JP6361388B2 - 感熱転写記録媒体 - Google Patents
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Description
これに対し、特許文献1に記載されている感熱転写記録媒体を用いて、昨今の昇華転写方式の高速プリンタにて印画を行ったところ、例えば、十分な印画濃度が得られなかったり、熱転写の際に異常転写が生じたりして、十分に満足できる品質の印画物が得られなかった。
本発明の実施形態に係る感熱転写記録媒体1は、図1に示すように、基材10の一方の面にはサーマルヘッドとの滑り性を付与する耐熱滑性層40が形成されており、基材10の他方の面には下引き層20と染料層30とがこの順で形成されている。以下、これらの部材の詳細について説明する。
基材10は、熱転写における熱圧で軟化変形しない耐熱性と強度とが要求される。そのため、基材10としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリプロピレン、セロファン、アセテート、ポリカーボネート、ポリサルフォン、ポリイミド、ポリビニルアルコール、芳香族ポリアミド、アラミド、ポリスチレン等の合成樹脂のフィルム、及びコンデンサー紙、パラフィン紙などの紙類等を単独で又は組み合わされた複合体が使用可能である。これらの中でも、物性面、加工性、コスト面などを考慮するとポリエチレンテレフタレートフィルムが好ましい。
また、基材10は、操作性、加工性を考慮し、その厚さが2μm以上50μm以下の範囲内のものが使用可能である。その範囲内のものでも、転写適性や加工性等のハンドリング性を考慮すると、2μm以上9μm以下の範囲内のものが好ましい。
下引き層20は、100℃における貯蔵弾性率G′が1.0E+06N/m2以上であり、スルホン酸基を有するポリエステルとグリシジル基及びカルボキシル基の少なくともいずれか一方を有するアクリルとの共重合体、及びポリビニルピロリドンを含んだものである。このような下引き層20を形成することによって異常転写が発生せず、かつ、染料層30に使用する染料を増やすことなく高濃度の印画が得られる。この点について、以下詳細に説明する。なお、上記スルホン酸基を有するポリエステルとは、例えば、側鎖にスルホン酸基を有するポリエステルである。
100℃における貯蔵弾性率G′を調整するために添加可能な架橋剤や硬化剤として、例えば、イソシアネート化合物、シランカップリング剤、キレート化合物、メラミン、エポキシ化合物、アジリジン化合物、カルボジイミド化合物などを挙げることができるが、特に限定されるものではない。
なお、下引き層20の動的粘弾性特性は、特定周波数、及び特定温度における、動的粘弾性スペクトルの損失正接、又は損失正接及び貯蔵弾性率により規定される。本実施形態において、この動的粘弾性の測定は、周波数10Hz、20℃から200℃の温度範囲、昇温速度3℃/min、試験片は約0.1mmで行った。
スルホン酸基を有するポリエステルの共重合成分であるジカルボン酸成分は、エステル形成性スルホン酸アルカリ金属塩化合物を必須成分とし、例えば、フタル酸、テレフタル酸、テレフタル酸ジメチル、イソフタル酸、イソフタル酸ジメチル、2,5−ジメチルテレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、ビフェニルジカルボン酸、オルソフタル酸等の芳香族ジカルボン酸、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸及び、ドデカンジカルボン酸等の脂肪族ジカルボン酸、並びにシクロヘキサンジカルボン酸等の脂環族ジカルボン酸等が挙げられる。
また、エステル形成性スルホン酸アルカリ金属塩化合物としては、例えば、スルホテレフタル酸、5−スルホイソフタル酸、4−スルホイソフタル酸、4−スルホナフタレン酸−2,7−ジカルボン酸などのアルカリ金属塩(スルホン酸のアルカリ金属塩)及び、これらのエステル形成性誘導体が挙げられ、5−スルホイソフタル酸のナトリウム塩及び、そのエステル形成性誘導体がより好ましく用いられる。これは、スルホン酸基を有することによって耐溶剤性が向上するためである。
下引き層20に含まれるアクリル成分としては、例えば、グリシジル基含有ラジカル重合性不飽和モノマーの単独あるいはカルボキシル基含有ラジカル重合性不飽和モノマー単独、あるいは上記モノマーと共重合できる他のラジカル重合性不飽和モノマーが挙げられる。
本実施形態では、グリシジル基含有ラジカル重合性不飽和モノマーあるいはカルボキシル基含有ラジカル重合性不飽和モノマーが必要となる。これはグリシジル基及びカルボキシル基は、染料との相溶性が悪いため、染料バリア性を有するからである。つまり、グリシジル基及びカルボキシル基の少なくともいずれか一方を含有することによって、転写感度が向上する。さらには、例えば、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン系溶剤及び酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶剤に対する耐溶剤性が向上する。
また、カルボキシル基含有ラジカル重合性不飽和モノマーとしては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、2−カルボキシエチル(メタ)アクリレート、2−カルボキシプロピル(メタ)アクリレート、5−カルボキシペンチル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
上述のビニルエステルとしては、例えば、プロピオン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、高級第3級ビニルエステル、塩化ビニル、臭化ビニルが挙げられる。
また、上述の不飽和ニトリルとしては、例えば、アクリロニトリルが挙げられる。
また、上述のアリル化合物としては、例えば、酢酸アリル、メタクリル酸アリル、アクリル酸アリル、イタコン酸ジアリルが挙げられる。
また、上述の炭化水素ビニルモノマーとしては、例えば、エチレン、プロピレン、ヘキセン、オクテン、スチレン、ビニルトルエン、ブタジエンが挙げられる。
また、上述のビニルシラン化合物としては、例えば、ジメチルビニルメトキシシラン、ジメチルビニルエトキシシラン、メチルビニルジメトキシシラン、メチルビニルジエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルジメトキシシランが挙げられる。
また、下引き層20に含まれるポリエステルとアクリルとの共重合体の製造方法については、なんら限定されるものではない。例えば、乳化重合の場合は、ポリエステル分散液あるいは水溶液を用いてアクリルモノマーを乳化して重合する方法や、ポリエステル分散液あるいは水溶液にアクリルモノマーを滴下しながら重合する方法が挙げられる。
発明者らが見出した、ポリエステルとアクリルとの共重合体にポリビニルピロリドンを含ませることで、両者(つまり、共重合体とポリビニルピロリドン)をそれぞれ単独で使用した場合と比較して、転写感度が増加するのは、ポリビニルピロリドンが、染料を吸着しやすい性質を持つ共重合体中のスルホン酸基を有するポリエステル部位の近傍に存在することで、染料の吸着を防止したためと考えられる。
ここで、下引き層20の乾燥後の塗布量とは、下引き層形成用の塗布液を塗布、乾燥した後に残った固形分量のことをいう。また、後述する染料層30の乾燥後の塗布量及び耐熱滑性層40の乾燥後の塗布量も、同様に、各塗布液を塗布、乾燥した後に残った固形分量のことをいう。
染料層30は、例えば、熱移行性染料、バインダー、溶剤などを配合して染料層形成用の塗布液を調製し、塗布、乾燥することで形成されたものである。染料層30の乾燥後の塗布量は、1.0g/m2程度が適当である。なお、染料層30は、1色の単一層で構成したり、色相の異なる染料を含む複数の層を、同一基材の同一面に面順次に、繰り返し形成したりすることもできる。
耐熱滑性層40は、例えば、バインダー、離型性や滑り性を付与する機能性添加剤、充填剤、硬化剤、溶剤などを配合して耐熱滑性層形成用の塗布液を調製し、塗布、乾燥して形成したものである。この耐熱滑性層40の乾燥後の塗布量は、0.1g/m2以上2.0g/m2以下の範囲内が適当である。
耐熱滑性層40に含まれるバインダーとしては、例えば、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルアセトアセタール樹脂、ポリエステル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリエーテル樹脂、ポリブタジエン樹脂、アクリルポリオール、ポリウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート、ポリエーテルアクリレート、エポキシアクリレート、ニトロセルロース樹脂、酢酸セルロース樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリカーボネート樹脂等を挙げることができる。
また、耐熱滑性層40に含まれる硬化剤としては、例えば、トリレンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、テトラメチルキシレンジイソシアネート等のイソシアネート類、及びその誘導体を挙げることができるが、特に限定されるものではない。
(1)本実施形態に係る感熱転写記録媒体1では、基材10の一方の面に耐熱滑性層40を備え、基材10の他方の面に下引き層20、染料層30をこの順に備えており、下引き層20を、スルホン酸基を有するポリエステルとグリシジル基及びカルボキシル基の少なくともいずれか一方を有するアクリルとの共重合体、及びポリビニルピロリドンを含んだものとし、下引き層20の100℃における貯蔵弾性率G′を1.0E+06N/m2以上としている。
このため、異常転写の発生を抑制することができ、且つ、染料層30に使用する染料量を増やすことなく高速印画時における転写感度を高めることができる。
このため、高速印画時における転写感度をより高めることができ、且つ、印画時に発生するシワの量をより低減することができる。
(3)また、本実施形態に係る感熱転写記録媒体1では、ポリビニルピロリドンのフィッケンチャーの公式におけるK値を30以上100以下の範囲内としている。
このため、高速印画時における転写感度を高めることができ、且つ、塗布液の粘度が適正な値となり塗工適正を最適なものとすることができる。
このため、下引き層20と基材10との密着性を高めることができ、且つ、高速印画時における印画濃度を高めることができる。
(5)また、本実施形態に係る感熱転写記録媒体1では、共重合体とポリビニルピロリドンとの組成比を重量比で70:30から30:70までの範囲内としている。
このため、高速印画時における印画濃度をさらに高めることができ、且つ、保存安定性を高めることができる。
このため、基材10あるいは染料層30と、下引き層20との密着性を高めることができ、且つ、高速印画時であっても十分な印画濃度を維持することができる。また、感熱転写記録媒体の製造コストが高騰するのを防止することができる。
上述した下引き層20を形成するための下引き層用塗布液について、以下説明する。
本実施形態で用いられる下引き層用塗布液は、スルホン酸基を有するポリエステルとグリシジル基及びカルボキシル基の少なくともいずれか一方を有するアクリルとの共重合体、及びポリビニルピロリドンを含んだものである。
また、この下引き層用塗布液において、ポリビニルピロリドンのフィッケンチャーの公式におけるK値は、30以上100以下の範囲内であることが好ましい。
また、この下引き層用塗布液において、ポリエステル及びアクリルの共重合体と、ポリビニルピロリドンとの組成比は、重量比で70:30から30:70の範囲内であることが好ましい。
この下引き層用塗布液を用いて形成した下引き層20を備えた感熱転写記録媒体1であれば、異常転写の発生を抑制することができ、且つ、染料層30に使用する染料量を増やすことなく高速印画時における転写感度を高めることができる。
上述した耐熱滑性層40、下引き層20、染料層30は、いずれも汎用の塗布方法にて塗布し、乾燥することで形成可能である。各層の塗布方法としては、例えば、グラビアコーティング法、スクリーン印刷法、スプレーコーティング法、リバースロールコート法を挙げることができる。
なお、上記塗布方法を用いて、基材10上に上記下引き層用塗布液を塗布し、乾燥することで、100℃における貯蔵弾性率G′が1.0E+06N/m2以上である下引き層20を形成することができる。
<耐熱滑性層付き基材の作製>
基材として、4.5μmのポリエチレンテレフタレートフィルムを使用し、その一方の面に、下記組成の耐熱滑性層用塗布液を、グラビアコーティング法により、乾燥後の塗布量が1.0g/m2になるように塗布し、100℃1分間乾燥した。その後に、40℃環境下で1週間エージングすることで、耐熱滑性層付き基材を得た。
・アクリルポリオール樹脂 12.5部
・ポリオキシアルキレンアルキルエーテル・リン酸エステル 2.5部
・タルク 6.0部
・2,6−トリレンジイソシアネートプレポリマー 4.0部
・トルエン 50.0部
・メチルエチルケトン 20.0部
・酢酸エチル 5.0部
留出管、窒素導入管、温度計、撹拌機を備えた四つ口フラスコにテレフタル酸ジメチル854部、5−ソジウムスルホイソフタル酸355部、エチレングリコール186部、ジエチレングリコール742部及び、反応触媒として酢酸亜鉛1部を仕込んだ。
耐熱滑性層付き基材の耐熱滑性層が塗布されていない面に、下記組成の下引き層用塗布液−1を、グラビアコーティング法により、乾燥後の塗布量が0.20g/m2になるように塗布し、100℃で2分間乾燥することで、下引き層を形成した。引き続き、その下引き層の上に、下記組成の染料層用塗布液を、グラビアコーティング法により、乾燥後の塗布量が0.70g/m2になるように塗布し、90℃で1分間乾燥することで、染料層を形成した。こうして、実施例1の感熱転写記録媒体を得た。
・スルホン酸基含有ポリエステル/
グリシジル基含有アクリル共重合体(30:70) 2.50部
・ポリビニルピロリドン(K値60) 2.50部
・純水 57.0部
・イソプロピルアルコール 38.0部
・C.I.ソルベントブルー63 6.0部
・ポリビニルアセタール樹脂 4.0部
・トルエン 45.0部
・メチルエチルケトン 45.0部
実施例1で作製した感熱転写記録媒体において、下引き層を下記組成の下引き層用塗布液−2にした以外は、実施例1と同様にして、実施例2の感熱転写記録媒体を得た。
<下引き層用塗布液−2>
・スルホン酸基含有ポリエステル/
グリシジル基含有アクリル共重合体(30:70) 2.50部
・ポリビニルピロリドン(K値30) 2.50部
・純水 57.0部
・イソプロピルアルコール 38.0部
実施例1で作製した感熱転写記録媒体において、下引き層を下記組成の下引き層用塗布液−3にした以外は、実施例1と同様にして、実施例3の感熱転写記録媒体を得た。
<下引き層用塗布液−3>
・スルホン酸基含有ポリエステル/
グリシジル基含有アクリル共重合体(30:70) 2.50部
・ポリビニルピロリドン(K値90) 2.50部
・純水 57.0部
・イソプロピルアルコール 38.0部
実施例1で作製した感熱転写記録媒体において、下引き層を下記組成の下引き層用塗布液−4にした以外は、実施例1と同様にして、実施例4の感熱転写記録媒体を得た。
<下引き層用塗布液−4>
・スルホン酸基含有ポリエステル/
グリシジル基含有アクリル共重合体(30:70) 3.50部
・ポリビニルピロリドン(K値60) 1.50部
・純水 57.0部
・イソプロピルアルコール 38.0部
実施例1で作製した感熱転写記録媒体において、下引き層を下記組成の下引き層用塗布液−5にした以外は、実施例1と同様にして、実施例5の感熱転写記録媒体を得た。
<下引き層用塗布液−5>
・スルホン酸基含有ポリエステル/
グリシジル基含有アクリル共重合体(30:70) 1.50部
・ポリビニルピロリドン(K値60) 3.50部
・純水 57.0部
・イソプロピルアルコール 38.0部
実施例1で作製した感熱転写記録媒体において、下引き層を下記組成の下引き層用塗布液−6にした以外は、実施例1と同様にして、実施例6の感熱転写記録媒体を得た。
<下引き層用塗布液−6>
・スルホン酸基含有ポリエステル/
カルボキシル基含有アクリル共重合体(30:70) 2.50部
・ポリビニルピロリドン(K値90) 2.50部
・純水 57.0部
・イソプロピルアルコール 38.0部
実施例1で作製した感熱転写記録媒体において、下引き層を下記組成の下引き層用塗布液−7にした以外は、実施例1と同様にして、実施例7の感熱転写記録媒体を得た。
<下引き層用塗布液−7>
・スルホン酸基含有ポリエステル/
グリシジル基含有アクリル共重合体(20:80) 2.50部
・ポリビニルピロリドン(K値90) 2.50部
・純水 57.0部
・イソプロピルアルコール 38.0部
実施例1で作製した感熱転写記録媒体において、下引き層を下記組成の下引き層用塗布液−8にした以外は、実施例1と同様にして、実施例8の感熱転写記録媒体を得た。
<下引き層用塗布液−8>
・スルホン酸基含有ポリエステル/
グリシジル基含有アクリル共重合体(40:60) 2.50部
・ポリビニルピロリドン(K値90) 2.50部
・純水 57.0部
・イソプロピルアルコール 38.0部
実施例3で作製した感熱転写記録媒体において、下引き層を乾燥後の塗布量が0.03g/m2になるように下引き層用塗布液を塗布、乾燥すること以外は、実施例1と同様にして、実施例9の感熱転写記録媒体を得た。
(実施例10)
実施例3で作製した感熱転写記録媒体において、下引き層を乾燥後の塗布量が0.35g/m2になるように下引き層用塗布液を塗布、乾燥すること以外は、実施例1と同様にして、実施例10の感熱転写記録媒体を得た。
耐熱滑性層付き基材の耐熱滑性層が塗布されていない面に、下引き層を形成することなく、実施例1と同様の染料層用塗布液を、グラビアコーティング法により、乾燥後の塗布量が0.7g/m2になるように塗布、乾燥することで、染料層を形成した。こうして、比較例1の感熱転写記録媒体を得た。
(比較例2)
下引き層を下記組成の下引き層用塗布液−9にした以外は、実施例1と同様にして、比較例2の感熱転写記録媒体を得た。
<下引き層用塗布液−9>
・ポリビニルピロリドン(K値30) 5.0部
・純水 57.0部
・イソプロピルアルコール 38.0部
下引き層を下記組成の下引き層用塗布液−10にした以外は、実施例1と同様にして、比較例3の感熱転写記録媒体を得た。
<下引き層用塗布液−10>
・ポリビニルピロリドン(K値90) 5.0部
・純水 57.0部
・イソプロピルアルコール 38.0部
下引き層を下記組成の下引き層用塗布液−11にした以外は、実施例1と同様にして、比較例4の感熱転写記録媒体を得た。
<下引き層用塗布液−11>
・スルホン酸基含有ポリエステル樹脂 5.00部
・純水 47.5部
・イソプロピルアルコール 47.5部
実施例1で作製した感熱転写記録媒体において、下引き層を下記組成の下引き層用塗布液−12にした以外は、実施例1と同様にして、比較例5の感熱転写記録媒体を得た。
<下引き層用塗布液−12>
・グリシジル基含有アクリル樹脂 5.00部
・純水 47.5部
・イソプロピルアルコール 47.5部
下引き層を下記組成の下引き層用塗布液−13にした以外は、実施例1と同様にして、比較例6の感熱転写記録媒体を得た。
<下引き層用塗布液−13>
・スルホン酸基含有ポリエステル/
カルボキシル基含有アクリル共重合体(30:70) 5.00部
・純水 57.0部
・イソプロピルアルコール 38.0部
実施例1で作製した感熱転写記録媒体において、下引き層を下記組成の下引き層用塗布液−14にした以外は、実施例1と同様にして、比較例7の感熱転写記録媒体を得た。
<下引き層用塗布液−14>
・グリシジル基含有アクリル樹脂 7.00部
・スルホン酸基含有ポリエステル樹脂 3.00部
・純水 45.0部
・イソプロピルアルコール 45.0部
実施例1で作製した感熱転写記録媒体において、下引き層を下記組成の下引き層用塗布液−15にした以外は、実施例1と同様にして、比較例8の感熱転写記録媒体を得た。
<下引き層用塗布液−15>
・メトキシメチル化ナイロン(メトキシメチル化率 約30%)5.00部
・純水 57.0部
・イソプロピルアルコール 38.0部
基材として、188μmの白色発泡ポリエチレンテレフタレートフィルムを使用し、その一方の面に下記組成の受像層用塗布液を、グラビアコーティング法により、乾燥後の塗布量が5.0g/m2になるように塗布、乾燥した。こうして、感熱転写用の被転写体を作製した。
<受像層用塗布液>
・塩化ビニル−酢酸ビニル−ビニルアルコール共重合体 19.5部
・アミノ変性シリコーンオイル 0.5部
・トルエン 40.0部
・メチルエチルケトン 40.0部
実施例1〜10、比較例1〜8の感熱転写記録媒体を使用し、サーマルシミュレーターにてベタ印画を行い、最高反射濃度を評価した。その結果を表1に示す。なお、最高反射濃度は、X−Rite528にて測定した値である。
なお、印画条件は以下の通りである。
・印画環境:23℃50%RH
・印加電圧:29V
・ライン周期:0.9msec
・印画密度:主走査300dpi 副走査300dpi
実施例1〜10、比較例1〜8の感熱転写記録媒体に関して、常温にて養生された感熱転写記録媒体と被転写体とを使用し、48℃5%環境下、サーマルシミュレーターにてベタ印画を行い、異常転写の有無を評価した。その結果を表1に示す。
異常転写の評価は、以下の基準にて行った。△以上が実用上問題ないレベルである。
○:被転写体への異常転写が、認められない
△:被転写体への異常転写が、ごく僅かに認められる
×:被転写体への異常転写が、全面で認められる
粘弾性スペクトロメータ(EXSTAR DMS6100)を用い、下記条件で評価を行った。その結果を表1に示す。
・周波数:10Hz
・温度範囲:20℃から200℃
・昇温速度:3℃/min
・試験片:約0.1mm
また、100℃における貯蔵弾性率G′が1.0E+08N/m2以上である実施例1、3、5〜10、比較例3、8は、100℃における貯蔵弾性率G′が1.0E+06N/m2以上1.0E+08N/m2未満である実施例2、4、比較例2、4、6と比較して、異常転写に対して効果が高く、好ましいことがわかった。
また、ポリステル−アクリル共重合体にポリビニルピロリドンを混合した実施例1〜10とポリステル−アクリル共重合体単体である比較例6、ポリビニルピロリドン単体である比較例2、3とを比較すると、ポリビニルピロリドンを混合することで最高反射濃度が向上していることが確認された。このことから、ポリビニルピロリドンを混合すると転写感度が高くなることがわかった。
さらに、ポリステル−アクリル共重合体に対してポリビニルピロリドンの割合が増加すると転写感度が低下する傾向がみられた(実施例1、4、5を参照)。その傾向から、好ましい混合比率は、ポリエステルとアクリルとの共重合体と、ポリビニルピロリドンとが、重量比で70:30から30:70までの範囲内であることがわかった。
また、実施例10の感熱転写記録媒体は、同じく実施例3の感熱転写記録媒体と比較すると、下引き層の塗布量が0.30g/m2超であるが、転写感度及び密着性はほぼ同等であることがわかった。
ここでは、限られた数の実施形態を参照しながら説明したが、権利範囲はそれらに限定されるものではなく、上記の開示に基づく各実施形態の改変は当業者にとって自明なことである。
10:基材
20:下引き層
30:染料層
40:耐熱滑性層
Claims (6)
- 基材の一方の面に耐熱滑性層を備え、前記基材の他方の面に下引き層、染料層をこの順に備えた感熱転写記録媒体において、
前記下引き層は、スルホン酸基を有するポリエステルとグリシジル基及びカルボキシル基の少なくとも一方を有するアクリルとの共重合体、及びポリビニルピロリドンを含み、
前記下引き層の100℃における貯蔵弾性率G′は、1.0E+06N/m2以上であることを特徴とする感熱転写記録媒体。 - 前記下引き層の100℃における貯蔵弾性率G′は、1.0E+08N/m2以上であることを特徴とする請求項1に記載の感熱転写記録媒体。
- 前記ポリビニルピロリドンのフィッケンチャーの公式におけるK値は、30以上100以下の範囲内であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の感熱転写記録媒体。
- 前記ポリエステルと前記アクリルとの共重合比は、重量比で20:80から40:60までの範囲内であることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の感熱転写記録媒体。
- 前記共重合体と前記ポリビニルピロリドンとの組成比は、重量比で70:30から30:70までの範囲内であることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の感熱転写記録媒体。
- 前記下引き層は、その下引き層の形成に用いる下引き層用塗布液を前記基板上に塗布し、乾燥して形成されたものであり、
前記下引き層の乾燥後の塗布量は、0.05g/m2以上0.30g/m2以下の範囲内であることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の感熱転写記録媒体。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2014182521A JP6361388B2 (ja) | 2014-09-08 | 2014-09-08 | 感熱転写記録媒体 |
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