JP2014069515A - 熱転写シート - Google Patents

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Abstract

【課題】キックや、地汚れの発生を防止しつつ、印画濃度の高い画像を形成することができる熱転写シートを提供する。
【解決手段】基材1の一方の面にイエロー染料層2Yが設けられ、基材の他方の面に背面層5が設けられた熱転写シート10であって、イエロー染料層は、バインダー樹脂と、昇華性染料とを含有し、バインダー樹脂には、ニトロセルロースが含まれ、昇華性染料には、メチン系昇華性染料と、SolventYellow93とが含まれ、イエロー染料層は、メチン系昇華性染料と、SolventYellow93との合計質量に対し、メチン系昇華性染料を55質量%以上85質量%以下の割合で含有する。
【選択図】図1

Description

本発明は熱転写シートに関する。
熱転写を利用した画像の形成方法として、昇華性染料をプラスチックフィルム等の基材上に担持させた昇華型の熱転写シートと、紙やプラスチックフィルム等の別の基材上に染料受容層を設けた熱転写受像シートとを互いに重ね合わせてフルカラー画像を形成する昇華型熱転写方法が知られている。この方法は昇華性染料を色材としているため中間色の再現性や階調性に優れており、原稿通りのフルカラー画像を熱転写受像シート上に鮮明に表現することができるので、デジタルカメラ、ビデオ、コンピューター等のカラー画像形成に応用されている。その画像は、銀塩写真に匹敵する高品質なものである。
このような昇華型の熱転写シートの染料層には、熱転写シートの保存時に、染料層に含有される昇華性染料がバインダー樹脂に良好に保持され、かつ熱転写時に、昇華性染料がバインダー樹脂から良好に放出されること、すなわち高い保存安定性と染料転写効率が求められている。
保存安定性を主眼とするバインダー樹脂として、ブチラール系や、アセタール系の樹脂が知られている(特許文献1参照)。ブチラール系や、アセタール系の樹脂をバインダー樹脂として含有する染料層は、保存安定性に優れる一方で、染料転写効率が低く印画濃度が低いといった問題がある。したがって、これらのバインダー樹脂を用いる場合には、(i)染料層の塗工量を多くして染料層中に含まれる昇華性染料の含有量を多くするか、あるいは(ii)熱転写シートの染料層における昇華性染料/バインダー樹脂の質量比率(D/B比)を大きくする等の方法によって、印画濃度を向上させる必要がある。
しかしながら、上記(i)染料層の塗工量を多くした場合には、染料層中に熱転写受像シート側に移行しない昇華性染料が多く残存することとなり、コスト面的には好ましいとはいえない。また、十分な印画濃度となるまで(ii)D/B比を大きくした場合には、ブチラール系やアセタール系のバインダー樹脂では、昇華性染料を保持することができず、保存安定性が著しく低下する。保存安定性が低下した場合には、熱転写シート製造時に巻き取り状態で保管した際、染料層と基材の反対側面に設けられた背面層とが接することにより、染料層から背面層へ昇華性染料が移行(キック)し、シートの搬送性の低下や、背面層の機能低下を引き起こす。また、高温高湿環境下で保存を行ったときに、染料が染料層の表面に析出し、印画時にこの析出した染料が未印画部と接触して未印画部を汚染する地汚れが発生する等の種々の問題を引き起こすこととなる。
染料転写効率の向上を主眼とするバインダー樹脂としてはセルロース系樹脂、例えば、セルロースアセテートプロピオネートやエチルセルロース等が知られている。しかしながら、染料転写効率の向上を主眼とするこれらのバインダー樹脂は染料転写効率には優れるものの、保存安定性が低く、特に、染料層の塗工量を少なくした場合や、D/B比を大きくした場合には、保存安定性が低下し、上記の問題を引き起こすこととなる。
また、印画濃度の向上のみに着目するのであれば、濃度の高い昇華性染料を染料層に含有させることで足りるが、濃度の高い染料は、バインダー樹脂に保持されにくく、また保存中に染料層の表面に析出しやすい性質を有するものが一般的である。つまり、濃度の向上と、染料保存安定性は、トレードオフの関係にあり、双方を満たすことができる染料層については、現在のところ知られていない。
特開2009−286060号公報
本発明はこのような状況においてなされたものであり、キックや、地汚れの発生を防止しつつ、印画濃度の高い画像を形成することができる熱転写シートを提供することを主たる課題とする。
上記課題を解決するための本発明は、基材の一方の面にイエロー染料層が設けられ、前記基材の他方の面に背面層が設けられた熱転写シートであって、前記イエロー染料層は、バインダー樹脂と、昇華性染料とを含有し、前記バインダー樹脂には、ニトロセルロースが含まれ、前記昇華性染料には、下記一般式(1)で示される昇華性染料と、Solvent Yellow 93とが含まれ、前記イエロー染料層は、下記一般式(1)で示される昇華性染料と、Solvent Yellow 93との合計質量に対し、下記一般式(1)で示される昇華性染料を55質量%以上85重量%以下の割合で含有していることを特徴とする。
Figure 2014069515
また、前記イエロー染料層は、下記一般式(2)、及び下記一般式(3)で示される昇華性染料のうち何れか一方、又は双方の昇華性染料をさらに含有していてもよい。
Figure 2014069515
(一般式(2)中のR1は水素原子、炭素数1〜8のアルキル基又はシクロアルキル基を示し、R2は、水素原子、ハロゲン原子、置換されてもよいアルコキシ基、置換されてもよいアルキルチオ基又は置換されてもよいアリールチオ基を示し、R3は置換又は非置換のアルコキシカルボニル基、置換又は非置換のアルキルアミノカルボニル基、置換又は非置換のアルコキシ基、置換又は非置換のアリールオキシ基、置換又は非置換のアルキル基、置換又は非置換のシクロアルキル基、複素環基又はハロゲン原子を表わす。)
Figure 2014069515
(一般式(3)中のR1は、置換もしくは非置換のアルキル基、置換もしくは非置換のアリール基、置換もしくは非置換のアリル基、または置換もしくは非置換のアラルキル基を表し、R2は置換もしくは非置換のアルキル基、置換もしくは非置換のアラルキルオキシカルボニル基、置換もしくは非置換のアルコキシカルボニル基、置換もしくは非置換のアルキルアミノカルボニル基、置換もしくは非置換のアルコキシ基、置換もしくは非置換のアルキルアミノスルホニル基、置換もしくは非置換のシクロアルキル基、シアノ基、ニトロ基またはハロゲン原子を表わす。)
また、前記イエロー染料層に含有されている全昇華性染料の固形分総量に対する、前記一般式(2)及び前記一般式(3)で示される昇華性染料の合計固形分が33質量%以下であってもよい。
また、前記一般式(2)で示される昇華性染料が、下記一般式(2−1)で示される昇華性染料であり、前記一般式(3)で示される昇華性染料が、下記一般式(3−1)及び/又は下記一般式(3−2)で示される昇華性染料であってもよい。
Figure 2014069515
Figure 2014069515
Figure 2014069515
本発明の熱転写シートによれば、キックや、地汚れの発生を防止しつつ、印画濃度の高い画像を形成することができる。
本発明の熱転写シートの一例を示す概略断面図である。 本発明の熱転写シートの一例を示す概略断面図である。
以下に、本発明の熱転写シートについて詳細に説明する。図1は、本発明の熱転写シートの一例を示す概略断面図である。
図1に示すように、本発明の熱転写シート10は、基材1の一方の面にイエロー染料層2Yが設けられ、基材1の他方の面に背面層5が設けられた構成をとる。ここで、本発明の熱転写シート10は、イエロー染料層2Yが、バインダー樹脂と、昇華性染料とを含有しており、バインダー樹脂には、ニトロセルロースが含まれる。また、昇華性染料には、下記一般式(1)で示される昇華性染料と、Solvent Yellow 93とが含まれ、イエロー染料層2Yは、下記一般式(1)で示される昇華性染料と、Solvent Yellow 93との合計質量に対し、下記一般式(1)で示される昇華性染料を55質量%以上85重量%以下の割合で含有していることを特徴とする。なお、図1では、基材1とイエロー染料層2Yとの間にプライマー層3が設けられているが、プライマー層3は本発明の熱転写シート10における任意の構成である。
Figure 2014069515
(基材)
本発明の熱転写シート10に用いられる基材1としては、ある程度の耐熱性と強度を有するものであれば特に限定されることはなく、従来公知の材料を適宜選択して用いることができる。このような基材1として、例えば、0.5μm〜50μm、好ましくは1μm〜10μm程度の厚さのポリエチレンテレフタレートフィルム、1,4−ポリシクロヘキシレンジメチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリフェニレンサルフィドフィルム、ポリスチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリサルホンフィルム、アラミドフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリビニルアルコールフィルム、セロハン、酢酸セルロース等のセルロース誘導体、ポリエチレンフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ナイロンフィルム、ポリイミドフィルム、アイオノマーフィルム等が挙げられる。更に、これらの材料はそれぞれ単独でも使用できるが、他の材料と組み合わせた積層体として使用してもよい。
後述するように基材1とイエロー染料層2Yとの間にプライマー層を設けることで、基材1とイエロー染料層2Yとの密着性を向上させることができるが、プライマー層を設けることにかえて、各種の接着処理が施された基材1を用いてもよい。接着処理としては、コロナ放電処理、火炎処理、オゾン処理、紫外線処理、放射線処理、粗面化処理、化学薬品処理、プラズマ処理、低温プラズマ処理、プライマー処理、グラフト化処理等公知の樹脂表面改質技術をそのまま適用することができる。また、それらの処理を2種以上併用することもできる。プライマー処理は、例えばプラスチックフィルムの溶融押出しの成膜時に、未延伸フィルムにプライマー液を塗布し、その後に延伸処理して行なうことができる。
(イエロー染料層)
図1に示すように基材1上にはイエロー染料層2Yが設けられている。イエロー染料層2Yには、昇華性染料と、バインダー樹脂とが含まれる。以下、昇華性染料、及びバインダー樹脂について具体的に説明する。
<昇華性染料>
イエロー染料層2Yに含まれる昇華性染料には、必須の染料として、上記一般式(1)で示される昇華性染料と、Solvent Yellow 93とが含まれる。以下、上記一般式(1)で示される昇華性染料と、Solvent Yellow 93とを総称して「2種の染料」という場合がある。
本発明では、上記一般式(1)で示される昇華性染料と、Solvent Yellow 93、及び後述するバインダー樹脂に含まれるニトロセルロースとの相乗効果によって、濃度の向上と、キックや、地汚れの発生の防止効果が図られている。
上記一般式(1)に示される昇華性染料は、イエローの染料濃度が高く、かつ、その含有量が少量であっても得られる印画物に高い濃度を付与することができる性質を有する。また、後述するように、イエロー染料層2Yには、染料転写効率の高いニトロセルロースが含有されていることから、上記一般式(1)に示される昇華性染料を無駄なく、熱転写受像シート等の被転写体上に転写することができる。したがって、上記一般式(1)に示される昇華性染料と、ニトロセルロースとの相乗効果により濃度の向上が図られる。
また、本発明では、イエロー染料層2Yに、上記一般式(1)で示される昇華性染料とともに、Solvent Yellow 93が含有されている。Solvent Yellow 93は、イエロー染料層2Y中への少量の添加によって、キック量を劇的に減少させることができる性質を有する。具体的には、「2種の染料」に対するSolvent Yellow 93の含有量が15質量%以上であれば、Solvent Yellow 93の配合比率にかかわらず、キック量の劇的な減少効果が図られる。なお、Solvent Yellow 93以外の他の昇華性染料と、一般式(1)で示される昇華性染料とを組合せたイエロー染料層とした場合におけるキック量は、Solvent Yellow 93以外の他の昇華性染料の配合比率に影響を受け、一般式(1)で示される昇華性染料のキック量に当該一般式(1)で示される昇華性染料の配合比率を乗じた値と、Solvent Yellow 93以外の他の昇華性染料のキック量に当該他の昇華性染料の配合比率を乗じた値との合計量を多少改善した程度にしかならない。
例えば、上記一般式(1)で示される昇華性染料のみを含有するイエロー染料層としたときのキック量が「10」、Solvent Yellow 93以外の他の昇華性染料のキック量が「4」、それぞれの昇華性染料の配合比率がそれぞれ「50質量%」であると仮定した場合には、イエロー染料層のキック量は「7」(10×0.5+4×0.5=7)を多少改善したキック量としかならない。また、キック量が「4」であると仮定した他の昇華性染料の配合比率が20質量%であると仮定した場合には、イエロー染料層のキック量は「8.8」(10×0.8+4×0.2)を多少改善した値にしかならず、他の昇華性染料の配合比率が低下するにしたがってキック量も低下していく。
一方で、Solvent Yellow 93は、上記一般式(1)で示される昇華性染料との合計質量に対する配合比率が15%以上であれば、Solvent Yellow 93の配合比率によらず、イエロー染料層2Yのキック量を劇的に減少させることができる。例えば、Solvent Yellow 93のキック量が、上記で説明したSolvent Yellow 93以外の昇華性染料と同じく「4」であると仮定した時に、Solvent Yellow 93の配合比率が15質量%以上であれば、イエロー染料層2Yのキック量を、そのまま「4」にほぼ近づけることができる。
なお、上記一般式(1)で示される昇華性染料と、Solvent Yellow 93の双方をイエロー染料層2Yに含有せしめたイエロー染料層2Yにおいて、上記「2種の染料」の合計質量に対する、上記一般式(1)で示される昇華性染料の含有量が55質量%未満である場合には、イエロー染料層2Yの表面に昇華性染料が急激に析出しやすくなり、画像形成時に、この析出した昇華性染料が未印画部と接触して未印画部を汚染する地汚れが発生する等の問題を引き起こす。一方で、85質量%を超えると、Solvent Yellow 93の含有量が15質量%未満となってしまい、キック量の劇的な減少を図ることができない。
そこで、本発明では、上記「2種の染料」の合計質量に対する、上記一般式(1)で示される昇華性染料の含有量が55質量%以上85質量%以下の範囲内に規定されている。「2種の染料」の配合量をこの範囲内に規定したイエロー染料層2Yによれば、キックや、地汚れの発生を防止しつつ、また、本発明の熱転写シート10によって得られる印画物に、高い印画濃度を付与しつつも、キック量を大幅に減少させることができる。
イエロー染料層2Yには、上記で説明した「2種の染料」とともに、昇華性染料として、これ以外の他の公知のイエロー染料が含有されていてもよい。他のイエロー染料としては、例えば、以下の一般式(2)で示されるキノフタロン系染料や、以下の一般式(3)で示されるピリドンアゾ系染料等を挙げることができる。以下の一般式(2)で示される具体的な染料としては、以下の一般式(2−1)で示される染料を例示することができる。また、また、以下の一般式(3)で示される具体的な染料としては、以下の一般式(2−1)で示される染料を例示することができる。
Figure 2014069515
(一般式(2)中のR1は水素原子、炭素数1〜8のアルキル基又はシクロアルキル基を示し、R2は、水素原子、ハロゲン原子、置換されてもよいアルコキシ基、置換されてもよいアルキルチオ基又は置換されてもよいアリールチオ基を示し、R3は置換又は非置換のアルコキシカルボニル基、置換又は非置換のアルキルアミノカルボニル基、置換又は非置換のアルコキシ基、置換又は非置換のアリールオキシ基、置換又は非置換のアルキル基、置換又は非置換のシクロアルキル基、複素環基又はハロゲン原子を表わす。)
Figure 2014069515
Figure 2014069515
(一般式(3)中のR1は、置換もしくは非置換のアルキル基、置換もしくは非置換のアリール基、置換もしくは非置換のアリル基、または置換もしくは非置換のアラルキル基を表し、R2は置換もしくは非置換のアルキル基、置換もしくは非置換のアラルキルオキシカルボニル基、置換もしくは非置換のアルコキシカルボニル基、置換もしくは非置換のアルキルアミノカルボニル基、置換もしくは非置換のアルコキシ基、置換もしくは非置換のアルキルアミノスルホニル基、置換もしくは非置換のシクロアルキル基、シアノ基、ニトロ基またはハロゲン原子を表わす。)
Figure 2014069515
Figure 2014069515
昇華性染料の固形分総量に対する、上記「2種の染料」の合計質量について特に限定はないが、昇華性染料の固形分に対する、上記「2種の染料」の合計質量が67質量%未満である場合には、僅かではあるが濃度が低下する傾向にある。したがって、この点を考慮すると、上記「2種の染料」の合計質量は、昇華性染料の固形分総量に対し67質量%以上であることが好ましい。なお、「2種の染料」の合計質量がこの範囲外であっても、上記「2種の染料」の合計質量に対する、上記一般式(1)で示される昇華性染料の含有量が55質量%以上85質量%以下の範囲内に規定されているイエロー染料層2Yによれば、キックや、地汚れの発生を防止することができる。また、上記一般式(1)で示される昇華性染料は、少量の含有量で濃度の向上を図ることができ、「2種の染料」の合計質量が67質量%未満であっても、十分な濃度の向上を図ることができる。
<バインダー樹脂>
イエロー染料層2Yには、上記「2種の染料」を含む昇華性染料とともに、該昇華性染料を保持するためのバインダー樹脂が含有されており、本発明では、バインダー樹脂に、必須の成分としてニトロセルロースが含まれている。ニトロセルロースは、昇華性染料の染料保持力が高く、上記「2種の染料」を含む昇華性染料と、ニトロセルロースを含むバインダー樹脂との質量比率(D/B比(昇華性染料/バインダー樹脂))が高くなっても、地汚れや、キック及びバックの発生を防止できる。
また、ニトロセルロースは、染料転写効率がよいため、染料転写効率を上げるために塗工量を少なくした場合であっても、高い印画濃度を得ることができる。
ニトロセルロースの粘度について特に限定はないが、イエロー染料層2Yに、JIS K−6703による粘度が1/16未満のニトロセルロースを含有させた場合には、保存安定性が低下する傾向にある。一方、イエロー染料層2Yに、JIS K−6703による粘度が120を超えるニトロセルロースを含有させる場合には、イエロー染料層2Yの形成時にインキミスト等が発生するおそれが生じうる。
この点を考慮すると、イエロー染料層2Yには、JIS K−6703による粘度で、1/16以上120以下のニトロセルロースが含有されていることが好ましく、1/8以上120以下のニトロセルロースが含有されていることが更に好ましい。換言すれば、JIS K−6703による粘度(溶液濃度25%)が1.0秒〜14.9秒、JIS K−6703による粘度(溶液濃度20%)が6.0秒〜8.0秒、或いはJIS K−6703による粘度(溶液濃度12.2%)が4.0秒〜140.0秒のものが好ましい。JIS K−6703による粘度がこの範囲内のニトロセルロースをイエロー染料層2Yに含有させることで、保存安定性を更に向上させることができるとともに、イエロー染料層2Yの形成時にインキミスト等が発生することを防止することができる。
粘度が上記範囲内のニトロセルロースは市販品をそのまま用いることができる。粘度が上記範囲内のものとしては、例えば、太平化学製品(株)製のJIS K−6703で指定される種類及び粘度記号で、H1/16,H1/8,L1/8,H1/4,L1/4,H1/2,H1",H5",H20,H60,H120のものを挙げることができる。これ以外にも、稲畑産業(株)製のDHX3−5,DHX5−10,DHX8−13,DHX11−16,DHX30−50,DHX40−70,DHL25−45,DHL120−170,H20(160−210),DHM10−25,SL−1,DLX3−5,DLX5−8,DLX8−13,DLX30−50等も使用可能である。
また、ニトロセルロースは、窒素分(硝化度)が10%であることが好ましい。また、取り扱いの安全性を考慮すると窒素分は12.3%以下であることが好ましい。窒素分が10%以上のニトロセルロースをイエロー染料層2Yに含有させることで、染料転写効率の更なる向上が見込まれる。
イエロー染料層2Yには、本発明の趣旨を妨げない範囲内で、ニトロセルロース以外の他のバインダー樹脂が含まれていてもよい。他のバインダー樹脂としては、染料層に含まれる従来公知のバインダー樹脂、例えば、エチルセルロース樹脂、ヒドロキシエチルセルロース樹脂、エチルヒドロキシセルロース樹脂、メチルセルロース樹脂、酢酸セルロース樹脂等のセルロース系樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリビニルピロリドン等のビニル系樹脂、ポリ(メタ)アクリレート、ポリ(メタ)アクリルアミド等のアクリル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂等が挙げられる。
ニトロセルロースを含む全バインダー樹脂の固形分総量に対する、ニトロセルロースの含有量についても特に限定はないが、全バインダー樹脂の固形分総量に対するニトロセルロースの含有量が、70質量%未満である場合には、上記「2種の染料」を含む昇華性染料を、十分に保持することができない場合がある。また、染料転写効率も低下する傾向にある。この点を考慮すると、バインダー樹脂の固形分総量に対するニトロセルロースの含有量は、70質量%以上であることが好ましい。上限値について特に限定はなく、100質量%である。
本発明では、上記「2種の染料」を含む昇華性染料によって、濃度の向上が図られているが、更なる濃度の向上を目的として、上記「2種の染料」を含む昇華性染料と、ニトロセルロースを含むバインダー樹脂との質量比率(D/B比(昇華性染料/バインダー樹脂))(以下D/B比という)を高くすることが好ましい。具体的には、D/B比が2.0以上であることが好ましい。なお、昇華性染料とは、「2種の染料」を含む全ての昇華性染料の合計質量であり、バインダー樹脂とは、ニトロセルロースを含む全てのバインダー樹脂の合計質量を意味する。また、D/B比を2.0以上とする場合には、昇華性染料の固形分総量に対する上記「2種の染料」の合計質量は、67質量%以上であることが好ましく、バインダー樹脂の固形分総量に対するニトロセルロースの含有量は、70質量%以上であることが好ましい。
D/B比の好ましい上限値について特に限定はないが、D/B比が3.5を超える場合には、バインダー樹脂に対する昇華性染料の染料量が多くなりすぎ、ニトロセルロースを含むバインダー樹脂が、上記「2種の染料」を含む昇華性染料を保持しきれず保存安定性が低下する場合がある。したがって、この点を考慮すると、D/B比は2.0以上3.5以下の範囲内であることが好ましい。
イエロー染料層2Yの厚みについても特に限定はないが、イエロー染料層2Yの厚みが0.13g/m2未満である場合には、濃度の向上効果が低下する傾向にある。また、イエロー染料層2Yの厚みが、0.50g/m2を超えると染料転写効率が低下する傾向にある。したがって、この点を考慮すると、イエロー染料層2Yの厚みは、乾燥時で0.13g/m2以上0.50g/m2以下であることが好ましい。
また、イエロー染料層2Yには、昇華性染料やニトロセルロースのほか、無機微粒子、有機微粒子等の添加剤が含有されていてもよい。無機微粒子としては、カーボンブラック、アルミニウム、二硫化モリブデン等が挙げられ、有機微粒子としては、ポリエチレンワックス、シリコーン樹脂微粒子等が挙げられる。また、イエロー染料層2Yには、本発明の趣旨を妨げない範囲内で、他の離型剤が含有されていてもよい。他の離型剤としては、従来公知のシリコーンやリン酸エステル等を挙げることができる。
イエロー染料層2Yの形成方法についても特に限定はなく、「2種の染料」を含む昇華性染料、ニトロセルロースを含むバインダー樹脂、更に必要に応じて添加剤、例えば、離型剤や有機微粒子などを加えて、トルエン、メチルエチルケトン、イソプロピルアルコール、エタノール、シクロヘキサノン、DMFなどの適当な有機溶剤に溶解、あるいは有機溶剤や水に分散した塗工液をグラビア印刷、ダイコート印刷、バーコート印刷、スクリーン印刷、又はグラビア版を用いたリバースロールコーティング印刷等の手段により塗布、及び乾燥して形成することができる。
なお、図1に示す形態では、基材1上にイエロー染料層2Yのみが設けられた構成をとっているが、例えば、図2に示すように異なる昇華性染料を含む染料層を同一基材の同一面に面順次に繰り返し設けることも可能である。なお、図2は、本発明における必須の層であるイエロー染料層2Y、及び任意の染料層であるマゼンタ染料層2M、シアン染料層2Cが、面順次に設けられた構成をとる熱転写シート10の一例を示す概略断面図である。また、図1に示される構成においてイエロー染料層2Yと同一面上に、或いは図2に示す構成において、イエロー染料層2Y、マゼンタ染料層2M、シアン染料層2Cと同一面上に図示しない転写性保護層を設けることとしてもよい。
(プライマー層)
図1、2に示すように、基材1とイエロー染料層2Yとの間には、プライマー層3が設けられていることが好ましい。プライマー層3を設けることで基材1とイエロー染料層2Yとの密着性を向上させることができる。
プライマー層3を構成する樹脂としては、ポリエステル系樹脂、ポリビニルピロリドン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ヒドロキシエチルセルロース、ポリアクリル酸エステル系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、スチレンアクリレート系樹脂、ポリアクリルアミド系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエーテル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリビニルアセトアセタールやポリビニルブチラール等のポリビニルアセタール系樹脂等が挙げられる。
また、プライマー層3をコロイド状無機顔料超微粒子から構成することもできる。これにより熱転写時に熱転写受像シートへイエロー染料層2Yが異常転写してしまうことを防止できるだけでなく、印画時のイエロー染料層2Yからプライマー層3への染料の移行を防止し、熱転写受像シートの受容層側への染料拡散を有効に行なうことができ、印画濃度を高めることができる。
コロイド状無機顔料超微粒子として、従来公知の化合物が使用できる。例えば、シリカ(コロイダルシリカ)、アルミナ或はアルミナ水和物(アルミナゾル、コロイダルアルミナ、カチオン性アルミニウム酸化物又はその水和物、疑ベーマイト等)、珪酸アルミニウム、珪酸マグネシウム、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、酸化チタン等が挙げられる。特に、コロイダルシリカ、アルミナゾルが好ましく用いられる。これらのコロイド状無機顔料超微粒子の大きさは、一次平均粒径で100nm以下、好ましくは50nm以下で用いることが好ましい。
プライマー層3は、上記で例示した樹脂や、コロイド状無機顔料超微粒子を適当な溶媒に溶解或いは分散したプライマー層用塗工液をグラビアコーティング法、ロールコート法、スクリーン印刷法、グラビア版を用いたリバースロールコーティング法等の従来から公知の形成手段により、塗布・乾燥して形成することができる。プライマー層用塗工液の塗工量は、0.02g/m2〜1.0g/m2程度であることが好ましい。
また、プライマー層3とともに、又はこれにかえて、各種の機能層を設けてもよい。各種の機能層としては、例えば、帯電防止層等を挙げることができる。
(背面層)
図1に示すように、基材1の他方の面に、耐熱性、及び印画時におけるサーマルヘッドの走行性等を向上させるための背面層5が設けられている。
背面層5は、従来公知の熱可塑性樹脂等を適宜選択して形成することができる。このような、熱可塑性樹脂として、例えば、ポリエステル系樹脂、ポリアクリル酸エステル系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、スチレンアクリレート系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂等のポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリエーテル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリアミドイミド系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、ポリビニルクロリド樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルアセトアセタール樹脂等のポリビニルアセタール樹脂等の熱可塑性樹脂、これらのシリコーン変性物等が挙げられる。
また、上記した樹脂に硬化剤を添加してもよい。硬化剤として機能するポリイソシアネート樹脂としては、特に制限なく従来公知のものを使用できるが、それらのなかでも、芳香族系イソシアネートのアダクト体を使用することが望ましい。芳香族系ポリイソシアネートとしては、2,4−トルエンジイソシアネート、2,6−トルエンジイソシアネート、又は、2,4−トルエンジイソシアネートと2,6−トルエンジイソシアネートの混合物、1,5−ナフタレンジイソシアネート、トリジンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、trans−シクロヘキサン−1,4−ジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、トリス(イソシアネートフェニル)チオフォスフェートがあげられ、特に2,4−トルエンジイソシアネート、2,6−トルエンジイソシアネート、又は、2,4−トルエンジイソシアネートと2,6−トルエンジイソシアネートの混合物が好ましい。このようなポリイソシアネート樹脂は、上記した水酸基含有熱可塑性樹脂をその水酸基を利用して架橋させ、背面層の塗膜強度や耐熱性を向上させる。
また、背面層5には、上記熱可塑性樹脂に加え、スリップ性を向上させる目的で、ワックス、高級脂肪酸アミド、リン酸エステル化合物、金属石鹸、シリコーンオイル、界面活性剤等の離型剤、フッ素樹脂等の有機粉末、シリカ、クレー、タルク、炭酸カルシウム等の無機粒子等の各種添加剤が含有されていることが好ましく、リン酸エステル又は金属石鹸の少なくとも1種が含有されていることが特に好ましい。
背面層5は、例えば、上記熱可塑性樹脂、必要に応じて添加される各種添加材を適当な溶媒に分散又は溶解させた塗工液を、基材1のイエロー染料層2Yの反対側の面上に、グラビア印刷法、スクリーン印刷法、グラビア版を用いたリバースロールコーティング印刷法等の公知の手段により、塗布し、乾燥することにより形成することができる。背面層5の塗工量は、耐熱性等の向上等の点から、乾燥後塗工量が3g/m2以下であることが好ましく、0.1g/m2〜2g/m2にすることがより好ましい。
以下に実施例と比較例を挙げて本発明を説明する。なお、文中の「部」は特に断りの内限り質量基準である。また、各塗工液中に含まれる成分は、特に断りのない限り固形分100%である。
(実施例1)
基材として厚さ5μmのポリエチレンテレフタレートフィルムを用い、この上に、下記組成の背面層用塗工液を乾燥時1.0g/m2になるように塗布し、背面層を形成した。
次いで、前記基材の背面層を設けた側とは反対の面に、下記組成のプライマー層用塗工液を乾燥時0.10g/m2になるように塗布し、プライマー層を形成した。次いで、プライマー層上に下記組成のイエロー染料層用塗工液1を乾燥時0.35g/m2になるように塗布し80℃で2分間乾燥することでイエロー染料層を形成し、実施例1の熱転写シートを得た。
<背面層用塗工液>
・ポリビニルブチラール樹脂 6.0部
(エスレックBX−1、積水化学工業(株)製)
・ポリイソシアネート硬化剤 22.0部
(バーノックD750−45、固形分45%、DIC(株)製)
・リン酸エステル 3.0部
(プライサーフA−208N、第一工業製薬(株)製)
・タルク 1.0部
(ミクロエース P−3、日本タルク工業(株)製)
・メチルエチルケトン 60.0部
・トルエン 60.0部
<プライマー層用塗工液>
・アルミナゾル(固形分10%) 50部
(アルミナゾル200(羽毛状形態) 日産化学工業(株)製)
・ポリビニルピロリドン樹脂(K−90 ISP社製) 5部
・水 25部
・イソプロピルアルコール 20部
<イエロー染料層用塗工液1(D/B比=2.5)>
・上記一般式(1)に示される化合物 1.375部
・Solvent Yellow 93 1.125部
・ニトロセルロース樹脂(固形分70% H40相当) 1.43部(固形分1.0部)
(DHM10−25 稲畑産業(株)製)
溶剤(トルエン/MEK=1:1)を添加し100部とした。
(実施例2)
イエロー染料層用塗工液1にかえて、下記組成のイエロー染料層用塗工液2を使用した以外はすべて実施例1と同様にして実施例2の熱転写シートを得た。
<イエロー染料層用塗工液2(D/B比=2.5)>
・上記一般式(1)に示される化合物 1.500部
・Solvent Yellow 93 1.000部
・ニトロセルロース樹脂(固形分70% H40相当) 1.43部(固形分1.0部)
(DHM10−25 稲畑産業(株)製)
溶剤(トルエン/MEK=1:1)を添加し100部とした。
(実施例3)
イエロー染料層用塗工液1にかえて、下記組成のイエロー染料層用塗工液3を使用した以外はすべて実施例1と同様にして実施例3の熱転写シートを得た。
<イエロー染料層用塗工液3(D/B比=2.5)>
・上記一般式(1)に示される化合物 1.625部
・Solvent Yellow 93 0.875部
・ニトロセルロース樹脂(固形分70% H40相当) 1.43部(固形分1.0部)
(DHM10−25 稲畑産業(株)製)
溶剤(トルエン/MEK=1:1)を添加し100部とした。
(実施例4)
イエロー染料層用塗工液1にかえて、下記組成のイエロー染料層用塗工液4を使用した以外はすべて実施例1と同様にして実施例4の熱転写シートを得た。
<イエロー染料層用塗工液4(D/B比=2.5)>
・上記一般式(1)に示される化合物 1.138部
・Solvent Yellow 93 0.612部
・上記一般式(2−1)に示される化合物 0.375部
・上記一般式(3−1)に示される化合物 0.375部
・ニトロセルロース樹脂(固形分70% H40相当) 1.43部(固形分1.0部)
(DHM10−25 稲畑産業(株)製)
溶剤(トルエン/MEK=1:1)を添加し100部とした。
(実施例5)
イエロー染料層用塗工液1にかえて、下記組成のイエロー染料層用塗工液5を使用した以外はすべて実施例1と同様にして実施例5の熱転写シートを得た。
<イエロー染料層用塗工液5(D/B比=2.5)>
・上記一般式(1)に示される化合物 1.138部
・Solvent Yellow 93 0.612部
・上記一般式(2−1)に示される化合物 0.750部
・ニトロセルロース樹脂(固形分70% H40相当) 1.43部(固形分1.0部)
(DHM10−25 稲畑産業(株)製)
溶剤(トルエン/MEK=1:1)を添加し100部とした。
(実施例6)
イエロー染料層用塗工液1にかえて、下記組成のイエロー染料層用塗工液6を使用した以外はすべて実施例1と同様にして実施例6の熱転写シートを得た。
<イエロー染料層用塗工液6(D/B比=2.5)>
・上記一般式(1)に示される化合物 1.375部
・Solvent Yellow 93 1.125部
・ニトロセルロース樹脂(固形分70% H40相当) 1.0部(固形分0.7部)
(DHM10−25 稲畑産業(株)製)
・ポリビニルブチラール樹脂 0.3部
(エスレックBX−L 積水化学工業(株)製)
溶剤(トルエン/MEK=1:1)を添加し100部とした。
(実施例7)
イエロー染料層用塗工液1にかえて、下記組成のイエロー染料層用塗工液7を使用した以外はすべて実施例1と同様にして実施例7の熱転写シートを得た。
<イエロー染料層用塗工液7(D/B比=2.5)>
・上記一般式(1)に示される化合物 1.690部
・Solvent Yellow 93 0.810部
・ニトロセルロース樹脂(固形分70% H40相当) 1.43部(固形分1.0部)
(DHM10−25 稲畑産業(株)製)
溶剤(トルエン/MEK=1:1)を添加し100部とした。
(実施例8)
イエロー染料層用塗工液1にかえて、下記組成のイエロー染料層用塗工液8を使用した以外はすべて実施例1と同様にして実施例8の熱転写シートを得た。
<イエロー染料層用塗工液8(D/B比=2.5)>
・上記一般式(1)に示される化合物 2.017部
・Solvent Yellow 93 0.483部
・ニトロセルロース樹脂(固形分70% H40相当) 1.43部(固形分1.0部)
(DHM10−25 稲畑産業(株)製)
溶剤(トルエン/MEK=1:1)を添加し100部とした。
(比較例1)
イエロー染料層用塗工液1にかえて、下記組成のイエロー染料層用塗工液Aを使用した以外はすべて実施例1と同様にして比較例1の熱転写シートを得た。
<イエロー染料層用塗工液A(D/B比=2.5)>
・Solvent Yellow 93 2.500部
・ニトロセルロース樹脂(固形分70% H40相当) 1.43部(固形分1.0部)
(DHM10−25 稲畑産業(株)製)
溶剤(トルエン/MEK=1:1)を添加し100部とした。
(比較例2)
イエロー染料層用塗工液1にかえて、下記組成のイエロー染料層用塗工液Bを使用した以外はすべて実施例1と同様にして比較例2の熱転写シートを得た。
<イエロー染料層用塗工液B(D/B比=2.5)>
・上記一般式(1)に示される化合物 1.275部
・Solvent Yellow 93 1.225部
・ニトロセルロース樹脂(固形分70% H40相当) 1.43部(固形分1.0部)
(DHM10−25 稲畑産業(株)製)
溶剤(トルエン/MEK=1:1)を添加し100部とした。
(比較例3)
イエロー染料層用塗工液1にかえて、下記組成のイエロー染料層用塗工液Cを使用した以外はすべて実施例1と同様にして比較例3の熱転写シートを得た。
<イエロー染料層用塗工液C(D/B比=2.5)>
・上記一般式(1)に示される化合物 2.500部
・ニトロセルロース樹脂(固形分70% H40相当) 1.43部(固形分1.0部)
(DHM10−25 稲畑産業(株)製)
溶剤(トルエン/MEK=1:1)を添加し100部とした。
(比較例4)
イエロー染料層用塗工液1にかえて、下記組成のイエロー染料層用塗工液Dを使用した以外はすべて実施例1と同様にして比較例3の熱転写シートを得た。
<イエロー染料層用塗工液D(D/B比=2.5)>
・上記一般式(1)に示される化合物 1.375部
・Solvent Yellow 93 1.125部
・ポリビニルアセタール樹脂 1.0部
(エスレックKS−5 積水化学工業(株)製)
溶剤(トルエン/MEK=1:1)を添加し100部とした。
(印画物の濃度評価)
上記で得られた各実施例及び比較例の熱転写シートを用い、テストプリンタ(ヘッド抵抗値;5058Ω,印画条件;25.5V 2ms パルスデューティ比85%)にて、DNPフォトルシオ製プリンタDS40用メディアセットDS40PC(DM4640)の熱転写受像シートにMax階調印画を行うことで画像を形成した。次いで、この画像上に、メディアセットの保護層を転写し実施例及び比較例の印画物を形成した。
各実施例及び比較例の印画物の濃度を、以下の条件で測色し、以下の評価基準に基づいて印画濃度の評価を行った。濃度の測色値、及び評価結果を表1に示す。
(濃度測色条件)
・測色器:分光測定器SpectroLino(Gretag Macbeth社製)
・濃度測定用フィルター:ANSI Status A
「評価基準」
○・・・濃度が2.0以上である。
×・・・濃度が2.0未満である。
(染料転写効率の評価)
Max階調印画後の各実施例及び比較例の熱転写シート、及び未印画の各実施例及び比較例の熱転写シートを5cm×5cmの大きさに切断し、これを5cm×5cmの大きさに切断し、高速液体クロマトグラフィ(島津製作所(株)製)を用い、印画部、未印画部の染料量の測定を行った。このとき、未印画部の染料量と印画部残存染料量との差を熱転写受像シートに転写された転写染料量とし、転写染料量を未印画部の染料量で除した値を染料転写効率とした。表1に、染料転写効率の実測値とともに、以下の評価基準により染料転写効率の評価結果を示す。
「評価基準」
○・・・染料転写効率が80%以上である。
×・・・染料転写効率が80%未満である。
(キック評価)
各実施例及び比較例の熱転写シートの染料層と、上記濃度評価で使用した熱転写受像シートの耐熱滑性層が対向するように重ね合わせ、1.5kg/cm2の荷重をかけて、40℃、湿度90%環境下で96時間保管し、耐熱滑性層側への染料層の染料の転写(キック)度合いの確認を行った。染料の転写度合いは、色彩色差計(CR321 コニカミノルタ(株)製)を用い、転写部の耐熱滑性層の色相、及び未転写部の耐熱滑性層の色相を測定し、その色差(ΔE*)を下記式にて算出した。
ΔE*=((荷重前後のL*値の差)2+(荷重前後のa*値の差)2+(荷重前後のb*値の差)21/2
表1に色差の算出結果を示すとともに、以下の評価基準により評価した保存性の評価結果を示す。なお、荷重前後の色差が小さいほど、キックの度合いが少ないことを示す。
「評価基準」
○・・・荷重前後の耐熱滑性層の色差(ΔE*)が8未満である。
△・・・荷重前後の耐熱滑性層の色差(ΔE*)が8以上10未満である。
×・・・荷重前後の耐熱滑性層の色差(ΔE*)が10以上である。
(地汚れ評価)
各実施例及び比較例の熱転写シートの染料層と、上記染料転写効率評価で使用した熱転写受像シートの耐熱滑性層が対向するように重ね合わせ、27Kg/cm2の荷重をかけて、40℃、湿度90%環境下で96時間保存を行った。保存後の各実施例及び比較例の熱転写シートを、上記染料転写効率で使用したテストプリンタを用いて印画を行い、保存後の熱転写シートを用いた印画物を得た。保存後の熱転写シートを用いた印画物と、未保存の熱転写シートを用いた印画物の色相を、Spectrolino(X−Light社製)を用いて測定し、その色差(ΔE*)を下記式にて算出した。
ΔE*=((保存前後のL*値の差)2+(保存前後のa*値の差)2+(保存前後のb*値の差)21/2
表1に色差の算出結果を示すとともに、以下の評価基準により評価した保存性の評価結果を示す。なお、保存前後の色差が小さいほど、高温・高湿環境下における染料析出が少なく保存性が高いことを示す。
「評価基準」
○・・・保存前後の印画物の色差(ΔE*)が1.0未満である。
△・・・保存前後の印画物の色差(ΔE*)が1.0以上2.0未満である。
×・・・保存前後の印画物の色差(ΔE*)が2.0以上である。
Figure 2014069515
表1からも明らかなように、本発明の発明特定事項を全て充足する実施例1〜8の熱転写シートによれば、全ての評価項目において良好な評価を得ることができた。一方、本発明の発明特定事項の1つでも充足しない比較例1〜4の熱転写シートでは、少なくとも1つの評価において実施例に劣る結果となった。このことからも本発明の優位性が明らかとなった。
10…熱転写シート
1…基材
2Y…イエロー染料層
2M…マゼンタ染料層
2C…シアン染料層
3…プライマー層
5…背面層

Claims (5)

  1. 基材の一方の面にイエロー染料層が設けられ、前記基材の他方の面に背面層が設けられた熱転写シートであって、
    前記イエロー染料層は、バインダー樹脂と、昇華性染料とを含有し、
    前記バインダー樹脂には、ニトロセルロースが含まれ、
    前記昇華性染料には、下記一般式(1)で示される昇華性染料と、Solvent Yellow 93とが含まれ、
    前記イエロー染料層は、下記一般式(1)で示される昇華性染料と、Solvent Yellow 93との合計質量に対し、下記一般式(1)で示される昇華性染料を55質量%以上85重量%以下の割合で含有していることを特徴とする熱転写シート。
    Figure 2014069515
  2. 前記イエロー染料層は、下記一般式(2)、及び下記一般式(3)で示される昇華性染料のうち何れか一方、又は双方の昇華性染料をさらに含有していることを特徴とする請求項1に記載の熱転写シート。
    Figure 2014069515
    (一般式(2)中のR1は水素原子、炭素数1〜8のアルキル基又はシクロアルキル基を示し、R2は、水素原子、ハロゲン原子、置換されてもよいアルコキシ基、置換されてもよいアルキルチオ基又は置換されてもよいアリールチオ基を示し、R3は置換又は非置換のアルコキシカルボニル基、置換又は非置換のアルキルアミノカルボニル基、置換又は非置換のアルコキシ基、置換又は非置換のアリールオキシ基、置換又は非置換のアルキル基、置換又は非置換のシクロアルキル基、複素環基又はハロゲン原子を表わす。)
    Figure 2014069515
    (一般式(3)中のR1は、置換もしくは非置換のアルキル基、置換もしくは非置換のアリール基、置換もしくは非置換のアリル基、または置換もしくは非置換のアラルキル基を表し、R2は置換もしくは非置換のアルキル基、置換もしくは非置換のアラルキルオキシカルボニル基、置換もしくは非置換のアルコキシカルボニル基、置換もしくは非置換のアルキルアミノカルボニル基、置換もしくは非置換のアルコキシ基、置換もしくは非置換のアルキルアミノスルホニル基、置換もしくは非置換のシクロアルキル基、シアノ基、ニトロ基またはハロゲン原子を表わす。)
  3. 前記イエロー染料層に含有されている全昇華性染料の固形分総量に対する、前記一般式(2)及び前記一般式(3)で示される昇華性染料の合計固形分が33質量%以下であることを特徴とする請求項2に記載の熱転写シート。
  4. 前記一般式(2)で示される昇華性染料が、下記一般式(2−1)で示される昇華性染料であり、
    前記一般式(3)で示される昇華性染料が、下記一般式(3−1)及び/又は下記一般式(3−2)で示される昇華性染料であることを特徴とする請求項2又は3に記載の熱転写シート。
    Figure 2014069515
    Figure 2014069515
    Figure 2014069515
  5. 前記イエロー染料層中における前記昇華性染料と前記バインダー樹脂の質量比率(D/B比(昇華性染料/バインダー樹脂))が2.0以上3.5以下であることを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載の熱転写シート。
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