JP4504589B2 - 熱転写シートおよび熱転写印字方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、基材上にアンダーコート層を介して熱溶融性インキ層を設けた熱転写フィルムに係り、特に熱転写シートの種別の判別が可能な熱転写シートと、使用する熱転写シートに最適な条件で印字を行うための熱転写印字方法とに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、顔料や染料等の着色剤を熱溶融性のワックスや樹脂等のバインダーに分散させた熱溶融性インキ層を、プラスチックフィルム等の基材に担持させた熱転写シートを用いて、サーマルヘッド等の加熱デバイスにより画像情報に応じたエネルギーを印加し、紙やプラスチックシート等の受像シート上に着色剤をバインダーとともに転写する熱溶融転写方式の印字記録が知られている。この熱溶融転写方式によって形成される印字画像は、高濃度で鮮鋭性に優れ、文字、線画等の2値画像の記録に適している。また、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック等の着色層を有する熱転写シートを用いて、受像シート上に各着色層を重ねて印字記録することで、減色混合により多色あるいはフルカラー画像の形成も可能である。
【0003】
さて、熱溶融転写方式により画像を形成する場合、その使用する熱転写シートの性質によって、印加されるべきエネルギーは特定されるが、例えばバーコードを作成するようなプリンターでは、その用途は多岐にわたり、印字対象であるラベルはもちろんのこと、熱転写シートも用途に適したものが適宜選択されて使用され、印加エネルギーは随時ユーザーが設定して使用することが多い。
【0004】
このような煩雑さを解決するために、熱転写シートをプリンターに搭載したときに自動的にプリンターが熱転写シートの種別を判別し、印字を行うような機構が提案されている。熱転写シートの種類を判別する方法としては、例えば、熱転写シートに特定のマークを付す方法、熱転写シートが巻かれているコア端面に特定のマークを付す方法、熱転写シート用のカートリッジの形状を種類毎に変えたり、カートリッジに特定のマークを付す方法等がある。
【0005】
また、特定の正規の熱転写シートのみを使用できるプリンターでも、正規の熱転写シート以外が搭載された場合、プリンターの故障等による印字品質の劣化を防止するため、正規の熱転写シートであることを判別してから印字を行うようなプリンター機構が、上記のような熱転写シートの識別方法とともに提案されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のような識別方法は次のような問題点が内在する。すなわち、熱転写シートのコアやカートリッジにマークや識別機能を設けた場合には、部材の点数が多くなり、製造現場における作業が煩雑になり好ましくない。
【0007】
また、熱転写シート自体にマークを印刷する方法では、使用する熱転写シートの先端側(スタート側)にマークを印刷しておき、それを識別する方法がもっとも簡便ではあるが、使用途中で熱転写シートを交換する必要が生じた場合、途中段階まで使用された熱転写シートを再度プリンターに搭載するときに不具合を生じる可能性がある。しかし、熱転写シートの長手方向に沿ってスタート側からエンド側までマークを印刷する場合は、基材の熱溶融性インキ層形成面もしくは裏面どちらに印刷したとしても、そのマークが印字品質に影響を与えたり、それを避けるために印字面積が狭くならざるを得ないとう問題があった。
【0008】
本発明は、上記の実情に鑑みてなされたものであり、熱転写シート本来の機能を損なうことなく種別を識別することが可能な熱転写シートと、使用する熱転写シートに応じて最も効率的な条件で印字可能な、あるいは、誤った種類の熱転写シートの使用を未然に防止できるような熱転写印字方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
このような目的を達成するために、本発明の熱転写シートは、基材と、熱転写しないアンダーコート層を介して前記基材の一方の面に設けた熱溶融性インキ層とを備える熱転写シートにおいて、該アンダーコート層が非塗布領域および/または塗布量変更領域からなる熱転写シート識別用のパターンを熱転写シートの先端部から終端部まで連続的または間欠的に有し、前記アンダーコート層は導電性粉体を60〜90重量%の範囲で含有するような構成とした。
【0010】
本発明の熱転写シートの他の態様として、連続的な前記パターンは、熱転写シートの先端部から終端部まで連続的に形成された線状パターンであり、該線状パターンは1本、あるいは、複数本からなり、線幅、線数、線間隔の設定により熱転写シートの種別を認識するための識別機能を発現するような構成とした。
また、本発明の熱転写シートの他の態様として、前記アンダーコート層は、前記パターン部と他の領域との厚みの差が2g/m2以下であるような構成とした。
【0011】
本発明の熱転写印字方法は、熱転写シートを用いた熱転写印字方法であって、熱転写シートとして上述のいずれかの熱転写シートを使用し、該熱転写シートのアンダーコート層が有する熱転写シート識別用のパターンを透過光によって読み取り、その結果に基づき駆動を行うような構成とした。
【0012】
【発明の実施の形態】
次に、発明の実施の形態について詳述する。
熱転写シート
図1は本発明の熱転写シートの実施形態の一例を示す平面図であり、図2は図1に示される熱転写シートのA−A線における縦断面図である。図1および図2において、本発明の熱転写シート1は、基材2上に熱転写しないアンダーコート層3を介して熱溶融性インキ層4を設けた構造であり、アンダーコート層3には非塗布領域からなる熱転写シート識別用のパターン5が設けられている。図示例では、熱転写シート1の長手方向(図1の矢印a方向)に沿って、かつ、熱転写シート1の幅方向(図1の矢印b方向)の一方の端部近傍に、先端部から終端部まで所定のピッチで間欠的にパターン5が設けられている。
【0013】
また、本発明では、熱転写シート識別用のパターンを、アンダーコート層の塗布量変更領域からなるパターンとしてもよい。すなわち、アンダーコート層の他の領域に比べて塗布量が少ない領域からなるパターン、あるいは、アンダーコート層の他の領域に比べて塗布量が多い領域からなるパターンとすることができる。図3は、このような態様を示す図2相当の縦断面図であり、基材2上に設けられた熱転写しないアンダーコート層3には塗布量を少ないものに変更した領域からなる熱転写シート識別用のパターン5′が設けられており、この場合、識別パターン5′は周囲のアンダーコート層3に対して濃度の淡いパターンとして認識される。また、パターン5′が塗布量を多いものに変更した領域からなる熱転写シート識別用のパターンである場合、識別パターン5′は周囲のアンダーコート層3に対して濃度の濃いパターンとして認識される。
さらに、熱転写シート識別用のパターン5を、アンダーコート層3の非塗布領域からなるパターンと、アンダーコート層3の塗布量変更領域からなるパターンの組み合わせとしてもよい。
【0014】
図示例では、熱転写シート識別用のパターン5,5′は熱転写シートの長手方向に所定のピッチ、寸法で設けられたバーコード形状の記号であり、印字領域に対し少ない面積で設けることができる。また、本発明では、識別用のパターンを熱転写シートの長手方向に連続的に設けてもよい。この場合、線状のパターンを1本、あるいは、複数本設けて、線幅、線数、線間隔等で種別の認識を行うことができる。また、バーコード状の所定の記号を連続的に繰り返し設けてもよい。尚、識別用のパターンは図示例に限定されるものではなく、任意にパターン形状を設定することができる。
また、本発明の熱転写シートは、基材の裏面にサーマルヘッドに対するスティッキングを防止するための耐熱層を設けてもよく、さらに、熱溶融性インキ層の上には転写性を向上させるための接着層等の層が存在してもよい。
【0015】
次に、本発明の熱転写シートの各構成部材について説明する。
(基材)
本発明の熱転写シートを構成する基材としては、従来の熱転写シートに使用されているものと同じ基材をそのまま用いることができると共に、その他のものも使用することができ、特に制限されない。
【0016】
好ましい基材の具体例としては、例えば、ポリエステル、ポリプロピレン、セロハン、ポリカーボネイト、酢酸セルロース、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ナイロン、ポリイミド、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、フッ素樹脂、塩化ゴム、アイオノマー等のプラスチック、コンデンサー紙、パラフィン紙等の紙類、不織布等があり、また、これらを複合した基材であってもよい。特に好ましい基材はポリエチレンテレフタレートフィルムである。
この基材の厚さは、その強度および熱伝導性が適切になるように材料に応じて適宜設定することができ、その厚さは、例えば、2〜10μmである。
【0017】
(アンダーコート層)
本発明の熱転写シートを構成するアンダーコート層は、印字の時に熱溶融性インキ層と一体とならず、転写しないものである。このようなアンダーコート層を構成する材料は、基材と密着性の良好なバインダー、熱転写シート識別用のパターンを形成するための着色剤等である。
【0018】
バインダーとして用いられる樹脂は、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリル系樹脂、スチレン系共重合体、塩化ビニル酢酸ビニル共重合体樹脂、エーテル系樹脂、塩素化ポリオレフィン樹脂、ポリアミド樹脂等の一般的な印刷インキに用いられるバインダー樹脂の中から適宜選択することができる。
【0019】
また、着色剤は、従来公知の無機顔料および有機顔料を用いることができ、例えば、カーボンブラック、アニリンブラック、鉄黒、アルミニウムペースト、フタロシアニン系顔料等の隠蔽力の大きな着色剤が挙げられる。ただし、熱溶融性インキ層の色相や厚みによっては、これらに限定されるものではなく、各種無機顔料、有機顔料が選択できる。
さらに、基材とアンダーコート層との密着性を向上させるために、架橋剤としてポリイソシアネート等を添加してアンダーコート層を形成してもよい。
【0020】
このようなアンダーコート層は、熱転写シート識別用のパターンを構成する部位と他の領域との厚みの差が2g/m2以下、好ましくは0.2〜2g/m2であることが望ましい。上述の例では、アンダーコート層3の塗布量変更領域からなる熱転写シート識別用のパターン5′の厚みと、アンダーコート層3の他の領域の厚みの差が2g/m2以下となる。また、識別用のパターンがアンダーコート層3の非塗布領域からなるパターン5である場合、アンダーコート層3の厚みが2g/m2以下となる。熱転写シート識別用のパターンを構成する部位と他の領域との厚みの差が2g/m2を超えると、識別用パターンが印字品質に影響を及ぼし易くなり、識別用のパターンを設けることができる領域が制限されることになり好ましくない。尚、このようなアンダーコート層によって、熱転写後の基材剥離時に発生する剥離音が低減される。
【0021】
本発明では、アンダーコート層に帯電防止機能を付与するために導電性粉体を含有させてもよい。用いられる導電性粉体としては、カーボンブラックや、ニッケル、鉄、アルミニウム、スズ、チタン、亜鉛、モリブデン等の金属粉、または、これらの酸化物等を挙げることができる。このような導電性粉体は、アンダーコート層中に20〜90重量%の範囲で含有させることができる。
【0022】
上述のようなアンダーコート層は、上記のようなバインダー、着色剤と、これに必要に応じて、分散剤、レベリング剤、体質顔料等の種々の添加剤を加え、水、有機溶剤等の溶媒成分を配合調整したアンダーコート層形成用塗工液を、従来公知のグラビアコート、ダイコート、スクリーンコート等の方法で塗布、乾燥することにより形成することができる。
【0023】
(熱溶融性インキ層)
本発明の熱転写シートを構成する熱溶融性インキ層は、従来公知の着色剤とバインダーよりなり、必要に応じて、鉱物油、植物油、ステアリン酸等の高級脂肪酸、可塑剤、酸化防止剤、充填剤等の種々の添加剤を加えたものが使用される。
バインダーとして用いられるワックス成分としては、例えば、マイクロクリスタリンワックス、カルナバワックス、パラフィンワックス等がある。更に、フィッシャートロプシュワックス、各種低分子量ポリエチレン、木ロウ、ミツロウ、鯨ロウ、イボタロウ、羊毛ロウ、セラックワックス、キャンデリラワックス、ペトロラクタム、ポリエステルワックス、一部変性ワックス、脂肪酸エステル、脂肪酸アミド等、種々のワックスが挙げられる。
【0024】
また、バインダーとして用いられる樹脂成分としては、例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリブデン、石油樹脂、塩化ビニル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリビニルアルコール、塩化ビニリデン樹脂、メタクリル樹脂、ポリアミド、ポリカーボネート、フッ素樹脂、ポリビニルフォルマール、ポリビニルブチラール、アセチルセルロース、ニトロセルロース、ポリ酢酸ビニル、ポリイソブチレン、エチルセルロース又はポリアセタール等が挙げられる。
【0025】
着色剤としては、公知の有機または無機の顔料、あるいは染料の中から適宜選択することができ、例えば、十分な着色濃度を有し、光、熱等により変色、退色しないものが好ましい。また、加熱により発色する物質や、被転写体の表面に塗布されている成分と接触することにより発色するような物質であってもよい。さらに、着色剤の色としては、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラック、ホワイト等、種々の色の着色剤を使用することができる。
さらに、熱溶融性インキ層に良好な熱伝導性および熱溶融転写性を与えるために、バインダーの充填剤として熱伝導性物質を配合してもよい。このような充填剤としては、例えば、カーボンブラック等の炭素質物質、アルミニウム、銅、酸化錫、二硫化モリブデン等の金属および金属化合物等がある。
【0026】
熱溶融性インキ層の形成は、上記のような着色剤成分とバインダー成分と、さらに、これに必要に応じて、鉱物油、植物油、ステアリン酸等の高級脂肪酸、可塑剤、酸化防止剤、充填剤等の種々の添加剤を加え、水、有機溶剤等の溶媒成分を配合調整した着色層形成用塗工液を、従来公知のホットメルトコート、ホットラッカーコート、グラビアコート、グラビアリバースコート、ロールコート等の方法で行う。また、水系又は非水系のエマルジョン塗液を用いて形成する方法もある。
熱溶融性インキ層の厚みは、必要な印字濃度と熱感度との調和がとれるように決定することができ、例えば、1〜10μmの範囲とすることができる。
【0027】
(耐熱層)
基材の他方の面に、サーマルヘッドの粘着を防止し、かつ、滑り性を良くするために耐熱層を設ける場合、この耐熱層は、バインダー樹脂に滑り剤、界面活性剤、無機粒子、有機粒子、顔料等を添加したものを使用して形成される。
耐熱層に使用されるバインダー樹脂は、例えば、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、酢酸セルロース、酢酪酸セルロース、硝化綿等のセルロース系樹脂、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルブチラール、ポリビニルアセタール、ポリビニルピロリドン、アクリル樹脂、ポリアクリルアミド、アクリロニトリル−スチレン共重合体等のビニル系樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコーン変性またはフッ素変性ウレタン樹脂等が挙げられる。これらのなかで、数個の反応性基、例えば、水酸基を有しているものを使用し、架橋剤としてポリイソシアネート等を併用して、架橋樹脂を使用することが好ましい。
【0028】
耐熱層の形成は、上記のようなバインダー樹脂に滑り剤、界面活性剤、無機粒子、有機粒子、顔料等を添加した材料を、適当な溶剤中に溶解または分散させて、塗工液を調製し、この塗工液をグラビアコーター、ロールコーター、ワイヤーバー等の慣用の塗工手段により、塗工し、乾燥することにより行うことができる。
【0029】
尚、本発明の熱転写シートは、上記の実施の形態に限定されるものではない。また、本発明の熱転写シートは、カラー印字に適応できることは言うまでもなく、多色の熱転写シートも本発明の範囲に含まれる。
また、本発明の熱転写シートと組み合わせて用いられる被転写体は、従来公知のいずれの被転写体でも使用することができる。
【0030】
熱転写印字方法
本発明の熱転写印字方法は、本発明の熱転写シートを使用し、アンダーコート層が有する熱転写シート識別用のパターンを透過光によって読み取り、その結果に基づき駆動を行うものである。
透過光による熱転写シート識別用のパターンの読み取りは、例えば、透過光として赤外光、白色光、赤色LED、青色LED等を用いて行うことができ、光学センサが検出した透過濃度差から、アンダーコート層が有する熱転写シート識別用のパターンを読み取ることができる。このような識別用のパターンの読み取りは、通常、プリンターの熱転写シート搭載部、あるいは、その近傍で行うことができる。
【0031】
識別用のパターンを透過光によって読み取った結果に基づく駆動には、1)搭載された熱転写シートが適正な熱転写シートであるこを認識した場合、サーマルヘッド等の加熱デバイスにより画像情報に応じたエネルギーを印加して受像シート上に熱溶融性インキ層を転写する熱転写動作を開始する、2)搭載された熱転写シートの種別を判別し、この熱転写シートに適した印加エネルギーを設定した後、上記の熱転写動作を開始する、3)搭載された熱転写シートが適正な熱転写シートではないことを認識した場合、熱転写動作の開始を中止する、ことが挙げられる。
【0032】
このような本発明の熱転写印字方法では、簡便に熱転写シートの種別を判別することができ、かつ、熱転写シートに最適な条件で印字可能であり、また、誤った種類の熱転写シートを使用することによるプリンターの故障等を未然に防止することができる。
【0033】
【実施例】
次に実施例を挙げて、本発明を更に具体的に説明する。
【0034】
[実施例1]
基材として、厚さ4.5μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(片面に耐熱層形成済み)の耐熱層非形成面側に、下記組成のアンダーコート層用塗工液をグラビアコーティングによりパターン印刷し乾燥してアンダーコート層(乾燥厚み0.4g/m2)を形成した。このアンダーコート層は非塗布領域からなる識別用のパターンを備え、このパターンは、図1に示されるような記号からなるものであり、パターンの幅は10mmであり、長手方向に沿って30cmピッチで間欠的に形成されている。
(アンダーコート層用塗工液の組成)
・カーボンブラック(三菱化学(株)製#30) … 30重量部
・ポリエステル樹脂(東洋紡(株)製バイロン200) … 20重量部
・分散剤(ゼネカ(株)製ソルスパース24000GR) … 2重量部
・メチルエチルケトン … 50重量部
・トルエン … 50重量部
【0035】
次に、上記のように形成したアンダーコート層上に、下記組成の熱溶融性インキ層用塗工液をホットメルトコーティングにより塗布(塗布量5.0g/m2)して熱溶融性インキ層を形成した。
(熱溶融性インキ層用塗工液の組成)
・カーボンブラック(三菱化学(株)製#30) … 15重量部
・エチレン酢酸ビニル共重合体 … 7.5重量部
(酢酸ビニル含有量=19重量%)
・カルナバワックス(野田ワックス(株)製精製2号) … 5重量部
・パラフィンワックス(日本製蝋(株)製HNP11) …77.5重量部
【0036】
次いで、上記のようにアンダーコート層と熱溶融性インキ層を形成した基材を、上記の識別用のパターンの中心が熱転写シートの端部から10mmの位置となるようにスリットして、幅22cmの熱転写シートを得た。
【0037】
[実施例2]
識別パターンが塗布量の少ない領域(乾燥厚み0.1g/m2)からなり、他の領域の厚みが0.5g/m2であるアンダーコート層をグラビアコーティングにより形成した他は、実施例1と同様にして、熱転写シートを作製した。
【0038】
[実施例3]
識別パターンが塗布量の多い領域(乾燥厚み0.8g/m2)からなり、他の領域の厚みが0.4g/m2であるアンダーコート層をグラビアコーティングにより形成した他は、実施例1と同様にして、熱転写シートを作製した。
【0039】
[比較例1]
実施例1と同様の基材を準備し、この基材の耐熱層非形成面側に実施例1で使用したアンダーコート層用塗工液をグラビアコーティングによりパターン印刷し乾燥して識別用のパターン(乾燥厚み0.4g/m2)を形成した。この識別用のパターンの形状は、実施例1にてアンダーコート層に非塗布領域として形成された識別用のパターンと同様のものとした。
【0040】
次いで、上記の識別用のパターンを覆うように実施例1で用いた熱溶融性インキ層用塗工液を基材上にホットメルトコーティングにより塗布(塗布量5.0g/m2)して熱溶融性インキ層を形成した。その後、上記の識別用のパターンの中心が熱転写シートの端部から10mmの位置となるようにスリットして、幅22cmの熱転写シートを得た。
【0041】
[比較例2]
実施例1と同様の基材を準備し、この基材の耐熱層非形成面側に実施例1で使用したアンダーコート層用塗工液をグラビアコーティングによりパターンを形成することなく全ベタで印刷し乾燥してアンダーコート層(乾燥厚み0.4g/m2)を形成した。
次いで、上記のアンダーコート層上に、実施例1と同様にして、熱溶融性インキ層を形成した。
【0042】
次に、下記組成のマーク用塗工液をグラビアコーティングにより熱溶融性インキ層上にパターン印刷し乾燥して識別用のパターン(乾燥厚み1.5g/m2)を形成した。この識別用のパターンの形状は、実施例1にてアンダーコート層に非塗布領域として形成された識別用のパターンと同様のものとした。
(マーク用塗工液の組成)
・アルミニウムペースト … 10重量部
・ポリエステル樹脂(東洋紡(株)製バイロン200) … 15重量部
・分散剤(ゼネカ(株)製ソルスパース24000GR) … 2重量部
・メチルエチルケトン … 50重量部
・トルエン … 50重量部
【0043】
その後、上記の識別用のパターンの中心が熱転写シートの端部から10mmの位置となるようにスリットして、幅22cmの熱転写シートを得た。
【0044】
熱転写シートの評価
上述のように作製した各熱転写シート(実施例1〜3、比較例1,2)について、下記の方法で識別用パターンの透過濃度差、識別用パターンの反射濃度差、印字阻害性、剥離音、帯電防止性能を測定、評価して、結果を下記の表1に示した。
【0045】
(識別用パターンの透過濃度差の測定方法)
マクベス透過濃度計「TD−904」を用い、パターン部の濃度と他の領域の濃度の差を測定した。
【0046】
(識別用パターンの反射濃度差の測定方法)
マクベス反射濃度計「RD−918」を用い、パターン部の濃度と他の領域の濃度の差を測定した。
【0047】
(印字阻害性の評価方法)
ブラザー工業(株)製ファクシミリ「FAX−770J」にてPPC用紙に対して印字を行い、パターン部分の印字品質を目視にて評価した。
○:印字阻害性なし
×:印字阻害性あり
【0048】
(剥離音の評価方法)
ブラザー工業(株)製ファクシミリ「FAX−770J」にてPPC用紙に対して黒ベタパターンを印字した時の音を観察し評価した。
○:良好
×:バリバリという剥離音が激しい
【0049】
(帯電防止性能の評価方法)
ロール状にした熱転写シートを手で引き出した時のまとわり着き度合を目視にて観察し評価した。
○:帯電防止性能は良好
×:帯電防止性能は不十分
【0050】
【表1】
【0051】
表1に示されるように、本発明の熱転写シート(実施例1〜3)は、識別用パターンの透過濃度差が大きく、パターン認識を確実に行うことができ、かつ、印字阻害性がなく、剥離音も十分に小さく、さらに、帯電防止性能を備えるものであった。
これに対して、比較例1の熱転写シートは、アンダーコート層が存在しないため、剥離音が大きく、また、帯電防止性能が劣るものであった。
また、比較例2の熱転写シートは、識別用パターンの反射濃度差が大きいので、パターン認識は確実に行うことができるが、印字阻害性があり、実用に供し得ないものであった。
【0052】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明によればアンダーコート層に非塗布領域および/または塗布量変更領域を設けて熱転写シート識別用のパターンとするので、製造工程を煩雑にすることなく製造可能であり、かつ、上記パターン以外の領域ではアンダーコート層が存在するため、熱転写シートとしての性能を実質的に損なうことなく、種別を識別する機能を熱転写シートに付与することができ、また、熱転写シートの先端部から終端部まで連続的または間欠的にパターンを設けることによって、例えば、熱転写シートが途中段階まで使用された状態であっても、再度プリンターに搭載したときに、熱転写シートの種別の判別を確実に行うことができる。また、アンダーコート層によって熱転写後の基材剥離時に発生する剥離音を低減することができ、さらに、アンダーコート層に導電性粉体を含有させることにより、熱転写シートに帯電防止機能を付与することができる。
また、本発明の熱転写印字方法では、簡便に熱転写シートの種別を判別することができ、かつ、熱転写シートに最適な条件で印字を行うことが可能であり、また、誤った種類の熱転写シートを使用することによるプリンターの故障等の障害を未然に防止することができ、さらに、熱転写シートの選定や印字条件の設定等の使用者の負担を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明の熱転写シートの実施形態の一例を示す平面図である。
【図2】図2は図1に示される熱転写シートのA−A線における縦断面図である。
【図3】図3は本発明の熱転写シートの他の実施形態を示す図2相当の縦断面図である。
【符号の説明】
1…熱転写シート
2…基材
3…アンダーコート層
4…熱溶融性インキ層
5,5′…識別用のパターン
Claims (4)
- 基材と、熱転写しないアンダーコート層を介して前記基材の一方の面に設けた熱溶融性インキ層とを備える熱転写シートにおいて、該アンダーコート層が非塗布領域および/または塗布量変更領域からなる熱転写シート識別用のパターンを熱転写シートの先端部から終端部まで連続的または間欠的に有し、前記アンダーコート層は導電性粉体を60〜90重量%の範囲で含有することを特徴とする熱転写シート。
- 連続的な前記パターンは、熱転写シートの先端部から終端部まで連続的に形成された線状パターンであり、該線状パターンは1本、あるいは、複数本からなり、線幅、線数、線間隔の設定により熱転写シートの種別を認識するための識別機能を発現することを特徴とする請求項1に記載の熱転写シート。
- 前記アンダーコート層は、前記パターン部と他の領域との厚みの差が2g/m2以下であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の熱転写シート。
- 熱転写シートを用いた熱転写印字方法において、熱転写シートとして請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の熱転写シートを使用し、該熱転写シートのアンダーコート層が有する熱転写シート識別用のパターンを透過光によって読み取り、その結果に基づき駆動を行うことを特徴とした熱転写印字方法。
Priority Applications (1)
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