JP2010234538A - 感熱転写シートと感熱転写受像シートを用いた画像形成方法 - Google Patents

感熱転写シートと感熱転写受像シートを用いた画像形成方法 Download PDF

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Abstract

【課題】高湿環境下においても高い転写濃度が得られ、受像シート上に転写された転写性保護層積層体の均一性に優れた画像出力を可能とする画像形成方法の提供。
【解決手段】基材フィルム上に少なくとも1層の酸化チタン膜である下引き層を有し、該下引き層上の一部に染料層を有し、前記下引き層上の該染料層とは異なる部分に転写性保護層積層体を有する感熱転写シートと、支持体上に全重合モノマーの95モル%以上が塩化ビニルであるポリマーラテックスとポリエーテル変性シリコーンとを含有する少なくとも1層の受容層と、少なくとも1層の断熱層を有する感熱転写受像シートとを、該感熱転写シートの該染料層と該感熱転写受像シートの該受容層とが接するように重ね合わせ、加熱素子により画像記録し、さらに該加熱素子により前記転写性保護層積層体を前記受容層上に転写する画像形成方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、画像形成方法に関し、より具体的には感熱転写シートと感熱転写受像シートを用いた画像形成方法に関する。
従来、種々の熱転写記録方法が知られているが、中でも染料拡散転写記録方式は、銀塩写真の画質に最も近いカラーハードコピーが作製できるプロセスとして注目されている。しかも、銀塩写真に比べて、ドライであること、デジタルデータから直接可視像化できる、複製作りが簡単であるなどの利点を持っている。
この染料拡散転写記録方式では、染料(色素とも称す)を含有する感熱転写シート(以下、単にインクシートとも称す)と感熱転写受像シート(以下、単に受像シートとも称す)を重ね合わせ、次いで、電気信号によって発熱が制御されるサーマルヘッド等の加熱素子によって感熱転写シートを加熱することで感熱転写シート中の色素を感熱転写受像シートに転写して画像情報の記録を行うものであり、シアン、マゼンタ、イエローの3色あるいはこれにブラックを加えた4色を重ねて記録することで色の濃淡に連続的な変化を有するカラー画像を転写記録することができる。また、カラー画像を転写記録すると同時に、感熱転写シート上に設けた転写性保護層積層体(以下OP層とも称す)を感熱転写受像シート転写して、出力画像を保護することもできる。
近年、コンピューターによるデジタル画像処理技術の発達により、記録画像の画質が向上し、染料拡散転写記録方式はその市場を拡大しており、これに伴い、プリントシステムの設置環境が多様化している。
一方、特許文献1には受容層中に塩化ビニルから得られる繰り返し単位をある程度含む重合体と、ゼラチンと、反応性基を有するシリコーン化合物とが含有されており、該ゼラチンが特定の硬膜剤により硬膜された感熱転写受像シートが開示されている。
また特許文献2にはIVa族またはIVb族元素の酸化物である無機主鎖を持つポリマーからなる下引き層および染料層を有する感熱転写シートについて開示されている。
特開2008−6781号公報 特開昭63−135288号公報
本発明者らが従来技術に基づき検討を行なったところ、特許文献1に記載の発明を用いた場合に高湿環境下で画像出力した場合、転写濃度に不満が残るものであった。
また、染料層から染料を受像シートに転写した後に転写性保護層積層体を転写して完成する出力画像には、高湿環境下の画像出力時には画像光沢に不均一性が生じやすいという問題があった。
本発明の目的は、高湿環境下においても高い転写濃度が得られ、受像シート上に転写された転写性保護層積層体の均一性に優れた画像出力を可能とする感熱転写シートと感熱転写受像シートを用いた画像形成方法を提供することである。
本発明者らは鋭意検討を重ねた結果、下記手段で本発明の上記目的が達成できることを見出した。
[1] 基材フィルム上に少なくとも1層の酸化チタン膜である下引き層を有し、該下引き層上の一部に染料層を有し、前記下引き層上の該染料層とは異なる部分に転写性保護層積層体を有する感熱転写シートと、支持体上に全重合モノマーの95モル%以上が塩化ビニルであるポリマーラテックスとポリエーテル変性シリコーンとを含有する少なくとも1層の受容層と、少なくとも1層の断熱層を有する感熱転写受像シートとを、該感熱転写シートの該染料層と該感熱転写受像シートの該受容層とが接するように重ね合わせ、加熱素子により画像記録し、さらに該加熱素子により前記転写性保護層積層体を前記受容層上に転写する画像形成方法。
[2] 前記全重合モノマーの95モル%以上が塩化ビニルであるポリマーラテックスが、酢酸ビニル、アクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸およびメタクリル酸エステルから選択されるモノマーの共重合ポリマーラテックス、あるいは、塩化ビニルのホモポリマーラテックスであることを特徴とする[1]に記載の画像形成方法。
[3] 前記酸化チタン膜が、チタンアルコキシドまたはその加水分解物の重縮合反応生成物であることを特徴とする[1]または[2]に記載の画像形成方法。
本発明は、高湿環境下の画像出力においても、転写濃度が高く、さらに転写された転写性保護層積層体の光沢ムラ(OPムラとも呼ぶ)が極めて少ないという効果を奏する。
以下、本発明について詳細に説明する。なお、本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
本発明の画像形成方法は、基材フィルム上に少なくとも1層の酸化チタン膜である下引き層を有し、該下引き層上の一部に染料層を有し、前記下引き層上の該染料層とは異なる部分に転写性保護層積層体を有する感熱転写シートと、支持体上に全重合モノマーの95モル%以上が塩化ビニルであるポリマーラテックスとポリエーテル変性シリコーンとを含有する少なくとも1層の受容層と、少なくとも1層の断熱層を有する感熱転写受像シートとを、該感熱転写シートの該染料層と該感熱転写受像シートの該受容層とが接するように重ね合わせ、加熱素子により画像記録し、さらに該加熱素子により前記転写性保護層積層体を前記受容層上に転写することを特徴とする。以下、本発明の画像形成方法に用いられる感熱転写受像シートおよび感熱転写シートについて順に説明し、その後本発明の画像形成方法について説明する。
[感熱転写受像シート]
本発明に用いられる感熱転写受像シートは、支持体上に全重合モノマーの95モル%以上が塩化ビニルであるポリマーラテックスとポリエーテル変性シリコーンとを含有する少なくとも1層の受容層(染料受容層)と、少なくとも1層の断熱層(多孔質層)を有する。支持体と受容層との間に少なくとも1層の断熱層が含まれていることが好ましい。また、支持体と受容層との間に、例えば白地調整、帯電防止、接着性、レベリングなどの各種機能を付与した中間層が形成されていてもよい。また、転写シートと重ね合わせられる面の最外層には、離型層が形成されてもよい。
本発明においては、受容層と断熱層、および中間層の少なくとも1層は水系塗布で塗設される。各層の塗布は、ロールコート、バーコート、グラビアコート、グラビアリバースコート、ダイコート、スライドコート、カーテンコート等の一般的な方法で行われる。受容層、断熱層、および中間層は、各層それぞれ別々に塗布されてもよく、任意の層を組み合わせて同時重層塗布をしてもよい。本発明においては、少なくとも1層の受容層と少なくとも1層の断熱層とを同時重層塗布することが、本発明の効果を効果的に奏する。
前記受容層を塗設した面の他方の面には、カール調整層、筆記層、帯電調整層を設けてもよい。
<支持体>
本発明に用いられる前記感熱転写受像シートに用いる支持体は、従来公知の支持体を用いることができる。その中でも耐水性支持体が好ましく用いられる。耐水性支持体を用いることで支持体中に水分が吸収されるのを防止して、受容層の経時による性能変化を防止することができる。耐水性支持体としては例えばコート紙やラミネート紙、合成紙を用いることができる。なかでもラミネート紙が好ましい。
<受容層>
本発明に用いられる前記感熱転写受像シートの受容層は、支持体上に全重合モノマーの95モル%以上が塩化ビニルであるポリマーラテックスとポリエーテル変性シリコーンとを含有する受容層少なくとも1層有する。
(塩化ビニル系ポリマーラテックス)
前記受容層は、全重合モノマーの95モル%以上が塩化ビニルであるポリマーラテックスを含有する(以下、このように全重合モノマーの95モル%以上が塩化ビニルであるポリマーラテックスのことを塩化ビニル系ラテックスとも称す)。前記塩化ビニル系ポリマーラテックスは、感熱転写シートから転写される染料(色素)を受容する。
ここで、ポリマーラテックスとは、水不溶な疎水性ポリマーが微細な粒子として水溶性の分散媒中に分散したものである。本発明に用いられる前記塩化ビニル系ポリマーラテックスの分散状態としてはポリマーが分散媒中に乳化されているもの、乳化重合されたもの、ミセル分散されたもの、あるいはポリマー分子中に部分的に親水的な構造を持ち分子鎖自身が分子状分散したものなどいずれでもよい。
前記塩化ビニル系ポリマーラテックスの分散粒子の平均粒径は10〜1000nmであることが好ましく、より好ましくは30〜300nmである。
本発明に用いる塩化ビニル系ポリマーラテックスは、全重合モノマーの95モル%以上が塩化ビニルであり、97モル%以上が塩化ビニルであることが好ましく、99モル%以上が塩化ビニルであることがより好ましい。このように全重合モノマーの95モル%以上が塩化ビニルである塩化ビニル系ポリマーラテックスを用いることが、感熱転写シートと感熱転写受像シートの剥離性向上の観点から好ましい。
本発明に用いる前記塩化ビニル系ポリマーラテックスは、重合体を得るためのモノマーとして塩化ビニルを少なくとも使用していれば、他の塩化ビニル以外の共重合成分と共重合させたものでもよい。塩化ビニル以外の共重合成分としては酢酸ビニル、アクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸またはメタクリル酸エステルが好ましい。また、アクリル酸またはメタクリル酸のエステル部におけるアルコール部は脂肪族アルコールが好ましく、炭素数が1〜10が好ましく、1〜8がより好ましく、2〜6がさらに好ましく、4が最も好ましい。
本発明において、前記塩化ビニル系ポリマーラテックスが、酢酸ビニル、アクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸およびメタクリル酸エステルから選択されるモノマーの共重合ポリマーラテックス、あるいは、塩化ビニルのホモポリマーラテックスであることが、転写濃度を出来るだけ大きくするという観点から好ましい。
具体的な本発明に用いられる前記塩化ビニル系ポリマーラテックスとしては、塩化ビニルと酢酸ビニルの共重合体、塩化ビニルとアクリレートの共重合体、塩化ビニルとメタクリレートの共重合体、塩化ビニルと酢酸ビニルとアクリレートの共重合体、塩化ビニルとアクリレートとエチレンの共重合体等が挙げられるが、本発明はこれらの具体例によって限定されるものではない。このように2元共重合体でも3元以上の共重合体でもよく、モノマーが不規則に分布していても、ブロック共重合していてもよい。
また、前記塩化ビニル系ポリマーラテックスが共重合体である場合、これらの共重合体にはビニルアルコール誘導体やマレイン酸誘導体、ビニルエーテル誘導体などの補助的なモノマー成分を含んでいてもよい。
本発明に用いる塩化ビニル系ポリマーラテックスのガラス転移温度(以下、Tgとも言う)は、−30℃〜100℃が好ましく、0℃〜90℃がより好ましく、20℃〜90℃がさらに好ましく、40℃〜90℃が特に好ましい。
なお、このガラス転移温度(Tg)は実測できない場合、下記式で計算することができる。
1/Tg=Σ(Xi/Tgi)
ここでは、ポリマーはi=1からnまでのn個のモノマー成分が共重合しているとする。Xiはi番目のモノマーの質量分率(ΣXi=1)、Tgiはi番目のモノマーの単独重合体のガラス転移温度(絶対温度)である。ただしΣはi=1からnまでの和をとる。尚、各モノマーの単独重合体ガラス転移温度の値(Tgi)は「Polymer Handbook(3rd Edition)」(J.Brandrup,E.H.Immergut著(Wiley−Interscience、1989))の値を採用できる。
また、本発明に用いる塩化ビニル系ポリマーラテックスは、ポリマー固形分濃度がラテックス分散液に対して10〜70質量%であることが好ましく、20〜60質量%であることがより好ましい。受容層中の全ポリマーラテックスの固形分塗布量は、該受容層中の全固形分塗布量の50〜98質量%であることが好ましく、70〜95質量%であることがより好ましい。
また前記塩化ビニル系ポリマーラテックスは、均一構造であってもコア/シェル型であってもよく、このときコアとシェルをそれぞれ形成する樹脂のガラス転移温度が異なってもよい。
本発明に用いる塩化ビニル系ラテックスは公知の方法に準じて合成することができる。
また、塩化ビニルの添加量を変更することで塩化ビニル比率を変更した塩化ビニル系共重合ラテックスを合成することができ、塩化ビニルホモポリマーの場合は上記手順でブチルアクリレートを入れないことで合成することができる。
さらに他の塩化ビニル系共重合ラテックスも共重合するブチルアクリレートを他のモノマーに変更することで、上記手順に準拠して合成することができる。
(その他のポリマーラテックス)
本発明において、本発明で規定する塩化ビニル成分の比率の範囲内であれば、前記塩化ビニル系ポリマーラテックスを前記染料層中に単独で用いても、その他の化合物(例えば、塩化ビニル成分が本発明の範囲を外れる塩化ビニル含有ポリマーラテックスや、塩化ビニル成分を含有しないポリマーラテックス)との混合物として使用してもよい。以下、前記その他のポリマーラテックスについて説明する。
本発明に用いる塩化ビニル系ポリマーラテックスに加えて、その他のポリマーラテックスを混合することも可能である。前記その他のポリマーラテックスとしては、ポリエステルラテックス、塩化ビニル/アクリル化合物共重合体ラテックス、塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体ラテックス、塩化ビニル/酢酸ビニル/アクリル化合物共重合体ラテックス等の塩化ビニルを含有する共重合体ラテックスが挙げられ、これらのいずれか1つまたは任意の組み合わせが好ましい。
前記塩化ビニル系ポリマーラテックスと混合するのに好ましい、塩化ビニルを含有する共重合体ラテックスとしては、例えば、ビニブラン240、ビニブラン270、ビニブラン276、ビニブラン277、ビニブラン375、ビニブラン380、ビニブラン386、ビニブラン410、ビニブラン430、ビニブラン432、ビニブラン550、ビニブラン601、ビニブラン602、ビニブラン609、ビニブラン619、ビニブラン680、ビニブラン680S、ビニブラン681N、ビニブラン683、ビニブラン685R、ビニブラン690、ビニブラン860、ビニブラン863、ビニブラン685、ビニブラン867、ビニブラン900、ビニブラン938、ビニブラン950(以上いずれも日信化学工業(株)製)、SE1320、S−830(以上いずれも住友ケムテック(株)製)が挙げられ、これらは本発明において規定する塩化ビニル系ポリマーラテックスには含まれないものの、染料層において前記化ビニル系ポリマーラテックスと併用する際に好ましいポリマーラテックスである。
前記塩化ビニル系ポリマーラテックスと混合するのに好ましい、塩化ビニル系共重合ラテックス以外のポリマーラテックスとしては、ポリエステル系ポリマーラテックスを挙げることができ、例えば、バイロナール MD1200、バイロナール MD1220、バイロナール MD1245、バイロナール MD1250、バイロナール MD1500、バイロナール MD1930、バイロナール MD1985(以上いずれも東洋紡(株)製)が挙げられる。
これらのなかでも、塩化ビニル/アクリル化合物共重合体ラテックス、塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体ラテックス、塩化ビニル/酢酸ビニル/アクリル化合物共重合体ラテックス等の塩化ビニルを含有する共重合体ラテックスが、本発明の塩化ビニル系ラテックスと混合する際に、特に好ましい。
(ポリエーテル変性シリコーン)
前記受容層は、ポリエーテル変性シリコーンを含有する。
前記ポリエーテル変性シリコーンは、画像印画時の感熱転写シートと感熱転写受像シートとの離型性のみならず、本発明の高温多湿下の画像出力においてプリントの光沢不均一を良化するという効果を奏するための必須成分である。
本発明に用いるポリエーテル変性シリコーンは、25℃で液体のものが好ましい。
また、本発明に用いるポリエーテル変性シリコーンは、エポキシ基を含まないものが好ましく、非反応性のものが特に好ましい。
本発明に用いるポリエーテル変性シリコーンは、下記一般式(1)に示す片末端変性型、下記一般式(2)に示す両末端変性型、下記一般式(3)に示す側鎖変性型、または下記一般式(4)に示す主鎖共重合型が好ましい。
Figure 2010234538
一般式(1)〜(4)において、R1はアルキル基を表し、R2は各々独立に−Y−(C24O)a−(C36O)b−R4を表し、R3は、水素原子、l個のアシル部を有するアシル基、l価のアルキル基、l価のシクロアルキル基または、l価のアリール基を表し、R4は各々独立に、水素原子、アシル基、アルキル基、シクロアルキル基またはアリール基を表す。Yは単結合または2価の連結基を表し、Xは2価の連結基を表す。nは正の数を表し、n'は0または正の整数を表し、mは0または正の数を表し、sは正の数を表す。aおよびbは各々独立に0または正の数を表すが、aとbが同時に0であることはない。また、n'とmが同時に0になることはない。
1におけるアルキル基は置換基を有してもよい。R1のアルキル基の炭素数は1〜20が好ましく、1〜8がより好ましく、1〜4がさらに好ましい。また、置換アルキル基よりも無置換アルキル基が好ましい。なかでもメチル基またはエチル基が好ましく、メチル基が最も好ましい。
3におけるl個のアシル部を有するアシル基は、1個のアシル部を有するアシル基としては、例えば、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、ベンゾイル基が挙げられ、2個のアシル部を有するアシル基としては、例えば、オキザリル基、マロニル基、スクシノイル基、マレオイル基、テレフタロイル基が挙げられ、3個のアシル部を有するアシル基としては、例えば、1,2,3−プロパントリカルボニル基が挙げられる。これらのアシル期としては、炭素数2〜20のアシル基が好ましく、炭素数2〜10のアシル基がより好ましい。
3におけるl価のアルキル基において、1価のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、tert−ブチル基が挙げられ、2価のアルキル基としては、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基が挙げられ、3価のアルキル基としては、例えば、1,2,3−プロパントリイル基が挙げられ、4価のアルキル基としては、例えば、1,2,2,3−プロパンテトライル基が挙げられる。これらのアルキル基の炭素数は1〜20が好ましく、1〜10がより好ましい。
3におけるl価のシクロアルキル基において、1価のシクロアルキル基としては、例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基が挙げられ、2価のシクロアルキル基としては、2価のシクロヘキシル基としては、例えば、1,3−シクロペンチレン基、1,4−シクロヘキシレン基が挙げられ、3価のシクロアルキル基としては、例えば、1,3,5−シクロヘキサントリイル基が挙げられる。シクロヘキシル基の炭素数は、5〜10が好ましい。
3におけるl価のアリール基において、1価のアリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基が挙げられ、2価のアリール基としては、例えば、フェニレン基が挙げられ、3価のアリール基としては、例えば、ベンゼン−1,3,5−トリイル基が挙げられる。アリール基のアリール部としてはベンゼン環が好ましい。R3は、l価のアルキル基が好ましい。
4におけるアシル基の炭素数は20以下が好ましく、10以下がより好ましく、5以下がさらに好ましく、アセチル基が最も好ましい。
4におけるアルキル基は、置換基を有してもよい。R4のアルキル基の炭素数は1〜20が好ましく、1〜8がより好ましく、1〜4がさらに好ましい。また、置換アルキル基よりも無置換アルキル基が好ましい。なかでもメチル基またはエチル基が好ましく、メチル基が最も好ましい。
4におけるシクロアルキル基は、置換基を有してもよく、シクロペンチル基、シクロヘキシル基が好ましく、無置換のシクロアルキル基がさらに好ましい。
4におけるアリール基は、置換基を有してもよく、フェニル基、ナフチル基が挙げられるが、フェニル基が好ましい。置換基としては、アルキル基、ハロゲン原子が好ましいが、無置換のフェニル基が最も好ましい。
4は、水素原子、アシル基、アルキル基またはアリール基が好ましく、水素原子、アシル基またはアルキル基がより好ましく、アルキル基がさらに好ましい。
X、Yにおける2価の連結基は、アルキレン基、アルキレンオキシ基が好ましく、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基が挙げられ、アルキレンオキシ基としては、例えば、−CH2CH2O−、−CH(CH3)CH2O−、−CH2CH(CH3)O−または−(CH23O−が挙げられ、これらが好ましい。連結基の炭素数は1〜4が好ましく、2または3がより好ましい。
また、XおよびYは、単結合または上記の好ましい2価の連結基が好ましい。
aおよびbは、0または1以上の整数が好ましく、0〜500がより好ましく、0〜200がさらに好ましい。
nは1〜1000が好ましく、n'およびmは0〜1000が好ましい。
sは1〜10が好ましく、1〜6がより好ましく、1〜4がさらに好ましい。
一般式(1)〜(4)で表されるポリエーテル変性シリコーンのなかでも、一般式(2)〜(4)で表されるポリエーテル変性シリコーンが好ましく、一般式(2)または(3)で表されるポリエーテル変性シリコーンがより好ましく、一般式(3)で表されるポリエーテル変性シリコーンが最も好ましい。
本発明に用いるポリエーテル変性シリコーンは、HLB値(Hydrophile−Lipophile Balance)は、5〜9であることが好ましく、5〜7であることがより好ましい。HLB値が低過ぎると塗工液中で分離および凝集し、面状故障の原因となる。HLB値が高いと離型効果およびラテックス粒子表面への配向効果が小さく十分な効果が発揮されない。
本発明において、HLB値はグリフィン法に基づき、以下の式Aで定義された計算式で求める(西一郎、今井怡知朗、笠井正威 共編、「界面活性剤便覧」、産業図書株式会社(1960年))。
(式A)
HLB = 20 × Mw/M
ここで、Mは分子量であり、Mwは親水性部分の式量(分子量)である。ちなみに、M=Mw + Mo であり、ここで、Moは新油性部分の式量(分子量)である。
本発明に用いるポリエーテル変性シリコーンオイルの具体例としては、信越化学株式会社製 KF−351A、KF-352A、KF−353、KF−354L、KF−355A、KF−615A、KF−945、KF−640、KF−642、KF−643、KF−6020、KF−6011、KF−6012、KF-6015、KF-6017、X-22-4515、X−22−6191、東レ・ダウコーニング株式会社製 SH3749、SH3773M、SH8400、SF8427、SF8428、FZ-2101、FZ−2104、FZ−2110、FZ−2118、FZ−2162、FZ−2203、FZ−2207、FZ-2208、FZ−77、L-7001、L-7002(いずれも商品名)等が挙げられる。
また、本発明に用いるポリエーテル変性シリコーンオイルは、例えば、特開2002−179797号公報、特開2008−1896号公報、特開2008−1897号公報に記載の方法または、これに準じた方法で、容易に合成できる。
本発明に用いるポリエーテル変性シリコーンは単独でも、2種類以上混合して使用することもできる。また、本発明に用いるポリエーテル変性シリコーンに他の離型剤を併用してもよい。
ポリエーテル変性シリコーンの添加量としては、受容層中の全ポリマーラテックスに対して1質量%〜20質量%が好ましく、1質量%〜10質量%がより好ましい。
(水溶性ポリマー)
本発明においては、前記感熱転写受像シートの受容層や後述する断熱層は水溶性ポリマーを含有することも好ましい態様の一つである。
ここで、水溶性ポリマーとは、20℃における水100gに対し0.05g以上溶解すればよく、より好ましくは0.1g以上、さらに好ましくは0.5g以上、特に好ましくは1g以上である。水溶性ポリマーとしては、天然高分子、半合成高分子および合成高分子のいずれも好ましく用いられる。
前記感熱転写受像シートに用いることのできる水溶性ポリマーのうち、天然高分子および半合成高分子について詳しく説明する。植物系多糖類としては、κ−カラギーナン、ι−カラギーナン、λ−カラギーナン、ペクチンなど、微生物系多糖類としては、キサンタンガム、デキストリンなど、動物系天然高分子としては、ゼラチン、カゼインなどが挙げられる。セルロース系としては、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースなどが挙げられる。
本発明に用いることのできる天然高分子、半合成高分子のうちゼラチンが好ましい。また、ゼラチンは分子量10,000から1,000,000までのものを用いることができ、ゼラチンはCl-、SO4 2-等の陰イオンを含んでいてもよいし、Fe2+、Ca2+、Mg2+、Sn2+、Zn2+などの陽イオンを含んでいてもよい。ゼラチンは水に溶かして添加することが好ましい。
前記感熱転写受像シートに用いることのできる水溶性ポリマーのうち、合成高分子については、ポリビニルピロリドン、ポリビニルピロリドン共重合体、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、水溶性ポリエステルなどである。
本発明に用いることのできる合成高分子のうちポリビニルアルコール類が好ましい。
ポリビニルアルコールについては、完全けん化物、部分けん化物、変性ポリビニルアルコール等、各種ポリビニルアルコールを用いることができる。これらポリビニルアルコールについては、長野浩一ら共著,「ポバール」(高分子刊行会発行)に記載のものが用いられる。
ポリビニルアルコールは、その水溶液に添加する微量の溶剤あるいは無機塩類によって粘度調整をしたり粘度安定化させたりすることが可能であって、詳しくは上記文献、長野浩一ら共著,「ポバール」,高分子刊行会発行,144〜154頁記載のものを使用することができる。その代表例としてホウ酸を含有させることで塗布面質を向上させることができ、好ましい。ホウ酸の添加量は、ポリビニルアルコールに対し0.01〜40質量%であることが好ましい。
前記ポリビニルアルコールの具体例としては、完全けん化物としてはPVA−105、PVA−110、PVA−117、PVA−117Hなど、部分けん化物としてはPVA−203、PVA−205、PVA−210、PVA−220など、変性ポリビニルアルコールとしてはC−118、HL−12E、KL−118、MP−203が挙げられる。
本発明において、前記水溶性ポリマーは、ゼラチン、ポリビニルアルコールが好ましく、ゼラチンがより好ましい。
(その他の添加剤)
前記受容層には、紫外線吸収剤、滑剤、酸化防止剤、防腐剤、界面活性剤、造膜助剤、硬膜剤を含有させてもよい。
前記受容層の塗布量は、0.5〜10g/m2(固形分換算、以下本発明における塗布量は特に断りのない限り、固形分換算の数値である。)が好ましい。前記受容層の膜厚は1〜20μmであることが好ましい。
<断熱層>
本発明において前記感熱転写受像シートは少なくとも1層の断熱層を有する。断熱層は1層に限定されることはなく2層以上でもよい。その場合少なくとも1層の断熱層は、受容層と支持体の間に設けられることが好ましい。
(中空ポリマー粒子)
本発明において、断熱層は中空ポリマー粒子を含有することが好ましい。
本発明における中空ポリマー粒子(以下、中空粒子ともいう)とは粒子内部に空隙を有するポリマー粒子であり、好ましくは水分散物であり、例えば、1)ポリスチレン、アクリル樹脂、スチレン−アクリル樹脂等により形成された隔壁内部に水などの分散媒が入っており、塗布乾燥後、粒子内の水が粒子外に蒸発して粒子内部が中空となる非発泡型の中空ポリマー粒子、2)ブタン、ペンタンなどの低沸点液体を、ポリ塩化ビニリデン、ポリアクリロニトリル、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸エステルのいずれかまたはそれらの混合物もしくは重合物よりなる樹脂で覆っており、塗工後、加熱により粒子内部の低沸点液体が膨張することにより内部が中空となる発泡型マイクロバルーン、3)上記の2)をあらかじめ加熱発泡させて中空粒子としたマイクロバルーンなどが挙げられる。
これらの中でも、上記1)の非発泡型の中空粒子が好ましく、必要に応じて2種以上混合して使用することができる。具体例としてはロームアンドハース社製 ローペイク HP−1055、JSR社製 SX866(B)、日本ゼオン社製 Nipol MH5055(いずれも商品名)などが挙げられる。
本発明において断熱層における中空粒子の平均粒子径は、0.1μm〜5.0μmであることが好ましい
また、断熱層に用いることのできる中空粒子は、空隙率が20〜80%程度のものが好ましく、30〜70%程度のものがより好ましい。
断熱層に用いることのできる中空粒子のサイズは、透過型電子顕微鏡を用いて、その外径の円相当換算直径を測定し算出する。平均粒径は、中空粒子を少なくとも300個透過電子顕微鏡を用いて観察し、その外形の円相当径を算出し、平均して求める。
中空粒子の空隙率とは、粒子体積に対する空隙部分の体積の割合から求める。
中空粒子の樹脂特性として、ガラス転移温度(Tg)が70℃〜200℃であることが好ましく、90℃〜180℃である中空粒子がさらに好ましい。中空粒子としては、中空粒子ラテックスが特に好ましい。
(水溶性ポリマー)
感熱転写受像シートにおいて、中空粒子を含む断熱層中には、中空粒子以外にバインダーとして水溶性ポリマーを含有することが好ましい。例としては、前記受容層の項で記載した水溶性ポリマーが挙げられる。これら水溶性ポリマーのなかで、ゼラチン、ポリビニルアルコール類が好ましく、特にゼラチンが好ましい。これらの樹脂は単独または混合して用いることができる。
前記の断熱層の塗布量は、1.0〜15g/m2であることが好ましく、2.5〜10g/m2であることがより好ましい。
<中間層>
受容層と支持体との間には断熱層以外に中間層が形成されていてもよく、中間層の機能としては白地調整、帯電防止、接着性付与、平滑性付与などが挙げられるが、これらに限定されることなく、従来公知の中間層を付与することができる。
本発明においては、受容層と断熱層の間に中間層を有することが好ましく、該中間層は、中空粒子を含有することがより好ましく、中空粒子とポリマーラテックスを含有することがさらに好ましい。この場合、中空粒子は、断熱層において説明した中空粒子が好ましく適用される。また、この場合、ポリマーラテックスとしては、ポリエステルラテックス、塩化ビニル/アクリル化合物共重合体ラテックス、塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体ラテックス、塩化ビニル/酢酸ビニル/アクリル化合物共重合体ラテックス等の塩化ビニル共重合体ラテックスが挙げられ、塩化ビニル系ポリマーラテックスが好ましい。また、前記受容層の項で説明した水溶性ポリマーをさらに含有することも好ましい。
<カール調整層>
前記感熱転写受像シートには、必要に応じてカール調整層を形成することが好ましい。カール調整層には、ポリエチレンラミネートやポリプロピレンラミネート等が用いられる。具体的には、例えば特開昭61−110135号公報、特開平6−202295号公報などに記載されたものと同様にして形成することができる。
<筆記層・帯電調整層>
前記感熱転写受像シートには、必要に応じて筆記層・帯電調整層を設けることができる。筆記層、帯電調整層には、無機酸化物コロイドやイオン性ポリマー等を用いることができる。帯電防止剤として、例えば第四級アンモニウム塩、ポリアミン誘導体等のカチオン系帯電防止剤、アルキルホスフェート等のアニオン系帯電防止剤、脂肪酸エステル等のノニオン系帯電防止剤など任意のものを用いることができる。具体的には、例えば特許第3585585号公報などに記載されたものと同様にして形成することができる。
<感熱転写受像シートの各層に含まれていてもよい添加剤>
(紫外線吸収剤)
前記感熱転写受像シートには、紫外線吸収剤を含有させてもよい。その紫外線吸収剤としては、従来公知の無機系紫外線吸収剤、有機系紫外線吸収剤が使用できる。有機系紫外線吸収剤としては、サリシレート系、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、トリアジン系、置換アクリロニトリル系、ヒンダートアミン系等の非反応性紫外線吸収剤や、これらの非反応性紫外線吸収剤に、例えば、ビニル基やアクリロイル基、メタアクリロイル基等の付加重合性二重結合、あるいは、アルコール性水酸基、アミノ基、カルボキシル基、エポキシ基、イソシアネート基等を導入し、アクリル樹脂等の熱可塑性樹脂に共重合若しくは、グラフトしたものを使用することができる。また、樹脂のモノマーまたはオリゴマーに紫外線吸収剤を溶解させた後、このモノマーまたはオリゴマーを重合させる方法が開示されており(特開2006−21333号公報)、こうして得られた紫外線遮断性樹脂を用いることもできる。この場合には紫外線吸収剤は非反応性のものでよい。
これら紫外線吸収剤に中でも、特にベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、トリアジン系が好ましい。これら紫外線吸収剤は画像形成に使用する染料の特性に応じて、有効な紫外線吸収波長域をカバーするように組み合わせて使用することが好ましく、また、非反応性紫外線吸収剤の場合には紫外線吸収剤が析出しないように構造が異なるものを複数混合して用いることが好ましい。
紫外線吸収剤の市販品としては、チヌビン−P(チバガイギー製)、JF−77(城北化学製)、シーソープ701(白石カルシウム製)、スミソープ200(住友化学製)、バイオソープ520(共同薬品製)、アデカスタブLA−32(旭電化製)等が挙げられる。
(界面活性剤)
前記感熱転写受像シートには、前記の任意の層に界面活性剤を含有させることができる。その中でも、受容層および中間層中に含有させることが好ましい。
前記界面活性剤の添加量は、全固形分量に対して0.01〜5質量%であることが好ましく、0.01〜1質量%であることがより好ましく、0.02〜0.2質量%であることが特に好ましい。
前記界面活性剤としては、アニオン系、ノニオン系、カチオン系など種々の界面活性剤が知られている。本発明で用いることのできる界面活性剤としては、公知のものが使用でき、例えば、「機能性界面活性剤監修/角田光雄、発行/2000年8月、第6章」で紹介されているもの等を用いることができるが、その中でもアニオン系のフッ素含有界面活性剤が好ましい。
(防腐剤)
前記感熱転写受像シートには、防腐剤を添加してもよい。前記感熱転写受像シートに含有される防腐剤としては、特に限定されないが、防腐防黴ハンドブック、技報堂出版(1986)、堀口博著、防菌防黴の化学、三共出版(1986)、防菌防黴剤事典、日本防菌防黴学会発行(1986)等に記載されているものを用いることができる。具体的には、イミダゾール誘導体、デヒドロ酢酸ナトリウム、4−イソチアゾリン−3−オン誘導体、ベンゾイソチアゾリン−3−オン、ベンゾトリアゾール誘導体、アミジングアニジン誘導体、四級アンモニウム塩類、ピロジン,キノリン,グアニジン等の誘導体、ダイアジン、トリアゾール誘導体、オキサゾール、オキサジン誘導体、2−メルカプトピリジン−N−オキサイドまたはその塩等が挙げられる。これらの中でも、4−イソチアゾリン−3−オン誘導体、ベンゾイソチアゾリン−3−オンが好ましい。
(造膜助剤)
前記感熱転写受像シートには、高沸点溶剤を添加することが好ましい。高沸点溶剤は造膜助剤または可塑剤として機能し、ポリマーラテックスの最低造膜温度を低下させる有機化合物(通常有機溶剤)で、例えば室井宗一著,「合成ラテックスの化学」,高分子刊行会発行(1970年)に記載されている。高沸点溶剤(造膜助剤)の例として以下のものが挙げられる。
Z−1:ベンジルアルコール類
Z−2:2,2,4−トリメチルペンタンジオール−1,3−モノイソブチレート類
Z−3:2−ジメチルアミノエタノール類
Z−4:ジエチレングリコール類
これらの高沸点溶剤を添加すると、画像のにじみが見られ、実用上好ましくない場合があるが、塗布膜中の上記溶剤類の含有量が固形分で1%以下であれば、性能上問題がない。
(硬膜剤)
感熱転写受像シートには硬膜剤を用いてもよく、感熱転写受像シートの塗設層(例えば、受容層、断熱層、下塗層など)中に添加することができる。
用いることができる硬膜剤としては、特開平1−214845号公報17頁のH−1,4,6,8,14,米国特許第4,618,573号明細書のカラム13〜23の式(VII)〜(XII)で表される化合物(H−1〜54)、特開平2−214852号公報8頁右下の式(6)で表される化合物(H−1〜76),特にH−14、米国特許第3,325,287号明細書のクレーム1に記載の化合物などが好ましく用いられる。硬膜剤の例としては米国特許第4,678,739号明細書の第41欄、同第4,791,042号、特開昭59−116655号、同62−245261号、同61−18942号、特開平4−218044号の各公報または各明細書等に記載の硬膜剤が挙げられる。より具体的には、アルデヒド系硬膜剤(ホルムアルデヒドなど)、アジリジン系硬膜剤、エポキシ系硬膜剤、ビニルスルホン系硬膜剤(N,N'−エチレン−ビス(ビニルスルホニルアセタミド)エタンなど)、N−メチロール系硬膜剤(ジメチロール尿素など)、ほう酸、メタほう酸あるいは高分子硬膜剤(特開昭62−234157号公報などに記載の化合物)が挙げられる。
好ましくはビニルスルホン系硬膜剤やクロロトリアジン類が挙げられる。
(マット剤)
前記感熱転写受像シートにおいて、ブロッキング防止、離型性付与、滑り性付与のためにマット剤を添加してもよい。マット剤は感熱転写受像シートの受容層が塗布される面、受容層が塗布される他方の面、あるいはその両方の面に添加することができる。
マット剤は、一般に水に不溶の有機化合物の微粒子、無機化合物の微粒子を挙げることができるが、本発明では、分散性の観点から、有機化合物を含有する微粒子が好ましい。有機化合物を含有していれば、有機化合物単独からなる有機化合物微粒子であってもよいし、有機化合物だけでなく無機化合物をも含有した有機/無機複合微粒子であってもよい。マット剤の例としては、例えば米国特許第1,939,213号、同2,701,245号、同2,322,037号、同3,262,782号、同3,539,344号、同3,767,448号等の各明細書に記載の有機マット剤を用いることができる。
<感熱転写受像シートの製造方法>
以下、前記感熱転写受像シートの製造方法について説明する。
前記感熱転写受像シートの製造方法では受容層の少なくとも1層を水系の塗布液で塗布することが好ましい。複数の受容層を有する場合、これらの全ての受容層を水系の塗布液を塗布後乾燥して調製することが好ましい。ただし、ここで言う「水系」とは塗布液の溶媒(分散媒)の60質量%以上が水であることをいう。塗布液の水以外の成分としてはメチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ジメチルホルムアミド、酢酸エチル、ジアセトンアルコール、フルフリルアルコール、ベンジルアルコール、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、オキシエチルフェニルエーテルなどの水混和性の有機溶媒を用いることができる。
各層の塗布は、ロールコート、バーコート、グラビアコート、グラビアリバースコート、ダイコート、スライドコート、カーテンコート等の一般的な方法で行われる。受容層、中間層は、各層それぞれ別々に塗布されてもよく、任意の層を組み合わせて同時重層塗布をしてもよく、本発明において好ましい。
[感熱転写シート]
本発明に用いられる感熱転写シートは、基材フィルム上に少なくとも1層の酸化チタン膜である下引き層を有し、該下引き層上の一部に染料層を有し、前記下引き層上の該染料層とは異なる部分に転写性保護層積層体を有する。以下、前記感熱転写シート(以下インクシートとも言う)について詳しく説明する。
<感熱転写シートの構成>
感熱転写シート(インクシート)は熱転写画像形成の際に、感熱転写受像シートに重ねて置かれ、インクシート側からサーマルプリンターヘッド等の加熱素子によって加熱することにより染料(色素)をインクシートから感熱転写受像シートに転写するために用いられる。
本発明において感熱転写シートは、基材フィルムの一方の面に、基材から近い順に下引き層と熱転写可能な染料および樹脂を含む染料層を有し、前記下引き層上の該染料層とは異なる部分に転写性保護層積層体を有する。該基材フィルムの他方の面には、滑剤および樹脂を含む耐熱滑性層を有することが好ましい。基材フィルムと耐熱滑性層間に易接着層(プライマー層)を設けることもできる。
<基材フィルム>
本発明において感熱転写シートの基材フィルムは特に限定されず、求められる耐熱性と強度を有するものであれば、従来公知の任意のものを使用することができる。例として、グラシン紙、コンデンサー紙、パフィン紙等の薄紙、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート等の耐熱性の高いポリエステル類、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルケトン、ポリエーテルサルホン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、酢酸セルロース、ポリエチレン誘導体、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、ポリアミド、ポリイミド、ポリメチルペンテン、アイオノマー等のプラスチックの延伸あるいは未延伸フィルムや、これらの材料を積層したものが好ましい基材フィルムの具体例として挙げられる。ポリエステルフィルムはこれらの中でも特に好ましく、延伸処理されたポリエステルフィルムがより好ましく、基材フィルムの少なくとも一方の面に易接着層を形成した後に延伸して製造されたものが特に好ましい。
この基材フィルムの厚さは、強度および耐熱性等が適切になるように材料に応じて適宜選択されるが、1〜30μm程度のものが好ましく用いられる。より好ましくは1〜20μm程度のものであり、さらに好ましくは3〜10μm程度のものが用いられる。
感熱転写シートの基材フィルムは、塗布液の濡れ性および接着性の向上を目的として、易接着処理を行なってもよい。易接着処理方法として、コロナ放電処理、火炎処理、オゾン処理、紫外線処理、放射線処理、粗面化処理、化学薬品処理、真空プラズマ処理、大気圧プラズマ処理、プライマー処理、グラフト化処理等公知の樹脂表面改質技術を例示することができる。
支持体に用いられる基材フィルムは、フィルムを溶融押出し形成する時に、未延伸フィルムに塗工処理を施し、その後に延伸処理して行なってもよい。
また、上記の処理は、二種類以上を併用することもできる。
<下引き層>
本発明において、前記感熱転写シートの下引き層は、酸化チタン膜である。
前記感熱転写シートでは、前記下引き層が酸化チタン膜であると、感熱転写シートの転写効率を改善することができる。
前記感熱転写シートにおいて、酸化チタン膜である下引き層と、後述する染料層とを組み合わせることで、染料層と基材との接着性をより高めるという効果が得られる。
前記感熱転写シートにおいて、酸化チタン膜である下引き層と、後述する転写性保護層積層体とを組み合わせることで、転写性保護層のプリント後の光沢が良化するという効果が得られる。
また、本発明の画像形成方法において、酸化チタン膜である下引き層を有する本発明の感熱転写シートは、前記受容層に前記塩化ビニル系ポリマーラテックスを含有する感熱受像シート、前記受容層に前記ポリエーテル変性シリコーンを含有する感熱受像シートおよびこれらを組み合わせた感熱受像シートと組み合わせて用いて画像形成した際に、本発明の課題である画像光沢の不均一の改善という効果が得られる。
この酸化チタン膜は、チタンアルコキシドまたはその部分加水分解物であるオルガノチタニアゾルの重縮合反応生成物であることが好ましい。
このようなものは商業的に入手可能であり、たとえばアルコキシ テトラ−i−プロポキシチタン(TPT)(品名A−1 日本曹達株式会社)、テトラ−n−ブトキシチタン(TBT)(品名B−1 日本曹達株式会社)、テトラ−n−ブチルチタネートダイマー、テトライソプロピルチタネート、テトラステアリルチタネート、テトラ−n−ブチルチタネート、テトライソプロピルチタネート50 、トリエタノールアミンチタネート(以上 三菱ガス化学株式会社)、Tyzor TPT、Tyzor TBT(以上製品名 DuPont)などが挙げられる。
下引き層の固形分塗布量としては0.01g/m2から0.20g/m2が好ましく、0.08〜0.17g/m2がより好ましく、さらに好ましくは0.10〜0.15g/m2である。下引き層の固形分塗布量が0.01g/m2以上であれば染料転写濃度の増分が多くなり、本発明の効果が十分に得られる。
(下引き層の製造方法)
前記下引き層は、具体的には、下引き層の酸化チタン膜は、チタンアルコキシドまたはその部分加水分解物であるオルガノチタニアゾルを溶媒塗布した後に加熱により重縮合反応させて形成することができる。
ここでチタンアルコキシドとはチタン原子にアルコキシドすなわち「−OR」が結合したものをいう。
これらのチタンアルコキシドを適宜選択した溶媒に溶解して、基材の上に塗布し、必要により水蒸気の供給と加熱により酸化チタン膜を形成することができる。
また、チタンチタンアルコキシド1モルに対して0.5〜2.0モルの水と混合して調製したオルガノチタニアゾルを適宜選択した溶媒と混合して、基材の上に塗布し、加熱により酸化チタン膜を形成することもできる。下引き層の塗工液には酸触媒または塩基触媒を添加してもよい。
塗工液の溶媒にはn−ブタノールやイソプロピルアルコールなど各種アルコールを含有することが好ましい。
加熱温度としては110〜150℃が好ましい。
<染料層>
(染料層の構成)
本発明において感熱転写シートの染料層は、イエロー、マゼンタ、シアンの各色の染料層および必要に応じてブラックの染料層が同一の基材フィルム上に面順次で繰り返し塗り分けられているのが好ましい。
一例として、イエロー、マゼンタおよびシアンの各色相の染料層が同一の基材フィルム上の長軸方向に、感熱転写受像シートの記録面の面積に対応して面順次に塗り分けられている場合を挙げることができる。この3層のうち少なくとも1層に加えて、転写性保護層(これは、後述する転写性保護層積層体であってもよい)が必要である。
この様な態様を取る場合、各色の開始点をプリンターに伝達する目的で、感熱転写シート上に目印を付与することも好ましい態様である。このように面順次で繰り返し塗り分けることによって、染料の転写による画像の形成、さらには画像上への保護層の積層を一つの感熱転写シートで行なうことが可能となる。
しかしながら、本発明においては前記のような染料層の設け方に限定されるものではない。昇華型熱転写インク層と熱溶融転写インク層を併設することも可能であり、また、イエロー、マゼンタ、シアンおよびブラック以外の色相の染料層を設ける等の変更をすることも可能である。また、形態としては長尺であってもよいし、枚葉の熱転写シートであってもよいし、特に使用前の感熱転写シートが重なった状態で保管される態様に好ましく用いることができる。
染料層は単層構成であっても複層構成であってもよく、複層構成の場合、染料層を構成する各層の組成は同一であっても異なっていてもよい。
(染料)
本発明に用いられる染料は、熱により拡散し、感熱転写シートに組み込み可能かつ、加熱により感熱転写シートから感熱転写受像シートに転写するものであれば特に限定されず、感熱転写シート用の色素として従来から用いられてきている色素、あるいは公知の色素を併用することができる。
好ましい色素としては、たとえば、ジアリールメタン系、トリアリールメタン系、チアゾール系、メロシアニン等のメチン系、インドアニリン、アセトフェノンアゾメチン、ピラゾロアゾメチン、イミダゾルアゾメチン、イミダゾアゾメチン、ピリドンアゾメチンに代表されるアゾメチン系、キサンテン系、オキサジン系、ジシアノスチレン、トリシアノスチレンに代表されるシアノメチレン系、チアジン系、アジン系、アクリジン系、ベンゼンアゾ系、ピリドンアゾ、チオフェンアゾ、イソチアゾールアゾ、ピロールアゾ、ピラールアゾ、イミダゾールアゾ、チアジアゾールアゾ、トリアゾールアゾ、ジズアゾ等のアゾ系、スピロピラン系、インドリノスピロピラン系、フルオラン系、ローダミンラクタム系、ナフトキノン系、アントラキノン系、キノフタロン系等が挙げられる。
具体例を挙げると、イエロー色素としては、ディスパースイエロー231、ディスパースイエロー201、ソルベントイエロー93等が挙げられる。マゼンタ色素としては、ディスパースバイオレット26、ディスパースレッド60、ソルベントレッド19等が、さらに、シアン色素としては、ソルベントブルー63、ソルベントブルー36、ディスパースブルー354、ディスパースブルー35等が挙げられるがこれらに限定されない。また、上記の各色相の色素を任意に組み合わせることも可能である。
(染料層用バインダー)
本発明に用いられる感熱転写シートにおいて、通常、染料はバインダー(樹脂、バインダー樹脂ともいう)と呼ばれる高分子化合物に分散された状態で基材フィルム上に塗設されている。本発明では染料層に含まれるバインダー樹脂として、公知のものを使用することができる。例として、ポリアクリロニトリル、ポリアクリル酸エステル、ポリアクリルアミド等のアクリル系樹脂、ポリビニルアセトアセタール、ポリビニルブチラールなどのポリビニルアセタール系樹脂、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、エチルヒドロキシセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、酢酸セルロース、酢酪酸セルロース、酢酸プロピオン酸セルロース、硝酸セルロース等の変性セルロース系樹脂ニトロセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロースおよびエチルセルロースなどのセルロース系樹脂や、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、フェノキシ樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、各種エストラマー等が挙げられ、上記からなる群から選ばれる少なくとも1種類の樹脂により染料層は構成される。
これらを単独で用いる他、これらを混合、または共重合して用いることも可能であり、
各種架橋剤によって架橋することも可能である。
本発明では染料層に含まれるバインダー樹脂としてセルロース系樹脂およびポリビニルアセタール系樹脂が好ましく、より好ましくはポリビニルアセタール系樹脂である。中でもポリビニルアセトアセタール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂が本発明において好ましく用いられる。
染料層における染料の樹脂に対する染料層用バインダーの含有量の比(質量比)はどのような割合であってもよいが、0.1〜5.0が好ましく、0.5〜3.0がより好ましく、0.9〜2.0がさらに好ましい。
(染料層の形成方法)
転写するための染料(好ましくは昇華性染料)を含む染料層は染料層塗工液を塗設して形成することができる。
染料層塗工液は、加熱により転写可能な染料と、バインダー樹脂を含有するものであるが、必要に応じて、有機微粉末もしくは無機微粉末、ワックス類、シリコーン樹脂、含フッ素有機化合物等を含有することができる。
本発明において感熱転写シートの染料層は、染料層中の全固形分に対する染料の固形分が、20〜80質量%であることが好ましく、30〜70質量%であることがより好ましい。
染料層の塗設は、ロールコート、バーコート、グラビアコート、グラビアリバースコート等の一般的な方法で行われる。また染料層の塗設量は、0.1〜2.0g/m2(固形分換算、以下本発明における塗布量は特に断りのない限り、固形分換算の数値である)が好ましく、さらに好ましくは0.2〜1.2g/m2である。染料層の膜厚は0.1〜2.0μmであることが好ましく、さらに好ましくは0.2〜1.2μmである。
<転写性保護層積層体>
本発明において感熱転写シートは前記下引き層上の該染料層とは異なる部分に転写性保護層積層体を有する。
転写性保護層積層体とは、画像形成された感熱受像シートの上に透明樹脂からなる保護層を熱転写により形成し、画像を覆い保護するためのものであり、耐擦過性、耐光性、耐候性等の耐久性向上を目的としている。転写された染料が受像シート表面に曝されたままでは、耐光性、耐擦過性、耐薬品性等の画像耐久性が不十分な場合に有効である。
転写性保護層積層体は、前記下引き層上に、前記下引き層側から離型層、保護層、接着剤層の順に形成することができる。保護層を複数の層で形成することも可能である。保護層が他の層の機能を兼ね備えている場合には、離型層、接着剤層を省くことも可能である。この中でも、本発明では、前記酸化チタンである下引き層と組み合わせた際に本発明の効果を高める観点から、保護層に加えて少なくとも離型層を有することが好ましい。
(樹脂)
前記転写性保護層の保護層を形成する樹脂としては、耐擦過性、耐薬品性、透明性、硬度に優れた樹脂が好ましく、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリルウレタン樹脂、これら各樹脂のシリコーン変性樹脂、紫外線遮断性樹脂、これら各樹脂の混合物、電離放射線硬化性樹脂、紫外線硬化性樹脂等を用いることができる。なかでも、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂が好ましい。
また、各種架橋剤によって架橋することも可能である。
前記アクリル樹脂としては、従来公知のアクリレートモノマー、メタクリレートモノマーの中から選ばれた少なくとも1つ以上のモノマーからなる重合体で、アクリル系モノマー以外にスチレン、アクリロニトリル等を共重合させてもよい。好ましいモノマーとしてメチルメタクリレートを仕込み質量比で50質量%以上含有していることが挙げられる。
前記アクリル樹脂は、分子量が20,000〜100,000であることが好ましい。
前記ポリエステル樹脂としては、従来公知の飽和ポリエステル樹脂を使用できる。上記ポリエステル樹脂を使用する場合は、ガラス転移温度は50〜120℃が好ましく、又、分子量は2,000〜40,000の範囲が好ましく、さらに4,000〜20,000の範囲が保護層転写時に箔切れ性が良くなり、より好ましい。
(紫外線吸収剤)
本発明において、前記転写性保護層中の保護層または接着層に紫外線吸収剤を含有することが好ましく、紫外線吸収剤としては、従来公知の無機系紫外線吸収剤、有機系紫外線吸収剤が使用できる。有機系紫外線吸収剤としては、サリシレート系、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、トリアジン系、置換アクリロニトリル系、ヒンダートアミン系等の非反応性紫外線吸収剤や、これらの非反応性紫外線吸収剤に、例えば、ビニル基やアクリロイル基、メタアクリロイル基等の付加重合性二重結合、あるいは、アルコール性水酸基、アミノ基、カルボキシル基、エポキシ基、イソシアネート基等を導入し、アクリル樹脂等の熱可塑性樹脂に共重合若しくは、グラフトしたものを使用することができる。また、樹脂のモノマーまたはオリゴマーに紫外線吸収剤を溶解させた後、このモノマーまたはオリゴマーを重合させる方法が開示されており(特開2006−21333号公報)、こうして得られた紫外線遮断性樹脂を用いることもできる。この場合には紫外線吸収剤は非反応性のものでよい。
これら紫外線吸収剤に中でも、特にベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、トリアジン系が好ましい。これら紫外線吸収剤は画像形成に使用する染料の特性に応じて、有効な紫外線吸収波長域をカバーするように組み合わせて使用することが好ましく、また、非反応性紫外線吸収剤の場合には紫外線吸収剤が析出しないように構造が異なるものを複数混合して用いることが好ましい。
紫外線吸収剤の市販品としては、チヌビン−P(チバガイギー製)、JF−77(城北化学製)、シーソープ701(白石カルシウム製)、スミソープ200(住友化学製)、バイオソープ520(共同薬品製)、アデカスタブLA−32(旭電化製)(いずれも商品名)等が挙げられる。
(転写性保護層の形成方法)
前記転写性保護層中の保護層の形成法は、用いられる樹脂の種類に依存するが、前記染料層の形成方法と同様の方法で形成すことができ、0.5〜10μmの厚さが好ましい。
(離型層)
前記転写性保護層が熱転写時に下引き層と保護層の剥離を良化させる観点から、前記酸化チタンである下引き層と保護層との間に離型層を形成することができる。転写性保護層と離型層の間にさらに剥離層を形成してもよい。離型層は、例えば、ワックス類、シリコーンワックス、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、アクリル樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、セルロース誘導体樹脂、ウレタン系樹脂、酢酸系ビニル樹脂、アクリルビニルエーテル系樹脂、無水マレイン酸樹脂、およびこれらの樹脂群の共重合体を少なくとも1種以上含有する塗工液を、従来公知のグラビアコート、グラビアリバースコート等の方法で塗設、乾燥することにより形成することができる。上記の樹脂の中でも、アクリル樹脂として、アクリル酸やメタクリル酸等の単体、または他のモノマー等と共重合させた樹脂、あるいはセルロース誘導体樹脂が好ましく、前記酸化チタンである下引き層との接着性、前記保護層との離型性において優れている。
各種架橋剤によって架橋することも可能であり、また、電離放射線硬化性樹脂および紫外線硬化性樹脂も用いることができる。
離型層は、熱転写時に被転写体に移行するもの、あるいは前記酸化チタンである下引き層側に残るもの、あるいは凝集破壊するもの等を、適宜選択することができるが、熱転写により離型層が前記酸化チタンである下引き層側に残存し、離型層と転写性保護層との界面が熱転写された後の保護層表面になるようにすることが、表面光沢性、保護層の転写安定性等の点で優れており、好ましい態様である。離型層の形成方法は、従来公知の塗設方法で形成でき、その厚みは乾燥状態で0.5〜5μm程度が好ましい。
(接着層)
前記転写性保護層積層体の最上層として、前記保護層の最表面に接着層を設けることができる。これによって前記保護層の被転写体への接着性を良好にすることができる。
<易接着層>
基材フィルム上に塗布によって易接着層を形成することもでき、本発明においては易接着層を形成することが好ましい。易接着層に用いられる樹脂としては、ポリエステル系樹脂、ポリアクリル酸エステル系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂やポリビニルアルコール樹脂等のビニル系樹脂、ポリビニルアセトアセタールやポリビニルブチラール等のポリビニルアセタール系樹脂、ポリエーテル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、スチレンアクリレート系樹脂、ポリアクリルアミド系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリビニルピロリドン系樹脂等を例示することができる。
ここで、前述のように、本発明においては、基材フィルムの少なくとも一方の面に、易接着層を形成後、延伸したものが好ましい。
<耐熱滑性層>
本発明において前記感熱転写シートは、染料層あるいは転写性保護層積層体を有する支持体面と反対の面(裏面)、すなわちサーマルヘッド等の加熱素子に接する面の側に耐熱滑性層を設けることが好ましい。
前記耐熱滑性層は、感熱転写シートがサーマルヘッドからの熱エネルギーに耐え得るように設けられるものであって、サーマルヘッド等の加熱素子との熱融着を防止し、滑らかな走行を可能にする。近年、プリンターの高速化に伴いサーマルヘッドの熱エネルギーが増加しているため、その必要性は大きくなっている。
前記耐熱滑性層は、バインダーに滑剤、離型剤、界面活性剤、無機粒子、有機粒子、顔料等を添加したものを塗布することによって形成される。また、耐熱滑性層と支持体との間に中間層を設けてもよく、無機微粒子と水溶性樹脂またはエマルジョン化可能な親水性樹脂からなる層が開示されている。
前記耐熱滑性層のバインダーとしては、耐熱性の高い公知の樹脂を用いることができる。例として、エチルセルロース、ヒドロキシセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、酢酸セルロース、酢酪酸セルロース、酢酸プロピオン酸セルロース、ニトロセルロース等のセルロース系樹脂、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルブチラール、ポリビニルアセタール、ポリビニルアセトアセタール樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリビニルピロリドン等のビニル系樹脂、ポリメタクリル酸メチル、ポリアクリル酸エチル、ポリアクリルアミド、アクリロニトリル−スチレン共重合体等のアクリル系樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリビニルトルエン樹脂、クマロンインデン樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリブタジエン樹脂、ポリカーボネート樹脂、塩素化ポリオレフィン樹脂、フッ素樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂、シリコーン変性またはフッ素変性ウレタン等の天然または合成樹脂の単体または混合物を挙げることができる。
耐熱滑性層の耐熱性を高めるため、紫外線または電子ビームを照射して樹脂を架橋する技術が知られている。また、架橋剤を用い、加熱により架橋させることも可能である。この際、触媒が添加されることもある。架橋剤としては、ポリイソシアネート等が知られており、このためには、水酸基系の官能基を有する樹脂が適している。特開昭62−259889号公報には、ポリビニルブチラールとイソシアネート化合物との反応生成物にリン酸エステルのアルカリ金属塩またはアルカリ土類塩および炭酸カルシウム等の充填剤を添加することにより耐熱滑性層を形成することが開示されている。また、特開平6−99671号公報には、耐熱滑性層を形成する高分子化合物を、アミノ基を有するシリコーン化合物と1分子中に2個以上のイソシアネート基を有するイソシアネート化合物を反応させることにより得ることが開示されている。
機能を十分に発揮させるために、耐熱滑性層には、滑剤、可塑剤、安定剤、充填剤、ヘッド付着物除去のためのフィラー等の添加剤が配合されていてもよい。
前記滑剤としては、フッ化カルシウム、フッ化バリウム、フッ化黒鉛等のフッ化物、二硫化モリブデン、二硫化タングステン、硫化鉄等の硫化物、酸化鉛、アルミナ、酸化モリブデン等の酸化物、グラファイト、雲母、窒化ホウ素、粘土類(滑石、酸性白度等)等の無機化合物からなる固体滑剤、フッ素樹脂、シリコーン樹脂等の有機樹脂、シリコーンオイル、ステアリン酸金属塩等の金属セッケン類、ポリエチレンワックス、パラフィンワックス等の各種ワックス類、アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、両性界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤等の界面活性剤を挙げることができる。
アルキルりん酸モノエステル、アルキルりん酸ジエステルの亜鉛塩などの燐酸エステル系界面活性剤も用いられるが、酸根を有しており、サーマルヘッドからの熱量が大になると燐酸エステルが分解し、さらに耐熱滑性層のpHが低下してサーマルヘッドの腐食摩耗が激しくなるという問題点がある。これに対しては、中和した燐酸エステル系界面活性剤を用いる方法、水酸化マグネシウムなどの中和剤を用いる方法等が知られている。
その他の添加剤としては高級脂肪酸アルコール、オルガノポリシロキサン、有機カルボン酸およびその誘導体、タルク、シリカ等の無機化合物の微粒子等を挙げることができる。
(耐熱滑性層の製造方法)
前記耐熱滑性層は、上に例示したようなバインダーに添加剤を加えた材料を溶剤中に溶解または分散させた塗工液を、グラビアコーティング、ロールコーティング、ブレードコーティング、ワイヤーバーなどの従来から公知の方法で塗布することによって形成される。0.1〜10μmの膜厚が好ましく、さらに好ましくは0.2〜5μmの膜厚である。
<染料バリア層>
本発明の感熱転写シートは、染料層と基材フィルムの間に染料バリア層を設けることができる。
[画像形成方法]
本発明の画像形成方法では、感熱転写シートの染料層を感熱転写受像シートの受容層に接するように重ね合わせて加熱素子により画像記録する。加熱素子とは、具体的には例えばサーマルヘッドであり、例えば画像信号に応じた熱エネルギーを付与することにより画像を形成する。
本発明の画像形成方法では、感熱転写シートの染料層が、前記酸化チタンである下引き層の上に形成されていることによって、高湿環境下の画像形成時において画像光沢の不均一性が改善される。
さらに本発明の画像形成方法では、加熱素子により前述の転写性保護層積層体を該受容層上に転写して画像形成を完了する。
この際、前記転写性保護層積層体の前記接着層と前記保護層が感熱転写受像シートの受容層に転写されており、前記転写性保護層積層体の前記離型層は感熱転写受像シートの受容層に転写されていないことが、高湿環境下の画像形成時において光沢ムラの発生を抑制する観点から好ましい。
具体的な画像形成は、例えば特開2005−88545号公報などに記載された方法と同様にして行うことができる。本発明では、消費者にプリント物を提供するまでの時間を短縮するという観点から、プリント時間は15秒未満が好ましく、3〜12秒がより好ましく、さらに好ましくは、3〜7秒である。
上記プリント時間を満たすために、プリント時のライン速度は2.0msec/line以下が好ましく、1.5msec/line以下であることがより好ましく、さらに好ましくは0.73msec/line以下であり、最も好ましくは0.65msec/line以下である。また、高速化条件における転写効率向上の観点から、プリント時のサーマルヘッド最高到達温度は、180℃〜450℃が好ましく、さらに好ましくは200℃〜450℃である。さらには350℃〜450℃が好ましい。
本発明は、感熱転写記録方式を利用したプリンター、複写機などに利用することができる。加熱素子による熱エネルギーの付与手段には、従来公知の技術を使用することができ、例えば、サーマルプリンター(例えば、日立製作所製、商品名、ビデオプリンターVY−100)等の記録装置によって記録時間をコントロールすることにより、5〜100mJ/mm2程度の熱エネルギーを付与することによって所期の目的を十分に達成することができる。
以下、実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り、適宜、変更することができる。従って、本発明の範囲は以下に示す具体例に限定されるものではない。なお、実施例中で、部または%とあるのは、特に断りのない限り質量基準である。
[製造例1]
(受容層ポリマー1〜4の合成)
本発明では具体的に以下のような手順で塩化ビニルホモポリマーラテックスおよび塩化ビニル系共重合ラテックスを合成した。前記表1において例示した受容層ポリマー1を合成した方法を以下に記載する。
攪拌機、コンデンサー、温度計および窒素ガス導入口を備えた重合容器内を窒素で充分置換した後、脱イオン水1150g、ブチルアクリレート183g、ドデベシベルベンゼンスルホン酸ソーダ30gを仕込み、さらに重合器内を減圧して塩化ビニル900gを仕込んだ。重合器内を60℃に昇温した後、過硫酸アンモニウムの1%水溶液を反応溶液に対して50質量部圧入して反応を開始し、内温を60℃に保持しながら16時間反応させて重合を終了した。その後30℃まで冷却し25%アンモニア水を使用してpHを7〜8に調整した。ポリマーラテックス1の調製後、該エマルジョン(ポリマーラテックス)をガラス乾板に塗布し、ポリマー成分のみをクロロホルムで抽出した。この抽出物を受容層ポリマー1とした。さらに該抽出物をH−NMR測定で解析し、調製した受容層ポリマー1の組成を塩化ビニル:エチルアクリレート=90モル%:10モル%と決定した。
なお、前記表1において例示した受容層ポリマー2〜4についても同様の手順によって合成した。得られた受容層ポリマーの詳細を下記表1に記載した。
Figure 2010234538
[比較例1]
下記感熱転写シート1および感熱転写受像シート1を作製し、得られた両シートを用いて比較例1の画像形成方法を実施した。以下、順に説明する。
(感熱転写シート1の作製)
下記耐熱滑性層用分散液の樹脂と溶媒をあらかじめ溶解し、溶解液にその他添加剤を添加してプレミキシングを実施後、分散を実施し、耐熱滑性層用分散液を得た。
耐熱滑性層用分散液:
ポリアクリルポリオール系樹脂(50%溶液) 51.0質量部
(樹脂固形分に対する水酸基価が61、酸価が5)
モノおよびジ−ステアリルリン酸エステル
(フォレックスA−18 堺化学工業(株)) 3.6質量部
ステアリン酸亜鉛(炭素数18のカルボン酸の亜鉛塩) 0.5質量部
タルク 2.0質量部
酸化マグネシウム 0.5質量部
メチルエチルケトン/トルエン混合溶媒 42.4質量部
耐熱滑性層塗工液:
上記耐熱滑性層用分散液 68.0質量部
ポリイソシアネート(75%溶液) 11.0質量部
(バーノックD−750、商品名、大日本インキ化学工業(株)製)
メチルエチルケトン/トルエン混合溶媒 21.0質量部
基材フィルムとして片面に易接着処理が行われた厚さ4.5μmのポリエステルフィルムの易接着層とは反対面に、乾燥後の固形分塗布量が1g/m2となるように上述の耐熱滑性層塗工液1を塗布した。なお、基材フィルムと耐熱滑性層の間にも下引き層は塗布しなかった。耐熱滑性層塗工液のポリイソシアネートと樹脂との反応性の基の比率(−NCO/OH)は1.1であった。塗布直後に100℃オーブンで1分間乾燥後、引き続き熱処理(60℃20時間)を行いイソシアネートとポリオールの架橋反応を行い硬化させた。熱処理後に未反応のイソシアネート基をIR測定により確認し、十分に反応していることを確認した。
このようにして作製した耐熱滑性層形成ポリエステルフィルムの易接着層塗布側に直接シアン染料層、左記2層とは別の位置に転写性保護層積層体(離型層、保護層および接着層からなる)を面順次となるように塗布した感熱転写シート1を作製した。シアン染料層の固形分塗布量は、0.8g/m2とした。なお、乾膜時の塗布量は離型層0.3g/m2、保護層0.5g/m2、接着層2.2g/m2とし、各実施例および比較例において転写性保護層積層体はすべて共通である。
これらを塗布した直後に100℃オーブンで1分間乾燥させた。
シアン染料層塗工液:
染料化合物(下記構造式C−1) 1.1質量部
染料化合物(下記構造式C−2) 6.5質量部
ポリビニルアセタール樹脂 7.4質量部
(エスレックKS−1、商品名、積水化学工業(株)製)
ポリビニルブチラール樹脂 0.8質量部
(デンカブチラール#6000−C、商品名、電気化学工業(株)製)
離型剤 0.05質量部
(X−22−3000T、商品名、信越化学工業(株)製)
離型剤 0.03質量部
(TSF4701、商品名、モメンティブ・パフォーマンス・
マテリアルズ・ジャパン合同会社製)
マット剤 0.15質量部
(フローセンUF、商品名、住友精工(株)製)
メチルエチルケトン/トルエン(質量比2/1) 84質量部
Figure 2010234538
離型層塗工液:
変性セルロース樹脂 5.0質量部
(L−30、商品名、ダイセル化学)
メチルエチルケトン 95.0質量部
保護層塗工液:
アクリル樹脂 30質量部
(ダイアナールBR−100、商品名、三菱レイヨン(株)製)
イソプロパノール 70質量部
接着層塗工液:
アクリル樹脂 25質量部
(ダイアナールBR−77、商品名、三菱レイヨン(株)製)
下記紫外線吸収剤UV−1 1質量部
下記紫外線吸収剤UV−2 2質量部
下記紫外線吸収剤UV−3 1質量部
下記紫外線吸収剤UV−4 1質量部
シリコーン樹脂微粒子 0.05質量部
(トパール120、商品名、モメンティブ・パフォーマンス・
マテリアルズ・ジャパン合同会社製)
メチルエチルケトン/トルエン(質量比2/1) 70質量部
Figure 2010234538
(感熱転写受像シート1の作製)
ポリエチレンで両面ラミネートした紙支持体表面に、コロナ放電処理を施した後、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムを含むゼラチン下塗層を設けた。この上に、下記組成の感熱転写受像シート1用下引き層、断熱下層、断熱上層、受容層(下記受容層塗工液1を使用)を支持体側からこの順に積層させた状態で、米国特許第2,761,791号明細書に記載の第9図に例示された方法により、同時重層塗布を行った。この場合、支持体から最も近い断熱層は断熱下層であり、支持体から最も遠い断熱層は断熱上層である。それぞれの乾燥時の塗布量が下引き層:6.4g/m2、断熱下層:8.0g/m2、断熱上層:6.0g/m2、受容層:2.5g/m2となるように塗布を行った。
感熱転写受像シート1用下引き層塗布液:
ポリビニルアルコール 7.5質量部
(ポバールPVA205、商品名、(株)クラレ製)
スチレンブタジエンゴムラテックス 92.5質量部
(SN−307、商品名、日本エイアンドエル(株)製、固形分48%)
断熱下層塗布液:
アクリルスチレン系中空粒子 40質量部
(日本ゼオン社製Nipol MH5055、平均粒径0.5μm、
固形分30%)
ゼラチン(10%水溶液) 60質量部
中空粒子固形分質量/水溶性ポリマー固形分質量 = 2.0
断熱上層塗布液:
アクリルスチレン系中空粒子 61質量部
(Nipol MH5055、商品名、平均粒径0.5μm、
固形分30質量%、日本ゼオン(株)製)
ゼラチン(10%水溶液) 28質量部
水 11質量部
中空粒子固形分質量/水溶性ポリマー固形分質量 = 6.5
受容層塗工液1:
受容層ポリマー1(例示ポリマー;塩化ビニル90モル%) 65質量部
10%ゼラチン水溶液 16質量部
水 9質量部
下記界面活性剤F−1(5%水溶液) 2質量部
下記界面活性剤F−2(5%水溶液) 8質量部
NaOHでpHを8に調節
Figure 2010234538
(画像形成)
画像形成のためのプリンターには 富士フイルム(株)製 フジフイルムサーマルフォトプリンター ASK−2000L(商品名)を用いた。上記シアン部分と転写性保護層積層体部分の熱転写シート部分を有する感熱転写シート1と、上記感熱転写受像シート1を装填可能なように加工し、温度30℃相対湿度80%の環境下で、シアン最高濃度のベタ画像出力を行った。
なお転写性保護層積層体はシアン部分のインクシートが転写された後に引き続き、転写された。
(相対転写濃度の評価)
上記の実施例1の画像形成で得られた最高濃度のシアンベタ画像において、シアン濃度をXrite310(Xrite社製、商品名)で測定した。
なお、後述する感熱転写シート1と感熱転写受像シート2とを組み合わせた比較例2におけるシアン濃度値を100として相対値で評価した。得られた結果を下記表2に示した。
(光沢ムラの評価)
上記環境下でシアンベタ画像を連続100枚出力し、その中で目視判断により、光沢ムラが何枚発生するかにより評価を行った。
この光沢ムラは、転写性保護層積層体を転写した際に生じるムラであるため、OPムラとも呼ばれ、水系受像シートで顕在化する問題である。光沢のムラは写真画質の画像としては美観を損ねるため、光沢ムラの枚数の少ない方が望ましい。
上記感熱転写受像シート1と感熱転写シート1を組み合わせて転写濃度と光沢ムラ発生枚数を評価した。得られた結果を表2に示した。
[比較例2〜7]
感熱転写受像シート1の作製において、前記受容層塗工液1を後述する受容層塗工液2〜7にそれぞれ変更した以外は比較例1と同様にして感熱転写受像シート2〜7を作製した。
得られた感熱転写受像シート2〜7と、前記感熱転写シート1とを組み合わせて、比較例2〜7の画像形成方法を実施した。比較例1と同様に評価を行い、得られた結果を下記表2に記載した。
(受容層塗工液2の作製)
受容層ポリマー1(塩化ビニル90モル%) 65質量部
10%ゼラチン水溶液 16質量部
弗素系オリゴマー 1質量部
(大日本インキ化学工業(株)製、メガファックF−472SF)
水 8質量部
界面活性剤F−1(5%水溶液) 2質量部
界面活性剤F−2(5%水溶液) 8質量部
NaOHでpHを8に調節
(受容層塗工液3の作製)
受容層ポリマー1(塩化ビニル90モル%) 56質量部
10%ゼラチン水溶液 14質量部
後述する乳化物A(KF−393) 14質量部
水 7質量部
界面活性剤F−1(5%水溶液) 2質量部
界面活性剤F−2(5%水溶液) 7質量部
NaOHでpHを8に調節
受容層塗工液3の作製に用いた前記乳化分散物Aは以下の手順で調製した。
15.3gの酸化防止剤(EB−9)を高沸点溶媒(Solv−5)12gおよび酢酸エチル20mlに溶解し、アミノ変性シリコーンオイル(KF−393、信越化学工業(株)製)38gを、1gのドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムを含む20質量%ゼラチン水溶液250g中に加え高速攪拌乳化機(ディゾルバー)で乳化分散し、水を加えて380gの乳化物Aを調製した。
(受容層塗工液4の作製)
受容層ポリマー1(塩化ビニル90モル%) 65質量部
10%ゼラチン水溶液 16質量部
ポリエーテル変性シリコーン 1質量部
(KF−352A、商品名、信越化学工業(株)製、一般式(3)に含まれる)
水 8質量部
界面活性剤F−1(5%水溶液) 2質量部
界面活性剤F−2(5%水溶液) 8質量部
NaOHでpHを8に調節
(受容層塗工液5の作製)
受容層ポリマー2(例示ポリマー;塩化ビニル95モル%) 65質量部
10%ゼラチン水溶液 16質量部
ポリエーテル変性シリコーン 1質量部
(KF−352A、商品名、信越化学工業(株)製、一般式(3)に含まれる)
水 8質量部
界面活性剤F−1(5%水溶液) 2質量部
界面活性剤F−2(5%水溶液) 8質量部
NaOHでpHを8に調節
(受容層塗工液6の作製)
受容層ポリマー3(例示ポリマー;塩化ビニル97モル%) 65質量部
10%ゼラチン水溶液 16質量部
ポリエーテル変性シリコーン 1質量部
(KF−352A、商品名、信越化学工業(株)製、一般式(3)に含まれる)
水 8質量部
界面活性剤F−1(5%水溶液) 2質量部
界面活性剤F−2(5%水溶液) 8質量部
NaOHでpHを8に調節
(受容層塗工液7の作製)
受容層ポリマー4(例示ポリマー;塩化ビニル100モル%) 65質量部
10%ゼラチン水溶液 16質量部
ポリエーテル変性シリコーン 1質量部
(KF−352A、商品名、信越化学工業(株)製、一般式(3)に含まれる)
水 8質量部
界面活性剤F−1(5%水溶液) 2質量部
界面活性剤F−2(5%水溶液) 8質量部
NaOHでpHを8に調節
[比較例8〜10および実施例1〜3]
感熱転写シート1の作製において、下引き層として下記の感熱転写シート2用下引き層塗工液を使用して下引き層を塗布し、下引き層の上にシアン染料層を塗布した以外は感熱転写シート1と同様にして、感熱転写受像シート2を作製した。なお、下引き層の固形分塗布量は0.12g/m2とした。
得られた感熱転写シート2と、前記感熱転写受像シート1〜7とをそれぞれ組み合わせて、比較例8〜10および実施例1〜3の画像形成方法を実施した。比較例1と同様に評価を行い、得られた結果を下記表2に記載した。
感熱転写シート2用下引き層塗工液:
Tyzor TBT(テトラ−n−ブチル−チタネート 製品名 DuPont製)
26.3質量部
n−プロピルアセテート 63.2質量部
n−ブチルアルコール 10.5質量部
なお、下引き層を塗工した後、加熱により重縮合反応させ、酸化チタン膜を形成した。
[実施例4]
実施例1における感熱転写受像シート5で使用した受容層塗布液5のポリエーテル変性シリコーンをL−7001(商品名、東レ・ダウ・コーニング・シリコーン社製、一般式(3)に含まれる)に変更した以外はすべて感熱転写受像シート5と同様にして感熱転写受像シート8を作製した。
得られた感熱転写受像シート8と、前記感熱転写シート2とを組み合わせて、実施例4の画像形成方法を実施した。比較例1と同様に評価を行い、得られた結果を下記表2に記載した。
[実施例5〜7]
感熱転写受像シートの作製において、実施例1における感熱転写受像シート5で使用した受容層塗布液5のポリエーテル変性シリコーンをKF−615A(商品名、信越化学工業(株)製、一般式(3)に含まれる)、KF−640(商品名、信越化学工業(株)製、一般式(3)に含まれる)、FZ−2208(商品名、東レ・ダウ・コーニング・シリコーン社製、一般式(4)に含まれる)にそれぞれ変更した以外はすべて実施例1と同様にして、感熱転写受像シート9〜11を作製した。
得られた感熱転写受像シート9〜11と、前記感熱転写シート2とをそれぞれ組み合わせて、実施例5〜7の画像形成方法を実施した。比較例1と同様に評価を行い、得られた結果を下記表2に記載した。
[実施例8および9]
感熱転写シートの作製において、感熱転写シート2における下引き層に使用したTyzor TBT(テトラ−n−ブチル−チタネート)を、Tyzor TPT(テトラ−イソプロピル−チタネート 製品名 Dupont製)およびテトラ−n−ブチルチタネートダイマー(製品名 三菱ガス化学製)にそれぞれ変更した以外は実施例1と同様にして、感熱転写シート3および4を作製した。
前記感熱転写受像シート5と、得られた感熱転写シート3および4とをそれぞれ組み合わせて、実施例8および9の画像形成方法を実施した。比較例1と同様に評価を行い、得られた結果を下記表2に記載した。
Figure 2010234538
上記表2中、下引き層「なし」となっている比較例1〜7では、下引き層を塗布せずに基材フィルムの易接着処理面の上に直接染料層を塗布した。
また、比較例3は背景技術で挙げた特許文献1に記載の受像紙態様に相当するものであり、比較例8は特許文献2に記載の下引き層を有する感熱転写シートに相当するものである。
上記表2より、本発明実施例1〜3では、転写濃度が高く、光沢ムラがかなり防止できていることがわかった。
また、比較例1および8では剥離不良により濃度測定不可であった。また、比較例9および10では、ポリエーテル変性シリコーン以外の従来の添加剤と、酸化チタンである下引き層を組み合わせたものであり、光沢ムラの評価が顕著に悪化した。
[実施例10]
感熱転写受像シートの作製において、感熱転写受像シート5の製造方法を下記の製造方法に変更した以外は実施例1と同様にして、感熱転写受像シート12を作製した。
ポリエチレンで両面ラミネートした紙支持体表面に、コロナ放電処理を施した後、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムを含むゼラチン下塗層を設けた。この上に、下記組成の下引き層、断熱層、中間層、受容層(受容層塗布液12を使用)を支持体側からこの順に積層させた状態で、米国特許第2,761,791号明細書に記載の第9図に例示された方法により、同時重層塗布を行った。固形分が下引き層:3g/m2、断熱層:15g/m2、中間層:2.5g/m2、受容層:2.5g/m2となるように塗布した。
受容層塗布液12:
受容層ポリマー2(例示ポリマー;塩化ビニル95モル%)20.0質量部
塩化ビニル系ラテックス 20.0質量部
(ビニブラン690;日信化学工業(株)製、固形分濃度55質量%、
塩化ビニル80モル%)
ゼラチン(10%水溶液) 2.0質量部
ポリビニルピロリドン 0.5質量部
(K−90、商品名、ISP(株)製)
ポリエーテル変性シリコーン 1.0質量部
(L−7001、商品名、東レ・ダウ・コーニング・シリコーン社製、
一般式(3)に含まれる)
界面活性剤F−1(5%水溶液) 1.5質量部
界面活性剤F−2(5%水溶液) 5.0質量部
水 50.0質量部
中間層塗布液:
塩化ビニル系ラテックス 50.0質量部
(ビニブラン690;日信化学工業(株)製、塩化ビニル比率80%
固形分55%)
ゼラチン(10%水溶液) 30.0質量部
水 20.0質量部
断熱層塗布液:
アクリル系中空粒子 20.0質量部
(ローペイクHP−1055;ロームアンドハース社製、
平均粒径1.0μm、固形分濃度26.5質量%、中空率55%)
アクリルスチレン系中空粒子 3.0質量部
(Nipol MH5055;日本ゼオン(株)製、
平均粒径0.5μm、固形分濃度30質量%)
ゼラチン(10%水溶液) 25.0質量部
スチレン−ブタジエンラテックス 4.8質量部
(Nipol 2507H;日本ゼオン(株)製、Tg=58℃、
平均粒径250nm、固形分濃度52質量%)
水 47.2質量部
下引き層塗布液:
ポリビニルアルコール 5.0質量部
(ポバールPVA205、商品名、(株)クラレ製)
スチレンブタジエンゴムラテックス 60.0質量部
(SN−307、商品名、日本エイアンドエル(株)製、
固形分濃度48質量%)
水 35.0質量部
前記感熱転写シート2と得られた感熱転写受像シート12を組み合わせて実施例10の画像形成方法を実施した。比較例1と同様に評価を行い、得られた結果を下記表3に示した。
Figure 2010234538
表3の結果からも本発明は、転写濃度が高く、光沢ムラがかなり防止できていることがわかった。

Claims (3)

  1. 基材フィルム上に少なくとも1層の酸化チタン膜である下引き層を有し、該下引き層上の一部に染料層を有し、前記下引き層上の該染料層とは異なる部分に転写性保護層積層体を有する感熱転写シートと、
    支持体上に全重合モノマーの95モル%以上が塩化ビニルであるポリマーラテックスとポリエーテル変性シリコーンとを含有する少なくとも1層の受容層と、少なくとも1層の断熱層を有する感熱転写受像シートとを、
    該感熱転写シートの該染料層と該感熱転写受像シートの該受容層とが接するように重ね合わせ、
    加熱素子により画像記録し、
    さらに該加熱素子により前記転写性保護層積層体を前記受容層上に転写する画像形成方法。
  2. 前記全重合モノマーの95モル%以上が塩化ビニルであるポリマーラテックスが、酢酸ビニル、アクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸およびメタクリル酸エステルから選択されるモノマーの共重合ポリマーラテックス、あるいは、塩化ビニルのホモポリマーラテックスであることを特徴とする請求項1に記載の画像形成方法。
  3. 前記酸化チタン膜が、チタンアルコキシドまたはその加水分解物の重縮合反応生成物であることを特徴とする請求項1または2に記載の画像形成方法。
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