JP2016078386A - 感熱転写記録媒体 - Google Patents

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Abstract

【課題】より適切に印刷を行うことが可能な感熱転写記録媒体を提供する。
【解決手段】基材10と、基材10の一方の面に形成された耐熱滑性層40と、基材10の他方の面に形成された染料層30と、他方の面と染料層30との間に形成された下引層20と、を有する感熱転写記録媒体1であって、下引層20は、100℃における貯蔵弾性率G’が1.0E+06N/m以上であり、側鎖にスルホン酸基を有するポリエステルと少なくともグリシジル基及びカルボキシル基のいずれか1種類を有するアクリルとの共重合体とポリビニルピロリドンとを含む。そして、耐熱滑性層40は、120℃におけるSiC、Si、SiONの各々に対する動摩擦係数μが0.18以下である。
【選択図】図1

Description

本発明は、感熱転写方式のプリンタに使用される感熱転写記録媒体に関する。
一般に、感熱転写記録媒体は、サーマルリボンと呼ばれ、感熱転写方式のプリンタに使用されるインクリボンのことであり、基材の一方の面に耐熱滑性層(バックコート層)を設け、基材の他方の面に感熱転写層(染料層)を設けたものである。ここで、感熱転写層は、インク(染料)の層であって、プリンタのサーマルヘッドに発生する熱によって、そのインクを昇華(昇華転写方式)或いは溶融(溶融転写方式)させ、被転写体側に転写するものである。
現在、感熱転写方式の中でも昇華転写方式は、プリンタの高機能化と併せて各種画像を簡便にフルカラー形成できるため、デジタルカメラのセルフプリント、身分証明書等のカード類、アミューズメント用出力物等、広く利用されている。そういった用途の多様化と共に、小型化、高速化、低コスト化、また得られる印画物への耐久性を求める声も大きくなり、近年では基材シートの同じ側に印画物への耐久性を付与する保護層等を重ならないように設けられた複数の感熱転写層をもつ感熱転写記録媒体がかなり普及してきている。
そのような中、用途の多様化と普及拡大に伴い、よりプリンタの印画速度の高速化が進むに従って、従来の感熱転写記録媒体では十分な印画濃度が得られないという問題とプリンタのサーマルヘッドの磨耗が早くなるという問題が生じてきた。
印画濃度を上げるために転写感度を上げるべく、感熱転写記録媒体の薄膜化により印画における転写感度の向上を試みることが行われてきたが、感熱転写記録媒体の製造時や印画の際に熱や圧力等によりシワが発生したり、場合によっては破断が発生するという問題を抱えている。
また、感熱転写記録媒体の染料層における染料/樹脂(Dye/Binder)の比率を大きくして、印画濃度や印画における転写感度の向上を試みることが行われているが、染料を増やすことでコストアップとなるばかりではなく、製造工程における巻き取り状態時に感熱転写記録媒体の耐熱滑性層へ染料の一部が移行し(裏移り)、その後の巻き返し時に、その移行した染料が他の色の染料層、或いは保護層に再転移し(裏裏移り)、この汚染された層を被転写体へ熱転写すると、指定された色と異なる色相になったり、いわゆる地汚れが生じたりする。
また、感熱転写記録媒体側ではなく、プリンタ側で画像形成時のエネルギーをアップする試みも行われているが、消費電力が増えるばかりではなく、プリンタのサーマルヘッドの寿命を短くする他、染料層と被転写体とか融着し、いわゆる異常転写が生じやすくなる。それに対して異常転写を防止するために、染料層或いは被転写体に多量の離型剤を添加すると、画像のにじみや地汚れが生じたりする。
このような要望を解決するために、例えば、特許文献1では、基材と染料層との間にポリビニルピロリドンと変性ポリビニルピロリドンを含有する接着層を有する熱転写シートが提案されている。
しかしながら、特許文献1に提案されている感熱転写記録媒体は、昨今の昇華転写方式の高速プリンタにて印画を行ったところ、十分な印字濃度が得られなかったり、熱転写の際に異常転写が生じたり、印画時に熱や圧力によりシワが発生したり、プリンタのサーマルヘッドの寿命が短かったり、その他問題が生じたりと、十分に満足できる品質が得られなかった。
特開2005−231354号公報
本発明は、上記従来技術の課題に鑑みてなされたもので、より適切に印刷を行うことが可能な感熱転写記録媒体を提供することを目的とする。
上記の課題を解決するために、本発明の一態様は、基材と、基材の一方の面に形成された耐熱滑性層と、基材の他方の面に形成された染料層と、他方の面と染料層との間に形成された下引層と、を有する感熱転写記録媒体であって、下引層は、100℃における貯蔵弾性率G’が1.0E+06N/m以上であり、側鎖にスルホン酸基を有するポリエステルと少なくともグリシジル基及びカルボキシル基のいずれか1種類を有するアクリルとの共重合体とポリビニルピロリドンとを含み、耐熱滑性層は、120℃におけるSiC、Si、SiONの各々に対する動摩擦係数μが0.18以下であることを特徴とする。
本発明の一態様によれば、下引層の、100℃における貯蔵弾性率G’を1.0E+06N/m以上としたため、異常転写を抑制できる。また、ポリエステルとアクリルとの共重合体を用いたため、耐溶剤性と染料バリア性とを向上できる。さらに、耐熱滑性層の、120℃におけるSiC、Si、SiONの各々に対する動摩擦係数μを0.18以下としたため、プリンタのサーマルヘッドを長寿命化できる。そのため、本発明の一態様によれば、より適切に印刷を行うことができる。
実施形態に係る感熱転写記録媒体の側断面図である。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
図1に示すように、感熱転写記録媒体1は、基材10と、基材10の一方の面に形成された耐熱滑性層40と、基材10の他方の面に形成された染料層30と、基材10の他方の面と染料層30との間に形成された下引層20とを備える。
感熱転写記録媒体1は、熱転写における熱圧で変形すると印画時にシワが発生しやすいため、熱圧がかかった際の伸びが小さいことが好ましい。特に、感熱転写記録媒体1(サンプル)をMD(Machine Direction)方向に5000N/mの荷重をかけて引っ張りながら過熱した場合の伸び率が1%になる温度Tが205℃以上になると印画時のシワが発生しにくい。なお、前述の温度Tは、SII社製TMA/SS6100を用い、室温から0℃に−5℃/minで冷却後、260℃まで5℃/minで加熱した際の感熱転写記録媒体1(サンプル)の変位を測定することにより導出した。
基材10としては、熱転写における熱圧で軟化変形しない耐熱性と強度が要求されるので、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリプロピレン、セロファン、アセテート、ポリカーボネート、ポリサルフォン、ポリイミド、ポリビニルアルコール、芳香族ポリアミド、アラミド、ポリスチレン等の合成樹脂のフィルム、及びコンデンサー紙、パラフィン紙等の紙類等を単独でまたは組み合わされた複合体として使用可能である。中でも、物性面、加工性、コスト面等を考慮するとポリエチレンテレフタレートフィルムが好ましい。
また、基材10の厚さは、操作性、加工性を考慮し、2μm以上50μm以下の範囲のものが使用可能であるが、転写適性や加工性等のハンドリング性を考慮すると、2μm以上9μm以下程度のものが好ましい。
また、基材10においては、耐熱滑性層40及び下引層20を形成する面に、接着処理を施すことも可能である。接着処理としては、コロナ処理、火炎処理、オゾン処理、紫外線処理、放射線処理、粗面化処理、プラズマ処理、プライマー処理等の公知の技術を適用することができ、それらの処理を二種以上併用することもできる。
次に、耐熱滑性層40は、基材10の一方の面に形成した層であり、感熱転写記録媒体1に対し、サーマルヘッドとの滑り性を付与する層である。本実施形態における耐熱滑性層40は、120℃におけるSiC、Si、SiONの各々に対する動摩擦係数μ’が0.18以下である必要がある。これにより、印画時の感熱転写記録媒体1との接触によるサーマルヘッドの磨耗が抑制され、サーマルヘッドの長寿命化につながる。一方、120℃における動摩擦係数μ’が0.18を超えると耐熱滑性層40による磨耗によりサーマルヘッドの寿命が短くなる。なお、SiC、Si、SiONは、一般的なサーマルヘッドの材質である。
なお、動摩擦係数μ’は、新東科学製HEIDONトライボギア14を用い、SiC、Si、SiONを120℃に加熱した状態で感熱転写記録媒体1の耐熱滑性層40との動摩擦係数μ’を荷重100g、走査速度10mm/minで測定する。
また、耐熱滑性層40は、熱圧による感熱転写記録媒体1の伸びを抑える効果を持つことが好ましい。前述のように、感熱転写記録媒体1は、熱転写における熱圧で変形すると印画時にシワが発生しやすいため、特に感熱転写記録媒体1(サンプル)をMD方向に5000N/mの荷重をかけて引っ張りながら過熱した場合MD方向の感熱転写記録媒体1の伸び率が1%になる温度Tが205℃以上になることが望ましいが、基材10の一方の面に下引層20、染料層30を積層した状態では温度Tが205℃未満になることもある。この場合は、熱圧での変形の小さい耐熱滑性層40を用いることで、感熱転写記録媒体1全体の熱圧による変形を抑えて、感熱転写記録媒体1の温度Tが205℃以上になるようにする必要がある(温度Tが205℃以上となるような耐熱滑性層40を用いる)。
なお、前述の温度Tは、SII社製TMA/SS6100を用い、室温から0℃に−5℃/minで冷却後、260℃まで5℃/minで加熱した際の感熱転写記録媒体1(サンプル)の変位を測定することにより導出した。
耐熱滑性層40は、例えば、バインダーとなる樹脂、機能性添加剤、充填剤、硬化剤、溶剤等を配合して耐熱滑性層40形成用の塗布液を適宜調製し、塗布、乾燥して形成することができる。この耐熱滑性層40の乾燥後の塗布量は、0.1g/m以上で且つ2.0g/m以下程度が適当である。ここで、耐熱滑性層40の乾燥後の塗布量とは、耐熱滑性層40形成用の塗布液を塗布、乾燥した後に残った固形分量のことをいい、後述する下引層20の乾燥後の塗布量及び染料層30の乾燥後の塗布量も、同様に、塗布液を塗布、乾燥した後に残った固形分量のことを指す。
上記の機能性添加剤は離形性や滑り性を付与する効果があり、前述の動摩擦係数μは機能性添加剤の配合比により制御することができる。この配合比を高くすることで動摩擦係数μを下げることができるが、配合比が高すぎると材料によっては不具合が起こることから材料、配合比を適宜選択して0.18以下にする必要がある。
耐熱滑性層40の一例を挙げると、バインダー樹脂としては、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルアセトアセタール樹脂、ポリエステル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリエーテル樹脂、ポリブタジエン樹脂、アクリルポリオール、ポリウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート、ポリエーテルアクリレート、エポキシアクリレート、ニトロセルロース樹脂、酢酸セルロース樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリカーボネート樹脂等を挙げることができる。
機能性添加剤としては、動物系ワックス、植物系ワックス等の天然ワックス、合成炭化水素系ワックス、脂肪族アルコールと酸系ワックス、脂肪酸エステルとグリセライト系ワックス、合成ケトン系ワックス、アミン及びアマイド系ワックス、塩素化炭化水素系ワックス、アルファーオレフィン系ワックス等の合成ワックス、ステアリン酸ブチル、オレイン酸エチル等の高級脂肪酸エステル、ステアリン酸ナトリウム、ラウリン酸亜鉛、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸カリウム、ステアリン酸マグネシウム等の高級脂肪酸金属塩、長鎖アルキルリン酸エステル、ポリオキシアルキレンアルキルアリールエーテルリン酸エステルまたは、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルリン酸エステル等のリン酸エステル等の界面活性剤等を挙げることができる。
充填剤としては、タルク、シリカ、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、カオリン、クレー、シリコーン粒子、ポリエチレン樹脂粒子、ポリプロピレン樹脂粒子、ポリスチレン樹脂粒子、ポリメチルメタクリレート樹脂粒子、ポリウレタン樹脂粒子等を挙げることができる。
硬化剤としては、トリレンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、テトラメチルキシレンジイソシアネート等のイソシアネート類、及びその誘導体を挙げることができるが、特に限定されるものではない。
次に、下引層20は、100℃における貯蔵弾性率G’が1.0E+06N/m以上であり、側鎖にスルホン酸基を有するポリエステルと少なくともグリシジル基及びカルボキシル基のいずれか1種類を有するアクリルとの共重合体と、ポリビニルピロリドンと含んで主成分とする塗布液を、塗布、乾燥して形成される。このような下引層20を形成することによって異常転写が発生せず、かつ、染料層30に使用する染料を増やすことなく高濃度の印画が得られる。
異常転写とは、熱転写時に基材10から染料層30が剥離し、染料層30と被転写体とか融着する現象である。発明者らの検討で異常転写が発生しやすい温度はおよそ100℃であることがわかっている。そのため、100℃における貯蔵弾性率G’が1.0E+06N/m未満であると染料層30と下引層20との密着性が低下し異常転写が発生しやすくなる。より好ましくは1.0E+08N/m以上で且つ1.0E+10N/m未満である。この範囲内では、転写感度をより向上でき、印画時のシワを抑制できる。
また本実施形態では、側鎖にスルホン酸基を有するポリエステルと少なくともグリシジル基、カルボキシル基をいずれか1種類有するアクリルとの共重合体と、ポリビニルピロリドンを主成分とする下引層20の100℃における貯蔵弾性率G’が1.0E+06N/m以上を満たさない場合でも、さらに他の樹脂をブレンドしたり、公知の架橋剤や硬化剤を用いて、100℃における貯蔵弾性率G’が1.0E+06N/m以上になれば下引層20として用いることができる。
公知の架橋剤や硬化剤として、例えば、イソシアネート化合物、シランカップリング剤、キレート化合物、メラミン、エポキシ化合物、アジリジン化合物、カルボジイミド化合物等を挙げることができるが、特に限定されるものではない。
なお、下引層20の動的粘弾性特性は、特定周波数、及び特定温度における、動的粘弾性スペクトルの損失正接、または損失正接及び貯蔵弾性率により規定し、さらに、特定周波数における動的粘弾性スペクトルの損失正接のピークを示す温度、または損失正接のピーク値により規定する。本実施形態において動的粘弾性の測定は、周波数10Hz、20℃から200℃の温度範囲、昇温速度3℃/min試験片は約0.1mmで行った。
下引層20には、異常転写の防止のみならず転写感度を向上させるための染料バリア性、さらには通常溶剤系からなる染料層30を下引層20に積層させるために耐溶剤性が求められる。本実施形態では下引層20の主成分が側鎖にスルホン酸基を有するポリエステルと少なくともグリシジル基、カルボキシル基をいずれか1種類を有するアクリルとの共重合体と、ポリビニルピロリドンからなることが必要である。
ここで、主成分とは、本実施形態の効果を損なわない限り、側鎖にスルホン酸基を有するポリエステルと少なくともグリシジル基、カルボキシル基をいずれか1種類有するアクリルとの共重合体と、ポリビニルピロリドンに、さらに他の成分が添加されていても良い旨を表し、共重合体が、下引層20形成時の全体からみて50質量%超で含まれる意味であるが、好ましくは80質量%以上である。
他の成分としては、コロイド状無機顔料超微粒子、イソシアネート化合物、シランカップリング剤、分散剤、粘度調整剤、安定化剤等の公知の添加剤を使用することができる。なお、コロイド状無機顔料超微粒子としては、従来公知のもので例えば、シリカ(コロイダルシリカ)、アルミナ或はアルミナ水和物(アルミナゾル、コロイダルアルミナ、カチオン性アルミニウム酸化物またはその水和物、疑ベーマイト等)、珪酸アルミニウム、珪酸マグネシウム、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、酸化チタン等が挙げられる。
スルホン酸基を有するポリエステル成分は基材10との密着性及び耐溶剤性を、グリシジル基、カルボキシル基をいずれか1種類有するアクリル成分は染料バリア性、耐溶剤性を得るために必須となる。それぞれの成分を単にブレンドした場合は、アクリル成分とポリエステル成分の相溶性が良好でないため材料としての安定性に欠けるだけでなく、さらには、ポリエステル成分が有する基材10との密着性、アクリル成分が有する耐溶剤性、染料バリア性が共に得られず、それぞれの成分を単独で用いた場合よりも性能が低下する結果となる。これは相溶性の悪いポリマー同士のブレンドにより非相溶の海島構造が形成され、密着性を有するポリエステル成分と染料バリア性を有するアクリル成分が局所的に存在するため(下引層20全体としてみた時に密着性が悪い箇所とバリア性が悪い箇所が存在するため)と考えられる。
一方で、アクリル成分とポリエステル成分を共重合することにより、相溶性の悪さが改善され相分離がおこらず、下引層20全体に、アクリル成分とポリエステル成分が存在するために、それぞれの成分が有する機能(密着性、耐溶剤性、染料バリア性)が効果的に発現したものと考えられる。
側鎖にスルホン酸基を有するポリエステルの共重合成分であるジカルボン酸成分はエステル形成性スルホン酸アルカリ金属塩化合物を必須成分とし、フタル酸、テレフタル酸、テレフタル酸ジメチル、イソフタル酸、イソフタル酸ジメチル、2,5−ジメチルテレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、ビフェニルジカルボン酸、オルソフタル酸等の芳香族ジカルボン酸、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸及び、ドデカンジカルボン酸等の脂肪族ジカルボン酸、並びにシクロヘキサンジカルボン酸等の脂環族ジカルボン酸等が挙げられる。
エステル形成性スルホン酸アルカリ金属塩化合物以外のジカルボン酸成分としては芳香族ジカルボン酸が好ましく、芳香族ジカルボン酸の芳香核が、疎水性のプラスチックと親和性が大きいために密着性の向上、耐加水分解性に優れている利点がある。特にテレフタル酸、イソフタル酸が好ましい。
エステル形成性スルホン酸アルカリ金属塩化合物としては、スルホテレフタル酸、5−スルホイソフタル酸、4−スルホイソフタル酸、4−スルホナフタレン酸−2,7−ジカルボン酸等のアルカリ金属塩(スルホン酸のアルカリ金属塩)及び、これらのエステル形成性誘導体が挙げられ、5−スルホイソフタル酸のナトリウム塩及び、そのエステル形成性誘導体がより好ましく用いられる。スルホン酸基を有することによって耐溶剤性が向上する。
ポリエステルの共重合成分であるジグリコ−ル成分としては、ジエチレングリコールと炭素数2〜8の脂肪族または炭素数6〜12の脂環族グリコ−ル等が挙げられる。炭素数2〜8の脂肪族または炭素数6〜12の脂環族グリコ−ルの具体例としては、エチレングリコ−ル、1,3−プロパンジオ−ル、1,2−プロピレングリコ−ル、ネオペンチルグリコ−ル、1,4−ブタンジオ−ル、1,4−シクロヘキサンジメタノ−ル、1,3−シクロヘキサンジメタノ−ル、1,2−シクロヘキサンジメタノ−ル、1,6−ヘキサンジオール、p−キシリレングリコ−ル、トリエチレングリコ−ル等が挙げられ、これらの1種もしくは2種以上を併用してもよい。
スルホン酸基を有するポリエステルは、基材10と下引層20との密着性を得るために必須となるが、単体で用いた場合は高い転写感度が得られないため、アクリル成分を共重合する必要がある。
アクリル成分としては、グリシジル基含有ラジカル重合性不飽和モノマーの単独或いはカルボキシル基含有ラジカル重合性不飽和モノマー単独、或いは上記モノマーと共重合できる他のラジカル重合性不飽和モノマーがあげられる。
本実施形態ではグリシジル基含有ラジカル重合性不飽和モノマー或いはカルボキシル基含有ラジカル重合性不飽和モノマーが必要となる。これはグリシジル基及びカルボキシル基は染料との相溶性が悪いため、染料バリア性を有する。つまりグリシジル基及びカルボキシル基を含有することによって転写感度が向上する。さらにはアセトン、メチルエチルケトン等のケトン系溶剤及び酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶剤に対する耐溶剤性が向上する。
グリシジル基含有のラジカル重合性不飽和モノマーとしてはアクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、アリルグリシジルエーテルといったグリシジルエーテル類等が挙げられる。
カルボキシル基含有のラジカル重合性不飽和モノマーとしてはアクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、2−カルボキシエチル(メタ)アクリレート、2−カルボキシプロピル(メタ)アクリレート、5−カルボキシペンチル(メタ)アクリレート等があげられる。
グリシジル基或いはカルボキシル基含有ラジカル重合性不飽和モノマーと共重合できるラジカル重合性不飽和モノマーとしては、ビニルエステル、不飽和カルボン酸エステル、不飽和カルボン酸アミド、不飽和ニトリル、アリル化合物、含窒素系ビニルモノマー、炭化水素ビニルモノマーまたはビニルシラン化合物が挙げられる。
ビニルエステルとしては、プロピオン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、高級第3級ビニルエステル、塩化ビニル、臭化ビニルが挙げられる。不飽和カルボン酸エステルとしては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、マレイン酸ブチル、マレイン酸オクチル、フマル酸ブチル、フマル酸オクチル、メタクリル酸ヒドロキシエチル、アクリル酸ヒドロキシエチル、メタクリル酸ヒドロキシプロピル、アクリル酸ヒドロキシプロピル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、アクリル酸ジメチルアミノエチル、エチレングリコールジメタクリル酸エステル、エチレングリコールジアクリル酸エステル、ポリエチレングリコールジメタクリル酸エステル、ポリエチレングリコールジアクリル酸エステルが挙げられる。
不飽和カルボン酸アミドとしては、アクリルアミド、メタクリルアミド、メチロールアクリルアミド、ブトキシメチロールアクリルアミドが挙げられる。不飽和ニトリルとしてはアクリロニトリルが挙げられる。
アリル化合物としては、酢酸アリル、メタクリル酸アリル、アクリル酸アリル、イタコン酸ジアリルが挙げられる。また含窒素系ビニルモノマーとしては、ビニルピリジン、ビニルイミダゾールが、また炭化水素ビニルモノマーとしてはエチレン、プロピレン、ヘキセン、オクテン、スチレン、ビニルトルエン、ブタジエンが挙げられる。ビニルシラン化合物としては、ジメチルビニルメトキシシラン、ジメチルビニルエトキシシラン、メチルビニルジメトキシシラン、メチルビニルジエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルジメトキシシランが挙げられる。
また、ポリエステルとアクリルとの共重合比は、重量比で20:80〜40:60であることが好ましい。すなわち、ポリエステルとアクリルとの共重合体におけるポリエステルの重量比は、20%以上で且つ40%未満であることが好ましい。ポリエステル成分が20%を下回ると、高い印画濃度が得られるが、基材10との密着性が不足する傾向になり、ポリエステル成分が40%以上になると密着性は十分であるが、印画濃度が低下する傾向となるためである。それゆえ、ポリエステルとアクリルとの共重合体におけるポリエステルの重量比を20%以上で且つ40%未満とすることで、基材10との密着性を向上しつつ、印画濃度を向上することができる。
ポリエステルは、ジカルボン酸とジグリコールとをエステル化或いはエステル交換反応後に重縮合反応させる、公知の製造技術によって得ることができるが、その製造方法についてはなんら限定されるものではない。また、ポリエステルとアクリルの共重合についても公知の製造技術により製造されるが、その製造方法についてはなんら限定されるものではない。例えば、乳化重合の場合は、ポリエステル分散液或いは水溶液を用いてアクリルモノマーを乳化し、重合する方法や、ポリエステル分散液或いは水溶液にアクリルモノマーを滴下しながら重合する方法があげられる。
さらに発明者らが検討した結果、ポリエステルとアクリルの共重合体にポリビニルピロリドンを含ませることで、側鎖にスルホン酸基を有するポリエステルと少なくともグリシジル基、カルボキシル基のいずれか1種類を有するアクリルとの共重合体、ポリビニルピロリドンをそれぞれ単独で使用した場合と比較し、転写感度が増加することを見出した。これは、ポリビニルピロリドンが、染料を吸着しやすい性質を持つ共重合体中のスルホン酸基を有するポリエステル部位の近傍に存在することで、染料の吸着を防止したためと考えられる。
また、ポリエステルとアクリルとの共重合体とポリビニルピロリドンは重量比で70:30〜30:70であることが好ましい。すなわち、下引き層20(共重合体とポリビニルピロリドンとの合計重量)における共重合体の重量比は、30%以上で且つ70%未満であることが好ましい。ポリビニルピロリドンが30%を下回ると、高い印画濃度が得られにくくなり、ポリビニルピロリドンが70%以上になると高い印画濃度が得られにくく、保存性が低下するためである。それゆえ、ポリエステルとアクリルとの共重合体とポリビニルピロリドンとの合計重量に対する共重合体の重量比を30%以上で且つ70%未満とすることで、印画濃度を向上しつつ、保存性を向上することができる。
保存性の低下は、ポリビニルピロリドンがもつ吸湿性に由来する。
ポリビニルピロリドンとしては、N−ビニル−2−ピロリドン、N−ビニル−4−ピロリドン等のビニルピロリドンの単独重合体(ホモポリマー)またはこれらの共重合体が挙げられる。さらには変性ポリビニルピロリドン等があげられる。変性ポリビニルピロリドンは、N−ビニルピロリドン系モノマーと他のモノマーとの共重合体である。なお、共重合形態は、ランダム共重合、ブロック共重合、グラフト共重合等特に限定されるものではない。上記のN−ビニルピロリドン系モノマーとは、N−ビニルピロリドン(N−ビニル−2−ピロリドン、N−ビニル−4−ピロリドン等)及びその誘導体を言うものであって、誘導体としては、例えばN−ビニル−3−メチルピロリドン、N−ビニル−5−メチルピロリドン、N−ビニル−3,3,5−トリメチルピロリドン、N−ビニル−3−ベンジルピロリドン等のピロリドン環に置換基を有するものが挙げられるが、特に限定されるものではない。
N−ビニルピロリドン系モノマーと共重合するモノマー成分は、下記のようなビニル重合性モノマーが挙げられる。例えば(メタ)アクリル酸、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル系モノマー、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸等の不飽和カルボン酸、ビニルカプロラクタム、エチレン、プロピレン、塩化ビニル、酢酸ビニル、ビニルアルコール、スチレン、ビニルトルエン、ジビニルベンゼン、塩化ビニリデン、四ふっ化エチレン、ふっ化ビニリデン等が挙げられる。
本実施形態における下引層20で使用するポリビニルピロリドンは、フィッケンチャーの公式におけるK値で、30以上で且つ100以下のものを使用することが好ましい。特に好ましいのは60以上で且つ90以下である。上記K値が30未満のポリビニルピロリドンを用いると、印画における転写感度の向上の効果が薄くなり、100以上であると、塗布液の粘度が向上し、塗工適正が低下するので好ましくない。それゆえ、下引層20をフィッケンチャーの公式におけるK値が30以上で且つ100以下とすることで、印画における転写感度の向上しつつ、塗工適正を向上することができる。
下引層20の乾燥後の塗布量は、一概に限定されるものではないが、0.1g/m以上で且つ0.30g/m以下であることが好ましい。特に好ましいのは0.05g/m以上0.30g/m以下である。0.05g/m未満では、染料層30積層時の下引層20劣化により、高速印画時における転写感度が不足し、基材10或いは染料層30との密着性に問題を抱える不安がある。一方、0.30g/m超では、感熱転写記録媒体1自体の感度はかわらず、印画濃度は飽和する。よってコスト面の観点から0.30g/m以下であることが好ましい。それゆえ、下引層20の乾燥後の塗布量を0.10g/m以上で且つ0.30g/m以下とすることで、高速印画時における転写感度を向上しつつ、コスト面を向上することができる。
次に、染料層30は、従来公知のもので対応でき、例えば、熱移行性染料、バインダー、溶剤等を配合して染料層30形成用の塗布液を調製し、塗布、乾燥することで形成される。染料層30の乾燥後の塗布量は、1.0g/m程度が適当である。なお、染料層30は、1色の単一層で構成したり、色相の異なる染料を含む複数の染料層30を、同一基材10の同一面に面順次に、繰り返し形成したりすることもできる。
染料層30の熱移行性染料は、熱により、溶融、拡散もしくは昇華移行する染料であれば、特に限定されるわけではなく、例えば、イエロー成分としては、ソルベントイエロー56,16,30,93,33、ディスパースイエロー201,231,33等を挙げることができる。マゼンタ成分としては、C.I.ディスパースレッド60、C.I.ディスパースバイオレット26、C.I.ソルベントレッド27、或いはC.I.ソルベントレッド19等を挙げることができる。シアン成分としては、C.I.ディスパースブルー354、C.I.ソルベントブルー63、C.I.ソルベントブルー36、或いはC.I.ディスパースブルー24等を挙げることができる。墨の染料としては、の各染料を組み合わせて調色するのが一般的である。
染料層30に含まれるバインダーは、従来公知の樹脂バインダーがいずれも使用でき、特に限定されるものではないが、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、エチルヒドロキシセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、酢酸セルロース等のセルロース系樹脂やポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルブチラール、ポリビニルアセタール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド等のビニル系樹脂やポリエステル樹脂、スチレン−アクリロニトリル共重合樹脂、フェノキシ樹脂等を挙げることができる。
ここで、染料層30の染料とバインダーとの配合比率は、質量基準で、(染料)/(バインダー)=10/100以上で且つ300/100未満が好ましい。これは、(染料)/(バインダー)の比率が、10/100を下回ると、染料が少な過ぎて発色感度が不十分となり良好な熱転写画像が得られず、また、この比率が300/100を越えると、バインダーに対する染料の溶解性が極端に低下するために、感熱転写記録媒体1となった際に、保存安定性が悪くなって、染料が析出し易くなってしまうためである。また、染料層30には、性能を損なわない範囲で、イソシアネート化合物、シランカップリング剤、分散剤、粘度調整剤、安定化剤等の公知の添加剤が含まれていてもよい。
なお、耐熱滑性層40、下引層20、染料層30は、いずれも従来公知の塗布方法にて塗布し、乾燥することで形成可能である。塗布方法の一例を挙げると、グラビアコーティング法、スクリーン印刷法、スプレーコーティング法、リバースロールコート法を挙げることができる。
以下に、本実施形態の各実施例及び各比較例に用いた材料を示す。なお、文中で「部」とあるのは、特に断りのない限り質量基準である。また、本実施形態は実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
<耐熱滑性層40付き基材10の作製>
基材10として、4.5μmのポリエチレンテレフタレートフィルムを使用し、その一方の面に、下記の組成の耐熱滑性層塗布液−1を、グラビアコーティング法により、乾燥後の塗布量が1.0g/mになるように塗布し、100℃1分乾燥した後に、40℃環境下で1週間エージングすることで、耐熱滑性層40付き基材10を得た。
<耐熱滑性層塗布液−1>
アクリルポリオール樹脂 13.1部
ラウリン酸亜鉛 1.5部
タルク 6.3部
2,6−トリレンジイソシアネートプレポリマー 4.2部
トルエン 50.0部
メチルエチルケトン 20.0部
酢酸エチル 5.0部
<スルホン酸基含有ポリエステル/グリシジル基含有アクリル共重合体の作成方法>
留出管、窒素導入管、温度計、撹拌機を備えた四つ口フラスコにテレフタル酸ジメチル854部、5−ソジウムスルホイソフタル酸355部、エチレングリコール186部、ジエチレングリコール742部及び、反応触媒として、酢酸亜鉛1部を仕込み、130℃から170℃まで2時間かけて昇温し、三酸化アンチモン1部を添加し、170℃から200℃まで2時間かけて昇温し、エステル化反応を行った。次いで徐々に昇温、減圧し、最終的に反応温度を250℃、真空度1mmHg以下で1〜2時間重縮合反応を行ない、ポリエステルを得た。得られたポリエステルを純水に溶解し、ついでグリシジル基含有アクリルモノマーとしてメタクリル酸グリシジルをポリエステルの重量比で30:70となるように加え、さらに重合開始剤として過硫酸カリウムを加え、モノマー乳化液を作成した。
ついで次に、冷却管付き反応容器に、純水と上記モノマー乳化液とを仕込み、20分間窒素ガスを吹き込んで十分脱酸素を行った後、1時間かけて徐々に昇温し、75〜85℃を維持しつつ3時間反応を行い、スルホン酸基含有ポリエステル/グリシジル基含有アクリル共重合体を得た。また、同様の方法でルホン酸基含有ポリエステル/カルボキシル基含有アクリル共重合体及び各重合比のポリエステルアクリル共重合体を得た。
耐熱滑性層40付き基材10の耐熱滑性層40が塗布されていない面に、下記組成の下引層塗布液−1を、グラビアコーティング法により、乾燥後の塗布量が0.20g/mになるように塗布し、100℃2分乾燥することで、下引層20を形成した。引き続き、その下引層20の上に、下記組成の染料層塗布液−1を、グラビアコーティング法により、乾燥後の塗布量が0.70g/mになるように塗布し、90℃1分乾燥することで、染料層30を形成し、実施例1の感熱転写記録媒体1を得た。
<下引層塗布液−1>
スルホン酸基含有ポリエステル/
グリシジル基含有アクリル共重合体(30:70) 2.5部
ポリビニルピロリドン(K値60) 2.5部
純水 57.0部
イソプロピルアルコール 38.0部
<染料層塗布液−1>
C.I.ソルベントブルー63 6.0部
ポリビニルアセタール樹脂 4.0部
トルエン 45.0部
メチルエチルケトン 45.0部
(実施例2)
実施例1で作製した感熱転写記録媒体1において、耐熱滑性層40付き基材10作成の際に基材10に塗布するのが下記組成の耐熱滑性層塗布液−2にした以外は、実施例1と同様にして、実施例2の感熱記録転写媒体を得た。
<耐熱滑性層塗布液−2>
アクリルポリオール樹脂 12.8部
ラウリン酸亜鉛 2.0部
タルク 6.1部
2,6−トリレンジイソシアネートプレポリマー 4.1部
トルエン 50.0部
メチルエチルケトン 20.0部
酢酸エチル 5.0部
(実施例3)
実施例1で作製した感熱転写記録媒体1において、耐熱滑性層40付き基材10作成の際に基材10に塗布するのが下記組成の耐熱滑性層塗布液−3にした以外は、実施例1と同様にして、実施例3の感熱記録転写媒体を得た。
<耐熱滑性層塗布液−3>
アクリルポリオール樹脂 12.2部
ラウリン酸亜鉛 3.0部
タルク 5.9部
2,6−トリレンジイソシアネートプレポリマー 3.9部
トルエン 50.0部
メチルエチルケトン 20.0部
酢酸エチル 5.0部
(実施例4)
実施例1で作製した感熱転写記録媒体1において、耐熱滑性層40付き基材10作成の際に基材10に塗布するのが下記組成の耐熱滑性層塗布液−4にした以外は、実施例1と同様にして、実施例4の感熱記録転写媒体を得た。
<耐熱滑性層塗布液−4>
アクリルポリオール樹脂 11.7部
ラウリン酸亜鉛 4.0部
タルク 5.6部
2,6−トリレンジイソシアネートプレポリマー 3.7部
トルエン 50.0部
メチルエチルケトン 20.0部
酢酸エチル 5.0部
(実施例5)
実施例1で作製した感熱転写記録媒体1において、耐熱滑性層40付き基材10作成の際に基材10に塗布するのが下記組成の耐熱滑性層塗布液−5にした以外は、実施例1と同様にして、実施例5の感熱記録転写媒体を得た。
<耐熱滑性層塗布液−5>
アクリルポリオール樹脂 11.1部
ラウリン酸亜鉛 5.0部
タルク 5.3部
2,6−トリレンジイソシアネートプレポリマー 3.6部
トルエン 50.0部
メチルエチルケトン 20.0部
酢酸エチル 5.0部
(実施例6)
実施例1で作製した感熱転写記録媒体1において、耐熱滑性層40付き基材10作成の際に基材10に塗布するのが下記組成の耐熱滑性層塗布液−6にした以外は、実施例1と同様にして、実施例6の感熱記録転写媒体を得た。
<耐熱滑性層塗布液−6>
アクリルポリオール樹脂 13.7部
ラウリン酸亜鉛 3.0部
タルク 4.0部
2,6−トリレンジイソシアネートプレポリマー 4.4部
トルエン 50.0部
メチルエチルケトン 20.0部
酢酸エチル 5.0部
(実施例7)
実施例1で作製した感熱転写記録媒体1において、耐熱滑性層40付き基材10作成の際に基材10に塗布するのが下記組成の耐熱滑性層塗布液−7にした以外は、実施例1と同様にして、実施例7の感熱記録転写媒体を得た。
<耐熱滑性層塗布液−7>
アクリルポリオール樹脂 11.0部
ラウリン酸亜鉛 3.0部
タルク 7.5部
2,6−トリレンジイソシアネートプレポリマー 3.5部
トルエン 50.0部
メチルエチルケトン 20.0部
酢酸エチル 5.0部
(実施例8)
<耐熱滑性層40付き基材10の作製>
基材10として、4.5μmのポリエチレンテレフタレートフィルムを使用し、その一方の面に前述した耐熱滑性層塗布液−3の組成の耐熱滑性層塗布液を、グラビアコーティング法により、乾燥後の塗布量が1.0g/mになるように塗布し、100℃1分乾燥した後に、40℃環境下で1週間エージングすることで、耐熱滑性層40付き基材10を得た。
耐熱滑性層40付き基材10の耐熱滑性層40が塗布されていない面に前述した下引層塗布液−1の組成の下引層塗布液を、グラビアコーティング法により、乾燥後の塗布量が0.20g/mになるように塗布し、100℃2分乾燥することで、下引層20を形成した。引き続き、その下引層20の上に前述した染料層塗布液−1の組成の染料塗布液を、グラビアコーティング法により、乾燥後の塗布量が0.70g/mになるように塗布し、90℃1分乾燥することで、染料層30を形成し、実施例8の感熱転写記録媒体1を得た。
(実施例9)
実施例8で作製した感熱転写記録媒体1において、下引層20を下記組成の下引層塗布液−2にした以外は、実施例8と同様にして、実施例9の感熱記録転写媒体を得た。
<下引層塗布液−2>
スルホン酸基含有ポリエステル/
グリシジル基含有アクリル共重合体(30:70) 2.5部
ポリビニルピロリドン(K値90) 2.5部
純水 57.0部
イソプロピルアルコール 38.0部
(実施例10)
実施例8で作製した感熱転写記録媒体1において、下引層20を下記組成の下引層塗布液−3にした以外は、実施例8と同様にして、実施例10の感熱記録転写媒体を得た。
<下引層塗布液−3>
スルホン酸基含有ポリエステル/
グリシジル基含有アクリル共重合体(30:70) 2.5部
ポリビニルピロリドン(K値90) 2.5部
純水 57.0部
イソプロピルアルコール 38.0部
(実施例11)
実施例8で作製した感熱転写記録媒体1において、下引層20を下記組成の下引層塗布液−4にした以外は、実施例8と同様にして、実施例11の感熱記録転写媒体を得た。
<下引層塗布液−4>
スルホン酸基含有ポリエステル/
グリシジル基含有アクリル共重合体(30:70) 3.5部
ポリビニルピロリドン(K値60) 1.5部
純水 57.0部
イソプロピルアルコール 38.0部
(実施例12)
実施例8で作製した感熱転写記録媒体1において、下引層20を下記組成の下引層塗布液−5にした以外は、実施例8と同様にして、実施例12の感熱記録転写媒体を得た。
<下引層塗布液−5>
スルホン酸基含有ポリエステル/
グリシジル基含有アクリル共重合体(30:70) 1.5部
ポリビニルピロリドン(K値60) 3.5部
純水 57.0部
イソプロピルアルコール 38.0部
(実施例13)
実施例8で作製した感熱転写記録媒体1において、下引層20を下記組成の下引層塗布液−6にした以外は、実施例8と同様にして、実施例13の感熱記録転写媒体を得た。
<下引層塗布液−6>
スルホン酸基含有ポリエステル/
カルボキシル基含有アクリル共重合体(30:70) 2.5部
ポリビニルピロリドン(K値90) 2.5部
純水 57.0部
イソプロピルアルコール 38.0部
(実施例14)
実施例8で作製した感熱転写記録媒体1において、下引層20を下記組成の下引層塗布液−7にした以外は、実施例8と同様にして、実施例14の感熱記録転写媒体を得た。
<下引層塗布液−7>
スルホン酸基含有ポリエステル/
カルボキシル基含有アクリル共重合体(20:80) 2.50部
ポリビニルピロリドン(K値90) 2.50部
純水 57.0部
イソプロピルアルコール 38.0部
(実施例15)
実施例8で作製した感熱転写記録媒体1において、下引層20を下記組成の下引層塗布液−8にした以外は、実施例8と同様にして、実施例15の感熱記録転写媒体を得た。
<下引層塗布液−8>
スルホン酸基含有ポリエステル/
カルボキシル基含有アクリル共重合体(40:60) 2.5部
ポリビニルピロリドン(K値90) 2.5部
純水 57.0部
イソプロピルアルコール 38.0部
(実施例16)
実施例10で作製した感熱転写記録媒体1において、下引層20を乾燥後の塗布量が0.03g/mになるように塗布、乾燥すること以外は、実施例8と同様にして、実施例16の感熱記録転写媒体を得た。
(実施例17)
実施例10で作製した感熱転写記録媒体1において、下引層20を乾燥後の塗布量が0.35g/mになるように塗布、乾燥すること以外は、実施例8と同様にして、実施例17の感熱記録転写媒体を得た。
(比較例1)
実施例1で作製した感熱転写記録媒体1において、耐熱滑性層40付き基材10作成の際に基材10に塗布するのが下記組成の耐熱滑性層塗布液−8にした以外は、実施例1と同様にして、比較例1の感熱記録転写媒体を得た。
<耐熱滑性層塗布液−8>
アクリルポリオール樹脂 13.6部
ラウリン酸亜鉛 0.5部
タルク 6.5部
2,6−トリレンジイソシアネートプレポリマー 4.4部
トルエン 50.0部
メチルエチルケトン 20.0部
酢酸エチル 5.0部
(比較例2)
実施例1で作製した感熱転写記録媒体1において、耐熱滑性層40付き基材10作成の際に基材10に塗布するのが下記組成の耐熱滑性層塗布液−9にした以外は、実施例1と同様にして、比較例2の感熱記録転写媒体を得た。
<耐熱滑性層塗布液−9>
アクリルポリオール樹脂 13.3部
ラウリン酸亜鉛 1.0部
タルク 6.4部
2,6−トリレンジイソシアネートプレポリマー 4.3部
トルエン 50.0部
メチルエチルケトン 20.0部
酢酸エチル 5.0部
(比較例3)
実施例1で作製した感熱転写記録媒体1において、耐熱滑性層40付き基材10作成の際に基材10に塗布するのが下記組成の耐熱滑性層塗布液−10にした以外は、実施例1と同様にして、比較例3の感熱記録転写媒体を得た。
<耐熱滑性層塗布液−10>
アクリルポリオール樹脂 9.1部
ラウリン酸亜鉛 3.0部
タルク 10.0部
2,6−トリレンジイソシアネートプレポリマー 2.9部
トルエン 50.0部
メチルエチルケトン 20.0部
酢酸エチル 5.0部
(比較例4)
耐熱滑性層40付き基材10の耐熱滑性層40が塗布されていない面に、下引層20を形成することなく、実施例8と同様の染料層塗布液を、グラビアコーティング法により、乾燥後の塗布量が0.7g/mになるように塗布、乾燥することで、染料層30を形成し、比較例4の感熱転写記録媒体1を得た。
(比較例5)
下引層20を下記組成の下引層塗布液−8にした以外は、実施例8と同様にして、比較例5の感熱記録転写媒体を得た。
<下引層塗布液−8>
ポリビニルピロリドン(K値30) 5.0部
純水 57.0部
イソプロピルアルコール 38.0部
(比較例6)
下引層20を下記組成の下引層塗布液−9にした以外は、実施例8と同様にして、比較例6の感熱記録転写媒体を得た。
<下引層塗布液−9>
ポリビニルピロリドン(K値90) 5.0部
純水 57.0部
イソプロピルアルコール 38.0部
(比較例7)
下引層20を下記組成の下引層塗布液−10にした以外は、実施例8と同様にして、比較例7の感熱記録転写媒体を得た。
<下引層塗布液−10>
スルホン酸基含有ポリエステル樹脂 5.00部
純水 47.5部
イソプロピルアルコール 47.5部
(比較例8)
実施例8で作製した感熱転写記録媒体1において、下引層20を下記組成の下引層塗布液−11にした以外は、実施例8と同様にして、比較例8の感熱記録転写媒体を得た。
<下引層塗布液−11>
グリシジル基含有アクリル樹脂 5.0部
純水 47.5部
イソプロピルアルコール 47.5部
(比較例9)
下引層20を下記組成の下引層塗布液−12にした以外は、実施例8と同様にして、比較例9の感熱記録転写媒体を得た。
<下引層塗布液−12>
スルホン酸基含有ポリエステル/
カルボキシル基含有アクリル共重合体(30:70) 5.0部
純水 57.0部
イソプロピルアルコール 38.0部
(比較例10)
実施例8で作製した感熱転写記録媒体1において、下引層20を下記組成の下引層塗布液−13にした以外は、実施例8と同様にして、比較例10の感熱記録転写媒体を得た。
<下引層塗布液−13>
グリシジル基含有アクリル樹脂 7.0部
スルホン酸基含有ポリエステル樹脂 3.0部
純水 45.0部
イソプロピルアルコール
(比較例11)
実施例8で作製した感熱転写記録媒体1において、下引層20を下記組成の下引層塗布液−14にした以外は、実施例8と同様にして、比較例11の感熱記録転写媒体を得た。
<下引層塗布液−14>
メトキシメチル化ナイロン
(メトキシメチル化率 約30%) 5.0部
純水 57.0部
イソプロピルアルコール 38.0部
<被転写体の作製>
基材10として、188μmの白色発泡ポリエチレンテレフタレートフィルムを使用し、その一方の面に下記組成の受像層塗布液を、グラビアコーティング法により、乾燥後の塗布量が5.0g/mになるように塗布、乾燥することで、感熱転写用の被転写体を作製した。
<受像層塗布液>
塩化ビニル−酢酸ビニル−ビニルアルコール共重合体 19.5部
アミノ変性シリコーンオイル 0.5部
トルエン 40.0部
メチルエチルケトン 40.0部
<動摩擦係数評価>
実施例1〜7、比較例1〜3の感熱転写記録媒体1の耐熱滑成層の120℃におけるSiC、Si、SiONに対する動摩擦係数μを測定した結果を表1に示す。なお、動摩擦係数μは新東科学製HEIDONトライボギア14を用い、荷重100g、走査速度100mm/minで測定した。
<伸び率が1%になる温度の評価>
実施例1〜7、比較例1〜3の感熱転写記録媒体1の感熱転写記録媒体1(サンプル)を荷重をかけて引っ張りながら過熱した場合の伸び率が1%になる温度Tの測定結果を表1に示す。温度TはSII社製TMA/SS6100を用いて、感熱転写記録媒体1(サンプル)をMD方向に5000N/mの荷重をかけて引っ張りながら室温から0℃に−5℃/minで冷却後、260℃まで5℃/minで加熱した際の感熱転写記録媒体1(サンプル)の変位を測定することにより導出した。
なお、基材10の一方の面に下引層20と染料層30を順次層したシートの温度Tは200℃であった。
<サーマルヘッド磨耗評価>
実施例1〜7、比較例1〜3の感熱転写記録媒体1を使用し、SiC、Si、SiONの3種類それぞれの未使用のサーマルヘッドを用い、サーマルシミュレーターにて下記の条件でベタ印画を連続して10000枚実施した。
印画環境:23℃50%RH
印加電圧:29V
ライン周期:0.9msec
印画密度:主走査300dpi 副走査300dpi
そして、使用後のサーマルヘッドの断面形状をNikon NEXIV VMRで観察して耐熱滑性層40と擦れたことによる磨耗を確認した。磨耗の評価結果を表1に示す。なお、磨耗の評価は以下の基準とした。
〇:最大磨耗が1μm未満のもの。サーマルヘッドの寿命は実用上問題ないレベルを保てる。
×:最大磨耗が1μmを超えるもの。サーマルヘッドの寿命が短くなる。
<印画シワ評価>
実施例1〜7、比較例1〜3の感熱転写記録媒体1を使用し、SiC、Si、SiONの3種類それぞれのサーマルヘッドを用いた印画評価を行った。シワの評価として、24V、27Vと印画エネルギーを変えた2パターンに関して10inch/secの速さで印画評価を行った。また、24Vに関しては、255階調を分割し、高濃度側を255階調として、低階調側として46階調、中階調側として178階調、高階調側として255階調の印画濃度の測定を行った。印画濃度に関しては、黒色に関して測定を行った。
なお、シワによる印画不良の評価は以下の基準にて行った。24Vの電圧においてシワが発生しなければ実用上において問題ない。
〇:印画物にシワによる印画不良無し
×:印画物にシワによる印画不良あり
<印画評価>
実施例8〜17、比較例4〜11の感熱転写記録媒体1を使用し、サーマルシミュレーターにてベタ印画を行い、最高反射濃度を評価した結果を、表2示す。なお最高反射濃度は、X−Rite528にて測定した値である。
なお、印画条件は以下の通りである。
印画環境:23℃50%RH
印加電圧:29V
ライン周期:0.9msec
印画密度:主走査300dpi 副走査300dpi
<異常転写評価>
実施例8〜17、比較例4〜11の感熱転写記録媒体1に関して、常温にて養生された感熱転写記録媒体1と被転写体を使用し、48℃5%環境下、サーマルシミュレーターにてベタ印画を行い、異常転写の有無を評価した。結果を、表2に示す。
異常転写の評価は、以下の基準にて行った。△以上が実用上問題ないレベルである。
○:被転写体への異常転写が、認められない
△:被転写体への異常転写が、ごく僅かに認められる
×:被転写体への異常転写が、全面で認められる
<動的粘弾性の測定>
粘弾性スペクトロメータ(EXSTAR DMS6100)を用い、下記条件で評価を行った。結果を表2に示す。
周波数:10Hz
温度範囲:20℃から200℃
昇温速度:3℃/min
試験片:約0.1mm
Figure 2016078386
Figure 2016078386
表1に示す結果から、耐熱滑性層40の120℃における対SiCの動摩擦係数μが0.18以下である実施例1〜5の感熱転写記録媒体1は耐熱滑性層40と擦れたことによるSiCのサーマルヘッドの磨耗に問題はない。一方で、耐熱滑性層40の120℃における対SiCの動摩擦係数μが0.18を超える比較例1〜2ではサーマルヘッドの耐熱滑性層40と擦れたことによる磨耗は最大磨耗が1μmを超えて寿命が短くなっている。
また、表1に示す結果から、耐熱滑性層40の120℃における対Siの動摩擦係数μが0.18以下である実施例1〜5の感熱転写記録媒体1はSiのサーマルヘッドの耐熱滑性層40と擦れたことによる磨耗に問題はない。一方で、耐熱滑性層40の120℃における対Siの動摩擦係数μが0.18を超える比較例1〜2ではサーマルヘッドの耐熱滑性層40と擦れたことによる磨耗は最大磨耗が1μmを超えて寿命が短くなっている。
また、表1に示す結果から、耐熱滑性層40の120℃における対SiONの動摩擦係数μが0.18以下である実施例1〜5、比較例2の感熱転写記録媒体1はSiONのサーマルヘッドの耐熱滑性層40と擦れたことによる磨耗に問題はない。一方で、耐熱滑性層40の120℃における対SiONの動摩擦係数μが0.18を超える比較例1ではサーマルヘッドの耐熱滑性層40と擦れたことによる磨耗は最大磨耗が1μmを超えて寿命が短くなっている。
このように、SiC、Si、SiONのいずれのサーマルヘッドも耐熱滑性層40の120℃における対ヘッド材質の動摩擦係数μが0.18以下の場合に、サーマルヘッドの寿命が実用上問題ないレベルを保てることがわかった。印画時に高温となるサーマルヘッドとそれにより加熱された耐熱滑性層40との摩擦が低くなることにより、サーマルヘッドの磨耗が抑制されるものとみられる。
表1に示す結果から、MD方向に5000N/mの荷重をかけて引っ張りながら過熱した場合の感熱転写記録媒体1のMD方向の感熱転写記録媒体1の伸び率が1%になる温度Tが205℃以上である実施例3、6、7はSiC、Si、SiONのいずれのサーマルヘッドを用いて印画した場合にも印画シワが発生していない。一方で、温度Tが205℃未満である比較例3では印画シワが発生している。このことから、温度Tが205℃以上であれば印画シワが発生しないことがわかった。これは、温度Tが205℃以上であれば熱圧がかかった時の感熱転写記録媒体1の伸びが十分に小さいためとみられる。
なお、前述のように基材10の一方の面に下引層20と染料層30を順次層したシートの温度Tは200℃であったが、これに耐熱滑性層40が加わった実施例3、6、7の感熱転写記録媒体1の温度Tは205℃以上になっていることから、実施例3、6、7の耐熱滑性層40には温度Tを引き上げる効果、すなわち熱圧がかかった時の伸びを抑える効果があり、これにより印画シワが抑制されたと考えられる。
表2に示す結果から、該下引層20を構成する樹脂の100℃における貯蔵弾性率G’が1.0E+06N/m2以上である、実施例8〜17、比較例5〜7、9、11の感熱転写記録媒体1は、100℃における貯蔵弾性率G’が1.0E+06N/m未満である比較例8,10と比較し、異常転写が発生しないことがわかった。また、100℃における貯蔵弾性率G’が1.0E+08N/m以上の実施例8,10、12〜17、比較例11は、100℃における貯蔵弾性率G’が1.0E+06N/m以上1.0E+08N/m未満である実施例9,11、比較例5,7,9と比較し、異常転写に対して効果が高く、好ましいことがわかる。比較例9のスルホン酸基含有ポリエステルとグリシジル基含有アクリルの共重合体は、下引層20が設けられていない比較例4及びスルホン酸基含有ポリエステルのみを用いた比較例5と比べ、高速印画時における転写感度が高いことがわかった。
ポリステル−アクリル共重合体にポリビニルピロリドンを混合した実施例8〜17とポリステル−アクリル共重合体単体である比較例9、ポリビニルピロリドン単体である比較例5,6とを比較すると、ポリビニルピロリドンを混合することで最高反射濃度が向上し、転写感度が高くなることがわかった。
また、混合するポリビニルピロリドンのK値が大きいほど転写感度が向上することがわかった。
さらにポリステル−アクリル共重合体に対してポリビニルピロリドンの割合が増加すると転写感度が低下する傾向がみられ(実施例8,11,12)、混合比率としてはポリエステルとアクリルの共重合体とポリビニルピロリドンが、重量比で70:30〜30:70であることが好ましいことがわかる。
また、実施例16では、実施例10の感熱転写記録媒体1と比較すると、下引層20の塗布量が0.05g/m未満であるため、幾分転写感度の低下と密着性の低下が確認された。また、実施例17の感熱転写記録媒体1は、同じく実施例10の感熱転写記録媒体1と比較すると、下引層20の塗布量が0.30g/m超であるが、転写感度及び密着性はほぼ同等であることがわかった。
本実施形態では、図1の基材10が基材を構成する。以下同様に、図1の耐熱滑性層40が耐熱滑性層を構成する。また、図1の染料層30が染料層を構成する。さらに、図1の下引層20が下引層を構成する。また、図1の感熱転写記録媒体1が感熱転写記録媒体を構成する。
(本実施形態の効果)
本実施形態に係る発明は、以下の効果を奏する。
(1)本実施形態に係る感熱転写記録媒体1では、基材10と、基材10の一方の面に形成された耐熱滑性層40と、基材10の他方の面に形成された染料層30と、他方の面と染料層30との間に形成された下引層20と、を有する感熱転写記録媒体1であって、下引層20は、100℃における貯蔵弾性率G’が1.0E+06N/m以上であり、側鎖にスルホン酸基を有するポリエステルと少なくともグリシジル基及びカルボキシル基のいずれか1種類を有するアクリルとの共重合体とポリビニルピロリドンとを含み、耐熱滑性層40は、120℃におけるSiC、Si、SiONの各々に対する動摩擦係数μが0.18以下であることを特徴とする。
このような構成によれば、下引層20の、100℃における貯蔵弾性率G’を1.0E+06N/m以上としたため、異常転写を抑制できる。また、ポリエステルとアクリルとの共重合体を用いたため、耐溶剤性と染料バリア性とを向上できる。さらに、耐熱滑性層40の、120℃におけるSiC、Si、SiONの各々に対する動摩擦係数μを0.18以下としたため、プリンタのサーマルヘッドを長寿命化できる。そのため、このような構成によれば、より適切に印刷を行うことができる。
(2)本実施形態に係る感熱転写記録媒体1では、下引層20は、100℃における貯蔵弾性率G’が1.0E+08N/m以上で且つ1.0E+10N/m以下である。
このような構成によれば、転写感度をより向上でき、印画時のシワを抑制できる。
(3)本実施形態に係る感熱転写記録媒体1では、ポリビニルピロリドンのフィッケンチャーの公式におけるK値は、30以上で且つ100以下である。
このような構成によれば、印画における転写感度の向上しつつ、塗工適正を向上することができる。
(4)本実施形態に係る感熱転写記録媒体1では、共重合体におけるポリエステルの重量比は、20%以上で且つ40%未満である。
このような構成によれば、基材10との密着性を向上しつつ、印画濃度を向上することができる。
(5)本実施形態に係る感熱転写記録媒体1では、下引層20における共重合体の重量比は、30%以上で且つ70%未満である。
このような構成によれば、印画濃度を向上しつつ、保存性を向上することができる。
(6)本実施形態に係る感熱転写記録媒体1では、下引層20の乾燥後の塗布量は、0.10g/m以上で且つ0.30g/m以下である。
このような構成によれば、高速印画時における転写感度を向上しつつ、コスト面を向上することができる。
(7)本実施形態に係る感熱転写記録媒体1では、感熱転写記録媒体1をMD方向に5000N/m2の荷重をかけて引っ張りながら過熱した場合のMD方向の感熱転写記録媒体1の伸び率が1%になる温度Tを205℃以上とした。
このような構成によれば、印画時にシワの発生を抑制できる。
(8)本実施形態に係る感熱転写記録媒体1では、感熱転写記録媒体1をMD方向に5000N/m2の荷重をかけて引っ張りながら過熱した場合のMD方向の感熱転写記録媒体1の伸び率が1%になる温度Tが205℃以上となるような耐熱滑性層40を用いた。
このような構成によれば、温度Tを比較的容易に205℃以上とすることができる。
本実施形態により得られる感熱転写記録媒体1は、昇華転写方式のプリンタに使用することができ、プリンタの高速・高機能化と併せて、各種画像を簡便にフルカラー形成できるため、デジタルカメラのセルフプリント、身分証明書等のカード類、アミューズメント用出力物等に広く利用できる。
10:基材
20:下引層
30:染料層
40:耐熱滑性層

Claims (8)

  1. 基材と、
    前記基材の一方の面に形成された耐熱滑性層と、
    前記基材の他方の面に形成された染料層と、
    前記他方の面と前記染料層との間に形成された下引層と、を有する感熱転写記録媒体であって、
    前記下引層は、100℃における貯蔵弾性率G’が1.0E+06N/m以上であり、側鎖にスルホン酸基を有するポリエステルと少なくともグリシジル基及びカルボキシル基のいずれか1種類を有するアクリルとの共重合体とポリビニルピロリドンとを含み、
    前記耐熱滑性層は、120℃におけるSiC、Si、SiONの各々に対する動摩擦係数μが0.18以下であることを特徴とする感熱転写記録媒体。
  2. 前記下引層は、100℃における貯蔵弾性率G’が1.0E+08N/m以上で且つ1.0E+10N/m以下であることを特徴とする請求項1に記載の感熱転写記録媒体。
  3. 前記ポリビニルピロリドンは、フィッケンチャーの公式におけるK値が30以上で且つ100未満であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の感熱転写記録媒体。
  4. 前記共重合体における前記ポリエステルの重量比は、20%以上で且つ40%未満であることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の感熱転写記録媒体。
  5. 前記下引層における前記共重合体の重量比は、30%以上で且つ70%未満であることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の感熱転写記録媒体。
  6. 前記下引層の乾燥後の塗布量は、0.10g/m以上で且つ0.30g/m以下であることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の感熱転写記録媒体。
  7. 感熱転写記録媒体をMD方向に5000N/mの荷重をかけて引っ張りながら過熱した場合のMD方向の感熱転写記録媒体の伸び率が1%になる温度Tが205℃以上となることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の感熱転写記録媒体。
  8. 感熱転写記録媒体をMD方向に5000N/mの荷重をかけて引っ張りながら過熱した場合のMD方向の感熱転写記録媒体の伸び率が1%になる温度Tが205℃以上となるような前記耐熱滑性層を用いたことを特徴とする請求項7に記載の感熱転写記録媒体。
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