JP4816518B2 - 熱転写シート - Google Patents

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Description

本発明は、基材の一方の面に耐熱滑性層を設け、該基材の他方の面に下引き層、染料層を順次形成した熱転写シートに関し、さらに詳しくは高速印画時における転写感度が高い上に、イエロー、マゼンタ、シアンの各染料層からの染料の3色を順次重ねて、黒色の熱転写画像を形成した時の黒色の高濃度部で発生する画質不良、すなわち熱転写受像シートの受容層が熱転写シート側に融着することで黒色部の色相変動が起こり、その結果印画物表面がマット化し光沢感が無くなる、いわゆる「コゲ」の現象を少なくすることができ、また高温、高湿下に保存後で、印画における異常転写を防止した熱転写シートに関するものである。
従来、種々の熱転写記録方法が知られているが、それらの中でも、昇華転写用染料を記録材とし、これをポリエステルフィルム等の基材上に適当なバインダーで担持させた染料層を有する熱転写シートから、昇華染料で染着可能な被転写材、例えば、紙やプラスチックフィルム等に染料受容層を形成した熱転写受像シート上に昇華染料を熱転写し、各種のフルカラー画像を形成する方法が提案されている。この場合には、加熱手段として、プリンターのサーマルヘッドによる加熱によって、3色または4色の多数の加熱量が調整された色ドットを熱転写受像シートの受容層に転移させ、該多色の色ドットにより原稿のフルカラーを再現するものである。このように形成された画像は、使用する色材が染料であることから、非常に鮮明で、かつ透明性に優れているため、得られる画像は中間色の再現性や階調性に優れ、従来のオフセット印刷やグラビア印刷による画像と同様であり、かつフルカラー写真画像に匹敵する高品質画像の形成が可能である。
このような昇華転写による熱転写記録方式で、熱転写プリンターの印字速度の高速化が進むに従って、今までの熱転写シートでは十分な印字濃度が得られないという問題が生じてきた。また、熱転写による画像の印画物に対し、より高濃度で鮮明なものが要求されてきた。それ故、イエロー、マゼンタ、シアンの各染料層からの染料の3色と最後に保護層転写シートから転写させる保護層を順次に重ねて、黒色の熱転写画像を形成した時の黒色の高濃度部に関して画質不良が発生するようになってきた。すなわち、熱転写受像シートの受容層が熱転写シートの染料層側に融着することで、黒色部の色相変動が起こり、その結果印画物表面がマット化し光沢感が無くなる、いわゆる「コゲ」(黒ベタかすれ)と言われる現象が見られるようになってきた。そのため、熱転写シート及び熱転写受像シートを改良する試みが多くなされている。例えば、熱転写シートの薄膜化により印画における転写感度の向上を試みることが行なわれているが、熱転写シートの製造時や、熱転写記録の際に、熱や圧力等により、シワが生じたり、場合によっては切断するという問題が生じる。
また、熱転写シートの染料層における染料/樹脂(Dye/Binder)の比率を大きくして、印画濃度や印画における転写感度の向上を試みることを行なったが、巻き取り保管中に熱転写シートの裏面側の耐熱滑性層へ染料が移行し、その移行した染料が巻き返した時に、他の色の染料層等へ再転移し(キックバック)、この汚染された層を受像シートへ熱転写すると、指定された色と異なる色相になったり、いわゆる地汚れが生じたりする。熱転写シート側ではなく、熱転写プリンターにおいて、画像形成時の熱転写の際、高エネルギーをかけることを行なった。しかしながらこの場合、染料層と受容層とが融着し、いわゆる異常転写が生じやすくなる。それに対し、異常転写を防止するため、熱転写受像シートの受容層に多量の離型剤を添加すると、画像のにじみ・地汚れ等が生じる。
印画における転写感度の向上のために、例えば特許文献1には、基材と染料層との間に、ポリビニルピロリドン樹脂と変性ポリビニルピロリドン樹脂を含有する接着層を有する熱転写シートが提案されている。しかし、この熱転写シートは異常転写を防止できるが、印字濃度が低く、充分なレベルまで至っていない状況である。
また、特許文献2には、基材と染料層との間に、ポリビニルピロリドン樹脂又はポリビニルアルコール樹脂の熱可塑性樹脂とコロイド状無機顔料超微粒子からなる接着層を有する熱転写シートが開示されている。しかし、この熱転写シートでは、高温、高湿下に保存した後に印画すると、異常転写してしまう問題があり、印画における転写感度が高く、高濃度の印画が得られ、また高温、高湿下に保存後で、印画における異常転写を防止できる熱転写シートが見い出されていない状況である。
特開2005−231354号公報 特開2006−150956号公報
したがって、上記の課題を解決すべく、熱転写の印画における転写感度が高く、高速印画において高濃度の印画が得られ、またイエロー、マゼンタ、シアンの3色の染料を順次重ねた黒色の高濃度部においてコゲ(黒ベタかすれ)の現象を少なくし、熱転写画像の鮮明性が高く、高温、高湿下に保存した後、印画における異常転写を防ぎ、充分に満足できる印画物が得られる熱転写シートを提供することを目的とする。
本発明に係る熱転写シートは、基材の一方の面に耐熱滑性層を設け、該基材の他方の面に下引き層、染料層を順次形成した熱転写シートにおいて、該下引き層はビニルピロリドンと酢酸ビニルの共重合体樹脂とコロイド状無機顔料超微粒子を主成分として形成されていて、前記コロイド状無機顔料超微粒子とビニルピロリドンと酢酸ビニルの共重合体樹脂との含有割合は、固形分重量比で、コロイド状無機顔料超微粒子/ビニルピロリドンと酢酸ビニルの共重合体樹脂=8/2〜6/4であることを特徴とする。
本発明によれば、前記下引き層がビニルピロリドンと酢酸ビニルの共重合体樹脂とコロイド状無機顔料超微粒子を主成分として形成されていることにより、熱転写の印画における転写感度が高く、高濃度の印画が得られ、熱転写画像の鮮明性が高く、且つ高温、高湿下における保存後、印画における異常転写を防ぎ、更には、イエロー、マゼンタ、シアンの3色の染料を順次重ねた黒色の高濃度部においての「コゲ」の現象を少なくし、充分に満足できる印画物が得られる熱転写シートを提供することが可能になる。
本発明に係る熱転写シートにおいては、前記ビニルピロリドンと酢酸ビニルの共重合体における重合割合がモル比で、ビニルピロリドン/酢酸ビニル=70/30〜30/70であることが好ましい。
本発明に係る熱転写シートにおいては、前記下引き層の塗工量が、乾燥時で0.15〜0.25g/mの範囲内であることが、よりコゲが生じ難い点から好ましい。
本発明の熱転写シートは、前記下引き層がビニルピロリドンと酢酸ビニルの共重合体樹脂とコロイド状無機顔料超微粒子を主成分として形成されていることにより、熱転写の印画における転写感度が高く、高濃度でコゲの少ない印画が得られ、熱転写画像の鮮明性が高く、高温、高湿下における保存後、印画における異常転写を防ぎ、充分に満足できる印画物が得られるものである。上記下引き層のビニルピロリドンと酢酸ビニルの共重合体樹脂は、ポリビニルピロリドン樹脂の耐湿性が低い点とコゲが生じやすい点を、ポリ酢酸ビニル成分が補ったものと考えられ、高温、高湿下に保存後の基材と染料層との接着性が高く、印画における異常転写を防止し、かつ高速印画時のコゲを少なくする機能がある。また、該下引き層のコロイド状無機顔料超微粒子は、熱転写の印画における転写感度を高め、主として印画濃度の向上に寄与する。更に下引き層の塗工量を乾燥時で0.15〜0.25g/mに設定し、コロイド状無機顔料超微粒子と共重合体樹脂の重量比を8/2〜6/4と設定することで、よりコゲの少ない印画物が得られやすく、高温、高湿下における保存後、印画における異常転写を防止することができる。
本発明に係る熱転写シートは、基材の一方の面に耐熱滑性層を設け、該基材の他方の面に下引き層、染料層を順次形成した熱転写シートにおいて、該下引き層はビニルピロリドンと酢酸ビニルの共重合体樹脂とコロイド状無機顔料超微粒子を主成分として形成されていることを特徴とする。
ここで、上記主成分とは、本発明の効果を損なわない限り、上記ビニルピロリドンと酢酸ビニルの共重合体樹脂と超微粒子の他に、更に他の成分が添加されていても良い旨を表し、上記ビニルピロリドンと酢酸ビニルの共重合体樹脂と超微粒子の合計量が固形分の50重量%超過で含まれる意味である。上記ビニルピロリドンと酢酸ビニルの共重合体樹脂と超微粒子の合計量は、より好ましくは90重量%以上、より更に好ましくは95重量%以上である。
図1に本発明の熱転写シートの一つである実施の最良の形態を示し、基材1の一方の面にサーマルヘッドの滑り性を良くし、かつスティッキングを防止する耐熱滑性層4を設け、基材1の他方の面に、ビニルピロリドンと酢酸ビニルの共重合体樹脂とコロイド状無機顔料超微粒子を主成分として含有する下引き層2、染料層3を順次形成した構成である。
以下、本発明の熱転写シートを構成する各層毎に詳述する。
(基材)
本発明で用いる熱転写シートの基材1としては、従来公知のある程度の耐熱性と強度を有するものであればいずれのものでも良く、例えば、0.5〜50μm、好ましくは1〜10μm程度の厚さのポリエチレンテレフタレートフィルム、1,4−ポリシクロヘキシレンジメチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリフェニレンサルフィドフィルム、ポリスチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリサルホンフィルム、アラミドフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリビニルアルコールフィルム、セロハン、酢酸セルロース等のセルロース誘導体、ポリエチレンフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ナイロンフィルム、ポリイミドフィルム、アイオノマーフィルム等が挙げられる。
上記基材において、ビニルピロリドンと酢酸ビニルの共重合体樹脂とコロイド状無機顔料超微粒子を主成分として形成されている下引き層、染料層を形成する面に、接着処理を施すことがよく行なわれている。上記基材のプラスチックフィルムはその上に、下引き層を形成する際、基材と下引き層との接着性等が不足しやすいので、接着処理を施すことが好ましい。その接着処理としては、コロナ放電処理、火炎処理、オゾン処理、紫外線処理、放射線処理、粗面化処理、化学薬品処理、プラズマ処理、低温プラズマ処理、プライマー処理、グラフト化処理等公知の樹脂表面改質技術をそのまま適用することができる。また、それらの処理を二種以上を併用することもできる。上記のプライマー処理は、例えばプラスチックフィルムの溶融押出しの成膜時に、未延伸フィルムにプライマー液を塗布し、その後に延伸処理して行なうことができる。本発明では、基材と、熱可塑性樹脂とコロイド状無機顔料超微粒子からなる下引き層との密着性を高めるために、上記の接着処理の中でも、コストが高くならずに、容易に入手することができるコロナ放電処理またはプラズマ処理が好ましい。
(下引き層)
本発明の熱転写シートにおける基材と染料層との間に設けるビニルピロリドンと酢酸ビニルの共重合体樹脂とコロイド状無機顔料超微粒子を主成分として形成されている下引き層2は、コロイド状無機顔料超微粒子として、従来公知の化合物が使用できる。例えば、シリカ(コロイダルシリカ)、アルミナ或はアルミナ水和物(アルミナゾル、コロイダルアルミナ、カチオン性アルミニウム酸化物又はその水和物、疑ベーマイト等)、珪酸アルミニウム、珪酸マグネシウム、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、酸化チタン等が挙げられる。特に、アルミナゾルが好ましく用いられる。下引き層には、これらのコロイド状無機顔料超微粒子を、同一種類の条件で使用するだけでなく、アルミナゾルとコロイダルシリカのように、異なる種類のものを混合してもよい。これらのコロイド状無機顔料超微粒子の大きさは、一次平均粒径で100nm以下、好ましくは50nm以下であり、特に3〜30nmで用いることが好ましく、これにより、下引き層の機能を充分に発揮できる。本発明におけるコロイド状無機顔料超微粒子の形状は、球状、針状、板状、羽毛状や、無定形等、如何なる形状であってもよい。また、水系溶媒にゾル状に分散しやすいように酸性タイプに処理したもの、微粒子電荷をカチオンにしたものや、微粒子を表面処理したもの等が使用できる。
下引き層で使用するビニルピロリドンと酢酸ビニルの共重合体樹脂は、N−ビニルピロリドン系モノマーと、ビニル重合性モノマーである酢酸ビニルとの共重合体である。なお、共重合形態は、ランダム共重合、ブロック共重合、グラフト共重合等特に限定されるものではない。上記のN−ビニルピロリドン系モノマーとは、N−ビニルピロリドン(N−ビニル−2−ピロリドン、N−ビニル−4−ピロリドン等)及びその誘導体を言うものであって、誘導体としては、例えばN−ビニル−3−メチルピロリドン、N−ビニル−5−メチルピロリドン、N−ビニル−3,3,5−トリメチルピロリドン、N−ビニル−3−ベンジルピロリドン等のピロリドン環に置換基を有するものが挙げられる。
ビニルピロリドンと酢酸ビニルの共重合体樹脂は、ポリビニルピロリドン樹脂の吸湿性が高く、耐湿性が低い性質を、酢酸ビニル樹脂が補ったものと考えられ、高温、高湿下に保存後の基材と染料層との接着性が高く、主に印画における異常転写を防止し、且つ高速印画時の印画物の高濃度部でのコゲを少なくする機能を発揮できる。上記のビニルピロリドンと酢酸ビニルの共重合体樹脂は、ビニルピロリドンと酢酸ビニルの重合割合がモル比で、ビニルピロリドン/酢酸ビニル=70/30〜30/70であることが好ましく、上記の機能を十分に発揮できる。ビニルピロリドンと酢酸ビニルの重合割合で、ビニルピロリドンが70%を超えると、酢酸ビニルの性能が発揮されず、基材との密着性、特に高温、高湿下での密着性が低下する傾向がある。また一方で、酢酸ビニルが70%を超えると、染料層からの染料染着性が高くなってしまい、熱転写受像シートの受容層側への染料の転写性が低下して、印画における最高濃度が低下してしまう傾向がある。
上記の下引き層におけるコロイド状無機顔料超微粒子とビニルピロリドンと酢酸ビニルの共重合体樹脂との含有割合は、固形分重量比で、コロイド状無機顔料超微粒子/ビニルピロリドンと酢酸ビニルの共重合体樹脂=8/2〜6/4であることが好ましい。下引き層におけるコロイド状無機顔料超微粒子の配合割合が高すぎると、高温、高湿下に熱転写シートを放置、保存後に、印画におけるコロイド状無機顔料超微粒子の凝集力が低下し易く、印画における熱融着、コゲや、異常転写が生じやすい。また、下引き層におけるビニルピロリドンと酢酸ビニルの共重合体樹脂の配合割合が高すぎると、印画時の染料層からの染料が下引き層へ移行しやすくなり転写感度が低下し、また、高温高湿下に熱転写シートを保存後に、印画における熱融着や異常転写が生じやすくなる。
下引き層を塗工して形成する場合には、その塗工適性を考慮して、下引き層の塗工液として粘度を低めにして流動性をもたせることが好ましい。本発明における下引き層は、ビニルピロリドンと酢酸ビニルの共重合体樹脂とコロイド状無機顔料超微粒子を主成分とした塗工液を塗工、乾燥して、形成されるものである。無機顔料超微粒子が水系溶媒にゾル状に分散し、ビニルピロリドンと酢酸ビニルの共重合体樹脂が水系溶媒に溶解した塗工液をグラビアコーティング法、ロールコート法、スクリーン印刷法、グラビア版を用いたリバースロールコーティング法等の従来から公知の形成手段により、塗布し、乾燥して、形成する。このように形成された下引き層は、0.02〜1.0g/m、好ましくは0.15〜0.25g/mの乾燥時の塗工量である。下引き層の塗工量が少なすぎると、高温高湿下に熱転写シートを保存後に、染料層の接着性が低下したり、印画における熱融着や異常転写が生じやすい。また下引き層の塗工量が多すぎると、印画におけるコゲが生じやすくなる。
下引き層は、上記の塗工液を用いて、基材上に塗工し、熱風乾燥等を行い、コロイド状無機顔料超微粒子がゾル状からゲル状になるように、水分が飛ばされ、またビニルピロリドンと酢酸ビニルの共重合体樹脂はバインダーとして、固着して被膜が形成される。このようにビニルピロリドンと酢酸ビニルの共重合体樹脂とコロイド状無機顔料超微粒子を主成分として形成される下引き層は、基材と染料層との間で、皮膜として形成され、下引き層の凝集力を高めることができ、熱転写受像シートと組み合わせて加熱して熱転写する際に、受像シートへ染料層が異常転写することやコゲを防止する。さらに、該下引き層は、無機顔料超微粒子とビニルピロリドンと酢酸ビニルの共重合体樹脂を主成分として構成され、染料層からの染料が染着しにくい材質から構成されているために、印画時の染料層から下引き層への染料の移行を防止し、受像シートの受容層側への染料拡散を有効に行なうことにより、印画における転写感度が高く、印画濃度を高めることができる。下引き層のコロイド状無機顔料超微粒子が、主として熱転写の印画における転写感度を高め、印画濃度の向上に寄与していると考えられる。
(染料層)
本発明の熱転写シートは、一方の面に耐熱滑性層を設けた基材の他方の面に、上記の下引き層を介して、染料層3を設けたものである。該染料層は1色の単一層で構成したり、あるいは色相の異なる染料を含む複数の染料層を、同一基材の同一面に面順次に、繰り返し形成することも可能である。染料層は、熱移行性染料を任意のバインダーにより担持してなる層である。使用する染料としては、熱により、溶融、拡散もしくは昇華移行する染料であって、従来公知の昇華転写型熱転写シートに使用されている染料は、いずれも本発明に使用可能であるが、色相、印字感度、耐光性、保存性、バインダーへの溶解性等を考慮して選択する。
染料としては、例えばジアリールメタン系、トリアリールメタン系、チアゾール系、メロシアニン、ピラゾロンメチン等のメチン系、インドアニリン、アセトフェノンアゾメチン、ピラゾロアゾメチン、イミダゾルアゾメチン、イミダゾアゾメチン、ピリドンアゾメチンに代表されるアゾメチン系、キサンテン系、オキサジン系、ジシアノスチレン、トリシアノスチレンに代表されるシアノメチレン系、チアジン系、アジン系、アクリジン系、ベンゼンアゾ系、ピリドンアゾ、チオフェンアゾ、イソチアゾールアゾ、ピロールアゾ、ピラールアゾ、イミダゾールアゾ、チアジアゾールアゾ、トリアゾールアゾ、ジズアゾ等のアゾ系、スピロピラン系、インドリノスピロピラン系、フルオラン系、ローダミンラクタム系、ナフトキノン系、アントラキノン系、キノフタロン系等のものが挙げられる。
染料層のバインダーとしては、従来公知の樹脂バインダーがいずれも使用でき、好ましいものを例示すれば、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、エチルヒドロキシセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、酢酸セルロース、酪酸セルロース等のセルロース系樹脂、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルブチラール、ポリビニルアセタール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド等のビニル系樹脂、ポリエステル系樹脂、フェノキシ樹脂等が挙げられる。
また、染料層にはシランカップリング剤を添加することができる。シランカップリング剤として、例えばγ−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、γ−イソシアネートプロピルトリメトキシシランのようなイソシアネート基を含むもの、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−フェニルアミノプロピルトリメトキシシランのようなアミノ基を含むもの、更にγ−グリシドオキシプロピルトリメトキシシランやβ−(3、4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等のようにエポキシ基を含むもの等が挙げられる。これらは単独または2種以上の混合物として用いることもできる。
上記のシランカップリング剤は、例えば、加水分解により生じるシラノール基が、薄膜層表面に有する無機酸化物の水酸基と縮合して化学結合し、接着性が向上すると考えられる。また、シランカップリング剤のエポキシ基、アミノ基等は、樹脂バインダーの水酸基やカルボキシル基等と反応して化学結合し、染料層自体の強度を向上し、熱転写時等の染料層の凝集破壊等を防止できる。
また、本発明では上記の樹脂バインダーに代えて、次のような離型性グラフトコポリマーを離型剤またはバインダーとして用いることができる。この離型性グラフトコポリマーは、ポリマー主鎖にポリシロキサンセグメント、フッ化炭素セグメント、フッ化炭化水素セグメント、または長鎖アルキルセグメントから選択された少なくとも1種の離型性セグメントをグラフト重合させてなるものである。これらのうち、特に好ましいのはポリビニルアセタール樹脂からなる主鎖にポリシロキサンセグメントをグラフトさせて得られたグラフトコポリマーである。
本発明の熱転写シートでは、高温、高湿下に放置後などで、下引き層と染料層との接着性が低下しやすいことがある。そのために、染料層を構成するバインダー樹脂として、上記に挙げた中で、ポリビニルブチラール、ポリビニルアセタール、ポリ酢酸ビニルや、ポリエステル系樹脂、酢酸セルロース、酪酸セルロース等のセルロース系樹脂等の水酸基やカルボキシル基を有する接着性の高い樹脂の単独及び混合物が好ましく用いられる。
染料層は、上記染料、バインダーと、その他必要に応じて従来公知と同様な各種の添加剤を加えてもよい。その添加剤として、例えば、受像シートとの離型性やインキの塗工適性を向上させるために、ポリエチレンワックス等の有機微粒子や無機微粒子が挙げられる。このような染料層は、通常、適当な溶剤中に上記染料、バインダーと、必要に応じて添加剤を加えて、各成分を溶解または分散させて塗工液を調製し、その後、この塗工液を基材の上に塗布、乾燥させて形成することができる。この塗布方法は、グラビア印刷法、スクリーン印刷法、グラビア版を用いたリバースロールコーティング法等の公知の手段を用いることができる。このように形成された染料層は、0.2〜6.0g/m、好ましくは0.3〜3.0g/m程度の乾燥時の塗工量である。
(耐熱滑性層)
本発明の熱転写シートは基材の一方の面に、サーマルヘッドの熱によるステッキングや印字しわ等の悪影響を防止するため、耐熱滑性層4を設ける。上記の耐熱滑性層を形成する樹脂としては、従来公知のものであればよく、例えば、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルアセトアセタール樹脂、ポリエステル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリエーテル樹脂、ポリブタジエン樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体、アクリルポリオール、ポリウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート、ポリエーテルアクリレート、エポキシアクリレート、ウレタン又はエポキシのプレポリマー、ニトロセルロース樹脂、セルロースナイトレート樹脂、セルロースアセテートプロピオネート樹脂、セルロースアセテートブチレート樹脂、セルロースアセテートヒドロジエンフタレート樹脂、酢酸セルロース樹脂、芳香族ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、塩素化ポリオレフィン樹脂等が挙げられる。
これらの樹脂からなる耐熱滑性層に添加あるいは上塗りする滑り性付与剤としては、リン酸エステル、金属石鹸、シリコーンオイル、グラファイトパウダー、シリコーン系グラフトポリマー、フッ素系グラフトポリマー、アクリルシリコーングラフトポリマー、アクリルシロキサン、アリールシロキサン等のシリコーン重合体が挙げられるが、好ましくは、ポリオール、例えば、ポリアルコール高分子化合物とポリイソシアネート化合物及びリン酸エステル系化合物からなる層であり、さらに充填剤を添加することがより好ましい。
耐熱滑性層は、基材シートの上に、上記に記載した樹脂、滑り性付与剤、更に充填剤を、適当な溶剤により、溶解又は分散させて、耐熱滑性層塗工液を調整し、これを、例えば、グラビア印刷法、スクリーン印刷法、グラビア版を用いたリバースロールコーティング法等の形成手段により塗工し、乾燥して形成することができる。耐熱滑性層の塗工量は、固形分で、0.1g/m〜3.0g/mが好ましい。
次に、実施例及び比較例を挙げて、本発明を更に詳述する。尚、文中、部又は%とあるのは、特に断りのない限り重量基準である。
(実施例1)
基材として、厚さ4.5μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(PET)上に、下記組成の下引き層塗工液をグラビアコーティングにより、乾燥塗布量が表1に記載した数値になるように塗布、乾燥して、下引き層を形成した。その下引き層の上に、下記組成の染料層塗工液をグラビアコーティングにより、乾燥塗布量が0.7g/mになるように塗布、乾燥して染料層を形成し、実施例1の熱転写シートを作製する。尚、上記基材の他方の面に、予め下記組成の耐熱滑性層塗工液をグラビアコーティングにより、乾燥塗布量が1.0g/mになるように塗布、乾燥して、耐熱滑性層を形成しておいた。
<下引き層塗工液1>
アルミナゾル(アルミナゾル200、羽毛状形態、日産化学工業(株)製、固形分10%) 28部
ビニルピロリドン/酢酸ビニル共重合樹脂(E−735、ISP社製、固形分50%)
1.4部
純水(正起薬品工業(株)製) 22.7部
イソプロピルアルコール 47.9部
<染料層塗工液>
C.I.ソルベントブルー63 6.0部
ポリビニルブチラール樹脂 3.0部
(エスレックBX−1 積水化学工業(株)製)
メチルエチルケトン 45.5部
トルエン 45.5部
<耐熱滑性層塗工液>
ポリビニルブチラール樹脂 13.6部
(エスレックBX−1 積水化学工業(株)製)
ポリイソシアネート硬化剤 0.6部
(タケネートD218 武田薬品工業(株)製)
リン酸エステル 0.8部
(プライサーフA208S 第一工業製薬(株)製)
メチルエチルケトン 42.5部
トルエン 42.5部
(実施例2)
実施例1で作製した熱転写シートにおいて、下引き層を下記組成にした以外は、実施例1と同様にして、実施例2の熱転写シートを作製した。
<下引き層塗工液2>
アルミナゾル(アルミナゾル200、羽毛状形態、日産化学工業(株)製、固形分10%) 28部
ビニルピロリドン/酢酸ビニル共重合樹脂(E−635、ISP社製、固形分50%)
1.4部
純水(正起薬品工業(株)製) 22.7部
イソプロピルアルコール 47.9部
(実施例3)
実施例1で作製した熱転写シートにおいて、下引き層を下記組成にした以外は、実施例1と同様にして、実施例3の熱転写シートを作製した。
<下引き層塗工液3>
アルミナゾル(アルミナゾル200、羽毛状形態、日産化学工業(株)製、固形分10%) 28部
ビニルピロリドン/酢酸ビニル共重合樹脂(E−535、ISP社製、固形分50%)
1.4部
純水(正起薬品工業(株)製) 22.7部
イソプロピルアルコール 47.9部
(実施例4)
実施例1で作製した熱転写シートにおいて、下引き層を下記組成にした以外は、実施例1と同様にして、実施例4の熱転写シートを作製した。
<下引き層塗工液4>
アルミナゾル(アルミナゾル200、羽毛状形態、日産化学工業(株)製、固形分10%) 28部
ビニルピロリドン/酢酸ビニル共重合樹脂(E−335、ISP社製、固形分50%)
1.4部
純水(正起薬品工業(株)製) 22.7部
イソプロピルアルコール 47.9部
(実施例5)
実施例1で作製した熱転写シートにおいて、下引き層を下記組成にした以外は、実施例1と同様にして、実施例5の熱転写シートを作製した。
<下引き層塗工液5>
アルミナゾル(アルミナゾル200、羽毛状形態、日産化学工業(株)製、固形分10%) 24.5部
ビニルピロリドン/酢酸ビニル共重合樹脂(E−335、ISP社製、固形分50%)
2.1部
純水(正起薬品工業(株)製) 26.2部
イソプロピルアルコール 47.2部
(実施例6)
実施例5で作製した熱転写シートにおいて、下引き層の乾燥塗工量を表1に示した数値にした以外は、実施例5と同様にして、実施例6の熱転写シートを作製した。
(実施例7)
実施例5で作製した熱転写シートにおいて、下引き層の乾燥塗工量を表1に示した数値にした以外は、実施例5と同様にして、実施例7の熱転写シートを作製した。
(実施例8)
実施例1で作製した熱転写シートにおいて、下引き層を下記組成にした以外は、実施例1と同様にして、実施例8の熱転写シートを作製した。
<下引き層塗工液6>
アルミナゾル(アルミナゾル200、羽毛状形態、日産化学工業(株)製、固形分10%) 21部
ビニルピロリドン/酢酸ビニル共重合樹脂(E−335、ISP社製、固形分50%)
2.8部
純水(正起薬品工業(株)製) 29.4部
イソプロピルアルコール 46.8部
(実施例9)
実施例1で作製した熱転写シートにおいて、下引き層を下記組成にした以外は、実施例1と同様にして、実施例9の熱転写シートを作製した。
<下引き層塗工液7>
アルミナゾル(アルミナゾル200、羽毛状形態、日産化学工業(株)製、固形分10%) 24.5部
ビニルピロリドン/酢酸ビニル共重合樹脂(E−535、ISP社製、固形分50%)
2.1部
純水(正起薬品工業(株)製) 26.2部
イソプロピルアルコール 47.2部
(実施例10)
実施例1で作製した熱転写シートにおいて、下引き層を下記組成にした以外は、実施例1と同様にして、実施例10の熱転写シートを作製した。
<下引き層塗工液8>
アルミナゾル(アルミナゾル200、羽毛状形態、日産化学工業(株)製、固形分10%) 24.5部
ビニルピロリドン/酢酸ビニル共重合樹脂(E−735、ISP社製、固形分50%)
2.1部
純水(正起薬品工業(株)製) 26.2部
イソプロピルアルコール 47.2部
(実施例11)
実施例1で作製した熱転写シートにおいて、下引き層を下記組成にした以外は、実施例1と同様にして、実施例11の熱転写シートを作製した。
<下引き層塗工液9>
アルミナゾル(アルミナゾル200、羽毛状形態、日産化学工業(株)製、固形分10%) 31.5部
ビニルピロリドン/酢酸ビニル共重合樹脂(E−335、ISP社製、固形分50%)
0.7部
純水(正起薬品工業(株)製) 19.9部
イソプロピルアルコール 39.9部
(実施例12)
実施例1で作製した熱転写シートにおいて、下引き層を下記組成にした以外は、実施例1と同様にして、実施例12の熱転写シートを作製した。
<下引き層塗工液10>
アルミナゾル(アルミナゾル200、羽毛状形態、日産化学工業(株)製、固形分10%) 17.5部
ビニルピロリドン/酢酸ビニル共重合樹脂(E−335、ISP社製、固形分50%)
3.5部
純水(正起薬品工業(株)製) 32.5部
イソプロピルアルコール 46.5部
(比較例1)
実施例1と同条件のPETフィルムの基材を用い、かつその基材の他方の面に、実施例1と同様の耐熱滑性層を予め形成しておいた。その基材の耐熱滑性層の設けられている面と反対面に、下記組成の下引き層塗工液11をグラビアコーティングにより、乾燥塗布量が表1に記載した数値になるように塗布、乾燥して下引き層を形成した。さらに、その下引き層の上に、実施例1と同様に染料層を形成し、比較例1の熱転写シートを作製する。
<下引き層塗工液11>
アルミナゾル(アルミナゾル200、羽毛状形態、日産化学工業(株)製、固形分10%) 35部
純水(正起薬品工業(株)製) 16.75部
イソプロピルアルコール 48.25部
(比較例2)
比較例1で作製した熱転写シートにおいて、下引き層の乾燥塗工量を表1に示した数値にした以外は、比較例1と同様にして、比較例2の熱転写シートを作製した。
(比較例3)
比較例1で作製した熱転写シートにおいて、下引き層を下記組成にした以外は、比較例1と同様にして、比較例3の熱転写シートを作製した。
<下引き層塗工液12>
アルミナゾル(アルミナゾル200、羽毛状形態、日産化学工業(株)製、固形分10%) 24.5部
ポリビニルピロリドン樹脂(K−90、ISP社製) 1.05部
純水(正起薬品工業(株)製) 26.2部
イソプロピルアルコール 48.25部
(比較例4)
比較例1で作製した熱転写シートにおいて、下引き層を下記組成にした以外は、比較例1と同様にして、比較例4の熱転写シートを作製した。
<下引き層塗工液13>
ビニルピロリドン/酢酸ビニル共重合樹脂(E−335、ISP社製、固形分50%)
7.0部
純水(正起薬品工業(株)製) 46.5部
イソプロピルアルコール 43.0部
(比較例5)
比較例1で作製した熱転写シートにおいて、下引き層を下記組成にした以外は、比較例1と同様にして、比較例5の熱転写シートを作製した。
<下引き層塗工液14>
酢酸ビニル樹脂(HR−3010、クラレ社製) 3.5部
純水(正起薬品工業(株)製) 48.25部
イソプロピルアルコール 48.25部
<染料層の接着性(常温)>
上記に作製した熱転写シートを用いて、常温で保管された熱転写シートの染料層の上に、縦200mm×横12mmのセロテープ(登録商標)を親指で2往復、擦り付けて、貼って、その後すぐに、剥がしたときのテープ側における、染料層の付着の有無を調べることにより評価した。
評価は以下の基準にて行なった。
○:染料層の付着が認められない。
△:染料層の付着がわずかに認められる。
×:染料層の付着が全面に認められる。
<染料層の接着性(高温高湿)>
上記に作製した熱転写シートを40℃90%RHの条件の環境下に、100時間保存した後に、室温に24時間放置後に上記の接着性評価と同様に、評価した。
評価は以下の基準にて行なった。
○:染料層の付着が認められない。
△:染料層の付着がわずかに認められる。
×:染料層の付着が全面に認められる。
<保存後の転写性評価>
上記の各実施例及び比較例で作製した熱転写シートを40℃90%RHの条件の環境下に、100時間保存した後に、45℃60%RH環境にて、OLYMPUS社製P−400プリンター用の専用熱転写受像シートと組み合わせて、印画物の全面がベタ(階調値255/255)である印画パターンを印画し、印画後、熱転写シートの染料層と熱転写受像シートが融着するか、あるいは染料層ごと熱転写受像シートに転写する、いわゆる異常転写が生じるか目視にて調べた。
(印画条件)
サーマルヘッド;F3598(東芝ホクト電子株式会社製)
発熱体平均抵抗値;5176(Ω)
主走査方向印字密度;300dpi
副走査方向印字密度;300dpi
印加電力;0.11(w/dot)
1ライン周期;2.0(msec.)
パルスDuty;85%
印字開始温度;35.5(℃)
評価は以下の基準にて行なった。
○:染料層と熱転写受像シートとが熱融着せず、また異常転写が生じない。
×:染料層と熱転写受像シートとが熱融着するか、あるいは異常転写が生じる。
<コゲ(黒ベタかすれ)評価>
上記に作製した各実施例及び比較例の熱転写シートを用いて、OLYMPUS社製P−400プリンター用の専用熱転写受像シートと組み合わせて、下記条件にて、イエロー、マゼンタ、シアンの順に3色の染料を順次重ねて黒ベタ印画を行い、目視にて黒ベタ印画物のコゲ発生を確認した。また、その時使用したイエロー、マゼンタ及び保護層の熱転写シートはアルテックエーディーエス株式会社製 MEGA PIXELIII用の熱転写シートを使用した。3色重ねの黒色の反射濃度測定はマクベス反射濃度計RD−918にて、任意のコゲの生じていない箇所の黒色の反射濃度を測定した。
(印画条件)
サーマルヘッド;F3598(東芝ホクト電子株式会社製)
発熱体平均抵抗値;5323(Ω)
主走査方向印字密度;300dpi
副走査方向印字密度;300dpi
印加電力;0.11(w/dot)
1ライン周期;0.7(msec.)
パルスDuty;96%
印字開始温度;28(℃)
コゲ評価は以下の基準にて行なった。
5:印画物全面積の50%以上でコゲが確認される。
4:印画物全面積の約40%の割合でコゲが確認される。
3:印画物全面積の約30%の割合でコゲが確認される。
2:印画物全面積の約10%の割合でコゲが確認される。
1:コゲが目視では確認できない。
但し、コゲとは、イエロー、マゼンタ、シアンの各染料層からの染料の3色と最後に保護層転写シートから転写させる保護層を順次に重ねて、黒色の熱転写画像を形成した時の黒色の高濃度部で発生する画質不良、すなわち転写時に熱転写受像シートの受容層が熱転写シート側に融着することで黒色部の色相変動が起こり(黒ベタかすれ)、その結果印画物表面がマット化し、光沢感が無くなる現象である。
上記の黒色の反射濃度の測定結果と、また染料層の接着性(常温、高温高湿)、保存後の転写性評価及びコゲの評価の結果は以下の表1の通りである。
Figure 0004816518
上記の結果より、基材と染料層との間に、ビニルピロリドンと酢酸ビニルの共重合体樹脂とコロイド状無機顔料超微粒子を主成分として形成された下引き層は黒色の反射濃度が2.0以上得られた。また、コロイド状無機顔料超微粒子とビニルピロリドンと酢酸ビニルの共重合体樹脂との含有割合が、固形分重量比で、コロイド状無機顔料超微粒子/ビニルピロリドンと酢酸ビニルの共重合体樹脂=8/2〜6/4であり、かつ下引き層の塗工量が、乾燥時で0.15〜0.25g/mの範囲内にすることで、中でも特に、高濃度でコゲの少ない印画物が得られ、且つ、常温保存及び高温高湿保存後の染料層の基材に対する接着性が良好であり、また高温高湿保存後の転写性評価について良好な結果が得られた。実施例7の熱転写シートは下引き層の乾燥塗布量が0.15〜0.25g/mの範囲から外れて塗布量が多いものであるが、コゲが若干多く見られるようになる。実施例11、12の熱転写シートはビニルピロリドンと酢酸ビニルの樹脂共重合体とコロイド状無機顔料超微粒子を主成分として形成されているが、含有割合が、固形分重量比で、コロイド状無機顔料超微粒子とビニルピロリドンと酢酸ビニルの共重合体樹脂=9/1、5/5であり、コゲが多く見られるようになったり、接着性が低下する。
比較例1、2の熱転写シートは、基材と染料層との間にコロイド状無機顔料超微粒子のみからなる下引き層を設けたもので、印画物の黒色反射濃度は良好ではあるが、基材と染料層との接着性が低下し、特に高温、高湿保存後の転写性及びコゲ悪化の問題がある。また、比較例3では、下引き層が酢酸ビニル変性していないポリビニルピロリドン樹脂を用いているため、高湿保存後の転写性及びコゲ悪化の問題がある。
比較例4では、下引き層がコロイド状無機顔料超微粒子を含有せず、ビニルピロリドンと酢酸ビニルの共重合体樹脂のみで構成されているので、特に高速印画における転写感度が各実施例よりも低く所望の感度が得られない。また、高温、高湿保存後の転写性で、問題がある。また、比較例5では、下引き層が酢酸ビニル樹脂のみで構成されているので、比較例4と同様に、高速印画における転写感度が低く、印画濃度が低下し、高温、高湿保存後の転写性で問題がある。
本発明の熱転写シートである一つの実施の最良の形態を示す概略断面図である。
符号の説明
1 基材
2 下引き層
3 染料層
4 耐熱滑性層

Claims (3)

  1. 基材の一方の面に耐熱滑性層を設け、該基材の他方の面に下引き層、染料層を順次形成した熱転写シートにおいて、該下引き層はビニルピロリドンと酢酸ビニルの共重合体樹脂とコロイド状無機顔料超微粒子を主成分として形成されていて、前記コロイド状無機顔料超微粒子とビニルピロリドンと酢酸ビニルの共重合体樹脂との含有割合は、固形分重量比で、コロイド状無機顔料超微粒子/ビニルピロリドンと酢酸ビニルの共重合体樹脂=8/2〜6/4であることを特徴とする熱転写シート。
  2. 前記ビニルピロリドンと酢酸ビニルの共重合体における重合割合がモル比で、ビニルピロリドン/酢酸ビニル=70/30〜30/70であることを特徴とする請求項1に記載する熱転写シート。
  3. 前記下引き層の塗工量が、乾燥時で0.15〜0.25g/mの範囲内であることを特徴とする請求項1又は2に記載する熱転写シート。
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