JP2009202584A - 感熱転写による画像形成方法 - Google Patents

感熱転写による画像形成方法 Download PDF

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Abstract

【課題】環境条件の変動、すなわち高温高湿条件において、感熱転写シートと感熱転写受像シートの印画後の融着や不連続な剥離による印画面上の剥離跡を生じることなく、かつ低温低湿条件下で白抜け故障がなく、更に階調繋がりに優れた画像系形成方法を提供する。
【解決手段】基材の一方の面に熱転写可能な染料と樹脂を含む熱転写層を有し、他方の面に耐熱滑性層が形成されている感熱転写シートと、支持体上に少なくとも1層の断熱層と少なくとも1層の受容層をこの順に積層した感熱転写受像シートとを重ね合わせ、該感熱転写シートの該耐熱滑性層の側からサーマルヘッドによって熱を印加して該熱転写層中の染料を該感熱転写受像シートの受容層に転写して印画する画像形成方法であって、該熱転写層中にフッ素原子が置換した脂肪族基を側鎖に有する高分子化合物を含有し、該受容層中にガラス転移温度(Tg)20℃以上60℃以下のポリマーラテックスを含有する画像形成方法。
【選択図】 なし

Description

本発明は、感熱転写シートと感熱転写受像シートを用いた感熱転写による画像形成方法に関するものであり、更に詳しくは環境条件の変動、すなわち高温高湿条件及び低温低湿条件でも画像欠陥を生じない感熱転写による画像形成方法に関する。
従来、種々の熱転写記録方法が知られているが、中でも染料拡散転写記録方式は、銀塩写真の画質に最も近いカラーハードコピーが作製できるプロセスとして注目されている。しかも銀塩写真のように処理薬品を用いることなく、デジタルデータから直接可視像化できる、複製作りが簡単であるなどの利点を持っている。
このうち、昇華型熱転写記録方式では、染料を含有する感熱転写シート(以下、インクシートともいう。)と感熱転写受像シート(以下、受像シートともいう。)とを重ね合わせ、次いで、電気信号によって発熱が制御されるサーマルヘッド等によってインクシートを加熱することでインクシート中の染料を感熱転写受像シートに転写して画像情報の記録を行うものであり、シアン、マゼンタ、イエローの3色を重ねて記録することで色の濃淡に連続的な変化を有するカラー画像を転写記録することができる。
近年、プリンターを高速化すれば店頭でプリントを行う場合に待ち時間が短くなるというユーザーメリットがあることから、短時間でプリントを提供できる昇華型熱転写方式の高速プリンターが開発され市場へ次々と導入されている。
昇華型熱転写方式のプリンターが普及するに従い、プリンターには設置場所に依存することなく様々な環境条件でも良好な画質のプリントを提供することが求められている。すなわち、例えば温度23℃から27℃、湿度50%から70%のように空調されたオフィスや店舗内の標準的な環境条件下だけでなく、夏季の高温高湿条件下(例えば、温度35℃、湿度80%)や冬季の低温低湿条件下(例えば、温度10℃、湿度20%)でも画質が良好で画像欠損のないプリント品質を提供することがユーザーニーズを満たすために必要である。
感熱転写による画像形成方法では、感熱転写シートと感熱転写受像シートの2つの材料が用いられる。そのうち感熱転写受像シートに関して、近年受容層に樹脂の水分散物であるラテックスを用いる方法が提案されている(特許文献1〜3参照)が、感熱転写受像シートは適当な感度を有し白抜け故障(ベタ画像中の白点故障)のない良好なプリント性能を与えることが開示されている。
しかしながら、これらの感熱転写受像シートは標準的な条件(例えば温度25℃、湿度60%)では良好な画質を与えるが、低温低湿条件(例えば温度10℃、湿度20%)では印画後の白いスポット状画像故障(以下、白抜け故障)に対して必ずしも耐性が充分ではなく、また、高温高湿条件(例えば温度35℃、湿度80%)では、印画後に感熱転写シートとが融着するあるいは感熱転写シートと感熱転写受像シートが連続的に剥離せず剥離線が残るという別の画像故障の問題を生じる。
一方、感熱転写シートと感熱受像転写シートとの融着に起因する画像故障を改良する方法として、ガラス転移温度の低い(50℃未満)樹脂特性を持ったポリマーラテックスとガラス転移温度の高い(50℃以上)樹脂特性を持ったポリマーラテックスを同時に受容層へ含有させる方法が提案(特許文献4参照)されているが、この方法では高温高湿条件下で発生する印画時の画像故障を十分改良するには至らず、しかも近年市場に導入されている高速プリンターで印画した場合に画像故障の程度が著しく増大する。
また、感熱転写シートと感熱受像転写シートとの融着防止に対して、特定のシリコン化合物により感熱受像転写シートとの融着を防止する感熱転写シートが提案(特許文献5参照)されているが、ポリマーラテックスを用いた感熱転写受像シートへの適性には言及されておらず、また環境変動に対する印画品質の安定性は考慮されていない。
従来のこれらの感熱転写材料(感熱転写受像シート、感熱転写シート)は連続的な温度変化を加えたときに転写した色素の階調はハイライト部分(低温部に相当)で意図するよりも多くの色素が転写することでハイライト部の濃度変動が大きく、色飛びが生じたり、ウエディングドレス等の白地が暗くなってしまう問題点があった。この問題を解決するためにプリント時にLUTによる階調調節を行うことも知られている、これだけでは不十分であり階調繋がりの良い熱転写材料が望まれていた。
特開平8−2123号公報 特開2006−88691号公報 特開2006−264092号公報 特開2007−237643号公報 特開平4−113889号公報
本発明の目的は、環境条件の変動、すなわち高温高湿条件において、感熱転写シートと感熱転写受像シートの印画後の融着や不連続な剥離による印画面上の剥離跡を生じることなく、かつ低温低湿条件下で白抜け故障がなく、更に階調繋がりに優れた高画質の画像形成方法を提供することである。
本発明者等は鋭意検討した結果、上記課題は下記の手段により達成された。
(1)基材の一方の面に熱転写可能な染料と樹脂を含む熱転写層を有し、他方の面に耐熱滑性層が形成されている感熱転写シートと、支持体上に少なくとも1層の断熱層と少なくとも1層の受容層をこの順に積層した感熱転写受像シートとを重ね合わせ、該感熱転写シートの該耐熱滑性層の側からサーマルヘッドによって熱を印加して該熱転写層中の染料を該感熱転写受像シートの受容層に転写して印画する画像形成方法であって、該熱転写層中にフッ素原子が置換した脂肪族基を側鎖に有する高分子化合物を含有し、該受容層中にガラス転移温度(Tg)20℃以上60℃以下のポリマーラテックスを含有することを特徴とする画像形成方法。
(2)前記フッ素原子が置換した脂肪族基を側鎖に有する高分子化合物が、非イオン性であることを特徴とする(1)に記載の画像形成方法。
(3)前記フッ素原子が置換した脂肪族基を側鎖に有する高分子化合物が、水溶性であることを特徴とする(1)または(2)に記載の画像形成方法。
(4)前記断熱層中に中空ポリマーを含有することを特徴とする(1)〜(3)のいずれか1項に記載の画像形成方法。
(5)前記受容層中にフッ素原子が置換した脂肪族基を側鎖に有する高分子化合物を含有することを特徴とする(1)〜(4)のいずれか1項に記載の画像形成方法。
(6)前記受容層中に含有するフッ素原子が置換した脂肪族基を側鎖に有する高分子化合物が、非イオン性であることを特徴とする(5)に記載の画像形成方法。
(7)前記受容層中に含有するフッ素原子が置換した脂肪族基を側鎖に有する高分子化合物が、水溶性であることを特徴とする(5)または(6)に記載の画像形成方法。
(8)前記受容層中に水溶性ポリマーを含有することを特徴とする(1)〜(7)のいずれか1項に記載の画像形成方法。
本発明により、環境条件の変動、すなわち高温高湿条件において、感熱転写シートと感熱転写受像シートの印画後の融着や不連続な剥離による印画面上の剥離跡を生じることなく、かつ低温低湿条件下で白抜け故障がなく、更に階調繋がりに優れた高画質の画像形成方法を提供することができる。
以下に本発明の画像形成方法を詳細に説明する。
最初に、本発明で使用する感熱転写シートを詳細に説明する。
本発明で使用する感熱転写シートは、基材上に拡散転写染料を含む熱転写層(感熱転写層または染料層とも称す)を設けたものであり、熱転写された画像の上に透明樹脂からなる保護層を熱転写で形成し、画像を覆い保護するための転写性保護層積層体が同一基材上に形成される形態が好ましい。
本発明において、感熱転写シートは、イエロー、マゼンタ、シアンの各色の熱転写層及び必要に応じてブラックの熱転写層が同一の基材上に面順次で繰り返し塗り分けられていることが好ましい。一例として、イエロー、マゼンタ及びシアンの各色相の染料層が同一の基材の長軸方向に、感熱転写受像シートの記録面の面積に対応して面順次に塗り分けられた構成を挙げることができる。この3層に加えて、ブラックの熱転写層が設置されても良い。またプリンターの読み取りが可能な各色の開始点を示す目印が設置されていることが好ましい。
本発明の画像形成方法に用いることができる感熱転写シートは熱転写層にフッ素原子が置換した脂肪族基を側鎖に有する高分子化合物を含有する。フッ素原子が置換した脂肪族基を側鎖に有する高分子化合物は、テロメリゼーション法(テロマー法ともいわれる)もしくはオリゴメリゼーション法(オリゴマー法ともいわれる)により製造されたフッ素原子が置換した脂肪族化合物から導くことができる。フッ素原子が置換した脂肪族化合物は、例えば、特開2002−90991号公報に記載された方法等によって容易に合成することができる。
ここで、フッ素原子が置換した脂肪族基は、少なくとも1個のフッ素原子が置換した脂肪族基(直鎖、分岐または環状の脂肪族基)であり、好ましくは炭素原子数が1〜36の、アルキル基、アルケニル基またはシクロアルキニル基である。より好ましくは炭素原子数が1〜36(好ましくは1〜18、より好ましくは1〜12、さらに好ましくは1〜10、最も好ましくは4〜8)のアルキル基で、該脂肪族基はフッ素原子以外に置換基を有してもよい。該置換基としては、例えば、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基、フッ素原子以外のハロゲン原子、水酸基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アミノ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、ヘテロ環アミノ基、アシルアミノ基、スルホンアミノ基、カルバモイル基、スルファモイル基、シアノ基、ニトロ基、アシル基、スルホニル基、ウレイド基、ウレタン基等が挙げられる。
本発明においてフッ素原子が置換した脂肪族基として最も好ましくは、パーフルオロアルキル基である。
フッ素原子が置換した脂肪族基を側鎖に有する高分子化合物としては、フッ素原子が置換した脂肪族基を有するモノマーの重合体もしくは共重合体が好ましく、このようなモノマーとしては、アクリル酸誘導体(例えばアクリル酸類、アクリル酸エステル類、アクリル酸アミド類で、アクリル酸エステル類、アクリル酸アミド類が好ましく、アクリル酸エステル類がより好ましい)、メタクリル酸誘導体(例えばメタクリル酸類、メタクリル酸エステル類、メタクリル酸アミド類で、メタクリル酸エステル類、メタクリル酸アミド類が好ましく、メタクリル酸エステル類がより好ましい)のアシル部またはアルコールもしくはアミド部(窒素原子に置換する基)にフッ素原子が置換した脂肪族基が置換したモノマーやアクリロニトリル誘導体にフッ素原子が置換した脂肪族基が置換したモノマーで得られる高分子化合物が好ましい。
フッ素原子が置換した脂肪族基を側鎖に有する高分子化合物としては、フッ素原子が置換した脂肪族基を有するモノマーとの共重合体の場合、組み合わせるモノマーとしては、アクリレート類、メタアクリレート類、アクリロニトリル類、アクリルアミド類、メタクリルアミド類、オレフィン類、スチレン類等が挙げられ、なかでもアクリレート類、メタアクリレート類、アクリロニトリル類、アクリルアミド類、メタクリルアミド類が好ましく、より好ましくはアクリレート類、メタアクリレート類であり、これらの中でも、アルコール部もしくはアミド部の窒素原子に置換する基中にポリオキシアルキレン(例えば、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン)を有するものが好ましい。
本発明においては共重合体が好ましく、2元系でも3元系でもそれ以上であってもかまわない。
例えば、フッ素原子が置換した脂肪族基を有するモノマーと(ポリ(オキシアルキレン))アクリレート及び/又は(ポリ(オキシアルキレン))メタクリレートとの共重合体が好ましく、不規則に分布しているものでも、ブロック共重合していてもよい。また、ポリ(オキシアルキレン)基としては、ポリ(オキシエチレン)基、ポリ(オキシプロピレン)基、ポリ(オキシブチレン)基などが挙げられ、また、ポリ(オキシエチレンとオキシプロピレンとオキシエチレンとのブロック連結体)やポリ(オキシエチレンとオキシプロピレンとのブロック連結体)など同じ鎖長内に異なる鎖長のアルキレンを有するようなユニットでもよい。さらに、フッ素原子が置換した脂肪族基を有するモノマーと(ポリ(オキシアルキレン))アクリレート(又はメタクリレート)との共重合体は2元共重合体ばかりでなく、異なる2種以上のフッ素原子が置換した脂肪族基を有するモノマーや、異なる2種以上の(ポリ(オキシアルキレン))アクリレート(又はメタクリレート)などを同時に共重合した3元系以上の共重合体でもよい。
フッ素原子が置換した脂肪族基を側鎖に有する高分子化合物の質量平均分子量は、好ましくは5,000〜100,000であり、より好ましくは8,000〜50,000であり、さらに好ましくは10,000〜40,000である。
例えば、パーフルオロブチル基(−C)を有するアクリレート(又はメタクリレート)と(ポリ(オキシアルキレン))アクリレート(又はメタクリレート)との共重合体、パーフルオロブチル基を有するアクリレート(又はメタクリレート)と(ポリ(オキシエチレン))アクリレート(又はメタクリレート)と(ポリ(オキシプロピレン))アクリレート(又はメタクリレート)との共重合体、パーフルオロヘキシル基(−C13)を有するアクリレート(又はメタクリレート)と(ポリ(オキシアルキレン))アクリレート(又はメタクリレート)との共重合体、パーフルオロヘキシル基を有するアクリレート(又はメタクリレート)と(ポリ(オキシエチレン))アクリレート(又はメタクリレート)と(ポリ(オキシプロピレン))アクリレート(又はメタクリレート)との共重合体、パーフルオロオクチル基(−C17)を有するアクリレート(又はメタクリレート)と(ポリ(オキシアルキレン))アクリレート(又はメタクリレート)との共重合体、パーフルオロオクチル基を有するアクリレート(又はメタクリレート)と(ポリ(オキシエチレン))アクリレート(又はメタクリレート)と(ポリ(オキシプロピレン))アクリレート(又はメタクリレート)との共重合体などを挙げることができる。
また本発明のフッ素原子が置換した脂肪族基を側鎖に有する高分子化合物は、「パーフルオロアルキル含有オリゴマー」等の一般名称で商業的に入手可能であり、例えば下記の製品を使用することができる。
大日本インキ化学工業株式会社製メガファックF−470、メガファックF−471、メガファックF−472SF、メガファックF−474、メガファックF-475、メガファックF−477、メガファックF−478、メガファックF−479、メガファックF−480SF、メガファックF-472、メガファックF−483、メガファックF−484、メガファックF−486、メガファックF−487、メガファックF−489、メガファックF-172D、メガファックF−178K、メガファックF−178RM(いずれも製品名)、住友スリーエム株式会社製ノベックTM FC−4430、FC−4432(いずれも製品名)。
本発明のフッ素原子が置換した脂肪族基を側鎖に有する高分子化合物は非イオン性(水中で解離した基、例えば、スルホ基、カルボキシル基、を有しないもの)であることが好ましく、一定の水溶性を有することがさらに好ましい。ここで一定の水溶性とは高分子化合物が25℃において純水に対して1%以上の溶解度を有することである。具体的には、水酸基、上記のようなオキシアルキレン基を有する高分子化合物であり、例えば、大日本インキ化学工業株式会社製メガファックF−470、メガファックF−472SF、メガファックF−477、メガファックF−479、メガファックF−480SF、メガファックF−484、メガファックF−486(いずれも製品名)のように水への溶解性を示す化合物が好ましい。
本発明のフッ素原子が置換した脂肪族基を側鎖に有する高分子化合物が非イオン性で一定の水溶性を有することが好ましい理由は必ずしも明らかでないが次のように推定している。
フッ素原子が置換した脂肪族基を側鎖に有する非イオン性の高分子化合物は感熱転写層の染料やバインダーと適度な親和性を持ち、感熱転写シートの保存時に安定に該層中に存在するため、色素のブリードアウトを促進するなどの弊害を起こしにくい。一方、該高分子化合物はその水溶性によりラテックスを用いた感熱転写受像シートの受容層とも適度な親和性をもつため、高温高湿条件下の印画時において熱転写シートと熱転写受像シートの接触面に滲み出して離型性に有効に働くものと推定している。
特に、本発明のフッ素原子が置換した脂肪族基を側鎖に有する高分子化合物は、感熱転写層における粘弾性の温度変化等の影響することに起因し、これまでの感熱転写材料は連続的な温度変化を加えたときに転写した色素の階調はハイライト部分(低温部に相当)で意図するよりも多くの色素が転写することでハイライト部の濃度変動が大きく、色飛びが生じたり、ウエディングドレス等の白地が暗くなってしまう問題点を解決しているものと推定される。
フッ素原子が置換した脂肪族基を側鎖に有する高分子化合物は、イエロー、マゼンタ、シアン、必要に応じてブラックのどの熱転写層に含有させてもよく、1つの熱転写層に含有させても複数の熱転写層に含有させてもよい。イエロー、マゼンタ、シアンの各熱転写層に含有させことが好ましい。
また、フッ素原子が置換した脂肪族基を側鎖に有する高分子化合物添加量は染料とバインダーの種類や量に応じて適当に決めることができ、熱転写層の全固形分(質量)に対して、好ましくは0.01%〜20%であり、より好ましくは、0.1%〜10%であり、さらに好ましくは0.2%〜5%である。
本発明において、熱転写層は、通常昇華性染料とバインダーを含有する。さらに、必要に応じて、ワックス類、シリコーン樹脂、ポリマー粒子、無機粒子を含有することができる。
各々の染料は、感熱転写層中にそれぞれ20〜80質量%含有されることが好ましく、30〜70質量%含有されることがより好ましい。
染料層の塗布は、ロールコート、バーコート、グラビアコート、グラビアリバースコート等の一般的な方法で行われる。また染料層の塗布量は、0.1〜2.0g/m(固形分換算、以下本発明における塗布量は特に断りのない限り、固形分換算の数値である)が好ましく、更に好ましくは0.2〜1.2g/mである。染料層の膜厚は0.1〜2.0μmであることが好ましく、更に好ましくは0.2〜1.2μmである。
本発明に用いられる染料は、熱により拡散し、感熱転写シートに組み込み可能かつ、加熱により感熱転写シートから受像シートに転写するものであれば特に限定されず、熱転写シート用の染料として従来から用いられてきている染料、あるいは公知の染料を用いることができる。
好ましい染料としては、たとえば、ジアリールメタン系、トリアリールメタン系、チアゾール系、メロシアニン等のメチン系、インドアニリン、アセトフェノンアゾメチン、ピラゾロアゾメチン、イミダゾルアゾメチン、イミダゾアゾメチン、ピリドンアゾメチンに代表されるアゾメチン系、キサンテン系、オキサジン系、ジシアノスチレン、トリシアノスチレンに代表されるシアノメチレン系、チアジン系、アジン系、アクリジン系、ベンゼンアゾ系、ピリドンアゾ、チオフェンアゾ、イソチアゾールアゾ、ピロールアゾ、ピラールアゾ、イミダゾールアゾ、チアジアゾールアゾ、トリアゾールアゾ、ビスアゾ等のアゾ系、スピロピラン系、インドリノスピロピラン系、フルオラン系、ローダミンラクタム系、ナフトキノン系、アントラキノン系、キノフタロン系等が挙げられる。
具体例を挙げると、イエロー染料としては、ディスパースイエロー231、ディスパースイエロー201、ソルベントイエロー93等が、マゼンタ染料としては、ディスパースバイオレット26、ディスパースレッド60、ソルベントレッド19等が、さらに、シアン染料としては、ソルベントブルー63、ソルベントブルー36、ディスパースブルー354、ディスパースブルー35等が挙げられるがこれらに限定されない。また、上記の各色相の染料を任意に組み合わせることも可能である。
熱転写層は単層構成であっても複層構成であってもよく、複層構成の場合、熱転写層を構成する各層の組成は同一であっても異なっていてもよい。
バインダーとしては、各種のものが公知であり、本発明ではこれらを使用することができる。例としては、ポリアクリロニトリル、ポリアクリル酸エステル、ポリアクリルアミド等のアクリル系樹脂、ポリビニルアセトアセタール、ポリビニルブチラールなどのポリビニルアセタール系樹脂、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、エチルヒドロキシセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、酢酸セルロース、酢酪酸セルロース、酢酸プロピオン酸セルロース、硝酸セルロース等のセルロース系樹脂及び変性セルロース系樹脂や、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、フェノキシ樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、各種エストラマー等が挙げられ、上記からなる群から選ばれる少なくとも1種類の樹脂により染料層は構成される。
これらを単独で用いる他、これらを混合、または共重合して用いることも可能であり、各種架橋剤によって架橋することも可能である。
本発明におけるバインダーとしては、セルロース系樹脂およびポリビニルアセタール系樹脂が好ましく、より好ましくはポリビニルアセタール系樹脂である。中でもポリビニルアセトアセタール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂が本発明において好ましく用いられる。
本発明において、感熱転写シートに転写性保護層積層体を面順次で設けるのが好ましい。転写性保護層積層体は、熱転写された画像の上に透明樹脂からなる保護層を熱転写で形成し、画像を覆い保護するためのものであり、耐擦過性、耐光性、耐候性等の耐久性向上を目的とする。転写された染料が受像シート表面に曝されたままでは、耐光性、耐擦過性、耐薬品性等の画像耐久性が不十分な場合に有効である。
転写性保護層積層体は、基材上に、基材側から離型層、保護層、接着剤層の順に形成することができる。保護層を複数の層で形成することも可能である。保護層が他の層の機能を兼ね備えている場合には、離型層、接着剤層を省くことも可能である。基材としては、易接着層の設けられたものを用いることも可能である。
本発明の転写性保護層を形成する樹脂としては、耐擦過性、耐薬品性、透明性、硬度に優れた樹脂が好ましく、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリルウレタン樹脂、これら各樹脂のシリコーン変性樹脂、紫外線遮断性樹脂、これら各樹脂の混合物、電離放射線硬化性樹脂、紫外線硬化性樹脂等を用いることができる。なかでも、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂が好ましい。また、各種架橋剤によって架橋することも可能である。
本発明において、感熱転写シートは、基材に染料層を塗設した面の他方の面(裏面)、すなわちサーマルヘッド等に接する側に背面層を設けることが好ましい。また、保護層転写シートの場合にも、転写性保護層を塗設した基材面の他方の面(裏面)、すなわちサーマルヘッド等に接する側に背面層を設けることが好ましい。
感熱転写シートの基材の裏面とサーマルヘッド等の加熱デバイスとが直接接触した状態で加熱されると、熱融着が起こりやすい。また、両者の間の摩擦が大きく、感熱転写シートを印画時に滑らかに搬送することが難しい。
背面層は、感熱転写シートがサーマルヘッドからの熱エネルギーに耐え得るように設けられるものであって、熱融着を防止し、滑らかな走行を可能にする。近年、プリンターの高速化に伴いサーマルヘッドの熱エネルギーが増加しているため、必要性は大きくなっている。
背面層は、バインダーに滑剤、離型剤、界面活性剤、無機粒子、有機粒子、顔料等を添加したものを塗布することによって形成される。また、背面層と基材との間に中間層を設けてもよく、無機微粒子と水溶性樹脂またはエマルジョン化可能な親水性樹脂からなる層が開示されている。
次に本発明の画像形成方法に用いることができる感熱転写受像シートについて説明する。
該感熱転写受像シートは、染料を受容する熱可塑性の受容ポリマーを含有する少なくとも1層の受容層を支持体上に有する。受容層には、紫外線吸収剤、離型剤、滑剤、酸化防止剤、防腐剤、界面活性剤、その他の添加物を含有させることができる。支持体と受容層との間に、例えば断熱層(多孔質層)、光沢制御層、白地調整層、帯電調節層、接着層、プライマー層などの中間層が形成されていてもよい。支持体と受容層との間に少なくとも1層の断熱層を有することが好ましい。
受容層およびこれらの中間層は同時重層塗布により形成されることが好ましく、中間層は、必要に応じて複数設けることができる。
支持体の裏面側にはカール調整層、筆記層、帯電調整層が形成されていてもよい。支持体裏面各層を塗布するためには、ロールコート、バーコート、グラビアコート、グラビアリバースコート等の一般的な方法を用いることができる。
本発明において、感熱転写受像シートは、受容層にガラス転移温度(Tg)20℃以上60℃以下のポリマーラテックスを含有する。ポリマーラテックスのガラス転移点は、好ましくは25℃以上55℃以下、より好ましくは25℃以上50℃以下である。
なお、本発明においては、色素染着可能なポリマーラテックスを使用することが好ましく、またポリマーラテックスとしては複数のポリマーラテックスを使用してもよく、この場合、少なくとも1種のホリマーラテックスが上記ガラス転移温度(Tg)であることが必要であるが、含有する全てのホリマーラテックスが上記ガラス転移温度(Tg)であることが最も好ましい。
ポリマーラテックスとは一般に熱可塑性樹脂が微粒子として水溶性の分散媒中に分散されたものである。本発明のポリマーラテックスに用いられる熱可塑性樹脂の例としては、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリアクリレート、塩化ビニル共重合体、ポリウレタン、スチレン−アクリロニトリル共重合体、ポリカプロラクトン等が挙げられる。
このうちポリカーボネート、ポリエステル、塩化ビニル共重合体が好ましく、ポリエステル、塩化ビニル共重合体、が特に好ましい。
ポリエステルはジカルボン酸誘導体とジオール化合物との縮合により得られ、芳香環や飽和炭素環を含有してもよく、分散性を付与するための水溶性基してもよい。
塩化ビニル共重合体としては、塩化ビニルと酢酸ビニル共重合体、塩化ビニルとアクリルレートの共重合体、塩化ビニルとメタクリレートの共重合体、塩化ビニルと酢酸ビニルとアクリレートの共重合体、塩化ビニルとアクリレートとエチレンの共重合体等が挙げられる。このように2元共重合体でも3元以上の共重合体でもよく、モノマーが不規則に分布していても、ブロック共重合していてもよい。
該共重合体にはビニルアルコール誘導体やマレイン酸誘導体、ビニルエーテル誘導体などの補助的なモノマー成分を添加してもよい。共重合体において塩化ビニル成分は50質量%以上含有されていることが好ましく、またマレイン酸誘導体、ビニルエーテル誘導体等の補助的なモノマー成分は10質量%以下であることが好ましい。
ポリマーラテックスは単独でも混合物として使用してもよい。ポリマーラテックスは、均一構造であってもコア/シェル型であってもよく、このときコアとシェルをそれぞれ形成する樹脂のガラス転移温度が異なっても良い。
商業的に入手可能なアクリレートラテックスとしては、日本ゼオン株式会社製、NipolLX814(Tg25℃)、NipolLX852X2(Tg43℃)等(いずれも商品名)が挙げられる。
商業的に入手可能なポリエステルラテックスとしては、東洋紡株式会社製 バイロナールMD−1100(Tg40℃)、バイロナールMD−1400(Tg20℃)、バイロナールMD−1480(Tg20℃)、MD−1985(Tg20℃)等(いずれも製品名)が挙げられる。
商業的に入手可能な塩化ビニル共重合体としては、日信化学工業株式会社製ビニブラン276(Tg33℃)、ビニブラン609(Tg46℃)、住化ケムテックス株式会社製スミエリート1320(Tg30℃)、スミエリート1210(Tg20℃)等(いずれも商品名)が挙げられる。
ポリマーラテックスの添加量は、ポリマーラテックスの固形分が受容層中の全ポリマーの50〜98質量%であることが好ましく、70〜95質量%であることがより好ましい。またポリマーラテックスの平均粒子サイズは、好ましくは1〜50000nmであり、より好ましくは5〜1000nmである。
本発明において、断熱層には中空ポリマーを含有することが好ましい。
本発明における中空ポリマーとは粒子内部に空隙を有するポリマー粒子であり、好ましくは水分散物であり、例えば、1)ポリスチレン、アクリル樹脂、スチレン−アクリル樹脂等により形成された隔壁内部に水などの分散媒が入っており、塗布乾燥後、粒子内の水が粒子外に蒸発して粒子内部が中空となる非発泡型の中空ポリマー粒子、2)ブタン、ペンタンなどの低沸点液体を、ポリ塩化ビニリデン、ポリアクリロニトリル、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸エステルのいずれか又はそれらの混合物もしくは重合物よりなる樹脂で覆っており、塗工後、加熱により粒子内部の低沸点液体が膨張することにより内部が中空となる発泡型マイクロバルーン、3)上記の2)をあらかじめ加熱発泡させて中空ポリマーとしたマイクロバルーンなどが挙げられる。
これらの中でも、上記1)の非発泡型の中空ポリマー粒子が好ましく、必要に応じて2種以上混合して使用することができる。具体例としてはロームアンドハース社製 ローペイク HP−1055、JSR社製 SX866(B)、日本ゼオン社製 Nipol MH5055 (いずれも商品名)などが挙げられる。
これらの中空ポリマーの平均粒子径は0.1〜5.0μmであることが好ましく、0.2〜3.0μmであることがさらに好ましく、0.4〜1.4μmであることが特に好ましい。
また、中空ポリマーは、空隙率が20〜70%のものが好ましく、30〜60%のものがより好ましい。
本発明において、中空ポリマー粒子のサイズは、透過型電子顕微鏡を用いて、その外径の円相当換算直径を測定し算出する。平均粒径は、中空ポリマー粒子を少なくとも300個透過電子顕微鏡を用いて観察し、その外形の円相当径を算出し、平均して求める。また中空ポリマーの空隙率とは、粒子体積に対する空隙部分の体積の割合から求める。
本発明の感熱転写受像シートに用いる中空ポリマーの樹脂特性として、ガラス転移温度(Tg)が70℃以上200℃以下であることが好ましく、90℃以上180℃以下である中空ポリマーがさらに好ましい。中空ポリマーとしては、中空ポリマーラッテックスが特に好ましい。
本発明の画像形成方法に用いることができる感熱転写受像シートにおいて、受容層及び/または断熱層は水溶性ポリマーを含有させることができる。ここで水溶性ポリマーとは、20℃において水100gに対し0.05g以上の溶解度を有し、より好ましくは0.1g以上、さらに好ましくは0.5g以上の溶解度を有する。
本発明の感熱転写受像シートに用いることのできる水溶性ポリマーとして、カラギナン類、ペクチン、デキストリン、ゼラチン、カゼイン、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルピロリドン、ポリビニルピロリドン共重合体、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、水溶性ポリエステル等を挙げることができる。このうちゼラチンとポリビニルアルコールが好ましい。
本発明においてゼラチンは分子量10,000から1,000,000までのものを用いることができる。本発明に用いられるゼラチンはCl、SO 2-等の陰イオンを含んでいてもよいし、Fe2+、Ca2+、Mg2+、Sn2+、Zn2+などの陽イオンを含んでいても良い。ゼラチンは水に溶かして添加することが好ましい。
またゼラチンにはアルデヒド型架橋剤、N−メチロール型架橋剤、ビニルスルホン型架橋剤、クロロトリアジン型架橋剤等の公知の架橋剤を添加することができる。このうちビニルスルホン型架橋剤、クロロトリアジン型架橋剤が好ましく、具体的例としては、ビスビニルスルホニルメチルエーテル、N,N’−エチレン−ビス(ビニルスルホニルアセタミド)エタン、4,6−ジクロロ−2−ヒドロキシ−1,3,5−トリアジンまたはそのナトリウム塩を挙げることができる。
ポリビニルアルコールとしては、完全けん化物、部分けん化物、変性ポリビニルアルコール等の各種ポリビニルアルコールを用いることができる。これらポリビニルアルコールについては、長野浩一ら共著,「ポバール」(高分子刊行会発行)に記載のものが用いられる。ポリビニルアルコールは、その水溶液に添加する微量の溶剤あるいは無機塩類によって粘度調整をしたり粘度安定化させたりすることが可能であって、詳しくは上記文献144〜154頁記載のものを使用することができる。その代表例としてホウ酸を含有させることで塗布面質を向上させることができ、好ましい。ホウ酸の添加量は、ポリビニルアルコールに対し0.01〜40質量%であることが好ましい。
ポリビニルアルコールの具体例として、完全けん化物としてはPVA−105、PVA−110、PVA−117、PVA−117Hなど、部分けん化物としてはPVA−203、PVA−205、PVA−210、PVA−220など、変性ポリビニルアルコールとしてはC−118、HL−12E、KL−118、MP−203が挙げられる。(いずれも商品名、株式会社クラレ製)
本発明において感熱転写受像シートの受容層は、前述のフッ素原子が置換した脂肪族基を側鎖に有する高分子化合物を含有させることができる。この場合、感熱転写シートが含有するフッ素原子が置換した脂肪族基を側鎖に有する高分子化合物と同一の高分子化合物を含有しても同じ範疇の異なる高分子化合物を含有してもよく、本発明において好ましい態様である。また、離型剤として公知のポリエチレンワックス、アミドワックス等の固形ワックス類、シリコーンオイル、リン酸エステル系化合物、フッ素系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤を含有してもよい。
フッ素原子が置換した脂肪族基を側鎖に有する高分子化合物の含有量は、受容層の全固形分(質量)に対して0.01%〜20%であり、好ましくは0.1%〜10%であり、さらに好ましくは1%〜5%である。
本発明の画像形成方法では、感熱転写受像シートの受容層と感熱転写シートの熱転写層とが接するように重ね合わせて、サーマルヘッドからの画像信号に応じた熱エネルギーを付与することにより画像を形成する。
具体的な画像形成は、例えば特開2005−88545号公報などに記載された方法と同様にして行うことができる。本発明では、消費者にプリント物を提供するまでの時間を短縮するという観点から、プリント時間は15秒未満が好ましく、3〜12秒がより好ましく、さらに好ましくは、3〜7秒である。
上記プリント時間を満たすために、プリント時のライン速度は0.73msec/line以下であることが好ましく、更に好ましくは0.65msec/line以下である。また、高速化条件における転写効率向上の観点から、プリント時のサーマルヘッド最高到達温度は、180℃以上450℃以下が好ましく、更に好ましくは200℃以上450℃以下である。更には350℃以上450℃以下が好ましい。
本発明は、感熱転写記録方式を利用したプリンター、複写機などに利用することができる。熱転写時の熱エネルギーの付与手段は、従来公知の付与手段のいずれも使用することができ、例えば、サーマルプリンター(例えば、日立製作所製、商品名、ビデオプリンターVY−100)等の記録装置によって記録時間をコントロールすることにより、5〜100mJ/mm程度の熱エネルギーを付与することによって所期の目的を十分に達成することができる。また、本発明の感熱転写受像シートは、支持体を適宜選択することにより、熱転写記録可能な枚葉またはロール状の感熱転写受像シート、カード類、透過型原稿作成用シート等の各種用途に適用することもできる。
以下、本発明を実施例に基づき更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されない。なお、実施例中で、部または%とあるのは、特に断りのない限り質量基準である。
(感熱転写シートの作製)
次のように試料101〜108を作成した。
基材として片面に易接着処理がされている厚さ6.0μmのポリエステルフィルム(ダイアホイルK200E−6F、商品名、三菱化学ポリエステルフィルム(株)製)の易接着処理がされていない面に、乾燥後の固形分塗布量が1g/m2となるように背面層塗工液を塗布した。乾燥後、60℃で熱処理を行い硬化させた。
このようにして作製したポリエステルフィルムの易接着層塗布側に後述の塗工液により、イエロー、マゼンタ、シアンの各染料層および転写性保護層積層体を面順次となるように塗布した感熱転写シートを作製した。各染料層の固形分塗布量は、0.8g/m2とした。
なお、転写性保護層積層体の形成は、離型層用塗工液を塗布し、乾燥した後に、その上に保護層用塗工液を塗布し、乾燥した後に、さらにその上に接着層塗工液を塗布した。
背面層塗工液
アクリル系ポリオール樹脂
(アクリディックA−801、商品名、大日本インキ化学工業(株)製)
28.0質量部
ステアリン酸亜鉛(SZ−2000、商品名、堺化学工業(株)製) 0.45質量部
リン酸エステル(プライサーフA217、商品名、第一工業製薬(株)製)
1.27質量部
ポリイソシアネート
(バーノックD−800、商品名、大日本インキ化学工業(株)製) 8.5質量部
メチルエチルケトン/トルエン(質量比2/1) 70質量部
イエロー染料層塗工液
染料(Y−1) 4.2質量部
染料(Y−2) 3.7質量部
ポリビニルアセタール樹脂
(デンカブチラール#6000−AS、商品名、電気化学工業(株)製)
6.0質量部
ポリビニルアセタール樹脂
(デンカブチラール#6000−CS、商品名、電気化学工業(株)製)
2.5質量部
フッ素原子が置換した脂肪族基を側鎖に有する高分子化合物または対照化合物
0.1質量部
(下記表1参照)
マット剤(フローセンUF、商品名、住友精工(株)製) 0.12質量部
メチルエチルケトン/トルエン(質量比2/1) 85質量部
Figure 2009202584
マゼンタ染料層塗工液
染料(M−1) 0.5質量部
染料(M−2) 0.5質量部
染料(M−3) 6.0質量部
ポリビニルアセタール樹脂
(デンカブチラール#6000−AS、商品名、電気化学工業(株)製)
7.0質量部
ポリビニルアセタール樹脂
(デンカブチラール#6000−CS、商品名、電気化学工業(株)製)
1.5質量部
フッ素原子が置換した脂肪族基を側鎖に有する高分子化合物または対照化合物
0.1質量部
(下記表1参照)
マット剤(フローセンUF、商品名、住友精工(株)製) 0.12質量部
メチルエチルケトン/トルエン(質量比2/1) 85質量部
Figure 2009202584
シアン染料層塗工液
染料(C−1) 1.0質量部
染料(C−2) 7.0質量部
ポリビニルアセタール樹脂
(デンカブチラール#6000−AS、商品名、電気化学工業(株)製)
7.5質量部
ポリビニルアセタール樹脂
(デンカブチラール#6000−CS、商品名、電気化学工業(株)製)
1.0質量部
フッ素原子が置換した脂肪族基を側鎖に有する高分子化合物または対照化合物
0.1質量部
(下記表1参照)
マット剤(フローセンUF、商品名、住友精工(株)製) 0.12質量部
メチルエチルケトン/トルエン(質量比2/1) 85質量部
Figure 2009202584
転写性保護層積層体
染料層の作製に使用したものと同じポリエステルフィルムに、以下に示す組成の離型層、保護層および接着層用塗工液を塗布し、転写性保護層積層体を形成した。乾膜時の塗布量は離型層0.5g/m、保護層1.0g/m、接着層1.8g/mとした。
離型層塗工液
変性セルロース樹脂(L−30、商品名、ダイセル化学(株)製) 5.0質量部
メチルエチルケトン 95.0質量部
保護層塗工液
アクリル樹脂(ダイアナールBR−100、商品名、三菱レイヨン(株)製)
35質量部
イソプロパノール 75質量部
接着層塗工液
アクリル樹脂(ダイアナールBR−77、商品名、三菱レイヨン(株)製)
25質量部
紫外線吸収剤 UV−1 1.5質量部
紫外線吸収剤 UV−2 1.5質量部
紫外線吸収剤 UV−3 1.2質量部
紫外線吸収剤 UV−4 0.8質量部
シリコーン樹脂微粒子 0.06質量部
(トスパール120、商品名、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製)
メチルエチルケトン/トルエン(質量比2/1) 70質量部
Figure 2009202584
Figure 2009202584
(感熱転写受像シートの作製)
試料201から試料207を以下のように作成した。
ポリエチレンで両面ラミネートした紙支持体表面に、コロナ放電処理を施した後、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムを含むゼラチン下塗層を設けた。この上に、下記組成の下引き層、断熱層、受容層を支持体側からこの順に積層させた状態で、米国特許第2,761,791号明細書に記載の第9図に例示された方法により、同時重層塗布を行った。それぞれの乾燥時の塗布量が下引き層:6.5g/m、断熱層:9.0g/m、受容層:5.5g/mとなるように塗布を行った。また、下記の組成は、固形分としての質量部を表す。
受容層
ポリマーラテックス(表2) 25.0質量部
添加剤(表2) 1.0質量部
ゼラチン(10%水溶液) 3.0質量部
4,6−ジクロロ−2−ヒドロキシ−1,3,5−トリアジンのナトリウム塩
0.01質量部
界面活性剤F−2 0.36質量部
断熱層
中空ポリマーラテックス(MH5055、商品名、日本ゼオン(株)製)
65.0質量部
ゼラチン(10%水溶液) 30.0質量部
4,6−ジクロロ−2−ヒドロキシ−1,3,5−トリアジンのナトリウム塩
0.1質量部
下引き層
ポリビニルアルコール(ポバールPVA205、商品名、(株)クラレ製)
7.0質量部
スチレンブタジエンゴムラテックス(SN−307、商品名、日本エイ アンド エル(株)製)
60.0質量部
界面活性剤(F−1) 0.03質量部
Figure 2009202584
Figure 2009202584
また、下記の特許文献に記載された感熱転写受像シートも作成した。
試料208 特開2006−88691公報に記載の実施例の感熱転写受像シート5
受容ポリマー:バイロナールMD−1200
商品名、東洋紡(株)製(Tg67℃)
添加剤 :FC−4430、商品名、住友スリーエム(株)製
(評価)
画像形成方法の評価のためのプリンターには富士フイルム(株)製フジフイルムサーマルフォトプリンターASK−2000L(商品名)を用いた。前記感熱転写シート、前記感熱転写受像シート及び上記プリンターを下記の環境条件に24時間以上おいた後、同条件下で127mm×89mmサイズの画像を連続10枚出力して、出力画像上の剥離跡・融着または白抜けの有無を以下のランクで評価した。画像としては人物(屋内)、人物(野外)、人物(婚礼(ウエディングドレス着用))、風景、静物、黒ベタを各2枚用いて、10名の観察者の官能評価により評価ランクの平均値を求めた。
環境条件
A 高温高湿条件 温度35℃、湿度80%
B 低温低湿条件 温度10℃、湿度20%
C 標準温湿度条件 温度25℃、湿度55%
(1)高温高湿条件Aでの剥離跡・融着の評価ランク
5 剥離跡は目視で確認できない。
4 剥離跡は確認できるが画像を鑑賞する上で障害とない程度である。
3 画像の種類によっては剥離跡が画像を鑑賞する上の障害となる。
2 画像の種類によらず剥離跡が画像を鑑賞する上の障害となる。
1 感熱転写シートと感熱転写受像シートが融着する。
(2)低温低湿条件Bでの白抜け故障の評価ランク
5 白色スポットが確認できない。
4 白色スポットが確認できるが、画像の鑑賞上に障害とならない程度である。
3 画像の種類によっては白色スポットが鑑賞上の障害となる。
2 画像の種類によらず白色スポットが鑑賞上の障害となる。
1 白色スポットが甚だしく、画像濃度が全体に低下したように観察される。
(3)標準温湿度条件Cでのハイライト階調の評価ランク
5 階調繋がりが良くハイライト部の質感に優れている。
4 色飛びが確認できるが、画像の鑑賞上に障害とならない程度である。
3 ハイライト部の濃度によっては色飛びが鑑賞上の障害となる。
2 ハイライト部のかなりの濃度で色飛びが生じ鑑賞上の障害となる。
1 色飛びが甚だしく、白地の濃度が高いため白地が灰色と観察される。
(評価結果)
Figure 2009202584
上記表3より、本発明の感熱転写シートと感熱転写受像シートの組み合わせの画像形成方法は、剥離跡・融着が少ないことと、白抜け故障が少ないことの両立が達成されており、更に色飛びが無く階調繋がりが良く、比較例に対して優れていることが明らかである。

Claims (8)

  1. 基材の一方の面に熱転写可能な染料と樹脂を含む熱転写層を有し、他方の面に耐熱滑性層が形成されている感熱転写シートと、支持体上に少なくとも1層の断熱層と少なくとも1層の受容層をこの順に積層した感熱転写受像シートとを重ね合わせ、該感熱転写シートの該耐熱滑性層の側からサーマルヘッドによって熱を印加して該熱転写層中の染料を該感熱転写受像シートの受容層に転写して印画する画像形成方法であって、該熱転写層中にフッ素原子が置換した脂肪族基を側鎖に有する高分子化合物を含有し、該受容層中にガラス転移温度(Tg)20℃以上60℃以下のポリマーラテックスを含有することを特徴とする画像形成方法。
  2. 前記フッ素原子が置換した脂肪族基を側鎖に有する高分子化合物が、非イオン性であることを特徴とする請求項1に記載の画像形成方法。
  3. 前記フッ素原子が置換した脂肪族基を側鎖に有する高分子化合物が、水溶性であることを特徴とする請求項1または2に記載の画像形成方法。
  4. 前記断熱層中に中空ポリマーを含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の画像形成方法。
  5. 前記受容層中にフッ素原子が置換した脂肪族基を側鎖に有する高分子化合物を含有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の画像形成方法。
  6. 前記受容層中に含有するフッ素原子が置換した脂肪族基を側鎖に有する高分子化合物が、非イオン性であることを特徴とする請求項5に記載の画像形成方法。
  7. 前記受容層中に含有するフッ素原子が置換した脂肪族基を側鎖に有する高分子化合物が、水溶性であることを特徴とする請求項5または6に記載の画像形成方法。
  8. 前記受容層中に水溶性ポリマーを含有することを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の画像形成方法。
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