JP6492664B2 - 昇華性熱転写記録媒体及び転写済み熱転写受像シート - Google Patents

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Description

本発明は、被熱転写体上に形成された文字または画像等を保護するための熱転写保護層を有する昇華性熱転写記録媒体に関する。
一般に、昇華性熱転写記録媒体は、昇華性熱転写方式のプリンタに使用されるインクリボンの事であり、基材の一方の面に耐熱性樹脂層(バックコート層)、その基材の他方の面に昇華性染料層を設けた物である。ここで昇華性染料層は、インクの層であり、プリンタのサーマルヘッドに印加した熱によって、その昇華性染料層の染料を昇華(昇華性転写方式)させ、被転写体の受像層に転写するものである。
現在、昇華性熱転写方式は、プリンタの高機能化と併せて各種画像を簡便に形成できる為、身分証明書などのカード類を始め、アミューズメント用出力物等広く利用されている。この様に用途の多様化と供に、得られる印画物への耐久性を求める声も大きくなり、最近では上記のような昇華性熱転写記録媒体により形成された画像等の上に熱転写保護層を転写し、耐久性をより向上させる方法が普及してきている。
一方、プリンタの高速化が進み、短時間で連続して印画、排出されてくる印画物が、上下に隣接する印画物同士で張り付いたりはみ出したりせず、整然と重ねて置くことができる、いわゆる捌き性を向上させたいという要求もある。このような要求に対して熱転写保護層の帯電量の低減や微粒子の添加等の対策が検討されている。
例えば、特許文献1の様に、四級アンモニウム塩からなる界面活性やアンチモン酸亜鉛等の導電性金属酸化物を含有させてなる、帯電防止機能を付与した熱転写保護層を有する昇華性熱転写記録媒体が提案されている。
特許文献2では、針状結晶の導電性無機物質を含む導電性保護層を設けてなる帯電防止機能を付与した昇華性熱転写記録媒体が提案されている。
特許文献3では、導電性高分子であるポリエチレンジオキシチオフェンを含有させてなる、帯電防止機能を付与した熱転写保護層を有する昇華性熱転写記録媒体が提案されている。
特許文献4では、色材層にイオン液体を含有させてなる、帯電防止機能を付与した昇華性熱転写記録媒体が提案されている。
しかしながら、特許文献1から3に記載されている方法では、帯電防止機能を十分に発現させるためには、熱転写保護層に帯電防止剤を多量に添加する必要があり、製造コストの上昇と印画物の保存性能、透明性の低下という問題がある。
特許文献4に記載されている方法では、色材層の転写時の剥離帯電については効果が期待できるが、熱転写性保護層を転写した際に印画物が帯電してしまい、捌き性は悪化してしまう。また、熱転写保護層への適用した場合、イオン液体は常温で液体であることから、印画物の保存性能を損なってしまう。
特開平11−105437号公報 特開2003−145946号公報 特開2011−194707号公報 特開2014−69508号公報
本発明はこのような事情を鑑みて成されたものであり、熱転写保護層の機能を損なうことなく、印画物の帯電量を抑制することで、良好な捌き性が確保できる昇華性熱転写記録媒体を提供する事を目的とする。
本発明の請求項1に係る発明は、基材の一方の面に色相の異なる昇華性染料層と離型層が面順次で形成され、他方の面に耐熱性樹脂層が形成されてなる昇華性熱転写記録媒体であって、
前記昇華性染料層は、バインダ樹脂と昇華性染料を含有し、
前記離型層の上には、剥離層と接着層が順次積層されてなる熱転写性保護層が形成され、かつ離型層または熱転写保護層のいずれかに電荷制御剤を含有しており、かつ、この電荷制御剤がスチレンアクリル系ポリマーからなり
前記電荷制御剤の含有量は離型層または熱転写保護層のいずれかに対して0.2〜2質量%であることを特徴とする昇華性熱転写記録媒体である。
本発明の請求項2に係る発明は、熱転写受像シートの表面に昇華性染料による画像が形成されており、かつ、この画像上に熱転写性保護層が重ねられている転写済み熱転写受像シートであって、
熱転写性保護層が電荷制御剤を含有しており、かつ、この電荷制御剤がスチレンアクリル系ポリマーからなり
熱転写性保護層の帯電量をVa、その熱転写受像シートの裏面の帯電量をVbとしたときに、VaとVbとの差が0.20kv未満であることを特徴とする転写済み熱転写受像シートである。
本発明の昇華性熱転写記録媒体によれば、離型層または熱転写保護層のいずれかに対して電荷制御剤を0.2〜2質量%含有させることで、熱転写後の被転写体ある熱転写受像シートに転写された印画物上の帯電量と該熱転写受像シート裏面との帯電量との差を調整することができる。この差を、0.20kv未満と制御することで、高速プリンタによる高速印画によって連続して排出されてくる印画物は、その上下に隣接する印画物同士の帯電量の影響によって引き起こる張り付きやはみ出しを防ぐことができ、整然と重ねて置くことができる。その結果、本来の熱転写保護層の機能も損なうことなく、良好な捌き性を確保することができる。
本発明の昇華性熱転写記録媒体の一実施形態を示す概略断面図である。
以下、本発明の実施形態における昇華性熱転写記録媒体について、図面を参照して説明する。
図1に示すように、本発明の昇華性熱転写記録媒体1は基材3の一方の面に色相の異な
る昇華性染料層2と離型層8が面順次で形成され、他方の面に耐熱性樹脂層4が形成されてなる昇華性熱転写記録媒体であって、離型層8の上には、剥離層7と接着層6が順次積層されてなる熱転写性保護層5が形成され、かつ離型層8または熱転写保護層5のいずれかに電荷制御剤を含有することを特徴とする。
熱転写性保護層5は接着層6と剥離層7とで構成され、接着層6は被転写体との接着性を調整するための層であり、剥離層7は熱転写記録時に離型層8から接着層6が容易に剥離できるようにするための層である。
離型層8は熱転写記録時に剥離強度を適度な範囲内に調整し、剥離層7の安定的な離型性を確保することができる。
本発明の昇華性熱転写記録媒体は、被転写体への転写時に発生する剥離帯電を抑制する目的で、離型層8または熱転写性保護層5のいずれかの層に電荷制御剤を含有することを特徴とする。
上記で使用する電荷制御剤としては、正帯電用の電荷制御剤としては、アジン系化合物、スチレンアクリル系ポリマー、アゾ含金属化合物、負帯電用の電荷制御剤としてはアゾ含金属化合物、サリチル酸系化合物、スチレンアクリル系ポリマーなどが挙げられ、特にスチレンアクリル系ポリマーを使用した場合に良好な特性をえることができる。
上記の電荷制御剤は、熱転写性保護層5が被転写体への転写する際に発生する、剥離帯電の帯電符号によって適時選択して使用することができる。なお、発明者等は鋭意研究の結果、本発明の昇華性熱転写記録媒体と熱転写受像シートを用いて、高速プリンタにて連続して複数枚の熱転写を行うにあたり、熱転写受像シートの表面に転写された熱転写性保護層の帯電量をVa、その熱転写受像シートの裏面の帯電量をVbとしたときに、VaとVbとの差が0.20kv未満であることにより優れた捌き性が得られることを見出した。
電荷制御剤の含有量は、離型層8または熱転写保護層のいずれかの層に対して0.2〜2質量%が好ましく、0.5〜1.5質量%がより好ましい。含有量が0.2質量%未満の場合、電荷制御剤の効果が十分得られず、印画物の帯電量が大きいままになってしまい、捌き性が悪化してしまう。一方、含有量が2質量%を越えると、電荷制御剤と同符号の帯電が発生し、捌き性が悪化してしまう。また、熱転写性保護層5に含有している場合は、印画物の保存性能が悪化してしまう。
接着層6に用いられる樹脂としては、熱溶融性以外特に限定されるものではないが、例として、ポリスチレン、ポリα−メチルスチレン等のスチレン系樹脂、ポリメタクリル酸メチル、ポリアクリル酸エチル等のアクリル系樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリビニルブチラール、ポリビニルアセタール等のビニル系樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、石油樹脂、アイオノマー、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体等の合成樹脂、ニトロセルロース、エチルセルロース、セルロースアセテートプロピオネート等のセルロース誘導体、ロジン、ロジン変性マレイン酸樹脂、エステルガム、ポリイソブチレンゴム、ブチルゴム、スチレン−ブタジエンゴム、ブタジエン−アクリロニトリルゴム、ポリ塩素化オレフィン等の天然樹脂や合成ゴムの誘導体、カルナバワックス、パラフィンワックス等のワックス類が挙げられる。
また、接着層6は、必要に応じて紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤、触媒促進剤、着色剤、艶調整剤、蛍光増白剤等の機能性添加剤を添加することができる。
接着層6の膜厚は、バインダ樹脂の種類にもよるが0.5〜3.0μm程度とすることが適当である。
剥離層7はバインダ樹脂と機能性添加剤とを含み、その膜厚は0.3〜3μm程度であればよい。
バインダ樹脂としては熱溶融性のポリスチレン、ポリα−メチルスチレン等のスチレン系樹脂、ポリメタクリル酸メチル、ポリアクリル酸エチル等のアクリル系樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリビニルブチラール、ポリビニルアセタール等のビニル系樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、石油樹脂、アイオノマー、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体等の合成樹脂、ニトロセルロース、エチルセルロース、セルロースアセテートプロピオネート等のセルロース誘導体、ロジン、ロジン変性マレイン酸樹脂、エステルガム、ポリイソブチレンゴム、ブチルゴム、スチレン−ブタジエンゴム、ブタジエン−アクリロニトリルゴム、ポリ塩素化オレフィン等の天然樹脂や合成ゴムの誘導体、カルナバワックス、パラフィンワックス等のワックス類を挙げることができる。中でも、アクリル系樹脂、セルロース誘導体は好適に用いられる。
また、機能性添加剤の一例としては、シリコーンオイル、リン酸エステル系に代表される離型剤、ワックスに代表される滑り剤、紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤、蛍光増白剤等を挙げることができる。
離型層8に用いられるバインダ樹脂としては、特に限定されるものではないが、例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、デンプン、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム等の水溶性高分子、塩化ゴム、環化ゴム等の天然ゴム誘導体、天然ワックス、合成ワックス等のワックス類、ニトロセルロース、セルロース、セルロースアセテートプロピオネート等の繊維素誘導体、アクリル系、ポリウレタン系、ポリアミド系、ポリイミド系、ポリアセタール系、塩素化ポリオレフィン系、塩化ビニル‐酢酸ビニル共重合体系等の熱可塑性樹脂、メラミン系、エポキシ系、ポリウレタン系、シリコーン系等の熱硬化性樹脂等を挙げることができる。
基材3としては熱転写における熱圧で軟化変形しない耐熱性と強度が要求されるので、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリプロピレン、セロファン、アセテート、ポリカーボネート、ポリサルフォン、ポリイミド、ポリビニルアルコール、芳香族ポリアミド、アラミド、ポリスチレン等の合成樹脂のフィルム、およびコンデンサー紙、パラフィン紙などの紙類等を単独で又は組み合わされた複合体として使用可能である。中でも、物性面、加工性、コスト面などを考慮するとポリエチレンテレフタレートフィルムが好ましい。また、その厚さは、操作性、加工性を考慮し、2〜50μmの範囲のものが使用可能であるが、転写適性や加工性等のハンドリング性を考慮すると、2〜12μm程度のものが好ましい。
耐熱性樹脂層4はサーマルヘッドの熱による基材の熱収縮やサーマルヘッドとの摩擦による基材の破断を防止するためのものであり、耐熱性に優れたバインダー樹脂からなる。例えば、セルロース系樹脂、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、ビニル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリエーテル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、アセタール系樹脂等が挙げられる。耐熱性樹脂層の厚みは0.1μmから2.5μmが好ましく、さらに0.5μmから1.5μmがより好ましい。バインダー樹脂のガラス転移温度(Tg)はサーマルヘッドからの耐熱性を考慮すると40℃以上が好ましい
また、耐熱性樹脂層4は種々の機能を付与する目的で滑剤、硬化剤、粒子等の添加剤を含有してもよい。例えば、滑剤は耐熱性樹脂層とサーマルヘッドとの間の動摩擦係数を小さくして摩擦による基材の変形を防止するもので、例えば、動物系ワックス、植物系ワックス等の天然ワックス、合成炭化水素系ワックス、脂肪族アルコールと酸系ワックス、脂肪酸エステルとグリセライト系ワックス、合成ケトン系ワックス、アミン及びアマイド系ワックス、塩素化炭化水素系ワックス、アルファーオレフィン系ワックス等の合成ワックス、ステアリン酸ブチル、オレイン酸エチル等の高級脂肪酸エステル、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸カリウム、ステアリン酸マグネシウム等の高級脂肪酸金属塩、長鎖アルキルリン酸エステル、ポリオキシアルキレンアルキルアリールエーテルリン酸エステル又は、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルリン酸エステル等のリン酸エステル等の界面活性剤などが挙げられる。
また、硬化剤は耐熱性を向上させることができ、例えばポリイソシアネートが挙げられ、アクリル系、ウレタン系、ポリエステル系のポリオール樹脂やセルロース系樹脂、アセタール樹脂等のバインダー樹脂との組合せで用いられる。
また、粒子は耐熱性樹脂層の表面に凹凸を形成するためのものであり、この凹凸形状によりサーマルヘッドとの接触面積が小さくなるので、印画時のサーマルヘッドに対する滑性が向上する。粒子は有機系粒子又は無機系粒子どちらでもよいが、サーマルヘッドからの熱により変形しないものが好ましい。具体的には、シリカ粒子、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、タルク、カオリン、クレー、シリコーン粒子、ポリエチレン粒子、ポリプロピレン粒子、ポリスチレン粒子、ポリメチルメタクリレート樹脂粒子、ポリウレタン樹脂粒子などを挙げることができる。また、該粒子は1種類でも2種以上を混ぜ合わせて使用してもよい。
次に昇華性染料層2について説明する。昇華性染料層2は、昇華性染料とバインダー樹脂からなり、必要に応じて、熱転写記録時における被熱転写体との剥離性を適宜に制御するために離型剤を添加することができる。使用可能な離型剤としては公知のシリコーン系化合物またはフッ素系化合物、またはワックス類等を挙げることができる。
昇華性染料としては主に昇華性分散染料が好ましく、公知の昇華性染料が使用できる。例えば、ジアリールメタン系、トリアリールメタン系、チアゾール系、メチン系、アゾメタン系、キサンテン系、アキサジン系、チアジン系、アジン系、アクリジン系、アゾ系、スピロジピラン系、イソドリノスピロピラン系、フルオラン系、ローダミンダクタム系、アントラキノン系等が挙げられる。具体的には、イエロー成分では、C.I.ソルベントイエロー14、16、29、30、33、56、93等、C.I.ディスパースイエロー7、33、60、141、201、231等、マゼンタ成分としては、C.I.ソルベントレッド18、19、27、143、182、C.I.ディスパースレッド60、73、135、167、C.I.ディスパースバイオレット13、26、31、56等、シアン成分としては、C.I.ソルベントブルー11、36、63、105、C.I.ディスパースブルー24、72、154、354等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、これらの昇華性染料を単体で使用しても、複数組み合わせて使用してもよい。
バインダー樹脂としては、従来公知のものが使用でき、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアセタール、ポリビニルブチラール等のビニル系樹脂、エチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、酢酸セルロース、酢酪酸セルロース、酢酸プロピオン酸セルロース等のセルロース系樹脂、ポリエステル樹脂、フェノキシ樹脂、スチレン−アクリルニトリル共重合体樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアクリルアミド樹脂等の耐熱性、昇
華性染料移行性等に優れた樹脂が使用できる。
以下、実施例について詳細に説明するが、本発明は実施例に限定される物ではない。
<実施例1>
[熱転写受像シートの作製]
基材として、100μmの白色発泡ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムを使用し、その一方の面に下記組成の受像層塗布液を、グラビアコーティング法により、乾燥後の塗布量が5.0g/mになるよう形成し、更に、他方の面に下記組成の粘着層塗布液を、グラビアコーティング法により、乾燥後の塗布量が10.0g/mになるように形成し、その後、離型シートとして、100μmのPETフイルムを、粘着層を介してドライラミネート法を用いて貼り合せることにより、熱転写受像シートを得た。なお、文中で「部」とあるのは、特に断りの無い限り質量基準である。
(受像層塗布液)
・塩化ビニル−酢酸ビニル−ビニルアルコール共重合体 19.5部
・アミノ変性シリコーンオイル 0.5部
・トルエン 40.0部
・MEK 40.0部
(粘着層塗布液)
・アクリル共重合体 49.0部
・エポキシ樹脂 0.5部
・酢酸エチル 50.5部
[昇華性熱転写記録媒体の作製]
基材として厚み4.5μmのポリエステルフィルムを用いて、グラビアコート法により、
一方の面に、所定位置に各種用意された昇華性熱転写形成用イエローインク、昇華性熱転写形成用マゼンタインク、昇華性熱転写形成用シアンインクを用いて、昇華性染料層を各乾燥厚0.8μmで面順次に形成し昇華性染料層を得た。さらに、離型層形成用インクを用いて、離型層を乾燥膜厚0.5μmで形成した後、その離型層上に、剥離層形成用インクを用いて剥離層を乾燥膜厚0.6μmで形成し、さらに剥離層上に接着層形成用インクを用いて接着層を乾燥膜厚0.8μmで形成することで、昇華性熱転写記録媒体を得た。また、基材の他方の面に、耐熱性樹脂層形成用インクを乾燥厚1.3μmで形成して耐熱性樹脂層を得た。
(耐熱性樹脂層形成用インク)
アクリルポリオール樹脂 15.0部
ステアリン酸亜鉛 1.5部
ポリオキシアルキレンアルキルエーテル 1.5部
タルク 1.0部
2,6−トリレンジイソシアネート 5.0部
トルエン 50.0部
メチルエチルケトン 20.0部
酢酸エチル 6.0部
(昇華性熱転写形成用イエローインク)
C.I.ソルベントイエロー93 0.6部
C.I.ソルベントイエロー16 3.6部
ポリビニルブチラール樹脂 5.4部
シリコーンオイル 0.4部
メチルエチルケトン 60.0部
トルエン 30.0部
(昇華性熱転写形成用マゼンタインク)
C.I.ディスパースレッド60 6.0部
C.I.ディスパースバイオレット26 1.0部
ポリビニルブチラール樹脂 5.0部
シリコーンオイル 0.5部
メチルエチルケトン 58.5部
トルエン 29.0部
(昇華性熱転写形成用シアンインク)
C.I.ソルベントブルー36 6.9部
C.I.ソルベントブルー63 2.5部
ポリビニルブチラール樹脂 5.0部
シリコーンオイル 0.6部
メチルエチルケトン 57.0部
トルエン 28.0部
(離型層形成用インク)
酢酸セルロース樹脂 20.0部
メチルエチルケトン 80.0部
(剥離層形成用インク)
アクリル樹脂 19.0部
スチレンアクリル系ポリマー 1.0部
(FCA−1001−NS 藤倉化成製 負帯電電荷制御剤)
シリコーンオイル 1.0部
トルエン 39.5部
メチルエチルケトン 39.5部
(接着層形成用インク)
アクリル樹脂 20.0部
メチルエチルケトン 80.0部
<実施例2>
離型層形成用インクおよび剥離層形成用インクの組成を下記に記載した組成とした以外は、実施例1と同様に作製した。
(離型層形成用インク)
酢酸セルロース樹脂 19.0部
スチレンアクリル系ポリマー 1.0部
(FCA−201−PS 藤倉化成製 正帯電電荷制御剤)
メチルエチルケトン 80.0部
(剥離層形成用インク)
アクリル樹脂 20.0部
シリコーンオイル 1.0部
トルエン 39.5部
メチルエチルケトン 39.5部
<実施例3>
剥離層形成用インクおよび接着層形成用インクの組成を下記に記載した組成とした以外は、実施例1と同様に作製した。
(剥離層形成用インク)
アクリル樹脂 20.0部
シリコーンオイル 1.0部
トルエン 39.5部
メチルエチルケトン 39.5部
(接着層形成用インク)
アクリル樹脂 19.0部
スチレンアクリル系ポリマー 1.0部
(FCA−1001−NS 藤倉化成製 負帯電電荷制御剤)
メチルエチルケトン 80.0部
<実施例4>
剥離層形成用インクの組成を下記に記載した組成とした以外は、実施例1と同様に作製した。
(剥離層形成用インク)
アクリル樹脂 18.0部
スチレンアクリル系ポリマー 2.0部
(FCA−1001−NS 藤倉化成製 負帯電電荷制御剤)
シリコーンオイル 1.0部
トルエン 39.5部
メチルエチルケトン 39.5部
<実施例5>
剥離層形成用インクの組成を下記に記載した組成とした以外は、実施例1と同様に作製した。
(剥離層形成用インク)
アクリル樹脂 19.9部
スチレンアクリル系ポリマー 0.1部
(FCA−1001−NS 藤倉化成製 負帯電電荷制御剤)
シリコーンオイル 1.0部
トルエン 39.5部
メチルエチルケトン 39.5部
<比較例1>
剥離層形成用インクの組成を下記に記載した組成とした以外は、実施例1と同様に作製した。
(剥離層形成用インク)
アクリル樹脂 20.0部
シリコーンオイル 1.0部
トルエン 39.5部
メチルエチルケトン 39.5部
<比較例2>
剥離層形成用インクの組成を下記に記載した組成とした以外は、実施例1と同様に作製した。
(剥離層形成用インク)
アクリル樹脂 19.9部
スチレンアクリル系ポリマー 5.0部
(FCA−1001−NS 藤倉化成製 負帯電電荷制御剤)
シリコーンオイル 1.0部
トルエン 39.5部
メチルエチルケトン 39.5部
<評価>
実施例1〜5及び比較例1〜2で得られた昇華性熱転写記録媒体及び熱転写受像シートを用いて、印画物、帯電量、捌き性、耐可塑剤性について、以下の方法にて評価した。評価結果を下記の表1に記す。
<印画物作製>
実施例1から5、比較例1から2にて得られた昇華性熱転写記録媒体、熱転写受像シートを評価用サーマルプリンタ用いて、最高濃度の全画面黒画像(黒ベタ)を印画した。
<帯電量測定>
デジタル静電電位測定器(春日電機製KSD−1000)を用いて、評価用サーマルプリンタより排出される印画物の熱転写性保護層が転写された側の帯電量(Va)、熱転写受像シートの背面側の帯電量(Vb)を測定した。
<捌き性評価>
評価用サーマルプリンタより排出される印画物30枚を乱雑に積み重ね、4隅のズレ量が2mm以内に整えることができるか確認した。なお、評価は以下の基準にて行った。○および△が実用上問題ないレベルである。
○:印画物同士が貼り付かず、容易に整えることができる。
△:印画物同士に軽微な貼り付きがあるが、整えることができる。
×:印画物同士が貼り付きがあり、整えることができない。
<耐可塑剤性評価>
印画物の上にトンボ鉛筆製MONO消しゴム(巾16.5×全長43×厚さ11mm)を接触させ、加重が200g/cmになるよう重石をのせた。50℃dry環境下に48hr放置後、印画物に接していた消しゴム表面および印画物表面を観察した。なお、評価は以下の基準にて行った。○および△が実用上問題ないレベルである。
○:消しゴムに染料が全く移行しない。
△:消しゴムに染料が薄く移行しているが、印画物の画像は色褪せていない。
×:消しゴムに染料が移行しており、印画物の画像も色褪せている。
実施例1から4では印画物の帯電量を低減することで捌き性が良好な結果となった。実施例5では捌き性は実用上問題はないが、軽微な貼り付きが確認できた。比較例1では電荷制御剤を使用していないため、捌き性が悪い結果となった。比較例2では印画物の帯電量が電荷制御剤と同符号に大きくなり、捌き性の悪化と耐可塑剤性の悪化が確認できた。
本発明により得られる昇華性熱転写記録媒体は、昇華転写方式のプリンタに使用することができ、プリンタの高速・高機能化と併せて、各種画像を簡便にフルカラー形成できるため、デジタルカメラのセルフプリント、身分証明書などのカード類、アミューズメント用出力物等に広く利用できる。
(1) 昇華性熱転写記録媒体
(2) 昇華性染料層
(3) 基材
(4) 耐熱性樹脂層
(5) 熱転写性保護層
(6) 接着層
(7) 剥離層
(8) 離型層

Claims (2)

  1. 基材の一方の面に色相の異なる昇華性染料層と離型層が面順次で形成され、他方の面に耐熱性樹脂層が形成されてなる昇華性熱転写記録媒体であって、
    前記昇華性染料層は、バインダ樹脂と昇華性染料を含有し、
    前記離型層の上には、剥離層と接着層が順次積層されてなる熱転写性保護層が形成され、かつ離型層または熱転写保護層のいずれかに電荷制御剤を含有しており、かつ、この電荷制御剤がスチレンアクリル系ポリマーからなり
    前記電荷制御剤の含有量は離型層または熱転写保護層のいずれかに対して0.2〜2質量%であることを特徴とする昇華性熱転写記録媒体。
  2. 熱転写受像シートの表面に昇華性染料による画像が形成されており、かつ、この画像上に熱転写性保護層が重ねられている転写済み熱転写受像シートであって、
    熱転写性保護層が電荷制御剤を含有しており、かつ、この電荷制御剤がスチレンアクリル系ポリマーからなり
    熱転写性保護層の帯電量をVa、その熱転写受像シートの裏面の帯電量をVbとしたときに、VaとVbとの差が0.20kv未満であることを特徴とする転写済み熱転写受像シート。
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