JP2004050754A - 感熱転写リボンおよびこの感熱転写リボンを使用した感熱転写方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】1つの感熱転写リボンにより画像の印刷とセキュリティー部分の形成を行うことができ、生産性を向上させるとともにコストを低減することができる感熱転写リボン、および、この感熱転写リボンを使用した再転写方法を提供する。
【解決手段】基材上に、被転写体に着色剤を転写して画像を形成するための着色剤層形成領域、および、形成された画像を特定するための情報を印字するのに用いるセキュリティー層を形成するためのセキュリティー層形成領域を有することを特徴とする。
【選択図】 図1
【解決手段】基材上に、被転写体に着色剤を転写して画像を形成するための着色剤層形成領域、および、形成された画像を特定するための情報を印字するのに用いるセキュリティー層を形成するためのセキュリティー層形成領域を有することを特徴とする。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は感熱転写リボンに関し、より詳しくは、形成した画像を有する被転写体を特定するために必要な情報を印字するためのセキュリティー層を形成することができる感熱転写リボン、および、この感熱転写リボンを用いた感熱転写方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、真偽を識別するためのいわゆるIDカード等を簡便に作製する方法は以下のとおりであった。まず、感熱転写リボンを搭載したサーマルプリンター等を使用して、カードに画像を印刷してベースとなるカードを作成する。そして、その印刷されたカードを特定するための情報、たとえば本人である情報等を、そのカード上にホログラムで浮き彫りにできるようにホログラム箔を貼り付けたり、確認情報を磁気データとするために磁気層を設けて磁気ストライプとしたり、確認情報をバーコードにするための2次元バーコードを設ける等の特別の処理をすることで、いわゆるセキュリティー層を設けてカードを作成していた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、このような従来の方法で最終的にIDカード等を作製するには、カードに情報を印刷するための印刷用リボンと、そのカードを特定するための情報を印字するためのセキュリティー層を設けるためのリボンといった、少なくとも2つのリボンが必要であった。したがって、リボンを取り替えて印字しなければならないことから、カードの作製工程も必然的に2工程とならざるを得ないため、生産性が悪く、コストもかかるという問題点があった。
【0004】
本発明は上記問題点を解決するためになされたものであり、1つの感熱転写リボンにより画像の印刷とセキュリティー層の形成を行うことができるため、生産性を向上させるとともにコストを低減することができる感熱転写リボンを提供することを目的とする。
【0005】
また、印刷画像が転写される被転写体自身が熱に弱い材質の場合や、凹凸があるため均一に熱がかけられない材質のような場合には、簡便な感熱転写方法で印刷ができないことがあった。このため、従来の感熱転写では印刷ができなかったような被転写体であっても印刷が可能な感熱転写方法が求められていた。
【0006】
本発明はこのような問題点も解決するためになされたものであり、上記感熱転写リボンを用いて一旦転写用部材に画像を印刷した後、さらに別の被転写体に再転写することにより、簡便な感熱転写を用いてどのような被転写体にも印刷画像を形成することができる、印刷画像の再転写方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の感熱転写リボンは、基材の同一面上に、被転写体に着色剤を転写して画像を形成するための着色剤層形成領域、および、形成された画像を特定するための情報を印字するのに用いるセキュリティー層を形成するためのセキュリティー層形成領域を有することを特徴とする。
【0008】
また本発明の感熱転写リボンは、基材上に、被転写体に着色剤を転写して画像を形成するための着色剤層、および、この着色剤層の上面または前記基材と前記着色剤層との間に、形成された画像を特定するための情報を印字するのに用いるセキュリティー層を有することを特徴とする。
【0009】
さらに本発明の印刷画像の再転写方法は、基材上に剥離層と受像層とを有する転写用部材を用意し、上記いずれかの感熱転写リボンを用いて熱エネルギーを付与することで前記転写用部材の受像層上に画像を印刷し、得られた画像を有する前記受像層上に被転写体を密着させ、画像を前記被転写体上に再転写することを特徴とする。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好ましい実施態様を説明する。図1は本発明におけるカラー用感熱転写リボンの1つの態様を示した断面図である。なお、説明の便宜上、ここでは面順次に形成されたものを挙げてあるが、これ以外の構成、たとえば線順次の構成を有するリボンやモノカラーリボンであってもよいことは言うまでもない。
【0011】
基材1上に、イエローインク領域Y、マゼンタインク領域M、シアンインク領域Cからなる着色剤層形成領域2、および、セキュリティー層形成領域Sを設ける。これらの領域からなるユニットを繰り返したものが本発明の感熱転写リボンである。
【0012】
基材1としては、通常使用される紙あるいはプラスチックのフィルムを使用することができるが、特にポリエステルフィルムが好適に使用される。また、基材の厚さは1〜10μm、好ましくは4〜6μmである。
【0013】
着色剤層形成領域2は、染料、顔料等の公知の着色剤を含む、イエロー、マゼンタ、シアンのインクを公知の方法で調製し、グラビアコーター等により塗布、乾燥して、それぞれのイエローインク領域Y、マゼンタインク領域M、シアンインク領域Cを形成することで作成することができる。なお、染料は通常の染料であっても、昇華染料であってもよい。
【0014】
セキュリティー層形成領域は、金属色インク層、真珠顔料含有層、蛍光色インク層、透かしインク層、赤外線吸収層、赤外線反射層または蓄光層で構成することができる。
【0015】
金属色インク層は、金粉、アルミニウム粉、銅粉などの金属粉、および、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、塩化ビニル酢酸ビニル共重合体等の熱可塑性樹脂を溶剤に溶解した溶液をグラビアコーター等で塗布することで作成することができる。
【0016】
真珠顔料含有層は、真珠顔料として合成アルミナ、雲母等、および、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、塩化ビニル酢酸ビニル共重合体等の熱可塑性樹脂を溶剤に溶解した溶液を、グラビアコーター等で塗布することで作成することができる。
【0017】
蛍光色インク層は、蛍光錯体、蛍光染料、または蛍光顔料等、および、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、塩化ビニル酢酸ビニル共重合体等の熱可塑性樹脂を溶剤に溶解した溶液を、グラビアコーター等で塗布することで作成することができる。
【0018】
蛍光錯体は、特開2002−60743号に開示されている、希土類元素とピロリドン部を有する重量平均分子量が300以上、500未満の高分子化合物からなるものを使用することができる。
【0019】
また、蛍光染料は励起光を照射することにより蛍光を発する染料であればよく、可視光において有色でも無色でもよい。無色の蛍光染料としては、発光色が青色のEB−501(三井東圧染料製)、発光色が黄緑色のEG−302(三井東圧染料製)、発光色が緑色のEG−307(三井東圧染料製)、発光色が赤色のER−120またはER−122(三井東圧染料製)、発光色が青色の蛍光増白剤ユビテックOB(チバガイギー製)、発光色が赤橙色のユーロピウム−テノイルトリフルオロアセトンキレート(シンロイヒ製)等が挙げられる。
【0020】
また、有色蛍光染料は、着色と同じ色に発光する特性を有し、たとえば塩基性染料のカチオンブリリアントフラビン(黄色)、カチオンブリリアントレッド(赤色)、カチオンブリリアントピンク(桃色)、ソットピンク(桃色)、ローダミンB(すべて保土ヶ谷化学製)等が挙げられる。
【0021】
蛍光顔料としては、シンロイヒ製のシンロイヒカラーのFM−10シリーズやFM−100シリーズ、FA−45J、FX305、ルミライトピグメントEXL−8764LL、BASF社製のモルゲンイエローS0790が挙げられる。透かしインク層は、カルナウバワックス、パラフィンワックス等のワックスとエチレン−酢酸ビニル重合体、スチレンーアクリル樹脂等の透明樹脂を溶剤に溶かした溶液を、グラビアコーター等で塗布することで作成することができる。層中の透明樹脂とワックスの量は、ワックス:樹脂=5〜95:95〜5の範囲であることが好ましい。
【0022】
赤外線吸収層は、赤外線吸収剤および、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、塩化ビニル酢酸ビニル共重合体等の熱可塑性樹脂を溶剤に溶解した溶液を、グラビアコーター等で塗布することで作成することができる。赤外線吸収剤としては近赤外線吸収物質および、赤外線吸収性色素を使用することができる。
【0023】
近赤外線吸収物質としては、カーボンブラックや、ポリメチレン系、アズレニウム系、スクワリリウム系、チオビリリウム系、アントラキノン系等の有機化合物、フタロシアニン系、アゾ系、チオアミド系等の有機金属錯体などが挙げられる。具体的には、三井東圧染料製のSIR−103、SIR−128、SIR−159が、またICI社製のNARROW BAND INFRARED ABSORBER S101756が挙げられる。近赤外線吸収物質は単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。近赤外線吸収物質はセキュリティー層全体に対し、0.01〜50重量%、好ましくは0.01〜30重量%の範囲で含有させるとよい。
【0024】
赤外線吸収性色素としては、公知の顔料または染料を使用することができるが、カーボンブラック顔料、アニリンブラック顔料、酸化鉄ブラック顔料、酸化チタン系ブラック顔料、スピネル型構造系ブラック顔料等が好ましい。また、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社のTINUVINシリーズを使用することができる。
【0025】
赤外線反射層は、赤外反射剤としての赤外線反射性色素とポリエステル樹脂、アクリル樹脂、塩化ビニル酢酸ビニル共重合体等の熱可塑性樹脂を溶剤に溶解した溶液を、グラビアコーター等で塗布することで作成することができる。
【0026】
赤外線反射性色素としては、赤外線を反射する性質を有する公知の顔料や染料を使用することができる。たとえば有機顔料および染料として、フタロシアニン系、アゾ系、アゾメチン系、アンスラキノン系、ペリノン・ペリレン系、インジゴ・チオインジゴ系、ジオキサンジン系、キナクリドン系、イソインドリノン系等の顔料および染料が挙げられる。無機顔料としては、酸化チタン系、酸化鉄系、焼成顔料系、金属粉顔料、体質顔料等の白色または有彩色の顔料が挙げられる。上記色素や顔料は単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0027】
上記の赤外線反射性色素のうち、特に好ましいアゾメチン基を有する色素は、たとえば、特開昭58−174446号、特開昭60−14966号、特開昭54−30221号、特開昭54−141821号、特開昭54−49757号、特開昭56−55456号、特開昭62−30202号、および、特開昭62−138857号に開示されている色素が挙げられる。
【0028】
特にカップリング成分として、2−ヒドロキシ−α−ベンゾカルバゾール−カルボン酸アリルアミドおよびその誘導体を使用したアゾメチン基を有するアゾ顔料は、可視光線下では暗緑色〜黒色の色調を示し、特に黒色においては黒色度の高い鮮明な黒色を示す。しかるに赤外線に対してはほとんど吸収を示さず、高い反射性を示す。上記アゾメチン基を有する色素は耐熱性、耐光性、耐水性、耐薬品性に優れ、また高い着色力を有している。また、顔料タイプの色素では耐溶剤性に極めて優れた性質を示す。
【0029】
以上は本発明において特に好ましく使用される赤外線反射性色素の例であるが、本発明においてはその他の色素や混合色、たとえば赤、青、黄、橙、紫、緑、茶色の色素を混合して得られる配合色も赤外線反射性色素として使用することができる。
【0030】
なお、本発明において「赤外線反射性色素」とは、前述したような、それ自体が赤外線を反射する場合と、それ自体は赤外線を通過するが、色素が施された基体、たとえば紙やプラスチックシート、金属蒸着を施したシート等によって赤外線が反射され、再度この色素によって着色された部分を透過して赤外線を放出する性質を有する色素との双方を意味する。したがって、本発明においては赤外線透過性の高い色素も本発明における「赤外線反射性色素」に包含される。
【0031】
蓄光層は、蓄光剤とポリエステル樹脂、アクリル樹脂、塩化ビニル酢酸ビニル共重合体等の熱可塑性樹脂を溶剤に溶解した溶液を、グラビアコーター等で塗布することで作成することができる。蓄光剤としては、ケミテック製のピカリコシリーズCP50、CP20、CP10、イージーブライト製のPG−03、PG−01、PB−01、FF、根本特殊化学製のGSSシリーズが挙げられる。また、蓄光剤は前述した蛍光色インク層用の材料と組み合わせたものを使用してもよく、たとえば、根本特殊化学製のB−010、Y−010、G−010,O−010、R−010、P−010、OR−010が挙げられる。なお、前述の蛍光色インク層と蓄光層との性質上の違いは、蓄光層には残光があるが蛍光色インク層には残光がないことである。
【0032】
金属色インク層中の金属粉、真珠顔料含有層中の真珠顔料、蛍光色インク層中の蛍光錯体、蛍光染料等、赤外線吸収層中の赤外線吸収剤、赤外線反射層中の赤外線反射剤、および、蓄光層中の蓄光剤のそれぞれの量は、これら配合剤の比重に依存する。ここで配合剤の比重をAとすると、配合剤と樹脂の配合比は、配合剤:樹脂=(1〜2)x A : 1で表すことができる。なお、セキュリティー層としての上記各層の塗布量は0.5〜10.0g/m2であることが好ましい。
【0033】
図2に示すように、黒色インク領域Kを加えて着色剤層形成領域2を形成してもよい。黒色インク領域は、カーボンブラック等の黒色顔料に、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、塩化ビニル酢酸ビニル共重合体等の熱可塑性樹脂を溶剤に溶解した溶液を加えて、ボールミル、アトライター、バスケットミル等を使用してインクを調製し、グラビアコーター等により塗布、乾燥して作成することができる。もちろん、必要に応じて黒色インク以外の着色層としてもかまわない。
【0034】
また、図には示していないが、黒色インク領域Kの位置とセキュリティー層形成領域Sの位置を入れ替えて黒色インク領域Kを着色剤層領域2から独立させてもよい。なお、本図および以下の図において、図1と同じ部材および同じ領域については図1と同じ符号を付し、その説明を省略する。
【0035】
図3に示すように、形成された画像やセキュリティー層を保護するオーバーコート層を形成するためのオーバーコート層形成領域OPを設けてもよい。オーバーコート層を設けることにより、最終的に作製されたカード等の被転写体の耐擦過性、耐溶剤性、耐光性等を向上させることができ、使用寿命を大きく伸ばすことができる。オーバーコート層形成領域は、アクリル樹脂、スチレン−アクリル樹脂等の樹脂を溶剤に溶かした溶液をグラビアコーター等で塗布して形成することができる。必要により、オーバーコート層の上に、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂等の接着層を設けてもよい。なお、形成したオーバーコート層は、後から個人のサイン等を筆記できる部分を兼ねるものであってもよく、たとえば、スチレン−アクリル樹脂とシリカとを溶剤に溶解した溶液を塗布することで作成することができる。
【0036】
なお、以上のようにして作成したオーバーコート層の転写において、転写性が不十分な場合には、ヒドロキシエチルセルロース等で作成した離型層をオーバーコート層と基材との間に設けても良い。
【0037】
基材1と着色剤層形成領域2、セキュリティー層形成領域S、および、必要に応じて設けられるオーバーコート層形成領域OPとの密着性を高めるために、ポリウレタン、ポリエステル等からなる易接着層(不図示)を、基材とこれらの領域との間に設けてもよい。また、着色剤層形成領域2を設けたのと反対側の基材1上に、基材を熱転写時の熱から保護するためにシリコーン樹脂等からなる耐熱保護層(不図示)を設けてもよい。
【0038】
以上は、基材の同一面上に着色剤形成領域とセキュリティー層形成領域を設けた態様、いわゆる面順次の構成について説明したが、本発明はかかる構成のみならず、着色剤形成領域とセキュリティー層形成領域を基材上に独立した各層として形成した態様であってもよい。すなわち、基材上に、被転写体に着色剤を転写して画像を形成するための着色剤層、および、この着色剤層の上面または前記基材と前記着色剤層との間に、形成された画像を特定するための情報を印字するのに用いるセキュリティー層を有する構成の感熱転写リボンである。
【0039】
図4はこの構成のうち、セキュリティー層を着色剤層の上面に設けた態様を示した概略断面図である。図4において、1は基材、3は着色剤層、4はセキュリティー層、そして、Y、MおよびCはそれぞれ、着色剤層3中のイエローインク領域、マゼンタインク領域、シアンインク領域である。図4ではセキュリティー層4をイエローインク領域Yの上に設けた例を示してあるが、セキュリティー層が透明である場合には、イエローインク領域、マゼンタインク領域およびシアンインク領域の少なくとも1つの上に設けてあればよく、設ける領域を選ばない。
【0040】
一方、セキュリティー層が不透明である場合には、図4のようにイエローインク領域上に設けた場合には問題ないが、マゼンタインク領域やシアンインク領域上に設けた場合には、形成される画像の色との兼ね合いで不都合が生じる場合がある。
【0041】
図には示していないが、図2に示したのと同様、必要に応じてさらに黒色インク領域を加えて着色剤層を形成してもよい。また、図3に示したのと同様、形成された画像やセキュリティー層を保護するオーバーコート層を形成するためのオーバーコート層形成領域を設けて着色剤層を形成してもよい。この場合、セキュリティー層が透明であれば、いずれの領域の上に設けてもよいが、不透明の場合にはイエローインク領域、黒色インク領域またはオーバーコート層形成領域の上に設けることが好ましい。
【0042】
なお、昇華染料を用いた着色剤層においては、染料のみが昇華して転写されるため、イエローインク領域、マゼンタインク領域およびシアンインク領域の上にセキュリティー層を設けることができない。黒色インク層またはオーバーコート層形成領域の上のいずれかに設ける必要がある。
【0043】
図5はセキュリティー層4を基材1と着色剤層3との間に設けた態様を示した概略断面図である。この態様の場合には、形成する画像に悪影響を及ぼす場合があるので、セキュリティー層4は透明であることが好ましい。図5では基材1とイエローインク領域Yとの間にセキュリティー層4を設けた例を示してあるが、セキュリティー層が透明であれば、イエローインク領域、マゼンタインク領域、シアンインク領域の少なくとも1つの領域と基材との間に設ければよく、設ける領域を選ばない。
【0044】
また、上記同様、必要に応じて黒色インク領域やオーバーコート層形成領域を設けて着色剤層を形成してもよい。ただしこの場合には、セキュリティー層が透明であってオーバーコート層形成領域が設けられている場合には、オーバーコート層形成領域と基材との間に、また、セキュリティー層が不透明の場合には、黒色インク領域と基材との間にセキュリティー層を設けることが好ましい。
【0045】
上記の態様における着色剤層やセキュリティー層は、図1〜図3で示した面順次の態様の着色剤形成領域、黒色インク領域、セキュリティー層形成領域および、オーバーコート層形成領域と同じ配合、同じ方法で形成することができる。なお、前述の場合と同様に、基材と着色剤層との間に易接着層を、また基材の他方の面上に耐熱保護層を設けてもよいことはいうまでもない。
【0046】
一般的に感熱転写方法では、印刷画像を転写したい被転写体が熱に弱い場合や、被転写体に凹凸があって均一に熱がかけられない場合などには印刷を行うことが困難であった。しかし、本発明の感熱転写リボンを用いた再転写方法によれば、上記のような場合であっても問題なく印刷することができる。以下、図6を用いて本発明の再転写方法を説明する。
【0047】
図6(a)は本発明の再転写方法に使用する転写用部材を示す。転写用部材5は基材6上に、剥離層7と受像層8とを設けた構成を有する。このような転写用部材5の受像層8上に、本発明の感熱転写リボン9をサーマルプリンター等に用いて熱を加える(図6(b))。これにより熱転写された印刷画像10が受像層8上に形成される(図6(c))。次に、最終的に印刷画像を形成したい別の被転写体11を用意し、この被転写体11と印刷画像10が形成されている受像層8とを密着させて(図6(d))、印刷画像10を被転写体11上に再転写させる(図6(e))。こうして、直接感熱転写できない被転写体であっても、簡便な感熱転写方法により印刷画像を形成することができる。なお、本発明の再転写方法で画像を転写した場合には、転写用部材の受像層も印刷画像上に転写され、この受像層がオーバーコート層の役目をするので、印刷画像の保護のために任意に設けるオーバーコート層は不要である。
【0048】
本発明の転写用部材の基材は、すでに説明した感熱転写リボンに使用するのと同じ材料を使用することができる。なお、厚さは12〜25μmが好ましい。剥離層はポリエチレンワックス、ヒドロキシエチルセルロースやアクリル樹脂を溶剤に溶解した溶液をグラビアコーター等で塗布量0.1〜2.0g/m2で塗布して形成する。また受像層は、塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂等の樹脂を溶剤に溶解した溶液を剥離層上に、グラビアコーター等で塗布量1.0〜5.0μmで塗布して形成する。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0049】
【実施例】
【実施例1】
厚さ6μmのポリエステルフィルムの一方の面上にダイアロマーSP712(シリコーン樹脂;大日精化工業製)を0.4g/m2の塗布量となるように、グラビアコーターを用いて塗工し耐熱保護層とした。
【0050】
次に、タンクにメチルエチルケトンを投入し、エリーテルUE3320(ポリエステル樹脂)を溶解させ、この作成した樹脂溶液を攪拌しながら、各顔料分散体を投入して、下記表1に示す組成のシアンインク、マゼンタインク、およびイエローインクの塗布液を作成した。
【表1】
(単位は重量%)
*1:顔料分散体;御国色素製
*2:顔料分散体;御国色素製
*3:顔料分散体;御国色素製
*4:ポリエステル樹脂;ユニチカ製
【0051】
次に、セキュリティー層形成領域として金属色インク層用の塗布液を下記表2に示す配合で作成した。
【表2】
*5 銀粉18000:アルミニウム;福田金属箔粉工業製
【0052】
次に、耐熱保護層を設けたのとは反対側のポリエステルフィルム上に、それぞれのインクの塗布量が1.2g/m2となるようにグラビアコーターを用いて、また、金属色インク層用の塗布液を塗布量が2.0g/m2となるようにグラビアコーターを用いて、VP規格の面順次仕様を参考にして、多種類の面順次リボンのプリントができるようにプリンターのソフトを新たに作成し、それに基づいたセンサーマークと目的のインクを面順次に塗工して本発明の感熱転写リボンを作成した。
【0053】
【実施例2】
金属色インク層を下記表3に示す配合を有する真珠顔料含有層に変更した以外は、実施例1と同様にして本発明の感熱転写リボンを作成した。
【表3】
*6 シラリック120:合成アルミナ;メルクジャパン製
【0054】
【実施例3】
金属色インク層を下記表4に示す配合を有する蛍光色インク層に変更した以外は、実施例1と同様にして本発明の感熱転写リボンを作成した。
【表4】
*7 ルモゲンイエローS0790:蛍光顔料;BASF製
【0055】
【実施例4】
金属色インク層を下記表5に示す配合を有する透かし層に変更した以外は、実施例1と同様にして本発明の感熱転写リボンを作成した。
【表5】
*8 ハイマーSBM−73F:スチレン−アクリル樹脂;三洋化成製
*9 ステアリン酸亜鉛;堺化学製
【0056】
【実施例5】
金属色インク層を下記表6に示す配合を有する赤外線吸収層に変更した以外は、実施例1と同様にして本発明の感熱転写リボンを作成した。
【表6】
*10 SIR−128:近赤外線吸収剤;三洋化学製
【0057】
【実施例6】
金属色インク層を下記表7に示す配合を有する赤外線反射層に変更した以外は、実施例1と同様にして本発明の感熱転写リボンを作成した。
【表7】
*11 BASFチェック染料:赤外線反射剤;BASF製
【0058】
【実施例7】
金属色インク層を下記表8に示す配合を有する蓄光層に変更した以外は、実施例1と同様にして本発明の感熱転写リボンを作成した。
【表8】
*12 FZ−1009:蓄光剤;シンロイヒ製
【0059】
【実施例8】
実施例1の感熱転写リボンの着色剤形成領域に加えて、下記表9に示す配合を有するオーバーコート層形成領域を塗布量2.5g/m2となるようにグラビアコーターにより形成した以外は、実施例1と同様にして本発明の感熱転写リボンを作成した。
【表9】
*13 ハイマーSB102:スチレン−アクリル樹脂;三洋化成製
【0060】
【実施例9】
実施例1の感熱転写リボンの着色剤形成領域に加えて、下記表10に示す配合を有する筆記可能なオーバーコート層形成領域を塗布量2.5g/m2となるようにグラビアコーターにより形成した以外は、実施例1と同様にして本発明の感熱転写リボンを作成した。
【表10】
*14 アドマファインSO−E1:シリカ;アドマテックス製
【0061】
【実施例10】
実施例1と同様にして、基材上に、耐熱保護層および易接着層を設け、表1に記載された各インクの塗布液を作成した。さらに下記表11に示す組成の黒色インク用塗布液を作成した。
【表11】
*15 ダイアクロンER1002:ポリエステル樹脂;三菱レイヨン製
*16 MA−8:カーボンブラック;三菱化学製
【0062】
次に、セキュリティー層として金属色インク層用の塗布液を実施例1の表2に示す配合で作成した。
次に形成した易接着層上に、金属色インク層用の塗布液を塗布量が1.0g/m2となるようにグラビアコーターを用いて、また、シアンインク、マゼンタインク、イエローインクおよび黒色インクの塗布量が0.8g/m2となるように、かつ、イエローインク領域の上に金属色インク層が形成されるように(図4参照)、グラビアコーターを用いて塗工して、本発明の感熱転写リボンを作成した。
【0063】
【実施例11】
厚さ12.0μmのポリエステルフィルム上に、ポリエチレンワックスを塗布量が1.0g/m2となるように、グラビアコーターで塗布して剥離層を形成した。次に、下記表12に示す組成の受像層用塗布液を作成した。
【表12】
*17 KA−1039:ポリエステル樹脂;荒川化学工業製
*18 KF−393:アミノ変性シリコーン;信越化学工業製
次に、剥離層上に受像層用塗布液を塗布量が2.5g/m2となるように、グラビアコーターで塗布して受像層を形成して転写用部材を作成し、別途説明する印刷に使用した。
【0064】
【評価試験および評価結果】
実施例1〜7の感熱転写リボンを、プリンターのオリンパスP−330N(オリンパス光学工業製)にセットした後、被転写体としてこのプリンターに搭載されている受像シートに画像および個人情報としての生年月日を感熱転写印刷した。ただし、このプリンターは多種類の面順次リボンがプリントできるようにソフトを新たに作成し、また、熱溶融リボンがプリントできるようにエネルギー調整した。
【0065】
実施例1の感熱転写リボンを使用して作成したシートには、個人情報としての生年月日が金属色で浮き出たシートが作成できた。
実施例2の感熱転写リボンを使用して作成したシートには、個人情報としての生年月日が真珠色で浮き出たシートが作成できた。
実施例3の感熱転写リボンを使用して作成したシートには、個人情報としての生年月日が蛍光色で浮き出たシートが作成できた。
【0066】
実施例4の感熱転写リボンを使用して作成したシートには、個人情報としての生年月日が透かしで入ったシートが作成できた。
実施例5および実施例6の感熱転写リボンを使用して作成したシートには、赤外線をあてると個人情報としての生年月日が確認できるシートが作成できた。
実施例7の感熱転写リボンを使用して作成したシートには、紫外線をあてると個人情報としての生年月日が確認できるシートが作成できた。
【0067】
次に、実施例8と9の感熱転写リボンを、上記プリンターにセットした後、被転写体としてこのプリンターに搭載されている受像シートに画像および個人情報としての生年月日を感熱転写印刷した。
【0068】
実施例8の感熱転写リボンを使用して作成したシートには、保護層としてのオーバーコート層が形成されており、RUBTESTER(安田精機製作所製)にセットして、500gの荷重で1,000回往復させる耐擦過性の試験を行ったところ、印刷画像および個人情報の生年月日ともにこすれてしまうことはなく、耐擦過性に優れていた。
【0069】
実施例9の感熱転写リボンを使用して作成したシートには、実施例8同様に保護層としてのオーバーコート層が形成されているが、個人情報としての生年月日が印刷されているのに加えて、このオーバーコート層の部分にペンで自由に書き加えることができた。本評価試験では本人の自筆によるサインを記載した。これにより個人情報を前もって印刷しておくだけでなく、後から追加することができるシートが作成できた。
【0070】
実施例10で作成した感熱転写リボンを、上記プリンターにセットした後、被記録材としてこのプリンターに搭載されている受像シートに画像および、個人情報としての生年月日を感熱転写印刷した。実施例10は実施例1の着色剤層とセキュリティー層を積層したタイプの感熱転写リボンであるが、実施例1と同様、作成したシートには個人情報としての生年月日が金属色で浮き出たシートが作成できた。
【0071】
実施例1および実施例10の感熱転写リボンを同じプリンターにセットして、実施例11で作成した転写用部材の受像層上に画像を感熱転写印刷した。次に、凹凸があり、熱をかけられない被転写体として、ICチップの埋め込まれた塩化ビニルカード製のIDカードを印刷画像が形成されている受像層の面と接触させて、画像を感熱転写印刷した転写用部材の背面からローラーで抑えつけた。これにより、IDカードに、実施例1および実施例10の感熱転写リボンのそれぞれから、印刷された画像と個人情報としての生年月日が金属色で形成されていることが確認できた。
【0072】
【発明の効果】
本発明の感熱転写リボンによれば、従来は少なくとも2つの異なるリボンが必要とされていた、画像の印刷とセキュリティー部分の形成、また必要であれば、これらを保護するための保護層の形成を、1つの感熱転写リボンにより行うことができる。このため、リボンを替える手間を必要としないため生産性が向上し、また必要とされるリボンが1つですむためコストを低減することができる。
【0073】
また、本発明の再転写方法によれば、印刷画像が転写される被転写体自身が熱に弱い材質の場合や、凹凸があるため均一に熱がかけられない材質のため感熱転写方法が使用できなかった被転写体であっても、感熱転写方法で印刷画像を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の感熱転写リボンの1態様を示す概略的断面図である。
【図2】図1の態様に黒色インク領域を加えた本発明の感熱転写リボンの構成を示す概略的断面図である。
【図3】図2の態様にオーバーコート層形成領域を加えた本発明の感熱転写リボンの構成を示す概略的断面図である。
【図4】本発明の感熱転写リボンの別の実施態様を示す概略的断面図である。
【図5】図4に示した本発明の感熱転写リボンの別の実施態様を示す概略的断面図である。
【図6】本発明の再転写方法を説明するための概略的断面図である。
【符号の説明】
1 基材
2 着色剤層形成領域
3 着色剤層
4 セキュリティー層
5 転写用部材
6 転写用部材の基材
7 転写用部材の剥離層
8 転写用部材の受像層
9 本発明の感熱転写リボン
10 印刷画像
11 被転写体
Y イエローインク領域
M マゼンタインク領域
C シアンインク領域
K 黒色インク領域
S セキュリティー層形成領域
OP オーバーコート層形成領域
【発明の属する技術分野】
本発明は感熱転写リボンに関し、より詳しくは、形成した画像を有する被転写体を特定するために必要な情報を印字するためのセキュリティー層を形成することができる感熱転写リボン、および、この感熱転写リボンを用いた感熱転写方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、真偽を識別するためのいわゆるIDカード等を簡便に作製する方法は以下のとおりであった。まず、感熱転写リボンを搭載したサーマルプリンター等を使用して、カードに画像を印刷してベースとなるカードを作成する。そして、その印刷されたカードを特定するための情報、たとえば本人である情報等を、そのカード上にホログラムで浮き彫りにできるようにホログラム箔を貼り付けたり、確認情報を磁気データとするために磁気層を設けて磁気ストライプとしたり、確認情報をバーコードにするための2次元バーコードを設ける等の特別の処理をすることで、いわゆるセキュリティー層を設けてカードを作成していた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、このような従来の方法で最終的にIDカード等を作製するには、カードに情報を印刷するための印刷用リボンと、そのカードを特定するための情報を印字するためのセキュリティー層を設けるためのリボンといった、少なくとも2つのリボンが必要であった。したがって、リボンを取り替えて印字しなければならないことから、カードの作製工程も必然的に2工程とならざるを得ないため、生産性が悪く、コストもかかるという問題点があった。
【0004】
本発明は上記問題点を解決するためになされたものであり、1つの感熱転写リボンにより画像の印刷とセキュリティー層の形成を行うことができるため、生産性を向上させるとともにコストを低減することができる感熱転写リボンを提供することを目的とする。
【0005】
また、印刷画像が転写される被転写体自身が熱に弱い材質の場合や、凹凸があるため均一に熱がかけられない材質のような場合には、簡便な感熱転写方法で印刷ができないことがあった。このため、従来の感熱転写では印刷ができなかったような被転写体であっても印刷が可能な感熱転写方法が求められていた。
【0006】
本発明はこのような問題点も解決するためになされたものであり、上記感熱転写リボンを用いて一旦転写用部材に画像を印刷した後、さらに別の被転写体に再転写することにより、簡便な感熱転写を用いてどのような被転写体にも印刷画像を形成することができる、印刷画像の再転写方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の感熱転写リボンは、基材の同一面上に、被転写体に着色剤を転写して画像を形成するための着色剤層形成領域、および、形成された画像を特定するための情報を印字するのに用いるセキュリティー層を形成するためのセキュリティー層形成領域を有することを特徴とする。
【0008】
また本発明の感熱転写リボンは、基材上に、被転写体に着色剤を転写して画像を形成するための着色剤層、および、この着色剤層の上面または前記基材と前記着色剤層との間に、形成された画像を特定するための情報を印字するのに用いるセキュリティー層を有することを特徴とする。
【0009】
さらに本発明の印刷画像の再転写方法は、基材上に剥離層と受像層とを有する転写用部材を用意し、上記いずれかの感熱転写リボンを用いて熱エネルギーを付与することで前記転写用部材の受像層上に画像を印刷し、得られた画像を有する前記受像層上に被転写体を密着させ、画像を前記被転写体上に再転写することを特徴とする。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好ましい実施態様を説明する。図1は本発明におけるカラー用感熱転写リボンの1つの態様を示した断面図である。なお、説明の便宜上、ここでは面順次に形成されたものを挙げてあるが、これ以外の構成、たとえば線順次の構成を有するリボンやモノカラーリボンであってもよいことは言うまでもない。
【0011】
基材1上に、イエローインク領域Y、マゼンタインク領域M、シアンインク領域Cからなる着色剤層形成領域2、および、セキュリティー層形成領域Sを設ける。これらの領域からなるユニットを繰り返したものが本発明の感熱転写リボンである。
【0012】
基材1としては、通常使用される紙あるいはプラスチックのフィルムを使用することができるが、特にポリエステルフィルムが好適に使用される。また、基材の厚さは1〜10μm、好ましくは4〜6μmである。
【0013】
着色剤層形成領域2は、染料、顔料等の公知の着色剤を含む、イエロー、マゼンタ、シアンのインクを公知の方法で調製し、グラビアコーター等により塗布、乾燥して、それぞれのイエローインク領域Y、マゼンタインク領域M、シアンインク領域Cを形成することで作成することができる。なお、染料は通常の染料であっても、昇華染料であってもよい。
【0014】
セキュリティー層形成領域は、金属色インク層、真珠顔料含有層、蛍光色インク層、透かしインク層、赤外線吸収層、赤外線反射層または蓄光層で構成することができる。
【0015】
金属色インク層は、金粉、アルミニウム粉、銅粉などの金属粉、および、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、塩化ビニル酢酸ビニル共重合体等の熱可塑性樹脂を溶剤に溶解した溶液をグラビアコーター等で塗布することで作成することができる。
【0016】
真珠顔料含有層は、真珠顔料として合成アルミナ、雲母等、および、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、塩化ビニル酢酸ビニル共重合体等の熱可塑性樹脂を溶剤に溶解した溶液を、グラビアコーター等で塗布することで作成することができる。
【0017】
蛍光色インク層は、蛍光錯体、蛍光染料、または蛍光顔料等、および、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、塩化ビニル酢酸ビニル共重合体等の熱可塑性樹脂を溶剤に溶解した溶液を、グラビアコーター等で塗布することで作成することができる。
【0018】
蛍光錯体は、特開2002−60743号に開示されている、希土類元素とピロリドン部を有する重量平均分子量が300以上、500未満の高分子化合物からなるものを使用することができる。
【0019】
また、蛍光染料は励起光を照射することにより蛍光を発する染料であればよく、可視光において有色でも無色でもよい。無色の蛍光染料としては、発光色が青色のEB−501(三井東圧染料製)、発光色が黄緑色のEG−302(三井東圧染料製)、発光色が緑色のEG−307(三井東圧染料製)、発光色が赤色のER−120またはER−122(三井東圧染料製)、発光色が青色の蛍光増白剤ユビテックOB(チバガイギー製)、発光色が赤橙色のユーロピウム−テノイルトリフルオロアセトンキレート(シンロイヒ製)等が挙げられる。
【0020】
また、有色蛍光染料は、着色と同じ色に発光する特性を有し、たとえば塩基性染料のカチオンブリリアントフラビン(黄色)、カチオンブリリアントレッド(赤色)、カチオンブリリアントピンク(桃色)、ソットピンク(桃色)、ローダミンB(すべて保土ヶ谷化学製)等が挙げられる。
【0021】
蛍光顔料としては、シンロイヒ製のシンロイヒカラーのFM−10シリーズやFM−100シリーズ、FA−45J、FX305、ルミライトピグメントEXL−8764LL、BASF社製のモルゲンイエローS0790が挙げられる。透かしインク層は、カルナウバワックス、パラフィンワックス等のワックスとエチレン−酢酸ビニル重合体、スチレンーアクリル樹脂等の透明樹脂を溶剤に溶かした溶液を、グラビアコーター等で塗布することで作成することができる。層中の透明樹脂とワックスの量は、ワックス:樹脂=5〜95:95〜5の範囲であることが好ましい。
【0022】
赤外線吸収層は、赤外線吸収剤および、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、塩化ビニル酢酸ビニル共重合体等の熱可塑性樹脂を溶剤に溶解した溶液を、グラビアコーター等で塗布することで作成することができる。赤外線吸収剤としては近赤外線吸収物質および、赤外線吸収性色素を使用することができる。
【0023】
近赤外線吸収物質としては、カーボンブラックや、ポリメチレン系、アズレニウム系、スクワリリウム系、チオビリリウム系、アントラキノン系等の有機化合物、フタロシアニン系、アゾ系、チオアミド系等の有機金属錯体などが挙げられる。具体的には、三井東圧染料製のSIR−103、SIR−128、SIR−159が、またICI社製のNARROW BAND INFRARED ABSORBER S101756が挙げられる。近赤外線吸収物質は単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。近赤外線吸収物質はセキュリティー層全体に対し、0.01〜50重量%、好ましくは0.01〜30重量%の範囲で含有させるとよい。
【0024】
赤外線吸収性色素としては、公知の顔料または染料を使用することができるが、カーボンブラック顔料、アニリンブラック顔料、酸化鉄ブラック顔料、酸化チタン系ブラック顔料、スピネル型構造系ブラック顔料等が好ましい。また、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社のTINUVINシリーズを使用することができる。
【0025】
赤外線反射層は、赤外反射剤としての赤外線反射性色素とポリエステル樹脂、アクリル樹脂、塩化ビニル酢酸ビニル共重合体等の熱可塑性樹脂を溶剤に溶解した溶液を、グラビアコーター等で塗布することで作成することができる。
【0026】
赤外線反射性色素としては、赤外線を反射する性質を有する公知の顔料や染料を使用することができる。たとえば有機顔料および染料として、フタロシアニン系、アゾ系、アゾメチン系、アンスラキノン系、ペリノン・ペリレン系、インジゴ・チオインジゴ系、ジオキサンジン系、キナクリドン系、イソインドリノン系等の顔料および染料が挙げられる。無機顔料としては、酸化チタン系、酸化鉄系、焼成顔料系、金属粉顔料、体質顔料等の白色または有彩色の顔料が挙げられる。上記色素や顔料は単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0027】
上記の赤外線反射性色素のうち、特に好ましいアゾメチン基を有する色素は、たとえば、特開昭58−174446号、特開昭60−14966号、特開昭54−30221号、特開昭54−141821号、特開昭54−49757号、特開昭56−55456号、特開昭62−30202号、および、特開昭62−138857号に開示されている色素が挙げられる。
【0028】
特にカップリング成分として、2−ヒドロキシ−α−ベンゾカルバゾール−カルボン酸アリルアミドおよびその誘導体を使用したアゾメチン基を有するアゾ顔料は、可視光線下では暗緑色〜黒色の色調を示し、特に黒色においては黒色度の高い鮮明な黒色を示す。しかるに赤外線に対してはほとんど吸収を示さず、高い反射性を示す。上記アゾメチン基を有する色素は耐熱性、耐光性、耐水性、耐薬品性に優れ、また高い着色力を有している。また、顔料タイプの色素では耐溶剤性に極めて優れた性質を示す。
【0029】
以上は本発明において特に好ましく使用される赤外線反射性色素の例であるが、本発明においてはその他の色素や混合色、たとえば赤、青、黄、橙、紫、緑、茶色の色素を混合して得られる配合色も赤外線反射性色素として使用することができる。
【0030】
なお、本発明において「赤外線反射性色素」とは、前述したような、それ自体が赤外線を反射する場合と、それ自体は赤外線を通過するが、色素が施された基体、たとえば紙やプラスチックシート、金属蒸着を施したシート等によって赤外線が反射され、再度この色素によって着色された部分を透過して赤外線を放出する性質を有する色素との双方を意味する。したがって、本発明においては赤外線透過性の高い色素も本発明における「赤外線反射性色素」に包含される。
【0031】
蓄光層は、蓄光剤とポリエステル樹脂、アクリル樹脂、塩化ビニル酢酸ビニル共重合体等の熱可塑性樹脂を溶剤に溶解した溶液を、グラビアコーター等で塗布することで作成することができる。蓄光剤としては、ケミテック製のピカリコシリーズCP50、CP20、CP10、イージーブライト製のPG−03、PG−01、PB−01、FF、根本特殊化学製のGSSシリーズが挙げられる。また、蓄光剤は前述した蛍光色インク層用の材料と組み合わせたものを使用してもよく、たとえば、根本特殊化学製のB−010、Y−010、G−010,O−010、R−010、P−010、OR−010が挙げられる。なお、前述の蛍光色インク層と蓄光層との性質上の違いは、蓄光層には残光があるが蛍光色インク層には残光がないことである。
【0032】
金属色インク層中の金属粉、真珠顔料含有層中の真珠顔料、蛍光色インク層中の蛍光錯体、蛍光染料等、赤外線吸収層中の赤外線吸収剤、赤外線反射層中の赤外線反射剤、および、蓄光層中の蓄光剤のそれぞれの量は、これら配合剤の比重に依存する。ここで配合剤の比重をAとすると、配合剤と樹脂の配合比は、配合剤:樹脂=(1〜2)x A : 1で表すことができる。なお、セキュリティー層としての上記各層の塗布量は0.5〜10.0g/m2であることが好ましい。
【0033】
図2に示すように、黒色インク領域Kを加えて着色剤層形成領域2を形成してもよい。黒色インク領域は、カーボンブラック等の黒色顔料に、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、塩化ビニル酢酸ビニル共重合体等の熱可塑性樹脂を溶剤に溶解した溶液を加えて、ボールミル、アトライター、バスケットミル等を使用してインクを調製し、グラビアコーター等により塗布、乾燥して作成することができる。もちろん、必要に応じて黒色インク以外の着色層としてもかまわない。
【0034】
また、図には示していないが、黒色インク領域Kの位置とセキュリティー層形成領域Sの位置を入れ替えて黒色インク領域Kを着色剤層領域2から独立させてもよい。なお、本図および以下の図において、図1と同じ部材および同じ領域については図1と同じ符号を付し、その説明を省略する。
【0035】
図3に示すように、形成された画像やセキュリティー層を保護するオーバーコート層を形成するためのオーバーコート層形成領域OPを設けてもよい。オーバーコート層を設けることにより、最終的に作製されたカード等の被転写体の耐擦過性、耐溶剤性、耐光性等を向上させることができ、使用寿命を大きく伸ばすことができる。オーバーコート層形成領域は、アクリル樹脂、スチレン−アクリル樹脂等の樹脂を溶剤に溶かした溶液をグラビアコーター等で塗布して形成することができる。必要により、オーバーコート層の上に、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂等の接着層を設けてもよい。なお、形成したオーバーコート層は、後から個人のサイン等を筆記できる部分を兼ねるものであってもよく、たとえば、スチレン−アクリル樹脂とシリカとを溶剤に溶解した溶液を塗布することで作成することができる。
【0036】
なお、以上のようにして作成したオーバーコート層の転写において、転写性が不十分な場合には、ヒドロキシエチルセルロース等で作成した離型層をオーバーコート層と基材との間に設けても良い。
【0037】
基材1と着色剤層形成領域2、セキュリティー層形成領域S、および、必要に応じて設けられるオーバーコート層形成領域OPとの密着性を高めるために、ポリウレタン、ポリエステル等からなる易接着層(不図示)を、基材とこれらの領域との間に設けてもよい。また、着色剤層形成領域2を設けたのと反対側の基材1上に、基材を熱転写時の熱から保護するためにシリコーン樹脂等からなる耐熱保護層(不図示)を設けてもよい。
【0038】
以上は、基材の同一面上に着色剤形成領域とセキュリティー層形成領域を設けた態様、いわゆる面順次の構成について説明したが、本発明はかかる構成のみならず、着色剤形成領域とセキュリティー層形成領域を基材上に独立した各層として形成した態様であってもよい。すなわち、基材上に、被転写体に着色剤を転写して画像を形成するための着色剤層、および、この着色剤層の上面または前記基材と前記着色剤層との間に、形成された画像を特定するための情報を印字するのに用いるセキュリティー層を有する構成の感熱転写リボンである。
【0039】
図4はこの構成のうち、セキュリティー層を着色剤層の上面に設けた態様を示した概略断面図である。図4において、1は基材、3は着色剤層、4はセキュリティー層、そして、Y、MおよびCはそれぞれ、着色剤層3中のイエローインク領域、マゼンタインク領域、シアンインク領域である。図4ではセキュリティー層4をイエローインク領域Yの上に設けた例を示してあるが、セキュリティー層が透明である場合には、イエローインク領域、マゼンタインク領域およびシアンインク領域の少なくとも1つの上に設けてあればよく、設ける領域を選ばない。
【0040】
一方、セキュリティー層が不透明である場合には、図4のようにイエローインク領域上に設けた場合には問題ないが、マゼンタインク領域やシアンインク領域上に設けた場合には、形成される画像の色との兼ね合いで不都合が生じる場合がある。
【0041】
図には示していないが、図2に示したのと同様、必要に応じてさらに黒色インク領域を加えて着色剤層を形成してもよい。また、図3に示したのと同様、形成された画像やセキュリティー層を保護するオーバーコート層を形成するためのオーバーコート層形成領域を設けて着色剤層を形成してもよい。この場合、セキュリティー層が透明であれば、いずれの領域の上に設けてもよいが、不透明の場合にはイエローインク領域、黒色インク領域またはオーバーコート層形成領域の上に設けることが好ましい。
【0042】
なお、昇華染料を用いた着色剤層においては、染料のみが昇華して転写されるため、イエローインク領域、マゼンタインク領域およびシアンインク領域の上にセキュリティー層を設けることができない。黒色インク層またはオーバーコート層形成領域の上のいずれかに設ける必要がある。
【0043】
図5はセキュリティー層4を基材1と着色剤層3との間に設けた態様を示した概略断面図である。この態様の場合には、形成する画像に悪影響を及ぼす場合があるので、セキュリティー層4は透明であることが好ましい。図5では基材1とイエローインク領域Yとの間にセキュリティー層4を設けた例を示してあるが、セキュリティー層が透明であれば、イエローインク領域、マゼンタインク領域、シアンインク領域の少なくとも1つの領域と基材との間に設ければよく、設ける領域を選ばない。
【0044】
また、上記同様、必要に応じて黒色インク領域やオーバーコート層形成領域を設けて着色剤層を形成してもよい。ただしこの場合には、セキュリティー層が透明であってオーバーコート層形成領域が設けられている場合には、オーバーコート層形成領域と基材との間に、また、セキュリティー層が不透明の場合には、黒色インク領域と基材との間にセキュリティー層を設けることが好ましい。
【0045】
上記の態様における着色剤層やセキュリティー層は、図1〜図3で示した面順次の態様の着色剤形成領域、黒色インク領域、セキュリティー層形成領域および、オーバーコート層形成領域と同じ配合、同じ方法で形成することができる。なお、前述の場合と同様に、基材と着色剤層との間に易接着層を、また基材の他方の面上に耐熱保護層を設けてもよいことはいうまでもない。
【0046】
一般的に感熱転写方法では、印刷画像を転写したい被転写体が熱に弱い場合や、被転写体に凹凸があって均一に熱がかけられない場合などには印刷を行うことが困難であった。しかし、本発明の感熱転写リボンを用いた再転写方法によれば、上記のような場合であっても問題なく印刷することができる。以下、図6を用いて本発明の再転写方法を説明する。
【0047】
図6(a)は本発明の再転写方法に使用する転写用部材を示す。転写用部材5は基材6上に、剥離層7と受像層8とを設けた構成を有する。このような転写用部材5の受像層8上に、本発明の感熱転写リボン9をサーマルプリンター等に用いて熱を加える(図6(b))。これにより熱転写された印刷画像10が受像層8上に形成される(図6(c))。次に、最終的に印刷画像を形成したい別の被転写体11を用意し、この被転写体11と印刷画像10が形成されている受像層8とを密着させて(図6(d))、印刷画像10を被転写体11上に再転写させる(図6(e))。こうして、直接感熱転写できない被転写体であっても、簡便な感熱転写方法により印刷画像を形成することができる。なお、本発明の再転写方法で画像を転写した場合には、転写用部材の受像層も印刷画像上に転写され、この受像層がオーバーコート層の役目をするので、印刷画像の保護のために任意に設けるオーバーコート層は不要である。
【0048】
本発明の転写用部材の基材は、すでに説明した感熱転写リボンに使用するのと同じ材料を使用することができる。なお、厚さは12〜25μmが好ましい。剥離層はポリエチレンワックス、ヒドロキシエチルセルロースやアクリル樹脂を溶剤に溶解した溶液をグラビアコーター等で塗布量0.1〜2.0g/m2で塗布して形成する。また受像層は、塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂等の樹脂を溶剤に溶解した溶液を剥離層上に、グラビアコーター等で塗布量1.0〜5.0μmで塗布して形成する。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0049】
【実施例】
【実施例1】
厚さ6μmのポリエステルフィルムの一方の面上にダイアロマーSP712(シリコーン樹脂;大日精化工業製)を0.4g/m2の塗布量となるように、グラビアコーターを用いて塗工し耐熱保護層とした。
【0050】
次に、タンクにメチルエチルケトンを投入し、エリーテルUE3320(ポリエステル樹脂)を溶解させ、この作成した樹脂溶液を攪拌しながら、各顔料分散体を投入して、下記表1に示す組成のシアンインク、マゼンタインク、およびイエローインクの塗布液を作成した。
【表1】
(単位は重量%)
*1:顔料分散体;御国色素製
*2:顔料分散体;御国色素製
*3:顔料分散体;御国色素製
*4:ポリエステル樹脂;ユニチカ製
【0051】
次に、セキュリティー層形成領域として金属色インク層用の塗布液を下記表2に示す配合で作成した。
【表2】
*5 銀粉18000:アルミニウム;福田金属箔粉工業製
【0052】
次に、耐熱保護層を設けたのとは反対側のポリエステルフィルム上に、それぞれのインクの塗布量が1.2g/m2となるようにグラビアコーターを用いて、また、金属色インク層用の塗布液を塗布量が2.0g/m2となるようにグラビアコーターを用いて、VP規格の面順次仕様を参考にして、多種類の面順次リボンのプリントができるようにプリンターのソフトを新たに作成し、それに基づいたセンサーマークと目的のインクを面順次に塗工して本発明の感熱転写リボンを作成した。
【0053】
【実施例2】
金属色インク層を下記表3に示す配合を有する真珠顔料含有層に変更した以外は、実施例1と同様にして本発明の感熱転写リボンを作成した。
【表3】
*6 シラリック120:合成アルミナ;メルクジャパン製
【0054】
【実施例3】
金属色インク層を下記表4に示す配合を有する蛍光色インク層に変更した以外は、実施例1と同様にして本発明の感熱転写リボンを作成した。
【表4】
*7 ルモゲンイエローS0790:蛍光顔料;BASF製
【0055】
【実施例4】
金属色インク層を下記表5に示す配合を有する透かし層に変更した以外は、実施例1と同様にして本発明の感熱転写リボンを作成した。
【表5】
*8 ハイマーSBM−73F:スチレン−アクリル樹脂;三洋化成製
*9 ステアリン酸亜鉛;堺化学製
【0056】
【実施例5】
金属色インク層を下記表6に示す配合を有する赤外線吸収層に変更した以外は、実施例1と同様にして本発明の感熱転写リボンを作成した。
【表6】
*10 SIR−128:近赤外線吸収剤;三洋化学製
【0057】
【実施例6】
金属色インク層を下記表7に示す配合を有する赤外線反射層に変更した以外は、実施例1と同様にして本発明の感熱転写リボンを作成した。
【表7】
*11 BASFチェック染料:赤外線反射剤;BASF製
【0058】
【実施例7】
金属色インク層を下記表8に示す配合を有する蓄光層に変更した以外は、実施例1と同様にして本発明の感熱転写リボンを作成した。
【表8】
*12 FZ−1009:蓄光剤;シンロイヒ製
【0059】
【実施例8】
実施例1の感熱転写リボンの着色剤形成領域に加えて、下記表9に示す配合を有するオーバーコート層形成領域を塗布量2.5g/m2となるようにグラビアコーターにより形成した以外は、実施例1と同様にして本発明の感熱転写リボンを作成した。
【表9】
*13 ハイマーSB102:スチレン−アクリル樹脂;三洋化成製
【0060】
【実施例9】
実施例1の感熱転写リボンの着色剤形成領域に加えて、下記表10に示す配合を有する筆記可能なオーバーコート層形成領域を塗布量2.5g/m2となるようにグラビアコーターにより形成した以外は、実施例1と同様にして本発明の感熱転写リボンを作成した。
【表10】
*14 アドマファインSO−E1:シリカ;アドマテックス製
【0061】
【実施例10】
実施例1と同様にして、基材上に、耐熱保護層および易接着層を設け、表1に記載された各インクの塗布液を作成した。さらに下記表11に示す組成の黒色インク用塗布液を作成した。
【表11】
*15 ダイアクロンER1002:ポリエステル樹脂;三菱レイヨン製
*16 MA−8:カーボンブラック;三菱化学製
【0062】
次に、セキュリティー層として金属色インク層用の塗布液を実施例1の表2に示す配合で作成した。
次に形成した易接着層上に、金属色インク層用の塗布液を塗布量が1.0g/m2となるようにグラビアコーターを用いて、また、シアンインク、マゼンタインク、イエローインクおよび黒色インクの塗布量が0.8g/m2となるように、かつ、イエローインク領域の上に金属色インク層が形成されるように(図4参照)、グラビアコーターを用いて塗工して、本発明の感熱転写リボンを作成した。
【0063】
【実施例11】
厚さ12.0μmのポリエステルフィルム上に、ポリエチレンワックスを塗布量が1.0g/m2となるように、グラビアコーターで塗布して剥離層を形成した。次に、下記表12に示す組成の受像層用塗布液を作成した。
【表12】
*17 KA−1039:ポリエステル樹脂;荒川化学工業製
*18 KF−393:アミノ変性シリコーン;信越化学工業製
次に、剥離層上に受像層用塗布液を塗布量が2.5g/m2となるように、グラビアコーターで塗布して受像層を形成して転写用部材を作成し、別途説明する印刷に使用した。
【0064】
【評価試験および評価結果】
実施例1〜7の感熱転写リボンを、プリンターのオリンパスP−330N(オリンパス光学工業製)にセットした後、被転写体としてこのプリンターに搭載されている受像シートに画像および個人情報としての生年月日を感熱転写印刷した。ただし、このプリンターは多種類の面順次リボンがプリントできるようにソフトを新たに作成し、また、熱溶融リボンがプリントできるようにエネルギー調整した。
【0065】
実施例1の感熱転写リボンを使用して作成したシートには、個人情報としての生年月日が金属色で浮き出たシートが作成できた。
実施例2の感熱転写リボンを使用して作成したシートには、個人情報としての生年月日が真珠色で浮き出たシートが作成できた。
実施例3の感熱転写リボンを使用して作成したシートには、個人情報としての生年月日が蛍光色で浮き出たシートが作成できた。
【0066】
実施例4の感熱転写リボンを使用して作成したシートには、個人情報としての生年月日が透かしで入ったシートが作成できた。
実施例5および実施例6の感熱転写リボンを使用して作成したシートには、赤外線をあてると個人情報としての生年月日が確認できるシートが作成できた。
実施例7の感熱転写リボンを使用して作成したシートには、紫外線をあてると個人情報としての生年月日が確認できるシートが作成できた。
【0067】
次に、実施例8と9の感熱転写リボンを、上記プリンターにセットした後、被転写体としてこのプリンターに搭載されている受像シートに画像および個人情報としての生年月日を感熱転写印刷した。
【0068】
実施例8の感熱転写リボンを使用して作成したシートには、保護層としてのオーバーコート層が形成されており、RUBTESTER(安田精機製作所製)にセットして、500gの荷重で1,000回往復させる耐擦過性の試験を行ったところ、印刷画像および個人情報の生年月日ともにこすれてしまうことはなく、耐擦過性に優れていた。
【0069】
実施例9の感熱転写リボンを使用して作成したシートには、実施例8同様に保護層としてのオーバーコート層が形成されているが、個人情報としての生年月日が印刷されているのに加えて、このオーバーコート層の部分にペンで自由に書き加えることができた。本評価試験では本人の自筆によるサインを記載した。これにより個人情報を前もって印刷しておくだけでなく、後から追加することができるシートが作成できた。
【0070】
実施例10で作成した感熱転写リボンを、上記プリンターにセットした後、被記録材としてこのプリンターに搭載されている受像シートに画像および、個人情報としての生年月日を感熱転写印刷した。実施例10は実施例1の着色剤層とセキュリティー層を積層したタイプの感熱転写リボンであるが、実施例1と同様、作成したシートには個人情報としての生年月日が金属色で浮き出たシートが作成できた。
【0071】
実施例1および実施例10の感熱転写リボンを同じプリンターにセットして、実施例11で作成した転写用部材の受像層上に画像を感熱転写印刷した。次に、凹凸があり、熱をかけられない被転写体として、ICチップの埋め込まれた塩化ビニルカード製のIDカードを印刷画像が形成されている受像層の面と接触させて、画像を感熱転写印刷した転写用部材の背面からローラーで抑えつけた。これにより、IDカードに、実施例1および実施例10の感熱転写リボンのそれぞれから、印刷された画像と個人情報としての生年月日が金属色で形成されていることが確認できた。
【0072】
【発明の効果】
本発明の感熱転写リボンによれば、従来は少なくとも2つの異なるリボンが必要とされていた、画像の印刷とセキュリティー部分の形成、また必要であれば、これらを保護するための保護層の形成を、1つの感熱転写リボンにより行うことができる。このため、リボンを替える手間を必要としないため生産性が向上し、また必要とされるリボンが1つですむためコストを低減することができる。
【0073】
また、本発明の再転写方法によれば、印刷画像が転写される被転写体自身が熱に弱い材質の場合や、凹凸があるため均一に熱がかけられない材質のため感熱転写方法が使用できなかった被転写体であっても、感熱転写方法で印刷画像を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の感熱転写リボンの1態様を示す概略的断面図である。
【図2】図1の態様に黒色インク領域を加えた本発明の感熱転写リボンの構成を示す概略的断面図である。
【図3】図2の態様にオーバーコート層形成領域を加えた本発明の感熱転写リボンの構成を示す概略的断面図である。
【図4】本発明の感熱転写リボンの別の実施態様を示す概略的断面図である。
【図5】図4に示した本発明の感熱転写リボンの別の実施態様を示す概略的断面図である。
【図6】本発明の再転写方法を説明するための概略的断面図である。
【符号の説明】
1 基材
2 着色剤層形成領域
3 着色剤層
4 セキュリティー層
5 転写用部材
6 転写用部材の基材
7 転写用部材の剥離層
8 転写用部材の受像層
9 本発明の感熱転写リボン
10 印刷画像
11 被転写体
Y イエローインク領域
M マゼンタインク領域
C シアンインク領域
K 黒色インク領域
S セキュリティー層形成領域
OP オーバーコート層形成領域
Claims (6)
- 基材の同一面上に、被転写体に着色剤を転写して画像を形成するための着色剤層形成領域、および、形成された画像を特定するための情報を印字するのに用いるセキュリティー層を形成するためのセキュリティー層形成領域を有することを特徴とする感熱転写リボン。
- さらに、形成された画像および、セキュリティー層を保護するオーバーコート層を形成するためのオーバーコート層形成領域を有する請求項1記載の感熱転写リボン。
- セキュリティー層形成領域が、金属色インク層、真珠顔料含有層、蛍光色インク層、透かしインク層、赤外線吸収層、赤外線反射層、または蓄光層のいずれかを有する請求項1または2記載の感熱転写リボン。
- 基材上に、被転写体に着色剤を転写して画像を形成するための着色剤層、および、該着色剤層の上面または前記基材と前記着色剤層との間に、形成された画像を特定するための情報を印字するのに用いるセキュリティー層を有することを特徴とする感熱転写リボン。
- セキュリティー層が、金属色インク層、真珠顔料含有層、蛍光色インク層、透かしインク層、赤外線吸収層、赤外線反射層、または蓄光層のいずれかを有する請求項4記載の感熱転写リボン。
- 基材上に剥離層と受像層とを有する転写用部材を用意し、請求項1または4記載の感熱転写リボンを用いて熱エネルギーを付与することで前記転写用部材の受像層上に画像を印刷し、得られた画像を有する前記受像層上に被転写体を密着させ、画像を前記被転写体上に再転写することを特徴とする印刷画像の再転写方法。
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