JP3596921B2 - 熱転写シート - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は熱転写シートに関し、更に詳しくは従来商業的に広く使用されている各種カラー印刷と同様の広範囲な色再現性を有し、且つ耐光性及びに優れた画像を与える高感度フルカラー画像形成用熱転写シートに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、オフセット印刷、グラビア印刷等によって多くのフルカラー画像が形成されているが、これらの一般的印刷方法では、多くの設備費用及びスペースを要するという問題があり、例えば、軽工場や事務所等で簡便にカラー印刷を行うことが出来ないという問題がある。
【0003】
この様な問題を解決する方法として、昇華性(或は熱移行性)染料から三原色の熱転写シートを作成し、この熱転写シートを利用して熱エネルギーにより染料を転写してカラー画像を形成する熱転写方式が提案されている。この様な方式は、大きな印刷機やその他種々の付帯設備を必要とせず、容易にカラー画像の形成が可能であり、今後の発展が期待される。
【0004】
【発明が解決しようとしている問題点】
上記の熱転写方式は、被転写材と熱転写シートとを重ね合わせ、いずれかの側からサーマルヘッド、レーザー等により、画像情報に応じた熱エネルギーを与えて、熱転写シート上の染料を被転写材に転移させる方式であり、イエロー、マゼンタ及びシアンの3原色以外の中間色調は3原色の2色又は3色の転写ドットの重なりにより発色させている。
【0005】
従来は夫々耐光性や耐熱性に優れた3原色が選択されているが、単色では耐光性が良好であるものの、他の1色又は2色のドットと重なって中間色を発色させる場合には、染料同士の相互作用により格段に耐光性が低下し、フルカラー画像形成地における大きな問題となっている。
【0006】
又、従来の熱転写方式における問題として、形成されたフルカラー画像を夏場のごとく比較的高温に長期間放置しておくと、画像を形成している染料が拡散し、画像の繊細部が不鮮明になるという問題がある。
従って本発明者の目的は、上記の如き従来技術の問題点を解決し、単色部分は勿論中間色においても優れた耐光性及び耐熱性を有するフルカラー画像を与え、且つ非常に優れた広範囲の色再現を実現することが出来る熱転写シートを提供することである。
【0007】
【問題点を解決する為の手段】
上記目的は以下の本発明によって達成される。即ち、本発明は、長尺基材シート上に染料とバインダーとから複数の染料層が形成された熱転写シートにおいて、前記染料層のうち、イエロー染料層が下記式(Y)の染料を含み、シアン染料層が下記式(C−2)の染料を含むことを特徴とする熱転写シートである。
【0008】
【0009】
(R 3は置換又は非置換のアルキル基、置換又は非置換のアルコキシ基、置換又は非置換のアルキルカルボニルアミノ基、置換又は非置換のアルキルスルホニルアミノ基、置換又は非置換のアルキルアミノカルボニル基、置換又は非置換のアルキルアミノスルホニル基又はハロゲン原子を、R4は置換又は非置換のアルコキシカルボニル基、置換又は非置換のアルキルアミノカルボニル基、置換又は非置換のアルコキシ基、置換又は非置換のアリールオキシ基、置換又は非置換のアルキル基、置換又は非置換のシクロアルキル基、複素環基又はハロゲン原子を表わす。)
【0010】
【作用】
本発明で使用するイエロー染料は耐光性に優れており、他の染料系ではみられる異種染料間での触媒的光作用による耐光性の低下が認められない。又、有機溶剤に対して溶解性に優れているので、染料濃度の高いイエロー染料層を形成することが出来る。
一方、本発明で使用するシアン染料は、比較的耐熱性に優れており、他の染料と併用しても同様の効果を発揮することが出来る。
即ち、前記イエロー染料とシアン染料とを組み合わせて使用することによって、単色は勿論、それらの中間色(混色)においても優れた耐光性及び耐熱性を有する熱転写シートを提供することが出来る。
更に本発明において開示する特定のマゼンタ染料を用いることによって、諸堅牢性に優れたフルカラー画像を与え、且つ非常に優れた広範囲の色再現を実現することが出来る。
【0011】
【好ましい実施態様】
次に好ましい実施態様を挙げて本発明を更に詳細に説明する。
本発明の主たる特徴は、長尺基材シートの一方の面に面順次に複数の染料層を設け、イエロー染料層を特定のイエロー染料から、そしてシアン染料層を特定のシアン染料から形成することにより、単色部分は勿論中間色においても優れた耐光性及び耐熱性を有するフルカラー画像を与え、且つ非常に優れた広範囲の色再現を実現することが出来るフルカラー画像形成用熱転写シートを構成した点にある。
【0012】
即ち、本発明において使用するイエロー染料は、上記式(Y)の染料を含み、且つシアン染料は上記式(C−2)の染料を含み、夫々単独でも混合物としても使用することが出来る。更に、本発明においては、複数の染料層のうち、マゼンタ染料層に下記式(M)の染料を用いることにより、一層優れた効果を得ることが出来る。
(R4は置換又は非置換のアルコキシカルボニル基、置換又は非置換のアルキルアミノカルボニル基、置換又は非置換のアルコキシ基、置換又は非置換のアリールオキシ基、置換又は非置換のアルキル基、置換又は非置換のシクロアルキル基、複素環基又はハロゲン原子を、R5はアミノ基又は水酸基を、nは2以下の整数を表わす。)
本発明において、上記式(Y)、(M)の染料として特に好ましい染料としては下記式のうち、式(Y−1)、式(M−3〜4)で表わされる染料が挙げられる。
【0013】
他の染料は夫々上記好ましい染料に混合して使用することが出来る。特にマゼンタ染料を混合染料として使用する場合には、式(M−3〜4)の染料が他の染料との混合物中において20〜80重量%の割合になる量で使用し、又、シアン染料の場合には、混合染料のうち式(C−2)の染料が20重量%以上(20〜100重量%)になる割合で使用することが好ましい。上記混合して使用する場合には、式(M−3〜4)の染料又は式(C−2)の染料の含有率が低過ぎると形成された画像の耐熱性が低下する。又、マゼンタ染料の(M−3〜4)の含有率があまりに高いと、反射濃度が低下し、保存後の印字物に滲みが生じる。又、本発明の熱転写シートのマゼンタ染料層には、更に式(M−1)及び(M−2)で表わされる染料のうち少なくとも1種を含有してもよい。又、シアン染料層には、更に式(C−1)で表わされる染料を含有してもよい。これらの染料を各層に含有させることにより、より高い濃度の画像を得ることが可能となる。勿論、色相調整の為に、従来使用されている他の染料を本発明の効果を妨げない範囲において添加併用してもよい。
【0014】
【0015】
【0016】
上記の如き基材シートの表面に設ける染料層は、前記染料を任意のバインダー樹脂で担持させた層である。
前記の染料を担持する為のバインダー樹脂としては、従来公知のものがいずれも使用することが出来、好ましいものを例示すれば、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、エチルヒドロキシセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、酢酸セルロース、酢酪酸セルロース、酢酸プロピオン酸セルロース、硝酸セルロース等のセルロース系樹脂、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルブチラール、ポリビニルアセトアセタール、ポリビニルピロリドン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル等のビニル系樹脂、ポリアクリロニトリル、ポリアクリル酸エステル等のアクリル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、フェノキシ樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、エラストマー等が挙げられ、これらを混合又は共重合して用いてもよい。更に各種の硬化剤を添加してもよい。これらの中で特にポリビニルブチラール及びポリビニルアセタールが、耐熱性や染料の移行性等の点から好ましいものである。
【0017】
又、本発明においては、上記バインダー樹脂に代えて、次の如き離型性グラフトコポリマーを離型剤又はバインダー樹脂として用いることが出来る。これらの離型性グラフトコポリマーはポリマー主鎖にポリシロキサンセグメント、弗化炭素セグメント、弗化炭化水素セグメント、又は長鎖アルキルセグメントから選択された少なくとも1種の離型性セグメントをグラフト重合させてなるものである。
【0018】
これらのうち、特に好ましいのはポリビニルアセタール樹脂からなる主鎖にポリシロキサンセグメントをグラフトさせて得られたグラフトコポリマーである。上記グラフトコポリマーを製造するには、例えば、官能基を有するポリシロキサンとジイソシアネートとを反応させてグラフト用のシリコーン鎖を製造し、このグラフト用シリコーン鎖をポリビニルアセタールにグラフトさせることによって得られる。具体的には、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネートと片末端に水酸基を有するジメチルポリシロキサンをメチルエチルケトンとメチルイソブチルケトンとを1:1の割合で混合した溶媒中において、錫系触媒(例えば、ジブチル錫)を0.01〜1.0重量%程度添加し、50〜100℃程度の反応温度にてグラフト用シリコーン鎖を製造する。
次にこのグラフト用シリコーン鎖とポリビニルアセタール樹脂とをメチルエチルケトンとメチルイソブチルケトンとを1:1の割合で混合した溶媒中において反応させることによって、シリコーングラフトポリビニルアセタール樹脂を製造することが出来る。
【0019】
この様なグラフトコポリマーを染料層の離型剤(熱転写時における熱転写シートと受像紙との剥離性を向上させる)として用いる場合において、該離型剤における離型性セグメントの含有量は、グラフトコポリマー中の離型性セグメントの量が10〜80重量%となる割合が好ましく、離型性セグメントの量が少な過ぎると離型性が不十分となり、一方、多過ぎるとバインダー樹脂との相溶性が低下し、染料の移行性等の問題が生じるので好ましくない。又、上記離型剤を染料層に添加する場合は、単独でも混合物としても使用することが出来、その添加量はバインダー樹脂100重量部に対し、1〜40重量部が好ましい。
【0020】
添加量が少な過ぎると離型効果が不十分であり、多すぎては染料層の染料の移行性や皮膜強度が低下し、又、染料層中の染料の変色や熱転写シートの保存性の問題が生じて好ましくない。
一方、上記のグラフトコポリマーを染料層のバインダー樹脂として使用する場合においては、該バインダー樹脂における離型性セグメントの含有量は、バインダー樹脂中で離型性セグメントの量が0.5〜40重量%の割合であることが好ましく、離型性セグメントの量が少な過ぎると、染料層の離型性が不十分となり、逆に多すぎては染料層の染料の移行性や皮膜強度が低下し、又、染料層中の染料の変色や熱転写シートの保存性の問題が生じて好ましくない。
【0021】
本発明の熱転写シートは以上の如き特定の染料と樹脂バインダーとを組み合わせて3原色の染料層を面順次に形成する以外の構成は従来公知の熱転写シートの構成と同様でよい。
本発明の熱転写シートに用いられる基材シートとしては、従来公知のある程度の耐熱性と強度を有するものであればいずれのものでもよい。例えば、0.5〜50μm、好ましくは3〜10μm程度の厚さの紙、各種加工紙、ポリエステルフイルム、ポリスチレンフイルム、ポリプロピレンフイルム、ポリスルホンフイルム、ポリカーボネートフイルム、ポリビニルアルコールフイルム、セロファン等が挙げられるが、特に好ましいものとしてはポリエステルフイルムが挙げられる。
【0022】
この様な染料層は、好ましくは適当な溶剤中に前記の染料、バインダー樹脂その他の任意成分、例えば、塗工適性の調整及び受像シートとの融着防止の為に、ポリエチレンワックス等の有機微粒子や無機微粒子等を加えて各成分を溶解又は分散させて担持層形成用の塗液又はインキを調製し、これを上記の広幅長尺の基材シート上に各色ごとに、例えば、イエロー、マゼンタ及びシアンの順序に、任意の幅、例えば、約2〜70cm程度の幅に面順次に塗布及び乾燥させて、しかる後に適当な幅に裁断してロール状に巻きとって製品とされる。
更に本発明においては、必要に応じてブラック染料層を設けることが出来る。このブラック染料層は本発明において開示した任意の染料を適宜混合することにより形成してもよいし、又、それ以外の染料を用いて形成することが出来る。又、別の態様として、従来から知られている溶融転写型のインキ層を本発明の熱転写シートにおける染料層に隣接して設けてもよい
【0023】
この様にして形成する夫々の染料層は、0.2〜5.0μm、好ましくは0.4〜2.0μm程度の厚さであり、又、担持層中の前記の染料は担持層の重量の5〜70重量%、好ましくは10〜60重量%の量で存在するのが好適である。上記の如き本発明の熱転写シートは、そのままで熱転写用として十分に有用であるが、更にその染料層表面に粘着防止層、即ち離型層を設けてもよく、この様な層を設けることにより、熱転写時における熱転写シートと被転写材の粘着を防止し、更に高い熱転写温度を使用し、一層優れた濃度の画像を形成することが出来る。
【0024】
この離型層としては、単に粘着防止性の無機粉末を付着させたのみでも相当の効果を示し、更に、例えば、シリコーンポリマー、アクリルポリマー、フッ素化ポリマーの如き離型性に優れた樹脂から0.01〜5μm、好ましくは0.05〜2μmの離型層を設けることによって形成することが出来る。尚、上記の如き無機粉体或いは離型性ポリマーは染料層中に包含させても十分な効果を奏するものである。
【0025】
本発明においては、前記3色或は4色の染料層を基材フイルム面に面順次に設け、更に転写性染料受容層及び/又は転写性透明保護層を設けることが出来る。転写性受容層を設けることによって、染料染着性のない被転写材であっても先ず転写性受容層を設け、次いで染料層から染料を熱移行させることによって、紙等の任意の被転写材にカラー画像を形成することが出来る。
更に転写性透明保護層を面順次に設けることによって、カラー画像が形成された面に転写性透明保護層を転写させることによって、カラー画像の各種耐久性を著しく向上させることが出来る。
以上の如き転写性受容層及び転写性透明保護層は同一出願人の先行特許出願の明細書(例えば、特願平6−44734号及び特開平5−8558号)に詳細に説明されている。
【0026】
更に、この様な熱転写シートの裏面に、サーマルヘッドの熱による悪影響を防止する為に、必要ならばプライマー層を介して耐熱層を設けてもよい。耐熱層としては、例えば、ポリビニルブチラールとイソシアネート類の反応生成物に、燐酸エステルのアルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩等の界面活性剤及びタルク等の充填剤を含んでなる層を設けることが出来る。
以上の如き熱転写シートを用いて、画像を形成する為に使用する被転写材は、その記録面が前記の染料に対して染料受容性を有するものであればいかなるものでもよく、又、染料受容性を有しない紙、金属、ガラス、合成樹脂等である場合には、その少なくとも一方の表面に染料受容層を形成すればよい。
【0027】
染料受容層を形成しなくてもよい被転写材としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等のハロゲン化ポリマー、ポリ酢酸ビニル、ポリアクリルエステル等のビニルポリマー、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリアミド系樹脂、エチレンやプロピレン等のオレフィンと他のビニルモノマーとの共重合体系樹脂、アイオノマー、セルロースジアセテート、セルローストリアセテート等のセルロース系樹脂、ポリカーボネート、ポリスルホン、ポリイミド等からなる繊維、織布、フイルム、シート、成形物等が挙げられる。
【0028】
特に好ましいものはポリエステルからなるシート又はフイルム或いはポリエステル層を設けた加工紙である。又、紙、金属、ガラス、その他の非染着性の被転写材であっても、その記録面に上記の如き染着性の樹脂の溶液又は分散液を塗布及び乾燥させるか、或いはそれらの樹脂フイルムをラミネートすることにより、被転写材とすることが出来る。
更に、上記の染着性のある被転写材であっても、その表面に更に染着性のよい樹脂から、上記の紙の場合の如くして染料受容層を形成してもよい。
【0029】
この様にして形成する染料受容層は、単独の材料からでも、又、複数の材料から形成してもよく、更に所期の目的を妨げない範囲で各種の添加剤を包含してもよい。
上記の様な染料受容層は任意の厚さでよいが、一般的には3〜50μmの厚さである。又、この様な染料受容層は連続被覆であるのが好ましいが、樹脂エマルジョンや樹脂分散液を使用して、不連続の被覆として形成してもよい。
又、被転写材は基本的には上記の如くで、そのままでも十分に使用することが出来るが、上記被転写材又はその染料受容層中に、粘着防止用の無機粉末を包含させることが出来、この様にすれば熱転写時の温度をより高めても熱転写シートと被転写材との粘着を防止して、更に優れた熱転写を行うことが出来る。特に好ましいのは、微粉末のシリカである。
【0030】
又、上記のシリカの如き無機粉末に代えて、又は併用して、離型性の良好な前述の如き樹脂を添加してもよい。特に好ましい離型性ポリマーは、シリコーン化合物の硬化物、例えば、エポキシ変性シリコーンオイルとアミノ変性シリコーンオイルからなる硬化物が挙げられる。この様な離型剤は、染料受容層の重量の約0.5〜30重量%を占める割合がよい。
又、使用する被転写材の染料受容層の表面に、上記の如き無機粉体を付着させて粘着防止効果を高めてもよいし、又、前述の如き離型性に優れた離型剤からなる層を設けてもよい。
この様な離型層は約0.01〜5μmの厚さで十分な効果を発揮して、熱転写シートの染料受容層との粘着を防止しつつ、一層染料受容性を向上させることが出来る。
【0031】
又、被転写体としてカード基体を用いる場合の材料について説明する。被転写体として使用されるカード基体は、その表面に昇華性染料が染着される染料受容層が形成されている限り、従来公知のポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート、ポリスチレン、ポリメタクリレート、ポリカーボネート等の各種のプラスチックのフイルム又はシート等を使用することが出来、又、これらのプラスチックに白色顔料や充填剤を加えて成膜した白色不透明フィルム或は発泡させた発泡シートも使用することが出来、又、合成紙(ポリオレフィン系、ポリスチレン系等)、上質紙、アート紙、コート紙、キャストコート紙、壁紙、裏打用紙、合成樹脂又はエマルジョン含浸紙、合成ゴムラテックス含浸紙、合成樹脂内添紙、板紙等、セルロース繊維紙等も使用することが出来、特に限定されない。又、上記基材フイルムの任意の組み合わせによる積層体も使用することが出来る。
【0032】
本発明の熱転写シートを用いて画像形成する際の被転写材の好ましいカード基体の1例を示すと、白色顔料を含むポリ塩化ビニル製のセンターコアの両面に透明なポリ塩化ビニル層が積層された構成を有している。少なくとも画像形成面である透明ポリ塩化ビニルには適当な量の可塑剤が含有されて染料の染着性が良好にされている。
これらの可塑剤の量の好ましい範囲は、染料受容面を形成するポリ塩化ビニル100重量部当たり0.1〜10重量部であり、特に好ましい範囲は3〜5重量部である。可塑剤の使用量が少な過ぎると昇華性染料に対する染着性が不十分であり、熱転写時に熱転写シートの染料層がそのまま転写するという異常転写が発生し、一方、多過ぎると染料受容面の剛性が不足して軟らかくなり、又、保存中の印字画像に滲みが発生し、鮮明な画像が得られないので好ましくない。
上記の染料受容面には、更に着色顔料、白色顔料、体質顔料、充填剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、熱安定剤、酸化防止剤、蛍光増白剤等も任意に使用することが出来る。
【0033】
この様なカード基体には、予めその面に必要な磁気記録層やエンボス模様、他の印刷模様、光メモリー、ICメモリー、バーコード等を予め形成しておいてもよいし、又、昇華転写方式等により顔写真等の情報を形成後に、これらの磁気記録層等を設けてもよい。
上記カード基材上に顔写真を設ける場合、該顔写真は本発明の昇華型の熱転写シートを用いて常法に従って形成することが出来る。又、同時に昇華型の熱転写シートで文字等の情報も形成することが出来るが、これらの文字情報は高濃度の黒色印字が可能な熱溶融インキ型の熱転写シートを用いて形成することが好ましい。勿論、これらの顔写真及び文字情報は別々の熱転写シートによって形成してもよいが、昇華性染料層と溶融性インキ層との両方を有している複合熱転写シートで同時に形成することが工程的に有利である。
【0034】
上記顔写真等の記録情報の耐久性を向上させる為の保護層を積層することが好ましい。該保護層の積層は、透明塗料の塗布及び乾燥、透明フイルムのラミネート、更には保護層熱転写シート又は前述した保護層と染料層とが一体的に形成された熱転写シートを使用することによって行うことが出来る。これらの保護層は記録情報の全面に設けてもよいし、一部であってもよい。又、これらの保護層は夫々の情報の記録とは別工程で設けてもよいが、本発明の好ましい実施態様では、基材フイルム上に、少なくとも1色の昇華性染料層、少なくとも1色の熱溶融性インキ層及び保護層を面順次に設けてなる複合熱転写シートを使用することによって、顔写真や風景等の階調性画像、文字、記号等の単調性画像及び透明保護層を同一の熱転写シートに形成することが出来る。
【0035】
上記の如き本発明の熱転写シート及び上記の如き被記録材を使用して熱転写を行う際に使用する熱エネルギーの付与手段は、従来公知の付与手段がいずれも使用することが出来、例えば、サーマルプリンター(例えば、日立製作所製、ビデオプリンターVY−100)等の記録装置によって、記録時間をコントロールすることにより、5〜30mJ/mm2程度の熱エネルギーを付与することによって所期の目的を十分に達成することが出来る。
【0036】
【実施例】
次に実施例及び比較例を挙げて本発明を更に具体的に説明する。尚、文中、部又は%とあるのは特に断りの無い限り重量基準である。
実施例1〜7
下記組成の3色の染料層形成用インキ組成物を調製し、背面に耐熱処理を施した6μm厚のポリエチレンテレフタレートフイルムの表面に、夫々乾燥塗布量が1.0g/m2になる様に塗布及び乾燥し、本発明のフルカラー用熱転写シートを得た。尚、染料としては、前記構造式で示した染料及び下記式で示される染料を使用した。
【0037】
3色インキ組成物
イエロー、マゼンタ又はシアン染料 表1記載の量
ポリビニルアセトアセタール樹脂(積水化学工業製、KS−5) 3.5部
メチルエチルケトン 45.75部
トルエン 45.75部
【0038】
表1
【0039】
表1の続き
【0040】
実施例8〜12
下記組成の3色の染料層形成用インキ組成物を調製し、背面に耐熱処理を施した6μm厚のポリエチレンテレフタレートフイルムの表面に、夫々乾燥塗布量が1.0g/m2になる様に塗布及び乾燥し、本発明のフルカラー用熱転写シートを得た。尚、染料は実施例1〜5に記載の染料を使用した。
3色インキ組成物
イエロー、マゼンタ又はシアン染料 表2に記載の量
エチルセルロース樹脂 3.5部
メチルエチルケトン 46.00部
トルエン 46.00部
【0041】
表2
【0042】
比較例1〜3
実施例1〜5と同様にして、下記組成の3色の染料層形成用インキ組成物を用いてフルカラー用熱転写シートを得た。
【0043】
表3
【0044】
次に、基材シートとして合成紙(王子油化製、ユポFPG#150)を用い、この一方の面に下記の組成の塗工液を乾燥時10.0g/m2になる割合で塗布し、100℃で30分間乾燥して被転写材を得た。
塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体(#1000MT−2、電気化学工業製) 100部
エポキシ変性シリコーン(X−22−3000T、信越化学工業製) 5部
メチルエチルケトン/トルエン(1/1) 400部
前記の実施例1〜10及び比較例1〜2の熱転写シートと前記の被転写材とを、夫々染料層と染料受容面とを対向させて重ね合せ、熱転写シートの裏面からヘッド印加電圧15.5V、印字時間8.0msec./lineの条件でサーマルヘッドで記録を行い、3原色からなるフルカラー画像を得た。これらの画像の単色部及び混色部の耐光性及び耐熱性を測定したところ下記表4〜6の通りであった。
【0045】
実施例1’〜5’
実施例1において3色の染料層を夫々幅30cmで面順次に設け、更にイエロー染料層の前に幅30cmで前記転写性受容層(受容層、中間層及び接着剤層を重ねて)及び幅30cmで転写性透明保護層(保護層、紫外線遮断層及び接着層を順に積層)を形成して本発明の熱転写シートとした。
上記熱転写シートを用いて先ず転写性受容層を普通紙の面に転写させ、次いで上記と同様にカラー画像を形成し、更にその上に転写性透明保護層を転写した。れらの画像の単色部及び混色部の耐光性及び耐熱性を測定したところ下記表5〜6の通りであった。
【0046】
表4
【0047】
表5
【0048】
表6
【0049】
表中の値について
・イエロー、マゼンタ及びシアンの値は各々単色印字した時の残存率を示す。
・R−YからB−Cの値は、Y、M、Cの中の2色を順番に印字し、2次色(R、G、B)としたときのY、M、C各成分の残存率を示す。
・Bkの値は、Y、M、Cの3色を順番に印字し、3次色(Bk)としたときのY、M、C及びBkの各成分の残存率を示す。
耐光性の評価方法と評価基準:
・保存後の残存率は以下の式より算出した。
残存率%=(保存後のO.D.値/保存前のO.D.値)×100
・O.D.(発色濃度)は米国マクベス社製デンシトメーター(RD−918)で測定した。
耐熱性の評価方法と評価基準:
・保存条件(表6):60℃ Dry 200時間
・保存後の残存率は以下の式より算出した。
残存率%=(保存後のO.D.値/保存前のO.D.値)×100
・O.D.(発色濃度)は米国マクベス社製デンシトメーター(RD−918)で測定した。
【0050】
比較例3
実施例3と比較例3の夫々の熱転写シートを用いて、ヘッド印加電圧15.5V、印字時間8.0msec/lineの条件で、前記実施例と同様にサーマルヘッドで熱転写記録を行い、得られた印字画像の発色濃度を米国マクベス写真フイルム社製のデンシトメーターRD−918で測定した。結果を、熱転写シートの保存性と共に下記表7に示す。
表7(印字物の最高濃度(Max O.D.値)
【0051】
【効果】
以上説明した様に、本発明によれば、基材シート上に設けられたイエロー染料層及びシアン染料層を特定の染料を用いて形成することによって、単色は勿論中間色においても、耐光性、耐熱性及び保存性に優れた熱転写シートを提供することが出来る。更に好適な特定のマゼンタ染料を組み合わせて用いることによって、諸堅牢性に優れた画像を与え、且つ非常に優れた広範囲の色再現を実現することが出来る。
Claims (8)
- 長尺基材シート上に染料とバインダーとから複数の染料層が形成された熱転写シートにおいて、前記染料層のうち、イエロー染料層が下記式(Y)の染料を含み、シアン染料層が下記式(C−2)の染料を含むことを特徴とする熱転写シート。
(R 3は置換又は非置換のアルキル基、置換又は非置換のアルコキシ基、置換又は非置換のアルキルカルボニルアミノ基、置換又は非置換のアルキルスルホニルアミノ基、置換又は非置換のアルキルアミノカルボニル基、置換又は非置換のアルキルアミノスルホニル基又はハロゲン原子を、R4は置換又は非置換のアルコキシカルボニル基、置換又は非置換のアルキルアミノカルボニル基、置換又は非置換のアルコキシ基、置換又は非置換のアリールオキシ基、置換又は非置換のアルキル基、置換又は非置換のシクロアルキル基、複素環基又はハロゲン原子を表わす。) - 複数の染料層の少なくとも1つが、マゼンタ染料層である請求項1に記載の熱転写シート。
- 複数の染料層の少なくとも1つが、ブラック染料層である請求項1〜5のいずれか1項に記載の熱転写シート。
- 染料層が、バインダー樹脂を含む請求項1〜6のいずれか1項に記載の熱転写シート。
- 3色の染料層に対して面順次に転写性染料受容層及び/又は転写性透明保護層が設けられている請求項2又は3に記載の熱転写シート。
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