JP2015178187A - 感熱転写記録媒体 - Google Patents

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Abstract

【課題】高速印画時においても異常転写が発生せず、かつ、印画における転写感度が高い感熱転写記録媒体を提供する。【解決手段】基材(10)と、基材(10)の一方の面に形成した耐熱滑性層(40)と、基材(10)の他方の面に形成した下引き層(20)と、下引き層(20)のうち基材(10)と対向する面と反対側の面に形成した染料層(30)を備える感熱転写記録媒体(1)において、下引き層(20)がカチオン性ポリマーと無機粒子からなる。【選択図】図1

Description

本発明は、感熱転写方式のプリンタに使用される感熱転写記録媒体に関するもので、基材の一方の面に耐熱滑性層を設け、該基材の他方の面に下引き層、染料層を順次積層形成した感熱転写記録媒体に関する。
一般に、感熱転写記録媒体は、サーマルリボンと呼ばれ、感熱転写方式のプリンタに使用されるインクリボンのことであり、基材の一方の面に感熱転写層、その基材の他方の面に耐熱滑性層(バックコート層)を設けたものである。ここで感熱転写層は、インクの層であって、プリンタのサーマルヘッドに発生する熱によって、そのインクを昇華(昇華転写方式)あるいは溶融(溶融転写方式)させ、被転写体側に転写するものである。
現在、感熱転写方式の中でも昇華転写方式は、プリンタの高機能化と併せて各種画像を簡便にフルカラー形成できるため、デジタルカメラのセルフプリント、身分証明書などのカード類、アミューズメント用出力物等、広く利用されている。そういった用途の多様化と共に、小型化、高速化、低コスト化などに加えて、得られる印画物への耐久性を求める声も大きくなり、近年では基材シートの同じ側に印画物への耐久性を付与する保護層等を重ならないように設けられた複数の感熱転写層をもつ感熱転写記録媒体がかなり普及してきている。
そのような状況の中、用途の多様化と普及拡大に伴い、よりプリンタの印画速度の高速化が進むに従って、従来の感熱転写記録媒体では十分な印画濃度が得られないという問題が生じてきた。そこで転写感度を上げるべく、感熱転写記録媒体の薄膜化により印画における転写感度の向上を試みることが行われてきたが、感熱転写記録媒体の製造時や印画の際に熱や圧力等によりシワが発生する不具合のほか、場合によっては破断が発生するという問題を抱えている。
また、感熱転写記録媒体の染料層における染料/樹脂(Dye/Binder)の比率を大きくして、印画濃度や印画における転写感度の向上を試みることが行われているが、染料を増やすことでコストアップとなるばかりではなく、製造工程における巻き取り状態時に感熱転写記録媒体の耐熱滑性層へ染料の一部が移行し(裏移り)、その後の巻き返し時に、その移行した染料が他の色の染料層、あるいは保護層に再転移し(裏裏移り)、この汚染された層を被転写体へ熱転写すると、指定された色と異なる色相になったり、いわゆる地汚れが生じたりする。
また、感熱転写記録媒体側ではなく、プリンタ側で画像形成時のエネルギーをアップする試みも行われているが、消費電力が増えるばかりではなく、プリンタのサーマルヘッドの寿命を短くする他、染料層と被転写体が融着する、いわゆる異常転写が生じやすくなる。この異常転写を防止するためには、基材と染料層との接着性を高める必要があり、その対策として易接着処理した基材を用いたり、基材上に接着層(下引き層)を設けたりして、染料層との接着性を高めることがよく行われている。
易接着処理には、コロナ処理、火炎処理、オゾン処理、紫外線処理、放射線処理、粗面化処理、プラズマ処理、プライマー処理等があるが、易接着処理した基材を用いた場合、接着性は得られるが基材を入手する際に非常にコストが高く、また、十分な印画濃度が得られないという問題がある。
このような問題を解決することに、例えば、特許文献1,2では、基材と染料層との間にポリビニルピロリドン樹脂と変性ポリビニルピロリドン樹脂を含有する接着層(下引き層)を有する熱転写シートが提案されている。
しかしながら、特許文献1,2に提案されている感熱転写記録媒体用いて、昨今の昇華転写方式の高速プリンタにより、印画を行ったところ、異常転写は確認されなかったものの、印画における転写感度が低く、十分なレベルまで至っていなかった。
また、特許文献3には、転写感度不足を解決するために、下引き層にポリビニルピロリドン/ポリビニルアルコールと無機顔料微粒子からなる下引き層を有する熱転写シートが提案されている。
しかしながら、特許文献3に提案されている感熱転写記録媒体を用いて、昨今の昇華転写方式の高速プリンタにより、上述した特許文献1,2と同様に印画を行ったところ、印画における転写感度は高く、十分なレベルに至っているものの、異常転写が確認された。
このように、従来技術では、異常転写の防止と、高い転写感度との両方を満たす感熱転写記録媒体が見出されていない状況である。
特開2003−312151号公報 特開2005−231354号公報 特開2006−150956号公報
そこで、本発明は、上記の問題点に鑑み、昨今の昇華転写方式の高速プリンタを用いた場合でも、異常転写が発生せず、かつ、印画における転写感度が高い感熱転写記録媒体を提供することを目的とするものである。
上記課題を解決するために、本発明に係る感熱転写記録媒体は、基材の一方の面に耐熱滑性層を設け、前記基材の他方の面に下引き層、染料層を順次形成した感熱転写記録媒体において、前記下引き層は、カチオン性ポリマーと、無機粒子とを含んで構成されることを特徴とする。
また、本発明に係る感熱転写記録媒体は、前記カチオン性ポリマーが、窒素原子を有する複素環ポリマー又はアミノ基を有するポリマーであることが好ましい。
また、本発明に係る感熱転写記録媒体は、前記下引き層の乾燥後の塗布量が、0.05g/m以上0.30g/m以下の範囲内であることが好ましい。
また、本発明に係る感熱転写記録媒体は、前記無機粒子が、モンモリロナイトであることが好ましい。
本発明の感熱転写記録媒体は、下引き層にカチオン性ポリマーと無機粒子を用いることによって、昨今の昇華転写方式の高速プリンタを用いた場合でも、高速印画時においても異常転写を発生させず、かつ、印画における転写感度を高めた感熱転写記録媒体を提供することができる。
本発明に基づく実施形態に係る感熱転写記録媒体の側断面図である。
本発明の一実施例の感熱転写記録媒体1は、図1に示すように、基材10の一方の面にサーマルヘッドとの滑り性を付与する耐熱滑性層40を設け、基材10の他方の面に、下引き層20、染料層30を順次積層形成した構成である。
基材10としては、熱転写における熱圧で軟化変形しない耐熱性と強度が要求されるので、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリプロピレン、セロファン、アセテート、ポリカーボネート、ポリサルフォン、ポリイミド、ポリビニルアルコール、芳香族ポリアミド、アラミド、ポリスチレン等の合成樹脂のフィルム、及びコンデンサー紙、パラフィン紙などの紙類等を単独で又は組み合わされた複合体として使用可能である。中でも、物性面、加工性、コスト面などを考慮するとポリエチレンテレフタレートフィルムが好ましい。
また、その厚さは、操作性、加工性を考慮し、2μm以上50μm以下の範囲のものが使用可能であるが、転写適性や加工性等のハンドリング性を考慮すると、2μm以上9μm以下程度のものが好ましい。
次に、耐熱滑性層40は、従来公知のもので対応でき、例えば、バインダーとなる樹脂、離型性や滑り性を付与する機能性添加剤、充填剤、硬化剤、溶剤などを配合して耐熱滑性層形成用の塗布液を調製し、塗布、乾燥して形成することができる。この耐熱滑性層40の乾燥後の塗布量は、0.1g/m以上2.0g/m以下程度が適当である。ここで、耐熱滑性層40の乾燥後の塗布量とは、耐熱滑性層形成用の塗布液を塗布、乾燥した後に残った固形分量のことをいい、後述する下引き層20の乾燥後の塗布量及び染料層30の乾燥後の塗布量も、同様に、塗布液を塗布、乾燥した後に残った固形分量のことを指す。
耐熱滑性層40の一例を挙げると、バインダー樹脂としては、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルアセトアセタール樹脂、ポリエステル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリエーテル樹脂、ポリブタジエン樹脂、アクリルポリオール、ポリウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート、ポリエーテルアクリレート、エポキシアクリレート、ニトロセルロース樹脂、酢酸セルロース樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリカーボネート樹脂等を挙げることができる。
機能性添加剤としては、動物系ワックス、植物系ワックス等の天然ワックス、合成炭化水素系ワックス、脂肪族アルコールと酸系ワックス、脂肪酸エステルとグリセライト系ワックス、合成ケトン系ワックス、アミン及びアマイド系ワックス、塩素化炭化水素系ワックス、アルファーオレフィン系ワックス等の合成ワックス、ステアリン酸ブチル、オレイン酸エチル等の高級脂肪酸エステル、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸カリウム、ステアリン酸マグネシウム等の高級脂肪酸金属塩、長鎖アルキルリン酸エステル、ポリオキシアルキレンアルキルアリールエーテルリン酸エステル又は、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルリン酸エステル等のリン酸エステル等の界面活性剤等を挙げることができる。
充填剤としては、タルク、シリカ、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、カオリン、クレー、シリコーン粒子、ポリエチレン樹脂粒子、ポリプロピレン樹脂粒子、ポリスチレン樹脂粒子、ポリメチルメタクリレート樹脂粒子、ポリウレタン樹脂粒子等を挙げることができる。
硬化剤としては、トリレンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、テトラメチルキシレンジイソシアネート等のイソシアネート類、及びその誘導体を挙げることができるが、特に限定されるものではない。
次に、下引き層20には、基材10、染料層30との密着、及び転写感度の向上が求められる。なお、本実施形態では、転写感度の向上は、基材10への染料拡散を防止することで実現する。全方位に拡散する染料の内、基材10への染料拡散を防止することで、受像層側への染料拡散を増大させることができるからである。
本実施形態に係る感熱転写記録媒体1は、下引き層20が、カチオン性ポリマーと、無機粒子とを含んで構成される。
また、カチオン性ポリマーは、窒素原子を有する複素環ポリマー又はアミノ基を有するポリマーであることが好ましい。
また、下引き層20の乾燥後の塗布量は、0.05g/m以上0.30g/m以下の範囲内であることが好ましい。
また、無機粒子は、モンモリロナイトであることが好ましい。
本実施形態では下引き層20にカチオン性ポリマーとモンモリロナイトを用いる。カチオン性ポリマーとは、カチオン性基を主鎖又は側鎖に有する、分子量が数百以上の化合物を指し、直鎖状、枝分かれ状、又は架橋状のいずれであってもよい。カチオン性基としては、特に制限はないが、例えばアミノ基、イミノ基、アンモニウム基、及び環の一部に窒素原子を有する基などが挙げられる。その中でも基材10と染料層30との密着性の観点から窒素原子を有する複素環ポリマー又はアミノ基を有するポリマーであることが好ましい。
カチオン性ポリマーは、主に基材10及び染料層30との密着性に寄与する。これはポリマー中のイオン性基が基材10及び染料層30のバインダー樹脂の水酸基やカルボン酸、カルボニル基と相互作用を起こすことである。例えばアミノ基は水酸基と水素結合、カルボキシル基とイオン結合、カルボニル基とは共有結合すること、密着力が向上する。また、イオン性基がカチオン性であるので、染料が静電的な反発により基材10側に移行するのを防止することができる。しかし、カチオン性ポリマー単体で用いた場合はイオン性基が密に存在しない(カチオン密度が低い)ので、基材への染料移行防止効果はわずかである。ここでモンモリロナイトを併用することでさらなる染料移行防効果を付与することが可能となる。
これはモンモリロナイトによる静電的な反発による染料移行防止効果及び物理的な染料の染料移行防止効果が期待できるからである。モンモリロナイトはその層状の構造及びカチオン性の性質から物理的及び静電的な反発により染料の移行防止が可能となる。
カチオン性ポリマーの例としては、例えば、ポリリジン、ポリアミン、ポリアミジン、ポリビニルアミン、ポリビニルピリジン、ポリエチレンイミン、ポリエチレンイミンエピクロルヒドリン樹脂、ポリアミド、ポリアミンエピクロルヒドリン樹脂、ポリアミドポリアミン樹脂、ポリアミドポリアミンエピクロルヒドリン樹脂、ポリアミドエピクロルヒドリン樹脂、カチオンデンプン、ポリアミジン、カチオンエポキシ樹脂、ポリアクリルアミド、ポリビニルホルムアミド、ジシアンジアミド・ホルマリン重縮合物、ジシアンジアミド・ジエチレントリアミン重縮合物、エピクロルヒドリン・ジメチルアミン付加重合物、ジメチルジアリルアンモニウムクロライド・SO共重合物、ジメチルジアリルアンモニウムクロライド重合物、及びこれらの誘導体等やジアルキルアミノエチルメタクリレート、ジアルキルアミノアルキルアクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジアルキルアミノアルキルアクリルアミド、メタクリロイロキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド、メタクリロイロキシエチル−ベンジルジメチルアンモニウムクロライド、ジメチルアミノプロピル−アクリルアミド等を単量体とするカチオン性モノマーの少なくとも一つからなる単一モノマー重合体又は複数種のモノマーの共重合体等もあげられる。これらのカチオン性ポリマーは、単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
下引き層20の乾燥後の塗布量は、一概に限定されるものではないが、0.05g/m以上0.30g/m以下の範囲内であることが好ましい。0.05g/m未満では、染料層積層時の下引き層20の劣化により、高速印画時における転写感度が不足し、基材10あるいは染料層30との密着性に問題を抱える不安がある。
一方、0.30g/m超では、感熱転写記録媒体1自体の感度はかわらず、印画濃度は飽和する。よってコスト面の観点から0.30g/m以下であることが好ましい。
また下引き層20には本発明の効果を損なわない限り、さらに他の成分が添加されていても良い。
次に、染料層30は、従来公知のもので対応でき、例えば、熱移行性染料、バインダー、溶剤などを配合して染料層30形成用の塗布液を調製し、塗布、乾燥することで形成される。染料層30の乾燥後の塗布量は、1.0g/m程度が適当である。なお、染料層30は、1色の単一層で構成したり、色相の異なる染料を含む複数の染料層30を、同一基材10の同一面に面順次に、繰り返し形成したりすることもできる。
熱移行性染料は熱により、溶融、拡散もしくは昇華移行する染料である。例えば、イエロー成分としては、ソルベントイエロー56,16,30,93,33、ディスパースイエロー201,231,33等を挙げることができる。マゼンタ成分としては、C.I.ディスパースバイオレット31、C.I.ディスパースレッド60、C.I.ディスパースバイオレット26、C.I.ソルベントレッド27、あるいはC.I.ソルベントレッド19等を挙げることができる。シアン成分としては、C.I.ディスパースブルー354、C.I.ソルベントブルー63、C.I.ソルベントブルー36、C.I.ソルベントブルー266、C.I.ディスパースブルー257、あるいはC.I.ディスパースブルー24等を挙げることができる。墨の染料としては、前記の各染料を組み合わせて調色するのが一般的である。
染料層30に含まれる樹脂は、従来公知の樹脂バインダーがいずれも使用でき、特に限定されるものではないが、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、エチルヒドロキシセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、酢酸セルロース等のセルロース系樹脂やポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルブチラール、ポリビニルアセタール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド等のビニル系樹脂やポリエステル樹脂、スチレン−アクリロニトリル共重合樹脂、フェノキシ樹脂等を挙げることができる。
ここで、染料層30の染料と樹脂との配合比率は、質量基準で、(染料)/(樹脂)=10/100〜300/100が好ましい。これは、(染料)/(樹脂)の比率が、10/100を下回ると、染料が少な過ぎて発色感度が不十分となり良好な熱転写画像が得られず、また、この比率が300/100を越えると、樹脂に対する染料の溶解性が極端に低下するために、感熱転写記録媒体1となった際に、保存安定性が悪くなって、染料が析出し易くなってしまうことである。また、染料層30には、性能を損なわない範囲で、イソシアネート化合物、シランカップリング剤、分散剤、粘度調整剤、安定化剤等の公知の添加剤が含まれていてもよい。
なお、耐熱滑性層40と、染料層30とは、いずれも従来公知の塗布方法にて塗布し、乾燥することで形成可能である。塗布方法の一例を挙げると、グラビアコーティング法、スクリーン印刷法、スプレーコーティング法、リバースロールコート法を挙げることができる。
以下に、本発明の各実施例及び各比較例に用いた材料を示す。なお、文中で「部」とあるのは、特に断りのない限り質量基準であり。また、本発明は実施例に限定されるものではない。
<耐熱滑性層付き基材の作製>
基材10として、4.5μmの表面未処理のポリエチレンテレフタレートフィルムを使用し、その一方の面に、下記組成の耐熱滑性層40塗布液を、グラビアコーティング法により、乾燥後の塗布量が0.5g/mになるように塗布し、100℃1分乾燥することで、耐熱滑性層40の付いた基材10を得た。
<耐熱滑性層40塗布液>
シリコンアクリレート(東亜合成社製_US−350) 50.0部
MEK 50.0部
(実施例1)
耐熱滑性層40の付いた基材10の未処理面に、下記組成の下引き層塗布液−1を、グラビアコーティング法により、乾燥後の塗布量が0.20g/mになるように塗布し、100℃2分乾燥することで、下引き層20を形成した。引き続き、その下引き層20の上に、下記組成の染料層30塗布液を、グラビアコーティング法により、乾燥後の塗布量が0.70g/mになるように塗布し、90℃1分乾燥することで、染料層30を形成し、実施例1の感熱転写記録媒体1を得た。
<下引き層塗布液−1>
ポリアミドポリアミンエピクロルヒドリン(星光PMC社製_WS4030)5.0部
モンモリロナイト(クニミネ工業社製_クニピアF) 10.0部
純水 20.0部
イソプロピルアルコール 65.0部
<染料層30塗布液>
C.I.ソルベントブルー63 6.0部
ポリビニルアセタール樹脂 4.0部
トルエン 45.0部
メチルエチルケトン 45.0部
(実施例2)
耐熱滑性層40の付いた基材10の易接着処理面に、下記組成の下引き層塗布液−2を、グラビアコーティング法により、乾燥後の塗布量が0.20g/mになるように塗布し、100℃2分乾燥することで、下引き層20を形成した。引き続き、実施例1と同様にして実施例2の感熱転写記録媒体1を得た。
<下引き層塗布液−2>
ポリジアリルアミン(ニットーボーメディカル社製_PAS−M−1) 5.0部
モンモリロナイト(クニミネ工業社製_クニピアF) 10.0部
純水 20.0部
イソプロピルアルコール 65.0部
(実施例3)
耐熱滑性層40の付いた基材10の易接着処理面に、下記組成の下引き層塗布液−3を、グラビアコーティング法により、乾燥後の塗布量が0.20g/mになるように塗布し、100℃2分乾燥することで、下引き層20を形成した。引き続き、実施例1と同様にして実施例3の感熱転写記録媒体1を得た。
<下引き層塗布液−3>
ポリエチレンイミン(日本触媒社製_SP−012) 5.0部
モンモリロナイト(クニミネ工業社製_クニピアF) 10.0部
純水 20.0部
イソプロピルアルコール 65.0部
(実施例4)
実施例1で作製した感熱転写記録媒体1において、下引き層20を乾燥後の塗布量が0.03g/mになるように塗布、乾燥すること以外は、実施例2と同様にして、実施例6の感熱転写記録媒体1を得た。
(実施例5)
実施例1で作製した感熱転写記録媒体1において、下引き層20を乾燥後の塗布量が0.35g/mになるように塗布、乾燥すること以外は、実施例2と同様にして、実施例7の感熱転写記録媒体1を得た。
(比較例1)
耐熱滑性層40の付いた基材10の未処理面に、下引き層20を形成することなく、実施例1と同様の染料層30塗布液を、グラビアコーティング法により、乾燥後の塗布量が0.70g/mになるように塗布し、90℃1分乾燥することで、染料層30を形成し、比較例1の感熱転写記録媒体1を得た。
(比較例2)
実施例1で作製した感熱転写記録媒体1において、下引き層20を下記組成の下引き層塗布液−4にした以外は、実施例1と同様にして、比較例2の感熱転写記録媒体1を得た。
<下引き層塗布液−4>
ポリアミドポリアミンエピクロルヒドリン(星光PMC社製_WS4030) 5.0部
純水 47.5部
イソプロピルアルコール 47.5部
<被転写体の作製>
基材10として、188μmの白色発泡ポリエチレンテレフタレートフィルムを使用し、その一方の面に下記組成の受像層塗布液を、グラビアコーティング法により、乾燥後の塗布量が5.0g/mになるように塗布、乾燥することで、感熱転写用の被転写体を作製した。
<受像層塗布液>
塩化ビニル/酢酸ビニル/ビニルアルコール共重合体 19.5部
アミノ変性シリコーンオイル 0.5部
トルエン 40.0部
メチルエチルケトン 40.0部
<常温における染料層の密着性評価>
実施例1〜5、比較例1〜2の感熱転写記録媒体1に関して、常温にて保存された感熱転写記録媒体1の染料層30の上に、幅18mm、長さ150mmのセロハンテープを貼り、その後すぐに剥がしたときの、セロハンテープ側への染料層30の付着の有無を調べることにより評価した。
結果を表1に示す。
なお、評価は、以下の基準にて行った。
○:染料層30の付着が、認められない。
△:染料層30の付着が、ごく僅かに認められる。
×:染料層30の付着が、全面で認められる。
<印画評価>
実施例1〜5、比較例1〜2の感熱転写記録媒体1に関して、常温にて養生された感熱転写記録媒体1と被転写体を使用し、サーマルシミュレーターにてベタ印画を行い、最高反射濃度を評価した。結果を表1に示す。なお最高反射濃度は、印画部を、X−Rite528にて測定した。
なお、印画条件は以下の通りである。
印画環境:23℃50%RH
印加電圧:29V
ライン周期:0.7msec
印画密度:主走査300dpi 副走査300dpi
<異常転写評価>
実施例1〜5、比較例1〜2の感熱転写記録媒体1に関して、常温にて養生された感熱転写記録媒体1と被転写体を使用し、サーマルシミュレーターにてベタ印画を行い、異常転写の有無を評価した。結果を表1に示す。
異常転写の評価は、以下の基準にて行った。△以上が実用上問題ないレベルである。
○:被転写体への異常転写が、認められない。
△:被転写体への異常転写が、ごく僅かに認められる。
×:被転写体への異常転写が、全面で認められる。
Figure 2015178187
表1に示す結果から、下引き層20にカチオン性ポリマーとモンモリロナイトを用いた実施例1〜5では下引き層20が設けられていない比較例1及びカチオン性ポリマーをそれぞれ単独で使用した比較例2と比べ、高速印画時における転写感度が高く、異常転写もないことが確認できた。
カチオン性ポリマーを単体で用いた比較例2では密着性は良好なものの転写感度は性能を満足しなかった。
実施例4では、実施例1の感熱転写記録媒体1と比較すると、下引き層20の塗布量が0.05g/m未満であるため、幾分転写感度の低下と密着性の低下が確認された。また、実施例5の感熱転写記録媒体1は、同じく実施例1の感熱転写記録媒体1と比較すると、下引き層20の塗布量が0.30g/m超であるが、転写感度及び密着性はほぼ同等であることが確認できた。
本発明により得られる感熱転写記録媒体は、昇華転写方式のプリンタに使用することができ、プリンタの高速・高機能化と併せて、各種画像を簡便にフルカラー形成できるため、デジタルカメラのセルフプリント、身分証明書などのカード類、アミューズメント用出力物等に広く利用できる。
1:感熱転写記録媒体
10:基材
20:下引き層
30:染料層
40:耐熱滑性層

Claims (4)

  1. 基材の一方の面に耐熱滑性層を設け、前記基材の他方の面に下引き層、染料層を順次形成した感熱転写記録媒体において、
    前記下引き層は、カチオン性ポリマーと、無機粒子とを含んで構成されることを特徴とする感熱転写記録媒体。
  2. 前記カチオン性ポリマーは、窒素原子を有する複素環ポリマー又はアミノ基を有するポリマーであることを特徴とする請求項1に記載の感熱転写記録媒体。
  3. 前記下引き層の乾燥後の塗布量が、0.05g/m以上0.30g/m以下の範囲内であることを特徴とする請求項1又は2に記載の感熱転写記録媒体。
  4. 前記無機粒子は、モンモリロナイトであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の感熱転写記録媒体。
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