JP4489332B2 - 熱転写シート - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、サーマルヘッドの加熱手段を用いる熱転写プリンターに使用される熱転写シートに関わり、さらに詳しくは明るく、高輝度で、下地色の隠蔽力に優れたメタリックカラーを有する印字物を簡便に得ることができる熱転写シートに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、顔料、染料等の着色剤を熱溶融性のワックスや樹脂等のバインダーに分散させた着色層を、プラスチックフィルム等の基材シートに担持させた熱転写シートを用いて、サーマルヘッド等の加熱デバイスにより画像情報に応じたエネルギーを印加し、紙やプラスチックシートなどの受像シート上に着色剤をバインダーとともに転写する溶融転写方式が知られている。
【0003】
この溶融転写方式によって形成される印字画像は、高濃度で鮮鋭性に優れ、文字、線画等の2値画像の記録に適している。また、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック等の着色層を有する熱転写シートを用いて、受像シート上に各着色層を重ねて印字記録することで、減色混合により多色ないしフルカラー画像の形成も可能である。
また、このような溶融転写方式を利用して、金属光沢を有する、意匠性に優れた印字物を得たいという要求が増えている。
その要望に対して、特開平10−16415号公報等のように、基材の一方の面に、蒸着アンカー層、金属蒸着層、接着層を順次設けた金属光沢を有する熱転写シートが提示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のような金属蒸着層を設けた熱転写シートを用いた印字物は、その金属蒸着層表面の平滑性が高く、高輝度なものと成る反面、いわゆるスパークリング効果が高すぎるため、光源の位置や見る角度によっては、着色層本来の色味が消されて、暗い印象の印字物となってしまうといった問題があった。
また、金属薄膜層として、ノンリーフィング型のアルミ顔料を用いた熱転写シートを用いた印字物が挙げられるが、この場合、その金属薄膜層表面の平滑性が落ちるために、乱反射成分が多くなり、明るめの色合いとはなるが、その分スパークリング効果も落ちるために、輝度が足りなくなってくる。
また、リーフィング型のアルミ顔料を用いた熱転写シートを用いた印字物では、スパークリング効果の低下もノンリーフィング型のアルミ顔料系ほど落ちないために、比較的高輝度な印字物が得られるが、やはり明るさの点で、やや暗い印象が残ってしまうといった問題があった。
【0005】
また、金属薄膜層にパール顔料を用いた熱転写シートを用いた印字物では、パール光沢のために明るめの金属光沢色を出せるが、パール顔料自身の隠蔽力が落ちるために、下地の色が透けてしまい、充分な色再現性が出来ないといった問題があった。
したがって、本発明の目的とするところは、明るく、高輝度で、下地色の隠蔽力に優れたメタリックカラーを有する印字物を簡便に得ることができる熱転写シートを提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の熱転写シートは、基材フィルムの一方の面に耐熱層を設け、該基材フィルムの他方の面に剥離着色層、金属薄膜層を順次設けた構成で、該剥離着色層が着色剤とバインダー樹脂を含有し、かつ該金属薄膜層がバインダー樹脂及び鱗片状アルミ顔料、ノンリーフィング型アルミ顔料、パール顔料のうちの少なくとも2種類以上の顔料を含有する。前記の鱗片状アルミ顔料が、離型性を有するキャリヤシート上に、蒸着によりアルミニウム皮膜を形成し、該アルミニウム皮膜をキャリヤシートから剥離して、細分化されて製造されたものが、好ましく用いられる。
【0007】
本発明の作用は、以下の通りである。本発明の熱転写シートは、耐熱層を設けた基材フィルムの他方の面に剥離着色層、金属薄膜層を順次設け、該剥離着色層が着色剤とバインダー樹脂を含有し、かつ該金属薄膜層がバインダー樹脂及び鱗片状アルミ顔料、ノンリーフィング型アルミ顔料、パール顔料のうちの少なくとも2種類以上の顔料を含有することにより形成される。鱗片状アルミ顔料は、優れた隠蔽力、鏡面反射特性を有するため、被転写体の下地の色の影響をほとんど受けずに、高輝度なメタリックカラーを再現できる反面、乱反射成分が少ないために光源の位置や見る角度によっては、着色層本来の色味が消されて暗い印象の印字物となってしまう。また、ノンリーフィング型アルミ顔料は、隠蔽力、鏡面反射特性の点では鱗片状アルミ顔料に劣るものの、乱反射特性が高いため、明るめの色合いのメタリックカラーを再現できる。一方パール顔料は、隠蔽力においてはアルミ顔料に大きく、劣るものの、規則的多重反射、光の干渉といった光学特性を有するため、明るめの色合いの高輝度なメタリックカラーを再現できる。したがって、これらの顔料の少なくとも2種類以上を混合することにより、明るく、高輝度で、下地色の隠蔽力に優れたメタリックカラーを再現することが可能となる。
【0008】
【発明の実施の形態】
次に、発明の実施の形態について、詳述する。
本発明の熱転写シートは、基材フィルムの一方の面に耐熱層を設け、該基材フィルムの他方の面に剥離着色層、金属薄膜層を順次設けた構成である。必要に応じて、例えば、金属薄膜層の上に、接着層を設ける等、層を追加できる。
【0009】
(基材フィルム)
本発明で用いる基材フィルムとしては、従来の熱転写シートに使用されていると同じ基材フィルムがそのまま用いることが出来ると共に、その他のものも使用することが出来、特に制限されない。
好ましい基材フィルムの具体例としては、例えば、ポリエステル、ポリプロピレン、セロハン、ポリカーボネート、酢酸セルロース、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ナイロン、ポリイミド、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、フッ素樹脂、塩化ゴム、アイオノマー等のプラスチックフィルム、コンデンサー紙、パラフィン紙等の紙類、不織布等があり、又、これらを複合した基材フィルムであってもよい。特に好ましい基材フィルムはポリエチレンテレフタレートフィルムである。この基材フィルムの厚さは、その強度及び熱伝導性が適切になるように材料に応じて適宜変更することが出来るが、その厚さは、好ましくは、例えば、2〜25μmである。
【0010】
(剥離着色層)
上記基材フィルムの一方に形成する剥離着色層は、熱転写時に溶融して金属薄膜層の基材フィルムからの剥離性を良くし、転写後は転写画像の表面に少なくとも一部が金属薄膜層と共に転写され、金属薄膜層の着色された保護層として、金属薄膜層に色味を加え、また転写画像に良好な滑り性を与えて、転写画像の耐擦過性を向上させる働きをする。
したがって、剥離着色層は転写画像の状態で、金属薄膜層の上に位置するため、金属薄膜層の金属光沢を透視でき、その金属光沢性を阻害しない程度に透明性、平滑性を有するものである。
この剥離着色層を構成するバインダーとして、例えば、アクリル樹脂、オレフィン系樹脂、スチレン樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂、ポリエステル樹脂、セルロース樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、シリコーン樹脂、弗素樹脂、シリコーン或は弗素で変性した各種の樹脂等の単独又は混合物、共重合物、が使用でき、この他に離型性、滑り性を調整する為にワックス等を加えることができる。
特に剥離性、解像性といった点で、剥離性の高いTgが100℃以上の上記バインダー樹脂と、解像性や基材との接着性を調整するためのTgが60〜100℃程度の上記バインダー樹脂を混合する系が好ましく、さらに、金属薄膜層に使用されるバインダー樹脂と同系等のバインダー樹脂を含ませる方が好ましい。例えばTgが100℃以上アクリル樹脂を主体に、Tgが60〜100℃程度の塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂を混合した系等が透明性の点でも好ましい。
【0011】
かかるワックスとしては、印字時に溶融して剥離性を発揮する各種のワックスが好ましい。好適に使用されるワックスとしては、例えば、マイクロクリスタリンワックス、カルナバワックス、パラフィンワックス、フィッシャートロプシュワックス、各種低分子量ポリエチレン、木ロウ、ミツロウ、鯨ロウ、イボタロウ、羊毛ロウ、セラックワックス、キャンデリラワックス、ペトロラクタム、一部変性ワックス、脂肪酸エステル、脂肪酸アミド等、種々のワックスが挙げられる。特に好ましいワックスは比較的融点が高く且つ溶剤に溶けにくいマイクロクリスタリンワックス及びカルナバワックス等である。
【0012】
剥離着色層には、染料や顔料等の着色剤が含有していて、金属薄膜層の有する固有の色相を他の色相に変えて、装飾性をさらに向上させる。例えば、金属薄膜層自身の色相が銀色に対し、黄色、赤色、緑色、青色等の種々の透明性を有する着色剥離層を設けて、装飾性をより高めるとともに、金、銅、青銅等の金属の色相や光沢を容易に変化させることができる。
また、剥離着色層は着色剤含有率が変わると、基材からの離型性が変わってくるため、離型性をより安定させるために、着色剤を含まない剥離層と、着色剥離層の2層構成とすることも可能である。
上記着色剥離層は熱転写シートの感度を低下させることがないように薄い層、例えば、乾燥状態で0.1〜2g/m2程度の厚みが好ましい。
【0013】
(金属薄膜層)
本発明の熱転写シートにおける、金属薄膜層は、鱗片状アルミ顔料、ノンリーフィング型アルミ顔料、パール顔料のうちの少なくとも2種類以上を含有し、さらにバインダーと、必要に応じて、着色剤や、分散剤、帯電防止剤など、種々の添加剤を加えることができる。
【0014】
鱗片状アルミ顔料は以下に示す方法で製造することができる。
1.ロール状ないし連続状のキャリヤシート上に、剥離層を形成する。
2.上記剥離層上に、アルミニウムを蒸着法により付着させ、アルミニウム皮膜を形成する。
3.上記剥離層を溶解又は基材から剥離し、アルミニウム皮膜とキャリヤシートを互いに分離させる。
4.上記の分離されたアルミニウム皮膜を塗工インキで使用する際に適する寸法に細分化する。
上記のように製造される鱗片状アルミ顔料は、その蒸着厚さは0.01〜0.1μm程度であり、また平均直径が5〜50μm程度の大きさで、鱗片状のものであり、表面を樹脂等で処理してあっても良い。上記のような製法で製造された鱗片状アルミ顔料は、従来のアルミペーストに比べその厚みが薄く軽いため沈降速度が遅く、インキ塗工時の乾燥速度を遅くすることにより塗膜の表面側(上側)にほぼ均一に配向させることができる。またアルミ平面の平滑性も蒸着膜と同等で有るため、アルミ蒸着膜に近い輝度が得られる。
【0015】
一方、ノンリーフィング型アルミ顔料は、その表面張力が小さく、溶剤、塗料との親和性が強いため、塗膜の裏面(下側)に沈降したり、塗膜中に分散し、不均一に配向する傾向がある。
また、金属薄膜層に含有するパール顔料は、天然パールエッセンス、塩化水銀、塩基性炭酸鉛、酸塩化ビスマス、雲母等の従来から用いられているものが使用でき、特に屈折率の低い天然マイカ(雲母)の表面を、屈折率の高い金属酸化物で被覆したものが好ましく、天然マイカと金属酸化物の屈折率の差を利用して反射した光がパール光沢をもたらす。その金属酸化物は、光沢性および屈折率から酸化チタン、酸化鉄が好ましく用いられる。
本発明の金属薄膜層は、鱗片状アルミ顔料、ノンリーフィング型アルミ顔料、パール顔料のうちの少なくとも2種類以上を含有するものであるが、鱗片状アルミ顔料とノンリーフィング型アルミ顔料を組み合わせたもの、また鱗片状アルミ顔料とパール顔料を組み合わせたもの、鱗片状アルミ顔料、ノンリーフィング型アルミ顔料、パール顔料の3種を組み合わせたものが特に、本発明の目的を達成する点で好ましい。
【0016】
金属薄膜層の鱗片状アルミ顔料、ノンリーフィング型アルミ顔料、パール顔料の各顔料を保持するために、バインダーを使用する。そのバインダーとしては、樹脂を主体として構成することが好ましく、樹脂として具体的には、セルロース系樹脂、メラミン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂、スチレン−ブタジエンゴム等の熱可塑性エラストマーが挙げられる。特に従来より感熱接着剤として使用されている比較的低軟化点、例えば、50〜150℃の軟化点を有するものが好ましい。バインダーとして用いられる樹脂のなかでも、特に転写性、擦過性、耐熱性、剥離着色層との接着性等の点で、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、セルロース系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂の単独もしくは混合物が、好ましく用いられる。
【0017】
その他、必要に応じて、耐熱性等を阻害しない程度に、ワックス成分を混合し使用することができる。ワックスとしては、例えば、マイクロクリスタリンワックス、カルナバワックス、パラフィンワックス等がある。更に、フィッシャートロプシュワックス、各種低分子量ポリエチレン、木ロウ、ミツロウ、鯨ロウ、イボタロウ、羊毛ロウ、セラックワックス、キャンデリラワックス、ペトロラクタム、ポリエステルワックス、一部変性ワックス、脂肪酸エステル、脂肪酸アミド等、種々のワックスが挙げられる。このなかで、特に融点が50〜85℃であるものが好ましい。50℃以下であると、保存性に問題が生じ、また85℃以上であると印字の感度不足になる。
【0018】
金属薄膜層は、鱗片状アルミ顔料、ノンリーフィング型アルミ顔料、パール顔料の各顔料と、必要に応じて各種の添加剤を加えたものを、金属薄膜層全体の固形分に対して、90〜20重量%、バインダーを80〜10重量%の割合で混合したインキ組成物を使用することが好ましい。
顔料が上記の範囲より少ない場合、濃度を得るために、塗布量を多くしなくてはならず、印字感度が不足する。また、顔料が上記の範囲より多い場合、成膜性が得られず、印字後に、擦過性の低下の原因になる。
鱗片状アルミ顔料、ノンリーフィング型アルミ顔料、パール顔料の混合比に関しては、設定する隠蔽性、光沢性、明るさ、金属薄膜層のコート量により異なるため一概には言えないが、隠蔽性に関しては金属薄膜層の透過濃度が0.8以上となるように設定することが好ましい。
【0019】
金属薄膜層の形成は、上記のような鱗片状アルミ顔料、ノンリーフィング型アルミ顔料、パール顔料のうちの少なくとも2種類以上と、必要に応じてその他添加剤を加え、バインダー成分と、さらに有機溶剤等の溶媒成分を配合調整した金属薄膜層形成用塗工液を、従来公知のグラビアダイレクトコート、グラビアリバースコート、ナイフコート、エアコート、ロールコート等の方法により、乾燥状態で厚さ0.1〜5g/m2、好ましくは0.3〜1.5g/m2を設けるものである。乾燥塗膜の厚さが、0.1g/m2未満の場合、十分な隠蔽性が得られず、また、厚さが5g/m2を越えた場合、印字転写の際に、高エネルギーが必要となり解像度も低下し、特殊な熱転写プリンターでしか印字できない問題がある。
【0020】
(接着層)
本発明の熱転写シートは、転写性を上げる為に金属薄膜層の上に接着層を設けることができる。接着層は、受像シートと転写される金属薄膜層との接着性を向上させることができる。
この接着層は、サーマルヘッドの加熱により、軟化して接着性を発揮する熱可塑性樹脂を主体とし、得られる熱転写シートをロール状に巻き取った時にブロッキングを防止するために、ワックス類、高級脂肪酸のアミド、エステル及び塩、フッ素樹脂や無機物質の粉末のようにブロッキング防止剤を添加することができる。
【0021】
熱可塑性樹脂として、例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン−アクリル酸エステル共重合体、ポリエステル樹脂、ポリプロピレン、石油樹脂、塩化ビニル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、アクリル樹脂、ポリアミド、ポリビニルブチラール、ポリ酢酸ビニル、などが挙げられ、特に従来感熱接着剤として使用されている比較的低軟化点、例えば、50〜150℃の軟化点を有するものが好ましい。
また、転写感度を高めたり、表面平滑性の低いラフ紙等への転写性を高める為に、接着層を前記のごときワックス成分を主体に構成することも可能である。
【0022】
接着層の形成は、上記の熱可塑性樹脂と添加剤をホットメルトコートまたは適当な有機溶剤または水に溶解または分散した接着層形成用塗工液を、従来公知のホットメルトコート、ホットラッカーコート、グラビアダイレクトコート、グラビアリバースコート、ナイフコート、エアコート、ロールコート等の方法により、乾燥状態で厚さ0.05〜5g/m2を設けるものである。
乾燥塗膜の厚さが、0.05g/m2未満の場合、被転写体及びメタリック層との接着性が劣り、印字の際に転写不良となる。また、厚さが5g/m2を越えた場合、印字時の解像度、転写感度が低下し、満足のいく印字品質が得られない。
【0023】
(耐熱層)
また、本発明においては、サーマルヘッドに接する側の表面に、サーマルヘッドの滑り性を良くし、かつスティッキングを防止するために、基材フィルム上に耐熱層を設けることが好ましい。耐熱層は、耐熱性のある樹脂と熱離型剤または滑剤の働きをする物質とを基本的な構成成分とする。
このような耐熱層を設けることによって、熱に弱いプラスチックフィルムを基材とした熱転写シートにおいても、スティッキングが起こることなく熱印字が可能であって、プラスチックフィルムの持つ切れにくさ、加工のし易さ等のメリットが生かせる。
【0024】
この耐熱層は、バインダー樹脂に滑り剤、界面活性剤、無機粒子、有機粒子、顔料等を添加したものを、好適に使用し、形成される。
耐熱層に使用されるバインダー樹脂は、例えば、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、酢酸セルロース、酢酪酸セルロース、硝化綿などのセルロース系樹脂、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルブチラール、ポリビニルアセタール、ポリビニルピロリドン、アクリル樹脂、ポリアクリルアミド、アクリロニトリル−スチレン共重合体などのビニル系樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコーン変性またはフッ素変性ウレタン樹脂などが、あげられる。
【0025】
これらのなかで、数個の反応性基、例えば、水酸基を有しているものを使用し、架橋剤として、ポリイソシアネートなどを併用して、架橋樹脂を使用することが好ましい。
耐熱層を形成する手段は、上記のごとき、バインダー樹脂に滑り剤、界面活性剤、無機粒子、有機粒子、顔料等を添加した材料を、適当な溶剤中に溶解または分散させて、塗工液を調製し、この塗工液をグラビアコーター、ロールコーター、ワイヤーバーなどの慣用の塗工手段により、塗工し、乾燥するものである。
耐熱層の厚さは、乾燥状態で、0.01〜3g/m2程度が好ましい。
【0026】
本発明の熱転写シートは、ケント紙等のラフ紙や、中質紙、上質紙、アート紙、軽量コート紙、微塗工紙、コート紙、キャストコート紙、合成樹脂またはエマルジョン含浸紙、合成ゴムラテックス含浸紙、合成樹脂内添紙や、合成紙、プラスチックシート等や、それらを組み合わせた積層体等を被転写体として使用できる。また、上記の被転写体の基材の裏面に粘着加工を施し、離型シートと貼り合せた、いわゆるラベルを被転写体として使用することもできる。
【0027】
【実施例】
次に実施例及び比較例をあげて、本発明を更に具体的に説明する。尚、文中、部又は%とあるのは、特に断りのない限り重量基準である。
(実施例1)
基材フィルムとして、厚さ6.0μmのポリエチレンテレフタレートフィルムの一方の面に、下記組成の剥離着色層用塗工液をグラビアコーティングにより、乾燥塗布量が0.5g/m2になるように塗布、乾燥して剥離着色層を形成する。さらに、その剥離着色層の上に、下記組成の金属薄膜層用塗工液をグラビアコーティングにより、乾燥塗布量が0.5g/m2になるように塗布、乾燥して金属薄膜層を形成し、実施例1の熱転写シートを作製する。
尚、上記の基材フィルムの他方の面に、予め下記組成の耐熱層用塗工液をグラビアコーティングにより、乾燥塗布量が0.3g/m2になるように塗布、乾燥して、耐熱層を形成しておく。
【0028】
[剥離着色層用塗工液]
着色剤(ピグメントグリーン−7) 3部
アクリル樹脂(Tg:105℃) 5部
塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂(Tg:70℃) 2部
トルエン 45部
メチルエチルケトン 45部
【0029】
[金属薄膜層用塗工液]
鱗片状アルミ顔料 4部
(AVERY DENNISON製、商品名:Metalure)
ノンリーフィング型状アルミ顔料 2部
アクリル樹脂(Tg:105℃) 6部
トルエン 40部
メチルエチルケトン 40部
プロピレングリコールモノメチルエーテル 10部
【0030】
[耐熱層用塗工液]
スチレンアクリロニトリル共重合体樹脂 11部
線状飽和ポリエステル樹脂 0.3部
ジンクステアリルホスフェート 6部
メラミン樹脂粉末 3部
メチルエチルケトン 80部
【0031】
(実施例2)
上記の実施例1で使用した耐熱層付き基材フィルムと同じものに、実施例1で使用した、金属薄膜層を下記組成に変更し、グラビアコーティングにより、乾燥塗布量が0.6g/m2になるように塗布、乾燥して金属薄膜層を形成し、その他は実施例1と同様にして実施例2の熱転写シートを作製した。
【0032】
[金属薄膜層用塗工液]
鱗片状アルミ顔料 4部
(AVERY DENNISON製、商品名:Metalure)
パール顔料 1部
(メルク製、商品名:IRIODIN 111)
アクリル樹脂(Tg:105℃) 6部
トルエン 40部
メチルエチルケトン 40部
プロピレングリコールモノメチルエーテル 10部
【0033】
(実施例3)
上記の実施例1で使用した耐熱層付き基材フィルムと同じものに、実施例1で使用した、金属薄膜層を下記組成に変更し、グラビアコーティングにより、乾燥塗布量が0.7g/m2になるように塗布、乾燥して金属薄膜層を形成し、その他は実施例1と同様にして実施例3の熱転写シートを作製した。
【0034】
[金属薄膜層用塗工液]
鱗片状アルミ顔料 3部
(AVERY DENNISON製、商品名:Metalure)
ノンリーフィング型状アルミ顔料 2部
パール顔料 1部
(メルク製、商品名:IRIODIN 111)
アクリル樹脂(Tg:105℃) 6部
トルエン 40部
メチルエチルケトン 40部
プロピレングリコールモノメチルエーテル 10部
【0035】
(実施例4)
上記の実施例1で使用した耐熱層付き基材フィルムと同じものに、実施例1で使用した、金属薄膜層を下記組成に変更し、グラビアコーティングにより、乾燥塗布量が1.5g/m2になるように塗布、乾燥して金属薄膜層を形成し、その他は実施例1と同様にして実施例4の熱転写シートを作製した。
【0036】
[金属薄膜層用塗工液]
ノンリーフィング型アルミ顔料 8部
パール顔料 2部
(メルク製、商品名:IRIODIN 111)
アクリル樹脂(Tg:105℃) 10部
トルエン 40部
メチルエチルケトン 40部
【0037】
(比較例1)
上記の実施例1で使用した耐熱層付き基材フィルムと同じものに、下記組成の金属薄膜層を、グラビアコーティングにより、乾燥塗布量が0.8g/m2になるように塗布、乾燥して金属薄膜層を形成し、その他は実施例1と同様にして比較例1の熱転写シートを作製した。
[金属薄膜層用塗工液]
ノンリーフィング型アルミ顔料 5部
アクリル樹脂(Tg:105℃) 5部
トルエン 40部
メチルエチルケトン 40部
【0038】
(比較例2)
上記の実施例3で使用した耐熱層付き基材フィルムと同じものに、真空蒸着法により膜厚350Åのアルミ蒸着層で金属薄膜層を形成した上に、下記組成の接着層を、グラビアコーティングにより、乾燥塗布量が0.5g/m2になるように塗布、乾燥した以外は実施例1と同様にして、比較例2の熱転写シートを作製した。
【0039】
[接着層用塗工液]
塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂(Tg:70℃) 20部
トルエン 40部
メチルエチルケトン 40部
【0040】
(比較例3)
上記の実施例1で使用した耐熱層付き基材フィルムと同じものに、下記組成の金属薄膜層を、グラビアコーティングにより、乾燥塗布量が1.0g/m2になるように塗布、乾燥して金属薄膜層を形成した以外は実施例1と同様にして、比較例3の熱転写シートを作製した。
[金属薄膜層用塗工液]
パール顔料 10部
(メルク製、商品名:IRIODIN 111)
アクリル樹脂(Tg:105℃) 10部
トルエン 40部
メチルエチルケトン 40部
【0041】
上記、実施例および比較例の熱転写シートを用いて、下記の印字条件にて、印字を実施し、その印字物を下記の評価方法にて、光沢性、隠蔽性及び明るさの評価を行う。
(印字条件)
市販の昇華型プリンタ(解像度300dpi)を用いて、被転写体には予め半面に写真画像を印字してある専用熱転写受像シートを使用し、実施例および比較例の熱転写シートを使用して、テストパターンの印字を行い、評価サンプルを作成した。
【0042】
(光沢性の評価方法)
上記の印字条件にて、得られた印字物について、目視にて金属光沢性の評価を行なった。以下の判断基準にて、評価した。
○:金属光沢性が高く、見栄えのある良好なものである。
△:金属光沢性があまり高くなく、見栄えもあまりしないものである。
×:金属光沢性が低く、見栄えのしないものである。
【0043】
(隠蔽性の評価方法)
上記の印字条件にて、得られた印字物について、目視にて下地に位置する写真画像が透けて見えるかを調べ、隠蔽性の評価とする。以下の判断基準にて、評価した。
○:下地に位置する写真画像が透けて見えず、隠蔽性の優れた画像である。
△:下地に位置する写真画像がわずかに透けて見え、本来のメタリック層の色相とわずかに異なって見え、やや隠蔽性の不足した画像である。
×:下地に位置する写真画像がはっきりと透けて見え、画像の色相が本来のメタリック層の色相とかなり異なって見え、隠蔽性の非常に不足した画像である。
【0044】
(明るさの評価方法)
上記の印字条件にて、得られた印字物について、見る角度を変えて見て暗く見えるかを調べ、明るさの評価とする。以下の判断基準にて、評価した。
○:広範な角度で明るく見える。
△:見る角度を印字物と平行に近づけると暗くなってくる。
×:ある一定角度で見る以外は、ほとんど暗く見える。
【0045】
(評価結果)
上記の評価結果を以下の表1に示す。
【表1】
Figure 0004489332
【0046】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の熱転写シートは、耐熱層を設けた基材フィルムの他方の面に剥離着色層、金属薄膜層を順次設け、該剥離着色層が着色剤とバインダー樹脂を含有し、かつ該金属薄膜層がバインダー樹脂及び鱗片状アルミ顔料、ノンリーフィング型アルミ顔料、パール顔料のうちの少なくとも2種類以上の顔料を含有することにより形成される。鱗片状アルミ顔料の有する優れた隠蔽力、鏡面反射特性、ノンリーフィング型アルミ顔料の有する優れた乱反射特性、またパール顔料の有する規則的多重反射、光の干渉等の優れた光学特性、これらの顔料の少なくとも2種類以上を混合することにより、明るく、高輝度で、下地色の隠蔽力に優れたメタリックカラーを再現することが可能となる。

Claims (2)

  1. 基材フィルムの一方の面に耐熱層を設け、該基材フィルムの他方の面に剥離着色層、金属薄膜層を順次設けた熱転写シートにおいて、該剥離着色層が着色剤とバインダー樹脂を含有し、かつ該金属薄膜層がバインダー樹脂及び鱗片状アルミ顔料、ノンリーフィング型アルミ顔料、パール顔料のうちの少なくとも2種類以上の顔料を含有することを特徴とする熱転写シート。
  2. 前記の鱗片状アルミ顔料が、離型性を有するキャリヤシート上に、蒸着によりアルミニウム皮膜を形成し、該アルミニウム皮膜をキャリヤシートから剥離して、細分化されて製造されたことを特徴とする請求項1に記載する熱転写シート。
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