JP2018176556A - 感熱転写記録媒体 - Google Patents
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Abstract
Description
現在、感熱転写方式の中でも昇華転写方式は、プリンタの高機能化と併せて、各種画像を簡便にフルカラー形成できるため、デジタルカメラのセルフプリント、身分証明書などのカード類、アミューズメント用出力物等、広く利用されている。
その一方で、感熱転写記録媒体は、製造の際に巻き取り保存されることにより、感熱転写層と耐熱滑性層が接し、感熱転写層に含まれる染料が耐熱滑性層へと転移し、色相が安定せずムラになるという問題があった。
上記の課題を解決する方法として、特許文献1では、耐熱滑性層に炭素数15以上の脂肪酸を有するペンタエリスリトールテトラ脂肪酸エステルを含むことにより、染料の耐熱滑性層への転移を抑制した耐熱滑性層を有する感熱転写記録媒体が提案されている。
本発明は、上記の点に鑑みなされたもので、発色性の強い染料の一部に対して、高い保存安定性と低階調におけるエネルギーに対する急激な発色上昇を抑制し、印画物の画質としても良好となる染料層を有する感熱転写記録媒体を提供することを目的とする。
ここで、図面は模式的なものであり、各層の厚さの比率等は現実のものとは異なる。また、以下に示す実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための構成を例示するものであって、本発明の技術的思想は、構成部品の材質、形状、構造等が下記のものに特定するものでない。本発明の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された請求項が規定する技術的範囲内において、種々の変更を加えることができる。
図1に示すように、本実施形態の感熱転写記録媒体1は、基材10と、耐熱滑性層30と、染料層20を備えている。具体的には、本実施形態の感熱転写記録媒体1は、基材10の一方の面側に耐熱滑性層30が形成されると共に、基材10の他方の面側に染料層20が形成されている。なお、本発明の作用効果を阻害しない範囲で、感熱転写記録媒体1は、他の層を有していて良い。
基材10には、熱転写における熱圧で軟化変形しない耐熱性と強度が要求される。
このため、基材10の材料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリプロピレン、セロファン、アセテート、ポリカーボネート、ポリサルフォン、ポリイミド、ポリビニルアルコール、芳香族ポリアミド、アラミド、ポリスチレン等の合成樹脂のフィルム、及びコンデンサー紙、パラフィン紙などの紙類等を単独で又は組み合わされた複合体として用いることが可能である。特に、物性面、加工性、コスト面などを考慮すると、上述した材料の中でも、ポリエチレンテレフタレートフィルムが好ましい。
また、基材10のうち、耐熱滑性層30を形成する側の面(図1中では、下側の面)及び染料層20を形成する側の面(図1中では、上側の面)には、接着処理を施すことも可能であり、接着処理を施す面は、どちらか一方であっても良いし、両方であっても良い。
表面が上記の接着処理を施することで易接着処理面となっている基材10を採用することで、基材10と染料層20や耐熱滑性層30との接着性を高めることが可能となる。コスト面を考慮すると、少なくとも一方の面がプライマー処理されたポリエチレンテレフタレートフィルムを基材10として用いることが好ましい。
染料層20は、基材10の他方の面側に形成した層であり、例えば、熱移行性染料、バインダ、溶剤などを配合して、染料層を形成するための染料層形成用塗布液を調製し、その調製した染料層形成用塗布液を塗布・乾燥することで形成される。
熱移行性染料は、熱により、溶融、拡散もしくは昇華移行する昇華染料である。本実施形態で使用する熱移行性染料(昇華染料)としては、一般式(1)、一般式(2)又は一般式(3)で示される染料が例示できる。本実施形態の染料層20は、一般式(1)、一般式(2)及び一般式(3)で示される染料の少なくとも一つの染料を含有する。
一般式(1)〜一般式(3)は、次の通りである。
熱移行性染料としては、前述の一般式(1)、一般式(2)又は一般式(3)で示される染料を含んでいれば、そのほかの染料を含んでいても良い。熱移行性染料のうちイエロー成分としては、例えば、C.I.ソルベントイエロー56,16,30,93,33、C.I.ディスパースイエロー201,231,33等を用いることが可能である。
また、熱移行性染料のうち、シアン成分としては、例えば、C.I.ディスパースブルー24,257,354、C.I.ソルベントブルー36,63,266等を用いることが可能である。
また、本実施形態の染料層20は、一般式(4)及び一般式(5)で示されるリン酸エステルの少なくとも一方のリン酸エステルを含有する。
染料層20に上記のリン酸エステルを含むことにより、リン酸エステルが染料を内包した状態で安定化するため、低階調におけるエネルギーに対する急激な発色上昇を抑制することが可能となる。また、これにより受像紙表面との離型性の向上を期待することも可能となる。
なお、墨の染料としては、上述した各染料を組み合わせて調色するのが一般的である。
これは、(染料)/(樹脂)の比率が、10/100を下回ると、染料が少な過ぎて発色濃度が不十分となり良好な熱転写画像が得られず、また、この比率が300/100を越えると、樹脂に対する染料の溶解性が極端に低下するために、感熱転写記録媒体となった際に、保存安定性が悪くなって、染料が析出し易くなってしまう恐れがあるためである。
染料層20の乾燥後の塗布量は、1.0g/m2程度が適当である。なお、染料層20は、1色の単一層で構成することも可能であり、また、色相の異なる染料を含む複数の染料層20を、同一基材10の同一面に対し、順次、繰り返し形成することも可能である。
耐熱滑性層30は、基材10の一方の側に形成した層であり、感熱転写記録媒体1に対し、サーマルヘッドとの滑り性を付与する層である。
耐熱滑性層30は、例えばバインダとなる樹脂に加え、離型性や滑り性を付与する機能性添加剤、充填剤、硬化剤、溶剤などを必要に応じて配合して耐熱滑性層を形成するための(形成用の)塗布液を調製し、塗布、乾燥して形成することが可能である。
耐熱滑性層30に用いられるバインダとなる樹脂としては、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルアセトアセタール樹脂、ポリエステル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリエーテル樹脂、ポリブタジエン樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリルポリオール、ポリウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート、ポリエーテルアクリレート、エポキシアクリレート、ニトロセルロース樹脂、酢酸セルロース樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリカーボネート樹脂等を用いることが可能である。
機能性添加剤としては、動物系ワックス、植物系ワックス等の天然ワックス、合成炭化水素系ワックス、脂肪族アルコールと酸系ワックス、脂肪酸エステルとグリセライト系ワックス、合成ケトン系ワックス、アミン及びアマイド系ワックス、塩素化炭化水素系ワックス、アルファーオレフィン系ワックス等の合成ワックス、ステアリン酸ブチル、オレイン酸エチル等の高級脂肪酸エステル、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸カリウム、ステアリン酸マグネシウム等の高級脂肪酸金属塩、長鎖アルキルリン酸エステル、ポリオキシアルキレンアルキルアリールエーテルリン酸エステル又は、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルリン酸エステル等のリン酸エステル等の界面活性剤等を用いることが可能である。
耐熱滑性層30が上記条件のリン酸エステルを含むことによって、耐熱滑性層30に含まれるリン酸エステルが染料層20に含まれるリン酸エステルよりも温度に対する安定性が高いため、染料層20に含まれるリン酸エステルが抱えている染料が、耐熱滑性層30へ移行してくることを防ぐことが可能となる。このとき、染料層20に含まれるリン酸エステルと、耐熱滑性層30に含まれるリン酸エステルの融点に15℃以上の差があることにより、より高い移行防止効果を得られる。
また、充填剤としては、タルク、シリカ、マイカ、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、カオリナイト、クレー、シリコーン粒子、ポリエチレン樹脂粒子、ポリプロピレン樹脂粒子、ポリスチレン樹脂粒子、ポリメチルメタクリレート樹脂粒子等を用いることが可能である。
また、耐熱滑性層30の乾燥後の塗布量は、0.1g/m2以上2.0g/m2以下程度が適切である。
また、基材10と染料層20の間及び、基材10と耐熱滑性層30の間には、密着性の向上や、染料利用効率の向上等、機能性付与を目的として、その他の層を設けることも可能である。
なお、耐熱滑性層30、染料層20は、いずれも、従来公知の塗布方法にて塗布し、乾燥することで形成可能である。
塗布方法としては、例えば、グラビアコーティング法、スクリーン印刷法、スプレーコーティング法、リバースロールコート法、ダイコート法を用いることが可能である。
なお、以下に説明する、実施例及び比較例においては、感熱転写用の被転写体を、以下に示す方法で作製した。
基材として190μmの両面レジンコート紙を使用し、その一方の面に、下記に示す組成の断熱層塗布液を、ダイコート法により、乾燥後の塗布量が8.0g/m2になるように塗布・乾燥することで断熱層を形成し、その後、断熱層上面に、下記に示す組成の受容層塗布液を、グラビアコーティング法により、乾燥後の塗布量が4.0g/m2になるように塗布、乾燥することで、感熱転写用の被転写体を作製した。
断熱層塗布液の組成は次の通りである。
・アクリル−スチレン系中空粒子 35.0部
(平均粒子径1μm、体積中空率51%)
・スチレン−ブタジエンゴム 10.0部
・純水 55.0部
・分散剤 微量
・消泡剤 微量
受容層塗布液の組成は次の通りである。
・塩化ビニル−酢酸ビニル−ビニルアルコール共重合体 19.5部
・アミノ変性シリコーンオイル 0.5部
・トルエン 40.0部
・メチルエチルケトン 40.0部
基材10として、厚さ4.5μmの片面易接着処理付きポリエチレンテレフタレートフィルムを使用し、その非易接着処理面に、下記に示す組成の塗布液(実施例1の耐熱滑性層30を形成するための塗布液、以下「耐熱滑性層形成用塗布液−1」と記載する)を、グラビアコーティング法により、乾燥後の塗布量が0.5g/m2になるように塗布し、温度100℃で1分間乾燥することで、耐熱滑性層30を形成した。
耐熱滑性層30を形成した基材の易接着処理面に、下記に示す組成の塗布液(染料層20を形成するための塗布液、以下、「染料層塗布液−1」と記載する)を、グラビアコーティング法により、乾燥後の塗布量が0.80g/m2になるように塗布し、温度90℃で1分間乾燥することで、染料層20を形成し、実施例1の感熱転写記録媒体1を得た。
耐熱滑性層形成用塗布液−1の組成は次の通りである。
・アセタール樹脂 5.0部
・マイカ 0.5部
・水酸化マグネシウム 0.1部
・ポリオキシエチレンステアリルエーテルリン酸エステル(融点48℃) 0.9部
・トルエン 5.5部
・MEK 13.0部
染料層塗布液−1の組成は次の通りである。
・化学式(1)にて示される染料 6.0部
・ポリビニルアセタール樹脂 4.0部
・ポリオキシエチレンラウリルエーテルリン酸エステル(融点35℃) 0.2部
・トルエン 44.9部
・メチルエチルケトン 44.9部
実施例1で作製した感熱転写記録媒体1において、染料層20を、下記に示す組成の塗布液(実施例2の染料層20を形成するための塗布液、以下「染料層塗布液−2」と記載する)とした以外は、実施例1と同様にして、実施例2の感熱記録転写媒体1を得た。
染料層塗布液−2の組成は次の通りである。
・化学式(2)にて示される染料 6.0部
・ポリビニルアセタール樹脂 4.0部
・ポリオキシエチレンラウリルエーテルリン酸エステル(融点35℃) 0.2部
・トルエン 44.9部
・メチルエチルケトン 44.9部
実施例1で作製した感熱転写記録媒体1において、染料層20を、下記に示す組成の塗布液(実施例2の染料層20を形成するための塗布液、以下「染料層塗布液−3」と記載する)とした以外は、実施例1と同様にして、実施例3の感熱記録転写媒体1を得た。
染料層塗布液−3の組成は次の通りである。
・化学式(3)にて示される染料 6.0部
・ポリビニルアセタール樹脂 4.0部
・ポリオキシエチレンラウリルエーテルリン酸エステル(融点35℃) 0.2部
・トルエン 44.9部
・メチルエチルケトン 44.9部
実施例1で作製した感熱転写記録媒体1において、耐熱滑性層30を、下記に示す組成の塗布液(実施例4の耐熱滑性層30を形成するための塗布液、以下「耐熱滑性層形成用塗布液−2」と記載する)とした以外は、実施例1と同様にして、実施例4の感熱記録転写媒体1を得た。
耐熱滑性層形成用塗布液−2の組成は次の通りである。
・アセタール樹脂 5.0部
・マイカ 0.5部
・水酸化マグネシウム 0.1部
・ポリオキシエチレンステアリルエーテルリン酸エステル(融点55℃) 0.9部
・トルエン 5.5部
・MEK 13.0部
実施例2で作製した感熱転写記録媒体1において、耐熱滑性層30を、「耐熱滑性層形成用塗布液−2」で形成した以外は、実施例2と同様にして、実施例5の感熱記録転写媒体1を得た。
(実施例6)
実施例3で作製した感熱転写記録媒体1において、耐熱滑性層30を、「耐熱滑性層形成用塗布液−2」で形成した以外は、実施例3と同様にして、実施例6の感熱記録転写媒体1を得た。
実施例1で作製した感熱転写記録媒体1において、染料層20を、下記に示す組成の塗布液(比較例1の染料層20を形成するための塗布液、以下「染料層塗布液−4」と記載する)とした以外は、実施例1と同様にして、比較例1の感熱記録転写媒体1を得た。
染料層塗布液−4の組成は次の通りである。
・化学式(1)にて示される染料 6.0部
・ポリビニルアセタール樹脂 4.0部
・トルエン 50.0部
・メチルエチルケトン 50.0部
実施例1で作製した感熱転写記録媒体1において、耐熱滑性層30を、下記に示す組成の塗布液(比較例2の耐熱滑性層30を形成するための塗布液、以下「耐熱滑性層形成用塗布液−3」と記載する)とした以外は、実施例1と同様にして、比較例2の感熱記録転写媒体1を得た。
耐熱滑性層形成用塗布液−3の組成は次の通りである。
・アセタール樹脂 5.0部
・マイカ 0.5部
・水酸化マグネシウム 0.1部
・ラウリルアシッドフォスフェート(融点44℃) 0.9部
・トルエン 5.5部
・MEK 13.0部
実施例1で作製した感熱転写記録媒体1において、染料層20を、下記に示す組成の塗布液(比較例3の染料層20を形成するための塗布液、以下「染料層塗布液−5」と記載する)、耐熱滑性層30を、「耐熱滑性層形成用塗布液−4」と記載する)とした以外は、実施例1と同様にして、比較例3の感熱記録転写媒体1を得た。
染料層塗布液−5の組成は次の通りである。
・化学式(1)にて示される染料 6.0部
・ポリビニルアセタール樹脂 4.0部
・ポリオキシエチレンステアリルエーテルリン酸エステル(融点48℃) 0.2部
・トルエン 44.9部
・メチルエチルケトン 44.9部
耐熱滑性層形成用塗布液−4の組成は次の通りである。
・アセタール樹脂 5.0部
・マイカ 0.5部
・水酸化マグネシウム 0.1部
・ポリオキシエチレンラウリルエーテルリン酸エステル(融点35℃) 0.9部
・トルエン 5.5部
・MEK 13.0部
実施例1で作製した感熱転写記録媒体1において、染料層20を、「染料層塗布液−4」で、耐熱滑性層30を、「耐熱滑性層形成用塗布液−3」で形成した以外は、実施例1と同様にして、比較例4の感熱記録転写媒体1を得た。
以下、実施例1〜6、比較例1〜4の感熱転写記録媒体に関して、染料層20と耐熱滑性層30を重ね保存することにより、染料転移評価を行った。
また、実施例1〜6、比較例1〜4の感熱転写記録媒体に関して、サーマルシミュレータを用いて低階調における濃度変化に関する評価を行った。表1を用いて、染料転移と濃度変化を評価した結果を説明する。
染料層20から耐熱滑性層30の染料転移による発色ムラの評価方法として、まず実施例1〜6、比較例1〜4の感熱転写記録媒体1を巻き取った状態で、25℃−50%環境下にて6ヶ月、および12ヶ月保存した。
保存後の感熱転写記録媒体1に関して、300dpiのサーマルヘッドを有するサーマルシミュレータを使用し、電圧24Vにて2msec/lineにて黒から白へのグラデーション画像を30枚印画し、印画ムラに関する評価を行った。
低階調における濃度変化の評価方法としては、300dpiのサーマルヘッドを有するサーマルシュミレータを使用し、電圧24Vにて2msec/lineの速さで各実施例の感熱転写記録媒体1に関して、黒から白へのグラデーション画像を30枚印画した。得られた印画物を観察し、グラデーションにおける濃度変化の滑らかさに関して評価を行った。
染料転移による発色ムラの評価に関しては、目視にて以下の基準で評価を行った。尚、評価結果が○或いは△であれば問題なく用いることが可能である。
○:発色ムラが見られない
△:僅かに発色ムラが見られる
×:明らかに発色ムラが見られる
低階調における濃度変化評価に関しては、目視にて以下の基準で評価を行った。尚、評価結果が○或いは△であれば実用上問題なく用いることが可能である。
○:濃度が滑らかに変化しグラデーションとしての異常が見られない
×:濃度が急激に変化している領域があり、グラデーションとして異常が見られる
表1の結果より、実施例1〜6の感熱転写記録媒体1は、低階調における濃度上昇、保存安定性共に問題が無いことが分かった。実施例1〜3と実施例4〜6の比較より、染料層20に含まれる一般式(4)や一般式(5)で示されるリン酸エステルと、耐熱滑性層30に含まれる一般式(4)や一般式(5)で示されるリン酸エステルとの融点差が15℃以上であれば、より保存安定性が高いことが分かる。また、比較例1、4の結果より、染料層20に一般式(4)や一般式(5)で示されるリン酸エステルを含まない場合には低階調における濃度上昇が急激となる領域が発生することが確認された。更に比較例2、4の結果より耐熱滑性層30に一般式(4)や一般式(5)で示されるリン酸エステルを含まない場合には保存安定性が不十分であることが確認された。また、比較例3より、染料層20、耐熱滑性層30共に一般式(4)や一般式(5)で示されるリン酸エステルを含む場合においても、染料層20に含まれる一般式(4)や一般式(5)で示されるリン酸エステルのアルキル基が、耐熱滑性層30に含まれる一般式(4)や一般式(5)で示されるリン酸エステルのアルキル基よりも大きい場合には、保存安定性が不十分であることが確認された。
10 基材
20 染料層
30 耐熱滑性層
Claims (2)
- 基材と、前記基材の一方の面側に形成された耐熱滑性層と、前記基材の他方の面側に形成された染料層と、を有し、
前記染料層は、昇華染料として一般式(1)、一般式(2)及び一般式(3)で示される染料の少なくとも一つの染料を含有すると共に、一般式(4)及び一般式(5)にて示されるリン酸エステルの少なくとも一方を含み、
前記耐熱滑性層は、一般式(4)及び一般式(5)にて示されるリン酸エステルの少なくとも一方を含み、その耐熱滑性層に含まれるリン酸エステルは、前記染料層に含まれる前記リン酸エステルよりも、アルキル基の炭素鎖数が大きく且つ融点が高いことを特徴とする感熱転写記録媒体。
但し、一般式(1)〜一般式(5)は、次の通りである。
- 前記染料層に含まれる前記リン酸エステルの融点と、前記耐熱滑性層に含まれる前記リン酸エステルの融点との差が15℃以上あることを特徴とする請求項1に記載の感熱転写記録媒体。
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