JP2015066781A - 熱転写シートと熱転写受像シートとの組合せ、及び画像形成方法 - Google Patents

熱転写シートと熱転写受像シートとの組合せ、及び画像形成方法 Download PDF

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Abstract

【課題】印画濃度に優れながら、異常転写を抑制でき、耐光性も良好で、高品質な印画物が得られる、熱転写シートと熱転写受像シートとの組合せを提供する。
【解決手段】基材1の一方の面に染料層2が設けられ、前記基材の他方の面に背面層3が設けられた熱転写シート10と、他の基材の一方の面に染料受容層が設けられた熱転写受像シートとの組合せであって、前記熱転写シートの染料層は、染料と、バインダー樹脂とを含有し、基材の一方の面に1種設けられているか、又は2種以上が面順次に設けられており、前記染料層の少なくとも1種が、前記バインダー樹脂として、当該バインダー樹脂の固形分総量に対して50質量%以上100質量%以下の範囲内でニトロセルロースを含有しており、前記熱転写受像シートの染料受容層は、塩化ビニル系樹脂と、エチレン由来の構成単位を含む高分子可塑剤と、シリコーンオイルとを含有する。
【選択図】図1

Description

本発明は、熱転写シートと熱転写受像シートとの組合せ、及び画像形成方法に関するものである。
従来、種々の熱転写記録方式が知られており、その中でも広く用いられている方式として、感熱昇華型転写方式がある。この方式は、昇華性染料を色材として用い、熱転写シートの染料層中の染料を、熱転写受像シートの染料受容層に熱転写して画像を形成するものである。この方式では、熱転写の際に、プリンターのサーマルヘッドで加熱量を調整して3色又は4色の多数の色ドットを、熱転写受像シートの染料受容層に転移させ、該多色の色ドットを順次重ねて階調印画することにより、フルカラーを再現することができる。このように形成された画像は、使用する色材が染料であることから、非常に鮮明で、かつ透明性に優れているため、中間調の再現性や協調性に優れており、フルカラー写真画像に匹敵する高品質画像の形成が可能である。
感熱昇華型の熱転写シートの染料層には、熱転写シートの保存時に、染料層に含有される昇華性染料がバインダー樹脂に良好に保持され、かつ熱転写時に、昇華性染料がバインダー樹脂から良好に放出されること、すなわち高い保存安定性と染料転写効率が求められている。
保存安定性を主眼とするバインダー樹脂として、ブチラール系や、アセタール系の樹脂が知られている(特許文献1参照)。ブチラール系や、アセタール系の樹脂をバインダー樹脂として含有する染料層は、保存安定性に優れる一方で、染料転写効率が低く、印画濃度が低いといった問題がある。したがって、これらのバインダー樹脂を用いる場合には、(i)染料層の塗工量を多くして染料層中に含まれる昇華性染料の含有量を多くするか、あるいは(ii)熱転写シートの染料層における昇華性染料/バインダー樹脂の質量比率(D/B比)を大きくする等の方法によって、印画濃度を向上させる必要がある。
しかしながら、上記(i)染料層の塗工量を多くした場合には、染料層中に熱転写受像シート側に移行しない昇華性染料が多く残存することとなり、コスト面的には好ましいとはいえない。また、十分な印画濃度となるまで(ii)D/B比を大きくした場合には、染料の種類によっては、ブチラール系やアセタール系のバインダー樹脂では、昇華性染料を保持することができず、保存安定性が著しく低下する。保存安定性が低下した場合には、熱転写シート製造時に巻き取り状態で保管した際、染料層と基材の反対側面に設けられた背面層とが接することにより、染料層から背面層へ昇華性染料が移行(キック)し、シートの搬送性の低下や、背面層の機能低下を引き起こす。さらに、さらに製品とするためボビン等に巻き返した時に、この背面層に移行した染料が保護層に再転写(バック)し、得られた画像が汚染された状態になる。また、高温高湿環境下で保存を行ったときに、染料が染料層の表面に析出し、印画時にこの析出した染料が未印画部と接触して未印画部を汚染する地汚れが発生する等の種々の問題がある。
染料転写効率の向上を主眼とするバインダー樹脂としてはセルロース系樹脂、例えば、セルロースアセテートプロピオネートやエチルセルロース等が知られている。しかしながら、染料転写効率の向上を主眼とするこれらのバインダー樹脂は染料転写効率には優れるものの、保存安定性が低く、特に、染料層の塗工量を少なくした場合や、D/B比を大きくした場合には、保存安定性が低下し、上記の問題を引き起こすこととなる。
つまり、保存安定性と染料転写効率とはトレードオフの関係にあり、保存安定性の高い材料を選定した場合には、染料転写効率が低下する傾向となり、一方、染料転写効率の高い材料を選定した場合には、保存安定性が低下する傾向となる。そのため、保存安定性と染料転写効率の両方を満たすバインダー樹脂が望まれていた。
特開2009−286060号公報
近年、感熱昇華型転写方式による熱転写プリンターの印字速度の高速化に伴い、従来の熱転写シートと熱転写受像シートを用いて印画しても、十分な印画濃度が得られないという問題が生じるようになった。そのため、十分な印画濃度が得られるために、熱転写シート及び熱転写受像シートを改良する試みがなされている。
本出願人は、熱転写シートの染料層中のバインダー樹脂にニトロセルロースを用いることにより、染料転写効率が高く、印画濃度を向上させるべくバインダー樹脂に対する染料の比率を大きくした場合であっても、保存安定性に優れるとの知見を得た(特願2012−066931)。
しかしながら、熱転写シートの染料層中のバインダー樹脂にニトロセルロースを用いた場合には、熱転写受像シートの染料受容層との離型性が悪化し、染料層と染料受容層とが熱融着を起こす場合や、染料受容層から染料層を引きはがすときに印画物に剥離痕を生じさせる場合も多く、熱融着や、剥離痕によって印画物の品質を低下させてしまう問題があった。
したがって、バインダー樹脂としてニトロセルロースを含有する染料層を備える熱転写シートと熱転写受像シートとを組合せて画像形成を行う場合には、当該染料層と染料受容層との剥離性を満足させる対策を施す必要がある。
本発明は上記問題点に鑑みてなされたものであり、印画濃度に優れながら、異常転写を抑制でき、耐光性も良好で、高品質な印画物が得られる、熱転写シート及び熱転写受像シートの組合せを提供すること、及び熱転写シート及び熱転写受像シートの組合せを用いて画像を形成する画像形成方法を提供することを目的とする。
本発明に係る熱転写シートと熱転写受像シートとの組合せは、基材の一方の面に染料層が設けられ、前記基材の他方の面に背面層が設けられた熱転写シートと、他の基材の一方の面に染料受容層が設けられた熱転写受像シートとの組合せであって、
前記熱転写シートの染料層は、染料と、バインダー樹脂とを含有し、基材の一方の面に1種設けられているか、又は2種以上が面順次に設けられており、
前記染料層の少なくとも1種が、前記バインダー樹脂として、当該バインダー樹脂の固形分総量に対して50質量%以上100質量%以下の範囲内でニトロセルロースを含有しており、
前記熱転写受像シートの染料受容層は、塩化ビニル系樹脂と、エチレン由来の構成単位を含む高分子可塑剤と、シリコーンオイルとを含有することを特徴とする。
本発明に係る画像形成方法は、基材の一方の面に染料層が設けられ、前記基材の他方の面に背面層が設けられた熱転写シートと、他の基材の一方の面に染料受容層が設けられた熱転写受像シートとを組合せて使用して前記熱転写受像シート上に画像を形成する画像形成方法であって、
前記熱転写シートの染料層は、染料と、バインダー樹脂とを含有し、基材の一方の面に1種設けられているか、又は2種以上が面順次に設けられており、
前記染料層の少なくとも1種が、前記バインダー樹脂として、当該バインダー樹脂の固形分総量に対して50質量%以上100質量%以下の範囲内でニトロセルロースを含有しており、
前記熱転写受像シートの染料受容層は、塩化ビニル系樹脂と、エチレン由来の構成単位を含む高分子可塑剤と、シリコーンオイルとを含有することを特徴とする。
本発明に係る熱転写シートと熱転写受像シートとの組合せ、及び、画像形成方法においては、前記染料受容層におけるシリコーンオイルが、アミノ変性シリコーンオイルであることが、剥離性が良好になり、異常転写耐性が高くなる点から好ましい。
本発明の熱転写シートと熱転写受像シートとの組合せや、この組合せを用いた画像形成方法によれば、印画濃度に優れながら、異常転写を抑制でき、耐光性も良好で、高品質な印画物を得ることができる。
本発明の組合せ、及び本発明の画像形成方法に用いられる熱転写シートの一例を模式的に示す断面図である。 本発明の組合せ、及び本発明の画像形成方法に用いられる熱転写シートの他の一例を模式的に示す断面図である。 本発明の組合せ、及び本発明の画像形成方法に用いられる熱転写受像シートの一例を模式的に示す断面図である。 本発明の組合せ、及び本発明の画像形成方法に用いられる熱転写シートの他の一例を模式的に示す断面図である。
次に、本発明の実施の形態について詳細に説明するが、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではなく、その趣旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
なお、本発明において、「シート」とは、JIS−K6900の定義におけるシートとフィルムを含む意味である。JIS−K6900での定義では、シートとは薄く一般にその厚さが長さと幅のわりには小さい平らな製品をいい、フィルムとは長さ及び幅に比べて厚さが極めて小さく、最大厚さが任意に限定されている薄い平らな製品で、通例、ロールの形で供給されるものをいう。したがって、シートの中でも厚さの特に薄いものがフィルムであるといえるが、シートとフィルムの境界は定かではなく、明確に区別しにくいので、本発明では、厚みの厚いもの及び薄いものの両方の意味を含めて、「シート」と定義する。
本発明に係る熱転写シートと熱転写受像シートとの組合せは、基材の一方の面に染料層が設けられ、前記基材の他方の面に背面層が設けられた熱転写シートと、他の基材の一方の面に染料受容層が設けられた熱転写受像シートとの組合せであって、
前記熱転写シートの染料層は、染料と、バインダー樹脂とを含有し、基材の一方の面に1種設けられているか、又は2種以上が面順次に設けられており、
前記染料層の少なくとも1種が、前記バインダー樹脂として、当該バインダー樹脂の固形分総量に対して50質量%以上100質量%以下の範囲内でニトロセルロースを含有しており、
前記熱転写受像シートの染料受容層は、塩化ビニル系樹脂と、エチレン由来の構成単位を含む高分子可塑剤と、シリコーンオイルとを含有することを特徴とする。
本発明に係る熱転写シートと熱転写受像シートとの組合せにおいては、熱転写シートとして、染料層の少なくとも1種が、前記バインダー樹脂として、当該バインダー樹脂の固形分総量に対して50質量%以上100質量%以下の範囲内でニトロセルロースを含有しているものを用いたことにより、染料転写効率が高く、印画濃度を向上させるべくバインダー樹脂に対する染料の比率を大きくした場合であっても、保存安定性に優れるものである。しかしながら、このようなニトロセルロースを用いた熱転写シートは、熱転写受像シートの染料受容層との離型性が悪化し、染料層と染料受容層とが熱融着を起こす場合や、染料受容層から染料層を引きはがすときに印画物に剥離痕を生じさせる場合も多く、熱融着や、剥離痕によって印画物の品質の低下が生じる問題が発生した。本発明においては、このような熱転写シートに対して、染料受容層が、塩化ビニル系樹脂と、エチレン由来の構成単位を含む高分子可塑剤と、シリコーンオイルとを含有する熱転写受像シートを組合せることにより、上記のような異常転写を抑制して熱融着や剥離痕などの印画物の品質の低下を防止し、且つ、耐光性を良好にすることができる。
塩化ビニル系樹脂を染料受容層のバインダー樹脂として選択し、シリコーンオイルと、更にエチレン由来の構成単位を含む高分子可塑剤とを添加する事によって、染料受容層を、ニトロセルロースに対して相溶性が低いものに調整することができる。これによって、染料転写時に、バインダー樹脂としてニトロセルロースを含有する染料層と染料受容層とが熱融着せずに剥離しやすくなり、異常転写を抑制することが可能になると推定される。
また、染料の耐光性は、染料同士が相互作用することによって悪化している可能性があり、染料分子間の距離を大きくする事によって耐光性が良くなる傾向がある。エチレン由来の構成単位を含む高分子可塑剤は、塩化ビニル系樹脂とシリコーンオイルを含む染料受容層を可塑化することができる。これによって、染料転写後の染料分子が染料受容層の奥深くまで浸透しやすくなり、染料分子間の距離を大きくする事ができ、染料の耐光性を良好にすることができると推定される。
以下に、本発明の組合せ、及び本発明の画像形成方法に用いられる熱転写シート、及び
熱転写受像シートについて図面を用いて具体的に説明する。なお、図1は、本発明の組合せ、及び本発明の画像形成方法に用いられる熱転写シートの一例を示す概略断面図であり、図2は、本発明の組合せ、及び本発明の画像形成方法に用いられる熱転写シートの他の一例を示す概略断面図であり、図3は、本発明の組合せ、及び本発明の画像形成方法に用いられる熱転写受像シートの一例を示す概略断面図である。
≪熱転写シート≫
まず、本発明の組合せ、及び本発明の画像形成方法で用いられる熱転写シートについて説明する。図1に示すように、本発明の組合せ、及び本発明の画像形成方法に用いられる熱転写シート(以下、本発明に用いられる熱転写シートという場合がある。)10は、基材1の一方の面に染料とバインダー樹脂とを含有する染料層2が設けられ、基材の他方の面に背面層3が設けられた構成をとる。そして本発明では、染料層2の少なくとも1種が、前記バインダー樹脂として、当該バインダー樹脂の固形分総量に対して50質量%以上100質量%以下の範囲内でニトロセルロースを含有することを特徴とする。なお、図1では、基材1と染料層2との間に染料プライマー層4が設けられているが、染料プライマー層4は本発明の熱転写シート10における任意の構成である。また、基材1と背面層3との間に図示しない背面プライマー層が設けられていてもよい。
(基材)
本発明の熱転写シート10に用いられる基材1は、本発明の熱転写シート10における必須の構成であり、染料層2、及び背面層3を保持するために設けられる。基材1の材料については特に限定されないが、染料層2の染料を熱転写受像シート上に転写する際にサーマルヘッドにより加えられる熱に耐え、取り扱い上支障のない機械的特性を有することが望ましい。このような基材として、例えば、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル、ポリアリレート、ポリカーボネート、ポリウレタン、ポリイミド、ポリエーテルイミド、セルロース誘導体、ポリエチレン、エチレン・酢酸ビニル共重合体、ポリプロピレン、ポリスチレン、アクリル、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ナイロン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル、ポリビニルフルオライド、テトラフルオロエチレン・エチレン、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリビニリデンフルオライド等の各種プラスチックフィルムまたはシートを挙げることができる。また、基材1の厚さは、その強度及び耐熱性が適切になるように材料に応じて適宜設定することができ、2.5μm〜100μm程度が一般的で、好ましくは1μm〜10μmである。
(染料層)
本発明の染料層は、染料をバインダー樹脂により担持してなる層である。図1に示す形態では、基材1の一方の面に1種の(単一の)染料層2が設けられた構成をとっているが、図2に示すように、2種以上の染料層を同一基材1の同一面に面順次に繰り返し設けることも可能である(例えば、図2のY(イエロー)染料層、M(マゼンタ)染料層、C(シアン)染料層)。また、同一基材1の同一面上に転写性保護層を設けることとしてもよい(例えば図2のOP層)。本発明に用いられる前記染料層の少なくとも1種は、前記バインダー樹脂として、当該バインダー樹脂の固形分総量に対して50質量%以上100質量%以下の範囲内でニトロセルロースを含有しているものである。
<染料>
染料層2に含有される染料の材料は、従来公知の染料を使用することができるが、印画材料として良好な特性を有するもの、例えば、十分な着色濃度を有し、光、熱、温度等により変退色しないものが好ましい。昇華型の熱転写シートの染料層2に使用可能な昇華性染料としては、例えば、ジアリールメタン系染料、トリアリールメタン系染料、チアゾール系染料、メロシアニン染料、ピラゾロン染料、ピラゾロンメチン、ピリドンメチン等のメチン系染料、インドアニリン系染料、インドナフトール系染料、アセトフェノンアゾメチン、ピラゾロアゾメチン、ピラゾロンアゾメチン、ピラゾロトリアゾールアゾメチン、イミダゾルアゾメチン、イミダゾアゾメチン、ピリドンアゾメチン等のアゾメチン系染料、キサンテン系染料、オキサジン系染料、ジシアノスチレン、トリシアノスチレン等のシアノスチレン系染料、チアジン系染料、アジン系染料、アクリジン系染料、ベンゼンアゾ系染料、ピリドンアゾ、チオフェンアゾ、チアゾールアゾ、イソチアゾールアゾ、ピロールアゾ、ピラゾールアゾ、イミダゾールアゾ、チアジアゾールアゾ、トリアゾールアゾ、ジスアゾ等のアゾ系染料、スピロピラン系染料、インドリノスピロピラン系染料、フルオラン系染料、ローダミンラクタム系染料、ナフトキノン系染料、アントラキノン系染料、キノフタロン系染料、アミノピラゾール系染料、ピラゾロトリアゾール系染料、ジシアノスチリル、トリシアノスチリツ等のスチリル系染料等が挙げられる。具体的には、MSRedG(三井東圧化学社製)、Macrolex Red Violet R(バイエル社製)、CeresRed 7B(バイエル社製)、Samaron Red F3BS(三菱化学社製)等の赤色染料、ホロンブリリアントイエロー6GL(クラリアント社製)、PTY−52(三菱化成社製)、マクロレックスイエロー6G(バイエル社製)等の黄色染料、カヤセットブルー714(日本化薬社製)、ワクソリンブルーAP−FW(ICI社製)、ホロンブリリアントブルーS−R(サンド社製)、MSブルー100(三井東圧化学社製)、C.I.ソルベントブルー22等の青色染料が挙げられる。
<バインダー樹脂>
染料層2には、染料とともに、当該染料を保持するためのバインダー樹脂が用いられる。本発明に用いられる染料層の少なくとも1種は、バインダー樹脂として、当該バインダー樹脂の固形分総量に対して50質量%以上100質量%以下の範囲内でニトロセルロースを含有しているものである。なお、当該バインダー樹脂の固形分総量とは、ニトロセルロースを含む1種の染料層における、ニトロセルロースを含むバインダー樹脂の固形分総量を意味する。つまり、2種以上の染料層が面順次に設けられている場合には、少なくとも1種の染料層がニトロセルロースを含む染料層であり、他の少なくとも1種がニトロセルロースを含まない染料層であっても良く、少なくとも1種のニトロセルロースを含む染料層において、バインダー樹脂として、当該バインダー樹脂の固形分総量に対して50質量%以上100質量%以下の範囲内でニトロセルロースを含有していればよい。例えば、高い印画濃度を達成し難い少なくとも1種の染料に対して、バインダー樹脂の固形分総量に対して50質量%以上100質量%以下の範囲内でニトロセルロースを含有するようなバインダー樹脂と組合せることにより、高い印画濃度を達成し難い染料に対しても、印画濃度を向上することができる。そしてバインダー樹脂の固形分総量に対して50質量%以上100質量%以下の範囲内でニトロセルロースを含有するような染料層を少なくとも1種含むと、上述のような異常転写の問題が生じるため、前記特定の熱転写受像シートと組合せることが好ましいのである。しかし、バインダー樹脂の固形分総量に対して50質量%以上に達していない量でニトロセルロースを含む場合でも、染料によっては十分な印画濃度を達成できる場合もあるため、少なくとも1種の染料層においてバインダー樹脂として、当該バインダー樹脂の固形分総量に対して50質量%以上100質量%以下の範囲内でニトロセルロースを含有していれば、ニトロセルロースを含有している別の染料層において当該バインダー樹脂の固形分総量に対して50質量%未満の範囲でニトロセルロースを含有していても良い。この場合であっても、ニトロセルロースを含有する効果を得るためには、当該バインダー樹脂の固形分総量に対して20質量%以上ニトロセルロースを含有していることが好ましい。
[ニトロセルロース]
バインダー樹脂としてのニトロセルロースは染料保持力が高いため、染料とニトロセルロースとの質量比率(D/B比(染料/バインダー樹脂))(以下D/B比という)が高くなっても、保存安定性を満足させることができ、地汚れや、キック及びバックの発生を防止できる。また、染料転写効率がよいため、転写効率を上げるために塗工量を少なくした場合であっても、高い印画濃度を得ることができる。
ニトロセルロースの粘度について特に限定はないが、染料層2に、JIS K−6703による粘度が1/16未満のニトロセルロースを含有させた場合には、保存安定性が低下する傾向にある。一方、染料層2にJIS K−6703による粘度が120を超えるニトロセルロースを含有させる場合には、染料層2の形成時にインキミスト等が発生するおそれが生じうる。
この点を考慮すると、染料層2には、JIS K−6703による粘度で、1/16以上120以下のニトロセルロースが含有されていることが好ましく、1/8以上120以下のニトロセルロースが含有されていることが更に好ましい。
粘度が上記範囲内のニトロセルロースは市販品をそのまま用いることができる。粘度が上記範囲内のものとしては、例えば、太平化学製品(株)製のJIS K−6703で指定される種類及び粘度記号で、H1/16,H1/8,L1/8,H1/4,L1/4,H1/2,H1",H5",H20,H60,H120のものを挙げることができる。これ以外にも、稲畑産業(株)製のDHX3−5,DHX5−10,DHX8−13,DHX11−16,DHX30−50,DHX40−70,DHL25−45,DHL120−170,H20(160−210),DHM10−25,SL−1,DLX3−5,DLX5−8,DLX8−13,DLX30−50等も使用可能である。
また、ニトロセルロースは、窒素分(硝化度)が10%以上であることが好ましい。また、取り扱いの安全性を考慮すると窒素分は12.3%以下であることが好ましい。窒素分が10%以上のニトロセルロースを染料層2に含有させることで、転写効率の更なる向上が見込まれる。
[その他のバインダー樹脂]
染料層のバインダー樹脂としては、ニトロセルロースのみを含有していてもよく、ニトロセルロースとともに、その他のバインダー樹脂が含有されていてもよい。その他のバインダー樹脂の含有量は、バインダー樹脂の固形分総量に対するニトロセルロースの上記所定範囲の含有量を妨げない範囲であることが必要である。なお、2種以上の染料層が面順次設けられている場合においては、バインダー樹脂としてその他のバインダー樹脂のみを含有する染料層が含まれていてもよい。
その他のバインダー樹脂としては、例えば、ポリビニルアセタール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、エチルセルロース樹脂、メチルセルロース樹脂、酢酸セルロース樹脂、酪酸セルロース樹脂、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリアクリルアミド樹脂等のビニル系樹脂、ポリエステル系樹脂等を挙げることができる。なお、これらのバインダー樹脂は単独で用いてもよく、2種以上を組合せて用いることもできる。
また、染料層2には、染料及びバインダー樹脂のほか、無機微粒子、有機微粒子等の添加剤が含有されていてもよい。無機微粒子としては、カーボンブラック、アルミニウム、二硫化モリブデン等が挙げられ、有機微粒子としては、ポリエチレンワックス等が挙げられる。また、染料層2には、本発明の趣旨を妨げない範囲内で、他の離型剤が含有されていてもよい。他の離型剤としては、従来公知のシリコーンやリン酸エステル等を挙げることができる。
染料層2の形成方法についても特に限定はなく、染料、ニトロセルロースを含むバインダー樹脂、更に必要に応じて添加剤、例えば、離型剤や無機微粒子などを加えて、トルエン、メチルエチルケトン、イソプロピルアルコール、エタノール、シクロヘキサノン、DMFなどの適当な有機溶剤に溶解、あるいは有機溶剤や水に分散した塗工液をグラビア印刷、ダイコート印刷、バーコート印刷、スクリーン印刷、又はグラビア版を用いたリバースロールコーティング印刷等の手段により塗布、及び乾燥して形成することができる。
また、本発明では、染料層2の塗工量が乾燥時で0.50g/m2以下の範囲とすることが好ましい。染料層2の塗工量をこの範囲内とすることで、転写時の染料転写効率を向上させることができ、染料層2に含まれる染料を無駄なく熱転写受像シート上に移行させることができ、且つ、保存安定性の要求を満足させることができる。なお、染料層2の塗工量が乾燥時で0.50g/m2を超えると染料転写効率が低下する恐れがある。染料層2の下限値について特に限定はないが、染料層の塗工量が乾燥時で0.13g/m2未満である場合には、ニトロセルロースに対する昇華性染料の配合比率を多くしても十分な印画濃度を得られない場合がある。したがって、この点を考慮すると、染料層の塗工量は、乾燥時で0.13g/m2以上0.50g/m2以下であることが好ましい。
染料層2に含まれる染料の含有量が少ない場合には十分な印画濃度を得ることができない場合がある。この点を考慮すると、バインダー樹脂の固形分総量に対して50質量%以上100質量%以下の範囲内でニトロセルロースを含有する1種の染料層においては、中に含まれる染料とバインダー樹脂との質量比率(D/B比(染料/バインダー樹脂))は、十分な印画濃度の印画物を得ることができる点から、1.8以上であることが好ましい。
なお、通常D/B比が1.8以上である場合には、これまで用いられてきた従来公知のバインダー樹脂では昇華性染料を保持することができないが、バインダー樹脂の固形分総量に対して50質量%以上100質量%以下の範囲内でニトロセルロースを含有する1種の染料層においては、染料層2に所定量のニトロセルロースが含まれることからD/B比が1.8以上であっても染料を十分に保持することができ、保存安定性に優れる。D/B比の好ましい上限値について特に限定はないが、D/B比が3.5を超える場合には、バインダー樹脂に対する染料の染料量が多くなりすぎ、バインダーが染料を保持しきれず保存安定性が低下する場合がある。したがって、この点を考慮すると、D/B比は1.8以上3.5以下の範囲内であることが好ましく、2.0以上3.5以下の範囲内であることがより好ましい。
(染料プライマー層)
本発明においては、基材1と染料層2との間に染料プライマー層4が設けられていることが好ましい。染料プライマー層4を設けることで基材1と染料層2との密着性を向上させ、熱転写時に熱転写受像シートへの染料層2の異常転写を防止することができる。
染料プライマー層4を構成する樹脂としては、ポリエステル系樹脂、ポリビニルピロリドン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ヒドロキシエチルセルロース、ポリアクリル酸エステル系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、スチレンアクリレート系樹脂、ポリアクリルアミド系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエーテル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリビニルアセトアセタールやポリビニルブチラール等のポリビニルアセタール系樹脂等が挙げられる。
また、染料プライマー層4をコロイド状無機顔料超微粒子から構成することもできる。これにより熱転写時の熱転写受像シートへ染料層2の異常転写を防止できるだけでなく、印画時の染料層2から染料プライマー層4への染料の移行を防止し、熱転写受像シートの染料受容層側への染料拡散を有効に行なうことができ、印画濃度を高めることができる。
コロイド状無機顔料超微粒子として、従来公知の化合物が使用できる。例えば、シリカ(コロイダルシリカ)、アルミナ或はアルミナ水和物(アルミナゾル、コロイダルアルミナ、カチオン性アルミニウム酸化物又はその水和物、疑ベーマイト等)、珪酸アルミニウム、珪酸マグネシウム、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、酸化チタン等が挙げられる。特に、コロイダルシリカ、アルミナゾルが好ましく用いられる。これらのコロイド状無機顔料超微粒子の大きさは、一次平均粒径で100nm以下、好ましくは50nm以下で用いることが好ましい。
染料プライマー層4は、上記で例示した樹脂や、コロイド状無機顔料超微粒子を適当な溶媒に溶解或いは分散したプライマー層用塗工液をグラビアコーティング法、ロールコート法、スクリーン印刷法、グラビア版を用いたリバースロールコーティング法等の従来から公知の形成手段により、塗布・乾燥して形成することができる。プライマー層用塗工液の塗工量は、0.02〜1.0g/m2程度であることが好ましい。
(背面層)
図1に示すように、基材1の他方の面に、耐熱性、及び印画時におけるサーマルヘッドの走行性等を向上させるための背面層3が設けられている。
背面層3は、従来公知の熱可塑性樹脂等を適宜選択して形成することができる。このような、熱可塑性樹脂として、例えば、ポリエステル系樹脂、ポリアクリル酸エステル系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、スチレンアクリレート系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂等のポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリエーテル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリアミドイミド系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、ポリビニルクロリド樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルアセトアセタール樹脂等のポリビニルアセタール樹脂等の熱可塑性樹脂、これらのシリコーン変性物等が挙げられる。
また、上記した樹脂に硬化剤を添加してもよい。硬化剤として機能するポリイソシアネート樹脂としては、特に制限なく従来公知のものを使用できるが、それらのなかでも、芳香族系イソシアネートのアダクト体を使用することが望ましい。芳香族系ポリイソシアネートとしては、2,4−トルエンジイソシアネート、2,6−トルエンジイソシアネート、又は、2,4−トルエンジイソシアネートと2,6−トルエンジイソシアネートの混合物、1,5−ナフタレンジイソシアネート、トリジンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、trans−シクロヘキサン−1,4−ジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、トリス(イソシアネートフェニル)チオフォスフェートがあげられ、特に2,4−トルエンジイソシアネート、2,6−トルエンジイソシアネート、又は、2,4−トルエンジイソシアネートと2,6−トルエンジイソシアネートの混合物が好ましい。このようなポリイソシアネート樹脂は、上記した水酸基含有熱可塑性樹脂をその水酸基を利用して架橋させ、背面層の塗膜強度や耐熱性を向上させる。
また、背面層3には、上記熱可塑性樹脂に加え、スリップ性を向上させる目的で、ワックス、高級脂肪酸アミド、リン酸エステル化合物、金属石鹸、シリコーンオイル、界面活性剤等の離型剤、フッ素樹脂等の有機粉末、シリカ、クレー、タルク、炭酸カルシウム等の無機粒子等の各種添加剤が含有されていることが好ましく、リン酸エステル又は金属石鹸の少なくとも1種が含有されていることが特に好ましい。
背面層3は、例えば、上記熱可塑性樹脂、必要に応じて添加される各種添加材を適当な溶媒に分散又は溶解させた塗工液を、基材1の染料層2の反対側の面上に、グラビア印刷法、スクリーン印刷法、グラビア版を用いたリバースロールコーティング印刷法等の公知の手段により、塗布し、乾燥することにより形成することができる。背面層3の塗工量は、耐熱性等の向上等の点から、乾燥後塗工量が3g/m2以下であることが好ましく、0.1〜2g/m2にすることがより好ましい。
(転写性保護層)
また、本発明の熱転写シートにおいて、上記で説明した染料層と転写性保護層とを面順次に設けることもできる(例えば、後述の実施例で示す図4)。
転写性保護層は、多層構造をとっていてもよいし、単層構造をとっていてもよい。多層構造をとる場合には、画像に各種の耐久性を付与するための主体となる主保護層のほか、転写性保護層と印画物の受像面との接着性を高めるために転写性保護層の最表面に配置される接着層や、補助的な保護層や、保護層本体の機能以外の機能を付加するための層などが含まれていてもよい。主保護層とその他の層の順序は任意であるが、通常は、転写後に主保護層が受像面の最表面層となるように、接着層と主保護層との間に他の層を配置する。
多層構造の転写性保護層を構成する主保護層又は単層構造の転写性保護層は、従来から保護層形成用樹脂として知られている各種の樹脂で形成することができる。保護層形成用樹脂としては、例えば、ポリエステル樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリルウレタン樹脂、これらの各樹脂をシリコーン変性させた樹脂、これらの各樹脂の混合物、電離放射線硬化性樹脂、紫外線遮断性樹脂等を例示することができる。
電離放射線硬化性樹脂を含有する保護層は、耐可塑剤性や耐擦過性が特に優れている。電離放射線硬化性樹脂としては公知のものを使用することができ、例えば、ラジカル重合性のポリマー又はオリゴマーを電離放射線照射により架橋、硬化させ、必要に応じて光重合開始剤を添加し、電子線や紫外線によって重合架橋させたものを使用することができる。
紫外線遮断性樹脂を含有する保護層は、印画物に耐光性を付与することを主目的とする。紫外線遮断性樹脂としては、例えば、反応性紫外線吸収剤を熱可塑性樹脂又は上記の電離放射線硬化性樹脂に反応、結合させて得た樹脂を使用することができる。より具体的には、サリシレート系、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、置換アクリロニトリル系、ニッケルキレート系、ヒンダートアミン系のような従来公知の非反応性の有機系紫外線吸収剤に、付加重合性二重結合(例えばビニル基、アクリロイル基、メタアクリロイル基など)、アルコール性水酸基、アミノ基、カルボキシル基、エポキシ基、イソシアネート基のような反応性基を導入したものを例示することができる。
単層構造の転写性保護層又は多層構造の転写性保護層中に設けられた主保護層は、保護層形成用樹脂の種類にもよるが、通常は0.5〜10μm程度の厚さであることが好ましい。
転写性保護層の最表面には接着層が形成されていてもよい。接着層は、例えば、アクリル樹脂、塩化ビニル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、塩化ビニル/酢酸ビニル共重合樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂のような加熱時接着性の良好な樹脂で形成することができる。接着層の厚さは、通常0.1〜5μm程度である。また、転写性保護層の多層構造における任意の場所に前記染料プライマー層が形成されていてもよいし、前記染料プライマー層が形成されていなくてもよい。
≪熱転写受像シート≫
次に、本発明の組合せ、及び本発明の画像形成方法で用いられる熱転写受像シート(以下、本発明に用いられる熱転写受像シートという場合がある。)について説明する。図3に示すように本発明で用いられる熱転写受像シート20は、他の基材11の一方面に染料受容層12が設けられた構成をとる。なお、図3では、他の基材11上と染料受容層12との間に、断熱層13が設けられているが断熱層13は、本発明に用いられる熱転写受像シート20における任意の構成である。以下、熱転写受像シート20の各構成について具体的に説明する。
(他の基材)
本発明の熱転写受像シートに用いられる他の基材としては、染料受容層及び必要に応じて設けられたその他の層を支持し、熱転写時の加熱に耐えられるものであれば特に限定されない。
他の基材11について特に限定はなく、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等の耐熱性の高いポリオレフィン、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリカーボネート、酢酸セルロース、ポリエチレン誘導体、ポリアミド、ポリメチルペンテン等のプラスチックの延伸または未延伸フィルムや、これらの合成樹脂に白色顔料や充填剤を加えて成膜した白色不透明フィルムも使用できる。これ以外にも、上質紙、コート紙、アート紙、キャストコート紙、板紙等の材料も使用することができる。また、これらの材料を2種以上積層した複合フィルムも使用することができる。代表的な積層体の例として、セルロース繊維紙と合成紙或いはセルロース合成紙とプラスチックフィルムと合成紙が挙げられる、本発明においては、市販の基材を用いることもでき、例えば、RC紙ペーパー(三菱製紙(株)製、商品名:STF−150)等が好ましい。なお、本願明細書では熱転写シートを構成する基材1と区別するために熱転写受像シート20を構成する基材のことを他の基材11と称しているが、熱転写シート10を構成する基材1と、熱転写受像シート20を構成する他の基材11とは同一のものであってもよく、異なるものであってもよい。
他の基材の厚さは、その強度および耐熱性等が適切になるように材料に応じて適宜選択することができるが、通常1μm〜300μm、好ましくは60μm〜200μm程度である。
(染料受容層)
本発明における染料受容層は、熱転写シートから移行してくる染料を受容し、形成された画像を維持するためのものである。本発明における染料受容層は、塩化ビニル系樹脂と、エチレン由来の構成単位を含む高分子可塑剤と、シリコーンオイルとを含有することを特徴とする。
当該染料受容層は、上記特定の3成分を組合せて含有することから、ニトロセルロースを含む染料層を備えた熱転写シートと組合せても、異常転写を抑制でき、且つ、印画物の耐光性を良好にすることができる。また、染料受容能も高く、高い印画濃度の印画物が得られる。
<塩化ビニル系樹脂>
塩化ビニル系樹脂は、塩化ビニル由来の構成単位を含有する重合体である。本発明に用いられる塩化ビニル系樹脂は塩化ビニル由来の構成単位のみからなるものであってもよく、あるいは、塩化ビニルと、共重合可能なモノマーとが共重合されたものであってもよい。本発明においては、中でも塩化ビニル由来の構成単位と、他のモノマー由来の構成単位を含む共重合体が好ましい。たとえば、上記他の構造単位の種類や、共重合比を適宜選択・調整することにより、本発明に用いられる染料受容層の離型性や、印画濃度等を所望の範囲内に調整することが容易になるからである。
本発明においては、塩化ビニル系樹脂を染料受容層のバインダー樹脂として選択したことにより、ニトロセルロースとの相溶性が悪く、染料層と染料受容層との熱融着を防止する効果が高くなり、且つ優れた印画濃度を得ることができると推定される。
塩化ビニルと共重合するモノマーには特に限定はなく、塩化ビニルと共重合できればよく、酢酸ビニル、ビニルアルコール、プロピオン酸ビニルなどのビニルアルコール誘導体;アクリル酸およびメタクリル酸およびそれらのメチル、エチル、プロピル、ブチル、2−エチルヘキシルエステルなどのアクリル酸およびメタクリル酸エステル;マレイン酸、マレイン酸ジエチル、マレイン酸ジブチル、マレイン酸ジオクチルなどのマレイン酸誘導体;メチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテルなどのビニルエーテル誘導体;アクリロニトリル、メタクリロニトリル、スチレン等が挙げられるが、共重合成分としては、酢酸ビニルが特に好ましい。
したがって、染料受容層に用いる塩化ビニル系樹脂としては、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体が特に好適に用いられるが、当該塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体としては、塩化ビニル由来の構成単位と酢酸ビニル由来の構成単位のみを含む共重合体である場合に限らず、本発明の目的を妨げない範囲のアクリル酸およびメタクリル酸誘導体由来の構成単位、ビニルアルコール由来の構成単位、マレイン酸由来の構成単位等を含むものであってもよい。具体的には例えば、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−アクリル酸エステル共重合体、エチレン−塩化ビニル−アクリル酸エステル共重合体、エチレン−酢酸ビニル−塩化ビニル共重合体等を挙げることができる。共重合体中の塩化ビニルおよび酢酸ビニルの成分比は任意の比率でよいが、塩化ビニル成分が共重合体中で50質量%以上であるのが好ましい。中でも、塩化ビニルと酢酸ビニルの成分の質量比は、85/15〜90/10であることが好ましい。また、先に挙げた塩化ビニルや酢酸ビニル以外の成分は10質量%以下であるのが好ましい。
塩化ビニル系樹脂の市販品として、例えば塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体を挙げると、ソルバイン C、ソルバイン CL、ソルバイン CH、ソルバイン CN、ソルバイン C5、ソルバイン M、ソルバイン MF、ソルバイン A、ソルバイン AL、ソルバイン TA5R、ソルバイン TAO、ソルバイン MK6、ソルバイン TA2(いずれも商品名、日信化学工業(株)製)、エスレックA、エスレックC、エスレックM(いずれも商品名、積水化学工業(株)製)、ビニライトVAGH、ビニライトVYHH、ビニライトVMCH、ビニライトVYHD、ビニライトVYLF、ビニライトVYNS、ビニライトVMCC、ビニライトVMCA、ビニライトVAGD、ビニライトVERR、ビニライトVROH(いずれも商品名、ユニオンカーバイド社製)、デンカビニル1000GKT、デンカビニル1000L、デンカビニル1000CK(いずれも商品名、電気化学工業(株)製)等が挙げられる。
本発明に用いられる塩化ビニル系樹脂の分子量としては、本発明における染料受容層の離型性を所望の程度にできる範囲内であれば特に限定されるものではないが、なかでも数平均分子量が、30000以上であることが好ましく、さらに35000以上であることが特に好ましい。数平均分子量がこのような範囲内である塩化ビニル系樹脂を用いることにより、本発明に用いられる染料受容層の離型性をさらに向上させることができるからである。
なお、本発明に用いられる塩化ビニル系樹脂は、1種類のみであってもよく、あるいは、2種類以上であってもよい。
塩化ビニル系樹脂の含有量は、染料受容層用材料全体の50〜98質量%(固形分換算)が好ましく、更に70〜95質量%が好ましい。なお、本発明において「固形分」とは、溶剤以外のすべての成分を意味する。
<エチレン由来の構成単位を含む高分子可塑剤>
エチレン由来の構成単位を含む高分子可塑剤は、エチレン由来の構成単位を含有する重合体である。当該高分子可塑剤は、塩化ビニル系樹脂の高分子鎖間に入り込み,凝集力を弱めて可塑性を与えることにより、本発明の染料受容層に染料受容能を向上すると共に耐光性を向上し、更にニトロセルロースに対する非相溶性を高め、熱転写シートの染料層との離型性を向上して異常転写を抑制する機能を有するものである。
エチレン由来の構成単位を含む高分子可塑剤は、耐光性の点から、ガラス転移温度が−30℃以下であることが好ましい。一方、離型性の点からは、ガラス転移温度が−60℃以上であることが好ましい。
なお、ここでのガラス転移温度は、動的粘弾性法により測定したものである。
エチレン由来の構成単位を含む高分子可塑剤は、耐光性の点から、融点が80℃以下であることが好ましく、更に75℃以下であることが好ましい。一方、離型性の点からは、融点が50℃以上であることが好ましく、更に55℃以上であることが好ましい。
なお、ここでの融点は、JIS K7121 1999に基づいて測定したものである。
本発明で用いられるエチレン由来の構成単位を含む高分子可塑剤としては、中でも、エチレンと不飽和カルボン酸アルキルエステルと一酸化炭素との三元共重合体、及び、エチレンと酢酸ビニルと一酸化炭素との三元共重合体よりなる群から選択される1種以上の共重合体が、異常転写を抑制する機能の点から好ましく、更に、エチレンと不飽和カルボン酸アルキルエステルと一酸化炭素との三元共重合体が好ましい。
前記三元共重合体において、不飽和カルボン酸アルキルエステルにおける不飽和カルボン酸としては、(メタ)アクリル酸、エタクリル酸、イタコン酸、無水イタコン酸、フマル酸、クロトン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、マレイン酸モノエステル(マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノエチル等)、無水マレイン酸モノエステル(無水マレイン酸モノメチル、無水マレイン酸モノエチル等)等の炭素数4〜8の不飽和カルボン酸などが挙げられる。
中でも、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、マレイン酸モノエステル、無水マレイン酸モノエステルが好ましく、(メタ)アクリル酸が特に好ましい。なお、本発明において、(メタ)アクリル酸は、アクリル酸またはメタクリル酸を表す。
前記不飽和カルボン酸アルキルエステルにおけるアルキル部位としては、炭素数1〜12のものが好適に用いられ、より具体的には、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、t−ブチル、2−エチルヘキシル、イソオクチル等のアルキル基を例示することができる。本発明では、不飽和カルボン酸アルキルエステルとして、特にアクリル酸又はメタクリル酸のメチルエステル、エチルエステル、n−ブチルエステル、イソブチルエステルのような(メタ)アクリル酸の低級アルキルエステル(アルキル部位の炭素数1〜6)が好ましい。
前記三元共重合体において、共重合比には特に限定されなが、三元共重合体の全質量に対し、不飽和カルボン酸アルキルエステル又は酢酸ビニルに由来する構造単位の含有量が5〜50質量%であり、かつ、一酸化炭素に由来する構造単位の含有量が3〜20質量%であることが好ましく、不飽和カルボン酸アルキルエステル又は酢酸ビニルに由来する構造単位の含有量が20〜40質量%であり、かつ、一酸化炭素に由来する構造単位の含有量が5〜15質量%であることが、更に好ましい。
なお前記三元共重合体は、例えば、それ自体公知の高圧ラジカル共重合により製造される。
エチレン由来の構成単位を含む高分子可塑剤は、市販品を用いても良く、例えば、前記三元共重合体の市販品としては、エルバロイシリーズ(商品名、三井・デュポンポリケミカル(株)製)等を挙げることができる。
なお、エチレン由来の構成単位を含む高分子可塑剤の含有量は、染料受容層用材料全体の1〜20質量%(固形分換算)が好ましく、更に3〜15質量%が好ましい。
また、塩化ビニル系樹脂とエチレン由来の構成単位を含む高分子可塑剤との含有比率は、異常転写耐性及び耐光性の点から、98:2〜80:20であることが好ましい。中でも特に、転写濃度も高くなる点から、92:8〜85:15であることが好ましい。
<シリコーンオイル>
本発明に用いられるシリコーンオイルとしては、染料受容層に含有されることにより、染料受容層に所望の離型性を付与できるものであれば特に限定されるものではない。本発明に用いられるシリコーンオイルとしては、例えば、エポキシ変性シリコーンオイル、アルキル変性シリコーンオイル、アミノ変性シリコーンオイル、フッ素変性シリコーンオイル、フェニル変性シリコーンオイル、ポリエーテル変性シリコーンオイル、ビニル変性シリコーンオイル、ハイドロジェン変性シリコーンオイル等の変性シリコーンオイル等を挙げることができる。
中でも、剥離性が良好になり、異常転写耐性が高くなる点から、アミノ変性シリコーンオイル、エポキシ変性シリコーンオイルが好ましく、アミノ変性シリコーンオイルがより好ましく、中でも、ジアミンで変性されたジアミン変性シリコーンオイルがより好ましい。
なお、シリコーンオイルの添加量は、染料受容層用材料全体の0.1〜10質量%(固形分換算)が好ましく、更に0.5〜5質量%が好ましい。
<その他の成分>
上記以外に、本発明の効果を妨げない範囲で染料受容層に添加することができる任意の化合物としては、例えば、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、フィラー、顔料、帯電防止剤、可塑剤、熱溶融性物質等を挙げることができる。また、本発明の効果を妨げない範囲で、シリコーンオイル以外の離型剤を併用しても良い。このような離型剤としては、ポリエチレンワックス、アミドワックス、テフロン(登録商標)パウダー等の固形ワックス類、フッ素系またはリン酸エステル系界面活性剤等が挙げられる。また、本発明の効果を妨げない範囲で、塩化ビニル系樹脂以外のバインダー樹脂を併用しても良い。このようなバインダー樹脂としては、例えば、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ウレタン系樹脂等が挙げられる。塩化ビニル系樹脂以外のバインダー樹脂を併用する場合であっても、塩化ビニル系樹脂がバインダー樹脂の主成分、すなわち、バインダー樹脂の合計の50質量%以上となるようにし、更にバインダー樹脂の合計の70質量%以上であることが好ましく、90質量%以上であることがより好ましい。
染料受容層の形成に際し、染料受容層用塗工液の塗工量は、特に限定されないが、乾燥状態で0.5〜10g/m2とすることが好ましい。
(断熱層)
他の基材11と水系の染料受容層12との間に断熱層13が設けられていてもよい。断熱層13を設けることで、サーマルヘッドから水系の染料受容層12に加えられた熱が他の基材11等へ伝熱することによって損失され印画濃度が低下することを防止することができる。以下、断熱層の一例について説明するが、これ以外にも「断熱層」、「中空層」、「中空粒子層」と称される従来公知のあらゆるものを適宜選択して用いることができる。
断熱層13には一般的に断熱性やクッション性を付与する機能を有する中空粒子が含有されている。中空粒子は発泡粒子であってもよく、あるいは、非発泡粒子であってもよい。また、発泡粒子は、独立発泡粒子であってもよく、あるいは、連続発泡粒子であってもよい。さらに、中空粒子は、樹脂等から構成される有機系中空粒子であってもよく、ガラス等から構成される無機系中空粒子であってもよい。また、中空粒子は、架橋中空粒子であってもよい。なお、中空部には空気やガスを含んでいてもよく、ガスとしては、例えばメタンガス、ブタンガスなどが挙げられる。
中空粒子を構成する樹脂としては、例えば、架橋スチレン−アクリル樹脂等のスチレン系樹脂、アクリロニトリル−アクリル樹脂等の(メタ)アクリル系樹脂、フェノール系樹脂、フッ素系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエーテル系樹脂等を挙げることができる。中空粒子の平均粒径は、中空粒子を構成する樹脂の種類等に応じて、断熱層に所望の断熱性およびクッション性を付与できる範囲であれば特に限定されるものではないが、通常、0.1μm〜15μmの範囲内であることが好ましく、特に0.1μm〜10μmの範囲内であることが好ましい。平均粒径が小さすぎると、中空粒子の使用量が増えコストが高くなり、平均粒径が大きすぎると、平滑な断熱層を形成することが困難になるからである。
本発明において、断熱層13に含まれる中空粒子の量としては、所望の断熱性およびクッション性を有する断熱層を得ることができれば特に限定されるものではないが、例えば30質量%〜90質量%の範囲内であることが好ましく、なかでも50質量%〜80質量%の範囲内であることが好ましい。含有量が少なすぎると、断熱層における空隙が少なくなり、充分な断熱性およびクッション性が得られない場合があり、含有量が多すぎると、接着性が劣るからである。
断熱層としては、熱可塑性樹脂の内部に微細な空隙を有する多孔質層であっても良い。当該熱可塑性樹脂としては、ポリオレフィン樹脂及びポリエステル樹脂が好ましく、更にポリオレフィン樹脂が好ましく、特に、ポリエチレン、ポリプロピレンが好ましい。当該多孔質層の形成には、多孔質フィルムが好適に用いられる。
多孔質フィルムでは、フィルム中に微細空隙を生じさせる方法として、フィルムのベースとなる樹脂に対して非相溶な有機微粒子または無機微粒子(一種類でも複数でもよい)を混練したコンパウンドにより作製する方法が採用できる。このコンパウンドは微視的にみるとベースとなる樹脂と、ベースとなる樹脂に対して非相溶な微粒子とが微細な海島構造を形成しており、このコンパウンドをフィルム化し、延伸することにより海島界面の剥離、または、島を形成する領域の大きな変形によって上記のような微細空隙を発生させるものである。
微細空隙を形成する方法として、例えば、ポリプロピレンを主体とし、それにポリプロピレンより高い融点を有するポリエステルやアクリル樹脂を加えた方法が挙げられる。この場合、ポリエステルやアクリル樹脂が微細空隙を形成する核剤の役割をする。そのポリエステル、アクリル樹脂の含有量は、いずれの場合もポリプロピレン100質量部に対して2〜10質量部であることが好ましい。上記含有量が2質量部以上の場合には、微細空隙を十分に発生させることができ、印字感度をより向上させることができる。また含有量が10質量部以下の場合には、多孔質フィルムの耐熱性を十分に担保することができる。
また、ベースとする樹脂をポリプロピレンとする多孔質フィルムを作製する場合、微細で緻密な空隙をより発生させるためには、さらにポリイソプレンを加えることが好ましい。これにより、より高い印字感度を得ることができる。例えば、ポリプロピレンを主体とし、これにアクリル樹脂またはポリエステル、そしてポリイソプレンを配合したコンパウンドを作製し、フィルム化し、延伸することにより高い印字感度を有する多孔質フィルムを得ることができる。
(中間層)
本発明の熱転写受像シートは、前記断熱層13と前記染料受容層12との間に中間層を設けても良い。中間層は、断熱層と染料受容層との接着性、白色度、クッション性、隠蔽性、帯電防止性、およびカール防止性等の付与を目的とするものである。中間層としては、従来公知のあらゆる中間層を設けることができる。中間層に含まれるバインダー樹脂としてはポリウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアミド系樹脂、アクリル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリスルフォン系樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、エポキシ樹脂、セルロース系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂、ポリエチレン系樹脂、およびポリプロピレン系樹脂等が挙げられ、これらの樹脂のうちの活性水酸基を有するものについてはさらにそれらのイソシアネート硬化物をバインダーとすることもできる。
また、中間層には、白色性や隠蔽性を付与するために酸化チタン、酸化亜鉛、炭酸マグネシウム、および炭酸カルシウム等の充填材を添加することができる。さらに、中間層には、白色性を高めるためにスチルベン系化合物、ベンゾイミダゾール系化合物、およびベンゾオキサゾール系化合物等を蛍光増白剤として添加したり、印画物の耐光性を高めるためにヒンダードアミン系化合物、ヒンダードフェノール系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、およびベンゾフェノン系化合物等を紫外線吸収剤あるいは酸化防止剤として添加したり、あるいは帯電防止性を付与するためにカチオン系アクリル樹脂、ポリアニリン樹脂、および各種導電性充填材等を添加することができる。中間層の塗工量は、特に限定されないが、乾燥状態で0.5〜5g/m程度が好ましい。
また、他の基材11の染料受容層12が設けられている面とは異なる面に、熱転写受像シートの搬送性向上機能や、カール防止機能を有する裏面層を設けることもできる。
本発明に用いられる熱転写受像シート20は、上記で説明したように、特定の染料受容層12を必須の構成として有していればよく、それ以外の各種機能層についていかなる限定もされることはない。これらの各種機能層は、従来公知のものを適宜選択して設ければよい。
(画像形成方法)
本発明に係る画像形成方法は、基材の一方の面に染料層が設けられ、前記基材の他方の面に背面層が設けられた熱転写シートと、他の基材の一方の面に染料受容層が設けられた熱転写受像シートとを組合せて使用して前記熱転写受像シート上に画像を形成する画像形成方法であって、
前記熱転写シートの染料層は、染料と、バインダー樹脂とを含有し、基材の一方の面に1種設けられているか、又は2種以上が面順次に設けられており、
前記染料層の少なくとも1種が、前記バインダー樹脂として、当該バインダー樹脂の固形分総量に対して50質量%以上100質量%以下の範囲内でニトロセルロースを含有しており、
前記熱転写受像シートの染料受容層は、塩化ビニル系樹脂と、エチレン由来の構成単位を含む高分子可塑剤と、シリコーンオイルとを含有することを特徴とする。
つまり、本発明の画像形成方法は、上記本発明の組合せで説明したニトロセルロースを含有する染料層を備えた熱転写シート10と、上記特定の染料受容層を備えた熱転写受像シート20とを組合せて画像を形成する点を特徴とするものであり、上記で説明した熱転写シート10の染料層2と、熱転写受像シート20の染料受容層12とを重ね合わせ、サーマルヘッドにより熱転写シート10の背面側から熱を印加して、染料層2に含まれる染料を染料受容層12に移行させることで画像形成が行われる。
ニトロセルロースを用いた熱転写シートは、染料転写効率が高く、印画濃度を向上させるべくバインダー樹脂に対する染料の比率を大きくした場合であっても、保存安定性に優れるものだが、熱転写受像シートの染料受容層との離型性が悪化し、染料層と染料受容層とが熱融着を起こす場合や、染料受容層から染料層を引きはがすときに印画物に剥離痕を生じさせる場合も多く、熱融着や、剥離痕によって印画物の品質の低下が生じる問題が発生していた。上述したように、本発明の画像形成方法においては、このような熱転写シートに対して、染料受容層が、塩化ビニル系樹脂と、エチレン由来の構成単位を含む高分子可塑剤と、シリコーンオイルとを含有する熱転写受像シートを組合せることにより、上記のような異常転写を抑制して熱融着や剥離痕などの印画物の品質の低下を防止し、且つ、印画物の耐光性を良好にすることができる。
本発明の画像形成方法で用いられる熱転写シート、熱転写受像シートは、上記本発明の組合せで説明した通りであり、ここでの詳細な説明は省略する。
本発明に係る画像形成方法によれば、上述した特定の熱転写シートと、特定の熱転写受像シートとを使用するため、印画速度0.5〜1.5msec/lineの高速印画においても、高濃度印画を実現することができる。なお、本発明に係る画像形成方法において、解像度は例えば300dpiとすることができる。
次に実施例及び比較例を挙げて本発明を更に具体的に説明する。なお、文中の「部」は特に断りのない限り質量基準である。
(実施例1)
(1)熱転写シートの作製
基材として厚さ5μmのポリエチレンテレフタレートフィルムを用い、この上に、下記組成の背面層用塗工液を乾燥時0.5g/mになるように塗布、乾燥して背面層を形成した。次いで、前記基材の背面層を設けた側とは反対の面の一部に、下記組成の転写性保護層の主保護層用塗工液を、乾燥塗工量が1.0g/m2になるように塗工、乾燥して、転写性保護層を形成する領域に転写性保護層用主保護層を形成した。次いで、前記基材の背面層を設けた側とは反対の面の全面に、下記組成の染料プライマー層用塗工液を乾燥時0.1g/mになるように塗布、乾燥して染料プライマー層を形成した。次いで、該プライマー層上に、下記組成のイエロー染料層用塗工液1、マゼンタ染料層用塗工液1、シアン染料層用塗工液1を、及び転写性保護層用の接着層用塗工液、各染料層が乾燥時0.6g/m、転写性保護層用接着層の乾燥塗工量が1.0g/m2になるように、この順で面順次に繰り返して塗布、乾燥してイエロー染料層1、マゼンタ染料層1、シアン染料層1、保護層転写層を形成することで、図4のような実施例1の熱転写シートを得た。
<背面層用塗工液>
・ポリビニルアセタール樹脂 (エスレック KS−1 積水化学工業(株)製) 60.8部
・ポリイソシアネート (バーノックD750 大日本インキ化学工業(株)製)4.2部
・ステアリルリン酸亜鉛 (LBT−1830精製 堺化学工業(株)製) 10部
・ステアリン酸亜鉛 (SZ−PF 堺化学工業(株)製) 10部
・ポリエチレンワックス (ポリワックス3000 東洋ペトロライト(株)製) 10部
・メチルエチルケトン 200部
・トルエン 100部
<染料プライマー層用塗工液>
・アルミナゾル(固形分10%)(日産化学工業(株)製) 30部
・ポリビニルピロリドン樹脂 (K−90 ISP社製) 3部
・水 50部
・イソプロピルアルコール 17部
<イエロー染料層用塗工液1>
・分散染料(ディスパースイエロー231) 2.5部
・分散染料(下記化学式(A)で示されるイエロー染料) 2.5部
・ポリビニルアセトアセタール樹脂 (KS−5 積水化学工業(株)製) 2.8部
・ポリエチレンワックス (ACumist 1204 Honeywell社製) 0.1部
・メチルエチルケトン 45.0部
・トルエン 45.0部
Figure 2015066781
<マゼンタ染料層用塗工液1>
・分散染料(ディスパースレッド60) 1.5部
・分散染料(ディスパースバイオレット26) 2.0部
・ニトロセルロース樹脂(固形分70% H40相当、硝化度 11.7〜12.2%)(DHM10−25 稲畑産業(株)製) 2.0部(固形分1.4部)
・ポリエチレンワックス(ACumist 1204 Honeywell社製) 0.1部
・メチルエチルケトン 45.0部
・トルエン 45.0部
<シアン染料層用塗工液1>
・分散染料(ソルベントブルー63) 2.5部
・分散染料(ディスパースブルー354) 2.5部
・ポリビニルアセトアセタール樹脂 (KS−5 積水化学工業(株)製) 4.5部
・ポリエチレンワックス 0.1部
・メチルエチルケトン 45.0部
・トルエン 45.0部
<転写性保護層用主保護層用塗工液>
・アクリル樹脂 20部
(ダイヤナールBR87、三菱レイヨン(株)製)
・メチルエチルケトン 40部
・トルエン 40部
<転写性保護層用接着層用塗工液>
・ポリエステル樹脂 20部
(バイロン200 東洋紡(株)製)
・紫外線吸収剤共重合樹脂 10部
(UVA−635L BASF社製)
・メチルエチルケトン/トルエン(質量比1:1) 80部
(2)熱転写受像シートの作製
基材として、RC原紙(155g/m、厚さ151μm)(三菱製紙(株))上に、断熱層として多孔質ポリエチレンフィルム(トヨパール−SS P4255 東洋紡績(株)製 厚さ35μm)を、ウレタン系接着剤を使用して(塗工量5g/m)ドライラミネーションすることで基材と断熱層とが積層された支持体を得た。次いで、支持体上の断熱層側に、下記組成の中間層用塗工液1を1.0g/mの厚さとなるように塗工し中間層を形成した。次いで、中間層上に下記組成の染料受容層用塗工液1を2.5g/mの厚さとなるように塗工し染料受容層を形成し、基材/断熱層/中間層/染料受容層がこの順で積層されてなる実施例1の熱転写受像シートを得た。
<中間層用塗工液>
・ポリエステル樹脂 (ポリエスターWR−905 日本合成化学工業(株)製) 50部
・酸化チタン (TCA888 (株)トーケムプロダクツ製) 20部
・蛍光増白剤 (ユビテックスBAC チバ・スペシャリティーケミカルズ(株)製) 1.2部
・水/イソプロピルアルコール=1/1(質量比) 28.8部
<染料受容層用塗工液1>
・塩化ビニル系樹脂(塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂 ソルバインC 日信化学工業(株)) 90部
・エチレン由来の構成単位を含む高分子可塑剤 (エルバロイHP661 三井・デュポンポリケミカル(株)、ガラス転移温度−42℃、融点60℃) 10部
・エポキシ変性シリコーンオイル(X−22−3000T 信越化学工業(株)) 5部
・メチルエチルケトン(MEK)−トルエン混合溶剤(質量比 1:1) 500部
(実施例2)
実施例1において、染料受容層用塗工液について下記組成の染料受容層用塗工液2を用いて、熱転写受像シートを形成したこと以外は、実施例1と同様にして、実施例2の熱転写シート及び熱転写受像シートの組合せを得た。
<染料受容層用塗工液2>
・塩化ビニル系樹脂(塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂 ソルバインC 日信化学工業(株)) 90部
・エチレン由来の構成単位を含む高分子可塑剤 (エルバロイHP661 三井・デュポンポリケミカル(株)、ガラス転移温度−42℃、融点60℃) 10部
・ジアミン変性シリコーンオイル(KF−861 信越化学工業(株)) 1部
・MEK−トルエン混合溶剤(質量比 1:1) 500部
(実施例3)
実施例1において、染料受容層用塗工液について下記組成の染料受容層用塗工液3を用いて、熱転写受像シートを形成したこと以外は、実施例1と同様にして、実施例3の熱転写シート及び熱転写受像シートの組合せを得た。
<染料受容層用塗工液3>
・塩化ビニル系樹脂(塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂 ソルバインC 日信化学工業(株)) 95部
・エチレン由来の構成単位を含む高分子可塑剤 (エルバロイHP661 三井・デュポンポリケミカル(株)、ガラス転移温度−42℃、融点60℃) 5部
・ ジアミン変性シリコーンオイル KF−861 信越化学工業(株)) 1部
・ MEK−トルエン混合溶剤(質量比 1:1) 500部
(実施例4)
実施例1において、染料受容層用塗工液について下記組成の染料受容層用塗工液4を用いて、熱転写受像シートを形成したこと以外は、実施例1と同様にして、実施例4の熱転写シート及び熱転写受像シートの組合せを得た。
<染料受容層用塗工液4>
・塩化ビニル系樹脂(塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂 ソルバインC 日信化学工業(株)) 95部
・エチレン由来の構成単位を含む高分子可塑剤 (エルバロイHP661 三井・デュポンポリケミカル(株)、ガラス転移温度−42℃、融点60℃) 5部
・ ジアミン変性シリコーンオイル (KF−861 信越化学工業(株)) 3部
・ MEK−トルエン混合溶剤(質量比 1:1) 500部
(実施例5)
実施例1において、染料受容層用塗工液について下記組成の染料受容層用塗工液5を用いて、熱転写受像シートを形成したこと以外は、実施例1と同様にして、実施例5の熱転写シート及び熱転写受像シートの組合せを得た。
<染料受容層用塗工液5>
・塩化ビニル系樹脂(塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂 ソルバインC 日信化学工業(株)) 90部
・エチレン由来の構成単位を含む高分子可塑剤(エルバロイ741 三井・デュポンポリケミカル(株)、ガラス転移温度−32℃、融点45℃) 10部
・ ジアミン変性シリコーンオイル (KF−861 信越化学工業(株)) 2部
・ MEK−トルエン混合溶剤(質量比 1:1) 500部
(比較例1)
実施例1において、染料受容層用塗工液について下記組成の比較染料受容層用塗工液1を用いて、熱転写受像シートを形成したこと以外は、実施例1と同様にして、比較例1の熱転写シート及び熱転写受像シートの組合せを得た。
<比較染料受容層用塗工液1>
・塩化ビニル系樹脂(塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂 ソルバインC 日信化学工業(株)) 100部
・エポキシ変性シリコーンオイル (X−22−3000T 信越化学工業(株)) 5部
・MEK−トルエン混合溶剤(質量比 1:1) 500部
(比較例2)
実施例1において、染料受容層用塗工液について下記組成の比較染料受容層用塗工液2を用いて、熱転写受像シートを形成したこと以外は、実施例1と同様にして、比較例2の熱転写シート及び熱転写受像シートの組合せを得た。
<比較染料受容層用塗工液2>
・塩化ビニル系樹脂(塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂 ソルバインC 日信化学工業(株)) 100部
・ ジアミン変性シリコーンオイル (KF−861 信越化学工業(株)) 1部
・ MEK−トルエン混合溶剤(質量比 1:1) 500部
(比較例3)
実施例1において、染料受容層用塗工液について下記組成の比較染料受容層用塗工液3を用いて、熱転写受像シートを形成したこと以外は、実施例1と同様にして、比較例3の熱転写シート及び熱転写受像シートの組合せを得た。
<比較染料受容層用塗工液3>
・ポリエステル樹脂 (バイロン103 東洋紡(株))80部
・エチレン由来の構成単位を含む高分子可塑剤(エルバロイ741 三井デュポンポリケミカル(株)、ガラス転移温度−32℃、融点45℃)20部
・エポキシ変性シリコーンオイル(KF−103 信越化学工業(株)) 4部
・両末端アミノ変性シリコーンオイル(KF−857 信越化学工業(株)) 4部
・MEK−トルエン混合溶剤(質量比 1:1) 500部
[評価]
各実施例及び比較例において作製した熱転写シートと熱転写受像シートの組合せについて、以下の通りに評価を行った。結果を表1に示す。
(1)離型性
(i)異常転写耐性
熱転写受像シートの染料受容層にテストプリンター(サーマルへッド解像度:300dpi、送り速度:2.0mmsec/Line、ヘッド電圧21V)にて熱転写シートのマゼンタをベタ印画し、熱転写シートに接した状態の熱転写受像シートをHEIDON SURFACE PROPERTY TESTER TYPE:14RDにて、引張速度200mm/分の条件で剥離させ、熱転写シートの熱転写受像シートに対する剥離性を評価した。評価基準は、以下の通り。
5:熱融着が全くなく、剥離も軽い。
3:熱融着は殆どないが、剥離が重い。
1:熱融着を起こし、染料受容層と熱転写シートが剥がれない部分がある。
(ii)剥離音及び剥離痕
作製した熱転写シートと熱転写受像シートを昇華型熱転写プリンター(シチズン・システムズ株式会社製、型式:CW−02)にて、RGB値が0/255の黒ベタ画像を印画し、印画時の剥離音を官能評価するとともに、保護層の転写に問題がないかを目視にて確認した(印画環境:温度35℃、相対湿度80%)。評価基準は、以下の通り。
5:剥離音がしない。
4:剥離音がほぼしない。
3:剥離音がわずかに発生しているが、印画後のリボンには剥離痕は見られない。
2:剥離音が発生しており、印画後のリボンに剥離痕が見られる。
1:剥離音が発生しており、印画後のリボンにひどい剥離痕が見られる。
(2)印画濃度
作製した熱転写受像シートを昇華型熱転写プリンター(シチズン・システムズ株式会社製、型式:CW−02)にて、RGB値が15*n(n=0〜17)のグレーの18階調グラデーション画像を印画した。光学濃度計(グレタグマクベス社製 spectrolino)による光学反射濃度を測定し、その最大エネルギーが印加されている部分(ODmax)の濃度を測定し、下記の評価基準に基づいて印画濃度の評価を行った。
(3)耐光性
作製した熱転写受像シートを昇華型熱転写プリンター(シチズン・システムズ株式会社製、型式:CW−02)にてRGB値が15*n(n=0〜17)のグレーの18階調グラデーション画像を印画し、下記条件のキセノンフェードメーターにより耐光性の評価を行った。
(i)耐光性評価の条件
・照射試験器:アトラス社製Ci4000
・光源:キセノンランプ
・フィルター:内側=CIRA
外側=ソーダライム
・ブラックパネル温度:45(℃)
・照射強度:1.2(W/m)−420(nm)での測定値
・照射エネルギー:300(kJ/m)−420(nm)での積算値
(ii)耐光性評価
次に、上記の耐光性条件の照射前後の光学反射濃度の変化を光学濃度計(グレタグマクベス社製、spectrolino)により測定し、照射前の光学反射濃度が1.0近傍のステップについて、L*、a*,b*を算出し、下記の色相変化式により色相変化(ΔE)を算出した。
(色相変化式)
Δa=保存後のa*−保存前のa*
Δb=保存後のb*−保存前のb*
としたとき、
ΔE=(Δaの2乗+Δbの2乗)の平方根
Figure 2015066781
(結果のまとめ)
実施例1〜5で得られた熱転写シートと熱転写受像シートの組合せにおいては、熱転写受像シートの染料受容層が、塩化ビニル系樹脂と、エチレン由来の構成単位を含む高分子可塑剤と、シリコーンオイルとを含有するものであったため、異常転写が抑制され、印画濃度に優れ、耐光性が良好であった。
一方、比較例1で得られた熱転写シートと熱転写受像シートの組合せにおいては、熱転写受像シートの染料受容層が、エチレン由来の構成単位を含む高分子可塑剤を含まなかったため、離型性が悪化し、熱融着を起こし、また、剥離痕が見られた。
比較例2で得られた熱転写シートと熱転写受像シートの組合せにおいては、熱転写受像シートの染料受容層が、エチレン由来の構成単位を含む高分子可塑剤を含まなかったため、離型性が悪化し、熱融着を起こした。
比較例3で得られた熱転写シートは、熱転写受像シートの染料受容層が、バインダー成分としてポリエステル樹脂を用いたものであったため、エチレン由来の構成単位を含む高分子可塑剤及びシリコーンオイルは含んでいても、離型性が悪化し、熱融着を起こし、また、剥離痕が見られた。更に、印画濃度が悪く、耐光性も悪いものであった。
1 基材
2 染料層
3 背面層
4 染料プライマー層
6 転写性保護層用主保護層
7 転写性保護層用接着層
8 転写性保護層
10 熱転写シート
11 他の基材
12 染料受容層
13 断熱層
20 熱転写受像シート

Claims (4)

  1. 基材の一方の面に染料層が設けられ、前記基材の他方の面に背面層が設けられた熱転写シートと、他の基材の一方の面に染料受容層が設けられた熱転写受像シートとの組合せであって、
    前記熱転写シートの染料層は、染料と、バインダー樹脂とを含有し、基材の一方の面に1種設けられているか、又は2種以上が面順次に設けられており、
    前記染料層の少なくとも1種が、前記バインダー樹脂として、当該バインダー樹脂の固形分総量に対して50質量%以上100質量%以下の範囲内でニトロセルロースを含有しており、
    前記熱転写受像シートの染料受容層は、塩化ビニル系樹脂と、エチレン由来の構成単位を含む高分子可塑剤と、シリコーンオイルとを含有することを特徴とする、熱転写シートと熱転写受像シートとの組合せ。
  2. 前記染料受容層におけるシリコーンオイルが、アミノ変性シリコーンオイルである、請求項1に記載の熱転写シートと熱転写受像シートとの組合せ。
  3. 基材の一方の面に染料層が設けられ、前記基材の他方の面に背面層が設けられた熱転写シートと、他の基材の一方の面に染料受容層が設けられた熱転写受像シートとを組合せて使用して前記熱転写受像シート上に画像を形成する画像形成方法であって、
    前記熱転写シートの染料層は、染料と、バインダー樹脂とを含有し、基材の一方の面に1種設けられているか、又は2種以上が面順次に設けられており、
    前記染料層の少なくとも1種が、前記バインダー樹脂として、当該バインダー樹脂の固形分総量に対して50質量%以上100質量%以下の範囲内でニトロセルロースを含有しており、
    前記熱転写受像シートの染料受容層は、塩化ビニル系樹脂と、エチレン由来の構成単位を含む高分子可塑剤と、シリコーンオイルとを含有することを特徴とする、画像形成方法。
  4. 前記染料受容層におけるシリコーンオイルが、アミノ変性シリコーンオイルである、請求項3に記載の画像形成方法。
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