JP2019202488A - マゼンタ色熱転写シート及びマゼンタ色染料インク - Google Patents
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Abstract
Description
そのため、熱転写シートに用いられる昇華染料は、溶剤およびバインダー樹脂への分散性を考慮した組成物が求められる。
このように、記載されている熱転写シートは、上記ユーザーの要求を十分に満足できるものではなく、解決手段が求められていた。
基材シートの一方の面に昇華染料層を有し、他方の面に耐熱滑性層を少なくとも有する熱転写シートであって、前記昇華染料層は少なくともマゼンタ染料層を含み、前記マゼンタ染料層が、下記一般式(1)で表されるアゾ系化合物と、アントラキノン系化合物を少なくとも含有し、前記マゼンタ染料層全体に対する前記アゾ系化合物の固形分重量比が5wt%〜50wt%であることを特徴とする、マゼンタ色熱転写シートである。
また一般式(1)で表されるアゾ系化合物の染料中の含有量の固形分重量比を5%〜50%とすることで、高彩度、地汚れの抑制および耐光性を付与することが可能である。
さらに好ましくは、図2に示すように、第二の実施形態の熱転写シート10は、前記基材2と前記マゼンタ染料層4の間に、下引き層5を設けた構成である。
また、その厚さは、操作性、加工性を考慮し、2μm以上50μm以下の範囲のものが使用可能であるが、転写適性や加工性等のハンドリング性を考慮すると、2μm以上9μm以下程度のものが好ましい。
この耐熱滑性層3の乾燥後の塗布量は、0.1g/m2以上2.0g/m2以下程度が適当である。ここで、耐熱滑性層3の乾燥後の塗布量とは、耐熱滑性層形成用の塗布液を塗布、乾燥した後に残った固形分量のことを指す。
このマゼンタ染料層4の乾燥後の塗布量は、0.3g/m2以上1.0g/m2以下程度が適当である。ここで、マゼンタ染料層4の乾燥後の塗布量とは、マゼンタ染料層形成用の塗布液を塗布、乾燥した後に残った固形分量のことを指す。
アントラキノン化合物は従来公知のものを使用することができ、特に限定されるものではないが、C.I.ディスパースレッド60、C.I.ディスパースバイオレット26、C.I.ディスパースバイオレット28、C.I.ディスパースバイオレット31等が挙げられる。中でも下記一般式(2)で表されるC.I.ディスパースバイオレット26、およびC.I.ディスパースバイオレット31は、他のアントラキノン系化合物と比較して高濃度、高彩度を付与することができるため、好適である。
マゼンタ色熱転写シートを切り出し、10mlアセトニトリルに浸漬した後、超音波洗浄機中で20分間抽出する。
上記染料抽出液を超高速液体クロマトグラフ/質量分析計(UHPLC/MS)にて測定し、装置に登録の染料データベースにてUV/Visスペクトルを比較し、簡易的に定性を行う。次に簡易定性にて同定された各染料のアセトニトリル溶液を作製し、UHPLC/MS測定を行う。前記抽出液のスペクトルと染料別のスペクトルを比較し、定性を行う。また、絶対検量線法で検量線を作成して、前記抽出液中の染料の定量を行う。
布方法にて、塗布、形成することで形成可能であり、例としてグラビアコーティング法、スクリーン印刷法、スプレーコーティング法、リバースロールコート法等が挙げられる。
基材として、4.5μmのポリエチレンテレフタレートフィルムを使用し、片面に下記組成の耐熱滑性層塗布液を、グラビアコーティング法により、乾燥後の塗布量が0.5g/m2になるように塗布し、100℃1分乾燥することで耐熱滑性層付き基材を得た。
シリコンアクリレート 100部
MEK 100部
(実施例1)
耐熱滑性層付き基材の耐熱滑性層未塗布面に、下記組成の下引き層塗布液をグラビアコーティング法により、乾燥後の膜厚が0.2μmになるように塗布し、100℃2分乾燥することで、下引き層を形成した。さらに、その下引き層の上に下記組成のマゼンタ染料層塗布液を、グラビアコーティング法により、乾燥後の膜厚が0.7μmになるように塗布し、80℃1分乾燥することで、マゼンタ染料層を形成し、実施例1のマゼンタ色熱転写シートを得た。
ポリビニルピロリドン 100部
純水 600部
イソプロピルアルコール 400部
ポリビニルアセタール 100部
表1No.4の染料(アゾ系化合物) 40部
一般式(2)の染料 60部
ポリエーテル変性シリコーンオイル 3部
メチルエチルケトン 1500部
トルエン 1000部
下記マゼンタ染料層塗布液−2に変更した以外は、実施例1と同様にして実施例2のマゼンタ色熱転写シートを得た。
<マゼンタ染料層塗布液−2>
ポリビニルアセタール 100部
表1No.4の染料(アゾ系化合物) 50部
C.I.ディスパースレッド60(アントラキノン系化合物) 50部
ポリエーテル変性シリコーンオイル 3部
メチルエチルケトン 1500部
トルエン 1000部
実施例1の下引き層を塗布せずに基材上に直接マゼンタ染料層−1を塗布した以外は、実施例1と同様にして実施例3のマゼンタ色熱転写シートを得た。
下記マゼンタ染料層塗布液−3に変更した以外は、実施例1と同様にして実施例4のマゼンタ色熱転写シートを得た。
<マゼンタ染料層塗布液−3>
ポリビニルアセタール 100部
表1No.4の染料(アゾ系化合物) 33部
一般式(2)の染料(アントラキノン系化合物) 33部
C.I.ディスパースレッド60(アントラキノン系化合物) 34部
ポリエーテル変性シリコーンオイル 3部
メチルエチルケトン 1500部
トルエン 1000部
下記マゼンタ染料層塗布液−4に変更した以外は、実施例1と同様にして実施例5のマゼンタ色熱転写シートを得た。
<マゼンタ染料層塗布液−4>
ポリビニルアセタール 100部
表1No.4の染料(アゾ系化合物) 6部
一般式(2)の染料(アントラキノン系化合物) 47部
C.I.ディスパースレッド60(アントラキノン系化合物) 47部
ポリエーテル変性シリコーンオイル 3部
メチルエチルケトン 1500部
トルエン 1000部
下記マゼンタ染料層塗布液−5に変更した以外は、実施例1と同様にして比較例1のマゼンタ色熱転写シートを得た。
<マゼンタ染料層塗布液−5>
ポリビニルアセタール 100部
表1No.4の染料(アゾ系化合物) 100部
ポリエーテル変性シリコーンオイル 3部
メチルエチルケトン 1500部
トルエン 1000部
下記マゼンタ染料層塗布液−6に変更した以外は、実施例1と同様にして比較例2のマゼンタ色熱転写シートを得た。
<マゼンタ染料層塗布液−6>
ポリビニルアセタール 100部
一般式(2)の染料(アントラキノン系化合物) 100部
ポリエーテル変性シリコーンオイル 3部
メチルエチルケトン 1500部
トルエン 1000部
下記マゼンタ染料層塗布液−7に変更した以外は、実施例1と同様にして比較例3のマ
ゼンタ色熱転写シートを得た。
<マゼンタ染料層塗布液−7>
ポリビニルアセタール 100部
C.I.ディスパースレッド60(アントラキノン系化合物) 100部
ポリエーテル変性シリコーンオイル 3部
メチルエチルケトン 1500部
トルエン 1000部
下記マゼンタ染料層塗布液−8に変更した以外は、実施例1と同様にして比較例4のマゼンタ色熱転写シートを得た。
<マゼンタ染料層塗布液−8>
ポリビニルアセタール 100部
表1No.4の染料(アゾ系化合物) 54部
一般式(2)の染料(アントラキノン系化合物) 20部
C.I.ディスパースレッド60(アントラキノン系化合物) 26部
ポリエーテル変性シリコーンオイル 3部
メチルエチルケトン 1500部
トルエン 1000部
下記マゼンタ染料層塗布液−9に変更した以外は、実施例1と同様にして比較例5のマゼンタ色熱転写シートを得た。
<マゼンタ染料層塗布液−9>
ポリビニルアセタール 100部
C.I.ディスパースレッド343(アゾ系化合物) 20部
一般式(2)の染料(アントラキノン系化合物) 20部
C.I.ディスパースレッド60(アントラキノン系化合物) 60部
ポリエーテル変性シリコーンオイル 3部
メチルエチルケトン 1500部
トルエン 1000部
なお上記C.I.ディスパースレッド343は、表1の化合物とは異なるアゾ系化合物である。
前記耐熱滑性層付き基材の耐熱滑性層未塗布面に、下記組成の剥離層塗布液を、グラビアコーティング法により、乾燥後の膜厚が1.0μmになるように塗布し、100℃1分乾燥することで、剥離層を形成した。さらに、その剥離層の上に、下記組成の接着層塗布液1を、グラビアコーティング法により、乾燥後の膜厚が1.0μmになるように塗布し、100℃1分乾燥することで、接着層を形成し、熱転写性保護層シートを得た。
ポリメタクリル酸メチル 100部
無水シリカ(平均粒子径:2μm) 5部
トルエン 450部
メチルエチルケトン 450部
ポリメタクリル酸エチル 100部
紫外線吸収剤 30部
メチルエチルケトン 870部
基材として、188μmの白色発泡ポリエチレンテレフタレートフィルムを使用し、その一方の面に下記組成の受像層塗布液を、グラビアコーティング法により、乾燥後の塗布量が5.0g/m2になるように塗布、乾燥することで、熱転写受像シートを作製した。
塩化ビニル−酢酸ビニル−ビニルアルコール共重合体 100部
ポリエーテル変性シリコーンオイル 3部
トルエン 200部
メチルエチルケトン 200部
実施例1〜5、および比較例1〜5のマゼンタ色熱転写シートを熱転写受像シート上に、染料層と受像層が接するように配置し、サーマルシミュレーターにて3cm角の面積のベタ印画を行った。さらに熱転写性保護層シートを得られた印画物上に、保護層と受像層が接するように配置し、5cm角の面積のベタ印画を行い、保護層付き印画物を得た。なお、印画条件は次の通りとした。
印画環境:23℃50%RH
印加電圧:マゼンタ層17V、保護層14V
ライン周期:0.7msec
印画密度:主走査300dpi、副走査300dpi、
評価用サーマルプリンタにて転写させた。
得られた印画物について、地汚れの有無、濃度特性、彩度特性、および耐光性を評価した。各評価項目の詳細な評価方法を以下に記載した。
保護層が転写された5cm角の内、マゼンタベタを形成した3cm角外の受像層の色味を目視観察した。地汚れの有無を以下基準にて判定した。
〇:赤みを帯びていない。
×:赤みを帯びている。
X−rite社製X−rite528を用いて、ベタ画像形成部のマゼンタ濃度(OD)を測定した。得られたODから濃度特性を以下基準にて判定した。OD、および判定結果を表2に記載した。
◎:ODが1.7以上
〇:ODが1.4以上1.7未満
×:ODが1.4未満
濃度特性と同様にX−rite社製X−rite528を用いて、L*a*b*表色系における色度(L*、a*、b*)を測定し、彩度(C*)を下式によって算出した。また、得られたC*から彩度特性を以下基準にて判定した。C*、および判定結果を表2に記載した。なお、△以上が実用上問題ないレベルである。
C*=〔(a*)2+(b*)2〕1/2
◎:C*が70以上
〇:C*が60以上70未満
×:C*が60未満
東洋精機製作所製アトラス・ウエザオメータCi4000に印画物を100時間投入した。投入前後のマゼンタODを測定し、下式によってOD保持率を算出した。また、得られたOD保持率から耐光性を以下基準にて判定した。
OD保持率、および判定結果を表2に記載した。
OD保持率:〔OD投入後〕/〔OD投入前〕×100%
〇:OD保持率が90%以上
×:OD保持率が90%未満
中でも一般式(1)、および一般式(2)の含有比率が高い実施例1、および実施例4は、優れた濃度、彩度を示した。実施例3に対してポリビニルピロリドン樹脂を含む下引き層を設けた実施例1は、一段と高い濃度を示した。
また、アントラキノン系化合物のみでマゼンタ染料層を形成した比較例2、及び比較例3は、濃度が不十分であった。また、一般式(1)のアゾ系化合物を固形分重量比で54%含有する比較例4は、一般式(1)の染料比率が高いためか地汚れの発生が認められた。
また、アゾ系化合物として、一般式(1)の代わりにC.I.ディスパースレッド343を用いた比較例5は、高濃度を示したものの、彩度、耐光性は不十分であった。
2:基材
3:耐熱滑性層
4:マゼンタ染料層
5:下引き層
10:熱転写シート
Claims (5)
- 基材シートの一方の面に昇華染料層を有し、他方の面に耐熱滑性層を少なくとも有する熱転写シートであって、
前記昇華染料層は少なくともマゼンタ染料層を含み、
前記マゼンタ染料層が、下記一般式(1)で表されるアゾ系化合物と、アントラキノン系化合物を少なくとも含有し、前記マゼンタ染料層全体に対する前記アゾ系化合物の固形分重量比が5wt%〜50wt%であることを特徴とする、マゼンタ色熱転写シート。
- 前記アントラキノン系化合物が下記一般式(2)で表されることを特徴とする、請求項1に記載のマゼンタ色熱転写シート。
- 前記基材と前記昇華染料層の間に、少なくともポリビニルピロリドン樹脂を含む下引き層を有することを特徴とする、請求項1または2に記載のマゼンタ色熱転写シート。
- 下記一般式(1)で表されるアゾ系化合物と、アントラキノン系化合物を少なくとも含有し、前記マゼンタ染料全体に対する前記アゾ系化合物の固形分重量比が5wt%〜50wt%であることを特徴とするマゼンタ色染料インク。
- 前記アントラキノン系化合物が下記一般式(2)で表されることを特徴とするマゼンタ色染料インク。
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