JP5895621B2 - 感熱転写記録媒体 - Google Patents

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Description

本発明は、感熱転写記録媒体に関する。より詳しくは、高速印画時における転写感度が高く、染料層に使用する染料を低減でき、また、高温・高湿下での保存後においても、印画における異常転写を防止でき、さらに、高濃度部において、被転写体の受像層が感熱転写記録媒体に融着することで色相変動が起こり、その結果、印画物表面が部分的にマット化する現象(以下「マット化」と称する。)を少なくすることができる感熱転写記録媒体に関する。
一般に、感熱転写記録媒体は、サーマルリボンとも呼ばれ、感熱転写方式のプリンタに使用されるインクリボンである。感熱転写記録媒体は、基材と、基材の一方の面に設けられた感熱転写層と、基材の他方の面に設けられた耐熱滑性層(バックコート層)とを有する。ここで、感熱転写層は、インクの層であり、プリンタのサーマルヘッドに熱が発生すると、かかる熱が感熱転写層に加えられ、感熱転写層を構成するインクが昇華(昇華転写方式)または溶融(溶融転写方式)し、被転写体側にインクが転写される。
現在、感熱転写方式の中でも昇華転写方式は、プリンタの高機能化と併せて各種画像を簡便かつフルカラーで形成することができるため、デジタルカメラのセルフプリントや身分証明書などのカード類、アミューズメント用出力物等の分野において広く利用されている。このように、用途の多様化に併せ、小型化、高速化、低コスト化、また得られる印画物への耐久性が要求されている。近年では、基材に、印画物への耐久性を付与する保護層等を重ならないように設けた複数の感熱転写層をもつ感熱転写記録媒体が普及しつつある。
その中で、用途の多様化や普及拡大に伴い、よりプリンタの印画速度の高速化が進んでいる。それに従い、従来の感熱転写記録媒体では充分な印画濃度が得られないという問題が生じている。そこで、転写感度を上げるために、感熱転写記録媒体を薄膜化して、印画における転写感度を向上させる試みが行われているが、感熱転写記録媒体の製造時や印画時に熱や圧力等によってシワが発生したり、場合によっては感熱転写記録媒体そのものが破断するという問題がある。
また、感熱転写記録媒体の染料層における染料/樹脂(Dye/Binder)の比率を大きくすることにより、印画濃度や印画における転写感度を向上させる試みも行われているが、使用する染料が増えることによりコストアップとなるばかりではなく、製造工程における巻き取り時に感熱転写記録媒体の耐熱滑性層へ染料の一部が移行し(裏移り)、その後の巻き返し時に、その移行した染料が他の色の染料層または保護層に再転移し(裏裏移り)、この汚染された層を被転写体へ熱転写すると、指定された色と異なる色相になるなどいわゆる地汚れが生じるという問題がある。
また、プリンタ側で画像形成時のエネルギーをアップさせる試みも行われているが、消費電力が増えるばかりではなく、プリンタのサーマルヘッドの寿命を短くなるほか、染料層と被転写体とが融着し、いわゆる異常転写が生じやすくなるという問題がある。かかる問題に対して、異常転写を防止するために、染料層または被転写体に多量の離型剤を添加する試みも行われているが、得られる画像ににじみや地汚れが生じるという問題がある。
かかる従来の問題を解決するために、たとえば、特許文献1には、基材と染料層との間にポリビニルピロリドン樹脂と変性ポリビニルピロリドン樹脂とを含有する接着層を有する熱転写シートが開示されている。
また、特許文献2には、基材と染料層との間にポリビニルピロリドン樹脂またはポリビニルアルコール樹脂の熱可塑性樹脂とコロイド状無機顔料超微粒子とからなる接着層を有する熱転写シートが開示されている。
また、特許文献3には、基材と染料層との間にビニルピロリドンと酢酸ビニルとの共重合体とコロイド状無機顔料超微粒子とからなる下地層を有する熱転写シートが開示されている。
特開2005−231354号公報 特開2006−150956号公報 特開2008−155612号公報
しかしながら、特許文献1に記載の感熱転写記録媒体を、昇華転写方式の高速プリンタを使用して印画した場合、高温・高湿下で保存した感熱転写記録媒体を使用した場合であっても異常転写は確認されないが、印画における転写感度が低く、マット化も充分に抑えることができないという問題がある。また、特許文献2に記載の感熱転写記録媒体を使用して、同様の方法で印画した場合、高温・高湿下に保存した感熱転写記録媒体を使用した場合では異常転写が確認され、マット化も充分に抑えることができないという問題がある。また、特許文献3に記載の感熱転写記録媒体を使用して、同様の方法で印画した場合、印画ムラが確認され、マット化も充分に抑えることができないという問題がある。このように、従来の感熱転写記録媒体を使用した場合では、印画における転写感度が高く、高温・高湿下に保存した感熱転写記録媒体を使用した場合であっても異常転写を発生せず、マット化を充分に改善した、高速プリンタに対応できる感熱転写記録媒体は存在しない。
本発明は、かかる上記の問題に鑑み、高速印画時における転写感度が高く、染料層に使用する染料を低減でき、また、高温・高湿下での保存後においても、印画における異常転写を防止でき、さらに、高濃度部で発生するマット化を少なくすることができる感熱転写記録媒体を提供することを目的とする。
本発明の感熱転写記録媒体は、基材と、該基材の一方の面に形成された耐熱滑性層と、上記基材の他方の面に形成された下引き層と、該下引き層に形成された染料層とからなる感熱転写記録媒体であって、上記下引き層は、少なくとも、下記一般式(1)で示されるケイ素化合物および/またはその加水分解物と、下記一般式(2)で示されるケイ素化合物および/またはその加水分解物と、ビニルピロリドン−ビニルカプロラクタム共重合体と、水分散性ポリエステルと、上記ビニルピロリドン−ビニルカプロラクタム共重合体を除く水溶性高分子とを含むことを特徴とする。本発明は、かかる構成を有することにより、高速印画時における転写感度が高く、染料層に使用する染料を低減でき、また、高温・高湿下での保存後においても、印画における異常転写を防止でき、さらに、高濃度部で発生するマット化を少なくすることができる感熱転写記録媒体を提供することができる。
Si(OR (1)
(式中、RはCH、CまたはCOCHを表す)
(RSi(OR (2)
(式中、R非水性の有機官能基を表し、RはCH、CまたはCOCHを表し、nは1〜100の整数である)
上記一般式(2)において、nが1の場合にはRはイソシアネート基であり、nが2〜100の場合には、上記イソシアネート基を有する一般式(2)で示されるケイ素化合物および/またはその加水分解物が互いに縮重合してイソシアヌレートを形成することが好ましく、下記一般式(3)で表される三量体1,3,5−トリス(3−トリアルコキシシリルアルキル)イソシアヌレートであることがより好ましい。かかる構成を有することにより、水素結合を有する下引き層が、高温・高湿下で長期保存した際に水により膨潤して性能が劣化し、その結果、密着性の低下が生じることを効果的に抑制することができる。
(NCO−(CHSi(OR (3)
(式中、RはCH、CまたはCOCHを表し、nは1〜100の整数である)
上記水分散性ポリエステルが、少なくともジカルボン酸成分としてエステル形成性スルホン酸アルカリ金属塩化合物が共重合され、ジグリコール成分としてジエチレングリコールが共重合されていることが好ましい。かかる構成を有することにより、得られるインクに耐水性、耐溶剤性を付与することができる。
上記水溶性高分子が、ポリビニルアルコールであることが好ましい。かかる構成を有することにより、得られるインクの転写感度を良好なものとすることができる。
上記一般式(1)で表されるケイ素化合物が、テトラエトキシシランであることが好ましい。かかる構成を有することにより、高温・高湿時における染料層と下引き層との密着性が良好となり、異常転写を防止することができる。
上記下引き層が、乾燥後の塗布量として0.10〜0.30g/mの範囲内で塗布されて形成されてなることが好ましい。かかる構成を有することにより、高速印画時においても転写感度が良好となり、基材または染料層との密着性も良好となる。
本発明の感熱転写記録媒体によれば、高速印画時における転写感度が高く、染料層に使用する染料を低減でき、また、高温・高湿下での保存後においても、印画における異常転写を防止でき、さらに、高濃度部で発生するマット化を少なくすることができる感熱転写記録媒体を提供することができる。
本発明の一実施形態にかかる感熱転写記録媒体の側断面図
以下に、本発明の一実施形態にかかる感熱転写記録媒体を、図1を参照しながら説明する。図1は、本発明の一実施形態にかかる感熱転写記録媒体の側断面図である。図1に示されるように、本実施の形態における感熱転写記録媒体は、基材1と、該基材1の一方の面に形成された耐熱滑性層2と、上記基材1の他方の面に形成された下引き層3と、該下引き層3に形成された染料層4とからなる。耐熱滑性層2は、サーマルヘッドとの滑り性を付与する目的で設けられている。
上記基材1の材料としては、熱転写における熱圧で軟化変形しない程度の耐熱性と強度とが要求されるため、たとえば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリプロピレン、セロファン、アセテート、ポリカーボネート、ポリサルフォン、ポリイミド、ポリビニルアルコール、芳香族ポリアミド、アラミド、ポリスチレン等の合成樹脂のフィルム、およびコンデンサー紙、パラフィン紙などの紙類等を単独または組み合わされた複合体として使用することができる。これらの中でも、物性面、加工性、コスト面などを考慮して、ポリエチレンテレフタレートフィルムを使用することが好ましい。また、基材1の厚みとしては、操作性、加工性を考慮し、2〜50μmのものを使用することが好ましく、転写適性や加工性等のハンドリング性が良好である観点から、2〜9μm程度の厚みを有するものを使用することが好ましい。
また、基材1において、耐熱滑性層2および/または下引き層3を形成する面に、接着処理を施すことが可能である。接着処理としては、コロナ処理、火炎処理、オゾン処理、紫外線処理、放射線処理、粗面化処理、プラズマ処理、プライマー処理等の公知の処理を適用することができ、それらの処理を二種以上併用することもできる。本実施の形態では、基材1と下引き層3との接着性を良好に高めることができ、コスト面でも優れる観点から、プライマー処理されたポリエチレンテレフタレートフィルムを使用することが好ましい。
次に、上記耐熱滑性層2の材料としては、従来公知のものを使用することができる。たとえば、バインダーとなる樹脂、離型性や滑り性を付与する機能性添加剤、充填剤、硬化剤、溶剤などを使用することができ、これらを塗布、乾燥して形成することができる。この耐熱滑性層2の乾燥後の塗布量は、0.1〜2.0g/m程度が適当である。
上記バインダー樹脂としては、たとえば、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルアセトアセタール樹脂、ポリエステル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリエーテル樹脂、ポリブタジエン樹脂、アクリルポリオール、ポリウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート、ポリエーテルアクリレート、エポキシアクリレート、ニトロセルロース樹脂、酢酸セルロース樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリカーボネート樹脂等を挙げることができる。機能性添加剤としては、動物系ワックス、植物系ワックス等の天然ワックス、合成炭化水素系ワックス、脂肪族アルコールと酸系ワックス、脂肪酸エステルとグリセライト系ワックス、合成ケトン系ワックス、アミンおよびアマイド系ワックス、塩素化炭化水素系ワックス、アルファーオレフィン系ワックス等の合成ワックス、ステアリン酸ブチル、オレイン酸エチル等の高級脂肪酸エステル、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸カリウム、ステアリン酸マグネシウム等の高級脂肪酸金属塩、長鎖アルキルリン酸エステル、ポリオキシアルキレンアルキルアリールエーテルリン酸エステルまたは、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルリン酸エステル等のリン酸エステル等の界面活性剤等を挙げることができる。充填剤としては、タルク、シリカ、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、カオリン、クレー、シリコーン粒子、ポリエチレン樹脂粒子、ポリプロピレン樹脂粒子、ポリスチレン樹脂粒子、ポリメチルメタクリレート樹脂粒子、ポリウレタン樹脂粒子等を挙げることができる。硬化剤としては、トリレンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、テトラメチルキシレンジイソシアネート等のイソシアネート類、およびその誘導体を使用することができる。
上記下引き層3は、必須成分として、一般式(1)で表されるケイ素化合物およびその加水分解物と、一般式(2)で表されるケイ素化合物およびその加水分解物と、ビニルピロリドン−ビニルカプロラクタム共重合体と、水分散性ポリエステルと、上記ビニルピロリドン−ビニルカプロラクタム共重合体を除く水溶性高分子とを含み、これらの必須成分を含む塗布液を塗布、乾燥して形成することができる。
上記一般式(1)で表されるケイ素化合物およびその加水分解物としては、式中RがCH,C,またはCOCH等で表せるものが好まく、テトラエトキシシラン(RがC)である場合、加水分解後に水系の溶媒中において安定である観点からより好ましい。
Si(OR (1)
(式中、RはCH、CまたはCOCHを表す)
(RSi(OR (2)
(式中、Rは有機官能基を表し、RはCH、CまたはCOCHを表し、nは1〜100の整数である)
上記一般式(1)で表されるケイ素化合物およびその加水分解物は、加水分解後に縮合し、鎖状または三次元構造のポリマーを形成する。ここで、一般にケイ素酸化物は硬く、さらに縮合時の体積縮小による歪みによりクラックが入りやすい傾向があるため、フィルム上に薄く透明で均一な縮合体被膜を形成することは非常に困難である。そこで、本実施の形態では、後述する水溶性高分子を下引き層3に添加して柔軟性を付与し、クラックを防止しながら造膜することが可能となっている。ケイ素化合物およびその加水分解物は、後述する水溶性高分子と分子レベルの複合体を形成し、水溶性高分子だけでは不足する傾向がある高速印画時における転写感度を向上させることができる。
しかしながら、下引き層3において、上記一般式(1)で表されるケイ素化合物およびその加水分解物と、水溶性高分子とを混合した場合、高温・高湿下における長期保存時に下引き層3が水により膨潤し、性能の劣化は密着性の低下が起こりやすい傾向がある。
これに対し、本実施形態では、上記一般式(2)で表されるケイ素化合物およびその加水分解物を添加することにより、この膨潤を防ぐことができる。
一般式(2)において、有機官能基(R)が、ビニル、エポキシ、メタクリロキシ、ウレイド、およびイソシアネート等の非水性官能基であることが好ましい。このように、非水官能基を有することにより、耐水性をさらに向上させることができる。一般式(2)一において、nが2以上の多量体である場合は三量体が好ましく、下記一般式(3)で表される1,3,5−トリス(3−トリアルコキシシリルアルキル)イソシアヌレートがより好ましい。なお、下記一般式(3)で表される1,3,5−トリス(3−トリアルコキシシリルアルキル)イソシアヌレートは、3−イソシアネートアルキルアルコキシシランの縮合体であり、イソシアヌレート部には実質的に化学的反応性がなくなるが、イソシアヌレート部は極性を有するため、化学反応と同様の性能を示すことが知られている。また、1,3,5−トリス(3−トリアルコキシシリルアルキル)イソシアヌレートは、一般的には、3−イソシアネートアルキルアルコキシシランと同様に接着剤などに添加され、接着性向上剤として知られている。そのため、上記一般式(1)で表されるケイ素化合物およびその加水分解物と、水溶性高分子とに添加することによって、水による膨潤を防ぎ、得られるインクの耐湿性を向上させることができる。なお、1,3,5−トリス(3−トリアルコキシシリルアルキル)イソシアヌレートは、3−イソシアネートプロピルアルコキシシランの熱縮合により製造されるものもあり、原料である3−イソシアネートプロピルアルコキシシランが系中に含まれる場合もあり得るが、その場合も物性には特に問題を生じない。
(NCO−(CHSi(OR (3)
(式中、RはCH、CまたはCOCHを表し、nは1〜100の整数である)
水溶性高分子としては、たとえば、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、デンプン、ゼラチン、メチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム等を使用することができる。これらの中でも、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドンを使用することが好ましく、ポリビニルアルコールを使用することがより好ましい。なお、本実施の形態で使用するポリビニルアルコールは、一般にポリ酢酸ビニルをケン化して得られるものであり、その中には、酢酸基が数十%残存した、いわゆる部分ケン化ポリビニルアルコールや、酢酸基が数%しか残存していない、いわゆる完全ケン化ポリビニルアルコールも含まれる。一般的に、水溶性高分子には、上記高分子のほか、後述するビニルピロリドン−ビニルカプロラクタム共重合体も含まれるが、上記下引き層3には、ビニルピロリドン−ビニルカプロラクタム共重合体のほかに、別の水溶性高分子が必須成分として含まれる。
ビニルピロリドン−ビニルカプロラクタム共重合体は、N−ビニルピロリドン系モノマーとビニル重合性モノマーであるビニルカプロラクタムとの共重合体である。共重合の形態としては、ランダム共重合、ブロック共重合、グラフト共重合などの従来公知の重合方法により得られた形態を採用することができる。
本実施の形態において、N−ビニルピロリドン系モノマーとしては、N−ビニルピロリドン(N−ビニル−2−ピロリドン、N−ビニル−4−ピロリドン等を含む)およびその誘導体をいい、当該誘導体としては、たとえば、N−ビニル−3−メチルピロリドン、N−ビニル−5−メチルピロリドン、N−ビニル−3−ベンジルピロリドン、N−ビニル−3,3,5−トリメチルピロリドン等のピロリドン環に置換基を有するものを挙げることができるが、特に限定されるものではない。
上記水分散性ポリエステルは、少なくともジカルボン酸成成分と、ジグリコール成分とを含み、上記ジカルボン酸成分としてエステル形成性スルホン酸アルカリ金属塩化合物が共重合され、ジグリコール成分としてジエチレングリコールが共重合されている。
ジカルボン酸成分は、エステル形成性スルホン酸アルカリ金属塩化合物を必須成分とし、たとえば、フタル酸、テレフタル酸、テレフタル酸ジメチル、イソフタル酸、イソフタル酸ジメチル、2,5−ジメチルテレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、ビフェニルジカルボン酸、オルソフタル酸等の芳香族ジカルボン酸、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸および、ドデカンジカルボン酸等の脂肪族ジカルボン酸、並びにシクロヘキサンジカルボン酸等の脂環族ジカルボン酸等を使用することができる。
エステル形成性スルホン酸アルカリ金属塩化合物以外のジカルボン酸成分としては、芳香族ジカルボン酸の芳香核が、疎水性のプラスチックと親和性が大きく、密着性が向上し、耐加水分解性に優れている観点から、芳香族ジカルボン酸が好ましく、テレフタル酸、イソフタル酸がより好ましい。
エステル形成性スルホン酸アルカリ金属塩化合物は、全酸成分中に6〜20モル%含有することが好ましく、10〜18モル%含有することがより好ましい。エステル形成性スルホン酸アルカリ金属塩化合物が6モル%未満の場合、水に対する樹脂の分散時間が長くなり、耐溶剤性も充分でない傾向があり、20モル%を超える場合、得られるインクの耐水性が低下する傾向がある。
エステル形成性スルホン酸アルカリ金属塩化合物としては、スルホテレフタル酸、5−スルホイソフタル酸、4−スルホイソフタル酸、4−スルホナフタレン酸−2,7−ジカルボン酸などのアルカリ金属塩(スルホン酸のアルカリ金属塩)および、これらのエステル形成性誘導体を使用することができ、その中でも、5−スルホイソフタル酸のナトリウム塩および、そのエステル形成性誘導体がより好ましく使用される。
ジグリコ−ル成分としては、ジエチレングリコール、炭素数2〜8の脂肪族グリコールまたは炭素数6〜12の脂環族グリコ−ル等を使用することができる。炭素数2〜8の脂肪族グリコールまたは炭素数6〜12の脂環族グリコ−ルの具体例としては、エチレングリコ−ル、1,3−プロパンジオ−ル、1,2−プロピレングリコ−ル、ネオペンチルグリコ−ル、1,4−ブタンジオ−ル、1,4−シクロヘキサンジメタノ−ル、1,3−シクロヘキサンジメタノ−ル、1,2−シクロヘキサンジメタノ−ル、1,6−ヘキサンジオール、p−キシリレングリコ−ル、トリエチレングリコ−ルなどが挙げられ、これらの1種もしくは2種以上を併用してもよい。
ジエチレングリコールの含有量としては、全グリコール成分中に20〜80モル%となるよう含有することが好ましい。ジエチレングリコールが、かかる範囲を外れる場合、トルエン、キシレン等の芳香族系溶剤に対して耐溶剤性が不充分となる傾向がある。
水分散性ポリエステルの製造方法としては、従来公知の方法を採用することができる。たとえば、ジカルボン酸とジグリコールとをエステル化あるいはエステル交換反応後に重縮合反応させることによって製造することができ、その製造方法についてはなんら限定されるものではない。
上記下引き層3の乾燥後の塗布量としては、一概に限定されるものではないが、0.10〜0.30g/mの範囲内であることが好ましい。0.10g/m未満の場合には、染料層を積層した際の劣化により、高速印画時における転写感度が不足したり、基材または染料層との密着性に問題となる傾向がある。一方、0.30g/mを超える場合には、感熱転写記録媒体自体の感度が低下し、高速印画時における転写感度が不足する傾向がある。
上記染料層4の形成方法としては特に限定されず、たとえば、熱移行性染料、バインダー、溶剤などを配合して染料層形成用塗布液を調製し、塗布、乾燥することにより形成される。染料層4を形成するための上記染料層形成用塗布液の塗布量としては、1.0g/m程度が適当である。なお染料層4は、1色の単一層で形成することができ、色相の異なる染料を含む複数の染料層を、同一基材1の同一面に順次繰り返し形成することもできる。
上記熱移行性染料としては、熱により、溶融、拡散もしくは昇華移行する染料であれば、特に限定されるわけではなく、たとえば、イエロー成分としては、ソルベントイエロー56,16,30,93,33、ディスパースイエロー201,231,33等を使用することができる。マゼンタ成分としては、C.I.ディスパースレッド60、C.I.ディスパースバイオレット26、C.I.ソルベントレッド27、またはC.I.ソルベントレッド19等を使用することができる。シアン成分としては、C.I.ディスパースブルー354、C.I.ソルベントブルー63、C.I.ソルベントブルー36、またはC.I.ディスパースブルー24等を使用することができる。墨の染料としては、上記の各染料を組み合わせて調色したものを一般的に使用することができる。
上記バインダーとしては、従来公知の樹脂バインダーがいずれも使用でき、特に限定されるものではなく、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、エチルヒドロキシセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、酢酸セルロース等のセルロース系樹脂やポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルブチラール、ポリビニルアセタール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド等のビニル系樹脂やポリエステル樹脂、スチレン−アクリロニトリル共重合樹脂、フェノキシ樹脂等を使用することができる。
熱移行性染料とバインダーとの割合は、熱移行性染料/バインダー=10/100〜300/100が好ましい。これは、熱移行性染料の割合が、10未満の場合、熱移行性染料が少な過ぎて発色感度が不充分となり良好な熱転写画像が得られない傾向がある。一方、300を越える場合、バインダーに対する染料の溶解性が極端に低下するために、感熱転写記録媒体となった際に保存安定性が悪くなって染料が析出しやすくなる傾向がある。また染料層または染料層形成塗布液には、性能を損なわない範囲で、イソシアネート化合物、シランカップリング剤、分散剤、粘度調整剤、安定化剤等の公知の添加剤を使用することができる。
本実施の形態で使用される被転写体となる受像紙基材について説明する。
受像紙基材としては、セルロースパルプを主成分とする紙類を使用することができる。紙類としては、コート紙、アート紙、上質紙(酸性紙、中性紙)、中質紙、グラシン紙などを使用することができる。
さらに、上記受像紙基材上に、中空粒子と接着成分とを含有する断熱層を形成することが好ましい。熱転写方式の印画は、サーマルヘッドからの加熱により行われるため、サーマルヘッドと受像紙基材との密着性が良好なほど好ましい。上記のとおり、受像紙基材上に断熱層が形成されている場合には、形成された断熱層がクッション性を有するために、サーマルヘッドとの密着性が向上し、印画の際により均一な画像を得ることが可能となる。
中空粒子を形成する材料としては、アクリロニトリル、塩化ビニリデン、スチレンアクリル酸エステルの重合体等が好ましく使用される。中空粒子の製造方法としては、樹脂粒子中にブタンガス等の発泡剤を封入して加熱発泡させる方式や、エマルジョン重合方式などを採用することができる。加熱発泡させる方式としては、中空粒子を予め加熱処理によって発泡させた既発泡中空粒子を用いる場合と、未発泡の粒子を含有した断熱層を塗工などにより形成した後に乾燥工程などの加熱処理によって断熱層中に中空構造を形成する場合とがある。その中でも、中空粒子の中空率や粒子径を一定に制御することが容易な点から、既発泡粒子を用いることが好ましい。
上記受像紙基材上または上記断熱層上に形成される受像層に使用する染着性樹脂としては、熱移行性染料に対する親和性が高く、染料染着性の良好な熱可塑性樹脂を使用することができる。具体的には、たとえば、塩化ビニル系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアクリル酸エステル樹脂、アクリル系樹脂、セルロース系樹脂、ポリアミド樹脂、ビニル化合物モノマーとベンゾトリアゾール骨格および/またはベンゾフェノン骨格を有するモノマーとの共重合樹脂などの熱可塑性樹脂を使用することができる。これらの熱可塑性樹脂は単独で使用してもよく、二種以上を併用してもよい。また、上記染着性樹脂は、環境負荷の面から水溶性もしくは水分散系のいわゆる水系の樹脂であることが好ましい。
熱転写方式の印画においては、受像紙基材上の受像層とインクリボンの染料層とを重ね合わせた状態で、サーマルヘッドにより加熱した後、インクリボンを受像層から剥がす工程がある。その際、受像層には、インクリボンとの離型性が要求されるため、インクリボンとの融着を防止し、印画走行性を向上させる目的で、離型剤を添加することが好ましい。添加する離型剤としては、シリコーンオイル、ポリシロキサングラフトアクリル樹脂、ワックス類、フッ素化合物などが挙げられる。
受像層には、架橋剤を添加して耐熱性を向上させることが好ましい。架橋剤としては、カルボジイミド化合物、イソシアネート化合物、オキサゾリン化合物、有機チタンキレート化合物を使用することができる。その中でも耐熱性向上の効果が高く、印画時のリボン融着などの走行性の問題が発生しにくい点や、水性塗料中での安定性の点で、カルボジイミド系架橋剤が好ましい。カルボジイミド系架橋剤の添加量としては、受像層に含有される樹脂100質量部に対し1〜30質量部が好ましく、3〜25質量部がより好ましい。1質量部未満では、充分な架橋の効果が得られず、印画走行不良が発生する傾向がある。一方、30質量部を超える場合、樹脂の染着性を硬化剤が阻害して印画画像の濃度が低下する傾向がある。
受像層の塗布量としては、0.5〜5g/mが好ましく、0.5〜4g/mがより好ましい。0.5g/m未満の場合、画像の耐光性が劣る傾向がある。一方、5g/mを超える場合、受像層中で染料が拡散してしまい、画像のにじみが発生する傾向がある。
以下に、本発明の感熱転写記録媒体について、実施例を示して具体的に説明する。なお、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
使用原料を以下に示す。なお、文中で「部」とあるのは、特に断りのない限り質量部を示している。
<耐熱滑性層付き基材の作製>
基材として、4.5μmの片面易接着処理付きポリエチレンテレフタレートフィルムを使用し、その非易接着処理面に下記組成の耐熱滑性層塗布液を、グラビアコーティング法により、乾燥後の塗布量が1.0g/mになるように塗布、乾燥した後に、40℃環境下で1週間エージングして、耐熱滑性層付き基材を作製した。
<耐熱滑性層塗布液>
アクリルポリオール樹脂 12.5部
ポリオキシアルキレンアルキルエーテル・リン酸エステル 2.5部
タルク 6.0部
2,6−トリレンジイソシアネートプレポリマー 4.0部
トルエン 50.0部
メチルエチルケトン 20.0部
酢酸エチル 5.0部
<下引き層塗布液の作製>
A:テトラエトキシシラン(Si(OC)17.3部と、メタノール10.0部との混合液に、塩酸(0.1N)72.7部を加え、30分間撹拌し、加水分解させて下引き層塗布液Aとした。
B:水90.0部とメタノール5.0部との混合液に、ポリビニルアルコール1.5部とビニルピロリドン−ビニルカプロラクタム共重合体2.5部と水分散性ポリエステル1.0部とを溶解させて下引き層塗布液Bとした。
C:水90.0部とメタノール5.0部との混合液に、ポリビニルアルコール2.5部とビニルピロリドン−ビニルカプロラクタム共重合体1.5部と水分散性ポリエステル1.0部とを溶解させて下引き層塗布液Cとした。
D:水90.0部とメタノール5.0部との混合液に、ポリビニルアルコール1.5部とビニルピロリドン−ビニルカプロラクタム共重合体1.5部と水分散性ポリエステル2.0部とを溶解させて下引き層塗布液Dとした。
E:水90.0部とメタノール5.0部との混合液に、ポリビニルピロリドン1.5部とビニルピロリドン−ビニルカプロラクタム共重合体2.5部と水分散性ポリエステル1.0部とを溶解させて下引き層塗布液Eとした。
F:水90.0部とメタノール5.0部との混合液に、ポリビニルアルコール2.5部と水分散性ポリエステル2.5部とを溶解させて下引き層塗布液Fとした。
G:水90.0部とメタノール5.0部との混合液に、ポリビニルアルコール2.5部とビニルピロリドン−ビニルカプロラクタム共重合体2.5部とを溶解させて下引き層塗布液Gとした。
H:水90.0部とメタノール5.0部との混合液に、ビニルピロリドン−ビニルカプロラクタム共重合体2.5部と水分散性ポリエステル2.5部とを溶解させて下引き層塗布液Hとした。
I:水45.0部とIPA45.0部と1,3,5−トリス(3−メトキシシリルプロピル)イソシアヌレート10.0部とを混合させて5分撹拌し、下引き層塗布液Iとした。
<被転写体となる受像紙の作製>
<受像紙基材の用意>
受像紙基材として、厚み180g/mのアート紙を用いた。
<断熱層の形成>
上記受像紙基材上に、下記組成断熱層塗布液を、グラビアコーティング法により、乾燥後の塗布量が10g/mになるように塗布、乾燥し、40℃環境下で1週間エージングして、断熱層付き受像紙を作製した。
<断熱層塗布液>
アクリロニトリルおよびメタクリロニトリルを主成分
とする共重合体からなる既発泡中空粒子 45部
(平均粒子径3.2μm、体積中空率85%)
ポリビニルアルコール 10部
塩化ビニル酢酸ビニル共重合体樹脂分散物 45部
(塩化ビニル/酢酸ビニル=70/30、ガラス転移温度(Tg):64℃)
水 200部
<受像層の形成>
上記断熱層上に、下記組成受像層塗布液を、グラビアコーティング法により、乾燥後の塗布量が4g/mになるように塗布、乾燥し、40℃環境下で1週間エージングして、
受像層を作製した。
<受像層塗布液>
ウレタン樹脂 97部
(Tg:−20℃)
会合型ウレタン系増粘剤 1部
スルホン酸系界面活性剤 2部
水 200部
(実施例1)
耐熱滑性層付き基材の易接着処理面に、上記で作成した下引き層塗布液A、下引き層塗布液B、下引き層塗布液Iを、A/B/I=70/20/10となるよう混合し、30分撹拌した塗布液を、グラビアコーティング法により、乾燥後の塗布量が0.2g/mになるように塗布、乾燥して下引き層を形成した。その下引き層の上に、下記組成の染料層塗布液を、グラビアコーティング法により、乾燥後の塗布量が0.7g/mになるように塗布、乾燥して染料層を形成し、感熱転写記録媒体を作製した。
<染料層塗布液>
C.I.ソルベントブルー63 6.0部
ポリビニルアセタール樹脂 4.0部
トルエン 45.0部
メチルエチルケトン 45.0部
(実施例2)
使用する下引き層塗布液を、下引き層塗布液A、下引き層塗布液C、下引き層塗布液Iとし、それぞれA/C/I=70/20/10で混合した以外は、実施例1と同様にして、感熱記録転写媒体を作製した。
(実施例3)
使用する下引き層塗布液を、下引き層塗布液A、下引き層塗布液D、下引き層塗布液Iとし、それぞれA/D/I=70/20/10で混合した以外は、実施例1と同様にして、感熱記録転写媒体を作製した。
(実施例4)
使用する下引き層塗布液を、下引き層塗布液A、下引き層塗布液E、下引き層塗布液Iとし、それぞれA/E/I=70/20/10で混合した以外は、実施例1と同様にして、感熱記録転写媒体を作製した。
(実施例5)
下引き層を乾燥後の塗布量が0.05g/mになるように塗布、乾燥した以外は、実施例1と同様にして、感熱記録転写媒体を作製した。
(実施例6)
下引き層を乾燥後の塗布量が0.35g/mになるように塗布、乾燥した以外は、実施例1と同様にして、感熱記録転写媒体を作製した。
(比較例1)
耐熱滑性層付き基材の易接着処理面に、下引き層を形成することなく、易接着処理面の上に、実施例1と同様の染料層塗布液を、グラビアコーティング法により、乾燥後の塗布量が0.7g/mになるように塗布、乾燥して染料層を形成し、感熱転写記録媒体を作製した。
(比較例2)
使用する下引き層塗布液を、下引き層塗布液A、下引き層塗布液F、下引き層塗布液Iとし、それぞれA/F/I=70/20/10で混合した以外は、実施例1と同様にして、感熱記録転写媒体を得た。
(比較例3)
使用する下引き層塗布液を、下引き層塗布液A、下引き層塗布液G、下引き層塗布液Iとし、それぞれA/G/I=70/20/10で混合した以外は、実施例1と同様にして、感熱記録転写媒体を得た。
(比較例4)
使用する下引き層塗布液を、下引き層塗布液A、下引き層塗布液H、下引き層塗布液Iとし、それぞれA/H/I=70/20/10で混合した以外は、実施例1と同様にして、感熱記録転写媒体を得た。
(比較例5)
使用する下引き層塗布液を、下引き層塗布液A、下引き層塗布液Bとし、それぞれA/B=70/30で混合した以外は、実施例1と同様にして、感熱記録転写媒体を得た。
(比較例6)
使用する下引き層塗布液を、下引き層塗布液Bのみにした以外は、実施例1と同様にして、感熱記録転写媒体を得た。
<常温における染料層の密着性評価>
実施例1〜6および比較例1〜6でそれぞれ得られた感熱転写記録媒体について、常温にて保存された感熱転写記録媒体の染料層の上に、幅24mm、長さ150mmのセロハンテープを貼り、その後すぐに剥がしたときの、セロハンテープ側への染料層の付着の有無を、以下の基準に従って調べる。結果を表1に示す。
<密着性評価の基準>
○:染料層の付着が、認められない
△:染料層の付着が、ごく僅かに認められる
×:染料層の付着が、全面で認められる
<高温・高湿保存後における染料層の密着性評価>
実施例1〜6および比較例1〜6でそれぞれ得られた感熱転写記録媒体について、50℃80%RH環境下にそれぞれ72時間、84時間、96時間保存した後、常温にてさらに24時間保存した感熱転写記録媒体の染料層の上に、幅24mm、長さ150mmのセロハンテープを貼り、その後すぐに剥がしたときの、セロハンテープ側への染料層の付着の有無を、上記<常温における染料層の密着性評価>の評価基準に従って調べる。結果を表1に示す。
<印画評価>
実施例1〜6および比較例1〜6の感熱転写記録媒体について、常温にて保存された感熱転写記録媒体、および50℃80%RH環境下にそれぞれ72時間、84時間、96時間保存された後、常温にてさらに24時間保存された感熱転写記録媒体と被転写体を使用し、サーマルシミュレーター(ウエッジ社製)にて以下の条件でベタ印画を行い、最高反射濃度、異常転写の有無およびマット化の有無を、以下の基準に従って評価する。結果を表2に示す。なお最高反射濃度は、マット化の確認されない印画部を分光濃度計(X−Rite社製、X−Rite528)にて測定した値である。
<印画条件>
印画環境:23℃50%RH
印加電圧:29V
ライン周期:0.7msec
印画密度:主走査300dpi 副走査300dpi
<異常転写の評価の基準>
○:被転写体への異常転写が、認められない
△:被転写体への異常転写が、ごく僅かに認められる
×:被転写体への異常転写が、全面で認められる
<マット化の評価の基準>
○:マット化が、認められない
△:マット化が、部分的に認められる
×:マット化が、はっきりと認められる
表1および表2に示されるように、実施例1〜6で作製した感熱転写記録媒体は、下引き層を設けられていない比較例1で作製した感熱転写記録媒体と比較して、明らかに高速印画時における転写感度が高いことが判った。また、常温保存および高温・高湿保存における染料層の密着性および印画における異常転写、さらに高濃度部で発生するマット化も実用上問題ないことが判った。
比較例2で作製した感熱転写記録媒体は、実施例1で作製した感熱転写記録媒体と比較して、下引き層からビニルピロリドン−ビニルカプロラクタム共重合体を除いた結果、テカリに問題を抱えていることが判った。比較例3で作製した感熱転写記録媒体は、下引き層として水分散性ポリエステルを欠く結果、高温・高湿時の染料層と下引き層の密着性が不足し、異常転写が発生していることが判った。このような高温・高湿時の密着性不足は、1,3,5−トリス(3−メトキシシリルプロピル)イソシアヌレートを欠く比較例5で作製した感熱転写記録媒体や、テトラエトキシシラン並びに1,3,5−トリス(3−メトキシシリルプロピル)イソシアヌレートを欠く比較例6で作製した感熱転写記録媒体についても同様であった。さらに、比較例4で作製した感熱転写記録媒体は、実施例1で作製した感熱転写記録媒体と比較して、下引き層から水溶性高分子であるポリビニルアルコールを欠く結果、転写感度の効果がほぼ確認できないことが判った。
本発明の感熱転写記録媒体は、高速印画時における転写感度が高く、染料層に使用する染料を低減でき、また、高温・高湿下での保存後においても、印画における異常転写を防止でき、さらに、高濃度部で発生するマット化を少なくすることができるため、たとえばデジタルカメラのセルフプリント、身分証明書などのカード類、アミューズメント用出力物等の分野で好適に使用することができる。
1 基材
2 耐熱滑性層
3 下引き層
4 染料層

Claims (7)

  1. 基材と、
    該基材の一方の面に形成された耐熱滑性層と、
    前記基材の他方の面に形成された下引き層と、
    該下引き層に形成された染料層とからなる感熱転写記録媒体であって、
    前記下引き層は、少なくとも、
    下記一般式(1)で示されるケイ素化合物および/またはその加水分解物と、
    下記一般式(2)で示されるケイ素化合物および/またはその加水分解物と、
    ビニルピロリドン−ビニルカプロラクタム共重合体と、
    水分散性ポリエステルと、
    前記ビニルピロリドン−ビニルカプロラクタム共重合体を除く水溶性高分子とを含むことを特徴とする感熱転写記録媒体。
    Si(OR (1)
    (式中、RはCH、CまたはCOCHを表す)
    (RSi(OR (2)
    (式中、R非水性の有機官能基を表し、RはCH、CまたはCOCHを表し、nは1〜100の整数である)
  2. 前記一般式(2)において、
    nが1の場合にはRはイソシアネート基であり、
    nが2〜100の場合には、前記イソシアネート基を有する一般式(2)で示されるケイ素化合物および/またはその加水分解物が互いに縮重合してイソシアヌレートを形成することを特徴とする請求項1記載の感熱転写記録媒体。
  3. 前記一般式(2)が、下記一般式(3)で表される三量体1,3,5−トリス(3−トリアルコキシシリルアルキル)イソシアヌレートであることを特徴とする請求項2記載の感熱転写記録媒体。
    (NCO−(CHSi(OR (3)
    (式中、RはCH、CまたはCOCHを表し、nは1〜100の整数である)
  4. 前記水分散性ポリエステルが、少なくともジカルボン酸成分としてエステル形成性スルホン酸アルカリ金属塩化合物が共重合され、ジグリコール成分としてジエチレングリコールが共重合されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の感熱転写記録媒体。
  5. 前記水溶性高分子が、ポリビニルアルコールであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の感熱転写記録媒体。
  6. 前記一般式(1)で表されるケイ素化合物が、テトラエトキシシランであることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の感熱転写記録媒体。
  7. 前記下引き層が、乾燥後の塗布量として0.10〜0.30g/mの範囲内で塗布されて形成されてなることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の感熱転写記録媒体。
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