JP2015016603A - 熱転写シート - Google Patents

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結衣 渡邉
Yui Watanabe
結衣 渡邉
悟大 福永
Satohiro Fukunaga
悟大 福永
雅幸 田中
Masayuki Tanaka
雅幸 田中
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Abstract

【課題】製造時の工程数を増加させずに効率的に生産することができ、印画濃度を保持しながら、製造時のロール状態での保存において発生する耐熱滑性層への染料移行が抑制される熱転写シートを提供する。【解決手段】基材フィルムの一方の面に耐熱滑性層が設けられ、前記基材フィルムの他方の面に下引き層が設けられ、該下引き層の上に、昇華性染料およびバインダー樹脂を溶剤に溶解させた熱転写性インク層形成用塗液を塗工し、乾燥させて得られる熱転写性インク層が設けられており、前記熱転写性インク層中の残留溶剤量が14〜26mg/m2であることを特徴とする、熱転写シート。【選択図】図1

Description

本発明は、製造時のロール状態での保存において発生する耐熱滑性層への染料移行が抑制される熱転写シートに関する。
熱転写シートは、熱転写方式のプリンタに使用されるインクリボンのことであり、基材フィルムの一方の面に熱転写性インク層、その基材フィルムの他方の面に耐熱滑性層を設けたものである。前記熱転写性インク層は、プリンタのサーマルヘッドに発生する熱によって、その中のインクを昇華あるいは溶融させ、被転写体側に転写するものである。
現在、熱転写方式の中でも昇華転写方式は、プリンタの高機能化と併せて各種画像を簡便にフルカラー形成できるため、デジタルカメラのセルフプリント、身分証明書などのカード類、アミューズメント用出力物等、広く利用されている。このような用途の多様化と共に、小型化、高速化、低コスト化や、得られる印画物への耐久性を求める声も大きくなり、近年では、基材フィルムの同じ側の面に、印画物への耐久性を付与する保護層等を重ならないように設けた複数の熱転写性インク層を備える熱転写シートが多く普及してきている。
熱転写シートは、印刷後ロールに巻き取り、次の工程までその状態のまま保管を行う。そのため、熱転写シートの耐熱滑性層へ熱転写性インク層中の染料の一部が移行(裏移り)し、その後の巻き替え時に、その移行した染料が他の色の熱転写性インク層または熱転写性保護層に再移行(裏裏移り)してしまう。このように汚染された熱転写シートを用いて印画を行うと、指定された色と異なる色相になるといった問題が生じる。
上記問題を解決するため、基材フィルムの一方の面に耐熱層を設けた後、該耐熱層の上にすべり防止および裏移り防止機能を備えた滑性層を設けた熱転写シートが提案されている(特許文献1)。しかしながら、このように耐熱層と滑性層とを積層した熱転写シートは、耐熱滑性層を一層で設けた熱転写シートと比べて製造時の工程数が増加するため、非効率的で生産性に劣る。
特開平10−193811号公報
本発明は、上記の事情を鑑みてなされたものであり、製造時の工程数を増加させずに効率的に生産することができ、印画濃度を保持しながら、製造時のロール状態での保存において発生する耐熱滑性層への染料移行が抑制される熱転写シートを提供することを課題とする。
上記課題を解決するため、本発明に係わる熱転写シートは、基材フィルムの一方の面に耐熱滑性層が設けられ、前記基材フィルムの他方の面に下引き層が設けられ、該下引き層の上に、昇華性染料およびバインダー樹脂を溶剤に溶解させた熱転写性インク層形成用塗液を塗工し、乾燥させて得られる熱転写性インク層が設けられており、前記熱転写性インク層中の残留溶剤量が14〜26mg/mであることを特徴とする。
また、本発明に係わる熱転写シートにおいては、前記熱転写性インク層中の残留溶剤に、シクロヘキサノンが含まれることが好ましい。
また、本発明に係わる熱転写シートにおいては、前記熱転写性インク層中の昇華性染料とバインダー樹脂との割合が、バインダー樹脂100質量部に対して昇華性染料が100〜150質量部であることが好ましい。
本発明の熱転写シートは、熱転写性インク層中の残留溶剤量が14〜26mg/mであるので、製造時の工程数を増加させずに効率的に生産することができ、印画濃度を保持しながら、製造時のロール状態での保存において発生する耐熱滑性層への染料移行が抑制される。
さらに、本発明の熱転写シートにおいて、前記熱転写性インク層中の残留溶剤に、シクロヘキサノンが含まれることにより、残留溶剤量を容易に制御することができる。
さらに、本発明の熱転写シートにおいて、前記熱転写性インク層中の昇華性染料とバインダー樹脂との割合が、バインダー樹脂100質量部に対して昇華性染料が100〜150質量部という特定範囲内であることにより、より充分な印画濃度と保存安定性とが付与され得る。
本発明の熱転写シートの一例を示す概略断面図
図1は、本発明の熱転写シートの一例を示す概略断面図である。図1に示すように、熱転写シートは、基材フィルム1の一方の面に耐熱滑性層2が設けられ、該基材フィルム1の他方の面に下引き層3が設けられ、該下引き層3の上に、熱転写性インク層4が設けられた構成である。
本発明に用いられる基材フィルム1としては、従来公知の熱転写シートの基材フィルムとして用いられているものと同等のものを使用することができ、機械的強度、耐熱性等に優れるものが好ましい。例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアルコール、ポリスルホン、脂肪族ポリアミド、芳香族ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド等からなる合成樹脂フィルムや、コンデンサー紙、パラフィン紙等の紙類が挙げられる。これらの中では、物性や加工性に優れるポリエチレンテレフタレートフィルムが好ましい。これらは単独で使用してもよく、複数を積層して使用してもよい。
基材フィルム1の厚さは、操作性や加工性を考慮し、2〜50μm程度の範囲にすればよいが、転写適性や加工性等のハンドリング性も考慮すると、2〜10μm程度とすることがより好ましい。
耐熱滑性層2は、サーマルヘッドの熱による基材フィルム1の熱収縮や、サーマルヘッドとの接触による基材フィルム1の破断を防止するためのものであり、基材フィルム1の、熱転写性インク層4が設けられる面とは反対の面に設けられるものである。
耐熱滑性層2の構成材料として用いられるバインダー樹脂としては、例えば、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルアセトアセタール樹脂、ポリエステル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリエーテル樹脂、ポリブタジエン樹脂、アクリルポリオール、ポリウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート、ポリエーテルアクリレート、エポキシアクリレート、ニトロセルロース樹脂、酢酸セルロース樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリカーボネート樹脂等が挙げられる。
耐熱滑性層2には機能性添加剤を用いることができる。該機能性添加剤としては、例えば、動物系ワックス、植物系ワックス等の天然ワックス、合成炭化水素系ワックス、脂肪族アルコールと酸系ワックス、脂肪酸エステルとグリセライト系ワックス、合成ケトン系ワックス、アミン及びアマイド系ワックス、塩素化炭化水素系ワックス、アルファーオレフィン系ワックス等の合成ワックス、ステアリン酸ブチル、オレイン酸エチル等の高級脂肪酸エステル、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸カリウム、ステアリン酸マグネシウム等の高級脂肪酸金属塩、長鎖アルキルリン酸エステル、ポリオキシアルキレンアルキルアリールエーテルリン酸エステルまたは、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルリン酸エステル等のリン酸エステル等の界面活性剤等が挙げられる。
加えて、耐熱滑性層2には微粒子を含有させておいてもよい。微粒子を含有させることで、耐熱滑性層2の表面に凹凸が形成され、サーマルヘッドとの接触面積が小さくなるので、印画時のサーマルヘッドに対する離型性が向上する。このような目的で含有させる微粒子としては、例えば、シリカ、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、タルク、カオリン、クレー、シリコーン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート樹脂、ポリウレタン樹脂等からなる微粒子が挙げられる。
耐熱滑性層2は、例えば前記バインダー樹脂、機能性添加剤、微粒子等を溶剤に溶解させた耐熱滑性層形成用塗液を塗工し、乾燥して形成することができる。耐熱滑性層2の乾燥後の塗布量は、一概に限定されるものではないが、0.1g/m程度以上、2.0g/m程度以下の範囲内であることが好ましい。
ここで、耐熱滑性層2の乾燥後の塗布量とは、耐熱滑性層形成用塗液を塗工し、乾燥した後に残った固形分量のことをいう。また、後述する下引き層3の乾燥後の塗布量および熱転写性インク層4の乾燥後の塗布量も、同様に、後述する下引き層形成用塗液および熱転写性インク層形成用塗液を各々塗工し、乾燥した後に残った固形分量のことをいう。
下引き層3は、前記基材フィルム1と後述する熱転写性インク層4との間に設けられるものあり、熱転写性インク層4と基材フィルム1との密着性の向上、転写時における昇華性染料の基材フィルム1側への移行を防止するためのものである。
下引き層3は、ポリビニルアルコール等の水溶性高分子化合物を主成分として含む下引き層形成用塗液を塗工し、乾燥して形成することができる。また、ポリビニルアルコールの他に、ポリビニルピロリドンや、ポリビニルピロリドンの共重合体あるいは変性体を加えることによって、得られる熱転写シートの耐熱性および耐湿性が向上する。このような下引き層3を形成することによって、熱転写性インク層4に使用する昇華性染料の量を増大させることなく、高濃度の印画を得ることができる。
下引き層3に用いるポリビニルアルコール類としては、例えば、クラレポバールPVA−235、クラレポバールPVA−117、クラレポバールPVA−124(以上、(株)クラレ製)、ゴーセノールKH−20、ゴーセノールN−300(以上、日本合成化学工業(株)製)等のポリビニルアルコール;アセトアセチル基を有し、反応性に富むアセトアセチル化ポリビニルアルコールである、ゴーセファイマーZ−200、ゴーセファイマーZ−320(以上、日本合成化学工業(株)製);ポリビニルアルコールの一部のアルコール基をアセタール変性した水系ポリビニルアセタールである、エスレックKXシリーズ、エスレックKWシリーズ(以上、積水化学工業(株)製)等が挙げられる。
下引き層3の乾燥後の塗布量は、一概に限定されるものではないが、0.10g/m以上、0.30g/m以下の範囲内であることが好ましい。0.10g/m未満では、熱転写性インク層4の積層時の劣化により、高速印画時における転写感度が不足し、基材フィルム1あるいは熱転写性インク層4との密着性が低下する可能性がある。一方、0.30g/mを超えると、熱転写シート自体の感度低下が生じ、高速印画時における転写濃度が不足する可能性がある。
熱転写性インク層4は、昇華性染料およびバインダー樹脂を溶剤に溶解させた熱転写性インク層形成用塗液を塗工し、乾燥させて得られるものであり、前記下引き層3の上に設けられる。
前記昇華性染料としては、主に昇華性分散染料が好ましく、例えば、ジアリールメタン系、トリアリールメタン系、チアゾール系、メチン系、アゾメタン系、キサンテン系、アキサジン系、チアジン系、アジン系、アクリジン系、アゾ系、スピロジピラン系、インドアニリン系、イソドリノスピロピラン系、フルオラン系、ローダミンダクタム系、アントラキノン系等の染料が挙げられる。例えば、イエロー成分としては、C.I.ソルベントイエロー16、30、33、56、93等や、C.I.ディスパースイエロー33、201、231等が、マゼンタ成分としては、C.I.ソルベントレッド19、27、C.I.ディスパースレッド60、C.I.ディスパースバイオレット26、31等が、シアン成分としては、C.I.ソルベントブルー36、63、C.I.ディスパースブルー24、354等が挙げられるが、必ずしもこれらに限定されるものではない。また、これらの染料は単体で使用してもよく、複数を組み合わせて使用してもよい。
前記バインダー樹脂としては、従来公知のものを使用することができ、例えば、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアセタール、ポリビニルブチラール等のビニル系樹脂、エチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、酢酸セルロース等のセルロース系樹脂、ポリエステル系樹脂、フェノキシ樹脂、スチレン−アクリロニトリル共重合体、ポリアクリルアミド等が挙げられる。
熱転写性インク層4中のバインダー樹脂のガラス転移点は、好ましくは60℃以上、より好ましくは110℃以上である。バインダー樹脂のガラス転移点が低い場合、印画不良を起こす可能性が高くなる。
熱転写性インク層4中の昇華性染料とバインダー樹脂との割合は、バインダー樹脂100質量部に対して昇華性染料が100〜150質量部であることが好ましい。昇華性染料が100質量部よりも少ない場合、昇華性染料の濃度が低くなるため、発色感度が不十分となり、良好な熱転写画像が得られ難くなる。一方、昇華性染料が150質量部よりも多い場合、バインダー樹脂に対する昇華性染料の溶解性が低下するため、熱転写性インク層4の保存安定性が低下し、昇華性染料が析出し易くなる。
熱転写性インク層4に用いる溶剤としては、昇華性染料やバインダー樹脂を溶解する溶剤、例えば、エタノール、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、トルエン、キシレン、シクロヘキサノン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等が挙げられる。これらの中でも、シクロヘキサノン、ジメチルスルホキシド等は沸点が150℃以上であり、塗工後の乾燥時に、メチルエチルケトン、トルエン等の他の溶剤に比べて揮発し難い。そのため、これらの溶剤を使用した場合には、乾燥条件を変更することなく、熱転写性インク層4中の残留溶剤量を容易に制御することができる。特に、熱転写性インク層4中の残留溶剤に、シクロヘキサノンが含まれることがより好ましい。
前記溶剤の配合量は、昇華性染料やバインダー樹脂を溶解することができ、かつ熱転写性インク層4中の残留溶剤量を後述する範囲内とすることができる限り特に制限はないが、昇華性染料およびバインダー樹脂の合計と溶剤との割合が、合計/溶剤(質量比)=5/95〜20/80程度であることが好ましい。
熱転写性インク層4を形成する際の、下引き層3上に塗工した熱転写性インク層形成用塗液の乾燥温度は、熱転写性インク層4中の残留溶剤量を後述する範囲内とすることができる限り特に制限はないが、例えば40〜95℃程度であることが好ましい。なお、前記溶剤の中でも、例えばシクロヘキサノン、ジメチルスルホキシド等の沸点が比較的高い溶剤を用いた場合には、65〜95℃程度の比較的高い乾燥温度を採用することが好ましく、逆に、メチルエチルケトン、トルエン等の沸点が比較的低い他の溶剤のみを用いた場合には、40〜55℃程度の比較的低い乾燥温度を採用することが好ましい。
熱転写性インク層4中の残留溶剤量は14〜26mg/mであり、14〜25mg/mであることが好ましい。熱転写性インク層4中に含まれるバインダー樹脂の網目構造は、残留する溶剤の量が減少するにしたがって構造が密になる性質があるため、熱転写性インク層4中の残留溶剤量が14mg/m未満であると、昇華性染料がバインダー樹脂の網目構造から離脱することが困難となり、十分な印画濃度が得られない。一方、熱転写性インク層4中の残留溶剤量が26mg/mを超えると、地汚れが生じる可能性がある。
熱転写性インク層4の乾燥後の塗布量は、一概に限定されるものではないが、0.10g/m以上、0.40g/m以下の範囲内であることが好ましい。0.10g/m未満では、耐熱性が低下する可能性がある。一方、0.40g/mを超えると、所望の色相を得ることが困難となる可能性がある。
なお、耐熱滑性層2、下引き層3および熱転写性インク層4は、いずれも、各々耐熱滑性層形成用塗液、下引き層形成用塗液および熱転写性インク層形成用塗液を、従来公知の方法にて塗工し、乾燥することで形成可能である。塗工方法の一例として、グラビアコーティング法、スクリーン印刷法、スプレーコーティング法、リバースロールコート法を挙げることができる。
以下、本発明の具体的な実施例を説明するが、本発明はこれらの実施例によって制限されるものではない。
<実施例1>
まず、基材フィルム1として厚さ4.5μmのポリエチレンテレフタレートフィルムを用意した。次に、アクリルポリオール12.5質量部、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルリン酸エステル2.5質量部、タルク6質量部および2,6−トリレンジイソシアネートプレポリマー4質量部を、メチルエチルケトン20質量部、トルエン50質量部および酢酸エチル5質量部からなる混合溶剤に溶解させ、耐熱滑性層形成用塗液を調製した。そして、この耐熱滑性層形成用塗液を基材フィルム1の一方の面に塗工し、乾燥後の塗布量が1.0g/mになるように成膜し、耐熱滑性層2付き基材フィルムを得た。
次に、ポリビニルアルコール(クラレポバールPVA−124、(株)クラレ製)5質量部、イソプロピルアルコール19質量部および純水76質量部から下引き層形成用塗液を調製した。そして、この下引き層形成用塗液を、耐熱滑性層2付き基材フィルムの未処理面に塗工し、100℃で2分間乾燥させ、乾燥後の塗布量が0.2g/mになるように成膜し、下引き層3を設けた。
続いて、アントラキノン系染料3質量部、インドアニリン系染料3質量部およびポリビニルアセタール(5000D、電気化学工業(株)製、ガラス転移点110℃)4質量部を、メチルエチルケトン45質量部およびトルエン45質量部からなる混合溶剤に溶解させ、熱転写性インク層形成用塗液を調製した。そして、この熱転写性インク層形成用塗液を下引き層3の上に塗工し、50℃で1分間乾燥させ、乾燥後の塗布量が0.25g/mになるように成膜し、熱転写性インク層4を設け、実施例1の熱転写シートを得た。
作製した熱転写シートを10cm角に切り取り、バイアル瓶に詰めて封をし、ガスクロマトグラフィー((株)島津製作所製)にて150℃で15分間加熱し、残留溶剤量αを測定した。次に、基材フィルム1に耐熱滑性層2のみを設けた耐熱滑性層2付き基材フィルムの残留溶剤量βを同様の方法にて測定し、先に測定した残留溶剤量αから残留溶剤量βを差し引くことにより、熱転写性インク層4中の残留溶剤量を算出したところ、16mg/mであった。
<実施例2>
実施例1において、熱転写性インク層形成用塗液を、アントラキノン系染料3質量部、インドアニリン系染料3質量部およびポリビニルアセタール(5000D、電気化学工業(株)製、ガラス転移点110℃)4質量部を、メチルエチルケトン43質量部、トルエン43質量部およびシクロヘキサノン4質量部からなる混合溶剤に溶解させて調製した熱転写性インク層形成用塗液に変更し、下引き層3上に塗工した熱転写性インク層形成用塗液の乾燥温度を70℃に変更した以外は、実施例1と同一条件にて実施例2の熱転写シートを得た。
作製した熱転写シートについて、実施例1と同様にして熱転写性インク層4中の残留溶剤量を算出したところ、25mg/mであった。
<実施例3>
実施例2において、下引き層3上に塗工した熱転写性インク層形成用塗液の乾燥温度を90℃に変更した以外は、実施例2と同一条件にて実施例3の熱転写シートを得た。
作製した熱転写シートについて、実施例1と同様にして熱転写性インク層4中の残留溶剤量を算出したところ、14mg/mであった。
<比較例1>
実施例1において、熱転写性インク層形成用塗液を、アントラキノン系染料3質量部、インドアニリン系染料3質量部およびポリビニルアセタール(5000D、電気化学工業(株)製、ガラス転移点110℃)4質量部を、メチルエチルケトン43質量部、トルエン43質量部およびシクロヘキサノン4質量部からなる混合溶剤に溶解させて調製した熱転写性インク層形成用塗液に変更した以外は、実施例1と同一条件にて比較例1の熱転写シートを得た。
作製した熱転写シートについて、実施例1と同様にして熱転写性インク層4中の残留溶剤量を算出したところ、28mg/mであった。
<比較例2>
実施例2において、熱転写性インク層形成用塗液を、アントラキノン系染料3質量部、インドアニリン系染料3質量部およびポリビニルアセタール(5000D、電気化学工業(株)製、ガラス転移点110℃)4質量部を、メチルエチルケトン45質量部およびトルエン45質量部からなる混合溶剤に溶解させて調製した熱転写性インク層形成用塗液に変更した以外は、実施例2と同一条件にて比較例2の熱転写シートを得た。
作製した熱転写シートについて、実施例1と同様にして熱転写性インク層4中の残留溶剤量を算出したところ、9mg/mであった。
<比較例3>
比較例2において、下引き層3上に塗工した熱転写性インク層形成用塗液の乾燥温度を90℃に変更した以外は、比較例2と同一条件にて比較例3の熱転写シートを得た。
作製した熱転写シートについて、実施例1と同様にして熱転写性インク層4中の残留溶剤量を算出したところ、3mg/mであった。
作製した各熱転写シートについて、以下の評価を行った。その結果を、熱転写性インク層4中の残留溶剤量と併せて表1に示す。
<染料移行>
各熱転写シートの耐熱滑性層2の表面と熱転写性インク層4とを対向させ、10kg/cmの荷重をかけて常温で168時間保管した後、熱転写性インク層4から耐熱滑性層2への染料移行を目視にて観察した。染料移行が確認できなかった場合を○、確認できた場合を×とする。
<印画濃度>
各熱転写シートについて黒ベタ印画を行い、得られた印画物の濃度を、分光濃度計X−Rite528(X−Rite社製)にて測定した。反射濃度が2以上の場合を○、2未満の場合を×とする。
表1に示すように、熱転写性インク層4中の残留溶剤量が26mg/m以下であれば、熱転写性インク層4から耐熱滑性層2への染料移行は確認できなかった。これは、熱転写性インク層4中の残留溶剤が少ないことにより、耐熱滑性層2との癒着を起こしにくいからであると考えられる。また、熱転写性インク層4中の残留溶剤量が14mg/m以上であれば、所望の印画濃度を得ることができた。一方、熱転写性インク層4中の残留溶剤量が26mg/mを超えると、熱転写性インク層4から耐熱滑性層2への染料移行が起こり、逆に熱転写性インク層4中の残留溶剤量が14mg/m未満であれば、所望の印画濃度を得ることができなかった。したがって、熱転写性インク層4中の残留溶剤量を14〜26mg/mにすることにより、印画濃度を保持しながら、耐熱滑性層2への染料移行のない熱転写シートが得られることが分かった。
また、実施例1と比較例1、実施例2と比較例2、実施例3と比較例3をそれぞれ比べると、同じ乾燥条件であっても、熱転写性インク層形成用塗液にシクロヘキサノンが含有されている場合には、熱転写性インク層4中の残留溶剤量が増加することが分かった。したがって、熱転写性インク層形成用塗液にシクロヘキサノンを用いる場合と用いない場合とで、乾燥条件を適宜変更することにより、熱転写性インク層4中の残留溶剤量を14〜26mg/mに調整することができる。
本発明の熱転写シートは、プリンタの高速・高機能化と併せて各種画像を簡便にフルカラー形成できる昇華転写方式のプリンタでの使用が可能であり、デジタルカメラのセルフプリント、身分証明書等のカード類、アミューズメント用出力物等に広く利用される。
1 基材フィルム
2 耐熱滑性層
3 下引き層
4 熱転写性インク層

Claims (3)

  1. 基材フィルムの一方の面に耐熱滑性層が設けられ、
    前記基材フィルムの他方の面に下引き層が設けられ、該下引き層の上に、昇華性染料およびバインダー樹脂を溶剤に溶解させた熱転写性インク層形成用塗液を塗工し、乾燥させて得られる熱転写性インク層が設けられており、
    前記熱転写性インク層中の残留溶剤量が14〜26mg/mであることを特徴とする、熱転写シート。
  2. 前記熱転写性インク層中の残留溶剤に、シクロヘキサノンが含まれることを特徴とする、請求項1に記載の熱転写シート。
  3. 前記熱転写性インク層中の昇華性染料とバインダー樹脂との割合が、バインダー樹脂100質量部に対して昇華性染料が100〜150質量部であることを特徴とする、請求項1または2に記載の熱転写シート。
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