JP2016078386A - 感熱転写記録媒体 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】基材10と、基材10の一方の面に形成された耐熱滑性層40と、基材10の他方の面に形成された染料層30と、他方の面と染料層30との間に形成された下引層20と、を有する感熱転写記録媒体1であって、下引層20は、100℃における貯蔵弾性率G’が1.0E+06N/m2以上であり、側鎖にスルホン酸基を有するポリエステルと少なくともグリシジル基及びカルボキシル基のいずれか1種類を有するアクリルとの共重合体とポリビニルピロリドンとを含む。そして、耐熱滑性層40は、120℃におけるSiC、Si3N4、SiONの各々に対する動摩擦係数μkが0.18以下である。
【選択図】図1
Description
印画濃度を上げるために転写感度を上げるべく、感熱転写記録媒体の薄膜化により印画における転写感度の向上を試みることが行われてきたが、感熱転写記録媒体の製造時や印画の際に熱や圧力等によりシワが発生したり、場合によっては破断が発生するという問題を抱えている。
しかしながら、特許文献1に提案されている感熱転写記録媒体は、昨今の昇華転写方式の高速プリンタにて印画を行ったところ、十分な印字濃度が得られなかったり、熱転写の際に異常転写が生じたり、印画時に熱や圧力によりシワが発生したり、プリンタのサーマルヘッドの寿命が短かったり、その他問題が生じたりと、十分に満足できる品質が得られなかった。
図1に示すように、感熱転写記録媒体1は、基材10と、基材10の一方の面に形成された耐熱滑性層40と、基材10の他方の面に形成された染料層30と、基材10の他方の面と染料層30との間に形成された下引層20とを備える。
感熱転写記録媒体1は、熱転写における熱圧で変形すると印画時にシワが発生しやすいため、熱圧がかかった際の伸びが小さいことが好ましい。特に、感熱転写記録媒体1(サンプル)をMD(Machine Direction)方向に5000N/m2の荷重をかけて引っ張りながら過熱した場合の伸び率が1%になる温度Tが205℃以上になると印画時のシワが発生しにくい。なお、前述の温度Tは、SII社製TMA/SS6100を用い、室温から0℃に−5℃/minで冷却後、260℃まで5℃/minで加熱した際の感熱転写記録媒体1(サンプル)の変位を測定することにより導出した。
また、基材10においては、耐熱滑性層40及び下引層20を形成する面に、接着処理を施すことも可能である。接着処理としては、コロナ処理、火炎処理、オゾン処理、紫外線処理、放射線処理、粗面化処理、プラズマ処理、プライマー処理等の公知の技術を適用することができ、それらの処理を二種以上併用することもできる。
また、耐熱滑性層40は、熱圧による感熱転写記録媒体1の伸びを抑える効果を持つことが好ましい。前述のように、感熱転写記録媒体1は、熱転写における熱圧で変形すると印画時にシワが発生しやすいため、特に感熱転写記録媒体1(サンプル)をMD方向に5000N/m2の荷重をかけて引っ張りながら過熱した場合MD方向の感熱転写記録媒体1の伸び率が1%になる温度Tが205℃以上になることが望ましいが、基材10の一方の面に下引層20、染料層30を積層した状態では温度Tが205℃未満になることもある。この場合は、熱圧での変形の小さい耐熱滑性層40を用いることで、感熱転写記録媒体1全体の熱圧による変形を抑えて、感熱転写記録媒体1の温度Tが205℃以上になるようにする必要がある(温度Tが205℃以上となるような耐熱滑性層40を用いる)。
耐熱滑性層40は、例えば、バインダーとなる樹脂、機能性添加剤、充填剤、硬化剤、溶剤等を配合して耐熱滑性層40形成用の塗布液を適宜調製し、塗布、乾燥して形成することができる。この耐熱滑性層40の乾燥後の塗布量は、0.1g/m2以上で且つ2.0g/m2以下程度が適当である。ここで、耐熱滑性層40の乾燥後の塗布量とは、耐熱滑性層40形成用の塗布液を塗布、乾燥した後に残った固形分量のことをいい、後述する下引層20の乾燥後の塗布量及び染料層30の乾燥後の塗布量も、同様に、塗布液を塗布、乾燥した後に残った固形分量のことを指す。
耐熱滑性層40の一例を挙げると、バインダー樹脂としては、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルアセトアセタール樹脂、ポリエステル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリエーテル樹脂、ポリブタジエン樹脂、アクリルポリオール、ポリウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート、ポリエーテルアクリレート、エポキシアクリレート、ニトロセルロース樹脂、酢酸セルロース樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリカーボネート樹脂等を挙げることができる。
硬化剤としては、トリレンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、テトラメチルキシレンジイソシアネート等のイソシアネート類、及びその誘導体を挙げることができるが、特に限定されるものではない。
なお、下引層20の動的粘弾性特性は、特定周波数、及び特定温度における、動的粘弾性スペクトルの損失正接、または損失正接及び貯蔵弾性率により規定し、さらに、特定周波数における動的粘弾性スペクトルの損失正接のピークを示す温度、または損失正接のピーク値により規定する。本実施形態において動的粘弾性の測定は、周波数10Hz、20℃から200℃の温度範囲、昇温速度3℃/min試験片は約0.1mmで行った。
側鎖にスルホン酸基を有するポリエステルの共重合成分であるジカルボン酸成分はエステル形成性スルホン酸アルカリ金属塩化合物を必須成分とし、フタル酸、テレフタル酸、テレフタル酸ジメチル、イソフタル酸、イソフタル酸ジメチル、2,5−ジメチルテレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、ビフェニルジカルボン酸、オルソフタル酸等の芳香族ジカルボン酸、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸及び、ドデカンジカルボン酸等の脂肪族ジカルボン酸、並びにシクロヘキサンジカルボン酸等の脂環族ジカルボン酸等が挙げられる。
エステル形成性スルホン酸アルカリ金属塩化合物としては、スルホテレフタル酸、5−スルホイソフタル酸、4−スルホイソフタル酸、4−スルホナフタレン酸−2,7−ジカルボン酸等のアルカリ金属塩(スルホン酸のアルカリ金属塩)及び、これらのエステル形成性誘導体が挙げられ、5−スルホイソフタル酸のナトリウム塩及び、そのエステル形成性誘導体がより好ましく用いられる。スルホン酸基を有することによって耐溶剤性が向上する。
アクリル成分としては、グリシジル基含有ラジカル重合性不飽和モノマーの単独或いはカルボキシル基含有ラジカル重合性不飽和モノマー単独、或いは上記モノマーと共重合できる他のラジカル重合性不飽和モノマーがあげられる。
カルボキシル基含有のラジカル重合性不飽和モノマーとしてはアクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、2−カルボキシエチル(メタ)アクリレート、2−カルボキシプロピル(メタ)アクリレート、5−カルボキシペンチル(メタ)アクリレート等があげられる。
ビニルエステルとしては、プロピオン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、高級第3級ビニルエステル、塩化ビニル、臭化ビニルが挙げられる。不飽和カルボン酸エステルとしては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、マレイン酸ブチル、マレイン酸オクチル、フマル酸ブチル、フマル酸オクチル、メタクリル酸ヒドロキシエチル、アクリル酸ヒドロキシエチル、メタクリル酸ヒドロキシプロピル、アクリル酸ヒドロキシプロピル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、アクリル酸ジメチルアミノエチル、エチレングリコールジメタクリル酸エステル、エチレングリコールジアクリル酸エステル、ポリエチレングリコールジメタクリル酸エステル、ポリエチレングリコールジアクリル酸エステルが挙げられる。
アリル化合物としては、酢酸アリル、メタクリル酸アリル、アクリル酸アリル、イタコン酸ジアリルが挙げられる。また含窒素系ビニルモノマーとしては、ビニルピリジン、ビニルイミダゾールが、また炭化水素ビニルモノマーとしてはエチレン、プロピレン、ヘキセン、オクテン、スチレン、ビニルトルエン、ブタジエンが挙げられる。ビニルシラン化合物としては、ジメチルビニルメトキシシラン、ジメチルビニルエトキシシラン、メチルビニルジメトキシシラン、メチルビニルジエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルジメトキシシランが挙げられる。
ポリビニルピロリドンとしては、N−ビニル−2−ピロリドン、N−ビニル−4−ピロリドン等のビニルピロリドンの単独重合体(ホモポリマー)またはこれらの共重合体が挙げられる。さらには変性ポリビニルピロリドン等があげられる。変性ポリビニルピロリドンは、N−ビニルピロリドン系モノマーと他のモノマーとの共重合体である。なお、共重合形態は、ランダム共重合、ブロック共重合、グラフト共重合等特に限定されるものではない。上記のN−ビニルピロリドン系モノマーとは、N−ビニルピロリドン(N−ビニル−2−ピロリドン、N−ビニル−4−ピロリドン等)及びその誘導体を言うものであって、誘導体としては、例えばN−ビニル−3−メチルピロリドン、N−ビニル−5−メチルピロリドン、N−ビニル−3,3,5−トリメチルピロリドン、N−ビニル−3−ベンジルピロリドン等のピロリドン環に置換基を有するものが挙げられるが、特に限定されるものではない。
(実施例1)
<耐熱滑性層40付き基材10の作製>
基材10として、4.5μmのポリエチレンテレフタレートフィルムを使用し、その一方の面に、下記の組成の耐熱滑性層塗布液−1を、グラビアコーティング法により、乾燥後の塗布量が1.0g/m2になるように塗布し、100℃1分乾燥した後に、40℃環境下で1週間エージングすることで、耐熱滑性層40付き基材10を得た。
アクリルポリオール樹脂 13.1部
ラウリン酸亜鉛 1.5部
タルク 6.3部
2,6−トリレンジイソシアネートプレポリマー 4.2部
トルエン 50.0部
メチルエチルケトン 20.0部
酢酸エチル 5.0部
留出管、窒素導入管、温度計、撹拌機を備えた四つ口フラスコにテレフタル酸ジメチル854部、5−ソジウムスルホイソフタル酸355部、エチレングリコール186部、ジエチレングリコール742部及び、反応触媒として、酢酸亜鉛1部を仕込み、130℃から170℃まで2時間かけて昇温し、三酸化アンチモン1部を添加し、170℃から200℃まで2時間かけて昇温し、エステル化反応を行った。次いで徐々に昇温、減圧し、最終的に反応温度を250℃、真空度1mmHg以下で1〜2時間重縮合反応を行ない、ポリエステルを得た。得られたポリエステルを純水に溶解し、ついでグリシジル基含有アクリルモノマーとしてメタクリル酸グリシジルをポリエステルの重量比で30:70となるように加え、さらに重合開始剤として過硫酸カリウムを加え、モノマー乳化液を作成した。
スルホン酸基含有ポリエステル/
グリシジル基含有アクリル共重合体(30:70) 2.5部
ポリビニルピロリドン(K値60) 2.5部
純水 57.0部
イソプロピルアルコール 38.0部
<染料層塗布液−1>
C.I.ソルベントブルー63 6.0部
ポリビニルアセタール樹脂 4.0部
トルエン 45.0部
メチルエチルケトン 45.0部
実施例1で作製した感熱転写記録媒体1において、耐熱滑性層40付き基材10作成の際に基材10に塗布するのが下記組成の耐熱滑性層塗布液−2にした以外は、実施例1と同様にして、実施例2の感熱記録転写媒体を得た。
<耐熱滑性層塗布液−2>
アクリルポリオール樹脂 12.8部
ラウリン酸亜鉛 2.0部
タルク 6.1部
2,6−トリレンジイソシアネートプレポリマー 4.1部
トルエン 50.0部
メチルエチルケトン 20.0部
酢酸エチル 5.0部
実施例1で作製した感熱転写記録媒体1において、耐熱滑性層40付き基材10作成の際に基材10に塗布するのが下記組成の耐熱滑性層塗布液−3にした以外は、実施例1と同様にして、実施例3の感熱記録転写媒体を得た。
<耐熱滑性層塗布液−3>
アクリルポリオール樹脂 12.2部
ラウリン酸亜鉛 3.0部
タルク 5.9部
2,6−トリレンジイソシアネートプレポリマー 3.9部
トルエン 50.0部
メチルエチルケトン 20.0部
酢酸エチル 5.0部
実施例1で作製した感熱転写記録媒体1において、耐熱滑性層40付き基材10作成の際に基材10に塗布するのが下記組成の耐熱滑性層塗布液−4にした以外は、実施例1と同様にして、実施例4の感熱記録転写媒体を得た。
<耐熱滑性層塗布液−4>
アクリルポリオール樹脂 11.7部
ラウリン酸亜鉛 4.0部
タルク 5.6部
2,6−トリレンジイソシアネートプレポリマー 3.7部
トルエン 50.0部
メチルエチルケトン 20.0部
酢酸エチル 5.0部
実施例1で作製した感熱転写記録媒体1において、耐熱滑性層40付き基材10作成の際に基材10に塗布するのが下記組成の耐熱滑性層塗布液−5にした以外は、実施例1と同様にして、実施例5の感熱記録転写媒体を得た。
<耐熱滑性層塗布液−5>
アクリルポリオール樹脂 11.1部
ラウリン酸亜鉛 5.0部
タルク 5.3部
2,6−トリレンジイソシアネートプレポリマー 3.6部
トルエン 50.0部
メチルエチルケトン 20.0部
酢酸エチル 5.0部
実施例1で作製した感熱転写記録媒体1において、耐熱滑性層40付き基材10作成の際に基材10に塗布するのが下記組成の耐熱滑性層塗布液−6にした以外は、実施例1と同様にして、実施例6の感熱記録転写媒体を得た。
<耐熱滑性層塗布液−6>
アクリルポリオール樹脂 13.7部
ラウリン酸亜鉛 3.0部
タルク 4.0部
2,6−トリレンジイソシアネートプレポリマー 4.4部
トルエン 50.0部
メチルエチルケトン 20.0部
酢酸エチル 5.0部
実施例1で作製した感熱転写記録媒体1において、耐熱滑性層40付き基材10作成の際に基材10に塗布するのが下記組成の耐熱滑性層塗布液−7にした以外は、実施例1と同様にして、実施例7の感熱記録転写媒体を得た。
<耐熱滑性層塗布液−7>
アクリルポリオール樹脂 11.0部
ラウリン酸亜鉛 3.0部
タルク 7.5部
2,6−トリレンジイソシアネートプレポリマー 3.5部
トルエン 50.0部
メチルエチルケトン 20.0部
酢酸エチル 5.0部
<耐熱滑性層40付き基材10の作製>
基材10として、4.5μmのポリエチレンテレフタレートフィルムを使用し、その一方の面に前述した耐熱滑性層塗布液−3の組成の耐熱滑性層塗布液を、グラビアコーティング法により、乾燥後の塗布量が1.0g/m2になるように塗布し、100℃1分乾燥した後に、40℃環境下で1週間エージングすることで、耐熱滑性層40付き基材10を得た。
実施例8で作製した感熱転写記録媒体1において、下引層20を下記組成の下引層塗布液−2にした以外は、実施例8と同様にして、実施例9の感熱記録転写媒体を得た。
<下引層塗布液−2>
スルホン酸基含有ポリエステル/
グリシジル基含有アクリル共重合体(30:70) 2.5部
ポリビニルピロリドン(K値90) 2.5部
純水 57.0部
イソプロピルアルコール 38.0部
実施例8で作製した感熱転写記録媒体1において、下引層20を下記組成の下引層塗布液−3にした以外は、実施例8と同様にして、実施例10の感熱記録転写媒体を得た。
スルホン酸基含有ポリエステル/
グリシジル基含有アクリル共重合体(30:70) 2.5部
ポリビニルピロリドン(K値90) 2.5部
純水 57.0部
イソプロピルアルコール 38.0部
実施例8で作製した感熱転写記録媒体1において、下引層20を下記組成の下引層塗布液−4にした以外は、実施例8と同様にして、実施例11の感熱記録転写媒体を得た。
<下引層塗布液−4>
スルホン酸基含有ポリエステル/
グリシジル基含有アクリル共重合体(30:70) 3.5部
ポリビニルピロリドン(K値60) 1.5部
純水 57.0部
イソプロピルアルコール 38.0部
実施例8で作製した感熱転写記録媒体1において、下引層20を下記組成の下引層塗布液−5にした以外は、実施例8と同様にして、実施例12の感熱記録転写媒体を得た。
<下引層塗布液−5>
スルホン酸基含有ポリエステル/
グリシジル基含有アクリル共重合体(30:70) 1.5部
ポリビニルピロリドン(K値60) 3.5部
純水 57.0部
イソプロピルアルコール 38.0部
実施例8で作製した感熱転写記録媒体1において、下引層20を下記組成の下引層塗布液−6にした以外は、実施例8と同様にして、実施例13の感熱記録転写媒体を得た。
<下引層塗布液−6>
スルホン酸基含有ポリエステル/
カルボキシル基含有アクリル共重合体(30:70) 2.5部
ポリビニルピロリドン(K値90) 2.5部
純水 57.0部
イソプロピルアルコール 38.0部
実施例8で作製した感熱転写記録媒体1において、下引層20を下記組成の下引層塗布液−7にした以外は、実施例8と同様にして、実施例14の感熱記録転写媒体を得た。
<下引層塗布液−7>
スルホン酸基含有ポリエステル/
カルボキシル基含有アクリル共重合体(20:80) 2.50部
ポリビニルピロリドン(K値90) 2.50部
純水 57.0部
イソプロピルアルコール 38.0部
実施例8で作製した感熱転写記録媒体1において、下引層20を下記組成の下引層塗布液−8にした以外は、実施例8と同様にして、実施例15の感熱記録転写媒体を得た。
<下引層塗布液−8>
スルホン酸基含有ポリエステル/
カルボキシル基含有アクリル共重合体(40:60) 2.5部
ポリビニルピロリドン(K値90) 2.5部
純水 57.0部
イソプロピルアルコール 38.0部
実施例10で作製した感熱転写記録媒体1において、下引層20を乾燥後の塗布量が0.03g/m2になるように塗布、乾燥すること以外は、実施例8と同様にして、実施例16の感熱記録転写媒体を得た。
(実施例17)
実施例10で作製した感熱転写記録媒体1において、下引層20を乾燥後の塗布量が0.35g/m2になるように塗布、乾燥すること以外は、実施例8と同様にして、実施例17の感熱記録転写媒体を得た。
実施例1で作製した感熱転写記録媒体1において、耐熱滑性層40付き基材10作成の際に基材10に塗布するのが下記組成の耐熱滑性層塗布液−8にした以外は、実施例1と同様にして、比較例1の感熱記録転写媒体を得た。
<耐熱滑性層塗布液−8>
アクリルポリオール樹脂 13.6部
ラウリン酸亜鉛 0.5部
タルク 6.5部
2,6−トリレンジイソシアネートプレポリマー 4.4部
トルエン 50.0部
メチルエチルケトン 20.0部
酢酸エチル 5.0部
実施例1で作製した感熱転写記録媒体1において、耐熱滑性層40付き基材10作成の際に基材10に塗布するのが下記組成の耐熱滑性層塗布液−9にした以外は、実施例1と同様にして、比較例2の感熱記録転写媒体を得た。
<耐熱滑性層塗布液−9>
アクリルポリオール樹脂 13.3部
ラウリン酸亜鉛 1.0部
タルク 6.4部
2,6−トリレンジイソシアネートプレポリマー 4.3部
トルエン 50.0部
メチルエチルケトン 20.0部
酢酸エチル 5.0部
実施例1で作製した感熱転写記録媒体1において、耐熱滑性層40付き基材10作成の際に基材10に塗布するのが下記組成の耐熱滑性層塗布液−10にした以外は、実施例1と同様にして、比較例3の感熱記録転写媒体を得た。
<耐熱滑性層塗布液−10>
アクリルポリオール樹脂 9.1部
ラウリン酸亜鉛 3.0部
タルク 10.0部
2,6−トリレンジイソシアネートプレポリマー 2.9部
トルエン 50.0部
メチルエチルケトン 20.0部
酢酸エチル 5.0部
耐熱滑性層40付き基材10の耐熱滑性層40が塗布されていない面に、下引層20を形成することなく、実施例8と同様の染料層塗布液を、グラビアコーティング法により、乾燥後の塗布量が0.7g/m2になるように塗布、乾燥することで、染料層30を形成し、比較例4の感熱転写記録媒体1を得た。
下引層20を下記組成の下引層塗布液−8にした以外は、実施例8と同様にして、比較例5の感熱記録転写媒体を得た。
<下引層塗布液−8>
ポリビニルピロリドン(K値30) 5.0部
純水 57.0部
イソプロピルアルコール 38.0部
下引層20を下記組成の下引層塗布液−9にした以外は、実施例8と同様にして、比較例6の感熱記録転写媒体を得た。
<下引層塗布液−9>
ポリビニルピロリドン(K値90) 5.0部
純水 57.0部
イソプロピルアルコール 38.0部
下引層20を下記組成の下引層塗布液−10にした以外は、実施例8と同様にして、比較例7の感熱記録転写媒体を得た。
<下引層塗布液−10>
スルホン酸基含有ポリエステル樹脂 5.00部
純水 47.5部
イソプロピルアルコール 47.5部
実施例8で作製した感熱転写記録媒体1において、下引層20を下記組成の下引層塗布液−11にした以外は、実施例8と同様にして、比較例8の感熱記録転写媒体を得た。
<下引層塗布液−11>
グリシジル基含有アクリル樹脂 5.0部
純水 47.5部
イソプロピルアルコール 47.5部
下引層20を下記組成の下引層塗布液−12にした以外は、実施例8と同様にして、比較例9の感熱記録転写媒体を得た。
<下引層塗布液−12>
スルホン酸基含有ポリエステル/
カルボキシル基含有アクリル共重合体(30:70) 5.0部
純水 57.0部
イソプロピルアルコール 38.0部
実施例8で作製した感熱転写記録媒体1において、下引層20を下記組成の下引層塗布液−13にした以外は、実施例8と同様にして、比較例10の感熱記録転写媒体を得た。
<下引層塗布液−13>
グリシジル基含有アクリル樹脂 7.0部
スルホン酸基含有ポリエステル樹脂 3.0部
純水 45.0部
イソプロピルアルコール
実施例8で作製した感熱転写記録媒体1において、下引層20を下記組成の下引層塗布液−14にした以外は、実施例8と同様にして、比較例11の感熱記録転写媒体を得た。
<下引層塗布液−14>
メトキシメチル化ナイロン
(メトキシメチル化率 約30%) 5.0部
純水 57.0部
イソプロピルアルコール 38.0部
<被転写体の作製>
基材10として、188μmの白色発泡ポリエチレンテレフタレートフィルムを使用し、その一方の面に下記組成の受像層塗布液を、グラビアコーティング法により、乾燥後の塗布量が5.0g/m2になるように塗布、乾燥することで、感熱転写用の被転写体を作製した。
塩化ビニル−酢酸ビニル−ビニルアルコール共重合体 19.5部
アミノ変性シリコーンオイル 0.5部
トルエン 40.0部
メチルエチルケトン 40.0部
<動摩擦係数評価>
実施例1〜7、比較例1〜3の感熱転写記録媒体1の耐熱滑成層の120℃におけるSiC、Si3N4、SiONに対する動摩擦係数μkを測定した結果を表1に示す。なお、動摩擦係数μkは新東科学製HEIDONトライボギア14を用い、荷重100g、走査速度100mm/minで測定した。
実施例1〜7、比較例1〜3の感熱転写記録媒体1の感熱転写記録媒体1(サンプル)を荷重をかけて引っ張りながら過熱した場合の伸び率が1%になる温度Tの測定結果を表1に示す。温度TはSII社製TMA/SS6100を用いて、感熱転写記録媒体1(サンプル)をMD方向に5000N/m2の荷重をかけて引っ張りながら室温から0℃に−5℃/minで冷却後、260℃まで5℃/minで加熱した際の感熱転写記録媒体1(サンプル)の変位を測定することにより導出した。
なお、基材10の一方の面に下引層20と染料層30を順次層したシートの温度Tは200℃であった。
実施例1〜7、比較例1〜3の感熱転写記録媒体1を使用し、SiC、Si3N4、SiONの3種類それぞれの未使用のサーマルヘッドを用い、サーマルシミュレーターにて下記の条件でベタ印画を連続して10000枚実施した。
印画環境:23℃50%RH
印加電圧:29V
ライン周期:0.9msec
印画密度:主走査300dpi 副走査300dpi
そして、使用後のサーマルヘッドの断面形状をNikon NEXIV VMRで観察して耐熱滑性層40と擦れたことによる磨耗を確認した。磨耗の評価結果を表1に示す。なお、磨耗の評価は以下の基準とした。
〇:最大磨耗が1μm未満のもの。サーマルヘッドの寿命は実用上問題ないレベルを保てる。
×:最大磨耗が1μmを超えるもの。サーマルヘッドの寿命が短くなる。
実施例1〜7、比較例1〜3の感熱転写記録媒体1を使用し、SiC、Si3N4、SiONの3種類それぞれのサーマルヘッドを用いた印画評価を行った。シワの評価として、24V、27Vと印画エネルギーを変えた2パターンに関して10inch/secの速さで印画評価を行った。また、24Vに関しては、255階調を分割し、高濃度側を255階調として、低階調側として46階調、中階調側として178階調、高階調側として255階調の印画濃度の測定を行った。印画濃度に関しては、黒色に関して測定を行った。
なお、シワによる印画不良の評価は以下の基準にて行った。24Vの電圧においてシワが発生しなければ実用上において問題ない。
〇:印画物にシワによる印画不良無し
×:印画物にシワによる印画不良あり
実施例8〜17、比較例4〜11の感熱転写記録媒体1を使用し、サーマルシミュレーターにてベタ印画を行い、最高反射濃度を評価した結果を、表2示す。なお最高反射濃度は、X−Rite528にて測定した値である。
なお、印画条件は以下の通りである。
印画環境:23℃50%RH
印加電圧:29V
ライン周期:0.9msec
印画密度:主走査300dpi 副走査300dpi
実施例8〜17、比較例4〜11の感熱転写記録媒体1に関して、常温にて養生された感熱転写記録媒体1と被転写体を使用し、48℃5%環境下、サーマルシミュレーターにてベタ印画を行い、異常転写の有無を評価した。結果を、表2に示す。
異常転写の評価は、以下の基準にて行った。△以上が実用上問題ないレベルである。
○:被転写体への異常転写が、認められない
△:被転写体への異常転写が、ごく僅かに認められる
×:被転写体への異常転写が、全面で認められる
粘弾性スペクトロメータ(EXSTAR DMS6100)を用い、下記条件で評価を行った。結果を表2に示す。
周波数:10Hz
温度範囲:20℃から200℃
昇温速度:3℃/min
試験片:約0.1mm
また、混合するポリビニルピロリドンのK値が大きいほど転写感度が向上することがわかった。
また、実施例16では、実施例10の感熱転写記録媒体1と比較すると、下引層20の塗布量が0.05g/m2未満であるため、幾分転写感度の低下と密着性の低下が確認された。また、実施例17の感熱転写記録媒体1は、同じく実施例10の感熱転写記録媒体1と比較すると、下引層20の塗布量が0.30g/m2超であるが、転写感度及び密着性はほぼ同等であることがわかった。
本実施形態では、図1の基材10が基材を構成する。以下同様に、図1の耐熱滑性層40が耐熱滑性層を構成する。また、図1の染料層30が染料層を構成する。さらに、図1の下引層20が下引層を構成する。また、図1の感熱転写記録媒体1が感熱転写記録媒体を構成する。
本実施形態に係る発明は、以下の効果を奏する。
(1)本実施形態に係る感熱転写記録媒体1では、基材10と、基材10の一方の面に形成された耐熱滑性層40と、基材10の他方の面に形成された染料層30と、他方の面と染料層30との間に形成された下引層20と、を有する感熱転写記録媒体1であって、下引層20は、100℃における貯蔵弾性率G’が1.0E+06N/m2以上であり、側鎖にスルホン酸基を有するポリエステルと少なくともグリシジル基及びカルボキシル基のいずれか1種類を有するアクリルとの共重合体とポリビニルピロリドンとを含み、耐熱滑性層40は、120℃におけるSiC、Si3N4、SiONの各々に対する動摩擦係数μkが0.18以下であることを特徴とする。
このような構成によれば、転写感度をより向上でき、印画時のシワを抑制できる。
(3)本実施形態に係る感熱転写記録媒体1では、ポリビニルピロリドンのフィッケンチャーの公式におけるK値は、30以上で且つ100以下である。
このような構成によれば、印画における転写感度の向上しつつ、塗工適正を向上することができる。
(4)本実施形態に係る感熱転写記録媒体1では、共重合体におけるポリエステルの重量比は、20%以上で且つ40%未満である。
このような構成によれば、基材10との密着性を向上しつつ、印画濃度を向上することができる。
このような構成によれば、印画濃度を向上しつつ、保存性を向上することができる。
(6)本実施形態に係る感熱転写記録媒体1では、下引層20の乾燥後の塗布量は、0.10g/m2以上で且つ0.30g/m2以下である。
このような構成によれば、高速印画時における転写感度を向上しつつ、コスト面を向上することができる。
(7)本実施形態に係る感熱転写記録媒体1では、感熱転写記録媒体1をMD方向に5000N/m2の荷重をかけて引っ張りながら過熱した場合のMD方向の感熱転写記録媒体1の伸び率が1%になる温度Tを205℃以上とした。
このような構成によれば、印画時にシワの発生を抑制できる。
(8)本実施形態に係る感熱転写記録媒体1では、感熱転写記録媒体1をMD方向に5000N/m2の荷重をかけて引っ張りながら過熱した場合のMD方向の感熱転写記録媒体1の伸び率が1%になる温度Tが205℃以上となるような耐熱滑性層40を用いた。
このような構成によれば、温度Tを比較的容易に205℃以上とすることができる。
20:下引層
30:染料層
40:耐熱滑性層
Claims (8)
- 基材と、
前記基材の一方の面に形成された耐熱滑性層と、
前記基材の他方の面に形成された染料層と、
前記他方の面と前記染料層との間に形成された下引層と、を有する感熱転写記録媒体であって、
前記下引層は、100℃における貯蔵弾性率G’が1.0E+06N/m2以上であり、側鎖にスルホン酸基を有するポリエステルと少なくともグリシジル基及びカルボキシル基のいずれか1種類を有するアクリルとの共重合体とポリビニルピロリドンとを含み、
前記耐熱滑性層は、120℃におけるSiC、Si3N4、SiONの各々に対する動摩擦係数μkが0.18以下であることを特徴とする感熱転写記録媒体。 - 前記下引層は、100℃における貯蔵弾性率G’が1.0E+08N/m2以上で且つ1.0E+10N/m2以下であることを特徴とする請求項1に記載の感熱転写記録媒体。
- 前記ポリビニルピロリドンは、フィッケンチャーの公式におけるK値が30以上で且つ100未満であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の感熱転写記録媒体。
- 前記共重合体における前記ポリエステルの重量比は、20%以上で且つ40%未満であることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の感熱転写記録媒体。
- 前記下引層における前記共重合体の重量比は、30%以上で且つ70%未満であることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の感熱転写記録媒体。
- 前記下引層の乾燥後の塗布量は、0.10g/m2以上で且つ0.30g/m2以下であることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の感熱転写記録媒体。
- 感熱転写記録媒体をMD方向に5000N/m2の荷重をかけて引っ張りながら過熱した場合のMD方向の感熱転写記録媒体の伸び率が1%になる温度Tが205℃以上となることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の感熱転写記録媒体。
- 感熱転写記録媒体をMD方向に5000N/m2の荷重をかけて引っ張りながら過熱した場合のMD方向の感熱転写記録媒体の伸び率が1%になる温度Tが205℃以上となるような前記耐熱滑性層を用いたことを特徴とする請求項7に記載の感熱転写記録媒体。
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