JP2009056734A - 感熱転写受像シート - Google Patents

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憲次 直井
Tomoyuki Koide
智之 小出
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Abstract

【課題】異なるプリント速度においても高濃度で画像欠陥の少ない良好な画像品質が得られる感熱転写受像シートを提供する。
【解決手段】断熱層と受容層を有する感熱転写受像シートであって、該断熱層の熱伝導率が0.06W/m・K以上0.30W/m・K以下であり、かつ下記一般式〔I〕で表される化合物を少なくとも1種以上含有する該受容層が、水系塗布で形成されてなる感熱転写受像シート。
Figure 2009056734

【選択図】なし

Description

本発明は、感熱転写受像シートおよびその製造方法に関し、詳しくはプリント速度によらず、高濃度、画像内の故障がない感熱転写受像シート。
従来、種々の熱転写記録方法が知られているが、中でも染料拡散転写記録方式は、銀塩写真の画質に最も近いカラーハードコピーが作製できるプロセスとして注目されている(例えば、非特許文献1及び2参照)。しかも、銀塩写真に比べて、ドライであること、デジタルデータから直接可視像化できる、複製作りが簡単であるなどの利点を持っている。
この染料拡散転写記録方式では、色素(以下、染料ともいう。)を含有する感熱転写シート(以下、単に転写シートまたはインクシートともいう。)と感熱転写受像シート(以下、単に受像シートともいう。)を重ね合わせ、次いで、電気信号によって発熱が制御されるサーマルヘッドによってインクシートを加熱することでインクシート中の色素を受像シートに転写して画像情報の記録を行うものであり、シアン、マゼンタ、イエローの3色あるいはこれにブラックを加えた4色を重ねて記録することで色の濃淡に連続的な変化を有するカラー画像を転写記録することができる。
この方式の受像シートの支持体には通常の紙を用いることができ、低コストで製造することができる。このような紙を支持体に用いた受像シートは、支持体のクッション性を補うために、通常、支持体と受容層との間にクッション性の高い層、例えば樹脂と発泡剤からなる発泡層を形成してクッション性を付与し、受像シートと転写シートとの密着性を高めている。また、この発泡層と受容層との間にさらに中間層を設けて、印字時の加熱により発泡層が潰れるのを防いでいる。しかし、従来の受像シートでは、この中間層を有機溶剤系の樹脂塗工液にて形成していたため、該塗工液が発泡層の気泡・空隙を潰してしまい、所望のクッション性が得られず画像形成の際に白抜けや濃度ムラが発生してしまったり、発泡層の断熱性が低下して染料の転写に必要な熱量が受像シートの裏面方向に拡散して印字時の感度の低下を招いたりするという問題があった。
これに対して、例えば特許文献1には、発泡層と受容層との間の中間層を水系の塗工液により形成し発泡層の微妙な凹凸をそのまま受容層の表面形状にすることが開示されているが、この方法では、支持体上に発泡層を塗布しこれを加熱乾燥させた後に受容層を塗布するため、受容層表面に凹凸が形成されるために画像欠陥が多く発生するだけでなく、感度も不十分でしかもコストが高いという問題があった。また、例えば特許文献2には中空の粒子と耐有機溶剤性の高分子を主成分とした中間層を支持体と受容層との間に形成することが開示されているが、この方法も同様に、中間層や樹脂層を塗布しこれを加熱乾燥させた後に受容層を塗布するため、受容層表面に凹凸が形成されるために画像欠陥が多く発生し、層間密着も十分ではないため扱い方によっては膜剥れが生じるという問題点があった。さらに、感度も不十分でしかもコストが高いという問題があった。
そこで、この感度の不足に対して、熱拡散率、又は熱伝導率の低い断熱層を用いることで、感度を向上させた検討も見られるが(特許文献3、4)、受容層を水系塗布で形成した受像シートにおいては、プリント速度が異なる場合に、著しくプリント濃度が異なったり、中間濃度域において、濃度ムラが起きるなど、新たな問題が発生していた。
特開平8−25813号公報 特開平11−321128号公報 特開2002−36741号公報 特開平6−55863号公報 「情報記録(ハードコピー)とその材料の新展開」,(株)東レリサーチセンター発行,1993年,p.241−285 「プリンター材料の開発」,(株)シーエムシー発行,1995年,p.180
本発明は、異なるプリント速度においても高濃度が得られ、画像欠陥の少ない感熱転写受像シートを与え、また、プリント速度によらず良好な画像品質が得られる優れたプリンター汎用性を有する感熱転写受像シートを提供することである。
本発明者らは鋭意検討を重ねた結果、下記手段で本発明の上記目的が達成できることを見出した。
(1)断熱層と受容層を有する感熱転写受像シートであって、該断熱層の熱伝導率が0.06W/m・K以上0.30W/m・K以下であり、かつ下記一般式〔I〕〜〔IV〕のいずれかで表される化合物を少なくとも1種以上含有する該受容層が、水系塗布で形成されてなることを特徴とする感熱転写受像シート。
Figure 2009056734
[一般式〔I〕中、R、Rは同じでも異なっていてもよく、水素原子、ヒドロキシ基、または炭素数1〜8のアルキル基を表す。Xは水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、アリール基、炭素数1〜8のアルキル基、低級アルケニル基、アラルキル基、アルコキシ基、−COR、−SO、またはN(R)Rを表し、R、Rは同じでも異なっていてもよく、水素原子、−OM、炭素数1〜8のアルキル基、低級アルコキシ基、またはN(R)Rを表す。
、Rは同じでも異なっていてもよく、水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、−COR、またはSO10を表わす。R、R10は同じでも異なっていてもよく、炭素数1〜8のアルキル基、またはN(R11)R12を表し、R、R、R11、R12は同じであっても異なっていてもよく、水素原子または炭素数1〜8のアルキル基を表す。
Mは、水素原子、アルカリ金属原子、または1価のカチオンを形成するに必要な原子群を表わし、lは2〜6の整数を表し、mは1〜4の整数を表し、nは6−mを表す。ただし、R、R、Xが複数存在する時はそれぞれが互いに異なっていてもよい。]
Figure 2009056734
[一般式〔II〕中、R13は水素原子、アルキル基、アルケニル基、アラルキル基、アリール基、複素環基、
Figure 2009056734
を表し、R14、R15は同じでも異なっていてもよく、水素原子、アルキル基、アリール基、シアノ基、複素環基、アルキルチオ基、アルキルスルホキシ基、またはアルキルスルホニル基を表し、R14とR15は互いに結合して芳香環を形成していても良い。
16、R17は同じでも異なっていてもよく、水素原子、アルキル基、アリール基、またはアラルキル基を表す。]
Figure 2009056734
[一般式〔III〕中、R18は水素原子、アルキル基、またはヒドロキシメチル基を表わし、R19は水素原子、またはアルキル基を表す。]
Figure 2009056734
[一般式〔IV〕式中、R20は低級アルキレン基を表し、Xは水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、ヒドロキシ基、シアノ基、炭素数1〜8のアルキル基、低級アルコキシ基、−COR21、−N(R22)R23、または−SOMを表し、R21は水素原子、−OM、炭素数1〜8のアルキル基、アリール基、アラルキル基、低級アルコキシ基、アリールオキシ基、アラルキルオキシ基、または−N(R24)R25を表す。
22、R23は同じでも異なっていてもよく、水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、アリール基、アラルキル基、−COR26、または−SO26を表し、互に同じであっても異なっていてもよく、R24、R25は同じでも異なっていてもよく、水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、アリール基、またはアラルキル基を表わし、R26は炭素数1〜8のアルキル基、アリール基、またはアラルキル基を表わし、Mは水素原子、アルカリ金属原子、または1価のカチオンを形成するに必要な原子群を表し、pは0または1を表わし、qは0〜5の整数を表わす。]
(2)前記受容層が、少なくとも1種のガラス転移温度(Tg)が295K以上350K以下の範囲の樹脂を含有することを特徴とする(1)に記載の感熱転写受像シート。
(3)前記断熱層の熱伝導率と前記受容層の少なくとも1種の樹脂のガラス転移温度(Tg)との積が、20W/m以上80W/m以下の範囲であることを特徴とする(1)または(2)に記載の感熱転写受像シート。
(4)前記断熱層が、ミクロボイドフイルムからなることを特徴とする(1)〜(3)のいずれか1項に記載の感熱転写受像シート。
(5)前記断熱層が、中空ポリマー粒子を含有することを特徴とする(1)〜(3)のいずれか1項に記載の感熱転写受像シート。
(6)前記断熱層が、少なくとも1種の水溶性樹脂を含有することを特徴とする(1)、(2)、(3)または(5)のいずれか1項に記載の感熱転写受像シート。
(7)前記断熱層と前記受容層が、水系同時重層塗布により形成されてなることを特徴とする(1)、(2)、(3)、(5)、(6)のいずれか1項に記載の感熱転写受像シート。
本発明により、異なるプリント速度においても高濃度が得られ、画像欠陥の少ない感熱受像シートを与え、また、プリント速度によらず良好な画像品質が得られる優れたプリンター汎用性を与える感熱転写受像シートを提供することができる。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の感熱転写受像シート(以下本発明の受像シートともいう)は、支持体上に少なくとも1層の受容層(染料受容層)を有し、支持体と受容層との間に少なくとも1層の断熱層(多孔質層)を有する。また、支持体と受容層との間に、例えば白地調整層、帯電調節層、接着層、プライマー層、下塗層などの中間層が形成されていてもよい。また、転写シートと重ね合わせられる面の最外層には、離型層が形成されてもよい。非発泡型の中空ポリマー粒子の製造方法は特に制限はなく、例えば、特開昭56−32513号公報、特開昭63−213509号公報、特開昭64−1704号公報、特開平3−26724号公報、特開平5−279409号公報、特開平6−248012号公報、特開平10−182761号公報等に記載された方法等が例示される。
(断熱層)
断熱層は、サーマルヘッド等を用いた加熱転写時において、インクシート(感熱インク転写シート)、及びインク受像シートを、インクが転写可能な温度域へするために設けられる層であり、これにより、支持体として紙を用いた場合であっても、印字感度の高い熱転写受像シートを得ることができる。断熱層は1層でも2層以上でも良い。断熱層は、受容層より支持体側に設けられる。
本発明の受像シートにおいて、断熱層は中空ポリマーを含有する層とするか、ミクロボイドを有するフイルムからなるのが好ましい。ここで、中空ポリマーとは粒子内部に独立した気孔を有するポリマー粒子であり、好ましくはポリマーラテックスであり、例えば、1)ポリスチレン、アクリル樹脂、スチレン−アクリル樹脂等により形成された隔壁内部に水などの分散媒が入っており、塗布乾燥後、粒子内の水が粒子外に蒸発して粒子内部が中空となる非発泡型の中空ポリマー粒子、2)ブタン、ペンタンなどの低沸点液体を、ポリ塩化ビニリデン、ポリアクリロニトリル、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸エステルのいずれか又はそれらの混合物もしくは重合物よりなる樹脂で覆っており、塗工後、加熱により粒子内部の低沸点液体が膨張することにより内部が中空となる発泡型マイクロバルーン、3)上記の2)をあらかじめ加熱発泡させて中空ポリマーとしたマイクロバルーンなどが挙げられる。
これらの中でも、1)の非発泡型の中空ポリマー粒子が好ましい。2)のマイクロバルーンは、塗布方式により断熱層を形成させた後、加熱等の方法によりマイクロバルーンを発泡させる必要があり、平滑な面の形成が困難になる。3)のあらかじめ過熱発泡させたマイクロバルーン内部に気体を含有しているため、塗布方式で製造する際に均一な塗布液を調整することが困難となり、やはり平滑な面の形成が困難になる。
これらの中空ポリマーの平均粒子径は0.1〜5.0μmであることが好ましく、0.2〜3.0μmであることがさらに好ましく、0.3〜2.0μmであることが特に好ましい。
このサイズが小さすぎると、中空率が下がる傾向があり望まれる断熱性が得られなくなり、サイズが大きすぎると、断熱層の膜厚に対して中空ポリマーの粒子径が大きすぎて平滑な面が得られにくくなり、粗大粒子に起因する塗布故障が発生しやすくなるためである。ここで、中空率とは、粒子一つの体積当たりの空隙の比率を表す。
また、中空ポリマー粒子は、中空率が20〜70%のものが好ましく、20〜50%のものがより好ましい。中空率が小さすぎると望まれる断熱性が得られなくなり、大きすぎると割れやすい中空ポリマー粒子および不完全な中空粒子の比率が増えて、印画欠陥が生じ、また、十分な膜強度が得られない。
本発明において、中空ポリマー粒子のサイズは、透過型電子顕微鏡を用いて、その外径の円相当換算直径を測定し算出する。平均粒径は、中空ポリマー粒子を少なくとも300個透過電子顕微鏡を用いて観察し、その外形の円相当径を算出し、平均して求める。
中空ポリマーは必要に応じて2種以上混合して使用することができる。前記1)の具体例としてはロームアンドハース社製ローペイク1055、大日本インキ社製ボンコートPP−1000、JSR社製SX866(B)、日本ゼオン社製ニッポールMH5055(いずれも商品名)などが挙げられる。前記2)の具体例としては松本油脂製薬社製のF−30、F−50(いずれも商品名)などが挙げられる。前記3)の具体例としては松本油脂製薬社製のF−30E、日本フェライト社製エクスパンセル461DE、551DE、551DE20(いずれも商品名)が挙げられる。断熱層に用いられる中空ポリマーはラテックス化されていてもよい。
本発明に用いる中空ポリマー粒子としては、非発泡型の中空ポリマー粒子が好ましく、中でもガラス転移温度(Tg)が受容層で用いる樹脂のポリマー、好ましくはラテックスポリマーのガラス転移温度よりも10℃(283.15K)以上高い中空ポリマーが好ましい。ガラス転移温度が低いと、塗布・乾燥工程後に十分な空隙率の中空ポリマー粒子が得られない。より具体的には、ガラス転移温度が70℃(343.15K)以上であることが好ましく、90℃(363.15K)以上である中空ポリマーが更に好ましく、110℃(383.15K)以上がより好ましい。ガラス転移温度の上限は200℃(473.15K)以下が好ましい。
中空ポリマーを含む断熱層中には、中空ポリマー以外に水分散型樹脂または水溶解型樹脂をバインダーとして含有することが好ましい。本発明で使用されるバインダーとしては、アクリル樹脂、スチレン−アクリル共重合体、ポリスチレン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、酢酸ビニル樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル酢酸ビニル共重合体、スチレンーブタジエン共重合体、ウレタン樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、セルロース誘導体、カゼイン、デンプン、ゼラチンなどの公知の樹脂を用いることができる。これらは、受容層の項で記載する水溶性ポリマーが好ましい。これらバインダーのなかで、ゼラチン、ポリビニルアルコール、スチレン−ブタジエン共重合体、ウレタン樹脂がこのましく、ゼラチン、ポリビニルアルコールがより好ましい。またこれらの樹脂は単独又は混合して用いることができる。
断熱層における中空ポリマーの固形分含有量は、バインダーの固形分含有量を100質量部としたとき5〜2000質量部の間であることが好ましい。また、中空ポリマーの固形分の塗工液に対して占める質量比は、1〜70質量%が好ましく、10〜40質量%がより好ましい。中空ポリマーの比率が少なすぎると十分な断熱性をえることができず、中空ポリマーの比率が多すぎると、バインダーが少ないために、耐擦過性の悪化、処理中に粉落ち、または膜はがれなどの問題を生じる。
断熱層の上記バインダーの塗工液に占める量は0.5〜14質量%が好ましく、1〜6質量%が特に好ましい。また、断熱層における前記中空ポリマーの塗布量は1〜100g/mが好ましく、5〜20g/mがより好ましい。
中空ポリマーを含む断熱層の厚みは5〜50μmであることが好ましく、5〜40μmであることがより好ましい。
一方、断熱層が、ミクロボイドを有するフイルムから形成されている場合も本発明の好ましい他の態様である。
このようなミクロボイドを有するフイルムとは、内部にミクロボイドを有するプラスチックフィルム又は合成紙が好ましい。内部にミクロボイドを含有させることにより、高い印字感度を得ることができる。プラスチックフィルムの材料としては、ポリエチレンテレフタレートまたはポリオレフィンを主体とする樹脂等が挙げられ、これらの樹脂を延伸・成膜してフィルムとしたものが好ましく、より好ましくは、高い柔軟性、クッション性そして断熱性を有するポリプロピレンを主体としたフィルムが好ましい。
該フィルム中にミクロボイドを生じさせる方法には次の二つがある。一つは、ポリマー中に無機微粒子を混練し、そのコンパウンドを延伸するときに無機微粒子を核としてミクロボイドを生じさせる方法である。もう一つは、主体とする樹脂に対して非相溶なポリマー(一種類でも複数でも良い)をブレンドしたコンパウンドを作成する。このコンパウンドは微視的にみるとポリマー同士が微細な海島構造を形成している。このコンパウンドを延伸すると海島界面の剥離または、島を形成するポリマーの大きな変形によって上記のようなミクロボイドが発生するものである。前者と後者とを比較した場合、後者の方が本発明に適した方法である。なぜなら、後者の方法は、混練を行うことにより、コンパウンド中の海島構造を極めて微細にすることができる。即ちコンパウンドの海島構造を微細にすることにより、延伸した際の気泡も微細にすることができる。したがって、後者の方法を用いた方が、プラスチックフィルムのクッション性と断熱性を向上させることができるのでより高い印字感度を得ることが可能となる。
ミクロボイドを有する層を構成する材料としては、ポリプロピレンを主体とし、それにポリエステルとイソプレンを加えたものが望ましい。上述の後者による方法でミクロボイドを有する層を形成する場合には、ポリプロピレンとポリエステルをブレンドしたものが公知である。この場合、ポリエステルが発泡剤の役割をする。しかし、この両者のみでは、充分に微細で緻密なミクロボイドを発生させることは難しい。イソプレンを加え得ることにより、更に微細で緻密なミクロボイドを発生させ、より高い印字感度を得ることができる。また、必要に応じて、若干の無機顔料や、蛍光増白剤等の添加剤を加えてもよい。
ミクロボイドを有するフイルムの厚みは20〜80μmであることが好ましく、25〜60μmであることがより好ましい。
本発明において、断熱層単層での熱伝導率は、0.06W/m・K以上であり、より好ましくは0.07W/m・K以上であり、0.08W/m・K以上がさらに好ましい。熱伝導率の上限は0.30W/m・K以下が好ましい。熱伝導率が0.06W/m・Kより低い場合には、印加総熱量が同じでも、低速でのプリント時に濃度ムラなどの異常転写が起きる。逆に、0.30W/m・Kより高くなると断熱性の低下により、プリント感度/濃度が著しく低下するため好ましくない。
本発明において、断熱層の熱伝導率は、下式(a)にて算出される値λである。
λ = α × C × ρ (a)
上記式(a)において、αは断熱層の熱拡散率、Cは断熱層の比熱、ρは断熱層の密度を表す。
断熱層の熱拡散率、比熱、密度は公知の方法及び市販の機器で測定することができる。例えば、熱拡散率はアルバック理工製TC−7000レーザーフラッシュ法測定装置、比熱はTA Instruments社製DSC2920で求めることができる。密度は試料の単位面積あたりの質量及び厚さから求めることができる。
(受容層)
受容層は、インクシートから移行してくる染料を受容し、形成された画像を維持する役割を果たす。本発明の受像シートは、少なくとも染料を受容し得る熱可塑性の受容ポリマーを有する少なくとも1層の受容層を有する。
しかも本発明においては、前述の一般式〔I〕〜〔IV〕のいずれかで表される化合物を少なくとも1種含有する。
本発明においては、受容層の少なくとも1層は水系塗布で塗設される。各層の塗布は、ロールコート、バーコート、グラビアコート、グラビアリバースコート、ダイコート、スライドコート、カーテンコート等の一般的な方法で行われる。受容層、断熱層、及びその他の層は、各層それぞれ別々に塗布されてもよく、任意の層を組み合わせて同時重層塗布をしてもよいが、同一面に塗布される層は、スライドコート、カーテンコート等の複数の層を同時重層塗布できる方法により同時重層塗布される方がより好ましい。
支持体の裏面側にはカール調整層、筆記層、帯電調整層が形成されていることが好ましい。支持体裏面側の各層の塗布は、ロールコート、バーコート、グラビアコート、グラビアリバースコート等の一般的な方法で行うことができる。
好ましい熱可塑性樹脂の例としては、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等のハロゲン化ポリマー、ポリ酢酸ビニル、エチレン酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル酢酸ビニル共重合体、塩化ビニルアクリル酸エステル共重合体、塩化ビニルメタクリル酸エステル共重合体、ポリアクリルエステル、ポリスチレン、ポリスチレンアクリル等のビニル系樹脂、ポリビニルホルマール、ポリビニルブチラール、ポリビニルアセタール等のアセタール系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリプチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、特開平4−296595号公報や特開2002−264543号公報に記載のセルロース系樹脂やセルロースアセテートブチレート(CAB551−0.2、CAB321−0.1、いずれも商品名、イーストマンケミカル社製)等のセルロース系樹脂、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、尿素樹脂・メラミン樹脂・ベンゾグアナミン樹脂等のポリアミド系樹脂等が挙げられる。これらの樹脂は、相溶する範囲内で任意にブレンドして用いることもできる。特開昭57−169370号、同57−207250号、同60−25793号の各公報等にも受容層を形成した樹脂が開示されている。
上記ポリマー中でもポリカーボネート、ポリエステル、ポリウレタン、ポリ塩化ビニルおよびその共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、ポリカプロラクトンまたはこれらの混合物を含有することが好ましく、ポリエステル、ポリ塩化ビニルおよびその共重合体またはこれらの混合物がさらに好ましい。
受容ポリマーはポリマーラテックスとして水溶性の分散媒中に分散して使用することが好ましい。更に、受容層は該ポリマーラテックス以外に水溶性ポリマーを含有することが好ましい。
ポリマーラテックスと水溶性ポリマーとを含有させることで、染料を染着し難い水溶性ポリマーをポリマーラテックス間に存在させ、ポリマーラテックスに染着した染料が拡散するのを防止することができ、この結果、受容層の経時による鮮鋭性の変化を少なくし、転写画像の経時変化が小さい記録画像を形成することができる。
受容層は、受容ポリマーのポリマーラテックス以外にも、例えば、膜の弾性率を調整するなどの目的で、他の機能を有するポリマーラテックスも併用して用いることができる。
また受容層には、紫外線吸収剤、離型剤、滑剤、酸化防止剤、防腐剤、界面活性剤、その他の添加物を含有させることができる。
<ポリマーラテックス>
本発明に用いられるポリマーラテックスについて説明する。受容層に用いるポリマーラテックスは水不溶な疎水性ポリマーが微細な粒子として水溶性の分散媒中に分散したものである。分散状態としてはポリマーが分散媒中に乳化されているもの、乳化重合されたもの、ミセル分散されたもの、あるいはポリマー分子中に部分的に親水的な構造を持ち分子鎖自身が分子状分散したものなどいずれでもよく、分散粒子の平均粒径は1〜50000nm、より好ましくは5〜1000nmの範囲が好ましい。
本発明に用いるポリマーラテックスのガラス転移温度(Tg)は、255〜350Kが好ましく、260〜350Kがより好ましく、265〜350Kが特に好ましい。
このガラス転移温度(Tg)は、セルシウス単位(℃)では下記式で計算することができ、適宜ケルビン(K=℃+273.15)に変換して用いることができる。
1/Tg=Σ(Xi/Tgi)
ここでは、ポリマーはi=1からnまでのn個のモノマー成分が共重合しているとする。Xiはi番目のモノマーの質量分率(ΣXi=1)、Tgiはi番目のモノマーの単独重合体のガラス転移温度(絶対温度)である。ただしΣはi=1からnまでの和をとる。尚、各モノマーの単独重合体ガラス転移温度の値(Tgi)は「Polymer Handbook(3rd Edition)」(J.Brandrup,E.H.Immergut著(Wiley−Interscience、1989))の値を採用できる。
本発明の感熱転写受像シートに用いるポリマーラテックスの好ましい態様としては、アクリル系ポリマー、ポリエステル類、ゴム類(例えばSBR樹脂)、ポリウレタン類、塩化ビニル酢酸ビニル共重合体、塩化ビニルアクリル酸エステル共重合体、塩化ビニルメタアクリル酸共重合体等の共重合体を含めたポリ塩化ビニル共重合体、エチレン酢酸ビニル共重合体等の共重合体を含めたポリ酢酸ビニル共重合体、ポリオレフィン等のポリマーラテックスを好ましく用いることができる。これらポリマーラテックスとしては直鎖のポリマーでも枝分かれしたポリマーでもまた架橋されたポリマーでもよいし、単一のモノマーが重合したいわゆるホモポリマーでもよいし、2種類以上のモノマーが重合したコポリマーでもよい。コポリマーの場合はランダムコポリマーでも、ブロックコポリマーでもよい。これらポリマーの分子量は数平均分子量で5000〜1000000が好ましく、より好ましくは10000〜500000である。
本発明のポリマーラテックスとしては、ポリエステルラテックス、塩化ビニル/アクリル化合物共重合体ラテックス、塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体ラテックス、塩化ビニル/酢酸ビニル/アクリル化合物共重合体ラテックス等の塩化ビニル共重合体ラテックスのいずれか1つまたは任意の組み合わせが好ましい。
このような塩化ビニル共重合体としては、前述のものが挙げられるが、なかでもビニブラン240、ビニブラン270、ビニブラン276、ビニブラン277、ビニブラン375、ビニブラン380、ビニブラン386、ビニブラン410、ビニブラン430、ビニブラン432、ビニブラン550、ビニブラン601、ビニブラン602、ビニブラン609、ビニブラン619、ビニブラン680、ビニブラン680S、ビニブラン681N、ビニブラン683、ビニブラン685R、ビニブラン690、ビニブラン860、ビニブラン863、ビニブラン685、ビニブラン867、ビニブラン900、ビニブラン938、ビニブラン950(以上いずれも日信化学工業(株)製)、SE1320、S−830(以上いずれも住友ケムテック(株)製)が好ましい。
また、ポリエステル系ラテックスとしては、バイロナール MD1200、バイロナール MD1220、バイロナール MD1245、バイロナール MD1250、バイロナール MD1500、バイロナール MD1930、バイロナール MD1985(以上いずれも東洋紡(株)製)が好ましい。
これらのなかでも、塩化ビニル/アクリル化合物共重合体ラテックス、塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体ラテックス、塩化ビニル/酢酸ビニル/アクリル化合物共重合体ラテックス等の塩化ビニル共重合体ラテックスがもっとも好ましい。
<水溶性ポリマー>
本発明の感熱転写受像シートにおいては、受容層は水溶性ポリマーを含有することも好ましい態様の一つである。
ここで、水溶性ポリマーとは、20℃における水100gに対し0.05g以上溶解すればよく、より好ましくは0.1g以上、さらに好ましくは0.5g以上、特に好ましくは1g以上である。水溶性ポリマーとしては、天然高分子、半合成高分子および合成高分子のいずれも好ましく用いられる。
本発明の感熱転写受像シートに用いることのできる水溶性ポリマーのうち、天然高分子および半合成高分子について詳しく説明する。植物系多糖類としては、κ−カラギーナン、ι−カラギーナン、λ−カラギーナン、ペクチンなど、微生物系多糖類としては、キサンタンガム、デキストリンなど、動物系天然高分子としては、ゼラチン、カゼインなどが挙げられる。セルロース系としては、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースなどが挙げられる。
本発明に用いることのできる天然高分子、半合成高分子のうちゼラチンが好ましい。本発明に用いるゼラチンは分子量10000〜1000000までのものを用いることができる。本発明に用いられるゼラチンはCl、SO 2−等の陰イオンを含んでいてもよいし、Fe2+、Ca2+、Mg2+、Sn2+、Zn2+などの陽イオンを含んでいても良い。ゼラチンは水に溶かして添加することが好ましい。
本発明の感熱転写受像シートに用いることのできる水溶性ポリマーのうち、合成高分子については、ポリビニルピロリドン、ポリビニルピロリドン共重合体、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、水溶性ポリエステルなどである。
本発明に用いることのできる合成高分子のうちポリビニルアルコール類が好ましい。
ポリビニルアルコールについては、完全けん化物、部分けん化物、変性ポリビニルアルコール等、各種ポリビニルアルコールを用いることができる。これらポリビニルアルコールについては、長野浩一ら共著,「ポバール」(高分子刊行会発行)に記載のものが用いられる。
ポリビニルアルコールは、その水溶液に添加する微量の溶剤あるいは無機塩類によって粘度調整をしたり粘度安定化させたりすることが可能であって、詳しくは上記文献、長野浩一ら共著,「ポバール」,高分子刊行会発行,144〜154頁記載のものを使用することができる。その代表例としてホウ酸を含有させることで塗布面質を向上させることができ、好ましい。ホウ酸の添加量は、ポリビニルアルコールに対し0.01〜40質量%であることが好ましい。
ポリビニルアルコールの具体例としては、完全けん化物としてはPVA−105、PVA−110、PVA−117、PVA−117Hなど、部分けん化物としてはPVA−203、PVA−205、PVA−210、PVA−220など、変性ポリビニルアルコールとしてはC−118、HL−12E、KL−118、MP−203が挙げられる。
ポリマーラテックスの添加量は、ポリマーラテックスの固形分が受容層中の全ポリマーの50〜98質量%であることが好ましく、70〜95質量%であることがより好ましい。
本発明の感熱転写受像シートでは受容層の少なくとも1層を水系の塗布液で塗布するものであるが、複数の受容層を有する場合、これらの全ての受容層を水系の塗布液を塗布後乾燥して調製することが好ましい。ただし、ここで言う「水系」とは塗布液の溶媒(分散媒)の60質量%以上が水であることをいう。塗布液の水以外の成分としてはメチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ジメチルホルムアミド、酢酸エチル、ジアセトンアルコール、フルフリルアルコール、ベンジルアルコール、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、オキシエチルフェニルエーテルなどの水混和性の有機溶媒を用いることができる。
本発明の感熱転写受像シートでは、受容層に一般式〔I〕〜〔IV〕で表される化合物を少なくとも1種以上含有させることが好ましい。以下、それぞれの一般式について詳細に説明する。
一般式〔I〕において、R、Rは同じでも異なっていてもよく水素原子、ヒドロキシ基、炭素数1〜8のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、イソプロピル基、tert−ブチル基)、を表わす。Xは水素原子、ハロゲン原子(例えば、塩素原子、臭素原子、フッ素原子)、ニトロ基、シアノ基、アリール基(例えば、フェニル基、ナフチル基)、炭素数1〜8のアルキル基(例えばメチル基、エチル基、n−ブチル基、tert−オクチル基)、低級アルケニル基(例えば、アリル基、プロペニル基)、アラルキル基(例えば、ベンジル基、フェネチル基)、アルコキシ基(例えば、メトキシ基、n−ブトキシ基、2−メトキシエトキシ基)、−COR、−SO、−N(R)Rを表し、R、Rは、水素原子、−OM、炭素数1〜8のアルキル基(例えばメチル基、n−ブチル基、tert−オクチル基)、低級アルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−ブトキシ基)、−N(R)Rを表す。R、Rは同じでも異なっていてもよく水素原子、炭素数1〜8のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、2−エチルヘキシル基)、−COR、−SO10を表わす。R、R10は炭素数1〜8のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、2−メトキシエチル基)、−N(R11)R12を表し、R、R、R11、R12は同じでも異なっていてもよく水素原子、炭素数1〜8のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、2−エチルヘキシル基)を表わす。Mは、水素原子、アルカリ金属(例えばナトリウム、カリウム)および、1価のカチオンを形成するに必要な原子群(例えば、アンモニウムカチオン、ホスホニウムカチオン)を表し、lは2〜6の整数を表し、mは1〜4の整数を表わし、nは6−mの整数を表わす。ただし、R、R、Xが複数存在する時はそれぞれが互いに異なっていてもよい。
上記一般式〔I〕で示される、l、R、Rで規定される炭素数1〜8のアルキル基、低級アルコキシ基の好ましい炭素数は2〜8の範囲のものである。次に一般式〔I〕で表される化合物の代表的具体例を示すが本発明に用いる一般式〔I〕の化合物はこれらに限定されるものではない。
さらに、上記一般式で好ましいのはl、R、Rで規定される炭素数1〜8のアルキル基、低級アルコキシ基の炭素数が2〜4の範囲で、Xは水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、R、Rは水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、mは1、2の整数であり、nは、4、5の整数で表わされる化合物である。
次に一般式〔I〕で表わされる化合物の代表的具体例を示すが本発明に用いる一般式〔I〕で表わされる化合物はこれらに限定されるものではない。なお、以下の例示化合物は、試薬として一般的に市販されており、容易に入手可能である。
Figure 2009056734
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次に一般式〔II〕の化合物について記述する。
12は水素原子、直鎖もしくは分岐鎖の置換または無置換のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、tert−ブチル基、n−オクタデシル基、2−ヒドロキシエチル基、2−カルボキシエチル基、2−シアノエチル基、スルホブチル基、N,N−ジメチルアミノエチル基)、置換または無置換の環状アルキル基(例えば、シクロヘキシル基、3−メチルシクロヘキシル基、2−オキソシクロペンチル基)、置換または無置換のアルケニル基(例えば、アリル基、メチルアリル基)、置換または無置換のアラルキル基(例えば、ベンジル基、p−メトキシベンジル基、o−クロロベンジル基、p−イソプロピルベンジル基)、置換または無置換のアリール基(例えば、フェニル基、ナフチル基、o−メチルフェニル基、m−ニトロフェニル基、3,4−ジクロロフェニル基)、複素環基(2−イミダゾリル基、2−フリル基、2−チアゾリル基、2−ピリジル基)、
Figure 2009056734
を表し、R14、R15は各々水素原子、置換または無置換のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、クロロメチル基、2−ヒドロキシエチル基、tert−ブチル基、n−オクチル基)、置換または無置換の環状アルキル基(例えば、シクロヘキシル基、2−オキソシクロペンチル基)、置換または無置換のアリール基(例えば、フェニル基、2−メチルフェニル基、3,4−ジクロロフェニル基、ナフチル基、4−ニトロフェニル基、4−アミノフェニル基、3−アセトアミドフェニル基)、シアノ基、複素環基(例えば、2−イミダゾリル基、2−チアゾリル基、2−ピリジル基)、置換または無置換のアルキルチオ基(例えば、メチルチオ基、2−シアノエチルチオ基、2−エトキシカルボニルチオ基)、置換または無置換のアリールチオ基(例えば、フェニルチオ基、2−カルボキシフェニルチオ基、p−メトキシフェニルチオ基)、置換または無置換のアルキルスルホキシ基(例えば、メチルスルホキシ基、2−ヒドロキシエチルスルホキシ基)、置換または無置換のアルキルスルホニル基(例えばメチルスルホニル基、2−ブロモエチルスルホニル基)を表わし、R14とR15は互に結合して芳香環(例えば、ベンゼン環、ナフタレン環)を形成してもよい。
16、R17は各々水素原子、置換または無置換のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、イソプロピル基、2−シアノエチル基、2−n−ブトキシカルボニルエチル基、2−シアノエチル基)、置換または無置換のアリール基(例えば、フェニル基、ナフチル基、2−メトキシフェニル基、m−ニトロフェニル基、3,5−ジクロロフェニル基、3−アセトアミドフェニル基)、置換または無置換のアラルキル基(例えば、ベンジル基、フェネチル基、p−イソプロピルベンジル基、o−クロロベンジル基、m−メトキシベンジル基)を表わす。
さらに、上記一般式〔II〕で好ましいのは、R13は、水素原子、炭素数1〜8のアルキル基を表わし、R14、R15は互いに結合して芳香環を形成する場合である。
次に一般式〔II〕で表わされる化合物の代表的具体例を以下に示すが、本発明に用いることができる一般式〔II〕で表される化合物はこれらに限定されるものではない。以下の化合物の一部は市販されており容易に入手することが可能であり、またフランス国特許1,555,416号公報に記載の合成法に準じて製造することができる。
Figure 2009056734
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次に一般式〔III〕の化合物について記述する。
18は水素原子、炭素数1〜8のアルキル基(例えばメチル基、エチル基、イソプロピル基)、ヒドロキシメチル基を表し、R19は水素原子、炭素数1〜8のアルキル基(例えば、メチル基、n−ブチル基、イソアミル基)を表わす。炭素数1〜8のアルキル基としては好ましくは炭素原子数1〜5、特に炭素数1のものがよい。
以下に一般式〔III〕で表される化合物の代表的具体例を示すが、本発明に用いることができる一般式〔III〕で表される化合物はこれらに限定されるものではない。
Figure 2009056734
これらの化合物の一部は三愛石油(株)から市販されている。また以下の文献を参考にして合成することができる。
(1)Henry Recuell des travaux chiniques des Rays−Bas,16,251.
(2)Mass.chemisches Zentralblatt.1899 I 179.
(3)E.Schmidt.Berichte der Deutchen Chemischen Gesellschaft 397.
(4)E,Schmidt.ibid.55 317.
(5)Henry Chemiches Zentrablatt.1897 II 388.
この場合III−1の合成は文献(1)、(2)ないし(3)、III−2の合成は文献(2)、III−3の合成は文献(5)、III−4の合成は文献(2)に従うのがよい。
次に一般式〔IV〕の化合物について記述する。
一般式〔IV〕において、R20は低級アルキレン基(例えば、エチレン基、プロピレン基、メチルエチレン基)を表し、特に炭素数1〜6のアルキレン基が好ましい。
Xはハロゲン原子(例えば、塩素原子、臭素原子、フッ素原子)、ニトロ基、ヒドロキシル基、シアノ基、炭素数1〜8のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、イソプロピル基、tert−ブチル基)、−COR21、−N(R22)R23、−SOMを表し、R21は水素原子、−OM、炭素数1〜8のアルキル基(例えばメチル基、n−ブチル基、tert−オクチル基)、アリール基(例えば、フェニル基、4−クロロフェニル基、3−ニトロフェニル基)、アラルキル基(例えば、ベンジル基、p−イソプロピルベンジル基、o−メチルベンジル基)、低級アルコキシ基(例えば、メトキシ基、n−ブトキシ基、2−メトキシエトキシ基)、アリールオキシ基(例えば、フェノキシ基、ナフトキシ基、4−ニトロフェノキシ基)、アラルキルオキシ基(例えば、ベンジルオキシ基、p−クロロベンジルオキシ基、−N(R24)R25を表す。
22、R23は各々、水素原子、炭素数1〜8のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、2−エチルヘキシル基)、アリール基(例えば、フェニル基、ナフチル基、2−メトキシフェニル基、3−アセトアミドフェニル基)、アラルキル基(例えば、ベンジル基、o−クロロベンジル基)、−COR26、−SO26を表わし、互に同じであっても異なっていてもよく、R24、R25は各々水素原子、炭素数1〜8のアルキル基(例えば、メチル基、イソプロピル基、2−シアノエチル基)、アリール基(例えば、フェニル基、4−エトキシカルボニルフェニル基、3−ニトロフェニル基)、アラルキル基(例えば、ベンジル基、p−クロロベンジル基)を表し、互に同じであっても異なっていてもよく、R26は炭素数1〜8のアルキル基(例えば、エチル基、2−メトキシエチル基、2−ヒドロキシエチル基)、アリール基(例えば、フェニル基、ナフチル基、4−スルホフェニル基、4−カルボキシフェニル基)を表し、Mは水素原子、アルカリ金属原子(例えば、ナトリウム、カリウム)および1価のカチオン形成するに必要な原子群(例えば、アンモニウムカチオン、ホスホニウムカチオン)を表わし、pは0または1を表わし、qは0または1から5までの整数を表わす。
上記一般式〔IV〕で記述される炭素数1〜8のアルキル基、低級アルコキシ基の好ましい炭素数は1〜8である。さらに好ましくは、R20は、炭素数1〜3のアルキル基、Xは、炭素数1〜8のアルキル基、pは1、qは、0または1で表される化合物である。次に一般式〔IV〕で表わされる化合物の代表的具体例を示すが、本発明で用いることができる一般式〔IV〕で表される化合物はこれらに限定されるものではない。以下の例示化合物の大部分は試薬として市販されており、容易に入手することが可能であり、また既存の合成法で容易に合成することも可能である。例えば、J.Am.Chem.Soc.,第41巻、669頁(1919)に記載の方法でm=1の化合物の一部は容易に合成することが可能である。
Figure 2009056734
Figure 2009056734
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これらの化合物は、受容層に含有させても良いし、断熱層が水系塗布の場合は断熱層に含有させても良く、断熱層が水系塗布の場合には受容層と断熱層の両方に含有させても良い。
一般式〔I〕〜〔IV〕で示される化合物の添加量は、塗布後の固形分換算で、0.01質量%〜1質量%が好ましく、より好ましくは0.02質量%〜0.5質量%であり、更に好ましくは0.03質量%〜0.1質量%である。添加量が0.01質量%未満となると、添加効果が発揮できず、1質量%より多くなると、プリント時の感度低下やDmax低下を引き起こすため好ましくない。
(紫外線吸収剤)
本発明の感熱転写受像シートには、紫外線吸収剤を含有させてもよい。その紫外線吸収剤としては、従来公知の無機系紫外線吸収剤、有機系紫外線吸収剤が使用できる。有機系紫外線吸収剤としては、サリシレート系、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、トリアジン系、置換アクリロニトリル系、ヒンダートアミン系等の非反応性紫外線吸収剤や、これらの非反応性紫外線吸収剤に、例えば、ビニル基やアクリロイル基、メタアクリロイル基等の付加重合性二重結合、あるいは、アルコール性水酸基、アミノ基、カルボキシル基、エポキシ基、イソシアネート基等を導入し、アクリル樹脂等の熱可塑性樹脂に共重合若しくは、グラフトしたものを使用することができる。また、樹脂のモノマーまたはオリゴマーに紫外線吸収剤を溶解させた後、このモノマーまたはオリゴマーを重合させる方法が開示されており(特開2006−21333号公報)、こうして得られた紫外線遮断性樹脂を用いることもできる。この場合には紫外線吸収剤は非反応性のもので良い。
これら紫外線吸収剤に中でも、特にベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、トリアジン系が好ましい。これら紫外線吸収剤は画像形成に使用する染料の特性に応じて、有効な紫外線吸収波長域をカバーするように組み合わせて使用することが好ましく、また、非反応性紫外線吸収剤の場合には紫外線吸収剤が析出しないように構造が異なるものを複数混合して用いることが好ましい。
紫外線吸収剤の市販品としては、チヌビン−P(チバガイギー製)、JF−77(城北化学製)、シーソープ701(白石カルシウム製)、スミソープ200(住友化学製)、バイオソープ520(共同薬品製)、アデカスタブLA−32(旭電化製)等が挙げられる。
<離型剤>
本発明の感熱転写受像シートには、画像印画時の感熱転写シートと受像シートとの離型性を確保するために離型剤を添加してもよい。
離型剤としては、例えば、ポリエチレンワックス、パラフィンワックス、脂肪酸エステルワックス、アミドワックス等の固形ワックス類、シリコーンオイル、リン酸エステル系化合物、フッ素系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤およびその他当該技術分野で公知の離型剤を使用することができる。これらの中で、脂肪酸エステルワックス、フッ素系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤、シリコーンオイルおよび/またはその硬化物等のシリコーン系化合物が好ましく用いられる。
<界面活性剤>
また、本発明の感熱転写受像シートは、前記の任意の層に界面活性剤を含有させることが出来る。その中でも、受容層及び中間層中に含有させることが好ましい。
界面活性剤の添加量は、全固形分量に対して0.01〜5質量%であることが好ましく、0.01〜1質量%であることがより好ましく、0.02〜0.2質量%であることが特に好ましい。
界面活性剤としては、アニオン系、ノニオン系、カチオン系など種々の界面活性剤が知られている。本発明で用いることのできる界面活性剤としては、公知のものが使用でき、例えば、「機能性界面活性剤監修/角田光雄、発行/2000年8月、第6章」で紹介されているもの等を用いることができるが、その中でもアニオン系のフッ素含有界面活性剤が好ましい。
<マット剤>
本発明の感熱転写受像シートにおいて、ブロッキング防止、離型性付与、滑り性付与のためにマット剤を添加しても良い。マット剤は感熱転写受像シートの受容層が塗布される面、受容層が塗布される他方の面、あるいはその両方の面に添加することができる。
マット剤は、一般に水に不溶の有機化合物の微粒子、無機化合物の微粒子を挙げることができるが、本発明では、分散性の観点から、有機化合物を含有する微粒子が好ましい。有機化合物を含有していれば、有機化合物単独からなる有機化合物微粒子であっても良いし、有機化合物だけでなく無機化合物をも含有した有機/無機複合微粒子であっても良い。マット剤の例としては、例えば米国特許第1,939,213号、同2,701,245号、同2,322,037号、同3,262,782号、同3,539,344号、同3,767,448号等の各明細書に記載の有機マット剤を用いることができる。
受容層の塗布量は、0.5〜10g/m(固形分換算、以下本発明における塗布量は特に断りのない限り、固形分換算の数値である。)が好ましい。受容層の膜厚は1〜20μmであることが好ましい。
(中間層)
受容層と支持体との間には中間層(断熱層以外の中間層)が形成されていてもよく、中間層の機能としては白地調整、帯電防止、接着性付与、平滑性付与などが挙げられるが、これらに限定されることなく、従来公知の中間層を付与することができる。
<支持体>
本発明の感熱転写受像シートに用いる支持体は、従来公知の支持体を用いることができる。その中でも耐水性支持体が好ましく用いられる。耐水性支持体を用いることで支持体中に水分が吸収されるのを防止して、受容層の経時による性能変化を防止することができる。耐水性支持体としては例えばコート紙やラミネート紙、合成紙を用いることができる。なかでもラミネート紙が好ましい。
<カール調整層>
本発明に用いる感熱転写受像シートには、必要に応じてカール調整層を形成することが好ましい。カール調整層には、ポリエチレンラミネートやポリプロピレンラミネート等が用いられる。具体的には、例えば特開昭61−110135号公報、特開平6−202295号公報などに記載されたものと同様にして形成することができる。
<筆記層・帯電調整層>
本発明に用いる感熱転写受像シートには、必要に応じて筆記層・帯電調整層を設けることができる。筆記層、帯電調整層には、無機酸化物コロイドやイオン性ポリマー等を用いることができる。帯電防止剤として、例えば第四級アンモニウム塩、ポリアミン誘導体等のカチオン系帯電防止剤、アルキルホスフェート等のアニオン系帯電防止剤、脂肪酸エステル等のノニオン系帯電防止剤など任意のものを用いることができる。具体的には、例えば特許第3585585号公報などに記載されたものと同様にして形成することができる。
本発明の感熱転写受像シートは、各層をロールコート、バーコート、グラビアコート、グラビアリバースコート等の一般的な方法で塗布し、これを乾燥させることで作製することができる。
また、本発明の感熱転写受像シートは、受容層および断熱層を支持体上に同時重層塗布することでも形成することができる。
支持体上に複数の機能の異なる複数の層(気泡層、断熱層、中間層、受容層など)からなる多層構成の受像シートを製造する場合、特開2004−106283号、同2004−181888号、同2004−345267号等の各公報に示されている如く各層を順次塗り重ねていくか、あらかじめ各層を支持体上に塗布したものを張り合わせることにより製造することが知られている。一方、写真業界では例えば複数の層を同時に重層塗布することにより生産性を大幅に向上させることが知られている。例えば米国特許第2,761,791号、同第2,681,234号、同第3,508,947号、同第4,457,256号、同第3,993,019号、特開昭63−54975号、特開昭61−278848号、同55−86557号、同52−31727号、同55−142565号、同50−43140号、同63−80872号、同54−54020号、特開平5−104061号、同5−127305号、特公昭49−7050号の公報または明細書やEdgar B. Gutoffら著,「Coating and Drying Defects:Troubleshooting Operating Problems」,John Wiley&Sons社,1995年,101〜103頁などに記載のいわゆるスライド塗布(スライドコーティング法)、カーテン塗布(カーテンコーティング法)といわれる方法が知られている。
本発明では、上記同時重層塗布を多層構成の受像シートの製造に用いることにより、生産性を大幅に向上させると同時に高速、低速プリント時の濃度差、画像均一性を大幅に向上させることができる。
以下、本発明を実施例に基づき更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例中で、部または%とあるのは、特に断りのない限り質量基準である。
(熱転写シートの作製)
支持体として片面に易接着処理がされている厚さ6.0μmのポリエステルフィルム(ダイアホイルK200E−6F、商品名、三菱化学ポリエステルフィルム(株)製)の易接着処理がされていない面に、乾燥後の固形分塗布量が1g/mとなるように背面層塗工液を塗布した。乾燥後、60℃で熱処理を行い硬化させた。
このようにして作製したポリエステルフィルムの易接着層塗布側に前記塗工液により、イエロー、マゼンタ、シアンの各感熱転写層および転写性保護層積層体を面順次となるように塗布した感熱転写シートを作製した。各染料層の固形分塗布量は、0.8g/mとした。
なお、転写性保護層積層体の形成は、離型層用塗工液を塗布し、乾燥した後に、その上に保護層用塗工液を塗布し、乾燥した後に、さらにその上に接着層塗工液を塗布した。
背面層塗工液
アクリル系ポリオール樹脂 25.9質量部
(アクリディックA−801、商品名、大日本インキ化学工業(株)製)
ステアリン酸亜鉛 0.43質量部
(SZ−2000、商品名、堺化学工業(株)製)
リン酸エステル 1.27質量部
(プライサーフA217、商品名、第一工業製薬(株)製)
イソシアネート(50%溶液) 8.0質量部
(バーノックD−800、商品名、大日本インキ化学工業(株)製)
メチルエチルケトン/トルエン(質量比2/1) 65質量部
イエロー染料層塗工液
染料化合物(Y−1) 3.9質量部
染料化合物(Y−2) 3.9質量部
ポリビニルアセタール樹脂 6.2質量部
(エスレックKS−1、商品名、積水化学工業(株)製)
ポリビニルブチラール樹脂 2.2質量部
(デンカブチラール#6000−C、商品名、電気化学工業(株)製)
離型剤 0.05質量部
(X−22−3000T、商品名、信越化学工業(株)製)
離型剤 0.03質量部
(TSF4701、商品名、モメンティブ・パフォーマンス・
マテリアルズ・ジャパン合同会社製)
マット剤 0.15質量部
(フローセンUF、商品名、住友精工(株)製)
メチルエチルケトン/トルエン(質量比2/1) 83.8質量部
Figure 2009056734
マゼンタ染料層塗工液
染料化合物(M−1) 0.1質量部
染料化合物(M−2) 0.7質量部
染料化合物(M−3) 6.6質量部
ポリビニルアセタール樹脂 8.1質量部
(エスレックKS−1、商品名、積水化学工業(株)製)
ポリビニルブチラール樹脂 0.2質量部
(デンカブチラール#6000−C、 商品名、電気化学工業(株)製)
離型剤 0.05質量部
(X−22−3000T, 商品名、信越化学工業(株)製)
離型剤 0.03質量部
(TSF4701、商品名、モメンティブ・パフォーマンス・
マテリアルズ・ジャパン合同会社製)
マット剤 0.15質量部
(フローセンUF、商品名、住友精工(株)製)
メチルエチルケトン/トルエン(質量比2/1) 83.9質量部
Figure 2009056734
シアン染料層塗工液
染料化合物(C−1) 1.2質量部
染料化合物(C−2) 6.6質量部
ポリビニルアセタール樹脂 7.5質量部
(エスレックKS−1、商品名、積水化学工業(株)製)
ポリビニルブチラール樹脂 0.8質量部
(デンカブチラール#6000−C、商品名、電気化学工業(株)製)
離型剤 0.05質量部
(X−22−3000T、商品名、信越化学工業(株)製)
離型剤 0.03質量部
(TSF4701、商品名、モメンティブ・パフォーマンス・
マテリアルズ・ジャパン合同会社製)
マット剤 0.15質量部
(フローセンUF、商品名、住友精工(株)製)
メチルエチルケトン/トルエン(質量比2/1) 83.9質量部
Figure 2009056734
(転写性保護層積層体)
染料層の作製に使用したものと同じポリエステルフィルムに、以下に示す組成の離型層,保護層および接着層用塗工液を塗布し、転写性保護層積層体を形成した。乾膜時の塗布量は離型層0.3g/m、保護層0.5g/m、接着層2.2g/mとした。
離型層塗工液
変性セルロース樹脂 4.9質量部
(L−30、商品名、ダイセル化学)
メチルエチルケトン 95.1質量部
保護層塗工液
アクリル樹脂溶液(固形分40%) 90.1質量部
(UNO−1、商品名、岐阜セラミック(有)製)
メタノール/イソプロパノール(質量比1/1) 9.9質量部
アクリル樹脂 25.1質量部
(ダイアナールBR−77、商品名、三菱レイヨン(株)製)
下記紫外線吸収剤UV−1 1質量部
下記紫外線吸収剤UV−2 2質量部
下記紫外線吸収剤UV−3 1質量部
下記紫外線吸収剤UV−4 1質量部
PMMA微粒子(ポリメチルメタクリレート微粒子) 0.4質量部
メチルエチルケトン/トルエン(質量比2/1) 69.9質量部
Figure 2009056734
(感熱転写受像シートの作製)
ポリエチレンで両面ラミネートした紙支持体表面に、コロナ放電処理を施した後、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムを含むゼラチン下塗層を設けた。この上に、下記組成の下引き層、断熱層、受容層下層、受容層上層を支持体側からこの順に積層させた状態で、米国特許第2,761,791号明細書に記載の第9図に例示された方法により、同時重層塗布を行った(試料No.101〜125)。一方、下記塗工液をミクロボイドフイルムで形成したシート上に塗布して作製した試料を、試料No.126とした。それぞれの乾燥時の塗布量が下引き層:6.7g/m、断熱層:8.7g/m、受容層下層:2.6g/m、受容層上層:2.7g/mとなるように塗布を行った。また、下記の組成は、固形分としての質量部を表す。
(水系受容層の作製)
(受容層上層)
塩化ビニル系ラテックス 24.4質量部
(ビニブラン900、商品名、日信化学工業(株)製)
ゼラチン(10%水溶液) 5.0質量部
下記エステル系ワックスEW−1 2.0質量部
下記界面活性剤F−1 0.07質量部
下記界面活性剤F−2 0.36質量部
II−25で表される添加物 0.03質量部
Figure 2009056734
(受容層下層)
塩化ビニル系ラテックス 12.1質量部
(ビニブラン690、商品名、日信化学工業(株)製)
塩化ビニル系ラテックス 12.1質量部
(ビニブラン900、商品名、日信化学工業(株)製)
ゼラチン(10%水溶液) 21.0質量部
界面活性剤F−1 0.04質量部
II−25で表される添加物 0.03質量部
受容層上層の塩化ビニル系ラテックスは、下記表1に示したものを用いた。ビニブラン900を用いた試料に変えて、乾燥後の固形分重量が同じになるようにして、各塩化ビニル系ラテックス塗布液を作製し、塗布を行った。塩化ビニル系ラテックス5は、従来公知の方法により作製した。ステンレス製の耐圧容器に、イオン交換水を170質量部、ラウリル硫酸ナトリウム3.0質量部入れ、窒素ガスによる置換を30分行った後、塩化ビニルモノマーを添加し45℃まで昇温し、その後過硫酸アンモニウムを0.2質量部加え、攪拌を2時間行い、重合を完結させ、その後アンモニアにてpHを7.5とした後、スミライザーGPを0.01質量部添加し、塩化ビニルラテックスを作製した。得られた塩化ビニルラテックスの樹脂のTgは、354Kであった。各ラテックス中に含まれる樹脂のTgは、熱重量示差熱分析装置(SII製 TG−DTA 320)にて測定を行った。
Figure 2009056734
(断熱層)
中空ポリマー粒子ラテックス 60.1質量部
(MH5055、商品名、日本ゼオン(株)製)
ゼラチン(10%水溶液) 260.0質量部
断熱層の熱伝導率は、ゼラチンと中空ポリマー粒子ラテックスの含有比率を変更することにより行い、熱伝導率が0.05W/m・Kから、0.26W/m・Kの5種の断熱層を作製した。断熱層の熱拡散率はアルバック理工製TC−7000レーザーフラッシュ法測定装置、比熱はTA Instruments社製DSC2920で求め、密度は試料の単位面積あたりの質量及び厚さから算出した。
(下引き層)
ポリビニルアルコール 6.7質量部
(ポバールPVA205、商品名、(株)クラレ製)
スチレンブタジエンゴムラテックス 60.1質量部
(SN−307、商品名、日本エイ アンド エル(株)製)
界面活性剤F−1 0.03質量部
また、ミクロボイドフイルムで断熱層を形成する場合は、上記支持体に対し、トヨパール(東洋紡製、厚さ50μm)を貼り付けて作製した。このとき、下引き層は塗工せず、直接上記支持体へ貼り付けを行った。
(溶剤系受容層の作製)
下記組成の液を作製し、受容層5.3g/mとなるように断熱層上へ塗布を行い、乾燥は各層110℃、30秒間行った。試料No.113に対して、受容層を下記塗工液で形成した試料No.128とした。また、試料No.126に対して、受容層を下記塗工液で形成した試料をNo.127とした。
受容層
塩化ビニル系樹脂 100質量部
(No.113で使用したラテックスを乾燥したもの)
アミノ変性シリコーン 5質量部
(信越化学工業(株)製、商品名、X22−3050C)
エポキシ変性シリコーン 5質量部
(信越化学工業(株)製、商品名、X22−3000E)
メチルエチルケトン/トルエン(質量比1/1) 400質量部
(画像形成)
上記インクシート、受像シートを用いて、熱転写型プリンターA(ASK2000 富士フイルム(株)製)又は熱転写型プリンターB(特開平5−278247号公報の図6に記載のプリンター)により152mm×102mmサイズ画像の出力を行った。なお、プリンターAの搬送速度は8秒/1枚であった。熱転写型プリンターBは、画像形成時の感熱転写受像シートの搬送速度を5秒/1枚(高速)、50秒/1枚(低速)に設定してプリントを行った。この際、熱転写型プリンターAでプリントした時と同等の総熱量を与えるようサーマルヘッドの発熱量を調節した。
(性能評価)
下記項目について性能評価を行った。
(Dmax)
黒ベタ画像をプリンターAで出力し最大発色濃度の測定を行った。ビジュアル濃度測定を行いその値を試料No.101に対する相対値を表に示した。この値が大きいほど画像の締まりが増し好ましい。ビジュアル濃度はPhotographic Densitometer(X−Rite incorporated社製、商品名)で測定した。
(ΔDmax)
黒ベタ画像をプリンターB(高速、低速)で出力し最大発色濃度の測定を行った。ビジュアル濃度測定を行い、高速プリント時と、低速プリント時の値の差の絶対値を下記表1に示した。この値が小さいほどプリント速度によらず、一定の濃度の画像を得ることができ好ましい。ビジュアル濃度はPhotographic Densitometer(X−Rite incorporated社製、商品名)で測定した。
(画像均一性、画像乱れ)
ビジュアル濃度1.0のプリントをプリンターB(高速、低速)で連続30枚出力し、印画したプリントのカスレ、濃度ムラなどの発生の有無を目視観察し、下記基準に従って画像の均一性を評価した。本評価を20人の評価者によって行い、その平均値を求めた。
5: プリントに画像乱れが全く確認できない
4: プリントに画像乱れをほぼ確認できない
3: プリントに画像乱れが認められるが、実用上問題ないレベルである
2: プリントに画像乱れが散発しており、実用上問題のあるレベルである
1: プリントに画像乱れが多く、印画画像の認識に支障をきたすレベルである
結果を下記表2に示す。
Figure 2009056734
表1の結果から明らかなように、本発明の受像シートは、Dmaxの低下を抑えつつ、比較例に対し、高速、低速プリント時の濃度差が小さく、また、低速プリント時での画像均一性に優れることがわかる。また、本発明において、水系同時重層塗布を行って、断熱層に中空ポリマーを使用した場合に、特に濃度差、画質均一性が優れることがわかった。

Claims (7)

  1. 断熱層と受容層を有する感熱転写受像シートであって、該断熱層の熱伝導率が0.06W/m・K以上0.30W/m・K以下であり、かつ下記一般式〔I〕〜〔IV〕のいずれかで表される化合物を少なくとも1種以上含有する該受容層が、水系塗布で形成されてなることを特徴とする感熱転写受像シート。
    Figure 2009056734
    [一般式〔I〕中、R、Rは同じでも異なっていてもよく、水素原子、ヒドロキシ基、または炭素数1〜8のアルキル基を表す。Xは水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、アリール基、炭素数1〜8のアルキル基、低級アルケニル基、アラルキル基、アルコキシ基、−COR、−SO、またはN(R)Rを表し、R、Rは同じでも異なっていてもよく、水素原子、−OM、炭素数1〜8のアルキル基、低級アルコキシ基、またはN(R)Rを表す。
    、Rは同じでも異なっていてもよく、水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、−COR、またはSO10を表わす。R、R10は同じでも異なっていてもよく、炭素数1〜8のアルキル基、またはN(R11)R12を表し、R、R、R11、R12は同じであっても異なっていてもよく、水素原子または炭素数1〜8のアルキル基を表す。
    Mは、水素原子、アルカリ金属原子、または1価のカチオンを形成するに必要な原子群を表わし、lは2〜6の整数を表し、mは1〜4の整数を表し、nは6−mを表す。ただし、R、R、Xが複数存在する時はそれぞれが互いに異なっていてもよい。]
    Figure 2009056734
    [一般式〔II〕中、R13は水素原子、アルキル基、アルケニル基、アラルキル基、アリール基、複素環基、
    Figure 2009056734
    を表し、R14、R15は同じでも異なっていてもよく、水素原子、アルキル基、アリール基、シアノ基、複素環基、アルキルチオ基、アルキルスルホキシ基、またはアルキルスルホニル基を表し、R14とR15は互いに結合して芳香環を形成していても良い。
    16、R17は同じでも異なっていてもよく、水素原子、アルキル基、アリール基、またはアラルキル基を表す。]
    Figure 2009056734
    [一般式〔III〕中、R18は水素原子、アルキル基、またはヒドロキシメチル基を表わし、R19は水素原子、またはアルキル基を表す。]
    Figure 2009056734
    [一般式〔IV〕式中、R20は低級アルキレン基を表し、Xは水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、ヒドロキシ基、シアノ基、炭素数1〜8のアルキル基、低級アルコキシ基、−COR21、−N(R22)R23、または−SOMを表し、R21は水素原子、−OM、炭素数1〜8のアルキル基、アリール基、アラルキル基、低級アルコキシ基、アリールオキシ基、アラルキルオキシ基、または−N(R24)R25を表す。
    22、R23は同じでも異なっていてもよく、水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、アリール基、アラルキル基、−COR26、または−SO26を表し、互に同じであっても異なっていてもよく、R24、R25は同じでも異なっていてもよく、水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、アリール基、またはアラルキル基を表わし、R26は炭素数1〜8のアルキル基、アリール基、またはアラルキル基を表わし、Mは水素原子、アルカリ金属原子、または1価のカチオンを形成するに必要な原子群を表し、pは0または1を表わし、qは0〜5の整数を表わす。]
  2. 前記受容層が、少なくとも1種のガラス転移温度(Tg)が295K以上350K以下の範囲の樹脂を含有することを特徴とする請求項1に記載の感熱転写受像シート。
  3. 前記断熱層の熱伝導率と前記受容層の少なくとも1種の樹脂のガラス転移温度(Tg)との積が、20W/m以上80W/m以下の範囲であることを特徴とする請求項1または2に記載の感熱転写受像シート。
  4. 前記断熱層が、ミクロボイドフイルムからなることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の感熱転写受像シート。
  5. 前記断熱層が、中空ポリマー粒子を含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の感熱転写受像シート。
  6. 前記断熱層が、少なくとも1種の水溶性樹脂を含有することを特徴とする請求項1、2、3または5のいずれか1項に記載の感熱転写受像シート。
  7. 前記断熱層と前記受容層が、水系同時重層塗布により形成されてなることを特徴とする請求項1、2、3、5、6のいずれか1項に記載の感熱転写受像シート。
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