JP2000141925A - 熱転写シート - Google Patents

熱転写シート

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JP2000141925A
JP2000141925A JP10325153A JP32515398A JP2000141925A JP 2000141925 A JP2000141925 A JP 2000141925A JP 10325153 A JP10325153 A JP 10325153A JP 32515398 A JP32515398 A JP 32515398A JP 2000141925 A JP2000141925 A JP 2000141925A
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transfer sheet
mat layer
polyester resin
carbon black
thermal transfer
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JP10325153A
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English (en)
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Yoshihiro Sawa
良裕 澤
Kazunori Yokouchi
和則 横内
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Dai Nippon Printing Co Ltd
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Dai Nippon Printing Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 帯電防止機能をもちながら、機密漏洩防止機
能も有し、マット層塗工液でのカーボンブラックの分散
性が良好で、塗工液の経時的安定性に優れ、塗工液の固
形分アップによる溶剤使用量の削減が可能な熱転写シー
トを提供する。 【解決手段】 基材フィルムの一方の面に、マット層、
熱溶融性インキ層をこの順序に積層して、該マット層が
ポリエステル樹脂のバインダーとカーボンブラックを主
成分とし、該ポリエステル樹脂が酸成分の一部として、
一般式〔HOOC−(CH2 n −COOH〕(n=1
〜10)で表される飽和脂肪族系ジカルボン酸を反応さ
せたものを使用することにより、分子量が6000〜1
2000程度の低分子量ポリエステルでも適性な塗工液
粘度を維持でき、液の経時的安定性も良く、カーボンブ
ラックの分散性が良好となる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、熱溶融性インキ層
を備えた熱転写シートに関し、さらに詳しくは、帯電防
止機能、機密漏洩防止の機能を有する熱転写シートに関
するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、熱転写プリンター、ファクシミリ
等に用いられる熱転写記録媒体として、基材フィルムの
一方の面に熱溶融性インキ層を設けた熱転写シートが使
用されている。従来の熱転写シートは、基材フィルムと
して厚さ10〜20μm程度のコンデンサ紙やパラフィ
ン紙のような紙、あるいは厚さ3〜20μm程度のポリ
エステルやセロファンのようなプラスチックフィルムを
用い、この基材フィルム上にバインダーに顔料や染料等
の着色剤を混合し、さらに必要に応じて、低融点剤及び
可塑剤等の添加剤を加えた熱溶融性のインキを塗布し
て、熱溶融性インキ層を設けたものである。そして、基
材フィルムの裏側からサーマルヘッドにより所定箇所を
加熱・加圧し、熱溶融性インキ層のうち、印字部に相当
する箇所の熱溶融性インキ層を溶融させ、被転写体に転
写して印字を行うものである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記の熱転写シートに
おいて、特開昭61−144393号に記載してあるよ
うに、帯電防止機能、機密漏洩防止の機能をもたせるた
めに、基材フィルム上にマット層と熱溶融性インキ層を
設け、マット層に導電性粉体を含有させることが行われ
ている。しかし、上記の熱転写シートでは導電性粉体の
カーボンブラックがマット層塗工液で分散性が良好では
ない。それによって、マット層の透過濃度が低下し、印
字後の熱転写シートの抜け殻が見えやすくなり、機密漏
洩防止の機能が充分ではないという問題がある。
【0004】また、上記の熱転写シートでは、カーボン
ブラックの分散性が良好でないため、マット層塗工液の
粘度が高くなりやすく、塗工液の経時的安定性に欠ける
ものである。そして、熱転写シートの製造コスト低減の
ため、塗工液の固形分アップによる溶剤使用量の削減
を、上記の熱転写シートで行うことは困難である。本発
明は、上記の欠点、問題を改善、解決し、帯電防止機能
をもちながら、機密漏洩防止機能も有し、マット層塗工
液でのカーボンブラックの分散性が良好で、塗工液の経
時的安定性に優れ、塗工液の固形分アップによる溶剤使
用量の削減が可能である熱転写シートを提供することを
目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明は、基材フィルムの一方の面に、マット層、
熱溶融性インキ層をこの順序に積層してなる熱転写シー
トにおいて、該マット層がポリエステル樹脂のバインダ
ーとカーボンブラックを主成分とし、該ポリエステル樹
脂が酸成分の一部として、一般式〔HOOC−(C
2 n −COOH〕(n=1〜10)で表される飽和
脂肪族系ジカルボン酸を反応させたものであることを特
徴とする。
【0006】前記のポリエステル樹脂の数平均分子量が
6000〜12000であることが好ましい。また、前
記のポリエステル樹脂は、反応させる飽和脂肪族系ジカ
ルボン酸の反応量が該ポリエステル樹脂の酸成分全体の
3モル〜10モル%であることが好ましい。さらに前記
の飽和脂肪族系ジカルボン酸がセバシン酸であることが
望ましい。また、前記の基材フィルムの他方の面に、背
面層を設けることが好ましい。
【0007】本発明の熱転写シートの作用は、基材フィ
ルムの一方の面に、マット層、熱溶融性インキ層をこの
順序に積層して、該マット層がポリエステル樹脂のバイ
ンダーとカーボンブラックを主成分とし、該ポリエステ
ル樹脂が酸成分の一部として、一般式〔HOOC−(C
2 n −COOH〕(n=1〜10)で表される飽和
脂肪族系ジカルボン酸を反応させたものを使用すること
により、分子量が6000〜12000程度の低分子量
ポリエステルでも適性な塗工液粘度を維持でき、液の経
時的安定性も良く、カーボンブラックの分散性が良好と
なる。よって、塗工液の固形分アップによる溶剤使用量
の削減が可能となり、帯電防止機能と機密漏洩防止機能
に優れ、さらに熱転写シートの製造コスト低減が可能と
なる。
【0008】
【発明の実施の形態】次に、発明の実施の形態につい
て、詳述する。本発明の熱転写シートは、基材フィルム
の一方の面に、マット層、熱溶融性インキ層をこの順序
に積層して、該マット層がポリエステル樹脂のバインダ
ーとカーボンブラックを主成分とし、該ポリエステル樹
脂が酸成分の一部として、一般式〔HOOC−(C
2 n −COOH〕(n=1〜10)で表される飽和
脂肪族系ジカルボン酸を反応させたものである。
【0009】(基材フィルム)本発明の熱転写シートで
用いられる基材フィルムとしては、従来の熱転写シート
に使用されているものと同じ基材フィルムをそのまま用
いることが出来ると共に、その他のものも使用すること
が出来、特に制限されない。好ましい基材フィルムの具
体例としては、例えば、ポリエステル、ポリプロピレ
ン、セロハン、ポリカーボネイト、酢酸セルロース、ポ
リエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ナイロ
ン、ポリイミド、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアル
コール、フッ素樹脂、塩化ゴム、アイオノマー等のプラ
スチック、コンデンサー紙、パラフィン紙等の紙類、不
織布等があり、又、これらを複合した基材フィルムであ
ってもよい。この基材フィルムの厚さは、その強度及び
熱伝導性が適切になるように材料に応じて適宜変更する
ことが出来るが、その厚さは、好ましくは、例えば、3
〜10μmである。
【0010】(マット層)マット層は、バインダーとカ
ーボンブラックを主成分とし、そのバインダーとしては
ポリエステル樹脂を用い、該ポリエステル樹脂は酸成分
の一部として、一般式〔HOOC−(CH2 n −CO
OH〕(n=1〜10)で表される飽和脂肪族系ジカル
ボン酸を反応させたものである。すなわち、バインダー
として使用するポリエステル樹脂は、一般式〔HOOC
−(CH2 n −COOH〕(n=1〜10)で表され
る飽和脂肪族系ジカルボン酸を酸成分の一部として用
い、その酸成分と反応させるアルコール成分としては、
エチレングリコール、ポロピレングリコール、ネオペン
チルグリコール、イソペンチルグリコール等の脂肪族グ
リコールが挙げられる。上記の酸成分とアルコール成分
とが反応し、エステル結合を有した脂肪族の線状ポリエ
ステル樹脂である。
【0011】尚、ポリエステル樹脂の酸成分として、上
記の一般式〔HOOC−(CH2 n −COOH〕で表
される飽和脂肪族系ジカルボン酸を、該ポリエステル樹
脂の酸成分全体の3モル〜10モル%の割合で使用する
ことが好ましい。飽和脂肪族系ジカルボン酸が3モル%
未満であると、基材フィルムとマット層との密着力が低
下しやすく、一方10モル%を越えると、ポリエステル
樹脂のガラス転移点が低下し、保存性の点で好ましくな
い。また、ポリエステル樹脂の酸成分は、上記の飽和脂
肪族系ジカルボン酸以外のものとして、フマル酸、フタ
ル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、マレイン酸、イタ
コン酸、ヘキサカルボン酸、トリメリット酸等の不飽和
脂肪酸や芳香族系カルボン酸が使用できる。
【0012】上記のポリエステル樹脂において、その数
平均分子量が6000〜12000であるものを使用す
ることが好ましい。数平均分子量が6000未満である
と、樹脂のガラス転移点が低下し、保存性の点で好まし
くない。一方、数平均分子量が12000を越えると、
塗工液粘度が増大し、塗工液の固形分アップによる溶剤
使用量の削減が困難になる等好ましくない。マット層の
ポリエステル樹脂は、酸成分として、一般式〔HOOC
−(CH2n −COOH〕で表される飽和脂肪族系ジ
カルボン酸の中でも、セバシン酸が好ましく用いられ、
アルコール成分としてはエチレングリコールとネオペン
チルグリコールが好ましく、それらを用いることによ
り、数平均分子量が6000〜12000のポリエステ
ル樹脂が得られやすい。
【0013】マット層に添加されるカーボンブラック
は、導電性プラスチックや通常のプラスチックの帯電防
止のために従来から使用されている導電性カーボンが使
用できる。好ましく用いることができるものとして、例
えば多孔性の導電性カーボンでDBP吸油量が400m
l/100g以上、好ましくは450〜600ml/1
00gのものであり、具体的には、ライオンアクゼ製ケ
ッチェンブラックEC600JD等が挙げられる。カー
ボンブラックは、マット層中に30〜70重量%で含有
されていることが好ましく、カーボンブラックがこの範
囲より少ないと、帯電防止性が不十分となり、一方、こ
の範囲より多いと、マット層の膜強度が低下してしま
う。
【0014】本発明では、基材フィルムの一方の面に、
マット層、熱溶融性インキ層をこの順序に積層してなる
熱転写シートであり、被転写体と重ね合わせて、サーマ
ルヘッドの加熱により、被転写体へ熱溶融性インキ層の
みが転写し、マット層は被転写体へ転写せずに、熱転写
シートの基材フィルム側に残存している。本発明では、
上記の樹脂バインダーとカーボンブラックからマット層
を形成するにあたり、マット層中のカーボンブラックの
分散をより均一にする目的で、マット層に高級脂肪族ア
ルコール、リン酸エステル及びその金属塩、有機カルボ
ン酸及びその誘導体や低融点ワックス、各種界面活性剤
等の分散剤を添加することができる。
【0015】マット層を形成するには、上記の如き材料
を、メチルエチルケトン、トルエン、アルコール類、水
等の適当な溶媒中に溶解または分散させて、塗工液を調
整し、グラビアコーター、ロールコーター、ワイヤーバ
ー等の慣用の塗工手段により、塗工し、乾燥すればよ
い。マット層の塗工量は、乾燥固形分で、0.2〜1.
0g/m2 が好ましく、より好ましくは0.2〜0.5
g/m2 の厚みで、充分な性能を有するマット層を形成
することができる。塗工量が0.2g/m2 を下回る
と、帯電防止性が充分でなく、剥離音が大きくなる傾向
があり、塗工量が1.0g/m2 を越えると、マット層
が厚すぎて、転写時の印字感度が低下するので好ましく
ない。
【0016】(熱溶融性インキ層)本発明では、上記の
マット層の上に、熱溶融性インキ層を設けるものであ
る。熱溶融性インキ層は、従来公知の着色剤とバインダ
ーよりなり、必要に応じて、鉱物油、植物油、ステアリ
ン酸等の高級脂肪酸、可塑剤、熱可塑性樹脂、充填剤等
の種々の添加剤を加えたものが使用される。バインダー
として用いられるワックス成分としては、例えば、マイ
クロクリスタリンワックス、カルナバワックス、パラフ
ィンワックス等がある。更に、フィッシャートロプシュ
ワックス、各種低分子量ポリエチレン、木ロウ、ミツロ
ウ、鯨ロウ、イボタロウ、羊毛ロウ、セラックワック
ス、キャンデリラワックス、ペトロラクタム、ポリエス
テルワックス、一部変性ワックス、脂肪酸エステル、脂
肪酸アミド等、種々のワックスが用いられる。このなか
で、特に融点が50〜85℃であるものが好ましい。5
0℃以下であると、保存性に問題が生じ、又85℃以上
であると感度不足になる。
【0017】バインダーとして用いられる樹脂成分とし
ては、例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレ
ン−アクリル酸エステル共重合体、ポリエチレン、ポリ
スチレン、ポリプロピレン、ポリブデン、石油樹脂、塩
化ビニル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ
ビニルアルコール、塩化ビニリデン樹脂、メタクリル樹
脂、ポリアミド、ポリカーボネート、フッ素樹脂、ポリ
ビニルフォルマール、ポリビニルブチラール、アセチル
セルロース、ニトロセルロース、ポリ酢酸ビニル、ポリ
イソブチレン、エチルセルロース又はポリアセタール等
が挙げられるが、特に従来より感熱接着剤として使用さ
れている比較的低軟化点、例えば、50〜80℃の軟化
点を有するものが好ましい。
【0018】着色剤としては、公知の有機または無機の
顔料、あるいは染料の中から適宜選択することができ、
例えば、十分な着色濃度を有し、光、熱等により変色、
退色しないものが好ましい。また、加熱により発色する
物質や、被転写体の表面に塗布されている成分と接触す
ることにより発色するような物質であってもよい。さら
に、着色剤の色としては、シアン、マゼンタ、イエロ
ー、ブラックに限定されるものではなく、種々の色の着
色剤を使用することができる。
【0019】さらに、熱溶融性インキ層に、良好な熱伝
導性および熱溶融転写性を与えるため、バインダーの充
填剤として熱伝導性物質を配合してもよい。このような
充填剤としては、例えばカーボンブラック等の炭素質物
質、アルミニウム、銅、酸化錫、二硫化モリブデン等の
金属および金属化合物等がある。熱溶融性インキ層の形
成は、上記のような着色剤成分とバインダー成分と、さ
らに、これに必要に応じて水、有機溶剤等の溶媒成分を
配合調整した熱溶融性インキ層形成用塗工液を、従来公
知のホットメルトコート、ホットラッカーコート、グラ
ビアコート、グラビアリバースコート、ロールコート等
の方法で行う。また、水系又は非水系のエマルジョン塗
液を用いて形成する方法もある。熱溶融性インキ層の厚
みは、必要な印字濃度と熱感度との調和がとれるよう
に、決定すべきであって、0.1μm〜30μmの範
囲、好ましくは、1μm〜20μm程度が、好ましい。
【0020】(背面層)また、基材フィルムの他方の面
に、サーマルヘッドの粘着を防止し、且つ、滑り性を良
くするために、背面層を設けることも可能である。この
背面層は、バインダー樹脂に滑り剤、界面活性剤、無機
粒子、有機粒子、顔料等を添加したものを、好適に使用
し、形成される。背面層に使用されるバインダー樹脂
は、例えば、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセル
ロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロ
ース、酢酸セルロース、酢酪酸セルロース、硝化綿など
のセルロース系樹脂、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸
ビニル、ポリビニルブチラール、ポリビニルアセター
ル、ポリビニルピロリドン、アクリル樹脂、ポリアクリ
ルアミド、アクリロニトリル−スチレン共重合体などの
ビニル系樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、
シリコーン変性またはフッ素変性ウレタン樹脂などが、
あげられる。これらのなかで、数個の反応性基、例え
ば、水酸基を有しているものを使用し、架橋剤として、
ポリイソシアネートなどを併用して、架橋樹脂を使用す
ることが好ましい。
【0021】背面層を形成する手段は、上記のごとき、
バインダー樹脂に滑り剤、界面活性剤、無機粒子、有機
粒子、顔料等を添加した材料を、適当な溶剤中に溶解ま
たは分散させて、塗工液を調製し、この塗工液をグラビ
アコーター、ロールコーター、ワイヤーバーなどの慣用
の塗工手段により、塗工し、乾燥するものである。本発
明の熱転写シートは、カラー印字に適応できることは言
うまでもなく、多色の熱転写シートも本発明の範囲に含
まれる。尚、本発明の熱転写シートは、上記の発明の実
施の形態に限定されるものではない。また、本発明の熱
転写シートと組み合わせて用いられる被転写体は、従来
公知のいずれの被転写体でも使用することができる。
【0022】
【実施例】次に実施例及び比較例をあげて、本発明を更
に具体的に説明する。尚、文中、部又は%とあるのは、
特に断りのない限り重量基準である。 (実施例1〜11)基材フィルムとして、厚さ4.5μ
mのポリエチレンテレフタレートフィルムの一方の面
に、下記組成でマット層塗工液をワイヤーバーにより、
乾燥時0.4g/m2 になるように塗工し、70℃のオ
ーブンにて乾燥し、マット層を形成した。次いで、その
マット層の上に、下記組成の熱溶融性インキ層塗工液
を、ワイヤーバーにて、塗布、乾燥して、乾燥時5.0
g/m2 の熱溶融性インキ層を形成し、実施例1〜11
の熱転写シートを作成した。但し、基材フィルムの他方
の面には、下記組成の背面層塗工液をロールコーターに
より、塗布、乾燥し、乾燥時0.1μmの厚みの背面層
を予め設けてある。
【0023】マット層塗工液 下記表1に示すポリエステル樹脂 20部 カーボンブラック 30部 トルエン/メチルエチルケトン(1/1) 50部
【0024】熱溶融性インキ層塗工液 カーボンブラック 20部 エチレンー酢酸ビニル共重合体 10部 (三井デュポン・ポリケミカル社製 エバフレックス#410) カルナバワックス 20部 パラフィンワックス 50部 (日本精蝋株式会社製 HNP−11)
【0025】背面層塗工液 ポリビニルブチラール樹脂 20部 (積水化学株式会社製 エスレックBX−1) タルク(日本アルク株式会社製 ミクロエースL−1) 30部 メラミン樹脂微粒子(日本触媒化学工業株式会社製 エポスターS) 30部 ポリイソシアネート(武田薬品工業株式会社製 タケネートA−3) 40部 トルエン/メチルエチルケトン(1/1) 900部
【0026】
【表1】 尚、分子量は数平均分子量であり、ゲル浸透クロマトグ
ラフィー(GPC)を用いて測定した。
【0027】(比較例1〜4)マット層塗工液を下記組
成とした以外は、実施例と同様にして比較例1〜4の熱
転写シートを用意する。マット層塗工液 下記表2に示すポリエステル樹脂 20部 カーボンブラック 30部 トルエン/メチルエチルケトン(1/1) 50部
【0028】
【表2】
【0029】上記、実施例および比較例で得られる熱転
写シート及びマット層塗工液に対して、下記の評価方法
にて、カーボンブラック分散性、インキ固形分アップ適
性、基材フィルムとの密着性、塗工液安定性、バインダ
ー樹脂材料の保存性及び希釈溶剤の削減適性の評価を行
った。カーボンブラック分散性 上記の実施例及び比較例の各熱転写シートで、マット層
のみを塗工した試料を光学顕微鏡にて観察し、カーボン
ブラックの分散性を調べる。その評価の判断基準は下記
の通りである。 ○;カーボンブラックの凝集が認められない。 △;カーボンブラックの凝集が少し認められる。 ×;カーボンブラックの凝集が認められる。
【0030】インキ固形分アップ適性 上記の実施例及び比較例で用意するマット層塗工液(イ
ンキ)に対し、そのインキの固形分を上げていき、どこ
までインキ製造が可能か、限界まで固形分を上げる評価
を行った。その評価の判断基準は下記の通りである。 ○;インキ固形分50%以上のインキ製造が可能であっ
た。 △;インキ固形分45%までのインキ製造が可能であっ
た。 ×;インキ固形分40%までのインキ製造が可能であっ
た。
【0031】基材フィルムとの密着性 上記の実施例及び比較例の各熱転写シートに対し、下記
の印字条件にて印字を行い、印字後の熱転写シートの抜
け殻の状態を目視にて観察し、評価を行った。 (印字条件) プリンター :自作の評価プリンター 印加エネルギー:24V 印字速度 :15msec/line その評価の判断基準は下記の通りである。 ○;マット層の抜け(マット層が被転写体に転写され
て、抜けている。)が全く認められない。 △;マット層の抜け(マット層が被転写体に転写され
て、抜けている。)が少し認められる。 ×;マット層が被転写体に完全に転写されている。
【0032】塗工液安定性 上記の実施例及び比較例で用意するマット層塗工液に対
し、希釈する溶剤比率を変えて、固形分が15%になる
ように塗工液を作製し、24時間放置し、沈殿物の有無
を目視にて評価した。その評価の判断基準は下記の通り
である。 ○;溶剤がトルエン/メチルエチルケトン=4/1でカ
ーボンブラックの沈降が認められない。 △;溶剤がトルエン/メチルエチルケトン=3/1でカ
ーボンブラックの沈降が認められない。(溶剤がトルエ
ン/メチルエチルケトン=4/1ではカーボンブラック
の沈降が認められる。) ×;溶剤がトルエン/メチルエチルケトン=3/1でカ
ーボンブラックの沈降が認められる。
【0033】バインダー樹脂材料の保存性 上記の実施例及び比較例で用意するマット層塗工液のバ
インダー樹脂のポリエステル樹脂単独をシート状にし
て、同じ試料を2枚重ねて、1kg/cm2 の圧力を加
え、45℃のオーブン中に48時間放置後、樹脂同士の
貼り付き状態を目視にて調べた。その評価の判断基準は
下記の通りである。 ○;全く貼り付いていない。 △;貼り付きは認められるが、容易に手で剥がせる。 ×;手で剥がせない程度に貼り付いている。
【0034】希釈溶剤の削減適性 上記の実施例及び比較例で用意するマット層塗工液の希
釈する溶剤の量(希釈量)を変更し、グラビアコーティ
ング機にてグラビア版の版深を適宜浅くして、塗工量が
乾燥時0.3g/m2 になるようにコーティングを行
い、その希釈量を調べた。その評価の判断基準は下記の
通りである。 ○;希釈量がバインダー樹脂100に対し、溶剤150
でコーティングが可能であり、良質な塗工面が得られ
る。 △;希釈量がバインダー樹脂100に対し、溶剤200
でコーティングが可能であり、良質な塗工面が得られ
る。(希釈量がバインダー樹脂100に対し、溶剤15
0では、塗工面が少し荒れてくる。) ×;希釈量がバインダー樹脂100に対し、溶剤300
でコーティングが可能であり、良質な塗工面が得られ
る。(希釈量がバインダー樹脂100に対し、溶剤15
0では、塗工面がかなり荒れてくる。また希釈量がバイ
ンダー樹脂100に対し、溶剤200では、塗工面が荒
れてくる。)
【0035】(評価結果)評価結果を下記表3に示す。
【0036】
【表3】
【0037】上記の評価結果の通り、マット層がポリエ
ステル樹脂のバインダーとカーボンブラックを主成分と
し、該ポリエステル樹脂が酸成分の一部として、一般式
〔HOOC−(CH2 n −COOH〕でn=8のセバ
シン酸、n=4のアジピン酸の飽和脂肪族系ジカルボン
酸を反応させた実施例1〜11は、マット層のカーボン
ブラック分散性、インキ固形分アップ適性、及び基材フ
ィルムとの密着性について、ほぼ良好な結果が得られ
た。また、実施例1〜11の熱転写シートは全て、25
℃、湿度50%RHの環境で、表面電気抵抗率が108
Ω/□以下であり、良好な帯電防止機能を有している。
また、実施例1〜8では、マット層のバインダー樹脂の
ポリエステルが反応させる飽和脂肪族系ジカルボン酸の
反応量が該ポリエステル樹脂の酸成分全体の3モル〜1
0モル%であり、マット層の塗工液安定性、バインダー
樹脂材料の保存性及び希釈溶剤の削減適性でほぼ良好で
ある。
【0038】それに対し、比較例1〜4では、マット層
のカーボンブラック分散性、インキ固形分アップ適性、
及び基材フィルムとの密着性について、さらにマット層
の塗工液安定性、バインダー樹脂材料の保存性及び希釈
溶剤の削減適性で、良くない結果となる。上記のマット
層におけるカーボンブラック分散性と基材フィルムとの
密着性の両方の機能を合わせもつことにより、機密漏洩
防止が可能となる。つまり、マット層におけるカーボン
ブラックの分散性能が低下すると、層での透過濃度が低
下するため、印字後の熱転写シートを透過して、抜け殻
が識別されてしまう。また、マット層の基材フィルムと
の密着力が低下すると、印字時にマット層が被転写体へ
転写し、基材フィルム側に残らないため、上記と同様に
印字後の熱転写シートを透過して、抜け殻が識別されて
しまう。
【0039】
【発明の効果】以上のように、本発明によれば、基材フ
ィルムの一方の面に、マット層、熱溶融性インキ層をこ
の順序に積層した熱転写シートで、該マット層がポリエ
ステル樹脂のバインダーとカーボンブラックを主成分と
し、該ポリエステル樹脂が酸成分の一部として、一般式
〔HOOC−(CH2 n −COOH〕(n=1〜1
0)で表される飽和脂肪族系ジカルボン酸を反応させた
ものを使用することにより、分子量が6000〜120
00程度の低分子量ポリエステルでも適性な塗工液粘度
を維持でき、液の経時的安定性も良く、カーボンブラッ
クの分散性が良好となる。
【0040】また、前記のポリエステル樹脂は、反応さ
せる飽和脂肪族系ジカルボン酸の反応量が該ポリエステ
ル樹脂の酸成分全体の3モル〜10モル%であることが
好ましい。本発明の熱転写シートによれば、マット層に
おいて、基材フィルムへの密着性に優れ、カーボンブラ
ックの分散性に優れ、またマット層塗工液の固形分アッ
プによる溶剤使用量の削減が可能となり、帯電防止機能
と機密漏洩防止機能に優れる。さらに溶剤使用量の削減
が、熱転写シートの製造上、マット層形成の際の乾燥時
のエネルギー消費量を減らすことができ、熱転写シート
の製造コスト低減が可能となる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 2C068 AA06 AA15 BB04 BB08 BB22 BB25 BC03 BC14 BC24 BC33 BD17 BD49 PP09 2H111 AA07 AA26 BA03 BA04 BA07 BA08 BA53 BA55 BB05 4J038 DD051 DD061 DD081 HA026 MA14 PB11 PC08

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基材フィルムの一方の面に、マット層、
    熱溶融性インキ層をこの順序に積層してなる熱転写シー
    トにおいて、該マット層がポリエステル樹脂のバインダ
    ーとカーボンブラックを主成分とし、該ポリエステル樹
    脂が酸成分の一部として、一般式〔HOOC−(C
    2 n −COOH〕(n=1〜10)で表される飽和
    脂肪族系ジカルボン酸を反応させたものであることを特
    徴とする熱転写シート。
  2. 【請求項2】 前記のポリエステル樹脂の数平均分子量
    が6000〜12000であることを特徴とする上記の
    請求項1に記載する熱転写シート。
  3. 【請求項3】 前記のポリエステル樹脂は、反応させる
    飽和脂肪族系ジカルボン酸の反応量が該ポリエステル樹
    脂の酸成分全体の3モル〜10モル%であることを特徴
    とする上記の請求項1に記載する熱転写シート。
  4. 【請求項4】 前記の飽和脂肪族系ジカルボン酸がセバ
    シン酸であることを特徴とする上記の請求項1に記載す
    る熱転写シート。
  5. 【請求項5】 前記の基材フィルムの他方の面に、背面
    層を設けたことを特徴とする上記の請求項1〜4のいず
    れかに記載する熱転写シート。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003306616A (ja) * 2002-04-16 2003-10-31 Ceramission Kk 水性組成物及び非水系組成物
JP2009012445A (ja) * 2007-06-08 2009-01-22 General Technology Kk 熱転写記録媒体

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JP2003306616A (ja) * 2002-04-16 2003-10-31 Ceramission Kk 水性組成物及び非水系組成物
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