JP4074238B2 - 保護層転写シート及び印画物 - Google Patents
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Description
0.05%≦(硬化剤/水溶性樹脂)≦2%
0.05%≦(硬化剤/水溶性樹脂)≦2%
このことによって、剥離層3の膜厚を薄くすることができ、箔切れ良く熱転写性保護層2を基材シートから剥離できる。
〔基材シート〕
本発明の保護層熱転写シートに用いられている基材シート1としては、従来の熱転写シートに使用されている基材シートと同等のフィルム強度、耐熱性を有すれば、特に制限はない。具体的に、例えば、ポリエチレンテレフタレート樹脂等のポリエステル樹脂フィルム、ポリカーボネート樹脂フィルム、ポリアミド樹脂フィルム、ポリイミド樹脂フィルム、酢酸セルロース樹脂フィルム、ポリ塩化ビニリデン樹脂フィルム、ポリ塩化ビニル樹脂フィルム、ポリスチレン樹脂フィルム、フッ素樹脂フィルム、ポリプロピレン樹脂フィルム、ポリエチレン樹脂フィルム、アイオノマー等のプラスチックフィルムがあり、また、これらの2種以上を積層した複合フィルムないしシートなども使用できる。これらの基材シートの厚さは、その強度及び耐熱性が適切になるように材料に応じて適宜変更しているが、通常は1μm〜10μm程度が好ましい。
本発明の熱転写性保護層2は、基材シート上の少なくとも一部に剥離可能で、また、水性インキによる捺印を施したり、水性ペンで筆記したりすることが可能で、更に、箔切れ性、耐磨耗性、耐候性、耐薬品性、耐溶剤性等に優れるものである。
上記の熱転写性保護層2は、少なくとも、剥離層3と、捺印・筆記性保護層4と、熱接着性樹脂層5とを順次形成して構成される。熱転写性保護層2の全体の厚さは、1.0μm〜5.0μm程度の範囲が、箔切れ性、吸水性、耐久性、透明性に優れるので好ましい。厚みが1.0μmより薄いと、耐磨耗性等の耐久性、吸水性が低下するので好ましくなく、5.0μmより厚いと透明性、箔切れ性が低下するので好ましくない。
本発明に係る剥離層3は、熱転写の際、基材シート1と熱転写性保護層2との箔切れ性を有すると共に、被転写体へ保護層が転写後に最表面となるので、耐磨耗性等の耐久性と、吸水性能を有するものであることが必要であり、更に、耐候性、耐薬品性、耐溶剤性を有するものであることがより好ましい。具体的には、基材シート1からの箔切れ性と吸水性とを備える多孔質層から構成される。剥離層3を多孔層にすることによって、熱転写性保護層の表面に吸水性を持たせつつ、捺印・筆記性保護層へ浸透する水性インキ等の吸水量をある程度制御して吸水させることができるという利点を有する。
剥離層3としての多孔質層としては、水溶性樹脂からなるバインダー、微細粒子、及び、硬化剤、水分散型高分子を必須の構成成分とし、必要に応じて、分散剤、酸化防止剤、帯電防止剤等を添加してもよい。特に、水分散型高分子を添加することによって、耐熱性基材シートとの密着性を向上させることができ、その含有量としては、2重量%〜10重量%の範囲で含有することが好ましい。また、剥離層の乾燥状態での塗布量を0.1g/m2以上、0.5g/m2以下の範囲にあることによって、箔切れ性を向上させることができるという利点を有する。これに対して、剥離層の塗布量が、0.1g/m2より少ないと耐磨耗性等の耐久性が低下するので好ましくなく、0.5g/m2より多いと箔切れ性が低下するので好ましくない。
前記の多孔層を形成する方法としては、バインダーを親溶媒である水や有機溶剤等に溶解して分散させ、これを塗布・乾燥することによって形成することかできる
このような剥離層3を形成する方法としては、上記の樹脂を使用して、グラビアコート、、グラビアリバースコート、ロールコート、その他多くの塗布方法で形成することかできる。
本発明に係る剥離層3を構成するバインダーは、熱転写後に吸水性を付与する目的で、水溶性樹脂を用いることが必要である。具体的に、ポリビニルアルコール(PVA)系樹脂、水溶性ポリエステル系樹脂、アルキルビニルエーテル樹脂、マレイン酸共重合体樹脂、ポリビニルピロリドン系樹脂、セルロース系樹脂、水溶性アルキッド樹脂、非セルロース系水溶性多糖類等を使用することができ、中でもポリビニルアルコール系樹脂を使用することが、熱転写製保護層により優れた捺印適性を付与することができるので好ましい。更に、バインダーと同じ樹脂を使用することにより、基材シートとの箔切れ性、熱転写性保護層中の吸水性層との密着性、吸水性能に優れるので好ましい。前記のバインダーの数平均分子量としては、10000〜90000の範囲にあることが、熱転写の際、基材シート1と熱転写性保護層2との箔切れ性に優れるので好ましいものである。バインダーの数平均分子量が90000を超えると、箔切れ性が低下するので好ましくない。
本発明に係るバインダーである水溶性樹脂の活性官能基と反応する硬化剤としては、活性官能基と反応する硬化剤との硬化形態により、耐水性、耐溶剤性を付与すると共に、水溶性樹脂の分子量を制御して箔切れ性を向上させる目的で使用する。硬化剤としては、例えば、ポリアミド樹脂系のスミレーズレジン5004に代表される住友化学社製のスミレーズレジンシリーズ等が使用できる。
本発明に係る剥離層3のバインダーと硬化剤の混合比は、水溶性樹脂と硬化剤の添加重量との固形分比が0.05%≦(硬化剤/水溶性樹脂)≦2%の範囲にあることが、耐水性、耐溶剤性、箔切れ性に優れるので好ましい。硬化剤の添加量が上限値を超えると、箔切れ性が低下し、下限値を超えると耐水性、耐溶剤性が低下するので好ましくない。
本発明に係る剥離層3を構成する微細粒子は、これを水や有機溶媒に分散させて、塗布乾燥させることによって、多孔層を形成する目的で使用するものである。微細粒子の形状としては、球状、針状、無定形等どのような形状でも良いが、特に、球状粒子を用いることが、その粒子径をできる限り均一にでき、空隙率が高くなり、吸水性能を向上させることができるのでより好ましい。微細粒子の形状が不均一な場合、空隙率が低下してしまい、吸水性能が低下してしまうため好ましくない。また、前記の微細粒子の平均粒子径、0.3μm以下であることが、透明な性能を維持するために好ましく、0.1μm以下であることがより好ましい。0.3μmより大きな平均粒子径の微細粒子であると、その透明性を維持することが困難となってしまい好ましくない。
前記の微細粒子を形成する材料は、透明である限り、有機,無機いずれのタイプでも良く、有機微細粒子として、例えば、アクリル系微細粒子、セルロース系微細粒子、非セルロース系多糖類微細粒子等が挙げられ、無機微細粒子として、例えば、シリカあるいはその変成物の微粒子、アルミナゾル、その他の金属や金属酸化物の微粒子を使用できる。特に、コロイダルシリカが、粒子自体の耐溶剤性が高く、粒子表面に親水性基を有する微細粒子であるため好ましい。コロイダルシリカとしては、例えば、日産化学社製スノーテックスシリーズ、触媒化成工業社製カタロイドシリーズ等が好ましく使用できる。
コロイダルシリカ添加量としては、バインダーが水溶性樹脂の場合、混合比、1/30≦水溶性樹脂/コロイダルシリカ≦1/3(重量比)の範囲にあることによって、捺印・筆記性保護層へ浸透する水性インキ等の吸水量をある程度制御して吸水させることができ、また、耐摩擦性等の耐久性を兼ね備えるので好ましい。この混合比が1/30より小さいと、バインダーとしての効果が不十分となるので好ましくなく、混合比が1/3より大きいと、多孔質構造を形成することができなくなり、吸水性が低下するので好ましくない。
本発明に係る剥離層3に含有する水分散型高分子は、基材シートとの箔持ち性を向上させる目的で使用するものである。具体的には、例えば、ポリエステル樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリアクリル系樹脂および塩化ビニリデン系樹脂等を少なくとも1種類以上含む高分子材料等を使用でき、基材シートの樹脂成分との箔持ち性の良好な樹脂を選択することが好ましい。本発明で用いられる水分散型高分子としては、水に可溶、乳化または分散できる高分子である。水分散型ポリエステル樹脂としては、例えば、東洋紡社製バイロナール等が好ましく使用できる。
次に、本発明に係る捺印・筆記性保護層4は、耐水性の多孔質層と吸水性樹脂とからなるものである。
〔吸水性樹脂〕
本発明に係る捺印・筆記性保護層4を構成する吸水性樹脂の材料は、吸水性を有する材料であれば特に制限はなく、どのような材料によって形成しても良いが、具体的には、アクリルポリオール樹脂、ウレタンポリオール樹脂、メチルセルロースやカルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等のセルロース系樹脂、ポリビニルピロリドン樹脂やアルキルビニルエーテル、ポリマレイン酸共重合体樹脂,水溶性ポリエステル樹脂、ポリビニルアルコール樹脂等の合成高分子、ポリリン酸ソーダ等の無機高分子寒天やアルギン酸ソーダ等の海草抽出物、アラビアゴムやトロロアオイ等の植物粘物質、カゼインやゼラチン等の動物性蛋白、プルランやデキストラン等の発酵粘物質、デンプン及びデンプン質等の水溶性の材料を使用することができる。また、吸水性樹脂の重量平均分子量としては、6000〜1500000の範囲にあることが、箔切れ性に優れるので好ましいものである。吸水性樹脂の重量平均分子量が1500000を超えると、箔切れ性が低下するので好ましくなく、6000未満であると、熱転写性保護層の耐水性が低下するので好ましくない。
本発明に係る捺印・筆記性保護層4を構成する耐水性の多孔質層は、剥離層3を通過して浸透する水性インキ等を吸水性樹脂と共に保持することを目的とする。前記の多孔質層の材料は、バインダーと、微細粒子と、硬化剤を必須の構成成分とし、必要に応じて、分散剤を添加してもよい。吸水性能を有するものであることが必要であり、更に、耐候性、耐薬品性、耐水性、耐溶剤性を有するものであることがより好ましい。本発明に係る多孔層を構成するバインダー、及び、硬化剤、分散剤としては、剥離層3に用いるものと同様の材料を用いることができ、微細粒子も、剥離層3に用いる微細粒子と同様の形状、平均粒子径、構成材料、添加量を使用できる。
前記の多孔層を形成する方法としては、バインダーと硬化剤を親溶媒(水や有機溶剤等)に溶解して混合し、これを塗布・乾燥することによって形成することかできる。このような多孔層を形成する方法としては、上記の樹脂を使用して、グラビアコート、グラビアリバースコート、ロールコート、その他多くの塗布方法で形成することかできる。
本発明に係る多孔層を構成するバインダーは、水溶性樹脂を用い、更に、硬化剤を添加して、耐水性、耐溶剤性を持たせることが必要である。
中でも、バインダーとしては、ポリビニルアルコール系樹脂を使用し、硬化剤としては、例えば、ポリアミド樹脂系樹脂を使用することが、捺印適性向上のため好ましい。
前記のバインダーの数平均分子量としては、10000〜80000の範囲にあることが、熱転写の際、吸水性、箔切れ性に優れるので好ましいものである。
バインダーの数平均分子量が80000を超えると、箔切れ性が低下するので好ましくなく、10000未満であると、熱転写性保護層の耐水性が低下するので好ましくない。
本発明に係る多孔層である水溶性樹脂の活性官能基と反応する硬化剤としては、活性官能基と反応する硬化剤との硬化形態により、耐水性、耐溶剤性を付与すると共に、水溶性樹脂の分子量を制御して箔切れ性を向上させる目的で使用する。硬化剤としては、例えば、ポリアミド樹脂系のスミレーズレジン5004に代表される住友化学社製のスミレーズレジンシリーズ等が使用できる。本発明に係る離型層3のバインダーと硬化剤の混合比は、水溶性樹脂の活性基当量に対する硬化剤の反応基当量の当量比、水溶性樹脂と硬化剤の添加重量の固形分比が、0.05%≦(硬化剤/水溶性樹脂)≦2%の範囲にあることが、耐水性、耐溶剤性、箔切れ性に優れるので好ましい。上式の上限値を超えると箔切れ性が低下してしまうので好ましくなく、下限値を超えると、耐水性、耐溶剤性が低下するので好ましくない。
本発明において、保護層を転写する印画物に形成された画像が、太陽光等に含まれる紫外線によって、退色や変色するのを抑制するために、熱転写性保護層に紫外線遮断層を設けることが望ましい。紫外線遮断層は紫外線吸収剤を樹脂に含有させたインキを塗布し、成膜して形成される。使用する紫外線吸収剤としては、ベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、シュウ酸アニリド系化合物、シアノアクリレート系化合物、サリシレート系化合物等の有機系の紫外線吸収剤が使用可能であり、また亜鉛、チタン、セリウム、スズ、鉄等の酸化物の如き無機系の紫外線吸収能を有する微粒子を樹脂中に添加することができる。使用する樹脂としては、特に制限されず、あらゆる樹脂が使用可能であるが、例えば、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ウレタン樹脂、スチレン系樹脂、ハロゲン化ビニル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、ポリカーボネート樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、セルロース系樹脂、ポリエチレン等の炭化水素系樹脂、ポリビニルアルコールやポリビニルピロリドン等のビニル系樹脂及びこれらの共重合体等が挙げられる。また、紫外線遮断層を特別に設けず、前記の紫外線吸収剤を剥離層3、捺印・筆記性保護層4、または熱接着性樹脂層5に添加しても良い。
また、反応性紫外線吸収剤を樹脂に反応結合させた樹脂を単独または混合して剥離層3、捺印・筆記性保護層4、及び/又は、熱接着性樹脂層5に含有させたり、それら樹脂を紫外線遮断層として設けてもよい。上記の反応性紫外線吸収剤を樹脂に反応固定する方法としては、種々の方法が利用可能であるが、例えば従来公知のモノマー、オリゴマー、又は反応性重合体の樹脂成分と前記の如き付加重合性二重結合を有する反応性紫外線吸収剤とラジカル重合することにより、共重合体を得ることができる。また、反応性紫外線吸収剤が水酸基、アミノ基、カルボキシル基、エポキシ基イソシアネート基等を有する場合には、上記の官能基と反応性基を有する熱可塑性樹脂を使用し、必要に応じて触媒を用いて、熱等によって反応性紫外線吸収剤を熱可塑性樹脂に反応固定することができる。反応性紫外線吸収剤と共重合するモノマー成分としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、ターシャリーブチル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ラウリルトリデシル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、セリルステアリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、エチルヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、メタアクリル酸、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ターシャリーブチルアミノエチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、エチレンジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコール(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、デカエチレングリコール(メタ)アクリレート、ペンタデカエチレン(メタ)アクリレート、ペンタコンタヘクタエチレングリコール(メタ)アクリレート、ブチレンジ(メタ )アクリレート、アリール(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパン(メタアクリレート、へキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジメタアクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトニルヘキサ(メタ)アクリレート、1,6─へキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールペンタ(メタ)アクリレート、ホスファゼンヘキサ(メタ)アクリレート等が使用できる。
以上のような紫外線遮断層6は、図2に示すように、捺印・筆記性保護層4と熱接着性樹脂層5の間に、設けることが好ましい。紫外線遮断層6の形成方法は、前記吸水性層の形成方法と同じ方法でよく、その厚さは0.1μm〜5μm程度が好ましい。
本発明において、熱転写性保護層2を構成する熱接着性樹脂層5は、熱転写性保護層8を接着性よく印画面に転写するために形成することができる。
上記のような接着層を構成する樹脂と、必要に応じて、上記のような添加剤を加えた塗工液を塗布及び乾燥することによって、好ましくは乾燥状態で塗布量、0.5g/m2〜10g/m2で接着層を形成する。
また、本発明の保護層転写シートにおいて、図3に示すように、耐熱滑性層7は、耐熱性基材シート1の熱転写性保護層2を設けた反対側の面には、必要に応じてプリンタ一のサーマルヘッドや転写用熱板等との粘着を防止し、かつ滑り性を良くする目的で形成することができる。
上記のような熱転写受像シートに使用するシート基材としては、合成紙(ポリオレフィン系、ポリスチレン系等)、上質紙、アート紙、コート紙、キャストコート紙、壁紙、裏打ち用紙、合成樹脂溶液若しくはエマルジョン含浸紙、合成ゴムラテックス含浸紙、合成樹脂内添紙、板紙、その他セルロース繊維紙等の天然繊維紙、ポリオレフィンフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリスチレンフィルム、ポリメチルメタアクリレートフィルム、ポリカーボネートフィルム等の単層ないし多層シートを使用できる。
次に、画像が形成される被転写体としてカードを用いる場合の材料について説明する。本発明で使用するカード基材は、熱昇華性染料が染着される樹脂で構成されている。例えば、ポリオレフィンフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリスチレンフィルム、ポリメタアクリレートフィルム、ポリカーボネートフィルム等を使用することができる。更に、合成樹脂に白色顔料や充填剤を加えて成膜した白色不透明のフィルムないしシート、または発泡させた発泡シート等、合成紙(ポリオレフィン系、ポリスチレン系等)等が単体で使用でき、必要に応じて染料受容層を形成できる。また、染料受容層を設けた上質紙、アート紙、コート紙、キャストコート紙、壁紙、裏打ち用紙、合成樹脂溶液またはエマルジョン含浸紙、合成ゴムラテックス含浸紙、合成樹脂内添紙、板紙、その他セルロース繊維紙等も使用でき、上記のプラスティックフィルム等の任意の組合せによる積層体も使用できる。本発明における好ましいカード基材の一例は、白色顔料を含むポリ塩化ビニルシートの中心層の両面に透明なポリ塩化ビニル層が積層された構成を有しており、少なくとも画像形成面である透明塩化ビニル層には適当な量の可塑剤が含有されて染科の染着性が良好にされている。
〔剥離層用塗工液の組成〕
ポリビニルアルコール樹脂 1.08重量部
(C318 クラレ社製、数平均分子量:約80000)
コロイダルシリカ分散液 7.5重量部
(スノーテックスOL−40、日産化学社製、平均粒径:約20nm)
水分散系ポリエステル樹脂 0.2重量部
(バイロナールMD−1500、東洋紡社製)
硬化剤(スミレーズレジン5004 住友化学社製) 0.045重量部
イソプロピルアルコ−ル 18重量部
水 5重量部
〔多孔質層用塗工液の組成〕
ポリビニルアルコール樹脂12%溶液 0.24重量部
(C318 クラレ社製、数平均分子量:約80000)
コロイダルシリカ分散液 8重量部
(スノーテックスOL−40 日産化学社製、平均粒径:約20nm)
硬化剤(スミレーズレジン5004 住友化学社製) 0.1重量部
イソプロピルアルコ−ル 3重量部
水 1重量部
〔吸水性樹脂塗工液の組成〕
ポリビニルピロリドン樹脂 4重量部
(PVP K−90、ISPジャパン社製、重量平均分子量:約900000〜1500000)
アクリルポリオール 10重量部
(ダイヤナールLR209、三菱レイヨン社製)
ウレタンポリオール 3重量部
(サンプレンIB114、三洋化成社製)
メチルエチルケトン 40重量部
イソプロピルアルコ−ル 25重量部
〔熱接着性樹脂層塗工液の組成〕
ポリエステル樹脂 8重量部
(バイロン700、東洋紡社製)
アクリル樹脂 2重量部
(PUVA50M、大塚化学社製)
紫外線吸収剤 1重量部
(チヌビン900、チバ・スペシャリティケミカルズ)
メチルエチルケトン 40重量部
トルエン 40重量部
次に、三菱電機社製昇華転写型プリンタ−(MITUBISHI CP710)用の昇華熱転写方式の熱転写シートと、同プリンター用オーバーコートタイプの熱転写受像シートを用意して、当該熱転写受像シートの受容層と、昇華熱転写方式の熱転写シートの染料層面を重ね合わせて、三菱電機社製昇華転写型プリンタ−(MITUBISHI CP710)を用いて、環境温度45℃下で、ブラックのベタ画像の印画物を10枚連続で形成した。なお、受像シートの基材シートとして合成紙(ユポFRG−150、厚さ150ミクロン・王子油化合成紙製)を用い、その一方の面に下記の組成の染料受容層塗布液をバーコーターにより、乾燥時塗布量が4g/m2となるように塗布、乾燥して、染料受容層を形成し、熱転写受像シートを作製した。
〔染料受容層形成用塗布液〕
塩化ビニル─酢酸ビニル共重合体 20重量部
(電化ビニル1000A 電気化学社製)
エポキシ変性シリコーンオイル 1重量部
(X─22─2900T 信越化学社製)
メチルエチルケトン 40重量部
トルエン 40重量部
上記の方法により得られたブラックのベタ画像上に、上記で得られた実施例1の保護層転写シートを重ね合わせ、ブラックのベタ画像を形成したプリンターと同じプリンターを用いて、それぞれの熱転写性保護層を転写し、保護層付ブラックのベタ画像を形成した。その結果、実施例1の保護層転写シートは、上記の画像に転写する際、基材シートと、熱転写性保護層との箔切れ性に優れると共に、保存後、品質低下することなく、水性インキによる捺印性、水性ペンで筆記性、耐磨耗性、耐スクラッチ性等の耐久性、耐候性、耐薬品性、耐溶剤性等に優れる保護層を形成する印画物を得ることができた。
〔剥離層用塗工液の組成〕
ポリビニルアルコール樹脂 0.84重量部
(C318 クラレ社製、数平均分子量:約80000)
コロイダルシリカ分散液 7重量部
(スノーテックスOL−40、日産化学社製、平均粒径:約20nm)
水分散系ポリエステル樹脂 0.6重量部
(バイロナールMD−1500、東洋紡社製)
硬化剤(スミレーズレジン5004、住友化学社製) 0.015重量部
イソプロピルアルコ−ル 18重量部
水 5重量部
実施例1と同様の方法により得られたブラックのベタ画像上に、上記で得られた実施例3の保護層転写シートを重ね合わせ、ブラックのベタ画像を形成したプリンターと同じプリンターを用いて、それぞれの熱転写性保護層を転写し、保護層付ブラックのベタ画像を形成した。その結果、実施例3の保護層転写シートは、上記の画像に転写する際、基材シートと、熱転写性保護層との箔切れ性に優れると共に、保存後、品質低下することなく、水性インキによる捺印性、水性ペンで筆記性、耐磨耗性、耐スクラッチ性等の耐久性、耐水性、耐候性、耐薬品性、耐溶剤性等に優れる保護層を形成する印画物を得ることができた。
〔剥離層用塗工液の組成〕
ポリビニルアルコール樹脂 0.84重量部
(C318 クラレ社製、数平均分子量:約80000)
コロイダルシリカ分散液 7重量部
(スノーテックスOL−40 日産化学社製、平均粒径:約20nm)
水分散系ポリエステル樹脂 1.6重量部
(バイロナールMD−1500、東洋紡社製)
硬化剤(スミレーズレジン5004 住友化学社製) 0.015重量部
イソプロピルアルコ−ル 18重量部
水 5重量部
実施例1と同様の方法により得られたブラックのベタ画像上に、上記で得られた実施例3の保護層転写シートを重ね合わせ、ブラックのベタ画像を形成したプリンターと同じプリンターを用いて、それぞれの熱転写性保護層を転写し、保護層付ブラックのベタ画像を形成した。その結果、実施例3の保護層転写シートは、上記の画像に転写する際、基材シートと、熱転写性保護層との箔切れ性に優れると共に、保存後、品質低下することなく、水性インキによる捺印性、水性ペンで筆記性、耐磨耗性、耐スクラッチ性等の耐久性、耐水性、耐候性、耐薬品性、耐溶剤性等に優れる保護層を形成する印画物を得ることができた。
実施例1の剥離層用塗工液の塗工量を1.0g/m2にした以外は、実施例1と同様にして比較例1の保護層転写シートを形成した。
実施例1と同様の方法により得られたブラックのベタ画像上に、上記で得られた比較例1の保護層転写シートを重ね合わせ、ブラックのベタ画像を形成したプリンターと同じプリンターを用いて、それぞれの熱転写性保護層を転写し、保護層付ブラックのベタ画像を形成した。その結果、比較例1の保護層転写シートは、上記の画像に転写する際、基材シートと、熱転写性保護層との箔切れ性に劣るものであった。
実施例1の剥離層用塗工液の組成を下記の組成にした以外は、実施例1と同様にして比較例2の保護層転写シートを形成した。
〔剥離層用塗工液の組成〕
ポリビニルアルコール樹脂 0.84重量部
(C318 クラレ社製、数平均分子量:約80000)
コロイダルシリカ分散液 7重量部
(スノーテックスOL−40 日産化学社製、平均粒径:約20nm)
水分散系ポリエステル樹脂 2重量部
(バイロナールMD−1500、東洋紡社製)
イソプロピルアルコ−ル 18重量部
水 5重量部
実施例1と同様の方法により得られたブラックのベタ画像上に、上記で得られた比較例2の保護層転写シートを重ね合わせ、ブラックのベタ画像を形成したプリンターと同じプリンターを用いて、それぞれの熱転写性保護層を転写し、保護層付ブラックのベタ画像を形成した。その結果、比較例2の保護層転写シートは、上記の画像に転写する際、基材シートと、熱転写性保護層のステッキング等の保存後の性能に劣るものであった。
〔箔切れ性〕
実施例1〜4及び比較例1〜2の各保護層転写シートを用い、環境温度、40℃下で、熱転写性保護層を転写して得られた保護層付ブラックのベタ画像部分の表面を目視にて観察し、箔切れが均一になっているか、尾引きがないかを下記基準で評価し、その結果を表1に示す。
(評価基準)
◎:尾引きがなく、問題ないレベル
○:浮きのある尾引きがなく、問題ないレベル
△:浮きのある尾引きが1〜5枚有り
×:浮きのある尾引きが6〜10枚有り
〔耐水性〕
実施例1〜4及び比較例1〜2の各保護層転写シートを用いて得られた上記の熱転写画像記録体の保護層上に、水道水を含ませた綿棒(ピップトウキョウ社製、抗菌綿棒H101)を用い、10gの荷重をかけて10往復擦り、保護層付ブラックのベタ画像部の汚染性を目視にて観察し、下記の基準で評価を行い、その結果を表1に示す。
(評価基準)
○:ブラックのベタ画像部にダメージなく、問題なし
×:熱転写性保護層が擦り取られており、問題あり
〔保存安定性〕
実施例1〜4及び比較例1〜2の各保護層転写シートを小巻状態で40℃、環境湿度、90%に24時間保存した。その後、MITUBISHI CP710(三菱電機社製昇華転写型プリンタ)にて、環境温度、40℃、環境湿度、90%下で、10枚連続印画し、その保護層転写シートの裏面側に、サーマルヘッドの熱による融着、いわゆるスティッキングの発生の有無を確認し、熱転写性保護層を転写してブラックのベタ画像の上に形成された熱転写性保護層のざらつきを目視にて観察した。その結果を表1に示す。
(評価基準)
○:スティッキングが発生せず、表面にざらつきもみられず、問題なし
×:印画面にスティッキングを発生し、表面にざらつきもみられ、問題あり
2 熱転写性保護層
3 剥離層
4 捺印・筆記性保護層
5 熱接着性樹脂層
6 紫外線遮断層
7 耐熱滑性層
8 保護層転写シート
Claims (6)
- 基材シートの一方の面の少なくとも一部に、熱転写性保護層を備える保護層転写シートにおいて、当該熱転写性保護層が、熱転写後に吸水性を有するものであり、基材シート側から、少なくとも剥離層と、耐水性の多孔質層と吸水性樹脂とからなる捺印・筆記性保護層と、熱接着性樹脂層とを順次積層し、かつ、当該剥離層が、少なくとも水溶性樹脂と、微細粒子と、硬化剤と、水分散型高分子とからなり、かつ、当該剥離層の塗布量が、0.1g/m2以上、0.5g/m2以下の範囲にあり、かつ、水溶性樹脂と硬化剤の添加重量との固形分比が以下に示す範囲にあることを特徴とする保護層転写シート。
0.05%≦(硬化剤/水溶性樹脂)≦2% - 前記の剥離層における水分散型高分子の含有量が、2重量%〜10重量%の範囲で含有されていることを特徴とする請求項1に記載の保護層転写シート。
- 前記の熱転写性保護層中に紫外線を吸収する材料を含有することを持徴とする請求項1〜2のいずれかに記載の保護層熱転写シート。
- 前記の熱転写性保護層が、熱昇華性色材層、または熱溶融性色材層の少なくとも1層と、同一の基材シート上に面順次に形成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の保護層転写シート。
- 請求項1〜4のいずれかに記載される保護層熱転写シートにより熱転写性保護層を有する熱転写画像が被覆されていることを特徴とする印画物。
- 前記の印画物の熱転写性保護層上に水性インキが捺印可能であることを特徴とする請求項5に記載の印画物。
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