するこ
とができる。また、熱転写時の膜切れを良好なものとす
ることができる。ワックスは、保護層4aに滑り性を付
与するために含有され、例えば、マイクロクリスタリン
ワックス、カルナバワックス、パラフィンワックス、フ
ィッシャートロプシュワックス、各種低分子量ポリエチ
レン、木ロウ、ミツロウ、鯨ロウ、イボタロウ、羊毛ロ
ウ、セラックワックス、キャンデリラワックス、ペトロ
ラクタム、一部変性ワックス、脂肪酸エステル、脂肪酸
アミド等のワックス類や、シリコーンワックス、シリコ
ーン樹脂、フッ素樹脂、アクリル樹脂、セルロース樹
脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、硝化綿等を使用
することができる。ワックスの使用量は、アクリル樹脂
100重量部当たり0.5〜5重量部の範囲が好まし
い。
【0030】また、保護層4aを構成する成分として上
記のアクリル樹脂やワックスとともに用いられる塩化ビ
ニル−酢酸ビニル共重合体は、保護層4aに可撓性を付
与し、また、ポリエステル樹脂は、熱転写時における保
護層4aの剥離性を調製するものである。塩化ビニル−
酢酸ビニル共重合体の添加量はアクリル樹脂100重量
部当たり5〜50重量部程度、ポリエステル樹脂の添加
量はアクリル樹脂100重量部当たり0.1〜5重量部
程度が好ましい。この保護層4aの厚みは、1〜10μ
m程度とすることができる。さらに、保護層4aに紫外
線吸収剤、酸化防止剤、蛍光増白剤等の添加剤を含有さ
せることによって、被転写体に転写された後の保護層4
aで覆われる画像等の光沢、耐光性、耐候性、白色度等
を向上させることができる。
【0031】また、転写性保護層積層体4を構成する接
着層4bは、保護層4aとカード基材等の被転写体との
接着性を良好にするためのものであり、例えば、アクリ
ル樹脂、塩化ビニル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重
合体、アクリル−塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポ
リエステル樹脂、ポリアミド樹脂等のように、熱溶融接
着性の良好な樹脂の溶液を塗布、乾燥することによって
形成することができる。被転写体の中で、カード基材
は、例えば、表面がポリ塩化ビニル樹脂により構成され
ている場合、ポリ塩化ビニル樹脂との接着性が良好で膜
切れの良い感熱接着剤として、塩化ビニル−酢酸ビニル
共重合体、アクリル−塩化ビニル−酢酸ビニル共重合
体、アクリル樹脂、ポリアミド樹脂等を使用することが
できる。この接着層4bの厚みは、0.5〜10μm程
度とすることができる。また、接着層4bに紫外線吸収
剤、酸化防止剤、蛍光増白剤等の添加剤を含有させるこ
とによって、接着層4bにより覆われる画像等の光沢、
耐光性、耐候性、白色度等を向上させることができる。
【0032】このような転写性保護層積層体4を構成す
る保護層4aと接着層4bは、それぞれ溶液を調製し、
基材シート2にグラビア印刷法、スクリーン印刷法、グ
ラビア版を用いたリバースロールコーティング法等の形
成手段により、塗布し、乾燥して、形成することができ
る。次に、熱転写シート1を構成する転写性保護積層体
4の別の実施形態を説明する。上述の実施形態では、転
写性保護層積層体4は保護層4aと接着層4bの2層構
造であったが、基材シート2側から保護層4′a、プラ
イマー層4′b、紫外線吸収層4′c及び接着層4′d
がこの順に積層された転写性保護層積層体4′、あるい
は基材シート2側から保護層4″a、紫外線吸収層4″
b及び接着層4″cがこの順に積層された転写性保護層
積層体4″とすることができる。以下、このような転写
性保護層積層体4′、4″について説明する。
【0033】(転写性保護層積層体4′)転写性保護層
積層体4′を構成する保護層4′aは、電離放射線硬化
樹脂を主成分とする層が好ましく、厚さは1〜10μm
程度が望ましい。保護層4′aを構成する電離放射線硬
化樹脂としては、その構造中にラジカル重合性の二重結
合を有するポリマーまたはオリゴマーを電離放射線照射
により架橋、硬化させたものであり、また、必要に応じ
て光重合開始剤を添加し、電子線や紫外線によって重合
架橋させたものであり、従来公知の電離放射線硬化樹脂
はいずれも使用可能であり、特に限定されるものではな
い。また、紫外線照射を用いる場合、 増感剤としてベ
ンゾキノン、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル等
のベンゾエーテル類、ハロゲン化アセトフェノン、ジア
セチル類等の紫外線照射によりラジカルを発生するもの
を、ラジカル重合性モノマーに対し、1〜20重量%程
度添加して用いてもよい。
【0034】上記のような電離放射線硬化性樹脂中に
は、可撓性及び接着性を向上させるために、必要に応じ
てエチルセルロース等のセルロース系樹脂、ポリエステ
ル樹脂、ポリウレタン樹脂、ロジンエステル樹脂、環化
ゴム等のゴム系樹脂、アクリル樹脂等を混合してもよ
い。さらに、これらの樹脂は透明性に優れるものの、比
較的強靱な被膜を形成する傾向があるため、保護層4′
aを転写する際の膜切れが十分でない場合がある。その
ため、保護層4′aの形成に際しては、電離放射線硬化
性樹脂中に比較的多量の透明性の高い微粒子を添加する
ことが好ましい。この微粒子としては、粒径0.01〜
50μm程度のシリカ、アルミナ、炭酸カルシウム、タ
ルク、クレー等の無機微粒子や、アクリル樹脂、ポリエ
ステル樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエチレ
ン樹脂等の有機フィラーが挙げられる。微粒子としてシ
リカ、アルミナ等の微粒子を使用する場合には、電離放
射線硬化性樹脂との相溶性を向上させるために、シリ
カ、アルミナ等の表面をシランカップリング剤等で処理
したものを用いることができる。
【0035】このような透明性の高い微粒子は、上記の
電離放射線硬化性樹脂100重量部当たり5〜50重量
部の割合で含有されることが好ましい。さらに、保護層
4′aには、他の添加剤としてワックス、滑剤、紫外線
吸収剤、酸化防止剤及び/または蛍光増白剤を加えるこ
とによって、保護層4′aで覆われる転写画像等の滑
性、光沢、耐光性、耐候性、白色度等を向上させること
ができる。基材シート2上に保護層4′aを形成する方
法としては、電離放射線硬化性樹脂に、必要に応じて適
当な溶剤や添加剤を加え粘度等を調製してインキを作製
し、このインキを基材シート上にグラビアコート、グラ
ビアリバースコート、ロールコート等の公知の手段を用
いて塗布、乾燥及び硬化することによって形成する方法
が挙げられる。
【0036】電離放射線硬化性樹脂の硬化には、紫外線
または電子線等の放射線が使用される。電離放射線によ
る硬化は、塗布直後でもよく、またプライマー層4′
b、紫外線吸収層4′c及び接着層4′dの形成後であ
ってもよい。後者の場合、硬化前であって軟らかい状態
の保護層の電離放射線硬化性樹脂インキと、紫外線吸収
層のインキとが混合したり、溶剤アタックが生じるの
を、プライマー層4′bにより有効に防止できる。転写
性保護層積層体4′を構成するプライマー層4′bは、
上述の保護層4′aと紫外線吸収層4′cとの接着性を
向上させる作用をなし、また、転写性保護層積層体4′
の形成において、電離放射線を照射する前の非常に軟ら
かい状態の保護層4′aと紫外線吸収層4′cとの間で
の溶剤アタックや樹脂混合を防止するバリアー層として
の役割もなす層である。このようなプライマー層4′b
はメチルメタクリレート、エチルメタクリレート等のア
クリル系樹脂をグラビアコート、グラビアリバースコー
ト、ロールコート等の公知の手段を用いて保護層4′a
上に塗布、乾燥することにより形成され、その厚さは
0.1〜5μm程度とすることができる。
【0037】転写性保護層積層体4′を構成する紫外線
吸収層4′cは、被転写体に転写された画像等の耐光性
を向上させるための層である。この紫外線吸収層4′c
は、反応性紫外線吸収剤を反応結合させた樹脂を含有す
ることが好ましい。具体的には、従来公知の有機系紫外
線吸収剤であるサリシレート系、ベンゾフェノン系、ベ
ンゾトリアゾール系、置換アクリロニトリル系、ニッケ
ルキレート系、ヒンダートアミン系等の非反応性紫外線
吸収剤に、例えば、ビニル基やアクリロイル基、メタク
リロイル基等の付加重合性二重結合、あるいはアルコー
ル性水酸基、アミノ基、カルボキシル基、エポキシ基、
イソシアネート基等を導入したものを使用することがで
きる。
【0038】紫外線吸収層4′cの形成は、グラビアコ
ート、グラビアリバースコート、ロールコート等の公知
の手段を用いて行うことができる。形成する紫外線吸収
層4′cの厚みは0.5〜5μm程度、好ましくは1〜
2μm程度とする。転写性保護層積層体4′を構成する
接着層4′dは、上述の転写性保護層積層体4を構成す
る接着層4bと同様に形成することができるので、ここ
での説明は省略する。
【0039】(転写性保護層積層体4″)転写性保護層
積層体4″を構成する保護層4″aは、ポリメチルメタ
クリレート(PMMA)とワックスとの混合物を主成分
とするものである。PMMAは透明性に優れており、比
較的強靱な被膜を形成することができ、保護層4″aに
硬度をもたせ、耐擦過性や耐薬品性等の耐久性を付与す
ることができる。また、被転写体への転写性保護層積層
体4″の転写時の膜切れを良好なものとすることができ
る。
【0040】ワックスは、保護層4″aに滑り性を付与
するために保護層4″aに含有され、上述の保護層4a
の説明で挙げたワックスを使用することができる。ワッ
クスの使用量は、PMMA100重量部当たり0.5〜
5重量部の範囲が好ましい。ワックスの使用量が0.5
重量部未満であると、保護層4″aの耐擦過性が不十分
となり、また、5重量部を超えると、保護層4″aの耐
久性や透明性が不十分となり好ましくない。また、保護
層4″aには、実質的に透明な無機または有機の微粒子
をPMMAに対して5〜20重量%の範囲で含有させる
ことができる。このような微粒子を含有させることによ
って、転写性保護層積層体4″の転写時の膜切れが向上
し、さらに、保護層4″aの耐擦過性等を更に向上させ
ることができるとともに、保護層4″aの表面光沢を抑
えてマット調の表面を得ることができる。
【0041】さらに、保護層4″aに紫外線吸収剤、酸
化防止剤、蛍光増白剤等の添加剤を含有させることによ
って、転写された後の保護層4″aで覆われる画像等の
光沢、耐光性、耐候性、白色度等を向上させることがで
きる。基材シート2上に保護層4″aを形成する方法と
しては、PMMAとワックスを混合し、必要に応じて適
当な溶剤や添加剤を加え粘度等を調製してインキを作製
し、このインキを基材シート上にグラビアコート、グラ
ビアリバースコート、ロールコート等の公知の手段を用
いて塗布、乾燥する方法が挙げられる。形成する保護層
4″aの厚みは、0.5〜5μm程度、好ましくは1〜
3μm程度とする。
【0042】転写性保護層積層体4″を構成する紫外線
吸収層4″bは、上述の転写性保護層積層体4′を構成
する紫外線吸収層4′cと同様に形成することができる
ので、ここでの説明は省略する。転写性保護層積層体
4″を構成する接着層4″cは、転写性保護層積層体
4″の被転写体への転写を容易にする作用をなすもので
ある。この接着層4″cを形成する接着剤としては、ア
クリル樹脂、塩化ビニル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル
共重合体、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、スチレ
ン−アクリル共重合体等の熱溶融性接着剤を使用するこ
とができる。接着層4″cの形成はグラビアコート、グ
ラビアリバースコート、ロールコート等の公知の手段に
より行うことができ、接着層4″cの厚みは0.5〜5
μm程度が好ましい。また、接着層4″cには、酸化防
止剤、蛍光増白剤等の添加剤を含有させてもよい。
【0043】尚、本発明の熱転写シート1では基材シー
ト2と転写性保護層積層体4(4′、4″)との間の密
着性を向上させる目的で、基材シート2と保護層4a
(4′a、4″a)との間に密着層を形成してもよい。
この密着層は、基材シート2と、保護層4a(4′a、
4″a)との接着をより強固とするものであればよく、
例えば、ポリウレタン樹脂、アクリルポリオール樹脂、
塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体等を単独あるいは混合
して塗布、乾燥し形成することができる。また、必要に
応じてポリイソシアネート等の反応性硬化剤を添加して
もよく、さらに、チタネート及びシラン系のカップリン
グ剤を使用してもよい。
【0044】(背面層5)基材シート2の裏面に設けら
れている背面層5は、サーマルヘッド等の加熱デバイス
と基材シート2との熱融着を防止し、走行を滑らかに行
う目的で設けられる。この背面層5に用いる樹脂として
は、例えば、エチルセルロース、ヒドロキシセルロー
ス、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロー
ス、酢酸セルロース、酢酪酸セルロース、ニトロセルロ
ース等のセルロース系樹脂、ポリビニルアルコール、ポ
リ酢酸ビニル、ポリビニルブチラール、ポリビニルアセ
タール、ポリビニルピロリドン等のビニル系樹脂、ポリ
メタクリル酸メチル、ポリアクリル酸エチル、ポリアク
リルアミド、アクリロニトリル−スチレン共重合体等の
アクリル系樹脂、ポリアミド樹脂、ポリビニルトルエン
樹脂、クマロンインデン樹脂、ポリエステル系樹脂、ポ
リウレタン樹脂、シリコーン変性又はフッ素変性ウレタ
ン等の天然又は合成樹脂の単体又は混合物が用いられ
る。背面層5の耐熱性をより高めるために上記の樹脂の
うち、水酸基系の官能基を有している樹脂を使用し、架
橋剤としてポリイソシアネート等を併用して、架橋樹脂
層とすることが好ましい。
【0045】さらに、サーマルヘッドとの摺動性を付与
するために、背面層5に固形あるいは液状の離型剤又は
滑剤を加えて耐熱滑性をもたせてもよい。離型剤又は滑
剤としては、例えば、ポリエチレンワックス、パラフィ
ンワックス等の各種ワックス類、高級脂肪酸アルコー
ル、オルガノポリシロキサン、アニオン系界面活性剤、
カチオン系界面活性剤、両性界面活性剤、ノニオン系界
面活性剤、フッ素系界面活性剤、有機カルボン酸および
その誘導体、フッ素系樹脂、シリコーン系樹脂、タル
ク、シリカ等の無機化合物の微粒子等を用いることがで
きる。背面層5に含有される滑剤の量は5〜50重量
%、好ましくは10〜30重量%程度である。
【0046】このような背面層5の厚みは0.1〜10
μm程度、好ましくは0.5〜5μm程度とすることが
できる。尚、本発明の熱転写シート1は、図3に示すよ
うに染料層3がイエロー(3Y)、マゼンタ(3M)、
シアン(3C)およびブラック(3BK)の4色のもの
があるが、本発明の熱転写シートはこれに限定されるも
のではなく、目的に応じて任意の色相の染料層を設ける
ことができる。
【0047】図4は本発明の熱転写シートの他の実施形
態を示す平面図である。図4において、熱転写シート1
1は、基材シート(図示せず)上にイエロー、マゼン
タ、シアンの各色相の昇華性染料を含有する各染料層1
3Y、13M、13Cからなる染料層13、熱溶融性イ
ンキ層15および転写性保護層積層体14を面順次に形
成したものである。この熱転写シート11を構成する基
材シートは上述の熱転写シート1の基材シート2と同様
のものを使用することができる。また、染料層13は上
述の熱転写シート1の染料層3と同様にして形成するこ
とができ、染料層13の3色の染料層13Y、13M、
13Cのうちの少なくとも1つを上述のような2層構造
とすることができる。さらに、転写性保護層積層体14
は上述の熱転写シート1の転写性保護層積層体4
(4′、4″)と同様に形成することができ、ここでの
説明は省略する。
【0048】熱転写シート11の熱溶融性インキ層15
は、従来公知の熱溶融性インキ層とすることができ、特
に制限されるものではない。この熱溶融性インキ層15
の一例として、基材シート側から剥離OP層と熱溶融性
の着色インキ層がこの順に積層されたものを挙げること
ができる。このような熱溶融性インキ層15を構成する
剥離OP層は、例えば、マイクロクリスタリンワック
ス、カルナバワックス、パラフィンワックス、フィッシ
ャートロプシュワックス、各種低分子量ポリエチレン、
木ロウ、ミツロウ、鯨ロウ、イボタロウ、羊毛ロウ、セ
ラックワックス、キャンデリラワックス、ペトロラクタ
ム、一部変性ワックス、脂肪酸エステル、脂肪酸アミド
等のワックス類や、シリコーンワックス、シリコーン樹
脂、フッ素樹脂、アクリル樹脂、セルロース樹脂、塩化
ビニル−酢酸ビニル共重合体、硝化綿などを用いて形成
することができる。
【0049】剥離OP層の形成は、ホットメルトコー
ト、ホットラッカーコート、グラビアコート、グラビア
リバースコート、ロールコート等の従来公知の手段を用
いて塗布、乾燥することにより行うことができる。この
剥離OP層の厚さは0.1〜5μm程度が好ましい。ま
た、剥離OP層をマット調とする場合、剥離OP層中に
上述の染料層3に使用するような有機または無機の微粉
末を含有させてもよい。また、熱溶融性インキ層15を
構成する熱溶融性の着色インキ層は、着色剤とバインダ
ーとからなり、更に必要に応じて種々の添加剤を加えた
ものである。着色剤としては、有機または無機の顔料あ
るいは染料のうち、記録材料として良好な特性を有する
もの、例えば、十分な着色濃度を有し、光や熱等により
変褪色しないものが好ましい。着色剤は、イエロー、マ
ゼンタ、シアン等を使用することができるが、高濃度で
明瞭な文字や記号等を転写する場合、黒色の着色剤が好
ましい。
【0050】バインダーとしては、樹脂及びワックス等
の混合物が用いられる。ワックスとしては、例えば、マ
イクロクリスタリンワックス、カルナバワックス、パラ
フィンワックス、フィッシャートロプシュワックス、各
種低分子量ポリエチレン、木ロウ、ミツロウ、鯨ロウ、
イボタロウ、羊毛ロウ、セラックワックス、キャンデリ
ラワックス、ペトロラクタム、一部変性ワックス、脂肪
酸エステル、脂肪酸アミド等を挙げることができる。ま
た、樹脂としては、アクリル樹脂、塩化ビニル樹脂、塩
化ビニル−酢酸ビニル共重合体等が挙げられる。
【0051】このような熱溶融性の着色インキ層の形成
は、ホットメルトコート、ホットラッカーコート、グラ
ビアコート、グラビアリバースコート、ロールコート等
の従来公知の手段を用いて塗布、乾燥することにより行
うことができ、厚みは0.2〜10μm程度が好まし
い。尚、基材シートとの剥離性を向上させるために、剥
離OP層と基材シートとの間に離型層を設けてもよい。
この離型層は、ウレタン、ポリビニルアルコール、ポリ
ビニルピロリドン、シリコーン等を用いて形成すること
ができる。
【0052】
【実施例】以下に、実施例及び比較例を示し、本発明を
詳述する。 (実施例1)厚さ6μmのポリエチレンテレフタレート
フィルム(東レ(株)製 ルミラー)の一方の面に、下
記組成の背面層インキをグラビアコート法により塗布
(塗布量1.0g/m2 (乾燥時))して乾燥し、その
後、60℃で5日間保持して硬化処理を施し、背面層を
形成した。
【0053】 (背面層用インキの組成) ポリビニルブチラール樹脂 3.6重量部 (積水化学工業(株)製 エスレックBX−1) ポリイソシアネート 8.4重量部 (大日本インキ(株)製 バーノックD750) リン酸エステル系界面活性剤 2.8重量部 (第一工業製薬(株)製 プライサーフA208S) タルク(日本タルク(株)製 ミクロエースP−3) 0.6重量部 メチルエチルケトン/トルエン(重量比1/1) 190重量部
【0054】次に、下記組成のイエロー、マゼンタ、シ
アンおよびブラックの4色の染料層用インキAを調製し
た。 (イエロー染料層用インキA) 分散染料 5.5重量部 下記構造式(III )で表されるキノフタロン染料 アセトアセタール樹脂 3.5重量部 (積水化学工業(株)製 KS−5) リン酸エステル 0.1重量部 (第一工業製薬(株)製 プライサーフA−208S) ポリエチレンパウダー 0.1重量部 (ASTOR WAX Co.製 MF8F) トルエン 45重量部 メチルエチルケトン 45重量部
【0055】
【化3】
【0056】(マゼンタ染料層用インキA)分散染料と
してマゼンタ分散染料(C.I.Disperse R
ed 60)を5.5重量部使用した他は上記のイエロ
ー染料層用インキAと同様である。 (シアン染料層用インキA)分散染料としてシアン分散
染料(C.I.Solvent Blue 63)を
5.5重量部使用した他は上記のイエロー染料層用イン
キAと同様である。 (ブラック染料層用インキA)分散染料として上記構造
式(III )で表されるキノフタロン染料を1.5重量
部、C.I.Disperse Red 60を1.5
重量部、C.I.Solvent Blue 63を
1.5重量部使用した他は上記のイエロー染料層用イン
キAと同様である。
【0057】次いで、上記のポリエチレンテレフタレー
トフィルムの背面層を形成した面と反対の面に、グラビ
アコート法により上記の染料層用インキAをイエロー、
マゼンタ、シアンおよびブラックの順に面順次に幅15
cm(基材シートの流れ方向の長さ)で塗布(塗布量1
g/m2 (乾燥時))し乾燥して、4色1セットの染料
層を形成した。尚、各セット間には15cmの間隔を設
けた。
【0058】次に、下記組成の保護層用インキおよび接
着層用インキを用意した。 (保護層用インキの組成) アクリル樹脂 15重量部 塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体 5重量部 ポリエチレンワックス 0.3重量部 ポリエステル樹脂 0.1重量部 メチルエチルケトン 40重量部 トルエン 40重量部
【0059】 (接着層用インキの組成) 塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体 20重量部 メチルエチルケトン 100重量部 トルエン 100重量部 次いで、ポリエチレンテレフタレートフィルムの染料層
が形成されていない領域(幅15cm)に上記の保護層
用インキをグラビアコート法により塗布(塗布量4g/
2 (乾燥時))し乾燥して保護層を形成し、さらに、
この保護層上に上記の接着層用のインキをグラビアコー
ト法により塗布(塗布量1g/m2 (乾燥時))し乾燥
して接着層を形成し、転写性保護積層体を形成した。こ
れにより、本発明の実施例1の熱転写シートを得た。
【0060】(実施例2)下記の組成の染料層第1層用
の各インキBを準備した。 (シアン染料層用インキB) 分散染料 5.5重量部 C.I.Solvent Blue 63 アセトアセタール樹脂 4.5重量部 (積水化学工業(株)製 KS−5) ポリエチレンパウダー 0.1重量部 (ASTOR WAX Co.製 MF8F) トルエン 45重量部 メチルエチルケトン 45重量部
【0061】(ブラック染料層用インキB)分散染料と
して上記構造式(III )で表されるキノフタロン染料を
1.5重量部、C.I.Disperse Red 6
0を1.5重量部、C.I.Solvent Blue
63を1.5重量部使用した他は上記のイエロー染料
層用インキAと同様である。次に、実施例1と同様に準
備したポリエチレンテレフタレートフィルムの背面層を
形成した面と反対の面に、グラビアコート法により上記
の染料層用のインキBおよび実施例1にて使用したのと
同じインキAを用いて、イエロー、マゼンタ、シアンお
よびブラックの順に面順次に幅15cm(基材シートの
流れ方向の長さ)で塗布し乾燥して、4色1セットの染
料層を形成した。
【0062】尚、各セット間には15cmの間隔を設け
た。また、インキ塗布は、まず、イエロー染料層用イン
キA、マゼンタ染料層用インキA、シアン染料層用イン
キB、ブラック染料層用インキBの各インキを用いて、
各染料層(シアン染料層及びブラック染料層は第1層
目)を形成(塗布量1g/m2 (乾燥時))し、その後
シアン染料層用インキA、ブラック染料層用インキAの
各インキを用いてシアン染料層及びブラック染料層の第
2層目を形成(塗布量1g/m2 (乾燥時))した。そ
の後、ポリエチレンテレフタレートフィルムの染料層が
形成されていない領域(幅15cm)に実施例1と同様
にして転写性保護層積層体を形成し、図3に示されるよ
うな本発明の実施例2の熱転写シートを得た。
【0063】(実施例3)下記の組成の染料層用の各イ
ンキCを使用した他は、実施例1と同様にして本発明の
実施例3の熱転写シートを得た。 (イエロー染料層用インキC) 分散染料 5.5重量部 構造式(III )で表されるキノフタロン染料 アセトアセタール樹脂 3.5重量部 (積水化学工業(株)製 KS−5) リン酸エステル 0.175重量部 (第一工業製薬(株)製 プライサーフA−208S) ポリエチレンパウダー 0.1重量部 (ASTOR WAX Co.製 MF8F) トルエン 45重量部 メチルエチルケトン 45重量部
【0064】(マゼンタ染料層用インキC)分散染料と
してマゼンタ分散染料(C.I.Disperse R
ed 60)を5.5重量部使用した他は上記のイエロ
ー染料層用インキCと同様である。 (シアン染料層用インキA)分散染料としてシアン分散
染料(C.I.Solvent Blue 63)を
5.5重量部使用した他は上記のイエロー染料層用イン
キCと同様である。 (ブラック染料層用インキA)分散染料として上記構造
式(III )で表されるキノフタロン染料を1.5重量
部、C.I.Disperse Red 60を1.5
重量部、C.I.Solvent Blue 63を
1.5重量部使用した他は上記のイエロー染料層用イン
キCと同様である。
【0065】(実施例4)下記の組成の染料層用の各イ
ンキDを使用した他は、実施例1と同様にして本発明の
実施例4の熱転写シートを得た。 (イエロー染料層用インキD) 分散染料 5.5重量部 構造式(III )で表されるキノフタロン染料 アセトアセタール樹脂 3.5重量部 (積水化学工業(株)製 KS−5) ポリエチレンパウダー 0.1重量部 (ASTOR WAX Co.製 MF8F) トルエン 45重量部 メチルエチルケトン 45重量部
【0066】(マゼンタ染料層用インキD)分散染料と
してマゼンタ分散染料(C.I.Disperse R
ed 60)を5.5重量部使用した他は上記のイエロ
ー染料層用インキDと同様である。 (シアン染料層用インキD)分散染料としてシアン分散
染料(C.I.Solvent Blue 63)を
5.5重量部使用し、さらにリン酸エステル(第一工業
製薬(株)製 プライサーフA−208S)0.245
重量部を加えた。他は上記のイエロー染料層用インキD
と同様である。 (ブラック染料層用インキD)分散染料として構造式
(III )で表されるキノフタロン染料を1.5重量部、
C.I.Disperse Red 60を1.5重量
部、C.I.Solvent Blue 63を1.5
重量部使用した他は上記のイエロー染料層用インキDと
同様である。
【0067】(実施例5)下記の組成の染料層用の各イ
ンキEを使用した他は、実施例1と同様にして本発明の
実施例5の熱転写シートを得た。 (イエロー染料層用インキE) 分散染料 5.5重量部 構造式(III )で表されるキノフタロン染料 アセトアセタール樹脂 3.5重量部 (積水化学工業(株)製 KS−5) リン酸エステル 0.175重量部 (第一工業製薬(株)製 プライサーフA−208B) トルエン 45重量部 メチルエチルケトン 45重量部
【0068】(マゼンタ染料層用インキE)分散染料と
してマゼンタ分散染料(C.I.Disperse R
ed 60)を5.5重量部使用した他は上記のイエロ
ー染料層用インキEと同様である。 (シアン染料層用インキE)分散染料としてシアン分散
染料(C.I.Solvent Blue 63)を
5.5重量部使用した他は上記のイエロー染料層用イン
キEと同様である。 (ブラック染料層用インキE)分散染料として構造式
(III )で表されるキノフタロン染料を1.5重量部、
C.I.Disperse Red 60を1.5重量
部、C.I.Solvent Blue 63を1.5
重量部使用した他は上記のイエロー染料層用インキEと
同様である。
【0069】(実施例6)下記の組成の染料層用の各イ
ンキFを使用した他は、実施例1と同様にして本発明の
実施例6の熱転写シートを得た。 (イエロー染料層用インキF) 分散染料 5.5重量部 構造式(III )で表されるキノフタロン染料 アセトアセタール樹脂 3.5重量部 (積水化学工業(株)製 KS−5) トルエン 45重量部 メチルエチルケトン 45重量部
【0070】(マゼンタ染料層用インキF)分散染料と
してマゼンタ分散染料(C.I.Disperse R
ed 60)を5.5重量部使用した他は上記のイエロ
ー染料層用インキFと同様である。 (シアン染料層用インキF)分散染料としてシアン分散
染料(C.I.Solvent Blue 63)を
5.5重量部使用し、さらにリン酸エステル(第一工業
製薬(株)製 プライサーフA−208B)0.245
重量部を加えた。他は上記のイエロー染料層用インキF
と同様である。 (ブラック染料層用インキF)分散染料として構造式
(III )で表されるキノフタロン染料を1.5重量部、
C.I.Disperse Red 60を1.5重量
部、C.I.Solvent Blue 63を1.5
重量部使用した他は上記のイエロー染料層用インキFと
同様である。
【0071】(実施例7)下記の組成の染料層用の各イ
ンキGを使用した他は、実施例1と同様にして本発明の
実施例7の熱転写シートを得た。 (イエロー染料層用インキG) 分散染料 5.5重量部 構造式(III )で表されるキノフタロン染料 アセトアセタール樹脂 3.5重量部 (積水化学工業(株)製 KS−5) リン酸エステル 0.175重量部 (堺科学(株)製 PhoslexA) ポリエチレンパウダー 0.1重量部 (ASTOR WAX Co.製 MF8F) トルエン 45重量部 メチルエチルケトン 45重量部
【0072】(マゼンタ染料層用インキG)分散染料と
してマゼンタ分散染料(C.I.Disperse R
ed 60)を5.5重量部使用した他は上記のイエロ
ー染料層用インキGと同様である。 (シアン染料層用インキG)分散染料としてシアン分散
染料(C.I.Solvent Blue 63)を
5.5重量部使用した他は上記のイエロー染料層用イン
キGと同様である。 (ブラック染料層用インキG)分散染料として上記構造
式(III )で表されるキノフタロン染料を1.5重量
部、C.I.Disperse Red 60を1.5
重量部、C.I.Solvent Blue 63を
1.5重量部使用した他は上記のイエロー染料層用イン
キGと同様である。
【0073】(実施例8)下記の組成の染料層用の各イ
ンキHを使用した他は、実施例1と同様にして本発明の
実施例8の熱転写シートを得た。 (イエロー染料層用インキH) 分散染料 5.5重量部 構造式(III )で表されるキノフタロン染料 アセトアセタール樹脂 3.5重量部 (積水化学工業(株)製 KS−5) リン酸エステル 0.175重量部 (第一工業製薬(株)製 プライサーフA−219B) ポリエチレンパウダー 0.1重量部 (ASTOR WAX Co.製 MF8F) トルエン 45重量部 メチルエチルケトン 45重量部
【0074】(マゼンタ染料層用インキH)分散染料と
してマゼンタ分散染料(C.I.Disperse R
ed 60)を5.5重量部使用した他は上記のイエロ
ー染料層用インキHと同様である。 (シアン染料層用インキH)分散染料としてシアン分散
染料(C.I.Solvent Blue 63)を
5.5重量部使用した他は上記のイエロー染料層用イン
キHと同様である。 (ブラック染料層用インキH)分散染料として上記構造
式(III )で表されるキノフタロン染料を1.5重量
部、C.I.Disperse Red 60を1.5
重量部、C.I.Solvent Blue 63を
1.5重量部使用した他は上記のイエロー染料層用イン
キHと同様である。
【0075】(比較例1)下記の組成の染料層用の各イ
ンキIを使用した他は、実施例1と同様にして比較例1
の熱転写シートを得た。 (イエロー染料層用インキI) 分散染料 5.5重量部 構造式(III )で表されるキノフタロン染料 アセトアセタール樹脂 3.5重量部 (積水化学工業(株)製 KS−5) ポリエチレンパウダー 0.1重量部 (ASTOR WAX Co.製 MF8F) トルエン 45重量部 メチルエチルケトン 45重量部
【0076】(マゼンタ染料層用インキI)分散染料と
してマゼンタ分散染料(C.I.Disperse R
ed 60)を5.5重量部使用した他は上記のイエロ
ー染料層用インキIと同様である。 (シアン染料層用インキI)分散染料としてシアン分散
染料(C.I.Solvent Blue 63)を
5.5重量部使用した他は上記のイエロー染料層用イン
キIと同様である。 (ブラック染料層用インキI)分散染料として上記構造
式(III )で表されるキノフタロン染料を1.5重量
部、C.I.Disperse Red 60を1.5
重量部、C.I.Solvent Blue 63を
1.5重量部使用した他は上記のイエロー染料層用イン
キIと同様である。
【0077】(比較例2)下記の組成の染料層用の各イ
ンキJを使用した他は、実施例1と同様にして比較例2
の熱転写シートを得た。 (イエロー染料層用インキJ) 分散染料 5.5重量部 構造式(III )で表されるキノフタロン染料 アセトアセタール樹脂 3.5重量部 (積水化学工業(株)製 KS−5) トルエン 45重量部 メチルエチルケトン 45重量部
【0078】(マゼンタ染料層用インキJ)分散染料と
してマゼンタ分散染料(C.I.Disperse R
ed 60)を5.5重量部使用した他は上記のイエロ
ー染料層用インキJと同様である。 (シアン染料層用インキJ)分散染料としてシアン分散
染料(C.I.Solvent Blue 63)を
5.5重量部使用し、さらに、リン酸エステル(第一工
業製薬(株)製 プライサーフA−208S)1.05
重量部を加えた。他は上記のイエロー染料層用インキJ
と同様である。 (ブラック染料層用インキJ)分散染料として上記構造
式(III )で表されるキノフタロン染料を1.5重量
部、C.I.Disperse Red 60を1.5
重量部、C.I.Solvent Blue 63を
1.5重量部使用した他は上記のイエロー染料層用イン
キJと同様である。
【0079】(比較例3)下記の組成の染料層用の各イ
ンキKを使用した他は、実施例1と同様にして比較例3
の熱転写シートを得た。 (イエロー染料層用インキK) 分散染料 5.5重量部 構造式(III )で表されるキノフタロン染料 アセトアセタール樹脂 3.5重量部 (積水化学工業(株)製 KS−5) ポリエチレンパウダー 0.1重量部 (ASTOR WAX Co.製 MF8F) トルエン 45重量部 メチルエチルケトン 45重量部
【0080】(マゼンタ染料層用インキK)分散染料と
してマゼンタ分散染料(C.I.Disperse R
ed 60)を5.5重量部使用した他は上記のイエロ
ー染料層用インキKと同様である。 (シアン染料層用インキK)分散染料としてシアン分散
染料(C.I.Solvent Blue 63)を
5.5重量部使用し、さらに、リン酸エステル(第一工
業製薬(株)製 プライサーフA−208S)0.00
1重量部を加えた。他は上記のイエロー染料層用インキ
Kと同様である。 (ブラック染料層用インキK)分散染料として上記構造
式(III )で表されるキノフタロン染料を1.5重量
部、C.I.Disperse Red 60を1.5
重量部、C.I.Solvent Blue 63を
1.5重量部使用した他は上記のイエロー染料層用イン
キKと同様である。
【0081】熱転写シートの評価 まず下記の組成からなるカード基材用のセンターコア
(厚み0.2mm)を準備した。 (センターコアの組成) 塩化ビニルコンパウンド 100重量部 (重合度800、安定剤等の添加剤含有量約10重量%) 白色顔料(酸化チタン) 10重量部 可塑剤(ジオクチルフタレート) 0.5重量部
【0082】次に、下記組成からなる透明シート(厚み
0.15mm)を作製し、上記のセンターコアの両面に
熱圧着させて3層構造のカード基材(54×86cm)
を作製した。 (透明シートの組成) 塩化ビニルコンパウンド 100重量部 (重合度800、安定剤等の添加剤含有量約10重量%) 可塑剤(ジオクチルフタレート) 0.5重量部
【0083】次に、上述のように作製した各熱転写シー
ト(実施例1〜8、比較例1〜3)と上記のカード基材
について、下記の条件で剥離性評価を行い、結果を下記
の表1に示した。 (剥離性評価条件)上記のカード基材に上記の各熱転写
シート((実施例1〜8、比較例1〜3)を重ね、画像
を色分解して得た電気信号に連結したサーマルヘッドを
用い、熱エネルギーを熱転写シートの背面側より付与
し、イエロー、マゼンタ、シアンの順に昇華転写を行っ
て、フルカラー画像を形成し、さらにブラック染料層を
用いて署名文字を形成し、この際のカード基材と熱転写
シートとの剥離性を評価した。剥離性のない熱転写シー
トは、カード基材に熱融着してプリンタジャムを発生す
る。
【0084】次いで、上述のように形成したフルカラー
画像を覆うように、上記の熱転写シートの転写性保護層
積層体を転写してカードを作製した。尚、剥離性評価の
プリンタは、ソニー(株)製UP−D6600とVDS
社製CP−510の2種を使用し、総合的に評価する。
剥離性評価は以下の基準を用いて、上記条件のカード基
材で、具体的には大日本印刷(株)製スタンダードカー
ドと、同社製ICカード及びシルコックス社製D2カー
ドの3種のカードへの転写度合いを総合的に目視により
評価し、判定を行った。
【0085】(剥離性評価基準) A:異常転写及び熱融着の発生がない。 B:異常転写及び熱融着の発生がないが、熱転写シート
からの染料のとられが生じる。 C:熱融着は発生しないが、異常転写が発生する。 D:熱融着が発生する。
【0086】さらに、このカードについて、下記のよう
な裏移り評価と染料析出評価を行い、結果を下記の表1
に示す。 (裏移り評価条件)上記の各熱転写シート((実施例1
〜8、比較例1〜3)の染料層側と、実施例1と同様の
背面層のみを形成したシートの背面層側とを接するよう
に重ね、ブロッキングテスターを用いて、40kg/c
2 の荷重をかけ、60℃で80時間保存した後、評価
を行った。 (裏移り評価基準)染料の背面層への移行の度合いを目
視にて、評価した。 ○:染料の移行発生なし。 ×:染料の移行発生あり。
【0087】(染料析出評価条件)上記の各熱転写シー
ト((実施例1〜8、比較例1〜3)の染料層側と、王
子油化(株)製合成紙HDU60とを重ね合わせ、40
g/cm2 の荷重をかけ60℃にて100時間保存した
後、評価した。 (染料析出評価基準)染料の析出の度合いを、合成紙H
DU60へ染料が移行し付着した度合いで、目視にて評
価した。 ○:染料の付着なし。 ×:染料の付着あり。
【0088】(評価結果)
【表1】 *1:染料層バインダー樹脂に対するリン酸エステルの含有する重量比を%で 示した。 *2:カード基材の種類によっては、A判定の場合もある。
【0089】上記の評価結果は、染料層に昇華性染料、
バインダー樹脂及びリン酸エステルを含有している熱転
写シート(実施例1〜8)は、カード基材に対して、良
好な剥離性を示すものであった。また、熱転写シートの
背面側への染料の転移移行(裏移り)もなく、さらに、
染料の析出もなく、良好な結果を示した。それに対し、
リン酸エステルの添加が無いもの(比較例1)、及びリ
ン酸エステルの添加量が単色のみで、かつ添加量が少量
のもの(比較例3)については、カード基材との剥離性
が劣り、熱融着や異常転写が生じた。また、リン酸エス
テルの添加量が多いもの(比較例2)については、カー
ド基材との剥離性は良好であるものの、熱転写シートの
背面側への染料の転移移行(裏移り)が生じるという結
果を得た。
【0090】
【発明の効果】本発明によれば、以上説明したように、
基材シートの一方の面に、少なくとも1色以上の染料層
を設けた熱転写シートにおいて、該染料層が少なくとも
昇華性染料、バインダー樹脂及びリン酸エステルを含有
していることにより、被転写体の基材材質に影響される
ことなく、被転写体との剥離性に安定して、優れてい
て、良好な転写画像形成が可能となる。また、リン酸エ
ステルの染料層への添加量と、リン酸エステルの酸価を
適度の範囲にして、熱転写シートの背面側への染料の転
移移行(裏移り)や、染料層における染料の析出を防止
することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の熱転写シートの1つの実施形態を示す
平面図である。
【図2】本発明の熱転写シートの1つの実施形態を示す
平面図である。
【図3】本発明の熱転写シートの1つの実施形態の構成
を示す概略断面図である。
【図4】本発明の熱転写シートの1つの実施形態を示す
平面図である。
【符号の説明】 1、11 ─ 熱転写シート 2 ─ 基材シート 3(3Y、3M、3C、3BK)、13(13Y、13
M、13C、13BK)─ 染料層 4、14 ─ 転写性保護層積層体 5 ─ 背面層 15 ─ 熱溶融性インキ層

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基材シートの一方の面に、少なくとも1
    色以上の染料層を設けた熱転写シートにおいて、該染料
    層が少なくとも昇華性染料、バインダー樹脂及びリン酸
    エステルを含有していることを特徴とする熱転写シー
    ト。
  2. 【請求項2】 前記リン酸エステルの酸価が40〜70
    0の範囲であることを特徴とする上記の請求項1に記載
    する熱転写シート。
  3. 【請求項3】 前記染料層は、前記バインダー樹脂10
    0重量部に対して、0.1〜30%の範囲で前記リン酸
    エステルを含有していることを特徴とする上記の請求項
    1または請求項2に記載する熱転写シート。
  4. 【請求項4】 前記染料層は、前記バインダー樹脂10
    0重量部に対して、1〜7%の範囲で有機または無機の
    微粉末を含有していることを特徴とする上記の請求項1
    乃至請求項3のいずれかに記載する熱転写シート。
  5. 【請求項5】 少なくとも1色の前記染料層は複層構造
    であることを特徴とする上記の請求項1乃至請求項4の
    いずれかに記載する熱転写シート。
  6. 【請求項6】 基材シートの一方の面に、少なくとも1
    色以上の染料層と、転写性保護層積層体及び/または熱
    溶融性インキ層を有することを特徴とする上記の請求項
    1乃至請求項5のいずれかに記載する熱転写シート。
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