JPH08230338A - 保護層転写フィルム及び印画物 - Google Patents

保護層転写フィルム及び印画物

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JPH08230338A
JPH08230338A JP7064755A JP6475595A JPH08230338A JP H08230338 A JPH08230338 A JP H08230338A JP 7064755 A JP7064755 A JP 7064755A JP 6475595 A JP6475595 A JP 6475595A JP H08230338 A JPH08230338 A JP H08230338A
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JP
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layer
resin
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transfer film
heat
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Withdrawn
Application number
JP7064755A
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English (en)
Inventor
Jiro Onishi
二郎 大西
Mikiko Kudo
美紀子 工藤
Katsuyuki Oshima
克之 大嶋
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Dai Nippon Printing Co Ltd
Original Assignee
Dai Nippon Printing Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】熱転写画像の耐久性、特に耐光性の低下を伴う
ことがなく、偽造防止等の機能性を有し、更には高い製
造安定性を有する保護層転写フィルムを提供すること。 【構成】耐熱性基材フィルム上に、少なくとも1層以上
の熱転写性樹脂層が積層された保護層転写フィルムにお
いて、該熱転写性樹脂層を構成する最表面層が、水及び
/又はアルコールに可溶な樹脂を主成分とするか、水及
び/又はアルコールを分散媒とする樹脂微粒子を主成分
とすることを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、剥離可能に保護層が設
けられた保護層転写フィルムに関し、更に詳しくは感熱
転写記録方式によって形成された画像に対して、優れた
耐光性、耐候性、耐摩擦性、耐薬品性、耐溶剤性等の耐
久性を与えることができる保護層転写フィルムに関す
る。
【0002】
【従来の技術】従来種々の熱転写方法が公知であるが、
それらの中で基材フィルム上に昇華性染料とバインダー
を含有する染料層を設けた転写シートを用い、画像情報
に応じてサーマルヘッド、レーザー等の加熱手段により
染料層中の染料を昇華(熱移行)させて、記録を行う昇
華型感熱記録方式が知られている。また、基材フィルム
上に顔料等の着色材及びワックス等のビヒクルを含有す
る熱溶融性インク層を設けた転写シートを用い、同様の
加熱手段により軟化した溶融インク層成分を転写させて
画像を形成する熱溶融型感熱記録方式が知られている。
これらの熱転写方法では、各種の画像を簡便に形成する
ことができるので、印刷枚数が比較的少なくてもよい印
刷物、例えば身分証明書等のカードや各種証明書等に利
用されるようになっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら上記のよ
うな熱転写シートを使用して身分証明書等のIDカード
を作成した場合、熱溶融型の熱転写シートを使用する
と、文字や数字等の如き単調な画像の形成は容易である
が、これらの画像は、耐久性、特に耐磨耗性に劣るとい
う欠点がある。一方、昇華型感熱記録方式の熱転写シー
トを使用した場合には、顔写真等の階調性画像を精密に
形成することができるが、形成された画像は、通常の印
刷インキによるものとは異なり、ビヒクルが無い為、耐
光性、耐候性、耐摩擦性、耐薬品性等の耐久性に劣ると
いう欠点がある。
【0004】上記の問題を解決する手段として、熱溶融
性着色材層あるいは昇華性(熱移行性)染料の熱転写に
よって得られた画像上に、熱転写性樹脂層を有する保護
層転写フィルムを重ね合わせ、サーマルヘッドや加熱ロ
ール等を用いて熱転写性樹脂層を転写させ、画像上に保
護層を形成する方法が知られている。この保護層を設け
ることによって、画像の耐摩擦性、耐薬品性、耐溶剤性
等は向上させることができるが更に耐候性を向上させる
ために、保護層中に紫外線吸収剤等の添加剤を添加した
り、偽造防止や記録画像の鮮明性や白色度を向上させる
といった特殊な機能を付与するために、保護層中に蛍光
増白剤を添加したりする方法が知られている(特開昭5
8−149048号、特開昭62−59076号公報
等)。
【0005】また、製造上の問題として着色材層と保護
層を同一の基材上に面順次に形成する場合には、保護層
を形成する複数の層が実質的に無色透明である為、製造
時に塗布する各層の見当を合わせる為に通常設けられて
いる検知マーク(トンボ)を設けても、赤外線や可視光
などを利用した検知器や、肉眼では保護層を構成する各
々の層の見当を合わせることができないという欠点があ
る。この問題を解決する1つの手段として、蛍光剤、特
に好ましくは蛍光増白剤を保護層を構成する各層中に添
加し、これによって生じる紫外線領域の吸収帯を検知器
で確認することで、製造時に機械による見当合わせが可
能になると共に、紫外光を照射して蛍光を発生させるこ
とで、肉眼の見当の確認を行うことが試みられている。
しかしながら上記の如き添加剤は、画像を形成する着色
剤と接触すると、着色剤の耐久性、特に耐光性を低下さ
せる場合があり、保護層の高機能化や安定製造を図るた
めには耐久性を犠牲にしなければならないという問題が
生じていた。
【0006】従って、本発明の目的は上記従来技術の問
題点を解決し、耐久性、特に耐光性の低下を伴うことが
なく、偽造防止性等の機能性を有し、更には高い製造安
定性を有する保護層転写フィルム及びこれを用いて熱転
写記録画像に耐久性を高めた印画物を提供することであ
る。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、保護層転
写フィルムを構成する最表面層を、水及び/又はアルコ
ールに可溶な樹脂を主成分とするか、あるいは水及び/
又はアルコールを分散媒とする樹脂微粒子を主成分する
ことで、保護層中に含まれる蛍光増白剤等の添加剤が、
画像を形成する着色剤の耐久性、特に耐光性を低下させ
るのを防止できることを見出し、本発明の完成に到っ
た。即ち、本請求項1記載の発明は、耐熱性基材フィル
ム上に、少なくとも1層以上の熱転写性樹脂層が積層さ
れた保護層転写フィルムにおいて、該熱転写性樹脂層を
構成する最表面層が、水及び/又はアルコールに可溶な
樹脂を主成分とすることを特徴とする保護層転写フィル
ムである。請求項2の発明は、耐熱性基材フィルム上
に、少なくとも1層以上の熱転写性樹脂層が積層された
保護層転写フィルムにおいて、該熱転写性樹脂層を構成
する最表面層が、水及び/又はアルコールを分散媒とす
る樹脂微粒子を主成分とすることを特徴とする保護層転
写フィルムである。請求項3の発明は、最表面層がスチ
レン・アクリル共重合体樹脂を主成分とする層からなる
ことを特徴とする請求項2記載の保護層転写フィルムで
ある。
【0008】請求項4の発明は、最表面層が熱接着性樹
脂層であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに
記載の保護層転写フィルムである。請求項5の発明は、
熱転写性樹脂層を構成する少なくとも1つの層が、電子
線によって硬化された硬化性樹脂層であることを特徴と
する請求項1〜4のいずれかに記載の保護層転写フィル
ムである。請求項6の発明は、熱転写性樹脂層を構成す
る少なくとも1つの層が、紫外線を吸収する材料を含有
していることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記
載の保護層転写フィルムである。
【0009】請求項7の発明は、熱転写性樹脂層が、基
材フィルム側から順次、透明性樹脂層、紫外線遮断層、
熱接着性樹脂層を積層したものであることを特徴とする
請求項1〜6のいずれかに記載の保護層転写フィルムで
ある。請求項8の発明は、耐熱性基材フィルムと熱転写
性樹脂層との間に、離型層を設けたことを特徴とする請
求項1〜7のいずれかに記載の保護層転写フィルムであ
る。請求項9の発明は、前記熱転写性樹脂層と熱移行性
色材層、熱溶融性着色材層の少なくとも1層が、同一の
基材フィルム上に隣接して形成されていることを特徴と
する請求項1〜8のいずれかに記載の保護層転写フィル
ムである。そして請求項10の発明は、着色材によって
形成された画像を有する印画物の画像形成面の少なくと
も一部に、請求項1〜9のいずれか記載の保護層転写フ
ィルムの熱転写性樹脂層が積層されていることを特徴と
する印画物である。
【0010】
【作用】本発明の保護層を転写した印画物は、画像形成
面に水及び/又はアルコールに可溶な樹脂を主成分とす
るか、あるいは水及び/又はアルコールを分散媒とする
樹脂微粒子を主成分とする層が存在する為、保護層中に
含まれる蛍光増白剤等の添加剤が画像を形成する着色剤
と接触して劣化させることを防止でき、印画物の品質を
高く保つことが可能となる。また、より高い耐光性を提
供するために保護層中に紫外線吸収剤等を含有する層を
設けた場合でも、従来の如き保護層転写フィルムでは、
蛍光増白剤等の添加剤の悪影響により耐光性の向上は十
分ではなかったが、本発明の保護層転写フィルムを用い
ることによって紫外線吸収剤層等の効果が十分に発揮さ
れ、更なる耐久性の向上を達成することが可能となる。
【0011】次に好ましい実施例を図解的に示す添付図
面を参照して本発明を更に具体的に説明する。図1、図
2、図3、図4はそれぞれ本発明の保護層転写フィルム
の一実施例を説明する模式断面図である。図1は、最も
単純な層構成の例であり、基材フィルム1の一方の面
に、水及び/又はアルコールに可溶な樹脂を主成分とす
るか、あるいは水及び/又はアルコールを分散媒とする
樹脂微粒子を主成分とする層からなる熱転写性樹脂層2
を単一層として設けた構成である。
【0012】図2は、基材フィルム1の一方の面に熱転
写性樹脂層2を基材フィルム側から順に、透明性樹脂層
4、熱接着性樹脂層6の2層に分けて積層した構成であ
り、熱接着性樹脂層6が水及び/又はアルコールに可溶
な樹脂を主成分とするか、あるいは水及び/又はアルコ
ールを分散媒とする樹脂微粒子を主成分とする層からな
る。図3は、基材フィルム1の一方の面に、熱転写性樹
脂層2を基材フィルム側から順に、透明性樹脂層4、紫
外線遮断層5、熱接着性樹脂層6の3層に分けて積層し
た構成である。この場合も、最表面の熱接着性樹脂層6
は水及び/又はアルコールに可溶な樹脂を主成分とする
か、あるいは水及び/又はアルコールを分散媒とする樹
脂微粒子を主成分とする層からなる。図4は、基材フィ
ルムの一方の面に、基材フィルム側から順に、離型層
3、透明性樹脂層4、紫外線遮断層5、熱接着性樹脂層
6を積層し、もう一方の面には耐熱性、スリップ性を付
与する背面層7を設けた構成である。そしてこの場合も
最表面を構成する熱接着性樹脂層6は、図1〜図3の説
明で述べた最表面層と同様の樹脂含有インキを塗布して
設けられた層である。背面層7は、プリンターのサーマ
ルヘッドの粘着を防止する作用を有しており、図1〜図
3の構成の場合、図示してはいないが、必要に応じて設
けることができ、また基材フィルムの耐熱性やスリップ
性が良好である場合には不要である。
【0013】また、基材フィルムと熱転写性樹脂層の間
の剥離性が適当でない場合に、離型層3を設けることが
できる。これは熱転写性樹脂層と基材フィルムとの接着
力を調整し、熱転写性樹脂層の剥離を良好に行うために
設けるもので、この層も図1〜図3の場合、図示してい
ないが必要に応じて設けることができる。勿論基材フィ
ルムと熱転写性樹脂層との剥離性が良好な場合には剥離
層3は不要である。尚、離型層3を設ける場合は、熱転
写性樹脂層2は転写により離型層から剥離され、離型層
3自体は基材フィルム側に残るように構成する。
【0014】以下に本発明の保護層転写フィルム及びこ
れを転写して得られる印画物の構成材料と製造方法につ
いて説明する。
【0015】まず、基材フィルム及び各層について順次
説明する。 (基材フィルム)本発明の保護層転写フィルムに用いら
れている基材フィルムとしては、従来の熱転写フィルム
に使用されているものと同じ基材フィルムをそのまま用
いることができると共に、フィルムの表面に易接着処理
のしてあるものやその他のものも使用することができ、
特に制限はされない。好ましい基材フィルムの具体例と
しては、例えば、ポリエチレンテレフタレートを始めと
するポリエステル、ポリカーボネート、ポリアミド、ポ
リイミド、酢酸セルロース、ポリ塩化ビニリデン、ポリ
塩化ビニル、ポリスチレン、フッ素樹脂、ポリプロピレ
ン、ポリエチレン、アイオノマー等のプラスチックフィ
ルム、及びグラシン紙、コンデンサー紙、パラフィン紙
等の紙類、セロファン等があり、また、これらの2種以
上を積層した複合フィルムなども挙げられる。これらの
基材フィルムの厚さは、その強度及び耐熱性が適切にな
るように材料に応じて適宜変更しているが、通常は3〜
100μm程度が好ましい。
【0016】(離型層)通常、基材フィルムの一方の面
に熱転写性樹脂層2を設けて転写フィルムを作成する
が、基材フィルムと熱転写性樹脂層2の材質の組合せに
よっては熱転写の際の離型性が良好でない場合がある。
このような場合、基材フィルム面に予め離型層3を設け
ることができる。(図4) 離型層3を構成する樹脂としては、ワックス類、シリコ
ーンワックス、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、アクリル
樹脂、セルロース誘導体樹脂、ウレタン系樹脂が挙げら
れ、また、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリド
ン、ゼラチン、カルボキシメチルセロース、メチルセル
ロース、ポリエチレンオキシド、アラビアゴム、水溶性
ブチラール、水溶性ポリエステル、水溶性ポリウレタ
ン、水溶性ポリアクリル、水溶性ポリミド等の水溶性ポ
リマーを用いてもよい。これらの樹脂を少なくとも1種
以上含有する塗布液を、従来公知のグラビアコート、グ
ラビアリバースコート等の方法で塗布、乾燥することに
より形成でき、塗膜の厚さは、0.1〜2μm程度で充
分である。離型層3に使用する材料を選定する際に注意
しなければならない点としては、熱転写性樹脂層2と適
切な離型性を有することは勿論のことであるが、更に熱
転写性樹脂層との接着力よりも、基材フィルムとの接着
力を高くすることが大切であり、もし基材フィルムとの
接着力が十分でない場合には、離型層ごと保護層が転写
される等の異常転写の原因となる。
【0017】また、転写後の印画物において艶消し保護
層が望ましい場合には、離型層中に各種の粒子を包含さ
せるか、または離型層側表面をマット処理した基材フィ
ルムを使用することにより、保護層を転写した印画物の
表面をマット状にすることもできる。
【0018】(熱転写性樹脂層)本発明の保護層転写フ
ィルムにおいて、熱転写性樹脂層2は熱転写により被転
写体の印画面に転写されて保護層を形成するものであ
る。従って熱転写性樹脂層2が具備すべき機能として
は、熱転写の際、基材フィルムまたはその上に設けられ
た離型層3から確実に箔切れ性よく剥がれること、被転
写体に対する熱接着性がよいこと、印画面の保護層とし
て耐摩擦性、耐スクラッチ性等の各種耐性、特に本発明
では優れた耐光性を付与できること、また透明性がよく
転写面の画像の鮮明さを損なわないことなどが挙げられ
る。この点から図1に示したような熱転写性樹脂層2を
単層で設けることもできるが、図2〜図4のように基材
フィルム側から透明性樹脂層4、熱接着性樹脂層6の
順、あるいは透明性樹脂層4、紫外線遮断層5、熱接着
性樹脂層6の順のように2層または3層の多層構成で設
けることも好ましい。このような場合の各層について以
下に説明する。
【0019】(透明性樹脂層)前記基材フィルムまたは
離型層3の上に設ける透明性樹脂層4、即ち熱転写性樹
脂層2の基材フィルム側の層は、耐摩擦性、透明性、硬
さなどに優れた樹脂、例えばポリエステル、ポリスチレ
ン、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリルウレタ
ン樹脂、及びこれらの樹脂のシリコーン変性樹脂、そし
てこれらの樹脂の混合物のほか、後述する紫外線遮断層
に用いる重合性モノマー、オリゴマー、反応性重合体等
の少なくとも1種を電子線等の電離放射線照射により架
橋、硬化した樹脂等を用いることができる。またこの硬
化性樹脂層には、可とう性及び接着性を向上させるため
に相溶性のよい熱可塑性樹脂を混合して用いてもよい。
これらの樹脂は透明性に優れているが、比較的強靱な皮
膜を形成する傾向があるので、転写時における箔切れが
充分ではない。そこでこれらの透明樹脂の箔切れ性や、
転写によって被覆される印画面の耐摩擦性、耐スクラッ
チ性などを向上させるために、シリカ、アルミナ、炭酸
カルシウム、プラスチックピグメント等の透明性の高い
微粒子やワックス等を樹脂の透明性を損なわない程度に
添加することができる。尚、用いる微粒子の粒径は0.
1〜10μm程度のものが好ましい。添加料は樹脂固形
分100重量部に対して0.5〜20重量部が好まし
い。また、耐摩擦性、耐スクラッチ性を更に向上させる
ために、シリコーン変性樹脂、滑剤等の添加剤を含有さ
せてもよい。
【0020】このような透明性樹脂層4を形成する方法
としては、グラビアコート、グラビアリバースコート、
ロールコート、その他多くの手段が利用でき、上記の樹
脂を含む塗工液を塗布・乾燥することによって形成する
ことができる。この透明性樹脂層4の厚さは乾燥時の皮
膜で0.1〜50μm程度であり、好ましくは1〜10
μm程度である。
【0021】(紫外線遮断層)本発明において、保護層
を転写する印画物に形成された画像が、太陽光等に含ま
れる紫外線によって褪色や変色するのを抑制する為に、
熱転写性樹脂層に紫外線吸収剤を添加することが好まし
い。使用する紫外線吸収剤としては、従来公知のベンゾ
フェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、シュ
ウ酸アニリド系化合物、シアノアクリレート系化合物、
サリシレート系化合物等の有機系の紫外線吸収剤が使用
可能であり、また亜鉛、チタン、セリウム、スズ、鉄等
の酸化物の如き無機系の紫外線吸収能を有する微粒子を
樹脂層中に添加することができる。使用する樹脂として
は、特に制限されず、あらゆる樹脂が使用可能である
が、例えばアクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ウレ
タン系樹脂、スチレン系樹脂、ハロゲン化ビニル系樹
脂、酢酸ビニル系樹脂、ポリカーボネート樹脂、フェノ
ール樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、セルロース系
樹脂、ポリエチレン等の炭化水素系樹脂、ポリビニルア
ルコールやポリビニルピロリドン等のビニル系樹脂、及
びこれらの共重合体等が挙げられ、また、紫外線遮断層
を特別に設けず、透明樹脂層中に添加してもよい。
【0022】また、反応性紫外線吸収剤を樹脂に反応結
合させた樹脂を単独または混合して用いて、透明性樹脂
層4及び/又は熱接着性樹脂層6に含有させたり、別層
として紫外線遮断層を設けてもよい。
【0023】上記反応性紫外線吸収剤を樹脂に反応固定
する方法としては、種々の方法が利用可能であるが、例
えば従来公知のモノマー、オリゴマー、又は反応性重合
体の樹脂成分と下記の如き付加重合性二重結合を有する
反応性紫外線吸収剤とラジカル重合することにより、共
重合体を得ることができる。
【0024】
【化1】
【化2】 また、反応性紫外線吸収剤が水酸基、アミノ基、カルボ
キシル基、エポキシ基、イソシアネート基等を有する場
合には、上記の反応性基と反応性の基を有する熱可塑性
樹脂を使用し、必要に応じて触媒を用いて、熱等によっ
て反応性紫外線吸収剤を熱可塑性樹脂に反応固定するこ
とができる。反応性紫外線吸収剤と共重合するモノマー
成分としては、以下のようなものが挙げられる。
【0025】メチル(メタ)アクリレート、エチル(メ
タ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブ
チル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリ
レート、ターシャリーブチル(メタ)アクリレート、イ
ソデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アク
リレート、ラウリルトリデシル(メタ)アクリレート、
トリデシル(メタ)アクリレート、セリルステアリル
(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレー
ト、エチルヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル
(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリ
レート、ベンジル(メタ)アクリレート、メタクリル
酸、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキ
シプロピル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチ
ル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メ
タ)アクリレート、ターシャリーブチルアミノエチル
(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレー
ト、
【0026】テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレ
ート、エチレンジ(メタ)アクリレート、ジエチレング
リコール(メタ)アクリレート、トリエチレングリコー
ルジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコール
ジ(メタ)アクリレート、デカエチレングリコール(メ
タ)アクリレート、ペンタデカエチレン(メタ)アクリ
レート、ペンタコンタヘクタエチレングリコール(メ
タ)アクリレート、ブチレンジ(メタ)アクリレート、
アリル(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパン
トリ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メ
タ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メ
タ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メ
タ)アクリレート、ペンタエリスリトールヘキサ(メ
タ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メ
タ)アクリレート、ネオペンチルグリコールペンタ(メ
タ)アクリレート、ホスファゼンヘキサ(メタ)アクリ
レート等が使用できる。
【0027】また、上記の物質はモノマーに限らずオリ
ゴマーとして使用してもよく、更に上記物質の重合体ま
たはその誘導体からなるポリエステルアクリレート系、
エポキシアクリレート系等のアクリル系反応性重合体も
使用可能である。これらのモノマー、オリゴマー、アク
リル系反応性重合体は、単独でも混合して用いてもよ
い。
【0028】以上の如き熱可塑性樹脂のモノマー、オリ
ゴマー、又はアクリル系反応性重合体と反応性紫外線吸
収剤とを共重合することにより、反応性紫外線吸収剤を
反応固定した熱可塑性の共重合樹脂が得られるが、この
共重合性樹脂中には10〜90重量%、好ましくは30
〜70重量%の反応性紫外線吸収剤を含有していること
が望ましい。含有量がこれより少ないと満足できる耐候
性が得難く、これより大きくなると塗布時のベトつき
や、染料画像への接着時の画像のにじみ等の問題を生じ
る等の問題がある。また、この共重合樹脂の分子量は
5,000〜300,000程度が好ましく、更には
9,000〜250,000程度が良い。分子量が5,
000未満であると、皮膜強度に劣るため、十分な強靱
性が得られない。また、300,000を越えると粘度
が上がり、取扱いが煩雑になるという問題がある。本発
明の紫外線遮断層は、上記の如き反応性紫外線吸収剤を
反応結合させてなる樹脂を含有することを特徴としてい
るが、この層は前記樹脂単独で形成してもよいし、必要
であれば他の樹脂を混合してもよい。尚、前記反応性紫
外線吸収剤を共重合してなる熱可塑性樹脂の構造式の一
例を示すが、本発明の共重合樹脂はこれに限定されるべ
きものではない。
【0029】
【化3】
【0030】前記の如き紫外線吸収層を形成する場合、
前記透明性樹脂層上に形成する場合接着性を向上させる
為、プライマー層を形成することができる。かかるプラ
イマー層を形成する樹脂としては、アクリル樹脂、ウレ
タン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポ
リオール樹脂、及びこれらの樹脂とイソシアネート類と
の反応物等を使用することができる。使用するイソシア
ネート類としては従来使用されている、ジイソシアネー
ト化合物、トリイソシアネート化合物等を使用すること
ができる。前述の如きプライマー層は、厚さ0.1〜1
0の範囲となるように形成することが好ましい。
【0031】以上の如き紫外線遮断層は、透明性樹脂層
4と熱接着性樹脂層6の間に設けるか、基材フィルムま
たは離型層3と透明性樹脂層4の間に設けるかは限定し
ないが、通常、透明性樹脂層と熱接着性樹脂層の間に設
けることが好ましい。紫外線遮断層5の形成方法は、前
記透明性樹脂層の形成方法と同じ方法でよく、その厚さ
は0.1〜5μm程度で充分である。
【0032】(最表面層)本発明の保護層転写フィルム
は熱転写性樹脂層を構成する最表面層が、水及び/又は
アルコールに可溶な樹脂を主成分とするか、あるいは水
及び/又はアルコールを分散媒とする樹脂微粒子を主成
分とすることを特徴とする。最表面層は印画物に転写、
接着する機能を要する為、熱時接着性の良好な樹脂から
形成することが望ましい。最表面層(熱接着性樹脂層)
に使用する水及び/又はアルコールに可溶な樹脂として
は、例えばポリビニルアルコール、エチレンビニルアル
コール、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコー
ル、ポリプロピレングリコール、ポリビニルエーテル、
ポリマレイン酸共重合体、ポリエチレンイミン、水溶性
アルキッド、一部のアクリル系樹脂、メチルセルロース
やカルボキシメチルセルロースあるいはヒドロキシエチ
ルセルロース等のセルロース系樹脂、デンプンやデキス
トリン等のデンプン質ポリマー、寒天やアラビアゴム、
デキストランあるいはゼラチン等の天然高分子等が挙げ
られるが、熱接着性を有する表面層として特に好ましい
のはポリビニルピロリドンである。
【0033】また、水及び/又はアルコールを分散媒と
する樹脂微粒子を含有する層としては、例えばアクリル
系樹脂、塩化ビニル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、スチレ
ン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、塩
化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂、エチレン−酢酸ビ
ニル共重合体樹脂、スチレン−アクリル共重合体樹脂等
のような熱時接着性の良好な樹脂を水やアルコールにエ
マルジョンやディスパージョンの形で分散させ、これを
前記透明性樹脂層等と同様な方法で塗布、乾燥すること
により形成できる。特に好ましい形態は、乾燥によって
樹脂微粒子を完全に成膜させるのではなく、ある程度粒
子の形状を残すように乾燥させたものであり、これによ
って保護層転写フィルムの表面に微小な凹凸を形成させ
ることができ、フィルム同士の密着を防止し、高い保存
性を有する保護層転写フィルムを得ることができる。そ
の際、分散させた上記樹脂の物性は、成膜温度が80℃
以上、好ましくは100℃以上のものが好適である。こ
れよりも低い成膜温度の樹脂では、樹脂自体の保存性が
低い上に、乾燥後に適当な凹凸を維持することができな
いという問題がある。
【0034】また、分散させた樹脂の粒径に関して、平
均粒子径が0.05〜2.0μm程度の大きさが好まし
い。これより大きな粒径であると保護層の透明性が低
く、印画物の品質が損なわれてしまう。逆にこれより小
さな粒径では保存性を向上させることができるような凹
凸を形成することができず、保存性が低下してしまうお
それがある。以上の項目を満足させる熱転写性樹脂イン
キとしては、昭和高分子社製、ポリゾールAT−200
0、AT−2011、C−10等が挙げられる。上記の
如き熱接着性樹脂層には、インキの粘度を調整するため
の増粘剤や、耐光性を向上させるための紫外線吸収剤、
ヒンダードアミン系等のラジカルトラップ剤、酸化防止
剤等を添加することができ、その添加量はそれぞれ熱転
写性樹脂の0.1〜10%程度である。熱接着性樹脂層
の厚さは、0.1〜5μm程度の範囲が好ましい。
【0035】(背面層)また、本発明の保護層転写フィ
ルムにおいて、熱転写性樹脂層2を設けた反対側の面に
は、必要に応じてプリンターのサーマルヘッドや転写用
熱板等との粘着を防止し、且つ滑り性を良くする目的で
背面層7(耐熱スリップ層)を設けることができる。背
面層7の材質は、ポリビニルブチラール樹脂等活性水素
を有する樹脂をイソシアネート化合物で硬化した樹脂、
シリコーン樹脂等従来公知のものがそのまま使用でき、
その厚さは0.1〜5μm程度で十分である。尚、タル
ク等の滑性に優れる無機粒子や、燐酸エステル系界面滑
性剤の如き滑剤を添加してもよい。
【0036】(保護層転写フィルムの製造及び転写方法
等)以上、本発明の保護層転写フィルムを構成する各層
について説明したが、これらの中で、熱転写性樹脂層2
の全体の厚さは0.5〜50μm程度の範囲が好まし
い。そしてこのような熱転写性樹脂層2は、基材フィル
ム上に単独で設けて保護層のみの転写フィルムとしても
よいが、昇華性染料インキ層や熱溶融性インキ層を面順
次に設けてインキ層と保護層とが一体型の転写フィルム
としてもよい。また、一体型の熱転写フィルムとする場
合の転写層パターンは、特に限定されないが、例えば以
下のような転写層パターンを繰り返し設けた熱転写フィ
ルムが挙げられる。 イエロー染料層、マゼンタ染料層、シアン染料層、保
護層 イエロー染料層、マゼンタ染料層、シアン染料層、ブ
ラック染料層、保護層 イエロー染料層、マゼンタ染料層、シアン染料層、ブ
ラック溶融インク層、保護層 ブラック染料層、保護層 ブラック溶融インク層、保護層 これらのパターンにおいて、ブラック染料層、ブラック
溶融インク層、保護層の大きさが、他の層に比べて大き
く形成されていてもよい。また、検知マークは、各層の
何処に設けられていてもよく、例えば各層領域のヘッド
や先頭色のヘッドに設けることができる。また、前記染
料層、インキ層を形成する材料については、従来この記
録方式に使用されている公知の材料を使用することがで
きる。
【0037】また、このように一体に設ける場合、保護
層を形成する各層が実質的に無色透明であるため、製造
時に塗布するそれぞれの層の見当を合わせる為に、各層
中に蛍光剤、好ましくは蛍光増白剤を添加し、これによ
って生じる紫外線領域の吸収帯を検知器で確認すること
により、見当合わせを機械化し簡便にすることができ
る。このような保護層転写フィルムを用いて保護する画
像は、通常は昇華型熱転写方法及び/又は溶融型熱転写
方法により形成された画像であるが、これに限定される
ものではなく、広く利用できるものである。
【0038】また、昇華型熱転写画像及び/又は熱溶融
型転写方法による画像は、ポリエステル樹脂や塩化ビニ
ル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂、ポリカ
ーボネート等のプラスチックシートを基材とする受像シ
ートや単層あるいは積層体からなるカード基材等どのよ
うな被転写材に形成されたものであってもよい。例えば
染料受容性のある樹脂層(受容層)を基材シート上に設
けた熱転写受像シートやこれらの樹脂類からなるフィル
ム、シート、成形物等を用いることができる。染料受容
性のある樹脂としては、ポリプロピレン等のポリオレフ
ィン系樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等の
ハロゲン化樹脂、ポリ酢酸ビニル、各種ポリアクリレー
ト等のビニル系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポ
リブチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂、ポ
リスチレンまたはその共重合体等のポリスチレン系樹
脂、ポリアミド系樹脂、エチレンやプロピレン等のオレ
フィンと他のビニルモノマーとの共重合体系樹脂、そし
てアイオノマー、セルロースジアセテート、セルロース
トリアセテート等のセルロース系樹脂、ポリカーボネー
トなどが挙げられ、これらの樹脂層中に、熱転写シート
との融着を防止するためにシリコーンオイル等の離型剤
を添加してもよい。上記のような熱転写受像シートに使
用するシート状基材としては、合成紙(ポリオレフィ
ン系、ポリスチレン系等)、上質紙、アート紙、コー
ト紙、キャストコート紙、壁紙、裏打ち用紙、合成樹脂
溶液もしくはエマルジョン含浸紙、合成ゴムラテックス
含浸紙、合成樹脂内添紙、板紙、その他セルロース繊維
紙等も使用でき、特に限定されない。また、上記基材フ
ィルム等の任意の組合せによる積層体も使用できる。代
表的な積層体の例として、セルロース繊維紙と合成紙、
あるいはセルロース繊維紙とプラスチックフィルムもし
くはシートとの積層体が挙げられる。
【0039】また、被転写体としてカードを用いる場合
の材料について説明する。本発明のカードに使用するカ
ード基材は、その表面に昇華性染料が染着される染料受
容層が形成されている限り、従来公知のポリオレフィ
ン、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート、ポ
リスチレン、ポリメタクリレート、ポリカーボネート等
の各種のプラスチックのフィルムまたはシート等が使用
でき、また、これらの合成樹脂に白色顔料や充填剤を加
えて成膜した白色不透明のフィルム又はシート、あるい
は発泡させた発泡シート等も使用でき、更に前述の熱転
写受像シートの基材に用いられている物等を使用するこ
とができる。本発明における好ましいカード基材の一例
を示すと、白色顔料を含むポリ塩化ビニル系の中心層の
両面に透明なポリ塩化ビニル層が積層された構成を有し
ており、少なくとも画像形成面である透明塩化ビニル層
には適当な量の可塑剤が含有されて染料の染着性が良好
にされている。これら可塑剤の量の好ましい範囲は、染
料受容面を形成するポリ塩化ビニル100重量部当たり
0.1〜10重量部であり、特に好ましい範囲は3〜5
重量部である。可塑剤の使用量が少なすぎると昇華性染
料に対する染着性が不十分であり、一方可塑剤の量が多
すぎると染料受容面が柔らかくなり、熱転写時に熱転写
シートの染料層と密着し易くなるため、染料層が剥離
し、そのまま転写するという異常転写の発生のおそれが
あり、また保存中に印字画像に滲みが生じ、鮮明な画像
が得られないので好ましくない。また、別の態様とし
て、受容層転写シートを用いて、予め受容層を転写した
ものを用いてもよい。特にカード基材の場合など、予め
エンボス、サイン、ICメモリー、磁気層、その他印刷
等が儲けられていてもよく、また、保護層転写後にエン
ボス、サイン、ICメモリー、磁気層等を設けることも
できる。
【0040】受像シートもしくはカード等にサーマルプ
リンタによってカラー画像及び/又は文字画像を形成
し、その上に本発明の保護層転写フィルムを用いて熱転
写性樹脂層を転写して保護層を形成するが、転写に際し
ては、サーマルプリンターは昇華転写用、溶融転写用、
保護層転写用というように別々に転写条件を設定しても
よいし、また、共通のプリンターでそれぞれ印字エネル
ギーを適切に調整して行ってもよい。これらのプラスチ
ックカードが昇華性染料に対して、十分は染着性を示さ
ない場合には、樹脂中に可塑剤や滑剤を添加して染着性
や離型性を調整してもよい。また、受容層転写シートを
用いて、予め受容層を転写したものを用いてもよい。特
にカード基材の場合など、予めエンボス、サイン、IC
メモリー、磁気層、その他印刷等が儲けられていてもよ
く、また、保護層転写後にエンボス、サイン、ICメモ
リー、磁気層等を設けることもできる。受像シートもし
くはカード等にサーマルプリンタによってカラー画像及
び/又は文字画像を形成し、その上に本発明の保護層転
写フィルムを用いて熱転写性樹脂層を転写して保護層を
形成するが、転写に際しては、サーマルプリンターは昇
華用、溶融転写用、保護層転写用というように別々に転
写条件を設定してもよいし、また、共通のプリンターで
それぞれ印字エネルギーを適切に調整して行ってもよ
い。
【0041】尚、本発明の保護層転写フィルムでは、加
熱手段としてサーマルプリンターに限定されず、その他
熱板、ホットスタンパー、熱ロール、ラインヒータ、ア
イロン等でも転写できる。また、保護層は形成された画
像の前面に転写してもよいし、特定の部分のみに転写し
てもよい。
【0042】
【実施例】次に実施例及び比較例を挙げて本発明を更に
具体的に説明する。尚、文中、部又は%とあるのは特に
断りのない限り重量基準である。 (昇華型熱転写シートの作成)下記組成の昇華性染料を
含む3色のインキを調整した。イエローインキ 下記構造式で表されるキノフタロン系染料 5.5部 ポリビニルブチラール(エスレックBX−1・積水化学工業製) 4.5部 メチルエチルケトン/トルエン(1/1) 90.0部
【0043】
【化4】
【0044】マゼンタインキ イエローインキにおいて染料をC.I.Disperese Red 60に
かえ、その他は同様にしてマゼンタインキを得た。シアンインキ イエローインキの組成において、染料の種類のみをシア
ン染料C.I.Solvent Blue 63 にかえ、その他はイエロー
インキと同様にしてシアンインキを調整した。
【0045】一方、背面に耐熱性スリップ層を厚さ1 μ
mに設け、且つ表面にウレタン系樹脂からなるプライマ
ー層を厚さ0.5μmに設けた厚さ6μmのポリエステ
ルフィルム(ルミラー・東レ製)を準備した。そしてこ
のプライマー層面に、塗布量が約3g/m2 (固形分)
になるようにそれぞれイエロー、マゼンタ、シアンの順
に面順次にポリエステルフィルムの流れ方向に長さ15
cmで繰り返し上記のインキ組成物をグラビア印刷方式
により、印刷、乾燥して3色の昇華性染料層を形成し、
昇華型熱転写シートを得た。
【0046】〔実施例1〕厚さ12μmのポリエチレン
テレフタレートフィルム(商品名ルミラー・東レ製)を
基材フィルムとし、その一方の面に耐熱スリップ層とし
てシリコーン樹脂を厚さ1μmとなるようにグラビアコ
ート方式により形成し、もう一方の面に下記組成の透明
性樹脂層形成用インキをグラビアコート方式で乾燥時の
塗布量が2g/m2 となるように塗布、乾燥して透明性
樹脂層を形成した。透明性樹脂層用塗布液 アクリル樹脂(LP−45M・綜研化学社製) 20部 蛍光増白剤(ユビテックスOB チバガイギー社製) 0.1部 メチルエチルケトン/トルエン(以下重量比1/1のものを使用する) 80部 次に上記透明性樹脂層の上に、表面層として下記の組成
の熱接着性樹脂層用塗布液をグラビアコート方式で、乾
燥時塗布量が1g/m2 となるように塗布、乾燥して熱
接着性樹脂層を形成した。熱接着性樹脂層用塗布液 スチレン−アクリル共重合体樹脂エマルジョン 50部 (ポリゾールAT2011 昭和高分子社製) 水 25部 イソプロピルアルコール 25部
【0047】〔実施例2〕実施例1において、透明性樹
脂層と熱接着性樹脂層の間に、下記組成の紫外線遮断層
をグラビアコート方式で乾燥時の塗布量が1.5g/m
2 になるように設けた他は実施例1と同様に加工して保
護層転写フィルムを得た。紫外線遮断層形成用塗布液 反応性紫外線吸収剤を反応結合した共重合樹脂 (UVA−635L・BASFジャパン製) 30部 トルエン/メチルエチルケトン(1/1) 70部
【0048】〔実施例3〕実施例1において、透明性樹
脂層塗布液を下記の電子線硬化型の組成とした以外は実
施例1と同様に加工して、実施例3の保護層転写フィル
ムを得た。透明性樹脂層用塗布液 ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート 7部 ポリメタクリル酸メチル 14部 蛍光増白剤(ユビテックスOB・チバガイギー社製) 0.1部 メチルエチルケトン/トルエン(1/1) 80部
【0049】〔実施例4〕前述の昇華型熱転写フィルム
の製造工程に関して、3色の染料インキ層及び保護層を
イエロー、マゼンタ、シアン、保護層の順に面順次にポ
リエステルフィルムの流れ方向に、長さ15cmで繰り
返し印刷、乾燥して3色の昇華性染料による染料層及び
保護層を形成し、保護層一体型染料転写フィルムを作成
した。保護層の構成は基材フィルム上に設けられたウレ
タン系樹脂からなるプライマー層の上に下記の組成から
なる離型層を設け、更にその上に実施例1に記載の熱転
写性樹脂層を設けることによって形成した。離型層の塗
布量は乾燥時0.4g/m2 とした。離型層形成用塗布液 ポリビニルアルコール樹脂(ゴーセノールC−500 日本合成化学製) 3部 ポリウレタン樹脂(ハイドランAP−40 大日本インキ化学工業製) 2部 蛍光増白剤(ユビテックスCF チバガイギー社製) 0.1部 水 60部 エチルアルコール 30部
【0050】〔実施例5〕実施例4の構成において、離
型層上に設けた熱転写性樹脂層を実施例2の透明性樹脂
層、紫外線遮断層、熱接着性樹脂層から構成した以外は
実施例4と同様に加工して、実施例5の保護層を形成し
た。 〔実施例6〕実施例4の構成において、離型層上に設け
た熱転写性樹脂層を実施例3に記載の透明性樹脂層、熱
接着性樹脂層から構成した以外は、実施例4と同様に加
工して、実施例6の保護層を形成した。
【0051】〔実施例7〕実施例5の構成において、最
表面を構成する熱接着性樹脂層を下記に記載の塗布液を
用いて形成した以外は、実施例5と同様にして、実施例
7の保護層を形成した。熱接着性樹脂層用塗布液 スチレン−アクリル共重合体樹脂エマルジョン 50部 (ポリゾールAT2011 昭和高分子社製) 増粘剤(ポリゾールT−A 昭和高分子社製) 1部 蛍光増白剤(ユビテックスCF チバガイギー社製) 0.1部 ポリビニルアルコール 1部 水 25部 イソプロピルアルコール 25部
【0052】〔実施例8〕実施例1の構成において、最
表面層を構成する熱接着性樹脂層を下記に記載の塗布液
を用いて形成した以外は、実施例1と同様にして、実施
例8の保護層転写フィルムを得た。熱接着性樹脂層用塗布液 ポリビニルピロリドン樹脂 10部 (K−90 SIP社製) イソプロピルアルコール 90部
【0053】〔比較例1〕実施例1の構成において、熱
接着性樹脂層用塗布液を下記の組成とした他は、実施例
1と同様にして、比較例1の保護層を形成した。熱接着性樹脂層用塗布液 塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂 20部 (電化ビニル1000ALK 電気化学工業社製) メチルエチルケトン/トルエン(1/1) 40部
【0054】〔比較例2〕比較例1の構成において、熱
接着性樹脂層用塗布液を下記組成の塗布液とした以外は
比較例1と同様にして、比較例2の保護層を形成した。熱接着性樹脂層用塗布液 塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂 20部 (電化ビニル1000ALK 電気化学工業社製) 蛍光増白剤(ユビテックスOB・チバガイギー社製) 0.1部 メチルエチルケトン/トルエン(1/1) 40部
【0055】〔比較例3〕実施例2の構成において、熱
接着性樹脂層用塗布液を比較例2に記載の塗布液とした
以外は、実施例2と同様に加工して、比較例3の保護層
を形成した。
【0056】実施例3及び6に関しては、熱転写性樹脂
層を塗布、乾燥後、塗布面側から窒素ガス雰囲気中で1
75kVに加速された電子線を5Mrads照射して硬
化、架橋させた。次に、下記に示す熱転写受像シートの
受容層側及びカード基材上に、前述の昇華型熱転写フィ
ルム或いは保護層一体型染料転写フィルムの染料塗布面
を重ね合わせ、顔写真を色分解して得た電気信号に連結
したプリンターのサーマルヘッドを用いて熱エネルギー
を付与し、フルカラー画像を形成した。
【0057】(熱転写受像シートの作成)基材シートと
して合成紙(ユポFRG−150、厚さ150μm・王
子油化合成紙製)を用い、その一方の面に下記の組成の
染料受容層塗布液をバーコーターにより、乾燥時塗布量
が4g/m2 となるように塗布、乾燥して、染料受容層
を形成し、熱転写受像シートを作成した。また、カード
基材は、下記組成からなるものを使用した。染料受容層形成用塗布液 塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体 20部 (電化ビニル1000A 電気化学社製) エポキシ変性シリコーンオイル 1部 (X−22−3000T・信越化学社製) メチルエチルケトン/トルエン(1/1) 80部
【0058】カード基材の材料組成 ポリ塩化ビニルコンパウンド(重合度800) 100部 (安定剤等の添加剤を約10%含有) 白色顔料(酸化チタン) 10部 可塑剤(ジオクチルフタレート) 0.5部
【0059】上記の方法により得られたフルカラー画像
上に、実施例1〜8及び比較例1〜3の保護層転写フィ
ルムを重ね合わせ、フルカラー画像を形成したプリンタ
ーと同じプリンターを用いて、それぞれの熱転写性樹脂
層を転写し、保護層付フルカラー画像を形成した。
【0060】(転写画像の耐光性試験)上記で得られた
カラー画像に保護層の転写された各カード基材及び受像
シートを試料として、画像面の耐光性をキセノンフェー
ドメータ(アトラス社製 Ci−35A)で200kJ
/m2 及び300kJ/m2 照射し、照射前後の光学濃
度の変化を光学濃度計(マクベス社製 RD−918)
により測定し、下記式により光学濃度の残存率を算出し
た。 尚、耐光性試験の結果としては、上記残存率を下記の区
分の記号に換えて表1に示した。 ◎:90%以上の残存率 ○:残存率が80%以上90%未満 △:残存率が70%以上80%未満 ×:残存率が70%未満
【0061】
【表1】
【0062】
【発明の効果】本発明の如く、熱転写性樹脂層の最表面
に、水及び/又はアルコールに可溶な樹脂を主成分とす
るか、あるいは水及び/又はアルコールを分散媒とする
樹脂微粒子を主成分とする層を有する保護層転写フィル
ムを画像上に転写することで、画像の耐久性特に耐光性
を向上させることが可能となる。また特に昇華型熱転写
による画像に適用する場合には、該画像に保護層が形成
されると共に、転写時の熱によって画像を形成している
染料が再発色処理されるので画像が一層鮮明になるとい
う効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の保護層転写フィルムの一実施例を図解
的に説明する断面図。
【図2】本発明の保護層転写フィルムの一実施例を図解
的に説明する断面図。
【図3】本発明の保護層転写フィルムの一実施例を図解
的に説明する断面図。
【図4】本発明の保護層転写フィルムの一実施例を図解
的に説明する断面図。
【符号の説明】
1:基材フィルム 2:熱転写性樹脂層 3:離型層 4:透明性樹脂層 5:紫外線遮断層 6:最表面層(接着性樹脂層) 7:背面層

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】耐熱性基材フィルム上に、少なくとも1層
    以上の熱転写性樹脂層が積層された保護層転写フィルム
    において、該熱転写性樹脂層を構成する最表面層が、水
    及び/又はアルコールに可溶な樹脂を主成分とすること
    を特徴とする保護層転写フィルム。
  2. 【請求項2】耐熱性基材フィルム上に、少なくとも1層
    以上の熱転写性樹脂層が積層された保護層転写フィルム
    において、該熱転写性樹脂層を構成する最表面層が、水
    及び/又はアルコールを分散媒とする樹脂微粒子を主成
    分とすることを特徴とする保護層転写フィルム。
  3. 【請求項3】最表面層がスチレン・アクリル共重合体樹
    脂を主成分とする層からなることを特徴とする請求項2
    記載の保護層転写フィルム。
  4. 【請求項4】最表面層が熱接着性樹脂層であることを特
    徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の保護層転写フ
    ィルム。
  5. 【請求項5】熱転写性樹脂層を構成する少なくとも1つ
    の層が、電子線によって硬化された硬化性樹脂層である
    ことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の保護
    層転写フィルム。
  6. 【請求項6】熱転写性樹脂層を構成する少なくとも1つ
    の層が、紫外線を吸収する材料を含有していることを特
    徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の保護層転写フ
    ィルム。
  7. 【請求項7】熱転写性樹脂層が、基材フィルム側から順
    次、透明性樹脂層、紫外線遮断層、熱接着性樹脂層を積
    層したものであることを特徴とする請求項1〜6のいず
    れかに記載の保護層転写フィルム。
  8. 【請求項8】耐熱性基材フィルムと熱転写性樹脂層との
    間に、離型層を設けたことを特徴とする請求項1〜7の
    いずれかに記載の保護層転写フィルム。
  9. 【請求項9】前記熱転写性樹脂層と熱移行性色材層、熱
    溶融性着色材層の少なくとも1層が、同一の基材フィル
    ム上に隣接して形成されていることを特徴とする請求項
    1〜8のいずれかに記載の保護層転写フィルム。
  10. 【請求項10】着色材によって形成された画像を有する
    印画物の画像形成面の少なくとも一部に、請求項1〜9
    のいずれか記載の保護層転写フィルムの熱転写性樹脂層
    が積層されていることを特徴とする印画物。
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