JP2008087305A - 熱転写シート及び印画物 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 基材の表面の少なくとも一部に剥離可能な保護転写積層体を備え、前記保護転写積層体と面順次に少なくとも1色の染料層を備えてなる熱転写シートであって、前記保護転写積層体は、コロイド状無機顔料超微粒子と熱可塑性樹脂とを用いて形成してなる下引き層を含むものであり、前記下引き層は、前記染料層と前記基材との間にも備えられたものであることを特徴とする熱転写シート。
【選択図】 図1
Description
染料層と基材との接着性を向上させた熱転写シートとして、特許文献1には、熱転写シートの基材と染料層との間に、N−ビニルピロリドンのホモポリマー、またはN−ビニルピロリドンと他の成分とのコポリマーを含有する易接着層を設け、該易接着層に紫外線吸収剤の無機フィラーや、シリカ、アルミナ等のフィラーも接着性等を向上させるために用いるものが示されている。しかし、この易接着層では、染料層と基材との接着性を向上することはできても、印画における染料の転写感度が低く、高濃度の印画物が得られるものではない。
しかしながら、導電剤が四級アンモニウム塩系界面活性剤等である場合、経時的に保護転写積層体の表面にブリードアウトしてしまい、印画時の転写性(接着性)が損なわれる問題や、印画物の耐可塑剤性が悪化する問題等がある。
しかしながら、導電剤が金属酸化物等の無機粒子である場合、添加量が多すぎると保護層の透明性が失われてしまい、白濁等を生じる問題がある。
本発明は、上記熱転写シートを用いて画像を形成し、該画像面の少なくとも一部に保護転写積層体が転写形成されていることを特徴とする印画物である。
以下に本発明を詳細に説明する。
上記熱転写シートは、保護転写積層体5の形成領域と異なる部分で、保護転写積層体5と次の保護転写積層体5との間に、染料層4のイエロー染料層(Y)、マゼンタ染料層(M)、シアン染料層(C)が面順次に備えられていて、3色の染料層4と保護転写積層体5とからなる単位9(図示しない。)が、熱転写シートの長さ方向に繰り返し備えられていることが好ましい。更に、イエロー染料層(Y)とマゼンタ染料層(M)との間、マゼンタ染料層(M)とシアン染料層(C)との間、シアン染料層(C)と保護転写積層体5との間、及び、保護転写積層体5とイエロー染料層(Y)との間に検知マーク7を備えてもよい。
(基材)
本発明の熱転写シートにおける基材としては、従来の熱転写シートに使用されているものと同様の基材をそのまま用いることができる。
上記基材としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート〔PET〕等のポリエステル、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリイミド、酢酸セルロース、ポリ塩化ビニリデン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、フッ素樹脂、ポリプロピレン、ポリエチレン、アイオノマー等のプラスチックフィルム;グラシン紙、コンデンサー紙、パラフィン紙等の紙類;セロファン等が好ましい。
上記基材は、上述の樹脂1種のみからなるものであってもよいし、2種以上の樹脂からなるものであってもよい。
また、上記基材は、上記プラスチックフィルム、紙類及びセロファンのうち2種以上を積層した複合フィルムであってもよい。
上記基材の厚さは、その強度及び耐熱性が適切になるように材料に応じて適宜設定することができるが、2〜100μm程度であることが好ましい。
その接着処理としては、コロナ放電処理、火炎処理、オゾン処理、紫外線処理、放射線処理、粗面化処理、化学薬品処理、プラズマ処理、低温プラズマ処理、プライマー処理、グラフト化処理等、公知の樹脂表面改質技術をそのまま適用することができる。
また、それらの処理のうち二種以上を併用することもできる。
上記のプライマー処理は、例えばプラスチックフィルムの溶融押出しの成膜時に、未延伸フィルムにプライマー液を塗布し、その後に延伸処理して行うことができる。
本発明では、上記の接着処理の中でも、コストが高くならずに、基材と、熱可塑性樹脂とコロイド状無機顔料超微粒子からなる下引き層との密着性を高めることができる点で、コロナ放電処理又はプラズマ処理が好ましい。
本発明の熱転写シートは、保護転写積層体の転写性を好適にする目的で、基材の表面のうち保護転写積層体を形成する領域に離型層を備えてもよい。
上記離型層は、離型性に優れた樹脂であれば従来公知の何れの樹脂も使用可能である。上記離型層における樹脂としては、例えば、ワックス類、シリコーンワックス、シリコーン樹脂、シリコーン変性樹脂、フッ素樹脂、フッ素変性樹脂、ポリビニルアルコール、アクリル樹脂、熱架橋性エポキシ−アミノ樹脂及び熱架橋性アルキッド−アミノ樹脂等が挙げられる。
本発明において、上記離型層は、1種の樹脂からなるものであってもよいし、2種以上の樹脂からなるものであってもよい。
上記離型層は、上記樹脂に加え、イソシアネート化合物等の架橋剤、錫系触媒等の触媒を用いて形成したものであってもよい。
上記離型層用塗工液は、上記樹脂、及び、必要に応じて配合する架橋剤又は触媒を、メチルエチルケトン、トルエン、イソプロピルアルコール等の適当な溶剤に溶解させることにより調製することができる。上記離型層用塗工液は、固形分濃度が約5〜50質量%であることが好ましい。
本発明の熱転写シートにおいて、保護転写積層体が非転写性の離型層を介して基材に備えたものである場合、熱転写に際し、保護転写積層体は被転写体上に形成された画像上に転写されて該画像の保護層となるが、離型層は基材側に残存するので、得られる印画物の帯電防止性及び透明性を向上することができる。
また、転写後に艶消しの保護層が望ましい場合には、離型層中に各種の粒子を包含させるか、あるいは離型層の保護層側の表面をマット処理することにより、転写後の保護層表面をマット状にすることもできる。
本発明における保護転写積層体は、コロイド状無機顔料超微粒子と熱可塑性樹脂とを用いて形成してなる下引き層を含むものである。
上記保護転写積層体は、例えば、基材の一方の面に、基材側から順次、保護層(I)、上記下引き層(II)及び接着層(III)の順に積層してなるものが挙げられる。
上記保護層(I)における樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、セルロース系樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリエステル樹脂等が挙げられる。
上記保護層(I)は、例えば、適当な溶剤又は分散液に上述の樹脂を溶解又は分散させた保護層用塗工液を、基材又は離型層の表面に、上述の従来公知の方法にて乾燥後塗布量が0.5〜5g/m2程度になるように塗布し、乾燥することにより形成することができる。
上記保護層用塗工液における溶剤としては、離型層用塗工液に関し例示したものが挙げられる。
上記保護層用塗工液は、上述の離型層用塗工液と同様に調製することができる。上記保護層は、転写性の点で、四級アンモニウム塩系界面活性剤を含有しないことが好ましい。
上記下引き層(II)は、基材の一方の面全体に形成することができ、該下引き層(II)上には、保護層(I)が下に位置する領域に、保護転写積層体を構成する層として接着層(III)を備え、保護層(I)が下に位置しない領域に染料層を備え得るものである。
上記下引き層(II)は、コロイド状無機顔料超微粒子と熱可塑性樹脂とから形成したものである。
上記下引き層(II)は、コロイド状無機顔料超微粒子のみで構成する場合と比べ、高温、高湿下に保存した後の印画における染料層と熱転写受像シートとの離型性が良い。
上記下引き層(II)は、コロイド状無機顔料超微粒子として、同一種類のものを使用するだけでなく、コロイダルシリカとアルミナゾル等、異なる種類のものを混合して使用してもよい。
上記コロイド状無機顔料超微粒子の平均粒径は、電子顕微鏡観察により測定したものである。
上記コロイド状無機顔料超微粒子の形状は、球状、針状、板状、羽毛状、無定形等、如何なる形状であってもよい。
上記コロイド状無機顔料超微粒子は、水系溶媒にゾル状に分散しやすくする目的で、塩酸、酢酸等の分散安定剤を配合して酸性タイプに処理したものであってもよいし、微粒子電荷をカチオンにしたものであってもよいし、表面処理したものであってもよい。
本発明におけるコロイド状無機顔料超微粒子は、例えば、アルミナゾル100(日産化学工業社製)、アルミナゾル200(日産化学工業社製)等、市販品であってもよい。
上記下引き層(II)は、1種の上記熱可塑性樹脂から形成されるものであってもよいし、2種以上の上記熱可塑性樹脂から形成されるものであってもよい。
上記下引き層(II)において、上記熱可塑性樹脂は、基材等の他層との接着性が良好であり、また染料の染着性が低い点で、ポリビニルピロリドン樹脂、ポリアミドエポキシ樹脂又はポリビニルアルコール樹脂であることが好ましく、ポリビニルピロリドン樹脂又はポリアミドエポキシ樹脂がより好ましい。
上記ポリビニルピロリドン樹脂は、印画における転写感度の向上の効果の点で、フィッケンチャーの公式におけるK値が60以上であるものを使用することが好ましく、特にK−60〜K−120のグレードが使用できる。
上記ポリビニルピロリドン樹脂は、数平均分子量が、一般に、約30000〜約280000のものである。
上記ケン化度及び/又は重合度が低すぎると、基材、染料層又は保護層との接着性が低下することがあり、また、それらが高すぎると粘度が高くなり過ぎて、塗工適性が低下することがある。
上記下引き層(II)の熱可塑性樹脂は、Tgが上記範囲内にあると、サーマルヘッドからの熱ダメージによる染料層と被転写材との熱融着や、異常転写や、また熱転写記録時における熱転写シートのシワ発生による被転写材の印画ムラ等の発生を容易に防止することができ、該Tgが60℃未満であると、印画時の熱により下引き層の構成樹脂が流動しやすくなるので、異常転写が生じやすく、また染料層中に含有する染料が下引き層へも拡散して、転写感度が低下しやすくなることがある。
上記下引き層(II)は、上記の熱可塑性樹脂とコロイド状無機顔料超微粒子からなる構成であり、コロイド状無機顔料超微粒子が水系溶媒にゾル状に分散し、熱可塑性樹脂が水系溶媒に分散又は溶解した塗工液を、グラビアコーティング法、ロールコート法、スクリーン印刷法、グラビア版を用いたリバースロールコーティング法等の従来から公知の形成手段により、塗布し、乾燥して、形成することができる。
上記塗工液における水系溶媒としては、特に限定されず、例えば、水;エタノール、プロパノール等のアルコール類と水との混合物;等を挙げることができる。更に、上記水系溶媒として、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ等のセロソルブ類;トルエン、キシレン、クロルベンゼン等の芳香族系溶媒;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶剤;テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類;クロロホルム、トリクロルエチレン等の塩素系溶剤;ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン等の含窒素系溶剤;ジメチルスルホキシド;等の有機溶剤と水との混合物も使用することができるが、水、又は、水とアルコール類との混合物であることが好ましい。
上記下引き層は、乾燥後塗布量が一般に0.02〜1g/m2、好ましくは0.03〜0.3g/m2程度である。
上記下引き層(II)は、上記の塗工液を用いて、基材上に塗工し、熱風乾燥等を行い、コロイド状無機顔料超微粒子がゾル状からゲル状になるように、水分が飛ばされ、また熱可塑性樹脂がバインダーとして無機顔料超微粒子を固着させて形成されるものである。従って、上記下引き層(II)は、一般的なゾル−ゲル法による焼成処理を行うものではない。
上記接着層(III)は、従来公知の感熱接着剤の何れであっても形成することができるが、ガラス転移温度Tgが50〜80℃の熱可塑性樹脂から形成することが好ましい。
上記熱可塑性樹脂としては、例えば、紫外線吸収性樹脂、アクリル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ブチラール樹脂、ポリアミド樹脂、塩化ビニル樹脂等が挙げられる。
上記接着層(III)は、上述の離型層と同様に形成することができる。
本明細書において、上記保護転写積層体の表面抵抗率は、JIS K 6911に準拠して、温度23℃で相対湿度60%の環境下で、高抵抗率測定機(Hiresta IP MCP−HT250、ダイアインスツルメンツ社製)にて画像形成前における保護転写積層体表面を測定して得た値である。
上記保護転写積層体は、表面抵抗率が低い保護転写積層体を有するので、帯電防止性に優れており、被転写体への転写時において静電気発生に起因する搬送不良等のトラブルが殆ど生じず、また印画物同士の静電貼り付きが少ない印画物を得ることができる。
本発明の熱転写シートは、基材の一方の面上に、上述の保護転写積層体と染料層とを面順次に備えたものである。
該染料層は1色の単一層で構成したり、あるいは色相の異なる染料を含む複数の染料層を、同一基材の同一面に面順次に、繰り返し形成することも可能である。染料層は、熱移行性染料を任意のバインダーにより担持してなる層である。
上記熱転写シートは、例えば、基材の一方の面の一部に保護層(I)を設けた後に、前記基材の一方の面全体に下引き層(II)を設け、更に、保護層(I)が下に位置しない下引き層(II)の表面上に染料層を設けることができる。
上記熱転写シートは、染料層が下引き層を介して基材上に備えたものであるので、基材との接着性が良く、印画時に異常転写を起こさない。また上記熱転写シートは、印画時の染料層から下引き層への染料の移行が少なく、受像シートの受容層側への染料拡散を有効に行うことができるので、印画における転写感度が高く、印画濃度を高めることができる。
更に、上記熱転写シートは、下引き層を介して基材上に備えたものであるので、印画時における静電気の発生を軽減し、被転写体や熱転写シートの搬送不良を抑制することができる。
本発明の熱転写シートは、図1に示すように、熱転写画像形成の開始位置を示す検知マーク7を備えたものであってもよい。
上記検知マークの形状や色は、検知器(センサー)によって検出可能であればよく限定されるものではない。
上記検知マークの形状としては、図1のように1本線のストライプや、1本線と2本線のストライプの組合せ、熱転写シートの全巾にわたらない部分的な位置に設けた四角形、丸形等が挙げられる。
本発明の熱転写シートは、1区画に相当する長さ毎に検知マークを形成する、すなわち、面順次に備えられている染料層や保護転写積層体の全ての先頭位置に検知マークを形成したものであってもよいし、面順次の単位の最初の区画のみや、一定の層にのみ、検知マークを形成したものであってもよい。
上記検知マークの形成方法としては、グラビア印刷やオフセット印刷等の公知の印刷方式により形成する方法、蒸着フィルムの転写箔をホットスタンプすることで設ける方法、裏面に粘着剤付きの着色フィルム、蒸着フィルムを貼り付けることで形成する方法等が挙げられ、特に限定されるものではない。
本発明の熱転写シートは、耐熱性、印画時におけるサーマルヘッドの走行性等を向上させる目的で、上記基材の保護転写積層体と反対側の面上に耐熱滑性層を備えることができる。
上記耐熱滑性層は、熱可塑性樹脂等を用いて形成することができる。
上記熱可塑性樹脂としては、ポリエステル系樹脂;ポリアクリル酸エステル系樹脂;ポリ酢酸ビニル系樹脂;スチレンアクリレート系樹脂;ポリウレタン系樹脂;ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂等のポリオレフィン系樹脂;ポリスチレン系樹脂;ポリ塩化ビニル系樹脂;ポリエーテル系樹脂;ポリアミド系樹脂;ポリイミド系樹脂;ポリアミドイミド系樹脂;ポリカーボネート系樹脂;ポリアクリルアミド樹脂;ポリビニルクロリド樹脂;ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルアセトアセタール樹脂等のポリビニルアセタール樹脂;等の熱可塑性樹脂、これらのシリコーン変性物等が好ましく、耐熱性等の点で、ポリアミドイミド系樹脂又はそのシリコーン変性物等がより好ましい。
上記耐熱滑性層用塗工液は、上記熱可塑性樹脂のみを溶媒に分散又は溶解させたものであってもよいし、上記熱可塑性樹脂に加え、所望により配合する添加剤を添加して溶媒に分散又は溶解させたものであってもよい。
上記溶媒としては、例えば、離型層用塗工液に関し例示したものが挙げられる。
上記耐熱滑性層の厚みは、耐熱性等に優れた熱転写シートが得られる点で、乾燥後塗布量で2g/m2以下にするのが好ましく、0.1〜1g/m2にすることがより好ましい。
上記耐熱滑性層と基材との間に、耐熱滑性層と基材との接着を向上させる目的で、耐熱滑性プライマー層を設けてもよい。
上記耐熱滑性プライマー層は、一般に、熱可塑性樹脂からなるものであり、上記熱可塑性樹脂としては、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂等、接着性を示すものであれば特に限定されない。
上記耐熱滑性プライマー層は、離型層用塗工液に関し例示した溶剤等に上記熱可塑性樹脂を分散又は溶解させた塗工液を塗布し、乾燥することにより設けることができる。上記耐熱滑性プライマー層用塗工液の塗布量、乾燥量等の塗工条件は、使用する熱可塑性樹脂、基材等の種類に応じて適宜設定することができる。
本発明の熱転写シートは、熱転写受像シート等の被転写体に画像を形成し、保護転写積層体を転写することができる。
本発明の熱転写シートを用いて画像を形成し、該画像面の少なくとも一部に保護転写積層体が転写形成されていることを特徴とする印画物もまた、本発明の一つである。
本発明の印画物は、保護転写積層体が本発明の熱転写シートを用いて形成されるものであり、コロイド状無機顔料超微粒子と熱可塑性樹脂とを用いて形成してなる下引き層(II)を有するので、印画濃度が高く、且つ導電性が良く、印画物同士の静電貼り付きを少なくすることもできる。
上記熱転写受像シートにおける基材としては、例えば、普通紙、上質紙、トレーシングペーパー、プラスチックフィルム等を挙げることができ、特に限定されない。
上記熱転写受像シートにおける受容層は、従来公知のコーティング法等にて形成することができる。なお、上記熱転写受像シートは、基材自体が染料受容性を有していれば、受容層を設ける必要がない。
上記熱転写受像シートは、カード、葉書、パスポート、便箋、レポート用紙、ノート、カタログ等の何れの形状であってもよい。
上記カード類は、写真等の画像情報に加え、文字情報を含むものであってもよい。本発明において、上記カード類に文字情報を形成する場合、該文字情報形成は熱溶融転写方式により行い、写真等の画像形成は昇華転写方式で行うこともできる。
上記カード類には、更に、エンボス、サイン、ICメモリー、磁気層、ホログラム、その他の印刷等を挙げることもでき、保護転写積層体の転写後にエンボス、サイン、磁気層等を設けることもできる。
なお、文中、部又は%とあるのは特に断りのない限り、質量基準であり、基材の厚みは、マイクロメーター(MFC−191、Nikon社製)にて10枚重ねのものを測定した値から算出したものである。
基材(ポリエチレンテレフタレートフィルム〔PET〕、東レ社製、厚さ4.5μm)上に、組成の耐熱滑性層用塗工液を乾燥後塗布量が0.5g/m2になるようにグラビアコーティングにて塗布し、乾燥して耐熱滑性層を形成した。
<耐熱滑性層用塗工液>
ポリアミドイミド樹脂(HR−15ET、東洋紡績社製) 50.0部
ポリアミドイミドシリコーン樹脂(HR−14ET、東洋紡績社製)50.0部
ステアリルリン酸亜鉛(LBT−1830精製、堺化学社製) 10.0部
ステアリン酸亜鉛(GF−200、日本油脂社製) 10.0部
ポリエステル樹脂(バイロン220、東洋紡績社製) 3.0部
無機フィラー(タルク、平均粒径4.2μm) 10.0部
<保護層用塗工液A>
アクリル樹脂(ダイヤナールBR−83、三菱レイヨン社製) 50部
メチルエチルケトン 25部
トルエン 25部
<下引き層用塗工液A>
アルミナゾル(アルミナゾル200、日産化学工業(株)製、固形分10%)24部
ポリビニルピロリドン樹脂(K−90、ISP製) 0.6部
水 26.9部
イソプロピルアルコール 48.5部
<染料層塗工液>
C.I.ソルベントブルー63 6.0部
ポリビニルブチラール樹脂(エスレックKS−5 積水化学工業(株)製)3.0部
メチルエチルケトン 45.5部
トルエン 45.5部
<接着層用塗工液>
ポリエステル樹脂(バイロン700、東洋紡績社製) 69.6部
反応性紫外線吸収剤を反応結合したアクリル共重合体 17.4部
シリカ(サイリシア310、富士シリシア社製) 25部
実施例1で用いた下引き層用塗工液Aを、下記組成の下引き層用塗工液Bに代えた以外は、実施例1と同様にして、実施例2の熱転写シートを得た。
<下引き層用塗工液B>
アルミナゾル(アルミナゾル200、日産化学工業(株)製、固形分10%)21部
ポリビニルピロリドン樹脂(K−90、ISP製) 0.9部
水 29.6部
イソプロピルアルコール 48.5部
実施例1で用いた下引き層用塗工液Aを、下記組成の下引き層用塗工液Cに代えた以外は、実施例1と同様にして、実施例3の熱転写シートを得た。
<下引き層用塗工液C>
アルミナゾル(アルミナゾル200、日産化学工業(株)製、固形分10%)15部
ポリビニルピロリドン樹脂(K−90、ISP製) 1.5部
水 35部
イソプロピルアルコール 48.5部
実施例1で用いた下引き層用塗工液Aを、下記組成の下引き層用塗工液Dに代えた以外は、実施例1と同様にして、実施例4の熱転写シートを得た。
<下引き層用塗工液D>
アルミナゾル(アルミナゾル200、日産化学工業(株)製、固形分10%)27部
ポリアミドエポキシ樹脂(スミレーズレジン675A、住化ケムテックス(株)製、固形分25%) 1.2部
水 23.3部
イソプロピルアルコール 48.5部
実施例1で用いた下引き層用塗工液Aを、下記組成の下引き層用塗工液Eに代えた以外は、実施例1と同様にして、実施例5の熱転写シートを得た。
<下引き層用塗工液E>
アルミナゾル(アルミナゾル200、日産化学工業(株)製、固形分10%)21部
ポリアミドエポキシ樹脂(スミレーズレジン675A、住化ケムテックス(株)製、固形分25%) 3.6部
水 26.9部
イソプロピルアルコール 48.5部
実施例1で用いた下引き層用塗工液Aを、下記組成の下引き層用塗工液Fに代えた以外は、実施例1と同様にして、実施例6の熱転写シートを得た。
<下引き層用塗工液F>
アルミナゾル(アルミナゾル200、日産化学工業(株)製、固形分10%)12部
ポリビニルピロリドン樹脂(K−90、ISP製) 1.8部
水 37.7部
イソプロピルアルコール 48.5部
実施例1で用いた下引き層用塗工液Aを、下記組成の下引き層用塗工液Gに代えた以外は、実施例1と同様にして、実施例7の熱転写シートを得た。
<下引き層用塗工液G>
アルミナゾル(アルミナゾル200、日産化学工業(株)製、固形分10%)
7.5部
ポリビニルピロリドン樹脂(K−90、ISP製) 2.25部
水 41.75部
イソプロピルアルコール 48.5部
実施例1で用いた下引き層用塗工液Aを、下記組成の下引き層用塗工液Hに代えた以外は、実施例1と同様にして、比較例1の熱転写シートを得た。
<下引き層用塗工液H>
ポリビニルピロリドン樹脂(K−90、ISP製) 3部
水 48.5部
イソプロピルアルコール 48.5部
実施例1で用いた下引き層用塗工液Aを、下記組成の下引き層用塗工液Iに代えた以外は、実施例1と同様にして、比較例2の熱転写シートを得た。
<下引き層用塗工液I>
アルミナゾル(アルミナゾル200、日産化学工業(株)製、固形分10%)30部
水 21.5部
イソプロピルアルコール 48.5部
実施例1で作製した熱転写シートにおいて、下引き層を設けなかった以外は、実施例1と同様にして、比較例3の熱転写シートを得た。
1.反射濃度
各実施例及び比較例の熱転写シートを用いて、OLYMPUS社製P−400プリンター用の専用熱転写受像シートと組み合わせて、下記条件にて印画を行い、得られた印画物について、マクベス反射濃度計RD−918を用いて濃度マックス(255階調目)の部位の反射濃度を測定した。
サーマルヘッド;KGT−217−12MPL20(京セラ(株)製)
発熱体平均抵抗値;2994(Ω)
主走査方向印字密度;300dpi
副走査方向印字密度;300dpi
印加電力;0.10(w/dot)
1ライン周期;5(msec.)
印字開始温度;40(℃)
印加パルス(階調制御方法);1ライン周期中に、1ライン周期を256に等分割したパルス長をもつ分割パルスの数を0から255個まで可変できるマルチパルス方式のテストプリンターを用い、各分割パルスのDuty比を70%に固定し、ライン周期当たりのパルス数を0から255個を15分割した。これにより、15段階に異なるエネルギーを与えることができる。
<保存前>
上記の各実施例及び比較例で作製した熱転写シートを用いて、上記の反射濃度の測定の場合と同様の印画条件において、印画物の全面が階調値255/255:濃度マックスである印画パターンで印画し、印画を行った際に、熱転写シートの染料層と熱転写受像シートとが熱融着するか、あるいは染料層ごと熱転写受像シートに転写する、いわゆる異常転写が生じるかを目視にて調べた。
上記の各実施例及び比較例で作製した熱転写シートを40℃、90%RHの環境下に、48時間保存した後、<保存前>の場合と同様に印画を行った際に、熱転写シートの染料層と熱転写受像シートとが熱融着するか、あるいは染料層ごと熱転写受像シートに転写する、いわゆる異常転写が生じるかを目視にて調べた。
○:染料層と熱転写受像シートとが熱融着せず、また異常転写が生じない。
×:染料層と熱転写受像シートとが熱融着するか、あるいは異常転写が生じる。
高抵抗率測定機(Hiresta IP MCP−HT250、ダイアインスツルメンツ社製)にて、画像形成前の熱転写シートにおける保護転写積層体の表面抵抗率を、JIS K 6911に準拠して、温度23℃、相対湿度60%の環境下で、100Vの電圧を印加し、印加開始から10秒後の表面抵抗率を測定した。また、保護転写積層体が画像上に転写形成された印画物の表面抵抗率を同様の方法で測定した。
各評価結果を表1に示す。
2.下引き層
3.保護層
4.染料層
5.保護転写積層体
6.接着層
7.検知マーク
8.耐熱滑性層
Claims (7)
- 基材の表面の少なくとも一部に剥離可能な保護転写積層体を備え、前記保護転写積層体と面順次に少なくとも1色の染料層を備えてなる熱転写シートであって、
前記保護転写積層体は、コロイド状無機顔料超微粒子と熱可塑性樹脂とを用いて形成してなる下引き層を含むものであり、
前記下引き層は、前記染料層と前記基材との間にも備えられたものである
ことを特徴とする熱転写シート。 - 前記熱可塑性樹脂は、ポリビニルピロリドン樹脂又はポリアミドエポキシ樹脂である請求項1に記載の熱転写シート。
- 前記コロイド状無機顔料超微粒子は、アルミナゾルである請求項1又は2に記載の熱転写シート。
- 前記コロイド状無機顔料超微粒子と前記熱可塑性樹脂との質量比率は、コロイド状無機顔料超微粒子:熱可塑性樹脂=20:1〜1:4である請求項1〜3の何れか1項に記載の熱転写シート。
- 前記保護転写積層体は、基材側から順次、保護層、下引き層及び接着層の順に積層してなるものである請求項1〜4の何れか1項に記載の熱転写シート。
- 前記基材の下引き層を形成する面と反対側の面に耐熱滑性層を備えたものである請求項1〜5の何れか1項に記載の熱転写シート。
- 請求項1〜6の何れか1項に記載の熱転写シートを用いて画像を形成し、該画像面の少なくとも一部に保護転写積層体が転写形成されている
ことを特徴とする印画物。
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