JP2015013456A - 熱転写シート - Google Patents

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都明 小高
吉田 和哉
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Abstract

【課題】キックや、地汚れの発生を防止しつつ、印画濃度の高い画像を形成することができる熱転写シートを提供すること。
【解決手段】基材1の一方の面にイエロー染料層2Yが設けられ、基材の他方の面に背面層5が設けられた熱転写シート10であって、イエロー染料層2Yは、バインダー樹脂と、昇華性染料とを含有しており、バインダー樹脂には、ニトロセルロースが含まれ、昇華性染料には、A染料;下記一般式(1)及び下記一般式(2)で示される染料の何れか一方又は双方の染料と、B染料;下記一般式(3)及び下記一般式(4)で示される染料の何れか一方又は双方の染料と、が含まれ、昇華性染料の固形分総量に対する、A染料とB染料の合計質量が95質量%以上である。
【選択図】図1

Description

本発明は熱転写シートに関する。
熱転写を利用した画像の形成方法として、昇華性染料をプラスチックフィルム等の基材上に担持させた昇華型の熱転写シートと、紙やプラスチックフィルム等の別の基材上に染料受容層を設けた熱転写受像シートとを互いに重ね合わせてフルカラー画像を形成する昇華型熱転写方法が知られている。この方法は昇華性染料を色材としているため中間色の再現性や階調性に優れており、原稿通りのフルカラー画像を熱転写受像シート上に鮮明に表現することができるので、デジタルカメラ、ビデオ、コンピューター等のカラー画像形成に応用されている。その画像は、銀塩写真に匹敵する高品質なものである。
このような昇華型の熱転写シートの染料層には、熱転写シートの保存時に、染料層に含有される昇華性染料がバインダー樹脂に良好に保持され、かつ熱転写時に、昇華性染料がバインダー樹脂から良好に放出されること、すなわち高い保存安定性と染料転写効率が求められている。
保存安定性を主眼とするバインダー樹脂として、ブチラール系や、アセタール系の樹脂が知られている(特許文献1参照)。ブチラール系や、アセタール系の樹脂をバインダー樹脂として含有する染料層は、保存安定性に優れる一方で、染料転写効率が低く印画濃度が低いといった問題がある。したがって、これらのバインダー樹脂を用いる場合には、(i)染料層の塗工量を多くして染料層中に含まれる昇華性染料の含有量を多くするか、あるいは(ii)熱転写シートの染料層における昇華性染料/バインダー樹脂の質量比率(D/B比)を大きくする等の方法によって、印画濃度を向上させる必要がある。
しかしながら、上記(i)染料層の塗工量を多くした場合には、染料層中に熱転写受像シート側に移行しない昇華性染料が多く残存することとなり、コスト面的には好ましいとはいえない。また、十分な印画濃度となるまで(ii)D/B比を大きくした場合には、ブチラール系やアセタール系のバインダー樹脂では、昇華性染料を保持することができず、保存安定性が著しく低下する。保存安定性が低下した場合には、熱転写シート製造時に巻き取り状態で保管した際、染料層と基材の反対側面に設けられた背面層とが接することにより、染料層から背面層へ昇華性染料が移行(キック)し、シートの搬送性の低下や、背面層の機能低下を引き起こす。また、高温高湿環境下で保存を行ったときに、染料が染料層の表面に析出し、印画時にこの析出した染料が未印画部と接触して未印画部を汚染する地汚れが発生する等の種々の問題を引き起こすこととなる。
染料転写効率の向上を主眼とするバインダー樹脂としてはセルロース系樹脂、例えば、セルロースアセテートプロピオネートやエチルセルロース等が知られている。しかしながら、染料転写効率の向上を主眼とするこれらのバインダー樹脂は染料転写効率には優れるものの、保存安定性が低く、特に、染料層の塗工量を少なくした場合や、D/B比を大きくした場合には、保存安定性が低下し、上記の問題を引き起こすこととなる。
特開2009−286060号公報
本発明はこのような状況においてなされたものであり、キックや、地汚れの発生を防止しつつ、印画濃度の高い画像を形成することができる熱転写シートを提供することを主たる課題とする。
上記課題を解決するための本発明は、基材の一方の面にイエロー染料層が設けられ、前記基材の他方の面に背面層が設けられた熱転写シートであって、前記イエロー染料層は、バインダー樹脂と、昇華性染料とを含有し、前記バインダー樹脂には、ニトロセルロースが含まれ、前記昇華性染料には、A染料;下記一般式(1)及び下記一般式(2)で示される染料の何れか一方又は双方の染料と、B染料;下記一般式(3)及び下記一般式(4)で示される染料の何れか一方又は双方の染料と、が含まれ、前記昇華性染料の固形分総量に対する、前記A染料と前記B染料の合計質量が95質量%以上であることを特徴とする。
Figure 2015013456
Figure 2015013456
一般式(2)中のR1は、アリール基、アリル基、アルキル基を表し、R2は置換あるいは非置換のアルキル基、アリール基を表し、Aは、−CH2−、−CH2CH2−、−CH2CH2O−、−CH2CH2OCH2−、−CH2CH2OCH2CH2−を表し、R3はアルキル基を表す。
Figure 2015013456
一般式(3)中のR1は水素原子、炭素数1〜8のアルキル基又はシクロアルキル基を示し、R2は、水素原子、ハロゲン原子、置換されてもよいアルコキシ基、置換されてもよいアルキルチオ基又は置換されてもよいアリールチオ基を示し、R3は置換又は非置換のアルコキシカルボニル基、置換又は非置換のアルキルアミノカルボニル基、置換又は非置換のアルコキシ基、置換又は非置換のアリールオキシ基、置換又は非置換のアルキル基、置換又は非置換のシクロアルキル基、複素環基又はハロゲン原子を表す。
Figure 2015013456
一般式(4)中のR1は、置換もしくは非置換のアルキル基、置換もしくは非置換のアリール基、置換もしくは非置換のアリル基、または置換もしくは非置換のアラルキル基を表し、R2は置換もしくは非置換のアルキル基、置換もしくは非置換のアラルキルオキシカルボニル基、置換もしくは非置換のアルコキシカルボニル基、置換もしくは非置換のアルキルアミノカルボニル基、置換もしくは非置換のアルコキシ基、置換もしくは非置換のアルキルアミノスルホニル基、置換もしくは非置換のシクロアルキル基、シアノ基、ニトロ基またはハロゲン原子を表す。
また、前記A染料と前記B染料の合計質量に対する、前記A染料の含有量の下限値は15質量%であり、前記A染料と前記B染料の合計質量に対する、前記A染料の含有量の上限値は、(i)前記A染料が、前記一般式(2)で示される染料を含有しない場合には45質量%であり、(ii)前記A染料が、前記一般式(1)で示される染料を含有しない場合には75質量%であり、(iii)前記A染料が、前記一般式(1)、前記一般式(2)で示される双方の染料を含有する場合には、下式(A)で算出される含有量であってもよい。
45質量%×一般式(1)で示される染料の含有比率+75質量%×一般式(2)で示される染料の含有比率・・・(式A)(但し、一般式(1)で示される染料の含有比率と一般式(2)で示される染料の含有比率の合計は1である。)
また、前記一般式(2)で示される染料がDisperse Yellow201であり、前記一般式(3)で示される染料が、以下の一般式(3−1)で示される染料であり、前記一般式(4)で示される染料がDisperse Yellow 231であってもよい。
Figure 2015013456
また、前記イエロー染料層中における前記昇華性染料と前記バインダー樹脂の質量比率(D/B比(昇華性染料/バインダー樹脂))が2.0以上3.5以下であってもよい。
本発明の熱転写シートによれば、キックや、地汚れの発生を防止しつつ、印画濃度の高い画像を形成することができる。
本発明の熱転写シートの一例を示す概略断面図である。 本発明の熱転写シートの一例を示す概略断面図である。
以下に、本発明の熱転写シートについて詳細に説明する。図1は、本発明の熱転写シートの一例を示す概略断面図である。
図1に示すように、本発明の熱転写シート10は、基材1の一方の面にイエロー染料層2Yが設けられ、基材1の他方の面に背面層5が設けられた構成をとる。ここで、本発明の熱転写シート10は、イエロー染料層2Yが、バインダー樹脂と、昇華性染料とを含有しており、バインダー樹脂には、ニトロセルロースが含まれる。また、昇華性染料には、A染料;下記一般式(1)及び下記一般式(2)で示される染料の何れか一方又は双方の染料と、B染料;下記一般式(3)及び下記一般式(4)で示される染料の何れか一方又は双方の染料とが含まれている。なお、図1では、基材1とイエロー染料層2Yとの間にプライマー層3が設けられているが、プライマー層3は本発明の熱転写シート10における任意の構成である。
Figure 2015013456
Figure 2015013456
一般式(2)中のR1は、アリール基、アリル基、アルキル基を表し、R2は置換あるいは非置換のアルキル基、アリール基を表し、Aは、−CH2−、−CH2CH2−、−CH2CH2O−、−CH2CH2OCH2−、−CH2CH2OCH2CH2−を表し、R3はアルキル基を表す。
Figure 2015013456
一般式(3)中のR1は水素原子、炭素数1〜8のアルキル基又はシクロアルキル基を示し、R2は、水素原子、ハロゲン原子、置換されてもよいアルコキシ基、置換されてもよいアルキルチオ基又は置換されてもよいアリールチオ基を示し、R3は置換又は非置換のアルコキシカルボニル基、置換又は非置換のアルキルアミノカルボニル基、置換又は非置換のアルコキシ基、置換又は非置換のアリールオキシ基、置換又は非置換のアルキル基、置換又は非置換のシクロアルキル基、複素環基又はハロゲン原子を表す。
Figure 2015013456
一般式(4)中のR1は、置換もしくは非置換のアルキル基、置換もしくは非置換のアリール基、置換もしくは非置換のアリル基、または置換もしくは非置換のアラルキル基を表し、R2は置換もしくは非置換のアルキル基、置換もしくは非置換のアラルキルオキシカルボニル基、置換もしくは非置換のアルコキシカルボニル基、置換もしくは非置換のアルキルアミノカルボニル基、置換もしくは非置換のアルコキシ基、置換もしくは非置換のアルキルアミノスルホニル基、置換もしくは非置換のシクロアルキル基、シアノ基、ニトロ基またはハロゲン原子を表す。
(基材)
本発明の熱転写シート10に用いられる基材1としては、ある程度の耐熱性と強度を有するものであれば特に限定されることはなく、従来公知の材料を適宜選択して用いることができる。このような基材1として、例えば、0.5μm〜50μm、好ましくは1μm〜10μm程度の厚さのポリエチレンテレフタレートフィルム、1,4−ポリシクロヘキシレンジメチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリフェニレンサルフィドフィルム、ポリスチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリサルホンフィルム、アラミドフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリビニルアルコールフィルム、セロハン、酢酸セルロース等のセルロース誘導体、ポリエチレンフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ナイロンフィルム、ポリイミドフィルム、アイオノマーフィルム等が挙げられる。更に、これらの材料はそれぞれ単独でも使用できるが、他の材料と組み合わせた積層体として使用してもよい。
(イエロー染料層)
図1に示すように基材1上にはイエロー染料層2Yが設けられている。イエロー染料層2Yには、昇華性染料と、バインダー樹脂とが含まれる。以下、昇華性染料、及びバインダー樹脂について具体的に説明する。
<昇華性染料>
イエロー染料層2Yに含まれる昇華性染料には、必須の染料として、A染料;上記一般式(1)及び上記一般式(2)で示される染料の一方、又は双方と、B染料;上記一般式(3)及び上記一般式(4)で示される染料の一方、又は双方と、が含まれる。以下、上記一般式(1)及び/又は上記一般式(2)で示される染料を単に「A染料」と、また、上記一般式(3)及び/又は上記一般式(4)で示される染料を単に「B染料」という場合がある。つまり、イエロー染料層2Yには、A染料として、上記一般式(1)で示される染料のみが含まれていてもよく、上記一般式(2)で示される染料のみが含まれていてもよく、上記一般式(1)、上記一般式(2)で示される染料の双方が含まれていてもよい。また、イエロー染料層2Yには、B染料として、上記一般式(3)で示される染料のみが含まれていてもよく、上記一般式(4)で示される染料のみが含まれていてもよく、上記一般式(3)、上記一般式(4)で示される染料の双方が含まれていてもよい。
本発明では、A染料と、B染料、及び後述するバインダー樹脂に含まれるニトロセルロースとの相乗効果によって、濃度の向上と、キックや、地汚れの発生の防止効果が図られている。
(A染料)
上記一般式(1)で示されるA染料は、ピラゾロンメチン骨格を有する染料であり、上記一般式(2)で示されるA染料は、ジシアノスチリル骨格を有する染料である。上記一般式(1)、上記一般式(2)で示される染料は、いずれもイエローの染料濃度が高く、かつ、その含有量が少量であっても印画物に高い濃度を付与することができる性質を有する。また、後述するように、イエロー染料層2Yには、染料転写効率の高いニトロセルロースが含有されていることから、このイエローの染料濃度が高いA染料を無駄なく、熱転写受像シート等の被転写体上に転写することができる。したがって、イエロー染料層2Yに、A染料と、ニトロセルロースとを含む本発明の熱転写シート10によれば、A染料と、ニトロセルロースとの相乗効果によって当該熱転写シートを用いて得られる印画物に高い濃度を付与することができる。換言すれば、本発明の熱転写シート10によって印画濃度の高い印画物を得ることができる。
一般式(2)で示される染料は、一般式(2)中の「R1」、「R3」がアルキル基であり、「A」が−CH2CH2O−であり、「R2」が置換又は非置換のアリール基であることが好ましい。一般式(2)で示される染料の具体的な例としては、以下の一般式(2−1)で示されるDisperse Yellow 201等を挙げることができる。
Figure 2015013456
ところで、A染料は、イエローの染料濃度が高いという性質を有する一方で、後述するニトロセルロースによる染料保持力が低く、A染料を単独でイエロー染料層2Yに含有せしめた場合には、イエロー染料層2Y中において当該A染料をニトロセルロースによって十分に保持することができず、保存安定性が低下してしまう問題が生じうる。そして、この保存安定性の低下にともない、熱転写シートを巻き取り状態で保管した際、イエロー染料層2Yと基材の反対側面に設けられた背面層とが接することにより、イエロー染料層2Yから背面層へA染料がキック(移行)し、熱転写シートの搬送性の低下や、背面層の機能低下を引き起こす。
そこで、本発明では、イエロー染料層2Yに、A染料とともに、以下で説明するB染料が含有されている。B染料は、ニトロセルロースによる染料保持力が極めて高い染料であり、A染料とB染料とを併用して、イエロー染料層2Yに含有せしめることにより、キックの発生を効果的に防止することができる。B染料によって、キックの防止が図られる明確なメカニズムは現在のところ明らかではないが、B染料のニトロセルロースに対する高い染料保持力が、A染料の染料保持力に何らかの影響を及ぼし、結果としてイエロー染料層2Y全体としての染料保持力が向上するものと推察される。
なお、A染料を用いることなく、B染料を単独でイエロー染料層2Yに含有せしめた場合には、印画物に十分な濃度を付与することができない。
(B染料)
上記一般式(3)で示される染料は、キノフタロン骨格を有する染料である。一般式(3)で示される染料は、一般式(3)中の「R1」がアルキル基であり、「R2」が水素原子であり、「R3」が置換又は非置換のアルキルアミノカルボニル基であることが好ましい。
一般式(3)で示される染料の具体的な例としては、以下の一般式(3−1)で示される染料、以下の一般式(3−2)で示される染料、Disperse Yellow 54等を挙げることができる。
Figure 2015013456
上記一般式(4)で示される染料は、ピリドンアゾ骨格を有する染料である。一般式(4)で示される染料は、一般式(4)中の「R1」がアルキル基であり、「R2」がアラルキルオキシカルボニル基であることが好ましい。
一般式(4)で示される染料の具体的な例としては、Disperse Yellow 231、Solvent Yellow 141等の染料を挙げることができる。
B染料の中でも、上記一般式(3−1)で示される染料は、ニトロセルロースによる染料保持力が特に高く、キックの発生をより効果的に防止することができる。したがって、イエロー染料層2Yには、B染料として、上記一般式(3−1)で示される染料が含まれていることが好ましい。
また、イエロー染料層2Yには、A染料、B染料以外の任意の昇華性染料(以下、任意の染料と言う)が含まれていてもよい。なお、昇華性染料の固形分総量に対する、上記A染料と上記B染料との合計質量が95質量%未満である場合には、A染料と任意の染料との相互作用によって、任意の染料がイエロー染料層の表面に析出する現象が生ずる。例えば、任意の染料として、Solvent Yellow 93を用いた場合には、A染料と、Solvent Yellow 93との相互作用によりイエロー染料層2Yの表面に、Solvent Yellow 93が析出する。イエロー染料層2Yの表面に、任意の染料が析出した場合には、この析出した任意の染料が印画時に未印画部と接触して未印画部を汚染する地汚れの発生を引き起こす。
そこで、本発明では、昇華性染料の固形分総量に対する、上記A染料と上記B染料との合計質量が95質量%以上であることを必須の条件としている。換言すれば、昇華性染料の固形分総量に対する任意の染料の質量が5質量%未満であることを必須の条件としている。なお、昇華性染料の固形分総量とは、A染料、B染料、及び任意の染料の合計質量を意味する。昇華性染料の固形分総量に対する、上記A染料と上記B染料との合計質量が95質量%以上との条件を満たす場合には、イエロー染料層2Yに任意の染料が含まれている場合であっても、A染料との相互作用による任意の染料の析出を抑えることができ、地汚れの発生を防止することができる。昇華性染料の固形分総量に対する、上記A染料と上記B染料との合計質量の好ましい上限値は100質量%である。
なお、B染料は、A染料との相互作用によってイエロー染料層2Yの表面に析出しにくい染料であり、A染料とB染料とが昇華染料の固形分総量に対して上記所定の範囲内で含有されているとの条件を満たせば、地汚れの発生を防止することができる。
イエロー染料層2Yの固形分総量に対する、昇華性染料の含有量について特に限定はないが、イエロー染料層2Yの固形分総量に対し、68質量%未満である場合には、イエロー染料層2Yの濃度が低下していく傾向にある。一方、79質量%を超えると、その分、イエロー染料層2Y中における後述するバインダー樹脂の含有量が低下していき、キック発生の防止効果が低下していく傾向にある。したがって、この点を考慮すると、イエロー染料層2Yの固形分総量に対する、昇華性染料の含有量は、68質量%以上79質量%以下の範囲内であることが好ましい。なお、このことは、イエロー染料層2Y中における昇華性染料の含有量を限定するものではなく、上記好ましい範囲外であっても、A染料、B染料、バインダー樹脂としてのニトロセルロースを含有するイエロー染料層2Yによれば、地汚れ、キックの発生を防止しつつ、濃度の高い画像を形成することができる。
A染料は、イエロー染料層2Y中の含有量が少ない場合であっても、得られる印画物に高い濃度を付与することができる。したがって、A染料の含有量について特に限定はないが、A染料とB染料の合計質量に対するA染料の含有量が15質量%未満である場合には、A染料の含有量が含有量が15質量%以上である場合と比較して、濃度が低下する傾向にある。したがって、A染料とB染料の合計質量に対するA染料の含有量は、15質量%以上であることが好ましい。
A染料とB染料の合計質量に対するA染料の含有量の上限値についても特に限定はないが、(i)A染料として一般式(1)で示される染料のみを用いる場合、換言すれば、一般式(2)で示される染料がイエロー染料層2Yに含まれない場合には、A染料の含有量は45質量%以下であることが好ましい。
一方で、(ii)A染料として一般式(2)で示される染料のみを用いる場合、換言すれば、一般式(1)で示される染料がイエロー染料層2Yに含まれない場合には、A染料の含有量は75質量%以下であることが好ましい。
また、(iii)イエロー染料層2Yが、一般式(1)、一般式(2)で示される双方の染料を含有する場合に、上限値は、下式(A)で算出される含有量とすることが好まいい。
45質量%×一般式(1)で示される染料の含有比率+75質量%×一般式(2)で示される染料の含有比率・・・(式A) (但し、一般式(1)で示される染料の含有比率と一般式(2)で示される染料の含有比率の合計は1である。)
例えば、一般式(1)で示される染料と一般式(2)で示される染料の含有比率が0.5:0.5である場合には、A染料とB染料の合計質量に対するA染料の含有量は、60質量%「45質量%×0.5+75質量%×0.5=60質量%」以下であることが好ましい。また、一般式(1)で示される染料と一般式(2)で示される染料の含有比率が0.25:0.75である場合には、A染料とB染料の合計質量に対するA染料の含有量は、52.5質量%「45質量%×0.25+75質量%×0.75=52.5質量%」以下であることが好ましい。
上記(i)、上記(ii)で説明したように、A染料として、一般式(1)で示される染料、一般式(2)で示される染料の何れか一方の染料のみが含有されている場合であっても、高い濃度を得ることができ、したがって、上記(iii)の場合において、一般式(1)で示される染料と、一般式(2)で示される染料の含有比率についていかなる限定もされることはない。
なお、上記(i)〜(iii)の場合において、A染料とB染料の合計質量に対するA染料の含有量が、上記好ましい含有量の上限値を超えた場合には、十分な濃度を得ることができるものの、キックの発生防止効果が低下していく傾向にある。
<バインダー樹脂>
イエロー染料層2Yには、上記A染料とB染料とを含む昇華性染料とともに、該昇華性染料を保持するためのバインダー樹脂が含有されており、本発明では、バインダー樹脂に、必須の成分としてニトロセルロースが含まれている。ニトロセルロースは、染料転写効率がよいため、染料転写効率を上げるために塗工量を少なくした場合であっても、高い印画濃度を得ることができる。
またニトロセルロースは、昇華性染料の染料保持力が高く、上記A染料とB染料とを含む昇華性染料と、ニトロセルロースを含むバインダー樹脂との質量比率(D/B比(昇華性染料/バインダー樹脂))が高くなっても、キックの発生を防止できる。
なお、上記ではB染料の高い染料保持力について説明を行ったが、これはニトロセルロースとの相乗効果によってもたらされるものであり、イエロー染料層に、ニトロセルロースが含有されていない場合には、B染料を用いた場合であっても、十分にA染料、及びB染料を保持することができず、キックの発生を防止することができない。
ニトロセルロースの粘度について特に限定はないが、イエロー染料層2Yに、JIS K−6703による粘度が1/16未満のニトロセルロースを含有させた場合には、保存安定性が低下する傾向にある。一方、イエロー染料層2YにJIS K−6703による粘度が120を超えるニトロセルロースを含有させる場合には、イエロー染料層2Yの形成時にインキミスト等が発生するおそれが生じうる。
この点を考慮すると、イエロー染料層2Yには、JIS K−6703による粘度で、1/16以上120以下のニトロセルロースが含有されていることが好ましく、1/8以上120以下のニトロセルロースが含有されていることが更に好ましい。換言すれば、JIS K−6703による粘度(溶液濃度25%)が1.0秒〜14.9秒、JIS K−6703による粘度(溶液濃度20%)が6.0秒〜8.0秒、或いはJIS K−6703による粘度(溶液濃度12.2%)が4.0秒〜140.0秒のものが好ましい。JIS K−6703による粘度がこの範囲内のニトロセルロースをイエロー染料層2Yに含有させることで、保存安定性を更に向上させることができるとともに、イエロー染料層2Yの形成時にインキミスト等が発生することを防止することができる。
粘度が上記範囲内のニトロセルロースは市販品をそのまま用いることができる。粘度が上記範囲内のものとしては、例えば、太平化学製品(株)製のJIS K−6703で指定される種類及び粘度記号で、H1/16,H1/8,L1/8,H1/4,L1/4,H1/2,H1",H5",H20,H60,H120のものを挙げることができる。これ以外にも、稲畑産業(株)製のDHX3−5,DHX5−10,DHX8−13,DHX11−16,DHX30−50,DHX40−70,DHL25−45,DHL120−170,H20(160−210),DHM10−25,SL−1,DLX3−5,DLX5−8,DLX8−13,DLX30−50等も使用可能である。
また、ニトロセルロースは、窒素分(硝化度)が10%以上であることが好ましい。また、取り扱いの安全性を考慮すると窒素分は12.3%以下であることが好ましい。窒素分が10%以上のニトロセルロースをイエロー染料層2Yに含有させることで、染料転写効率の更なる向上が見込まれる。
イエロー染料層2Yには、本発明の趣旨を妨げない範囲内で、ニトロセルロース以外の他のバインダー樹脂が含まれていてもよい。他のバインダー樹脂としては、染料層に含まれる従来公知のバインダー樹脂、例えば、エチルセルロース樹脂、ヒドロキシエチルセルロース樹脂、エチルヒドロキシセルロース樹脂、メチルセルロース樹脂、酢酸セルロース樹脂等のセルロース系樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリビニルピロリドン等のビニル系樹脂、ポリ(メタ)アクリレート、ポリ(メタ)アクリルアミド等のアクリル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂等が挙げられる。
ニトロセルロースを含む全バインダー樹脂の固形分総量に対する、ニトロセルロースの含有量についても特に限定はないが、全バインダー樹脂の固形分総量に対するニトロセルロースの含有量が、70質量%未満である場合には、上記A染料とB染料とを含む昇華性染料を、十分に保持することができない場合がある。また、染料転写効率も低下する傾向にある。この点を考慮すると、バインダー樹脂の固形分総量に対するニトロセルロースの含有量は、70質量%以上であることが好ましい。上限値について特に限定はなく、100質量%である。
また、上記に例示した他のバインダー樹脂の中でも、ポリビニルブチラール樹脂や、ポリビニルアセタール樹脂は、基材1と染料層2との間に設けられる任意のプライマー層3との密着性を向上させることができる点で好ましい。染料層2に、ポリビニルブチラール及び/又はポリビニルアセタールと、上記割合でニトロセルロースを含有せしめることで、本発明の熱転写シート10を用いた画像形成時に、熱転写受像シート等の被転写体に染料層2ごととられる異常転写の発生を防止することができる。
バインダー樹脂の固形分総量に対する、ポリビニルアセタール及び/又はポリビニルブチラールの合計質量は30質量%以下の範囲内であることが好ましい。30質量%を超えると、その分ニトロセルロースの含有量が減少することとなり、染料転写効率や、染料保持力が低下していく傾向にある。
本発明では、上記A染料によって、濃度の向上が図られているが、更なる濃度の向上を目的として、上記A染料とB染料とを含む昇華性染料と、ニトロセルロースを含むバインダー樹脂との質量比率(D/B比(昇華性染料/バインダー樹脂))(以下D/B比という)を高くすることが好ましい。具体的には、D/B比が2.0以上であることが好ましい。なお、昇華性染料の質量とは、A染料、B染料、及び必要に応じて含有される他の染料の合計質量であり、バインダー樹脂の質量とは、ニトロセルロースを含む全てのバインダー樹脂の合計質量を意味する。また、D/B比を2.0以上とする場合には、バインダー樹脂の固形分総量に対するニトロセルロースの含有量は、70質量%以上であることが好ましい。
D/B比の好ましい上限値について特に限定はないが、D/B比が3.5を超える場合には、バインダー樹脂に対する昇華性染料の染料量が多くなりすぎ、ニトロセルロースを含むバインダー樹脂が、上記A染料とB染料とを含む昇華性染料を保持しきれず保存安定性が低下する場合がある。したがって、この点を考慮すると、D/B比は2.0以上3.5以下の範囲内であることが好ましい。
また、イエロー染料層2Yの固形分総量に対する、ニトロセルロースを含むバインダー樹脂の含有量は、21質量%以上32質量%以下の範囲内であることが好ましい。D/B比を上記範囲内とするとともに、イエロー染料層2Yの固形分総量に対するバインダー樹脂の含有量をこの範囲内とすることで、染料保持力や、染料転写効率のさらなる向上を図ることができる。
イエロー染料層2Yの厚みについても特に限定はないが、イエロー染料層2Yの厚みが0.13g/m2未満である場合には、濃度の向上効果が低下する傾向にある。また、イエロー染料層2Yの厚みが、0.50g/m2を超えると染料転写効率が低下する傾向にある。したがって、この点を考慮すると、イエロー染料層2Yの厚みは、乾燥時で0.13g/m2以上0.50g/m2以下であることが好ましい。
また、イエロー染料層2Yには、昇華性染料やニトロセルロースのほか、無機微粒子、有機微粒子等の添加剤が含有されていてもよい。無機微粒子としては、カーボンブラック、アルミニウム、二硫化モリブデン等が挙げられ、有機微粒子としては、ポリエチレンワックス、シリコーン樹脂微粒子等が挙げられる。また、イエロー染料層2Yには、本発明の趣旨を妨げない範囲内で、離型剤が含有されていてもよい。離型剤としては、変性或いは未変性のシリコーンオイル(シリコーン樹脂と称されるものも含む)、リン酸エステル、脂肪酸エステル等を挙げることができる。
イエロー染料層2Yの形成方法についても特に限定はなく、A染料とB染料とを含む昇華性染料、ニトロセルロースを含むバインダー樹脂、更に必要に応じて添加剤、例えば、離型剤や有機微粒子などを加えて、トルエン、メチルエチルケトン、イソプロピルアルコール、エタノール、シクロヘキサノン、DMFなどの適当な有機溶剤に溶解、あるいは有機溶剤や水に分散した塗工液をグラビア印刷、ダイコート印刷、バーコート印刷、スクリーン印刷、又はグラビア版を用いたリバースロールコーティング印刷等の手段により塗布、及び乾燥して形成することができる。
なお、図1に示す形態では、基材1上にイエロー染料層2Yのみが設けられた構成をとっているが、例えば、図2に示すように異なる昇華性染料を含む染料層を同一基材の同一面に面順次に繰り返し設けることも可能である。なお、図2は、本発明における必須の層であるイエロー染料層2Y、及び任意の染料層であるマゼンタ染料層2M、シアン染料層2Cが、面順次に設けられた構成をとる熱転写シート10の一例を示す概略断面図である。また、図1で示される構成においてイエロー染料層2Yと同一面上に、或いは図2に示す構成において、イエロー染料層2Y、マゼンタ染料層2M、シアン染料層2Cと同一面上に図示しない転写性保護層を設けることとしてもよい。
(プライマー層)
図1、2に示すように、基材1とイエロー染料層2Yとの間には、プライマー層3が設けられていることが好ましい。プライマー層3を設けることで基材1とイエロー染料層2Yとの密着性を向上させることができる。
プライマー層3を構成する樹脂としては、ポリエステル系樹脂、ポリビニルピロリドン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ヒドロキシエチルセルロース、ポリアクリル酸エステル系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、スチレンアクリレート系樹脂、ポリアクリルアミド系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエーテル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリビニルアセトアセタールやポリビニルブチラール等のポリビニルアセタール系樹脂等が挙げられる。
また、プライマー層3をコロイド状無機顔料超微粒子から構成することもできる。これにより熱転写時の熱転写受像シートへのイエロー染料層2Yの異常転写を防止できるだけでなく、印画時のイエロー染料層2Yからプライマー層3への染料の移行を防止し、熱転写受像シートの受容層側への染料拡散を有効に行なうことができ、印画濃度を高めることができる。
コロイド状無機顔料超微粒子として、従来公知の化合物が使用できる。例えば、シリカ(コロイダルシリカ)、アルミナ或はアルミナ水和物(アルミナゾル、コロイダルアルミナ、カチオン性アルミニウム酸化物又はその水和物、擬ベーマイト等)、珪酸アルミニウム、珪酸マグネシウム、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、酸化チタン等が挙げられる。特に、コロイダルシリカ、アルミナゾルが好ましく用いられる。これらのコロイド状無機顔料超微粒子の大きさは、一次平均粒径で100nm以下、好ましくは50nm以下で用いることが好ましい。
プライマー層3は、上記で例示した樹脂及び/又はコロイド状無機顔料超微粒子を適当な溶媒に溶解或いは分散したプライマー層用塗工液をグラビアコーティング法、ロールコート法、スクリーン印刷法、グラビア版を用いたリバースロールコーティング法等の従来から公知の形成手段により、塗布・乾燥して形成することができる。プライマー層用塗工液の塗工量は、0.02〜1.0g/m2程度であることが好ましい。
また、プライマー層3とともに、又はこれにかえて、各種の機能層を設けてもよい。各種の機能層としては、例えば、帯電防止層等を例示することができる。
(背面層)
図1に示すように、基材1の他方の面に、耐熱性、及び印画時におけるサーマルヘッドの走行性等を向上させるための背面層5が設けられている。
背面層5は、従来公知の熱可塑性樹脂等を適宜選択して形成することができる。このような、熱可塑性樹脂として、例えば、ポリエステル系樹脂、ポリアクリル酸エステル系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、スチレンアクリレート系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂等のポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリエーテル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリアミドイミド系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、ポリビニルクロリド樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルアセトアセタール樹脂等のポリビニルアセタール樹脂等の熱可塑性樹脂、これらのシリコーン変性物等が挙げられる。
また、上記した樹脂に硬化剤を添加してもよい。硬化剤として機能するポリイソシアネート樹脂としては、特に制限なく従来公知のものを使用できるが、それらのなかでも、芳香族系イソシアネートのアダクト体を使用することが望ましい。芳香族系ポリイソシアネートとしては、2,4−トルエンジイソシアネート、2,6−トルエンジイソシアネート、又は、2,4−トルエンジイソシアネートと2,6−トルエンジイソシアネートの混合物、1,5−ナフタレンジイソシアネート、トリジンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、trans−シクロヘキサン−1,4−ジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、トリス(イソシアネートフェニル)チオフォスフェートがあげられ、特に2,4−トルエンジイソシアネート、2,6−トルエンジイソシアネート、又は、2,4−トルエンジイソシアネートと2,6−トルエンジイソシアネートの混合物が好ましい。このようなポリイソシアネート樹脂は、上記した水酸基含有熱可塑性樹脂をその水酸基を利用して架橋させ、背面層の塗膜強度や耐熱性を向上させる。
また、背面層5には、上記熱可塑性樹脂に加え、スリップ性を向上させる目的で、ワックス、高級脂肪酸アミド、リン酸エステル化合物、金属石鹸、シリコーンオイル、界面活性剤等の離型剤、フッ素樹脂等の有機粉末、シリカ、クレー、タルク、炭酸カルシウム等の無機粒子等の各種添加剤が含有されていることが好ましく、リン酸エステル又は金属石鹸の少なくとも1種が含有されていることが特に好ましい。
背面層5は、例えば、上記熱可塑性樹脂、必要に応じて添加される各種添加剤を適当な溶媒に分散又は溶解させた塗工液を、基材1のイエロー染料層2Yの反対側の面上に、グラビア印刷法、スクリーン印刷法、グラビア版を用いたリバースロールコーティング印刷法等の公知の手段により、塗布し、乾燥することにより形成することができる。背面層5の塗工量は、耐熱性等の向上等の点から、乾燥後塗工量が3g/m2以下であることが好ましく、0.1〜2g/m2にすることがより好ましい。
以下に実施例と比較例を挙げて本発明を説明する。なお、文中の「部」は特に断りのない限り質量基準である。
(実施例1)
基材として厚さ5μmのポリエチレンテレフタレートフィルムを用い、この上に、下記組成の背面層用塗工液を乾燥時1.0g/m2になるように塗布し、背面層を形成した。次いで、前記基材の背面層を設けた側とは反対の面に、下記組成のプライマー層用塗工液を乾燥時0.10g/m2になるように塗布し、プライマー層を形成した。次いで、プライマー層上に下記組成のイエロー染料層用塗工液1を乾燥時0.35g/m2になるように塗布し80℃で2分間乾燥することでイエロー染料層を形成し、実施例1の熱転写シートを得た。
<背面層用塗工液>
・ポリビニルブチラール樹脂 6.0部
(エスレックBX−1、積水化学工業(株)製)
・ポリイソシアネート硬化剤 22.0部
(バーノックD750−45、固形分45%、DIC(株)製)
・リン酸エステル 3.0部
(プライサーフA−208N、第一工業製薬(株)製)
・タルク 1.0部
(ミクロエース P−3、日本タルク工業(株)製)
・メチルエチルケトン 60.0部
・トルエン 60.0部
<プライマー層用塗工液>
・アルミナゾル(固形分10%) 50部
(アルミナゾル200(羽毛状形態) 日産化学工業(株)製)
・ポリビニルピロリドン樹脂(K−90 ISP社製) 5部
・水 25部
・イソプロピルアルコール 20部
<イエロー染料層用塗工液1(D/B比=2.5)>
・上記一般式(1)で示される染料 0.375部
・上記一般式(3−1)で示される染料 2.125部
・ニトロセルロース樹脂(固形分70% H40相当) 1.43部(固形分1.0部)
(DHM10−25 稲畑産業(株)製)
溶剤(トルエン/MEK=1:1)を添加し100部とした。
(実施例2)
イエロー染料層用塗工液1にかえて、下記組成のイエロー染料層用塗工液2を使用した以外はすべて実施例1と同様にして実施例2の熱転写シートを得た。
<イエロー染料層用塗工液2(D/B比=2.5)>
・上記一般式(1)で示される染料 0.375部
・Disperse Yellow 231 2.125部
・ニトロセルロース樹脂(固形分70% H40相当) 1.43部(固形分1.0部)
(DHM10−25 稲畑産業(株)製)
溶剤(トルエン/MEK=1:1)を添加し100部とした。
(実施例3)
イエロー染料層用塗工液1にかえて、下記組成のイエロー染料層用塗工液3を使用した以外はすべて実施例1と同様にして実施例3の熱転写シートを得た。
<イエロー染料層用塗工液3(D/B比=2.5)>
・上記一般式(1)で示される染料 0.375部
・上記一般式(3−1)で示される染料 1.0625部
・Disperse Yellow 231 1.0625部
・ニトロセルロース樹脂(固形分70% H40相当) 1.43部(固形分1.0部)
(DHM10−25 稲畑産業(株)製)
溶剤(トルエン/MEK=1:1)を添加し100部とした。
(実施例4)
イエロー染料層用塗工液1にかえて、下記組成のイエロー染料層用塗工液4を使用した以外はすべて実施例1と同様にして実施例4の熱転写シートを得た。
<イエロー染料層用塗工液4(D/B比=2.5)>
・上記一般式(1)で示される染料 1.125部
・上記一般式(3−1)で示される染料 1.375部
・ニトロセルロース樹脂(固形分70% H40相当) 1.43部(固形分1.0部)
(DHM10−25 稲畑産業(株)製)
溶剤(トルエン/MEK=1:1)を添加し100部とした。
(実施例5)
イエロー染料層用塗工液1にかえて、下記組成のイエロー染料層用塗工液5を使用した以外はすべて実施例1と同様にして実施例5の熱転写シートを得た。
<イエロー染料層用塗工液5(D/B比=2.5)>
・上記一般式(1)で示される染料 1.125部
・Disperse Yellow 231 1.375部
・ニトロセルロース樹脂(固形分70% H40相当) 1.43部(固形分1.0部)
(DHM10−25 稲畑産業(株)製)
溶剤(トルエン/MEK=1:1)を添加し100部とした。
(実施例6)
イエロー染料層用塗工液1にかえて、下記組成のイエロー染料層用塗工液6を使用した以外はすべて実施例1と同様にして実施例6の熱転写シートを得た。
<イエロー染料層用塗工液6(D/B比=2.5)>
・上記一般式(1)で示される染料 1.125部
・上記一般式(3−1)で示される染料 0.6875部
・Disperse Yellow 231 0.6875部
・ニトロセルロース樹脂(固形分70% H40相当) 1.43部(固形分1.0部)
(DHM10−25 稲畑産業(株)製)
溶剤(トルエン/MEK=1:1)を添加し100部とした。
(実施例7)
イエロー染料層用塗工液1にかえて、下記組成のイエロー染料層用塗工液7を使用した以外はすべて実施例1と同様にして実施例7の熱転写シートを得た。
<イエロー染料層用塗工液7(D/B比=2.5)>
・上記一般式(2−1)で示される染料 0.375部
・上記一般式(3−1)で示される染料 2.125部
・ニトロセルロース樹脂(固形分70% H40相当) 1.43部(固形分1.0部)
(DHM10−25 稲畑産業(株)製)
溶剤(トルエン/MEK=1:1)を添加し100部とした。
(実施例8)
イエロー染料層用塗工液1にかえて、下記組成のイエロー染料層用塗工液8を使用した以外はすべて実施例1と同様にして実施例8の熱転写シートを得た。
<イエロー染料層用塗工液8(D/B比=2.5)>
・上記一般式(2−1)で示される染料 0.375部
・Disperse Yellow 231 2.125部
・ニトロセルロース樹脂(固形分70% H40相当) 1.43部(固形分1.0部)
(DHM10−25 稲畑産業(株)製)
溶剤(トルエン/MEK=1:1)を添加し100部とした。
(実施例9)
イエロー染料層用塗工液1にかえて、下記組成のイエロー染料層用塗工液9を使用した以外はすべて実施例1と同様にして実施例9の熱転写シートを得た。
<イエロー染料層用塗工液9(D/B比=2.5)>
・上記一般式(2−1)で示される染料 0.375部
・上記一般式(3−1)で示される染料 1.0625部
・Disperse Yellow 231 1.0625部
・ニトロセルロース樹脂(固形分70% H40相当) 1.43部(固形分1.0部)
(DHM10−25 稲畑産業(株)製)
溶剤(トルエン/MEK=1:1)を添加し100部とした。
(実施例10)
イエロー染料層用塗工液1にかえて、下記組成のイエロー染料層用塗工液10を使用した以外はすべて実施例1と同様にして実施例10の熱転写シートを得た。
<イエロー染料層用塗工液10(D/B比=2.5)>
・上記一般式(2−1)で示される染料 1.875部
・上記一般式(3−1)で示される染料 0.625部
・ニトロセルロース樹脂(固形分70% H40相当) 1.43部(固形分1.0部)
(DHM10−25 稲畑産業(株)製)
溶剤(トルエン/MEK=1:1)を添加し100部とした。
(実施例11)
イエロー染料層用塗工液1にかえて、下記組成のイエロー染料層用塗工液11を使用した以外はすべて実施例1と同様にして実施例11の熱転写シートを得た。
<イエロー染料層用塗工液11(D/B比=2.5)>
・上記一般式(2−1)で示される染料 1.875部
・Disperse Yellow 231 0.625部
・ニトロセルロース樹脂(固形分70% H40相当) 1.43部(固形分1.0部)
(DHM10−25 稲畑産業(株)製)
溶剤(トルエン/MEK=1:1)を添加し100部とした。
(実施例12)
イエロー染料層用塗工液1にかえて、下記組成のイエロー染料層用塗工液12を使用した以外はすべて実施例1と同様にして実施例12の熱転写シートを得た。
<イエロー染料層用塗工液12(D/B比=2.5)>
・上記一般式(2−1)で示される染料 1.875部
・上記一般式(3−1)で示される染料 0.3125部
・Disperse Yellow 231 0.3125部
・ニトロセルロース樹脂(固形分70% H40相当) 1.43部(固形分1.0部)
(DHM10−25 稲畑産業(株)製)
溶剤(トルエン/MEK=1:1)を添加し100部とした。
(実施例13)
イエロー染料層用塗工液1にかえて、下記組成のイエロー染料層用塗工液13を使用した以外はすべて実施例1と同様にして実施例13の熱転写シートを得た。
<イエロー染料層用塗工液13(D/B比=2.5)>
・上記一般式(1)で示される染料 0.1875部
・上記一般式(2−1)で示される染料 0.1875部
・上記一般式(3−1)で示される染料 2.125部
・ニトロセルロース樹脂(固形分70% H40相当) 1.43部(固形分1.0部)
(DHM10−25 稲畑産業(株)製)
溶剤(トルエン/MEK=1:1)を添加し100部とした。
(実施例14)
イエロー染料層用塗工液1にかえて、下記組成のイエロー染料層用塗工液14を使用した以外はすべて実施例1と同様にして実施例14の熱転写シートを得た。
<イエロー染料層用塗工液14(D/B比=2.5)>
・上記一般式(1)で示される染料 0.1875部
・上記一般式(2−1)で示される染料 0.1875部
・Disperse Yellow 231 2.125部
・ニトロセルロース樹脂(固形分70% H40相当) 1.43部(固形分1.0部)
(DHM10−25 稲畑産業(株)製)
溶剤(トルエン/MEK=1:1)を添加し100部とした。
(実施例15)
イエロー染料層用塗工液1にかえて、下記組成のイエロー染料層用塗工液15を使用した以外はすべて実施例1と同様にして実施例15の熱転写シートを得た。
<イエロー染料層用塗工液15(D/B比=2.5)>
・上記一般式(1)で示される染料 0.1875部
・上記一般式(2−1)で示される染料 0.1875部
・上記一般式(3−1)で示される染料 1.0625部
・Disperse Yellow 231 1.0625部
・ニトロセルロース樹脂(固形分70% H40相当) 1.43部(固形分1.0部)
(DHM10−25 稲畑産業(株)製)
溶剤(トルエン/MEK=1:1)を添加し100部とした。
(実施例16)
イエロー染料層用塗工液1にかえて、下記組成のイエロー染料層用塗工液16を使用した以外はすべて実施例1と同様にして実施例16の熱転写シートを得た。
<イエロー染料層用塗工液16(D/B比=2.5)>
・上記一般式(1)で示される染料 0.5625部
・上記一般式(2−1)で示される染料 0.9375部
・上記一般式(3−1)で示される染料 0.5部
・Disperse Yellow 231 0.5部
・ニトロセルロース樹脂(固形分70% H40相当) 1.43部(固形分1.0部)
(DHM10−25 稲畑産業(株)製)
溶剤(トルエン/MEK=1:1)を添加し100部とした。
(実施例17)
イエロー染料層用塗工液1にかえて、下記組成のイエロー染料層用塗工液17を使用した以外はすべて実施例1と同様にして実施例17の熱転写シートを得た。
<イエロー染料層用塗工液17(D/B比=2.5)>
・上記一般式(1)で示される染料 1.25部
・上記一般式(3−1)で示される染料 0.625部
・Disperse Yellow 231 0.625部
・ニトロセルロース樹脂(固形分70% H40相当) 1.43部(固形分1.0部)
(DHM10−25 稲畑産業(株)製)
溶剤(トルエン/MEK=1:1)を添加し100部とした。
(実施例18)
イエロー染料層用塗工液1にかえて、下記組成のイエロー染料層用塗工液18を使用した以外はすべて実施例1と同様にして実施例18の熱転写シートを得た。
<イエロー染料層用塗工液18(D/B比=2.5)>
・上記一般式(2)で示される染料 2部
・上記一般式(3−1)で示される染料 0.25部
・Disperse Yellow 231 0.25部
・ニトロセルロース樹脂(固形分70% H40相当) 1.43部(固形分1.0部)
(DHM10−25 稲畑産業(株)製)
溶剤(トルエン/MEK=1:1)を添加し100部とした。
(実施例19)
イエロー染料層用塗工液1にかえて、下記組成のイエロー染料層用塗工液19を使用した以外はすべて実施例1と同様にして実施例19の熱転写シートを得た。
<イエロー染料層用塗工液19(D/B比=2.5)>
・上記一般式(1)で示される染料 0.25部
・上記一般式(3−1)で示される染料 1.125部
・Disperse Yellow 231 1.125部
・ニトロセルロース樹脂(固形分70% H40相当) 1.43部(固形分1.0部)
(DHM10−25 稲畑産業(株)製)
溶剤(トルエン/MEK=1:1)を添加し100部とした。
(実施例20)
イエロー染料層用塗工液1にかえて、下記組成のイエロー染料層用塗工液20を使用した以外はすべて実施例1と同様にして実施例20の熱転写シートを得た。
<イエロー染料層用塗工液20(D/B比=2.5)>
・上記一般式(1)で示される染料 0.125部
・上記一般式(2−1)で示される染料 0.125部
・上記一般式(3−1)で示される染料 1.125部
・Disperse Yellow 231 1.125部
・ニトロセルロース樹脂(固形分70% H40相当) 1.43部(固形分1.0部)
(DHM10−25 稲畑産業(株)製)
溶剤(トルエン/MEK=1:1)を添加し100部とした。
(比較例1)
イエロー染料層用塗工液1にかえて、下記組成のイエロー染料層用塗工液Aを使用した以外はすべて実施例1と同様にして比較例1の熱転写シートを得た。
<イエロー染料層用塗工液A(D/B比=2.5)>
・上記一般式(1)で示される染料 0.1875部
・上記一般式(2−1)で示される染料 0.1875部
・Disperse Yellow 231 1.0625部
・Solvent Yellow 93(任意の染料として) 1.0625部
・ニトロセルロース樹脂(固形分70% H40相当) 1.43部(固形分1.0部)
(DHM10−25 稲畑産業(株)製)
溶剤(トルエン/MEK=1:1)を添加し100部とした。
(比較例2)
イエロー染料層用塗工液1にかえて、下記組成のイエロー染料層用塗工液Bを使用した以外はすべて実施例1と同様にして比較例2の熱転写シートを得た。
<イエロー染料層用塗工液B(D/B比=2.5)>
・上記一般式(2−1)で示される染料 0.375部
・Disperse Yellow 231 1.0625部
・Solvent Yellow 93(任意の染料として) 1.0625部
・ニトロセルロース樹脂(固形分70% H40相当) 1.43部(固形分1.0部)
(DHM10−25 稲畑産業(株)製)
溶剤(トルエン/MEK=1:1)を添加し100部とした。
(比較例3)
イエロー染料層用塗工液1にかえて、下記組成のイエロー染料層用塗工液Cを使用した以外はすべて実施例1と同様にして比較例3の熱転写シートを得た。
<イエロー染料層用塗工液C(D/B比=2.5)>
・上記一般式(1)で示される染料 0.5625部
・上記一般式(2−1)で示される染料 0.9375部
・Disperse Yellow 231 0.5部
・Solvent Yellow 93(任意の染料として) 0.5部
・ニトロセルロース樹脂(固形分70% H40相当) 1.43部(固形分1.0部)
(DHM10−25 稲畑産業(株)製)
溶剤(トルエン/MEK=1:1)を添加し100部とした。
(比較例4)
イエロー染料層用塗工液1にかえて、下記組成のイエロー染料層用塗工液Dを使用した以外はすべて実施例1と同様にして比較例4の熱転写シートを得た。
<イエロー染料層用塗工液D(D/B比=2.5)>
・上記一般式(1)で示される染料 2.5部
・ニトロセルロース樹脂(固形分70% H40相当) 1.43部(固形分1.0部)
(DHM10−25 稲畑産業(株)製)
溶剤(トルエン/MEK=1:1)を添加し100部とした。
(印画物の濃度評価)
上記で得られた各実施例、比較例の熱転写シートを用い、テストプリンタ(ヘッド抵抗値;5058Ω,印画条件;24.0V 2ms パルスデューティ比85%)にて、DNPフォトルシオ製プリンタDS40用メディアセットDS40PC(DM4640)の熱転写受像シートにMax階調印画を行うことで画像を形成した。次いで、この画像上に、メディアセットの保護層を転写し実施例、比較例の印画物を形成した。
各実施例、比較例の印画物の濃度を、以下の条件で測色し、以下の評価基準に基づいて印画濃度の評価を行った。濃度の測定値、及び評価結果を表1に示す。
(濃度測色条件)
・測色器:分光測定器SpectroLino(Gretag Macbeth社製)
・濃度測定用フィルター:ANSI Status A
「評価基準」
◎・・・濃度が2.0以上である。
○・・・濃度が1.8以上2.0未満である。
×・・・濃度が1.8未満である。
(キック評価)
各実施例、比較例の熱転写シートのイエロー染料層と、上記濃度評価で使用した熱転写受像シートの耐熱滑性層が対向するように重ね合わせ、1.5kg/cm2の荷重をかけて、40℃、湿度90%環境下で96時間保管し、耐熱滑性層側へのイエロー染料層の染料の転写(キック)度合いの確認を行った。染料の転写度合いは、色彩色差計(CR321 コニカミノルタ(株)製)を用い、転写部の耐熱滑性層の色相、及び未転写部の耐熱滑性層の色相を測定し、その色差(ΔE*)を下記式にて算出した。なお、L***は、CIE1976、L***表色系(JIS Z8729 1980)に規定されているL***を意味する。
ΔE*=((荷重前後のL*値の差)2+(荷重前後のa*値の差)2+(荷重前後のb*値の差)21/2
表1に色差の算出結果を示すとともに、以下の評価基準により評価した保存性の評価結果を示す。なお、荷重前後の色差が小さいほど、キックの度合いが少ないことを示す。
「評価基準」
○・・・荷重前後の耐熱滑性層の色差(ΔE*)が10未満である。
△・・・荷重前後の耐熱滑性層の色差(ΔE*)が10以上12未満である。
×・・・荷重前後の耐熱滑性層の色差(ΔE*)が12以上である。
(地汚れ評価)
各実施例、比較例の熱転写シートのイエロー染料層と、上記染料転写効率評価で使用した熱転写受像シートの耐熱滑性層が対向するように重ね合わせ、27kg/cm2の荷重をかけて、40℃、湿度90%環境下で96時間保存を行った。保存後の各実施例、比較例熱転写シートを、上記染料転写効率で使用したテストプリンタを用いて印画を行い、保存後の熱転写シートを用いた印画物を得た。保存後の熱転写シートを用いた印画物と、未保存の熱転写シートを用いた印画物の色相を、Spectrolino(X−Light社製)を用いて測定し、その色差(ΔE*)を下記式にて算出した。
ΔE*=((保存前後のL*値の差)2+(保存前後のa*値の差)2+(保存前後のb*値の差)21/2
表1に色差の算出結果を示すとともに、以下の評価基準により評価した保存性の評価結果を示す。なお、保存前後の色差が小さいほど、高温・高湿環境下における染料析出が少なく保存性が高いことを示す。
「評価基準」
○・・・保存前後の印画物の色差(ΔE*)が1.0未満である。
△・・・保存前後の印画物の色差(ΔE*)が1.0以上1.5未満である。
×・・・保存前後の印画物の色差(ΔE*)が1.5以上である。
Figure 2015013456
表1からも明らかなように、ニトロセルロース、A染料、B染料を含有し、昇華性染料の固形分総量に対するA染料とB染料の合計質量が95質量%以上である染料層を備える実施例の熱転写シートによれば、キックや地汚れの発生を防止しつつ、濃度の高い画像形成が可能であることが確認できた。特に、A染料とB染料の合計質量に対するA染料の含有量の下限値が15質量%であり、かつ所定の上限値以下の染料層を備える実施例1〜18の熱転写シートによれば、さらに濃度の高い画像形成が可能となることが確認できた。一方、ニトロセルロース、A染料、B染料を含有している場合であっても、昇華性染料の固形分総量に対するA染料とB染料の合計質量が95質量%未満の染料層を備える比較例1〜3の熱転写シートでは地汚れの発生を防止することができないことが確認できた。また、A染料のみを含有し、B染料を含有していない染料層を備える比較例4の熱転写シートでは、キックの発生を防止することができないことが確認できた。このことからも、本発明の熱転写シートの優位性は明らかである。
10…熱転写シート
1…基材
2Y…イエロー染料層
2M…マゼンタ染料層
2C…シアン染料層
3…プライマー層
5…背面層
例えば、一般式(1)で示される染料と一般式(2)で示される染料の含有比率が0.5:0.5である場合には、A染料とB染料の合計質量に対するA染料の含有量は、60質量%「45質量%×0.5+75質量%×0.5=60質量%」以下であることが好ましい。また、一般式(1)で示される染料と一般式(2)で示される染料の含有比率が0.25:0.75である場合には、A染料とB染料の合計質量に対するA染料の含有量は、67.5質量%「45質量%×0.25+75質量%×0.75=67.5質量%」以下であることが好ましい。
<イエロー染料層用塗工液18(D/B比=2.5)>
・上記一般式(2−1)で示される染料 2部
・上記一般式(3−1)で示される染料 0.25部
・Disperse Yellow 231 0.25部
・ニトロセルロース樹脂(固形分70% H40相当) 1.43部(固形分1.0部)
(DHM10−25 稲畑産業(株)製)
溶剤(トルエン/MEK=1:1)を添加し100部とした。
表1からも明らかなように、ニトロセルロース、A染料、B染料を含有し、昇華性染料の固形分総量に対するA染料とB染料の合計質量が95質量%以上である染料層を備える実施例の熱転写シートによれば、キックや地汚れの発生を防止しつつ、濃度の高い画像形成が可能であることが確認できた。特に、A染料とB染料の合計質量に対するA染料の含有量の下限値が15質量%であり、かつ所定の上限値以下の染料層を備える実施例1〜1の熱転写シートによれば、さらに濃度の高い画像形成が可能となることが確認できた。一方、ニトロセルロース、A染料、B染料を含有している場合であっても、昇華性染料の固形分総量に対するA染料とB染料の合計質量が95質量%未満の染料層を備える比較例1〜3の熱転写シートでは地汚れの発生を防止することができないことが確認できた。また、A染料のみを含有し、B染料を含有していない染料層を備える比較例4の熱転写シートでは、キックの発生を防止することができないことが確認できた。このことからも、本発明の熱転写シートの優位性は明らかである。

Claims (4)

  1. 基材の一方の面にイエロー染料層が設けられ、前記基材の他方の面に背面層が設けられた熱転写シートであって、
    前記イエロー染料層は、バインダー樹脂と、昇華性染料とを含有しており、
    前記バインダー樹脂には、ニトロセルロースが含まれ、
    前記昇華性染料には、
    A染料;下記一般式(1)及び下記一般式(2)で示される染料の何れか一方又は双方の染料と、
    B染料;下記一般式(3)及び下記一般式(4)で示される染料の何れか一方又は双方の染料と、が含まれ、
    前記昇華性染料の固形分総量に対する、前記A染料と前記B染料の合計質量が95質量%以上であることを特徴とする熱転写シート。
    Figure 2015013456
    Figure 2015013456
    一般式(2)中のR1は、アリール基、アリル基、アルキル基を表し、R2は置換あるいは非置換のアルキル基、アリール基を表し、Aは、−CH2−、−CH2CH2−、−CH2CH2O−、−CH2CH2OCH2−、−CH2CH2OCH2CH2−を表し、R3はアルキル基を表す。
    Figure 2015013456
    一般式(3)中のR1は水素原子、炭素数1〜8のアルキル基又はシクロアルキル基を示し、R2は、水素原子、ハロゲン原子、置換されてもよいアルコキシ基、置換されてもよいアルキルチオ基又は置換されてもよいアリールチオ基を示し、R3は置換又は非置換のアルコキシカルボニル基、置換又は非置換のアルキルアミノカルボニル基、置換又は非置換のアルコキシ基、置換又は非置換のアリールオキシ基、置換又は非置換のアルキル基、置換又は非置換のシクロアルキル基、複素環基又はハロゲン原子を表す。
    Figure 2015013456
    一般式(4)中のR1は、置換もしくは非置換のアルキル基、置換もしくは非置換のアリール基、置換もしくは非置換のアリル基、または置換もしくは非置換のアラルキル基を表し、R2は置換もしくは非置換のアルキル基、置換もしくは非置換のアラルキルオキシカルボニル基、置換もしくは非置換のアルコキシカルボニル基、置換もしくは非置換のアルキルアミノカルボニル基、置換もしくは非置換のアルコキシ基、置換もしくは非置換のアルキルアミノスルホニル基、置換もしくは非置換のシクロアルキル基、シアノ基、ニトロ基またはハロゲン原子を表す。
  2. 前記A染料と前記B染料の合計質量に対する、前記A染料の含有量の下限値は15質量%であり、
    前記A染料と前記B染料の合計質量に対する、前記A染料の含有量の上限値は、
    (i)前記A染料が、前記一般式(2)で示される染料を含有しない場合には45質量%であり、
    (ii)前記A染料が、前記一般式(1)で示される染料を含有しない場合には75質量%であり、
    (iii)前記A染料が、前記一般式(1)、前記一般式(2)で示される双方の染料を含有する場合には、下式(A)で算出される含有量であることを特徴とする請求項1に記載の熱転写シート。
    45質量%×一般式(1)で示される染料の含有比率+75質量%×一般式(2)で示される染料の含有比率・・・(式A)
    (但し、一般式(1)で示される染料の含有比率と一般式(2)で示される染料の含有比率の合計は1である。)
  3. 前記一般式(2)で示される染料がDisperse Yellow201であり、
    前記一般式(3)で示される染料が、以下の一般式(3−1)で示される染料であり、
    前記一般式(4)で示される染料がDisperse Yellow 231であることを特徴とする請求項1又は2記載の熱転写シート。
    Figure 2015013456
  4. 前記イエロー染料層中における前記昇華性染料と前記バインダー樹脂の質量比率(D/B比(昇華性染料/バインダー樹脂))が2.0以上3.5以下であることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の熱転写シート。
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