JP2009178936A - 感熱転写画像形成方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】支持体の一方の面に断熱層と受容層を有する感熱転写受像シートの受容層側と、支持体の一方の面に染料を含有する感熱転写層を有し、支持体のもう一方の面に耐熱滑性層を有する感熱転写シートの熱転写層側とを重ね合わせて、該感熱転写シートの耐熱滑性層の側からサーマルヘッドを接触させ、かつ該サーマルヘッドと該感熱転写シートとの相対速度が60mm/秒以上で移動しながら該サーマルヘッドから該感熱転写シートに熱が印加されることにより該感熱転写シートの熱転写層中の染料を該感熱転写受像シートの受容層に転写して画像を形成する画像形成方法であって、該感熱転写受像シートが、該断熱層に中空ポリマーを含有し、かつ該受容層および断熱層のいずれかに水溶性ポリマーを含有し、該感熱転写シートが、該耐熱滑性層に無機粒子を耐熱滑性層の総固形分質量に対して0.01質量%から5質量%含有し、該無機粒子が、モース硬度が3〜6の範囲、平均粒子径が0.3μm〜5μm、かつ個々の無機粒子において最大巾の球相当径に対する比が1.5〜50であり、該サーマルヘッドに0.7J/cm2のエネルギーを印加した場合の該サーマルヘッドと該耐熱滑性層の接触距離が350μm〜450μmである画像形成方法。
【選択図】 なし
Description
この染料拡散転写記録方式では、染料を含有する感熱転写シート(以下、インクシートともいう。)と感熱転写受像シート(以下、受像シートともいう。)とを重ね合わせ、次いで、電気信号によって発熱が制御されるサーマルヘッドによってインクシートを加熱することでインクシート中の染料を感熱転写受像シートに転写して画像情報の記録を行うものであり、シアン、マゼンタ、イエローの3色を重ねて記録することで色の濃淡に連続的な変化を有するカラー画像を転写記録することができる。
このため、断熱層は、例えば中空粒子を使用し、該中空粒子による効果的な断熱効果とクッション性を高めるため工夫が各種提案されている(例えば特許文献1〜3参照)。
一方、インクシートは、支持体の染料を含有する熱転写層側とは反対の支持体面、いわゆるバック面に耐熱滑性層を設けることもでき、該耐熱滑性層に無機フィラーを含有させることが知られている(例えば特許文献4参照)。
しかしながら、近年の高速プリントでは、必ずしも安定に高画質プリントが得られるものでなく、高速プリントに適した画像形成方法の開発が望まれていた。
(1)支持体の一方の面に断熱層と受容層を有する感熱転写受像シートの受容層側と、支持体の一方の面に染料を含有する感熱転写層を有し、支持体のもう一方の面に耐熱滑性層を有する感熱転写シートの熱転写層側とを重ね合わせて、該感熱転写シートの耐熱滑性層の側からサーマルヘッドを接触させ、かつ該サーマルヘッドと該感熱転写シートとの相対速度が60mm/秒以上で移動しながら該サーマルヘッドから該感熱転写シートに熱が印加されることにより該感熱転写シートの熱転写層中の染料を該感熱転写受像シートの受容層に転写して画像を形成する画像形成方法であって、
該感熱転写受像シートが、該断熱層に中空ポリマーを含有し、かつ該受容層および断熱層のいずれかに水溶性ポリマーを含有し、
該感熱転写シートが、該耐熱滑性層に無機粒子を耐熱滑性層の総固形分質量に対して0.01質量%から5質量%含有し、該無機粒子が、モース硬度が3〜6の範囲、平均粒子径が0.3μm〜5μm、かつ個々の無機粒子において最大巾の球相当径に対する比が1.5〜50であり、
該サーマルヘッドに0.7J/cm2のエネルギーを印加した場合の該サーマルヘッドと該耐熱滑性層の接触距離が350μm〜450μmであることを特徴とする画像形成方法。
(2)前記サーマルヘッドに0.7J/cm2のエネルギーを印加した場合とエネルギーを印加しない場合の該サーマルヘッドと前記耐熱滑性層の接触距離の差が40μm〜100μmであることを特徴とする(1)に記載の画像形成方法。
(3)前記感熱転写シートにイエロー染料を含む熱転写層、マゼンタ染料を含む熱転写層およびシアン染料を含む熱転写層を支持体の各々別の位置に有し、各熱転写層中の染料を印画する速度が80mm/秒以上であることを特徴とする(1)または(2)に記載の画像形成方法。
(4)前記耐熱滑性層に含まれる前記無機粒子が、酸化マグネシウムであることを特徴とする(1)〜(3)のいずれか1項に記載の画像形成方法。
1)高速プリンターおよびサーマルヘッドと耐熱滑性層の接触距離
本発明の画像形成方法は高速プリンターに適用されるものであり、高速プリンターとはインクシートの染料を含む熱転写層に対する印画速度が60mm/秒以上であるプリンターであり、本発明における印画速度は、80mm/秒以上であることが好ましく、100mm/秒以上であることが最も好ましい。サーマルヘッドとしてはドット型とライン型があるが、本発明においてはライン型サーマルヘッドを使用することが特に好ましい。ライン型サーマルヘッドとして、例えばライン型サーマルヘッドが300dpi(1インチ当りのドット数)の場合、1ライン当りの印画時間は、印画速度60mm/秒が1.4ミリ秒に相当し、80mm/秒が1.1ミリ秒に相当し、100mm/秒が0.8ミリ秒に相当する。
ライン型サーマルヘッドはサーマルヘッド基板上に円弧状に盛り上がった構造を有し、発熱部分は盛り上がった部分の一部に存在する。発熱部分には電気抵抗体があり、ドライバICで制御した電圧をかけて通電することで電気抵抗体が発熱する。
高速プリントにおいて、サーマルヘッドはインクシートの耐熱滑性層に接し、インクシートの耐熱滑性層とは反対面の染料を含む感熱転写層が感熱転写受像シートの受容層が設けられた側の面と接し、感熱転写受像シートの受容層とは反対面がプリンター部材と接する。サーマルヘッドとプリンター部材間に圧をかけることでサーマルヘッドの盛り上がった部分がインクシートを押し込んで変形してインクシートと接触し、押し込まれたインクシートが感熱転写受像シートを押し込んで変形して感熱転写受像シートに接触し、更に前述のようにサーマルヘッドに通電によってエネルギーを印加して発熱させることにより印画が行われる。上記プリンター部材として例えば、弾力性のあるプラテンローラーが用いられており、前記の状態でプラテンローラーが回ることによりインクシートと感熱転写受像シートが密着したまま同じ速度でサーマルヘッドに対して移動することにより連続的に印画が行われる。以上のことから、高速プリントにおける印画時にはサーマルヘッドと耐熱滑性層の間で相対速度が異なる状態で接していることとなる。サーマルヘッドは円弧状の凸構造体の部分で耐熱滑性層と接触しているため、サーマルヘッドが耐熱滑性層に深く潜り込むほど長い距離で接することになる。サーマルヘッが高温であるほど、接しているインクシート並びに感熱転写受層シートもより高温となって変形し易くなるためにサーマルヘッドがより深く潜り込むこととなり、より長い距離で接することとなる。
高速プリンターのサーマルヘッド表面にマーカー等により着色を施し、インクシート及び感熱転写受像シートをセットしてサーマルヘッドに均一にエネルギーを印加してインクシートの染料を含む感熱転写層を1回印画する。印画時の周辺環境は22℃〜28℃、相対湿度40%〜70%の範囲に設定する。印画動作後にサーマルヘッドをプリンターから取り外してサーマルヘッドを光学顕微鏡で観察し、マーカーが擦り取られて色の変わった領域をサーマルヘッドと耐熱滑性層の接触領域とする。ただし感熱転写受像シートが巾方向にずれても印画領域に入るようにするためにライン型サーマルヘッドのライン方向の発熱巾およびインクシートの巾は一般に感熱転写受像シートの巾より長めに設定されているため、サーマルヘッドとインクシートは接しているがインクシートと感熱転写受像シートが接していない部分が巾方向の両端に存在するため、この部分を接触領域から除く。接触領域の面積を受像紙の巾で除することでラインサーマルヘッドがインクシートの耐熱滑性層に対して相対的に動く方向の接触領域の長さを求め、この長さをサーマルヘッドと耐熱滑性層の接触距離とする。
サーマルヘッド表面全体にマーカー等により着色を施すことによりサーマルヘッドと耐熱滑性層との摩擦性が大きく変化する場合には、サーマルヘッド表面の一部にマーカー等により着色を施すことでサーマルヘッドと耐熱滑性層との摩擦性が実質的に変化しないようにすることが必要である。この場合のサーマルヘッドと耐熱滑性層の接触領域とは、印画前にマーカー等により着色された範囲において、印画後に着色が削り取られて色が変わった領域のことであり、接触領域の面積を、接触領域のサーマルヘッドのライン方向の長さで除することでサーマルヘッドと耐熱滑性層の接触距離を求める。サーマルヘッドの一部に着色を施してサーマルヘッドと耐熱滑性層の接触距離を求める場合、サーマルヘッドのライン方向の位置により接触距離が変動する場合があるため、サーマルヘッドのライン方向に対して左右および中央の少なくとも3箇所以上において接触距離を求めて、その平均値をサーマルヘッドと耐熱滑性層の接触距離とする。
サーマルヘッド表面に施すマーカーとしては、耐熱性であることが必要であり、具体的にはオキツモ(株)製、耐熱耐候マーカー レッド(商品名)を用いることが出来る。
サーマルヘッドへ通電によって印加するエネルギーを変えてサーマルヘッドと耐熱滑性層の接触距離を求めることで、各印加エネルギーに対応する接触距離を求めることができる。
印加エネルギーが0.7J/cm2における接触距離が本発明の範囲より長い場合にはサーマルヘッドの汚れが多くなり、短い場合にはプリンターの設定ばらつき、具体的にはサーマルヘッドとプラテンローラーの相対位置が0.1mm程度ずれた場合に画像の抜けが悪化する。この原因は、サーマルヘッドの接触位置のずれによりサーマルヘッドの発熱部が接触領域の端部に近くなり、印画時のわずかな変動により発熱部の一部または全てが接触領域からはずれるために熱伝導のばらつきを生ずるためと考えられる。
また、印加エネルギー0.7J/cm2の場合とエネルギーを印加しなかった場合のサーマルヘッドと耐熱滑性層の接触距離の差が40μm〜100μmであることが好ましく、50μm〜90μmであることが最も好ましい。
サーマルヘッドと耐熱滑性層の接触距離は感熱転写受像シートのクッション性を上げてサーマルヘッドを押し込み易くすることで長くなると考えられる。感熱転写受像シートのクッション性の評価として、特定の圧子に荷重を加えて押し込み量を計測するブリネル硬さ、ビッカース硬さおよびロックウェル硬さ等の公知の試験法が知られているが、これらはプリンタヘッドが高温で短時間押し付けられる高速プリントの条件とはかけはなれている。具体的には、高速プリントにおいては高温の熱量が短時間で与えられることによる感熱転写受像シートの温度分布および感熱転写受像シートの材料が溶解または熱分解するほどの高温に短時間だけさらされる状態を前記の硬さ試験法では再現できない。また、本発明においてサーマルヘッドと耐熱滑性層の接触距離はインクシートおよび感熱転写受像シートの組み合わせによって変化することが分かったため、感熱転写受像シートのクッション性のみで定義できるものでもない。
2)感熱転写受像シート(受像シートともいう)
本発明において用いる感熱転写受像シートは、支持体上に少なくとも1層の受容層(染料受容層)を有し、支持体と受容層との間に少なくとも1層の中空粒子を含む断熱層を有し、受容層および断熱層のいずれかに水溶性ポリマーを含有することが必要である。また、支持体と受容層との間に、例えば白地調整、帯電防止、接着性、レベリングなどの各種機能を付与した中間層が形成されていてもよい。また、転写シートと重ね合わせられる面の最外層には、離型層が形成されてもよい。
本発明においては、受容層および断熱層の少なくとも1層は水系塗布で塗設される。各層の塗布は、ロールコート、バーコート、グラビアコート、グラビアリバースコート、ダイコート、スライドコート、カーテンコート等の一般的な方法で行われる。受容層、断熱層、および中間層は、各層それぞれ別々に塗布されてもよく、任意の層を組み合わせて同時重層塗布をしてもよい。
支持体の、受容層を塗設した面の他方の面にはカール調整層、筆記層、帯電調整層を設けてもよい。
本発明の感熱転写受像シートは、少なくとも染料を受容し得る熱可塑性の受容ポリマーを有する少なくとも1層の受容層を有する。
好ましい受容ポリマーの例としては、ポリ酢酸ビニル、エチレン酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル酢酸ビニル共重合体、塩化ビニルアクリル酸エステル共重合体、塩化ビニルメタクリル酸エステル共重合体、ポリアクリルエステル、ポリスチレン、ポリスチレンアクリル等のビニル系樹脂、ポリビニルホルマール、ポリビニルブチラール、ポリビニルアセタール等のアセタール系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリプチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、セルロース系樹脂、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、尿素樹脂・メラミン樹脂・ベンゾグアナミン樹脂等のポリアミド系樹脂等が挙げられる。これらの樹脂は、相溶する範囲内で任意にブレンドして用いることもできる。
上記ポリマー中でもポリカーボネート、ポリエステル、ポリウレタン、ポリ塩化ビニルおよびその共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、ポリカプロラクトンまたはこれらの混合物を含有することが好ましく、ポリエステル、ポリ塩化ビニル共重合体あるいはこれらの混合物がさらに好ましい。
以上に挙げたポリマーは、有機溶剤(メチルエチルケトン、酢酸エチル、ベンゼン、トルエン、キシレンなど)を適宜用いて溶解させることで、支持体上に塗布することができるし、ポリマーラテックスとして水系の塗工液に加えて支持体上に塗布することもできるが、好ましくはポリマーラテックスとして水系塗布することである。
同一層内で複数種のポリマーラテックスを混合含有させる場合、同一層のポリマーラテックスのガラス転移温度(Tg)は、各々のポリマーラテックスの含有質量に対して各々のポリマーラテックスのガラス転移温度を加重平均したものとする。
前述のサーマルヘッドと耐熱滑性層の接触距離を本発明の範囲とするためにはポリマーラテックスのガラス転移温度(Tg)は、−30℃〜100℃が好ましく、0℃〜80℃がより好ましく、10℃〜70℃がさらに好ましく、15℃〜60℃が特に好ましい。また複数の層にポリマーラテックスを含有させることができ、複数の層にガラス転移温度の異なるポリマーラテックスを含有させることもできる。
ポリマーラテックスとしては、ポリエステルラテックス、塩化ビニル/アクリル化合物共重合体ラテックス、塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体ラテックス、塩化ビニル/酢酸ビニル/アクリル化合物共重合体ラテックス等の塩化ビニル共重合体ラテックスのいずれか1つまたは任意の組み合わせが好ましい。
本発明において、後述する断熱層中の中空ポリマーによる断熱効果を発揮させるためには、感熱転写受像シートの受容層あるいは断熱層のいずれかに水溶性ポリマーを含むことが必要である。受容層の少なくとも1層に水溶性ポリマーを含有することが好ましく、受容層および断熱層の両方に水溶性ポリマーを含有することが最も好ましく、中間層を形成する場合には中間層にも水溶性ポリマーを含有することが更に好ましい態様である。以下に受容層に含む水溶性ポリマーについて説明する。
受容層に含む水溶性ポリマーとは、20℃における水100gに対し0.05g以上溶解すればよく、より好ましくは0.1g以上、さらに好ましくは0.5g以上、特に好ましくは1g以上である。水溶性ポリマーとしては、天然高分子、半合成高分子および合成高分子のいずれも好ましく用いられる。これらの水溶性ポリマーは単独又は混合して用いることができる。
これらの天然高分子の中で、半合成高分子のうちゼラチンが好ましい。本発明においてゼラチンは分子量10,000から1,000,000までのものを用いることができる。本発明において用いられるゼラチンはCl−、SO4 2−等の陰イオンを含んでいてもよいし、Fe2+、Ca2+、Mg2+、Sn2+、Zn2+などの陽イオンを含んでいても良い。ゼラチンは水に溶かして添加することが好ましい。
特に断りのない限り、固形分換算の数値である。)が好ましい。受容層の膜厚は1〜20μmであることが好ましい。
本発明に用いる感熱転写受像シートに、画像印画時の感熱転写シートと受像シートとの離型性を確保するために感熱転写受像シートの受容層に離型剤を添加してもよい。
離型剤としては、例えば、ポリエチレンワックス、パラフィンワックス、脂肪酸エステルワックス、アミドワックス等の固形ワックス類、シリコーンオイル、リン酸エステル系化合物、フッ素系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤およびその他当該技術分野で公知の離型剤を使用することができる。これらの中で、脂肪酸エステルワックス、フッ素系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤、シリコーンオイルおよび/またはその硬化物等のシリコーン系化合物が好ましく用いられる。
本発明に用いる感熱転写受像シートに塗設される断熱層は1層でも2層以上でも良い。断熱層は、受容層と支持体の間に設けられ、断熱層の少なくとも1層には中空粒子を含有することが必要である。
これらの中でも、上記1)の非発泡型の中空粒子が好ましく、必要に応じて2種以上混合して使用することもできる。具体例としてはロームアンドハース社製 ローペイク HP−1055、JSR社製 SX866(B)、日本ゼオン社製 Nipol MH5055 (いずれも商品名)などが挙げられる。
断熱層中に中空ポリマー以外にバインダーとして含むことのできる水溶性ポリマーの中で好ましい例としては、受容層の項で記載した水溶性ポリマーが挙げられる。これら水溶性ポリマーの中で、ゼラチン、ポリビニルアルコールがより好ましい。これらの水溶性ポリマーは単独又は混合して用いることができる。
受容層と支持体との間には中間層が形成されていてもよく、中間層の機能としては白地調整、帯電防止、接着性付与、平滑性付与などが挙げられるが、これらに限定されることなく、従来公知の中間層を付与することができる。中間層は複数形成されていてもよく、例えば断熱層と支持体の間に1層および受容層と断熱層の間にもう1層の2層の中間層を形成することも好ましい態様である。
受容層と断熱層の間に形成する中間層の機能には上記の機能以外にも、受容層塗布液に有機溶剤を含む場合には断熱層中の中空ポリマーへの有機溶剤の悪影響を遮断する機能、染料を受容し得る熱可塑性の受容ポリマーラテックスおよび中空ポリマーを両方含有させて染料受容効果と断熱効果を合わせ持つ機能等が好ましい態様として挙げられる。
また中間層にも水溶性ポリマーを含有させることが好ましく、具体的には受容層の項で記載した水溶性ポリマーが挙げられる。これら水溶性ポリマーの中で、ゼラチン、ポリビニルアルコールがより好ましい。これらの水溶性ポリマーは単独又は混合して用いることができる。
本発明において、水溶性ポリマーを架橋して硬膜させるために架橋剤(硬膜剤ともいう)を用いることができる。架橋剤は受像シートの層(例えば、受容層、断熱層、中間層など)中に添加することができる。
架橋剤としては、特開平1−214845号公報17頁のH−1,4,6,8,14,米国特許第4,618,573号明細書のカラム13〜23の式(VII)〜(XII)で表わされる化合物(H−1〜54)、特開平2−214852号公報8頁右下の式(6)で表わされる化合物(H−1〜76),特にH−14、米国特許第3,325,287号明細書のクレーム1に記載の化合物などが好ましく用いられる。硬膜剤の例としては米国特許第4,678,739号明細書の第41欄、同第4,791,042号、特開昭59−116655号、同62−245261号、同61−18942号、特開平4−218044号の公報または明細書等に記載の架橋剤が挙げられる。より具体的には、アルデヒド系架橋剤(ホルムアルデヒドなど)、アジリジン系架橋剤、エポキシ系架橋剤、クロロトリアジン系架橋剤(2,4−ジクロロ−6−ヒドロキシ−s−トリアジンもしくはこのNa塩など)、ビニルスルホン系架橋剤(N,N’−エチレン−ビス(ビニルスルホニルアセタミド)エタンなど)、N−メチロール系架橋剤(ジメチロール尿素など)、ほう酸、メタほう酸あるいは高分子架橋剤(特開昭62−234157号公報などに記載の化合物)が挙げられる。
好ましくはビニルスルホン系架橋剤やクロロトリアジン系架橋剤が挙げられる。
これらの硬膜剤は、水溶性ポリマー1g当り0.001〜1g含有されることが好ましく、0.005〜0.5g含有されることがより好ましい。
本発明で用いる感熱転写受像シートには、紫外線吸収剤を含有させてもよい。その紫外線吸収剤としては、従来公知の無機系紫外線吸収剤、有機系紫外線吸収剤が使用できる。有機系紫外線吸収剤としては、サリシレート系、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、トリアジン系、置換アクリロニトリル系、ヒンダートアミン系等の非反応性紫外線吸収剤や、これらの非反応性紫外線吸収剤に、例えば、ビニル基やアクリロイル基、メタアクリロイル基等の付加重合性二重結合、あるいは、アルコール性水酸基、アミノ基、カルボキシル基、エポキシ基、イソシアネート基等を導入し、アクリル樹脂等の熱可塑性樹脂に共重合若しくは、グラフトしたものを使用することができる。また、樹脂のモノマーまたはオリゴマーに紫外線吸収剤を溶解させた後、このモノマーまたはオリゴマーを重合させる方法が開示されており(特開2006−21333号公報)、こうして得られた紫外線遮断性樹脂を用いることもできる。この場合には紫外線吸収剤は非反応性のもので良い。
これら紫外線吸収剤に中でも、特にベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、トリアジン系が好ましい。これら紫外線吸収剤は画像形成に使用する染料の特性に応じて、有効な紫外線吸収波長域をカバーするように組み合わせて使用することが好ましく、また、非反応性紫外線吸収剤の場合には紫外線吸収剤が析出しないように構造が異なるものを複数混合して用いることが好ましい。
紫外線吸収剤の市販品としては、チヌビン−P(チバガイギー製)、JF−77(城北化学製)、シーソープ701(白石カルシウム製)、スミソープ200(住友化学製)、バイオソープ520(共同薬品製)、アデカスタブLA−32(旭電化製)等が挙げられる。
また、本発明用いる感熱転写受像シートは、前記の任意の層に界面活性剤を含有させることが出来る。その中でも、受容層及び中間層中に含有させることが好ましい。
界面活性剤の添加量は、全固形分量に対して0.01〜5質量%であることが好ましく、0.01〜1質量%であることがより好ましく、0.02〜0.2質量%であることが特に好ましい。
界面活性剤としては、アニオン系、ノニオン系、カチオン系など種々の界面活性剤が知られている。本発明で用いることのできる界面活性剤としては、公知のものが使用でき、例えば、「機能性界面活性剤監修/角田光雄、発行/2000年8月、第6章」で紹介されているもの等を用いることができるが、その中でもアニオン系のフッ素含有界面活性剤が好ましい。
本発明に用いる感熱転写受像シートにおいて、ブロッキング防止、離型性付与、滑り性付与のためにマット剤を添加しても良い。マット剤は感熱転写受像シートの受容層が塗布される面、受容層が塗布される他方の面、あるいはその両方の面に添加することができる。
本発明に用いる感熱転写受像シートには、防腐剤を添加してもよい。本発明の受像シートに含有される防腐剤としては、特に限定されないが、防腐防黴ハンドブック、技報堂出版(1986)、堀口博著、防菌防黴の化学、三共出版(1986)、防菌防黴剤事典、日本防菌防黴学会発行(1986)等に記載されているものを用いることができる。具体的には、イミダゾール誘導体、デヒドロ酢酸ナトリウム、4−イソチアゾリン−3−オン誘導体、ベンゾイソチアゾリン−3−オン、ベンゾトリアゾール誘導体、アミジングアニジン誘導体、四級アンモニウム塩類、ピロジン,キノリン,グアニジン等の誘導体、ダイアジン、トリアゾール誘導体、オキサゾール、オキサジン誘導体、2−メルカプトピリジン−N−オキサイドまたはその塩等が挙げられる。これらの中でも、4−イソチアゾリン−3−オン誘導体、ベンゾイソチアゾリン−3−オンが好ましい。
本発明に用いる感熱転写受像シートを塗布して製造する場合の塗布後の乾燥による含水率変化の調節、感熱転写受像シートを製造後からプリントするまでの期間における含水量の調節あるいは含水量の安定化のために保水剤を用いてもよい。
保水剤としては公知のものを用いることができ、前述の水溶性ポリマーの項や界面活性剤の項に記載の中から選ばれるものを用いることができ、より具体的にはグリコール類(ポリエチレングリコール等)、デンプン、多糖類(カラギーナン、デキストリン等)、糖アルコール類(ソルビトール、マンニトール等)、グリセリン、尿素などを挙げることができる。
本発明に用いる感熱転写受像シートの支持体は、従来公知の支持体を用いることができる。その中でも耐水性支持体が好ましく用いられる。耐水性支持体を用いることで支持体中に水分が吸収されるのを防止して、受容層の経時による性能変化を防止することができる。耐水性支持体としては例えばコート紙やラミネート紙、合成紙を用いることができる。なかでもラミネート紙が好ましい。
本発明に用いる感熱転写受像シートには、必要に応じてカール調整層を形成することが好ましい。カール調整層には、ポリエチレンラミネートやポリプロピレンラミネート等が用いられる。具体的には、例えば特開昭61−110135号公報、特開平6−202295号公報などに記載されたものと同様にして形成することができる。
本発明に用いる感熱転写受像シートには、必要に応じて筆記層・帯電調整層を設けることができる。筆記層、帯電調整層には、無機酸化物コロイドやイオン性ポリマー等を用いることができる。帯電防止剤として、例えば第四級アンモニウム塩、ポリアミン誘導体等のカチオン系帯電防止剤、アルキルホスフェート等のアニオン系帯電防止剤、脂肪酸エステル等のノニオン系帯電防止剤など任意のものを用いることができる。具体的には、例えば特許第3585585号公報などに記載されたものと同様にして形成することができる。
インクシートは熱転写画像形成の際に、感熱転写受像シートに重ねて置かれ、インクシート側からサーマルプリンタヘッド等によって加熱することにより色素(染料)をインクシートから感熱転写受像シートに転写するために用いられる。本発明で用いるインクシートは、支持体の一方の面に熱転写可能な染料を含む熱転写層を有し、他方の面に以下に記載する無機粒子を含む耐熱滑性層を有する。支持体熱転写層間または支持体と耐熱滑性層間に易接着層(プライマー層)を設けることも出来る。
条件(I)モース硬度が3〜6の範囲であること。
条件(II)平均粒子径が0.3μm〜5μmであること。
条件(III)粒子の最大巾の球相当径に対する比が1.5〜50であること。
条件(IV)耐熱滑性層の総塗設固形分質量に対する含有量をが0.01質量%〜5質量%であること。
以下に、条件(I)〜条件(IV)について、順次説明する。
モース硬度とはドイツの鉱物学者Friedrich Mohsの考案に由来するもので、標準物質に対しての傷の付き方を元に硬度を数値化するものである。柔らかいものから順に1から10までの標準物質が指定されており、具体的には1が滑石(タルク)、2が石こう、3が方解石、4が蛍石、5がリン灰石、6が正長石、7が石英、8がトパーズ、9がコランダム、および10がダイヤモンドである。例えば、試料を標準物質4の蛍石で引っ掻いて試料に傷が付かず、標準物質5のリン灰石で引っ掻いて試料に傷が付いた場合はこの試料は4より硬く、5より柔らかいことを示し、モース硬度として「4〜5」または「4.5」と表記する。また、標準物質4の蛍石で引っ掻いて試料にも蛍石にも互いに傷が付いた場合は、試料は標準物質4と同じ硬さとなり、モース硬度として「4」と表記する。モース硬度の数値はあくまでも相対的なものであり、絶対値ではない。
モース硬度としては、3〜6が必要であり、3.5〜5.5が最も好ましい。
モース硬度が3〜6の無機粒子としては公知のものを用いることができ、例えば炭酸カルシウム(モース硬度3)、ドロマイト(MgCa(CO3)2)(モース硬度3.5〜4)、酸化マグネシウム(モース硬度4)および炭酸マグネシウム(モース硬度3.5〜4.5)が挙げられる。これらの中では酸化マグネシウムおよび炭酸マグネシウムがより好ましく、酸化マグネシウムが更に好ましい。
平均粒子径はレーザー回折散乱法により求めた値である。粒子に光を照射して得られる回折散乱光強度の空間分布は粒子サイズによって各々異なるため、回折散乱光強度の空間分布を測定して解析することで粒子サイズ分布を求めることができレーザー解析散乱法として確立している。測定装置は(株)島津製作所製SALDシリーズや(株)堀場製作所製 LAシリーズ等の市販のものを使用することができる。
平均粒子径としては0.3μm〜5μmが必要であり、0.3μm〜4.5μmがより好ましく、0.4μm〜4μmが更に好ましい。
粒子の最大巾の球相当径に対する比は、無機粒子の走査型電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope 略称「SEM」)による観察から求めることができる。具体的な手順は以下の通りである。
1.無機粒子をSEMで観察角度を変えて測定し、形状と長さ、厚みを測定する。
2.測定した形状と大きさから粒子体積を計算し、球相当径を求める。球相当径とは計算した粒子体積と等しい体積となる球の直径のことである。また、測定した長さ、厚みから粒子の最大巾を求める。粒子の最大巾とは粒子表面の2点を結んだ長さの中で最大のもののことであり、無機粒子が柱状の場合は柱の高さに相当し、無機粒子が針状の場合は針の長さに相当し、無機粒子が平板状の場合には主平面の最大巾に相当する。
3.個々の粒子について求めた最大巾を球相当径で除することで比の値を求めることができる。粒子形状が球の場合には、最大巾と球相当径は等しく比は1となり、粒子形状が立方体の場合には比の値は約1.4となり、粒子形状の球からのずれが大きくなるほど比の値は大きくなる。
粒子内に空隙がある場合には、粒子体積を正確に計算できないが、この場合には空隙が無い形状として計算して比を求めることとする。
耐熱滑性層に含有される個々の無機粒子の最大巾の球相当径に対する比の値は個々の粒子でその値に変動があるが、個々の粒子の比の平均が、耐熱滑性層中のモース硬度が3〜6の無機粒子全質量に対する50質量%以上がこの比の値が1.5〜50の範囲にあることが必要で、80質量%以上であることがより好ましく、90質量%以上であることが更に好ましい。
また、この比は1.5〜50であることが必要で、1.8〜45がより好ましく、2〜40が更に好ましい。
また、天然鉱物中に不純物として含有される無機粒子を利用することも知られており、特開平8−90945号公報には柔らかい天然鉱物のタルク中に不純物として含まれるドロマイト(MgCa(CO3)2)、マグネサイト(主成分が炭酸マグネシウム)およびシリカ等をタルクと伴に含有させることが記載されている。上記の不純物には本発明のモース硬度の範囲に含まれる物があるが、本発明の範囲外のシリカ(モース硬度7)が効果を有するとされており、本発明においてはシリカは効果がないかむしろ悪化することとは対照的である。また特開平8−90945号公報には平均粒子径および粒子の形状についても明らかにされていない。一般に、天然鉱物を選鉱、粉砕および分吸して所望の純度および大きさにしたタルクを原材料として使用しているが、タルク中の不純物を所望の大きさと形状に設定することは難しく、製造ロット毎のばらつきを抑えることも難しい。更に特開平8−90945号公報においては無機フィラー中の硬い不純物成分量をX線回折強度比により規定している。X線回折強度は測定する物質の結晶性に左右され、言い換えると結晶格子の並びがそろっている(結晶性が高い)場合には回折強度が大きく、結晶格子の並びが乱れている(結晶性が低い)場合には回折強度が小さくなるためX線回折強度と含有量が一概に対応するとはいえない。これらのことからも、本発明で用いる無機粒子は不純物として含有させるよりも、別途製造したものを用いることが好ましく、酸化マグネシウムの場合には生産性の点から焼成して形成されたものが更に好ましい。
本発明で用いる無機粒子に含まれる不純物は、特にモース硬度3以上の不純物が少ないことが好ましく、酸化マグネシウムの場合には、純度が、95質量%以上が好ましく、98質量%以上が更に好ましく、99質量%以上が最も好ましく、不純物(具体的にはカルシウム、シリコン、鉄、アルミニウム、クロム、コバルト、ニッケル及び銅)の総量が2質量%以下であることが好ましく、1質量%以下であることが更に好ましい。
滑剤としては、フッ化カルシウム、フッ化バリウム、フッ化黒鉛等のフッ化物、二硫化モリブデン、二硫化タングステン、硫化鉄等の硫化物、シリカ、コロイダルシリカ、酸化鉛、アルミナ、酸化モリブデン等の酸化物、グラファイト、雲母、窒化ホウ素、粘土類(タルク、カオリン、酸性白度等)等の無機化合物からなる固体滑剤、フッ素樹脂、シリコーン樹脂等の有機樹脂、シリコーンオイル、リン酸基を有するリン酸エステル(リン酸モノエステルおよびリン酸エステル(リン酸ジエステル)およびそのアルカリ金属塩、リン酸基を有さないリン酸エステル(リン酸トリエステル)、アルキルカルボン酸多価金属塩(ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸リチウム等)、リン酸エステル多価金属塩(ステアリルリン酸亜鉛、ポリオキシエチレントリデシルエーテルリン酸カルシウム等)等の金属セッケン類、ポリエチレンワックス、パラフィンワックス等の各種ワックス類、アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、両性界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤等の界面活性剤を挙げることができる。固体滑剤として天然鉱物由来の材料を用いる場合には、モース硬度3以上の不純物が本発明の効果を抑制しないことが好ましく、不純物はできるだけ少ないことが好ましい。
これら併用が可能な添加剤の中で、タルク、カオリン、リン酸基を有するリン酸エステルおよびそのアルカリ金属塩、アルキルカルボン酸多価金属塩およびリン酸エステル多価金属塩が好ましい。
エステル系界面活性剤には酸根を有しているものが有り、サーマルヘッドからの熱量が大になるとエステルが分解し、更に背面層のpHが低下してサーマルヘッドの腐食摩耗が激しくなる場合がある。これに対しては、中和したエステル系界面活性剤を用いる方法、水酸化マグネシウムなどの中和剤を用いる方法等がある。
その他の添加剤としては高級脂肪酸アルコール、オルガノポリシロキサン、有機カルボン酸等を挙げることができる。
耐熱性を高めるため、紫外線又は電子ビームを照射して樹脂を架橋することが出来る。また、架橋剤を用い、加熱により架橋させることも可能である。この際、触媒を添加することも出来る。架橋剤としては、イソシアネート系(ポリイソシアネート、ポリイソシアネートの環状3量体等)、金属系(チタンテトラブチレート、ジルコニウムテトラブチレート、アルミニウムトリイソプロピレート等)等が挙げられる。これら架橋剤と反応させる樹脂としては、ポリビニルアセタール、ポリビニルブチラール、ポリエステルポリオール、アルキドポリオールおよびアミノ基を側鎖に含むシリコーン化合物等が挙げられる。
本発明の感熱転写シートの支持体は特に限定されず、必要とされる耐熱性と強度を有するものであれば、従来公知のものを使用することができる。例として、グラシン紙、コンデンサー紙、パフィン紙等の薄紙、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルケトン、ポリエーテルサルホン等の耐熱性の高いポリエステル類、ポリプロピレン、ポリカーボネート、酢酸セルロース、ポリエチレン誘導体、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、ポリアミド、ポリイミド、ポリメチルペンテン、アイオノマー等のプラスチックの延伸あるいは未延伸フィルムや、これらの材料を積層したものが好ましい支持体の具体例として挙げられる。ポリエステルフィルムはこれらの中でも特に好ましく、延伸処理されたポリエステルフィルムが最も好ましい。この支持体の厚さは、強度及び耐熱性等が適切になるように材料に応じて適宜選択されるが、1〜30μm程度のものが好ましく用いられる。より好ましくは1〜20μm程度のものであり,さらに好ましくは3〜10μm程度のものが用いられる。
本発明の染料層は、イエロー、マゼンタ、シアンの各色の染料層及び必要に応じてブラックの染料層が同一の支持体上に面順次で繰り返し塗り分けられているのが好ましい。一例として、イエロー、マゼンタ及びシアンの各色相の染料層が同一の支持体の長軸方向に、感熱転写受像シートの記録面の面積に対応して面順次に塗り分けられている場合を挙げることができる。この3層に加えて、ブラックの色相の染料層と転写性保護層のどちらか、あるいは双方が塗り分けられるのも好ましい態様である。
この様な態様を取る場合、各色の開始点をプリンタに伝達する目的で、感熱転写シート上に目印を付与することも好ましい態様である。このように面順次で繰り返し塗り分けることによって、染料の転写による画像の形成、さらには画像上への保護層の積層を一つの感熱転写シートで行なうことが可能となる。
しかしながら、本発明は前記のような染料層の設け方に限定されるものではない。昇華型熱転写インク層と熱溶融転写インク層を併設することも可能であり、また、イエロー、マゼンタ、シアン及びブラック以外の色相の染料層を設ける等の変更をすることも可能である。また、形態としては長尺であっても良いし、枚葉の熱転写シートであっても良い。
染料層を形成するための染料インクは、通常昇華性染料とバインダーを含有する。さらに、必要に応じて、ワックス類、シリコーン樹脂、含フッ素有機化合物等を含有することができる。
染料層の塗布は、ロールコート、バーコート、グラビアコート、グラビアリバースコート等の一般的な方法で行われる。また染料層の塗布量は、0.1〜2.0g/m2(固形分換算、以下本発明における塗布量は特に断りのない限り、固形分換算の数値である。)が好ましく、更に好ましくは0.2〜1.2g/m2である。染料層の膜厚は0.1〜2.0μmであることが好ましく、更に好ましくは0.2〜1.2μmである。
本発明に用いられる染料は、熱により拡散し、感熱転写シートに組み込み可能かつ、高速プリンターのサーマルヘッドからの加熱により感熱転写シートから受像シートに転写するものであれば特に限定されず、熱転写シート用の染料として従来から用いられてきている染料、あるいは公知の染料を用いることができる。
好ましい染料としては、たとえば、ジアリールメタン系、トリアリールメタン系、チアゾール系、メロシアニン等のメチン系、インドアニリン、アセトフェノンアゾメチン、ピラゾロアゾメチン、イミダゾルアゾメチン、イミダゾアゾメチン、ピリドンアゾメチンに代表されるアゾメチン系、キサンテン系、オキサジン系、ジシアノスチレン、トリシアノスチレンに代表されるシアノメチレン系、チアジン系、アジン系、アクリジン系、ベンゼンアゾ系、ピリドンアゾ、チオフェンアゾ、イソチアゾールアゾ、ピロールアゾ、ピラールアゾ、イミダゾールアゾ、チアジアゾールアゾ、トリアゾールアゾ、ジズアゾ等のアゾ系、スピロピラン系、インドリノスピロピラン系、フルオラン系、ローダミンラクタム系、ナフトキノン系、アントラキノン系、キノフタロン系等が挙げられる。
また、上記の各色相の染料を任意に組み合わせることも可能である。例えばブラックの色相も染料の組み合わせで得ることができる。
より好ましい置換基の組み合わせは、環Aは置換または無置換のベンゼン環であり、R1が置換または無置換の炭素数1〜6のアルキル基、アリル基、置換または無置換のフェニル基であり、R2が置換または無置換の炭素数1〜6のアルキル基、アリル基、置換または無置換のフェニル基であり、R3は置換または無置換のアミノ基、置換または無置換のアルコキシ基であり、R4は置換または無置換の炭素数1〜6のアルキル基、置換または無置換のフェニル基である組み合わせである。
最も好ましい置換基の組み合わせは、環Aはメチル基または塩素原子で置換されたベンゼン環または無置換のベンゼン環であり、R1が置換または無置換の炭素数1〜4のアルキル基、アリル基であり、R2が置換または無置換の炭素数1〜4のアルキル基、アリル基であり、R3は置換または無置換のアミノ基、置換または無置換のアルコキシ基であり、R4は置換または無置換のフェニル基である組み合わせである。
より好ましい置換基の組み合わせは、R5は置換または無置換の炭素数1〜6のアルキル基、アリル基であり、R6は置換または無置換の炭素数1〜6のアルキル基であり、R7は置換または無置換の炭素数1〜6のアルキル基であり、R8は置換または無置換の炭素数1〜6のアルキル基、置換または無置換のフェニル基、置換または無置換のアルコキシ基、置換または無置換のアミノ基であり、R9は置換または無置換の炭素数1〜6のアルキル基、置換または無置換のフェニル基である組み合わせである。
最も好ましい置換基の組み合わせは、R5は無置換の炭素数1〜4のアルキル基であり、R6は無置換の炭素数1〜4のアルキル基であり、R7は無置換の炭素数1〜4のアルキル基であり、R8はメトキシ基、エトキシ基、ジメチルアミノ基であり、R9は無置換のフェニル基である組み合わせである。
より好ましい置換基の組み合わせは、R10が水素原子、置換または無置換の炭素数1〜6のアルキル基であり、R11が水素原子、臭素原子であり、R12が無置換の炭素数2〜10のアルコキシカルボニル基、炭素数2〜12のジアルキルカルバモイル基である組み合わせである。
最も好ましい置換基の組み合わせは、R10が水素原子、無置換の炭素数2〜4のアルキル基であり、R11が水素原子であり、R12が炭素数2〜10のジアルキルカルボモイル基である組み合わせである。
より好ましい置換基の置換基の組み合わせは、環Bが置換または無置換のフェニル基、置換または無置換の1,3,4−チアジアゾリル基であり、R13が置換または無置換の炭素数1〜6のアルキル基であり、R14が置換または無置換の炭素数1〜6のアルキル基、置換または無置換のフェニル基である組み合わせである。
最も好ましい置換基の置換基の組み合わせは、環Bが4−ニトロフェニル基、炭素数1〜6のチオアルキル基が置換した1,3,4−チアジアゾリル基であり、R13が無置換の炭素数1〜4のアルキル基であり、R14が無置換の炭素数1〜4のアルキル基、置換または無置換のフェニル基である組み合わせである。
より好ましい置換基の組み合わせは、R15が置換または無置換の炭素数1〜6のアルキル基であり、R16が置換または無置換の炭素数1〜6のアルキル基であり、R17が置換または無置換のフェニル基であり、R18が置換または無置換のフェニル基である組み合わせである。
最も好ましい置換基の組み合わせは、R15が置換または無置換の炭素数1〜4のアルキル基であり、R16が置換または無置換の炭素数1〜4のアルキル基であり、R17が無置換のフェニル基であり、R18が無置換のフェニル基である組み合わせである。
より好ましい置換基の組み合わせは、環Fが置換または無置換のベンゼン環であり、R19が置換または無置換の炭素数1〜6のアルキル基、アリル基、置換または無置換のフェニル基であり、R20が置換または無置換の炭素数1〜6のアルキル基、アリル基、置換または無置換のフェニル基である組み合わせである。
最も好ましい置換基の組み合わせは、環Fがメチル基が置換したベンゼン環であり、R19が無置換の炭素数1〜4のアルキル基であり、R20が置換を有する炭素数1〜4のアルキル基である組み合わせである。
より好ましい置換基の組み合わせは、環Gが置換基または無置換のアルコキシカルボニル基が置換したベンゼン環であり、R21が置換または無置換の炭素数1〜6のアルキル基であり、R22が置換または無置換の炭素数1〜6のアルキル基である組み合わせである。
最も好ましい置換基の組み合わせは、環Gが置換基または無置換のアルコキシカルボニル基が置換したベンゼン環であり、R21が置換または無置換の炭素数1〜4のアルキル基であり、R22が置換または無置換の炭素数1〜4のアルキル基である組み合わせである。
より好ましい置換基の組み合わせは、環Hが無置換のベンゼン環であり、R24が置換または無置換のフェニル基であり、R25が置換または無置換の炭素数1〜8のアルキル基であり、R26が置換または無置換の炭素数1〜6のアルキル基であり、R27が置換または無置換の炭素数1〜6のアルキル基である組み合わせである。
最も好ましい置換基の組み合わせは、環Hが無置換のベンゼン環であり、R24が2−クロロフェニル基であり、R25が置換または無置換の炭素数1〜4のアルキル基であり、R26が置換または無置換の炭素数1〜4のアルキル基であり、R27が置換または無置換の炭素数1〜4のアルキル基である組み合わせである。
より好ましい置換基の組み合わせは、環Iが置換または無置換のピリジン環、無置換のベンゼン環であり、R28が置換または無置換の炭素数1〜6のアルキル基であり、R29が置換または無置換の炭素数1〜6のアルキル基であり、R30が置換または無置換の炭素数1〜6のアルキル基であり、R31が置換または無置換の炭素数1〜6のアルキル基である組み合わせである。
最も好ましい置換基の組み合わせは、好ましい置換基の組み合わせは、環Iが置換または無置換のピリジン環、無置換のベンゼン環であり、R28が置換または無置換の炭素数1〜4のアルキル基であり、R29が置換または無置換の炭素数1〜4のアルキル基であり、R30が置換または無置換の炭素数1〜4のアルキル基であり、R31が置換または無置換の炭素数1〜4のアルキル基である組み合わせである。
より好ましい置換基の組み合わせは、環Jが炭素数2〜6のアシルアミノ基が置換されたベンゼン環であり、R32は置換または無置換の炭素数1〜6のアルキル基、アシル基であり、R33は置換または無置換の炭素数1〜6のアルキル基、アリル基であり、R34は置換または無置換の炭素数1〜6のアルキル基、アリル基である組み合わせである。
最も好ましい置換基の組み合わせは、環Jが炭素数2〜4のアシルアミノ基が置換されたベンゼン環であり、R32は置換または無置換の炭素数1〜4のアルキル基、アシル基であり、R33は置換または無置換の炭素数1〜4のアルキル基、アリル基であり、R34は置換または無置換の炭素数1〜4のアルキル基、アリル基である組み合わせである。
より好ましい置換基の組み合わせは、環Kが炭素数2〜6のアシルアミノ基が置換されたベンゼン環であり、R35は置換または無置換の炭素数1〜6のアルキル基であり、R36は置換または無置換の炭素数1〜6のアルキル基、アリル基であり、R37は置換または無置換の炭素数1〜6のアルキル基、アリル基である組み合わせである。
最も好ましい置換基の組み合わせは、環Kが炭素数2〜4のアシルアミノ基が置換されたベンゼン環であり、R35は置換または無置換の炭素数1〜4のアルキル基であり、R36は置換または無置換の炭素数1〜4のアルキル基、アリル基であり、R37は置換または無置換の炭素数1〜4のアルキル基、アリル基である組み合わせである。
より好ましい置換基の組み合わせは、R38が置換または無置換の炭素数1〜6のアルキル基、置換または無置換のフェニル基であり、R39が置換または無置換の炭素数1〜6のアルキル基、置換または無置換のフェニル基であり、R40が置換または無置換の炭素数1〜6のアルキル基であり、R41が置換または無置換の炭素数1〜6のアルキル基である組み合わせである。
最も好ましい置換基の組み合わせは、R38が置換または無置換の炭素数1〜4のアルキル基、置換または無置換のフェニル基であり、R39が置換または無置換の炭素数1〜4のアルキル基、置換または無置換のフェニル基であり、R40が置換または無置換の炭素数1〜4のアルキル基であり、R41が置換または無置換の炭素数1〜4のアルキル基である組み合わせである。
より好ましい組み合わせは、R42が置換または無置換のフェノキシ基であり、R43が水素原子、置換または無置換のフェノキシ基であり、R44がヒドロキシル基、または無置換のアミノ基である組み合わせである。
最も好ましい組み合わせは、R42が置換または無置換のアミノ基が置換したフェノキシ基、無置換のフェノキシ基であり、R43が水素原子、置換または無置換のフェノキシ基であり、R44がヒドロキシル基、または無置換のアミノ基である組み合わせである。
より好ましい置換基の組み合わせは、環Lが置換または無置換のベンゼン環であり、R45が置換または無置換の炭素数1〜6のアルキル基、アリル基、置換または無置換のフェニル基であり、R46が置換または無置換の炭素数1〜6のアルキル基、アリル基、置換または無置換のフェニル基である組み合わせである。
最も好ましい置換基の組み合わせは、環Lがメチル基が置換したベンゼン環であり、R45が無置換の炭素数1〜4のアルキル基であり、R46が置換を有する炭素数1〜4のアルキル基である組み合わせである。
より好ましい組み合わせは、環Qは置換または無置換のベンゼン環であり、R102が置換または無置換の炭素数1〜6のアルキル基、アリル基、置換または無置換のフェニル基であり、R103が置換または無置換の炭素数1〜6のアルキル基、アリル基、置換または無置換のフェニル基であり、R100は置換または無置換のアミノ基、置換または無置換のアルコキシ基であり、R101は置換または無置換の炭素数1〜6のアルキル基、置換または無置換のフェニル基である組み合わせである。
最も好ましい組み合わせは、環Qは置換または無置換のベンゼン環であり、R102が置換または無置換の炭素数1〜4のアルキル基、アリル基であり、R103が置換または無置換の炭素数1〜4のアルキル基、アリル基であり、R100は置換または無置換のアミノ基、置換または無置換のアルコキシ基であり、R101は置換または無置換のフェニル基である組み合わせである。
より好ましい置換基の組み合わせは、環Mが炭素数1〜2のアルキル基が置換したベンゼン環、無置換のベンゼン環であり、R47が水素原子、塩素原子であり、R48が置換また無置換の炭素数1〜6のアルキル基であり、R49が置換または無置換の炭素数2〜8のアシルアミノ基、置換または無置換の炭素数2〜8のアルコキシカルボニルアミノ基であり、R50が置換また無置換の炭素数1〜6のアルキル基であり、R51が置換また無置換の炭素数1〜6のアルキル基である組み合わせである。
最も好ましい組み合わせは好ましい置換基の組み合わせは、環Mがメチル基が置換したベンゼン環、無置換のベンゼン環であり、R47が水素原子、塩素原子であり、R48が置換また無置換の炭素数1〜6のアルキル基であり、R49が置換または無置換の炭素数2〜6のアシルアミノ基、置換または無置換の炭素数2〜6のアルコキシカルボニルアミノ基であり、R50が置換また無置換の炭素数1〜4のアルキル基であり、R51が置換また無置換の炭素数1〜4のアルキル基である組み合わせである。
より好ましい置換基の組み合わせは、環Nが炭素数1〜6のアルキル基が置換したベンゼン環、炭素数1〜6のアルコキシ基が置換したベンゼン環、無置換のベンゼン環であり、R52が水素原子、置換または無置換の炭素数2〜8のアシルアミノ基、置換または無置換の2〜8のアルコキシカルボニル基、置換または無置換の炭素数1〜8のカルバモイル基であり、R53が置換また無置換の炭素数1〜6のアルキル基であり、R54が置換また無置換の炭素数1〜6のアルキル基である組み合わせである。最も好ましい置換基の組み合わせは、環Nが炭素数1〜4のアルキル基が置換したベンゼン環、炭素数1〜4のアルコキシ基が置換したベンゼン環、無置換のベンゼン環であり、R52が水素原子、置換または無置換の炭素数2〜6のアシルアミノ基、置換または無置換の2〜6のアルコキシカルボニル基、置換または無置換の炭素数1〜6のカルバモイル基であり、R53が置換また無置換の炭素数1〜4のアルキル基であり、R54が置換また無置換の炭素数1〜4のアルキル基である組み合わせである。
より好ましい置換基の組み合わせは、R55が置換または無置換の炭素数1〜6のアルキル基、置換または無置換のフェニル基であり、R56が置換または無置換の炭素数1〜6のアルキル基、置換または無置換のフェニル基である組み合わせである。
最も好ましい置換基の組み合わせは、R55が置換または無置換の炭素数1〜4のアルキル基であり、R56が置換または無置換の炭素数1〜4のアルキル基、置換または無置換のフェニル基である組み合わせである。
より好ましい組み合わせは、環Oが炭素数1〜6のアルキル基が置換したベンゼン環、炭素数1〜6のアルコキシ基が置換したベンゼン環、無置換のベンゼン環であり、R57が置換また無置換の炭素数1〜6のアルキル基であり、R58が置換また無置換の炭素数1〜6のアルキル基である組み合わせである。
最も好ましい組み合わせは、環Oが炭素数1〜4のアルキル基が置換したベンゼン環、炭素数1〜4のアルコキシ基が置換したベンゼン環、無置換のベンゼン環であり、R57が置換また無置換の炭素数1〜4のアルキル基であり、R58が置換また無置換の炭素数1〜4のアルキル基である組み合わせである。
本発明において染料層に含まれるバインダーとしては、各種公知のものを使用することができる。例えば、ポリアクリロニトリル、ポリアクリル酸エステル、ポリアクリルアミド等のアクリル系樹脂、ポリビニルアセトアセタール、ポリビニルブチラールなどのポリビニルアセタール系樹脂、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、エチルヒドロキシセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、酢酸セルロース、酢酪酸セルロース、酢酸プロピオン酸セルロース、硝酸セルロース等の変性セルロース系樹脂ニトロセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース及びエチルセルロースなどのセルロース系樹脂や、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、フェノキシ樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、各種エストラマー等が挙げられ、上記からなる群から選ばれる少なくとも1種類の樹脂により染料層は構成される。
これらを単独で用いる他、これらを混合、または共重合して用いることも可能であり、各種架橋剤によって架橋することも可能である。
本発明におけるバインダーとしては、セルロース系樹脂およびポリビニルアセタール系樹脂が好ましく、より好ましくはポリビニルアセタール系樹脂である。中でもポリビニルアセトアセタール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂が本発明において好ましく用いられる。
また、支持体上に塗布によって易接着層を形成することもできる。易接着層に用いられる樹脂としては、ポリエステル系樹脂、ポリアクリル酸エステル系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂やポリビニルアルコール樹脂等のビニル系樹脂、ポリビニルアセトアセタールやポリビニルブチラール等のポリビニルアセタール系樹脂、ポリエーテル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、スチレンアクリレート系樹脂、ポリアクリルアミド系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂等を例示することができる。
支持体に用いられるフィルムを溶融押出し形成する時に、未延伸フィルムに塗工処理を施し、その後に延伸処理して行なうことも可能である。
また、上記の処理は、二種類以上を併用することもできる。
本発明において、感熱転写シートに転写性保護層積層体を面順次で設けることも好ましい。転写性保護層積層体は、熱転写された画像の上に透明樹脂からなる保護層を熱転写で形成し、画像を覆い保護するためのものであり、耐擦過性、耐光性、耐候性等の耐久性向上を目的とする。転写された染料が受像シート表面に曝されたままでは、耐光性、耐擦過性、耐薬品性等の画像耐久性が不十分な場合に有効である。
転写性保護層積層体は、支持体上に、支持体側から離型層、保護層、接着剤層の順に形成することができる。保護層を複数の層で形成することも可能である。保護層が他の層の機能を兼ね備えている場合には、離型層、接着剤層を省くことも可能である。支持体としては、易接着層の設けられたものを用いることも可能である。
転写性保護層を形成する樹脂としては、耐擦過性、耐薬品性、透明性、硬度に優れた樹脂が好ましく、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリルウレタン樹脂、これら各樹脂のシリコーン変性樹脂、紫外線遮断性樹脂、これら各樹脂の混合物、電離放射線硬化性樹脂、紫外線硬化性樹脂等を用いることができる。なかでも、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂が好ましい。
また、各種架橋剤によって架橋することも可能である。
保護層転写シートでは、保護層が熱転写時に支持体から剥離しにくい場合には、支持体と保護層との間に離型層を形成することができる。転写性保護層と離型層の間に剥離層を形成しても良い。離型層は、例えば、ワックス類、シリコーンワックス、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、アクリル樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、セルロース誘導体樹脂、ウレタン系樹脂、酢酸系ビニル樹脂、アクリルビニルエーテル系樹脂、無水マレイン酸樹脂、及びこれらの樹脂群の共重合体を少なくとも1種以上含有する塗布液を、従来公知のグラビアコート、グラビアリバースコート等の方法で塗布、乾燥することにより形成することができる。上記の樹脂の中でも、アクリル樹脂として、アクリル酸やメタクリル酸等の単体、または他のモノマー等と共重合させた樹脂、あるいはセルロース誘導体樹脂が好ましく、支持体との密着性、保護層との離型性において優れている。
各種架橋剤によって架橋することも可能であり、また、電離放射線硬化性樹脂および紫外線硬化性樹脂も用いることができる。
転写性保護層積層体の最上層として、保護層の最表面に接着層を設けることができる。これによって保護層の被転写体への接着性を良好にすることができる。
支持体として片面に易接着処理がなされている厚さ4.5μmのポリエステルフィルムの易接着処理がされていない面に、乾燥後の固形分塗布量が1.1g/m2となるように後述の耐熱滑性層塗工液を塗布した。後述の耐熱滑性層塗工液のポリイソシアネートとポリオール樹脂との反応性の基の比率(−NCO/OH)は0.9であった。塗布乾燥後に55℃低湿環境で10日間熱処理を行いイソシアネートとポリオール樹脂の架橋反応を行い硬化させた。
このようにして作製したポリエステルフィルムの易接着層塗布側に後述のインク液により、イエロー、マゼンタ、シアンの各感熱転写層および転写性保護層積層体を面順次となるように順次塗布後に乾燥して感熱転写シートを作製した。各染料層の固形分塗布量は、0.8g/m2とした。
なお、転写性保護層積層体の形成は、離型層用塗工液を塗布し、その上に保護層用塗工液を塗布し、乾燥した後に、さらにその上に接着層インク液を塗布して乾燥した。乾燥後にプリンターの設定に合った形状に加工して感熱転写シート(T−1)を作成した。
アクリル系ポリオール樹脂 27.0質量部
リン酸エステル 0.8質量部
(Phoslex A18、商品名、堺化学工業(株)製)
リン酸エステル 6.5質量部
(プライサーフA208N、商品名、第一工業製薬(株)製)
ステアリルリン酸亜鉛 0.6質量部
ステアリン酸亜鉛 0.6質量部
タルク 0.5質量部
ポリイソシアネート(50%溶液) 12.0質量部
(バーノックD−750、商品名、大日本インキ化学工業(株)製)
メチルエチルケトン/トルエン混合溶媒 52質量部
染料化合物(Y4−2) 2.8質量部
染料化合物(Y7−4) 5.8質量部
ポリビニルアセタール樹脂 7.6質量部
(エスレックKS−1、商品名、積水化学工業(株)製)
ポリビニルブチラール樹脂 0.2質量部
(デンカブチラール#6000−C、商品名、電気化学工業(株)製)
離型剤 0.05質量部
(X−22−3000T、商品名、信越化学工業(株)製)
離型剤 0.03質量部
(TSF4701、商品名、モメンティブ・パフォーマンス・
マテリアルズ・ジャパン合同会社製)
マット剤 0.15質量部
(フローセンUF、商品名、住友精工(株)製)
メチルエチルケトン/トルエン混合溶媒 83質量部
染料化合物(M3−1) 2.0質量部
染料化合物(M3−2) 6.5質量部
染料化合物(C1−2) 0.3質量部
ポリビニルアセタール樹脂 8.0質量部
(エスレックKS−1、商品名、積水化学工業(株)製)
離型剤 0.05質量部
(X−22−3000T、商品名、信越化学工業(株)製)
離型剤 0.03質量部
(TSF4701、商品名、モメンティブ・パフォーマンス・
マテリアルズ・ジャパン合同会社製)
マット剤 0.15質量部
(フローセンUF、商品名、住友精工(株)製)
メチルエチルケトン/トルエン混合溶媒 83質量部
染料化合物(C1−2) 2.0質量部
染料化合物(C3−1) 7.9質量部
ポリビニルアセタール樹脂 7.0質量部
(エスレックKS−1、商品名、積水化学工業(株)製)
離型剤 0.02質量部
(X−22−3000T、商品名、信越化学工業(株)製)
離型剤 0.02質量部
(TSF4701、商品名、モメンティブ・パフォーマンス・
マテリアルズ・ジャパン合同会社製)
マット剤 0.2質量部
(フローセンUF、商品名、住友精工(株)製)
メチルエチルケトン/トルエン混合溶媒 83質量部
染料層の作製に使用したものと同じポリエステルフィルムに、以下に示す組成の離型層,保護層および接着層用塗工液を塗布し、転写性保護層積層体を形成した。乾膜時の塗布量は離型層0.2g/m2、保護層0.8g/m2、接着層2.0g/m2とした。
変性セルロース樹脂 5.0質量部
(L−30、商品名、ダイセル化学)
メチルエチルケトン/トルエン混合溶媒 95.0質量部
保護層インク液
アクリル樹脂 30質量部
(ダイアナールBR−100、商品名、三菱レイヨン(株)製)
イソプロパノール 70質量部
接着層インク液
アクリル樹脂 25質量部
(ダイアナールBR−77、商品名、三菱レイヨン(株)製)
下記紫外線吸収剤UV−1 1.5質量部
下記紫外線吸収剤UV−2 2質量部
下記紫外線吸収剤UV−3 0.9質量部
下記紫外線吸収剤UV−4 0.3質量部
PMMA微粒子(ポリメチルメタクリレート微粒子) 0.3質量部
メチルエチルケトン/トルエン混合溶媒 70質量部
支持体として合成紙(ユポFPG200、厚さ200μm、商品名、(株)ユポ・コーポレーション製)を用い、この一方の面に下記組成の白色中間層、受容層の順にバーコーターにより塗布を行った。それぞれの乾燥時の塗布量は白色中間層:1.0g/m2、受容層:4.0g/m2となるように塗布を行い、塗布後乾燥した後にプリンターの設定に合った形状に加工して感熱受像シート(Z−1)を作製した。
ポリエステル樹脂(Tg 67℃) 10質量部
(バイロン200、商品名、東洋紡(株)製)
蛍光増白剤 1質量部
(Uvitex OB、商品名、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)
酸化チタン 30質量部
メチルエチルケトン/トルエン(質量比1/1) 90質量部
塩化ビニル−酢酸ビニル樹脂(Tg 76℃) 100質量部
(ソルバインA、商品名、日信化学工業(株)製)
アミノ変性シリコーン 5質量部
(信越化学工業(株)製、商品名、X22−3050C)
エポキシ変性シリコーン 5質量部
(信越化学工業(株)製、商品名、X22−3000E)
メチルエチルケトン/トルエン(質量比1/1) 400質量部
ポリエチレンで両面ラミネートした紙支持体表面に、コロナ放電処理を施した後、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムを含むゼラチン下塗層を設けた。この上に、下記組成の下引き層、断熱層、受容層下層、受容層上層を支持体側からこの順に積層させた状態で、米国特許第2,761,791号明細書に記載の第9図に例示された方法により、同時重層塗布を行った。それぞれの乾燥時の塗布量が下引き層:6.0g/m2、断熱層:8.5g/m2、受容層下層:2.4g/m2、受容層上層:3.0g/m2となるように塗布を行い乾燥後に、30℃で5日間熱処理を行い架橋剤とゼラチンの架橋反応を行った後にプリンターの設定に合った形状に加工して感熱転写受像シート(Z−2)を作製した。
塩化ビニル系ラテックス(Tg 73℃) 21.0質量部
(ビニブラン900、商品名、日信化学工業(株)製)
塩化ビニル系ラテックス(Tg 33℃) 1.6質量部
(ビニブラン276、商品名、日信化学工業(株)製)
ゼラチン(10%水溶液) 2.5質量部
下記エステル系ワックスEW−1 1.8質量部
下記界面活性剤F−1 0.1質量部
下記界面活性剤F−2 0.4質量部
塩化ビニル系ラテックス(Tg 46℃) 18.0質量部
(ビニブラン690、商品名、日信化学工業(株)製)
塩化ビニル系ラテックス(Tg 73℃) 8.0質量部
(ビニブラン900、商品名、日信化学工業(株)製)
ゼラチン(10%水溶液) 8.0質量部
下記界面活性剤F−1 0.03質量部
アクリルスチレン系中空ポリマー 66.0質量部
(平均粒径0.5μm)(MH5055、商品名、日本ゼオン(株)製)
ゼラチン(10%水溶液) 24.0質量部
2,4−ジクロロ−6−ヒドロキシ−s−トリアジンNa塩(架橋剤)
0.1質量部
ポリビニルアルコール 7.0質量部
(ポバールPVA205、商品名、(株)クラレ製)
スチレンブタジエンゴムラテックス 55.0質量部
(SN−307、商品名、日本エイ アンド エル(株)製)
下記界面活性剤F−1 0.02質量部
感熱転写受像シート(Z−2)の下引き層、断熱層、受容層下層、受容層上層の代わりに、以下の下塗り層、断熱層、中間層、受容層を支持体側からこの順に積層させた状態で、米国特許第2,761,791号明細書に記載の第9図に例示された方法により、同時重層塗布を行った。それぞれの乾燥時の塗布量が下引き層:6.0g/m2、断熱層:7.9/m2、中間層:4.0g/m2、受容層:2.0/m2となるように塗布を行い乾燥後に、30℃で5日間熱処理を行い架橋剤とゼラチンの架橋反応を行った後にプリンターの設定に合った形状に加工して感熱転写受像シート(Z−3)を作製した。
塩化ビニル系ラテックス(Tg 46℃) 22.0質量部
(ビニブラン690、商品名、日信化学工業(株)製)
ゼラチン(10%水溶液) 3.0質量部
エステル系ワックスEW−1 1.8質量部
界面活性剤F−1 0.1質量部
界面活性剤F−2 0.4質量部
塩化ビニル系ラテックス(Tg 46℃) 37.0質量部
(ビニブラン690、商品名、日信化学工業(株)製)
スチレンアクリル共重合体を主成分とする中空ポリマー
(平均粒径1.0μm) 24.0質量部
ゼラチン(10%水溶液) 30.0質量部
界面活性剤F−1 0.02質量部
スチレンアクリル共重合体を主成分とする中空ポリマー
(平均粒径1.0μm) 58.0質量部
ゼラチン(10%水溶液) 28.0質量部
2,4−ジクロロ−6−ヒドロキシ−s−トリアジンNa塩(架橋剤)
0.2質量部
ポリビニルアルコール 7.0質量部
(ポバールPVA205、商品名、(株)クラレ製)
メチルメタクリレートブタジエンゴムラテックス 55.0質量部
(MR−171、商品名、日本エイ アンド エル(株)製)
界面活性剤F−1 0.02質量部
感熱転写受像シート(Z−3)に対して受容層および中間層2に用いている塩化ビニル系ラテックスの半分をいずれもTgが73℃の塩化ビニル系ラテックス(ビニブラン900、商品名、日信化学工業(株)製)で各々置き換える以外は同様にして感熱転写受像シート(Z−4)を作製した。また、感熱転写シート(Z−2)に対して受容層上層のTgが33℃の塩化ビニル系ラテックスと受容層下層のTgが46℃の塩化ビニル系ラテックスを各々、Tgが73℃の塩化ビニル系ラテックス(ビニブラン900、商品名、日信化学工業(株)製)に等量で置き換えること以外は同様にして感熱転写受像シート(Z−5)を作製した。更に感熱転写受像シート(Z−3)に対して中間層2の塩化ビニル系ラテックス37.0質量部を12.0質量部に減量し、Tgが33℃の塩化ビニル系ラテックス(ビニブラン276、商品名、日信化学工業(株)製)を15.0質量部加え、かつグリセリンを3.0質量部加えること以外は同様にして感熱転写受像シート(Z−6)を作製した。これらの感熱転写シートおよび感熱転写受像シートを組み合わせて以下の測定並びに評価を行った。
<プリンター>
高速プリンターとして富士フイルム(株)製 ASK2000を用いて各種の評価を行った。本プリンターの通常プリントは以下の(1)〜(5)のプリント動作を順次連続して実施することにより行われる。
(1)感熱転写シートのイエロー染料層と感熱転写受像シートの受容層を重ね合わせてサーマルヘッドからの加熱によりイエロー染料を受容層に印画する。
(2)感熱転写シートを剥がして移動させて感熱転写シートのマゼンタ染料層と感熱転写受像シートのイエロー染料を印画した受容層部分とを重ね合わせてサーマルヘッドからの加熱によりマゼンタ染料を受容層に印画する。
(3)感熱転写シートを剥がして移動させて感熱転写シートのシアン染料層と感熱転写受像シートのイエロー染料およびマゼンタ染料を印画した受容層部分とを重ね合わせてサーマルヘッドからの加熱によりシアン染料を受容層に印画する。
(4)その後感熱転写シートを剥がして移動させて感熱転写シートの転写性保護層と感熱転写受像シートのイエロー染料、マゼンタ染料およびシアン染料を印画した受容層部分とを重ね合わせてサーマルヘッドからの加熱により保護層を受容層の上に転写する。
(5)感熱転写シートを剥がして得られる染料および保護層が転写された感熱転写受像シートを所望のサイズにカットしてプリンター出口に排出してプリントを得る。
本プリンターのライン型サーマルヘッドは折り返し電極型、300dpiであり、柔軟性のあるプラテンローラーがサーマルヘッドに対向する位置に設置してある。
なお、プリント動作(1)〜(4)においてサーマルヘッドの加熱はサーマルヘッド上の発熱体にドライバーICにより制御された電圧を掛けて通電することによりエネルギーを印加することにより行われる。
染料層の印画速度はいずれも約115mm/秒であり、サーマルヘッド1ライン当り約0.7ミリ秒であった。プリント時間はキングサイズ(4インチ×6インチ)で約8秒であった。
プリンターを作動させる室内環境は温度が23℃〜26℃、相対湿度が45%〜55%であった。
オキツモ(株)製、耐熱耐候マーカー レッド(商品名)を用いてサーマルヘッドに着色を施しておき、前記のプリント動作(1)の終了時点でプリント動作を停止して、本文記載の方法によりサーマルヘッドと耐熱滑性層の接触領域を測定して、接触距離を求めた。プリンターはサーマルヘッドとプラテンローラーの位置関係が中心設定値のものを使用した。プリント動作(1)におけるサーマルヘッドへの印加エネルギーを、エネルギーを印加しない(0J/cm2)場合、0.7J/cm2の場合および2.1J/cm2の場合の各々について個別に測定を行い、各々の印加エネルギーに対応する接触距離を求めた。この距離が長いほどサーマルヘッドと耐熱滑性層の接触距離が長いことを示す。またエネルギー0.7J/cm2の場合の接触距離から、エネルギーを印加しない(0J/cm2)場合の接触距離を引いて接触距離の差を求めた。
耐熱滑性層に接しない状態でサーマルヘッド表面温度を測定し、印加エネルギーが0.7J/cm2の場合には約180℃であり、印加エネルギーが2.1J/cm2の場合には約420℃であった。
通常プリントの場合、エネルギーを印加しない(0J/cm2)場合は染料が転写されず、0.7J/cm2の場合はプリントサンプルの光学濃度は0.25〜0.45であり、2.1J/cm2の場合はプリントサンプルの光学濃度は2.2〜2.4であった。
サーマルヘッドをプラテンローラーの位置に対して中心設定値から、0.1mm分前後にずらしたプリンターを各々1台ずつ準備して、中心設定のプリンターと合わせて合計3台のプリンターを用いた。プリント画像として、ポートレート画像(人物画像)5種、風景画像5種および(R,G,B)値8ビットデジタルデータとして(200,200,200)、(128,128,128)、(102,102,102)、(64,64,64)および(0,0,0)のグレーベタ画像の合計15種類の画像を用いた。これら15画像を用いて各プリンターで各々1枚ずつ通常プリントを行い、得られた45枚のプリントについて直径0.5mm以上の画像抜けの個数を求め、この個数をプリント枚数で除してプリント1枚当りの画像抜けの出現個数を求め、この値をサーマルヘッド位置に対する安定性の指標とした。この値が小さい程、サーマルヘッド位置が変動した場合を含めて画像抜けが生じ難く画質が安定していることを表す。
プリンターの設定としてサーマルヘッドとプラテンローラーの位置関係が中心設定値のものを使用して、プリント画像としてヘッド位置に対する安定性の評価で用いた15種類の画像を均等に用いて、通常プリントを1200枚実施した。プリント後のサーマルヘッドを取り外してカラー3Dレーザー顕微鏡VK−9500GII((株)キーエンス製)を用いてサーマルヘッド形状プロファイルの高さ測定を行い付着した汚れの高さを求め、この値をヘッド汚れとした。この値が小さいほどサーマルヘッドの汚れが少なく画像への傷やサーマルヘッドの断線を抑制してサーマルヘッドの交換期間を長くできることを表す。
各実施例で用いた感熱転写シート、感熱転写受像シート、測定結果並びに評価結果を下記表23に表す。
実施例1、4および9は印加エネルギー0.7J/cm2での接触距離が本発明の範囲よりいずれも長く、ヘッド位置に対する安定性は良いが、ヘッド汚れが大きいことが分かる。実施例8より印加エネルギー0.7J/cm2での接触距離が本発明の範囲より短い場合には逆にヘッド位置に対する安定性が悪く、ヘッド汚れは小さいことが分かる。
断熱層に中空粒子を含みかつ水溶性ポリマーを有する感熱転写受像シートの構成を調整して印加エネルギー0.7J/cm2での接触距離が本発明の範囲となるようにした実施例2、3、5〜7、10および11のうち、更に本発明の感熱転写シート(T−2)を組み合わせた実施例5〜7においてのみヘッド位置に対する安定性が良く、同時にヘッド汚れも小さいことが分かる。2.1J/cm2での接触距離は各々の実施例においてほとんど変動しておらず、印加エネルギー0J/cm2の場合には性能の動きと一致しておらず、印加エネルギー0.7J/cm2での接触距離を規定することが必要であることが分かる。
感熱転写シートの耐熱滑性層に含有する無機粒子の量、硬さ、サイズおよび形状を本発明内とした場合(実施例5〜7)に対して、本発明外の無機粒子を用いた場合(実施例2、3、10および11)では改良効果を得られないことが分かる。無機粒子を選ぶことによりヘッド位置に対する安定性が良くなることは従来知見からは予想できない効果であった。
また、実施例1に対する実施例4よりいずれのエネルギーの接触距離も感熱転写シートの構成差によってほとんど変化しないのに対し、実施例2に対する実施例5、実施例3に対する実施例6より感熱転写受像シートの構成および印加エネルギー0.7J/cm2での接触距離が本発明の範囲であり、更に感熱転写シートの耐熱滑性層の無機粒子を本発明の範囲とすることで印加エネルギー0での接触距離が特異的に長くなることが分かる。前記、印加エネルギー0での接触距離が長くなることで、印加エネルギー0と0.7J/cm2での接触距離の差が40μmから100μmの範囲の実施例6および7が本発明の中でも更に好ましいことが分かる。
Claims (4)
- 支持体の一方の面に断熱層と受容層を有する感熱転写受像シートの受容層側と、支持体の一方の面に染料を含有する感熱転写層を有し、支持体のもう一方の面に耐熱滑性層を有する感熱転写シートの熱転写層側とを重ね合わせて、該感熱転写シートの耐熱滑性層の側からサーマルヘッドを接触させ、かつ該サーマルヘッドと該感熱転写シートとの相対速度が60mm/秒以上で移動しながら該サーマルヘッドから該感熱転写シートに熱が印加されることにより該感熱転写シートの熱転写層中の染料を該感熱転写受像シートの受容層に転写して画像を形成する画像形成方法であって、
該感熱転写受像シートが、該断熱層に中空ポリマーを含有し、かつ該受容層および断熱層のいずれかに水溶性ポリマーを含有し、
該感熱転写シートが、該耐熱滑性層に無機粒子を耐熱滑性層の総固形分質量に対して0.01質量%から5質量%含有し、該無機粒子が、モース硬度が3〜6の範囲、平均粒子径が0.3μm〜5μm、かつ個々の無機粒子において最大巾の球相当径に対する比が1.5〜50であり、
該サーマルヘッドに0.7J/cm2のエネルギーを印加した場合の該サーマルヘッドと該耐熱滑性層の接触距離が350μm〜450μmであることを特徴とする画像形成方法。 - 前記サーマルヘッドに0.7J/cm2のエネルギーを印加した場合とエネルギーを印加しない場合の該サーマルヘッドと前記耐熱滑性層の接触距離の差が40μm〜100μmであることを特徴とする請求項1に記載の画像形成方法。
- 前記感熱転写シートにイエロー染料を含む熱転写層、マゼンタ染料を含む熱転写層およびシアン染料を含む熱転写層を支持体の各々別の位置に有し、各熱転写層中の染料を印画する速度が80mm/秒以上であることを特徴とする請求項1または2に記載の画像形成方法。
- 前記耐熱滑性層に含まれる前記無機粒子が、酸化マグネシウムであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の画像形成方法。
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