JPH07276831A - 保護層転写フィルム及び印画物 - Google Patents

保護層転写フィルム及び印画物

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JPH07276831A
JPH07276831A JP7052046A JP5204695A JPH07276831A JP H07276831 A JPH07276831 A JP H07276831A JP 7052046 A JP7052046 A JP 7052046A JP 5204695 A JP5204695 A JP 5204695A JP H07276831 A JPH07276831 A JP H07276831A
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美紀子 工藤
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克之 大嶋
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仁 斉藤
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 熱転写画像等に各種の耐久性を付与でき、特
に、耐光性については長期間効果を維持できる保護層転
写フィルム及びこれにより耐久性を高めた印画物を提供
する。 【構成】 基材フィルム1上に転写により保護層となる
熱転写性樹脂層2を設けた保護層転写フィルムにおい
て、熱転写性樹脂層2に反応性紫外線吸収剤を反応結合
した樹脂を含有させて構成したものである。尚、熱転写
性樹脂層2は、単層でもよいが、透明性樹脂層4、紫外
線遮断層5、熱接着性樹脂層6のように多層で構成して
もよい。また、必要に応じて、基材フィルム1と熱転写
性樹脂層2の間には離型層3を設け、その反対側の面に
背面層7を設けても良く、更に、表面には1色〜4色の
熱転写インキ層(図示せず)と熱転写性樹脂層2とを所
定のピッチで面順次に繰り返し設けた一体型の転写フィ
ルムとしてもよい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、熱転写フィルム、特
に、保護層を熱転写する保護層転写フィルムに関し、更
に詳しくは熱転写画像等に優れた耐光性、耐候性、耐摩
擦性、耐薬品性、耐溶剤性等の耐久性を与えることがで
きる保護層転写フィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】従来、簡便な印刷方法として、種々の熱
転写方法が広く使用されるようになっている。これらの
熱転写方法では、各種の画像が簡便に形成されるので、
印刷枚数が比較的少ない印刷物、例えば、身分証明書等
のIDカードの作成等に利用されるようになっている。
また、顔写真等のようにカラー画像が好ましい場合に
は、連続した基材フィルム上に、例えば、イエロー、マ
ゼンタ、および、シアン、更に必要に応じてブラックの
着色熱転写層を面順次に、繰り返し多数設けた熱転写フ
ィルムを用いる熱転写方法が行われている。
【0003】このような熱転写フィルムは大別すると、
それらの熱転写層が画像情報に応じた加熱によって軟化
し、画像が被転写材上に熱転写により記録される、所謂
溶融転写タイプの熱転写フィルムと、加熱によって熱転
写層中の染料が昇華(熱移行)して染料のみが被転写材
上に熱転写して画像が形成される、所謂昇華転写タイプ
の熱転写フィルムとに分けられる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、このような熱
転写フィルムで、身分証明書等のIDカードを作成する
場合、例えば、溶融転写タイプの熱転写フィルムを用い
ると、文字や数字等のような画像の形成は容易である
が、これらの画像は、耐久性、特に耐摩擦性に劣るとい
う欠点がある。一方、昇華転写タイプの熱転写フィルム
を用いた場合には、顔写真等のような階調のある画像を
精密に形成することができるが、形成された画像は、通
常の印刷インキによるものとは異なり、ビヒクルが無い
ため、耐光性、耐候性、耐摩擦性等の耐久性に劣るとい
う欠点がある。
【0005】上記の欠点を解決する手段として、例え
ば、紫外線吸収剤や酸化防止剤を添加する方法がある。
このような方法によっても耐光性等ある程度は改善され
るが、紫外線吸収剤を単に保護層構成樹脂中に添加する
という方法では、紫外線吸収剤が熱によって揮散、或い
は分解してしまい、紫外線吸収剤の効果が経時的に減少
するという問題がある。上記欠点を解決する方法とし
て、特開平5−212974号公報には、熱転写受像シ
ートの染料受容層樹脂中に反応性紫外線吸収剤を反応結
合させることが開示されている。しかし、昇華転写方式
により熱で移行して画像を形成する染料は、受容層樹脂
の比較的表面近傍に存在するため、受容層樹脂全体に紫
外線吸収能を付与することは効果的ではなく、更に、紫
外線吸収剤の量を増加させると受容層樹脂本来の性能を
損ない、画像のにじみ等、他の性能を損なうという問題
があった。従って、本発明は、上記のような従来技術の
問題点を解決し、熱転写画像の各種耐久性、特に、耐光
性等を長期間維持できるという性能に優れた保護層転写
フィルム及びこれを用いて耐久性を高めた印画物を提供
することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、紫外線吸
収剤を樹脂に反応結合させることにより、その紫外線吸
収効果を長期に継続維持できることを見出し、これを保
護層転写フィルムの熱転写性樹脂層に応用することによ
り本発明の完成に至った。
【0007】即ち、本請求項1の発明は、基材フィルム
上に熱転写性樹脂層を設けてなる保護層転写フィルムに
おいて、該熱転写性樹脂層が反応性紫外線吸収剤を反応
結合した樹脂を含有することを特徴とする保護層転写フ
ィルムからなる。本請求項2の発明は、前記熱転写性樹
脂層が含有する反応性紫外線吸収剤を反応結合した樹脂
が、下記の一般式で表される反応性紫外線吸収剤と、熱
可塑性樹脂のモノマー、オリゴマー、反応性重合体の中
の少なくとも一種との共重合体であることを特徴とする
請求項1記載の保護層転写フィルムからなる。
【化1】
【化2】
【0008】また、本請求項3の発明は、前記共重合体
が反応性紫外線吸収剤と、アクリル系モノマー、オリゴ
マー、反応性重合体の中の少なくとも一種との共重合体
であることを特徴とする請求項2記載の保護層転写フィ
ルムからなる。本請求項4の発明は、前記熱転写性樹脂
層が、基材フィルム側から透明性樹脂層、熱接着性樹脂
層の順に積層した積層体で構成され、少なくとも一方の
層に紫外線吸収剤を反応結合した樹脂を含有することを
特徴とする請求項1乃至3に記載の保護層転写フィルム
である。
【0009】そして、本請求項5の発明は、前記熱転写
性樹脂層が、基材フィルム側から、透明性樹脂層、紫外
線遮断層、熱接着性樹脂層の順に積層した積層体で構成
され、該紫外線遮断層が前記反応性紫外線吸収剤を反応
結合した樹脂を含有することを特徴とする請求項1乃至
3に記載の保護層転写フィルムからなる。本請求項6の
発明は、少なくとも1色、乃至2色以上の昇華性染料イ
ンキ層及び/又は熱溶融性インキ層からなる熱転写イン
キ層の領域と前記熱転写性樹脂層の領域とを面順次に基
材フィルム上に設けたことを特徴とする請求項1乃至5
に記載の保護層転写フィルムからなる。そして、本請求
項7の発明は、少なくとも染料で着色された画像を有す
る印画物の印画面の少なくとも一部に、請求項1乃至6
に記載の保護層転写フィルムの熱転写性樹脂層が積層さ
れている印画物からなっている。
【0010】
【作用】本発明の保護層転写フィルムおよびこれを用い
た印画物では、熱転写性樹脂層の中の少なくとも一部の
層に紫外線吸収剤と反応結合した樹脂を含有させている
ため、紫外線吸収剤の熱による気化・発散や分解等も少
なく、紫外線吸収効果を長期に渡って維持できる。特
に、昇華転写によるような染料画像を有する印画物の印
画面に、本発明の保護層転写フィルムの熱転写性樹脂層
を転写、積層した場合には、耐摩擦性、耐スクラッチ性
等と共に特に耐光性が向上する。
【0011】(好ましい実施態様)次に、本発明の好ま
しい実施態様を図面を用いて詳細に説明する。図1、図
2、図3、図4は、それぞれ本発明の保護層転写フィル
ムの一実施例を説明する模式断面図である。図1は、最
も単純な層構成の例であり、基材フィルム1の一方の面
に反応性紫外線吸収剤を反応結合した樹脂を含有する熱
転写性樹脂層2を単一層として設けた構成である。図2
は、基材フィルム1の一方の面に熱転写性樹脂層2を、
基材フィルム側から順に、透明性樹脂層4、熱接着性樹
脂層6の2層に分けて積層した構成であり、反応性紫外
線吸収剤を反応結合した樹脂は、透明性樹脂層4、また
は、熱接着性樹脂層6のいずれかに含有させるものであ
る。図3は、基材フィルム1の一方の面に、熱転写性樹
脂層2を、基材フィルム側から順に、透明性樹脂層4、
紫外線遮断層5、熱接着性樹脂層6の3層に分けて積層
した構成である。この場合、反応性紫外線吸収剤を反応
結合した樹脂は、勿論、紫外線遮断層5に用いる。図4
は、基材フィルム1の一方の面に、基材フィルム側から
順に、離型層3、透明性樹脂層4、紫外線遮断層5、熱
接着性樹脂層6を積層し、もう一方の面には耐熱性、ス
リップ性を付与する背面層7を設けた構成である。背面
層7は、プリンターのサーマルヘッドの粘着を防止する
作用を有しており、図1〜図3の構成の場合、図示はし
ていないが、必要に応じて設けることができ、また、基
材フィルムの耐熱性やスリップ性が良好である場合には
不要である。また、離型層3は、基材フィルム1と透明
性樹脂層4の間の剥離性が適当でない場合に、透明性樹
脂層4と基材フィルム1との接着性を低下させ、透明性
樹脂層4の剥離を容易にするために設けるもので、この
層も図1〜図3の場合、図示していないが、必要に応じ
て設けることができる。勿論、基材フィルム1と透明性
樹脂層4との剥離性が良好な場合には、離型層3は不要
である。尚、離型層3を設ける場合は、透明性樹脂層4
を含む熱転写性樹脂層2は、転写により離型層3から剥
離され、離型層3自体は基材フィルム側に残るように構
成する。以下に、本発明の保護層転写フィルムおよびこ
れを転写して得られる印画物の構成材料と製造方法につ
いて説明する。
【0012】先ず、本発明の保護層転写フィルムにおい
て、熱転写性樹脂層中に用いる反応性紫外線吸収剤を反
応結合させた樹脂について説明する。本発明に用いる反
応性紫外線吸収剤は、従来公知の有機系紫外線吸収剤で
あるサリシレート系、ベンゾフェノン系、ベンゾトリア
ゾール系、置換アクリロニトリル系、ニッケルキレート
系、ヒンダートアミン系等の非反応性紫外線吸収剤に、
例えば、ビニル基やアクリロイル基、メタアクリロイル
基等の付加重合性二重結合、或いは、アルコール性水酸
基、アミノ基、カルボキシル基、エポキシ基、イソシア
ネート基等を導入したものである。例えば、好適に使用
できる幾つかの具体例を挙げると、下記の構造式で示さ
れるものがあるが、これらに限定されるものではない。
【0013】
【化1】
【化2】上記の反応性紫外線吸収剤を反応固定する方法
としては、種々の方法が利用可能であり、例えば従来公
知の、モノマー、オリゴマー或いは反応性重合体等の樹
脂成分と前記反応性紫外線吸収剤とをラジカル重合する
ことにより本発明の共重合体を得ることができる。この
場合の反応性紫外線吸収剤としては、前記化1および化
2の如き付加重合性二重結合を有する反応性紫外線吸収
剤を使用することが好ましい。また、反応性紫外線吸収
剤が水酸基、アミノ基、カルボキシル基、エポキシ基、
イソシアネート基等を有する場合には、上記の反応性基
と反応性のある官能基を有する熱可塑性樹脂を使用し、
必要に応じて触媒を用いて、熱等によって反応性紫外線
吸収剤を熱可塑性樹脂に反応固定することもできる。本
発明では、前記のような反応性紫外線吸収剤を、モノマ
ー、オリゴマー、或いは、反応性重合体等の樹脂成分と
共重合させて、紫外線吸収性を有する重合体を得て、こ
れを熱転写性樹脂層中に添加、若しくは、層として積層
して熱転写性樹脂層を構成するものである。前記の反応
性紫外線吸収剤と共重合させるモノマー成分としては、
以下のようなものが挙げられる。メチルアクリレート、
メチルメタアクリレート、エチルアクリレート、エチル
メタアクリレート、プロピルアクリレート、プロピルメ
タアクリレート、ブチルアクリレート、ブチルメタアク
リレート、イソブチルアクリレート、イソブチルメタア
クリレート、ターシャリーブチルアクリレート、ターシ
ャリーブチルメタアクリレート、イソデシルアクリレー
ト、イソデシルメタアクリレート、ラウリルアクリレー
ト、ラウリルメタアクリレート、ラウリルトリデシルア
クリレート、ラウリルトリデシルメタアクリレート、ト
リデシルアクリレート、トリデシルメタアクリレート、
セリルステアリルアクリレート、セリルステアリルメタ
アクリレート、ステアリルアクリレート、ステアリルメ
タアクリレート、エチルヘキシルアクリレート、エチル
ヘキシルメタアクリレート、オクチルアクリレート、オ
クチルメタアクリレート、シクロヘキシルアクリレー
ト、シクロヘキシルメタアクリレート、ベンジルアクリ
レート、ベンジルメタアクリレート、メタクリル酸、ヒ
ドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシエチルメタア
クリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、ヒドロ
キシプロピルメタアクリレート、ジメチルアミノエチル
アクリレート、ジメチルアミノエチルメタアクリレー
ト、ジエチルアミノエチルアクリレート、ジエチルアミ
ノエチルメタアクリレート、ターシャリーブチルアミノ
エチルアクリレート、ターシャリーブチルアミノエチル
メタアクリレート、グリシジルアクリレート、グリシジ
ルメタアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレ
ート、テトラヒドロフルフリルメタアクリレート。
【0014】そして、エチレンジアクリレート、エチレ
ンジメタアクリレート、ジエチレングリコールジアクリ
レート、ジエチレングリコールジメタアクリレート、ト
リエチレングリコールジアクリレート、トリエチレング
リコールジメタアクリレート、テトラエチレングリコー
ルジアクリレート、テトラエチレングリコールジメタア
クリレート、デカエチレングリコールジアクリレート、
デカエチレングリコールジメタアクリレート、ペンタデ
カエチレングリコールジアクリレート、ペンタデカエチ
レングリコールジメタアクリレート、ペンタコンタヘク
タエチレングリコールジアクリレート、ペンタコンタヘ
クタエチレングリコールジメタアクリレート、ブチレン
ジアクリレート、ブチレンジメタアクリレート、アリル
アクリレート、アリルメタアクリレート、トリメチロー
ルプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパン
トリメタアクリレート、ヘキサンジオールジアクリレー
ト、ヘキサンジオールジメタアクリレート、トリプロピ
レングリコールジアクリレート、トリプロピレングリコ
ールジメタアクリレート、ペンタエリスリトールテトラ
アクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタアクリ
レート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、
ジペンタエリスリトールヘキサメタアクリレート、1,
6−ヘキサンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサ
ンジオールジメタアクリレート、ネオペンチルグリコー
ルペンタアクリレート、ネオペンチルグリコールペンタ
メタアクリレート、ホスファゼンヘキサアクリレート、
ホスファゼンヘキサメタアクリレート等である。
【0015】また、上記の物質は、モノマーに限らずオ
リゴマーとして使用してもよく、更に、上記物質の重合
体、または、その誘導体からなるポリエステルアクリレ
ート系、エポキシアクリレート系、ウレタンアクリレー
ト系、ポリエーテルアクリレート系等のアクリル系反応
性重合体も使用可能である。これらのモノマー、オリゴ
マー、アクリル系反応性重合体は、単独で使用してもよ
いし、混合して使用してもよい。
【0016】以上のような熱可塑性樹脂のモノマー、オ
リゴマー、或いは、アクリル系反応性重合体と反応性紫
外線吸収剤とを共重合することにより、反応性紫外線吸
収剤を反応結合した熱可塑性の共重合樹脂が得られる
が、この共重合樹脂に含有される反応性紫外線吸収剤の
量は、10〜90重量%の範囲が適当であり、特に好ま
しくは30〜70重量%である。含有量が10重量%未
満では、満足できる耐光性が得難く、一方、90重量%
を超えると塗布時のべとつきや染料画像への転写時の画
像のにじみ等の問題を生じるため好ましくない。また、
この共重合樹脂の分子量は、5,000〜250,00
0程度が好ましく、9,000〜30,000程度が特
に好ましい。分子量が5,000未満では、塗膜が弱
く、保護層としての耐久性が十分得られない。また、2
50,000を超えると、保護層をサーマルヘッド等で
転写した場合に膜切れ等が悪くなり好ましくない。前記
反応性紫外線吸収剤を共重合した熱可塑性の共重合樹脂
の構造式の一例を示すと下記のようになるが、勿論、こ
れに限定されるものではない。
【化3】
【0017】以下に、基材フィルムおよび各層について
順次説明する。 1)基材フィルム 本発明の保護層転写フィルムに用いられる基材フィルム
1としては、従来の熱転写フィルムに使用されているも
のと同じ基材フィルムを、そのまま用いることができる
と共に、フィルムの表面に易接着処理のしてあるものや
その他のものも使用することができ、特に制限はされな
い。好ましい基材フィルムの具体例としては、例えば、
ポリエチレンテレフタレートを始めとするポリエステ
ル、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリイミド、酢酸
セルロース、ポリ塩化ビニリデン、ポリ塩化ビニル、ポ
リスチレン、フッ素樹脂、ポリプロピレン、ポリエチレ
ン、アイオノマー等のプラスチックフィルム、および、
グラシン紙、コンデンサー紙、パラフィン紙等の紙類、
セロファン等があり、また、これらの2種以上を積層し
た複合フィルムなども挙げられる。これらの基材フィル
ム1の厚さは、その強度および耐熱性が適切になるよう
に材料に応じて適宜変更しているが、通常は、3〜10
0μm程度が好ましい。
【0018】2)離型層 通常、基材フィルム1の一方の面に熱転写性樹脂層2を
設けて転写フィルムを作成するが、基材フィルム1と熱
転写性樹脂層2の材質の組合せによっては熱転写の際の
離型性が十分でない場合がある。このような場合、基材
フィルム1面に予め離型層3を設けることができる(図
4)。離型層3は、ワックス類、シリコーンワックス、
シリコーン樹脂、フッ素樹脂、アクリル樹脂、ポリビニ
ルアルコール、ウレタン樹脂、酢酸セルロース等のセル
ロース系樹脂等の樹脂から1種乃至、2種以上を選択し
て用いることができ、2種以上を混合する場合は、適宜
水溶性の樹脂を用いてもよい。そして、これらの樹脂を
主成分とする塗布液を、従来公知のグラビアコート、グ
ラビアリバースコート等の方法で塗布、乾燥することに
より形成でき、塗膜の厚さは0.1〜2μm程度で充分
である。尚、離型層に使用する材料を選択する際に、注
意しなければならない点としては、熱転写性樹脂層と適
切な離型性を有することは勿論のことであるが、更に、
熱転写性樹脂層との接着力よりも基材フィルムとの接着
力を高くすることが大切であり、もし、基材フィルムと
の接着力が十分でない場合には、離型層ごと保護層が転
写される等の異常転写の原因となる。また、転写後の印
画物において艶消し保護層が望ましい場合には、離型層
中に各種の粒子を包含させるか、或いは、離型層側表面
をマット処理した基材フィルムを使用することにより、
保護層を転写した印画物の表面をマット状にすることも
できる。
【0019】3)熱転写性樹脂層 本発明の保護層転写フィルムにおいて、熱転写性樹脂層
2は、熱転写により被転写体の印画面に転写されて保護
層を形成するものである。従って、熱転写性樹脂層2が
具備すべき機能としては、熱転写の際、基材フィルム1
またはその上に設けられた離型層3から確実に、膜切れ
性よく剥がれること、被転写体に対する熱接着性が良い
こと、印画面の保護層として耐摩擦性、耐スクラッチ性
等の各種耐性、特に本発明では優れた耐光性を付与でき
ること、また、透明性が良く転写面の画像の鮮明さを損
なわないことなどが挙げられる。この点から、図1に示
したように熱転写性樹脂層2を単層で設けることもでき
るが、図2〜図4のように基材フィルム1側から透明性
樹脂層4、熱接着性樹脂層6の順、或いは、透明性樹脂
層4、紫外線遮断層5、熱接着性樹脂層6の順のように
2層または3層の多層構成で設けることも好ましい。こ
のような場合の各層について以下に説明する。
【0020】3−1)透明性樹脂層 前記基材フィルム1または離型層3の上に設ける透明性
樹脂層4、即ち、熱転写性樹脂層2の基材フィルム側の
層は、耐摩擦性、透明性、硬さなどに優れた樹脂、例え
ば、ポリエステル、ポリスチレン、アクリル樹脂、ポリ
ウレタン、アクリルウレタン樹脂、および、これらの樹
脂のシリコーン変性樹脂、そして、これらの樹脂の混合
物のほか、前述の如き重合性モノマー、オリゴマー、反
応性重合体等の少なくとも一種を電離放射線照射により
架橋、硬化した樹脂等を用いることができる。また、前
述の硬化性樹脂層には、可撓性および接着性を向上させ
るために、相溶性のよい熱可塑性樹脂を混合して用いて
もよい。尚、電離放射線により架橋、硬化させる場合に
は、紫外線遮断層との接着性をより向上させるために、
アクリル樹脂、ウレタン樹脂、ポリエステル、ポリスチ
レン、アクリルウレタン樹脂などからなる中間層(プラ
イマー層)を設けてもよい。これらの樹脂は、透明性に
優れているが、比較的強靱な皮膜を形成する傾向がある
ので、転写時における膜切れが充分ではない。そこで、
これらの透明樹脂の膜切れ性や、転写によって被覆され
る印画面の耐摩擦性、耐スクラッチ性などを向上させる
ために、シリカ、アルミナ、炭酸カルシウム、プラスチ
ックピグメント等の透明性の高い微粒子やワックス等を
樹脂の透明性を損なわない程度に添加することができ
る。添加量は樹脂固形分100重量部に対して0.5〜
20重量部が好ましい。また、耐摩擦性、耐スクラッチ
性を更に向上させるために、シリコーン変性樹脂、滑剤
等の添加剤を含有させてもよい。
【0021】このような透明性樹脂層4を形成する方法
としては、グラビアコート、グラビアリバースコート、
ロールコート、その他多くの手段が利用でき、上記の樹
脂を含む塗布液を塗布、乾燥することによって形成され
る。この透明性樹脂層4の厚さは、乾燥時の皮膜で0.
1〜50μm程度であり、好ましくは1〜10μm程度
である。
【0022】3−2)紫外線遮断層 本発明において反応性紫外線吸収剤を反応結合した樹脂
は、熱転写性樹脂層2を多層で構成する場合には、透明
性樹脂層4及び/又は熱接着性樹脂層6に含有させても
よいが、紫外線遮断層5として別に設けてもよい。この
場合、透明性樹脂層4と熱接着性樹脂層6の間に設ける
か、基材フィルム1または離型層3と透明性樹脂層4の
間に設けるかは限定しないが、通常、透明性樹脂層4と
熱接着性樹脂層6の間に設けることが好ましい。紫外線
遮断層5の形成方法は、前記透明性樹脂層の形成方法と
同じ方法でよく、その厚さは、0.1〜5μm程度で十
分である。
【0023】3−3)熱接着性樹脂層 次に、以上の各層を接着性よく印画面に転写するため
に、最上層として熱接着性樹脂層6を設けることができ
る。この熱接着性樹脂層6には、例えば、アクリル系樹
脂、塩化ビニル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、塩化ビニル
−酢酸ビニル共重合樹脂、スチレン−アクリル共重合樹
脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂等のような
熱時接着性の良好な樹脂を用いることができる。これら
の樹脂の1種または2種以上を溶液、或いはエマルジョ
ンなど塗布可能な形にしたものを、前記透明性樹脂層で
挙げた塗布方法の中から適した方法をそれぞれ選択し
て、塗布、乾燥することにより形成できる。熱接着性樹
脂層6の厚さは、0.1〜5μm程度の範囲が好まし
い。
【0024】4)背面層 また、本発明の保護層転写フィルムにおいて、熱転写性
樹脂層2を設けた反対側の面には、必要に応じてプリン
ターのサーマルヘッドや転写用熱板等との粘着を防止
し、且つ、滑り性を良くする目的で背面層7(耐熱性ス
リップ層)を設けることができる(図4参照)。背面層
7の材質は、ブチラール樹脂等をイソシアネート化合物
で硬化した樹脂、シリコーン樹脂等従来公知のものがそ
のまま使用でき、その厚さは0.1〜5μm程度で十分
である。また、背面層は必要に応じてプライマー層を介
して設けてもよい。
【0025】(保護層転写フィルムの製造および転写方
法等)以上、本発明の保護層転写フィルムを構成する各
層について説明したが、これらの中、熱転写性樹脂層2
の全体の厚さは、0.5〜50μm程度の範囲が好まし
い。そして、このような熱転写性樹脂層2は、基材フィ
ルム上に単独で設けて保護層のみの転写フィルムとして
もよいが、例えば、イエロー、マゼンタ、シアンの昇華
性染料インキ層やブラックの溶融型転写インキ層(カー
ボンブラック含有)と面順次に配列して設け、インキ層
と保護層とが一体型の転写フィルムとしてもよい。一体
型の転写フィルムとする場合、版のパターンは、特に限
定されないが、例えば下記のような層パターンを面順次
に繰り返し設けた転写フィルムが挙げられる。(以下、
色の表示について、イエローはYe、マゼンタはMg、
シアンはCy、ブラックはBkと略記する。) Ye染料層、Mg染料層、Cy染料層、保護層 Ye染料層、Mg染料層、Cy染料層、Bk染料層、
保護層 Ye染料層、Mg染料層、Cy染料層、Bk溶融イン
キ層、保護層 Bk染料層、保護層 Bk溶融インキ層、保護層 これらの版パターンにおいて、Bk染料層、Bk溶融イ
ンキ層、保護層の大きさは、他の層に比べて大きく形成
されていてもよい。また、各層を検出する検知マーク
は、各層の何処に設けてもよく、例えば、各層領域の
頭、或いは先頭色の頭に設けることができる。また、上
記のようなインキ層と保護層とが一体型の転写フィルム
においては、熱転写性樹脂層などを構成する各層は、透
明な樹脂層であり、これらを所定のパターンで位置を合
わせて刷り重ねる必要があるため、これらの各層には蛍
光増白剤などの添加剤を加えておき、紫外線照射などに
より、目視、或いは機械検知による位置合わせを容易に
することができる。また、上記の熱転写インキ層に関し
て、使用するインキの材質および基材フィルム面に設け
る方法などについては、従来公知の熱転写(インキ)フ
ィルムに用いたインキや方法をそのまま使用することが
できる。以上のような保護層転写フィルムを用いて保護
する画像は、通常は、昇華型熱転写方法及び/又は溶融
型熱転写方法により形成された画像であるが、これに限
定するものではなく広く利用できるものである。特に、
昇華型熱転写による画像に適用する場合には、該画像に
保護層が形成されると共に、転写時の熱によって画像を
形成している染料が再発色処理されるので、画像が一層
鮮明になるという効果がある。
【0026】また、昇華型熱転写画像及び/又は溶融型
熱転写画像は、ポリエステル樹脂や塩化ビニル樹脂、塩
化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂、ポリカーボネート等
のプラスチックシートを基材とする受像シートやカード
基材など、どのような被転写材に形成されたものであっ
てもよい。例えば、染料受容性のある樹脂層(受容層)
を基材シート上に設けた熱転写受像シートやこれらの樹
脂類からなるフィルム、シート、成形物等を用いること
ができる。染料受容性のある樹脂としては、ポリプロピ
レン等のポリオレフィン系樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ
塩化ビニリデン等のハロゲン化樹脂、ポリ酢酸ビニル、
各種ポリアクリレート等のビニル系樹脂、ポリエチレン
テレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリ
エステル系樹脂、ポリスチレンまたはその共重合体等の
ポリスチレン系樹脂、ポリアミド系樹脂、エチレンやプ
ロピレン等のオレフィンと他のビニルモノマーとの共重
合体系樹脂、そして、アイオノマー、セルロースジアセ
テート、セルローストリアセテート等のセルロース系樹
脂、ポリカーボネートなどが挙げられ、これらの樹脂層
中に、熱転写シートとの融着を防止するためにシリコー
ンオイル等の離型剤を添加してもよい。
【0027】上記のような熱転写受像シートに使用する
シート状基材としては、合成紙(ポリオレフィン系、
ポリスチレン系等)、上質紙、アート紙、コート紙、
キャストコート紙、壁紙、裏打ち用紙、合成樹脂溶液若
しくはエマルジョン含浸紙、合成ゴムラテックス含浸
紙、合成樹脂内添紙、板紙、その他セルロース繊維紙等
の天然繊維紙、ポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポ
リエチレンテレフタレート、ポリスチレン、ポリメチル
メタクリレート、ポリカーボネート等の各種のプラスチ
ックのフィルム若しくはシートが使用できる。上記の
中、の合成紙は、その表面に熱伝導率の低い(換言す
れば断熱性の高い)ミクロボイド層を有するものが好ま
しい。また、上記〜の任意の組合せによる積層体も
使用できる。代表的な積層体の例として、セルロース繊
維紙と合成紙、或いは、セルロース繊維紙とプラスチッ
クフィルム若しくはシートとの積層体が挙げられる。
【0028】また、被転写体としてカードを用いる場合
の材料について説明する。本発明のカードに使用するカ
ード基材は、その表面に昇華性染料が染着される染料受
容層が形成されている限り、従来公知のポリオレフィ
ン、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート、ポ
リスチレン、ポリメタクリレート、ポリカーボネート等
の各種のプラスチックのフィルムまたはシート等が使用
でき、また、これらの合成樹脂に白色顔料や充填剤を加
えて成膜した白色不透明のフィルム若しくはシート、或
いは発泡させた発泡シート等も使用でき、更に、合成紙
(ポリオレフィン系、ポリスチレン系等)、上質紙、ア
ート紙、コート紙、キャストコート紙、壁紙、裏打ち用
紙、合成樹脂溶液またはエマルジョン含浸紙、合成ゴム
ラテックス含浸紙、合成樹脂内添紙、板紙、その他セル
ロース繊維紙等も使用でき特に限定されない。また、上
記基材フィルム等の任意の組合せによる積層体も使用で
きる。
【0029】本発明における好ましいカード基材の一例
を示すと、白色顔料を含むポリ塩化ビニル製の中心層の
両面に透明なポリ塩化ビニル層が積層された構成を有し
ており、少なくとも画像形成面である透明塩化ビニル層
には適当な量の可塑剤が含有されて染料の染着性が良好
にされている。これら可塑剤の量の好ましい範囲は、染
料受容面を形成するポリ塩化ビニル100重量部当たり
0.1〜10重量部であり、特に好ましい範囲は3〜5
重量部である。可塑剤の使用量が少なすぎると昇華性染
料に対する染着性が不充分であり、一方、可塑剤の量が
多すぎると染料受容面が柔らかくなり、熱転写時に熱転
写シートの染料層と密着し易くなるため、染料層が剥離
し、そのまま転写するという異常転写が発生し易くな
り、また、保存中に印字画像に滲みが生じ、鮮明な画像
が得られないので好ましくない。
【0030】上記の染料受容面には、更に、着色顔料、
白色顔料、体質顔料、充填剤、紫外線吸収剤、帯電防止
剤、熱安定剤、酸化防止剤、蛍光増白剤等も任意に使用
することができる。このようなカード基材には、予めそ
の面に必要な磁気記録層やエンボス模様、他の印刷模
様、光メモリー、ICメモリー、バーコード等を形成し
ておいてもよいし、また、昇華転写方式等により顔写真
等の情報を形成後にこれらの磁気記録層等を設けてもよ
い。上記カード基材上に設けられる顔写真は、本発明の
昇華型の熱転写シートを用いて常法に従って形成するこ
とができる。また、同時に昇華型の熱転写シートで文
字、バーコード等の情報も形成できるが、これらの情報
は、高濃度の黒色印字が可能な熱溶融インキ型の熱転写
シートを用いて形成することが好ましい。
【0031】以上のように、受像シートもしくはカード
等にサーマルプリンターによってカラー画像及び/又は
文字画像を形成し、その上に本発明の保護層転写フィル
ムを用いて、熱転写性樹脂層を転写して保護層を形成す
るが、転写に際しては、サーマルプリンターは、昇華転
写用、溶融転写用、保護層転写用というように別々に転
写条件を設定してもよいし、また、共通のプリンターで
それぞれ印字エネルギーを適切に調整して行ってもよ
い。尚、本発明の保護層転写フィルムでは、加熱手段と
してサーマルプリンターに限定されず、その他熱板、ホ
ットスタンパー、熱ロール、ラインヒーター、アイロン
等でも転写できる。また、保護層は、形成された画像の
全面に転写してもよいし、特定の部分のみに転写しても
よい。更に、転写フィルムとは言えないが、例えば、レ
ストランメニューやカード類等で使用されるラミネート
シートによるパウチ材として応用することもできる。こ
の場合、透明な基材フィルム或いは市販のラミネートシ
ートの一方の面に、本発明の紫外線遮断層と熱接着性樹
脂層とを設けて本発明のラミネートシートとし、これを
昇華型熱転写方法及び/又は溶融型熱転写方法により形
成された画像上に熱接着させる使い方も可能である。
【0032】
【実施例】次に、実施例および比較例を挙げ、本発明を
更に詳細に説明する。尚、文中、「部」で表示したもの
は、重量部を意味する。 (昇華型熱転写フィルムの作成)下記組成の昇華性染料
を含む3色のインキを調整した。 イエローインキの組成 下記構造式で表されるキノフタロン系染料 5.5部 ポリビニルブチラール(エスレックBX−1 積水化学工業製) 4.5部 メチルエチルケトン/トルエン(重量比 1:1) 90.0部
【化6】 マゼンタインキの組成 イエローインキの組成において、染料の種類のみをマゼ
ンタ染料(C.I.Disperse Red 60)に換え、そ
の他はイエローインキと同様にしてマゼンタインキを調
整した。 シアンインキの組成 イエローインキの組成において、染料の種類のみをシア
ン染料(C.I.Solvent Blue 63)に換え、その
他はイエローインキと同様にしてシアンインキを調整し
た。一方、基材フィルムとして厚さ6μmの2軸延伸ポ
リエチレンテレフタレートフィルム(以下PETと表
示)(商品名ルミラー 東レ製)を用い、その一方の面
に背面層としてシリコーン樹脂からなる耐熱性スリップ
層をグラビア印刷方式で全面に厚さ1μmで設け、もう
一方の面にウレタン系樹脂からなるプライマー層を全面
に厚さ0.5μmで設けた。次に、このプライマー層の
上に上記のインキ組成物をグラビア印刷方式により、塗
布量が略3g/m2 (固形分)になるように、それぞれ
イエロー、マゼンタ、シアンの順に面順次にPETフィ
ルムの流れ方向に、各色とも長さ15cmで繰り返しベ
タ印刷して3色の昇華性染料によるインキ層を形成し、
昇華型熱転写フィルムを作成した。
【0033】(実施例1)厚さ12μmのPETフィル
ム(商品名ルミラー 東レ製)を基材フィルムとし、そ
の一方の面に背面層としてシリコーン樹脂による耐熱性
スリップ層を乾燥時の厚さが1μmになるようにグラビ
アコート方式で形成し、もう一方の面に下記の組成の透
明性樹脂層用塗布液をグラビアコート方式で乾燥時の塗
布量が3g/m2 となるように塗布、乾燥して透明性樹
脂層を形成した。 ☆透明性樹脂層用塗布液の組成 アクリル樹脂(ダイヤナールBR−83、三菱レイヨン製) 20部 メチルエチルケトン/トルエン(重量比1:1) 80部 (以下メチルエチルケトンは、MEKと表示する。)次
に、上記透明性樹脂層の上に、下記の組成の紫外線遮断
層用塗布液をグラビアコート方式で乾燥時の塗布量が1
g/m2 になるように塗布、乾燥して紫外線遮断層を形
成した。
【0034】 ☆紫外線遮断層用塗布液の組成 反応性紫外線吸収剤を反応結合した共重合樹脂 (UVA−635L、BASFジャパン製) 20部 酢酸エチル 80部 尚、UVA−635Lは、下記の式で表される共重合樹
脂である。
【化4】 更に、前記紫外線遮断層の上に、下記組成の熱接着性樹
脂層用塗布液をグラビアコート方式で、乾燥時の塗布量
が1g/m2 となるように塗布、乾燥して熱接着性樹脂
層を形成し、実施例1の保護層転写フィルムを作成し
た。 ☆熱接着性樹脂層用塗布液の組成 塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体系樹脂 (#1000ALK、電気化学工業製) 20部 MEK/トルエン(重量比1:1) 80部
【0035】(実施例2)実施例1の構成において、紫
外線遮断層用塗布液の組成のみを下記のように変更した
以外は、総て実施例1と同様に加工して実施例2の保護
層転写フィルムを作成した。 ☆紫外線遮断層用塗布液の組成 反応性紫外線吸収剤を反応結合した共重合樹脂 (UVA−633L、BASFジャパン製) 20部 酢酸エチル 80部 尚、UVA−633Lは、下記の式で表される共重合樹
脂である。
【化5】
【0036】(実施例3)実施例1の構成において、紫
外線遮断層を除き、透明性樹脂層用塗布液の組成を下記
の組成の塗布液に変更した以外は、総て実施例1と同様
に加工して実施例3の保護層転写フィルムを作成した。 ☆透明性樹脂層用塗布液の組成 反応性紫外線吸収剤を反応結合した共重合樹脂 (UVA−633L、BASFジャパン製) 20部 酢酸エチル 80部
【0037】(実施例4)実施例1の構成において、紫
外線遮断層を除き、熱接着性樹脂層用塗布液を下記の組
成の塗布液に換えて塗布した以外は、総て実施例1と同
様に加工して実施例4の保護層転写フィルムを作成し
た。 ☆熱接着性樹脂層用塗布液の組成 アクリル樹脂(ダイヤナールBR−90、三菱レイヨン製) 10部 反応性紫外線吸収剤を反応結合した共重合樹脂 (UVA−633L、BASFジャパン製) 20部 MEK/トルエン(重量比1:1) 70部
【0038】(実施例5)実施例1の構成において、透
明性樹脂層用塗布液を下記の組成の塗布液(電離放射線
硬化型樹脂)に換え、更に、この層とその上に塗布する
紫外線遮断層との密着性をよくするため、透明性樹脂層
の上に下記組成の中間層用塗布液による中間層を新たに
加え、両者を下記の条件で加工した以外は、実施例1と
同様に加工して実施例5の保護層転写フィルムを作成し
た。 ☆透明性樹脂層用塗布液の組成 ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート 7.5部 ポリメタクリル酸メチル 15.0部 MEK/トルエン(重量比1:1) 77.5部 ☆中間層用塗布液の組成 ポリメタクリル酸メチル 30部 MEK/トルエン(重量比1:1) 70部 上記塗布液の加工条件は、先ず、透明性樹脂層用塗布液
をグラビアコート方式で塗布量が3g/m2 (固形分)
になるように塗布、乾燥し、続いて中間層用塗布液をグ
ラビアコート方式で塗布量が1g/m2 (固形分)にな
るように塗布、乾燥した後、コーティング面側から窒素
ガス雰囲気中で175KVに加速された電子線を5Mra
ds照射して硬化、架橋し、透明被膜を形成した。
【0039】(実施例6)実施例1の構成において、透
明性樹脂層用塗布液の組成のみを下記のように(ワック
ス成分を追加した組成に)変更した以外は、総て実施例
1と同様に加工して実施例6の保護層転写フィルムを作
成した。 ☆透明性樹脂層用塗布液の組成 アクリル樹脂(ダイヤナールBR−83、三菱レイヨン製) 20部 ポリエチレンワックス(平均粒径 10μm) 1部 MEK/トルエン(重量比1:1) 80部
【0040】(実施例7)実施例5の構成において、透
明性樹脂層用塗布液の組成のみを下記のように(ワック
ス成分およびコロイダルシリカを追加した組成に)変更
した以外は、総て実施例5と同様に加工して実施例7の
保護層転写フィルムを作成した。 ☆透明性樹脂層用塗布液の組成 ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート 7.5部 ポリメタクリル酸メチル 15.0部 ポリエチレンワックス(平均粒径 10μm) 1.5部 コロイダルシリカ 1.5部 MEK/トルエン(重量比1:1) 77.5部
【0041】(実施例8)実施例8の保護層転写フィル
ムは、保護層単独ではなく熱転写インキ層と保護層とを
同一基材フィルム上に面順次に配列し、これを繰り返し
設けたインキ層と保護層とが一体型の転写フィルムと
し、下記の手順で作成した。基材フィルムとして、厚さ
6μmの片面易接着処理PETフィルム(ルミラーF5
4 東レ製)を用い、その非処理側の面に背面層として
シリコーン樹脂による耐熱性スリップ層を、乾燥時の厚
さが1μmとなるように、グラビアコート方式で全面に
設けた。そして、易接着処理の施された面には、熱転写
インキ層(Ye、Mg、Cy、Bkの4色のインキ層を
各15cmの長さで配列)の領域と保護層(15cmの
長さ)の領域とを、PETフィルムの流れ方向に面順次
に配列したものを1単位とし、これを繰り返し設ける構
成で熱転写インキ層と保護層(熱転写性樹脂層)とを設
けた。上記において、Ye、Mg、Cyの3色のインキ
層については、前記(昇華型熱転写フィルムの作成)の
項に示した組成の昇華性染料インキを用いて、PETフ
ィルムの易接着処理面に各々塗布量が3g/m2 (固形
分)となるようにYe、Mg、Cyの順に配列させて印
刷した。この時、Ye、Mg、Cyの3色が1セットと
して繰り返し印刷され、それぞれのセット間にはBkの
インキ層と保護層用に30cmの間隔が開けられた状態
となっている。
【0042】また、Bkのインキ層は、熱溶融型とする
ため、熱転写インキ層の構成をPETフィルムの上に、
離型層、剥離保護層、Bk着色層を順に積層した構成と
した。具体的には、それぞれ下記組成の離型層用塗布
液、剥離保護層用塗布液、Bk着色層用インキを用い
て、グラビア印刷により乾燥時の塗布量がいずれも1g
/m2 となるように、前記の各Cy染料印刷層に隣接す
るように刷り重ねてBkの熱転写インキ層を形成した。
尚、上記において、離型層だけは、Bkの熱転写インキ
層に隣接して次に設ける保護層の最下層に形成する離型
層と材質、塗布量とも共通にできるため、Bkの熱転写
インキ層を形成する際、各Cy染料印刷層に隣接して離
型層用塗布液を前記30cmの間隔全面の寸法で印刷し
ておくことが合理的であり、本実施例でもこれを実施し
た。
【0043】 ☆離型層用塗布液の組成 ポリウレタン樹脂(ハイドランAP−40 大日本インキ化学工業製) 7.5部 ポリビニルアルコール(ゴーセノールC−500 日本合成化学製) 15部 蛍光増白剤(Uvitex CF チバガイギー製) 0.1部 水/エチルアルコール(重量比 1:1) 300部 ☆剥離保護層用塗布液の組成 アクリル樹脂(BR−83 三菱レイヨン製) 88部 ポリエチレンワックス(平均粒径 10μm) 11.5部 ポリエステル(バイロン200 東洋紡績製) 0.5部 蛍光増白剤(Uvitex OB チバガイギー製) 0.5部 MEK/トルエン(重量比 1:1) 300部 ☆Bk着色層用インキの組成 塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体系樹脂 60部 カーボンブラック 40部 MEK/トルエン(重量比 1:1) 200部
【0044】次に、上記PETフィルムの各セット間に
残された長さ15cmのスペースに保護層となる熱転写
性樹脂層を設けるが、本実施例では前述した如く、この
スペースには熱転写性樹脂層の離型性(転写性)をより
良くするための離型層が既に設けられており、その上に
設ける熱転写性樹脂層の構成を、離型層に接する側から
透明性樹脂層、プライマー層、紫外線遮断層、熱接着性
樹脂層を順に積層した構成とし、それぞれ下記の組成の
塗布液をグラビア印刷方式で順次、塗布、乾燥して積層
した。尚、それぞれの乾燥時の塗布量は、透明性樹脂層
が2g/m2 、プライマー層が1g/m2 、紫外線遮断
層が1g/m2 、熱接着性樹脂層が1g/m2 となるよ
うにした。また、透明性樹脂層に電離放射線硬化型樹脂
を使用したため、上記各層の塗布、乾燥後コーティング
面側から窒素ガス雰囲気中で175KVに加速された電
子線を5Mrads照射して樹脂の硬化、架橋を行った。以
上のように作成した熱転写インキ層と保護層との一体型
の転写フィルムを実施例8の保護層転写フィルムとし
た。
【0045】 ☆透明性樹脂層用塗布液の組成 ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート 10部 ポリメチルメタクリレート 20部 シランカップリング剤処理シリカ 3部 ポリエチレンワックス 1部 蛍光増白剤(Uvitex OB チバガイギー製) 0.15部 MEK/トルエン(重量比 1:1) 70部 ☆プライマー層用塗布液の組成 ポリメチルメタクリレート 30部 蛍光増白剤(Uvitex OB チバガイギー製) 0.15部 MEK/トルエン(重量比 1:1) 70部 ☆紫外線遮断層用塗布液の組成 反応性紫外線吸収剤を反応結合した共重合樹脂 (UVA−635L BASFジャパン製) 20部 MEK/トルエン(重量比 1:1) 80部 ☆熱接着性樹脂層用塗布液の組成 塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体系樹脂 (#1000ALK 電気化学工業製) 30部 蛍光増白剤(Uvitex OB チバガイギー製) 0.15部 MEK/トルエン(重量比 1:1) 70部
【0046】(実施例9)実施例9の保護層転写フィル
ムは、前記実施例8の熱転写インキ層と保護層との一体
型の保護層転写フィルムの構成において、基材フィル
ム、即ち、厚さ6μmの片面易接着処理PETフィルム
に、背面層、および熱転写インキ層(4色)を設けるま
では実施例8と同様に加工し、保護層の部分のみを実施
例6の構成(但し、透明性樹脂層と熱接着性樹脂層には
下記のように蛍光増白剤を追加)に換えて作成した。従
って、保護層の部分は、先ず、基材フィルム面に実施例
8と同様の離型層を設け、その上に、 透明性樹脂層としてアクリル樹脂(ダイヤナールBR
−83)20部とポリエチレンワックス(平均粒径10
μm)1部、蛍光増白剤(Uvitex OB チバガイギー
製)0.1部からなる層(塗布量3g/m2 ) 紫外線遮断層として反応性紫外線吸収剤を反応結合し
た共重合樹脂(UVA−635L)の層(塗布量1g/
2 ) 熱接着性樹脂層として塩化ビニル−酢酸ビニル共重合
体系樹脂(#1000ALK)20部と蛍光増白剤(U
vitex OB チバガイギー製)0.1部からなる層(塗
布量1g/m2 ) を順に積層した構成としたものである。また、透明性樹
脂層に電離放射線硬化型樹脂を使用していないため、塗
布、乾燥後の電子線照射は実施していない。尚、上記実
施例6〜9の保護層転写フィルムでは、熱転写性樹脂層
の中、転写後最外層となる透明性樹脂層に対して、転写
時の膜切れ性、および、転写された画像面の耐擦傷性を
更に向上させるために、ポリエチレンワックス、コロイ
ダルシリカ、シランカップリング剤処理シリカなどを添
加して構成したものである。この点から後記の耐光性、
および、高温保存による画像のにじみ等の総合テストと
は別に、前記実施例の最初の(昇華型熱転写フィルムの
作成)の項で準備した熱転写フィルムで作成した画像面
に、サーマルヘッドプリンターで、各実施例の熱転写性
樹脂層をベタパターンで転写し、その膜切れ性と被転写
物表面の耐擦傷性をテストしたところ、それぞれが対応
するワックス成分や各種シリカを透明性樹脂層中に含有
しない構成のものと対比して、即ち、実施例6および9
は、実施例1のものと対比して、また、実施例7および
8は、実施例5のものと対比して、いずれも膜切れ性お
よび被転写物表面の耐擦傷性が向上していることが確認
された。
【0047】(比較例1)実施例1の構成において、紫
外線遮断層のみを除いた構成とし、その他は実施例1と
同様に加工して比較例1の保護層転写フィルムを作成し
た。
【0048】(比較例2)実施例1の構成において、紫
外線遮断層を除き、熱接着性樹脂層用塗布液を下記の組
成の塗布液に換えて塗布した以外は、総て実施例1と同
様に加工して比較例2の保護層転写フィルムを作成し
た。 ☆熱接着性樹脂層用塗布液の組成 アクリル樹脂(ダイヤナールBR−90、三菱レイヨン製) 20部 ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤 (チヌビン328、チバガイギー製) 1部 MEK/トルエン(重量比1:1) 80部
【0049】(比較例3)実施例1の構成において、紫
外線遮断層を除き、熱接着性樹脂層用塗布液を下記の組
成の塗布液に換えて塗布した以外は、総て実施例1と同
様に加工して比較例3の保護層転写フィルムを作成し
た。 ☆熱接着性樹脂層用塗布液の組成 アクリル樹脂(ダイヤナールBR−90、三菱レイヨン製) 20部 ベンゾフェノン系紫外線吸収剤 (ケミソーブ112、ケミプロ化成製) 1部 MEK/トルエン(重量比1:1) 80部
【0050】(比較例4)実施例1の構成において、紫
外線遮断層を除き、熱接着性樹脂層用塗布液を下記の組
成の塗布液に換えて塗布した以外は、総て実施例1と同
様に加工して比較例3の保護層転写フィルムを作成し
た。 ☆熱接着性樹脂層用塗布液の組成 アクリル樹脂(ダイヤナールBR−90、三菱レイヨン製) 20部 ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤 (チヌビン328、チバガイギー製) 10部 MEK/トルエン(重量比1:1) 70部
【0051】(比較例5)比較例5は、本発明において
転写フィルム側に用いている紫外線吸収剤と反応結合し
た樹脂を、転写フィルム側でなく受像シートの受容層に
用いてその効果を比較するものである。従って、被転写
材である受像シートの基材シートとして合成紙(ユポF
RG−150、厚さ150μm、王子油化合成紙製)を
用い、その一方の面に下記の組成の染料受容層用塗布液
をバーコーターにより、乾燥時塗布量が、4.0g/m
2 になるように塗布、乾燥して染料受容層を形成し、熱
転写受像シートを作成した。 ☆染料受容層用塗布液の組成 反応性紫外線吸収剤を反応結合した共重合樹脂 (UVA−633L、BASFジャパン製) 20部 アミノ変性シリコーン(X−22−343、信越化学工業製) 5部 エポキシ変性シリコーン(KF−393、信越化学工業製) 5部 MEK/トルエン(重量比1:1) 80部 上記で得た熱転写受像シートの染料受容層に後記と同じ
方法でカラー画像を転写し、その画像面に比較例1の構
成の保護層(紫外線遮断層を除いた保護層)を転写し、
後記の耐光性およびにじみの試験を行い評価した。
【0052】(カード基材、受像シートへの画像及び保
護層の転写)実施例1〜9および比較例1〜4の保護層
転写フィルムに対する被転写材として、下記の材料組成
からなるポリ塩化ビニル製のカード基材(比較例5の場
合は受像シート)を使用し、その一方の面(受像シート
では受容層面)に、先に作成した昇華型熱転写フィルム
の染料塗布面(実施例8、9においては保護層転写フィ
ルムの熱転写インキ層の面)を重ね、顔写真を色分解し
て得た電気信号に連結したプリンターのサーマルヘッド
を通して熱エネルギーを付与し、フルカラー画像を形成
した。 ☆カード基材の材料組成 ポリ塩化ビニルコンパウンド(重合度800) (安定剤等の添加剤を約10%含有) 100.0部 白色顔料(酸化チタン) 10.0部 可塑剤(DOP) 0.5部 続いて、前記カード基材(比較例5は受像シート)のカ
ラー画像形成面に、実施例1〜9および比較例1〜4の
保護層転写フィルムを用いて、また、比較例5の受像シ
ートの画像形成面に対しては比較例1の保護層転写フィ
ルムを用いて、同じプリンターのサーマルヘッドで、そ
れぞれの熱転写性樹脂層を転写し、保護層付きのカラー
画像を形成した。
【0053】(転写画像の耐光性試験)上記で得られた
カラー画像および保護層の転写された各カード基材およ
び受像シートを試料として、画像面の耐光性をキセノン
フェードメーター(アトラス社製 Ci−35A)で、
200KJ/m2 および300KJ/m2 照射し、照射
前後の光学濃度の変化を、光学濃度計(マクベス社製
RD−918)により測定し、下記式により光学濃度の
残存率を算出した。 残存率(%)=(照射後の光学濃度/照射前の光学濃
度)×100 尚、耐光性試験の結果としては、上記残存率を下記の区
分の記号に換えて表1に示した。 ◎:残存率が80%以上 ○:残存率が70%以上80%未満 △:残存率が60%以上70%未満 ×:残存率が60%未満
【0054】(転写画像のにじみ試験)上記で得られた
カラー画像および保護層の転写された各カード基材、受
像シートを試料として、画像面のにじみを60℃で10
0時間保存した後、観察し、下記の基準で判定した結果
を記号で表1に示した。 記号の説明 ○:ドットのにじみが見られないもの。 ×:ドットのにじみが見られるもの。
【0055】
【表1】 耐光性試験及びにじみ試験の結果
【0056】
【発明の効果】以上詳しく説明したように、本発明の保
護層転写フィルムは、反応性紫外線吸収剤を反応結合し
た樹脂を熱転写性樹脂層中に使用しているため、従来の
ベンゾトリアゾール系或いはベンゾフェノン系等の紫外
線吸収剤を熱転写性樹脂層中に含有させたものと比較し
て、紫外線吸収剤の熱による気化・発散や分解、或い
は、溶剤による溶出等も少なく、熱転写画像上に保護層
として熱転写性樹脂層を転写した場合、耐摩擦性、耐ス
クラッチ性、耐薬品性、耐保存性等の各種の耐性に優れ
ると共に、特に、耐光性に優れた印画物を提供できる効
果を奏する。また、保護層転写フィルムの構成を、転写
フィルム基材の一方の面に、熱転写インキ層の領域と保
護層用の熱転写性樹脂層の領域とを面順次に設けた構成
とすることにより、画像形成と保護層の積層とをインラ
インで効率よく実施できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の保護層転写フィルムの一実施
例を説明する模式断面図である。
【図2】図2は、本発明の保護層転写フィルムの別の一
実施例を説明する模式断面図である。
【図3】図3は、本発明の保護層転写フィルムのまた別
の一実施例を説明する模式断面図である。
【図4】図4は、本発明の保護層転写フィルムの更に別
の一実施例を説明する模式断面図である。
【符号の説明】
1 基材フィルム 2 熱転写性樹脂層 3 離型層 4 透明性樹脂層 5 紫外線遮断層 6 熱接着性樹脂層 7 背面層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C09K 3/00 104 A C 9121−2H B41M 5/26 J 9121−2H B 9121−2H 101 L 9121−2H 101 B

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基材フィルム上に熱転写性樹脂層を設け
    てなる保護層転写フィルムにおいて、該熱転写性樹脂層
    が反応性紫外線吸収剤を反応結合した樹脂を含有するこ
    とを特徴とする保護層転写フィルム。
  2. 【請求項2】 前記熱転写性樹脂層が含有する反応性紫
    外線吸収剤を反応結合した樹脂が、下記の一般式で表さ
    れる反応性紫外線吸収剤と、熱可塑性樹脂のモノマー、
    オリゴマー、反応性重合体の中の少なくとも一種との共
    重合体であることを特徴とする請求項1記載の保護層転
    写フィルム。 【化1】 【化2】
  3. 【請求項3】 前記共重合体が反応性紫外線吸収剤とア
    クリル系モノマー、オリゴマー、反応性重合体の中の少
    なくとも一種との共重合体であることを特徴とする請求
    項2記載の保護層転写フィルム。
  4. 【請求項4】 前記熱転写性樹脂層が、基材フィルム側
    から透明性樹脂層、熱接着性樹脂層の順に積層した積層
    体で構成され、少なくとも一方の層に反応性紫外線吸収
    剤を反応結合した樹脂を含有することを特徴とする請求
    項1乃至3に記載の保護層転写フィルム。
  5. 【請求項5】 前記熱転写性樹脂層が、基材フィルム側
    から、透明性樹脂層、紫外線遮断層、熱接着性樹脂層の
    順に積層した積層体で構成され、該紫外線遮断層が前記
    反応性紫外線吸収剤を反応結合した樹脂を含有すること
    を特徴とする請求項1乃至3に記載の保護層転写フィル
    ム。
  6. 【請求項6】 少なくとも1色、乃至2色以上の昇華性
    染料インキ層及び/又は熱溶融性インキ層からなる熱転
    写インキ層の領域と前記熱転写性樹脂層の領域とを面順
    次に基材フィルム上に設けたことを特徴とする請求項1
    乃至5に記載の保護層転写フィルム。
  7. 【請求項7】 少なくとも染料で着色された画像を有す
    る印画物の印画面の少なくとも一部に、請求項1乃至6
    に記載の保護層転写フィルムの熱転写性樹脂層が積層さ
    れていることを特徴とする印画物。
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