JP2014188964A - 昇華性熱転写記録媒体及び印画物 - Google Patents

Abstract

【課題】排紙性を持つ昇華性熱転写記録媒体を提供する事を目的とする。
【解決手段】基材の一方の面に剥離層と接着層とからなる保護層が設けられているとともに他方の面に耐熱樹脂層が設けられた昇華性熱転写記録媒体であって、剥離層の大きさが被転写体である熱転写受像シートの面積よりも小さく、１画面単位に複数の剥離層が設けられている。
【選択図】図１

Description

本発明は、被転写体上の文字または画像を保護する為の保護層を有する昇華性熱転写記録媒体及び印画物に関する。

一般に、昇華性熱転写記録媒体は、昇華性熱転写方式のプリンタに使用されるインクリボンの事であり、基材の一方の面に耐熱性樹脂層（バックコート層）、その基材の他方の面に昇華性染料層を設けた物である。ここで昇華性染料層は、インクの層であり、プリンタのサーマルヘッドに印加した熱によって、その昇華性染料層の染料を昇華（昇華性転写方式）させ、被転写体の受像層に転写するものである。

現在、昇華性熱転写方式は、プリンタの高機能化と併せて各種画像を簡便に形成できる為、身分証明書などのカード類を始め、アミューズメント用出力物等広く利用されている。近年では貼付可能な印画物が求められており、非転写体背面に粘着層と離型シートを設けたフォトメディアシールが市場で要求されている。この様に特殊な被転写体を使用する印画への対応等のフォトメディアの多様化から従来よりも高機能な保護層が必要とされている。

高機能化が必要とされる保護層は、被転写体の表面に形成された画像を保護する事から耐擦傷性、耐光性、高光沢性に加え、排紙性が求められている。

特開２００６−１２３５３８号公報 特開２００３−１４５９４６号公報

しかしながら、近年の印画物はプリンタから排出された印画物同士が貼り付き、連続印画した印画物の排紙性に問題を生じている。そこでこの問題を解決する為、保護層に処理が施されている。

例えば、特許文献１の様なシリコーンオイルまたは変性シリコーンレジンを保護層に使用する事によって、排紙性を向上する技術が提案されている。

また特許文献２の様な針状結晶の導電性無機物を保護層に使用する事によって、排紙性を向上する技術が提案されている。

しかしながら、昇華転写方式の廉価高速プリンタと貼付可能な熱転写受像シートを用いた場合、いずれの特許文献も排紙性は不十分であった。

本発明は、このような事情を鑑みて成されたものであり、排紙性を持つ昇華性熱転写記録媒体及び印画物の提供する事を目的とする。

第１の発明に係る昇華性熱転写記録媒体は、基材の一方の面に剥離層と接着層とからなる保護層が設けられているとともに他方の面に耐熱樹脂層が設けられた昇華性熱転写記録媒体であって、前記剥離層の大きさが被転写体である熱転写受像シートの面積よりも小さく、１画面単位に複数の剥離層が設けられている事を特徴とする昇華性熱転写記録媒体である。

第２の発明に係る昇華性熱転写記録媒体は、前記第１の発明において、前記剥離層が、バインダー樹脂及び導電性高分子を有する導電剤により構成される事を特徴とする昇華性熱転写記録媒体である。

第３の発明に係る昇華性熱転写記録媒体は、前記第１または第２の発明において、前記剥離層が、バインダー樹脂及び真球状フィラーを有する事を特徴とする昇華性熱転写記録媒体である。

第４の発明に係る昇華性熱転写記録媒体は、前記第１〜第３のいずれかの発明において、面次順に少なくとも１色以上の昇華性染料層が設けられている事を特徴とする昇華性熱転写記録媒体である。

第５の発明に係る印画物は、前記第１〜第４のいずれかの発明の昇華性熱転写記録媒体から前記熱転写受像シートに転写されてなる事を特徴とする印画物である。

第６の発明に係る印画物は、前記第５の発明において、受像層、熱転写受像シート基材、粘着層及び離型シートが順次積層されてなる事を特徴とする印画物である。

本発明によれば、昇華性熱転写記録媒体を使用した印画物同士を重ね合わせても空間が出来るように表面に凹凸を付けるにより貼り付くことなく排紙し、且つ保護層として実用に耐え得る性能を有する昇華性熱転写記録媒体を提供する事が可能である。

本発明の昇華性熱転写記録媒体である保護層の実施形態例を示す概略断面図 本発明の昇華性熱転写記録媒体の表面全体を示す概略平面図 本発明の熱転写受像シートの断面図 本発明のひとつの実施形態である熱転写受像シートを用いて、被転写体上に接着層と１画面単位に剥離層を２面設けた状態を示す概略断面図 実施例１の剥離層配置例の印画後平面図 実施例２の剥離層配置例の印画後平面図 実施例３の剥離層配置例の印画後平面図 実施例４の剥離層配置例の印画後平面図

以下、本発明の実施形態における昇華性熱転写記録媒体について、図面を参照して説明する。図１は昇華性熱転写方式のプリンタで使用される剥離層と接着層から形成される保護層の昇華性熱転写記録媒体の例を示し、図２は昇華性熱転写記録媒体の表面全体を示す概略平面図である。図３は本発明の熱転写受像シートの断面図である。図４は本発明のひとつの実施形態である熱転写受像シートを用いて、被転写体上に接着層と１画面単位に剥離層を２面設けた状態を示す概略断面図である。

本発明で使用される昇華性熱転写記録媒体の保護層は、図１に示すように、基材（１）に剥離層（４）と接着層（３）とを重ね合わせた保護層（５）が積層され、基材（１）の他方の面に耐熱性樹脂層（２）を設けた構造を有する物である。
また、昇華性熱転写記録媒体の全体は、図２に示すように、一方の面にＹ、Ｍ、Ｃの３色またはさらにブラック（ＢＫ）を含む４色の昇華性染料層（６）と保護層（５）とが、長手方向へ面順次に設けられた構造を有する物である。
本発明で使用される被転写体となる熱転写受像シート（７）は、図３に示すように、熱転写受像シート基材（８）の一方の面に受像層（９）を設け、もう一方の面に粘着層（１０）を介して離型シート（１１）を設けた構造を有する物である。

昇華性熱転写媒体の基材（１）は、熱転写における熱圧で軟化変形しない耐熱性と強度が要求されるので、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリプロピレン、セロファン、アセテート、ポリカーボネート、ポリサルフォン、ポリイミド、ポリビニルアルコール、芳香族ポリアミド、アラミド、ポリスチレン等の合成樹脂のフィルム、およびコンデンサー紙、パラフィン紙などの紙類等を単独で又は組み合わされた複合体として使用可能であるが、中でも、物性面、加工性、コスト面などを考慮するとポリエチレンテレフタレートフィルムが好ましい。また、その厚さは、操作性、加工性を考慮し、２〜５０μｍの範囲のものが使用可能であるが、転写適性や加工性等のハンドリング性を考慮すると、２〜１２μｍ程度のものが好ましい。

耐熱性樹脂層（２）はサーマルヘッドの熱による基材の熱収縮やサーマルヘッドとの摩擦による基材の破断を防止するために、基材の熱転写層を設けた面の反対側の面に設けられる。耐熱性樹脂層に用いられるバインダーとしては、セルロース系樹脂、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、ビニル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリエーテル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、アセタール系樹脂等が挙げられる。
耐熱性樹脂層の厚みは０．１μｍから２．５μｍが好ましく、さらに０．５μｍから１．５μｍがより好ましい。
バインダーのガラス転移温度(Ｔｇ)はサーマルヘッドからの耐熱性を考慮すると４０℃以上が好ましい。

また、耐熱性樹脂層（２）は滑性を向上させる目的で滑剤を含有してもよい。例えば、動物系ワックス、植物系ワックス等の天然ワックス、合成炭化水素系ワックス、脂肪族アルコールと酸系ワックス、脂肪酸エステルとグリセライト系ワックス、合成ケトン系ワックス、アミン及びアマイド系ワックス、塩素化炭化水素系ワックス、アルファーオレフィン系ワックス等の合成ワックス、ステアリン酸ブチル、オレイン酸エチル等の高級脂肪酸エステル、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸カリウム、ステアリン酸マグネシウム等の高級脂肪酸金属塩、長鎖アルキルリン酸エステル、ポリオキシアルキレンアルキルアリールエーテルリン酸エステル又は、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルリン酸エステル等のリン酸エステル等の界面活性剤などが挙げられる。滑剤を含有させることで、耐熱性樹脂層とサーマルヘッドとの間の動摩擦係数を小さくすることができるので、摩擦による基材の変形を防止できる。

また、耐熱性樹脂層（２）は耐熱性を向上させる目的で硬化剤を併用してもよい。硬化剤としてはポリイソシアネートが挙げられ、アクリル系、ウレタン系、ポリエステル系のポリオール樹脂やセルロース系樹脂、アセタール樹脂等の組合せで用いられる。
使用されるポリイソシアネートの添加量はサーマルヘッドからの耐熱性を考慮するとＮＣＯ／ＯＨの比で０．８以上、特に０．８から１．３までの範囲が好ましい。

また、耐熱性樹脂層（２）は粒子を含有してもよい。粒子を含有させることで耐熱性樹脂層の表面に凹凸が形成されサーマルヘッドとの接触面積が小さくなるので、印画時のサーマルヘッドに対する滑性が向上する。
該粒子は有機系粒子又は無機系粒子どちらでもよいが、サーマルヘッドからの熱により変形しないものが好ましい。具体的には、シリカ粒子、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、タルク、カオリン、クレー、シリコーン粒子、ポリエチレン粒子、ポリプロピレン粒子、ポリスチレン粒子、ポリメチルメタクリレート樹脂粒子、ポリウレタン樹脂粒子などを挙げることができる。また、該粒子は１種類でも２種以上を混ぜ合わせて使用してもよい。
粒子は耐熱性樹脂層に対して、サーマルヘッドとの滑性を考慮すると０．０１から０．１までの重量比が好ましい。

昇華性染料層（６）の昇華性染料としては主に昇華性分散染料が好ましく、公知の昇華性染料が使用できる。例えば、ジアリールメタン系、トリアリールメタン系、チアゾール系、メチン系、アゾメタン系、キサンテン系、アキサジン系、チアジン系、アジン系、アクリジン系、アゾ系、スピロジピラン系、イソドリノスピロピラン系、フルオラン系、ローダミンダクタム系、アントラキノン系等が挙げられる。
具体的には、イエロー成分では、Ｃ．Ｉ．ソルベントイエロー１４、１６、２９、３０、３３、５６、９３等、Ｃ．Ｉ．ディスパースイエロー７、３３、６０、１４１、２０１、２３１等、マゼンタ成分としては、Ｃ．Ｉ．ソルベントレッド１８、１９、２７、１４３、１８２、Ｃ．Ｉ．ディスパースレッド６０、７３、１３５、１６７、Ｃ．Ｉ．ディスパースバイオレット１３、２６、３１、５６等、シアン成分としては、Ｃ．Ｉ．ソルベントブルー１１、３６、６３、１０５、Ｃ．Ｉ．ディスパースブルー２４、７２、１５４、３５４等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
また、これらの昇華性染料を単体で使用しても、複数組み合わせて使用してもよい。

昇華性染料層（６）に用いるバインダー樹脂としては、従来公知のものが使用でき、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアセタール、ポリビニルブチラール等のビニル系樹脂、エチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、酢酸セルロース、酢酪酸セルロース、酢酸プロピオン酸セルロース等のセルロース系樹脂、ポリエステル樹脂、フェノキシ樹脂、スチレン−アクリルニトリル共重合体樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアクリルアミド樹脂等の耐熱性、昇華性染料移行性等に優れた樹脂が使用できる。
昇華性染料層のバインダーのガラス転移点は、バインダー樹脂の耐熱性を考慮すると好ましくは６０℃以上、より好ましくは１１０℃以上であることがよい。
また、昇華性染料とバインダーとの重量比は、バインダー樹脂の耐溶融性を考慮すると０．１から３．０までが好ましく、０．５から１．５までがより好ましい。

昇華性染料層（６）は滑剤を含有してもよい。滑剤としては、例えば、シリコーン系、フッ素系、リン酸エステル系、といった各種オイルや界面活性剤が挙げられるが、特に、シリコーン系又はフッ素系のオイルや界面活性剤が好ましい。
具体的には、シリコーン系として、ジメチルシリコーン、メチルフェニルシリコーン等のストレートシリコーンオイル、アミノ変性、エポキシ変性、カルビノール変性、メルカプト変性、カルボキシル変性、メタクリル変性、ポリエーテル変性、フェノール変性、片末端反応性・異種官能基変性等の反応性変性シリコーンオイル、ポリエーテル変性、アラルキル変性、フロロアルキル変性、長鎖アルキル変性、高級脂肪酸エステル変性、フェニル変性等の非反応性変性シリコーンオイル等が挙げられる。
また、フッ素系としては、フルオロアルキル基またはパーフルオロアルキル基を含有する界面活性剤が挙げられる。
滑剤は昇華性染料層に対して、熱転写受像シートとの滑性を考慮すると０．００１から０．０５までの重量比が好ましい。

昇華性染料層（６）は耐熱性を向上させる目的で硬化剤を併用してもよい。硬化剤としてはポリイソシアネートが挙げられ、アクリル系、ウレタン系、ポリエステル系のポリオール樹脂やセルロース系樹脂、アセタール樹脂等の組合せで用いられる。
使用されるポリイソシアネートの添加量は、昇華染料層の耐熱性を考慮するとポリイソシアネートのＮＣＯ当量と昇華性染料層を構成するバインダー樹脂のＯＨ当量の比（ポリイソシアネートのＮＣＯ当量／バインダー樹脂のＯＨ当量）で０．８以上、特に０．８から１．３までの範囲がより好ましい。

保護層（５）は、文字や画像を形成した被熱転写体上に、昇華性熱転写記録媒体の保護層（５）を耐熱性樹脂層の面からサーマルヘッドによる熱転写する事により、文字や画像を保護する為の層である。保護層（５）を構成する層は、剥離層（４）と接着層（３）を併用して形成する場合がある。ここで接着層（３）は、文字や画像を形成した被熱転写体表面と剥離層との間の接着性と印画物表面の耐擦傷性を向上させるための層である。剥離層は印画物の最表面に位置し、１画面単位に複数の面が設けられており、排紙性と印画物表面の耐擦傷性を向上させる為の層である。
熱転写時は、基材（１）と剥離層（４）または接着層（３）との間で剥離が生じ、図４に示すように、剥離層（４）と接着層（３）が被熱転写体表面に転写される。

剥離層（４）は、主にバインダー樹脂によって構成される。剥離層を構成するバインダー樹脂としては、熱可塑性以外特に限定されるものではないが、例として、ポリスチレン、ポリα−メチルスチレン等のスチレン系樹脂、ポリメタクリル酸メチル、ポリアクリル酸エチル等のアクリル系樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリビニルブチラール、ポリビニルアセタール等のビニル系樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、石油樹脂、アイオノマー、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体等の合成樹脂、ニトロセルロース、エチルセルロース、セルロースアセテートプロピオネート等のセルロース誘導体、ロジン、ロジン変性マレイン酸樹脂、エステルガム、ポリイソブチレンゴム、ブチルゴム、スチレン−ブタジエンゴム、ブタジエン−アクリロニトリルゴム、ポリ塩素化オレフィン等の天然樹脂や合成ゴムの誘導体、カルナバワックス、パラフィンワックス等のワックス類が挙げられる。特に、アクリル系樹脂、ポリエステル樹脂、セルロース誘導体、エポキシ樹脂が好ましい。

剥離層（４）には排紙性を向上する目的で導電性高分子を使用してもよい。使用する導電性高分子としては具体的にはポリエチレンジオキシチオフェンは使用するが、その他の材料としてはスルホン化ポリアニリン、化学的にドーピングしたポリアセチレン、ポリパラフェニレンビニレン、ポリパラフェニレンスルフィド、化学的に重合とドーピングしたポリピロール、ポリチオフェン、ポリアニリン、熱処理により生成したフェノール樹脂の熱処理物、ポリアミドの熱処理物、ペリレン酸無水物の熱処理物等を併用しても良い。四級アンモニウム塩や導電性無機物と比較し、サーマルヘッドを腐食せず且つ有機溶剤分散性の高さから導電性高分子は導電性能を発揮する為、排紙性は更に向上する。剥離層（４）の導電剤の添加量は、印画物の排紙性を考慮すると、剥離層を構成するバインダー樹脂とポリエチレンジオキシチオフェンの固形分重量比率（ポリエチレンジオキシチオフェンの固形分重量／バインダー樹脂の固形分重量）を０．１から０．３までの範囲で構成される事により、排紙性は更に向上する。

剥離層（４）に用いるフィラーは、剥離層の凹凸を作り、排紙性を向上する目的で使用しても良い。使用するフィラーの一例を挙げると、炭酸カルシウム、カオリン、タルク、シリコーンパウダー、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、サチンホワイト、炭酸亜鉛、炭酸マグネシウム、珪酸アルミニウム、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、シリカ、コロイダルシリカ、コロイダルアルミナ、擬ベーマイト、水酸化アルミニウム、アルミナ、リトポン、ゼオライト、加水ハロサイト、水酸化マグネシウム等の無機フィラー、アクリル系プラスチックピグメント、スチレン系プラスチックピグメント、マイクロカプセル、尿素樹脂、メラミン樹脂等の真球状有機フィラーである。不定形フィラーと比較した場合、フィラー表面に凹凸のない真球状フィラーは滑性に優れている為、排紙性は更に向上する。中でも、表面摩擦抵抗の少ないシリコーンパウダーのようなものが好ましい。
印画物の排紙性を考慮すると、真球状フィラーの平均粒子径と剥離層（４）の膜厚との比率（真球状フィラーの平均粒子径／剥離層の膜厚）を１．１から１．５までの範囲で構成する事により均一に剥離層と印画物の間に空間を設ける為、排紙性は更に向上する。また同じ理由から、真球状フィラーの固形分重量比率と剥離層を構成するバインダー樹脂（真球状フィラーの固形分重量／バインダー樹脂の固形分重量）を０．１から０．３までの範囲で構成される事により、排紙性は更に向上する。

接着層（３）について、バインダーとしては熱可塑性以外特に限定されるものではないが、例として、ポリスチレン、ポリα−メチルスチレン等のスチレン系樹脂、ポリメタクリル酸メチル、ポリアクリル酸エチル等のアクリル系樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリビニルブチラール、ポリビニルアセタール等のビニル系樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、石油樹脂、アイオノマー、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体等の合成樹脂、ニトロセルロース、エチルセルロース、セルロースアセテートプロピオネート等のセルロース誘導体、ロジン、ロジン変性マレイン酸樹脂、エステルガム、ポリイソブチレンゴム、ブチルゴム、スチレン−ブタジエンゴム、ブタジエン−アクリロニトリルゴム、ポリ塩素化オレフィン等の天然樹脂や合成ゴムの誘導体、カルナバワックス、パラフィンワックス等のワックス類が挙げられる。特に、アクリル系樹脂、セルロース誘導体が好ましい。
また、必要に応じて、シリコーンオイル、界面活性剤、離型剤、ワックス類、有機又は無機フィラーに代表される滑り剤、紫外線吸収剤、光安定剤、熱安定剤、難燃剤、酸化防止剤、ブロッキング防止剤、触媒促進剤、着色剤、光散乱剤、艶調整剤、蛍光増白剤、帯電防止剤等を添加することができる。

熱転写受像シート基材（８）は、熱転写における圧力により変形しない耐熱性と強度が要求され、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリプロピレン、セロファン、アセテート、ポリカーボネート、ポリサルフォン、ポリスチレン、ポリイミド、ポリビニルアルコール、芳香族ポリアミド、アラミド等からなる合成樹脂フイルムやコート紙、アート紙、上質紙（酸性紙、中性紙）、中質紙、グラシン紙等のセルロースパルプを主成分とする紙類が挙げられる。ただし、後述する粘着層（１０）や離型シート（１１）を設けたシール用の熱転写受像シートの場合、加工性や折り曲げ等の動作性が容易であることが望まれるため、ポリエチレンテレフタレートからなるフイルムが好ましい。

受像層（９）は、染料に対する親和性が高い熱可塑性樹脂を使用する事が要求され、例えば、塩化ビニル系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアクリル酸エステル樹脂、アクリル系樹脂、セルロース系樹脂、ポリアミド樹脂、ビニル雅号物モノマーとベンゾトリアゾール骨格及び／またはベンゾフェノン骨格を有するモノマーとの共重合樹脂等の熱可塑性樹脂が挙げられ、これらの熱可塑性樹脂を単独で使用しても、もしくは二種以上を併用しても構わない。

受像層（９）は、昇華性熱転写記録媒体へ熱転写する際の熱時剥離を促進する為に、また、融着を防止する為に、離型剤を添加しても良い。添加する離型剤としては、シリコーンオイル、ポリシロキサングラフトアクリル樹脂、ワックス類、フッ素化合物等が挙げられる。また、熱転写方式の場合、受像層には高い耐熱性が望まれるため架橋剤を添加して耐熱性を向上させることが好ましい。架橋剤としては、カルボジイミド化合物、イソシアネート化合物、オキサゾリン化合物、有機チタンキレート化合物等が好ましい。これら架橋剤の中でも、耐熱性向上の効果が高く、印画時のリボン融着等の走行性の問題が発生しにくい点や、水性塗料中での安定性の点で、カルボジイミド系架橋剤が好ましい。更に、このような受像層の形成に際しては、意匠性をもたせる目的で、染料の染着性を損なわない程度に紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤、蛍光増白剤、帯電防止剤等、着色染料等の添加剤を加えることも可能である。

粘着層（１０）は従来公知のもので対応可能で、溶剤系及び水系の粘着剤を用いて形成することができる。例えば、酢酸ビニル樹脂、アクリル樹脂、酢酸ビニル−アクリル共重合体、酢酸ビニル−塩化ビニル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレンアクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体、ポリウレタン樹脂、天然ゴム、ニトリルゴム等が挙げられる。このような粘着層は、グラビアコート、グラビアリバースコート、ロールコート等の従来公知の塗工法を用い、塗布した後乾燥することにより形成する。

離型シート（１１）は、粘着層（１０）と容易な剥離が可能であれば従来公知のもので対応可能で、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリプロピレン、セロファン、アセテート、ポリカーボネート、ポリサルフォン、ポリスチレン、ポリイミド、ポリビニルアルコール、芳香族ポリアミド、アラミド等からなる合成樹脂フイルム等のフイルムや、表面に離型処理を施したポリラミ紙等が挙げられる。

以下、実施例について詳細に説明するが、本発明は実施例に限定される物ではない。

基材として厚み４．５μｍのポリエステルフィルムを用いて、グラビアコート法により、基材の一方の面に、耐熱性樹脂層形成用インクを乾燥厚１．３μｍで形成して耐熱性樹脂層を得た。他方の面に、所定位置に各種用意された昇華性熱転写形成用イエローインク、昇華性熱転写形成用マゼンタインク、昇華性熱転写形成用シアンインクを用いて、昇華性染料層を各乾燥厚０．８μｍで面順次に形成し昇華性染料層を得た。昇華性染料層の後方に剥離層形成用インクを用いて剥離層を０．３μｍで１印画中に２画面形成し、剥離層上に接着層形成用インクを用いて接着層を１．５μｍで形成し、保護層を得た。剥離層を構成するバインダー樹脂とポリエチレンジオキシチオフェンとの固形分重量比率（ポリエチレンジオキシチオフェンの固形分重量／バインダー樹脂の固形分重量）を０．２とした。剥離層の真球状フィラーの粒子径と剥離層の膜厚との比率（フィラーの粒子径／熱転写剥離層の膜厚）を１．３とし、剥離層の真球状のフィラーの添加量は、剥離層を構成するバインダー樹脂とフィラーとの固形分重量比率（フィラーの固形分重量／バインダー樹脂の固形分重量）が０．２となるようにした。なお、文中で「部」とあるのは、特に断りの無い限り質量基準である。図５に接着層付き熱転写受像シート（１２）への剥離層（４）の配置例を示す。

＜耐熱性樹脂層形成用インク＞
アクリルポリオール樹脂 １５．０部
ステアリン酸亜鉛 １．５部
ポリオキシアルキレンアルキルエーテル １．５部
タルク １．０部
２，６−トリレンジイソシアネート ５．０部
トルエン ５０．０部
メチルエチルケトン ２０．０部
酢酸エチル ６．０部
＜昇華性熱転写形成用イエローインク＞
Ｃ．Ｉ．ソルベントイエロー９３ ０．６部
Ｃ．Ｉ．ソルベントイエロー１６ ３．６部
ポリビニルブチラール樹脂 ３．２部
有機変性ポリシロキサン ０．１部
２，６−トリレンジイソシアネート ０．７部
メチルエチルケトン ６０．５部
トルエン ３０．３部
＜昇華性熱転写形成用マゼンタインク＞
Ｃ．Ｉ．ディスパースレッド６０ ６．７部
Ｃ．Ｉ．ディスパースバイオレット２６ １．３部
Ｃ．Ｉ．ソルベントブルー３６ ０．４部
ポリビニルブチラール樹脂 ５．２部
有機変性ポリシロキサン ０．１部
２，６−トリレンジイソシアネート ０．９部
メチルエチルケトン ５５．３部
トルエン ２７．６部
シクロヘキサノン ２．５部
＜昇華性熱転写形成用シアンインク＞
Ｃ．Ｉ．ソルベントブルー３６ ５．９部
Ｃ．Ｉ．ソルベントブルー６３ １．５部
ポリビニルブチラール樹脂 ５．２部
有機変性ポリシロキサン ０．２部
２，６−トリレンジイソシアネート ０．８部
メチルエチルケトン ５５．９部
トルエン ２７．９部
シクロヘキサノン ２．６部
＜剥離層形成用インク＞
アクリル樹脂 ２０．０部
ポリエチレンジオキシチオフェン ４．０部
シリコーンパウダー ４．０部
メチルエチルケトン ４８．０部
トルエン ２４．０部
＜接着層形成用インク＞
アクリル樹脂 １０．０部
ポリエステル樹脂 ３．５部
エポキシ樹脂 ３．５部
ベンゾフェノン系紫外線吸収剤 ８．０部
トルエン ３５．０部
メチルエチルケトン ４０．０部

昇華性染料層の後方に剥離層形成用インクを用いて剥離層を１印画中に１６画面形成した。また、その他の構成は実施例１と同じである。図６に接着層付き熱転写受像シート（１２）への剥離層（４）の配置例を示す。

昇華性染料層の後方に剥離層形成用インクを用いて剥離層を１印画中に１２８画面形成した。また、その他の構成は実施例１と同じである。図７に接着層付き熱転写受像シート（１２）への剥離層（４）の配置例を示す。

昇華性染料層の後方に剥離層形成用インクを用いて剥離層を１印画中に１０２４画面形成した。また、その他の構成は実施例１と同じである。図８に接着層付き熱転写受像シート（１２）への剥離層（４）の配置例を示す。

剥離層を構成するバインダー樹脂にポリエチレンジオキシチオフェンを添加しなかった。また、その他の構成は実施例１と同じである。
＜剥離層形成用インク＞
アクリル樹脂 ２０．０部
シリコーンパウダー ４．０部
メチルエチルケトン ５０．７部
トルエン ２５．３部

剥離層を構成するバインダー樹脂とポリエチレンジオキシチオフェンとの固形分重量比率（ポリエチレンジオキシチオフェンの固形分重量／バインダー樹脂の固形分重量）を０．１とした。また、その他の構成は実施例１と同じである。
＜剥離層形成用インク＞
アクリル樹脂 ２５．０部
ポリエチレンジオキシチオフェン ２．５部
シリコーンパウダー ５．０部
メチルエチルケトン ４５．０部
トルエン ２２．５部

剥離層を構成するバインダー樹脂とポリエチレンジオキシチオフェンとの固形分重量比率（ポリエチレンジオキシチオフェンの固形分重量／バインダー樹脂の固形分重量）を０．３とした。また、その他の構成は実施例１と同じである。
＜剥離層形成用インク＞
アクリル樹脂 ３０．０部
ポリエチレンジオキシチオフェン ９．０部
シリコーンパウダー ６．０部
メチルエチルケトン ３６．７部
トルエン １８．３部

剥離層を構成するバインダー樹脂とポリエチレンジオキシチオフェンとの固形分重量比率（ポリエチレンジオキシチオフェンの固形分重量／バインダー樹脂の固形分重量）を０．４とした。また、その他の構成は実施例１と同じである。
＜剥離層形成用インク＞
アクリル樹脂 ２０．０部
ポリエチレンジオキシチオフェン ８．０部
シリコーンパウダー ４．０部
メチルエチルケトン ４５．３部
トルエン ２２．７部

剥離層の真球状のフィラーの粒子径と剥離層の膜厚との比率（フィラーの粒子径／剥離層の膜厚）を１．０とした。また、その他の構成は実施例１と同じである。

剥離層の真球状のフィラーの粒子径と剥離層の膜厚との比率（フィラーの粒子径／剥離層の膜厚）を１．１とした。また、その他の構成は実施例１と同じである。

剥離層の真球状のフィラーの粒子径と剥離層の膜厚との比率（フィラーの粒子径／剥離層の膜厚）を１．５とした。また、その他の構成は実施例１と同じである。

剥離層の真球状のフィラーの粒子径と剥離層の膜厚の比率（フィラーの粒子径／剥離層の膜厚）を１．６とした。また、その他の構成は実施例１と同じである。

剥離層の真球状のフィラーの添加量は、剥離層を構成するバインダー樹脂にフィラーを添加しなかった。また、その他の構成は実施例１と同じである。
＜剥離層形成用インク＞
アクリル樹脂 ２０．０部
ポリエチレンジオキシチオフェン ４．０部
メチルエチルケトン ５０．７部
トルエン ２５．３部

剥離層を構成するバインダー樹脂とフィラーとの固形分重量比率（フィラーの固形分重量／バインダー樹脂の固形分重量）を０．１とした。また、その他の構成は実施例１と同じである。
＜剥離層形成用インク＞
アクリル樹脂 ２５．０部
ポリエチレンジオキシチオフェン ５．０部
シリコーンパウダー ２．５部
メチルエチルケトン ４５．０部
トルエン ２２．５部

剥離層を構成するバインダー樹脂とフィラーとの固形分重量比率（フィラーの固形分重量／バインダー樹脂の固形分重量）を０．３とした。また、その他の構成は実施例１と同じである。
＜剥離層形成用インク＞
アクリル樹脂 ２０．０部
ポリエチレンジオキシチオフェン ４．０部
シリコーンパウダー ６．０部
メチルエチルケトン ４６．７部
トルエン ２３．３部

剥離層を構成するバインダー樹脂とフィラーとの固形分重量比率（フィラーの固形分重量／バインダー樹脂の固形分重量）を０．４とした。また、その他の構成は実施例１と同じである。
＜剥離層形成用インク＞
アクリル樹脂 ２０．０部
ポリエチレンジオキシチオフェン ４．０部
シリコーンパウダー ８．０部
メチルエチルケトン ４５．３部
トルエン ２２．７部

比較例１

昇華性染料層の後方に剥離層を設けず接着層のみとした。その他の構成は実施例１と同じである。

比較例２

昇華性染料層の後方に剥離層形成用インクを用いて剥離層を１印画中に１画面形成した。また、その他の構成は実施例１と同じである。
＜熱転写受像シートの作製＞
基材として、１００μｍの白色発泡ポリエチレンテレフタレートフイルムを使用し、その一方の面に下記組成の受像層塗布液を、グラビアコーティング法により、乾燥後の塗布量が５．０ｇ／ｍ²になるよう形成し、更に、他方の面に下記組成の粘着層塗布液を、グラビアコーティング法により、乾燥後の塗布量が１０．０ｇ／ｍ²になるように形成し、その後、離型シートとして、１００μｍのポリエチレンテレフタレートフイルムを、粘着層を介してドライラミネート法を用いて貼り合せることにより、熱転写受像シートを得た。
＜受像層塗布液＞
・塩化ビニル−酢酸ビニル−ビニルアルコール共重合体 １９．５部
・アミノ変性シリコーンオイル ０．５部
・トルエン ４０．０部
・ＭＥＫ ４０．０部
＜粘着層塗布液＞
・アクリル共重合体 ４９．０部
・エポキシ樹脂 ０．５部
・酢酸エチル ５１．５部

＜耐熱滑性層付き基材の作製＞
基材として、４．５μｍの片面易接着処理付きポリエチレンテレフタレートフイルムを使用し、その非易接着処理面に、下記組成の耐熱滑性層塗布液を、グラビアコーティング法により、乾燥後の塗布量が０．５ｇ／ｍ²になるように形成し、耐熱滑性層付き基材を得た。

＜耐熱滑性層塗布液＞
・シリコンアクリレート ５０．０部
・ＭＥＫ ５０．０部

前記実施例および比較例において、以下条件にて印画評価を行った。印画にあたり被転写体として以下のものを用いた。その結果を表１に記載する。

[昇華性熱転写記録媒体評価及び印画物評価]
印画物表面の光沢度を測定し、印画物を１０枚重ねた時の排紙性について評価した。

実施例の評価結果によると、本発明の剥離層は十分実用に耐えることができ、排紙性能を持つ物だった。それに対して、比較例１は接着層のみの為、接着層と熱転写受像シートの間に十分な空間が出来ず貼り付いた為、排紙できなった。比較例２は剥離層が１面の為、剥離層と剥離層の間に空間が発生せず貼り付いた為、排紙できなかった。尚、評価は◎、○、×にて評価をした。印画物を１０枚重ねて貼り付かずに揃った物は◎、印画物を１０枚重ねて印画物の端を２〜５回合わせ貼り付かずに揃った物は○、印画物を１０枚重ねて６回以上合わせたが貼り付き揃わなかった物は×として評価した。

本発明は印画物を重ねた時に静電気により発生する貼り付きを防止した剥離層を持つ昇華性熱転写記録媒体に関し、印画物を重ね合わせた状態で貼り付かずに、排紙性が向上した昇華性熱転写記録媒体に関する。

（１） 基材
（２） 耐熱樹脂層
（３） 接着層
（４） 剥離層
（５） 保護層
（６） 昇華性染料層
（７） 熱転写受像シート
（８） 熱転写受像シート基材
（９） 受像層
（１０）粘着層
（１１）離型シート
（１２）接着層付き熱転写受像シート

Claims (6)

1. 基材の一方の面に剥離層と接着層とからなる保護層が設けられているとともに他方の面に耐熱樹脂層が設けられた昇華性熱転写記録媒体であって、
   前記剥離層の大きさが被転写体である熱転写受像シートの面積よりも小さく、１画面単位に複数の剥離層が設けられている事を特徴とする昇華性熱転写記録媒体。
2. 前記剥離層が、バインダー樹脂及び導電性高分子を有する事を特徴とする請求項１に記載の昇華性熱転写記録媒体。
3. 前記剥離層が、バインダー樹脂及び真球状フィラーを有する事を特徴とする請求項１または２に記載の昇華性熱転写記録媒体。
4. 面次順に少なくとも１色以上の昇華性染料層が設けられている事を特徴とする請求項１〜３のいずれか１項に記載の昇華性熱転写記録媒体。
5. 請求項１〜４のいずれか１項に記載の昇華性熱転写記録媒体から前記熱転写受像シートに転写されてなる事を特徴とする印画物。
6. 前記熱転写受像シートは、受像層、熱転写受像シート基材、粘着層及び離型シートが順次積層されてなる事を特徴とする請求項５に記載の印画物。

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