JP4074238B2 - 保護層転写シート及び印画物 - Google Patents

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Description

本発明は、剥離可能に保護層が設けられた保護層熱転写シート、及び、それを用いた印画物に関する。
更に詳しくは感熱転写記録方式によって形成された画像に対して捺印性や、水性ペン、万年筆等の筆記性を与え、箔切れ性、耐磨耗性、耐スクラッチ性、耐候性、耐薬品性、耐溶剤性等に優れる保護層転写シート、及び、それを用いた印画物に関する。
現在、簡便な印刷方法として熱転写記録方法が広く使用されている。熱転写記録方法は、各種画像を簡便に形成できるため、印刷枚数が比較的少なくても良い印刷物、例えば、身分証明書等のIDカードの作成や営業写真、或いはパーソナルコンピュータのプリンタや、ビデオプリンタ等において利用されている。
そして、使用される熱転写シートとしては、顔写真等の如くフルカラーの階調画像が好ましい場合は、連続した基材シート上に、インク層として、例えば、イエロー、マゼンタ、及びシアン(更に必要に応じてブラック)の各色材層を面順次に繰返し多数設けたものが使われている。
また、この様な熱転写シートは大別すると、加熱によって色材層が溶融軟化して色材層自身が被転写体、すなわち受像シートに転写移行する、いわゆる溶融転写タイプの熱転写シートと、感熱により色材層中の染料が昇華して染料が受像シートに移行する、いわゆる昇華タイプの熱転写シートとに分類される。
上記のような熱転写シートを使用して、身分証明書等を作製した場合、画像を保護する目的で、熱溶融性着色剤層あるいは熱昇華性染料の熱転写によって得られた画像上に、熱転写性樹脂層を有する保護層転写シートを積層させ、サーマルヘッドや加熱ロール等を用いて熱転写性樹脂層を転写させ、画像上に保護層を形成する方法が知られている。
この保護層を設けることによって、画像の耐摩擦性、耐薬品性、耐溶剤性等を向上させることができ、さらに保護層中に紫外線吸収剤等を添加することにより、耐光性を向上させることができる。
このような保護層熱転写シートとしては、基材シートの一方の面に少なくとも一部に熱転写性の保護層を備え、当該保護層が少なくともアクリル樹脂を主成分とする層、ポリエステル樹脂を主成分とする層をこの順に、基材シート上に設けた、少なくとも2層構成の積層体であることを特徴とする保護層熱転写シートを提供する技術が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
しかしながら、特許文献1に記載の保護層熱転写シートでは、熱転写画像が形成された印画紙の当該熱転写画像上に水性インクを使用して水性インク画像、例えば、割り印や各種スタンプ像を形成し、パスポートの顔写真等に使用する場合、水性インキを吸収、定着させることができないという欠点がある。
上記の課題を解決するための保護層熱転写フィルムとして、例えば、転写後に最表面を形成する吸水性表面層が、水性インキを吸収、定着させる層からなるものであり、吸水性表面層が、実質的に透明な多孔層であるか、または、少なくとも吸水性を有する吸水性微細領域と、耐水性を有する耐水性微細領域から成る部分吸水層であることを特徴とする保護層熱転写フィルムを提供する技術が開示されている(例えば、特許文献2参照)。
特開2002−240404号公報 特開平8−324140号公報 しかしながら、特許文献2に記載の保護層熱転写フィルムでは、吸水性を付与する目的で、熱転写性保護層における吸水性表面層を設けることによって、吸水性表面層の厚み分だけ熱転写性保護層の厚みが大きくなるため、通常の吸水性を付与しない保護層熱転写シートと比べて、熱転写の際、基材フィルムから箔切れ性が悪くなり、きれいに剥がれないという欠点がある。
本発明の課題は、感熱転写記録方式によって形成された画像に対して捺印性や、水性ペン、万年筆等の筆記性を与え、箔切れ性、耐磨耗性や耐スクラッチ性等の耐久性、耐候性、耐薬品性、耐溶剤性等に優れる保護層転写シート、及び、それを用いた印画物を提供する事である。
そこで、上記課題を解決すべく、本発明の保護層転写シートは、基材シートの一方の面の少なくとも一部に、熱転写性保護層を備える保護層転写シートにおいて、当該熱転写性保護層が、熱転写後に吸水性を有するものであり、基材シート側から、少なくとも剥離層と、耐水性の多孔質層と吸水性樹脂とからなる捺印・筆記性保護層と、熱接着性樹脂層とを順次積層し、かつ、当該剥離層が、少なくとも水溶性樹脂と、微細粒子と、硬化剤と、水分散型高分子とからなり、かつ、当該剥離層の塗布量が、0.1g/m2以上、0.5g/m2以下の範囲にあり、かつ、水溶性樹脂と硬化剤の添加重量との固形分比が以下に示す範囲にあることを特徴とする。
0.05%≦(硬化剤/水溶性樹脂)≦2%
また、本発明の保護層転写シートは、前記の剥離層における水分散型高分子の含有量が、2重量%〜10重量%の範囲で含有されていることを特徴とする。
また、本発明の保護層転写シートは、上記のいずれかの構成において、前記の熱転写性保護層中に紫外線を吸収する材料を含有することを持徴とする。
また、本発明の保護層転写シートは、上記のいずれかの構成において、前記の熱転写性保護層が、熱昇華性色材層、または熱溶融性色材層の少なくとも1層と、同一の基材シート上に面順次に形成されていることを特徴とする。
また、本発明の印画物は、上記のいずれかの本発明に係る保護層熱転写シートにより熱転写性保護層を有する熱転写画像が被覆されていることを特徴とする。
また、本発明の印画物は、上記の熱転写性保護層上に水性インキでの捺印が可能であることを特徴とする。
本発明によれば、剥離層の膜強度を向上させ、または、剥離層の膜厚を低減させることにより、基材シートと熱転写性保護層との箔切れ性、転写安定性に優れ、熱転写記録方式で画像に対して、元々は全く水性インキが定着しない印画物に、水性インキによる捺印性、筆記性を付与し、更に、耐磨耗性、耐スクラッチ性等の耐久性、耐候性、耐薬品性、耐溶剤性等に優れる保護層転写シート、およびそれを用いた印画物を得ることができる。
次に、本発明を実施の形態を挙げて更に詳細に説明する。図1は、本発明の保護層転写シート8である一実施例を説明する断面図であり、基材シート1の一方の面に熱転写性保護層2を基材シート1側から順に剥離層3と、耐水性を有する多孔質層と吸水性樹脂とからなる捺印・筆記性保護層4と、熱接着性樹脂層5とを積層した構成である。
本発明にかかる保護層転写シート8は、上記の実施形態において、当該剥離層が、少なくとも水溶性樹脂、微細粒子、硬化剤、水分散型高分子からなり、かつ、当該剥離層の塗布量が、0.1g/m2以上、0.5g/m2以下の範囲にあり、かつ、水溶性樹脂と硬化剤の添加重量との固形分比が以下に示す範囲にあるものである。
0.05%≦(硬化剤/水溶性樹脂)≦2%
このことによって、剥離層3の膜厚を薄くすることができ、箔切れ良く熱転写性保護層2を基材シートから剥離できる。
また、前記の剥離層における水分散型高分子の含有量が、2重量%〜10重量%の範囲で含有されているものである。このことによって、膜強度を向上させることができ、箔切れ良く熱転写性保護層2を基材シートから剥離できる。
また、着色剤によって形成された画像を有する熱転写画像の表面に、当該熱転写性保護層2が被覆されることにより、熱転写画像上に、水性インキが捺印でき、耐磨耗性、耐薬品性、耐溶剤性を兼ね備えた印画物を提供することができる。
図2は、本発明の保護層転写シート8である別の実施例を説明する断面図であり、基材シート1の一方の面に熱転写性保護層2を基材シート1側から順に剥離層3と、捺印・筆記性保護層4と、紫外線遮断層6と、熱接着性樹脂層5とを積層した構成である。本発明の保護層転写シート8によれば、上記の機能以外に、さらに太陽光等に含まれる紫外線による退色や変色を防止することができる。
図3は、本発明の保護層転写シート8であるまた別の実施例を説明する断面図であり、基材シート1の一方の面に耐熱滑性層7を有し、基材シート1の他方の面に、熱転写性保護層2を基材シート1側から順に剥離層3と、捺印・筆記性保護層4と、熱接着性樹脂層5とを形成した構成である。熱転写性保護層2を設けた反対側の面に、耐熱滑性層7を形成することによって、必要に応じてプリンタ一のサーマルヘッドや転写用熱板等との粘着を防止し、且つ、滑り性を良くすることができる。
以下、各層毎に更に詳述する。
〔基材シート〕
本発明の保護層熱転写シートに用いられている基材シート1としては、従来の熱転写シートに使用されている基材シートと同等のフィルム強度、耐熱性を有すれば、特に制限はない。具体的に、例えば、ポリエチレンテレフタレート樹脂等のポリエステル樹脂フィルム、ポリカーボネート樹脂フィルム、ポリアミド樹脂フィルム、ポリイミド樹脂フィルム、酢酸セルロース樹脂フィルム、ポリ塩化ビニリデン樹脂フィルム、ポリ塩化ビニル樹脂フィルム、ポリスチレン樹脂フィルム、フッ素樹脂フィルム、ポリプロピレン樹脂フィルム、ポリエチレン樹脂フィルム、アイオノマー等のプラスチックフィルムがあり、また、これらの2種以上を積層した複合フィルムないしシートなども使用できる。これらの基材シートの厚さは、その強度及び耐熱性が適切になるように材料に応じて適宜変更しているが、通常は1μm〜10μm程度が好ましい。
〔熱転写性保護層〕
本発明の熱転写性保護層2は、基材シート上の少なくとも一部に剥離可能で、また、水性インキによる捺印を施したり、水性ペンで筆記したりすることが可能で、更に、箔切れ性、耐磨耗性、耐候性、耐薬品性、耐溶剤性等に優れるものである。
上記の熱転写性保護層2は、少なくとも、剥離層3と、捺印・筆記性保護層4と、熱接着性樹脂層5とを順次形成して構成される。熱転写性保護層2の全体の厚さは、1.0μm〜5.0μm程度の範囲が、箔切れ性、吸水性、耐久性、透明性に優れるので好ましい。厚みが1.0μmより薄いと、耐磨耗性等の耐久性、吸水性が低下するので好ましくなく、5.0μmより厚いと透明性、箔切れ性が低下するので好ましくない。
〔剥離層〕
本発明に係る剥離層3は、熱転写の際、基材シート1と熱転写性保護層2との箔切れ性を有すると共に、被転写体へ保護層が転写後に最表面となるので、耐磨耗性等の耐久性と、吸水性能を有するものであることが必要であり、更に、耐候性、耐薬品性、耐溶剤性を有するものであることがより好ましい。具体的には、基材シート1からの箔切れ性と吸水性とを備える多孔質層から構成される。剥離層3を多孔層にすることによって、熱転写性保護層の表面に吸水性を持たせつつ、捺印・筆記性保護層へ浸透する水性インキ等の吸水量をある程度制御して吸水させることができるという利点を有する。
剥離層3としての多孔質層としては、水溶性樹脂からなるバインダー、微細粒子、及び、硬化剤、水分散型高分子を必須の構成成分とし、必要に応じて、分散剤、酸化防止剤、帯電防止剤等を添加してもよい。特に、水分散型高分子を添加することによって、耐熱性基材シートとの密着性を向上させることができ、その含有量としては、2重量%〜10重量%の範囲で含有することが好ましい。また、剥離層の乾燥状態での塗布量を0.1g/m2以上、0.5g/m2以下の範囲にあることによって、箔切れ性を向上させることができるという利点を有する。これに対して、剥離層の塗布量が、0.1g/m2より少ないと耐磨耗性等の耐久性が低下するので好ましくなく、0.5g/m2より多いと箔切れ性が低下するので好ましくない。
本発明に係る水分散系高分子としては、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリアクリル系樹脂および塩化ビニリデン系樹脂等を少なくとも1種類以上含む高分子材料等を使用できる。特に、本発明において、剥離層における水分散系高分子の構成樹脂と耐熱性基材シートの構成樹脂とを同じ樹脂とすることで、剥離層と耐熱性基材シートとの密着性が向上するのでより好ましい。また、前記の剥離層における水分散型高分子の含有量が、2重量%〜10重量%の範囲で含有されていることが、膜強度を向上させることにより、膜厚を0.1μm程度でも膜形成可能であるので、箔切れ性に優れるものであるため、好ましいものである。
前記の水分散型高分子の含有量が、2重量%未満であると、膜厚を0.1μm程度で膜形成することが難しいので好ましくなく、10重量%を超えると、保存後のスティッキング等の性能が低下するので好ましくない。
本発明に係るポリエステル系樹脂としては、二塩基酸とグリコールからなり、水に可溶、乳化または分散できるポリエステル系樹脂であり、当該酸成分とグリコール成分とが共重合されたポリエステル共重合体である。
酸成分としての二塩基酸としては、スルホン酸基含有ジカルボン酸と、その他のジカルボン酸等が挙げられる。スルホン酸基含有ジカルボン酸としては、スルホン酸金属塩含有ジカルボン酸等が挙げられる。スルホン酸金属塩含有ジカルボン酸としては、スルホテレフタル酸、5−スルホイソフタル酸、4−スルホフタル酸、4−スルホナフタレン−2,7−ジカルボン酸、5−〔4−スルホフェノキシ〕イソフタル酸等の金属塩(アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩等)が挙げられ、好ましくはナトリウムスルホテレフタル酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸である。
その他のジカルボン酸としては、スルホン酸金属塩を含まない通常ジカルボン酸であり、芳香族、脂肪族、脂環族の各ジカルボン酸等が挙げられる。芳香族ジカルボン酸としては、テレフタル酸、イソフタル酸、オルトフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸等が挙げられる。脂肪族ジカルボン酸としては、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸等が挙げられる。脂環族ジカルボン酸としては、1,3−シクロペンタンジカルボン酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸等が挙げられる。
グリコール成分としては、炭素数2〜8個の脂肪族グリコール(エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール等)、炭素数6〜12個の脂環族グリコール(1,2−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等)、および両者の混合物等が挙げられる他、芳香族グリコール(p−キシレングリコール等)、ポリアルキレンエーテルグリコール類(ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等)等が挙げられる。
上記のポリエステル共重合体は、通常の溶融重縮合によって得られる。例えば、上記ジカルボン酸成分およびグリコール成分を直接反応させ、水を留去してエステル化した後に重縮合を行う直接エステル化法、あるいはジカルボン酸成分のジメチルエステルとグリコール成分を反応させ、メチルアルコールを留去してエステル交換を行った後に重縮合を行うエステル交換法等によって得られる。この他に、溶液重縮合や界面重縮合等によっても共重合体が得られ、特に限定されるものではない。
前記の多孔層を形成する方法としては、バインダーを親溶媒である水や有機溶剤等に溶解して分散させ、これを塗布・乾燥することによって形成することかできる
このような剥離層3を形成する方法としては、上記の樹脂を使用して、グラビアコート、、グラビアリバースコート、ロールコート、その他多くの塗布方法で形成することかできる。
〔バインダー〕
本発明に係る剥離層3を構成するバインダーは、熱転写後に吸水性を付与する目的で、水溶性樹脂を用いることが必要である。具体的に、ポリビニルアルコール(PVA)系樹脂、水溶性ポリエステル系樹脂、アルキルビニルエーテル樹脂、マレイン酸共重合体樹脂、ポリビニルピロリドン系樹脂、セルロース系樹脂、水溶性アルキッド樹脂、非セルロース系水溶性多糖類等を使用することができ、中でもポリビニルアルコール系樹脂を使用することが、熱転写製保護層により優れた捺印適性を付与することができるので好ましい。更に、バインダーと同じ樹脂を使用することにより、基材シートとの箔切れ性、熱転写性保護層中の吸水性層との密着性、吸水性能に優れるので好ましい。前記のバインダーの数平均分子量としては、10000〜90000の範囲にあることが、熱転写の際、基材シート1と熱転写性保護層2との箔切れ性に優れるので好ましいものである。バインダーの数平均分子量が90000を超えると、箔切れ性が低下するので好ましくない。
〔硬化剤〕
本発明に係るバインダーである水溶性樹脂の活性官能基と反応する硬化剤としては、活性官能基と反応する硬化剤との硬化形態により、耐水性、耐溶剤性を付与すると共に、水溶性樹脂の分子量を制御して箔切れ性を向上させる目的で使用する。硬化剤としては、例えば、ポリアミド樹脂系のスミレーズレジン5004に代表される住友化学社製のスミレーズレジンシリーズ等が使用できる。
本発明に係る剥離層3のバインダーと硬化剤の混合比は、水溶性樹脂と硬化剤の添加重量との固形分比が0.05%≦(硬化剤/水溶性樹脂)≦2%の範囲にあることが、耐水性、耐溶剤性、箔切れ性に優れるので好ましい。硬化剤の添加量が上限値を超えると、箔切れ性が低下し、下限値を超えると耐水性、耐溶剤性が低下するので好ましくない。
〔微細粒子〕
本発明に係る剥離層3を構成する微細粒子は、これを水や有機溶媒に分散させて、塗布乾燥させることによって、多孔層を形成する目的で使用するものである。微細粒子の形状としては、球状、針状、無定形等どのような形状でも良いが、特に、球状粒子を用いることが、その粒子径をできる限り均一にでき、空隙率が高くなり、吸水性能を向上させることができるのでより好ましい。微細粒子の形状が不均一な場合、空隙率が低下してしまい、吸水性能が低下してしまうため好ましくない。また、前記の微細粒子の平均粒子径、0.3μm以下であることが、透明な性能を維持するために好ましく、0.1μm以下であることがより好ましい。0.3μmより大きな平均粒子径の微細粒子であると、その透明性を維持することが困難となってしまい好ましくない。
前記の微細粒子を形成する材料は、透明である限り、有機,無機いずれのタイプでも良く、有機微細粒子として、例えば、アクリル系微細粒子、セルロース系微細粒子、非セルロース系多糖類微細粒子等が挙げられ、無機微細粒子として、例えば、シリカあるいはその変成物の微粒子、アルミナゾル、その他の金属や金属酸化物の微粒子を使用できる。特に、コロイダルシリカが、粒子自体の耐溶剤性が高く、粒子表面に親水性基を有する微細粒子であるため好ましい。コロイダルシリカとしては、例えば、日産化学社製スノーテックスシリーズ、触媒化成工業社製カタロイドシリーズ等が好ましく使用できる。
コロイダルシリカ添加量としては、バインダーが水溶性樹脂の場合、混合比、1/30≦水溶性樹脂/コロイダルシリカ≦1/3(重量比)の範囲にあることによって、捺印・筆記性保護層へ浸透する水性インキ等の吸水量をある程度制御して吸水させることができ、また、耐摩擦性等の耐久性を兼ね備えるので好ましい。この混合比が1/30より小さいと、バインダーとしての効果が不十分となるので好ましくなく、混合比が1/3より大きいと、多孔質構造を形成することができなくなり、吸水性が低下するので好ましくない。
〔水分散型高分子〕
本発明に係る剥離層3に含有する水分散型高分子は、基材シートとの箔持ち性を向上させる目的で使用するものである。具体的には、例えば、ポリエステル樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリアクリル系樹脂および塩化ビニリデン系樹脂等を少なくとも1種類以上含む高分子材料等を使用でき、基材シートの樹脂成分との箔持ち性の良好な樹脂を選択することが好ましい。本発明で用いられる水分散型高分子としては、水に可溶、乳化または分散できる高分子である。水分散型ポリエステル樹脂としては、例えば、東洋紡社製バイロナール等が好ましく使用できる。
〔捺印・筆記性保護層〕
次に、本発明に係る捺印・筆記性保護層4は、耐水性の多孔質層と吸水性樹脂とからなるものである。
〔吸水性樹脂〕
本発明に係る捺印・筆記性保護層4を構成する吸水性樹脂の材料は、吸水性を有する材料であれば特に制限はなく、どのような材料によって形成しても良いが、具体的には、アクリルポリオール樹脂、ウレタンポリオール樹脂、メチルセルロースやカルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等のセルロース系樹脂、ポリビニルピロリドン樹脂やアルキルビニルエーテル、ポリマレイン酸共重合体樹脂,水溶性ポリエステル樹脂、ポリビニルアルコール樹脂等の合成高分子、ポリリン酸ソーダ等の無機高分子寒天やアルギン酸ソーダ等の海草抽出物、アラビアゴムやトロロアオイ等の植物粘物質、カゼインやゼラチン等の動物性蛋白、プルランやデキストラン等の発酵粘物質、デンプン及びデンプン質等の水溶性の材料を使用することができる。また、吸水性樹脂の重量平均分子量としては、6000〜1500000の範囲にあることが、箔切れ性に優れるので好ましいものである。吸水性樹脂の重量平均分子量が1500000を超えると、箔切れ性が低下するので好ましくなく、6000未満であると、熱転写性保護層の耐水性が低下するので好ましくない。
〔多孔質層〕
本発明に係る捺印・筆記性保護層4を構成する耐水性の多孔質層は、剥離層3を通過して浸透する水性インキ等を吸水性樹脂と共に保持することを目的とする。前記の多孔質層の材料は、バインダーと、微細粒子と、硬化剤を必須の構成成分とし、必要に応じて、分散剤を添加してもよい。吸水性能を有するものであることが必要であり、更に、耐候性、耐薬品性、耐水性、耐溶剤性を有するものであることがより好ましい。本発明に係る多孔層を構成するバインダー、及び、硬化剤、分散剤としては、剥離層3に用いるものと同様の材料を用いることができ、微細粒子も、剥離層3に用いる微細粒子と同様の形状、平均粒子径、構成材料、添加量を使用できる。
前記の多孔層を形成する方法としては、バインダーと硬化剤を親溶媒(水や有機溶剤等)に溶解して混合し、これを塗布・乾燥することによって形成することかできる。このような多孔層を形成する方法としては、上記の樹脂を使用して、グラビアコート、グラビアリバースコート、ロールコート、その他多くの塗布方法で形成することかできる。
〔バインダー〕
本発明に係る多孔層を構成するバインダーは、水溶性樹脂を用い、更に、硬化剤を添加して、耐水性、耐溶剤性を持たせることが必要である。
中でも、バインダーとしては、ポリビニルアルコール系樹脂を使用し、硬化剤としては、例えば、ポリアミド樹脂系樹脂を使用することが、捺印適性向上のため好ましい。
前記のバインダーの数平均分子量としては、10000〜80000の範囲にあることが、熱転写の際、吸水性、箔切れ性に優れるので好ましいものである。
バインダーの数平均分子量が80000を超えると、箔切れ性が低下するので好ましくなく、10000未満であると、熱転写性保護層の耐水性が低下するので好ましくない。
〔硬化剤〕
本発明に係る多孔層である水溶性樹脂の活性官能基と反応する硬化剤としては、活性官能基と反応する硬化剤との硬化形態により、耐水性、耐溶剤性を付与すると共に、水溶性樹脂の分子量を制御して箔切れ性を向上させる目的で使用する。硬化剤としては、例えば、ポリアミド樹脂系のスミレーズレジン5004に代表される住友化学社製のスミレーズレジンシリーズ等が使用できる。本発明に係る離型層3のバインダーと硬化剤の混合比は、水溶性樹脂の活性基当量に対する硬化剤の反応基当量の当量比、水溶性樹脂と硬化剤の添加重量の固形分比が、0.05%≦(硬化剤/水溶性樹脂)≦2%の範囲にあることが、耐水性、耐溶剤性、箔切れ性に優れるので好ましい。上式の上限値を超えると箔切れ性が低下してしまうので好ましくなく、下限値を超えると、耐水性、耐溶剤性が低下するので好ましくない。
〔紫外線遮断層〕
本発明において、保護層を転写する印画物に形成された画像が、太陽光等に含まれる紫外線によって、退色や変色するのを抑制するために、熱転写性保護層に紫外線遮断層を設けることが望ましい。紫外線遮断層は紫外線吸収剤を樹脂に含有させたインキを塗布し、成膜して形成される。使用する紫外線吸収剤としては、ベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、シュウ酸アニリド系化合物、シアノアクリレート系化合物、サリシレート系化合物等の有機系の紫外線吸収剤が使用可能であり、また亜鉛、チタン、セリウム、スズ、鉄等の酸化物の如き無機系の紫外線吸収能を有する微粒子を樹脂中に添加することができる。使用する樹脂としては、特に制限されず、あらゆる樹脂が使用可能であるが、例えば、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ウレタン樹脂、スチレン系樹脂、ハロゲン化ビニル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、ポリカーボネート樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、セルロース系樹脂、ポリエチレン等の炭化水素系樹脂、ポリビニルアルコールやポリビニルピロリドン等のビニル系樹脂及びこれらの共重合体等が挙げられる。また、紫外線遮断層を特別に設けず、前記の紫外線吸収剤を剥離層3、捺印・筆記性保護層4、または熱接着性樹脂層5に添加しても良い。
また、反応性紫外線吸収剤を樹脂に反応結合させた樹脂を単独または混合して剥離層3、捺印・筆記性保護層4、及び/又は、熱接着性樹脂層5に含有させたり、それら樹脂を紫外線遮断層として設けてもよい。上記の反応性紫外線吸収剤を樹脂に反応固定する方法としては、種々の方法が利用可能であるが、例えば従来公知のモノマー、オリゴマー、又は反応性重合体の樹脂成分と前記の如き付加重合性二重結合を有する反応性紫外線吸収剤とラジカル重合することにより、共重合体を得ることができる。また、反応性紫外線吸収剤が水酸基、アミノ基、カルボキシル基、エポキシ基イソシアネート基等を有する場合には、上記の官能基と反応性基を有する熱可塑性樹脂を使用し、必要に応じて触媒を用いて、熱等によって反応性紫外線吸収剤を熱可塑性樹脂に反応固定することができる。反応性紫外線吸収剤と共重合するモノマー成分としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、ターシャリーブチル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ラウリルトリデシル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、セリルステアリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、エチルヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、メタアクリル酸、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ターシャリーブチルアミノエチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、エチレンジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコール(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、デカエチレングリコール(メタ)アクリレート、ペンタデカエチレン(メタ)アクリレート、ペンタコンタヘクタエチレングリコール(メタ)アクリレート、ブチレンジ(メタ )アクリレート、アリール(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパン(メタアクリレート、へキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジメタアクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトニルヘキサ(メタ)アクリレート、1,6─へキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールペンタ(メタ)アクリレート、ホスファゼンヘキサ(メタ)アクリレート等が使用できる。
また、上記の物質はモノマーに限らずオリゴマーとして使用してもよく、更に上記の物質の重合体またはその誘導体からなるポリエステルアクリレート系、エポキシアクリレート系等のアクリル系反応性重合体も使用可能である。これらのモノマー、オリゴマー、アクリル系反応性重合体は、単独でも混合して用いてもよい。
以上のような熱可塑性樹脂のモノマー、オリゴマー、またはアクリル系反応性重合体と反応性紫外線吸収剤とを共重合することにより、反応性紫外線吸収剤を反応固定した熱可塑性の共重合樹脂が得られるが、この共重合性樹脂中には10〜90重量%、好ましくは30〜70重量%の反応性紫外線吸収剤を含有していることか望ましい。含有量がこれより少ないと満足できる耐光性が得難く、これより大きくなると塗布時のベトつきや、染料画像への接着時の画像のにじみ等の問題を生じる等の問題がある。また、この共重合樹脂の分子量は5000〜50000程度が好ましく、更には9000〜40000程度が良い。分子量が5000未満であると、皮膜強度に劣るため、保護層として十分な強靭性が得られない。また、50000を越えると粘度が上がり、取扱いが煩雑になるという問題がある。また箔切れに悪影響を与えるので好ましくない。本発明の紫外線遮断層は、上記のような反応性紫外線吸収剤を反応結合させてなる樹脂をから形成することができるが、この層は前記の樹脂単独で形成してもよいし、必要であれば他の樹脂を混合してもよい。
前記の紫外線遮断層6を、捺印・筆記性保護層4の上に形成して、接着性が悪い場合には、プライマー層を形成することができる。
かかるプライマー層を形成する樹脂としては、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリオール樹脂、及びこれらの樹脂とイソシアネート類との反応物等を使用することができる。
使用するイソシアネート類としては、ジイソシアネート化合物、トリイソシアネート化合物等を使用することができる。
前記のプライマー層は、厚さ、0.1μm〜10μmの範囲となるように形成することが好ましい。
以上のような紫外線遮断層6は、図2に示すように、捺印・筆記性保護層4と熱接着性樹脂層5の間に、設けることが好ましい。紫外線遮断層6の形成方法は、前記吸水性層の形成方法と同じ方法でよく、その厚さは0.1μm〜5μm程度が好ましい。
〔熱接着性樹脂層〕
本発明において、熱転写性保護層2を構成する熱接着性樹脂層5は、熱転写性保護層8を接着性よく印画面に転写するために形成することができる。
この熱接着性樹脂層5には、例えば、アクリル系樹脂、塩化ビニル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、塩化ビニル─酢酸ビニル共重合樹脂、スチレン─アクリル共重合樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂等の樹脂を用いることができる。
これらの樹脂の1種または2種以上を溶液、あるいはエマルジョンなど塗布可能な形にしたものを、前記透明性樹脂層で挙げた塗布方法の中から適した方法をそれぞれ選択して、塗布、乾燥することにより形成できる。
熱接着性樹脂層5の厚さは、0.1μm〜5μm程度が好ましい。
前記の熱接着性樹脂層5は、上記のような樹脂と、ベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、シュウ酸アニリド系化合物、シアノアクリレート系化合物、サリシレート系化合物等の有機系の紫外線吸収剤や、また亜鉛、チタン、セリウム、スズ、鉄等の酸化物の如き無機系の紫外線吸収能を有する微粒子の添加剤を加えることができる。また、添加剤として、着色顔料、白色顔料、体質顔料、充填剤、帯電防止剤、酸化防止剤、蛍光増白剤等も適宜、必要に応じて使用することができる。
上記のような接着層を構成する樹脂と、必要に応じて、上記のような添加剤を加えた塗工液を塗布及び乾燥することによって、好ましくは乾燥状態で塗布量、0.5g/m2〜10g/m2で接着層を形成する。
〔耐熱滑性層〕
また、本発明の保護層転写シートにおいて、図3に示すように、耐熱滑性層7は、耐熱性基材シート1の熱転写性保護層2を設けた反対側の面には、必要に応じてプリンタ一のサーマルヘッドや転写用熱板等との粘着を防止し、かつ滑り性を良くする目的で形成することができる。
耐熱滑性層7の材料としては、ブチラール樹脂等をイソシアネート化合物で硬化した樹脂、シリコーン樹脂等がそのまま使用でき、塗布量、0.1g/m2〜5g/m2程度で使用できる。
また、耐熱滑性層7は必要に応じてプライマー層を介して設けてもよい。
次に、本発明において、上記のような熱転写性保護層2は、基材シート1の上に単独で設けて熱転写性保護層2のみの転写フィルムとしてもよいが、例えば、イエロー、マゼンタ、シアンの熱昇華性染料インキ層やブラックの熱溶融型転写インキ層(カーボンブラック含有)の熱転写インキ層を面順次に配列して設け、熱転写インキ層と熱転写性保護層2とが同一基材に配置された一体型の熱転写シートとしてもよい。
一体型の転写フィルムとする場合、版のパターンは特に限定されないが、例えば下記のような層パターンを面順次に繰り返し設けた転写フィルムが挙げられる。(以下、色の表示について、イエローはYe、マゼンタはMg、シアンはCy、ブラックはBkと略記する。)(1)Ye染料層、Mg染料層、Cy染料層、熱転写性保護層(2)Ye染料層、Mg染料層、Cy染料層、Bk染料層、熱転写性保護層(3)Ye染料層、Mg染料層、Cy染料層、Bk溶融インキ層、熱転写性保護層(4)Bk染料層、熱転写性保護層(5)Bk溶融インキ層、熱転写性保護層これらの版パターンにおいて、Bk染料層、Bk溶融インキ層、熱転写性保護層の大きさは、他の層に比べて大きく形成されていてもよい。
また、各層を検出する検知マークは、各層の何処に設けてもよく、例えば、各層領域の頭、或いは先頭色の頭に設けることができる。
また、上記のようなインキ層と熱転写性保護層とが一体型の転写シートにおいては、これらを所定のパターンで位置を合わせて刷り重ねる必要があるため、これらの各層には蛍光増白剤などの添加剤を加えておき、紫外線照射などにより、目視、或いは機械検知による位置合わせを容易にすることができる。また、上記の熱転写インキ層に関して、使用するインキの材質および基材シート面に設ける方法などについては、従来公知の熱転写シートに用いたインキや方法をそのまま使用することかできる。
以上のような保護層熱転写フィルムを用いて保護する画像は、通常は、熱昇華型転写方法、及び/又は、熱溶融型転写方法により形成された画像であるが、特に、熱昇華型転写による画像に適用する場合には、当該画像に保護層が形成されると共に、転写時の熱によって画像を形成している染料が再発色処理されるので、画像が一層鮮明になるという効果がある。
また、熱昇華型転写画像、及び/又は、溶融型熱転写画像は、熱昇華型のインキ層を有する熱転写シート、熱溶融型インキ層を有する熱転写シート、または、本発明の保護層熱転写シートを用いてポリエステル樹脂や塩化ビニル樹脂、塩化ビニル─酢酸ビニル共重合樹脂、ポリカーボネート等のプラスチックシートを基材とする受像シートやカード基材、或いは、染料受容性のある樹脂層(受容層)を後述する基材シート上に設けた熱転写受像シートやこれらの樹脂類からなるフィルム、シート、成形物に形成され、本発明の印画物を構成する。染料受容性のある樹脂としては、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等のハロゲン化樹脂、ポリ酢酸ビニル、各種ポリアクリレート等のビニル系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂、ポリスチレンまたはその共重合体等のポリスチレン系樹脂、ポリアミド系樹脂、エチレンやプロピレン等のオレフィンと他のビニルモノマーとの共重合体系樹脂、そして、アイオノマー、セルロースジアセテート、セルローストリアセテート等のセルロース系樹脂、ポリカーボネートなどが挙げられ、これらの樹脂層中に、保護層熱転写シートとの融着を防止するためにシリコーンオイル等の離型剤を添加してもよい。その受容層の形成方法としては、コーティング法、サーマルヘッドや熱ロール等による熱転写でも良い。
なお、シート基材自体が染料の受容性を有していれば、受容層を設ける必要が無い。
上記のような熱転写受像シートに使用するシート基材としては、合成紙(ポリオレフィン系、ポリスチレン系等)、上質紙、アート紙、コート紙、キャストコート紙、壁紙、裏打ち用紙、合成樹脂溶液若しくはエマルジョン含浸紙、合成ゴムラテックス含浸紙、合成樹脂内添紙、板紙、その他セルロース繊維紙等の天然繊維紙、ポリオレフィンフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリスチレンフィルム、ポリメチルメタアクリレートフィルム、ポリカーボネートフィルム等の単層ないし多層シートを使用できる。
〔カード基材〕
次に、画像が形成される被転写体としてカードを用いる場合の材料について説明する。本発明で使用するカード基材は、熱昇華性染料が染着される樹脂で構成されている。例えば、ポリオレフィンフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリスチレンフィルム、ポリメタアクリレートフィルム、ポリカーボネートフィルム等を使用することができる。更に、合成樹脂に白色顔料や充填剤を加えて成膜した白色不透明のフィルムないしシート、または発泡させた発泡シート等、合成紙(ポリオレフィン系、ポリスチレン系等)等が単体で使用でき、必要に応じて染料受容層を形成できる。また、染料受容層を設けた上質紙、アート紙、コート紙、キャストコート紙、壁紙、裏打ち用紙、合成樹脂溶液またはエマルジョン含浸紙、合成ゴムラテックス含浸紙、合成樹脂内添紙、板紙、その他セルロース繊維紙等も使用でき、上記のプラスティックフィルム等の任意の組合せによる積層体も使用できる。本発明における好ましいカード基材の一例は、白色顔料を含むポリ塩化ビニルシートの中心層の両面に透明なポリ塩化ビニル層が積層された構成を有しており、少なくとも画像形成面である透明塩化ビニル層には適当な量の可塑剤が含有されて染科の染着性が良好にされている。
印画物の染料受容面には、更に、着色顔料、白色顔料、体質顔料、充填剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、熱安定剤、酸化防止剤、蛍光増白剤等も任意に使用することができる。また、熱転写画像記録体を構成するカード基材には、予めその面に必要な磁気記録層やエンボス模様、他の印刷模様、光メモリー、ICメモリー、バーコード等を形成しておいてもよいし、また、昇華転写方式等により顔写真等の情報を形成前後にこれらの磁気記録層等を設けてもよい。更にカードには、エンボス、サイン、ICメモリー、磁気層、ホログラム、その他の印刷等を設けることもでき、保護層転写後にエンボス、サイン、磁気層等を設けることもできる。上記カード基材上に設けられる顔写真は、本発明の昇華型の熱転写シートを用いて形成することができる。また、同時に昇華型の熱転写シートで文字、バーコード等の情報も形成できるが、これらの情報は、高濃度の黒色印字が可能な熱溶融インキ型の熱転写シートを用いて形成することが好ましい。
受像シートやカード等に熱転写シートを用いてサーマルプリンターによってカラ一画像及び/又は文字画像を形成し、その上に本発明の保護層転写シートを用いて、熱転写性保護層を転写して保護層を形成するか、熱転写インキ層を有する本発明の保護層転写シートを用いる。転写に際しては、サーマルプリンターは、昇華転写用、溶融転写用、保護層転写用というように別々に転写条件を設定してもよいし、また、共通のプリンターでそれぞれ印字エネルギーを適切に調整して行ってもよい。尚、本発明の保護層熱転写フィルムでは、加熱手段としてサーマルプリンターに限定されず、その他熱板、ホットスタンパー、熱ロール、ラインヒーター、アイロン等でも転写できる。また、熱転写性保護層は、形成された画像の全面に転写してもよいし、特定の部分のみに転写してもよい。
本発明にかかる保護層転写シートを使用して熱転写して、IDカード、身分証明書、免許証等のカード類として使用でき、元々は全く水性インキが定着しない熱転写画像記録体に、水性インキによる捺印を施したり、水性ペンで筆記したりすることが可能であると共に、基材シートと、熱転写性保護層との箔切れ性、転写安定性に優れ、更に、耐磨耗性、耐スクラッチ性等の耐久性、耐候性、耐薬品性、耐溶剤性等に優れるものである。
次に実施例及び比較例を挙げて本発明を更に具体的に説明する。厚み、5.2μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(PET)基材シートとし、その一方の面に耐熱滑性層として、シリコーン樹脂からなる耐熱滑性層用塗工液を乾燥時0.7g/m2になるように、グラビアコート法により塗工し、もう一方の面に下記の組成の剥離層用塗工液を乾燥時0.5g/m2になるように、塗工し、乾燥して剥離層を形成し、更にその上に下記の組成の多孔質層用塗工液をグラビアコート法により乾燥時2.0g/m2になるように塗布し、乾燥して多孔質層を形成し、更にその上に下記の組成の吸水性樹脂用塗工液をグラビアコート法により乾燥時0.5g/m2になるように塗布し、多孔質層に染み込ませ、空隙に浸透させ、捺印・筆記性保護層を形成した。また、捺印・筆記性保護層の上に、下記の組成の熱接着性樹脂層用塗工液を用いて同様にして乾燥時1.2g/m2 となるように塗布、乾燥して熱接着性樹脂層を形成して、層構成、熱接着性樹脂層5/捺印・筆記性保護層4/剥離層3/基材シート1/耐熱滑性層7からなる本発明にかかる実施例1の保護層転写シートを得た。
〔剥離層用塗工液の組成〕
ポリビニルアルコール樹脂 1.08重量部
(C318 クラレ社製、数平均分子量:約80000)
コロイダルシリカ分散液 7.5重量部
(スノーテックスOL−40、日産化学社製、平均粒径:約20nm)
水分散系ポリエステル樹脂 0.2重量部
(バイロナールMD−1500、東洋紡社製)
硬化剤(スミレーズレジン5004 住友化学社製) 0.045重量部
イソプロピルアルコ−ル 18重量部
水 5重量部
〔多孔質層用塗工液の組成〕
ポリビニルアルコール樹脂12%溶液 0.24重量部
(C318 クラレ社製、数平均分子量:約80000)
コロイダルシリカ分散液 8重量部
(スノーテックスOL−40 日産化学社製、平均粒径:約20nm)
硬化剤(スミレーズレジン5004 住友化学社製) 0.1重量部
イソプロピルアルコ−ル 3重量部
水 1重量部
〔吸水性樹脂塗工液の組成〕
ポリビニルピロリドン樹脂 4重量部
(PVP K−90、ISPジャパン社製、重量平均分子量:約900000〜1500000)
アクリルポリオール 10重量部
(ダイヤナールLR209、三菱レイヨン社製)
ウレタンポリオール 3重量部
(サンプレンIB114、三洋化成社製)
メチルエチルケトン 40重量部
イソプロピルアルコ−ル 25重量部
〔熱接着性樹脂層塗工液の組成〕
ポリエステル樹脂 8重量部
(バイロン700、東洋紡社製)
アクリル樹脂 2重量部
(PUVA50M、大塚化学社製)
紫外線吸収剤 1重量部
(チヌビン900、チバ・スペシャリティケミカルズ)
メチルエチルケトン 40重量部
トルエン 40重量部
次に、三菱電機社製昇華転写型プリンタ−(MITUBISHI CP710)用の昇華熱転写方式の熱転写シートと、同プリンター用オーバーコートタイプの熱転写受像シートを用意して、当該熱転写受像シートの受容層と、昇華熱転写方式の熱転写シートの染料層面を重ね合わせて、三菱電機社製昇華転写型プリンタ−(MITUBISHI CP710)を用いて、環境温度45℃下で、ブラックのベタ画像の印画物を10枚連続で形成した。なお、受像シートの基材シートとして合成紙(ユポFRG−150、厚さ150ミクロン・王子油化合成紙製)を用い、その一方の面に下記の組成の染料受容層塗布液をバーコーターにより、乾燥時塗布量が4g/m2となるように塗布、乾燥して、染料受容層を形成し、熱転写受像シートを作製した。
〔染料受容層形成用塗布液〕
塩化ビニル─酢酸ビニル共重合体 20重量部
(電化ビニル1000A 電気化学社製)
エポキシ変性シリコーンオイル 1重量部
(X─22─2900T 信越化学社製)
メチルエチルケトン 40重量部
トルエン 40重量部
上記の方法により得られたブラックのベタ画像上に、上記で得られた実施例1の保護層転写シートを重ね合わせ、ブラックのベタ画像を形成したプリンターと同じプリンターを用いて、それぞれの熱転写性保護層を転写し、保護層付ブラックのベタ画像を形成した。その結果、実施例1の保護層転写シートは、上記の画像に転写する際、基材シートと、熱転写性保護層との箔切れ性に優れると共に、保存後、品質低下することなく、水性インキによる捺印性、水性ペンで筆記性、耐磨耗性、耐スクラッチ性等の耐久性、耐候性、耐薬品性、耐溶剤性等に優れる保護層を形成する印画物を得ることができた。
実施例1の剥離層用塗工液の塗工量を0.25g/m2にした以外は、実施例1と同様にして実施例2の保護層転写シートを形成した。
実施例1と同様の方法により得られたブラックのベタ画像上に、上記で得られた実施例2の保護層転写シートを重ね合わせ、ブラックのベタ画像を形成したプリンターと同じプリンターを用いて、それぞれの熱転写性保護層を転写し、保護層付ブラックのベタ画像を形成した。その結果、実施例2の保護層転写シートは、上記の画像に転写する際、基材シートと、熱転写性保護層との箔切れ性に優れると共に、保存後、品質低下することなく、水性インキによる捺印性、水性ペンで筆記性、耐磨耗性、耐スクラッチ性等の耐久性、耐候性、耐薬品性、耐水性、耐溶剤性等に優れる保護層を形成する印画物を得ることができた。
実施例1の剥離層用塗工液の組成を下記の組成にした以外は、実施例1と同様にして実施例3の保護層転写シートを形成した。
〔剥離層用塗工液の組成〕
ポリビニルアルコール樹脂 0.84重量部
(C318 クラレ社製、数平均分子量:約80000)
コロイダルシリカ分散液 7重量部
(スノーテックスOL−40、日産化学社製、平均粒径:約20nm)
水分散系ポリエステル樹脂 0.6重量部
(バイロナールMD−1500、東洋紡社製)
硬化剤(スミレーズレジン5004、住友化学社製) 0.015重量部
イソプロピルアルコ−ル 18重量部
水 5重量部
実施例1と同様の方法により得られたブラックのベタ画像上に、上記で得られた実施例3の保護層転写シートを重ね合わせ、ブラックのベタ画像を形成したプリンターと同じプリンターを用いて、それぞれの熱転写性保護層を転写し、保護層付ブラックのベタ画像を形成した。その結果、実施例3の保護層転写シートは、上記の画像に転写する際、基材シートと、熱転写性保護層との箔切れ性に優れると共に、保存後、品質低下することなく、水性インキによる捺印性、水性ペンで筆記性、耐磨耗性、耐スクラッチ性等の耐久性、耐水性、耐候性、耐薬品性、耐溶剤性等に優れる保護層を形成する印画物を得ることができた。
実施例1の剥離層用塗工液の組成を下記の組成にした以外は、実施例1と同様にして実施例4の保護層転写シートを形成した。
〔剥離層用塗工液の組成〕
ポリビニルアルコール樹脂 0.84重量部
(C318 クラレ社製、数平均分子量:約80000)
コロイダルシリカ分散液 7重量部
(スノーテックスOL−40 日産化学社製、平均粒径:約20nm)
水分散系ポリエステル樹脂 1.6重量部
(バイロナールMD−1500、東洋紡社製)
硬化剤(スミレーズレジン5004 住友化学社製) 0.015重量部
イソプロピルアルコ−ル 18重量部
水 5重量部
実施例1と同様の方法により得られたブラックのベタ画像上に、上記で得られた実施例3の保護層転写シートを重ね合わせ、ブラックのベタ画像を形成したプリンターと同じプリンターを用いて、それぞれの熱転写性保護層を転写し、保護層付ブラックのベタ画像を形成した。その結果、実施例3の保護層転写シートは、上記の画像に転写する際、基材シートと、熱転写性保護層との箔切れ性に優れると共に、保存後、品質低下することなく、水性インキによる捺印性、水性ペンで筆記性、耐磨耗性、耐スクラッチ性等の耐久性、耐水性、耐候性、耐薬品性、耐溶剤性等に優れる保護層を形成する印画物を得ることができた。
〔比較例1〕
実施例1の剥離層用塗工液の塗工量を1.0g/m2にした以外は、実施例1と同様にして比較例1の保護層転写シートを形成した。
実施例1と同様の方法により得られたブラックのベタ画像上に、上記で得られた比較例1の保護層転写シートを重ね合わせ、ブラックのベタ画像を形成したプリンターと同じプリンターを用いて、それぞれの熱転写性保護層を転写し、保護層付ブラックのベタ画像を形成した。その結果、比較例1の保護層転写シートは、上記の画像に転写する際、基材シートと、熱転写性保護層との箔切れ性に劣るものであった。
〔比較例2〕
実施例1の剥離層用塗工液の組成を下記の組成にした以外は、実施例1と同様にして比較例2の保護層転写シートを形成した。
〔剥離層用塗工液の組成〕
ポリビニルアルコール樹脂 0.84重量部
(C318 クラレ社製、数平均分子量:約80000)
コロイダルシリカ分散液 7重量部
(スノーテックスOL−40 日産化学社製、平均粒径:約20nm)
水分散系ポリエステル樹脂 2重量部
(バイロナールMD−1500、東洋紡社製)
イソプロピルアルコ−ル 18重量部
水 5重量部
実施例1と同様の方法により得られたブラックのベタ画像上に、上記で得られた比較例2の保護層転写シートを重ね合わせ、ブラックのベタ画像を形成したプリンターと同じプリンターを用いて、それぞれの熱転写性保護層を転写し、保護層付ブラックのベタ画像を形成した。その結果、比較例2の保護層転写シートは、上記の画像に転写する際、基材シートと、熱転写性保護層のステッキング等の保存後の性能に劣るものであった。
上記で得られた実施例1〜4及び比較例1〜2のブラックのベタ画像の表面に熱転写性保護層を形成する印画物について、箔切れ性、耐水性及び、保存後の性能について、以下の評価方法、及び、評価基準により評価した。
〔箔切れ性〕
実施例1〜4及び比較例1〜2の各保護層転写シートを用い、環境温度、40℃下で、熱転写性保護層を転写して得られた保護層付ブラックのベタ画像部分の表面を目視にて観察し、箔切れが均一になっているか、尾引きがないかを下記基準で評価し、その結果を表1に示す。
(評価基準)
◎:尾引きがなく、問題ないレベル
○:浮きのある尾引きがなく、問題ないレベル
△:浮きのある尾引きが1〜5枚有り
×:浮きのある尾引きが6〜10枚有り
〔耐水性〕
実施例1〜4及び比較例1〜2の各保護層転写シートを用いて得られた上記の熱転写画像記録体の保護層上に、水道水を含ませた綿棒(ピップトウキョウ社製、抗菌綿棒H101)を用い、10gの荷重をかけて10往復擦り、保護層付ブラックのベタ画像部の汚染性を目視にて観察し、下記の基準で評価を行い、その結果を表1に示す。
(評価基準)
○:ブラックのベタ画像部にダメージなく、問題なし
×:熱転写性保護層が擦り取られており、問題あり
〔保存安定性〕
実施例1〜4及び比較例1〜2の各保護層転写シートを小巻状態で40℃、環境湿度、90%に24時間保存した。その後、MITUBISHI CP710(三菱電機社製昇華転写型プリンタ)にて、環境温度、40℃、環境湿度、90%下で、10枚連続印画し、その保護層転写シートの裏面側に、サーマルヘッドの熱による融着、いわゆるスティッキングの発生の有無を確認し、熱転写性保護層を転写してブラックのベタ画像の上に形成された熱転写性保護層のざらつきを目視にて観察した。その結果を表1に示す。
(評価基準)
○:スティッキングが発生せず、表面にざらつきもみられず、問題なし
×:印画面にスティッキングを発生し、表面にざらつきもみられ、問題あり
Figure 0004074238
結果は、表1に示すように、実施例1、実施例2による保護層転写シートにより熱転写性保護層を有する熱転写画像が被覆されている印画物は、比較例1(従来品)と比べ、剥離層の塗布量を減らすことによって、箔切れ性を向上させることができ、従来と同等の保存適性、および耐水性が得られた。また、実施例3、4では、比較例1(従来品)と比べ、剥離層の塗布量を減らし、更に、剥離層における水分散型高分子の含有量が、2重量%〜10重量%の範囲で含有されていることによって、箔切れ性を向上させることができ、従来と同等の保存適性、および耐水性が得られた。比較例2では、比較例1(従来品)と比べ、剥離層中の水分散型高分子の含有量が10重量%を超えることによって、保存適性に劣り、小巻状態の保護層転写シートにおいて、耐熱滑性層(保護層転写シートの裏面側)と熱転写性保護層(保護層転写シートの表面側)の界面での接着力が高くなってしまい、スティッキング発生や表面のざらつき等の転写異常が発生し、好ましくないものであった。
本発明の保護層転写シートの一実施例を説明する断面図である。 本発明の保護層転写シートで別の実施例を説明する断面図である。 本発明の保護層転写シートでまた別の実施の形態を示す断面図である。
符号の説明
1 基材シート
2 熱転写性保護層
3 剥離層
4 捺印・筆記性保護層
5 熱接着性樹脂層
6 紫外線遮断層
7 耐熱滑性層
8 保護層転写シート

Claims (6)

  1. 基材シートの一方の面の少なくとも一部に、熱転写性保護層を備える保護層転写シートにおいて、当該熱転写性保護層が、熱転写後に吸水性を有するものであり、基材シート側から、少なくとも剥離層と、耐水性の多孔質層と吸水性樹脂とからなる捺印・筆記性保護層と、熱接着性樹脂層とを順次積層し、かつ、当該剥離層が、少なくとも水溶性樹脂と、微細粒子と、硬化剤と、水分散型高分子とからなり、かつ、当該剥離層の塗布量が、0.1g/m2以上、0.5g/m2以下の範囲にあり、かつ、水溶性樹脂と硬化剤の添加重量との固形分比が以下に示す範囲にあることを特徴とする保護層転写シート。
    0.05%≦(硬化剤/水溶性樹脂)≦2%
  2. 前記の剥離層における水分散型高分子の含有量が、2重量%〜10重量%の範囲で含有されていることを特徴とする請求項1に記載の保護層転写シート。
  3. 前記の熱転写性保護層中に紫外線を吸収する材料を含有することを持徴とする請求項1〜2のいずれかに記載の保護層熱転写シート。
  4. 前記の熱転写性保護層が、熱昇華性色材層、または熱溶融性色材層の少なくとも1層と、同一の基材シート上に面順次に形成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の保護層転写シート。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載される保護層熱転写シートにより熱転写性保護層を有する熱転写画像が被覆されていることを特徴とする印画物。
  6. 前記の印画物の熱転写性保護層上に水性インキが捺印可能であることを特徴とする請求項5に記載の印画物。
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