JPH11221972A - 熱転写シート - Google Patents

熱転写シート

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JPH11221972A
JPH11221972A JP10325551A JP32555198A JPH11221972A JP H11221972 A JPH11221972 A JP H11221972A JP 10325551 A JP10325551 A JP 10325551A JP 32555198 A JP32555198 A JP 32555198A JP H11221972 A JPH11221972 A JP H11221972A
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JP
Japan
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layer
resin
thermal transfer
sheet
transfer sheet
Prior art date
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Withdrawn
Application number
JP10325551A
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English (en)
Inventor
Daigo Morizumi
大悟 森住
Masafumi Hayashi
雅史 林
Seiji Take
誠司 武
Mikio Asajima
幹夫 浅島
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Dai Nippon Printing Co Ltd
Original Assignee
Dai Nippon Printing Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 有色の被転写材に対して、下地の色の影響を
受けずに、色再現性に優れた転写画像が得られる熱転写
シートを提供することを目的とする。 【解決手段】 本発明の熱転写シート1は、基材シート
2の一方の面に、少なくとも、顔料とバインダー樹脂か
ら成る着色層4、熱可塑性樹脂または粒子と熱可塑性樹
脂を主体としたバリア層5、ワックスを主体とした接着
層6をこの順で、基材シート2側から設ける。例えば、
バリア層を含まない層構成であると、印字加熱時に着色
層中に接着層が溶融浸透しやすく、隠蔽性が低下する。
バリア層のような溶融粘度の高い樹脂層を接着層として
用いると、平滑紙での印字は問題ないが、ラフ紙等での
印字感度が不足する。本発明では、バリア層を樹脂成分
を主体とする皮膜で形成することにより、印字加熱時の
溶融粘度を下げすぎないので、着色層への接着層(及び
バリア層自身)の浸透が低減され、転写感度を落とさず
に高隠蔽性を保持し、ベタ印字むらのない良好な転写体
を得ることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、サーマルヘッド、
レーザー等の加熱手段を用いる熱転写プリンターに使用
される熱転写シートに関し、さらに詳しくは、有色の被
転写材に対して、下地の色の影響を受けずに、色再現性
に優れた転写画像が得られ、特に下地の色の隠蔽性に優
れた白色印字物を与える白色熱転写シートに関するもの
である。
【0002】
【従来の技術】従来、顔料、染料等の着色剤を熱溶融性
のワックスや樹脂等のバインダーに分散させた着色層
を、プラスチックフィルム等の基材シートに担持させた
熱転写シートを用いて、サーマルヘッド等の加熱デバイ
スにより画像情報に応じたエネルギーを印加し、紙やプ
ラスチックシートなどの受像シート上に着色剤をバイン
ダーとともに転写する溶融転写方式が知られている。こ
の溶融転写方式によって形成される印字画像は、高濃度
で鮮鋭性に優れ、文字、線画等の2値画像の記録に適し
ている。また、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック
等の着色層を有する熱転写シートを用いて、受像シート
上に各着色層を重ねて印字記録することで、減色混合に
より多色ないしフルカラー画像の形成が可能である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、従来の熱転写
シートにおいて、基材シートの上に、剥離層(またはマ
ット層)、着色層、接着層をこの順に、基材シート側か
ら設けた構成で、表面が着色された被転写材に画像を転
写し形成すると、熱転写シートの着色層の隠蔽性が忠実
に転写画像上で再現できず、被転写材の下地の色の影響
を受けて、色再現性、色鮮明性が不足するという問題が
あった。このような隠蔽性の低下は、発明者らの研究の
結果、印字加熱時に、接着層として用いるワックスや樹
脂成分が着色層と混ざり合い、着色層の着色剤比率が低
くなることによる起因することがわかった。
【0004】また、特にラフ紙への印字性を上げるため
に、接着層を溶融粘度の低いワックスを主体として構成
したときや、下地の隠蔽性を上げるために着色層の着色
剤成分比率を高くした熱転写シートにおいては、特に顕
著な隠蔽性、色再現性の低下が伺える。したがって、本
発明は、以上のような問題点を解決するために、有色の
被転写材に対して、下地の色の影響を受けずに、色再現
性に優れた転写画像が得られる熱転写シートを提供する
ことを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明は、基材シートの一方の面に、少なくとも、
顔料とバインダー樹脂から成る着色層、熱可塑性樹脂ま
たは粒子と熱可塑性樹脂を主体としたバリア層、ワック
スを主体とした接着層をこの順で、基材シート側から設
けたことを特徴とする熱転写シートである。これで印字
加熱時に着色層と接着層ができるだけ混ざり合わないよ
うにした。また、前記基材シートと着色層の間に剥離
層、マット層、プライマー層の少なくともいずれか1層
が設けられていることが好ましい。また、前記バリア層
の膜厚が、0.1〜5.0μmであることが好ましい。
【0006】また、前記バリア層の樹脂が、NBR、S
BR、EVA、ポリエステル、アクリル、エチレンアク
リル酸共重合体、アクリル酸エステル、スチレンアクリ
ル酸エステル共重合体から選ばれた少なくとも1種の樹
脂を含むことが好ましい。また、前記バリア層の粒子
が、Tgが50℃以上の熱可塑性樹脂粒子、着色層と同
系色の粒子、粒子径が300nm以下の透明な有機また
は無機粒子のいずれかであることが好ましい。また、前
記着色層の顔料とバインダー樹脂の重量比が、2/1〜
20/1の範囲にあることが好ましく、また前記着色層
の顔料が、白色顔料であることが好ましい。また、前記
白色顔料が、Al23及び/又はSiO2 で表面処理
を施した酸化チタンであることが好ましい。さらに、前
記着色層のバインダー樹脂の分子量が1000以上30
000以下であることが好ましい。
【0007】本発明の作用は、以下の通りである。本発
明の熱転写シートは、基材シートの一方の面に、少なく
とも、顔料とバインダー樹脂から成る着色層、熱可塑性
樹脂または粒子と熱可塑性樹脂を主体としたバリア層、
ワックスを主体とした接着層をこの順で、基材シート側
から設ける。バリア層を樹脂成分を主体とする皮膜で形
成することにより、印字加熱時の溶融粘度を下げすぎな
いので、着色層への接着層(及びバリア層自身)の浸透
が低減され、転写感度を落とさずに、高隠蔽性を保持
し、ベタ印字むらのない良好な転写体を得ることができ
る。またバリア層が粒子(顔料、熱可塑性樹脂)と樹脂
を主体とすることにより、樹脂単独系より若干の転写感
度の低下はおきるが、印字の切れ、隠蔽性を上げる(総
顔料分の増加による溶融粘度が増加し、バリア効果が向
上する)ことができる。例えば、着色層/接着層の構成
では、接着層を溶融粘度の低いワックス主体で構成する
ことにより、表面の粗いラフ紙等への転写感度を向上さ
せることはできるが、充分な隠蔽性を得るためには、着
色層の膜厚を増やすことが必要になり、印字の切れや箔
持ちの低下、塗工適性の低下を引き起こしてくる。ま
た、接着層を溶融粘度の高い樹脂を主体として構成する
と、隠蔽性の低下は低減できるが、ラフ紙等への転写感
度が低下してしまう。
【0008】
【発明の実施の形態】次に、発明の実施の形態につい
て、詳述する。図1に示すように、本発明の熱転写シー
ト1は、基材シート2と、その基材シート2の一方の面
に、着色層4、バリア層5、接着層6をこの順に基材シ
ート2側から設けたものである。また、図2に示すよう
に、本発明の熱転写シート1は、基材シート2と、その
基材シート2の一方の面に、剥離層3、着色層4、バリ
ア層5、接着層6をこの順に基材シート2側から設け、
基材シート2の他方の面にサーマルヘッドとの融着を防
止し、かつ滑り性を良くする目的で耐熱層7を設けるこ
とも可能である。尚、剥離層3に位置する層は、マット
層、プライマー層のいずれかでも良い。
【0009】(基材シート)本発明の熱転写シートで用
いられる基材シート2としては、従来の熱転写シートに
使用されているものと同じ基材シートをそのまま用いる
ことが出来ると共に、その他のものも使用することが出
来、特に制限されない。好ましい基材シートの具体例と
しては、例えば、ポリエステル、ポリプロピレン、セロ
ハン、ポリカーボネート、酢酸セルロース、ポリエチレ
ン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ナイロン、ポリイ
ミド、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、フ
ッ素樹脂、塩化ゴム、アイオノマー等のプラスチック、
コンデンサー紙、パラフィン紙等の紙類、不織布等があ
り、又、これらを複合した基材シートであってもよい。
この基材シートの厚さは、その強度及び熱伝導性が適切
になるように材料に応じて適宜変更することが出来る
が、その厚さは、好ましくは、例えば、2〜25μmで
ある。
【0010】(着色層)本発明の熱転写シートの着色層
4は、着色剤とバインダーからなり、さらに必要に応じ
て分散剤、帯電防止剤など、種々の添加剤を加えたもの
でよい。着色層に用いるバインダーは、樹脂を主体とし
て構成することが好ましく、樹脂として具体的には、セ
ルロース系樹脂、メラミン系樹脂、ポリエステル系樹
脂、ポリアミド系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリウ
レタン系樹脂、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、スチ
レン−アクリル酸共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重
合体、塩素化ポリプロピレン、塩化ゴム、スチレン−ブ
タジエンゴム等の熱可塑性エラストマーが挙げられる。
また、これらの樹脂の共重合体や変性物も使用できる。
特に、熱時の流動性を確保するために、分子量が100
0以上30000以下のバインダー樹脂が好ましく、分
子量が1000未満では塗膜性に欠け、一方30000
を越えると熱時の流動性に乏しくなる。但し、上記分子
量は重量平均分子量(Mw )で測定されたものとする。
また、比較的低軟化点、例えば、50〜150℃の軟化
点を有するものが好ましい。バインダーとして用いられ
る樹脂のなかでも、特に、転写性、擦過性、耐熱性等の
点で、セルロース系樹脂、メラミン系樹脂、アクリル系
樹脂が、好ましく用いられる。
【0011】その他、必要に応じて、耐熱性等を阻害し
ない程度に、ワックス成分を混合し使用することができ
る。ワックスとしては、例えば、マイクロクリスタリン
ワックス、カルナバワックス、パラフィンワックス等が
ある。更に、フィッシャートロプシュワックス、各種低
分子量ポリエチレン、木ロウ、ミツロウ、鯨ロウ、イボ
タロウ、羊毛ロウ、セラックワックス、キャンデリラワ
ックス、ペトロラクタム、ポリエステルワックス、一部
変性ワックス、脂肪酸エステル、脂肪酸アミド等、種々
のワックスが挙げられる。このなかで、特に融点が50
〜85℃であるものが好ましい。50℃以下であると、
保存性に問題が生じ、又85℃以上であると印字の感度
不足になる。
【0012】本発明では、着色剤として、イエロー、マ
ゼンタ、シアン、ブラック、ホワイトなどの各着色剤
が、従来公知の染料、顔料より適宜選択可能である。本
発明では、有色の被転写材に対してコントラストをもた
せた色相が用いられるため、白色顔料が好ましく使用さ
れる。白色顔料として、例えば酸化チタン(ルチル型、
アナターゼ型)、酸化亜鉛、硫化亜鉛、リトポン、炭酸
カルシウム、シリカ、カオリン、クレイ等の中から、適
宜に選択することができる。また、特に白色顔料として
は、Al23及び/又はSiO2 で表面処理を施した
酸化チタンで、粒子径が0.1〜5.0μm程度のもの
が分散性、隠蔽性、擦過性といった点で好ましい。
【0013】上記の着色層は、着色剤とバインダー樹脂
の重量比が、1/2〜20/1で、特に2/1〜20/
1の範囲にあることが隠蔽性の点で好ましい。着色剤が
上記の範囲より少ない場合、濃度を得るために、塗布量
を多くしなくてはならず、印字感度が不足する。また、
顔料が上記の範囲より多い場合、充分な成膜性が得られ
ず、印字物の擦過性の低下の原因になる。着色層の形成
は、上記のような着色剤成分とバインダー成分と、さら
に、これに必要に応じて水、有機溶剤等の溶媒成分を配
合調整した着色層形成用塗工液を、従来公知のグラビア
ダイレクトコート、グラビアリバースコート、ナイフコ
ート、エアコート、ロールコート等の方法により、乾燥
状態で厚さ0.5〜20μm程度、好ましくは1.0〜
10μmを設けるものである。乾燥塗膜の厚さが、0.
5未満の場合、充分な色相が得られず、また、厚さが2
0μmを越えた場合、印字転写の際に、高エネルギーが
必要となり、特殊な熱転写プリンターでしか印字できな
かったり、または、印字の感度不足となる。着色層は、
印字感度が不足した際、擦過性を落とさない範囲で、ワ
ックス成分を加えることもできる。また、印字物の擦過
性をそれほど必要としない用途であれば、ワックス成分
を主体としたバインダー構成とすることも可能である。
【0014】(剥離層)本発明では、基材シートと着色
層との間に剥離層3を形成する。剥離層3は、印字時に
基材シートと着色層との剥離を容易にするとともに、印
字物の上の保護機能を有する膜を形成するもので、印字
物の耐擦過性、耐薬品性等を向上させることができる。
剥離層3は、熱可塑性樹脂粒子、接着性のある樹脂成分
の熱可塑性樹脂、ワックスのうちの少なくと2成分を含
む。上記の樹脂粒子の特徴としては、塗工成膜時はほぼ
粒子状態を保っており、印字加熱時に溶融して成膜する
ようなもので、基材シートへの接着性が上がりすぎない
ものが好ましい。例えば、最低成膜温度(MFT)が5
0℃〜100℃程度のものが好ましく、特にポリエチレ
ン(PE)、エチレン−アクリル酸共重合体(EA
A)、エチレン−エチルアクリレート共重合体(EE
A)、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、アイ
オノマー等が印字加熱後の接着性が低いことから好まし
い。
【0015】また、剥離層で用いるワックスとしては、
例えば、マイクロクリスタリンワックス、カルナバワッ
クス、パラフィンワックス等がある。更に、フィッシャ
ートロプシュワックス、各種低分子量ポリエチレン、木
ロウ、ミツロウ、鯨ロウ、イボタロウ、羊毛ロウ、セラ
ックワックス、キャンデリラワックス、ペトロラクタ
ム、ポリエステルワックス、一部変性ワックス、脂肪酸
エステル、脂肪酸アミド等、種々のワックスが挙げられ
る。
【0016】また、剥離層で用いる接着性のある樹脂成
分は、着色層の基材シートへの接着性を上げるため、箔
持ちや印字の切れを上げるのに効果がある。例えば、前
記樹脂粒子のMFTが50℃以下のものや、ポリウレタ
ン樹脂、塩素化ポリプロピレン樹脂、ポリエステル樹
脂、アクリル樹脂や、アクリル系粘着剤、NBR(ニト
リルゴム)、SBR(スチレン−ブタジエンゴム)、B
R(ブタジエンゴム)等のラテックス等が挙げられる。
また、特に充分な箔持ち、印字加熱後の接着性の低下が
得られるならば、ワックスと接着性のある樹脂成分を主
体として構成することも可能である。上記の樹脂粒子と
ワックスを、水または有機溶剤、あるいはそれらの混合
物を媒体とした樹脂エマルジョン(または分散体)を使
用して、基材シートの上に塗工及び乾燥して、剥離層を
形成することができる。上記の樹脂エマルジョン中の樹
脂粒子の平均粒径は0.05〜10μmの範囲が好まし
い。
【0017】樹脂粒子とワックスの配合は、両者の合計
を100重量部とした場合、樹脂粒子5〜90重量部と
ワックス95〜10重量部の割合で使用することが好ま
しい。ワックスの使用量が10重量部未満であると、剥
離層の基材シートへの密着性が不十分で膜強度が不足す
る。一方、ワックスの使用量が95重量部を越えると、
樹脂粒子による表面の凹凸から得られる接着効果が得ら
れなくなり、箔持ちが低下する。また、接着性樹脂成分
は3〜95重量部となる範囲で加えることができ、使用
量が3重量部未満であると箔持ちの効果が少なく、使用
量が95重量部を越えると、印字加熱後の剥離が悪くな
り感度低下となる。剥離層の形成は、剥離層形成用塗工
液を、従来公知のグラビアダイレクトコート、グラビア
リバースコート、ナイフコート、エアコート、ロールコ
ート等の方法により、乾燥状態で厚さ0.2〜5μm程
度で設けるものである。乾燥塗膜の厚さが、0.05μ
m未満の場合、基材シートと着色層の接着性が向上し、
良好な剥離効果が得られない。また、厚さが5μmを越
えた場合、印字時の転写感度が低下するため好ましくな
い。剥離層に位置するところに、マット層に置き換えて
もよい。マット層は、印字物にマット感を与えるもの
で、各種顔料とバインダーから構成される。また、剥離
層に位置するところに、基材シートとの接着性を向上さ
せるプライマー層に置き換えることもできる。
【0018】(バリア層)バリア層5は、印字加熱時に
溶融粘度が下がりすぎないような皮膜で、印字加熱時に
接着層が着色層に浸透するのを防ぐように機能してい
る。バリア層5は、樹脂を主体に構成されるもので、印
字時にワックス並に低粘度とならない熱可塑性樹脂を主
体として構成される。すなわち、その100℃における
溶融粘度が100cps以上である樹脂を主体として構
成されることが好ましい。また、バリア層の樹脂のTg
は120℃以下のものが、熱転写感度の点で良好に使用
される。その樹脂として例えば、NBR(ニトリルゴ
ム)、SBR(スチレン−ブタジエンゴム)、BR(ブ
タジエンゴム)等のラテックス、EVA(エチレン−酢
酸ビニル共重合体)樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル
樹脂、EAA(エチレン−アクリル酸共重合体)樹脂、
アクリル酸エステル、スチレンアクリル酸エステル共重
合体樹脂、オレフィン系樹脂、オレフィン系共重合体、
アイオノマー樹脂、スチレン系樹脂、塩化ビニル−酢酸
ビニル共重合体樹脂、ポリウレタン樹脂やこれらの共重
合体等が挙げられる。これらの中でも、特にNBR、S
BR、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−メタ
クリル酸共重合体、アイオノマー樹脂がより低エネルギ
ーで良好な印字を行うことができるという点で好まし
い。
【0019】また、バリア性、印字加熱時の切れを高め
るために、Tgが50℃以上の熱可塑性樹脂粒子、着色
層と同系色の粒子、粒子径が300nm以下の透明な有
機または無機粒子のいずれかを加えることも可能であ
る。また、熱転写感度を上げるためにバリア性を下げす
ぎない範囲でワックス成分を加えることも可能である。
バリア層5は、上記の樹脂に、必要に応じて分散剤、帯
電防止剤などの添加剤を加え、適当な有機溶剤または水
に溶解または分散したバリア層形成用塗工液を、従来公
知のグラビアダイレクトコート、グラビアリバースコー
ト、ナイフコート、エアコート、ロールコート等の塗工
方法により、乾燥状態で厚さ0.1〜5.0μm程度で
設けるものである。バリア層の厚さが0.1μm未満で
あると、バリア性が低下し充分な隠蔽性が得られない。
一方、5.0μmを越えると、印字の際に転写感度が低
下してきて、好ましくない。
【0020】(接着層)本発明の熱転写シートは、バリ
ア層の上に接着層6を形成し、被転写材と転写される着
色層を含めた転写層との接着性を向上させることができ
る。この接着層6は、サーマルヘッド、レーザー等の加
熱により、軟化、溶融して接着性を発揮するワックス類
を主体として形成することが好ましい。そのワックス類
は、例えば、マイクロクリスタリンワックス、カルナバ
ワックス、パラフィンワックス等がある。更に、フィッ
シャートロプシュワックス、各種低分子量ポリエチレ
ン、木ロウ、ミツロウ、鯨ロウ、イボタロウ、羊毛ロ
ウ、セラックワックス、キャンデリラワックス、ペトロ
ラクタム、ポリエステルワックス、一部変性ワックス、
脂肪酸エステル、脂肪酸アミド等、種々のワックスが挙
げられる。
【0021】上記のワックス類の中から、1種または2
種以上を用いて、水性のエマルジョンまたはディスパー
ジョンにした塗工液により、従来公知のグラビアダイレ
クトコート、グラビアリバースコート、ナイフコート、
エアコート、ロールコート等の方法により、乾燥状態で
厚さ0.1〜5μm程度の接着層を設けることができ
る。乾燥塗膜の厚さが、0.2μm未満の場合、被転写
材及びバリア層との接着性が劣り、印字の際に転写不良
が生じやすく、また、厚さが3μmを越えた場合、印字
時の転写感度が低下し、満足のいく印字品質が得られに
くい。
【0022】(耐熱層)また、基材シートの他方の面
に、サーマルヘッドの粘着を防止し、且つ、滑り性を良
くするために、耐熱層7を設けることが可能である。こ
の耐熱層7は、バインダー樹脂に滑り剤、界面活性剤、
無機粒子、有機粒子、顔料等を添加したものを、好適に
使用し、形成される。耐熱層に使用されるバインダー樹
脂は、例えば、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセ
ルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセル
ロース、酢酸セルロース、酢酪酸セルロース、硝化綿な
どのセルロース系樹脂、ポリビニルアルコール、ポリ酢
酸ビニル、ポリビニルブチラール、ポリビニルアセター
ル、ポリビニルピロリドン、アクリル樹脂、ポリアクリ
ルアミド、アクリロニトリル−スチレン共重合体などの
ビニル系樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、
シリコーン変性またはフッ素変性ウレタン樹脂などが、
あげられる。
【0023】これらのなかで、数個の反応性基、例え
ば、水酸基を有しているものを使用し、架橋剤として、
ポリイソシアネートなどを併用して、架橋樹脂を使用す
ることが好ましい。耐熱層を形成する手段は、上記のご
とき、バインダー樹脂に滑り剤、界面活性剤、無機粒
子、有機粒子、顔料等を添加した材料を、適当な溶剤中
に溶解または分散させて、塗工液を調製し、この塗工液
をグラビアコーター、ロールコーター、ワイヤーバーな
どの慣用の塗工手段により、塗工し、乾燥するものであ
る。
【0024】
【実施例】次に実施例及び比較例をあげて、本発明を更
に具体的に説明する。尚、文中、部又は%とあるのは、
特に断りのない限り重量基準である。 (実施例1)基材シートとして、厚さ4.5μmのポリ
エチレンテレフタレートフィルム(東レ株式会社製、ル
ミラー)の一方の面に、下記組成の剥離層用塗工液をグ
ラビアコーターにより、固形分塗布量が0.5g/m2
になるように塗布、乾燥して剥離層を形成する。さら
に、その剥離層の上に、下記組成の着色層用塗工液をグ
ラビアコーターにより、固形分塗布量が6.0g/m2
になるように塗布し、乾燥して着色層を形成する。ま
た、その着色層の上に、下記組成のバリア層用塗工液を
グラビアコーターにより、固形分塗布量が0.2g/m
2 になるように塗布し、乾燥してバリア層を形成する。
さらに、そのバリア層の上に、下記組成の接着層用塗工
液をグラビアコーターにより、固形分塗布量が2.0g
/m2 になるように塗布し、乾燥して接着層を形成し、
実施例1の熱転写シートを得た。尚、上記の基材シート
の他方の面に、予め下記組成の耐熱層用塗工液をグラビ
アコーターにより、固形分塗布量が0.3g/m2 にな
るように塗布、乾燥して、耐熱層を形成しておく。
【0025】剥離層用塗工液 カルナバワックス(コニシ株式会社製 WE−95) 10部 アクリル系樹脂(日本ゼオン株式会社製 LX822) 10部 水/イソプロピルアルコール(1/3) 80部 着色層用塗工液 (ホワイト) 酸化チタン(石原産業製 R−780) 50部 アクリル樹脂 10部 (三菱レイヨン株式会社製 BR−79、Tg35℃、Mw 70000) メチルエチルケトン/トルエン(1/1) 40部
【0026】バリア層用塗工液 EAA樹脂(東邦化学株式会社製 S3121) 20部 水/イソプロピルアルコール(1/2) 80部 接着層用塗工液 カルナバワックス(コニシ株式会社製 WE−95) 30部 水/イソプロピルアルコール(1/3) 70部
【0027】耐熱層用塗工液 スチレンアクリロニトリル共重合体樹脂 11部 線状飽和ポリエステル樹脂 0.3部 ジンクステアリルホスフェート 6部 メラミン樹脂粉末 3部 メチルエチルケトン 80部
【0028】(実施例2)バリア層の塗工液を下記組成
にして、固形分塗布量が0.6g/m2 になるようにし
た以外は、実施例1と同様にして実施例2の熱転写シー
トを用意する。バリア層用塗工液 NBR(日本ゼオン株式会社製 LX550) 5部 アクリル系樹脂粒子(日本合成ゴム株式会社製 AE116) 10部 水/イソプロピルアルコール(1/2) 85部
【0029】(実施例3)バリア層の塗工液を下記組成
にして、固形分塗布量が0.2g/m2 になるようにし
た以外は、実施例1と同様にして実施例3の熱転写シー
トを用意する。バリア層用塗工液 NBR(日本ゼオン株式会社製 SX1503) 20部 水/イソプロピルアルコール(1/2) 80部
【0030】(実施例4)着色層の塗工液を下記組成に
した以外は、実施例1と同様にして実施例4の熱転写シ
ートを用意する。着色層用塗工液 (ホワイト) 酸化チタン(石原産業製 R−780) 50部 アクリル樹脂(Tg46℃、Mw 25000) 10部 メチルエチルケトン/トルエン(1/1) 40部
【0031】(実施例5)着色層の塗工液を下記組成に
した以外は、実施例1と同様にして実施例4の熱転写シ
ートを用意する。着色層用塗工液 (ホワイト) 酸化チタン(石原産業製 R−780) 50部 アクリル樹脂 10部 (三菱レイヨン株式会社製 BR−87、Tg105℃、Mw 25000) メチルエチルケトン/トルエン(1/1) 40部
【0032】(比較例1)実施例1の熱転写シートの条
件で、バリア層を除いた条件で、その他は実施例1と同
様にして比較例1の熱転写シートを用意する。
【0033】上記、実施例および比較例の熱転写シート
を用いて、下記の印字条件にて、印字を実施し、その印
字物を下記の評価方法にて、隠蔽性、転写感度及び印字
加熱時の切れの評価を行う。印字条件 使用プリンターは自作した熱転写プリンタにて、実施例
および比較例の熱転写シートと、被転写材として、表面
が赤色に着色された着色コート紙を用い、テストパター
ンの印字を行い、評価サンプルを作製した。なお、被転
写材の印字される表面(下地)の光学濃度は、反射濃度
でマクベス製反射濃度計RD914にて、Mフィルター
にて1.69である。
【0034】隠蔽性の評価方法 上記の印字条件にて印字したサンプルにおいて、印字さ
れた転写部をマクベス製反射濃度計RD914にて、M
フィルターにて、光学濃度を測定する。光学濃度が高い
ほど、赤みが強く、下地が透けていることを示す。言い
換えれば、光学濃度が低いほど、隠蔽性が高いことを示
すものである。
【0035】転写感度の評価方法 上記の印字条件にて、印字したサンプルにおいて、画線
の連続性、鮮明性を目視にて評価する。その評価基準
は、以下の通りである。 ◎:画線の連続性、鮮明性ともに非常に良好である。 ○:画線の連続性、鮮明性ともに良好である。 ×:連続するべき画線に途切れがあり、鮮明性が良くな
い。
【0036】印字加熱時の切れの評価方法 上記の印字条件にて、印字したサンプルにおいて、画線
のエッジがシャープになっているかを目視にて評価す
る。その評価基準は、以下の通りである。 ◎:画線のエッジが目立ってシャープであり、切れが非
常に良好である。 ○:画線のエッジがシャープであり、切れが良好であ
る。 ×:画線のエッジがシャープでなく、凹凸が目立ち、切
れが悪い。
【0037】(評価結果)上記の実施例および比較例の
評価結果を、下記の表1に示す。
【表1】
【0038】上記の結果の通り、実施例の熱転写シート
を用いた印字物は、隠蔽性、転写感度及び切れの全て良
好な結果となった。それに対し、比較例1の熱転写シー
トは着色層と接着層の間にバリア層がないため、印字加
熱時に着色層と接着層が混ざり合って、隠蔽性が低下
し、下地の赤みが見えやすくなっている。
【0039】
【発明の効果】本発明によれば、以上説明したように、
本発明の熱転写シートは、基材シートの一方の面に、少
なくとも、着色剤を含有する着色層、着色層と接着層の
混合を防ぐバリア層、印字性を向上させるための接着層
をこの順で、基材シート側から設けたもので、バリア層
を樹脂成分を主体とする皮膜で形成することにより、印
字加熱時の溶融粘度を下げすぎないので、着色層への接
着層(及びバリア層自身)の浸透が低減され、転写感度
を落とさずに、高隠蔽性を保持し、ベタ印字むらのない
良好な転写体を得ることができる。またバリア層が粒子
(顔料、熱可塑性樹脂)と樹脂を主体とすることによ
り、樹脂単独系より若干の転写感度の低下はおきるが、
印字の切れ、隠蔽性を上げる(総顔料分の増加による溶
融粘度が増加し、バリア効果が向上する)ことができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の熱転写シートの一つの実施形態を示す
断面図である。
【図2】本発明の熱転写シートの他の実施形態を示す断
面図である。
【符号の説明】
1 熱転写シート 2 基材シート 3 剥離層 4 着色層 5 バリア層 6 接着層 7 耐熱層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 浅島 幹夫 東京都新宿区市谷加賀町一丁目1番1号 大日本印刷株式会社内

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基材シートの一方の面に、少なくとも、
    顔料とバインダー樹脂から成る着色層、熱可塑性樹脂ま
    たは粒子と熱可塑性樹脂を主体としたバリア層、ワック
    スを主体とした接着層をこの順で、基材シート側から設
    けたことを特徴とする熱転写シート。
  2. 【請求項2】 前記基材シートと着色層の間に剥離層、
    マット層、プライマー層の少なくともいずれか1層が設
    けられていることを特徴とする上記の請求項1に記載す
    る熱転写シート。
  3. 【請求項3】 前記バリア層の膜厚が、0.1〜5.0
    μmであることを特徴とする上記の請求項1または2に
    記載する熱転写シート。
  4. 【請求項4】 前記バリア層の樹脂が、NBR、SB
    R、EVA、ポリエステル、アクリル、エチレンアクリ
    ル酸共重合体、アクリル酸エステル、スチレンアクリル
    酸エステル共重合体から選ばれた少なくとも1種の樹脂
    を含むことを特徴とする上記の請求項1〜3のいずれか
    に記載する熱転写シート。
  5. 【請求項5】 前記バリア層の粒子が、Tgが50℃以
    上の熱可塑性樹脂粒子、着色層と同系色の粒子、粒子径
    が300nm以下の透明な有機または無機粒子のいずれ
    かであることを特徴とする上記の請求項1〜4のいずれ
    かに記載する熱転写シート。
  6. 【請求項6】 前記着色層の顔料とバインダー樹脂の重
    量比が、2/1〜20/1の範囲にあることを特徴とす
    る上記の請求項1〜5のいずれかに記載する熱転写シー
    ト。
  7. 【請求項7】 前記着色層の顔料が、白色顔料であるこ
    とを特徴とする上記の請求項1〜6のいずれかに記載す
    る熱転写シート。
  8. 【請求項8】 前記白色顔料が、Al23及び/又は
    SiO2 で表面処理を施した酸化チタンであることを特
    徴とする上記の請求項1〜7のいずれかに記載する熱転
    写シート。
  9. 【請求項9】 前記着色層のバインダー樹脂の分子量が
    1000以上30000以下であることを特徴とする上
    記の請求項1〜8のいずれかに記載する熱転写シート。
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