JP2007160511A - 熱転写シート - Google Patents

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Abstract

【課題】 熱転写の印画における転写感度が高く、高濃度の印画が得られ、また熱転写画像の鮮明性が高く、充分に満足できる印画物が得られる熱転写シートを提供する。
【解決手段】 本発明の熱転写シートは、基材の一方の面に耐熱滑性層を設け、該基材の他方の面に下引き層、染料層を順次形成した熱転写シートにおいて、該下引き層は水溶性自己架橋性樹脂とコロイド状無機顔料超微粒子を主成分とした塗工液を塗工、乾燥して、水溶性自己架橋性樹脂が架橋重合して形成されているものである。上記の水溶性自己架橋性樹脂と、コロイド状無機顔料超微粒子と水系溶媒からなる液により形成される下引き層は、基材に塗工後、乾燥して、水溶性自己架橋性樹脂が水に不溶な網目構造となって架橋して、基材と染料層との接着性を高めることができる。該下引き層は、染料層からの染料が染着しにくいために、印画における転写感度が高く、印画濃度を高めることができる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、基材の一方の面に耐熱滑性層を設け、該基材の他方の面に無機酸化物の薄膜層、染料層を順次形成した熱転写シートに関し、さらに詳しくは印画における転写感度が高く、特に高濃度の印画が得られる熱転写シートに関するものである。
従来、種々の熱転写記録方法が知られているが、それらの中でも、昇華転写用染料を記録材とし、これをポリエステルフィルム等の基材上に適当なバインダーで担持させた染料層を有する熱転写シートから、昇華染料で染着可能な被転写材、例えば、紙やプラスチックフィルム等に染料受容層を形成した熱転写受像シート上に昇華染料を熱転写し、各種のフルカラー画像を形成する方法が提案されている。この場合には、加熱手段として、プリンターのサーマルヘッドによる加熱によって、3色または4色の多数の加熱量が調整された色ドットを熱転写受像シートの受容層に転移させ、該多色の色ドットにより原稿のフルカラーを再現するものである。このように形成された画像は、使用する色材が染料であることから、非常に鮮明で、かつ透明性に優れているため、得られる画像は中間色の再現性や階調性に優れ、従来のオフセット印刷やグラビア印刷による画像と同様であり、かつフルカラー写真画像に匹敵する高品質画像の形成が可能である。
このような昇華転写による熱転写記録方式で、熱転写プリンターの印字速度の高速化が進むに従って、今までの熱転写シートでは十分な印字濃度が得られないという問題が生じてきた。また、熱転写による画像の印画物に対し、より高濃度で鮮明なものが要求されてきて、熱転写シート及びその熱転写シートから転写される昇華染料を受容して画像の形成される熱転写受像シートを改良する試みが多くなされている。例えば、熱転写シートの薄膜化により印画における転写感度の向上を試みることが行なわれているが、熱転写シートの製造時や、熱転写記録の際に、熱や圧力等により、シワが生じたり、場合によっては切断するという問題が生じる。
また、熱転写シートの染料層における染料/樹脂(Dye/Binder)の比率を大きくして、印画濃度や印画における転写感度の向上を試みることを行なったが、巻き取り保管中に熱転写シートの裏面側の耐熱滑性層へ染料が移行し、その移行した染料が巻き返した時に、他の色の染料層等へ再転移し(キックバック)、この汚染された層を受像シートへ熱転写すると、指定された色と異なる色相になったり、いわゆる地汚れが生じたりする。熱転写シート側ではなく、熱転写プリンターにおいて、画像形成時の熱転写の際、高エネルギーをかけることを行なったが、染料層と受容層とが融着し、いわゆる異常転写が生じやすくなる。その異常転写を防止するため、受容層に多量の離型剤を添加すると、画像のにじみ・地汚れ等が生じる。
印画における転写感度の向上のために、例えば特許文献1には、基材上に、活性水素を含む水溶性樹脂と水溶性硬化剤を含有する接着層と、染料層を順次形成した熱転写シートが提案されている。また、特許文献2には、ポリビニルピロリドンを主成分とし、染料転写効率を高める成分として、ポリビニルアルコールを混合使用した親水性バリヤー/下塗り層を染料層と支持体との間に設けた熱転写シートが開示されている。さらに、特許文献3には、ベースフィルムと昇華性染料を含む記録層との間に、拡散係数が記録層に含まれる昇華性染料の拡散係数よりも小さい昇華性染料を含む中間層を設けた熱転写シートが記載されている。この中間層の内容として、ヒドロキシエチルセルロースを用いることしか記載されていない。
上記の特許文献1の熱転写シートでは、接着層に硬化剤を添加して、水溶性樹脂を反応硬化させる必要があり、また硬化剤の添加量の調整が必要である。この硬化が不十分であると、接着層への染料の移行量が多くなり、染料層から受像シート側への染料移行性が低下し、高濃度の印画が得られない。また接着層(下引き層)の凝集力が不十分であり、高温、高湿下における保存後、印画における異常転写が発生してしまう。また、上記の特許文献2、3に示された熱転写シートでは、それを用いた印画物では最高濃度として、未だ充分なレベルまで至っていない状況である。
また先行技術として、熱転写シートの基材と染料層との間に、金属または金属酸化物を含む中間層を設けることが、特許文献4、5に示すように、開示されている。特許文献4では、実施例において基材上に金属や金属酸化物を蒸着により形成し、その上に染料薄膜を蒸着により設けた熱転写シートを用いて、活性クレー紙の上に染料を転写することが示されている。しかし、この熱転写シートでは熱転写画像の濃度が充分に高いものではなく、また熱転写画像の鮮明性も高いものではない。また、蒸着するための特別な装置が必要となり、製造コストが高くついてしまう。
また、特許文献5では、熱転写シートの基材と染料層との間に、N−ビニルピロリドンのホモポリマー、またはN−ビニルピロリドンと他の成分とのコポリマーを含有する易接着層を設け、該易接着層に紫外線吸収剤の無機フィラーや、シリカ、アルミナ等のフィラーも接着性等を向上させるために、用いることが示されている。しかし、この易接着層では、染料層の基材との接着性を向上することはできても、熱転写の印画における転写感度が低く、高濃度の印画が得られるものではない。
特開2005−262594号公報 特公平7−102746号公報 特公平5−69718号公報 特開昭59−78897号公報 特開2003−312151号公報
したがって、上記の課題を解決すべく、熱転写の印画における転写感度が高く、高濃度の印画が得られ、また熱転写画像の鮮明性が高く、下引き層の凝集力を高め、高温、高湿下における保存後、印画における異常転写を防ぎ、充分に満足できる印画物が得られる熱転写シートを提供することを目的とする。
請求項1に記載の発明は、基材の一方の面に耐熱滑性層を設け、該基材の他方の面に下引き層、染料層を順次形成した熱転写シートにおいて、該下引き層は水溶性自己架橋性樹脂とコロイド状無機顔料超微粒子を主成分とした塗工液を塗工、乾燥して、水溶性自己架橋性樹脂が架橋重合して形成されていることを特徴とする。請求項2の発明は、請求項1に記載の水溶性自己架橋性樹脂が、ポリアミドエポキシ樹脂であることを特徴とする。請求項3の発明は、請求項1に記載のコロイド状無機顔料超微粒子が、コロイダルシリカ、またはアルミナゾルであることを特徴とする。請求項4の発明は、請求項1に記載のコロイド状無機顔料超微粒子と水溶性自己架橋性樹脂との含有割合は、固形分重量比で、コロイド状無機顔料超微粒子/水溶性自己架橋性樹脂=1/1〜1/0.05であることを特徴とする。
本発明の熱転写シートは、基材の一方の面に耐熱滑性層を設け、該基材の他方の面に下引き層、染料層を順次形成した熱転写シートにおいて、該下引き層は水溶性自己架橋性樹脂とコロイド状無機顔料超微粒子を主成分とした塗工液を塗工、乾燥して、水溶性自己架橋性樹脂が架橋重合して形成されているものである。上記の水溶性自己架橋性樹脂と、コロイド状無機顔料超微粒子と水系溶媒からなる液により形成される下引き層は、基材に塗工後、乾燥して、水溶性自己架橋性樹脂が水に不溶な網目構造となって架橋して、下引き層の凝集力を高めることができる。これにより、熱転写受像シートと組み合わせて加熱して熱転写する際に、受像シートへ染料層が異常転写することがない。さらに、該下引き層は、染料層からの染料が染着しにくいために、印画時の染料層から下引き層への染料の移行を防止し、受像シートの受容層側への染料拡散を有効に行なうことにより、印画における転写感度が高く、印画濃度を高めることができる。
図1に本発明の熱転写シートである一つの実施の最良の形態を示し、基材1の一方の面にサーマルヘッドの滑り性を良くし、かつスティッキングを防止する耐熱滑性層4を設け、基材1の他方の面に水溶性自己架橋性樹脂とコロイド状無機顔料超微粒子からなる下引き層2、染料層3を順次形成した構成である。
以下、本発明の熱転写シートを構成する各層毎に詳述する。
(基材)
本発明で用いる熱転写シートの基材1としては、従来公知のある程度の耐熱性と強度を有するものであればいずれのものでも良く、例えば、0.5〜50μm、好ましくは1〜10μm程度の厚さのポリエチレンテレフタレートフィルム、1,4−ポリシクロヘキシレンジメチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリフェニレンサルフィドフィルム、ポリスチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリサルホンフィルム、アラミドフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリビニルアルコールフィルム、セロハン、酢酸セルロース等のセルロース誘導体、ポリエチレンフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ナイロンフィルム、ポリイミドフィルム、アイオノマーフィルム等が挙げられる。
上記基材において、水溶性自己架橋性樹脂とコロイド状無機顔料超微粒子からなる下引き層、染料層を形成する面に、接着処理を施すことがよく行なわれている。上記基材のプラスチックフィルムはその上に、下引き層を形成する際、基材と下引き層との接着性等が不足しやすいので、接着処理を施すことが好ましい。その接着処理としては、コロナ放電処理、火炎処理、オゾン処理、紫外線処理、放射線処理、粗面化処理、化学薬品処理、プラズマ処理、低温プラズマ処理、プライマー処理、グラフト化処理等公知の樹脂表面改質技術をそのまま適用することができる。また、それらの処理を二種以上を併用することもできる。上記のプライマー処理は、例えばプラスチックフィルムの溶融押出しの成膜時に、未延伸フィルムにプライマー液を塗布し、その後に延伸処理して行なうことができる。本発明では、基材と、熱可塑性樹脂とコロイド状無機顔料超微粒子からなる下引き層との密着性を高めるために、上記の接着処理の中でも、コストが高くならずに、容易に入手することができるコロナ放電処理またはプラズマ処理が好ましい。
(下引き層)
本発明の熱転写シートにおける基材と染料層との間に設ける水溶性自己架橋性樹脂とコロイド状無機顔料超微粒子からなる下引き層2は、コロイド状無機顔料超微粒子として、従来公知の化合物が使用できる。例えば、シリカ(コロイダルシリカ)、アルミナ或はアルミナ水和物(アルミナゾル、コロイダルアルミナ、カチオン性アルミニウム酸化物又はその水和物、疑ベーマイト等)、珪酸アルミニウム、珪酸マグネシウム、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、酸化チタン等が挙げられる。特に、コロイダルシリカ、またはアルミナゾルが好ましく用いられる。下引き層には、これらのコロイド状無機顔料超微粒子を、同一種類の条件で使用するだけでなく、コロイダルシリカとアルミナゾルのように、異なる種類のものを混合してもよい。これらのコロイド状無機顔料超微粒子の大きさは、一次平均粒径で100nm以下、好ましくは50nm以下であり、特に3〜30nmで用いることが好ましく、これにより、下引き層の機能を充分に発揮できる。本発明におけるコロイド状無機顔料超微粒子の形状は、球状、針状、板状、羽毛状や、無定形等、如何なる形状であってもよい。また、水系溶媒にゾル状に分散しやすいように酸性タイプに処理したもの、微粒子電荷をカチオンにしたものや、微粒子を表面処理したもの等が使用できる。
下引き層で使用する水溶性自己架橋性樹脂は、例えば、ポリアミドエポキシ樹脂(ポリアミドアミン・エピクロルヒドリン樹脂)、尿素−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン−ホルムアルデヒド樹脂等が挙げられる。これらの水溶性自己架橋性樹脂は、1分子中に架橋性官能基として、エポキシ基、アルデヒド基などを有し、かつアミノ基、カルボキシル基などの親水性を有する官能基を有したものが好ましい。特に、上記の水溶性自己架橋性樹脂の中で、ポリアミドエポキシ樹脂が、湿潤での強度を上げ下引き層の凝集力を高めることができ、また染料の染着性が低く、好ましく用いられる。
上記のポリアミドエポキシ樹脂は、下記の化学式で表されるもので、但しnは整数を示し、ポリアミドアミン・エピクロルヒドリン樹脂のことであり、別名エポキシ化ポリアミド樹脂といわれるものである。nは、得られるポリアミドエポキシ樹脂の分子量が、1,000〜100,000程度になる範囲で適宜選択できる。但し、上記の分子量は、数平均分子量のことであり、以下で説明するポリアミドエポキシ樹脂の分子量においても、全て数平均分子量のことである。
Figure 2007160511
ポリアミドエポキシ樹脂は、ポリマー骨格にアミノ基を有するカチオン性をもち、水溶性の樹脂である。また、エポキシ基を側鎖に有するので、自己架橋性を有し、言い換えれば熱架橋性を有し、熱により水に不溶な網目構造となる。ポリアミドエポキシ樹脂として、例えば、住化ケムテックス(株)製のスミレーズレジン650、同675、同6615星光PMC(株)製のWS4002、同4020、同4024、同4046等、市販されているポリアミドエポキシ樹脂を入手して使用することができる。また、本発明に使用されるポリアミドエポキシ樹脂として、2種類以上のポリアミドエポキシ樹脂を混合して使用しても良い。
上記の下引き層における水溶性自己架橋性樹脂とコロイド状無機顔料超微粒子との配合は、固形分重量比で、コロイド状無機顔料超微粒子/水溶性自己架橋性樹脂=1/1〜1/0.05が好ましい。下引き層におけるコロイド状無機顔料超微粒子の配合割合が高すぎると、高温、高湿下に熱転写シートを放置、保存後に、印画におけるコロイド状無機顔料超微粒子の凝集力が低下し易く、印画における熱融着や、異常転写が生じやすい。また、下引き層における水溶性自己架橋性樹脂の配合割合が高すぎると、染料の下引き層への移行が生じ、印画における転写濃度が低下してくる。
下引き層を塗工する場合には、その塗工適性を考慮して、下引き層の塗工液として粘度を低めにして流動性をもたせることが好ましい。本発明における下引き層は、水溶性自己架橋性樹脂とコロイド状無機顔料超微粒子を主成分とした塗工液を塗工、乾燥して、水溶性自己架橋性樹脂が架橋重合して形成されるものである。無機顔料超微粒子が水系溶媒にゾル状に分散し、水溶性自己架橋性樹脂が水系溶媒に溶解した塗工液をグラビアコーティング法、ロールコート法、スクリーン印刷法、グラビア版を用いたリバースロールコーティング法等の従来から公知の形成手段により、塗布し、乾燥して、形成する。このように形成された下引き層は、0.02〜1.0g/m2、好ましくは0.02〜0.3g/m2程度の乾燥時の塗工量である。
下引き層は、上記の塗工液を用いて、基材上に塗工し、熱風乾燥等を行い、コロイド状無機顔料超微粒子がゾル状からゲル状になるように、水分が飛ばされ、また水溶性自己架橋性樹脂はバインダーとして、熱により自己架橋して、固着して被膜が形成される。この水溶性自己架橋性樹脂は網目状の構造となって、耐水性を有したものとなる。このような網目構造の中に、上記の無機顔料超微粒子がゲル状になって、分散して存在する。また、コロイド状の無機顔料超微粒子のアニオン性基と、水溶性自己架橋性樹脂のカチオン性基とがイオン結合された状態から乾燥されるものもありえる。したがって、本発明の下引き層は、一般的なゾル−ゲル法による焼成処理を行なうものではない。
以上のように形成される下引き層は、水溶性自己架橋性樹脂とコロイド状無機顔料超微粒子と水系溶媒からなる液により、塗工、乾燥して形成されるが、形成された状態の下引き層には、溶媒成分が認められないか、または溶媒が少し残存している程度であることが望ましい。このように水溶性自己架橋性樹脂とコロイド状無機顔料超微粒子から形成される下引き層は、基材と染料層との間で、皮膜として形成され、下引き層の凝集力を高めることができ、熱転写受像シートと組み合わせて加熱して熱転写する際に、受像シートへ染料層が異常転写することを防止する。さらに、該下引き層は、無機顔料超微粒子と水溶性自己架橋性樹脂が硬化された状態で構成され、染料層からの染料が染着しにくい材質から構成されているために、印画時の染料層から下引き層への染料の移行を防止し、受像シートの受容層側への染料拡散を有効に行なうことにより、印画における転写感度が高く、印画濃度を高めることができる。
(染料層)
本発明の熱転写シートは、一方の面に耐熱滑性層を設けた基材の他方の面に、上記の下引き層を介して、染料層3を設けたものである。該染料層は1色の単一層で構成したり、あるいは色相の異なる染料を含む複数の染料層を、同一基材の同一面に面順次に、繰り返し形成することも可能である。染料層は、熱移行性染料を任意のバインダーにより担持してなる層である。使用する染料としては、熱により、溶融、拡散もしくは昇華移行する染料であって、従来公知の昇華転写型熱転写シートに使用されている染料は、いずれも本発明に使用可能であるが、色相、印字感度、耐光性、保存性、バインダーへの溶解性等を考慮して選択する。
染料としては、例えばジアリールメタン系、トリアリールメタン系、チアゾール系、メロシアニン、ピラゾロンメチン等のメチン系、インドアニリン、アセトフェノンアゾメチン、ピラゾロアゾメチン、イミダゾルアゾメチン、イミダゾアゾメチン、ピリドンアゾメチンに代表されるアゾメチン系、キサンテン系、オキサジン系、ジシアノスチレン、トリシアノスチレンに代表されるシアノメチレン系、チアジン系、アジン系、アクリジン系、ベンゼンアゾ系、ピリドンアゾ、チオフェンアゾ、イソチアゾールアゾ、ピロールアゾ、ピラールアゾ、イミダゾールアゾ、チアジアゾールアゾ、トリアゾールアゾ、ジズアゾ等のアゾ系、スピロピラン系、インドリノスピロピラン系、フルオラン系、ローダミンラクタム系、ナフトキノン系、アントラキノン系、キノフタロン系等のものが挙げられる。
染料層のバインダーとしては、従来公知の樹脂バインダーがいずれも使用でき、好ましいものを例示すれば、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、エチルヒドロキシセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、酢酸セルロース、酪酸セルロース等のセルロース系樹脂、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルブチラール、ポリビニルアセタール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド等のビニル系樹脂、ポリエステル系樹脂、フェノキシ樹脂等が挙げられる。
また、染料層にはシランカップリング剤を添加することができる。シランカップリング剤として、例えばγ−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、γ−イソシアネートプロピルトリメトキシシランのようなイソシアネート基を含むもの、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−フェニルアミノプロピルトリメトキシシランのようなアミノ基を含むもの、更にγ−グリシドオキシプロピルトリメトキシシランやβ−(3、4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等のようにエポキシ基を含むもの等が挙げられる。これらは単独または2種以上の混合物として用いることもできる。
上記のシランカップリング剤は、例えば、加水分解により生じるシラノール基が、薄膜層表面に有する無機酸化物の水酸基と縮合して化学結合し、接着性が向上すると考えられる。また、シランカップリング剤のエポキシ基、アミノ基等は、樹脂バインダーの水酸基やカルボキシル基等と反応して化学結合し、染料層自体の強度を向上し、熱転写時等の染料層の凝集破壊等を防止できる。
また、本発明では上記の樹脂バインダーに代えて、次のような離型性グラフトコポリマーを離型剤またはバインダーとして用いることができる。この離型性グラフトコポリマーは、ポリマー主鎖にポリシロキサンセグメント、フッ化炭素セグメント、フッ化炭化水素セグメント、または長鎖アルキルセグメントから選択された少なくとも1種の離型性セグメントをグラフト重合させてなるものである。これらのうち、特に好ましいのはポリビニルアセタール樹脂からなる主鎖にポリシロキサンセグメントをグラフトさせて得られたグラフトコポリマーである。
本発明の熱転写シートでは、高温、高湿下に放置後などで、下引き層と染料層との接着性が低下しやすいことがある。そのために、染料層を構成するバインダー樹脂として、上記に挙げた中で、ポリビニルブチラール、ポリビニルアセタール、ポリ酢酸ビニルや、ポリエステル系樹脂、酢酸セルロース、酪酸セルロース等のセルロース系樹脂等の水酸基やカルボキシル基を有する接着性の高い樹脂の単独及び混合物が好ましく用いられる。
染料層は、上記染料、バインダーと、その他必要に応じて従来公知と同様な各種の添加剤を加えてもよい。その添加剤として、例えば、受像シートとの離型性やインキの塗工適性を向上させるために、ポリエチレンワックス等の有機微粒子や無機微粒子が挙げられる。このような染料層は、通常、適当な溶剤中に上記染料、バインダーと、必要に応じて添加剤を加えて、各成分を溶解または分散させて塗工液を調製し、その後、この塗工液を基材の上に塗布、乾燥させて形成することができる。この塗布方法は、グラビア印刷法、スクリーン印刷法、グラビア版を用いたリバースロールコーティング法等の公知の手段を用いることができる。このように形成された染料層は、0.2〜6.0g/m2、好ましくは0.3〜3.0g/m2程度の乾燥時の塗工量である。
(耐熱滑性層)
本発明の熱転写シートは基材の一方の面に、サーマルヘッドの熱によるステッキングや印字しわ等の悪影響を防止するため、耐熱滑性層4を設ける。上記の耐熱滑性層を形成する樹脂としては、従来公知のものであればよく、例えば、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルアセトアセタール樹脂、ポリエステル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリエーテル樹脂、ポリブタジエン樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体、アクリルポリオール、ポリウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート、ポリエーテルアクリレート、エポキシアクリレート、ウレタン又はエポキシのプレポリマー、ニトロセルロース樹脂、セルロースナイトレート樹脂、セルロースアセテートプロピオネート樹脂、セルロースアセテートブチレート樹脂、セルロースアセテートヒドロジエンフタレート樹脂、酢酸セルロース樹脂、芳香族ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、塩素化ポリオレフィン樹脂等が挙げられる。
これらの樹脂からなる耐熱滑性層に添加あるいは上塗りする滑り性付与剤としては、リン酸エステル、金属石鹸、シリコーンオイル、グラファイトパウダー、シリコーン系グラフトポリマー、フッ素系グラフトポリマー、アクリルシリコーングラフトポリマー、アクリルシロキサン、アリールシロキサン等のシリコーン重合体が挙げられるが、好ましくは、ポリオール、例えば、ポリアルコール高分子化合物とポリイソシアネート化合物及びリン酸エステル系化合物からなる層であり、さらに充填剤を添加することがより好ましい。
耐熱滑性層は、基材シートの上に、上記に記載した樹脂、滑り性付与剤、更に充填剤を、適当な溶剤により、溶解又は分散させて、耐熱滑性層塗工液を調整し、これを、例えば、グラビア印刷法、スクリーン印刷法、グラビア版を用いたリバースロールコーティング法等の形成手段により塗工し、乾燥して形成することができる。耐熱滑性層の塗工量は、固形分で、0.1g/m2〜3.0g/m2が好ましい。
次に、実施例及び比較例を挙げて、本発明を更に詳述する。尚、文中、部又は%とあるのは、特に断りのない限り重量基準である。基材として、厚さ4.5μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(PET)上に、下記組成の下引き層塗工液をグラビアコーティングにより、乾燥塗布量が0.15g/m2になるように塗布、乾燥して、下引き層を形成した。その下引き層の上に、下記組成の染料層塗工液をグラビアコーティングにより、乾燥塗布量が0.7g/m2になるように塗布、乾燥して染料層を形成し、実施例1の熱転写シートを作製する。尚、上記基材の他方の面に、予め下記組成の耐熱滑性層塗工液をグラビアコーティングにより、乾燥塗布量が1.0g/m2になるように塗布、乾燥して、耐熱滑性層を形成しておいた。
<下引き層塗工液1>
アルミナゾル(アルミナゾル200、羽毛状形態、日産化学工業(株)製、固形分10%) 10部
ポリアミドエポキシ樹脂(スミレーズレジン675、住化ケムテックス(株)製、固形分25%、分子量1,000〜10,000) 4部
水 40部
イソプロピルアルコール 40部
<染料層塗工液>
C.I.ソルベントブルー63 6.0部
ポリビニルブチラール樹脂 3.0部
(エスレックBX−1 積水化学工業(株)製)
メチルエチルケトン 45.5部
トルエン 45.5部
<耐熱滑性層塗工液>
ポリビニルブチラール樹脂 13.6部
(エスレックBX−1 積水化学工業(株)製)
ポリイソシアネート硬化剤 0.6部
(タケネートD218 武田薬品工業(株)製)
リン酸エステル 0.8部
(プライサーフA208S 第一工業製薬(株)製)
メチルエチルケトン 42.5部
トルエン 42.5部
実施例1で作製した熱転写シートにおいて、下引き層を下記組成にした以外は、実施例1と同様にして、実施例2の熱転写シートを作製した。
<下引き層塗工液2>
アルミナゾル(アルミナゾル200、羽毛状形態、日産化学工業(株)製、固形分10%) 50部
ポリアミドエポキシ樹脂(スミレーズレジン675、住化ケムテックス(株)製、固形分25%) 1部
水 100部
イソプロピルアルコール 100部
実施例1で作製した熱転写シートにおいて、下引き層を下記組成にした以外は、実施例1と同様にして、実施例3の熱転写シートを作製した。
<下引き層塗工液3>
アルミナゾル(アルミナゾル200、羽毛状形態、日産化学工業(株)製、固形分10%) 25部
ポリアミドエポキシ樹脂(スミレーズレジン675、住化ケムテックス(株)製、固形分25%) 2部
水 60部
イソプロピルアルコール 60部
実施例1で作製した熱転写シートにおいて、下引き層を下記組成にした以外は、実施例1と同様にして、実施例4の熱転写シートを作製した。
<下引き層塗工液4>
コロイダルシリカ(スノーテック OXS、粒子径4〜6nm、日産化学工業(株)製、固形分10%) 25部
ポリアミドエポキシ樹脂(スミレーズレジン675、(住化ケムテックス(株)製、固形分25%) 2部
水 60部
イソプロピルアルコール 60部
実施例1で作製した熱転写シートにおいて、下引き層を下記組成にした以外は、実施例1と同様にして、実施例5の熱転写シートを作製した。
<下引き層塗工液5>
アルミナゾル(アルミナゾル200、羽毛状形態、日産化学工業(株)製、固形分10%) 15部
ポリアミドエポキシ樹脂(スミレーズレジン6615、住化ケムテックス(株)製、固形分15%、分子量1,000〜10,000) 2部
水 60部
イソプロピルアルコール 60部
実施例1で作製した熱転写シートにおいて、下引き層を下記組成にした以外は、実施例1と同様にして、実施例6の熱転写シートを作製した。
<下引き層塗工液6>
アルミナゾル(アルミナゾル200、羽毛状形態、日産化学工業(株)製、固形分10%) 15部
ポリアミドエポキシ樹脂(スミレーズレジン650、住化ケムテックス(株)製、固形分30%、分子量1,000〜5,000) 1部
水 60部
イソプロピルアルコール 60部
実施例1で作製した熱転写シートにおいて、下引き層を下記組成にした以外は、実施例1と同様にして、実施例7の熱転写シートを作製した。
<下引き層塗工液7>
アルミナゾル(アルミナゾル200、羽毛状形態、日産化学工業(株)製、固形分10%) 15部
ポリアミドエポキシ樹脂(WS4002、星光PMC(株)製、固形分12.5%、分子量10,000〜100,000) 2.5部
水 60部
イソプロピルアルコール 60部
(参考例1)
実施例1と同条件のPETフィルムの基材を用い、かつその基材の他方の面に、実施例1と同様の耐熱滑性層を予め形成しておいた。その基材の耐熱滑性層の設けられている面と反対面に、下記組成の下引き層塗工液8をグラビアコーティングにより、乾燥塗布量が0.15g/m2になるように塗布、乾燥して下引き層を形成した。さらに、その下引き層の上に、実施例1と同様に染料層を形成し、参考例1の熱転写シートを作製する。
<下引き層塗工液8>
アルミナゾル(アルミナゾル200、羽毛状形態、日産化学工業(株)製、固形分10%) 25部
ポリアミドエポキシ樹脂(スミレーズレジン675、住化ケムテックス(株)製、固形分25%) 12部
水 120部
イソプロピルアルコール 120部
(参考例2)
実施例1と同条件のPETフィルムの基材を用い、かつその基材の他方の面に、実施例1と同様の耐熱滑性層を予め形成しておいた。その基材の耐熱滑性層の設けられている面と反対面に、下記組成の下引き層塗工液9をグラビアコーティングにより、乾燥塗布量が0.15g/m2になるように塗布、乾燥して下引き層を形成した。さらに、その下引き層の上に、実施例1と同様に染料層を形成し、参考例2の熱転写シートを作製する。
<下引き層塗工液9>
アルミナゾル(アルミナゾル200、羽毛状形態、日産化学工業(株)製、固形分10%) 125部
ポリアミドエポキシ樹脂(スミレーズレジン675、住化ケムテックス(株)製、固形分25%) 1部
水 250部
イソプロピルアルコール 250部
(比較例1)
実施例1と同条件のPETフィルムの基材を用い、かつその基材の他方の面に、実施例1と同様の耐熱滑性層を予め形成しておいた。その基材の耐熱滑性層の設けられている面と反対面に、基材上で直接に、実施例1で使用した染料層塗工液をグラビアコーティングにより、乾燥塗布量が0.7g/m2になるように塗布、乾燥して染料層を形成し、比較例1の熱転写シートを作製する。
(比較例2)
実施例1と同条件のPETフィルムの基材を用い、かつその基材の他方の面に、実施例1と同様の耐熱滑性層を予め形成しておいた。その基材の耐熱滑性層の設けられている面と反対面に、下記組成の下引き層塗工液10をグラビアコーティングにより、乾燥塗布量が0.15g/m2になるように塗布、乾燥して下引き層を形成した。さらに、その下引き層の上に、実施例1と同様に染料層を形成し、比較例2の熱転写シートを作製する。
<下引き層塗工液10>
アルミナゾル(アルミナゾル200、羽毛状形態、日産化学工業(株)製、固形分10%) 10部
水 20部
イソプロピルアルコール 20部
(比較例3)
実施例1と同条件のPETフィルムの基材を用い、かつその基材の他方の面に、実施例1と同様の耐熱滑性層を予め形成しておいた。その基材の耐熱滑性層の設けられている面と反対面に、下記組成の下引き層塗工液11をグラビアコーティングにより、乾燥塗布量が0.15g/m2になるように塗布、乾燥して下引き層を形成した。さらに、その下引き層の上に、実施例1と同様に染料層を形成し、比較例3の熱転写シートを作製する。
<下引き層塗工液11>
アルミナゾル(アルミナゾル200、羽毛状形態、日産化学工業(株)製、固形分10%) 70部
イソシアネート化合物(第一工業製薬(株)製、F−38387D、固形分31.5%) 20部
スズ系触媒(第一工業製薬(株)製、エラストロンキャタリスト64) 1部
水 310部
イソプロピルアルコール 310部
(比較例4)
実施例1と同条件のPETフィルムの基材を用い、かつその基材の他方の面に、実施例1と同様の耐熱滑性層を予め形成しておいた。その基材の耐熱滑性層の設けられている面と反対面に、下記組成の下引き層塗工液12をグラビアコーティングにより、乾燥塗布量が0.15g/m2になるように塗布、乾燥して下引き層を形成した。さらに、その下引き層の上に、実施例1と同様に染料層を形成し、比較例4の熱転写シートを作製する。
<下引き層塗工液12>
アルミナゾル(アルミナゾル200、羽毛状形態、日産化学工業(株)製、固形分10%) 25部
アクリルシリコンエマルジョン(ダイセル化学工業(株)製、アクアブリッド903、固形分27%) 2部
水 60部
イソプロピルアルコール 60部
<反射濃度>
上記に作製した各実施例、参考例及び比較例の熱転写シートを用いて、OLYMPUS社製P−400プリンター用の専用熱転写受像シートと組み合わせて、下記条件にて、印画を行い、マクベス反射濃度計RD−918にて、反射濃度を測定した。
(印画条件)
サーマルヘッド;KGT−217−12MPL20(京セラ(株)製)
発熱体平均抵抗値;2994(Ω)
主走査方向印字密度;300dpi
副走査方向印字密度;300dpi
印加電力;0.10(w/dot)
1ライン周期;5(msec.)
印字開始温度;40(℃)
印加パルス(階調制御方法);1ライン周期中に、1ライン周期を256に等分割したパルス長をもつ分割パルスの数を0から255個まで可変できるマルチパルス方式のテストプリンターを用い、各分割パルスのDuty比を70%に固定し、ライン周期当たりのパルス数を0から255個を15分割した。これにより、15段階に異なるエネルギーを与えることができる。
上記の各実施例、参考例及び比較例における印画物について、濃度マックス(255階調目)の反射濃度を測定した。また、その得られた反射濃度について、以下の基準にて評価した。
○:上記の濃度マックスの反射濃度が2.33以上である。
△:上記の濃度マックスの反射濃度が2.29〜2.32
×:上記の濃度マックスの反射濃度が2.29未満である。
<染料層の接着強度>
上記に作製した熱転写シートを用いて、染料層の上にセロテープ(登録商標)を親指で2往復、擦りつけて、貼って、その後すぐに、剥がしたときのテープ側における、染料層の付着の有無を調べることにより評価した。
評価は以下の基準にて行なった。
○:染料層の付着が認められない。
△:染料層の付着がわずかに認められる。
×:染料層の付着が全面に認められる。
<保存後の転写性評価>
上記の各実施例、参考例及び比較例で作製した熱転写シートを40℃90%RHの条件の環境下に、100時間保存した後に、上記の反射濃度の測定の場合と同様の印画条件、印画パターンで印画し、印画を行なった際に、熱転写シートの染料層と熱転写受像シートとが熱融着するか、あるいは染料層ごと熱転写受像シートに転写する、いわゆる異常転写が生じるかを目視にて調べた。
評価は以下の基準にて行なった。
◎:染料層と熱転写受像シートとが熱融着せず、また異常転写が全く生じない。
○:染料層と熱転写受像シートとが熱融着せず、また異常転写が生じない。但し、印画後の染料層と熱転写受像シートが離型性において、「◎」よりも少し剥離する際の抵抗力が高い。
△:染料層と熱転写受像シートとが部分的に熱融着するか、あるいは異常転写が少し生じる。
×:染料層と熱転写受像シートとが熱融着するか、あるいは異常転写が生じる。
上記の反射濃度の測定結果と、反射濃度の評価結果、また染料層の接着強度及び保存後の転写性評価の結果は以下の表1の通りである。
Figure 2007160511
上記の結果より、基材と染料層との間に、水溶性自己架橋性樹脂とコロイド状無機顔料超微粒子からなり、コロイド状無機顔料超微粒子と水溶性自己架橋性樹脂との含有割合が、コロイド状無機顔料超微粒子/水溶性自己架橋性樹脂=1/1〜1/0.05である下引き層を設けた実施例1〜7の熱転写シートは、全て、上記の反射濃度が2.36以上であり、高濃度であった。また、実施例の熱転写シートは全て、保存後の転写性について良好な結果が得られ、また染料層の基材に対する接着性も問題ない。
比較例1の熱転写シートは、基材上に下引き層がなく、直接に染料層を設けたもので、染料層の基材に対する接着性と、高温、高湿保存後の熱転写シートと熱転写受像シートとの転写性について、実用上問題があり、高濃度の印画物として満足できるものではない。また、比較例2では、基材と染料層との間にコロイド状無機顔料超微粒子のみからなる下引き層を設けたもので、印画物の反射濃度及び染料層の基材に対する接着性が良好ではあるが、高温、高湿保存後の熱転写シートと熱転写受像シートとの転写性について、問題がある。
比較例3では、下引き層がアルミナゾルとブロックイソシアネートと触媒を含有させたもので、印画物の反射濃度及び染料層の基材に対する接着性が良好ではあるが、高温、高湿保存後の熱転写シートと熱転写受像シートとの転写性について、少し問題がある。比較例4では、アルミナゾルとアクリルシリコン樹脂からなる下引き層であり、染料層の基材に対する接着性と、高温、高湿保存後の熱転写シートと熱転写受像シートとの転写性は、良好ではあるが、反射濃度が2.31であり、高濃度として満足できるものではない。
参考例1は、水溶性自己架橋性樹脂とコロイド状無機顔料超微粒子からなる下引き層を設けてはいるが、水溶性自己架橋性樹脂とコロイド状無機顔料超微粒子との配合が、固形分重量比で、コロイド状無機顔料超微粒子/水溶性自己架橋性樹脂=1/1.2であり、水溶性自己架橋性樹脂の配合割合が高く、反射濃度が2.29であり、高濃度の印画物として、あまり満足できるものではない。但し、水溶性自己架橋性樹脂のポリアミドエポキシ樹脂が、コロイド状無機顔料超微粒子に対して、含有割合が高いので、実施例1の場合と同様に、高温、高湿保存後の熱転写シートと熱転写受像シートとの転写性は、非常に良好である。また参考例2も、水溶性自己架橋性樹脂とコロイド状無機顔料超微粒子からなる下引き層を設けてはいるが、水溶性自己架橋性樹脂とコロイド状無機顔料超微粒子との配合が、固形分重量比で、コロイド状無機顔料超微粒子/水溶性自己架橋性樹脂=1/0.02であり、水溶性自己架橋性樹脂の配合割合が低く、印画物の反射濃度及び染料層の基材に対する接着性が良好ではあるが、高温、高湿保存後の熱転写シートと熱転写受像シートとの転写性について、少し問題がある。
本発明の熱転写シートである一つの実施の最良の形態を示す概略断面図である。
符号の説明
1 基材
2 下引き層
3 染料層
4 耐熱滑性層

Claims (4)

  1. 基材の一方の面に耐熱滑性層を設け、該基材の他方の面に下引き層、染料層を順次形成した熱転写シートにおいて、該下引き層は水溶性自己架橋性樹脂とコロイド状無機顔料超微粒子を主成分とした塗工液を塗工、乾燥して、水溶性自己架橋性樹脂が架橋重合して形成されていることを特徴とする熱転写シート。
  2. 前記の水溶性自己架橋性樹脂が、ポリアミドエポキシ樹脂であることを特徴とする請求項1に記載する熱転写シート。
  3. 前記のコロイド状無機顔料超微粒子が、コロイダルシリカ、またはアルミナゾルであることを特徴とする請求項1に記載する熱転写シート。
  4. 前記のコロイド状無機顔料超微粒子と水溶性自己架橋性樹脂との含有割合は、固形分重量比で、コロイド状無機顔料超微粒子/水溶性自己架橋性樹脂=1/1〜1/0.05であることを特徴とする請求項1に記載する熱転写シート。
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