JP2010076332A - 感熱転写シートおよび画像形成方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】最高転写濃度に優れ画像欠陥のない感熱転写シートおよび画像形成方法を提供する。
【解決手段】基材の一方の面に少なくとも、プライマー層、染料とバインダーを含有する熱転写層がこの順に塗設され、イエロー、マゼンタ、シアンの熱転写層および保護層が面順次に設けられた感熱転写シートであって、該プライマー層が、架橋環式炭化水素環、スピロ炭化水素環または環集合炭化水素環を部分構造に有するポリエステル樹脂を含有する感熱転写シート。
【選択図】なし

Description

本発明は、感熱転写シートおよびこれを用いた画像形成方法に関するものであり、特に、最高転写濃度に優れ、かつ印画後の印画物の保護層転写後における光沢ムラを低減し、スティッキングやしわ、ジャミングの発生が低減された感熱転写シートおよび画像形成方法を提供するものである。
従来、種々の熱転写記録方法が知られているが、中でも染料拡散転写記録方式は、銀塩写真の画質に最も近いカラーハードコピーが作製できるプロセスとして注目されている。しかも銀塩写真のように処理薬品を用いることなく、デジタルデータから直接可視像化できる、複製作りが簡単であるなどの利点を持っている。
このうち、昇華型熱転写記録方式では、染料を含有する感熱転写シート(以下、インクシートともいう。)と感熱転写受像シート(以下、受像シートともいう。)とを重ね合わせ、次いで、電気信号によって発熱が制御されるサーマルヘッド等によってインクシートを加熱することでインクシート中の染料を感熱転写受像シートに転写して画像情報の記録を行うものであり、シアン、マゼンタ、イエローの3色を重ねて記録することで色の濃淡に連続的な変化を有するカラー画像を記録することができる。
昇華型熱転写記録方式は従来の銀塩方式に比べ、プリンターの小型化が可能であるため、ユーザーが直接操作してプリントする店頭端末として利用される機会が増えている。店頭端末として利用される場合、ユーザーの待ち時間を減らすためにプリント時間の短縮が望まれており、プリントの高速化が進んでいる。また、その設置場所は温湿度の安定した屋内に限らず、温湿度の変化の激しい屋外に設置されることもあり、様々な温湿度下で高品質なプリントを提供することが望まれていた。
高品質なプリントに関して、熱転写層と基材の間にポリビニルピロリドン樹脂を含有する接着層を形成する方法、熱転写層と基材の間にコロイド状無機顔料超微粒子とシリケートを含有する下引き層を形成する方法が提案されている(特許文献1、2)。しかしながら、前者の方法では、転写濃度が十分でなく、一方、後者の方法では、前者の方法に対し、転写濃度は高くなっているものの、夏場の屋外における高湿環境下において高速化に伴う高温プリントの際に、プリント面内の光沢にムラが発生する。また、熱転写層と基材の間にポリエステル樹脂を含有する易接着層を形成する方法が提案されている(特許文献3)が、転写濃度が十分ではなかった。
特開2004−74766号公報 特開2006−281633号公報 特開平9−175046号公報
従って、本発明は最高転写濃度に優れ画像欠陥を低減した感熱転写シートおよび画像形成方法を提供することを目的とする。具体的には、最高転写濃度に優れ、かつ印画後の印画物の保護層転写後における光沢ムラを低減し、スティッキングやしわ、ジャミングの発生を低減する感熱転写シートおよび画像形成方法を提供するものである。
本発明者らは鋭意検討した結果、上記課題は下記の手段により達成された。
(1)基材の一方の面に少なくとも、プライマー層、染料とバインダーを含有する熱転写層がこの順に塗設され、イエロー、マゼンタ、シアンの各熱転写層および保護層が面順次に設けられた感熱転写シートであって、該プライマー層が、架橋環式炭化水素環、スピロ炭化水素環または環集合飽和炭化水素環を部分構造に有するポリエステル樹脂を含有することを特徴とする感熱転写シート。
(2)前記ポリエステル樹脂が、架橋環式炭化水素環、スピロ炭化水素環または環集合飽和炭化水素環のいずれかの構造を有するジオール化合物の少なくとも1種とジカルボン酸化合物の少なくとも1種から得られたポリエステル樹脂であることを特徴とする(1)に記載の感熱転写シート。
(3)前記ポリエステル樹脂が、架橋環式炭化水素環、スピロ炭化水素環または環集合飽和炭化水素環のいずれかの構造を有するジカルボン酸化合物の少なくとも1種とジオール化合物の少なくとも1種から得られたポリエステル樹脂であることを特徴とする(1)に記載の感熱転写シート。
(4)前記ポリエステル樹脂が、架橋環式炭化水素環を部分構造に有するポリエステル樹脂であることを特徴とする(1)〜(3)のいずれか1項に記載の感熱転写シート。
(5)前記架橋環式炭化水素環が、トリシクロデカン環であることを特徴とする(4)に記載の感熱転写シート。
(6)基材の一方の面に少なくとも、プライマー層、染料とバインダーを含有する熱転写層がこの順に塗設され、イエロー、マゼンタ、シアンの各熱転写層および保護層が面順次に設けられた感熱転写シートと、基材上の一方の面に、該感熱転写シートから転写される染料を受容する受容層を設けた感熱転写受像シートとを用いて、サーマルヘッドから該感熱転写シートに熱が印加されることにより該熱転写層中の染料を、該感熱転写受像シートの受容層に転写して画像を形成する画像形成方法であって、該感熱転写シートの該プライマー層に架橋環式炭化水素環、スピロ炭化水素環または環集合炭化水素環を部分構造に有するポリエステル樹脂を含有し、該感熱転写受像シートの該受容層に少なくとも1種のポリマーラテックスを含有することを特徴とする画像形成方法。
(7)前記ポリマーラテックスが、塩化ビニル系ポリマーラテックスであることを特徴とする(6)に記載の画像形成方法。
(8)前記ポリエステル樹脂が、架橋環式炭化水素環、スピロ炭化水素環または環集合飽和炭化水素環のいずれかの構造を有するジオール化合物の少なくとも1種とジカルボン酸化合物の少なくとも1種から得られたポリエステル樹脂であることを特徴とする(6)または(7)に記載の画像形成方法。
(9)前記ポリエステル樹脂が、架橋環式炭化水素環、スピロ炭化水素環または環集合飽和炭化水素環のいずれかの構造を有するジカルボン酸化合物の少なくとも1種とジオール化合物の少なくとも1種から得られたポリエステル樹脂であることを特徴とする(6)または(7)に記載の画像形成方法。
(10)前記ポリエステル樹脂が、架橋環式炭化水素環を部分構造に有するポリエステル樹脂であることを特徴とする(6)〜(9)のいずれか1項に記載の画像形成方法。
(11)前記架橋環式炭化水素環が、トリシクロデカン環であることを特徴とする(10)に記載の画像形成方法。
本発明の感熱転写シートおよび画像形成方法により、プリント環境に左右されず、最高転写濃度に優れ、かつ画像欠陥を少なくすことができる。
<<感熱転写シート>>
最初に、感熱転写シートを説明する。
本発明の感熱転写シートは、基材上の一方の面に少なくとも、プライマー層、染料とバインダーを含有する熱転写層(染料層とも称す)がこの順に塗設され、イエロー、マゼンタ、シアンの各熱転写層および保護層が面順次に設けられている。
(プライマー層)
本発明の感熱転写シートは、基材と熱転写層の間にプライマー層を有する。プライマー層は、基材と熱転写層の接着力を強化し、基材への染料の移行を抑止する。
本発明においては、このプライマー層に少なくとも1種の、架橋環式炭化水素環、スピロ炭化水素環または環集合飽和炭化水素環を部分構造に有するポリエステル樹脂を含有する。
以下に、本発明の架橋環式炭化水素環、スピロ炭化水素環または環集合炭化水素環を部分構造に有するポリエステル樹脂を説明する。
本発明において、架橋環式炭化水素環、スピロ炭化水素環、環集合飽和炭化水素環とは、それぞれ、架橋環式炭化水素、スピロ炭化水素、環集合飽和炭化水素の脂肪族環であり、IUPACの有機化学命名規則(例えば、平山健三他訳著,有機化学・生化学命名法 上 改訂第2版,株式会社南江堂(1988年)に従うものである。すなわち、架橋環式炭化水素とは、2個以上の原子を共有している2個以上の環の脂肪族炭化水素であり、スピロ炭化水素とは、少なくとも2個の環が1個の原子(炭素原子)を共有している炭化水素であり、環集合飽和炭化水素とは、2つ以上の脂肪族炭化水素の環系が一重結合か二重結合で直結していて、環を直結している結合の数が環系の数だけ少ないものである。
架橋環式炭化水素環としては、組み込まれている環が、飽和の脂環であっても不飽和の脂環であってもよく、またベンゼン環やヘテロ環が縮環していてもよく、置換基を有してもよく、例えば、トリシクロデカン環、ビシクロノナン環、アダマンタン環、ノルボルナン環、ビシクロデカン環、トリシクロデゼン環、ノルボルネン環、ビシクロデセン環等が挙げられる。
スピロ炭化水素環としては、組み込まれている環が、飽和の脂環であっても不飽和の脂環であってもよく、またベンゼン環やヘテロ環が縮環していてもよく、置換基を有してもよく、例えば、スピロインダン環、スピロインデン環が挙げられる。
環集合飽和炭化水素環としては、組み込まれている環が、飽和の脂環であっても不飽和の脂環であってもよく、またベンゼン環やヘテロ環が縮環していてもよく、置換基を有してもよく、例えば、ビシクロヘキシル、テルシクロヘキシルが挙げられる。
これらの環に置換してもよい置換基としては、ハロゲン原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、シクロアルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロ環基、ヒドロキシル基、メルカプト基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、スルホニル基、アミノ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、ヘテロ環アミノ基、アシルアミノ基、スルホンアミド基、カルバモイル基、スルファモイル基、ウレイド基、ウレタン基、アシル基、アシルオキシ基、アルコキシカルボニル基、アルケノキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、シアノ基、ニトロ基等が挙げられる。
これらの環のうち、架橋環式炭化水素環、スピロ炭化水素環が好ましく、架橋環式炭化水素環がより好ましい。架橋環式炭化水素環としては、トリシクロデカン環、ビシクロノナン環、アダマンタン環、ノルボルナン環、ノルボルネン環が好ましく、トリシクロデカン環、ビシクロノナン環がより好ましく、この中でもトリシクロ[5,2,1,02,6]デカン環、ビシクロ[4,3,0]ノナン環がさらに好ましく、トリシクロ[5,2,1,02,6]デカン環が最も好ましい。
また、架橋環式炭化水素環、スピロ炭化水素環、環集合飽和炭化水素環はポリエステル樹脂中においてどのように組み込まれていてもよく、ポリエステルを構成する原料のジオール化合物中に組み込まれていても、ジカルボン酸化合物に組み込まれていてもよい。ここで、ジカルボン酸化合物とは、カルボキシル基や保護されたカルボキシル基を有してなるものであり、前者は、解離もしくは塩となったカルボキシレートも包含され、後者は、例えば、エステル化、ハロゲン化、酸無水化されたカルボキシル基が挙げられる。
ジオール化合物や、ジカルボン酸化合物に組み込まれる場合、架橋環式炭化水素環、スピロ炭化水素環、環集合飽和炭化水素環にどのように組み込まれても構わない。例えば、これらの環に直接、水酸基、カルボキシル基(保護されたカルボキシル基も包含)が置換しても、また連結基を介して結合していてもよい。ここで、連結基としては、アルキレン基、アルケニレン基、アリール基、ヘテロ環基、−O−、−S−、−N(R)−、−C(=O)−、−SO−およびこれらの組み合わされた基が挙げられる。
ジオール化合物は、例えば、以下の化合物が、挙げられる。
Figure 2010076332
また、ジカルボン酸化合物としては、ジカルボン酸として示せば、以下の化合物が挙げられる。
Figure 2010076332
本発明のポリエステル樹脂は、上記のように架橋環式炭化水素環、スピロ炭化水素環、環集合飽和炭化水素環を部分構造に有するものであり、これらの部分構造を有するジオール化合物または/およびジカルボン酸化合物を使用して重合することにより得られるが、これらの一方のみ架橋環式炭化水素環、スピロ炭化水素環、環集合飽和炭化水素環を部分構造に有するものの場合、ポリエステル化に必要な残りのジオール化合物またはジカルボン酸化合物は、以下の化合物が使用できる。
ジカルボン酸化合物としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、オルソフタル酸、トリメリット酸、2,6−ナフタル酸等の芳香族ジカルボン酸、p−オキシ安息香酸、p−(ヒドロキシエトキシ)安息香酸等の芳香族オキシカルボン酸、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸等の脂肪族ジカルボン酸、フマール酸、マレイン酸、イタコン酸、テトラヒドロフタル酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸等の不飽和脂肪族及び脂環族ジカルボン酸、トリメシン酸、ピロメリット酸等のトリ及びテトラカルボン酸、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフルフリル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸等が挙げられる。これらの中でも、テレフタル酸とイソフタル酸が好ましい。
一方、ジオール化合物としては、例えば、エチレングリコ−ル、プロピレングリコ−ル、1,3−プロパンジオ−ル、1,4−ブタンジオ−ル、1,5−ペンタンジオ−ル、1,6−ヘキサンジオ−ル、ネオペンチルグリコ−ル、ジエチレングリコ−ル、ジプロピレングリコ−ル、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオ−ル、1,4−シクロヘキサンジメタノ−ル、スピログリコ−ル、1,4−フェニレングリコ−ル、1,4−フェニレングリコ−ルのエチレンオキサイド付加物、ポリエチレングリコ−ル、ポリプロピレングリコ−ル、ポリテトラメチレングリコ−ル等のジオ−ル、ビスフェノ−ルAのエチレンオキサイド付加物およびプロピレンオキサイド付加物、水素化ビスフェノ−ルAのエチレンオキサイド付加物およびプロピレンオキサイド付加物等々のジオ−ル類、トリメチロ−ルエタン、トリメチロ−ルプロパン、グリセリン等のトリオ−ル、ペンタエルスリト−ル等のテトラオ−ル等、ε−カプロラクトン等のラクトン類を開環重合して得られるラクトン系ポリエステルポリオ−ル類が挙げられる。これらの中で、エチレングリコールとジエチレングリコールが特に好ましい。
本発明においては、少なくとも2種のジオール化合物と1種のジカルボン酸化合物、1種のジオール化合物と少なくとも2種のジカルボン酸化合物、少なくとも2種のジオール化合物と少なくとも2種のジカルボン酸化合物の組合せが好ましい。
このような組合せで使用する場合、架橋環式炭化水素環、スピロ炭化水素環、環集合飽和炭化水素環を部分構造に有するジオール化合物やジカルボン酸化合物は、ジオール化合物全体またはジカルボン酸化合物全体のうちで10〜90質量%が好ましい。10質量%未満では基材への染料移行を抑止する効果が十分に発揮できなくなり、90質量%以上では合成時のモノマー溶解性が悪く、製造適性を付与することが難しくなる。
本発明のポリエステル樹脂の分子量は、数平均分子量で1000〜40000の範囲であることが好ましく、2000〜30000の範囲であることがさらに好ましい。分子量がこれより小さくなると、基材と熱転写層の接着性が発揮できなくなり、分子量がこれより大きくなると、塗布性が悪くなり、均一な層を形成し難くなる。
本発明のポリエステル樹脂は、プライマー層の樹脂全体のうちで50質量%以上が好ましく、70質量%以上がさらに好ましい。50質量%未満では基材への染料移行を抑止する効果が十分に発揮できなくなる。なお、本発明のポリエステル樹脂と併用して他の樹脂を使用する場合、従来公知の樹脂が使用できるが、ポリビニルピロリドン樹脂との併用が好ましい。
本発明のポリエステル樹脂は、公知の方法で容易に合成される。例えば、滝山榮一郎著,ポリエステルハンドブック(日刊工業新聞社)、特開平5−64978号公報に記載の方法もしくはそれに準じた方法で容易に合成できる。
本発明においてプライマー層は、例えばグラビアコーティング、ロールコーティング、ブレードコーティング、ワイヤーバーなどの従来から公知の方法で塗布することができる。
プライマー層の塗布厚みは、特に限定されないが、通常は好ましくは0.01〜5μm、より好ましくは0.03〜2μm、最も好ましくは0.05μm〜0.5μmの範囲である。厚みが厚過ぎると熱伝導性が悪くなり、本来の色濃度が得られない場合があり、厚みが薄すぎると接着性不良となる場合がある。
(熱転写層)
本発明においては、イエロー染料、マゼンタ染料、シアン染料は、公知の染料を使用することができる。これらの染料はバインダーと呼ばれる高分子化合物に分散された状態で基材上に塗布されていることが好ましい。バインダーとしては、各種公知のものが使用できる。
バインダー用高分子化合物の例としては、ポリアクリロニトリル、ポリアクリル酸エステル、ポリアクリルアミド等のアクリル系樹脂、ポリビニルアセトアセタール、ポリビニルブチラールなどのポリビニルアセタール系樹脂、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、エチルヒドロキシセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、酢酸セルロース、酢酪酸セルロース、酢酸プロピオン酸セルロース、硝酸セルロース等の変性セルロース系樹脂ニトロセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース及びエチルセルロースなどのセルロース系樹脂や、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、フェノキシ樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、各種エストラマー等が挙げられる。これらを単独で用いる他、これらを混合、または共重合して用いることも可能である。
本発明におけるバインダーとしては、ポリビニルアセタール系樹脂が好ましく、より好ましくはポリビニルアセトアセタール系樹脂である。さらに好ましくは、樹脂中のアセタール部が80質量%以上かつ該アセタール部分においてアセトアセタール比が90質量%以上のポリビニルアセトアセタール系樹脂である。このようなアセタール系樹脂は特許第3065111号公報や該明細書中に引用された文献による方法で合成できる他、積水化学工業株式会社製 エスレックスKS−5(商品名)、電気化学工業株式会社製 デンカブチラール#5000−D(商品名)など、商業的に入手可能な製品がある。
本発明の感熱転写シートにおいて、バインダーを各種架橋剤によって架橋することも好ましい態様である。
架橋剤とは、高分子化合物の主鎖や側鎖についた官能基と反応し、高分子同士を結合する性質を持つ化合物である。架橋剤は対象となる高分子化合物の種類に応じて適したものが選ばれる。代表的な例としては、ポリビニルアセタール系樹脂など活性水素を有する水酸基を有した高分子化合物に対しては、分子中に複数のイソシアネート基(−N=C=O)を有するイソシアネート類が架橋剤として好ましく用いられる。以下にイソシアネート類の具体例を挙げる。
(1)ジイソシアネート化合物
芳香族系ポリイソシアネートとして、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、トリジンジイソシアネート、ナフタリンジイソシアネートなどが、また脂肪族系ポリイソシアネートとして、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、キシレリンジイソシアネート、水添キシレリンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネートなどを挙げることができる。
(2)トリイソシアネート化合物
トリメチロールプロパン変性トリレンジイソシアネート、イソシアヌレート結合トリレンジイソシアネート、トリメチロールプロパン変性ヘキサメチレンジイソシアネート、イソシアヌレート結合ヘキサメチレンジイソシアネート、ビューレット結合ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチロールイソホロンジイソシアネート、イソシアヌレート結合イソホロンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、トリス(イソシアネートフェニル)チオフォスフェートなどを挙げることができる。
また、これらイソシアネート化合物の混合物やイソシアネート化合物を主鎖や側鎖に有するポリマーの使用も好ましい。
これらイソシアネート類はバーノック(大日本インキ化学工業株式会社)、タケネート、MT−オレスター(何れも三井化学ポリウレタン株式会社)、コロネート(日本ポリウレタン工業社)などの商品名で商業的に入手可能である。
イソシアネート類の使用量はイソシアネート基(NCO)とバインダーの活性水素(H)のモル比(NCO/H)で0.2から2.0の範囲が好ましく、0.3から1.5の範囲がより好ましい。
バインダーとイソシアネート類の架橋反応を促進する目的で触媒を添加しても良い。このような触媒については「最新ポリウレタン材料と応用技術」(株式会社シーエムシー出版,2005年)に記載されている。
(転写性保護層の形成)
本発明における保護層は、いわゆる転写性保護層であって、その形成法は、用いられる樹脂の種類に依存するが、前記熱転写層の形成方法と同様の、方法で形成され、0.5〜10μm程度の厚さが好ましい。
(離型層)
転写性保護層シートでは、転写性保護層が熱転写時に基材から剥離しにくい場合には、基材シートと保護層との間に離型層を形成することができる。転写性保護層と離型層の間に剥離層を形成しても良い。離型層は、例えば、ワックス類、シリコーンワックス、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、アクリル樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、セルロース誘導体樹脂、ウレタン系樹脂、酢酸系ビニル樹脂、アクリルビニルエーテル系樹脂、無水マレイン酸樹脂、及びこれらの樹脂群の共重合体を少なくとも1種以上含有する塗布液を、従来公知のグラビアコート、グラビアリバースコート等の方法で塗布、乾燥することにより形成することができる。上記の樹脂の中でも、アクリル樹脂として、アクリル酸やメタクリル酸等の単体、または他のモノマー等と共重合させた樹脂、あるいはセルロース誘導体樹脂が好ましく、基材シートとの密着性、保護層との離型性において優れている。
各種架橋剤によって架橋することも可能であり、また、電離放射線硬化性樹脂および紫外線硬化性樹脂も用いることができる。
離型層は、熱転写時に被転写体に移行するもの、あるいは基材シート側に残るもの、あるいは凝集破壊するもの等を、適宜選択することができるが、離型層が非転写性であり、熱転写により離型層が基材シート側に残存し、離型層と熱転写性保護層との界面が熱転写された後の保護層表面になるようにすることが、表面光沢性、保護層の転写安定性等の点で優れており、好ましい態様である。離型層の形成方法は、従来公知の塗工方法で形成でき、その厚みは乾燥状態で0.5〜5μm程度が好ましい。
(接着層)
保護層積層体の最上層として、保護層の最表面に接着層を設けることができる。これによって保護層の被転写体への接着性を良好にすることができる。
(耐熱滑性層)
本発明の感熱転写シートは、基材上の熱転写層を塗設した面とは反対の面(裏面)、すなわちサーマルヘッド等に接する側に耐熱滑性層を設けることが好ましい。また、保護層転写シートの場合にも、基材上の転写性保護層を塗設した面とは反対の面(裏面)、すなわちサーマルヘッド等に接する側に耐熱滑性層を設けることが好ましい。
感熱転写シートの基材シートの裏面とサーマルヘッド等の加熱デバイスとが直接接触した状態で加熱されると、熱融着が起こりやすい。また、両者の間の摩擦が大きく、感熱転写シートを印画時に滑らかに搬送することが難しい。
耐熱滑性層は、感熱転写シートがサーマルヘッドからの熱エネルギーに耐え得るように設けられるものであって、熱融着を防止し、滑らかな走行を可能にする。近年、プリンターの高速化に伴いサーマルヘッドの熱エネルギーが増加しているため、必要性は大きくなっている。
耐熱滑性層は、バインダーに滑剤、離型剤、界面活性剤、無機粒子、有機粒子、顔料等を添加したものを塗布することによって形成される。また、耐熱滑性層と基材シートとの間に中間層を設けてもよく、無機微粒子と水溶性樹脂またはエマルジョン化可能な親水性樹脂からなる層が開示されている。
上記バインダーとしては、耐熱性の高い公知の樹脂を用いることができる。例として、エチルセルロース、ヒドロキシセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、酢酸セルロース、酢酪酸セルロース、酢酸プロピオン酸セルロース、ニトロセルロース等のセルロース系樹脂、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルブチラール、ポリビニルアセタール、ポリビニルアセトアセタール樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリビニルピロリドン等のビニル系樹脂、ポリメタクリル酸メチル、ポリアクリル酸エチル、ポリアクリルアミド、アクリロニトリル−スチレン共重合体等のアクリル系樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリビニルトルエン樹脂、クマロンインデン樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリブタジエン樹脂、ポリカーボネート樹脂、塩素化ポリオレフィン樹脂、フッ素樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂、シリコーン変性又はフッ素変性ウレタン等の天然又は合成樹脂の単体又は混合物を挙げることができる。
耐熱滑性層の耐熱性を高めるため、紫外線又は電子ビームを照射して樹脂を架橋する技術が知られている。また、架橋剤を用い、加熱により架橋させることも可能である。この際、触媒が添加されることもある。架橋剤としては、ポリイソシアネート等が知られており、このためには、水酸基系の官能基を有する樹脂が適している。特開昭62−259889号公報には、ポリビニルブチラールとイソシアネート化合物との反応生成物にリン酸エステルのアルカリ金属塩又はアルカリ土類塩及び炭酸カルシウム等の充填剤を添加することにより耐熱滑性層を形成することが開示されている。また、特開平6−99671号公報には、耐熱滑性層を形成する高分子化合物を、アミノ基を有するシリコーン化合物と1分子中に2個以上のイソシアネート基を有するイソシアネート化合物を反応させることにより得ることが開示されている。本発明においては、これらを使用することが好ましい。
耐熱滑性層には、滑剤、可塑剤、安定剤、充填剤、ヘッド付着物除去のためのフィラー等の添加剤が配合されていても良い。
滑剤としては、フッ化カルシウム、フッ化バリウム、フッ化黒鉛等のフッ化物、二硫化モリブデン、二硫化タングステン、硫化鉄等の硫化物、酸化鉛、アルミナ、酸化モリブデン等の酸化物、グラファイト、雲母、窒化ホウ素、粘土類(滑石、酸性白度等)等の無機化合物からなる固体滑剤、フッ素樹脂、シリコーン樹脂等の有機樹脂、シリコーンオイル、ステアリン酸金属塩等の金属セッケン類、ポリエチレンワックス、パラフィンワックス等の各種ワックス類、アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、両性界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤等の界面活性剤を挙げることができる。
またアルキルリン酸モノエステル、アルキルリン酸ジエステルの亜鉛塩などのリン酸エステル系界面活性剤や中和した燐酸エステル系界面活性剤を用いる方法、水酸化マグネシウムなどの中和剤を用いる方法等が知られており、本発明においてはこれらのリン酸エステルを含有することが好ましい。
その他の添加剤としては高級脂肪酸アルコール、オルガノポリシロキサン、有機カルボン酸およびその誘導体、タルク、シリカ等の無機化合物の微粒子等を挙げることができる。
これらの中でも無機粒子を用いることが特に好ましい。
さらにこれらの無機粒子について詳しく述べると、無機粒子の硬度としてはいわゆるモース硬度で3〜7であることが好ましく、3〜6がより好ましく、3.5〜5.5が更に好ましい。モース硬度が3より小さい場合には高速プリント時のインクシートの変形を抑制できず、またモース硬度が7より大きい場合にはサーマルプリンターヘッドに傷を発生する。
モース硬度が3〜7の無機粒子としては公知のものを用いることができ、例えば炭酸カルシウム(モース硬度3)、ドロマイト(MgCa(CO)(モース硬度3.5〜4)、酸化マグネシウム(モース硬度4)、炭酸マグネシウム(モース硬度3.5〜4.5)およびシリカ(モース硬度7)が挙げられる。これらの中では酸化マグネシウムおよび炭酸マグネシウムがより好ましく、酸化マグネシウムが更に好ましい。
またこれら耐熱滑性層に含まれる無機粒子の平均粒子径は0.3μm〜5μmであることが好ましい。
本発明においては平均粒子径が0.3μmより小さい場合には高速プリント時のインクシートの変形を抑制できず、またサーマルプリンターヘッドへの付着物を低減することもでず、平均粒子径が5.0μmより大きい場合には高速プリント時のインクシートの変形はむしろ悪化し、同時にサーマルプリンターヘッドの削れと傷が大きくなってしまう。サーマルプリンターヘッドの傷および削れは、サーマルプリンターヘッド表面の電極発熱部を保護する絶縁層が傷付き、削れることでありサーマルプリンターヘッドの寿命が短くなる。平均粒子径としては0.3μm〜4.5μmがより好ましく、0.4μm〜4μmが更に好ましい。ここで平均粒子径はレーザー回折散乱法により求めた値である。粒子に光を照射して得られる回折散乱光強度の空間分布は粒子サイズによって各々異なるため、回折散乱光強度の空間分布を測定して解析することで粒子サイズ分布を求めることができレーザー解析散乱法として確立している。測定装置は(株)島津製作所製SALDシリーズや(株)堀場製作所製 LAシリーズ等の市販のものを使用することができる。
また無機粒子の形状は最大巾の球相当径に対する比が1.5〜50であることが好ましい。1.5より小さい場合にはサーマルプリンターヘッドへの付着物を低減する効果がほとんどなく、またサーマルプリンターヘッドに傷を生ずる場合もある。この比の値が50より大きい場合、例えば針状の無機粒子において針の直径が0.12μmで針の長さが88μmの場合にこの比は約70であるが、外部応力により折れ易くこの形状を保ったまま耐熱滑性層に含有させることが困難である。
ここで無機粒子の最大巾の球相当径に対する比は無機粒子の走査型電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope 略称「SEM」)による観察から求めることができる。具体的な手順は以下の通りである。
無機粒子をSEMで観察角度を変えて測定し、形状と長さ、厚みを測定する。
測定した形状と大きさから粒子体積を計算し、球相当径を求める。球相当径とは計算した粒子体積と等しい体積となる球の直径のことである。また、測定した長さ、厚みから粒子の最大巾を求める。粒子の最大巾とは粒子表面の2点を結んだ長さの中で最大のもののことであり、無機粒子が柱状の場合は柱の高さに相当し、無機粒子が針状の場合は針の長さに相当し、無機粒子が平板状の場合には主平面の最大巾に相当する。
個々の粒子について求めた最大巾を球相当径で除することで比の値を求めることができる。粒子形状が球の場合には、最大巾と球相当径は等しく比は1となり、粒子形状が立方体の場合には比の値は約1.4となり、粒子形状の球からのずれが大きくなるほど比の値は大きくなる。
粒子内に空隙がある場合には、粒子体積を正確に計算できないが、この場合には空隙が無い形状として計算して比を求めることとする。
耐熱滑性層に含有される個々の無機粒子の最大巾の球相当径に対する比の値は個々の粒子でその値に変動があるが、個々の粒子の比の平均が耐熱滑性層中のモース硬度が3〜7の無機粒子全質量に対する50質量%以上がこの比の値が1.5〜50の範囲にあることがより好ましく、80質量%以上であることがさらに好ましく、90質量%以上であることが最も好ましい。
また、この比は1.8〜45がより好ましく、2〜40が更に好ましい。
耐熱滑性層は、先に例示したようなバインダーに添加剤を加えた材料を溶剤中に溶解または分散させた塗工液を、グラビアコーティング、ロールコーティング、ブレードコーティング、ワイヤーバーなどの従来から公知の方法で塗布することによって形成される。0.1〜10μm程度の膜厚が好ましく、さらに好ましくは0.5〜5μm程度の膜厚である。
(基材)
基材は、必要とされる耐熱性と強度を有するものであれば、従来公知のいずれのものでも使用することができる。例として、グラシン紙、コンデンサー紙、パフィン紙等の薄紙、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルケトン、ポリエーテルサルホン等の耐熱性の高いポリエステル類、ポリプロピレン、ポリカーボネート、酢酸セルロース、ポリエチレン化合物、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、ポリアミド、ポリイミド、ポリメチルペンテン、アイオノマー等のプラスチックの延伸あるいは未延伸フィルムや、これらの材料を積層したものが好ましい基材の具体例として挙げられる。ポリエステルフィルムはこれらの中でも特に好ましく、延伸処理されたポリエステルフィルムが最も好ましい。この基材の厚さは、強度及び耐熱性等が適切になるように材料に応じて適宜選択されるが、1〜100μm程度のものが好ましく用いられる。より好ましくは2〜50μm程度のものであり,さらに好ましくは3〜10μm程度のものが用いられる。
<<感熱転写受像シート>>
本発明の画像形成方法に好ましく用いられる感熱転写受像シートは、基材上に感熱転写シートから転写されるインクを受容する受容ポリマーを含有した受容層を有し、好ましくは基材と受容層との間に少なくとも1層の断熱層を有する。また、基材と受容層との間に、例えば白地調整、帯電防止、接着性、レベリングなどの各種機能を付与した中間層が形成されていてもよい。また、感熱転写シートと重ね合わせられる面の最外層には、離型層が形成されてもよい。
本発明の画像形成方法に用いられる感熱転写受像シートの作成には、ロールコート、バーコート、グラビアコート、グラビアリバースコート、ダイコート、スライドコート、カーテンコート等の公知の塗布方法を用いることができる。本発明の感熱転写受像シートの各層は1層ごとに塗布されてもよく、隣接する任意の層を同時重層塗布により形成することが好ましく、全層を同時重層塗布で形成することが最も好ましい。
基材の、受容層を塗設した面の他方の面にはカール調整層、筆記層、帯電調整層を設けてもよい。
(受容層)
<ポリマーラテックス>
本発明においては、受容層はポリマーラテックスを含有することが好ましい。
ここで、ポリマーラテックスとは一般に熱可塑性樹脂が微粒子として水溶性の分散媒中に分散されたものである。本発明のポリマーラテックスに用いられる熱可塑性樹脂の例としては、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリアクリレート、塩化ビニル系共重合体、ポリウレタン、スチレン−アクリロニトリル共重合体、ポリカプロラクトン等が挙げられる。
このうちポリカーボネート、ポリエステル、塩化ビニル系共重合体が好ましく、ポリエステル、塩化ビニル系共重合体、が特に好ましく、塩化ビニル系共重合体が最も好ましい。
ポリエステルはジカルボン酸化合物とジオール化合物との縮合により得られ、芳香環や飽和炭化環を含有してもよく、分散性を付与するための水溶性基を含有してもよい。
塩化ビニル系共重合体とは、重合体を得るためのモノマーとして塩化ビニルを少なくとも使用し、かつ他のモノマーと共重合させたものであり、例えば、塩化ビニルと酢酸ビニル共重合体、塩化ビニルとアクリレートの共重合体、塩化ビニルとメタクリレートの共重合体、塩化ビニルと酢酸ビニルとアクリレートの共重合体、塩化ビニルとアクリレートとエチレンの共重合体等が挙げられる。このように2元共重合体でも3元以上の共重合体でもよく、モノマーが不規則に分布していても、ブロック共重合していてもよい。
該共重合体にはビニルアルコール誘導体やマレイン酸誘導体、ビニルエーテル誘導体などの補助的なモノマー成分を添加してもよい。共重合体において塩化ビニル成分は50質量%以上含有されていることが好ましく、またマレイン酸誘導体、ビニルエーテル誘導体等の補助的なモノマー成分は10質量%以下であることが好ましい。
ポリマーラテックスは単独でも混合物として使用してもよい。ポリマーラテックスは、均一構造であってもコア/シェル型であってもよく、このときコアとシェルをそれぞれ形成する樹脂のガラス転移温度が異なっても良い。
ポリエステルラテックスは、東洋紡株式会社製 バイロナールMD−1100(Tg40℃)、バイロナールMD−1400(Tg20℃)、バイロナールMD−1480(Tg20℃)、MD−1985(Tg20℃)、バイロナールMD−1200(Tg67℃)、バイロナールMD−1245(Tg61℃)、バイロナールMD−1500(Tg77℃)、互応化学工業株式会社製 プラスコートZ−850(Tg20℃)、プラスコートZ−450(Tg55℃)、プラスコートZ−561(Tg64℃)、ユニチカ株式会社製 エリーテルKZA134(Tg40℃)エリーテルKA5034(Tg67℃)等(いずれも商品名)、塩化ビニル共重合体ラテックスは、日信化学工業株式会社製 ビニブラン276(Tg33℃)、ビニブラン609(Tg48℃)、ビニブラン690(Tg46℃)、ビニブラン603(Tg64℃)、ビニブラン900(Tg70℃)、ビニブラン683(Tg72℃)等(いずれも商品名)、住化ケムテックス株式会社製スミエリート1320(Tg30℃)、スミエリート1210(Tg20℃)等(いずれも商品名)、がそれぞれ挙げられる。
<塩化ビニル系ポリマー>
本発明の受容層には、塩化ビニル系ポリマーラテックスが好ましい。塩化ビニル系ポリマーラテックスとは、塩化ビニルから得られる繰り返し単位を有するポリマーラテックスであり、より好ましくは塩化ビニルから得られる繰り返し単位を50質量%以上有するポリマーラテックスである。
塩化ビニル系ポリマーラテックスは、塩化ビニル系共重合ポリマーラテックスがより好ましい。塩化ビニル系共重合ポリマーラテックスとは、ポリマーラテックスを得るためのモノマーとして塩化ビニルを少なくとも使用し、かつ他のモノマーと共重合させたものであり、例えば、塩化ビニルと酢酸ビニル共重合体、塩化ビニルとアクリレートの共重合体、塩化ビニルとメタクリレートの共重合体、塩化ビニルと酢酸ビニルとアクリレートの共重合体、塩化ビニルとアクリレートとエチレンの共重合体等が挙げられる。このように2元共重合体でも3元以上の共重合体でもよく、モノマーが不規則に分布していても、ブロック共重合していてもよい。
このような塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体としては、SOLBIN C、SOLBIN CL、SOLBIN CH、SOLBIN CN、SOLBIN C5、SOLBIN M、SOLBIN MF、SOLBIN A、SOLBIN AL、SOLBIN TA5R、SOLBIN TAO、SOLBIN MK6、SOLBIN TA2(以上、日信化学工業製)が挙げられる。
<水溶性ポリマー>
本発明の画像形成方法に用いられる感熱転写受像シートにおいて、受容層に水溶性ポリマーを含有させることができる。水溶性ポリマーとは、20℃における水100gに対し0.05g以上溶解すればよく、より好ましくは0.1g以上、さらに好ましくは0.5g以上、特に好ましくは1g以上である。水溶性ポリマーとしては、天然高分子、半合成高分子および合成高分子のいずれも用いることができる。これらの水溶性ポリマーの使用にあたっては、添加された硬膜剤で架橋されることが好ましい。なお、硬膜剤で架橋されるには、水溶性ポリマーが硬膜剤と反応しうるものである必要があり、硬膜剤の二重結合や活性ハライド(求核反応を受け、ハライドを放出)と反応する基(例えば、−OH基、>NH基、−SH基を部分構造として有する基、いわゆる活性水素を有する基)を有する。
本発明の画像形成方法に用いられる感熱転写受像シートに用いることのできる水溶性ポリマーのうち、天然高分子および半合成高分子について詳しく説明する。植物系多糖類としては、κ−カラギーナン、ι−カラギーナン、λ−カラギーナン、ペクチンなど、微生物系多糖類としては、キサンタンガム、デキストリンなど、動物系天然高分子としては、ゼラチン、カゼインなどが挙げられる。セルロース系としては、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースなどが挙げられる。このうちゼラチンが最も好ましい。
本発明において、ゼラチンは分子量10,000から1,000,000までのものを用いることができる。本発明に用いられるゼラチンはCl、SO 2−等の陰イオンを含んでいてもよいし、Fe2+、Ca2+、Mg2+、Sn2+、Zn2+などの陽イオンを含んでいても良い。ゼラチンは水に溶かして添加することが好ましい。
本発明の画像形成方法に用いられる感熱転写受像シートに用いることのできる水溶性ポリマーのうち、合成高分子については、ポリビニルピロリドン、ポリビニルピロリドン共重合体、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、水溶性ポリエステルなどである。
ポリビニルアルコールについては、完全けん化物、部分けん化物、変性ポリビニルアルコール等、各種ポリビニルアルコールを用いることができる。これらポリビニルアルコールについては、長野浩一ら共著,「ポバール」(高分子刊行会発行)に記載のものが用いられる。
ポリビニルアルコールは、その水溶液に添加する微量の溶剤あるいは無機塩類によって粘度調整をしたり粘度安定化させたりすることが可能であって、詳しくは上記文献、長野浩一ら共著,「ポバール」,高分子刊行会発行,144〜154頁記載のものを使用することができる。その代表例としてホウ酸を含有させることで塗布面質を向上させることができ、好ましい。ホウ酸の添加量は、ポリビニルアルコールに対し0.01〜40質量%であることが好ましい。
ポリビニルアルコールの具体例としては、完全けん化物としてはPVA−105、PVA−110、PVA−117、PVA−117Hなど、部分けん化物としてはPVA−203、PVA−205、PVA−210、PVA−220など、変性ポリビニルアルコールとしてはC−118、HL−12E、KL−118、MP−203が挙げられる。
<界面活性剤>
本発明の画像形成方法に用いられる感熱転写受像シートは、任意の層に界面活性剤を含有させることができる。
界面活性剤を添加する層において、界面活性剤の添加量は、全固形分量に対して0.01〜5質量%であることが好ましく、0.01〜1質量%であることがより好ましく、0.02〜0.5質量%であることが特に好ましい。
界面活性剤としては、アニオン性、非イオン性、カチオン性及び両性の公知のものが使用できる。例えば、「機能性界面活性剤監修/角田光雄、発行/2000年8月、第6章」で紹介されているもの等を用いることができる。その中でもアニオン性界面活性剤及び非イオン性界面活性剤が好ましく、アニオン性界面活性剤がさらに好ましい。
使用する界面活性剤は1種でも2種以上でもよく、層ごとに異なる界面活性剤を用いてもよい。使用する界面活性剤の少なくとも1種がフッ素原子を有する界面活性剤であることが好ましい。
<離型剤>
本発明の画像形成方法に用いられる感熱転写受像シートには、画像印画時の感熱転写シートと感熱転写受像シートとの離型性を確保するために離型剤を添加してもよい。
離型剤としては、例えば、ポリエチレンワックス、パラフィンワックス、脂肪酸エステルワックス、アミドワックス等の固形ワックス類、シリコーンオイル、リン酸エステル系化合物、フッ素系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤およびその他当該技術分野で公知の離型剤を使用することができる。これらの中で、脂肪酸エステルワックス、フッ素系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤、シリコーンオイルおよび/またはその硬化物等のシリコーン系化合物、フッ素原子が置換した脂肪族基を側鎖に有する高分子化合物が好ましく用いられる。なかでもフッ素原子が置換した脂肪族基を側鎖に有する高分子化合物が特に好ましい。
フッ素原子が置換した脂肪族基を側鎖に有する高分子化合物は、テロメリゼーション法(テロマー法ともいわれる)もしくはオリゴメリゼーション法(オリゴマー法ともいわれる)により製造されたフルオロ脂肪族化合物から導くことができる。フッ素原子が置換した脂肪族化合物は、例えば、特開2002−90991号公報に記載された方法等によって容易に合成することができる。
ここで、フッ素原子が置換した脂肪族基は、少なくとも1個のフッ素原子が置換した脂肪族基(直鎖、分岐または環状の脂肪族基)であり、好ましくは炭素原子数が1〜36の、アルキル基、アルケニル基またはシクロアルキニル基である。より好ましくは炭素原子数が1〜36(好ましくは1〜18、より好ましくは1〜12、さらに好ましくは1〜10、最も好ましくは4〜8)のアルキル基で、該脂肪族基はフッ素原子以外に置換基を有してもよい。該置換基としては、例えば、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基、フッ素原子以外のハロゲン原子、水酸基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アミノ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、ヘテロ環アミノ基、アシルアミノ基、スルホンアミノ基、カルバモイル基、スルファモイル基、シアノ基、ニトロ基、アシル基、スルホニル基、ウレイド基、ウレタン基等が挙げられる。
本発明においてフッ素原子が置換した脂肪族基として最も好ましくは、パーフルオロアルキル基である。
フッ素原子が置換した脂肪族基を側鎖に有する高分子化合物としては、フッ素原子が置換した脂肪族基を有するモノマーの重合体もしくは共重合体が好ましく、このようなモノマーとしては、アクリル酸化合物(例えばアクリル酸類、アクリル酸エステル類、アクリル酸アミド類で、アクリル酸エステル類、アクリル酸アミド類が好ましく、アクリル酸エステル類がより好ましい)、メタクリル酸化合物(例えばメタクリル酸類、メタクリル酸エステル類、メタクリル酸アミド類で、メタクリル酸エステル類、メタクリル酸アミド類が好ましく、メタクリル酸エステル類がより好ましい)のアシル部またはアルコールもしくはアミド部(窒素原子に置換する基)にフッ素原子が置換した脂肪族基が置換したモノマーやアクリロニトリル化合物にフッ素原子が置換した脂肪族基が置換したモノマーで得られる高分子化合物が好ましい。
フッ素原子が置換した脂肪族基を側鎖に有する高分子化合物としては、フッ素原子が置換した脂肪族基を有するモノマーとの共重合体の場合、組み合わせるモノマーとしては、アクリレート類、メタアクリレート類、アクリロニトリル類、アクリルアミド類、メタクリルアミド類、オレフィン類、スチレン類等が挙げられ、なかでもアクリレート類、メタアクリレート類、アクリロニトリル類、アクリルアミド類、メタクリルアミド類が好ましく、より好ましくはアクリレート類、メタアクリレート類であり、これらの中でも、アルコール部もしくはアミド部の窒素原子に置換する基中にポリオキシアルキレン(例えば、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン)を有するものが好ましい。
本発明においては共重合体が好ましく、2元系でも3元系でもそれ以上であってもかまわない。
例えば、フッ素原子が置換した脂肪族基を有するモノマーと(ポリ(オキシアルキレン))アクリレート及び/又は(ポリ(オキシアルキレン))メタクリレートとの共重合体が好ましく、不規則に分布しているものでも、ブロック共重合していてもよい。また、ポリ(オキシアルキレン)基としては、ポリ(オキシエチレン)基、ポリ(オキシプロピレン)基、ポリ(オキシブチレン)基などが挙げられ、また、ポリ(オキシエチレンとオキシプロピレンとオキシエチレンとのブロック連結体)やポリ(オキシエチレンとオキシプロピレンとのブロック連結体)など同じ鎖長内に異なる鎖長のアルキレンを有するようなユニットでもよい。さらに、フッ素原子が置換した脂肪族基を有するモノマーと(ポリ(オキシアルキレン))アクリレート(又はメタクリレート)との共重合体は2元共重合体ばかりでなく、異なる2種以上のフッ素原子が置換した脂肪族基を有するモノマーや、異なる2種以上の(ポリ(オキシアルキレン))アクリレート(又はメタクリレート)などを同時に共重合した3元系以上の共重合体でもよい。
フッ素原子が置換した脂肪族基を側鎖に有する高分子化合物の質量平均分子量は、好ましくは5,000〜50,000であり、より好ましくは8,000〜30,000であり、さらに好ましくは10,000〜20,000である。
例えば、パーフルオロブチル基(−C)を有するアクリレート(又はメタクリレート)と(ポリ(オキシアルキレン))アクリレート(又はメタクリレート)との共重合体、パーフルオロブチル基を有するアクリレート(又はメタクリレート)と(ポリ(オキシエチレン))アクリレート(又はメタクリレート)と(ポリ(オキシプロピレン))アクリレート(又はメタクリレート)との共重合体、パーフルオロヘキシル基(−C13)を有するアクリレート(又はメタクリレート)と(ポリ(オキシアルキレン))アクリレート(又はメタクリレート)との共重合体、パーフルオロヘキシル基を有するアクリレート(又はメタクリレート)と(ポリ(オキシエチレン))アクリレート(又はメタクリレート)と(ポリ(オキシプロピレン))アクリレート(又はメタクリレート)との共重合体、パーフルオロオクチル基(−C17)を有するアクリレート(又はメタクリレート)と(ポリ(オキシアルキレン))アクリレート(又はメタクリレート)との共重合体、パーフルオロオクチル基を有するアクリレート(又はメタクリレート)と(ポリ(オキシエチレン))アクリレート(又はメタクリレート)と(ポリ(オキシプロピレン))アクリレート(又はメタクリレート)との共重合体などを挙げることができる。
また本発明の画像形成方法に用いられる感熱転写受像シートにおいてフッ素原子が置換した脂肪族基を側鎖に有する高分子化合物は、「パーフルオロアルキル含有オリゴマー」等の一般名称で商業的に入手可能であり、例えば下記の製品が挙げられる。
大日本インキ化学工業株式会社製 メガファックF−470、メガファックF−471、メガファックF−472SF、メガファックF−474、メガファックF−475、メガファックF−477、メガファックF−478、メガファックF−479、メガファックF−480SF、メガファックF−472、メガファックF−483、メガファックF−484、メガファックF−486、メガファックF−487、メガファックF−489、メガファックF−172D、メガファックF−178K、メガファックF−178RM(いずれも商品名)、住友スリーエム株式会社製 ノベックTM FC−4430、FC−4432(いずれも商品名)
を使用することができる。
フッ素原子が置換した脂肪族基を側鎖に有する高分子化合物は非イオン性(水中で解離した基、例えば、スルホ基、カルボキシル基、を有しないもの)であることが好ましく、一定の水溶性を有することがさらに好ましい。ここで一定の水溶性とは高分子化合物が25℃において純水に対して1%以上の溶解度を有することである。具体的には、水酸基、上記のようなオキシアルキレン基を有する高分子化合物であり、例えば、大日本インキ化学工業株式会社製 メガファックF−470、メガファックF−472SF、メガファックF−477、メガファックF−479、メガファックF−480SF、メガファックF−484、メガファックF−486(いずれも商品名)のように水への溶解性を示す化合物が好ましい。
本発明の画像形成方法に用いられる感熱転写受像シートにおいてフッ素原子が置換した脂肪族基を側鎖に有する高分子化合物が非イオン性で一定の水溶性を有することが好ましい理由は必ずしも明らかでないが次のように推定している。フッ素原子が置換した脂肪族基を側鎖に有する非イオン性の高分子化合物は熱転写後の染料や受容ポリマーとの親和性が高く、該高分子化合物はその水溶性によりラテックスを用いた感熱転写受像シートの受容層とも適度な親和性をもつため、高温高湿条件下の印画時において熱転写シートと熱転写受像シートの接触面に滲み出して離型性を有効に働くものと推定している。
フッ素原子が置換した脂肪族基を側鎖に有する高分子化合物の添加量は、受容層の全固形分(質量)に対して0.2%〜10%であり、好ましくは、0.5%〜8%であり、さらに好ましくは1%〜5%である。また、フッ素原子が置換した脂肪族基を側鎖に有する高分子化合物は1種のみの添加でも効果を奏するが、上記記載の化合物を2種以上添加することで、より一層の効果を奏する。
<マット剤>
本発明の画像形成方法に用いられる感熱転写受像シートにおいて、ブロッキング防止、離型性付与、滑り性付与のためにマット剤を添加しても良い。マット剤は感熱転写受像シートの受容層が塗布される面、受容層が塗布される他方の面、あるいはその両方の面に添加することができる。
マット剤は、一般に水に不溶の有機化合物の微粒子、無機化合物の微粒子を挙げることができるが、本発明では、分散性の観点から、有機化合物を含有する微粒子が好ましい。有機化合物を含有していれば、有機化合物単独からなる有機化合物微粒子であっても良いし、有機化合物だけでなく無機化合物をも含有した有機/無機複合微粒子であっても良い。マット剤の例としては、例えば米国特許第1,939,213号、同2,701,245号、同2,322,037号、同3,262,782号、同3,539,344号、同3,767,448号等の各明細書に記載の有機マット剤を用いることができる。
<防腐剤>
本発明の画像形成方法に用いられる感熱転写受像シートには、防腐剤を添加してもよい。本発明の受像シートに含有される防腐剤としては、特に限定されないが、防腐防黴ハンドブック、技報堂出版(1986)、堀口博著、防菌防黴の化学、三共出版(1986)、防菌防黴剤事典、日本防菌防黴学会発行(1986)等に記載されているものを用いることができる。具体的には、イミダゾール化合物、デヒドロ酢酸ナトリウム、4−イソチアゾリン−3−オン化合物、ベンゾイソチアゾリン−3−オン、ベンゾトリアゾール化合物、アミジングアニジン化合物、四級アンモニウム塩類、ピロジン,キノリン,グアニジン等の化合物、ダイアジン、トリアゾール化合物、オキサゾール、オキサジン化合物、2−メルカプトピリジン−N−オキサイドまたはその塩等が挙げられる。これらの中でも、4−イソチアゾリン−3−オン化合物、ベンゾイソチアゾリン−3−オンが好ましい。
受容層の塗布量は、0.5〜10g/m(固形分換算、以下本発明における塗布量は特に断りのない限り、固形分換算の数値である。)が好ましい。受容層の膜厚は1〜20μmであることが好ましい。
受容層には、その他 紫外線吸収剤、滑剤、酸化防止剤剤等を含有させてもよい。
(断熱層)
感熱転写受像シートに塗設される断熱層は1層でも2層以上でも良い。断熱層は、受容層と基材の間に設けられ、断熱層は中空ポリマーを含有することが特に好ましくい。
中空ポリマーとは粒子内部に独立した気孔を有するポリマー粒子であり、好ましくはポリマーラテックスであり、例えば、1)ポリスチレン、アクリル樹脂、スチレン−アクリル樹脂等により形成された隔壁内部に水が入っており、塗布乾燥後、粒子内の水が粒子外に蒸発して粒子内部が中空となる非発泡型の中空ポリマー、2)ブタン、ペンタンなどの低沸点液体を、ポリ塩化ビニリデン、ポリアクリロニトリル、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸エステルのいずれか又はそれらの混合物もしくは重合物よりなる樹脂で覆っており、塗工後、加熱により粒子内部の低沸点液体が膨張することにより内部が中空となる発泡型マイクロバルーン、3)上記の2)をあらかじめ加熱発泡させて中空ポリマーとしたマイクロバルーンなどが挙げられる。
中空ポリマーとしては、上記1)の非発泡型の中空ポリマーが好ましく、必要に応じて2種以上混合して使用することができる。具体例としてはロームアンドハース社製 ローペイク HP−1055、JSR社製 SX866(B)、日本ゼオン社製 Nipol MH5055(いずれも商品名)などが挙げられる。
断熱層が含有する中空ポリマーの固形分質量は、好ましくは受容層の全固形分質量の70%以上95%以下であり、より好ましくは75%以上90%以下である。
断熱層が含有する中空ポリマーの平均粒径は、好ましくは0.1μm以上3.0μm以下であり、より好ましくは0.2μm以上2.0μm以下であり、さらに好ましくは0.3μm以上0.8μm以下である。
本発明において、中空ポリマーのサイズは、透過型電子顕微鏡を用いて、その外径の円相当換算直径を測定し算出する。平均粒径は、中空ポリマーを少なくとも300個透過電子顕微鏡を用いて観察し、その外形の円相当径を算出し、平均して求める。
中空ポリマーの空隙率とは、粒子体積に対する空隙部分の体積の割合から求める。
中空ポリマーを含む断熱層中には、中空ポリマー以外にバインダーとして水溶性ポリマーを含有することが好ましい。好ましい例としては、受容層の項で記載した水溶性ポリマーが挙げられる。これら水溶性ポリマーのなかで、ゼラチン、ポリビニルアルコールが好ましい。これらの樹脂は単独又は混合して用いることができる。
中空ポリマーを含む断熱層の厚みは5〜50μmであることが好ましく、5〜40μmであることがより好ましい。
断熱層には前述の受容層に添加できる水溶性ポリマーを添加でき、受容層と同じ水溶性ポリマーを用いても異なった水溶性ポリマーを用いてもよい。また任意の組み合わせと比率で混合しても良い。断熱層に用いる水溶性ポリマーとして、ポリビニルアルコールまたはゼラチンが好ましく、ゼラチンが最も好ましい。
断熱層が含有する水溶性ポリマーの固形分質量は、好ましくは断熱層の全固形分質量の2%以上50%以下であり、より好ましくは5%以上30%以下であり、さらに好ましくは10%以上20%以下である。
(中間層)
受容層と基材との間には、前述の断熱層以外に中間層が形成されていてもよく、中間層の機能としては白地調整、帯電防止、接着性付与、平滑性付与などが挙げられるが、これらに限定されることなく、公知の中間層を付与することができる。本発明の画像形成方法に用いられる感熱転写受像シートでは、最も基材に近い断熱層と基材の間に1層以上の中間層が形成されていることが好ましい。
このような中間層はポリマーラテックスを含有することが好ましい。ポリマーラテックスのガラス転移温度(Tg)は、−40℃〜40℃が好ましく、−30℃〜30℃がより好ましく、−20℃〜20℃がさらに好ましい。
本発明の画像形成方法に用いられる感熱転写受像シートにおいて好ましいポリマーラテックスは、アクリル系ラテックス、ポリエステル系ラテックス、スチレン・ブタジエン系ラテックス、メタクリル酸メチル・ブタジエン系ラテックス、ポリウレタン系ラテックス、塩化ビニル系ラテックス等が挙げられる。これらポリマーラテックスは直鎖のポリマーでも枝分かれしたポリマーでもまた架橋されたポリマーでもよいし、単一のモノマーが重合したいわゆるホモポリマーでもよいし、2種類以上のモノマーが重合したコポリマーでもよい。コポリマーの場合はランダムコポリマーでも、ブロックコポリマーでもよい。これらポリマーの分子量は数平均分子量で5000〜1000000が好ましく、より好ましくは10000〜500000である。
このうち、スチレン・ブタジエン系ラテックス、メタクリル酸メチル・ブタジエン系ラテックス及びポリウレタン系ラテックスが好ましく、メタクリル酸メチル・ブタジエン系ラテックス及びポリウレタン系ラテックスが特に好ましい。
スチレン・ブタジエン類の具体例としては、日本ゼオン株式会社製 Nipol LX421、Nipol LX430、Nipol LX435、Nipol LX438C(いずれも商品名)、日本エイアンドエル株式会社製 SR−103,SR−104,SR−108、SR−140、SR−141(商品名)が挙げられる。
メタクリル酸メチル・ブタジエン類の具体例としては、日本エイアンドエル株式会社製MR−170、MR−171、MR−173、MR−180(いずれも商品名)等が挙げられる。
ポリウレタン類としては大日本インキ株式会社製 HYDRAN AP−10,AP−20、AP−30、AP−40(いずれも商品名)、大成ファインケミカル株式会社製 WBR−016U、WBR−2018、WBR−2019(いずれも商品名)、高松油脂株式会社製 NS−310X(商品名)等が挙げられる。
(カール調整層)
本発明の画像形成方法に用いられる感熱転写受像シートには、必要に応じてカール調整層を形成することが好ましい。カール調整層には、ポリエチレンラミネートやポリプロピレンラミネート等が用いられる。具体的には、例えば特開昭61−110135号公報、特開平6−202295号公報などに記載されたものと同様にして形成することができる。
(筆記層・帯電調整層)
本発明の画像形成方法に用いられる感熱転写受像シートには、必要に応じて筆記層・帯電調整層を設けることができる。筆記層、帯電調整層には、無機酸化物コロイドやイオン性ポリマー等を用いることができる。帯電防止剤として、例えば第四級アンモニウム塩、ポリアミン化合物等のカチオン系帯電防止剤、アルキルホスフェート等のアニオン系帯電防止剤、脂肪酸エステル等のノニオン系帯電防止剤など任意のものを用いることができる。具体的には、例えば特許第3585585号公報などに記載されたものと同様にして形成することができる。
(基材)
本発明の画像形成方法に用いられる感熱転写受像シートに用いる基材は、従来公知の基材を用いることができる。その中でも耐水性基材が好ましく用いられる。耐水性基材を用いることで基材中に水分が吸収されるのを防止して、受容層の経時による性能変化を防止することができる。耐水性基材としては例えばコート紙やラミネート紙、合成紙を用いることができる。なかでもラミネート紙が好ましい。
<<画像形成方法>>
本発明の画像形成方法では、感熱転写受像シートの受容層と感熱転写シートの熱転写層とが接するように重ね合わせて、サーマルヘッドからの画像信号に応じた熱エネルギーを付与することにより画像を形成する。
具体的な画像形成は、例えば特開2005−88545号公報などに記載された方法と同様にして行うことができる。本発明では、ユーザーにプリント物を提供するまでの時間を短縮するという観点から、プリント時間は15秒未満が好ましく、3〜12秒がより好ましく、さらに好ましくは、3〜7秒である。
上記プリント時間を満たすために、プリント時のライン速度は1.0msec/line以下であることが好ましく、好ましくは0.8msec/line以下であり、更に好ましくは0.7msec/line以下である。また、高速化条件における転写効率向上の観点から、プリント時のサーマルヘッド最高到達温度は、180℃以上450℃以下が好ましく、更に好ましくは200℃以上450℃以下である。更には350℃以上450℃以下が好ましい。
本発明は、感熱転写記録方式を利用したプリンター、複写機などに利用することができる。熱転写時の熱エネルギーの付与手段は、従来公知の付与手段のいずれも使用することができ、例えば、サーマルプリンター(例えば、富士フイルム製、商品名、ASK−2000)等の記録装置によって所期の目的を十分に達成することができる。
実施例1
(感熱転写シートの作製)
次のように感熱転写シート101を作製した。
基材として片面に易接着処理がされている厚さ4.5μmのポリエステルフィルム(ルミラー5A−F595、商品名、東レ(株)製)の易接着処理がされていない面に、乾燥後の固形分塗布量が1g/mとなるように背面層塗工液を塗布した。乾燥後、50℃で熱処理を行い硬化させた。
このようにして作製したポリエステルフィルムの易接着処理がされている面に、下記塗工液により、プライマー層1を塗布した。プライマー層の固形分塗布量は0.2g/mとした。イエロー、マゼンタ、シアンの各熱転写層を面順次となるように塗布した感熱転写シート101を作製した。なお、各熱転写層の固形分塗布量は0.8g/mとした。
背面層塗工液
アクリル系ポリオール樹脂
(アクリディックA−801、
商品名、大日本インキ化学工業(株)製) 17.3質量部
ステアリン酸亜鉛
(SZ−2000、商品名、堺化学工業(株)製) 0.26質量部
リン酸エステル
(Phoslex A18、商品名、堺化学工業(株)製) 0.52質量部
リン酸エステル
(プライサーフA217、商品名、第一工業製薬(株)製) 3.59質量部
タルク
(ミクロエースL−1、商品名、日本タルク(株)製)) 0.52質量部
酸化マグネシウム
(スターマグPSF、商品名、神島化学(株)製) 0.07質量部
ポリイソシアネート
(バーノックD−750、商品名、
大日本インキ化学工業(株)製) 7.77質量部
メチルエチルケトン/トルエン(質量比2/1) 70質量部
プライマー層1塗工液
ポリビニルピロリドン
(K−90、商品名、アイエスピージャパン(株)製) 6.0質量部
メチルエチルケトン 47質量部
イソプロピルアルコール 47質量部
イエロー熱転写層塗工液
染料(Y−1) 0.7質量部
染料(Y−2) 0.5質量部
染料(Y−3) 4.2質量部
染料(Y−4) 1.7質量部
ポリビニルアセタール樹脂
(デンカブチラール#5000−D、商品名、電気化学工業(株)製) 7.3質量部
離型剤
(メガファックF−472SF、商品名、
大日本インキ化学工業(株)製) 0.1質量部
マット剤(フローセンUF、商品名、住友精工(株)製) 0.12質量部
メチルエチルケトン/トルエン(質量比2/1) 85質量部
Figure 2010076332
マゼンタ熱転写層塗工液
染料(M−1) 0.5質量部
染料(M−2) 0.3質量部
染料(M−3) 6.5質量部
ポリビニルアセタール樹脂
(デンカブチラール#5000−D、商品名、電気化学工業(株)製) 7.7質量部
離型剤
(メガファックF−472SF,商品名、
大日本インキ化学工業(株)製) 0.1質量部
マット剤(フローセンUF、商品名、住友精工(株)製) 0.12質量部
メチルエチルケトン/トルエン(質量比2/1) 85質量部
Figure 2010076332
シアン熱転写層塗工液
染料(C−1) 0.3質量部
染料(C−2) 6.6質量部
染料(C−3) 0.3質量部
ポリビニルアセタール樹脂
(デンカブチラール#5000−D、商品名、電気化学工業(株)製) 8.0質量部
離型剤
(メガファックF−472SF、商品名、
大日本インキ化学工業(株)製) 0.1質量部
マット剤(フローセンUF、商品名、住友精工(株)製) 0.12質量部
メチルエチルケトン/トルエン(質量比2/1) 85質量部
Figure 2010076332
転写性保護層積層体
熱転写層の作製に使用したものと同じポリエステルフィルムに、以下に示す組成の離型層、保護層および接着層用塗工液を塗布し、転写性保護層積層体を形成した。乾膜時の塗布量は離型層0.5g/m、保護層1.0g/m、接着層1.8g/mとした。
離型層塗工液
変性セルロース樹脂(L−30、商品名、ダイセル化学(株)製) 5.0質量部
メチルエチルケトン 95.0質量部
保護層塗工液
アクリル樹脂(ダイアナールBR−100、商品名、
三菱レイヨン(株)製) 35質量部
イソプロパノール 75質量部
接着層塗工液
アクリル樹脂(ダイアナールBR−77、商品名、
三菱レイヨン(株)製) 25質量部
紫外線吸収剤 UV−1 1.5質量部
紫外線吸収剤 UV−2 1.5質量部
紫外線吸収剤 UV−3 1.2質量部
紫外線吸収剤 UV−4 0.8質量部
シリコーン樹脂微粒 0.06質量部
(トスパール120、商品名、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製)
メチルエチルケトン/トルエン(質量比2/1) 70質量部
Figure 2010076332
感熱転写シート101のプライマー層1塗工液を、以下のものに変更した以外は同様にして、感熱転写シート102の試料を作製した。
プライマー層2塗工液
アルミナゾル 22.5質量部
(アルミナゾル200、商品名、日産化学工業(株)製、固形分10%)
シリケート 4.7質量部
(MSH1、商品名、三菱化学(株)製、固形分16%)
水 24.3質量部
イソプロピルアルコール 48.5質量部
プライマー層1塗工液のポリビニルピロリドンを、下記表1のポリエステルに変更した以外は同様にして、プライマー層3から9の塗工液を作製した。
なお、下記表1中のノルボルネンジメタノールは、5−ノルボルネン−2,3−ジメタノールであり、アダマンタンジオールは、1,3−アダマンタンジオール、トリシクロデカンジメタノールは、トリシクロ[5,2,1,02,6]デカン−4,9−ジメタノール、トリシクロデカンジカルボン酸は、トリシクロ[5,2,1,02,6]デカン−4,9−ジカルボン酸である。またモル%は、全ジオール中、ジカルボン酸化合物中のそれぞれのモル%である。
Figure 2010076332
感熱転写シート101のプライマー層1塗工液をプライマー層3から9の塗工液に変更した以外は同様にして、感熱転写シート103から109を作製した。
感熱転写シート101のプライマー層1塗工液を、以下のものに変更した以外は同様にして、感熱転写シート110の試料を作製した。
プライマー層10塗工液
ポリビニルピロリドン
(K−90、商品名、アイエスピージャパン(株)製) 3.0質量部
プライマー層5塗工液のポリエステル 3.0質量部
メチルエチルケトン 47質量部
イソプロピルアルコール 47質量部
感熱転写シート101のプライマー層1塗工液を、以下のものに変更した以外は同様にして、感熱転写シート111の試料を作製した。
プライマー層11塗工液
ポリビニルピロリドン
(K−90、商品名、アイエスピージャパン(株)製) 1.8質量部
プライマー層5塗工液のポリエステル 4.2質量部
メチルエチルケトン 47質量部
イソプロピルアルコール 47質量部
(感熱転写受像シート201の作製)
ポリエチレンで両面ラミネートした紙基材の表(おもて)面に、コロナ放電処理を施した後、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムを含むゼラチン下塗層を設けた。この上に、下記組成の下引き層、断熱層、受容層を支持体側からこの順に積層させた状態で、米国特許第2,761,791号明細書に記載の第9図に例示された方法により、同時重層塗布を行なった。それぞれの乾燥時の塗布量が下引き層:6.6g/m、断熱層:8.8g/m、受容層:5.0g/mとなるように塗布を行った。また、下記の組成は、固形分としての質量部を表す。また、塩化ビニルモノマーの割合における%は、質量%である。
<下引き層塗工液>
スチレンブタジエンラテックス 60質量部
(SR103、商品名、日本エイアンドエル(株)製)
PVA(6%水溶液) 40質量部
(ポバールPVA205、商品名、(株)クラレ製)
NaOH水溶液 pHを8に調節する量
<断熱層塗工液>
中空ポリマーラテックス 60質量部
(MH5055、商品名、日本ゼオン(株)製)
ゼラチン(10%水溶液) 20質量部
NaOH pHを8に調節する量
<受容層塗工液>
塩化ビニル系ラテックス 40質量部
(ビニブラン900(Tg70℃、塩化ビニルモノマー割合90%)、
商品名、日信化学(株)製)
塩化ビニル系ラテックス 30質量部
(ビニブラン609(Tg46℃、塩化ビニルモノマー割合80%)、
商品名、日信化学(株)製)
ゼラチン(10%水溶液) 10質量部
マイクロクリスタリンワックス 1質量部
(EMUSTAR−42X、商品名、日本製蝋(株)製)
フッ素系離型剤 4質量部
(メガファックF−472F、商品名、DIC(株)製)
水 5質量部
NaOH pHを8に調節する量
(画像形成)
上記感熱転写シート101〜111及び感熱転写受像シート201を用いて、熱転写型プリンター(ASK2000 富士フイルム(株)製)により152mm×102mmサイズ画像の出力を行った。この際、ASK2000に付属の感熱転写シートを、感熱転写シート101〜111と貼り替えたものを用いた。出力する際の環境条件は、35℃、相対湿度80%で行った。プリンターは、それぞれの感熱転写シートおよび感熱転写受像シートをプリンターにセットし、印画可能な状態とした上で予め35℃、相対湿度80%の部屋に24時間置いておいた。
印画は黒ベタ画像でそれぞれ10枚連続で行い、それぞれプリント後に保護層転写を行った。保護層転写後の反射濃度をカラー濃度計X−rite310TR(X−rite社製)で測定した。JIS−Z−8741に準拠し、光沢度の測定を行った。1プリント内で20点測定し、光沢度の平均値と偏差を求めた。光沢度の測定にはデジタル変角光沢計UGV−6P(スガ試験機(株)製)を用いた。また、目視にて画質の評価を行い、5段階の評価を行った。この結果を下記表2に示す。数字が大きいほど結果が良好で、5段階のうち、4以上が許容範囲である。
Figure 2010076332
上記表2から明らかなように、本発明の感熱転写シートは、比較感熱転写シートに比べ、印画画像の反射濃度、光沢度が高く、光沢度のバラツキが小さく、画質が優れることがわかる。
実施例2
(感熱転写受像シート202の作製)
次に、感熱転写受像シート201の受容層塗工液を、以下の受容層塗工液とした以外は感熱転写受像シート201と同様にして感熱転写受像シート202を得た。
<受容層塗工液>
ポリエステル系ラテックス 49質量部
(バイロナールMD−1200(Tg67℃)、商品名、東洋紡(株)製)
ポリエステル系ラテックス 21質量部
(バイロナールMD−1500(Tg77℃)、商品名、東洋紡(株)製)
ゼラチン(10%水溶液) 10質量部
マイクロクリスタリンワックス 5質量部
(EMUSTAR−42X、商品名、「日本製蝋(株)製)
水 5質量部
NaOH pHを8に調節する量
(画像形成)
次に、感熱転写シート101〜111を用い、上記感熱転写受像シート201に変えて、感熱転写受像シート202を用いた以外は実施例1と同様にプリントを行った結果、本本発明の感熱転写シートは、良好な結果が得られた。
実施例3
(感熱転写受像シート203の作製)
支持体として合成紙(ユポFPG200、厚さ200μm、商品名、ユポコーポレーション社製)を用い、この一方の面に下記組成の受容層を塗布した。受容層4.0g/mとなるように塗布を行い、乾燥は50℃で、30秒間行った。
受容層
塩化ビニル−酢酸ビニル樹脂 100質量部
(ソルバインA、商品名、日信化学工業(株)社製)
アミノ変性シリコーン 5質量部
(信越化学工業(株)社製、商品名、X22−3050C)
エポキシ変性シリコーン 5質量部
(信越化学工業(株)社製、商品名、X22−3000E)
メチルエチルケトン/トルエン(質量比1/1) 400質量部
(画像形成)
次に、感熱転写シート101〜111を用い、上記感熱転写受像シート201に変えて、感熱転写受像シート203を用いた以外は実施例1と同様にプリントを行った結果、感熱転写受像シート201を使用した場合と比較し、性能的には劣るものの、比較の感熱転写シートとの比較では、性能の向上が認められた。

Claims (11)

  1. 基材の一方の面に少なくとも、プライマー層、染料とバインダーを含有する熱転写層がこの順に塗設され、イエロー、マゼンタ、シアンの各熱転写層および保護層が面順次に設けられた感熱転写シートであって、該プライマー層が、架橋環式炭化水素環、スピロ炭化水素環または環集合飽和炭化水素環を部分構造に有するポリエステル樹脂を含有することを特徴とする感熱転写シート。
  2. 前記ポリエステル樹脂が、架橋環式炭化水素環、スピロ炭化水素環または環集合飽和炭化水素環のいずれかの構造を有するジオール化合物の少なくとも1種とジカルボン酸化合物の少なくとも1種から得られたポリエステル樹脂であることを特徴とする請求項1に記載の感熱転写シート。
  3. 前記ポリエステル樹脂が、架橋環式炭化水素環、スピロ炭化水素環または環集合飽和炭化水素環のいずれかの構造を有するジカルボン酸化合物の少なくとも1種とジオール化合物の少なくとも1種から得られたポリエステル樹脂であることを特徴とする請求項1に記載の感熱転写シート。
  4. 前記ポリエステル樹脂が、架橋環式炭化水素環を部分構造に有するポリエステル樹脂であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の感熱転写シート。
  5. 前記架橋環式炭化水素環が、トリシクロデカン環であることを特徴とする請求項4に記載の感熱転写シート。
  6. 基材の一方の面に少なくとも、プライマー層、染料とバインダーを含有する熱転写層がこの順に塗設され、イエロー、マゼンタ、シアンの各熱転写層および保護層が面順次に設けられた感熱転写シートと、基材上の一方の面に、該感熱転写シートから転写される染料を受容する受容層を設けた感熱転写受像シートとを用いて、サーマルヘッドから該感熱転写シートに熱が印加されることにより該熱転写層中の染料を、該感熱転写受像シートの受容層に転写して画像を形成する画像形成方法であって、該感熱転写シートの該プライマー層に架橋環式炭化水素環、スピロ炭化水素環または環集合飽和炭化水素環を部分構造に有するポリエステル樹脂を含有し、該感熱転写受像シートの該受容層に少なくとも1種のポリマーラテックスを含有することを特徴とする画像形成方法。
  7. 前記ポリマーラテックスが、塩化ビニル系ポリマーラテックスであることを特徴とする請求項6に記載の画像形成方法。
  8. 前記ポリエステル樹脂が、架橋環式炭化水素環、スピロ炭化水素環または環集合飽和炭化水素環のいずれかの構造を有するジオール化合物の少なくとも1種とジカルボン酸化合物の少なくとも1種から得られたポリエステル樹脂であることを特徴とする請求項6または7に記載の画像形成方法。
  9. 前記ポリエステル樹脂が、架橋環式炭化水素環、スピロ炭化水素環または環集合飽和炭化水素環のいずれかの構造を有するジカルボン酸化合物の少なくとも1種とジオール化合物の少なくとも1種から得られたポリエステル樹脂であることを特徴とする請求項6または7に記載の画像形成方法。
  10. 前記ポリエステル樹脂が、架橋環式炭化水素環を部分構造に有するポリエステル樹脂であることを特徴とする請求項6〜9のいずれか1項に記載の画像形成方法。
  11. 前記架橋環式炭化水素環が、トリシクロデカン環であることを特徴とする請求項10に記載の画像形成方法。
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