JP2011073376A - 熱転写シート、画像形成方法及び印画物 - Google Patents

熱転写シート、画像形成方法及び印画物 Download PDF

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都明 小高
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Abstract

【課題】耐光性に優れ、高感度及び高濃度化を実現可能にする熱転写シート、該熱転写シートを使用した画像形成方法及び印画物を提供する。
【解決手段】基材シート上に少なくともイエロー染料層を有する熱転写シート。上記染料層の染料は、一般式(1)で表される化合物及び/若しくは一般式(2)で表される化合物からなる。
Figure 2011073376

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【選択図】なし

Description

本発明は、熱転写シート、画像形成方法及び印画物に関する。
熱転写を利用した画像の形成方法として、記録材としての熱拡散型染料(昇華型染料)をプラスチックフィルム等の基材シート上に担持させた熱転写シートと、紙やプラスチックフィルム等の別の基材シート上に染料受容層を設けた熱転写受像シートとを互いに重ね合わせてフルカラー画像を形成する熱拡散型転写方式(昇華型熱転写方式)が知られている。
昇華型熱転写方式では、一般的に三原色(イエロー、マゼンタ、シアンの3色。必要に応じてブラックを加えてもよい。)を順次重ねて階調印画することにより、フルカラー表現を行っている。
このような昇華型熱転写方式において得られる画像は、銀塩写真と同様に高画質なものが形成可能となっており、それにつれて、画像の光・熱・湿度等の因子による画質劣化防止への要求が極めて高くなってきている。
従来より、画像物の画像保存性を改良するために新規な染料や画像形成方法等の開発が行われている(特許文献1)。
例えば、特許文献1には、特定の染料を含む染料層を有する感熱転写シートと、受容層と特定の断熱層を有する感熱転写受像シートとを使用する画像形成方法が開示されている。
しかしながら、画像の保存性と印画濃度との両者が必ずしも充分に満足できるものではなく、更なる改良が求められていた。
特開2008−87298号公報
本発明は、上記現状に鑑み、耐光性に優れ、高感度及び高濃度化を実現可能にする熱転写シート、該熱転写シートを使用した画像形成方法及び印画物を提供することを目的とする。
本発明は、基材シートの上に少なくともイエロー染料層を有する熱転写シートであって、上記イエロー染料層に含まれる染料は、一般式(1)で表される化合物及び/若しくは一般式(2)で表される化合物からなり、又は、上記一般式(1)で表される化合物及び/若しくは一般式(2)で表される化合物と、一般式(3)で表される化合物及び/若しくは一般式(4)で表される化合物とからなり、上記熱転写シートは、他の基材シートの上に少なくとも染料受容層と多孔質層とを有する熱転写受像シートと組み合わせて画像を形成するために使用され、上記染料受容層は、スチレン−アクリル系共重合体(a)、冷却ゲル化剤(b)及び離型剤(c)を含有し、前記スチレン−アクリル系共重合体(a)のスチレン単位とアクリル系化合物単位とのモル比([スチレン単位]/[アクリル系化合物])が、60〜80/40〜20である
ことを特徴とする熱転写シートである。
Figure 2011073376
上記一般式(1)中、R及びRは、同一又は互いに異なる官能基であり、水素原子、置換若しくは非置換のアルキル基、アリル基、置換若しくは非置換のアリール基、又は、置換若しくは非置換のシクロアルキル基を表し、Rは、水素原子、置換若しくは非置換のアルキル基、NR基、置換若しくは非置換のアルコキシ基、置換若しくは非置換のアルコキシカルボニル基、置換若しくは非置換のアリール基、又は、C(O)NR基を表し、R、R、R、Rは、それぞれ独立して、水素原子、置換若しくは非置換のアルキル基、又は、置換若しくは非置換のアリール基を表し、Rは、置換若しくは非置換のアルキル基、又は、置換若しくは非置換のアリール基を表す。;
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上記一般式(2)中、R及びR10は、同一又は互いに異なる官能基であり、置換若しくは非置換のアルキル基、置換若しくは非置換のシクロアルキル基又は置換若しくは非置換のアラルキル基を表し、R11は、置換若しくは非置換のアルキル基、置換若しくは非置換のアルコキシカルボニル基、置換若しくは非置換のアルキルアミノカルボニル基、置換若しくは非置換のアルコキシ基、置換若しくは非置換のアルキルアミノスルホニル基、置換若しくは非置換のシクロアルキル基、シアノ基、ニトロ基又はハロゲン原子を表す。;
Figure 2011073376
上記一般式(3)中、R12及びR13は、同一又は互いに異なる官能基であり、置換若しくは非置換の低級アルキル基、置換若しくは非置換の低級アルケニル基、又は、置換若しくは非置換のアリール基を表し、R14及びR15は、同一又は互いに異なる官能基であり、置換若しくは非置換の低級アルキル基を表す。;
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上記一般式(4)中、R16は、水素原子、置換若しくは非置換のアルキル基又は置換若しくは非置換のアルコキシ基を表し、R17は、アルコキシカルボニル基、アルキルアミノカルボニル基、アルコキシ基、アルコキシアルコキシ基、アルキル基、シクロアルキル基又は複素環基を表し、Xは水素原子又はハロゲン原子を表す。
上述の熱転写シートにおいて、上記一般式(1)で表される化合物は、式(1−1)で表される化合物であり、上記一般式(2)で表される化合物は、式(2−1)で表される化合物及び/又は式(2−2)で表される化合物であり、上記一般式(3)で表される化合物は、式(3−1)で表される化合物であり、上記一般式(4)で表される化合物は、式(4−1)で表される化合物及び/又は(4−2)で表される化合物であることが好ましい。
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本発明はまた、基材シートの上に少なくともイエロー染料層を有する熱転写シートと、他の基材シートの上に少なくとも染料受容層と多孔質層とを有する熱転写受像シートと組み合わせて使用して画像を形成する画像形成方法であって、上記イエロー染料層に含まれる染料は、一般式(1)で表される化合物及び/若しくは一般式(2)で表される化合物からなり、又は、上記一般式(1)で表される化合物及び/若しくは一般式(2)で表される化合物と、一般式(3)で表される化合物及び/若しくは一般式(4)で表される化合物とからなり、上記染料受容層は、スチレン−アクリル系共重合体(a)、冷却ゲル化剤(b)及び離型剤(c)を含有し、前記スチレン−アクリル系共重合体(a)のスチレン単位とアクリル系化合物単位とのモル比([スチレン単位]/[アクリル系化合物])が、60〜80/40〜20であることを特徴とする画像形成方法でもある。
Figure 2011073376
上記一般式(1)中、R及びRは、同一又は互いに異なる官能基であり、水素原子、置換若しくは非置換のアルキル基、アリル基、置換若しくは非置換のアリール基、又は、置換若しくは非置換のシクロアルキル基を表し、Rは、水素原子、置換若しくは非置換のアルキル基、NR基、置換若しくは非置換のアルコキシ基、置換若しくは非置換のアルコキシカルボニル基、置換若しくは非置換のアリール基、又は、C(O)NR基を表し、R、R、R、Rは、それぞれ独立して、水素原子、置換若しくは非置換のアルキル基、又は、置換若しくは非置換のアリール基を表し、Rは、置換若しくは非置換のアルキル基、又は、置換若しくは非置換のアリール基を表す。;
Figure 2011073376
上記一般式(2)中、R及びR10は、同一又は互いに異なる官能基であり、置換若しくは非置換のアルキル基、置換若しくは非置換のシクロアルキル基、又は、置換若しくは非置換のアラルキル基を表し、R11は、置換若しくは非置換のアルキル基、置換若しくは非置換のアルコキシカルボニル基、置換若しくは非置換のアルキルアミノカルボニル基、置換若しくは非置換のアルコキシ基、置換若しくは非置換のアルキルアミノスルホニル基、置換若しくは非置換のシクロアルキル基、シアノ基、ニトロ基又はハロゲン原子を表す。;
Figure 2011073376
上記一般式(3)中、R12及びR13は、同一又は互いに異なる官能基であり、置換若しくは非置換の低級アルキル基、置換若しくは非置換の低級アルケニル基、又は、置換若しくは非置換のアリール基を表し、
14及びR15は、同一又は互いに異なる官能基であり、置換若しくは非置換の低級アルキル基を表す。;
Figure 2011073376
上記一般式(4)中、R16は、水素原子、置換若しくは非置換のアルキル基又は置換若しくは非置換のアルコキシ基を表し、R17は、アルコキシカルボニル基、アルキルアミノカルボニル基、アルコキシ基、アルコキシアルコキシ基、アルキル基、シクロアルキル基又は複素環基を表し、Xは水素原子又はハロゲン原子を表す。
上記画像形成方法において、上記一般式(1)で表される化合物は、式(1−1)の化合物であり、上記一般式(2)で表される化合物は、式(2−1)の化合物及び/又は式(2−2)の化合物であり、上記一般式(3)で表される化合物は、式(3−1)の化合物であり、上記一般式(4)で表される化合物は、式(4−1)の化合物及び/又は(4−2)の化合物であることが好ましい。
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本発明はまた、上述の画像形成方法により形成されることを特徴とする印画物でもある。
以下に、本発明を詳細に説明する。
昇華型熱転写方式における画像形成方法において使用する熱転写シートや熱転写受像シートの材料として、近年、環境への負荷をより軽減させるために水系材料への転換が図られている。本発明者らは先に、印画物の高感度性、耐光性及び離型性に優れた水系材料からなる熱転写受像シートを開発した。
一方、熱転写シートに使用される昇華型染料としては、多種多様なものが知られている。しかしながら、熱転写シートの染料層に含まれる染料によっては、このような水性材料からなる熱転写受像シートと組み合わせても、所望の耐光性や、感度及び濃度を有する画像を得ることはできなかった。
本発明者らは、鋭意検討した結果、このような水系材料からなる特定の染料受容層を有する熱転写受像シートと、特定の染料を用いて得られるイエロー染料層を有する熱転写シートとを組み合わせて使用して昇華型熱転写方式により画像を形成することにより、従来の画像物と比較して、極めて優れた耐光性を有し、高感度で、高濃度なイエロー色の画像物が得られることを、初めて見出し、本発明を完成した。
以下、本発明の熱転写シートについて説明する。
(熱転写シート)
本発明の熱転写シートは、基材シートの上に少なくともイエロー染料層を有する。
上記イエロー染料層に含まれる染料は、上記一般式(1)で表される化合物及び/若しくは上記一般式(2)で表される化合物からなり、又は、上記一般式(1)で表される化合物及び/若しくは上記一般式(2)で表される化合物と、上記一般式(3)で表される化合物及び/若しくは上記一般式(4)で表される化合物とからなる。
このような特定の染料を含むイエロー染料層を有する熱転写シートとすることにより、後述する特定の熱転写受像シートと組み合わせて熱転写による画像形成を行うと、耐光性に優れ、感度が高く、高濃度なイエロー画像物を得ることができる。
なかでも、感度が高く、より高濃度で耐光性に優れたイエロー画像物を得ることができる点で、上記イエロー染料層に含まれる染料として、上記一般式(1)で表される化合物は、上記式(1−1)で表される化合物であることが好ましく、上記一般式(2)で表される化合物は、上記式(2−1)で表される化合物及び/又は式(2−2)で表される化合物であることが好ましい。また、上記一般式(3)で表される化合物は、上記式(3−1)で表される化合物であることが好ましく、上記一般式(4)で表される化合物は、上記式(4−1)で表される化合物及び/又は(4−2)で表される化合物であることが好ましい。
更に、なかでも、上記イエロー染料層に含まれる染料としては、染料層中の含有量が少量、例えば50質量%以下であっても、耐光性に優れ、感度が高く、高濃度な印画物が得られる点で、上記式(1−1)で表される化合物からなることがより好ましい。
上記イエロー染料層における上記染料の含有量は、35〜75質量%であることが好ましい。35質量%未満であると、印画感度が低下するおそれがある。75質量%を超えると、バインダー樹脂が染料を保持出来なくなり、表面に染料が析出するおそれがある。上記染料の含有量は、40〜70質量%であることがより好ましい。なお、上記染料の含有量は、上記染料が2種以上含まれる場合は、それらの合計量である。
上記イエロー染料層は、バインダー樹脂を含む。
上記イエロー染料層のバインダー樹脂としては、一般に、耐熱性を有し、染料と適度の親和性があるものを使用することができる。
上記バインダー樹脂としては、例えば、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、エチルヒドロキシセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、酢酸セルロース、酪酸セルロース等のセルロース系樹脂;ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルブチラール、ポリビニルアセトアセタール、ポリビニルピロリドン等のビニル系樹脂;ポリ(メタ)アクリレート、ポリ(メタ)アクリルアミド等のアクリル樹脂;ポリウレタン系樹脂;ポリアミド系樹脂;ポリエステル系樹脂;等が挙げられる。
なかでも、耐熱性、染料の移行性に優れる点で、セルロース系樹脂、ビニル系樹脂、アクリル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂が好ましく、ビニル系樹脂がより好ましい。
上記イエロー染料層は、所望により、離型剤、無機微粒子、有機微粒子等の添加剤を使用してもよい。これらの添加剤は、公知のものを使用することができる。また、これらの染料層は、本発明の効果を阻害しない範囲で、上述した染料以外の染料を含んでいてもよい。
上記イエロー染料層は、上述の染料とバインダー樹脂とを、必要に応じて添加する添加剤とともに、適当な有機溶剤や水に溶解又は分散して得られた染料層形成用塗工液を使用して、公知の方法により形成するとよい。上記イエロー染料層は、他の染料層(例えば、シアン染料層、マゼンタ染料層)と面順次に形成するとよい。
上記熱転写シートの基材シートとしては、ある程度の耐熱性と強度を有するものであれば特に限定されず、例えば、ポリエチレンテレフタレートフィルム、1,4−ポリシクロヘキシレンジメチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリフェニレンサルフィドフィルム、ポリスチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリサルホンフィルム、アラミドフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリビニルアルコールフィルム、セロハン、酢酸セルロース等のセルロース誘導体、ポリエチレンフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ナイロンフィルム、ポリイミドフィルム、アイオノマーフィルム等の樹脂フィルム;コンデンサー紙、パラフィン紙、合成紙等の紙類;不織布;紙や不織布と樹脂との複合体;等が挙げられる。
上記基材シートは、厚さが一般に約0.5〜50μmであることが好ましく、約1.5〜10μmであることがより好ましい。
上記基材シートは、隣接する層との接着性を向上させるため、公知の各種表面処理を施したものであってもよい。上記表面処理としては、なかでも、コストが低い点で、コロナ処理又はプラズマ処理が好ましい。また、必要に応じ、その一方の面又は両面に下引き層(プライマー層)を形成するものであってもよい。
上記熱転写シートは、上述したイエロー染料層及び基材シートの他に、他の染料層(マゼンタ染料層、シアン染料層)、転写保護層、耐熱滑性層、並びに、下引き層等のその他の層を有していてもよい。これらの層構成は、一般に公知の層構成であればよい。
上記耐熱滑性層は、熱転写時にサーマルヘッドの走行不良が原因で生じる問題を防止する役割を果たす層である。上記耐熱滑性層は、通常、染料層が位置する基材シートの面側とは異なる面側に位置する。
上記耐熱滑性層及び他の染料層は、公知の材料を用いて、公知の方法により形成するとよい。
上記転写保護層は、例えば、接着層、剥離層及び離型層からなるものが挙げられる。上記転写保護層は、上述の染料層と面順次に形成することにより、画像形成後に画像面を保護する保護層を転写することができる。
上記転写保護層の構成及び調製は、特に限定されず、使用する基材シート、染料層等の特徴に応じて、従来公知の技術より選択することができる。
上記下引き層は、特に限定されず、基材と染料層との接着性や染料の転写効率を向上させる組成を適宜選択して設けることができる。
(熱転写受像シート)
本発明の熱転写シートは、特定の熱転写受像シートと組み合わせて使用して画像形成を行うものである。
本発明の熱転写シートと組み合わせて使用する熱転写受像シートは、基材シート上に少なくとも染料受容層と多孔質層とを有し、上記染料受容層は、特定の共重合比を有するスチレン−アクリル系共重合体(a)、冷却ゲル化剤(b)及び離型剤(c)を含有するものである。このため、印画物の高感度性、耐光性及び離型性に優れた水系材料からなる熱転写受像シートとすることができる。
本発明の熱転写シートは、このような水系材料からなる特定の熱転写受像シートと組み合わせて熱転写による画像形成を行うと、耐光性に優れ、高感度でかつ高濃度のイエロー画像を好適に形成することができる。
上記染料受容層は、加熱時に熱転写シートから上述した染料を受容する層である。上記染料受容層は、少なくともスチレン−アクリル系共重合体(a)、冷却ゲル化剤(b)及び離型剤(c)を含有する。
上記スチレン−アクリル系共重合体(a)としては、スチレン単位とアクリル系化合物単位とから形成される共重合体であれば特に限定されず、スチレン及びアクリル系化合物に加えてこれら必須単量体と共重合可能なモノマーをも少量共重合させたものであってもよい。
なお、本明細書において、「アクリル系化合物」とは、(メタ)アクリル酸及び/又はそのアルキルエステルを意味する。
上記アクリル系化合物としては、例えば、アクリル酸;アクリル酸カルシウム、アクリル酸亜鉛、アクリル酸マグネシウム、アクリル酸アルミニウム等のアクリル酸塩;メチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、2−エトキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、ラウリルアクリレート、n−ステアリルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート等のアクリル酸エステル;メタクリル酸;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸トリデシル、メタクリル酸シクロヘキシル、ジメタクリル酸トリエチレングリコール、ジメタクリル酸1,3−ブチレン、トリメタクリル酸トリメチロールプロパン等のメタクリル酸エステル等を挙げることができる。これらの中でも、モノマーとして長鎖のアクリル系化合物が使用されている場合、耐光性が顕著に向上する。
スチレン−アクリル系共重合体(a)中のスチレン単位とアクリル系化合物単位のモル比([スチレン単位]/[アクリル系化合物])は60〜80/40〜20であることが好ましい。スチレン−アクリル系共重合体(a)中のスチレン単位を60モル%以上とすることにより、ガラス転移温度(Tg)が比較的高くなるため、このような共重合体を含有する染料受容層は耐熱性に優れると共に、耐光性が向上し得る。上記スチレン単位が80モル%を超えるとTgが上昇して耐熱性には優れるものの、染料染着性が低下して画像濃度が低下するおそれがある。
また、上記スチレン−アクリル系共重合体(a)はランダムコポリマーでも、ブロックコポリマーでもよい。
上記スチレン−アクリル系共重合体(a)は、数平均分子量(ポリスチレン換算)が15万以上であることが好ましい。上記数平均分子量が15万未満である場合、熱転写時に離型性が低下するおそれがある。上記スチレン−アクリル系共重合体(a)の数平均分子量(ポリスチレン換算)の上限は、重合条件等から実用上25万程度である。
上記スチレン−アクリル系共重合体(a)は、上記染料受容層中に50〜95重量%含有されていることが好ましく、70〜95質量%がより好ましく、80〜90質量%が更に好ましい。なお、本発明においては、上記染料受容層を形成するための樹脂は1種のみを用いてもよく、平均分子量等が異なる2種以上を用いてもよい。
上記スチレン−アクリル系共重合体(a)が平滑透明な連続塗膜を形成するための最低温度(最低造膜温度(MFT))は30〜90℃が好ましく、40〜80℃がより好ましく、45〜75℃が更に好ましい。最低造膜温度をコントロールするために造膜助剤を添加することもできる。尚、本発明においては、スチレン−アクリル系共重合体(a)の最低造膜温度はガラス転移温度より高いものが好ましい。
上記スチレン−アクリル系共重合体(a)は、溶液重合法、懸濁重合法、乳化重合法、分散重合法、イオン重合法等により製造することができる。なかでも、上記スチレン−アクリル系共重合体(a)は、上記染料受容層を形成するための形成用塗工液が水系溶媒中で形成される観点から、ラテックスとして添加することが好ましいため、ラテックスとして得られる乳化重合法が最も好ましい。
なお、本発明において「水系」とは上記塗工液中の50質量%以上が水、又は水と均一に混和し得る有機溶媒(例えばメタノール、エタノール、イソプロパノール、n−プロパノール等のアルコール;エチレングリコール、ジエチレングリコール、グリセリン等のグリコール類;酢酸エチル、酢酸プロピル等のエステル類;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド類等)との混合溶液であることをいう。
上記乳化重合法は、水、又は、水及び水と均一に混和し得る上記有機溶媒との混合溶液を分散媒とし、分散媒100部に対し、例えば10〜150質量部のスチレンと上記アクリル系化合物、重合乳化剤と重合開始剤等を用い、20〜100℃の温度で、1〜20時間程度、攪拌下に重合させる重合法である。
上記重合開始剤としては無機過酸化物、アゾ化合物等のラジカル剤を用いることができる。上記重合開始剤の添加量は、モノマー100質量部に対して0.2〜3.0質量部使用されることが好ましい。
上記重合乳化剤としては、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤等を用いることができる。上記重合乳化剤の添加量は、モノマー100質量部に対して0.2〜10.0質量部であることが好ましい。また、乳化重合法には、連鎖移動剤やキレート剤を使用してもよい。
上記冷却ゲル化剤(b)は、冷却されることによりゲル化する性質を有するものであり、例えば、ゼラチン、ポリビニルアルコール、寒天、κ−カラギーナン、λ−カラギーナン、ι−カラギーナン、ペクチン等を挙げることができる。なかでも、ゼラチンが好ましい。上記冷却ゲル化剤(b)は、水に溶解した状態での15℃における粘度が、80℃における粘度に対して、3倍以上、特に5倍以上、さらには10倍以上であるものが好ましい。
ここで、上記ゼラチンは、三重へリックス構造を有するコラーゲンを変性させることによって得られるペプチド鎖からなるものであり、冷却されることにより部分的に上記三重へリックス構造を回復し、回復された三重へリックス構造を起点として三次元ネットワークを形成することにより、冷却ゲル化特性を示すものである。ゼラチンの原料としては、豚皮、豚骨、牛皮、牛骨、魚鱗、魚皮等を原料とするコラーゲンより得られるゼラチンを用いることができる。さらに、ゼラチンの種類としては特に制限が無いが、石灰処理ゼラチン、酸処理ゼラチン、ゼラチンのアミノ基を全てまたは部分的に封鎖した、いわゆる誘導体ゼラチンも使用することができる。
上記誘導体ゼラチンとしては、ゼラチンのアミノ基を封鎖した誘導体ゼラチンが好ましく、イソシアネート付加、アシル化、あるいは脱アミノ化したもの等が含まれる。具体的には、ゼラチンとフェニルイソシアネート、アルキルイソシアネート等を付加させたゼラチン、又は、無水フタル酸等の酸無水物やフタル酸クロライド等の酸塩化物を反応させた物であることが好ましい。ゼラチンのアミノ基の封鎖する割合はアミノ基の70%以上、好ましくは80%以上、更に好ましくは90%以上である。上記ゼラチンを用いたフィルムは、硬膜剤により、水溶性を満たす範囲に硬膜されていてもよい。本発明では、分子量1万〜100万のゼラチンを用いるとよい。本発明に用いるゼラチンは、Cl、SO 2−等の陰イオンを含んでいてもよいし、Fe2+、Ca2+、Mg2+、Sn2+、Zn2+等の陽イオンを含んでいてもよい。ゼラチンは水に溶かして添加することが好ましい。
上記ゼラチンとしては、市販のものであってもよく、例えば、新田ゼラチン社製ゼラチン(商品名:MJ、R、APH−200等)、ニッピ社製ゼラチン(商品名:DP、DG、DB、MAX−F等)、ゼライス社製ゼラチン(商品名:A−U、AU−P、AU−G、AU−S等)等を挙げることができる。
上記冷却ゲル化剤(b)の含有量は、上記熱転写受像シートを製造する際に、染料受容層を形成するために用いられる染料受容層形成用塗工液に所望の、表面張力、粘度特性等を付与できる範囲内であれば特に限定されるものではないが、上記染料受容層中に2〜30質量%であることが好ましい。上記含有量が2質量%未満であると、例えば、染料受容層形成用塗工液を基材シート上に塗布して乾燥する際に、ムラが生じやすくなるおそれがある。一方、30質量%を超えると、画像形成の際に染料の染着性を低下させ、画像濃度が低下する場合がある。上記含有量は、2〜25質量%がより好ましく、2〜20質量%が更に好ましい。
上記離型剤(c)としては、従来公知の離型剤、例えば、シリコーンオイル、ポリエチレンワックス、アミドワックス、テフロン(登録商標)パウダー等の固形ワックス、弗素系、リン酸エステル系の界面活性剤、シリコーン等を挙げることができる。なかでも、変性シリコーンオイルが好ましい。上記離型剤は、単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
上記離型剤(c)の含有量は、上記染料受容層中に2〜30質量%であることが好ましい。上記離型剤の含有量が2質量%未満であると、熱転写受像シートを用いて印画物を作成する際に、熱転写シートと熱転写受像シートとが融着し、正常に印画できないおそれがある。一方、30質量%を超えると、印画物を作成する際に、印画感度が低下するおそれがある。上記離型剤の含有量は、2〜25質量%がより好ましく、2〜20質量%が更に好ましい。
上記染料受容層は、上述した成分の他に、必要に応じて、界面活性剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、フィラー、顔料、帯電防止剤、可塑剤、熱溶融性物質等の添加剤を含んでいてもよい。これらは、公知のものを使用することができる。
上記染料受容層は、上述した成分を、水又は水と均一に混和し得る有機溶媒中に分散させて得られた染料受容層形成用塗工液を使用して、公知の方法により形成するとよい。
上記染料受容層の厚みは、所望の画像濃度を発現できる範囲内であれば特に限定されるものではないが、0.5〜20μmの範囲内であることが好ましく、1〜20μmがより好ましく、1〜15μmが更に好ましい。
上記熱転写受像シートは多孔質層を有する。
上記多孔質層は、熱転写により画像形成する際に、サーマルヘッドから染料受容層に加えられた熱が、基材シート側へ伝熱するのを抑制する断熱性とクッション性を有する層である。
上記多孔質層は、中空粒子(d)及び冷却ゲル化剤(e)を含むことが好ましい。
上記中空粒子としては、多孔質層に所望の断熱性およびクッション性を付与できるものであれば特に限定されず、例えば、発泡粒子若しくは非発泡粒子、独立発泡粒子若しくは連続発泡粒子、樹脂等から構成される有機系中空粒子、ガラス等から構成される無機系中空粒子、及び、架橋中空粒子等を挙げることができる。
上記中空粒子(d)を構成する樹脂としては、例えば、架橋スチレン−アクリル樹脂等のスチレン系樹脂、アクリロニトリル−アクリル樹脂等の(メタ)アクリル系樹脂、フェノール系樹脂、フッ素系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエーテル系樹脂等を挙げることができる。
上記中空粒子(d)の平均粒径は、中空粒子(d)を構成する樹脂の種類等に応じて、上記多孔質層に所望の断熱性およびクッション性を付与できる範囲であれば特に限定されるものではないが、通常、0.1〜15μmが好ましく、0.1〜10μmがより好ましい。平均粒径が小さすぎると、中空粒子(d)の使用量が増えコストが高くなるおそれがある。平均粒径が大きすぎると、平滑な多孔質層を形成することが困難になるおそれがある。
上記中空粒子は、中空率が30〜80%程度のものが好ましい。また中空率が2種以上のものを混合して使用してもよい。
上記多孔質層における上記中空粒子(d)の含有量は、所望の断熱性及びクッション性を有する多孔質層を得ることができれば特に限定されるものではないが、例えば50〜90質量%が好ましく、60〜85質量%がより好ましい。
上記中空粒子(d)の含有量が少なすぎると、多孔質層における空隙が少なくなり、充分な断熱性およびクッション性が得られないおそれがある。一方、上記含有量が多すぎると、接着性が低下するおそれがある。
上記多孔質層に含まれる冷却ゲル化剤(e)としては、上述の染料受容層に含まれる冷却ゲル化剤(b)と同様のものを挙げることができ、1種の冷却ゲル化剤でもよく、2種以上を併用したものであってもよい。
上記多孔質層は、上述した中空粒子(d)及び冷却ゲル化剤(e)の他に、必要に応じてその他の成分を含むものであってもよい。上記その他の成分としては、バインダー樹脂、ノニオン系シリコーン系等の界面活性剤、イソシアネート化合物等の硬化剤、濡れ剤、分散剤等を挙げることができる。
上記多孔質層は、上述した中空粒子、冷却ゲル化剤、及び、必要に応じてその他の成分を水又は水系溶媒中に混合分散して得られた多孔質層塗工液を使用して、公知の方法により形成するとよい。
上記多孔質層の厚みは、10〜100μmであることが好ましく、10〜50μmであることがより好ましい。また、上記多孔質層の密度は、例えば0.1〜0.8g/cmが好ましく、0.2〜0.7g/cmがより好ましい。
上記多孔質層は、単一の層からなる構成を有するものであってもよく、あるいは、複数の層が積層された構成を有するものであってもよい。上記複数の層が積層された構成を有する多孔質層としては、同一組成の層が積層された構成を有するものであってもよく、あるいは、異なる組成の層が積層された構成を有するものであってもよい。
上記熱転写受像シートの基材シートとしては、上記多孔質層及び染料受容層を支持する機能を有し、熱転写シートから熱転写により画像を形成する際の印画温度等に応じて、所望の耐熱性を備えるものであれば特に限定されるものではないが、具体的には、レジンコート紙、樹脂製フィルム基材及び紙製基材等を挙げることができ、なかでもレジンコート紙が好ましい。
上記レジンコート紙は、通常、基紙の両面に基材樹脂層が積層されたものである。上記基紙を構成する原紙としては、例えば、天然パルプ、合成パルプ、それらの混合物から抄紙されるパルプ紙等を挙げることができ、なかでも木材パルプを主成分とする紙を用いることが好ましい。また、上記原紙は、必要に応じて後述するカレンダー処理等の従来公知の処理を施したものであってもよい。
上記基紙の厚みは、10〜1000μmが好ましく、50〜300μmがより好ましい。
上記基紙は、公知の方法によって作製することができるが、原紙に対してカレンダー処理したものが好ましい。原紙にカレンダー処理をした基紙を用いると、平滑度を向上することができ、得られる熱転写受像シートの光沢感を高めることができるからである。上記基材樹脂層を形成するための樹脂としては、ネックインが小さく、ドローダウン性が良好な樹脂であることが好ましく、例えば、ポリオレフィン樹脂、ポリスチレン系樹脂、ビニル系樹脂、ポリエステル系樹脂、アイオノマー樹脂、ナイロン、ポリウレタン等を挙げることができ、耐水性、強度、光沢等に優れたフィルムが得られる点で、ポリオレフィン樹脂が好ましい。
上記ポリオレフィン樹脂としては、例えば、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリペンテン等を挙げることができ、中でも高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、ポリプロピレンが好ましく、特にポリプロピレンが好ましい。
上記基材樹脂層は、上記樹脂を1種若しくは2種以上混合して得られるフィルム又はシートであっても良いし、上記樹脂に加え、顔料、充填剤等を加えて成膜したフィルム又はシートであっても良い。また、上記樹脂は、改質剤等の添加剤を配合し、接着性を向上させたものであっても良い。上記改質剤としては、例えば、三井化学社製、商品名:タフマー等のオレフィン系コポリマー等を挙げることができる。
上記レジンコート紙は、例えばドライラミネーション、ウェットラミネーション、エクストリュージョン等の公知の積層方法により作製することができる。上記各層は、層間密着力を向上させることを目的として、その表面に適宜プライマー処理やコロナ放電処理を施すことができる。
上記レジンコート紙の厚みは、10〜1000μmが好ましく、50〜300μmがより好ましい。
上記樹脂製フィルム基材としては、例えば、ポリエステル、ポリアクリレート、ポリカーボネート、ポリウレタン、ポリイミド、ポリエーテルイミド、セルロース誘導体、ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリプロピレン、ポリスチレン、アクリル、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ナイロン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン、テトラフルオロエチレン、パーフルオロアルキルビニルエーテル、ポリビニルフルオライド、テトラフルオロエチレン−エチレン、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリビニリデンフルオライド等を挙げることができる。なかでも本発明においては、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン樹脂を好適に用いることができる。
上記樹脂製フィルム基材の厚みは、20〜100μmが好ましく、25〜60μmがより好ましく、30〜50μmが更に好ましい。
上記紙製基材としては、例えば、コンデンサーペーパー、グラシン紙、硫酸紙、または、サイズ度の高い紙、合成紙(ポリオレフィン系、ポリスチレン系)、上質紙、アート紙、コート紙、キャストコート紙、壁紙、裏打用紙、合成樹脂又はエマルジョン含浸紙、合成ゴムラテックス含浸紙、合成樹脂内添紙、板紙、セルロース繊維紙等を挙げることができる。
上記紙製基材の厚みとしては特に限定されるものではないが、一般に80〜400μmであり、100〜300μmが好ましく、100〜210μmがより好ましい。
上記熱転写受像シートは、少なくとも基材シート、染料受容層、及び、染料受容層と基材シートとの間に形成される多孔質層を有するが、必要に応じて他の任意の構成を有するものであってもよい。このような他の構成としては、例えば、多孔質層と基材シートとの間に形成される下引き層、多孔質層と染料受容層との間に形成されるプライマー層を挙げることができる。
上記プライマー層は、多孔質層と染料受容層との間に形成されるものであり、熱転写受像シートの高温高湿度環境下における、染料の多孔質層側への移行を防止して画像保存性を向上させる機能を有するものである。上記プライマー層はプライマー層を形成する熱可塑性樹脂(以下、プライマー層形成樹脂ということがある)と冷却ゲル化剤とを主体とする層、及び、ポリビニルアルコール(PVA)等の水溶性ポリマーを主体とする層から形成することも可能である。
上記プライマー層は、プライマー層形成樹脂と冷却ゲル化剤を主体とする層から形成されるのが好ましい。尚、プライマー層形成樹脂は、冷却ゲル化剤と共に水系のプライマー層を形成する塗工液(以下、プライマー層形成用塗工液ということがある)として、基材シート上に多孔質層と染料受容層を形成する塗工液と共に、スライドコート法により形成されることが望ましいので、水系溶媒にエマルジョン化させて使用されるのが望ましい。
上記プライマー層形成樹脂としては、例えば、ポリオレフィン樹脂、ポリビニル系樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリ(メタ)アクリル酸系樹脂、セルロース誘導体系樹脂、又は、ポリエーテル系樹脂等を挙げることができる。本発明においては、これらの樹脂のいずれであっても好適に用いることができるが、なかでもポリビニル系樹脂を用いることが好ましい。上記ポリビニル系樹脂としては、例えば、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−アクリル化合物共重合体、エチレン−塩化ビニル−アクリル酸エステル共重合体、エチレン−酢酸ビニル−塩化ビニル共重合体等を挙げることができる。
上記プライマー層には冷却ゲル化剤が含まれることが好ましい。上記プライマー層に用いる冷却ゲル化剤としては、上記「染料受容層」の項において説明したものと同様であるので、ここでの説明は省略する。
上記プライマー層として、上記プライマー層形成樹脂と冷却ゲル化剤とを含むものを用いる場合、プライマー層形成樹脂と冷却ゲル化剤との比率は、上記プライマー層を形成する際に、プライマー層形成用塗工液に所望の粘度特性を付与できる範囲内であれば特に限定されるものではない。例えば、プライマー層形成用塗工液において、冷却ゲル化剤が固形分中に1〜50質量%の割合で含有されていることが好ましい。冷却ゲル化剤の含有量が上記範囲未満であると、例えば、上記染料受容層形成用塗工液を上記基材シート上に塗布する際に、ムラなどが生じやすくなる場合があり、一方、上記範囲を超えると、例えば、他の層との密着性が低下する場合がある。より好ましい冷却ゲル化剤の含有量は2〜40質量%であり、さらに好ましい含有量は4〜75質量%である。
上記プライマー層形成に用いることのできる水溶性ポリマーとして、アクリル系ポリマーとしてはポリアクリル酸ナトリウム、ポリアクリルアミド及びこれらの共重合体など、ビニル系ポリマーとしては、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルピロリドン共重合体など、その他のポリマーとしては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリイソプロピルアクリルアミド、ポリメチルビニルエーテル、ポリエチレンイミン、マレイン酸共重合体、マレイン酸モノエステル共重合体、水溶性ポリエステルなどが挙げられる。
上記水溶性ポリマーのうち、ポリビニルアルコール、その完全けん化物、部分けん化物、及び変性ポリビニルアルコールが好適に用いられる。ポリビニルアルコールは、添加剤によって粘度調整、粘度安定化等が可能となる。
上記プライマー層には、上記プライマー層形成樹脂及び上記冷却ゲル化剤以外に、例えば、ノニオン系シリコーン系等の界面活性剤、イソシアネート化合物等の硬化剤、濡れ剤、及び、分散剤等が含まれていてもよい。
上記プライマー層の厚みとしては特に限定されるものではないが、例えば、1〜40μmであることが好ましく、1〜20μmがより好ましく、1〜10μmが更に好ましい。
上記下引き層は、基材シートと多孔質層との間に形成され、基材シートと多孔質層との接着性を向上させる機能を有するものである。
下引き層としては、基材シートと多孔質層との密着性を所望の程度に向上できるものであれば特に限定されるものではないが、(i)下引き層を形成する樹脂(以下、下引き層形成樹脂ということがある)と冷却ゲル化剤と主体とする層から形成されるのが好ましいが、(ii)水溶性ポリマー等を用いることも可能である。
尚、下引き層における(i)下引き層形成樹脂と冷却ゲル化剤、及び(ii)水溶性ポリマー等は、上記プライマー層に記載した、プライマー層形成樹脂、冷却ゲル化剤、水溶性ポリマーとそれぞれ同様であるので、記載は省略する。
なお、下引き層は、上記下引き層形成樹脂及び上記冷却ゲル化剤以外に、例えば、ノニオン系シリコーン系等の界面活性剤、イソシアネート化合物等の硬化剤、濡れ材、分散剤等を含んでいてもよい。上記硬化剤は、例えば、下引き層形成樹脂として、活性水素を有する熱可塑性樹脂を用いた場合等に特に有効である。
また、上記下引き層を形成するための塗工液(以下、下引き層形成用塗工液ということがある)には、中空粒子を含有させることもできる。該下引き層形成用塗工液中に中空粒子を含有させる場合、該中空粒子は固形分として20〜90質量%の範囲内にあることが好ましく、40〜80質量%がより好ましい。なお、上記下引き層形成用塗工液に用いられる中空粒子については、上述した多孔質層に用いられるものと同様であるため、ここでの説明は省略する。
下引き層形成用塗工液中の固形分濃度としては、例えば、1〜50質量%の範囲内、2〜10質量%がより好ましい。固形分濃度が低すぎると、乾燥時間が長くなる可能性があり、固形分濃度が高すぎると、塗工液の保存安定性が低下し、粘度が上昇する不都合が生ずる場合がある。
上記熱転写受像シートを製造する方法としては、例えば、少なくとも多孔質層形成用塗工液、及び染料受容層形成用塗工液を基材シート上に同時に塗布する同時多層塗布工程(1)、上記基材シート上に形成された複数の層からなる塗膜を冷却する冷却処理工程(2)、並びに、上記冷却処理工程において冷却された塗膜を乾燥する乾燥工程(3)を有することが好ましい。
上記同時多層塗布工程(1)において上記基材シート上に、染料受容層を含む複数の層を同時に塗布して形成する方法としては、グラビア方式、カーテン方式、スライド方式等が挙げられる。なかでも、各層の塗工液の表面張力と粘度を調製して、各層が交じり合うことなく、均一な厚みで各層を形成する塗工液を上下に重ねた状態のままスライドさせて塗布するスライドコート法が好ましい。
上記スライドコート法とは、例えば、熱転写受像シートの各層を構成する複数の塗工液を上下に重ねた状態のまま、バックロールに巻きつけた基材シートに塗布する方法である。塗工品質の観点から見ると、スライドコート法は、膜厚均一性に優れ、回転部がないため塗工液の飛散による品質不良が発生しにくく、摩擦部がないため塗布部での原反切れの発生によるロスが発生しにくいという利点を有する。また、塗工液のハンドリング性の観点から見ると、スライドコート法は、塗工液の濃度、粘度、組成が変化しにくく、反応性が高く経時的に変化する塗工液を用いることができ、さらに塗工液を使い切ることができることから無駄が生じにくく、また、高固形分塗工液を用いることができるため、溶媒使用量を削減することができるという利点を有する。
上記同時多層塗布工程(1)において、上記基材シート上に複数の層を同時に塗布する態様としては、(i)基材シート上に多孔質層、染料受容層、(ii)基材シート上に下引き層、多孔質層、染料受容層、(iii)基材シート上に多孔質層、プライマー層、染料受容層、(iv)基材シート上に下引き層、多孔質層、プライマー層、染料受容層をそれぞれ同時に塗布する態様を挙げることができる。
上記同時多層塗布工程(1)においては、上述した態様のなかでも、上記(iv)基材シート上に下引き層、多孔質層、プライマー層、染料受容層をそれぞれ同時に塗布する態様が好ましい。このような態様によれば各層の密着性に優れ、印画感度に優れた熱転写受像シートを得ることができる。
上記多孔質層形成用塗工液及び上記染料受容層形成用塗工液としては、それぞれ上述した「多孔質層」と「染料受容層」の項で記載した多孔質層形成用塗工液及び染料受容層形成用塗工液と同様のものを挙げることができる。
次に、上記冷却処理工程(2)について説明する。上記工程(2)は、上記同時多層塗布工程(1)において基材シート上に形成された複数の塗膜を冷却する工程である。
上記冷却処理工程(2)において基材シート上に形成された複数の塗膜を冷却する方法としては、上記塗膜を所望の温度に冷却できる方法であれば特に限定されるものではない。このような方法としては、例えば、冷却された基材シート上に、上記塗膜を塗布する方法、上記基材シートを搬送するロールの表面を冷却し、基材シートを介して上記塗膜を冷却する方法、上記塗膜に冷風を吹き付ける方法、上記塗膜が形成された基材シートを所望の温度以下の室温に調整された冷却ゾーンを通過させる方法等を挙げることができる。なかでも該工程においては冷却された基材シート上に、上記塗膜を塗布する方法を用いることが好ましい。このような方法によれば上記基材シート上に上記塗膜が塗布された直後に、当該塗膜を強制冷却することができるため、上記塗膜を構成する複数の層が混合することを防止できる。
上記冷却処理工程(2)において、上記塗膜を冷却する温度としては、上記塗膜を構成する各層の粘度を、各層が互いに混合しない程度に向上させることができる範囲であれば特に限定されるものではない。
また、上記冷却処理工程(2)における冷却温度は、上述した冷却ゲル化剤の種類にも依存するものである。なかでも該工程においては、冷却温度は0〜30℃が好ましく、0〜25℃がより好ましく、さらに3〜20℃が特に好ましい。
次に、上記乾燥工程(3)について説明する。上記工程(3)は上記冷却処理工程(2)において冷却された複数の塗膜を、乾燥する工程である。上記工程(3)で、上記塗膜が乾燥されることにより、これらの塗膜を硬化させ、離型性に優れる染料受容層を得ることができる。
上記乾燥工程(3)において、上記冷却処理工程において冷却された塗膜を乾燥する温度は、30℃〜90℃が好ましく、40℃〜60℃がより好ましい。上記塗膜を乾燥する方法としては、上記塗膜中に残留する水系溶媒を所定の時間内に所定量以下にできる方法であれば特に限定されるものではない。このような乾燥方法については、一般的に塗膜を乾燥する方法として公知の方法を用いることができる。
(画像形成方法)
本発明の熱転写シートと、上述の熱転写受像シートとを使用して画像を形成する方法としては、本発明の熱転写シートと、上述の熱転写受像シートとを互いに重ねて、上記熱転写シートの基材に対して染料層が存在する面型と異なる面側(例えば、耐熱滑性層側)から、サーマルヘッド等を用いて印画部に相当する箇所を加熱及び加圧し、染料層のうち印字部に相当する箇所の染料(イエロー染料)を、熱拡散型転写方式(昇華型熱転写方式)により、被転写材である上記熱転写受像シートに転写させて印画し、画像形成する方法を挙げることができる。
このように、本発明の熱転写シートと上述の熱転写受像シートとを使用してイエロー画像を形成すると、耐光性に優れ、高感度で高濃度なイエロー画像を好適に形成することができる。このような、画像形成方法もまた、本発明の一つである。
熱転写を行う際に使用するプリンターとしては、特に限定されず、公知の熱転写プリンターを使用することができる。
このように、本発明の熱転写シートと上述の熱転写受像シートとを使用する上記画像形成方法により得られた印画物もまた、本発明の一つである。
本発明の熱転写シートを使用した上記画像形成方法により得られたイエロー画像は、光学濃度(OD値)が、最高到達濃度で1.5以上であることが好ましい。
上記光学濃度は、市販の分光測定器SpectroLino(Gretag Macbeth社製、光源:D65、視野角:2°、濃度測定用フィルター:ANSI Status A)を用いて求めることができる。
また、本発明の熱転写シートを使用した上記画像形成方法により得られたイエロー画像は、キセノンウェザオメター(アトラス社製、Ci4000:ブラックパネル温度45℃、フィルター:CIRA,ソーダライム、試験機内30℃30%、照射制御420nmの紫外線を1.2w/mに固定)にて96時間照射を行った場合の、照射前後の色相変化ΔE*abが10.0以下であることが好ましく、8.0以下であることがより好ましい。
なお上記ΔE*abは、照射前OD=1付近のΔE*ab=((照射後L*−照射前L*)+(照射後a*−照射前a*)+(照射後b*−照射前b*)1/2;(式中、L*、a*及びb*は、CIE1976L*a*b*表色系に基づくものであり、L*は明度を、a*及びb*は、知覚色度指数を表す。)により求めることができる。
本発明の熱転写シートは、上記構成よりなるので、耐光性に優れ、高感度で高濃度なイエロー画像を好適に形成することができる。このため、本発明の熱転写シートは、昇華型熱転写方式による画像形成方法に好適に適用することができる。
以下に実施例及び比較例を掲げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例及び比較例のみに限定されるものではない。
なお、文中、「部」又は「%」とあるのは特に断りのない限り、質量基準である。
製造例1 熱転写シートの製造
以下の手順に従って、染料インキ及び熱転写シートを作製した。
<染料インキ組成>
下記成分を混合分散して、イエロー染料インキをそれぞれ調製した。
式(1−1)の染料 2.5部
トルエン/MEK=1/1 94部
ポリビニルアセタール樹脂(エスレックKS−5、積水化学工業社製) 3.5部
(熱転写シートの作製)
基材シートとして、厚さ4.5μmのポリエチレンテレフタレートフィルム上に、上記染料インキをグラビアコーティングにより、乾燥塗布量が0.6g/mになるように塗布し、80℃で2分乾燥して、イエロー染料層を形成し、熱転写シートを作製した。
なお、上記基材シートの他方の面に、予め下記組成の耐熱滑性層塗工液をワイヤーバーにより、乾燥塗布量が1.0g/mになるように塗布し、乾燥して、耐熱滑性層を形成しておいた。
<耐熱滑性層塗工液組成>
ポリビニルブチラール樹脂(エスレックBX−1、積水化学工業社製) 13.6部
ポリイソシアネート硬化剤(タケネートD218、武田薬品工業社製) 0.6部
リン酸エステル(プライサーフA208S、第一工業製薬社製) 0.8部
メチルエチルケトン 42.5部
製造例2〜18
各染料インキの組成を表1に示すように代えた以外は、製造例1と同様にして、製造例2〜18の熱転写シートを作製した。なお、表1中のイエロー染料(1−1)、(2−1)、(2−2)、(3−1)、(4−1)、(4−2)及びA〜Cは、下記のとおりである。
Figure 2011073376
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製造例19 熱転写受像シート1の作製
下記方法により熱転写受像シート1を作製した。
(1)熱転写受像シート1の作製
基材シートとしてRCペーパー(三菱製紙社製、商品名:STF−150)を用い、下記組成の多孔質層形成用塗工液1、染料受容層形成用塗工液1を50℃にそれぞれ加熱し、スライドコーティングを用いて、乾燥時の厚みがそれぞれ30μm、5μmとなるよう塗布し、5℃にて1分間冷却してゲル化させ、50℃にて5分間乾燥し、熱転写受像シート1を得た。
(i)多孔質層形成用塗工液1
中空粒子(ロームアンドハース社製、商品名:HP−91)(固形分として) 70部
ゼラチン(新田ゼラチン社製、商品名:RR)(固形分として) 30部
界面活性剤(日信化学工業社製、商品名:サーフィノール440) 1部
多孔質層形成用塗工液中で上記成分が総固形分として17質量%となるように水にて希釈した。
(ii)染料受容層形成用塗工液1
エマルジョン1(固形分として) 90部
ゼラチン(新田ゼラチン社製、商品名:RR)(固形分として) 10部
シリコーン系離型剤(信越化学工業社製、商品名:KF615A) 10部
界面活性剤(日信化学工業社製、商品名:サーフィノール440) 1部
染料受容層形成用塗工液中で上記成分が総固形分として25質量%となるように水にて希釈した。
なおエマルジョン1の合成方法を下記に示す。
(iii)エマルジョン1の合成
500mL(リットル)三角フラスコに、共重合体形成モノマーとして、スチレン121g、エチルアクリレート77g、及びアクリル酸2gと、乳化剤としてアクアロンHS−10(第一工業製薬社製)1.9gを入れ、攪拌・混合した(これを以下モノマーAと呼ぶ)。1L三口フラスコに、蒸留水200gを入れて80℃まで加熱し、先ほどのモノマーA全量の約20%程度を加え、10分間攪拌した。その後、純水20gに溶解させた過硫酸アンモニウム0.4gを加えて10分間攪拌した後、残り80%のモノマーAを滴下ロートにて3時間かけて滴下し、さらに3時間攪拌した。その後室温まで冷却し、#150メッシュ(日本織物)にてろ過し、エマルジョン1を得た(分子量240000、Tg50℃)。また、スチレン及びエチルアクリレートの分子量と反応に使用した量から、それぞれのmol比は60%及び40%となる。
製造例20 熱転写受像シート2の作製
下記方法により熱転写受像シート2を作製した。
(2)熱転写受像シート2の作製
基材シートとして、微細空隙層の39μm厚ミクロボイドフィルムの後述する染料受容層を形成する面とは反対側の面に、下記組成の接着剤層塗工液を塗布、乾燥し、下記条件で裏面層を片側に設けた支持体であるコート紙(186.1g/m)の裏面層が積層されていない側の面に、貼着したものを使用した。この受容層塗布予定面に、下記組成のプライマー層塗工液をワイヤーバーコーティングにより、乾燥塗布量が2.0g/mになるように塗布、乾燥して、プライマー層を形成した。そのプライマー層の上に、下記組成の染料受容層塗工液をワイヤーバーコーティングにより、乾燥塗布量が4.0g/mになるように塗布、乾燥(110℃、1分間)して、染料受容層を形成し、熱転写受像シート2を得た。
(i)接着剤層塗工液
多官能ポリオール(タケラックA−969V、三井化学ポリウレタン社製) 30部
イソシアネート(タケネートA−5、三井化学ポリウレタン社製) 10部
酢酸エチル 60部
(ii)裏面層形成条件
坪量157g/mのコート紙を用い、その片面にコロナ放電処理を施した後、その面に裏面グリップ層として高密度ポリエチレンを押し出しコート法にて塗布(坪量29.1g/m)することによってコート紙に裏面層を設けた。
(iii)プライマー層塗工液
ポリエステルポリオール(東洋モートン社製、アドコート) 15.0部
メチルエチルケトン/トルエン(質量比2:1) 85.0部
(iv)染料受容層塗工液
塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂(ソルバインC 日信化学工業社製、塩ビ/酢ビ=87/13、数平均分子量 31000、Tg 70℃) 20.0部
カルボキシル変性シリコーン(信越化学工業社製、X−22−3701E) 1.0部
メチルエチルケトン/トルエン(質量比1:1) 79.0部
実施例1〜10、比較例1〜8
<画像濃度、色相変化>
上記製造例19、20で得られた熱転写受像シート1又は2を被転写体として用い、上記製造例1〜18で得られた熱転写シートの染料層と上記被転写体の染料受容面とを対向させて重ね合わせ、熱転写シートの裏面からサーマルヘッドを用いて熱転写記録を行い、印画エネルギーが等間隔となるイエローの階調画像を形成した。また、画像形成後P−400プリンター(OLYMPUS社製)専用リボンのオーバーコートを熱転写した。各実施例及び比較例に使用した熱転写シート及び熱転写受像シートは、表1に示す通りである。
(印字条件)
・サーマルヘッド:F3598(東芝ホクト電子社製)
・発熱体平均抵抗値:5176(Ω)
・主走査方向印字密度:300dpi
・副走査方向印字密度:300dpi
・印字電力:0.12(W/dot)
・1ライン周期:2(msec.)
・パルスDuty:85%
・印字開始温度:35.5(℃)
(測色条件)
・測色器:分光測定器SpectroLino(Gretag Macbeth社製)
・光源:D65
・視野角:2°
・濃度測定用フィルター:ANSI Status A
得られたイエロー画像をキセノンウェザオメター(アトラス社製、Ci4000:ブラックパネル温度45℃、フィルター:CIRA、ソーダライム、試験機内30℃30%、照射制御420nmの紫外線を1.2w/mに固定)にて96時間照射を行い、照射前後の色相変化(照射前OD=1付近のΔE*ab=((照射後L*−照射前L*)+(照射後a*−照射前a*)+(照射後b*−照射前b*)1/2;(式中、L*、a*及びb*は、CIE1976L*a*b*表色系に基づくものであり、L*は明度を、a*及びb*は、知覚色度指数を表す。)を確認した。結果を表1に示す。なお、画像濃度として、照射前の最高到達濃度を表1に示した。
Figure 2011073376
表1より、実施例の熱転写シートを使用して画像形成を行った場合では、耐光性に優れ、高感度で高濃度のイエロー画像が得られた。一方、比較例の熱転写シートを使用した場合では、所望の耐光性及び濃度を有するイエロー画像は得られなかった。
本発明の熱転写シートは、昇華型熱転写方式による画像形成方法に好適に適用することができる。

Claims (5)

  1. 基材シートの上に少なくともイエロー染料層を有する熱転写シートであって、
    前記イエロー染料層に含まれる染料は、一般式(1)で表される化合物及び/若しくは一般式(2)で表される化合物からなり、又は、前記一般式(1)で表される化合物及び/若しくは一般式(2)で表される化合物と、一般式(3)で表される化合物及び/若しくは一般式(4)で表される化合物とからなり、
    前記熱転写シートは、他の基材シートの上に少なくとも染料受容層と多孔質層とを有する熱転写受像シートと組み合わせて画像を形成するために使用され、
    前記染料受容層は、スチレン−アクリル系共重合体(a)、冷却ゲル化剤(b)及び離型剤(c)を含有し、前記スチレン−アクリル系共重合体(a)のスチレン単位とアクリル系化合物単位とのモル比([スチレン単位]/[アクリル系化合物])が、60〜80/40〜20である
    ことを特徴とする熱転写シート。
    Figure 2011073376
    前記一般式(1)中、R及びRは、同一又は互いに異なる官能基であり、水素原子、置換若しくは非置換のアルキル基、アリル基、置換若しくは非置換のアリール基、又は、置換若しくは非置換のシクロアルキル基を表し、
    は、水素原子、置換若しくは非置換のアルキル基、NR基、置換若しくは非置換のアルコキシ基、置換若しくは非置換のアルコキシカルボニル基、置換若しくは非置換のアリール基、又は、C(O)NR基を表し、
    、R、R、Rは、それぞれ独立して、水素原子、置換若しくは非置換のアルキル基、又は、置換若しくは非置換のアリール基を表し、
    は、置換若しくは非置換のアルキル基、又は、置換若しくは非置換のアリール基を表す。;
    Figure 2011073376
    前記一般式(2)中、R及びR10は、同一又は互いに異なる官能基であり、置換若しくは非置換のアルキル基、置換若しくは非置換のシクロアルキル基、又は、置換若しくは非置換のアラルキル基を表し、
    11は、置換若しくは非置換のアルキル基、置換若しくは非置換のアルコキシカルボニル基、置換若しくは非置換のアルキルアミノカルボニル基、置換若しくは非置換のアルコキシ基、置換若しくは非置換のアルキルアミノスルホニル基、置換若しくは非置換のシクロアルキル基、シアノ基、ニトロ基又はハロゲン原子を表す。;
    Figure 2011073376
    前記一般式(3)中、R12及びR13は、同一又は互いに異なる官能基であり、置換若しくは非置換の低級アルキル基、置換若しくは非置換の低級アルケニル基、又は、置換若しくは非置換のアリール基を表し、
    14及びR15は、同一又は互いに異なる官能基であり、置換若しくは非置換の低級アルキル基を表す。;
    Figure 2011073376
    前記一般式(4)中、R16は、水素原子、置換若しくは非置換のアルキル基、又は、置換若しくは非置換のアルコキシ基を表し、
    17は、アルコキシカルボニル基、アルキルアミノカルボニル基、アルコキシ基、アルコキシアルコキシ基、アルキル基、シクロアルキル基又は複素環基を表し、
    Xは水素原子又はハロゲン原子を表す。
  2. 一般式(1)で表される化合物は、式(1−1)で表される化合物であり、
    一般式(2)で表される化合物は、式(2−1)で表される化合物及び/又は式(2−2)で表される化合物であり、
    一般式(3)で表される化合物は、式(3−1)で表される化合物であり、
    一般式(4)で表される化合物は、式(4−1)で表される化合物及び/又は(4−2)で表される化合物である請求項1記載の熱転写シート。
    Figure 2011073376
    Figure 2011073376
    Figure 2011073376
    Figure 2011073376
    Figure 2011073376
    Figure 2011073376
  3. 基材シートの上に少なくともイエロー染料層を有する熱転写シートと、
    他の基材シートの上に少なくとも染料受容層と多孔質層とを有する熱転写受像シートと組み合わせて使用して画像を形成する画像形成方法であって、
    前記イエロー染料層に含まれる染料は、一般式(1)で表される化合物及び/若しくは一般式(2)で表される化合物からなり、又は、前記一般式(1)で表される化合物及び/若しくは一般式(2)で表される化合物と、一般式(3)で表される化合物及び/若しくは一般式(4)で表される化合物とからなり、
    前記染料受容層は、スチレン−アクリル系共重合体(a)、冷却ゲル化剤(b)及び離型剤(c)を含有し、前記スチレン−アクリル系共重合体(a)のスチレン単位とアクリル系化合物単位とのモル比([スチレン単位]/[アクリル系化合物])が、60〜80/40〜20である
    ことを特徴とする画像形成方法。
    Figure 2011073376
    前記一般式(1)中、R及びRは、同一又は互いに異なる官能基であり、水素原子、置換若しくは非置換のアルキル基、アリル基、置換若しくは非置換のアリール基又は置換若しくは非置換のシクロアルキル基を表し、
    は、水素原子、置換若しくは非置換のアルキル基、NR基、置換若しくは非置換のアルコキシ基、置換若しくは非置換のアルコキシカルボニル基、置換若しくは非置換のアリール基、又は、C(O)NR基を表し、
    、R、R、Rは、それぞれ独立して、水素原子、置換若しくは非置換のアルキル基、又は、置換若しくは非置換のアリール基を表し、
    は、置換若しくは非置換のアルキル基、又は、置換若しくは非置換のアリール基を表す。;
    Figure 2011073376
    前記一般式(2)中、R及びR10は、同一又は互いに異なる官能基であり、置換若しくは非置換のアルキル基、置換若しくは非置換のシクロアルキル基又は置換若しくは非置換のアラルキル基を表し、
    11は、置換若しくは非置換のアルキル基、置換若しくは非置換のアルコキシカルボニル基、置換若しくは非置換のアルキルアミノカルボニル基、置換若しくは非置換のアルコキシ基、置換若しくは非置換のアルキルアミノスルホニル基、置換若しくは非置換のシクロアルキル基、シアノ基、ニトロ基又はハロゲン原子を表す。;
    Figure 2011073376
    前記一般式(3)中、R12及びR13は、同一又は互いに異なる官能基であり、置換若しくは非置換の低級アルキル基、置換若しくは非置換の低級アルケニル基又は置換若しくは非置換のアリール基を表し、
    14及びR15は、同一又は互いに異なる官能基であり、置換若しくは非置換の低級アルキル基を表す。;
    Figure 2011073376
    前記一般式(4)中、R16は、水素原子、置換若しくは非置換のアルキル基又は置換若しくは非置換のアルコキシ基を表し、R17は、アルコキシカルボニル基、アルキルアミノカルボニル基、アルコキシ基、アルコキシアルコキシ基、アルキル基、シクロアルキル基又は複素環基を表し、Xは水素原子又はハロゲン原子を表す。;
  4. 一般式(1)で表される化合物は、式(1−1)の化合物であり、
    一般式(2)で表される化合物は、式(2−1)の化合物及び/又は式(2−2)の化合物であり、
    一般式(3)で表される化合物は、式(3−1)の化合物であり、
    一般式(4)で表される化合物は、式(4−1)の化合物及び/又は(4−2)の化合物である請求項3記載の画像形成方法。
    Figure 2011073376
    Figure 2011073376
    Figure 2011073376
    Figure 2011073376
    Figure 2011073376
    Figure 2011073376
  5. 請求項3又は4記載の画像形成方法により形成されることを特徴とする印画物。
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