JP2014054774A - 熱転写シートと熱転写受像シートとの組合せ、及び画像形成方法 - Google Patents

熱転写シートと熱転写受像シートとの組合せ、及び画像形成方法 Download PDF

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Abstract

【課題】プリンタ初期動作時にJAMの発生を防止でき、かつ高光沢で高品質な印画物を得ることができる熱転写シートと熱転写受像シートとの組合せ、及び画像形成方法を提供する。
【解決手段】基材1の一方の面上に染料層3が設けられ、基材の他方の面上に背面層5が設けられた熱転写シート10と、他の基材の一方の面上に染料受容層が設けられた熱転写受像シートとの組合せであって、熱転写シートの染料層は、染料とバインダー樹脂とを含有しており、バインダー樹脂には、ニトロセルロースが含まれ、染料層は、バインダー樹脂の固形分総量に対し20質量%以上100質量%以下の範囲内でニトロセルロースを含有しており、熱転写受像シートの染料受容層が、水系の染料受容層である。
【選択図】図1

Description

本発明は、熱転写シートと熱転写受像シートとの組合せ、及び画像形成方法に関する。
従来、昇華性染料を適当なバインダーで担持した染料層をポリエステルフィルム等の基材の一方面に設けた熱転写シートと、熱転写受像シート等の被転写体とを重ね合わせ、基材の他方面側と、サーマルヘッドとを接触させながらサーマルヘッドによる加熱処理を行うことで、昇華性染料を被転写体に転写する昇華転写方式が知られている(例えば、特許文献1)。この、昇華転写方式によれば、熱転写シートに印加するエネルギー量によってドット単位で昇華性染料の移行量を制御出来るため濃度階調が可能であり、画像が非常に鮮明であり、且つ透明性、中間調の色再現性、階調性に優れフルカラー写真画像に匹敵する高品質画像の形成が可能である。上記画像形成に用いられる熱転写受像シートとしては、溶剤系の染料受容層を備えた溶剤系の熱転写受像シートや、水系の染料受容層を備えた水系の熱転写受像シートが知られている。
ところで、上記のような熱転写シートを用いて印画を行った場合に、熱転写シートの染料層と、熱転写受像シートとの間の摩擦帯電が大きい場合には、プリンタ初期動作中に、熱転写シートの染料層と熱転写受像シートとが張り付いてしまい、熱転写シートがプリンタに巻き込まれるトラブル(以下、このトラブルをJAMという。)が発生する場合がある。熱転写シートの染料層と熱転写受像シートとの間の摩擦帯電に起因するJAMの発生は、プリンタ初期動作時における大きなトラブルとなることから、熱転写シートの染料層と、熱転写受像シートとの間の摩擦帯電を小さくすることは非常に重要である。換言すれば、熱転写シートの染料層と、熱転写受像シートの染料受容層との摩擦帯電列を近づけることが重要である。なお、摩擦帯電列とは、プラス側に帯電しやすいものを上位に、マイナス側に帯電しやすいものを下位に並べた順列であり、染料層と、染料受容層との摩擦帯電列の差が大きいほど、摩擦帯電は大きくなる。一方、染料層と、染料受容層との摩擦帯電列の差が小さいほど、摩擦帯電は小さくなる。
近時、光沢度の高い印画物に対する要求が高まりつつあり、形成される印画物に高い光沢度が要求される分野では、水系の熱転写受像シートが好まれる傾向にある。また廃液等の処理による環境への影響等の問題等から、水系の熱転写受像シートの使用が増加傾向にある。しかしながら、水系の熱転写受像シートに用いられる水系の染料受容層は、溶剤系の熱転写受像シートに用いられる溶剤系の染料受容層の摩擦帯電列よりも摩擦帯電列が下位に位置しており、染料受容層の摩擦帯電列よりも摩擦帯電列が上位に位置する染料層との摩擦帯電列の差は大きくなる。そうすると、水系の熱転写受像シートと熱転写シートとを組合せて使用して画像形成を行った場合には、溶剤系の熱転写受像シートを使用して画像形成を行う場合と比較して、染料層と染料受容層との摩擦帯電が大きくなり、プリンタ初期動作中にJAMが発生しやすくなる。
上記JAMの発生に対する対策の一つとして、水系の染料受容層の摩擦帯電列を染料層の摩擦帯電列に近づける方法、具体的には、水系の染料受容層に、摩擦帯電列を染料層側に移行させるための各種添加剤を含有せしめる方法などがある。しかしながら、この方法では、染料受容層に含有される各種添加剤の存在によって、該染料受容層上に形成される画像にざらつきが発生し光沢度が低下することとなる。
また、水系の染料受容層は、溶剤系の染料受容層と比較して染料層との離型性が悪く、水系の染料受容層を用いて画像形成を行うと、水系の染料受容層と染料層とが熱融着を起こす場合や、水系の染料受容層から染料層を引きはがすときに印画物に剥離痕を生じさせる場合も多く、熱融着や、剥離痕によって印画物の品質の低下させてしまう問題がある。したがって、水系の染料受容層を備える熱転写受像シートと熱転写シートとを組合せて画像形成を行う場合には、上記JAMの発生に対する対策とともに、染料層と水系の染料受容層との離型性を満足させる対策を施す必要がある。
単純に染料層に離型性を付与するのであれば、染料層にシリコーンオイル等の添加剤を含有させることで足りる。しかしながら、離型性を満足させることができる添加剤の多くは、染料層の染料保存性を低下させてしまうことから、背面層と染料層とが対向するように重なり合わせたときに、染料層の染料が背面層に移行する、いわゆるキックの問題が新たに生じうる。また、JAMの発生防止の観点からも充分な対策とはいえない。
特開平10−147072号公報
このような状況下、現在のところJAMの発生を防止しつつ、画像形成時における離型性を満足させ、かつ高光沢で高品質な印画物を得ることができる熱転写シートと熱転写受像シートとの組合せや、画像形成方法は存在していない。本発明はこのような状況に鑑みてなされたものであり、プリンタ初期動作時にJAMの発生を防止でき、かつ高光沢で高品質な印画物を得ることができる熱転写シートと熱転写受像シートとの組合せ、及び画像形成方法を提供することを主たる課題とする。
上記課題を解決するための本発明は、基材の一方の面上に染料層が設けられ、前記基材の他方の面上に背面層が設けられた熱転写シートと、他の基材の一方の面上に染料受容層が設けられた熱転写受像シートとの組合せであって、前記熱転写シートの染料層は、染料とバインダー樹脂とを含有しており、前記バインダー樹脂には、ニトロセルロースが含まれ、前記染料層は、前記バインダー樹脂の固形分総量に対し、20質量%以上100質量%以下の範囲内で前記ニトロセルロースを含有しており、前記熱転写受像シートの染料受容層が、水系の染料受容層であることを特徴とする。
また、上記課題を解決するための本発明の方法は、基材の一方の面上に染料層が設けられ、前記基材の他方の面上に背面層が設けられた熱転写シートと、他の基材の一方の面上に染料受容層が設けられた熱転写受像シートとを組合せて使用して前記熱転写受像シート上に画像を形成する画像形成方法であって、前記熱転写シートの前記染料層は、染料とバインダー樹脂を含有しており、前記バインダー樹脂には、ニトロセルロースが含まれ、前記染料層は、前記バインダー樹脂の固形分総量に対し、20質量%以上100質量%以下の範囲内で前記ニトロセルロースを含有しており、前記熱転写受像シートの染料受容層が、水系の染料受容層であることを特徴とする。
本発明の熱転写シートと熱転写受像シートとの組合せや、この組合せを用いた画像形成方法によれば、プリンタ初期動作時にJAMの発生を防止でき、かつ高光沢で高品質な印画物を得ることができる。
本発明の組合せ、及び本発明の画像形成方法に用いられる熱転写シートの一例を示す概略断面図である。 本発明の組合せ、及び本発明の画像形成方法に用いられる熱転写受像シートの一例を示す概略断面図である。
以下に、本発明の組合せ、及び本発明の画像形成方法に用いられる熱転写シート、及び熱転写受像シートについて図面を用いて具体的に説明する。なお、図1は、本発明の組合せ、及び本発明の画像形成方法に用いられる熱転写シートの一例を示す概略断面図であり、図2は、本発明の組合せ、及び本発明の画像形成方法に用いられる熱転写受像シートの一例を示す概略断面図である。
<熱転写シート>
まずはじめに、本発明の組合せ、及び本発明の画像形成方法で用いられる熱転写シートについて説明する。図1に示すように、本発明の組合せ、及び本発明の画像形成方法に用いられる熱転写シート(以下、本発明に用いられる熱転写シートという場合がある。)は、基材1の一方の面上に、染料層3が設けられ、基材1の他方の面上に背面層5が設けられた構成をとる。そして本発明では、染料層3が染料とバインダー樹脂とを含有しており、このバインダー樹脂にはニトロセルロースが含まれ、さらに、染料層3は、バインダー樹脂の固形分総量に対し20質量%以上100質量%以下の範囲内でニトロセルロースを含有している点に特徴を有する。
本発明に用いられる熱転写シート10は、上記要件を具備すれば他の要件についていかなる限定もされない。例えば、基材1と染料層3との間に図示しない染料プライマー層が設けられていてもよい。また、基材1と背面層5との間に図示しない背面プライマー層が設けられていてもよい。なお、染料プライマー層、背面プライマー層は、本発明に用いられる熱転写シート10における任意の構成である。
(基材)
基材1は本発明の熱転写シート10における必須の構成であり、染料層3、及び背面層5を保持するために設けられる。基材1の材料については特に限定されないが、染料層3の染料を熱転写受像シート上に転写する際にサーマルヘッドにより加えられる熱に耐え、取り扱い上支障のない機械的特性を有することが望ましい。このような基材として、例えば、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル、ポリアリレート、ポリカーボネート、ポリウレタン、ポリイミド、ポリエーテルイミド、セルロース誘導体、ポリエチレン、エチレン・酢酸ビニル共重合体、ポリプロピレン、ポリスチレン、アクリル、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ナイロン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル、ポリビニルフルオライド、テトラフルオロエチレン・エチレン、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリビニリデンフルオライド等の各種プラスチックフィルムまたはシートを挙げることができる。また、基材1の厚さは、その強度及び耐熱性が適切になるように材料に応じて適宜設定することができ、2.5μm〜100μm程度が一般的で、好ましくは1μm〜10μmである。
(染料層)
基材1上には染料層3が設けられている。この染料層3は、染料とバインダー樹脂とを含有しており、このバインダー樹脂には、ニトロセルロースが含まれる。さらに、染料層3は、ニトロセルロースを含むバインダー樹脂の固形分総量に対し、20質量%以上100質量%以下の範囲内(以下、20質量%以上100質量%以下の範囲内を、所定範囲の含有量という場合がある。)でニトロセルロースを含有している。染料層3は、上記所定の範囲の含有量でニトロセルロースを含有するとの条件を満たすものであれば、本発明に用いられる熱転写シート10の他の要件について特に限定はされない。例えば、上記特徴を有する染料層3を含む熱転写シートは、昇華型の熱転写シートであってもよく、熱溶融型の熱転写シートであってもよい。なお、本発明の熱転写シートが、昇華型熱転写シートである場合には、昇華性の染料が含まれ、熱溶融型の熱転写シートである場合には、熱溶融性インキ等が含まれる。
<染料>
染料層3に含有される染料の材料は、従来公知の染料を使用することができるが、印画材料として良好な特性を有するもの、例えば、充分な着色濃度を有し、光、熱、温度等により変退色しないものが好ましく、昇華型の熱転写シートの染料層3に使用可能な染料としては、例えば、ジアリールメタン系染料、トリアリールメタン系染料、チアゾール系染料、メロシアニン染料、ピラゾロン染料、ピラゾロンメチン、ピリドンメチン等のメチン系染料、インドアニリン系染料、インドナフトール系染料、アセトフェノンアゾメチン、ピラゾロアゾメチン、ピラゾロンアゾメチン、ピラゾロトリアゾールアゾメチン、イミダゾルアゾメチン、イミダゾアゾメチン、ピリドンアゾメチン等のアゾメチン系染料、キサンテン系染料、オキサジン系染料、ジシアノスチレン、トリシアノスチレン等のシアノスチレン系染料、チアジン系染料、アジン系染料、アクリジン系染料、ベンゼンアゾ系染料、ピリドンアゾ、チオフェンアゾ、チアゾールアゾ、イソチアゾールアゾ、ピロールアゾ、ピラゾールアゾ、イミダゾールアゾ、チアジアゾールアゾ、トリアゾールアゾ、ジスアゾ等のアゾ系染料、スピロピラン系染料、インドリノスピロピラン系染料、フルオラン系染料、ローダミンラクタム系染料、ナフトキノン系染料、アントラキノン系染料、キノフタロン系染料、アミノピラゾール系染料、ピラゾロトリアゾール系染料、ジシアノスチリル、トリシアノスチリル等のスチリル系染料等が挙げられる。具体的には、MSRedG(三井東圧化学社製)、Macrolex Red Violet R(バイエル社製)、CeresRed 7B(バイエル社製)、Samaron Red F3BS(三菱化学社製)等の赤色染料、ホロンブリリアントイエロー6GL(クラリアント社製)、PTY−52(三菱化成社製)、マクロレックスイエロー6G(バイエル社製)等の黄色染料、カヤセットブルー714(日本化薬社製)、ワクソリンブルーAP−FW(ICI社製)、ホロンブリリアントブルーS−R(サンド社製)、MSブルー100(三井東圧化学社製)、C.I.ソルベントブルー22等の青色染料が挙げられる。
一方、熱溶融型の熱転写シート10の染料層3に使用可能な熱溶融性インキとしては、公知の有機または無機の顔料、あるいは染料の中から適宜選択することができ、例えば、充分な着色濃度を有し、光、熱等により変色、退色しないものが好ましい。熱溶融性インキの色としては、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラックに限定されるものではなく、種々の色の着色剤を使用することができる。
(バインダー樹脂;ニトロセルロース)
染料層3には、染料とともに、該染料を保持するためのバインダー樹脂が含有されている。
本発明の組合せで用いられる熱転写受像シートの染料受容層は、後述するように水系の染料受容層に限定されている。一般的に、熱転写シートの染料層の摩擦帯電列はプラス側に位置しており、熱転写受像シートの摩擦帯電列はマイナス側に位置している。摩擦帯電の大きさは、摩擦帯電列の差と密接的な関係を有しており、摩擦帯電列の差が大きくなるほど、摩擦帯電は大きくなる。そして、摩擦帯電が大きくなるにしたがって、プリンタの初期動作時にJAMが発生しやすくなる。
本発明に用いられる水系の染料受容層を有する熱転写受像シートは、高光沢の印画物を形成することができるといった利点を有する一方で、溶剤系の染料受容層よりも、摩擦帯電列がさらにマイナス側に位置している。したがって、何らの対策も行わなかった場合には、染料層と水系の染料受容層との摩擦帯電列の差は、染料層と溶剤系の染料受容層との摩擦帯電列の差よりも大きくなり、プリンタ初期動作時におけるJAMの発生を防止することができない。
そこで、本発明で用いられる熱転写シート10では、染料層3にバインダー樹脂としてニトロセルロースが含まれる。ニトロセルロースは、染料層3の摩擦帯電列をマイナス側に向かって移行させることができる性質、換言すれば、染料層の摩擦帯電列を、水系の染料受容層の摩擦帯電列に近づけることができる性質を有する。したがって、ニトロセルロースを含有する染料層3によれば、水系の染料受容層との摩擦帯電列の差を小さくすることができ、摩擦帯電列の差に起因して発生し得るプリンタ初期動作時のJAMの発生を防止することができる。
ところで、染料層に含まれるバインダー樹脂の固形分総量に対し、ニトロセルロースの含有量が20質量%未満である場合には、染料層3の摩擦帯電列を充分にマイナス側に移行させることができず、この場合にはJAMの発生を効果的に防止することができない。換言すれば、バインダーの固形分総量に対するニトロセルロースの含有量が20質量%未満である場合には、JAMの発生を防止することができる程度まで、染料層3の摩擦帯電列を水系の染料層の摩擦帯電列に近づけることができない。また、染料層に含まれるバインダー樹脂の固形分総量に対し、ニトロセルロースの含有量が20質量%未満である場合には、水系の染料受容層と、染料層との離型性を充分に満足させることができず、また、染料層3に含まれる染料の染料保持力が低下する傾向にある。
そこで、本発明に用いられる熱転写シート10の染料層3には、当該染料層3に含まれるバインダー樹脂の固形分総量に対し、ニトロセルロースが20質量%以上100質量%以下の範囲内で含有されている。なお、バインダー樹脂の固形分総量とは、ニトロセルロースを含むバインダー樹脂の固形分総量を意味する。つまり、染料層3に含有されるバインダー樹脂は、その全てがニトロセルロースであってもよい。また、ニトロセルロースと他のバインダー樹脂とを併用して用いる場合には、染料層3には、当該ニトロセルロースと他のバインダーとの合計の固形分総量に対し20質量%以上の範囲内でニトロセルロースが含有されていればよい。染料層3におけるニトロセルロースの含有量をこの範囲内とすることで、JAMの発生を効果的に防止することができ、かつ水系の染料受容層との離型性を充分に満足させることができる。
染料層3の全構成成分に対するバインダーの含有量についても特に限定はないが、JAMの発生防止の点からは、染料層3の全構成成分に対し、5質量%以上50質量%以下の範囲内で、上記所定の範囲内でニトロセルロースを含むバインダー樹脂が含有されていることが好ましい。なお、染料層3の全構成成分には、染料、ニトロセルロースを含むバインダー樹脂以外にも、必要に応じて添加される各種の添加剤も含まれる。
本願明細書において、染料層3の摩擦帯電列をマイナス側に向かって移行させるとは、染料層3の摩擦帯電列を、摩擦帯電列がマイナス側に位置する水系の染料受容層の摩擦帯電列側に近づけることを意味するものであり、ニトロセルロースを含有する染料層3の摩擦帯電列が必ずしもマイナス側に位置している必要はない。なお、このことは、ニトロセルロースを含有する染料層3の摩擦帯電列がマイナス側に位置することを否定するものではない。
なお、水系の染料受容層側に所定の対策、例えば、水系の染料受容層に各種添加剤を含有せしめ、水系の染料受容層の摩擦帯電列を染料層の摩擦帯電列に近づける対策を行った場合には、水系の染料受容層に含有される該添加剤によって、水系の染料受容層の表面に凹凸が生ずる。これにより形成される印画物にざらつきが発生し、また、光沢度が低下する。本発明では、染料層3にニトロセルロースを上記所定範囲の含有量で含有せしめることで、水系の染料受容層との摩擦帯電列の差を小さくしており、水系の染料受容層に染料層との摩擦帯電列の差を小さくするための対策を施すことを必ずしも要しない。これにより、形成される印画物にざらつきが発生することや、光沢度が低下することが防止される。なお、このことは、染料受容層に各種の添加剤が含まれることを禁止するものではなく、本発明の趣旨を妨げない範囲内での添加は許容される。
また、バインダー樹脂として、ニトロセルロースが含まれない染料層、或いは上記所定範囲外の含有量でニトロセルロースを含有する染料層では、水系の染料受容層との離型性が不充分であり、染料層に各種離型剤を添加する等の対策を行わなければ、水系の染料受容層と染料層とが熱融着を起こす、或いは水系の染料受容層から染料層を引きはがすときに印画物に剥離痕を生じさせてしまい印画物の品質の低下を引き起こす。離型剤としては、シリコーンオイルなどが一般的であるが、これらの離型剤を染料層に含有せしめた場合には、染料層の染料保存性が低下し染料層の染料が背面層側に移行するキックの問題が生じうる。
本発明において、染料層3に上記所定範囲の含有量で含有されるニトロセルロースは、水系の染料受容層との離型性がよく、シリコーンオイル等の離型剤を含有していなくとも、染料層と水系の染料受容層との熱融着や、剥離痕の発生を防止することができる。つまり、本発明では、染料層3に、各種離型剤を含有せしめることを必ずしも要しないことから、染料層3に各種離型剤を含有しない、或いは、含有量を低減させることでキックの発生を防止できるといった更なる効果が発揮される。
また、ニトロセルロースは染料の染料保持力が高いため、染料層3に上記所定範囲の含有量でニトロセルロースを含有せしめることで、染料とニトロセルロースを含むバインダー樹脂との質量比率(D/B比(染料/バインダー樹脂))(以下D/B比という)が高くなっても、保存安定性を満足させることができ、地汚れや、キック及びバックの発生を防止できる。また、染料転写効率がよいため、転写効率を上げるために塗工量を少なくした場合であっても、高い印画濃度を得ることができる。
なお、通常D/B比が2.0以上である場合には、これまで用いられてきた従来公知のバインダー樹脂では染料を保持することができないが、本発明では、染料層3には、バインダー樹脂の固形分総量に対し20質量%以上100質量%以下の範囲内でニトロセルロースが含まれることから、D/B比が2.0以上であっても染料を充分に保持することができ、保存安定性に優れる。D/B比の好ましい上限値について特に限定はないが、D/B比が3.0を超える場合には、バインダー樹脂に対する染料の染料量が多くなりすぎ、バインダーが染料を保持しきれず保存安定性が低下する場合がある。したがって、この点を考慮すると、D/B比は1.0以上3.0以下の範囲内であることが好ましい。
ニトロセルロースの粘度について特に限定はないが、染料層3に、JIS K−6703による粘度が1/16未満のニトロセルロースを含有させた場合には、保存安定性が低下する傾向にある。一方、染料層3にJIS K−6703による粘度が120を超えるニトロセルロースを含有させる場合には、染料層3の形成時にインキミスト等が発生するおそれが生じうる。
この点を考慮すると、染料層3には、JIS K−6703による粘度で、1/16以上120以下のニトロセルロースが含有されていることが好ましく、1/8以上120以下のニトロセルロースが含有されていることが更に好ましい。換言すれば、JIS K−6703による粘度(溶液濃度25%)が1.0秒〜14.9秒、JIS K−6703による粘度(溶液濃度20%)が6.0秒〜8.0秒、或いはJIS K−6703による粘度(溶液濃度12.2%)が4.0秒〜140.0秒のものが好ましい。JIS K−6703による粘度がこの範囲内のニトロセルロースを染料層3に含有させることで、保存安定性を更に向上させることができるとともに、染料層3の形成時にインキミスト等が発生することを防止することができる。
粘度が上記範囲内のニトロセルロースは市販品をそのまま用いることができる。粘度が上記範囲内のものとしては、例えば、太平化学製品(株)製のJIS K−6703で指定される種類及び粘度記号で、H1/16,H1/8,L1/8,H1/4,L1/4,H1/2,H1",H5",H20,H60,H120のものを挙げることができる。これ以外にも、稲畑産業(株)製のDHX3−5,DHX5−10,DHX8−13,DHX11−16,DHX30−50,DHX40−70,DHL25−45,DHL120−170,H20(160−210),DHM10−25,SL−1,DLX3−5,DLX5−8,DLX8−13,DLX30−50等も使用可能である。
また、ニトロセルロースは、窒素分(硝化度)が10%であることが好ましい。また、取り扱いの安全性を考慮すると窒素分は12.3%以下であることが好ましい。窒素分が10%以上のニトロセルロースを染料層3に含有させることで、転写効率の更なる向上が見込まれる。
(バインダー樹脂;その他)
染料層3は、バインダー樹脂として、ニトロセルロースのみを含有していてもよく、ニニトロセルロースとともに、その他のバインダー樹脂が含有されていてもよい。なお、その他のバインダー樹脂の含有量は、バインダー樹脂の固形分総量に対するニトロセルロースの上記所定範囲の含有量を妨げない範囲であることが必要であり、具体的には、バインダー樹脂の固形分総量に対するその他のバインダー樹脂の含有量は80質量%未満とすることが必要である。
その他のバインダー樹脂としては、例えば、ポリビニルアセタール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、エチルセルロース樹脂、メチルセルロース樹脂、酢酸セルロース樹脂、酪酸セルロース樹脂、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリアクリルアミド樹脂等のビニル系樹脂、ポリエステル系樹脂等を挙げることができる。なお、これらのバインダー樹脂は単独で用いてもよく、2種以上を組合せて用いることもできる。
また、染料層3には、各種の離型剤、例えば、ワックス類、シリコーンワックス、シリコーン樹脂、シリコーン変性樹脂、フッ素樹脂、フッ素変性樹脂等が含有されていてもよいが、上記で説明したようにニトロセルロースを含有する染料層3によれば、離型剤を含有せしめることなく、染料層3に充分な離型性を付与することができる。なお、離型剤の含有量が多くなると、染料層3の染料が背面層5に移行する場合もあることから、離型剤を含有させる場合には、この点に留意する必要がある。
染料層3の形成方法について特に限定はなく、例えば、必須の成分であるニトロセルロース、染料と、必要に応じて添加される他のバインダー樹脂や、各種離型剤を、メチルエチルケトン、トルエン、イソプロピルアルコールなどの適当な溶媒に、溶解あるいは分散した塗工液を調製し、これを、基材1上に塗工・乾燥することで形成することができる。
染料層3の厚みについても特に限定はないが、本発明では、バインダー樹脂としてニトロセルロースが含有されることから、乾燥時の塗工量を0.5g/m2以下とした場合であっても、充分な印画濃度を得つつ、JAMの発生や、離型性に優れる染料層とすることができる。なお、好ましい範囲としては、0.3g/m2〜1.5g/m2程度である。
(染料プライマー層)
本発明においては、基材1と染料層3との間に図示しない染料プライマー層が設けられていることが好ましい。染料プライマー層を設けることで基材1と染料層3との密着性を向上させ、熱転写時に熱転写受像シートへの染料層3の異常転写を防止することができる。
染料プライマー層を構成する樹脂としては、ポリエステル系樹脂、ポリビニルピロリドン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ヒドロキシエチルセルロース、ポリアクリル酸エステル系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、スチレンアクリレート系樹脂、ポリアクリルアミド系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエーテル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリビニルアセトアセタールやポリビニルブチラール等のポリビニルアセタール系樹脂等が挙げられる。
また、染料プライマー層をコロイド状無機顔料超微粒子から構成することもできる。これにより熱転写時の熱転写受像シートへ染料層3の異常転写を防止できるだけでなく、印画時の染料層3からプライマー層への染料の移行を防止し、熱転写受像シートの受容層側への染料拡散を有効に行なうことができ、印画濃度を高めることができる。
コロイド状無機顔料超微粒子として、従来公知の化合物が使用できる。例えば、シリカ(コロイダルシリカ)、アルミナ或はアルミナ水和物(アルミナゾル、コロイダルアルミナ、カチオン性アルミニウム酸化物又はその水和物、疑ベーマイト等)、珪酸アルミニウム、珪酸マグネシウム、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、酸化チタン等が挙げられる。特に、コロイダルシリカ、アルミナゾルが好ましく用いられる。これらのコロイド状無機顔料超微粒子の大きさは、一次平均粒径で100nm以下、好ましくは50nm以下で用いることが好ましい。
染料プライマー層は、上記で例示した樹脂や、コロイド状無機顔料超微粒子を適当な溶媒に溶解或いは分散した染料プライマー層用塗工液をグラビアコーティング法、ロールコート法、スクリーン印刷法、グラビア版を用いたリバースロールコーティング法等の従来から公知の形成手段により、塗布・乾燥して形成することができる。染料プライマー層用塗工液の塗工量は、0.02g/m2〜1.0g/m2程度であることが好ましい。
(背面層)
基材1の他方の面には、耐熱性、及び印画時におけるサーマルヘッドの走行性等を向上させるための背面層5が設けられている。
背面層5は、従来公知の熱可塑性樹脂等を適宜選択して形成することができる。このような、熱可塑性樹脂として、例えば、ポリエステル系樹脂、ポリアクリル酸エステル系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、スチレンアクリレート系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂等のポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリエーテル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリアミドイミド系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、ポリビニルクロリド樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルアセトアセタール樹脂等のポリビニルアセタール樹脂等の熱可塑性樹脂、これらのシリコーン変性物等が挙げられる。
また、上記した樹脂にポリイソシアネート樹脂等の硬化剤を添加してもよい。硬化剤として機能するポリイソシアネート樹脂としては、特に制限なく従来公知のものを使用できるが、それらのなかでも、芳香族系イソシアネートのアダクト体を使用することが望ましい。芳香族系ポリイソシアネートとしては、2,4−トルエンジイソシアネート、2,6−トルエンジイソシアネート、又は、2,4−トルエンジイソシアネートと2,6−トルエンジイソシアネートの混合物、1,5−ナフタレンジイソシアネート、トリジンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、trans−シクロヘキサン−1,4−ジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、トリス(イソシアネートフェニル)チオフォスフェートがあげられ、特に2,4−トルエンジイソシアネート、2,6−トルエンジイソシアネート、又は、2,4−トルエンジイソシアネートと2,6−トルエンジイソシアネートの混合物が好ましい。このようなポリイソシアネート樹脂は、水酸基含有熱可塑性樹脂をその水酸基を利用して架橋させ、背面層の塗膜強度や耐熱性を向上させることができる。
背面層5には、上記に例示した熱可塑性樹脂に加え、ワックス、高級脂肪酸アミド、リン酸エステル化合物、金属石鹸、シリコーンオイル、界面活性剤等の離型剤、フッ素樹脂等の有機粉末、シリカ、クレー、タルク、炭酸カルシウム等の無機粒子等の各種添加剤を含有させることもできる。
背面層5は、例えば、上記で例示した熱可塑性樹脂、必要に応じて添加される各種添加剤を適当な溶媒に分散又は溶解させた背面層用塗工液を、基材1の染料層3の反対側の面上に、グラビア印刷法、スクリーン印刷法、グラビア版を用いたリバースロールコーティング印刷法等の公知の手段により、塗布し、乾燥することにより形成することができる。背面層用塗工液の塗工量は、耐熱性等の向上等の点から、0.2g/m2以上1.5g/m2以下であることが好ましい。
以上、本発明で用いられる熱転写シート10について説明を行ったが、本発明で用いられる熱転写シート10は、本発明の趣旨を妨げない範囲で各種の変更が可能である。例えば、図1に示すように基材1上に単一色の染料層3を設けてもよく、各色の染料層、例えば、Y(イエロー)染料層、M(マゼンタ)染料層、C(シアン)染料層を面順次に設けた構成としてもよい。この場合、少なくとも1つの染料層に、上記所定範囲の含有量でニトロセルロースが含まれていれば、JAMの発生を防止可能であるが、全ての染料層に上記所定範囲の含有量でニトロセルロースが含まれていることがより好ましい。また、昇華性の染料を含有する染料層と、着色剤を含む熱溶融組成物からなる熱溶融性のインクを含有する染料層とを連続した1枚の基材上に面順次に設けてもよい。また、染料層3と図示しない転写性保護層が連続した1枚の基材上に面順次に設けられた一体型の熱転写シートとすることもできる。
<熱転写受像シート>
次に、本発明の組合せ、及び本発明の画像形成方法で用いられる熱転写受像シート(以下、本発明に用いられる熱転写受像シートという場合がある。)について説明する。図2に示すように本発明で用いられる熱転写受像シート30は、他の基材21の一方面に染料受容層22が設けられた構成をとる。なお、図2では、他の基材21上と染料受容層22との間に、断熱層25が設けられているが断熱層25は、本発明に用いられる熱転写受像シート30における任意の構成である。
また、本発明では、上記構成を有する熱転写受像シートにおいて、染料受容層22が、水系の染料受容層である点を特徴とする。水系の染料受容層を備える熱転写受像シートを用いて画像形成を行うことで高光沢な印画物を形成することができる。なお、水系の染料受容層は、溶剤系の染料受容層と比較して摩擦帯電列が下位に位置しており、通常の染料層を備える熱転写シートと組合せて印画物を形成した場合には、染料層と、水系の染料受容層との摩擦帯電列の差によって摩擦帯電が大きくなり、プリンタ初期動作時にJAMが発生しやすくなる。しかしながら、上述したように、本発明では、染料層3に含有されるニトロセルロースによって、染料層3の摩擦帯電列を水系の染料受容層の摩擦帯電列側に近づけている、換言すれば、染料層3の摩擦帯電列をマイナス側に向かって移行させていることから、染料層3と水系の染料受容層22との摩擦帯電を小さくすることができ、プリンタ初期動作時におけるJAMの発生を防止することができる。以下、熱転写受像シート30の各構成について具体的に説明する。
(他の基材)
他の基材21は本発明で用いられる熱転写受像シート30における必須の構成であり、染料受容層22、或いは任意の構成である断熱層25等を保持するために設けられる。他の基材21について特に限定はなく、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等の耐熱性の高いポリオレフィン、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリカーボネート、酢酸セルロース、ポリエチレン誘導体、ポリアミド、ポリメチルペンテン等のプラスチックの延伸または未延伸フィルムや、これらの合成樹脂に白色顔料や充填剤を加えて成膜した白色不透明フィルムも使用できる。これ以外にも、上質紙、コート紙、アート紙、キャストコート紙、板紙等の材料も使用することができる。また、これらの材料を2種以上積層した複合フィルムも使用することができる。代表的な積層体の例として、セルロース繊維紙と合成紙或いはセルロース合成紙とプラスチックフィルムと合成紙が挙げられる、本発明においては、市販の基材を用いることもでき、例えば、RC紙ペーパー(三菱製紙(株)製、商品名:STF−150)等が好ましい。なお、本願明細書では熱転写シートを構成する基材1と区別するために熱転写受像シート30を構成する基材のことを他の基材21と称しているが、熱転写シート10を構成する基材1と、熱転写受像シート30を構成する他の基材21とは同一のものであってもよく、異なるものであってもよい。
他の基材21の厚さは、その強度および耐熱性等が適切になるように材料に応じて適宜選択することができるが、通常50μm〜1000μm、好ましくは60μm〜300μm程度である。
(水系の染料受容層)
他の基材21上には水系の染料受容層22が設けられている。染料受容層22は本発明で用いられる熱転写受像シート30における必須の構成である。
水系の染料受容層22を有する熱転写受像シートによれば、光沢感の高い画像を形成することができる。
本願明細書において、水系の染料受容層とは、水系溶媒に溶解或いは分散可能な樹脂、例えば水溶性樹脂、水溶性高分子、若しくは水系樹脂等を、水系溶媒に溶解或いは分散させた水系塗工液を用いて形成された染料受容層のことをいう。水溶性樹脂、水溶性高分子としてはポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ヒドロエチルセルロース、カルボキシメチルセルロス、フェノール樹脂、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸エステル、ポリアクリル酸エステル共重合体、ポリメタクリル酸などの水溶性のアクリル樹脂、ゼラチン、澱粉、カゼインおよびそれらの変性物など挙げられる。水系樹脂とは塩化ビニル樹脂エマルジョン、塩化ビニル−酢酸ビニル樹脂エマルジョン、塩化ビニル−アクリル樹脂エマルジョンなどの塩ビ系樹脂エマルジョン、アクリル系樹脂エマルジョン、ウレタン系樹脂エマルジョン、塩ビ系樹脂ディスパージョン、アクリル系樹脂ディスパージョン、ウレタン系樹脂ディスパージョンなど溶媒の一部が水で構成されているものを挙げることができる。なお、上記水系樹脂は、例えば、溶剤系樹脂を含む溶液をホモジナイザーによって分散し調製することで形成することができる。
水溶性樹脂、水溶性高分子、或いは水系樹脂は水系の染料受容層22の固形分総量に対し、50質量%以上95質量%以下の範囲内で含有されていることが好ましい。当該範囲で水系の樹脂が含有された水系の染料受容層22とすることで、形成される画像により高い光沢感を付与することができる。
上記で説明したように、本発明の熱転写シートは、染料層3にニトロセルロースを含有せしめることで、染料層3の離型性を向上させているが、さらなる離型性の向上を目的として、水系の染料受容層22に、熱転写シート10の染料層3との離型性を高めるための離型剤が添加されていてもよい。
水溶性樹脂、水溶性高分子、或いは水系樹脂と併用する離型剤としては、シリコーンオイル(シリコーン樹脂と称されるものも含む);ポリエチレンワックス、アミドワックス、テフロン(登録商標)パウダー等の固形ワックス類;弗素系、燐酸エステル系の界面活性剤等が挙げられ、中でもシリコーンオイルが好ましい。
水系の染料受容層22は水溶性樹脂、水溶性高分子、或いは水系樹脂、その他必要に応じて添加する添加剤を水あるいは水溶液に分散または溶解して水系塗工液を他の基材21上にワイヤーバーコート、グラビアコート、スライドコート、ロール塗布法などを用いて塗工・乾燥することにより形成される。水系塗工液を調製する場合は、水溶性樹脂、水溶性高分子、或いは水系樹脂の水に対する溶解性または分散性に応じて、該樹脂を水に溶解または分散させることが望ましい。染料受容層22の厚みについて特に限定はないが、0.5〜10μmの範囲が一般的である。
(目止め層)
水系の染料受容層22は水系塗工液を用いて形成されることから、他の基材21として、例えば、コート紙を用いた場合には、コート紙が水を吸い、その結果、熱転写受像シート30にカールが発生する虞が生じうる。したがって、他の基材21が吸水性の高い基材である場合には、基材1と水系の染料受容層22との間に目止め層(図示しない)を設けることが好ましい。なお、他の基材21と染料受容層22との間に他の任意の層を設け、当該層が水系の塗工液を用いないで形成される場合には目止め層は不要である。一方、他の任意の層、例えば後述する断熱層25を水系の塗工液を用いて他の基材21上に直接的に形成する場合には、上記の同様の理由により目止め層を設けることが好ましい。
目止め層は、防水性を有するとの機能を奏すれば、その材料等について特に限定はなく、例えば、ポリエステル樹脂、アクリル系樹脂、アクリル−ウレタン系樹脂、塩化ビニル系樹脂等からなるものや、(メタ)アクリル酸アルキルエステル単独重合体系エマルジョン、(メタ)アクリル酸アルキルエステル−スチレン共重合体系エマルジョン、(メタ)アクリル酸アルキルエステル−酢酸ビニル共重合体系エマルジョン、セメントフィラーエマルジョン等のエマルジョンからなるものを挙げることができる。
目止め層の厚さについても特に限定はないが、0.2g/m2〜10.0g/m2程度が好ましい。
(断熱層)
他の基材21と水系の染料受容層22との間に断熱層25が設けられていてもよい。断熱層25を設けることで、サーマルヘッドから水系の染料受容層22に加えられた熱が他の基材21等へ伝熱することによって損失され印画濃度が低下することを防止することができる。以下、断熱層の一例について説明するが、これ以外にも「断熱層」、「中空(粒子)層」、「断熱層」と称される従来公知のあらゆるものを適宜選択して用いることができる。
断熱層25には一般的に断熱性やクッション性を付与する機能を有する中空粒子が含有されている。中空粒子は発泡粒子であってもよく、あるいは、非発泡粒子であってもよい。また、発泡粒子は、独立発泡粒子であってもよく、あるいは、連続発泡粒子であってもよい。さらに、中空粒子は、樹脂等から構成される有機系中空粒子であってもよく、ガラス等から構成される無機系中空粒子であってもよい。また、中空粒子は、架橋中空粒子であってもよい。
中空粒子を構成する樹脂としては、例えば、架橋スチレン−アクリル樹脂等のスチレン系樹脂、アクリロニトリル−アクリル樹脂等の(メタ)アクリル系樹脂、フェノール系樹脂、フッ素系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエーテル系樹脂等を挙げることができる。中空粒子の平均粒径は、中空粒子を構成する樹脂の種類等に応じて、断熱層に所望の断熱性およびクッション性を付与できる範囲であれば特に限定されるものではないが、通常、0.1μm〜15μmの範囲内であることが好ましく、特に0.1μm〜10μmの範囲内であることが好ましい。平均粒径が小さすぎると、中空粒子の使用量が増えコストが高くなり、平均粒径が大きすぎると、平滑な断熱層を形成することが困難になるからである。
本発明において、断熱層25に含まれる中空粒子の量としては、所望の断熱性およびクッション性を有する断熱層を得ることができれば特に限定されるものではないが、例えば30質量%〜90質量%の範囲内であることが好ましく、なかでも50質量%〜80質量%の範囲内であることが好ましい。含有量が少なすぎると、断熱層における空隙が少なくなり、充分な断熱性およびクッション性が得られない場合があり、含有量が多すぎると、接着性が劣るからである。
熱転写受像シート30は、各種の機能層を有していてもよい。各種の機能層としては、例えば、他の基材21と水系の染料受容層22、或いは断熱層25との密着性を向上させるためのプライマー層や、耐溶剤性を付与するためのバリア層等を挙げることができる。また、他の基材21の水系の染料受容層22が設けられている面とは異なる面に、熱転写受像シートの搬送性向上機能や、カール防止機能を有する裏面層を設けることもできる。本発明に用いられる熱転写受像シート30は、上記で説明したように、水系溶媒に分散或いは溶解可能な樹脂を含有する水系の染料受容層22を必須の構成として有していればよく、それ以外の各種機能層についていかなる限定もされることはない。
<画像形成方法>
次に、本発明の画像形成方法について説明する。本発明の画像形成方法は、基材の一方の面上に、染料層が設けられ、基材の他方の面上に背面層が設けられた熱転写シートと、他の基材の一方の面上に染料受容層が設けられた熱転写受像シートとを組合せて使用して前記熱転写受像シート上に画像を形成する画像形成方法であって、熱転写シートの前記染料層には、染料とバインダー樹脂とが含有され、バインダー樹脂は、ニトロセルロースを含み、染料層は、バインダー樹脂の固形分総量に対し20質量%以上100質量%以下の範囲内でニトロセルロースを含有しており、熱転写受像シートの染料受容層が、水系の染料受容層であることを特徴とする。
つまり、本発明の画像形成方法は、上記本発明の組合せで説明したニトロセルロースを含有する染料層を備えた熱転写シート10と、水系の染料受容層を備えた熱転写受像シート30とを組合せて画像を形成する点を特徴とするものであり、上記で説明した熱転写シート10の染料層3と、熱転写受像シート30の水系の染料受容層22とを重ね合わせ、サーマルヘッドにより熱転写シート10の背面側から熱を印加して、染料層3に含まれる染料を水系の染料受容層22に移行させることで画像形成が行われる。
上述したように、本発明で用いられる熱転写シートの染料層3の摩擦帯電列は、当該染料層に含まれるニトロセルロースの存在によって、水系の染料受容層22の摩擦帯電列側に移行していることから、熱転写シートの染料層の摩擦帯電列と、水系の染料受容層の摩擦帯電列との差は小さくなり、これにともない、プリンタ初期動作時におけるJAMの発生が防止される。また、水系の染料受容層を用いることで光沢度の高い高品質な印画物を形成することができる。本発明の画像形成方法で用いられる熱転写シート、熱転写受像シートは、上記本発明の組合せで説明した通りであり、ここでの詳細な説明は省略する。
次に実施例及び比較例を挙げて本発明を更に具体的に説明する。なお、文中の「部」は特に断りのない限り質量基準である。
(実施例1)
基材として厚さ5μmのポリエチレンテレフタレートフィルムを用い、この上に、下記組成の背面層用塗工液を乾燥時0.5g/m2になるように塗布、乾燥して背面層を形成した。次いで、前記基材の背面層を設けた側とは反対の面に、下記組成の染料プライマー層用塗工液を乾燥時0.1g/m2になるように塗布、乾燥して染料プライマー層を形成した。次いで、該プライマー層上に、下記組成のイエロー染料層用塗工液1、マゼンタ染料層用塗工液1、シアン染料層用塗工液1を、乾燥時0.6g/m2になるように、この順で面順次に繰り返して塗布、乾燥してイエロー染料層1、マゼンタ染料層1、シアン染料層1を形成することで、実施例1の熱転写シートを得た。
<背面層用塗工液>
・ポリビニルアセタール樹脂 60.8部
(エスレック KS−1 積水化学工業(株)製)
・ポリイソシアネート 4.2部
(バーノックD750 大日本インキ化学工業(株)製)
・ステアリルリン酸亜鉛 10部
(LBT−1830精製 堺化学工業(株)製)
・ステアリン酸亜鉛 10部
(SZ−PF 堺化学工業(株)製)
・ポリエチレンワックス 10部
(ポリワックス3000 東洋ペトロライト(株)製)
・メチルエチルケトン 200部
・トルエン 100部
<染料プライマー層用塗工液>
・アルミナゾル(固形分10%) 30部
(日産化学工業(株)製)
・ポリビニルピロリドン樹脂 3部
(K−90 ISP社製)
・水 50部
・イソプロピルアルコール 17部
<イエロー染料層用塗工液1>
・分散染料(ディスパースイエロー231) 2.5部
・分散染料(下記化学式(A)で示されるイエロー染料) 2.5部
・ポリビニルアセトアセタール樹脂 2.8部
(KS−5 積水化学工業(株)製)
・ニトロセルロース樹脂(固形分70%) 1部(固形分0.7部)
(DHM10−25 稲畑産業株式会社)
・ポリエチレンワックス 0.1部
(ACumist 1204 Honeywell社製)
・メチルエチルケトン 45.0部
・トルエン 45.0部
Figure 2014054774
<マゼンタ染料層用塗工液1>
・分散染料(MSレッドG) 1.5部
・分散染料(マクロレックスレッドバイオレットR) 2.0部
・ポリビニルアセトアセタール樹脂 4.5部
(KS−5 積水化学工業(株)製)
・ポリエチレンワックス 0.1部
・メチルエチルケトン 45.0部
・トルエン 45.0部
<シアン染料層用塗工液1>
・分散染料(ソルベントブルー63) 2.5部
・分散染料(ディスパースブルー354) 2.5部
・ポリビニルアセトアセタール樹脂 4.5部
(KS−5 積水化学工業(株)製)
・ポリエチレンワックス 0.1部
・メチルエチルケトン 45.0部
・トルエン 45.0部
(実施例2)
イエロー染料層用塗工液1にかえて、下記組成のイエロー染料層用塗工液2を使用した以外は全て実施例1と同様にして、実施例2の熱転写シートを得た。
<イエロー染料層用塗工液2>
・分散染料(ディスパースイエロー231) 2.5部
・分散染料(上記化学式(A)で示されるイエロー染料) 2.5部
・ポリビニルアセトアセタール樹脂 1.75部
(KS−5 積水化学工業(株)製)
・ニトロセルロース樹脂(固形分70%) 2.5部(固形分1.75部)
(DHM10−25 稲畑産業株式会社)
・ポリエチレンワックス 0.1部
(ACumist 1204 Honeywell社製)
・メチルエチルケトン 45.0部
・トルエン 45.0部
(実施例3)
イエロー染料層用塗工液1にかえて、下記組成のイエロー染料層用塗工液3を使用した以外は全て実施例1と同様にして、実施例3の熱転写シートを得た。
<イエロー染料層用塗工液3>
・分散染料(ディスパースイエロー231) 2.5部
・分散染料(上記化学式(A)で示されるイエロー染料) 2.5部
・ニトロセルロース樹脂(固形分70%) 5部(固形分3.5部)
(DHM10−25 稲畑産業株式会社)
・ポリエチレンワックス 0.1部
(ACumist 1204 Honeywell社製)
・メチルエチルケトン 45.0部
・トルエン 45.0部
(実施例4)
マゼンタ染料層用塗工液1、シアン染料層用塗工液1にかえて、下記組成のマゼンタ染料層用塗工液2、シアン染料層用塗工液2を使用した以外は全て実施例1と同様にして、実施例4の熱転写シートを得た。
<マゼンタ染料層用塗工液2>
・分散染料(MSレッドG) 1.5部
・分散染料(マクロレックスレッドバイオレットR) 2.0部
ポリビニルアセトアセタール樹脂 3.6部
(KS−5 積水化学工業(株)製)
・ニトロセルロース樹脂(固形分70%) 1.29部(固形分0.9部)
(DHM10−25 稲畑産業株式会社)
・ポリエチレンワックス 0.1部
・メチルエチルケトン 45.0部
・トルエン 45.0部
<シアン染料層用塗工液2>
・分散染料(ソルベントブルー63) 2.5部
・分散染料(ディスパースブルー354) 2.5部
ポリビニルアセトアセタール樹脂 3.6部
(KS−5 積水化学工業(株)製)
・ニトロセルロース樹脂(固形分70%) 1.29部(固形分0.9部)
(DHM10−25 稲畑産業株式会社)
・ポリエチレンワックス 0.1部
・メチルエチルケトン 45.0部
・トルエン 45.0部
(比較例1)
イエロー染料層用塗工液1にかえて、下記組成のイエロー染料層用塗工液Aを使用した以外は全て実施例1と同様にして、比較例1の熱転写シートを得た。
<イエロー染料層用塗工液A>
・分散染料(ディスパースイエロー231) 2.5部
・分散染料(上記化学式(A)で示されるイエロー染料) 2.5部
・ポリビニルアセトアセタール樹脂 3.5部
(KS−5 積水化学工業(株)製)
・ポリエチレンワックス 0.1部
(ACumist 1204 Honeywell社製)
・メチルエチルケトン 45.0部
・トルエン 45.0部
(比較例2)
上記比較例1の熱転写シートを、そのまま比較例2の熱転写シートとした。
(比較例3)
イエロー染料層用塗工液1にかえて、下記組成のイエロー染料層用塗工液Bを使用した以外は全て実施例1と同様にして、比較例3の熱転写シートを得た。
<イエロー染料層用塗工液B>
・分散染料(ディスパースイエロー231) 2.5部
・分散染料(上記化学式(A)で示されるイエロー染料A) 2.5部
・ポリビニルアセトアセタール樹脂 3.15部
(KS−5 積水化学工業(株)製)
・ニトロセルロース樹脂(固形分70%) 0.5部(固形分0.35部)
(DHM10−25 稲畑産業株式会社)
・ポリエチレンワックス 0.1部
(ACumist 1204 Honeywell社製)
・メチルエチルケトン 45.0部
・トルエン 45.0部
水系の熱転写受像シート(熱転写受像シート1)の作製
基材としてRCペーパー(三菱製紙(株)製)を用い、基材の一方の面に、下記組成の裏面層用塗工液1をグラビアリバース方式にて、乾燥後の塗布量が0.8g/m2となるように塗布し、120℃にて30秒間乾燥した。また、塗布液は各液配合時に凝集物が発生しないように適宜各液を希釈して配合し、総固形分は塗工条件に応じて適宜選定した。
(裏面層用塗工液1)
・スチレン−アクリル樹脂(固形分47%) 50.0部
(ルシデン606APEF ローム・アンド・ハース(株)製)
・純水 67.0部
・スチレン−アクリル樹脂(固形分46%) 50.0部
(ルシデン375CI ローム・アンド・ハース(株)製)
・純水 65.0部
・コロイダルシリカ(固形分48% 平均粒径(BET法):20〜30nm 290部
(アデライトAT−50 (株)ADEKA製)
・純水 406.0部
続いて、基材の他方の面に、下記組成の中空層A用塗工液1、中空層B用塗工液1、プライマー層用塗工液1、および染料受容層用塗工液1を40℃にそれぞれ加熱し、スライドコーティングを用いて、WET時の厚みがそれぞれ15μm、25μm、15μm、8μmとなるように塗布し、5℃にて30秒間冷却した後、50℃にて2分間乾燥し、基材の一方の面に、中空層A、中空層B、プライマー層、染料受容層がこの順で設けられ、基材の他方の面に裏面層が設けられた熱転写受像シート1を得た。なお、塗工速度は、毎分100mで行った。
(中空層A用塗工液1)
・中空粒子(平均粒子径:0.5μm 平均中空率:45% 固形分30%) 276部
(ローペイクウルトラ ローム・アンド・ハース(株)製)
・ゼラチン 27部
(G1236K 新田ゼラチン(株)製)
・純水 600部
・スチレン−アクリル樹脂(固形分42%) 32.8部
(ニューコートB−13 新中村化学工業(株)製
・純水 13.2部
・スチレン−アクリル樹脂(固形分34%) 40.6部
(ジョンクリル62J BASFジャパン(株)製)
・純水 14.6部
(中空層B用塗工液1)
・中空粒子(平均粒子径:0.5μm 平均中空率:45% 固形分30%) 447部
(ローペイクウルトラ ローム・アンド・ハース(株)製)
・ゼラチン 40部
(G1236K 新田ゼラチン(株)製)
・純水 433部
・スチレン−アクリル樹脂(固形分42%) 23.8部
(ニューコートB−13 新中村化学工業(株)製
・純水 9.5部
・スチレン−アクリル樹脂(固形分34%) 47部
(ジョンクリル62J BASFジャパン(株)製)
・純水 17部
・界面活性剤(ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム水溶液:固形分20%) 2部
(プライマー層用塗工液1)
・架橋中空粒子(平均粒径0.1μm 平均中空率30% 固形分20%) 658部
(SX866 JSR(株)製)
・ゼラチン 44部
(G1236K 新田ゼラチン(株)製)
・純水 422部
・スチレン−アクリル樹脂(固形分34%) 17.7部
(ジョンクリル62J BASFジャパン(株)製)
・純水 6.4部
・変性ゴム(固形分51%) 18.6部
(MG−67 (株)レヂテックス製)
・界面活性剤(ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム水溶液:固形分20%) 2部
(染料受容層用塗工液1)
・塩酢ビ系エマルジョン(塩ビ/酢ビ=97.5/2.5):固形分36%) 411部
・離型剤の水分散体(固形分:17%) 98部
・エポキシ架橋剤 7.6部
(ナガセケムテックス(株)製、商品名EX−512:固形分100%)
・純水(エポキシ架橋剤分散用として) 11.4部
・増粘剤(固形分30%) 45部
(アデカノールUH−526 (株)ADEKA製)
・純水(増粘剤分散用として) 230部
・界面活性剤(ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム水溶液:固形分20%) 23部
なお、上記の塩ビ系エマルジョン、及び離型剤の水分散体は下記のようにして調製した。
(塩酢ビ系エマルジョンの合成)
2.5Lオートクレーブ中に脱イオン水600g、塩化ビニル単量体438.8g(全仕込み単量体に対して97.5重量%)と酢酸ビニル11.2g(全仕込み単量体に対して2.5重量%)からなる単量混合体、過硫酸カリウム2.25gを仕込んだ。この反応混合物を攪拌翼で回転数120rpmを維持するように攪拌し、反応混合物の温度を60℃に上げて重合を開始した。5重量%のドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム水溶液180g(全仕込み単量体に対して2重量%)を重合開始〜4hr後まで連続添加し、重合圧が60℃における塩化ビニル単量体の飽和蒸気圧から0.6MPa降下した時に重合を停止した後、残存の単量体を回収して、塩酢ビ系エマルジョンを得た。
(離型剤の水分散体の作成)
酢酸エチル85gにエポキシ変性シリコーン(信越化学工業(株)製、商品名X−22−3000T)16gとアラルキル変性シリコーン(信越化学工業(株)製、商品名X−24−510)8gを溶解した。次にトリイソプロピルナフタレンスルフォン酸ナトリウム塩(固形分10%)14gを純水110gに溶解した。上記2液を混合・攪拌した後、ホモジナイザーを用いて分散を行い、分散体を調製した。その後、分散体を30〜60℃に加温しながら減圧下で酢酸エチルを除去し、シリコーンの水分散体を得た。
水系の熱転写受像シート(熱転写受像シート2)の作製
染料受容層用塗工液1にかえて、下記組成の染料受容層用塗工液2を使用した以外は全て熱転写受像紙シート1と同様にして熱転写受像シート2を作製した。
(染料受容層用塗工液2)
・塩酢ビ系エマルジョン(塩ビ/酢ビ=97.5/2.5):固形分36%) 411部
・架橋ポリスチレン 6.5部
(SBX−12 積水化成品工業(株)製)
・離型剤の水分散体(固形分17%) 98部
・エポキシ架橋剤(固形分100%) 7.6部
(デコナールEX−512 ナガセケムテックス(株)製)
・純水(エポキシ架橋剤分散用として) 11.4部
・増粘剤(固形分30%) 45部
(アデカノールUH−526 (株)ADEKA製)
・純水(増粘剤分散用として) 230部
・界面活性剤(ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム水溶液:固形分20%) 23部
(JAM評価)
CXプリンタ(シチズン・システムズ(株)製昇華転写プリンタ)に、各実施例、及び比較例の熱転写シートと、上記で作製した熱転写受像シート1をセットし、プリンタの初期動作の状態について以下の評価基準に基づいてJAM発生の評価を行った。評価結果を表1に示す。なお、熱転写シートが熱転写受像シートに貼りつき巻き込まれたとは、JAMの発生を意味する。なお、比較例2の熱転写シートについては、熱転写受像シート2と組合せて評価を行った。以下の各評価についても同様の組合せとした。
<評価基準>
○・・・初期動作が通常に行われた。
×・・・初期動作中に熱転写シートが熱転写受像シートに貼りつき、巻き込まれた。
(ざらつき評価)
各実施例、及び比較例の熱転写シートと、上記で作製した熱転写受像シート1とを組合せて、CWプリンタ(アルテック(株)製 昇華転写プリンタ)を用いて、グレーのハイライト部分(階調値1/255〜50/255)である階調印画パターンを印画し、以下の評価基準に基づいて、得られた印画物のハイライト部の階調再現性の評価を行った。評価結果を表1に併せて示す。なお、比較例2の熱転写シートについては、上記で作製した熱転写受像シート2と組合せて用い、上記と同様の方法でざらつきの評価を行った。
<評価基準>
○・・・比較例1と同等レベルの階調再現性を有しており、良好である。
×・・・比較例1と比較して濃度が不均一でありザラツキがあり、階調再現性として満足できないものである。
(離型性の評価)
昇華型熱転写プリンタ(CWプリンタ(アルテック(株)製))の標準メディアセットのY領域,M領域,C領域に、実施例及び比較例の熱転写シートをそれぞれ貼り付け、上記プリンタと、上記で作製した熱転写受像シート1を用いて、35℃80%RHの環境下において、黒ベタ画像(255/255階調)を印画し、印画物を得た。得られた印画物に剥離痕があるかを目視により確認し、下記の評価基準に基づいて離型性の評価を行った。評価結果を表1に併せて示す。なお、比較例2の熱転写シートについては、上記で作製した熱転写受像シート2と組合せて用い、離型性の評価を行った。
「評価基準」
○・・・印画物に剥離痕がない。
△・・・印画物にうっすらと剥離痕が見える。
×・・・印画物に剥離痕がある。
Figure 2014054774
表1からも明らかなように、バインダー樹脂の固形分総量に対し20質量%以上100質量%以下の範囲内でニトロセルロースを含有する染料層を備えた熱転写シートによれば、水系の染料受容層を備える熱転写受像シートと組合せて画像形成を行った場合であっても、JAMの発生がなく、また、離型性、ざらつきともに良好な評価を得ることができた。
一方、染料層にニトロセルロースが含まれない比較例1の熱転写シートと、水系の染料受容層を備える熱転写受像シートとを組合せて画像形成を行った場合には、JAMの発生を防止することができず、また、離型性についても実施例に劣る結果となった。JAM対策が施された水系の染料受容層を備える熱転写受像シートと、比較例1で用いた熱転写シートを組合せて画像形成を行った比較例2では、JAMの発生は防止できたものの、水系の染料受容層の影響により、印画物にざらつきが発生した。また、バインダー樹脂の固形分総量に対し、20質量%未満の含有量でニトロセルロースを含有する染料層を備えた比較例3の熱転写シートと、水系の染料受容層を備える熱転写受像シートとを組合せて画像形成を行った場合には、JAMの発生を防止することができておらず、ニトロセルロースの含有量の臨界的意義が明確となった。
10…熱転写シート
1…基材
3…染料層
5…背面層
30…熱転写受像シート
21…他の基材
22…水系の染料受容層
25…断熱層

Claims (2)

  1. 基材の一方の面上に染料層が設けられ、前記基材の他方の面上に背面層が設けられた熱転写シートと、他の基材の一方の面上に染料受容層が設けられた熱転写受像シートとの組合せであって、
    前記熱転写シートの染料層は、染料とバインダー樹脂とを含有しており、
    前記バインダー樹脂には、ニトロセルロースが含まれ、
    前記染料層は、前記バインダー樹脂の固形分総量に対し、20質量%以上100質量%以下の範囲内で前記ニトロセルロースを含有しており、
    前記熱転写受像シートの染料受容層が、水系の染料受容層であることを特徴とする熱転写シートと熱転写受像シートとの組合せ。
  2. 基材の一方の面上に染料層が設けられ、前記基材の他方の面上に背面層が設けられた熱転写シートと、他の基材の一方の面上に染料受容層が設けられた熱転写受像シートとを組合せて使用して前記熱転写受像シート上に画像を形成する画像形成方法であって、
    前記熱転写シートの前記染料層は、染料とバインダー樹脂を含有しており、
    前記バインダー樹脂には、ニトロセルロースが含まれ、
    前記染料層は、前記バインダー樹脂の固形分総量に対し、20質量%以上100質量%以下の範囲内で前記ニトロセルロースを含有しており、
    前記熱転写受像シートの染料受容層が、水系の染料受容層であることを特徴とする画像形成方法。
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