JPH09300827A - 熱転写シート - Google Patents

熱転写シート

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JPH09300827A
JPH09300827A JP8117708A JP11770896A JPH09300827A JP H09300827 A JPH09300827 A JP H09300827A JP 8117708 A JP8117708 A JP 8117708A JP 11770896 A JP11770896 A JP 11770896A JP H09300827 A JPH09300827 A JP H09300827A
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宏晃 小笠原
Kei Obata
慶 小幡
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 再転写の発生を防止し、印刷精度を確保す
る。 【解決手段】 基材シート1の一主面1a側に、例えば
第1〜第3の熱転写染料層2,3,4を形成し、他方の
主面1b側に、融点35℃以上の燐酸エステルを5重量
部〜50重量部の割合で含有し、かつガラス転移点80
℃以上のポリビニルアセタール樹脂を含有する耐熱滑性
層5を形成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は基材シートの一主面
側に熱転写染料層が形成され、他方の主面側に耐熱滑性
層が形成されてなる熱転写シートに関するものである。
詳しくは、耐熱滑性層中に所定の融点の燐酸エステルと
所定のガラス転移点のポリビニルアセタール樹脂を含有
させることにより、再転写の発生が防止された熱転写シ
ートに係わるものである。
【0002】
【従来の技術】近年、昇華染料を用い、極めて短時間の
加熱により多色の色ドットを被転写材に転写させて原稿
のフルカラー印刷を行う熱転写方式が多用されている。
このような熱転写方式により印刷を行う具体的な手法と
しては、以下のような手法が挙げられる。
【0003】すなわち、基材シートの一主面側にイエロ
ー、マゼンタ、シアンの各色の昇華染料が順次的に被着
形成された熱転写染料層を有する熱転写シートを用意す
る。そして、この熱転写シートの熱転写染料層が被着形
成されない他方の主面側からサーマルヘッドにより加熱
を行い、各色の昇華染料を被転写材に被着させて記録画
像を形成する。より具体的には、印刷する画像に合わ
せ、先ずサーマルヘッドを第1の色(例えばイエロー)
の昇華染料が被着形成されている部分に配して当該第1
の色の成分を印刷し、次にサーマルヘッドを第2の色
(例えばマゼンタ)の昇華染料が被着形成されている部
分に移動させて当該第2の色の成分を印刷し、最後にサ
ーマルヘッドを第3の色(例えばシアン)の昇華染料が
被着形成されている部分に移動させて当該第3の色の成
分を印刷してフルカラー印刷を行う。
【0004】なお、上記熱転写シートにおいては、必要
に応じて、上記の各色の他、ブラックの昇華染料を被着
形成したり、形成された画像を保護する透明膜を形成す
るための転写保護層や、普通紙に染料受容層を形成する
ための転写受容層を形成しても良い。
【0005】さらに、上記熱転写シートにおいては、記
録時に基材シートがサーマルヘッドに融着するのを防
ぎ、サーマルヘッドが熱転写シート上を円滑に移動でき
るように、基材シートの熱転写染料層が形成されない他
方の主面側に耐熱滑性層を形成するようにしている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところで、このような
熱転写シートは以下のようにして製造される。すなわ
ち、先ず、長尺かつ幅広の基材シートの一主面側に所定
の色の昇華染料とバインダー樹脂等を含むインク組成物
を塗布して熱転写染料層を形成するとともに、必要に応
じて転写保護層や染料受容層を形成する。続いて、上記
熱転写染料層等が形成されない反対側の主面側にシリコ
ーンオイル等の滑剤等を含む滑性層組成物を塗布して耐
熱滑性層を形成する。そして、所定の長さ及び幅となる
ように裁断して熱転写シートを完成する。
【0007】熱転写シートの基材シートは上述のように
長尺かつ幅広であるため、これに熱転写染料層を形成し
たり、転写保護層や染料受容層を形成する際には、基材
シートを第1のロールに巻装しておき、これを第1のロ
ールと所定の間隔を有して配されている第2のロールへ
と巻取りながら各層の形成を行うようにしている。さら
に、熱転写染料層等の形成及び耐熱滑性層の形成が終了
して裁断する際においても同様で、第1のロールから第
2のロールへと巻取りながら所定の長さ及び幅となるよ
うに裁断する。
【0008】すなわち、熱転写染料層等の形成及び耐熱
滑性層の形成の終了後は、巻装状態において熱転写染料
層と耐熱滑性層は接触していることとなる。このように
熱転写染料層と耐熱滑性層が接触していると、熱転写染
料層中の昇華染料が耐熱滑性層に付着してしまうことが
ある。そしてこのように耐熱滑性層に熱転写染料層の昇
華染料が付着している状態で裁断のための巻取りを行う
と、耐熱滑性層に付着した昇華染料がこれと接触する別
の色の熱転写染料層に付着してしまう、いわゆる再転写
が発生することがある。このように再転写が発生する
と、再転写が発生している色の印刷を行った場合に、別
の色が混入されて印刷が行われることとなり、印刷精度
を著しく損なってしまう。このことは、熱転写染料層の
他に、転写保護層を設けている場合には更に顕著であ
る。すなわち、この転写保護層は保護膜とされた場合に
画像の特性を損なわないように透明膜とされており、こ
の透明な膜に再転写が起こり、この部分を画像上に保護
膜として被着させると、染料の混入がさらに強調されて
しまい、印刷精度を著しく損なってしまう。
【0009】そこで本発明は、従来の実情に鑑みて提案
されたものであり、再転写の発生を防止し、印刷精度を
確保する熱転写シートを提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】上述の課題を解決するた
めに本発明の熱転写シートは、基材シートの一主面側に
熱転写染料層を形成し、他方の主面側に、融点35℃以
上の燐酸エステルを5重量部〜50重量部の割合で含有
し、かつガラス転移点80℃以上のポリビニルアセター
ル樹脂を含有する耐熱滑性層を形成したことを特徴とす
るものである。
【0011】本発明の熱転写シートにおいて、耐熱滑性
層中の燐酸エステルの融点が35℃未満であったり、ポ
リビニルアセタール樹脂のガラス転移点が80℃未満で
あったりすると、再転写の発生を抑える効果が弱く、好
ましくない。また、耐熱滑性層中の燐酸エステルの含有
量が5重量部未満であると、耐熱滑性層のサーマルヘッ
ドに対する滑性が十分に確保されず、50重量部よりも
多いと、再転写の発生を抑える効果が弱く、好ましくな
い。
【0012】上記基材シートとしては、この種の熱転写
シートの基材シートとして使用されるものであれば、何
れも使用可能であり、例えばポリエステルフィルム、ポ
リスチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリス
ルホンフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリイミ
ドフィルム、アラミドフィルム等が例示される。なお、
この基材シートとしては、厚さが1〜30μm、さらに
は2〜10μmのものが好ましい。
【0013】熱転写染料層は、例えばイエロー、マゼン
タ、シアンの各色の昇華染料を含有し、各色に対応する
部分を有するものであり、この他、ブラックの昇華染料
を含有し、ブラックに対応する部分を有しても良い。ま
た、このブラックに対応する部分のみにより構成されて
も良い。
【0014】この熱転写染料層に使用される染料として
は、この種の熱転写シートの熱転写染料層中の染料とし
て使用されるものであれば何れも使用可能であり、以下
に示すようなものが例示される。すなわち、イエロー系
の染料としては、アゾ系、ジスアゾ系、メチン系、スチ
リル系、ピリドン・アゾ系等及びその混合系が挙げら
れ、マゼンタ系の染料としては、アゾ系、アントラキノ
ン系、スチリル系、複素環系アゾ色素等及びその混合系
が挙げられ、シアン系の染料としては、アントラキノン
系、ナフトキノン系、複素環系アゾ色素、インドアニリ
ン系等及びその混合系が挙げられる。
【0015】また、上記熱転写染料層中には、これら染
料の他、バインダー樹脂等が含有されている。バインダ
ー樹脂としては、この種の熱転写シートの熱転写染料層
中のバインダー樹脂として使用されるものであれば何れ
も使用可能であり、以下に示すようなものが例示され
る。すなわち、メチルセルロース、エチルセルロース、
ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセル
ロース、酢酸セルロース等のセルロース系樹脂、ポリビ
ニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリビニルア
セトアセタール、ポリ酢酸ビニル、ポリスチレン等のビ
ニル系樹脂や各種ウレタン樹脂等が挙げられる。
【0016】一方の耐熱滑性層には、融点が35℃以上
の燐酸エステルとガラス転移点80℃以上のポリビニル
アセタール樹脂の他、従来より公知のバインダー樹脂、
例えば酢酸セルロース、ポリビニルアセタール、アクリ
ル樹脂等を含有させることができる。
【0017】また、この耐熱滑性層には、必要に応じて
各種潤滑済剤や充填剤、ポリイソシアネート化合物等を
含有させることも可能である。
【0018】このような充填剤としては、シリカ、タル
ク、クレー、ゼオライト、酸化チタン、酸化亜鉛、カー
ボン等の無機充填剤やシリコン樹脂、ポリエチレンテレ
フタレート、ベンゾグアナミン樹脂等からなる有機充填
剤が挙げられる。
【0019】さらに、上記のポリイソシアネート化合物
としては、分子中に少なくとも2つ以上のイソシアネー
ト基を有するイソシアネート化合物であれば特に限定さ
れず、例えばトリレンジイソシアネート、4,4´−ジ
フェニルメタンイソシアネート、4,4´−キシレンジ
イソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、
4,4−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネー
ト)、メチルシクロヘキサン−2,4(または2,6)
−ジイソシアネート、1,3−ジ(イソシアネートメチ
ル)シクロヘキサン、イソホロンジイソシアネート、ト
リメチル・ヘキサメチレンジイソシアネート等や、ジイ
ソシアネートとポリオールとを部分的に付加反応させた
ポリイソシアネートのアダクト体(ポリイソシアネート
プレポリマー)、例えばトリレンジイソシアネートとト
リメチロールプロパンとを反応させたアダクト体等を使
用することが可能である。
【0020】そして、本発明の熱転写シートにおいて
は、基材シートの熱転写染料層が形成される主面側に、
必要に応じて、形成された画像を保護する透明膜を形成
するための転写保護層や、普通紙に染料受容層を形成す
るための転写受容層を形成しても良い。
【0021】本発明の熱転写シートにおいては、基材シ
ートの一主面側に熱転写染料層を形成するとともに、反
対側の主面側に、融点が35℃以上の燐酸エステルを5
重量部〜50重量部の割合で含有し、かつガラス転移点
80℃以上のポリビニルアセタール樹脂を含有する耐熱
滑性層を形成するようにしていることから、熱転写シー
トを巻装した場合に熱転写染料層と耐熱滑性層が接触し
ても熱転写染料層の染料が耐熱滑性層に付着し難く、再
転写の発生が防止される。また、耐熱滑性層中の燐酸エ
ステルの含有量を上記範囲としていることから、当該耐
熱滑性層のサーマルヘッドに対する滑性も十分に確保さ
れる。
【0022】
【発明の実施の形態】以下、本発明の具体的な実施の形
態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0023】本発明を適用した熱転写シートは、例えば
図1に示すように、基材シート1の一主面1a側に、第
1の熱転写染料層2、第2の熱転写染料層3、第3の熱
転写染料層4が互いに隣合うように図中矢印Mで示すサ
ーマルヘッドの移動方向に順次形成されてなるものであ
る。そして、第1の熱転写染料層の隣には熱転写染料層
の存在を認識させるための検知マーク5が形成されてい
る。
【0024】この第1の熱転写染料層2、第2の熱転写
染料層3、第3の熱転写染料層4はそれぞれ昇華染料と
バインダー樹脂等よりなるものである。そして、これら
熱転写染料層にそれぞれ異なった色の染料、例えばイエ
ロー、マゼンタ、シアンの各色の染料をそれぞれ含有さ
せるようにすればフルカラー印刷に対応する熱転写シー
トとなる。一方、全ての熱転写染料層にブラックの染料
を含有させるようにすれば、1色のみの印刷に対応する
熱転写シートとなる。
【0025】そして、本発明を適用した熱転写シートに
おいては特に、図2に示すように、基材シート1の第1
の熱転写染料層2等が形成される一主面1aと反対側の
主面1b側に耐熱滑性層5が形成されており、この耐熱
滑性層5は融点35℃以上の燐酸エステルを5重量部〜
50重量部の割合で含有し、かつガラス転移点80℃以
上のポリビニルアセタール樹脂を含有してなるものであ
る。なお、この耐熱滑性層5には、従来より公知のバイ
ンダー樹脂、例えば酢酸セルロース、ポリビニルアセタ
ール、アクリル樹脂等を含有させても良い。また、この
耐熱滑性層5には、必要に応じて各種潤滑剤や充填剤、
ポリイソシアネート化合物等を含有させることも可能で
ある。
【0026】また、本発明を適用した熱転写シートにお
いては、図3に示すように、基材シート1の一主面1a
側の第3の熱転写染料層4の隣に第4の熱転写染料層6
を形成するようにしても良く、この場合には、各熱転写
染料層に例えばイエロー、マゼンタ、シアン、ブラック
の各色の染料をそれぞれ含有させるようにすればフルカ
ラー印刷に対応する熱転写シートとなる。一方、全ての
熱転写染料層にブラックの染料を含有させるようにすれ
ば、1色のみの印刷に対応する熱転写シートとなる。
【0027】さらに、本発明を適用した熱転写シートに
おいては、図4に示すように、基材シート11の一主面
11a側に検知マーク15、第1の熱転写染料層12、
第2の熱転写染料層13、第3の熱転写染料層14を順
次形成するとともに、第3の熱転写染料層14の隣に画
像を保護する透明膜を形成するための透明な膜である転
写保護層16を形成するようにしても良い。なお、各熱
転写染料層については、これまで述べた例と同様に形成
すれば良い。そしてこのように、転写保護層16を形成
すれば、各熱転写染料層の各色を印刷した後にこの上に
透明な転写保護層16を転写することとなり、画像を保
護する透明膜が形成されることとなる。
【0028】さらにまた、本発明を適用した熱転写シー
トにおいては、図5に示すように、基材シート21の一
主面21a側に検知マーク25、第1の熱転写染料層2
2、第2の熱転写染料層23、第3の熱転写染料層24
を順次形成するとともに、検知マーク25と第1の熱転
写染料層22の間に染料受容層を形成する転写受容層2
6を形成するようにしても良い。なお、各熱転写染料層
については、これまで述べた例と同様に形成すれば良
い。そしてこのように、転写受容層26を形成すれば、
被記録材上に転写受容層26が転写されて染料受容層が
形成された後に、各熱転写染料層の各色が印刷されるこ
ととなる。このようにすれば、被記録材として染料受容
層を持たない普通紙を使用しても、専用紙と同様な印刷
を行うことが可能である。
【0029】本発明を適用した熱転写シートにおいて
は、基材シートの熱転写染料層が形成されない主面側
に、融点35℃以上の燐酸エステルを5重量部〜50重
量部の割合で含有し、かつガラス転移点80℃以上のポ
リビニルアセタール樹脂を含有する耐熱滑性層が形成さ
れているため、当該熱転写シートを巻装した場合に熱転
写染料層と耐熱滑性層が接触しても熱転写染料層の染料
が耐熱滑性層に付着し難く、再転写の発生が防止され、
印刷精度が確保される。また、耐熱滑性層中の燐酸エス
テルの含有量を上記範囲としていることから、当該耐熱
滑性層のサーマルヘッドに対する滑性も十分に確保さ
れ、このことからも印刷精度が確保される。
【0030】
【実施例】次に、本発明の効果を確認すべく、以下のよ
うな実験を行った。
【0031】実験例1 すなわち、基材シートに熱転写染料層が形成された熱転
写シートと基材シートに耐熱滑性層が形成された評価用
熱転写シートを製造し、これらを熱転写染料層と耐熱滑
性層が合わさるように重ね合わせ、巻装状態を再現でき
る所定の条件下で押圧し、熱転写染料層中の昇華染料の
耐熱滑性層への付着を調査した。
【0032】先ず、熱転写シートを製造をするべく、厚
さ6μmのポリエステルフィルム(東レ(株)社製 ル
ミラー(商品名))を基材シートとして用意した。次
に、以下に示すような組成のインク組成物を乾燥後の厚
さが1μmとなるように基材シートの一主面側に塗布し
て熱転写染料層を有する熱転写シートを形成した。
【0033】 〈インク組成〉 昇華染料(Disperse Violet 26) 5.0重量部 ポリビニルブチラール樹脂 5.0重量部 (積水化学(株)社製 BX−1(商品名)) メチルエチルケトン 45.0重量部 トルエン 45.0重量部 続いて、評価用の熱転写シートを製造するべく、厚さ6
μmのポリエステルフィルム(東レ(株)社製 ルミラ
ー(商品名))を基材シートとして用意した。次に、以
下に示すような組成の滑性層組成物を基材シートの一主
面側に乾燥後の厚さが1μmとなるように塗布して耐熱
滑性層を有する評価用熱転写シートを製造した。そし
て、このとき、滑性層組成物中の燐酸エステルの種類と
量、ポリビニルアセタール樹脂の種類を変更して14種
の滑性層組成物を製造し、これらを使用して上記のよう
な構成の評価用熱転写シートを製造した。なお、上記滑
性層組成物により形成される耐熱滑性層をそれぞれ実施
例1〜6、比較例1〜8と称することとする。なお、便
宜上、これら実施例1〜6及び比較例1〜8を使用した
評価用熱転写シートも実施例1〜6、比較例1〜8と称
する。これら各例において使用した燐酸エステルの商品
名と融点、耐熱滑性層中の含有量、ポリビニルアセター
ル樹脂の商品名とガラス転移点を表1に示す。
【0034】
【表1】
【0035】なお、表1中プライサーフは第一工業製薬
(株)社製であり、フォスファノールは東邦化学(株)
社製であり、デンカブチラールは電気化学工業(株)社
製であり、エスレックは積水化学工業(株)社製であ
る。
【0036】〈滑性層組成物〉以下に示すものの他、表
1中の燐酸エステルを最終的な耐熱滑性層中の燐酸エス
テルの含有量が表1中の値となる量(A重量部)で添加
した。
【0037】 ポリビニルアセタール樹脂 5.0重量部 イソシアネート 0.5重量部 (日本ポリウレタン工業(株)社製 コロネート−L(商品名)) シリカ 0.5重量部 (日本シリカ工業(株)社製 Nipsil E−200A(商品名)) メチルエチルケトン 47−A/2重量部 トルエン 47−A/2重量部 続いて、前述の熱転写シートと上記評価用熱転写シート
の実施例1〜6及び比較例1〜8を組み合わせ、熱転写
シートの熱転写染料層と評価用熱転写シートの耐熱滑性
層が合わさるように20cm×20cmの大きさで重ね
合わせ、これらを温度25℃の環境下で3トンの荷重を
加えて3時間プレスしたときの各評価用熱転写シートの
耐熱滑性層への昇華染料の付着を調査した。なお、上記
プレスは、小平製作所社製 PY−5EA型加熱冷却成
形機(機種名)により行い、昇華染料の付着の判定はマ
クベス(株)社製濃度計TR−924(機種名)による
プレス前後の反射濃度の変化を測定して行い、反射濃度
の変化が0.1未満であるものを昇華染料の付着が無い
とし、反射濃度の変化が0.1以上のものを昇華染料の
付着があるとした。結果を表1に併せて示し、それぞれ
の反射濃度の変化を括弧内の数値として示すとともに、
昇華染料の付着がないものを○で示し、付着があるもの
を×で示す。
【0038】実験例2 次に、基材シートの一主面側に熱転写染料層が形成さ
れ、他方の主面側に耐熱滑性層が形成された熱転写シー
トを製造し、これを使用して実際の印刷を行い、耐熱滑
性層の滑性を調査した。
【0039】先ず、実験例1で示したインク組成物と実
施例1〜6と比較例1〜8の耐熱滑性層を形成する滑性
層組成物を組み合わせて、上記のような構成のマゼンタ
の熱転写染料層のみが形成された熱転写シートを製造し
た。
【0040】次に、ソニー(株)社製のプリントメディ
ア UPC7010(商品名)のフルカラー対応の熱転
写シート中のマゼンタの部分の代わりに上記各熱転写シ
ートを組み込んだ熱転写シートをそれぞれ形成した。
【0041】続いて、上記各熱転写シートを使用し、ソ
ニー(株)社製のフルカラープリンター UP−700
0(商品名)にて、ソニー(株)社製のプリントメディ
アUPC7010(商品名)の印画紙に対し、16階調
のグレーの階調印画を形成した。そして、これら階調印
画における階調間の境界線のボケ等の発生、いわゆる色
ずれの発生の有無を目視により調査した。結果を表1中
に、形成した耐熱滑性層の種類により分類した形で併せ
て示す。
【0042】この色ずれは、熱転写シートのサーマルヘ
ッドに対する滑性が不十分である場合に発生するもので
ある。すなわち、黒から白へのグラデーションであるグ
レー階調印画は、イエロー、マゼンタ、シアンの3色の
混合比を変化させて形成するため、熱転写シートのサー
マルヘッドに対する滑性が不十分であると、サーマルヘ
ッドの移動が確実に行われず、各色の混合比を正確に再
現できず、上記のような境界線のボケ等が発生し、色ず
れが生じてしまう。
【0043】表1中に示される実験例1及び実験例2の
結果から、融点が35℃以上の燐酸エステルを5重量部
〜50重量部の割合で含有し、かつガラス転移点80℃
以上のポリビニルアセタール樹脂を含有する耐熱滑性層
である実施例1〜6においては、熱転写染料層と接触さ
せても熱転写染料層の昇華染料の付着が発生しておら
ず、再転写の発生が防止されることが確認された。
【0044】これに対し、含有される燐酸エステルの融
点が30℃未満の比較例1,2、含有されるポリビニル
アセタールのガラス転移点が80℃未満である比較例
3、含有される燐酸エステルの融点が30℃未満で、ポ
リビニルアセタールのガラス転移点が80℃未満である
比較例4,5においては、熱転写染料層の昇華染料の付
着が発生しており、燐酸エステル及びポリビニルアセタ
ールの再転写を抑える効果が弱いことが確認された。ま
た、耐熱滑性層中の燐酸エステルの含有量が50重量部
よりも多い比較例6においても、熱転写染料層の昇華染
料の付着が発生してしまい、再転写を抑える効果が弱い
ことが確認された。
【0045】さらに、耐熱滑性層中の燐酸エステルの含
有量を上記範囲としている上記実施例1〜6において
は、色ずれが発生しておらず、当該耐熱滑性層のサーマ
ルヘッドに対する滑性が十分に確保されることが確認さ
れた。
【0046】これに対し、耐熱滑性層中の燐酸エステル
の含有量が5重量部未満の比較例7,8においては、色
ずれが発生しており、当該耐熱滑性層のサーマルヘッド
に対する滑性が不十分であることが確認された。
【0047】すなわち、これらのことから、本発明が適
用され、融点が35℃以上の燐酸エステルを5重量部〜
50重量部の割合で含有し、かつガラス転移点80℃以
上のポリビニルアセタール樹脂を含有する耐熱滑性層が
形成されている熱転写シートにおいては、再転写や色ず
れの発生が抑えられ、十分な印刷精度が確保されること
が確認された。
【0048】
【発明の効果】以上の説明からも明らかなように、本発
明の熱転写シートにおいては、基材シートの一主面側に
熱転写染料層を形成するとともに、反対側の主面側に、
融点が35℃以上の燐酸エステルを5重量部〜50重量
部の割合で含有し、かつガラス転移点80℃以上のポリ
ビニルアセタール樹脂を含有する耐熱滑性層を形成する
ようにしていることから、熱転写シートを巻装した場合
に熱転写染料層と耐熱滑性層が接触しても熱転写染料層
の染料が耐熱滑性層に付着し難く、再転写の発生が防止
される。また、耐熱滑性層中の燐酸エステルの含有量を
上記範囲としていることから、当該耐熱滑性層のサーマ
ルヘッドに対する滑性も十分に確保される。
【0049】従って、本発明の熱転写シートにおいて
は、十分な印刷精度が確保される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用した熱転写シートの一例を模式的
に示す平面図である。
【図2】本発明を適用した熱転写シートの一例を模式的
に示す断面図である。
【図3】本発明を適用した熱転写シートの他の例を模式
的に示す平面図である。
【図4】本発明を適用した熱転写シートのさらに他の例
を模式的に示す平面図である。
【図5】本発明を適用した熱転写シートのさらに他の例
を模式的に示す平面図である。
【符号の説明】
1,11,21 基材シート、1a,11a,21a
一主面、1b 主面、2,12,22 第1の熱転写染
料層、3,13,23 第2の熱転写染料層、4,1
4,24 第3の熱転写染料層、5 耐熱滑性層

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基材シートの一主面側に熱転写染料層が
    形成され、他方の主面側に耐熱滑性層が形成されてなる
    熱転写シートにおいて、 耐熱滑性層が、融点35℃以上の燐酸エステルを5重量
    部〜50重量部の割合で含有し、かつガラス転移点80
    ℃以上のポリビニルアセタール樹脂を含有することを特
    徴とする熱転写シート。
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