JP3697777B2 - 熱転写シート - Google Patents

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は基材シートの一主面側に熱転写染料層が形成され、他方の主面側に耐熱滑性層が形成されてなる熱転写シートに関するものである。詳しくは、耐熱滑性層中に所定の融点の燐酸エステルと所定のガラス転移点のポリビニルアセタール樹脂を含有させることにより、再転写の発生が防止された熱転写シートに係わるものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、昇華染料を用い、極めて短時間の加熱により多色の色ドットを被転写材に転写させて原稿のフルカラー印刷を行う熱転写方式が多用されている。このような熱転写方式により印刷を行う具体的な手法としては、以下のような手法が挙げられる。
【0003】
すなわち、基材シートの一主面側にイエロー、マゼンタ、シアンの各色の昇華染料が順次的に被着形成された熱転写染料層を有する熱転写シートを用意する。そして、この熱転写シートの熱転写染料層が被着形成されない他方の主面側からサーマルヘッドにより加熱を行い、各色の昇華染料を被転写材に被着させて記録画像を形成する。より具体的には、印刷する画像に合わせ、先ず熱転写シートの第1の色(例えばイエロー)の昇華染料が被着形成されている部分をサーマルヘッドに配して当該第1の色の成分を印刷し、次に第2の色(例えばマゼンタ)の昇華染料が被着形成されている部分をサーマルヘッドに移動させて当該第2の色の成分を印刷し、最後に第3の色(例えばシアン)の昇華染料が被着形成されている部分をサーマルヘッドに移動させて当該第3の色の成分を印刷してフルカラー印刷を行う。
【0004】
なお、上記熱転写シートにおいては、必要に応じて、上記の各色の他、ブラックの昇華染料を被着形成したり、形成された画像を保護する透明膜を形成するための転写保護層や、普通紙に染料受容層を形成するための転写受容層を形成しても良い。
【0005】
さらに、上記熱転写シートにおいては、記録時に基材シートがサーマルヘッドに融着するのを防ぎ、熱転写シートがサーマルヘッド上を円滑に移動できるように、基材シートの熱転写染料層が形成されない他方の主面側に耐熱滑性層を形成するようにしている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、このような熱転写シートは以下のようにして製造される。すなわち、先ず、長尺かつ幅広の基材シートの一主面側に所定の色の昇華染料とバインダー樹脂等を含むインク組成物を塗布して熱転写染料層を形成するとともに、必要に応じて転写保護層や染料受容層を形成する。続いて、上記熱転写染料層等が形成されない反対側の主面側にシリコーンオイル等の滑剤等を含む滑性層組成物を塗布して耐熱滑性層を形成する。そして、所定の長さ及び幅となるように裁断して熱転写シートを完成する。
【0007】
熱転写シートの基材シートは上述のように長尺かつ幅広であるため、これに熱転写染料層を形成したり、転写保護層や染料受容層を形成する際には、基材シートを第1のロールに巻装しておき、これを第1のロールと所定の間隔を有して配されている第2のロールへと巻取りながら各層の形成を行うようにしている。さらに、熱転写染料層等の形成及び耐熱滑性層の形成が終了して裁断する際においても同様で、第1のロールから第2のロールへと巻取りながら所定の長さ及び幅となるように裁断する。
【0008】
すなわち、熱転写染料層等の形成及び耐熱滑性層の形成の終了後は、巻装状態において熱転写染料層と耐熱滑性層は接触していることとなる。このように熱転写染料層と耐熱滑性層が接触していると、熱転写染料層中の昇華染料が耐熱滑性層に付着してしまうことがある。そしてこのように耐熱滑性層に熱転写染料層の昇華染料が付着している状態で裁断のための巻取りを行うと、耐熱滑性層に付着した昇華染料がこれと接触する別の色の熱転写染料層に付着してしまう、いわゆる再転写が発生することがある。このように再転写が発生すると、再転写が発生している色の印刷を行った場合に、別の色が混入されて印刷が行われることとなり、印刷精度を著しく損なってしまう。このことは、熱転写染料層の他に、転写保護層を設けている場合には更に顕著である。すなわち、この転写保護層は保護膜とされた場合に画像の特性を損なわないように透明膜とされており、この透明な膜に再転写が起こり、この部分を画像上に保護膜として被着させると、染料の混入がさらに強調されてしまい、印刷精度を著しく損なってしまう。
【0009】
そこで本発明は、従来の実情に鑑みて提案されたものであり、再転写の発生を防止し、印刷精度を確保する熱転写シートを提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上述の課題を解決するために本発明の熱転写シートは、基材シートの一主面側に熱転写染料層を形成し、他方の主面側に、融点35℃以上の燐酸エステルを耐熱滑性層全体に対して5重量部〜50重量部の割合で含有し、かつガラス転移点80℃以上のポリビニルアセタール樹脂を含有する耐熱滑性層を形成したことを特徴とするものである。
【0011】
本発明の熱転写シートにおいて、耐熱滑性層中の燐酸エステルの融点が35℃未満であったり、ポリビニルアセタール樹脂のガラス転移点が80℃未満であったりすると、再転写の発生を抑える効果が弱く、好ましくない。また、耐熱滑性層中の燐酸エステルの含有量が5重量部未満であると、耐熱滑性層のサーマルヘッドに対する滑性が十分に確保されず、50重量部よりも多いと、再転写の発生を抑える効果が弱く、好ましくない。
【0012】
上記基材シートとしては、この種の熱転写シートの基材シートとして使用されるものであれば、何れも使用可能であり、例えばポリエステルフィルム、ポリスチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリスルホンフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリイミドフィルム、アラミドフィルム等が例示される。なお、この基材シートとしては、厚さが1〜30μm、さらには2〜10μmのものが好ましい。
【0013】
熱転写染料層は、例えばイエロー、マゼンタ、シアンの各色の昇華染料を含有し、各色に対応する部分を有するものであり、この他、ブラックの昇華染料を含有し、ブラックに対応する部分を有しても良い。また、このブラックに対応する部分のみにより構成されても良い。
【0014】
この熱転写染料層に使用される染料としては、この種の熱転写シートの熱転写染料層中の染料として使用されるものであれば何れも使用可能であり、以下に示すようなものが例示される。すなわち、イエロー系の染料としては、アゾ系、ジスアゾ系、メチン系、スチリル系、ピリドン・アゾ系等及びその混合系が挙げられ、マゼンタ系の染料としては、アゾ系、アントラキノン系、スチリル系、複素環系アゾ色素等及びその混合系が挙げられ、シアン系の染料としては、アントラキノン系、ナフトキノン系、複素環系アゾ色素、インドアニリン系等及びその混合系が挙げられる。
【0015】
また、上記熱転写染料層中には、これら染料の他、バインダー樹脂等が含有されている。バインダー樹脂としては、この種の熱転写シートの熱転写染料層中のバインダー樹脂として使用されるものであれば何れも使用可能であり、以下に示すようなものが例示される。すなわち、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、酢酸セルロース等のセルロース系樹脂、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリビニルアセトアセタール、ポリ酢酸ビニル、ポリスチレン等のビニル系樹脂や各種ウレタン樹脂等が挙げられる。
【0016】
一方の耐熱滑性層には、融点が35℃以上の燐酸エステルとガラス転移点80℃以上のポリビニルアセタール樹脂の他、従来より公知のバインダー樹脂、例えば酢酸セルロース、アクリル樹脂等を含有させることができる。
【0017】
また、この耐熱滑性層には、必要に応じて各種潤滑剤や充填剤、ポリイソシアネート化合物等を含有させることも可能である。
【0018】
このような充填剤としては、シリカ、タルク、クレー、ゼオライト、酸化チタン、酸化亜鉛、カーボン等の無機充填剤やシリコン樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ベンゾグアナミン樹脂等からなる有機充填剤が挙げられる。
【0019】
さらに、上記のポリイソシアネート化合物としては、分子中に少なくとも2つ以上のイソシアネート基を有するイソシアネート化合物であれば特に限定されず、例えばトリレンジイソシアネート、4,4´−ジフェニルメタンイソシアネート、4,4´−キシレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、4,4−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、メチルシクロヘキサン−2,4(または2,6)−ジイソシアネート、1,3−ジ(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、イソホロンジイソシアネート、トリメチル・ヘキサメチレンジイソシアネート等や、ジイソシアネートとポリオールとを部分的に付加反応させたポリイソシアネートのアダクト体(ポリイソシアネートプレポリマー)、例えばトリレンジイソシアネートとトリメチロールプロパンとを反応させたアダクト体等を使用することが可能である。
【0020】
そして、本発明の熱転写シートにおいては、基材シートの熱転写染料層が形成される主面側に、必要に応じて、形成された画像を保護する透明膜を形成するための転写保護層や、普通紙に染料受容層を形成するための転写受容層を形成しても良い。
【0021】
本発明の熱転写シートにおいては、基材シートの一主面側に熱転写染料層を形成するとともに、反対側の主面側に、融点が35℃以上の燐酸エステルを耐熱滑性層全体に対して5重量部〜50重量部の割合で含有し、かつガラス転移点80℃以上のポリビニルアセタール樹脂を含有する耐熱滑性層を形成するようにしていることから、熱転写シートを巻装した場合に熱転写染料層と耐熱滑性層が接触しても熱転写染料層の染料が耐熱滑性層に付着し難く、再転写の発生が防止される。また、耐熱滑性層中の燐酸エステルの含有量を上記範囲としていることから、当該耐熱滑性層のサーマルヘッドに対する滑性も十分に確保される。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の具体的な実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0023】
本発明を適用した熱転写シートは、例えば図1に示すように、基材シート1の一主面1a側に、第1の熱転写染料層2、第2の熱転写染料層3、第3の熱転写染料層4が互いに隣合うように図中矢印Mで示すサーマルヘッドの移動方向に順次形成されてなるものである。そして、第1の熱転写染料層の隣には熱転写染料層の存在を認識させるための検知マーク5が形成されている。
【0024】
この第1の熱転写染料層2、第2の熱転写染料層3、第3の熱転写染料層4はそれぞれ昇華染料とバインダー樹脂等よりなるものである。そして、これら熱転写染料層にそれぞれ異なった色の染料、例えばイエロー、マゼンタ、シアンの各色の染料をそれぞれ含有させるようにすればフルカラー印刷に対応する熱転写シートとなる。一方、全ての熱転写染料層にブラックの染料を含有させるようにすれば、1色のみの印刷に対応する熱転写シートとなる。
【0025】
そして、本発明を適用した熱転写シートにおいては特に、図2に示すように、基材シート1の第1の熱転写染料層2等が形成される一主面1aと反対側の主面1b側に耐熱滑性層5が形成されており、この耐熱滑性層5は融点35℃以上の燐酸エステルを耐熱滑性層全体に対して5重量部〜50重量部の割合で含有し、かつガラス転移点80℃以上のポリビニルアセタール樹脂を含有してなるものである。なお、この耐熱滑性層5には、従来より公知のバインダー樹脂、例えば酢酸セルロース、ポリビニルアセタール、アクリル樹脂等を含有させても良い。また、この耐熱滑性層5には、必要に応じて各種潤滑剤や充填剤、ポリイソシアネート化合物等を含有させることも可能である。
【0026】
また、本発明を適用した熱転写シートにおいては、図3に示すように、基材シート1の一主面1a側の第3の熱転写染料層4の隣に第4の熱転写染料層6を形成するようにしても良く、この場合には、各熱転写染料層に例えばイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色の染料をそれぞれ含有させるようにすればフルカラー印刷に対応する熱転写シートとなる。一方、全ての熱転写染料層にブラックの染料を含有させるようにすれば、1色のみの印刷に対応する熱転写シートとなる。
【0027】
さらに、本発明を適用した熱転写シートにおいては、図4に示すように、基材シート11の一主面11a側に検知マーク15、第1の熱転写染料層12、第2の熱転写染料層13、第3の熱転写染料層14を順次形成するとともに、第3の熱転写染料層14の隣に画像を保護する透明膜を形成するための透明な膜である転写保護層16を形成するようにしても良い。なお、各熱転写染料層については、これまで述べた例と同様に形成すれば良い。そしてこのように、転写保護層16を形成すれば、各熱転写染料層の各色を印刷した後にこの上に透明な転写保護層16を転写することとなり、画像を保護する透明膜が形成されることとなる。
【0028】
さらにまた、本発明を適用した熱転写シートにおいては、図5に示すように、基材シート21の一主面21a側に検知マーク25、第1の熱転写染料層22、第2の熱転写染料層23、第3の熱転写染料層24を順次形成するとともに、検知マーク25と第1の熱転写染料層22の間に染料受容層を形成する転写受容層26を形成するようにしても良い。なお、各熱転写染料層については、これまで述べた例と同様に形成すれば良い。そしてこのように、転写受容層26を形成すれば、被記録材上に転写受容層26が転写されて染料受容層が形成された後に、各熱転写染料層の各色が印刷されることとなる。このようにすれば、被記録材として染料受容層を持たない普通紙を使用しても、専用紙と同様な印刷を行うことが可能である。
【0029】
本発明を適用した熱転写シートにおいては、基材シートの熱転写染料層が形成されない主面側に、融点35℃以上の燐酸エステルを耐熱滑性層全体に対して5重量部〜50重量部の割合で含有し、かつガラス転移点80℃以上のポリビニルアセタール樹脂を含有する耐熱滑性層が形成されているため、当該熱転写シートを巻装した場合に熱転写染料層と耐熱滑性層が接触しても熱転写染料層の染料が耐熱滑性層に付着し難く、再転写の発生が防止され、印刷精度が確保される。また、耐熱滑性層中の燐酸エステルの含有量を上記範囲としていることから、当該耐熱滑性層のサーマルヘッドに対する滑性も十分に確保され、このことからも印刷精度が確保される。
【0030】
【実施例】
次に、本発明の効果を確認すべく、以下のような実験を行った。
【0031】
実験例1
すなわち、基材シートに熱転写染料層が形成された熱転写シートと基材シートに耐熱滑性層が形成された評価用熱転写シートを製造し、これらを熱転写染料層と耐熱滑性層が合わさるように重ね合わせ、巻装状態を再現できる所定の条件下で押圧し、熱転写染料層中の昇華染料の耐熱滑性層への付着を調査した。
【0032】
先ず、熱転写シートを製造をするべく、厚さ6μmのポリエステルフィルム(東レ(株)社製 ルミラー(商品名))を基材シートとして用意した。次に、以下に示すような組成のインク組成物を乾燥後の厚さが1μmとなるように基材シートの一主面側に塗布して熱転写染料層を有する熱転写シートを形成した。
【0033】
〈インク組成〉
昇華染料(Disperse Violet 26) 5.0重量部
ポリビニルブチラール樹脂 5.0重量部
(積水化学(株)社製 BX−1(商品名))
メチルエチルケトン 45.0重量部
トルエン 45.0重量部
続いて、評価用の熱転写シートを製造するべく、厚さ6μmのポリエステルフィルム(東レ(株)社製 ルミラー(商品名))を基材シートとして用意した。次に、以下に示すような組成の滑性層組成物を基材シートの一主面側に乾燥後の厚さが1μmとなるように塗布して耐熱滑性層を有する評価用熱転写シートを製造した。そして、このとき、滑性層組成物中の燐酸エステルの種類と量、ポリビニルアセタール樹脂の種類を変更して14種の滑性層組成物を製造し、これらを使用して上記のような構成の評価用熱転写シートを製造した。なお、上記滑性層組成物により形成される耐熱滑性層をそれぞれ実施例1〜6、比較例1〜8と称することとする。なお、便宜上、これら実施例1〜6及び比較例1〜8を使用した評価用熱転写シートも実施例1〜6、比較例1〜8と称する。これら各例において使用した燐酸エステルの商品名と融点、耐熱滑性層中の含有量、ポリビニルアセタール樹脂の商品名とガラス転移点を表1に示す。
【0034】
【表1】
Figure 0003697777
【0035】
なお、表1中プライサーフは第一工業製薬(株)社製であり、フォスファノールは東邦化学(株)社製であり、デンカブチラールは電気化学工業(株)社製であり、エスレックは積水化学工業(株)社製である。
【0036】
〈滑性層組成物〉
以下に示すものの他、表1中の燐酸エステルを最終的な耐熱滑性層中の燐酸エステルの含有量が表1中の値となる量(A重量部)で添加した。
【0037】
ポリビニルアセタール樹脂 5.0重量部
イソシアネート 0.5重量部
(日本ポリウレタン工業(株)社製 コロネート−L(商品名))
シリカ 0.5重量部
(日本シリカ工業(株)社製 Nipsil E−200A(商品名))
メチルエチルケトン 47−A/2重量部
トルエン 47−A/2重量部
続いて、前述の熱転写シートと上記評価用熱転写シートの実施例1〜6及び比較例1〜8を組み合わせ、熱転写シートの熱転写染料層と評価用熱転写シートの耐熱滑性層が合わさるように20cm×20cmの大きさで重ね合わせ、これらを温度25℃の環境下で3トンの荷重を加えて3時間プレスしたときの各評価用熱転写シートの耐熱滑性層への昇華染料の付着を調査した。なお、上記プレスは、小平製作所社製 PY−5EA型加熱冷却成形機(機種名)により行い、昇華染料の付着の判定はマクベス(株)社製濃度計TR−924(機種名)によるプレス前後の反射濃度の変化を測定して行い、反射濃度の変化が0.1未満であるものを昇華染料の付着が無いとし、反射濃度の変化が0.1以上のものを昇華染料の付着があるとした。結果を表1に併せて示し、それぞれの反射濃度の変化を括弧内の数値として示すとともに、昇華染料の付着がないものを○で示し、付着があるものを×で示す。
【0038】
実験例2
次に、基材シートの一主面側に熱転写染料層が形成され、他方の主面側に耐熱滑性層が形成された熱転写シートを製造し、これを使用して実際の印刷を行い、耐熱滑性層の滑性を調査した。
【0039】
先ず、実験例1で示したインク組成物と実施例1〜6と比較例1〜8の耐熱滑性層を形成する滑性層組成物を組み合わせて、上記のような構成のマゼンタの熱転写染料層のみが形成された熱転写シートを製造した。
【0040】
次に、ソニー(株)社製のプリントメディア UPC7010(商品名)のフルカラー対応の熱転写シート中のマゼンタの部分の代わりに上記各熱転写シートを組み込んだ熱転写シートをそれぞれ形成した。
【0041】
続いて、上記各熱転写シートを使用し、ソニー(株)社製のフルカラープリンター UP−D7000(商品名)にて、ソニー(株)社製のプリントメディアUPC7010(商品名)の印画紙に対し、16階調のグレーの階調印画を形成した。そして、これら階調印画における階調間の境界線のボケ等の発生、いわゆる色ずれの発生の有無を目視により調査した。結果を表1中に、形成した耐熱滑性層の種類により分類した形で併せて示す。
【0042】
この色ずれは、熱転写シートのサーマルヘッドに対する滑性が不十分である場合に発生するものである。すなわち、黒から白へのグラデーションであるグレー階調印画は、イエロー、マゼンタ、シアンの3色の混合比を変化させて形成するため、熱転写シートのサーマルヘッドに対する滑性が不十分であると、熱転写シートの移動が確実に行われず、各色の印画位置が一致せず、上記のような境界線のボケ等が発生し、色ずれが生じてしまう。
【0043】
表1中に示される実験例1及び実験例2の結果から、融点が35℃以上の燐酸エステルを耐熱滑性層全体に対して5重量部〜50重量部の割合で含有し、かつガラス転移点80℃以上のポリビニルアセタール樹脂を含有する耐熱滑性層である実施例1〜6においては、熱転写染料層と接触させても熱転写染料層の昇華染料の付着が発生しておらず、再転写の発生が防止されることが確認された。
【0044】
これに対し、含有される燐酸エステルの融点が30℃未満の比較例1,2、含有されるポリビニルアセタールのガラス転移点が80℃未満である比較例3、含有される燐酸エステルの融点が30℃未満で、ポリビニルアセタールのガラス転移点が80℃未満である比較例4,5においては、熱転写染料層の昇華染料の付着が発生しており、燐酸エステル及びポリビニルアセタールの再転写を抑える効果が弱いことが確認された。また、耐熱滑性層中の燐酸エステルの含有量が50重量部よりも多い比較例6においても、熱転写染料層の昇華染料の付着が発生してしまい、再転写を抑える効果が弱いことが確認された。
【0045】
さらに、耐熱滑性層中の燐酸エステルの含有量を上記範囲としている上記実施例1〜6においては、色ずれが発生しておらず、当該耐熱滑性層のサーマルヘッドに対する滑性が十分に確保されることが確認された。
【0046】
これに対し、耐熱滑性層中の燐酸エステルの含有量が5重量部未満の比較例7,8においては、色ずれが発生しており、当該耐熱滑性層のサーマルヘッドに対する滑性が不十分であることが確認された。
【0047】
すなわち、これらのことから、本発明が適用され、融点が35℃以上の燐酸エステルを耐熱滑性層全体に対して5重量部〜50重量部の割合で含有し、かつガラス転移点80℃以上のポリビニルアセタール樹脂を含有する耐熱滑性層が形成されている熱転写シートにおいては、再転写や色ずれの発生が抑えられ、十分な印刷精度が確保されることが確認された。
【0048】
【発明の効果】
以上の説明からも明らかなように、本発明の熱転写シートにおいては、基材シートの一主面側に熱転写染料層を形成するとともに、反対側の主面側に、融点が35℃以上の燐酸エステルを耐熱滑性層全体に対して5重量部〜50重量部の割合で含有し、かつガラス転移点80℃以上のポリビニルアセタール樹脂を含有する耐熱滑性層を形成するようにしていることから、熱転写シートを巻装した場合に熱転写染料層と耐熱滑性層が接触しても熱転写染料層の染料が耐熱滑性層に付着し難く、再転写の発生が防止される。また、耐熱滑性層中の燐酸エステルの含有量を上記範囲としていることから、当該耐熱滑性層のサーマルヘッドに対する滑性も十分に確保される。
【0049】
従って、本発明の熱転写シートにおいては、十分な印刷精度が確保される。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明を適用した熱転写シートの一例を模式的に示す平面図である。
【図2】 本発明を適用した熱転写シートの一例を模式的に示す断面図である。
【図3】 本発明を適用した熱転写シートの他の例を模式的に示す平面図である。
【図4】 本発明を適用した熱転写シートのさらに他の例を模式的に示す平面図である。
【図5】 本発明を適用した熱転写シートのさらに他の例を模式的に示す平面図である。
【符号の説明】
1,11,21 基材シート、1a,11a,21a 一主面、1b 主面、2,12,22 第1の熱転写染料層、3,13,23 第2の熱転写染料層、4,14,24 第3の熱転写染料層、5 耐熱滑性層

Claims (1)

  1. 基材シートの一主面側に熱転写染料層が形成され、他方の主面側に耐熱滑性層が形成されてなる熱転写シートにおいて、
    耐熱滑性層が、融点35℃以上の燐酸エステルを該耐熱滑性層全体に対して5重量部〜50重量部の割合で含有し、かつガラス転移点80℃以上のポリビニルアセタール樹脂を含有することを特徴とする熱転写シート。
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