JP2000272257A - 熱転写シート - Google Patents

熱転写シート

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JP2000272257A
JP2000272257A JP11084004A JP8400499A JP2000272257A JP 2000272257 A JP2000272257 A JP 2000272257A JP 11084004 A JP11084004 A JP 11084004A JP 8400499 A JP8400499 A JP 8400499A JP 2000272257 A JP2000272257 A JP 2000272257A
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transfer sheet
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ink layer
layer
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Tomoyuki Izuhara
知之 出原
Keiji Hirose
恵二 広瀬
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Dai Nippon Printing Co Ltd
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Dai Nippon Printing Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 使用する環境による影響を受けることなく、
熱転写プリンターにおいて、常に帯電防止性能を有し、
また箔持ち性能、耐擦過性能に優れた熱転写シートを提
供することを目的とする。 【解決手段】 基材フィルムの一方の面に、剥離層、熱
溶融性インキ層をこの順序に積層して、該剥離層がカチ
オン系ポリマーの帯電防止剤を含有しているため、また
特に帯電防止剤が、スチレンと、ビニルベンジルのアン
モニウムクロライドと、ビニルベンジルのアミン第4級
塩の各モノマーの共重合物であることが好ましく、使用
する環境による影響を受けず、熱転写プリンターで、常
に安定した帯電防止性を有する。剥離層に含有する帯電
防止剤が、低分子量ではなく、高分子量であるため、熱
転写シートの形態で、帯電防止剤が熱溶融性インキ層の
上などに滲み出ることがなく、巻き取り状態でのブロッ
キングを生じることもない。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、プリンタ、ファク
シミリ等の熱転写記録装置に用いられる、熱溶融性イン
キ層を備えた熱転写シートに関し、さらに詳しくは、環
境依存性の少ない、帯電防止機能を有する熱転写シート
に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、熱転写プリンター、ファクシミリ
等に用いられる熱転写記録媒体として、基材フィルムの
一方の面に熱溶融性インキ層を設けた熱転写シートが使
用されている。従来の熱転写シートは、基材フィルムと
して厚さ10〜20μm程度のコンデンサ紙やパラフィ
ン紙のような紙、あるいは厚さ3〜20μm程度のポリ
エステルやセロファンのようなプラスチックフィルムを
用い、この基材フィルム上にバインダーに顔料や染料等
の着色剤を混合し、さらに必要に応じて、低融点剤及び
可塑剤等の添加剤を加えた熱溶融性のインキを塗布し
て、熱溶融性インキ層を設けたものである。そして、基
材フィルムの裏側からサーマルヘッドにより所定箇所を
加熱・加圧し、熱溶融性インキ層のうち、印字部に相当
する箇所の熱溶融性インキ層を溶融させ、被転写体に転
写して印字を行うものである。
【0003】従来の熱転写シートを構成する基材フィル
ム及び熱溶融性インキ層は一般的に電気絶縁体であるた
め、熱転写シートの搬送系、すなわち、サーマルヘッ
ド、プラテンロール、ピンチロールその他各種支持バ
ー、ロールに当接して、熱転写シートが搬送される場合
に、摩擦力により熱転写シートは高電位に帯電する。そ
の他、熱転写シートロールの巻き戻し、巻き取り時にも
熱転写シートは帯電する。このようにして、一旦生じた
静電気の電位の減衰には長時間を要する上記のような帯
電は、湿度が低い環境下で熱転写シートが使用される
と、特に著しく発生する。熱転写プリンターにおいて、
画像形成時に熱転写シートが帯電することにより生じる
現象は、上記の当接部における熱転写シートの静電引力
による巻き込みや、熱転写プリンターの電気制御などに
用いられる電子部品にも電気的影響を及ぼし、誤動作、
作動不良の原因にもなる。また、熱転写シートの帯電
は、手にまとわりつく、あるいはゴミを吸着する等取り
扱い上の問題ともなり、熱転写シートの帯電を防止する
ことが、非常に重要なことになっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】熱転写シートは、熱溶
融性インキ層のバインダーにワックスを主体として使用
しているものが多いが、熱溶融性インキ層の帯電性が高
い問題がある。これに対して、帯電防止性能を付与する
方法として、帯電防止剤をトップ層として、熱転写シー
トの最表面に設ける方法があるが、この方法ではブロッ
キング等が起こりやすいことが問題となっている。熱転
写シートの熱溶融性インキ層に、カルナバワックスをイ
ンキ層全体の60%以上の割合で含有している熱転写シ
ートは、その印字物の耐擦過性能が優れていることが知
られている。しかし、従来このような熱転写シートは、
帯電性が高く、箔持ち性能に劣るという問題点があっ
た。
【0005】また、熱転写シートの基材フィルムと熱溶
融性インキ層との間に、カーボンブラック等の導電性物
質を含むマット層を設けることにより、帯電防止性能を
付与することは出来るが、この場合、マット層のコート
量が2.5g/m2 を超えると、箔持ち性能が低下する
という問題がある。さらに、熱溶融性インキ層に帯電防
止剤を添加する手法が知られているが、この場合、帯電
防止機能を付与するには、多量の帯電防止剤を含有させ
る必要があり、その結果、熱溶融性インキ層本来の機
能、性能等を損なってしまうことが問題となる。したが
って、本発明は上記の問題を改善、解決し、使用する環
境による影響を受けることなく、熱転写プリンターにお
いて、常に帯電防止性能を有し、また箔持ち性能、耐擦
過性能に優れた熱転写シートを提供することを目的とす
る。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明は、基材フィルムの一方の面に、剥離層、熱
溶融性インキ層をこの順序に積層してなる熱転写シート
において、該剥離層がカチオン系ポリマーの帯電防止剤
を含有していることを特徴としている。前記の熱溶融性
インキ層が、インキ層全体の60%以上の割合でカルナ
バワックスを含有していることが好ましい。また、前記
の剥離層に含有される帯電防止剤が、スチレンと、ビニ
ルベンジルのアンモニウムクロライドと、ビニルベンジ
ルのアミン第4級塩の各モノマーの共重合物であること
が好ましい。また、基材フィルムの他方の面に、背面層
を設けることが好ましい。
【0007】
【作用】本発明の熱転写シートは、基材フィルムの一方
の面に、剥離層、熱溶融性インキ層をこの順序に積層し
て、該剥離層がカチオン系ポリマーの帯電防止剤を含有
していることにより、また、特に帯電防止剤が、スチレ
ンと、ビニルベンジルのアンモニウムクロライドと、ビ
ニルベンジルのアミン第4級塩の各モノマーの共重合物
であることが好ましく、使用する環境による影響を受け
ることなく、熱転写プリンターにおいて、常に安定した
帯電防止性を有する。剥離層に含有する帯電防止剤が、
低分子量のものではなく、高分子量であるため、熱転写
シートの形態で、帯電防止剤が熱溶融性インキ層の上な
どに滲み出ることがなく、巻き取り状態でのブロッキン
グを生じることもない。また、熱溶融性インキ層が、イ
ンキ層全体の60%以上の割合で、針入度が低く、硬め
であるカルナバワックスを含有していることが好まし
く、それにより熱転写後の印字物の耐擦過性が優れたも
のとなる。カルナバワックス主体の熱溶融性インキ層
は、基材フィルムに直接設けずに、剥離層を介して形成
しているため、熱転写シートの箔持ち性は良好である。
【0008】
【発明の実施の形態】次に、発明の実施の形態につい
て、詳述する。本発明の熱転写シートは、基材フィルム
の一方の面に、剥離層、熱溶融性インキ層をこの順序に
積層し、該剥離層がカチオン系ポリマーの帯電防止剤を
含有しているものである。また、本発明の熱転写シート
は必要に応じて、基材フィルムの他方の面に背面層を設
けることも可能である。
【0009】(基材フィルム)本発明の熱転写シートで
用いられる基材フィルムとしては、従来の熱転写シート
に使用されているものと同じ基材フィルムをそのまま用
いることが出来ると共に、その他のものも使用すること
が出来、特に制限されない。好ましい基材フィルムの具
体例としては、例えば、ポリエステル、ポリプロピレ
ン、セロハン、ポリカーボネイト、酢酸セルロース、ポ
リエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ナイロ
ン、ポリイミド、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアル
コール、フッ素樹脂、塩化ゴム、アイオノマー等のプラ
スチック、コンデンサー紙、パラフィン紙等の紙類、不
織布等があり、又、これらを複合した基材フィルムであ
ってもよい。この基材フィルムの厚さは、その強度及び
熱伝導性が適切になるように材料に応じて適宜変更する
ことが出来るが、その厚さは、好ましくは、例えば、3
〜10μmである。
【0010】(剥離層)本発明では、基材フィルムと熱
溶融性インキ層との間に、カチオン系ポリマーの帯電防
止剤を含有している剥離層を形成する。剥離層は、熱転
写時に溶融して熱溶融性インキ層の基材フィルムからの
剥離性を良くし、転写画像の表面に少なくとも一部が熱
溶融性インキ層と共に転写され、転写後は熱溶融性イン
キ層の保護層になり、また転写画像に良好な滑り性を与
えて、転写画像の耐擦過性を向上させる。剥離層に使用
する材料は、帯電防止剤のカチオン系ポリマーと、ワッ
クス類、熱可塑性樹脂類、また、必要に応じて有機・無
機フィラー等の添加剤が挙げられる。
【0011】剥離層に使用するカチオン系ポリマーは、
公知のものが使用できるが、特にスチレンと、ビニルベ
ンジルのアンモニウムクロライドと、ビニルベンジルの
アミン第4級塩の各モノマーの共重合したカチオン系ポ
リマーが好ましく、使用する環境による影響を受けるこ
となく、熱転写プリンターにおいて、常に安定した帯電
防止性を有し、その帯電防止剤が、低分子量のものでは
なく、高分子量であるため、熱転写シートの形態で、帯
電防止剤が熱溶融性インキ層の上などに滲み出ることが
なく、巻き取り状態でのブロッキングを生じることもな
い。上記のビニルベンジルのアンモニウムクロライド
と、ビニルベンジルのアミン第4級塩の各モノマーは、
例えばビニルベンジルのホウ素、マグネシウム、カルシ
ウム、亜鉛、クロム、アルミニウム、鉄、コバルト、ニ
ッケル及びチタン等の有機または無機酸の塩に変更して
もよい。
【0012】上記の共重合物は、スチレンとビニルベン
ジルの塩の各モノマーが、グラフト状及び/またはブロ
ック状に重合したもので、スチレンモノマーが共重合し
たポリマー鎖の数平均分子量は通常1000〜5000
0程度である。ビニルベンジルの塩のモノマーが、共重
合したポリマー鎖の数平均分子量は500〜20000
程度である。ビニルベンジルの塩のモノマーの分子量は
スチレンのポリマー鎖の分子量より小さいことが好まし
い。それは、ビニルベンジルの塩のモノマーの分子量が
大きいとバインダー樹脂と混合した際に、該樹脂とミク
ロ相分離構造を形成しにくく、分散性が不十分となりや
すいからである。
【0013】ビニルベンジルの塩とスチレンのポリマー
鎖の重量割合は、通常10/90〜80/20程度であ
る。ビニルベンジルの塩の重量割合が、10重量%未満
であると、充分な帯電量が得られなくなり、一方、ビニ
ルベンジルの塩の重量割合が80重量%を越えるとバイ
ンダー樹脂中への分散性が不十分になる。このようなビ
ニルベンジルの塩とスチレンのポリマー鎖のグラフト状
及び/またはブロック状重合は、三洋化成工業(株)製
ケミスタット6300H等の商品名で市販されたものが
あり、入手することができる。以上において、スチレン
とビニルベンジルの塩のポリマー鎖のグラフト状及び/
またはブロック状重合体について説明したが、スチレン
系ポリマー鎖の代わりに、ポリオレフィン系ポリマー
鎖、ポリエステル系ポリマー鎖、エポキシ系ポリマー鎖
及びウレタン系ポリマー鎖のいずれかを用いて、グラフ
ト状及び/またはブロック状重合体のカチオン系ポリマ
ーとして剥離層に含有させることも可能である。
【0014】剥離層に使用するワックス類としては、例
えば、マイクロクリスタリンワックス、カルナバワック
ス、パラフィンワックス等がある。更に、フィッシャー
トロプシュワックス、各種低分子量ポリエチレン、木ロ
ウ、ミツロウ、鯨ロウ、イボタロウ、羊毛ロウ、セラッ
クワックス、キャンデリラワックス、ペトロラクタム、
ポリエステルワックス、一部変性ワックス、脂肪酸エス
テル、脂肪酸アミド等、種々のワックスが挙げられる。
このなかで、特に融点が50〜85℃であるものが好ま
しい。50℃以下であると、保存性に問題が生じ、又8
5℃以上であると印字の感度不足になりやすい。
【0015】また、剥離層に用いる熱可塑性樹脂類は、
具体的には、セルロース樹脂、メラミン樹脂、ポリエス
テル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリオレフィン樹脂、ウレ
タン樹脂、アイオノマー樹脂、アクリル樹脂、スチレン
樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、スチレン−ブタ
ジエンゴム等の熱可塑性エラストマーが挙げられる。特
に従来より感熱接着剤として使用されている比較的低軟
化点、例えば、50〜80℃の軟化点を有するものが好
ましい。剥離層に必要に応じて、添加できる有機フィラ
ーとしては、例えばアクリル系フィラー、ポリアミド系
フィラー、フッ素系フィラー、ポリエチレンワックス等
が挙げられる。また、添加できる無機フィラーとして、
タルク、カオリン、クレー、炭酸カルシウム、水酸化マ
グネシウム、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、シ
リカ等が挙げられる。
【0016】剥離層の形成は、上記のカチオン系ポリマ
ーと、ワックス類、熱可塑性樹脂類と必要に応じて添加
剤を加え、適当な溶剤中に溶解または分散させて、塗工
液を調製し、その塗工液を、従来公知のグラビアダイレ
クトコート、グラビアリバースコート、ナイフコート、
エアコート、ロールコート、ダイコート等の方法によ
り、乾燥状態で塗工量が1.5g/m2 〜5.0g/m
2 程度で設けることが望ましい。剥離層の塗工量が1.
5g/m2 未満であると、充分な帯電防止性を発揮出来
ず、一方5.0g/m2 を越えると、印字の熱エネルギ
ーを消費しすぎて、熱溶融性インキ層に充分な熱が加わ
らず、印字の感度が低下する。
【0017】(熱溶融性インキ層)本発明では、上記の
剥離層の上に、熱溶融性インキ層を設けるものである。
熱溶融性インキ層は、従来公知の着色剤とバインダーよ
りなり、必要に応じて、鉱物油、植物油、ステアリン酸
等の高級脂肪酸、可塑剤、熱可塑性樹脂、充填剤等の種
々の添加剤を加えたものが使用される。バインダーとし
て用いられるワックス成分としては、例えば、マイクロ
クリスタリンワックス、カルナバワックス、パラフィン
ワックス等がある。更に、フィッシャートロプシュワッ
クス、各種低分子量ポリエチレン、木ロウ、ミツロウ、
鯨ロウ、イボタロウ、羊毛ロウ、セラックワックス、キ
ャンデリラワックス、ペトロラクタム、ポリエステルワ
ックス、一部変性ワックス、脂肪酸エステル、脂肪酸ア
ミド等、種々のワックスが用いられる。このなかで、特
に融点が50〜85℃であるものが好ましい。50℃以
下であると、保存性に問題が生じ、又85℃以上である
と感度不足になる。上記のワックスの中でも、針入度が
低く、硬めであるカルナバワックス等を使用し、熱溶融
性インキ層全体の60%以上の割合で用いることが好ま
しく、それにより熱転写後の印字物の耐擦過性が優れた
ものとなる。
【0018】バインダーとして用いられる樹脂成分とし
ては、例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレ
ン−アクリル酸エステル共重合体、ポリエチレン、ポリ
スチレン、ポリプロピレン、ポリブデン、石油樹脂、塩
化ビニル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ
ビニルアルコール、塩化ビニリデン樹脂、メタクリル樹
脂、ポリアミド、ポリカーボネート、フッ素樹脂、ポリ
ビニルフォルマール、ポリビニルブチラール、アセチル
セルロース、ニトロセルロース、ポリ酢酸ビニル、ポリ
イソブチレン、エチルセルロース又はポリアセタール等
が挙げられるが、特に従来より感熱接着剤として使用さ
れている比較的低軟化点、例えば、50〜80℃の軟化
点を有するものが好ましい。
【0019】着色剤としては、公知の有機または無機の
顔料、あるいは染料の中から適宜選択することができ、
例えば、十分な着色濃度を有し、光、熱等により変色、
退色しないものが好ましい。また、着色剤の色として
は、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラックに限定され
るものではなく、種々の色の着色剤を使用することがで
きる。さらに、熱溶融性インキ層に、良好な熱伝導性お
よび熱溶融転写性を与えるため、バインダーの充填剤と
して熱伝導性物質を配合してもよい。このような充填剤
としては、例えばカーボンブラック等の炭素質物質、ア
ルミニウム、銅、酸化錫、二硫化モリブデン等の金属お
よび金属化合物等がある。
【0020】熱溶融性インキ層の形成は、上記のような
着色剤成分とバインダー成分と、さらに、これに必要に
応じて水、有機溶剤等の溶媒成分を配合調整した熱溶融
性インキ層形成用塗工液を、従来公知のホットメルトコ
ート、ホットラッカーコート、グラビアコート、グラビ
アリバースコート、ロールコート等の方法で行う。ま
た、水系又は非水系のエマルジョン塗液を用いて形成す
る方法もある。熱溶融性インキ層の厚みは、必要な印字
濃度と熱感度との調和がとれるように、決定すべきであ
って、0.1μm〜30μmの範囲、好ましくは、1μ
m〜20μm程度が、好ましい。
【0021】(背面層)また、基材フィルムの他方の面
に、サーマルヘッドの粘着を防止し、且つ、滑り性を良
くするために、背面層を設けることも可能である。この
背面層は、バインダー樹脂に滑り剤、界面活性剤、無機
粒子、有機粒子、顔料等を添加したものを、好適に使用
し、形成される。背面層に使用されるバインダー樹脂
は、例えば、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセル
ロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロ
ース、酢酸セルロース、酢酪酸セルロース、硝化綿など
のセルロース系樹脂、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸
ビニル、ポリビニルブチラール、ポリビニルアセター
ル、ポリビニルピロリドン、アクリル樹脂、ポリアクリ
ルアミド、アクリロニトリル−スチレン共重合体などの
ビニル系樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、
シリコーン変性またはフッ素変性ウレタン樹脂などが、
あげられる。これらのなかで、数個の反応性基、例え
ば、水酸基を有しているものを使用し、架橋剤として、
ポリイソシアネートなどを併用して、架橋樹脂を使用す
ることが好ましい。
【0022】背面層を形成する手段は、上記のごとき、
バインダー樹脂に滑り剤、界面活性剤、無機粒子、有機
粒子、顔料等を添加した材料を、適当な溶剤中に溶解ま
たは分散させて、塗工液を調製し、この塗工液をグラビ
アコーター、ロールコーター、ワイヤーバーなどの慣用
の塗工手段により、塗工し、乾燥するものである。本発
明の熱転写シートは、カラー印字に適応できることは言
うまでもなく、多色の熱転写シートも本発明の範囲に含
まれる。尚、本発明の熱転写シートは、上記の発明の実
施の形態に限定されるものではない。
【0023】
【実施例】次に実施例及び比較例をあげて、本発明を更
に具体的に説明する。尚、文中、部又は%とあるのは、
特に断りのない限り重量基準である。 (実施例1)基材フィルムとして、厚さ4.5μmのポ
リエチレンテレフタレートフィルムの一方の面に、下記
組成の剥離層をグラビアコーターにより、3g/m2
(乾燥固形分)の厚みで設ける。次に、その剥離層の上
に、下記組成の熱溶融性インキ層用塗工液をホットメル
トコートで、塗布、乾燥して、厚さ3.5g/m2 (乾
燥固形分)の熱溶融性インキ層を形成し、実施例1の熱
転写シートを作成した。但し、基材フィルムの他方の面
には、下記組成の背面層塗工液を、ロールコーターによ
り、塗布、乾燥し、0.1μmの厚みの背面層を予め設
けてある。
【0024】剥離層用塗工液1 カルナバワックスエマルジョン(固形分40%) 175部 ウレタン樹脂エマルジョン(旭電化(株)製、HUX290H) 50部 アイオノマー樹脂(三井石油化学工業(株)製、S−100) 50部 カチオン系ポリマーエマルジョン 40部 (三洋化成工業(株)製、ケミスタット6300H、固形分25%、スチレン ・ビニルベンジルトリメチルアンモニウムクロライド・N−ビニルベンジル−N ,N−ジメチル−N′,N′,N′−トリメチルエチレンジアミン第4級塩共重 合物を主成分とする)
【0025】熱溶融性インキ層用塗工液 カーボンブラック 20部 カルナバワックス 75部 パラフィンワックス 5部
【0026】背面層塗工液 ポリビニルブチラール樹脂 20部 (積水化学株式会社製 エスレックBX−1) タルク(日本アルク株式会社製 ミクロエースL−1) 30部 メラミン樹脂微粒子(日本触媒化学工業株式会社製 エポスターS) 30部 ポリイソシアネート(武田薬品工業株式会社製 タケネートA−3) 40部 トルエン/メチルエチルケトン(1/1) 900部
【0027】(実施例2)実施例1の剥離層塗工液1を
下記組成に変更した以外は、実施例1と同様にして実施
例2の熱転写シートを用意する。剥離層用塗工液2 カルナバワックスエマルジョン(固形分40%) 200部 ウレタン樹脂エマルジョン(旭電化(株)製、HUX290H) 35部 アイオノマー樹脂(三井石油化学工業(株)製、S−100) 35部 カチオン系ポリマーエマルジョン 40部 (三洋化成工業(株)製、ケミスタット6300H、固形分25%、スチレン ・ビニルベンジルトリメチルアンモニウムクロライド・N−ビニルベンジル−N ,N−ジメチル−N′,N′,N′−トリメチルエチレンジアミン第4級塩共重 合物を主成分とする)
【0028】(比較例1)実施例1の剥離層塗工液1を
下記組成に変更した以外は、実施例1と同様にして比較
例1の熱転写シートを用意する。剥離層用塗工液3 カルナバワックスエマルジョン(固形分40%) 175部 ウレタン樹脂エマルジョン(旭電化(株)製、HUX290H) 50部 アイオノマー樹脂(三井石油化学工業(株)製、S−100) 50部
【0029】(比較例2)実施例1の剥離層塗工液1を
下記組成に変更した以外は、実施例1と同様にして比較
例2の熱転写シートを用意する。剥離層用塗工液4 カルナバワックスエマルジョン(固形分40%) 175部 ウレタン樹脂エマルジョン(旭電化(株)製、HUX290H) 50部 アイオノマー樹脂(三井石油化学工業(株)製、S−100) 50部 アニオン系帯電防止剤 10部
【0030】上記、実施例および比較例で得られた熱転
写シートを用いて、下記の印字条件にて印字を実施し
た。印字条件 サーマルヘッド;薄膜型サーマルヘッド 印加エネルギー;0.3mj/dot 被転写体;コート紙ラベル(Fasson IC)
【0031】上記の条件にて印字し、熱転写シートの帯
電防止性について、以下の方法及び判断基準で評価す
る。帯電防止性 上記の条件で印字した後で、熱転写シートの熱溶融性イ
ンキ層が設けられている面の表面抵抗を、高抵抗抵抗率
計(三菱油化製 Hiresta IP)により測定す
る。但し、印字及び表面抵抗率測定の環境は、25℃、
30%RHである。表面抵抗率が1010Ω/□未満であ
ると、熱転写プリンターで走行上、帯電による問題が生
じなく、表面抵抗率が1011Ωを越えると、帯電による
問題が生じやすい。 ○;表面抵抗値が1010Ω/□未満 △;表面抵抗値が1010〜1011Ω/□ ×;表面抵抗値が1011Ω/□を越える。
【0032】(評価結果)評価結果を表1に示す。
【表1】
【0033】
【発明の効果】以上のように、本発明によれば、基材フ
ィルムの一方の面に、剥離層、熱溶融性インキ層をこの
順序に積層した熱転写シートで、該剥離層がカチオン系
ポリマーの帯電防止剤を含有していることにより、また
特に帯電防止剤が、スチレンと、ビニルベンジルのアン
モニウムクロライドと、ビニルベンジルのアミン第4級
塩の各モノマーの共重合物であることが好ましく、使用
する環境による影響を受けることなく、熱転写プリンタ
ーにおいて、常に安定した帯電防止性を有する。剥離層
に含有する帯電防止剤が、低分子量のものではなく、高
分子量であるため、熱転写シートの形態で、帯電防止剤
が熱溶融性インキ層の上などに滲み出ることがなく、巻
き取り状態でのブロッキングを生じることもない。ま
た、熱溶融性インキ層が、インキ層全体の60%以上の
割合で、針入度が低く、硬めであるカルナバワックスを
含有していることが好ましく、それにより熱転写後の印
字物の耐擦過性が優れたものとなる。カルナバワックス
主体の熱溶融性インキ層は、基材フィルムに直接設けず
に、剥離層を介して形成しているため、熱転写シートの
箔持ち性は良好となる。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基材フィルムの一方の面に、剥離層、熱
    溶融性インキ層をこの順序に積層してなる熱転写シート
    において、該剥離層がカチオン系ポリマーの帯電防止剤
    を含有していることを特徴とする熱転写シート。
  2. 【請求項2】 前記の熱溶融性インキ層が、インキ層全
    体の60%以上の割合でカルナバワックスを含有してい
    ることを特徴とする上記の請求項1に記載する熱転写シ
    ート。
  3. 【請求項3】 前記の剥離層に含有される帯電防止剤
    が、スチレンと、ビニルベンジルのアンモニウムクロラ
    イドと、ビニルベンジルのアミン第4級塩の各モノマー
    の共重合物であることを特徴とする上記の請求項1に記
    載する熱転写シート。
  4. 【請求項4】 基材フィルムの他方の面に、背面層を設
    けたことを特徴とする上記の請求項1〜3のいずれかに
    記載する熱転写シート。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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