JP2017081039A - 感熱転写記録媒体 - Google Patents

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Abstract

【課題】染料の耐熱滑性層への転移を抑制することにより、染料転移による発色ムラを防ぎ、均一な熱伝導による安定な画質が得られ、走行性に優れ印画シワの発生しない耐熱滑性層を有する感熱転写記録媒体を提供する。【解決手段】感熱転写記録媒体は、基材の一方の面側に形成された耐熱滑性層と、基材の他方の面側に形成された染料層とを有する。耐熱滑性層は、無機粒子と、融点30℃以下のリン酸エステル型アニオン系界面活性剤を含む。耐熱滑性層は、更に、前記リン酸エステル型アニオン系界面活性剤とはアルキル基の炭素数が異なり融点40℃以上のリン酸エステル型アニオン系界面活性剤或いは融点40℃以上のペンタエリスリトール脂肪酸エステル型界面活性剤の一方を含む。融点30℃以下のリン酸エステル型アニオン系界面活性剤の前記耐熱滑性層中の含有率は、2.0〜7.0%の範囲である。【選択図】図1

Description

本発明は、感熱転写方式のプリンタに使用される感熱転写記録媒体に関する。
一般に、感熱転写記録媒体は、サーマルリボンと呼ばれ、感熱転写方式のプリンタのインクリボンに使用される。感熱転写記録媒体は、基材の一方の面に感熱転写層を設け、基材の他方の面に耐熱滑性層(バックコート層)を設けたものである。ここで、感熱転写層は、インクの層であって、プリンタのサーマルヘッドに発生する熱によって、そのインクを昇華(昇華転写方式)あるいは溶融(溶融転写方式)させ、被転写体側に転写するものである。
現在、感熱転写方式の中でも昇華転写方式は、プリンタの高機能化と併せて、各種画像を簡便にフルカラー形成できるため、デジタルカメラのセルフプリント、身分証明書などのカード類、アミューズメント用出力物等、広く利用されている。
上述した用途の多様化や、プリンタの高速化と共に、前記耐熱滑性層に対しても、高速印画の際にも安定した走行性を有し、安定した熱伝導を有し均一な熱伝導であるといった特性が求められるようになり、この様な耐熱滑性層を有する感熱転写記録媒体の開発が要望されている。
その一方で、これらの感熱転写記録媒体は、製造の際に巻き取り保存されることにより、感熱転写層と耐熱滑性層が接し、感熱転写層に含まれる染料が耐熱滑性層へと転移し、色相が安定せずムラになるという問題があった。
この問題を解決する方法として、特許文献1において、耐熱滑性層に炭素数15以上の脂肪酸を有するペンタエリスリトールテトラ脂肪酸エステルを含むことにより、高い走行性の実現と染料の耐熱滑性層への転移を抑制した耐熱滑性層を有する感熱転写記録媒体が提案されている。
特開2010−143067号公報
しかしながら、特許文献1に記載の感熱転写記録媒体を使用すれば、染料の耐熱滑性層への転移はある程度抑制されるが、発明者らが、昨今の昇華転写方式の高速プリンタにて印画を行ってみたところ、高エネルギー化に耐えられなくなったためか、印画シワの発生が確認された。また、特許文献1に記載の感熱転写記録媒体では、耐熱滑性層の塗液安定性が低く、塗液に含まれる粒子の分散性が悪いためか、塗膜中の粒子の分布が不均一であり、また、熱伝導の不安定に起因すると考えられる画質不良が確認された。
本発明は、上記のような点に鑑み、染料の耐熱滑性層への転移を抑制することにより染料転移に起因する発色ムラを抑制し、均一な熱伝導による安定な画質が得られ、走行性に優れシワの発生を抑制する耐熱滑性層を有する感熱転写記録媒体を提供することを目的とする。
課題を解決するために、本発明の一態様である感熱転写記録媒体は、基材と、前記基材の一方の面側に形成された耐熱滑性層と、前記基材の他方の面側に形成された染料層と、を有し、
前記耐熱滑性層は、無機粒子と、融点30℃以下のリン酸エステル型アニオン系界面活性剤とを含み、
前記耐熱滑性層は、更に、前記リン酸エステル型アニオン系界面活性剤とはアルキル基の炭素数が異なり且つ融点40℃以上のリン酸エステル型アニオン系界面活性剤、或いは融点40℃以上のペンタエリスリトール脂肪酸エステル型界面活性剤のいずれかを含み、
前記融点30℃以下のリン酸エステル型アニオン系界面活性剤の前記耐熱滑性層中における含有率が、質量比で2.0%以上7.0%以下の範囲であることを特徴とする。
本発明の一態様によれば、耐熱滑性層を上記構成とすることにより、染料の耐熱滑性層への転移を抑制できる結果、染料転移起因の発色ムラを抑制し、均一な熱伝導による安定な画質が得られ、走行性に優れ印画シワの発生しない耐熱滑性層を有する感熱転写記録媒体を提供することが出来る。
本発明に基づく実施形態に係る感熱転写記録媒体の模式的断面図である。
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
以下の詳細な説明では、本発明の実施形態の完全な理解を提供するように多くの特定の細部について記載される。しかしながら、かかる特定の細部がなくても1つ以上の実施態様が実施できることは明らかであろう。他にも、図面を簡潔にするために、周知の構造及び装置については、その記載を省略している。また、図面は模式的なものであり、厚みと平面寸法との関係、各層の厚みの比率等は現実のものとは異なる。
(全体構成)
感熱転写記録媒体1は、図1に示すように、基材10の一方の面に耐熱滑性層30が設けられ、基材10の他方の面に染料層20が設けられている。
(基材10の構成)
基材10には、熱転写における熱圧で軟化変形しない耐熱性と強度が要求される。
このため、基材10の材料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリプロピレン、セロファン、アセテート、ポリカーボネート、ポリサルフォン、ポリイミド、ポリビニルアルコール、芳香族ポリアミド、アラミド、ポリスチレン等の合成樹脂のフィルム、及びコンデンサー紙、パラフィン紙などの紙類等を単独で又は組み合わされた複合体として用いることが可能である。特に、物性面、加工性、コスト面などを考慮すると、上述した材料の中でも、ポリエチレンテレフタレートフィルムが好ましい。
また、基材10の厚さ(図1中では、上下方向の長さ)は、操作性、加工性を考慮し、2μm以上50μm以下の範囲のものを用いることが可能である。特に、転写適性や加工性等のハンドリング性を考慮すると、2μm以上9μm以下程度のものが好ましい。
また、基材10のうち、耐熱滑性層30を形成する側の面(図1中では、下側の面)及び染料層20を形成する側の面(図1中では、上側の面)には、接着処理を施しても良い。接着処理を施す面は、どちらか一方であっても良いし、両方であっても良い。
上記の接着処理としては、コロナ処理、火炎処理、オゾン処理、紫外線処理、放射線処理、粗面化処理、プラズマ処理、プライマー処理等の公知の技術を適用することが可能であり、それらの処理を二種以上併用することも可能である。
本実施形態の基材10として好適な例としは、プライマー処理されたポリエチレンテレフタレートフィルムが挙げられる。プライマー処理されたポリエチレンテレフタレートフィルムを用いることで、有効に基材10と染料層20との接着性を高めることができ、且つ、コスト面からも有利である。
(耐熱滑性層30の構成)
耐熱滑性層30は、基材10の一方の側に形成した層であり、感熱転写記録媒体1に対し、サーマルヘッドとの滑り性を付与する層である。
耐熱滑性層30は、無機粒子と、融点30℃以下のリン酸エステル型アニオン系界面活性剤を含む。
本実施形態の耐熱滑性層30は、更に、前記融点30℃以下のリン酸エステル型アニオン系界面活性剤とはアルキル基の炭素数が異なる融点40℃以上のリン酸エステル型アニオン系界面活性剤、或いは融点40℃以上のペンタエリスリトール脂肪酸エステル型界面活性剤のいずれかを含む。更に、前記融点30℃以下のリン酸エステル型アニオン系界面活性剤の前記耐熱滑性層中における含有率を、質量比で2.0%以上7.0%以下の範囲となるよう設定する。これによって、染料の耐熱滑性層への転移を抑制し、均一な熱伝導による安定な画質が得られ、走行性に優れた耐熱滑性層を得ることが可能となる。
また、耐熱滑性層30に無機粒子を含むことによって、耐熱滑性層30の膜強度を増加させ、また、種類によっては含まれる機能性添加剤による化学反応を抑制し、サーマルヘッドに対する磨耗を提言することが可能となる。
また、融点30℃以下のアニオン系界面活性剤を含むことにより、耐熱滑性層30を形成するための塗液中における無機粒子の分散性が向上するため、耐熱滑性層30における粒子の分布が安定し、均一な熱伝導を有することが可能となる。アニオン系界面活性剤の中でも、リン酸エステル型の界面活性剤は摩擦を低減する効果が大きく、分散性と走行性を同時に向上させることが可能となる。但し、融点30℃以下のアニオン系界面活性剤は、染料の転移が大きいという問題がある。そこで、融点30℃以下のリン酸エステル型アニオン系界面活性剤のアルキル基の炭素数が異なる融点40℃以上のリン酸エステル、或いは融点40℃以上のペンタエリスリトール脂肪酸エステルと併用することにより、耐熱滑性層30への染料転移の抑制と、安定した走行性と、分散性の向上に伴う耐熱滑性層30の熱伝導を均一化することが可能となる。同型の界面活性剤を用いることにより、相互作用のためか分散性が向上する。また、ペンタエリスリトール脂肪酸エステルについては、溶剤中で溶解しやすく、同様の効果が得られる。
ここで、融点30℃以下のリン酸エステル型アニオン系界面活性剤の含有量が質量比で7.0%を上回ると、耐熱滑性層30への染料転移が大きくなり、許容と考えられる量を超えてしまう。一方で質量比で2.0%を下回ると、十分な滑性を得ることができず、走行性に起因するシワなどの印画不良を発生させやすくなる。
また、耐熱滑性層の表面粗さRaが0.10μm以上0.30μm以下であることが好ましい。耐熱滑性層の表面粗さRaが0.10μm以上であると耐熱滑性層30への染料転移を更に抑制することができるため望ましく、0.30μm以下であれば、均一な熱伝導を得ることが出来、好適な画質の印画物を得ることが出来るため望ましい。
また、無機粒子の含有量は、質量比で、融点30℃以下のリン酸エステル型アニオン系界面活性剤の含有量の2/3以下に設定することが好ましい。また、2.5倍以下であれば、実用上問題ないレベルであることが確認されている。無機粒子の含有量が、融点30℃以下のリン酸エステル型アニオン系界面活性剤の含有量の2/3以下であることにより、分散安定性の効果が大きくなるため、より好適な画質の印画物を得ることが出来るようになる。一方で、無機粒子の含有量は、耐熱性や膜強度の観点から膜中2%以上であることが好ましい為、無機粒子の含有量は、質量比で、融点30℃以下のリン酸エステル型アニオン系界面活性剤の含有量の3/10以上であることが好ましい。
また、耐熱滑性層30に、融点が100℃以上で且つ滑性を付与する機能性添加剤を含有することが好ましい。耐熱滑性層30に、100℃以上に融点を持ち滑性を付与する機能性添加剤を含有することにより、印画エネルギーが高い場合においても、安定した走行性を得ることが可能となる。
耐熱滑性層30は、例えばバインダとなる樹脂に加え、離型性や滑り性を付与する機能性添加剤、充填剤、硬化剤、溶剤などを必要に応じて配合して耐熱滑性層を形成するための(形成用の)塗布液を調製し、塗布、乾燥して形成することが可能である。
耐熱滑性層30に用いられるバインダとなる樹脂としては、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルアセトアセタール樹脂、ポリエステル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリエーテル樹脂、ポリブタジエン樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリルポリオール、ポリウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート、ポリエーテルアクリレート、エポキシアクリレート、ニトロセルロース樹脂、酢酸セルロース樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリカーボネート樹脂等を用いることが可能である。
また、硬化剤として、トリレンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、テトラメチルキシレンジイソシアネート等のイソシアネート類、及びその誘導体を適宜用いることが可能である。
機能性添加剤としては、動物系ワックス、植物系ワックス等の天然ワックス、合成炭化水素系ワックス、脂肪族アルコールと酸系ワックス、脂肪酸エステルとグリセライト系ワックス、合成ケトン系ワックス、アミン及びアマイド系ワックス、塩素化炭化水素系ワックス、アルファーオレフィン系ワックス等の合成ワックス、ステアリン酸ブチル、オレイン酸エチル等の高級脂肪酸エステル、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸カリウム、ステアリン酸マグネシウム等の高級脂肪酸金属塩、長鎖アルキルリン酸エステル、ポリオキシアルキレンアルキルアリールエーテルリン酸エステル又は、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルリン酸エステル等のリン酸エステル等の界面活性剤等を用いることが可能である。
特に、実施形態においては、前述の通り、融点30℃以下のリン酸エステル型アニオン系界面活性剤を用いることにより、無機粒子の分散性と、サーマルヘッドの走行性を向上させる効果を奏し、例えば、アルキルリン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルファニルエーテルリン酸塩等のうち融点30℃以下のものが好適に用いられる。また、同時に上述のリン酸エステル型アニオン系界面活性剤のうち、アルキル基の炭素数が異なる融点40℃以上の界面活性剤か、融点40℃以上のペンタエリスリトール脂肪酸エステルを併用することにより、走行性を向上させつつ、染料の耐熱滑性層30への転移を抑制することが可能となる。
また、充填剤としては、タルク、シリカ、マイカ、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、カオリナイト、クレー、シリコーン粒子、ポリエチレン樹脂粒子、ポリプロピレン樹脂粒子、ポリスチレン樹脂粒子、ポリメチルメタクリレート樹脂粒子等を用いることが可能である。
また、耐熱滑性層30の乾燥後の塗布量は、0.1g/m以上2.0g/m以下程度が適切である。
ここで、耐熱滑性層30の乾燥後の塗布量とは、耐熱滑性層30を形成するための塗布液を塗布し、乾燥した後に残った固形分量のことを示す。また、染料層20の乾燥後の塗布量も、同様に、塗布液を塗布し、乾燥した後に残った固形分量のことを示す。
耐熱滑性層30の塗布量が0.1g/mを下回る場合、耐熱滑性層30を構成するバインダにもよるが、充分な耐熱性を得られず、また、機能性添加剤や充填剤等を充分に保持することが困難になり、耐熱滑性層30から成分が脱落する要因となりうる。また、耐熱滑性層30の塗布量が2.0g/mを上回ると、コストが上がるのみでなく、感熱転写記録媒体1の発色感度が悪くなる傾向にある。
(染料層20の構成)
染料層20は、基材10の他方の側に形成した層であり、例えば、熱移行性染料、バインダ、溶剤などを配合して染料層20を形成するための(形成用の)塗布液を調製し、塗布、乾燥することで形成される。
熱移行性染料は、熱により、溶融、拡散もしくは昇華移行する染料である。
熱移行性染料のうち、イエロー成分としては、例えば、C.I.ソルベントイエロー56,16,30,93,33、C.I.ディスパースイエロー201,231,33等を用いることが可能である。
また、熱移行性染料のうち、マゼンタ成分としては、例えば、C.I.ディスパースバイオレット26,31、C.I.ディスパースレッド60、C.I.ソルベントレッド19,27等を用いることが可能である。
また、熱移行性染料のうち、シアン成分としては、例えば、C.I.ディスパースブルー24,257,354、C.I.ソルベントブルー36,63,266等を用いることが可能である。
なお、墨の染料としては、上述した各染料を組み合わせて調色するのが一般的である。
染料層20に含まれる樹脂としては、従来公知の樹脂バインダがいずれも使用可能であり、特に限定されるものではないが、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、エチルヒドロキシセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、酢酸セルロース等のセルロース系樹脂やポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルブチラール、ポリビニルアセタール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド等のビニル系樹脂やポリエステル樹脂、スチレン−アクリロニトリル共重合樹脂、フェノキシ樹脂等を用いることが可能である。
ここで、染料層20の染料と樹脂との配合比率は、質量基準で、(染料)/(樹脂)=10/100〜300/100が好ましい。
これは、(染料)/(樹脂)の比率が、10/100を下回ると、染料が少な過ぎて発色濃度が不十分となり良好な熱転写画像が得られず、また、この比率が300/100を越えると、樹脂に対する染料の溶解性が極端に低下するために、感熱転写記録媒体となった際に、保存安定性が悪くなって、染料が析出し易くなってしまう恐れがあるためである。
また、染料層20には、性能を損なわない範囲で、イソシアネート化合物、シランカップリング剤、分散剤、粘度調整剤、安定化剤等の公知の添加剤が含まれていてもよい。
染料層20の乾燥後の塗布量は、1.0g/m程度が適当である。なお、染料層20は、1色の単一層で構成することも可能であり、また、色相の異なる染料を含む複数の染料層20を、同一基材10の同一面に対し、順次、繰り返し形成することも可能である。
また、基材10と染料層20の間及び、基材10と耐熱滑性層30の間には、密着性の向上や、染料利用効率の向上等、機能性付与を目的として、層を設けることも可能である。
なお、耐熱滑性層30、染料層20は、いずれも、従来公知の塗布方法にて塗布し、乾燥することで形成可能である。
塗布方法としては、例えば、グラビアコーティング法、スクリーン印刷法、スプレーコーティング法、リバースロールコート法、ダイコート法を用いることが可能である。
以下、図1を参照しつつ、実施例(実施例1〜9、比較例1〜5)を用いて、本発明の感熱転写記録媒体の効果を検証する。なお、以降の説明で「部」と記載されている場合、特に断りのない限りは、質量基準を示す。また、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
・被転写体の作製
基材として、190μmの両面レジンコート紙を使用し、その一方の面に、下記に示す組成の断熱層塗布液を、ダイコート法により、乾燥後の塗布量が8.0g/mになるように塗布、乾燥することで断熱層を形成し、その後断熱層上面に、下記に示す組成の受容層塗布液を、グラビアコーティング法により、乾燥後の塗布量が4.0g/mになるように塗布、乾燥することで、感熱転写用の被転写体を作製した。
・断熱層塗布液
アクリル−スチレン系中空粒子 35.0部
(平均粒子径1μm、体積中空率51%)
スチレン−ブタジエンゴム 10.0部
純水 55.0部
分散剤 微量
消泡剤 微量
・受像層塗布液
塩化ビニル−酢酸ビニル−ビニルアルコール共重合体 19.5部
アミノ変性シリコーンオイル 0.5部
トルエン 40.0部
メチルエチルケトン 40.0部
(実施例1)
基材10として、厚さ4.5μmの片面易接着処理付きポリエチレンテレフタレートフィルムを使用した。その基材10の一方の面である非易接着処理面に、下記に示す組成の塗布液(実施例1の耐熱滑性層30を形成する為の塗布液、以下「耐熱滑性層形成用塗布液−1」と記載する)を、グラビアコーティング法により、乾燥後の塗布量が0.5g/mになるように塗布し、温度100℃で1分間乾燥することで、耐熱滑性層30を形成した。
耐熱滑性層30を形成した基材10の他方の面である易接着処理面に、下記に示す組成の塗布液(染料層20を形成するための塗布液、以下、「染料層塗布液−1」と記載する)を、グラビアコーティング法により、乾燥後の塗布量が0.70g/mになるように塗布し、温度90℃で1分間乾燥することで、染料層20を形成し、実施例1の感熱転写記録媒体1を得た。
・耐熱滑性層形成用塗布液−1
アセタール樹脂 10.0部
ポリイソシアネート(固形分75%) 1.5部
マイカ(平均粒径5μm) 0.5部
水酸化マグネシウム(平均粒径0.5μm) 0.2部
ポリオキシエチレンラウリルエーテルリン酸エステル(融点20℃) 0.6部
ペンタエリスリトール脂肪酸エステル(融点45℃) 0.5部
リン酸エステル(融点70℃) 0.5部
トルエン 10.9部
MEK 25.3部
・染料層塗布液−1
C.I.ソルベントブルー63 6.0部
ポリビニルアセタール樹脂 4.0部
トルエン 45.0部
メチルエチルケトン 45.0部
(実施例2)
実施例1で作製した感熱転写記録媒体1において、耐熱滑性層30を、下記に示す組成の塗布液(実施例2の耐熱滑性層30を形成する為の塗布液、以下「耐熱滑性層形成用塗布液−2」と記載する)とした以外は、実施例1と同様にして、実施例2の感熱転写記録媒体1を得た。
・耐熱滑性層形成用塗布液−2
アセタール樹脂 10.0部
ポリイソシアネート(固形分75%) 1.5部
マイカ(平均粒径5μm) 0.5部
水酸化マグネシウム(平均粒径0.5μm) 0.2部
ポリオキシエチレンラウリルエーテルリン酸エステル(融点20℃) 0.6部
ポリオキシエチレンステアリルエーテルリン酸エステル(融点55℃) 0.5部
リン酸エステル(融点70℃) 0.5部
トルエン 10.9部
MEK 25.3部
(実施例3)
実施例1で作製した感熱転写記録媒体1において、耐熱滑性層30を、下記に示す組成の塗布液(実施例3の耐熱滑性層30を形成する為の塗布液、以下「耐熱滑性層形成用塗布液−3」と記載する)とした以外は、実施例1と同様にして、実施例3の感熱転写記録媒体1を得た。
・耐熱滑性層形成用塗布液−3
アセタール樹脂 10.0部
ポリイソシアネート(固形分75%) 1.5部
マイカ(平均粒径5μm) 0.5部
水酸化マグネシウム(平均粒径0.5μm) 0.2部
ポリオキシエチレンラウリルエーテルリン酸エステル(融点20℃) 0.3部
ペンタエリスリトール脂肪酸エステル(融点45℃) 0.5部
リン酸エステル(融点70℃) 0.5部
トルエン 11.0部
MEK 25.6部
(実施例4)
実施例1で作製した感熱転写記録媒体1において、耐熱滑性層30を、下記に示す組成の塗布液(実施例4の耐熱滑性層30を形成する為の塗布液、以下「耐熱滑性層形成用塗布液−4」と記載する)とした以外は、実施例1と同様にして、実施例4の感熱転写記録媒体1を得た。
・耐熱滑性層形成用塗布液−4
アセタール樹脂 10.0部
ポリイソシアネート(固形分75%) 1.5部
マイカ(平均粒径5μm) 0.4部
水酸化マグネシウム(平均粒径0.5μm) 0.2部
ポリオキシエチレンラウリルエーテルリン酸エステル(融点20℃)0.85部
ペンタエリスリトール脂肪酸エステル(融点45℃) 0.5部
リン酸エステル(融点70℃) 0.5部
トルエン 10.8部
MEK 25.2部
(実施例5)
実施例1で作製した感熱転写記録媒体1において、耐熱滑性層30を、下記に示す組成の塗布液(実施例5の耐熱滑性層30を形成する為の塗布液、以下「耐熱滑性層形成用塗布液−5」と記載する)とした以外は、実施例1と同様にして、実施例5の感熱転写記録媒体1を得た。
・耐熱滑性層形成用塗布液−5
アセタール樹脂 10.0部
ポリイソシアネート(固形分75%) 1.5部
マイカ(平均粒径8μm) 0.5部
水酸化マグネシウム(平均粒径1μm) 0.2部
ポリオキシエチレンラウリルエーテルリン酸エステル(融点20℃) 0.6部
ペンタエリスリトール脂肪酸エステル(融点45℃) 0.5部
リン酸エステル(融点70℃) 0.5部
トルエン 10.9部
MEK 25.3部
(実施例6)
実施例1で作製した感熱転写記録媒体1において、染料層20を、下記に示す組成の塗布液(実施例6の耐熱滑性層30を形成する為の塗布液、以下「耐熱滑性層形成用塗付液−6」と記載する)とした以外は、実施例1と同様にして、実施例6の感熱転写記録媒体1を得た。
・耐熱滑性層形成用塗布液−6
アセタール樹脂 10.0部
ポリイソシアネート(固形分75%) 1.5部
マイカ(平均粒径5μm) 0.3部
水酸化マグネシウム(平均粒径0.5μm) 0.2部
ポリオキシエチレンラウリルエーテルリン酸エステル(融点20℃) 0.6部
ペンタエリスリトール脂肪酸エステル(融点45℃) 0.5部
リン酸エステル(融点70℃) 0.5部
トルエン 10.9部
MEK 25.5部
(実施例7)
実施例1で作製した感熱転写記録媒体1において、耐熱滑性層30を、下記に示す組成の塗布液(実施例7の耐熱滑性層30を形成するための塗布液、以下「耐熱滑性層形成用塗布液−7」と記載する)とした以外は、実施例1と同様にして、実施例7の感熱転写記録媒体1を得た。
・耐熱滑性層形成用塗布液−7
アセタール樹脂 10.0部
ポリイソシアネート(固形分75%) 1.5部
マイカ(平均粒径8μm) 0.7部
水酸化マグネシウム(平均粒径1μm) 0.2部
ポリオキシエチレンラウリルエーテルリン酸エステル(融点20℃) 0.6部
ペンタエリスリトール脂肪酸エステル(融点45℃) 0.5部
リン酸エステル(融点70℃) 0.5部
トルエン 10.9部
MEK 25.3部
(実施例8)
実施例1で作製した感熱転写記録媒体1において、耐熱滑性層30を、下記に示す組成の塗布液(実施例8の耐熱滑性層30を形成するための塗布液、以下「耐熱滑性層形成用塗布液−8」と記載する)とした以外は、実施例1と同様にして、実施例8の感熱転写記録媒体1を得た。
・耐熱滑性層形成用塗布液−8
アセタール樹脂 10.0部
ポリイソシアネート(固形分75%) 1.5部
マイカ(平均粒径5μm) 0.4部
水酸化マグネシウム(平均粒径0.5μm) 0.15部
ポリオキシエチレンラウリルエーテルリン酸エステル(融点20℃) 0.9部
ペンタエリスリトール脂肪酸エステル(融点45℃) 0.5部
リン酸エステル(融点70℃) 0.5部
トルエン 10.8部
MEK 25.2部
(実施例9)
実施例1で作製した感熱転写記録媒体1において、耐熱滑性層30を、下記に示す組成の塗布液(実施例9の耐熱滑性層30を形成するための塗布液、以下「耐熱滑性層形成用塗布液−9」と記載する)とした以外は、実施例1と同様にして、実施例9の感熱転写記録媒体1を得た。
・耐熱滑性層形成用塗布液−9
アセタール樹脂 10.0部
ポリイソシアネート(固形分75%) 1.5部
マイカ(平均粒径5μm) 0.5部
水酸化マグネシウム(平均粒径0.5μm) 0.2部
ポリオキシエチレンラウリルエーテルリン酸エステル(融点20℃) 0.6部
ペンタエリスリトール脂肪酸エステル(融点45℃) 0.5部
ステアリン酸亜鉛(融点110℃) 0.5部
トルエン 10.9部
MEK 25.3部
(実施例10)
実施例1で作製した感熱転写記録媒体1において、耐熱滑性層30を、下記に示す組成の塗布液(実施例10の耐熱滑性層30を形成するための塗布液、以下「耐熱滑性層形成用塗布液−10」と記載する)とした以外は、実施例1と同様にして、実施例10の感熱転写記録媒体1を得た。
・耐熱滑性層形成用塗布液−10
アセタール樹脂 10.0部
ポリイソシアネート(固形分75%) 1.5部
マイカ(平均粒径5μm) 0.15部
水酸化マグネシウム(平均粒径0.5μm) 0.15部
ポリオキシエチレンラウリルエーテルリン酸エステル(融点20℃) 0.9部
ペンタエリスリトール脂肪酸エステル(融点45℃) 0.5部
リン酸エステル(融点70℃) 0.5部
トルエン 10.8部
MEK 25.2部
(比較例1)
実施例1で作製した感熱転写記録媒体1において、耐熱滑性層30を、下記に示す組成の塗布液(比較例1の耐熱滑性層30を形成する為の塗布液、以下「耐熱滑性層形成用塗布液−10」と記載する)とした以外は、実施例1と同様にして、比較例1の感熱転写記録媒体1を得た。
・耐熱滑性層形成用塗布液−10
アセタール樹脂 10.0部
ポリイソシアネート(固形分75%) 1.5部
マイカ(平均粒径5μm) 0.5部
水酸化マグネシウム(平均粒径0.5μm) 0.2部
ポリオキシエチレンラウリルエーテルリン酸エステル(融点20℃) 1.0部
ペンタエリスリトール脂肪酸エステル(融点45℃) 0.5部
リン酸エステル(融点70℃) 0.5部
トルエン 10.7部
MEK 25.1部
(比較例2)
実施例1で作製した感熱転写記録媒体1において、耐熱滑性層30を、下記に示す組成の塗布液(比較例2の耐熱滑性層30を形成する為の塗布液、以下「耐熱滑性層形成用塗布液−11」と記載する)とした以外は、実施例1と同様にして、比較例2の感熱転写記録媒体1を得た。
・耐熱滑性層形成用塗布液−11
アセタール樹脂 10.0部
ポリイソシアネート(固形分75%) 1.5部
マイカ(平均3径5μm) 0.5部
水酸化マグネシウム(平均粒径0.5μm) 0.2部
ポリオキシエチレンラウリルエーテルリン酸エステル(融点20℃) 0.2部
ペンタエリスリトール脂肪酸エステル(融点45℃) 0.5部
リン酸エステル(融点70℃) 0.5部
トルエン 11.0部
MEK 25.6部
(比較例3)
実施例1で作製した感熱転写記録媒体1において、耐熱滑性層30を、下記に示す組成の塗布液(比較例3の耐熱滑性層30を形成する為の塗布液、以下「耐熱滑性層形成用塗布液−12」と記載する)とした以外は、実施例1と同様にして、比較例3の感熱転写記録媒体1を得た。
・耐熱滑性層形成用塗布液−12
アセタール樹脂 10.0部
ポリイソシアネート(固形分75%) 1.5部
マイカ(平均粒径5μm) 0.5部
水酸化マグネシウム(平均粒径0.5μm) 0.2部
ポリオキシエチレンアルキル(C12〜15)エーテルリン酸エステル 0.6部
(融点35℃)
ペンタエリスリトール脂肪酸エステル(融点45℃) 0.5部
リン酸エステル(融点70℃) 0.5部
トルエン 10.9部
MEK 25.3部
(比較例4)
実施例1で作製した感熱転写記録媒体1において、耐熱滑性層30を、下記に示す組成の塗布液(比較例4の耐熱滑性層30を形成する為の塗布液、以下「耐熱滑性層形成用塗布液−13」と記載する)とした以外は、実施例1と同様にして、比較例4の感熱転写記録媒体1を得た。
・耐熱滑性層形成用塗布液−13
アセタール樹脂 10.0部
ポリイソシアネート(固形分75%) 1.5部
マイカ(平均粒径5μm) 0.5部
水酸化マグネシウム(平均粒径0.5μm) 0.2部
ポリオキシエチレンラウリルエーテルリン酸エステル(融点20℃) 0.6部
ラウリルアシッドフォスフェート(融点45℃) 0.5部
リン酸エステル(融点70℃) 0.5部
トルエン 10.9部
MEK 25.3部
(比較例5)
実施例1で作製した感熱転写記録媒体1において、耐熱滑性層30を、下記に示す組成の塗布液(比較例5の耐熱滑性層30を形成する為の塗布液、以下「耐熱滑性層形成用塗布液−14」と記載する)とした以外は、実施例1と同様にして、比較例5の感熱転写記録媒体1を得た。
・耐熱滑性層形成用塗布液−14
アセタール樹脂 10.0部
ポリイソシアネート(固形分75%) 1.5部
マイカ(平均粒径5μm) 0.5部
水酸化マグネシウム(平均粒径0.5μm) 0.2部
ポリオキシエチレンラウリルエーテルリン酸エステル(融点20℃) 0.6部
リン酸エステル(融点70℃) 0.5部
トルエン 10.8部
MEK 25.2部
(比較例6)
実施例1で作製した感熱転写記録媒体1において、耐熱滑性層30を、下記に示す組成の塗布液(比較例6の耐熱滑性層30を形成する為の塗布液、以下「耐熱滑性層形成用塗布液−15」と記載する)とした以外は、実施例1と同様にして、比較例6の感熱転写記録媒体1を得た。
・耐熱滑性層形成用塗布液−15
アセタール樹脂 10.0部
ポリイソシアネート(固形分75%) 1.5部
マイカ(平均粒径5μm) 0.15部
水酸化マグネシウム(平均粒径0.5μm) 0.1部
ポリオキシエチレンラウリルエーテルリン酸エステル(融点20℃) 0.9部
ペンタエリスリトール脂肪酸エステル(融点45℃) 0.5部
リン酸エステル(融点70℃) 0.5部
トルエン 10.8部
MEK 25.2部
(評価)
以下、実施例1〜10、比較例1〜6の感熱転写記録媒体に関して、染料層20と耐熱滑性層30を重ね保存することにより、染料転移の評価を行った。
また、実施例1〜10、比較例1〜6の感熱転写記録媒体に関して、サーマルシミュレータを用いて印画画質、および印画シワに関する評価を行った。表1を用いて、染料転移と印画画質を評価した結果を説明する。
<評価方法>
染料層20から耐熱滑性層30の染料転移による発色ムラの評価方法として、まず実施例1〜10、比較例1〜6の各感熱転写記録媒体を巻き取った状態で、25℃−50%環境下にて6ヶ月、および12ヶ月保存した。
保存後の各感熱転写記録媒体に関して、300dpiのサーマルヘッドを有するサーマルシミュレータを使用し、電圧24Vにて2msec/lineにて黒から白へのグラデーション画像を30枚ずつ印画し、印画ムラに関する評価を行った。
印画物画質、および印画シワの評価方法としては、300dpiのサーマルヘッドを有するサーマルシュミレータを使用し、電圧24Vにて2msec/line、および電圧28Vにて1msec/lineの速さで各実施例の感熱転写記録媒体1に関して、黒から白へのグラデーション画像、右半分黒左半分白画像、右半分白左半分黒の画像に対して、それぞれ30枚ずつ印画を行った。得られた印画物を観察し、印画物画質と印画シワに関する評価を行った。評価結果を表1に記す。
Figure 2017081039
ここで、評価基準は次の通りである。
「染料転移による発色ムラの評価」
染料転移による発色ムラの評価に関しては、目視にて以下の基準で評価を行った。なお、評価結果が○或いは△であれば問題なく用いることが可能である。
○:発色ムラが見られない
△:僅かに発色ムラが見られる
×:明らかに発色ムラが見られる
「印画物画質評価」
印画物の画質に関しては、目視にて以下の基準で評価を行なった。なお、評価結果が○或いは△であれば実用上問題なく用いることが可能である。
○:熱伝導ムラに伴う濃度ムラが見られない
△:熱伝導ムラに伴う濃度ムラが僅かに見られる
×:熱伝導ムラに伴う濃度ムラが明らかに見られる
「印画シワ評価」
印画シワに関しては、目視にて以下の基準で評価を行った。なお、評価結果が○或いは△であれば実用上問題なく用いることが可能である。
○:印画シワが見られない
△:印画シワが30枚中1枚発生している(端部1mm未満に限る)
×:端部1mm以上の印画シワが発生しているか30枚中2枚以上発生している
表1に記載の結果から分かるように、実施例1〜10の感熱転写記録媒体1は、染料転移による発色ムラ、印画物の画質、印画シワに関して実用上問題ないことが分かる。
実施例4と比較例1の結果より、融点30℃以下のリン酸エステル型アニオン系界面活性剤の含有量が7.0%を上回ると、染料の耐熱滑性層30への転移に起因する発色ムラが実用上問題の無い範囲を超えることが確認された。また、実施例3と比較例2の結果を比較すると、融点30℃以下のリン酸エステル型アニオン系界面活性剤の含有量が2.0%を下回ると、印画物の画質、印画において問題が発生することが確認された。
以上の結果より、融点30℃以下のリン酸エステル型アニオン系界面活性剤の含有量は2.0〜7.0%の範囲であることが望ましい。
また、実施例1と比較例3の結果を比較すると、融点30℃以下のリン酸エステル型アニオン系界面活性剤以外の材料において、融点40℃以下の材料を含む場合、染料の耐熱滑性層30への転移に伴う発色ムラが実用上問題の無い範囲を超えることが確認された。また、実施例1と比較例4の結果を比較すると、融点30℃以下のリン酸エステル型アニオン系界面活性剤と異なる系のリン酸エステル型アニオン系界面活性剤のみが加えられる場合には、熱伝導の不均一に起因する画質欠陥が確認されるため、耐熱滑性層30には、融点30℃以下のリン酸エステル型アニオン系界面活性剤のアルキル基の炭素数が異なる融点40℃以上のリン酸エステル型アニオン系界面活性剤か、融点40℃以上のペンタエリスリトール脂肪酸エステルを含むことが望ましい。
また、実用上問題ないものの、実施例5と実施例7の結果を比較すると、耐熱滑性層30の表面粗さRaが0.30μmを上回ると、印画物画質が劣ることが確認された。また、実施例4と実施例6の結果を比較すると、耐熱滑性層30の表面粗さRaが0.10μmを下回ると、保存期間6ヶ月の条件において、染料の耐熱滑性層30への転移に起因する発色ムラに差が見られることが確認された。したがって、耐熱滑性層30の表面粗さRaは、0.10〜0.30μmの範囲であることが更に望ましいことが分かる。
また、実施例4と実施例8の結果を比較すると、無機粒子の含有量と融点30℃以下のリン酸エステル型アニオン系界面活性剤の含有量比が2/3を下回ると、より優れた画質の印画物が得られることが確認された。したがって、無機粒子の含有量と融点30℃以下のリン酸エステル型アニオン系界面活性剤の含有量比が2/3を下回ることが更に望ましいことが分かる。また、実施例1と実施例9の結果を比較すると、耐熱滑性層30は、融点100℃以上の機能性添加剤を含む場合、印画シワに対して特に好適であることが確認された。したがって、耐熱滑性層30は融点100℃以上の機能性添加剤を含有することが更に望ましいことが分かる。
本発明に係る感熱転写記録媒体は、昇華転写方式のプリンタに使用することが可能であり、プリンタの高速・高機能化と併せて、各種画像を簡便にフルカラー形成できるため、デジタルカメラのセルフプリント、身分証明書などのカード類、アミューズメント用出力物等に、広く利用することが可能である。
1 感熱転写記録媒体
10 基材
20 染料層
30 耐熱滑性層

Claims (4)

  1. 基材と、前記基材の一方の面側に形成された耐熱滑性層と、前記基材の他方の面側に形成された染料層と、を有し、
    前記耐熱滑性層は、無機粒子と、融点30℃以下のリン酸エステル型アニオン系界面活性剤とを含み、
    前記耐熱滑性層は、更に、前記リン酸エステル型アニオン系界面活性剤とはアルキル基の炭素数が異なり且つ融点40℃以上のリン酸エステル型アニオン系界面活性剤、或いは融点40℃以上のペンタエリスリトール脂肪酸エステル型界面活性剤のいずれかを含み、
    前記融点30℃以下のリン酸エステル型アニオン系界面活性剤の前記耐熱滑性層中における含有率が、質量比で2.0%以上7.0%以下の範囲であることを特徴とする感熱転写記録媒体。
  2. 前記耐熱滑性層の表面粗さRaが0.10μm以上0.30μm以下であることを特徴とする請求項1に記載の感熱転写記録媒体。
  3. 前記耐熱滑性層において、前記無機粒子の含有量が、質量比で、前記融点30℃以下のリン酸エステル型アニオン系界面活性剤の含有量の2/3以下であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の感熱転写記録媒体。
  4. 前記耐熱滑性層に、融点が100℃以上で且つ滑性を付与する機能性添加剤を含有することを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の感熱転写記録媒体。
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