JP6079383B2 - 熱転写シート - Google Patents

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Description

本発明は熱転写シートに関する。
熱転写を利用した画像の形成方法として、昇華性染料をプラスチックフィルム等の基材上に担持させた昇華型の熱転写シートと、紙やプラスチックフィルム等の別の基材上に染料受容層を設けた熱転写受像シートとを互いに重ね合わせてフルカラー画像を形成する昇華型熱転写方法が知られている。この方法は昇華性染料を色材としているため中間色の再現性や階調性に優れており、原稿通りのフルカラー画像を熱転写受像シート上に鮮明に表現することができるので、デジタルカメラ、ビデオ、コンピューター等のカラー画像形成に応用されている。その画像は、銀塩写真に匹敵する高品質なものである。
このような昇華型の熱転写シートの染料層には、熱転写シートの保存時に、染料層に含有される昇華性染料がバインダー樹脂に良好に保持され、かつ熱転写時に、昇華性染料がバインダー樹脂から良好に放出されること、すなわち高い保存安定性と染料転写効率が求められている。
保存安定性を主眼とするバインダー樹脂として、ブチラール系や、アセタール系の樹脂が知られている(特許文献1参照)。ところで、ブチラール系や、アセタール系の樹脂をバインダー樹脂として含有する染料層は、保存安定性に優れる一方で、染料転写効率が低く印画濃度が低いといった問題がある。したがって、これらのバインダー樹脂を用いる場合には、(i)染料層の塗工量を多くして染料層中に含まれる昇華性染料の含有量を多くするか、あるいは(ii)熱転写シートの染料層における昇華性染料/バインダー樹脂の質量比率(D/B比)を大きくする等の方法によって、印画濃度を向上させる必要がある。
しかしながら、上記(i)染料層の塗工量を多くした場合には、染料層中に熱転写受像シート側に移行しない昇華性染料が多く残存することとなり、コスト的には好ましいとはいえない。また、十分な印画濃度となるまで(ii)D/B比を大きくした場合には、ブチラール系やアセタール系のバインダー樹脂では、昇華性染料を保持することができず、保存安定性が著しく低下する。保存安定性が低下した場合には、熱転写シートを巻き取り状態で保管した際、染料層と基材の反対側面に設けられた背面層とが接することにより、染料層から背面層へ昇華性染料が移行(キック)し、シートの搬送性の低下や、背面層の機能低下を引き起こす。また、高温高湿環境下で保存を行ったときに、染料が染料層の表面に析出し、印画時にこの析出した染料が未印画部と接触して未印画部を汚染する地汚れが発生する等の種々の問題を引き起こすこととなる。
染料転写効率の向上を主眼とするバインダー樹脂としてはセルロース系樹脂、例えば、セルロースアセテートプロピオネートやエチルセルロース等が知られている。しかしながら、染料転写効率の向上を主眼とするこれらのバインダー樹脂は染料転写効率には優れるものの、保存安定性が低く、特に、染料層の塗工量を少なくした場合や、D/B比を大きくした場合には、保存安定性が低下し、上記の問題を引き起こすこととなる。
特開2009−286060号公報
本発明はこのような状況においてなされたものであり、染料転写効率、及び染料の保存安定性が高い熱転写シートを提供することを主たる課題とする。
上記課題を解決するための本発明は、基材の一方の面にマゼンタ染料層が設けられ、前記基材の他方の面に背面層が設けられた熱転写シートであって、前記マゼンタ染料層には、ニトロセルロース樹脂と、昇華性染料とが含有されており、前記昇華性染料には、A染料;下記一般式(1)及び/又は下記一般式(2)で示される染料と、B染料;下記一般式(3)及び/又は下記一般式(4)で示される染料とが含まれることを特徴とする。
Figure 0006079383
一般式(1)中のR1、R2は、それぞれ独立に水素原子、置換あるいは非置換のアルキル基、ビニル基、アリル基、アリール基、アルコキシアルキル基、アラルキル基、アルコキシカルボニルアルキル基、カルボキシアルキル基、またはアルコキシカルボキシアルキル基を表し、R1とR2とは互いに環を形成してもよい。R3は水酸基、ハロゲン原子、シアノ基、置換あるいは非置換のアルキル基、アルキルホルミルアミノ基、アルキルスルホニルアミノ基、ホルミルアミノ基、アリルホルミルアミノ基、スルホニルアミノ基、アリルスルホニルアミノ基、カルバモイル基、スルファモイル基、アミノ基、カルボキシル基、アルコキシ基またはウレイド基を表し、R4、R5は、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、置換あるいは非置換のアルキル基、アリル基、置換あるいは非置換のアリール基、アラルキル基、アルコキシアルキル基、アラルキルオキシアルキル基、チオアルキル基、アリルオキシアルキル基、アリールオキシアルキル基、カルボモイル基、スルファモイル基、オキシカルボニル基、アミノ基、ホルミルアミノ基、スルホニルアミノ基、アルコキシカルボニルアルキル基、複素環基、シクロアルキル基、アルキルチオ基、アルキルスルフィニル基、またはアルキルスルホニル基を表す。
Figure 0006079383
一般式(2)中のR1、R2はアルケニル基、アラルキル基、または置換あるいは非置換のアルキル基を表し、R3は水素原子、メチル基、メトキシ基、またはハロゲン原子をR4は水素原子、メチル基、メトキシ基、ホルミルアミノ基、アルキルカルボニルアミノ基、アルキルスルホニルアミノ基、またはアルコキシカルボニルアミノ基を表し、R5は、アルキル基、アルケニル基、アリル基、アリール基、シアノアルキル基、置換あるいは非置換のアルコキシカルボニルアルキル基を表す。
Figure 0006079383
一般式(3)中のX及びYは−S−、−O−又は−SO2−を表し、R1及びR2は置換又は非置換のアルキル基、シクロアルキル基、アリール基又はアリル基を表す。
Figure 0006079383
一般式(4)中のXは−S−、−O−又は−SO2−を表し、R1は置換又は非置換のアルキル基、シクロアルキル基、アリール基又はアリル基を表す。
また、前記A染料と前記B染料との合計質量に対する、前記B染料の質量が40質量%以上90質量%以下の範囲内であってもよい。
また、前記マゼンタ染料層には、C染料;下記一般式(5)で示される染料が含まれ、前記A染料と前記C染料の合計質量に対する、前記C染料の質量が65質量%以下であり、前記A染料と前記B染料と前記C染料の合計質量に対する、前記C染料の質量が30質量%以下であってもよい。
Figure 0006079383
一般式(5)中のR1、R2は、アリル基、C1〜C8のアルキル基、C3〜C8のアルコキシアルキル基、アラルキル基、ヒドロキシアルキル基を表し、R3は水素原子、C1〜C4のアルコキシ基、メチル基、ハロゲン原子を表し、R4はメチル基、メトキシ基、ホルミルアミノ基、C1〜C8のアルキルカルボニルアミノ基、C1〜C8のアルキルスルホニルアミノ基、C1〜C8のアルコキシカルボニルアミノ基を表し、R5は水素原子、C1〜C8のアルキル基、C1〜C8のアルコキシ基、C3〜C8のアルコキシアルキル基、ハロゲン原子を表す。
また、前記一般式(1)で表される染料が、下記一般式(1−1)で示される染料であり、前記一般式(2)で表される染料が下記一般式(2−1)で示される染料であり、前記一般式(3)で表される染料が下記一般式(3−1)で示される染料であり、前記一般式(4)で示される染料が下記一般式(4−1)で示される染料であり、前記一般式(5)で示される染料が、下記一般式(5−1)で示される染料であってもよい。
Figure 0006079383
本発明の熱転写シートによれば、染料転写効率、及び染料の保存安定性を向上させることができる。
本発明の熱転写シートの一例を示す概略断面図である。 本発明の熱転写シートの一例を示す概略断面図である。
以下に、本発明の熱転写シートについて詳細に説明する。図1は、本発明の熱転写シートの一例を示す概略断面図である。
図1に示すように、本発明の熱転写シート10は、基材1の一方の面にマゼンタ染料層2Mが設けられ、基材1の他方の面に背面層5が設けられた構成をとる。また、本発明の熱転写シート10において、マゼンタ染料層2Mは、ニトロセルロース樹脂と、昇華性染料とを含有しており、昇華性染料には、A染料;下記一般式(1)及び下記一般式(2)で示される染料の何れか一方又は双方の染料と、B染料;下記一般式(3)で示される染料とが含まれる点に特徴を有する。すなわち、マゼンタ染料層2Mは、ニトロセルロース樹脂と、上記A染料、B染料とを必須の成分として含有している。なお、図1では、基材1とマゼンタ染料層2Mとの間にプライマー層3が設けられているが、プライマー層3は本発明の熱転写シート10における任意の構成である。以下、本発明の熱転写シート10の各構成について具体的に説明する。
Figure 0006079383
一般式(1)中のR1、R2は、それぞれ独立に水素原子、置換あるいは非置換のアルキル基、ビニル基、アリル基、アリール基、アルコキシアルキル基、アラルキル基、アルコキシカルボニルアルキル基、カルボキシアルキル基、またはアルコキシカルボキシアルキル基を表し、R1とR2とは互いに環を形成してもよい。R3は水酸基、ハロゲン原子、シアノ基、置換あるいは非置換のアルキル基、アルキルホルミルアミノ基、アルキルスルホニルアミノ基、ホルミルアミノ基、アリルホルミルアミノ基、スルホニルアミノ基、アリルスルホニルアミノ基、カルバモイル基、スルファモイル基、アミノ基、カルボキシル基、アルコキシ基またはウレイド基を表し、R4、R5は、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、置換あるいは非置換のアルキル基、アリル基、置換あるいは非置換のアリール基、アラルキル基、アルコキシアルキル基、アラルキルオキシアルキル基、チオアルキル基、アリルオキシアルキル基、アリールオキシアルキル基、カルボモイル基、スルファモイル基、オキシカルボニル基、アミノ基、ホルミルアミノ基、スルホニルアミノ基、アルコキシカルボニルアルキル基、複素環基、シクロアルキル基、アルキルチオ基、アルキルスルフィニル基、またはアルキルスルホニル基を表す。特には、一般式(1)中のR1、R2、及びR3が、置換あるいは非置換のアルキル基であり、R4が、置換あるいは非置換のアルキル基、又は置換あるいは非置換のアリール基であることが好ましい。
Figure 0006079383
一般式(2)中のR1、R2はアルケニル基、アラルキル基、または置換あるいは非置換のアルキル基を表し、R3は水素原子、メチル基、メトキシ基、またはハロゲン原子をR4は水素原子、メチル基、メトキシ基、ホルミルアミノ基、アルキルカルボニルアミノ基、アルキルスルホニルアミノ基、またはアルコキシカルボニルアミノ基を表し、R5は、アルキル基、アルケニル基、アリル基、アリール基、シアノアルキル基、置換あるいは非置換のアルコキシカルボニルアルキル基を表す。特には、一般式(2)中のR1及びR2が、置換あるいは非置換のアルキル基であり、R5が、アリル基であることが好ましい。
Figure 0006079383
一般式(3)中のX及びYは−S−、−O−又は−SO2−を表し、R1及びR2は置換又は非置換のアルキル基、シクロアルキル基、アリール基又はアリル基を表す。特には、一般式(3)中のR1及びR2が、置換あるいは非置換のアルキル基であることが好ましい。
Figure 0006079383
一般式(4)中のXは−S−、−O−又は−SO2−を表し、R1は置換又は非置換のアルキル基、シクロアルキル基、アリール基又はアリル基を表す。特には、一般式(4)中のR1が、置換あるいは非置換のアルキル基であることが好ましい。
(基材)
基材1は、ある程度の耐熱性と強度を有するものであれば特に限定されることはなく、従来公知の材料を適宜選択して用いることができる。このような基材1として、例えば、0.5μm〜50μm、好ましくは1μm〜10μm程度の厚さのポリエチレンテレフタレートフィルム、1,4−ポリシクロヘキシレンジメチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリフェニレンサルフィドフィルム、ポリスチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリサルホンフィルム、アラミドフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリビニルアルコールフィルム、セロハン、酢酸セルロース等のセルロース誘導体、ポリエチレンフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ナイロンフィルム、ポリイミドフィルム、アイオノマーフィルム等が挙げられる。更に、これらの材料はそれぞれ単独でも使用できるが、他の材料と組み合わせた積層体として使用してもよい。
また、基材1は、マゼンタ染料層2Mが形成される側の面に接着処理が施されていても良い。接着処理を施すことで、基材1とマゼンタ染料層2M、或いは基材1とマゼンタ染料層2Mとの間に設けられる任意の層との密着性を向上させることができる。
接着処理としては、例えば、コロナ放電処理、火炎処理、オゾン処理、紫外線処理、放射線処理、粗面化処理、化学薬品処理、プラズマ処理、低温プラズマ処理、プライマー処理、グラフト化処理等公知の樹脂表面改質技術をそのまま適用することができる。また、それらの処理を二種以上併用することもできる。また、基材1に接着処理を施すことにかえて、基材1とマゼンタ染料層2Mとの間に、プライマー層(下引き層という場合もある。)を設けてもよい。また、接着処理が施された基材1とマゼンタ染料層との間に、プライマー層を設けてもよい。
(マゼンタ染料層)
図1に示すように基材1上にはマゼンタ染料層2Mが設けられている。マゼンタ染料層2Mには昇華性染料と、ニトロセルロース樹脂とを含有している。以下、昇華性染料、及びニトロセルロース樹脂について具体的に説明する。
<昇華性染料>
マゼンタ染料層2Mに含まれる昇華性染料には、必須の染料として、A染料;上記一般式(1)及び/又は上記一般式(2)で示される染料の何れか一方又は双方の染料と、B染料;上記一般式(3)及び/又は上記一般式(4)で示される染料と、が含まれる。以下、上記一般式(1)及び/又は上記一般式(2)で示される染料を総称して単に「A染料」といい、上記一般式(3)及び/又は上記一般式(4)で示される染料を単に「B染料」という場合がある。
本発明では、A染料と、B染料、及び後述するニトロセルロース樹脂との相乗効果によって、染料転写効率の向上と、染料の保存安定性の向上が図られている。
(A染料)
マゼンタ染料層には、A染料として、上記一般式(1)、及び上記一般式(2)で示される染料の何れか一方、又は双方の染料が含有されている。マゼンタ染料層2Mには、A染料として、一般式(1)、或いは一般式(2)で示される染料が単独で含まれていてもよく、一般式(1)及び一般式(2)で示される染料の双方が含まれていてもよい。
A染料は、マゼンタの染料濃度が高く、印画物に高い濃度を付与することができる性質を有する。また、後述するように、マゼンタ染料層2Mには、染料転写効率の高いニトロセルロース樹脂が含有されていることから、このマゼンタの染料濃度が高いA染料を無駄なく、熱転写受像シート等の被転写体上に転写することができる。したがって、マゼンタ染料層2Mに、A染料と、ニトロセルロース樹脂とを含む本発明の熱転写シート10によれば、A染料と、ニトロセルロース樹脂との相乗効果によって当該熱転写シートを用いて得られる印画物に高い濃度を付与することができる。換言すれば、本発明の熱転写シート10によって印画濃度の高い印画物を得ることができる。
上記一般式(1)で示される染料は、ピラゾロトリアゾールアゾメチン骨格を有する染料であり、例えば、以下の一般式(1−1)で示される染料等を挙げることができる。
Figure 0006079383
上記一般式(2)で示される染料は、イミダゾールアゾ骨格を有する染料であり、例えば、以下の一般式(2−1)や、(2−2)で示される染料等を挙げることができる。
Figure 0006079383
ところで、A染料は、マゼンタの染料濃度が高いという性質を有する一方で、後述するニトロセルロース樹脂による染料保持力が低く、A染料を単独でマゼンタ染料層2Mに含有せしめた場合には、マゼンタ染料層2M中において当該A染料をニトロセルロース樹脂によって十分に保持することができず、染料の保存安定性が低下してしまう問題が生じうる。そして、この保存安定性の低下にともない、熱転写シートを巻き取り状態で保管した際、マゼンタ染料層2Mと基材の反対側面に設けられた背面層とが接することにより、マゼンタ染料層2Mから背面層へA染料がキック(移行)し、熱転写シートの搬送性の低下や、背面層の機能低下を引き起こす。
(B染料)
そこで、本発明では、マゼンタ染料層2Mに、A染料とともに、B染料として、上記一般式(3)、及び上記一般式(4)で示される染料の何れか一方、又は双方の染料が含有されている。マゼンタ染料層2Mには、B染料として、一般式(3)、或いは一般式(4)で示される染料が単独で含まれていてもよく、一般式(3)及び一般式(4)で示される染料の双方が含まれていてもよい。
B染料は、染料保持力が極めて高い染料であり、A染料とB染料とを併用して、マゼンタ染料層2Mに含有せしめることにより、昇華性染料全体としての保存安定性を向上させることができる。そして、この保存安定性の向上に伴い、キックの発生が効果的に防止される。B染料によって、昇華性染料全体としての保存安定性の向上が図られる明確なメカニズムは現在のところ必ずしも明らかではないが、B染料のニトロセルロース樹脂に対する高い染料保持力が、A染料の保存保持力に何らかの影響を及ぼすことで、昇華性染料全体としての保存安定性が向上するものと推察される。
B染料による保存安定性の向上は、ニトロセルロース樹脂との相乗効果によってもたらされるものであり、マゼンタ染料層にB染料が含まれている場合であっても、マゼンタ染料層にニトロセルロース樹脂が含まれていない場合には、昇華性染料全体としての保存安定性を向上させることはできず、キックの発生を効果的に防止することはできない。
また、A染料を用いることなく、B染料を単独でマゼンタ染料層2Mに含有せしめた場合には、キックの発生は防止できるものの、印画物に十分な濃度を付与することができない。
上記一般式(3)、及び上記一般式(4)で示されるB染料は、アントラキノン骨格を有する染料であり、上記一般式(3)、上記一般式(4)の構造を有するものであれば、特に限定はない。このような構造を有する具体的な染料としては、例えば、以下の一般式(3−1)、一般式(4−1)、一般式(4−2)で示される染料等を挙げることができる。
Figure 0006079383
また、B染料は、A染料と併用してマゼンタ染料層2M中に含有された場合であっても、上記のような染料の析出を生じさせない性質を有する。したがって、A染料とB染料とを併用して含有するマゼンタ染料層2Mでは、地汚れの発生も防止することができる。
A染料とB染料とを含む昇華性染料の固形分総量に対する、A染料とB染料との合計質量について特に限定はないが、A染料とB染料との合計質量が70質量%未満である場合には、昇華性染料全体に対する、A染料とB染料の含有量が少なくなり、濃度、及び染料の保存安定性、ならびに転写効率を十分に満足させることができない場合が生じうる。したがって、この点を考慮すると、A染料とB染料とを含む昇華性染料の固形分総量に対するA染料とB染料との合計質量は70質量%以上であることが好ましい。A染料とB染料との合計質量の上限値について特に限定はなく、その上限値は100質量%である。なお、ここで言うA染料の質量とは、一般式(1)、(2)で示される染料を併せて用いる場合には合計質量を意味し、B染料の質量とは、一般式(3)、(4)で示される染料を併せて用いる場合には合計質量を意味する。また、質量とは固形分質量を意味する。
マゼンタ染料層2Mの固形分総量に対する昇華性染料の含有量についても特に限定はないが、60質量%以上80質量%以下の範囲内であることが好ましい。
B染料の含有量について特に限定はないが、マゼンタ染料層2Mの固形分総量に対する昇華性染料の含有量、及び昇華性染料全体に対するA染料とB染料の合計質量が上記好ましい範囲内である場合において、A染料とB染料との合計質量に対するB染料の質量が、40質量%未満である場合には、A染料とB染料とを含む昇華性染料全体としての染料の保存安定性を十分に満足させることができない場合が生じうる。また、B染料の質量が90質量%を超えると、その分、A染料の含有量が低下することとなり、濃度の低下を引き起こす場合が生じうる。したがって、この点を考慮すると、A染料とB染料との合計質量に対するB染料の質量は40質量%以上90質量%以下の範囲内であることが好ましい。
また、本発明の趣旨を妨げない範囲で、マゼンタ染料層2Mに、上記A染料と、B染料以外の他の染料を含有させてもよい。以下、任意の染料であるC染料について説明する。
(C染料)
マゼンタ染料層には、必須の染料である上記A染料、B染料ともに、C染料として、以下の一般式(5)で示される染料を含有していてもよい。
Figure 0006079383
一般式(5)中のR1、R2は、アリル基、C1〜C8のアルキル基、C3〜C8のアルコキシアルキル基、アラルキル基、ヒドロキシアルキル基を表し、R3は水素原子、C1〜C4のアルコキシ基、メチル基、ハロゲン原子を表し、R4はメチル基、メトキシ基、ホルミルアミノ基、C1〜C8のアルキルカルボニルアミノ基、C1〜C8のアルキルスルホニルアミノ基、C1〜C8のアルコキシカルボニルアミノ基を表し、R5は水素原子、C1〜C8のアルキル基、C1〜C8のアルコキシ基、C3〜C8のアルコキシアルキル基、ハロゲン原子を表す。特には、一般式(5)中のR1、R2が、C1〜C8のアルキル基であり、R4が、C1〜C8のアルキルスルホニルアミノ基であり、R5が、C1〜C8のアルキル基であることが好ましい。
上記一般式(5)で示される染料は、ベンゼンアゾ系染料骨格を有する染料であり、上記A染料よりも保存安定性が高く、B染料よりも染料濃度が高い利点を有する。したがって、上記A染料、及びB染料とともに、C染料を併用してマゼンタ染料層に含有せしめることで、A染料、及びB染料のみを含有するマゼンタ染料層よりも、さらに、マゼンタ染料層における染料濃度を高めつつ、保存安定性の向上を図ることが可能となる。
上記一般式(5)で示される染料の具体的な例としては、例えば、以下の一般式(5−1)で示される染料などを挙げることができる。
Figure 0006079383
なお、C染料は、A染料や、B染料と比較して、上記の利点を有するものの、A染料と比較してマゼンタの濃度が低く、また、B染料と比較してニトロセルロース樹脂による染料保持力が低く、マゼンタ染料層に含まれるC染料の含有量が多くなるにつれ、濃度や、染料保持力が低下する傾向にある。したがって、A染料、及びB染料と併せて、C染料をマゼンタ染料層2Mに含有せしめる場合には、この点を考慮することが重要である。具体的には、A染料とC染料との合計質量に対する、C染料の質量は65質量%以下であって、かつ、A染料とB染料およびC染料との合計質量に対する、C染料の質量は30質量%以下あることが好ましい。
また、マゼンタ染料層2Mには、本発明の趣旨を妨げない範囲で、A染料、B染料、C染料以外の染料を含有させることもできる。
<ニトロセルロース樹脂>
マゼンタ染料層2Mは、必須のバインダー樹脂としてニトロセルロース樹脂を含有している。ニトロセルロース樹脂は、B染料との相性が良く、当該染料をマゼンタ染料層2M中で十分に保持することができる特徴を有する。そして、上述したようにこのB染料の存在によって昇華性染料全体としての保存安定性の向上が図られる。したがって、マゼンタ染料層2M中にニトロセルロース樹脂と、B染料とを含む本発明の熱転写シートによれば、本発明の熱転写シート10を巻取り状態で保管した時に、昇華性染料が、マゼンタ染料層2Mから背面層5へ移行するキックの発生が防止される。
また、ニトロセルロース樹脂は、染料転写効率が高い特徴を有することから、マゼンタの染料濃度が高いA染料を無駄なく被転写体上に移行させることができる。これにより、塗工量を少なくした場合であっても高い印画濃度を得ることができる。
ニトロセルロース樹脂の粘度について特に限定はないが、マゼンタ染料層2Mに、JIS K−6703による粘度が1/16未満のニトロセルロース樹脂を含有させた場合には、保存安定性が低下する傾向にある。一方、マゼンタ染料層2MにJIS K−6703による粘度が120を超えるニトロセルロース樹脂を含有させる場合には、マゼンタ染料層2Mの形成時にインキミスト等が発生するおそれが生じうる。
この点を考慮すると、マゼンタ染料層2Mには、JIS K−6703による粘度で、1/16以上120以下のニトロセルロース樹脂が含有されていることが好ましく、1/8以上120以下のニトロセルロース樹脂が含有されていることが更に好ましい。換言すれば、JIS K−6703による粘度(溶液濃度25%)が1.0秒〜14.9秒、JIS K−6703による粘度(溶液濃度20%)が6.0秒〜8.0秒、或いはJIS K−6703による粘度(溶液濃度12.2%)が4.0秒〜140.0秒のものが好ましい。JIS K−6703による粘度がこの範囲内のニトロセルロース樹脂をマゼンタ染料層2Mに含有させることで、保存安定性を更に向上させることができるとともに、マゼンタ染料層2Mの形成時にインキミスト等が発生することを防止することができる。
粘度が上記範囲内のニトロセルロース樹脂は市販品をそのまま用いることができる。粘度が上記範囲内のものとしては、例えば、太平化学製品(株)製のJIS K−6703で指定される種類及び粘度記号で、H1/16,H1/8,L1/8,H1/4,L1/4,H1/2,H1",H5",H20,H60,H120のものを挙げることができる。これ以外にも、稲畑産業(株)製のDHX3−5,DHX5−10,DHX8−13,DHX11−16,DHX30−50,DHX40−70,DHL25−45,DHL120−170,H20(160−210),DHM10−25,SL−1,DLX3−5,DLX5−8,DLX8−13,DLX30−50等も使用可能である。
また、ニトロセルロース樹脂は、窒素分(硝化度)が10%であることが好ましい。また、取り扱いの安全性を考慮すると窒素分は12.3%以下であることが好ましい。窒素分が10%以上のニトロセルロース樹脂をマゼンタ染料層2Mに含有させることで、染料転写効率の更なる向上が見込まれる。
マゼンタ染料層2Mには、本発明の趣旨を妨げない範囲内で、ニトロセルロース樹脂以外の他のバインダー樹脂が含まれていてもよい。他のバインダー樹脂としては、染料層に含まれる従来公知のバインダー樹脂、例えば、エチルセルロース樹脂、ヒドロキシエチルセルロース樹脂、エチルヒドロキシセルロース樹脂、メチルセルロース樹脂、酢酸セルロース樹脂等のセルロース系樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリビニルピロリドン等のビニル系樹脂、ポリ(メタ)アクリレート、ポリ(メタ)アクリルアミド等のアクリル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂等が挙げられる。
マゼンタ染料層2Mに、ニトロセルロース樹脂以外のバインダー樹脂を含有させる場合における、ニトロセルロース樹脂の含有量についても特に限定はないが、ニトロセルロース樹脂を含む全バインダー樹脂の固形分総量に対する、ニトロセルロース樹脂の含有量が、70質量%未満である場合には、一般式(1)で示される染料を含む昇華性染料を、十分に保持することができない場合がある。また、染料転写効率も低下する傾向にある。この点を考慮すると、バインダー樹脂の固形分総量に対するニトロセルロース樹脂の含有量は、70質量%以上であることが好ましい。上限値について特に限定はなく、100質量%である。
また、上記に例示した他のバインダー樹脂の中でも、ポリビニルブチラール樹脂や、ポリビニルアセタール樹脂は、基材1と染料層2との間に設けられる任意のプライマー層3との密着性を向上させることができる点で好ましい。染料層2に、ポリビニルブチラール及び/又はポリビニルアセタールと、上記割合でニトロセルロース樹脂を含有せしめることで、本発明の熱転写シート10を用いた画像形成時に、熱転写受像シート等の被転写体に染料層2ごととられる異常転写の発生を防止することができる。
バインダー樹脂の固形分総量に対する、ポリビニルアセタール及び/又はポリビニルブチラールの合計質量は、30質量%以下の範囲内であることが好ましい。
また、昇華性染料と、バインダー樹脂との質量比率(D/B比(昇華性染料/バインダー樹脂))(以下D/B比という)を高くすることで、更なる濃度の向上を図ることもできる。具体的には、D/B比が2.0以上とすることで、本発明の熱転写シートを用いて得られる印画物に高い濃度を付与することができる。なお、昇華性染料の質量とは、A染料、B染料、及び必要に応じて含有されるC染料等の他の染料の合計質量であり、バインダー樹脂の質量とは、ニトロセルロース樹脂を含む全てのバインダー樹脂の合計質量を意味する。
D/B比の好ましい上限値について特に限定はないが、D/B比が3.5を超える場合には、バインダー樹脂に対する昇華性染料の染料量が多くなりすぎ、ニトロセルロース樹脂を含むバインダー樹脂が、A染料、及びB染料を含む昇華性染料を保持しきれず保存安定性が低下する場合がある。したがって、この点を考慮すると、D/B比は2.0以上3.5以下の範囲内であることが好ましい。
また、マゼンタ染料層2Mの固形分総量に対する、バインダー樹脂の含有量は、20質量%以上50質量%以下の範囲内であることが好ましい。D/B比を上記範囲内とするとともに、マゼンタ染料層2Mの固形分総量に対するバインダー樹脂の含有量をこの範囲内とすることで、染料の保存安定性や、染料転写効率のさらなる向上を図ることができる。
マゼンタ染料層2Mの厚みについても特に限定はないが、マゼンタ染料層2Mの厚みが0.13g/m2未満である場合には、濃度の向上効果が低下する傾向にある。また、マゼンタ染料層2Mの厚みが、0.50m2を超えると染料転写効率が低下する傾向にある。したがって、この点を考慮すると、マゼンタ染料層2Mの厚みは、乾燥時で0.13g/m2以上0.50g/m2以下であることが好ましい。
また、マゼンタ染料層2Mには、昇華性染料やバインダー樹脂のほか、無機微粒子、有機微粒子等の添加剤が含有されていてもよい。無機微粒子としては、カーボンブラック、アルミニウム、二硫化モリブデン等が挙げられ、有機微粒子としては、ポリエチレンワックス、シリコーン樹脂微粒子等が挙げられる。また、マゼンタ染料層2Mには、本発明の趣旨を妨げない範囲内で、他の離型剤が含有されていてもよい。他の離型剤としては、従来公知のシリコーンやリン酸エステル等を挙げることができる。
マゼンタ染料層2Mの形成方法についても特に限定はなく、A染料、B染料、及び必要に応じて添加されるC染料等の他の染料、ニトロセルロース樹脂を含むバインダー樹脂、更に必要に応じて添加剤、例えば、離型剤や有機微粒子などを加えて、トルエン、メチルエチルケトン、イソプロピルアルコール、エタノール、シクロヘキサノン、DMFなどの適当な有機溶剤に溶解、あるいは有機溶剤や水に分散した塗工液をグラビア印刷、ダイコート印刷、バーコート印刷、スクリーン印刷、又はグラビア版を用いたリバースロールコーティング印刷等の手段により塗布、及び乾燥して形成することができる。
なお、図1に示す形態では、基材1上にマゼンタ染料層2Mのみが設けられた構成をとっているが、例えば、図2に示すように異なる昇華性染料を含む染料層を同一基材の同一面に面順次に繰り返し設けることも可能である。なお、図2は、本発明における必須の層であるマゼンタ染料層2M、及び任意の染料層であるイエロー染料層2Y、シアン染料層2Cが、面順次に設けられた構成をとる熱転写シート10の一例を示す概略断面図である。また、図1で示される構成においてマゼンタ染料層2Mと同一面上に、或いは図2に示す構成において、イエロー染料層2Y、マゼンタ染料層2M、シアン染料層2Cと同一面上に図示しない転写性保護層を設けることとしてもよい。
(プライマー層)
図1、2に示すように、基材1とマゼンタ染料層2Mとの間には、プライマー層3が設けられていることが好ましい。プライマー層3を設けることで基材1とマゼンタ染料層2Mとの密着性を向上させることができる。
プライマー層3を構成する樹脂としては、ポリエステル系樹脂、ポリビニルピロリドン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ヒドロキシエチルセルロース、ポリアクリル酸エステル系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、スチレンアクリレート系樹脂、ポリアクリルアミド系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエーテル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリビニルアセトアセタールやポリビニルブチラール等のポリビニルアセタール系樹脂等が挙げられる。
また、プライマー層3をコロイド状無機顔料超微粒子から構成することもできる。これにより熱転写時の熱転写受像シートへのマゼンタ染料層2Mの異常転写を防止できるだけでなく、印画時のマゼンタ染料層2Mからプライマー層3への染料の移行を防止し、熱転写受像シートの受容層側への染料拡散を有効に行なうことができ、印画濃度を高めることができる。
コロイド状無機顔料超微粒子として、従来公知の化合物が使用できる。例えば、シリカ(コロイダルシリカ)、アルミナ或はアルミナ水和物(アルミナゾル、コロイダルアルミナ、カチオン性アルミニウム酸化物又はその水和物、擬ベーマイト等)、珪酸アルミニウム、珪酸マグネシウム、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、酸化チタン等が挙げられる。特に、コロイダルシリカ、アルミナゾルが好ましく用いられる。これらのコロイド状無機顔料超微粒子の大きさは、一次平均粒径で100nm以下、好ましくは50nm以下で用いることが好ましい。
プライマー層3は、上記で例示した樹脂や、コロイド状無機顔料超微粒子を適当な溶媒に溶解或いは分散したプライマー層用塗工液をグラビアコーティング法、ロールコート法、スクリーン印刷法、グラビア版を用いたリバースロールコーティング法等の従来から公知の形成手段により、塗布・乾燥して形成することができる。プライマー層用塗工液の塗工量は、0.02〜1.0g/m2程度であることが好ましい。
また、プライマー層3とともに、又はこれにかえて、各種の機能層を設けてもよい。各種の機能層としては、例えば、帯電防止層等を例示することができる。
(背面層)
図1に示すように、基材1の他方の面に、耐熱性、及び印画時におけるサーマルヘッドの走行性等を向上させるための背面層5が設けられている。
背面層5は、従来公知の熱可塑性樹脂等を適宜選択して形成することができる。このような、熱可塑性樹脂として、例えば、ポリエステル系樹脂、ポリアクリル酸エステル系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、スチレンアクリレート系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂等のポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリエーテル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリアミドイミド系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、ポリビニルクロリド樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルアセトアセタール樹脂等のポリビニルアセタール樹脂等の熱可塑性樹脂、これらのシリコーン変性物等が挙げられる。
また、上記した樹脂に硬化剤を添加してもよい。硬化剤として機能するポリイソシアネート樹脂としては、特に制限なく従来公知のものを使用できるが、それらのなかでも、芳香族系イソシアネートのアダクト体を使用することが望ましい。芳香族系ポリイソシアネートとしては、2,4−トルエンジイソシアネート、2,6−トルエンジイソシアネート、又は、2,4−トルエンジイソシアネートと2,6−トルエンジイソシアネートの混合物、1,5−ナフタレンジイソシアネート、トリジンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、trans−シクロヘキサン−1,4−ジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、トリス(イソシアネートフェニル)チオフォスフェートがあげられ、特に2,4−トルエンジイソシアネート、2,6−トルエンジイソシアネート、又は、2,4−トルエンジイソシアネートと2,6−トルエンジイソシアネートの混合物が好ましい。このようなポリイソシアネート樹脂は、上記した水酸基含有熱可塑性樹脂をその水酸基を利用して架橋させ、背面層の塗膜強度や耐熱性を向上させる。
また、背面層5には、上記熱可塑性樹脂に加え、スリップ性を向上させる目的で、ワックス、高級脂肪酸アミド、リン酸エステル化合物、金属石鹸、シリコーンオイル、界面活性剤等の離型剤、フッ素樹脂等の有機粉末、シリカ、クレー、タルク、炭酸カルシウム等の無機粒子等の各種添加剤が含有されていることが好ましく、リン酸エステル又は金属石鹸の少なくとも1種が含有されていることが特に好ましい。
背面層5は、例えば、上記熱可塑性樹脂、必要に応じて添加される各種添加材を適当な溶媒に分散又は溶解させた塗工液を、基材1のマゼンタ染料層2Mの反対側の面上に、グラビア印刷法、スクリーン印刷法、グラビア版を用いたリバースロールコーティング印刷法等の公知の手段により、塗布し、乾燥することにより形成することができる。背面層5の塗工量は、耐熱性等の向上等の点から、乾燥後塗工量が3g/m2以下であることが好ましく、0.1〜2g/m2にすることがより好ましい。
以下に実施例と比較例を挙げて本発明を説明する。なお、文中の「部」は特に断りのない限り質量基準である。
(実施例1)
基材として厚さ5μmのポリエチレンテレフタレートフィルムを用い、この上に、下記組成の背面層用塗工液を乾燥時1.0g/m2になるように塗布し、背面層を形成した。次いで、前記基材の背面層を設けた側とは反対の面に、下記組成のプライマー層用塗工液を乾燥時0.10g/m2になるように塗布し、プライマー層を形成した。次いで、プライマー層上に下記組成のマゼンタ染料層用塗工液1を乾燥時0.35g/m2になるように塗布し80℃で2分間乾燥することでマゼンタ染料層を形成し、実施例1の熱転写シートを得た。
<背面層用塗工液>
・ポリビニルブチラール樹脂 6.0部
(エスレックBX−1、積水化学工業(株)製)
・ポリイソシアネート硬化剤 22.0部
(バーノックD750−45、固形分45%、DIC(株)製)
・リン酸エステル 3.0部
(プライサーフA−208N、第一工業製薬(株)製)
・タルク 1.0部
(ミクロエース P−3、日本タルク工業(株)製)
・メチルエチルケトン 60.0部
・トルエン 60.0部
<プライマー層用塗工液>
・アルミナゾル(固形分10%) 50部
(アルミナゾル200(羽毛状形態) 日産化学工業(株)製)
・ポリビニルピロリドン樹脂(K−90 ISP社製) 5部
・水 25部
・イソプロピルアルコール 20部
<マゼンタ染料層用塗工液1(D/B比=2.5)>
・上記一般式(1−1)に示される化合物「A染料として」 1部
・上記一般式(4−1)に示される化合物「B染料として」 1.5部
・ニトロセルロース樹脂(固形分70% H40相当) 1.43部(固形分1.0部)
(DHM10−25 稲畑産業(株)製)
溶剤(トルエン/MEK=1:1)を添加し100部とした。
(実施例2)
マゼンタ染料層用塗工液1を下記組成のマゼンタ染料層用塗工液2に変更した以外は、全て実施例1と同様にして実施例2の熱転写シートを得た。
<マゼンタ染料層用塗工液2(D/B比=2.5)>
・上記一般式(2−1)に示される化合物「A染料として」 1部
・上記一般式(4−1)に示される化合物「B染料として」 1.5部
・ニトロセルロース樹脂(固形分70% H40相当) 1.43部(固形分1.0部)
(DHM10−25 稲畑産業(株)製)
溶剤(トルエン/MEK=1:1)を添加し100部とした。
(実施例3)
マゼンタ染料層用塗工液1を下記組成のマゼンタ染料層用塗工液3に変更した以外は、全て実施例1と同様にして実施例3の熱転写シートを得た。
<マゼンタ染料層用塗工液3(D/B比=2.5)>
・上記一般式(1−1)に示される化合物「A染料として」 0.5部
・上記一般式(3−1)に示される化合物「B染料として」 0.8部
・上記一般式(4−1)に示される化合物「B染料として」 1.2部
・ニトロセルロース樹脂(固形分70% H40相当) 1.43部(固形分1.0部)
(DHM10−25 稲畑産業(株)製)
溶剤(トルエン/MEK=1:1)を添加し100部とした。
(実施例4)
マゼンタ染料層用塗工液1を下記組成のマゼンタ染料層用塗工液4に変更した以外は、全て実施例1と同様にして実施例4の熱転写シートを得た。
<マゼンタ染料層用塗工液4(D/B比=2.5)>
・上記一般式(1−1)に示される化合物「A染料として」 0.79部
・上記一般式(3−1)に示される化合物「B染料として」 0.69部
・上記一般式(4−1)に示される化合物「B染料として」 1.02部
・ニトロセルロース樹脂(固形分70% H40相当) 1.43部(固形分1.0部)
(DHM10−25 稲畑産業(株)製)
溶剤(トルエン/MEK=1:1)を添加し100部とした。
(実施例5)
マゼンタ染料層用塗工液1を下記組成のマゼンタ染料層用塗工液5に変更した以外は、全て実施例1と同様にして実施例5の熱転写シートを得た。
<マゼンタ染料層用塗工液5(D/B比=2.5)>
・上記一般式(1−1)に示される化合物「A染料として」 1部
・上記一般式(3−1)に示される化合物「B染料として」 0.6部
・上記一般式(4−1)に示される化合物「B染料として」 0.9部
・ニトロセルロース樹脂(固形分70% H40相当) 1.43部(固形分1.0部)
(DHM10−25 稲畑産業(株)製)
溶剤(トルエン/MEK=1:1)を添加し100部とした。
(実施例6)
マゼンタ染料層用塗工液1を下記組成のマゼンタ染料層用塗工液6に変更した以外は、全て実施例1と同様にして実施例6の熱転写シートを得た。
<マゼンタ染料層用塗工液6(D/B比=2.5)>
・上記一般式(2−1)に示される化合物「A染料として」 1部
・上記一般式(3−1)に示される化合物「B染料として」 0.6部
・上記一般式(4−1)に示される化合物「B染料として」 0.9部
・ニトロセルロース樹脂(固形分70% H40相当) 1.43部(固形分1.0部)
(DHM10−25 稲畑産業(株)製)
溶剤(トルエン/MEK=1:1)を添加し100部とした。
(実施例7)
マゼンタ染料層用塗工液1を下記組成のマゼンタ染料層用塗工液7に変更した以外は、全て実施例1と同様にして実施例7の熱転写シートを得た。
<マゼンタ染料層用塗工液7(D/B比=2.5)>
・上記一般式(2−1)に示される化合物「A染料として」 0.5部
・上記一般式(3−1)に示される化合物「B染料として」 0.8部
・上記一般式(4−1)に示される化合物「B染料として」 1.2部
・ニトロセルロース樹脂(固形分70% H40相当) 1.43部(固形分1.0部)
(DHM10−25 稲畑産業(株)製)
溶剤(トルエン/MEK=1:1)を添加し100部とした。
(実施例8)
マゼンタ染料層用塗工液1を下記組成のマゼンタ染料層用塗工液8に変更した以外は、全て実施例1と同様にして実施例8の熱転写シートを得た。
<マゼンタ染料層用塗工液8(D/B比=2.5)>
・上記一般式(1−1)に示される化合物「A染料として」 0.25部
・上記一般式(2−1)に示される化合物「A染料として」 0.25部
・上記一般式(3−1)に示される化合物「B染料として」 0.8部
・上記一般式(4−1)に示される化合物「B染料として」 1.2部
・ニトロセルロース樹脂(固形分70% H40相当) 1.43部(固形分1.0部)
(DHM10−25 稲畑産業(株)製)
溶剤(トルエン/MEK=1:1)を添加し100部とした。
(実施例9)
マゼンタ染料層用塗工液1を下記組成のマゼンタ染料層用塗工液9に変更した以外は、全て実施例1と同様にして実施例9の熱転写シートを得た。
<マゼンタ染料層用塗工液9(D/B比=2.5)>
・上記一般式(1−1)に示される化合物「A染料として」 0.5部
・上記一般式(2−1)に示される化合物「A染料として」 0.5部
・上記一般式(4−1)に示される化合物「B染料として」 1.5部
・ニトロセルロース樹脂(固形分70% H40相当) 1.43部(固形分1.0部)
(DHM10−25 稲畑産業(株)製)
溶剤(トルエン/MEK=1:1)を添加し100部とした。
(実施例10)
マゼンタ染料層用塗工液1を下記組成のマゼンタ染料層用塗工液10に変更した以外は、全て実施例1と同様にして実施例10の熱転写シートを得た。
<マゼンタ染料層用塗工液10(D/B比=2.5)>
・上記一般式(1−1)に示される化合物「A染料として」 0.75部
・上記一般式(2−1)に示される化合物「A染料として」 0.75部
・上記一般式(4−1)に示される化合物「B染料として」 1部
・ニトロセルロース樹脂(固形分70% H40相当) 1.43部(固形分1.0部)
(DHM10−25 稲畑産業(株)製)
溶剤(トルエン/MEK=1:1)を添加し100部とした。
(実施例11)
マゼンタ染料層用塗工液1を下記組成のマゼンタ染料層用塗工液11に変更した以外は、全て実施例1と同様にして実施例11の熱転写シートを得た。
<マゼンタ染料層用塗工液11(D/B比=2.5)>
・上記一般式(1−1)に示される化合物「A染料として」 0.5部
・上記一般式(2−1)に示される化合物「A染料として」 0.5部
・上記一般式(3−1)に示される化合物「B染料として」 0.6部
・上記一般式(4−1)に示される化合物「B染料として」 0.9部
・ニトロセルロース樹脂(固形分70% H40相当) 1.43部(固形分1.0部)
(DHM10−25 稲畑産業(株)製)
溶剤(トルエン/MEK=1:1)を添加し100部とした。
(実施例12)
マゼンタ染料層用塗工液1を下記組成のマゼンタ染料層用塗工液12に変更した以外は、全て実施例1と同様にして実施例12の熱転写シートを得た。
<マゼンタ染料層用塗工液12(D/B比=2.7)>
・上記一般式(1−1)に示される化合物「A染料として」 0.27部
・上記一般式(3−1)に示される化合物「B染料として」 0.8部
・上記一般式(4−1)に示される化合物「B染料として」 1.18部
・上記一般式(5−1)に示される化合物「C染料として」 0.45部
・ニトロセルロース樹脂(固形分70% H40相当) 1.43部(固形分1.0部)
(DHM10−25 稲畑産業(株)製)
溶剤(トルエン/MEK=1:1)を添加し100部とした。
(実施例13)
マゼンタ染料層用塗工液1を下記組成のマゼンタ染料層用塗工液13に変更した以外は、全て実施例1と同様にして実施例13の熱転写シートを得た。
<マゼンタ染料層用塗工液13(D/B比=2.7)>
・上記一般式(1−1)に示される化合物「A染料として」 0.35部
・上記一般式(3−1)に示される化合物「B染料として」 0.9部
・上記一般式(4−1)に示される化合物「B染料として」 1.25部
・上記一般式(5−1)に示される化合物「C染料として」 0.2部
・ニトロセルロース樹脂(固形分70% H40相当) 1.43部(固形分1.0部)
(DHM10−25 稲畑産業(株)製)
溶剤(トルエン/MEK=1:1)を添加し100部とした。
(実施例14)
マゼンタ染料層用塗工液1を下記組成のマゼンタ染料層用塗工液14に変更した以外は、全て実施例1と同様にして実施例14の熱転写シートを得た。
<マゼンタ染料層用塗工液14(D/B比=2.7)>
・上記一般式(1−1)に示される化合物「A染料として」 0.42部
・上記一般式(3−1)に示される化合物「B染料として」 0.83部
・上記一般式(4−1)に示される化合物「B染料として」 1.22部
・上記一般式(5−1)に示される化合物「C染料として」 0.23部
・ニトロセルロース樹脂(固形分70% H40相当) 1.43部(固形分1.0部)
(DHM10−25 稲畑産業(株)製)
溶剤(トルエン/MEK=1:1)を添加し100部とした。
(実施例15)
マゼンタ染料層用塗工液1を下記組成のマゼンタ染料層用塗工液15に変更した以外は、全て実施例1と同様にして実施例15の熱転写シートを得た。
<マゼンタ染料層用塗工液15(D/B比=2.7)>
・上記一般式(1−1)に示される化合物「A染料として」 0.13部
・上記一般式(3−1)に示される化合物「B染料として」 0.78部
・上記一般式(4−1)に示される化合物「B染料として」 1.14部
・上記一般式(5−1)に示される化合物「C染料として」 0.65部
・ニトロセルロース樹脂(固形分70% H40相当) 1.43部(固形分1.0部)
(DHM10−25 稲畑産業(株)製)
溶剤(トルエン/MEK=1:1)を添加し100部とした。
(実施例16)
マゼンタ染料層用塗工液1を下記組成のマゼンタ染料層用塗工液16に変更した以外は、全て実施例1と同様にして実施例16の熱転写シートを得た。
<マゼンタ染料層用塗工液16(D/B比=2.7)>
・上記一般式(1−1)に示される化合物「A染料として」 0.35部
・上記一般式(3−1)に示される化合物「B染料として」 0.9部
・上記一般式(4−1)に示される化合物「B染料として」 1.25部
・上記一般式(5−1)に示される化合物「C染料として」 0.2部
・ニトロセルロース樹脂(固形分70% H40相当) 1.14部(固形分0.8部)
(DHM10−25 稲畑産業(株)製)
・ポリビニルブチラール樹脂 0.2部
(エスレックBX−L 積水化学工業(株)製)
溶剤(トルエン/MEK=1:1)を添加し100部とした。
(実施例17)
マゼンタ染料層用塗工液1にかえて、マゼンタ染料層用塗工液4のニトロセルロース樹脂(固形分70% H40相当)(DHM10−25 稲畑産業(株)製)1.43部(固形分1.0部)を、ニトロセルロース樹脂((固形分70% H1/2相当)(DHX40−70 稲畑産業(株)製)1.43部(固形分1.0部)に変更したマゼンタ染料層用塗工液17を使用した以外は、全て実施例1と同様にして実施例17の熱転写シートを得た。
(実施例18)
マゼンタ染料層用塗工液1にかえて、マゼンタ染料層用塗工液4のニトロセルロース樹脂(固形分70% H40相当)(DHM10−25 稲畑産業(株)製)1.43部(固形分1.0部)を、ニトロセルロース樹脂((固形分70%)(種類及び粘度記号H120 太平化学(株)製)1.43部(固形分1.0部)に変更したマゼンタ染料層用塗工液18を使用した以外は、全て実施例1と同様にして実施例18の熱転写シートを得た。
(比較例1)
マゼンタ染料層用塗工液1を下記組成のマゼンタ染料層用塗工液Aに変更した以外は、全て実施例1と同様にして比較例1の熱転写シートを得た。
<マゼンタ染料層用塗工液A(D/B比=2.5)>
・上記一般式(3−1)に示される化合物「B染料として」 1部
・上記一般式(4−1)に示される化合物「B染料として」 1.5部
・ニトロセルロース樹脂(固形分70% H40相当) 1.43部(固形分1.0部)
(DHM10−25 稲畑産業(株)製)
溶剤(トルエン/MEK=1:1)を添加し100部とした。
(比較例2)
マゼンタ染料層用塗工液1を下記組成のマゼンタ染料層用塗工液Bに変更した以外は、全て実施例1と同様にして比較例2の熱転写シートを得た。
<マゼンタ染料層用塗工液B(D/B比=2.5)>
・上記一般式(1−1)に示される化合物「A染料として」 2.5部
・ポリビニルアセタール樹脂 1.0部
(エスレックKS−5 積水化学工業(株)製)
溶剤(トルエン/MEK=1:1)を添加し100部とした。
(比較例3)
マゼンタ染料層用塗工液1を下記組成のマゼンタ染料層用塗工液Cに変更した以外は、全て実施例1と同様にして比較例3の熱転写シートを得た。
<マゼンタ染料層用塗工液C(D/B比=2.5)>
・上記一般式(1−1)に示される化合物「A染料として」 0.78部
・上記一般式(3−1)に示される化合物「B染料として」 0.69部
・上記一般式(4−1)に示される化合物「B染料として」 1.02部
・ポリビニルアセタール樹脂 1.0部
(エスレックKS−5 積水化学工業(株)製)
溶剤(トルエン/MEK=1:1)を添加し100部とした。
(比較例4)
マゼンタ染料層用塗工液1を下記組成のマゼンタ染料層用塗工液Dに変更した以外は、全て実施例1と同様にして比較例4の熱転写シートを得た。
<マゼンタ染料層用塗工液D(D/B比=2.5)>
・上記一般式(1−1)に示される化合物「A染料として」 0.75部
・上記一般式(2−1)に示される化合物「A染料として」 0.75部
・上記一般式(4−1)に示される化合物「B染料として」 1部
・ポリビニルアセタール樹脂 1.0部
(エスレックKS−5 積水化学工業(株)製)
溶剤(トルエン/MEK=1:1)を添加し100部とした。
(印画物の濃度評価)
上記で得られた各実施例、比較例の熱転写シートを用い、テストプリンタ(ヘッド抵抗値;5058Ω,印画条件;25.5V 2ms パルスデューティ比85%)にて、DNPフォトルシオ製プリンタDS40用メディアセットDS40PC(DM4640)の熱転写受像シートにMax階調印画を行うことで画像を形成した。次いで、この画像上に、メディアセットの保護層を転写し実施例、比較例の印画物を形成した。
各実施例、比較例の印画物の濃度を、以下の条件で測色し、以下の評価基準に基づいて印画濃度の評価を行った。表1に、実測値とともに、評価結果を示す。
(濃度測色条件)
・測色器:分光測定器SpectroLino(Gretag Macbeth社製)
・濃度測定用フィルター:ANSI Status A
「評価基準」
○・・・濃度が2.0以上である。
×・・・濃度が2.0未満である。
(染料転写効率の評価)
Max階調印画後の各実施例、比較例の熱転写シート、及び未印画の各実施例、比較例の熱転写シートを5cm×5cmの大きさに切断し、これを5cm×5cmの大きさに切断し、高速液体クロマトグラフィ(島津製作所(株)製)を用い、印画部、未印画部の染料量の測定を行った。このとき、未印画部の染料量と印画部残存染料量との差を熱転写受像シートに転写された転写染料量とし、転写染料量を未印画部の染料量で除した値を染料転写効率とした。表1に、染料転写効率の実測値とともに、以下の評価基準により染料転写効率の評価結果を示す。
「評価基準」
○・・・染料転写効率が80%以上である。
△・・・染料転写効率が75%以上である。
×・・・染料転写効率が75%未満である。
(キック評価)
各実施例、比較例の熱転写シートのマゼンタ染料層と、上記濃度評価で使用した熱転写受像シートの耐熱滑性層が対向するように重ね合わせ、1.5kg/cm2の荷重をかけて、40℃、湿度90%環境下で96時間保管し、耐熱滑性層側へのマゼンタ染料層の染料の転写(キック)度合いの確認を行った。染料の転写度合いは、色彩色差計(CR321 コニカミノルタ(株)製)を用い、転写部の耐熱滑性層の色相、及び未転写部の耐熱滑性層の色相を測定し、その色差(ΔE*)を下記式にて算出した。なお、L***は、CIE1976、L***表色系(JIS Z8729 1980)に規定されているL***を意味する。
ΔE*=((荷重前後のL*値の差)2+(荷重前後のa*値の差)2+(荷重前後のb*値の差)21/2
表1に色差の算出結果を示すとともに、以下の評価基準により評価した保存性の評価結果を示す。なお、荷重前後の色差が小さいほど、キックの度合いが少ないことを示す。
「評価基準」
○・・・荷重前後の耐熱滑性層の色差(ΔE*)が5未満である。
△・・・荷重前後の耐熱滑性層の色差(ΔE*)が5.5未満である。
×・・・荷重前後の耐熱滑性層の色差(ΔE*)が5.5以上である。
(地汚れ評価)
各実施例、比較例の熱転写シートのマゼンタ染料層と、上記染料転写効率評価で使用した熱転写受像シートの耐熱滑性層が対向するように重ね合わせ、27kg/cm2の荷重をかけて、40℃、湿度90%環境下で96時間保存を行った。保存後の各実施例、比較例熱転写シートを、上記染料転写効率で使用したテストプリンタを用いて印画を行い、保存後の熱転写シートを用いた印画物を得た。保存後の熱転写シートを用いた印画物と、未保存の熱転写シートを用いた印画物の色相を、Spectrolino(X−Light社製)を用いて測定し、その色差(ΔE*)を下記式にて算出した。
ΔE*=((保存前後のL*値の差)2+(保存前後のa*値の差)2+(保存前後のb*値の差)21/2
なお、L***は、CIE1976、L***表色系(JIS Z8729 1980)に規定されているL***を意味する。
表1に色差の算出結果を示すとともに、以下の評価基準により評価した保存性の評価結果を示す。なお、保存前後の色差が小さいほど、高温・高湿環境下における染料析出が少なく保存性が高いことを示す。
「評価基準」
○・・・保存前後の印画物の色差(ΔE*)が0.2未満である。
△・・・保存前後の印画物の色差(ΔE*)が0.2以上0.3未満である。
×・・・保存前後の印画物の色差(ΔE*)が0.3以上である。
Figure 0006079383
10…熱転写シート
1…基材
2Y…イエロー染料層
2M…マゼンタ染料層
2C…シアン染料層
3…プライマー層
5…背面層

Claims (4)

  1. 基材の一方の面にマゼンタ染料層が設けられ、前記基材の他方の面に背面層が設けられた熱転写シートであって、
    前記マゼンタ染料層には、ニトロセルロース樹脂と、昇華性染料とが含有されており、
    前記昇華性染料には、A染料;下記一般式(1)及び/又は下記一般式(2)で示される染料と、B染料;下記一般式(3)及び/又は下記一般式(4)で示される染料とが含まれることを特徴とする熱転写シート。
    Figure 0006079383
    一般式(1)中のR1、R2は、それぞれ独立に水素原子、置換あるいは非置換のアルキル基、ビニル基、アリル基、アリール基、アルコキシアルキル基、アラルキル基、アルコキシカルボニルアルキル基、カルボキシアルキル基、またはアルコキシカルボキシアルキル基を表し、R1とR2とは互いに環を形成してもよい。R3は水酸基、ハロゲン原子、シアノ基、置換あるいは非置換のアルキル基、アルキルホルミルアミノ基、アルキルスルホニルアミノ基、ホルミルアミノ基、アリルホルミルアミノ基、スルホニルアミノ基、アリルスルホニルアミノ基、カルバモイル基、スルファモイル基、アミノ基、カルボキシル基、アルコキシ基またはウレイド基を表し、R4、R5は、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、置換あるいは非置換のアルキル基、アリル基、置換あるいは非置換のアリール基、アラルキル基、アルコキシアルキル基、アラルキルオキシアルキル基、チオアルキル基、アリルオキシアルキル基、アリールオキシアルキル基、カルボモイル基、スルファモイル基、オキシカルボニル基、アミノ基、ホルミルアミノ基、スルホニルアミノ基、アルコキシカルボニルアルキル基、複素環基、シクロアルキル基、アルキルチオ基、アルキルスルフィニル基、またはアルキルスルホニル基を表す。
    Figure 0006079383
    一般式(2)中のR1、R2はアルケニル基、アラルキル基、または置換あるいは非置換のアルキル基を表し、R3は水素原子、メチル基、メトキシ基、またはハロゲン原子をR4は水素原子、メチル基、メトキシ基、ホルミルアミノ基、アルキルカルボニルアミノ基、アルキルスルホニルアミノ基、またはアルコキシカルボニルアミノ基を表し、R5は、アルキル基、アルケニル基、アリル基、アリール基、シアノアルキル基、置換あるいは非置換のアルコキシカルボニルアルキル基を表す。
    Figure 0006079383
    一般式(3)中のX及びYは−S−、−O−又は−SO2−を表し、R1及びR2は置換又は非置換のアルキル基、シクロアルキル基、アリール基又はアリル基を表す。
    Figure 0006079383
    一般式(4)中のXは−S−、−O−又は−SO2−を表し、R1は置換又は非置換のアルキル基、シクロアルキル基、アリール基又はアリル基を表す。
  2. 前記A染料と前記B染料との合計質量に対する、前記B染料の質量が40質量%以上90質量%以下の範囲内であることを特徴とする請求項1に記載の熱転写シート。
  3. 前記マゼンタ染料層には、C染料;下記一般式(5)で示される染料が含まれ、
    前記A染料と前記C染料の合計質量に対する、前記C染料の質量が65質量%以下であり、
    前記A染料と前記B染料と前記C染料の合計質量に対する、前記C染料の質量が30質量%以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載の熱転写シート。
    Figure 0006079383
    一般式(5)中のR1、R2は、アリル基、C1〜C8のアルキル基、C3〜C8のアルコキシアルキル基、アラルキル基、ヒドロキシアルキル基を表し、R3は水素原子、C1〜C4のアルコキシ基、メチル基、ハロゲン原子を表し、R4はメチル基、メトキシ基、ホルミルアミノ基、C1〜C8のアルキルカルボニルアミノ基、C1〜C8のアルキルスルホニルアミノ基、C1〜C8のアルコキシカルボニルアミノ基を表し、R5は水素原子、C1〜C8のアルキル基、C1〜C8のアルコキシ基、C3〜C8のアルコキシアルキル基、ハロゲン原子を表す。
  4. 前記一般式(1)で表される染料が、下記一般式(1−1)で示される染料であり、前記一般式(2)で表される染料が下記一般式(2−1)で示される染料であり、前記一般式(3)で表される染料が下記一般式(3−1)で示される染料であり、前記一般式(4)で示される染料が下記一般式(4−1)で示される染料であり、前記一般式(5)で示される染料が、下記一般式(5−1)で示される染料であることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の熱転写シート。
    Figure 0006079383
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